説明

ドライポリマー電解質および全固体型ポリマー電池

【課題】負極活物質としてリチウムまたはリチウム合金を用いた全固体型ポリマー電池において、ドライポリマー電解質のリチウムイオン伝導性を向上させ、負極活物質層と固体電解質膜との界面抵抗を低減することで、高容量でサイクル特性に優れた全固体型ポリマー電池を提供する。
【解決手段】正極10、負極11、固体電解質膜12およびシール材13を含む全固体型ポリマー電池1において、固体電解質膜12を、特定のエチレングリコールエーテル類、骨格中に電子供与性酸素原子を含むポリマーおよびリチウム塩を含有するドライポリマー電解質を用いて形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライポリマー電解質および全固体型ポリマー電池に関する。本発明は、主に、ドライポリマー電解質の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
非水電解質電池は、電解液型電池と固体型電池とに大別される。電解液型電池は、正極と負極との間に電解液を介在させた電池である。固体型電池は、正極と負極との間に固体電解質を介在させた電池である。固体型電池は、液漏れのおそれがないために、電池の安全性や信頼性が高く、また、電池の薄型化や積層化が可能であるという長所を有する。
【0003】
固体型電池に使用される固体電解質としては、たとえば、無機材料、有機高分子材料などが用いられている。このうち無機材料からなる固体電解質はイオン伝導性が高いが、脆性が高いために、可撓性を有する膜に加工することが困難である。一方、有機高分子材料からなる固体電解質はポリマー電解質と呼ばれ、無機材料からなる固体電解質に比べて柔軟性が高く、薄膜への成形が比較的容易であり、高エネルギー密度を有することから、実用化に向けて検討が進められている。中でも、ドライポリマー電解質は、前記のポリマー電解質の特性を保持した上で、非水溶媒を含有しないことから非常に高い安全性を有するので、その実用化が期待されている。
【0004】
ドライポリマー電解質としては、たとえば、ポリエチレンオキサイドとリチウム塩やナトリウム塩などとを複合化したものが知られている。しかしながら、このドライポリマー電解質は室温でのイオン伝導率が10-4〜10-7S/cmと低いため、ドライポリマー電解質を用いる固体型電池(以下「全固体型ポリマー電池」とする)には電池容量が低いという問題がある。
ドライポリマー電解質のイオン伝導率を向上させるために、たとえば、ポリエチレンオキサイドの側鎖に短いエチレンオキサイド鎖を結合させることにより、結晶における分子配列の規則性を無くさせる無定形化をポリエチレンオキサイドに施すことが提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。しかしながら、無定形化されたポリエチレンオキサイドのイオン伝導率は10-4S/cm程度に過ぎず、イオン伝導率の向上は不十分である。したがって、無定形化されたポリエチレンオキサイドを用いても、固体型電池の電池容量が低いという課題は解決されない。
【0005】
また、ポリビニリデンフルオライドをマトリックスとするポリマーに、リチウム塩をジエトキシエタン、ジメトキシエタンなどのエーテル類に溶解させた溶液を含浸させてなるポリマー電解質が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1では、リチウム塩のエーテル溶液をポリマーに含浸させることにより、ポリマー電解質の電気伝導性すなわちイオン伝導率を向上させようとしている。
【0006】
また、ビニルエーテルとアリルビニルエーテルとの共重合体をヒドロシリル化し、次いでジプロチック架橋剤の存在下、液状の可塑剤中にて架橋させてなるポリマー電解質が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。ここで、液状の可塑剤は、ジメトキシエタン、オリゴエチレングリコールジアルキルエーテルまたはポリエチレングリコールジアルキルエーテルである。特許文献2の技術では、架橋ポリマー中に液状の可塑剤が含浸した形態のポリマー電解質が得られ、これによりポリマー電解質のイオン伝導率を向上させようとしている。
【0007】
しかしながら、特許文献1および2のポリマー電解質は、ポリエチレンオキサイドとアルカリ金属塩とを複合化したドライポリマー電解質に比べると高いイオン伝導率を有するものの、イオン伝導率の向上は十分満足できる水準にはない。
【非特許文献1】ポリマーバッテリーの最新技術II、金村聖志監修、p113、シーエムシー出版
【特許文献1】特開平9―219218号公報
【特許文献2】特開平7−029413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ドライポリマー電解質は、上記したようにイオン伝導率が低い。また、ドライポリマー電解質が流動性に乏しいことに起因して、全固体型ポリマー電池では、電極界面における活物質層と電解質との接触面積が小さくなる。特に、負極活物質としてリチウムまたはリチウム合金(以下「リチウム系活物質」とする)を用いる場合は、充放電時に負極活物質層の体積が大きく変動するために、さらに、ドライポリマー電解質の分解が起こりやすく、負極活物質層と電解質との界面に絶縁性被膜が生成しやすいために、負極活物質層と電解質との接触面積が小さくなるのを防止することは非常に困難である。その結果、電池の内部抵抗が増大する。なお、電極界面とは活物質層と電解質との界面である。
【0009】
ドライポリマー電解質の上記のような特性により、全固体型ポリマー電池の充放電反応では、電極界面におけるリチウムイオンの拡散が律速になる。このため、全固体型ポリマー一次電池においては、電極界面で電極反応に関与できるリチウムイオンが不足し、電極反応が進行しにくくなるため、結果として充放電時の分極が大きくなり、高負荷下で放電容量が急速に小さくなる。また、全固体型ポリマー二次電池においては、充放電の繰り返しにより、活物質層と電解質との接触面積がさらに減少して電池容量が低下し、ひいては充放電サイクル特性が劣化する。
【0010】
本発明の目的は、イオン伝導性に優れかつ電極界面における抵抗の増大を防止し得るドライポリマー電解質、および、該ドライポリマー電解質を含有し、高い電池容量を有する全固体型ポリマー電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、従来技術の課題を解決するために鋭意研究を行った。その過程で、全固体型ポリマー電池における電池容量の低下が、ドライポリマー電解質のイオン伝導性の低さだけによって起こるのではなく、電極界面、特に負極界面における抵抗(以下「界面抵抗」とする)の増大が、電池容量低下の一因になっているものと推測した。これに基づいて、イオン伝導性に優れ、かつ負極界面での界面抵抗の増大を防止できるドライポリマー電解質についてさらに研究を行い、目的に叶うドライポリマー電解質を得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、(1)メチルモノグライム、メチルジグライム、メチルトリグライム、メチルテトラグライム、メチルペンタグライム、エチルモノグライム、エチルジグライム、エチルトリグライム、エチルテトラグライムおよびエトキシメトキシエタンよりなる群から選ばれる少なくとも1つのエチレングリコールエーテル類、(2)骨格中に電子供与性酸素原子を含むポリマーならびに(3)リチウム塩を含有するドライポリマー電解質に係る。
