説明

ドライラミネート用接着剤

【課題】 加熱条件下や湿熱条件下においても接着剤の劣化が少なく長期使用時に性能低下の少ないドライラミネート用接着剤を提供する。
【解決手段】 活性水素成分(A)を含有する主剤とイソシアネート成分(B)を含有する硬化剤とからなる2液硬化型接着剤、又は末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C)を含有してなる1液硬化型接着剤であって、前記活性水素成分(A)及び/又は前記イソシアネート成分(B)並びに前記ウレタンプレポリマー(C)がエチレン性不飽和結合含有基(x)を有することを特徴とするドライラミネート用接着剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドライラミネート用接着剤に関する。更に詳しくは、プラスチックや金属の接着に用いられるドライラミネート用接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルム又はシート等の貼り合わせに用いられるドライラミネート用接着剤としては、ポリオール又はポリウレタンポリオールと芳香族系ポリイソシアネートとを用いたポリウレタンポリイソシアネートとからなる2液無溶剤型接着剤が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平03−182584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記接着剤は、加熱条件下や湿熱条件下においては、経時的に接着剤の凝集力が低下し接着性が損なわれるという問題がある。
本発明の課題は、加熱条件下や湿熱条件下においても接着剤の劣化が少なく長期使用時に性能低下の少ないドライラミネート用接着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、接着剤中にエチレン性不飽和結合を含有させることで樹脂の劣化を抑制できることを見出し本発明に到達した。即ち本発明は、活性水素成分(A)を含有する主剤とイソシアネート成分(B)を含有する硬化剤とからなる2液硬化型接着剤、又は末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C)を含有してなる1液硬化型接着剤であって、前記活性水素成分(A)及び/又は前記イソシアネート成分(B)並びに前記ウレタンプレポリマー(C)がエチレン性不飽和結合含有基(x)を有することを特徴とするドライラミネート用接着剤;及び該接着剤で接着されてなるラミネートフィルムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のドライラミネート用接着剤は、樹脂劣化の原因であるラジカルを接着剤中に含有させたエチレン性不飽和結合が捕捉し、架橋することで樹脂の強度が向上するため、熱、光、湿度等により分子切断が起こる条件下においても、樹脂の強度低下が少なく一定の接着力を保持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のドライラミネート用接着剤は、エチレン性不飽和結合含有基(x)を有することを特徴とし、活性水素成分(A)を含有する主剤とイソシアネート成分(B)を含有する硬化剤とからなる2液硬化型接着剤として、又は末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C)を含有してなる1液硬化型接着剤として使用することができる。
【0008】
本発明におけるエチレン性不飽和結合含有基(x)としては、(メタ)アクリロイル基及び(メタ)アリル基等が挙げられ、反応性の観点から、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0009】
エチレン性不飽和結合含有基(x)を本発明の接着剤に導入する方法としては、例えば反応性基とエチレン性不飽和結合含有基(x)を有する化合物(X1)を使用する方法が挙げられる。
【0010】
反応性基とエチレン性不飽和結合含有基(x)を有する化合物(X1)としては、例えば水酸基とエチレン性不飽和結合含有基(x)を有する化合物(X11)、アミノ基とエチレン性不飽和結合含有基(x)を有する化合物(X12)及びイソシアネート基とエチレン性不飽和結合含有基(x)を有する化合物(X13)が挙げられる。
【0011】
水酸基とエチレン性不飽和結合含有基(x)を有する化合物(X11)としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールA若しくはその水素化物等の2価アルコール又はこれらの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)1〜30モル付加物の(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン、グリセリン等の3価アルコール又はこれらのAO1〜30モル付加物のモノ又はジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトール又はそのAO1〜30モル付加物のモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート;アルキルの炭素数が3〜6のモノ又はジヒドロキシアルキル(メタ)アリルエーテル[2−ヒドロキシエチル(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル及び2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル等]が挙げられる。