ドライポリマー電解質において、20℃で24時間真空乾燥した後の質量減少率が3%以下であることが好ましい。
【0013】
リチウム塩はリチウムイオンとアニオンとに解離し、リチウムイオンの電子供与性酸素原子に対するモル比が0.01〜0.125であり、かつリチウムイオンのエチレングリコールエーテル類に対するモル比が0.05〜3であることが好ましい。
骨格中に電子供与性酸素原子を含むポリマーが、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体、エチレンオキサイド単位もしくはプロピレンオキサイド単位を含有するポリマーおよびポリカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0014】
リチウム塩がLiN(CF3SO22、LiN(C25SO22およびLiClO4よりなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
エチレングリコールエーテル類が、少なくとも1個のフッ素原子を含有する含フッ素エチレングリコールエーテル類であることが好ましい。
【0015】
また、本発明は、正極、負極および本発明のドライポリマー電解質を含む全固体型ポリマー電池に係る。
負極は、負極活物質として、リチウムおよびリチウム合金よりなる群から選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のドライポリマー電解質は、イオン伝導性に優れ、全固体型ポリマー電池に用いた場合には、電極界面、特に負極界面での界面抵抗の増大を防止できる。したがって、本発明のドライポリマー電解質を用いれば、電池容量の高い全固体型ポリマー電池を得ることができる。
本発明の全固体型ポリマー電池は高い電池容量を有し、負極活物質としてリチウム系活物質を含有していても、負極界面での界面抵抗の増大が非常に起こり難く、負極界面の界面抵抗がほぼ一定に保持されるので、電池容量が低下し難い。したがって、本発明の全固体型ポリマー電池を一次電池として用いる場合には、高負荷下でも放電容量が低下せず、ほぼ一定の電力を安定的に供給できる。また、本発明の全固体型ポリマー電池を二次電池として用いる場合には、充放電の繰返しに伴う電池容量の低下がほとんどなく、優れた充放電サイクル特性が発現し、充放電サイクル特性が長期にわたって高水準で保持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[ドライポリマー電解質]
本発明のドライポリマー電解質は、(1)エチレングリコールエーテル類、(2)骨格中に電子供与性酸素原子を含むポリマーおよび(3)リチウム塩を含有する。より具体的には、本発明のドライポリマー電解質は、骨格中に電子供与性酸素原子を含むポリマーと、リチウム塩との複合体として形成され、その中にリチウム塩とエチレングリコールエーテル類との複合体が混在しているものと考えられる。
【0018】
本発明のドライポリマー電解質では、リチウム塩はリチウムイオンとアニオンとに解離し、溶解した状態で存在する。
ドライポリマー電解質中でリチウム塩を解離させるためには、リチウムイオンとアニオンとの相互作用に匹敵するような強い相互作用を発生させる必要がある。本発明では、マトリックスポリマーとして、骨格中に電子供与性酸素原子を含むポリマーを用いることによって、前記のような相互作用を発生させる。すなわち、電子供与性酸素原子は、リチウムイオンとの間に強い相互作用を発生させることができ、リチウム塩を解離させることができる。解離したリチウムイオンは電子供与性酸素原子に配位し、さらにポリマー構造中またはポリマー鎖上を移動する。リチウムイオンは、主に、ポリマー鎖のセグメント運動によってマトリックスポリマー中を移動できるものと考えられる。これにより、本発明のドライポリマー電解質に優れたイオン伝導性が発現する。
【0019】
一方、エチレングリコールエーテル類は、主に、リチウムイオンとポリマー鎖中の電子供与性酸素原子との相互作用を弱め、ドライポリマー電解質のイオン伝導性をさらに向上させるために用いられる。エチレングリコールエーテル類は、その分子中に電子供与性酸素原子であるエーテル酸素を有しているので、ポリマー鎖に配位しているリチウムイオンは、このエーテル酸素とも相互に作用する。その結果、リチウムイオンとポリマー鎖中の電子供与性酸素原子との相互作用が相対的に弱まり、リチウムイオンの自由度が増し、リチウムイオン伝導性が向上する。
【0020】
リチウム塩とエチレングリコールエーテル類との複合体は、特定の組成領域では、液体成分を含有しているにもかかわらず、固体の結晶性錯体としての単離が可能である。このことから、本発明のドライポリマー電解質中において、特定の組成領域ではエチレングリコール類はリチウムイオンに配位することにより、液体でなく、固体として存在するものと考えられる。このため、本発明のドライポリマー電解質は、液状成分であるエチレングリコールエーテル類を含有しているのに、室温での真空乾燥後に、質量変化をほとんど示さない。なお、ここでいう結晶性錯体は、配位結合によって形成された固体の分子性化合物を意味する。
【0021】
もちろん、リチウム塩に対して過剰量のエチレングリコールエーテル類を用い、リチウム塩とエチレングリコールエーテル類との複合体を結晶性錯体として単離できない組成領域でも、良好なリチウムイオン伝導性が発現する。この場合に良好なリチウムイオン伝導性が発現する主要因は、エチレングリコールエーテル類が液体として存在し、リチウムイオンの伝導パスになることである。しかしながら、エチレングリコールエーテル類を過剰量用いると、液漏れなどが発生し易くなり、電池の安全性、信頼性などが低下するおそれがある。
【0022】
本発明のドライポリマー電解質に含まれる各成分について、次のとおり、具体的に説明する。
エチレングリコールエーテル類としては、メチルモノグライム、メチルジグライム、メチルトリグライム、メチルテトラグライム、メチルペンタグライム、エチルモノグライム、エチルジグライム、エチルトリグライム、エチルテトラグライムおよびエトキシメトキシエタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を使用する。これらの特定のエチレングリコールエーテル類を使用することによって、ドライポリマー電解質のイオン伝導性を向上させることができる。
【0023】
これらの中でも、エチレンオキシド鎖(CH2CH2O)nの繰返し数(鎖長)を示すnの値が1〜4であるエチレングリコールエーテル類が好ましい。具体的には、上記に例示したエチレングリコールエーテル類からメチルペンタグライムを除いたものである。これらのエチレングリコールエーテル類は、繰返し数nが1〜4であり、エチレンオキシド鎖が短く、立体障害が小さいという構造的特徴を有していることから、リチウムイオンが配位し易い。このため、リチウムイオンとマトリックスポリマーとの相互作用を弱める効果が高くなるので、リチウムイオン伝導性向上の効果がより大きい。
【0024】
また、上記のエチレングリコールエーテル類に少なくとも1個のフッ素原子が置換した含フッ素エチレングリコールエーテル類を用いても良い。含フッ素エチレングリコールエーテル類を用いても、リチウムイオン伝導性の向上効果が得られる。含フッ素エチレングリコールエーテル類としては、エチレンオキシド鎖の繰返し数nが1〜4であるものが好ましい。含フッ素エチレングリコールエーテル類では、フッ素原子の電気陰性度が大きいため、エーテル酸素の電子供与性が低下する。しかしながら、エチレンオキシド鎖の繰返し数nが1〜4であれば、立体障害が小さく、リチウムイオンの配位が容易であるという構造的特徴を保持している。したがって、リチウムイオンとマトリックスポリマーのポリマー鎖(電子供与性酸素原子)との相互作用を弱めることができる。
【0025】
骨格中に電子供与性酸素原子を含むポリマーは、上記したように、マトリックスポリマーとして用いられる。骨格中に電子供与性酸素原子を含むポリマーとしては、主鎖および側鎖のいずれか一方または両方に電子供与性酸素原子を含むポリマーを使用できる。ここで、電子供与性酸素原子としては、たとえば、エーテル結合を形成する酸素原子であるエーテル酸素、エステル結合を形成する酸素原子であるエステル酸素などが挙げられる。マトリックスポリマーの具体例としては、たとえば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体、エチレンオキサイド単位もしくはプロピレンオキサイド単位を有するポリマー、ポリカーボネートなどが挙げられる。
【0026】
リチウム塩としては、リチウム電池において支持塩として常用されるものを使用でき、たとえば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3SO3、LiAsF6、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウム、LiN(CF3SO33、LiN(C25SO22などが挙げられる。これらの中でも、リチウム系活物質に対する化学的な安定性などを考慮すると、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22およびLiClO4が好ましい。この3種のリチウム塩は、リチウム系活物質に対して化学的に安定であることから、負極界面部においてポリマー電解質中に溶解しているリチウム塩の分解にともなう絶縁性被膜が生成しにくく、界面抵抗が小さい良好な負極界面を実現できる。リチウム塩は1種を単独で使用できまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0027】
リチウム塩は、リチウム塩から解離するリチウムイオンが、マトリックスポリマー中の電子供与性酸素原子に配位した状態で、本発明のドライポリマー電解質に溶解しているのが好ましい。この時、電子供与性酸素原子1モルに対するリチウムイオンのモル比は、好ましくは0.01〜0.125、さらに好ましくは0.02〜0.10であり、かつ後記するエチレングリコールエーテル類1モルに対するリチウムイオンのモル比は、好ましくは0.05〜3、さらに好ましくは0.1〜3である。この構成によって、ドライポリマー電解質のイオン伝導性を一層向上させることができる。
【0028】
電子供与性酸素原子に対するリチウムイオンのモル比が0.01未満では、伝導種であるリチウムイオン濃度が低下するため、ポリマー電解質のリチウムイオン伝導性も低下するおそれがある。また、該モル比が0.125を超えると、ポリマー電解質の結晶性が増大し、マトリックスポリマーのセグメント運動が低下する。その結果、ポリマー電解質のリチウムイオン伝導性が低下するおそれがある。
【0029】
一方、エチレングリコール類に対するリチウムイオンのモル比が0.05未満では、リチウムイオンとマトリックスポリマーとの相互作用を弱める効果が不十分になり、リチウムイオン伝導性の向上効果が小さくなるおそれがある。また、該モル比が3を超えると、エチレングリコール類がリチウムイオンと配位できる濃度を超えるため、エチレングリコール類がドライポリマー電解質中で液体として存在することになる。その結果、ドライポリマー電解質を電池に用いた場合に、電池の安全性、信頼性などが低下するおそれがある。なお、ドライポリマー電解質中のエチレングリコール類の含有量は、たとえば、ドライポリマー電解質作製時に、エチレングリコール類のマトリックスポリマーへの含浸量を調整することにより制御できる。
【0030】
本発明のドライポリマー電解質は、上記各成分の他に、その好ましい特性を損なわない範囲で、従来からドライポリマー電解質に用いられる添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、たとえば、無機フィラーが挙げられる。無機フィラーは、たとえば、ドライポリマー電解質の機械的強度、膜質均一性などを向上させ、それによりイオン伝導性をもさらに向上させ得る。無機フィラーの具体例としては、たとえば、アルミナ、シリカなどが挙げられる。無機フィラーは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
また、本発明のドライポリマー電解質の支持体として多孔質シートを用いてもよい。多孔質シートとしては、電池分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイドなどの不織布、ポリプロピレン、ポリエチレンの微孔性フィルムなどが挙げられる。
【0031】
本発明のドライポリマー電解質は、好ましくは、室温で24時間真空乾燥した後の質量減少率が3%以下である。ここで、質量減少率は、真空乾燥前の質量をM0、真空乾燥後の質量をMとすると、質量減少率(%)=(M0−M)/M0×100と表される。質量減少率を3%以下に調整することによって、本発明のドライポリマー電解質のイオン伝導性は一層向上し、安全性および信頼性も向上することができる。なお、本明細書において、真空乾燥の際の真空度は1Pa未満である。
【0032】
本発明のドライポリマー電解質からなる固体電解質膜は、たとえば、ポリマー電解質溶液の調製工程、前駆体膜の形成工程およびエチレングリコールエーテル類の含浸工程を含む方法により形成できる。
ポリマー電解質溶液の調製工程では、マトリックスポリマーの有機溶媒溶液にリチウム塩を添加してポリマー電解質溶液を調製する。ここで有機溶媒としては、マトリックスポリマーを溶解でき、かつマトリックスポリマーおよびリチウム塩に対して不活性なものであれば特に制限されず、公知のものを使用できる。たとえば、アセトニトリルなどのニトリル類が挙げられる。
【0033】
前駆体膜の形成工程では、前工程で得られるポリマー電解質溶液を、平滑な表面を有する基材上に塗布し、乾燥させ、ドライポリマー電解質膜の前駆体を形成する。この工程は、従来のポリマー電解質膜の形成と同様にして行われる。乾燥方法としては真空乾燥が好ましい。なお、基材として電池用電極を用い、電極の活物質層表面にドライポリマー電解質膜の前駆体を形成すれば、後工程である含浸工程を経た後、そのまま電池の構成部品として使用できるので、有利である。
【0034】
エチレングリコールエーテル類の含浸工程では、前工程で得られる電解質膜の前駆体にエチレングリコールエーテル類を含浸させ、必要に応じて乾燥させる。エチレングリコールエーテル類の含浸量は、たとえば、乾燥温度、乾燥時間、真空度などの乾燥条件、またはエチレングリコールエーテルの滴下量などによって調整できる。含浸方法としては特に制限されず、たとえば、電解質膜の前駆体をエチレングリコールエーテル類に浸漬する方法、電解質膜の前駆体にエチレングリコールエーテル類を滴下する方法などが挙げられる。また、乾燥方法としては真空乾燥が好ましい。これにより、本発明のドライポリマー電解質からなる固体電解質膜を形成できる。