【0012】
前記AOとしては、エチレンオキサイド(以下、EOと略記)、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド(以下、POと略記)及び1,2−、1,3−、1,4−又は2,3−ブチレンオキサイド(以下、BOと略記:但し1,4−ブチレンオキサイドをTHFと略記する場合がある。)が挙げられる。
【0013】
アミノ基とエチレン性不飽和結合含有基(x)を有する化合物(X12)としては、(メタ)アリルアミン等が挙げられる。
【0014】
イソシアネート基とエチレン性不飽和結合含有基(x)を有する化合物(X13)としては、例えば2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート及び1,1−ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]エチルイソシアネートが挙げられる。
【0015】
これらの内、反応性の観点から好ましいのは(メタ)アクリロイル基を有するもの、更に好ましいのは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]エチルイソシアネートである。
【0016】
本発明の接着剤は、1液硬化型又は2液硬化型のウレタン接着剤であり、エチレン性不飽和結合含有基(x)を有する化合物(X1)中の水酸基等の反応性基が1個であると、硬化時に高分子量化が阻害されるため、水酸基等の反応性基は2個以上含有するものが好ましい。また、分子内により多くのエチレン性不飽和結合含有基(x)を導入できる観点からも、水酸基等の反応性基を2個以上有するものが好ましい。これらの観点から(X1)として特に好ましいのはグリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートである。
【0017】
反応性基とエチレン性不飽和結合含有基(x)を有する化合物(X1)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0018】
本発明の2液硬化型接着剤は、活性水素成分(A)を含有する主剤とイソシアネート成分(B)を含有する硬化剤とからなる。
【0019】
活性水素成分(A)としては、例えば、数平均分子量(以下、Mnと略記)が300未満の低分子ポリオール(a1)、Mnが300以上の高分子ポリオール(a2)、水酸基とエチレン性不飽和結合含有基(x)を有する化合物(X11)、アミノ基とエチレン性不飽和結合含有基(x)を有する化合物(X12)、並びにこれらと後述のイソシアネート(b1)、(b2)、(b3)、(b4)及び/又はイソシアネート変性体(b5)とを反応させて得られる末端に水酸基を有するプレポリマー(a3)等が挙げられる。活性水素成分(A)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0020】
本発明におけるMnは、THFを溶媒として用いポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される。
【0021】
Mnが300未満の低分子ポリオール(a1)には化学式量が300未満のポリオールも含まれ、具体的には、炭素数2〜20の2価アルコール、炭素数3〜20の3価〜8価又はそれ以上の多価アルコール及び水酸基以外の官能基を有する炭素数5〜20のポリオール等が挙げられる。
【0022】
炭素数2〜20の2価アルコールとしては、例えば炭素数2〜12の脂肪族2価アルコール(エチレングリコール、 ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1 ,2−、2,3−、1,3−又は1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール3−メチルペンタンジオール、ドデカンジオール等のモノ又はポリアルキレングリコール);炭素数6〜10の脂環含有2価アルコール(1,4−シクロヘキサンジオール及びシクロヘキサンジメタノール等);炭素数8〜20の芳香脂肪族2価アルコール[キシリレングリコール及びビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等]等が挙げられる。
【0023】
炭素数3〜20の3価〜8価又はそれ以上の多価アルコールとしては、例えば(シクロ)アルカンポリオール及びそれらの分子内又は分子間脱水物[グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、1,2 ,6−ヘキサントリオール、エリスリトール、シクロヘキサントリオール、マンニトール、キシリトール、ソルビタン、ジグリセリンその他のポリグリセリン等]、糖類及びその誘導体[蔗糖、グルコース、フラクトース、マンノース、ラクトース及びグリコシド(メチルグルコシド等)]、並びにN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン等のアルキレンジアミンのAO付加物等が挙げられる。