【0035】
また、本発明のドライポリマー電解質からなる固体電解質膜は、リチウム塩とエチレングリコールエーテル類とを反応させて結晶性錯体を合成し、この結晶性錯体と有機溶媒とを混合してポリマー電解質溶液を調製し、このポリマー電解質溶液を基材上に塗布し、乾燥させることによっても形成できる。
【0036】
[全固体型ポリマー電池]
本発明の全固体型ポリマー電池は、電解質として本発明のドライポリマー電解質を用いる以外は、従来の全固体型ポリマー電池と同様の構成を採ることができる。
図1は、本発明の実施形態の一つである全固体型ポリマー電池1の構成を模式的に示す縦断面図である。全固体型ポリマー電池1は、正極10、負極11、固体電解質膜12およびシール材13を含むリチウム電池である。
【0037】
正極10は、正極集電体20および正極活物質層21を含む板状部材であり、固体電解質膜12を介して負極11に対向するように設けられる。正極集電体20には、リチウム電池の分野(以下単に「この分野」とする)で常用されるものを使用でき、たとえば、金属のシート状物などが挙げられる。金属として、たとえば、銀、銅、ニッケル、パラジウム、金、白金、アルミニウム、スレンレス鋼などが挙げられる。金属は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。金属のシート状物とは、たとえば、金属フィルム、金属箔、金属繊維の不織布などを意味する。
【0038】
正極活物質層21は、正極集電体20の厚み方向の片面または両面に設けられ、正極活物質を含有し、さらに必要に応じて導電剤、結着剤などを含有する。正極活物質層21は、厚み方向の一方の面が正極集電体20に接触し、他方の面が固体電解質膜12に接するように設けられる。また、本実施の形態では、正極活物質層21は、正極集電体20の厚み方向の一方の片面において、前記片面の周縁部以外の部分に形成される。
正極活物質としては、リチウム電池の正極活物質を使用できる。このような正極活物質としては、たとえば、(CF)m、(C2F)m、MnO2、TiS2、MoS2、FeS2、LixaCoO2、LixaNiO2、LixaMnO2、LixaCoyNi1-y2、LixaCoy1-yz、LixaNi1-yyz、LixbMn24、LixbMn2-yy4(前記各式中、MはNa、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、SbおよびBよりなる群から選ばれる少なくとも1つを示す。xa=0〜1.2、xb=0〜2.0、y=0〜0.9、z=2.0〜2.3である)、バナジウム酸化物およびそのリチウム化合物、ニオブ酸化物およびそのリチウム化合物、有機導電性物質を用いた共役系ポリマー、シェブレル相化合物、オリビン系化合物などが挙げられる。なお、上記の各組成式におけるxa値およびxb値は、充放電開始前の値であり、充放電により増減する。正極活物質は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0039】
導電剤としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、天然黒鉛、人造黒鉛などのグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維類、アルミニウム粉などの金属粉末類、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカーなどの導電性ウィスカー類、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、フェニレン誘導体などの有機導電性材料などが挙げられる。導電剤は1種を単独でまたは2種以上を併用して使用できる。
【0040】
結着剤としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ヘキシル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ヘキシル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。また、正極活物質層21の結着剤として、室温で24時間真空乾燥した後の質量減少率が3%以下であるエチレングリコールエーテル類を含有するドライポリマー電解質を用いてもよい。このようなドライポリマー電解質を用いると、正極の結着剤としてポリマー電解質を用いた場合には、正極10において表面から深部に至るまでイオンが容易に到達できるため好ましい。結着剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0041】
正極10は、たとえば、正極集電体20の表面に正極合剤を圧着するかまたは正極合剤スラリーを塗布し、乾燥させ、さらに必要に応じて圧延して正極活物質層21を形成することにより作製できる。正極合剤は、たとえば、正極活物質、導電剤および結着剤を混練することにより調製できる。正極合剤スラリーは、たとえば、正極活物質、導電剤および結着剤を、脱水N−メチル−2−ピロリドン、エチレングリコールエーテル類などの液体媒体中に溶解または分散させることにより調製できる。
【0042】
負極11は、負極集電体22およびリチウム系活物質層23を含む板状部材であり、固体電解質膜12を介して正極10に対向するように設けられる。負極集電体22には、リチウム電池の分野(以下単に「この分野」とする)で常用されるものを使用でき、たとえば、金属のシート状物などが挙げられる。金属として、たとえば、銀、銅、ニッケル、パラジウム、金、白金、ステンレス鋼などが挙げられる。金属は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。金属のシート状物とは、たとえば、金属フィルム、金属箔、金属繊維の不織布などを意味する。
リチウム系活物質層23は、厚み方向の一方の面が負極集電体22に接触し、他方の面が固体電解質膜12に接するように設けられる。また、リチウム系活物質層23は、固体電解質膜12を介して正極活物質層21に対向するように設けられる。本実施の形態では、リチウム系活物質層23は、負極集電体22の厚み方向の一方の片面において、前記片面の周縁部以外の部分に形成される。リチウム系活物質層23は、リチウムまたはリチウム合金を含有する。リチウム合金としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、Li−Si合金、Li−Sn合金、Li−Al合金、Li−Ga合金、Li−Mg合金、Li−In合金などが挙げられる。
【0043】
固体電解質膜12には、本発明のドライポリマー電解質からなる電解質膜を使用できる。
また、シール材13は、正極集電体20の正極活物質層21が形成されない周縁部と、負極集電体22のリチウム系活物質層23が形成されない周縁部とが対向する空間に装着される。シール材13には、電池分野で常用されるものを使用でき、たとえば、合成樹脂材料からなるシール材が挙げられる。
本発明の全固体型ポリマー電池1は、たとえば、次のようにして製造される。