【0024】
水酸基以外の官能基を有する炭素数5〜20のポリオールとしては、例えばカルボキシル基、スルホ基又はこれらの塩等を有するポリオールが挙げられる。
カルボキシル基を有するものとしては、例えば炭素数5〜20のヒドロキシカルボン酸[例えば3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド]が挙げられる。
【0025】
スルホ基を有するものとしては、例えば炭素数3〜20のスルホ基を含有するジカルボン酸とポリオールの1種以上とを反応させて得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。スルホ基を含有するジカルボン酸としては、例えば5−スルホイソフタル酸及び2−スルホテレフタル酸等が挙げられ、好ましいのは5−スルホイソフタル酸である。ポリオールとしては、炭素数2〜12のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール等)等が挙げられる。エステル化の際のポリオールの水酸基とスルホ基を含有するジカルボン酸のカルボキシル基の当量比(OH/COOH)は、通常1.1/1〜5/1、好ましくは1.5/1〜3/1である。
【0026】
上記カルボキシル基又はスルホ基が塩を形成する際の対イオンは特に限定されず、塩としては例えばアルカリ金属(ナトリウム及びカリウム)塩、アンモニウム塩、1級アミン(メチルアミン、エチルアミン及びブチルアミン等のアルキルアミン並びにモノエタノールアミン等のモノアルカノールアミン等)塩、2級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン及びジブチルアミン等のジアルキルアミン並びにジエタノールアミン等のジアルカノールアミン等)塩、3級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン及びトリブチルアミン等のトリアルキルアミン、トリエタノールアミン等のトリアルキルアミン並びにN−メチルジエタノールアミン等のアルキルジアルカノールアミン)塩及び第4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム等)塩である。
【0027】
これらの内、反応性の観点から好ましいのは炭素数3〜20の3価〜8価又はそれ以上の多価アルコールであり、更に好ましいのはグリセリン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールである。
また、接着性の観点から好ましいのは、水酸基以外の官能基を有する炭素数5〜20のポリオールであり、更に好ましいのはカルボキシル基を含有する2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸及び2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸である。
【0028】
Mnが300以上の高分子ポリオール(a2)としては、ポリエーテルポリオール(a21)、ポリエステルポリオール(a22)及びその他のポリオール(a23)等が挙げられる。
【0029】
ポリエーテルポリオール(a21)としては、例えばポリアルキレングリコール[ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ−3−メチルテトラメチレンエーテルグリコール等]、共重合ポリオキシアルキレンジオール[EO/PO共重合ジオール、THF/EO共重合ジオール及びTHF/3−メチルテトラヒドロフラン共重合ジオール等(重量比は例えば1/9〜9/1)]及びビスフェノール系化合物のAO付加物;3官能以上のポリエーテルポリオール、例えば3価以上の多価アルコールのAO付加物[グリセリンのAO付加物及びトリメチロールプロパンのAO付加物等];並びにこれらの1種以上をメチレンジクロライドでカップリングしたものが挙げられる。
【0030】
上記におけるビスフェノール系化合物としては例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールE及びビスフェノールF等、詳しくは特開2008−126108等に記載されたものが挙げられる。
上記におけるAO付加モル数は、接着力の観点から好ましくは2〜100モル、更に好ましくは2〜50モル、特に好ましくは2〜30モルである。
尚、ビスフェノール系化合物のAO付加物の場合、AO付加モル数は凝集力の観点から好ましくは2〜10モル、更に好ましくは2〜6モル、特に好ましくは2〜4モルである。
【0031】
これらの内、耐久性の観点から好ましいのはポリテトラメチレンエーテルグリコール、凝集力の観点から好ましいのはビスフェノール系化合物のAO付加物、特にビスフェノールAのEO付加物であり、耐久性と凝集力の両観点から好ましいのはポリテトラメチレンエーテルグリコールとビスフェノール系化合物のAO付加物の併用である。ポリテトラメチレンエーテルグリコールとビスフェノール系化合物のAO付加物とを併用する場合、ポリテトラメチレンエーテルグリコールとビスフェノール系化合物のAO付加物との重量比は、好ましくは30:70〜95:5、更に好ましくは40:60〜90:10、特に好ましくは50:50〜85:15である。
【0032】
ポリエステルポリオール(a22)としては、例えば縮合ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール、ヒマシ油系ポリオール及びポリカーボネートポリオールが挙げられる。
【0033】
縮合ポリエステルポリオールとしては、Mnが300未満の低分子ポリオール(a1)又はポリエーテルポリオール(a21)と、ポリカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体(酸無水物及び炭素数1〜4のアルキルエステル等)との重縮合物等が挙げられる。
【0034】
ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸及び3価〜4価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられ、具体的には、炭素数2〜30又はそれ以上(好ましくは炭素数2〜12)の飽和又は不飽和の脂肪族ポリカルボン酸[炭素数2〜15ジカルボン酸(シュウ、コハク、マロン、アジピン、スベリン、アゼライン、セバチン、ドデカンジカルボン、マレイン、フマル及びイタコン酸等)及び炭素数6〜20トリカルボン酸(トリカルバリル及びヘキサントリカルボン酸)];炭素数8〜15の芳香族ポリカルボン酸[テレフタル、イソフタル及びフタル酸等のジカルボン酸並びにトリメリット及びピロメリット酸等のトリ又はテトラカルボン酸等);炭素数6〜40の脂環式ポリカルボン酸(ダイマー酸等);及びスルホ基含有ポリカルボン酸[上記ポリカルボン酸にスルホ基を導入してなるもの、例えばスルホコハク、スルホマロン、スルホグルタル、スルホアジピン及びスルホイソフタル酸及びそれらの塩(例えば金属塩、アンモニウム塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩);並びに末端にカルボキシル基を有するポリマーが挙げられる。
【0035】
末端にカルボキシル基を有するポリマーとしては、ポリエーテルポリカルボン酸[例えばMnが300未満の低分子ポリオール(a1)又はポリエーテルポリオール(a21)等のポリオールのカルボキシメチルエーテル(アルカリの存在下にモノクロル酢酸を反応させて得られるもの等)];ポリアミド及び/又はポリエステルポリカルボン酸[例えば上記ポリカルボン酸を開始剤として炭素数4〜15のラクタム(カプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム及びウンデカノラクタム等)又は炭素数4〜15のラクトン(γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン等)を開環重合させてなるポリラクタムポリカルボン酸及びポリラクトンポリカルボン酸]等が挙げられる。
【0036】
ポリラクトンポリオールとしては、水又はMnが300未満の低分子ポリオール(a1)を開始剤とする炭素数4〜15のラクトン(γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン等)の開環付加物等が挙げられる。
【0037】
ヒマシ油系ポリオールとしては、ヒマシ油(リシノール酸トリグリセリド)、部分脱水ヒマシ油、部分アシル化ヒマシ油、水添ヒマシ油及びこれらの変性物[ポリエーテルポリオール(a21)若しくはMnが300未満の低分子ポリオール(a1)とヒマシ油、部分脱水ヒマシ油若しくは水添ヒマシ油とのエステル交換反応により得られるエステルポリオール、及びポリエーテルポリオール(a21)若しくはMnが300未満の低分子ポリオール(a1)とヒマシ油脂肪酸若しくは水添ヒマシ油脂肪酸とのエステル化反応により得られるエステル等]等が挙げられる。
【0038】
ポリカーボネートポリオールとしては、Mnが300未満の低分子ポリオール(a1)を開始剤とするアルキレンカーボネートの開環付加/重縮合物及び(a1)とジフェニル又はジアルキルカーボネートの重縮合(エステル交換)物等が挙げられる。
【0039】
その他のポリオール(a23)としては、ポリマーポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリアルカジエンポリオール、アクリルポリオール及びアミノ基含有ポリオール等が挙げられる。
【0040】
ポリマーポリオールとしては、1種以上のポリオール中で炭素数3〜24のビニル単量体(例えばスチレン、アクリロニトリル)をラジカル重合開始剤の存在下で重合させた重合体粒子を分散安定化させてなるポリオール(重合体含量は例えば5〜30重量%)が挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとしては、ポリイソブテンポリオール等が挙げられる。
ポリアルカジエンポリオールとしては、ポリイソプレンポリオール、ポリブタジエンポリオール、水添化ポリイソプレンポリオール及び水添化ポリブタジエンポリオール等が挙げられる。
【0041】
アクリルポリオールとしては、(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜30)エステル[ブチル(メタ)アクリレート等]と水酸基含有アクリルモノマー[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等]との共重合体等が挙げられる。