まず、正極集電体20の片面に正極活物質層21を形成し、正極10を作製する。また、負極集電体22の片面に、リチウム系活物質層23および固体電解質12をこの順番で積層し、負極11を作製する。次に、正極活物質層21と電解質膜12とが対向するように正極10と負極11とを重ね合わせる。さらに、正極10と負極11との周縁部を、シール材13により封止することにより、全固体型ポリマー電池1が作製される。
【0044】
本発明の全固体ポリマー電池は種々の形態を採ることができ、たとえば、扁平型、コイン型、円筒型、角型、ラミネート型などの形態が挙げられる。また、本発明の全固体ポリマー電池においては、正極、負極および電解質膜を含む電極群は、たとえば、積層型、捲回型、バイポーラ型などに構成することができる。さらに、本発明の全固体ポリマー電池は、一次電池および二次電池のいずれにも構成することが可能である。
【実施例】
【0045】
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例における各操作は、全て−30℃以下に露点管理された雰囲気中で実施し、全ての真空乾燥は0.3Paの真空度で実施した。
(実施例1および比較例1)
[ドライポリマー電解質の作製および評価]
アセトニトリル100gにポリエチレンオキサイド(マトリックスポリマー、粘度平均分子量10万、Sigma−Aldrich社製)10gを溶解させてポリエチレンオキサイドのアセトニトリル溶液を調製した。このアセトニトリル溶液に、リチウムイオン濃度[Li]とエーテル酸素濃度[EO]とのモル比[Li/EO]が表1に示す0.005〜0.125の範囲になるように、LiN(CF3SO22を添加し、ポリマー電解質溶液を調製した。なお、エーテル酸素濃度[EO]とは、マトリックスポリマー中のエチレンオキサイド部分のエーテル酸素濃度である。
【0046】
得られたポリマー電解質溶液を、ステンレス鋼容器にキャストした。次いで、真空乾燥を85℃で24時間行い、アセトニトリルを除去することにより、溶媒を含有しないドライポリマー電解質を作製した。
このドライポリマー電解質に、エチレングリコールエーテル濃度[Sol]とリチウムイオン濃度[Li]とのモル比[Sol/Li]が表1に示す0〜5の範囲になるように、メチルモノグライム(以下「MMG」とする)、ベンゼン、トルエンまたはヘキサンを滴下することにより含浸させ、表1に示す本発明のドライポリマーおよび比較電解質を作製した。引き続き、室温下での真空乾燥を24時間行った。なお、表1では、MMG、ベンゼン、トルエンおよびヘキサンを便宜上、溶媒成分と総称する。
【0047】
[溶媒成分含有率および質量減少率]
上記のポリマー電解質の作製工程において、溶媒成分を含浸させる前のポリマー電解質の質量(M)、溶媒成分を含浸させた後のポリマー電解質の質量(M1)および溶媒成分を含浸させ、さらに室温下の真空乾燥を24時間行った後のポリマー電解質の質量(M2)を測定し、溶媒成分含有率(質量%)および質量減少率(質量%)を求めた。溶媒成分含有率および質量減少率は次の式に従って求めた。結果を表1に示す。
溶媒成分含有率(質量%)=(M1−M)/M1×100
質量減少率(質量%)=(M1−M2)/M1×100
【0048】
[導電率の測定]
ステンレス鋼容器の内面に、本発明のドライポリマー電解質または比較電解質を介してステンレス鋼電極を圧着させ、測定用セルを作製した。本発明のドライポリマー電解質としては、溶媒成分を含浸させ、室温下での24時間の真空乾燥を行わないものを用いた。この測定用セルを電気化学測定システム(商品名:125WB型、ソーラートロン社製)に装着し、ドライポリマー電解質の導電率を交流インピーダンス法により測定した。導電率とリチウムイオン伝導性とは相関関係があるので、導電率はリチウムイオン伝導性を示す指標になる。結果を表1に示す。
【0049】


【表1】

【0050】
表1において、本発明電解質1〜5、6〜9と比較電解質1、2〜5とを比較すると、ポリマー電解質にエチレングリコールエーテル類であるメチルモノグライムを含浸させることで、導電率が向上したドライポリマー電解質が得られることが判る。これは、メチルモノグライムを含浸させることで、リチウムイオンとポリマー骨格間との強い相互作用を弱めることができるためと考えられる。
【0051】
また、本発明電解質1〜5と比較電解質1、6〜7との比較から、ポリマー電解質に、モル比[Sol/Li]が3以下となるようにメチルモノグライムを含浸させると、室温で24時間の真空乾燥を行っても質量減少は3%以下であるのに対し、[Sol/Li]が3を超えるようにメチルモノグライムを含浸させると、質量減少が非常に大きいことが判る。[Sol/Li]が3以下となるようにエチレングリコールエーテル類を含浸させると、エチレングリコールエーテル類はリチウムイオンに配位した固体状態でドライポリマー電解質中に存在する。一方、[Sol/Li]が3を超えるようにエチレングリコールエーテル類を含浸させると、エチレングリコールエーテル類がリチウムイオンに配位できる濃度を超え、遊離した液体としてポリマー電解質中に存在する。このように、ポリマー電解質中において、エチレングリコールエーテル類の存在状態が固体であるかまたは液体であるかによって、質量減少に差を生じるものと考えられる。
【0052】
なお、エチレングリコールエーテル類がポリマー電解質中に液体として存在しても、エチレングリコールエーテル類は、リチウムイオンとポリマー骨格間との強い相互作用を弱める効果を示す。また、エチレングリコールエーテル類が液状であるため、それ自体がリチウムイオンの移動媒体になる。このため、非常に高いリチウムイオン伝導性が得られる。しかしながら、ポリマー電解質中に液体が存在すると、液漏れなどが起こり易くなり、電池の安全性、信頼性などが低下するので好ましくない。また、ポリマー電解質が液体を含有する場合、ドライポリマー電解質ではなく、ゲル電解質と呼ぶのが一般的である。
【0053】
また、本発明電解質3と比較電解質8〜10との比較から、ポリマー電解質にメチルモノグライムを含浸させると、室温で24時間の真空乾燥行っても質量減少は3%以下であるのに対し、ベンゼン、トルエンまたはヘキサンを含浸させると、質量減少が極めて大きいことが判る。これは、エチレングリコールエーテル類がリチウムイオンに配位した固体状態でポリマー電解質中に存在するのに対し、ベンゼン、トルエンまたはヘキサンを含浸させると、ベンゼン、トルエン、ヘキサンがポリマー電解質中に遊離した液体として存在するためと考えられる。
以上の結果より、室温で24時間真空乾燥した際の質量減少率が3%以下未満である、エチレングリコールエーテル類を含有したドライドライポリマー電解質とすることで、安全性、信頼性が高く、かつより高いリチウムイオン伝導性が得られることが判る。
【0054】
また、本発明電解質1〜5と比較電解質1との比較から、ポリマー電解質に、[Sol/Li]が0.05〜3となるようにメチルモノグライムを含浸させることで、導電率がより一層向上したドライポリマー電解質が得られることが判る。[Sol/Li]が0.05以上になるようにエチレングリコール類を含浸させると、リチウムイオンとポリマー骨格間との強い相互作用を弱める効果が高まるためと考えられる。
【0055】