アミノ基含有ポリオールとしては、例えばポリ(n=2〜6)アルキレン(炭素数2〜6)ポリ(n=3〜7)アミンのAO付加物[N,N,N’,N’,N”−ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)−ジエチレントリアミン等]が挙げられる。
【0042】
末端に水酸基を有するプレポリマー(a3)を製造する際のイソシアネート(b1)、(b2)、(b3)、(b4)及び/又はイソシアネート変性体(b5)と、(a1)、(a2)、(X11)及び/又は(X12)との当量比(NCO/活性水素比)は、通常0.25/1〜0.99/1、好ましくは0.5/1〜0.95/1、更に好ましくは0.6/1〜0.9/1、特に好ましくは0.7/1〜0.85/1である。
【0043】
接着性の観点からは、活性水素成分(A)として、ポリエーテルポリオール(a21)、ポリエステルポリオール(a22)並びに(a21)及び/又は(a22)と後述のイソシアネート(b1)、(b2)、(b3)、(b4)及び/又はイソシアネート変性体(b5)とを反応させて得られる末端に水酸基を有するプレポリマー(a3)からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオールを含有することが好ましい。
【0044】
また、耐加水分解性の観点からは、ポリエーテルポリオール(a21)並びに(a21)と後述のイソシアネート(b1)、(b2)、(b3)、(b4)及び/又はイソシアネート変性体(b5)とを反応させて得られる末端に水酸基を有するプレポリマー(a3)からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオールを含有することが好ましい。
更に、硬化性の観点から、活性水素成分(A)の平均官能基数は、2〜6又はそれ以上が好ましく、更に好ましくは2〜5、特に好ましくは2〜4、最も好ましくは2〜3である。
【0045】
本発明におけるイソシアネート成分(B)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)2〜18の脂肪族イソシアネート(b1)、炭素数4〜15の脂環式イソシアネート(b2)、炭素数8〜15の芳香脂肪族イソシアネート(b3)、炭素数6〜20の芳香族イソシアネート(b4)、これらのイソシアヌレート基、ウレトイミン基、アロファネート基、ビウレット基、ウレトイミン基、カルボジイミド基及び/又はウレトジオン基を有するイソシアネート変性体(b5)、イソシアネート基とエチレン性不飽和結合含有基(x)を有する化合物(X13)、並びにこれらと低分子ポリオール(a1)、高分子ポリオール(a2)、化合物(X11)及び/又は化合物(X12)とから得られる末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(b6)等が挙げられる。
イソシアネート成分(B)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0046】
炭素数2〜18の脂肪族イソシアネート(b1)としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、2,6−ジイソシアナトエチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート及びビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート等が挙げられる。
【0047】
炭素数4〜15の脂環式イソシアネート(b2)としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’− ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレート及び2,5−又は2, 6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
【0048】
炭素数8〜15の芳香脂肪族イソシアネート(b3)としては、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジエチルベンゼンジイソシアネート及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
【0049】
炭素数6〜20の芳香族イソシアネート(b4)としては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、m−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン及び1,5−ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0050】
イソシアヌレート基、ウレトイミン基、アロファネート基、ビウレット基、ウレトイミン基、カルボジイミド基及び/又はウレトジオン基を有するイソシアネート変性体(b5)としては、MDIのウレトイミン基を有する変成体、HDIのビウレット基を有する変性体及びHDIのイソシアヌレート基を有する変性体等が挙げられる。
【0051】