また、本発明電解質3、6〜9の導電率測定結果から、エーテル酸素を含有するマトリックスポリマーの骨格にリチウムイオンが配位するドライポリマー電解質において、リチウム塩のモル数がマトリックスポリマー中のエーテル酸素のモル数に対して0.01〜0.125倍の時に高い導電率が得られることが判る。リチウム塩のモル数がマトリックスポリマー中のエーテル酸素のモル数に対して0.125を超えると、ドライポリマー電解質の結晶性が増大し、マトリックスポリマーの骨格であるポリマー鎖のセグメント運動が低下することにより、導電率が低下するものと考えられる。一方、リチウム塩のモル数が0.01未満では、伝導種であるリチウムイオンの濃度が低下することで、導電率が低下するものと考えられる。
エーテル酸素を有するポリマー骨格にリチウムイオンが配位するドライポリマー電解質において、リチウム塩のモル数をエーテル酸素のモル数に対して0.01〜0.125倍とし、かつ、エチレングリコールエーテル類のモル数をリチウム塩のモル数に対して0.05〜3倍とすることにより、リチウムイオン伝導性がより一層向上する。
【0056】
(実施例2および比較例2)
リチウム塩として、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiClO4、LiBF4またはLiPF6を用い、ドライポリマー電解質に含浸させるエチレングリコールエーテル類として、メチルモノグライム(MMG)、メチルジグライム(MDG)、メチルトリグライム(MTG)、メチルテトラグライム(MTeG)、メチルペンタグライム(MPG)、エチルモノグライム(EMG)、エチルジグライム(EDG)、エチルトリグライム(ETG)、エチルテトラグライム(ETeG)、エトキシメトキシエタン(EME)またはフルオロエトキシメトキシエタン(FEME)を用い、これらを表2に示すモル比で使用する以外は、実施例1と同様にして、本発明のドライポリマー電解質および比較電解質を作製した。
これらの電解質について、溶媒成分含有率(質量%)、質量減少率(質量%)および導電率を求めた。結果を表2に示す。なお、表2には、実施例1の本発明電解質3および比較例1の比較電解質1のデータを再掲する。
【0057】


【表2】

【0058】
表2において、本発明電解質3、11〜20と比較電解質1との比較から、ポリマー電解質に含有させるエチレングリコールエーテル類として、メチルモノグライム、メチルジグライム、メチルトリグライム、メチルテトラグライム、メチルペンタグライム、エチルモノグライム、エチルジグライム、エチルトリグライム、エチルテトラグライム、エトキシメトキシエタンなどを用いることで、より高いリチウムイオン伝導性が得られることが判る。これらのエチレングリコールエーテル類は電子供与性を示す酸素を含有し、リチウムイオンとマトリックスポリマーの骨格との強い相互作用を弱め得ることから、リチウムイオン伝導性の向上効果が得られるものと考えられる。
【0059】
中でも、メチルモノグライム、メチルジグライム、メチルトリグライム、メチルテトラグライム、エチルモノグライム、エチルジグライム、エチルトリグライム、エチルテトラグライムおよびエトキシメトキシエタンは、リチウムイオン伝導性の向上効果がより大きいため好ましい。これらのエチレングリコールエーテル類は、エチレンオキシド鎖(CH2CH2O)nの鎖長を示すnが1〜4と短く、立体障害が小さいため、リチウムイオンに容易に配位できる。このため、リチウムイオンとマトリックスポリマーの骨格との強い相互作用を弱める効果が大きくなり、リチウムイオン伝導性が一層向上するものと考えられる。
【0060】
本発明電解質20と比較電解質1との比較から、ポリマー電解質に含有させるエチレングリコールエーテル類として、少なくとも1つ以上のフッ素原子を含有する含フッ素エチレングリコールエーテル類を用いても、リチウムイオン伝導性の向上効果があることが判る。含フッ素エチレングリコールエーテル類では、フッ素の電気陰性度が大きいので、エーテル酸素の電子供与性は低下する。しかしながら、エチレンオキシド鎖の鎖長が短く、立体障害が小さいため、リチウムイオンに容易に配位できるという特性が保持されているので、リチウムイオンとマトリックスポリマーの骨格との強い相互作用を弱める効果を示すものと考えられる。
【0061】
本発明電解質3、21〜24と比較電解質1、11〜14との比較から、ドライポリマー電解質中に溶解させるリチウム塩として、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiClO4、LiBF4、LiPF6などを用いると、リチウムイオン伝導性の向上効果があることが判る。これらのリチウム塩を用いると、エチレングリコールエーテル類によるリチウムイオンとマトリックスポリマーの骨格との強い相互作用を弱める効果が高まるために、リチウムイオン伝導性が向上するものと考えられる。
【0062】
(実施例3および比較例3)
[全固体型ポリマー一次電池の作製]
(1)負極板11および固体電解質膜12の作製
直径10mm、厚さ100μmのリチウム箔(本城金属(株)製、負極活物質層23)を、直径14mm、厚さ20μmの銅箔(負極集電体22)上に圧着して円板状の負極板11を作製した。なお、リチウム箔と銅箔とは、同じ位置に中心を有していた。したがって、負極板11のリチウム箔の周縁部には、銅箔が露出していた。この負極板11のリチウム箔上に、電解質1〜9、11〜20、21〜24および比較電解質1〜5、11〜14からなる厚さ30μmの固体電解質膜12を形成した。固体電解質膜12は、リチウム箔と同じ形状および同じ中心位置を有するように形成した。したがって、負極板11の固体電解質膜12を形成した側の表面の周縁部には固体電解質膜12が形成されず、銅箔が露出していた。
【0063】
固体電解質膜12の形成は、具体的には次のように操作して行った。まず、負極板11のリチウム箔上に、実施例1〜2および比較例1〜2で調製したポリマー電解質溶液をキャストし、真空乾燥を85℃で72時間行い、アセトニトリルを完全に除去し、リチウム箔上にポリマー電解質を形成した。次いで、得られたポリマー電解質に、実施例1〜2および比較例1〜2で用いられたのと同様のエチレングリコールエーテル類を含浸させることにより、固体電解質膜12を形成した。
【0064】
(2)正極板10の作製
400℃で熱処理した電解二酸化マンガン(MnO2、正極活物質)、アセチレンブラック(導電剤)、ポリエチレンオキサイド(粘度平均分子量100,000)、LiN(CF3SO22(リチウム塩)およびアセトニトリルを、混合および混練してペースト状の正極合剤を得た。ここで、MnO2:アセチレンブラック:ポリマー電解質=70質量%:20質量%:10質量%になるように、MnO2、アセチレンブラック、ポリエチレンオキサイド、およびLiN(CF3SO22を配合した。なお、ポリマー電解質はポリエチレンオキサイドとLiN(CF3SO22が複合化したものであるが、正極活物質層中では、結着剤としての働きおよび、リチウムイオン伝導を担うとなる電解質としての働きを有する。ポリマー電解質は、固形分換算の質量で計算した。
【0065】
得られたペースト状の正極合剤を厚み20μmのアルミニウム箔(正極集電体20)の片面に塗布し、120℃で24時間乾燥した後、ロールプレスで圧延することにより厚さ10μmの正極活物質層21を形成し、フィルム状電極を作製した。このフィルム状電極を直径14mmの円形に切り抜いた後に、正極活物質層21が直径10mmとなるように剥離処理し、周縁部のアルミニウム箔を露出させた正極板10を作製した。
【0066】
(3)全固体型ポリマー一次電池1の組み立て