末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(b6)は、高分子ポリオール(a2)、低分子ポリオール(a1)、化合物(X11)及び/又は化合物(X12)と、過剰のイソシアネート(b1)、(b2)、(b3)、(b4)及び/又はイソシアネート変性体(b5)とを反応させることにより得られる。この場合、接着剤の凝集力等の観点から、1,000以下特に30〜500の水酸基当量(水酸基官能基1つ当りの分子量、以下同じ)を有するポリオールを用いることが好ましい。
【0052】
末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(b6)の具体例としては、例えばグリセリンモノ(メタ)アクリレート(1モル)の水添MDI(2モル)付加体、ペンタエリスリトール(1モル)のTDI(4モル)付加体、トリメチロールプロパン(1モル)のHDI(3モル)付加体、ビスフェノールAのAO2モル付加物(1モル)の水添MDI(2モル)付加体及びポリプロピレングリコール(1モル)のMDI(2モル)付加体等が挙げられる。
【0053】
イソシアネート成分(B)として、凝集力と耐久性の観点から好ましいのは、3〜8価の多価アルコールとイソシアネート(b1)、(b2)、(b3)及び/又は(b4)との反応物、並びに脂肪族イソシアネート(特にHDI)又は脂環族イソシアネート(特にIPDI及び水添MDI)のイソシアヌレート基を有する変性体であり、更に好ましいのはトリメチロールプロパン(1モル)のHDI(3モル)付加体及びHDIのイソシアヌレート基を有する変性体(HDIトリマー等)である。
【0054】
硬化性の観点からは、イソシアネート成分(B)の平均官能基数は2〜6又はそれ以上であることが好ましく、更に好ましくは2〜5、特に好ましくは3〜4である。
【0055】
イソシアネート成分(B)のNCO当量(NCO官能基1つ当りの分子量、以下同じ)は1000以下が好ましく、更に好ましくは500以下、特に好ましくは300以下である。
また、イソシアネート成分(B)のイソシアネート基含量は通常0.5〜50重量%、好ましくは1〜35重量%、更に好ましくは3〜30重量%、特に好ましくは4〜25、最も好ましくは12〜24重量%である。
【0056】
2液硬化型接着剤として使用する場合のイソシアネート成分(B)と活性水素成分(A)との当量比(NCO/活性水素比)は、好ましくは0.7/1〜2/1、更に好ましくは0.8/1〜1.5/1、特に好ましくは0.9/1〜1.3/1、最も好ましくは1/1〜1.2/1である。
【0057】
本発明の接着剤を2液硬化型接着剤として使用する場合、以下の(1)〜(6)の方法により接着剤にエチレン性不飽和結合含有基(x)を導入することができる。
(1)活性水素成分(A)の少なくとも一部に、水酸基とエチレン性不飽和結合含有基(x)を有する化合物(X11)を使用する。
(2)活性水素成分(A)の少なくとも一部に、アミノ基とエチレン性不飽和結合含有基(x)を有する化合物(X12)を使用する。
(3)活性水素成分(A)の少なくとも一部に、化合物(X11)及び/又は化合物(X12)とイソシアネート(b1)、(b2)、(b3)、(b4)及び/又はイソシアネート変性体(b5)とを反応させて得られる末端に水酸基を有するプレポリマーを使用する。
(4)イソシアネート成分(B)の少なくとも一部に、イソシアネート基とエチレン性不飽和結合含有基(x)を有する化合物(X13)を使用する。
(5)イソシアネート成分(B)の少なくとも一部に、化合物(X11)及び/又は化合物(X12)とイソシアネート(b1)、(b2)、(b3)、(b4)及び/又はイソシアネート変性体(b5)とから得られる末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを使用する。
(6)上記(1)〜(5)を任意に組み合わせる。
【0058】
本発明の1液硬化型接着剤は、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C)を含有する。
末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C)は、前記2液硬化型接着剤における活性水素成分(A)[但し、水酸基とエチレン性不飽和結合含有基(x)を有する化合物(X11)及び/又はアミノ基とエチレン性不飽和結合含有基(x)を有する化合物(X12)を必須成分とする。]に、過剰のイソシアネート(b1)、(b2)、(b3)、(b4)及び/又はイソシアネート変性体(b5)を反応させることにより得られる。
(X11)、(X12)、その他の活性水素成分及び(b1)〜(b5)は、それぞれ1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0059】
接着性の観点からは、ウレタンプレポリマー(C)の製造において活性水素成分(A)中にポリエーテルポリオール(a21)及び/又はポリエステルポリオール(a22)を含有することが好ましい。
また、耐加水分解性の観点からは、ウレタンプレポリマー(C)の製造において活性水素成分(A)中にポリエーテルポリオール(a21)を含有することが好ましい。
更に、硬化性の観点からは、(C)の平均官能基数は2〜6又はそれ以上が好ましく、更に好ましくは2〜5個、特に好ましくは2〜4個である。
【0060】
ウレタンプレポリマー(C)を製造する際のイソシアネート(b1)、(b2)、(b3)、(b4)及び/又はイソシアネート変性体(b5)と化合物(X11)及び(X12)を含有する活性水素成分(A)との当量比(NCO/活性水素比)は、好ましくは1.1/1〜5/1、更に好ましくは1.4/1〜3/1、特に好ましくは1.5/1〜2/1である。