上記で得られた正極板10と負極板11とを、それぞれ図1に示すように、正極活物質層20と固体電解質膜12とが対向するように重ね合わせ、さらに窓枠状の絶縁樹脂フィルムからなるシール材13を正極板10と負極板11との周縁部に配設した。そして、シール材13を溶着させて封止することにより、本発明および比較例3の扁平型の全固体型ポリマー一次電池1を作製した(電池1a〜9a、11a〜24aおよび比較電池1a〜5a、11a〜14a)。
【0067】
(4)[全固体型ポリマー一次電池1の評価]
室温で、定電流10μA、放電終止電圧2.0Vの条件で放電試験を行い、全固体型ポリマー一次電池の電池容量を測定した。また、電気化学測定システム(125WB型)を用いて、上記放電試験前後の電池の交流インピーダンス測定を行った。その結果、周波数0.01Hz〜1MHzの範囲でのNyquistプロットからは円弧が確認された。この円弧の高周波側の実軸切片を電解質抵抗として考え、低周波側の実軸切片を電解質抵抗と界面抵抗の合計として考え、これらの切片の値から界面抵抗値を算出した。結果を表3に示す。
【0068】
【表3】

【0069】
表3において、電池1a〜9aの結果と比較電池1a〜5aの結果との比較から、本発明のドライポリマー電解質を用いて全固体型リチウム一次電池を構成することで、全固体型リチウム一次電池の界面抵抗を低減でき、高容量化を図り得ることが判る。この場合、本発明のドライポリマー電解質が、室温で24時間真空乾燥した後の質量減少率が3%以下であるエチレングリコールエーテル類を含有している点が特に重要である。このような好ましい結果が得られるのは、ドライポリマー電解質がエチレングリコールエーテル類を含有することで、リチウムイオン伝導性を向上できたためと考えられる。
【0070】
また、電池3a、6a〜9aの結果から、本発明のドライポリマー電解質を用いると、全固体型リチウム一次電池の界面抵抗を低減でき、同時に高容量化を図り得ることが判る。この場合、本発明のドライポリマー電解質は、エーテル酸素を有するマトリックスポリマーの骨格にリチウム塩が配位し、リチウム塩のモル数がエーテル酸素のモル数に対して0.01〜0.125倍であり、かつ、エチレングリコールエーテル類のモル数がリチウム塩のモル数に対して0.05〜3倍であることが特に重要である。このような好ましい結果が得られるのは、ドライポリマー電解質が各成分を特定の量比で含有することにより、リチウムイオン伝導性をより向上できたためと考えられる。
【0071】
また、電池3a、11a〜20aの結果と比較電池1aの結果との比較から、本発明のドライポリマー電解質を用いると、全固体型リチウム一次電池の界面抵抗を低減でき、同時に高容量化を図り得ることが判る。この場合、本発明のドライポリマー電解質は、エチレングリコールエーテル類として、メチルモノグライム、メチルジグライム、メチルトリグライム、メチルテトラグライム、メチルペンタグライム、エチルモノグライム、エチルジグライム、エチルトリグライム、エチルテトラグライムおよびエトキシメトキシエタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが特に重要である。中でも、メチルペンタグライム以外のエチレングリコールエーテル類は、リチウムイオン伝導性向上の効果がより大きいため、より好ましいことが判る。
【0072】
また、電池20aの結果と比較電池3aの結果との比較から、エチレングリコールエーテル類が含フッ素エチレングリコールエーテル類であっても、放電試験前後における界面抵抗値を低減でき、全固体型リチウム一次電池を高容量化できることが判る。これは、含フッ素エチレングリコールエーテル類を用いても、ドライポリマー電解質のリチウムイオン伝導性を向上できたためと考えられる。
【0073】
また、電池3a、21a〜24aの結果と比較電池1a、21a〜24aの結果との比較から、本発明のドライポリマー電解質を用いると、放電試験前後における界面抵抗値を低減でき、全固体型リチウム一次電池の高容量化を図り得ることが判る。この場合、本発明のドライポリマー電解質は、室温で24時間真空乾燥した際の質量減少率が3%以下であるエチレングリコールエーテル類を含有しかつLiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiClO4、LiBF4およびLiPF6よりなる群から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩を含有することが特に重要である。このような好ましい結果が得られるのは、前記したエチレングリコールエーテル類とリチウム塩との組み合わせにより、ドライポリマー電解質のリチウムイオン伝導性が向上できたためと考えられる。
また、上記リチウム塩の中でも、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22またはLiClO4を用いると、放電試験前後における界面抵抗値をより一層低減でき、全固体型リチウム一次電池をより一層高容量化できることがわかった。このような好ましい結果が得られるのは、これら3種のリチウム塩が、リチウム系活物質に対して化学的に安定であるためと考えられる。
【0074】
(実施例4および比較例4)
[全固体型ポリマー二次電池の作製]
(1)負極板11および固体電解質膜12の作製
実施例3および比較例3と同様にして、負極板11および固体電解質膜12を作製した。
(2)正極板10の作製
電解二酸化マンガンに代えてスピネル型マンガン酸リチウム(LiMn24、負極活物質)を用いる以外は、実施例3および比較例3と同様にして、正極板10を作製した。
(3)全固体型ポリマー二次電池1の作製
上記で得られた正極板10、負極板11および固体電解質膜12を用いる以外は、実施例3および比較例3と同様にして、全固体型ポリマー二次電池1本発明および比較例3の扁平型の全固体型ポリマー二次電池1を作製した(電池1b〜9b、11b〜24bおよび比較電池1b〜5b、11b〜14b)。
【0075】
(4)全固体型ポリマー二次電池1の評価
室温で、定電流10μA、充電の終止電圧3.5V、放電の終止電圧2.0Vの条件で全固体型ポリマー二次電池1の30サイクルの充放電試験を行った。また、電気化学測定システム(125WB型)を用いて、上記充放電試験前後の電池の交流インピーダンス測定を行った。その結果、周波数0.01Hz〜1MHzの範囲でのNyquistプロットからは円弧が確認された。この円弧の高周波側の実軸切片を電解質抵抗として考え、低周波側の実軸切片を電解質抵抗と界面抵抗の合計として考え、これらの切片の値から界面抵抗値を算出した。ここで、2サイクル後の電池の界面抵抗と30サイクル後の界面抵抗を測定した。容量維持率は、30サイクル目の放電容量を2サイクル目の放電容量で除した値とした。結果を表4に示す。
【0076】
【表4】

【0077】
表4において、電池1b〜9bの結果と比較電池1b〜5bの結果との比較から、本発明のドライポリマー電解質を用いて全固体型リチウム二次電池を構成することで、全固体型リチウム二次電池の界面抵抗を低減でき、サイクル特性を向上できることが判る。この場合、本発明のドライポリマー電解質が、室温で24時間真空乾燥した後の質量減少率が3%以下であるエチレングリコールエーテル類を含有している点が特に重要である。このような好ましい結果が得られるのは、ドライポリマー電解質が前記エチレングリコールエーテル類を含有することで、リチウムイオン伝導性を向上できたためと考えられる。
【0078】
また、電池3b、6b〜9bの結果から、本発明のドライポリマー電解質を用いると、全固体型リチウム二次電池の界面抵抗を低減でき、同時にサイクル特性を向上させ得ることが判る。この場合、本発明のドライポリマー電解質は、エーテル酸素を有するマトリックスポリマーの骨格にリチウム塩が配位し、リチウム塩のモル数がエーテル酸素のモル数に対して0.01〜0.125倍であり、かつ、エチレングリコールエーテル類のモル数がリチウム塩のモル数に対して0.05〜3倍であることが特に重要である。このような好ましい結果が得られるのは、ドライポリマー電解質が各成分を特定の量比で含有することにより、リチウムイオン伝導性をより向上できたためと考えられる。
【0079】
また、電池3b、11b〜20bの結果と比較電池1bの結果との比較から、本発明のドライポリマー電解質を用いると、全固体型リチウム二次電池の界面抵抗を低減でき、同時にサイクル特性を向上できることが判る。この場合、本発明のドライポリマー電解質は、エチレングリコールエーテル類として、メチルモノグライム、メチルジグライム、メチルトリグライム、メチルテトラグライム、メチルペンタグライム、エチルモノグライム、エチルジグライム、エチルトリグライム、エチルテトラグライムおよびエトキシメトキシエタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが特に重要である。中でも、メチルペンタグライム以外のエチレングリコールエーテル類は、リチウムイオン伝導性向上の効果がより大きいため、より好ましいことが判る。
【0080】
また、電池20bの結果と比較電池3bの結果との比較から、エチレングリコールエーテル類が含フッ素エチレングリコールエーテル類であっても、放電試験前後における界面抵抗値を低減でき、全固体型リチウム二次電池のサイクル特性を向上できることが判る。これは、含フッ素エチレングリコールエーテル類を用いても、ドライポリマー電解質のリチウムイオン伝導性を向上できたためと考えられる。
【0081】
また、電池3b、21b〜24bの結果と比較電池1b、11b〜14bの結果との比較から、本発明のドライポリマー電解質を用いると、放電試験前後における界面抵抗値を低減でき、全固体型リチウム二次電池のサイクル特性を向上をできることが判る。この場合、本発明のドライポリマー電解質は、室温で24時間真空乾燥した際の質量減少率が3%以下であるエチレングリコールエーテル類を含有しかつLiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiClO4、LiBF4およびLiPF6よりなる群から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩を含有することが特に重要である。このような好ましい結果が得られるのは、前記したエチレングリコールエーテル類とリチウム塩との組み合わせにより、ドライポリマー電解質のリチウムイオン伝導性が向上できたためと考えられる。
また、上記リチウム塩の中でも、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22またはLiClO4を用いると、放電試験前後における界面抵抗値をより一層低減でき、全固体型リチウム二次電池のサイクル特性がさらに向上することがわかった。このような好ましい結果が得られるのは、これら3種のリチウム塩が、リチウム系活物質に対して化学的に安定であるためと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明によれば、負極活物質層とポリマー電解質からなる固体電解質膜との界面抵抗を低減でき、結果として高負荷で電池容量に優れ、またサイクル特性にも優れた全固体型ポリマー電池を提供できる。そして、漏液の恐れがなく安全であり、またポリマー電解質の形状自由という特徴を活かした、薄型でフレキシブルな全固体型ポリマー電池が提供可能になる。本発明の全固体型ポリマー電池は、たとえば、携帯情報端末、携帯電子機器、医療用機器など薄型で信頼性が要求されるデバイスの電源として使用できるだけでなく、前記以外のデバイスの電源としても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施形態の1つである全固体型ポリマー電池の構成を模式的に示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 全固体型ポリマー電池
10 正極
11 負極
12 固体電解質膜
13 シール材
20 正極集電体
21 正極活物質層
22 負極集電体
23 負極活物質層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)メチルモノグライム、メチルジグライム、メチルトリグライム、メチルテトラグライム、メチルペンタグライム、エチルモノグライム、エチルジグライム、エチルトリグライム、エチルテトラグライムおよびエトキシメトキシエタンよりなる群から選ばれる少なくとも1つのエチレングリコールエーテル類、(2)骨格中に電子供与性酸素原子を含むポリマーならびに(3)リチウム塩を含有するドライポリマー電解質。
【請求項2】
20℃で24時間真空乾燥した後の質量減少率が3%以下である請求項1に記載のドライポリマー電解質。
【請求項3】
リチウム塩がリチウムイオンとアニオンとに解離し、リチウムイオンの電子供与性酸素原子に対するモル比が0.01〜0.125であり、かつリチウムイオンのエチレングリコールエーテル類に対するモル比が0.05〜3である請求項1または2に記載のドライポリマー電解質。
【請求項4】
骨格中に電子供与性酸素原子を含むポリマーが、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体、エチレンオキサイド単位もしくはプロピレンオキサイド単位を含有するポリマーおよびポリカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1〜3のいずれか1つに記載のドライポリマー電解質。
【請求項5】
リチウム塩がLiN(CF3SO22、LiN(C25SO22およびLiClO4よりなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1〜4のいずれか1つに記載のドライポリマー電解質。
【請求項6】
エチレングリコールエーテル類が、少なくとも1個のフッ素原子を含有する含フッ素エチレングリコールエーテル類である請求項1〜5のいずれか1つに記載のドライポリマー電解質。
【請求項7】
正極、負極および請求項1〜6のいずれか1つに記載のドライポリマー電解質を含む全固体型ポリマー電池。
【請求項8】
負極が、負極活物質として、リチウムおよびリチウム合金よりなる群から選ばれる少なくとも1つを含有する請求項7に記載の全固体型ポリマー電池。

【図1】
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【公開番号】特開2009−104891(P2009−104891A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275418(P2007−275418)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】