ウレタンプレポリマー(C)のイソシアネート基含量は、好ましくは0.1〜8重量%、更に好ましくは0.5〜6重量%、特に好ましくは1〜4重量%である。
【0061】
本発明におけるエチレン性不飽和結合含有基(x)の含有量は、硬化後の樹脂の耐劣化性及び接着剤の貯蔵安定性の観点から、2液硬化型の場合は活性水素成分(A)とイソシアネート成分(B)の合計重量に対する、1液硬化型の場合はウレタンプレポリマー(C)の重量に対する、エチレン性不飽和結合のモル数として、好ましくは10〜1,000mmol/kg、更に好ましくは20〜600mmol/kg、特に好ましくは30〜400mmol/kgである。
【0062】
本発明の接着剤は、溶剤[例えば芳香族系溶剤(トルエン及びキシレン等)、エステル系溶剤(酢酸エチル及び酢酸ブチル等)、アミド系溶剤(ジメチルホルムアミド等)、ケトン系溶剤(アセトン及びメチルエチルケトン等)及びエーテル系溶剤(テトラヒドロフラン等)]を含有することができる。
【0063】
溶剤を含有することにより接着剤の塗工時のハンドリング性及びレベリング性が向上する。
溶剤の使用量は、2液硬化型の場合は活性水素成分(A)とイソシアネート成分(B)の合計重量に基づいて、1液硬化型の場合はウレタンプレポリマー(C)の重量に基づいて、ハンドリング性及びレベリング性の観点から好ましくは80重量%以下、更に好ましくは10〜50重量%である。
【0064】
本発明の接着剤は、接着力向上のために、更に粘着性付与剤(D)を含有することができる。
【0065】
粘着性付与剤(D)としては、例えばテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、フェノール樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、合成石油樹脂(脂肪族、芳香族又は脂環式合成石油樹脂等)、クマロン−インデン樹脂、キシレン樹脂、スチレン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、及びこれらの内の水素添加可能な不飽和二重結合を有するものの水素添加物等が挙げられる。粘着性付与剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらの内、接着力の観点から酸価及び/又は水酸基価を有するものが好ましく、ロジン樹脂、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレン樹脂及びこれらの水素添加物が更に好ましく、テルペンフェノール樹脂及びその水素添加物が特に好ましい。
【0066】
粘着性付与剤(D)の酸価又は水酸基価(分子中に酸基と水酸基を共に有する場合は酸価と水酸基価の合計値)は、接着力とウレタン樹脂との相溶性の観点から好ましくは10〜400mgKOH/g、更に好ましくは20〜300mgKOH/g、特に好ましくは50〜250mgKOH/g、最も好ましくは100〜220mgKOH/gである。
【0067】
粘着性付与剤(D)の使用量は、2液硬化型の場合は活性水素成分(A)とイソシアネート成分(B)の合計重量に基づいて、1液硬化型の場合はウレタンプレポリマー(C)の重量に基づいて、接着剤の接着力及び耐熱性の観点から好ましくは100重量%以下、更に好ましくは1〜50重量%、特に好ましくは3〜40重量%、とりわけ好ましくは5〜35重量%、最も好ましくは10〜30重量%である。
【0068】
本発明の接着剤は、硬化反応促進のため必要により通常ポリウレタンに用いられる触媒を含有することができる。触媒の具体例としては、例えば有機金属化合物[ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズラウレート、ビスマスカルボキシレート、ビスマスアルコキシド及びジカルボニル基を有する化合物とビスマスとのキレート化合物等]、無機金属化合物[酸化ビスマス、水酸化ビスマス、ハロゲン化ビスマス等];アミン[トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジアザビシクロウンデセン等]及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。触媒の使用量は特に限定はないが、2液硬化型の場合は活性水素成分(A)とイソシアネート成分(B)の合計重量に基づいて、1液硬化型の場合はウレタンプレポリマー(C)の重量に基づいて、好ましくは0.0001〜0.3重量%、更に好ましくは0.001〜0.2重量%、特に好ましくは0.01〜0.1重量%である。
【0069】
また、本発明の接着剤は、保存安定性向上のため重合禁止剤(ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、p−ベンゾキノン等)を含有することができる。
重合禁止剤の使用量は、2液硬化型の場合は活性水素成分(A)とイソシアネート成分(B)の合計重量に基づいて、1液硬化型の場合はウレタンプレポリマー(C)の重量に基づいて、好ましくは1,000ppm以下、更に好ましくは1〜500ppmである。
【0070】
本発明の接着剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で更に酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、充填剤及び顔料等の添加剤を含有することができる。
【0071】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール化合物〔トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等〕及び亜リン酸エステル化合物[トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト等]が挙げられる。これらの酸化防止剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。酸化防止剤の使用量は、活性水素成分(A)とイソシアネート成分(B)の合計重量又はウレタンプレポリマー(C)の重量に基づいて、酸化防止効果及び接着剤の接着力の観点から好ましくは5重量%以下、更に好ましくは0.05〜1重量%である。
【0072】
紫外線吸収剤としては、サリチル酸誘導体(サリチル酸フェニル、サリチル酸−P−オクチルフェニル、サリチル酸−P−第三ブチルフェニル等)、ベンゾフェノン化合物[2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン・トリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等]、ベンゾトリアゾール化合物{2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ―ル、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等}、シアノアクリレート化合物(2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等)等が挙げられる。 紫外線吸収剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。紫外線吸収剤の使用量は、活性水素成分(A)とイソシアネート成分(B)の合計重量又はウレタンプレポリマー(C)の重量に基づいて、紫外線吸収効果及び接着剤の接着力の観点から好ましくは5重量%以下、更に好ましくは0.1〜1重量%である。
【0073】
可塑剤としては、炭化水素[プロセスオイル、液状ポリブタジエン、液状ポリイソブチレン、液状ポリイソプレン、流動パラフィン、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、エチレンとα−オレフィン(炭素数3〜20)の共重合(重量比99.9/0.1〜0.1/99.9)オリゴマー(Mw5,000〜100,000)、プロピレンとエチレンを除くα−オレフィン(炭素数4〜20)の共重合オリゴマー(重量比99.9/0.1〜0.1/99.9)オリゴマー(Mw5,000〜100,000)];塩素化パラフィン;エステル〔フタル酸エステル[ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジステアリルフタレート、ジイソノニルフタレート等]、アジピン酸エステル[ジ(2−エチルヘキシル)アジペート(DOA)、ジオクチルアジペート等]及びセバチン酸エステル(ジオクチルセバケート等)等〕;動植物油脂(リノール酸、リノレン酸等);及びこれらの内の水素添加可能な不飽和二重結合を有するものの水素添加物等が挙げられる。可塑剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。可塑剤の使用量は、活性水素成分(A)とイソシアネート成分(B)の合計重量又はウレタンプレポリマー(C)の重量に基づいて、接着剤の接着力と凝集力の観点から好ましくは100重量%以下、更に好ましくは0.5〜30重量%である。
【0074】
充填剤としては、炭酸塩(炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等)、硫酸塩(硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等)、亜硫酸塩(亜硫酸カルシウム等)、二硫化モリブデン、けい酸塩(けい酸アルミニウム、けい酸カルシウム等)、珪藻土、珪石粉、タルク、シリカ、ゼオライト等が挙げられる。上記充填剤は、体積平均粒径が好ましくは0.01〜5μm程度の微粒子であり、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。充填剤の使用量は、活性水素成分(A)とイソシアネート成分(B)の合計重量又はウレタンプレポリマー(C)の重量に基づいて、接着剤の凝集力の観点から好ましくは250重量%以下、更に好ましくは0.5〜100重量%である。
【0075】
顔料としては、無機顔料(アルミナホワイト、グラファイト、酸化チタン、超微粒子酸化チタン、亜鉛華、黒色酸化鉄、雲母状酸化鉄、鉛白、ホワイトカーボン、モリブデンホワイト、カーボンブラック、リサージ、リトポン、バライト、カドミウム赤、カドミウム水銀赤、ベンガラ、モリブデン赤、鉛丹、黄鉛、カドミウム黄、バリウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、チタンブラック、酸化クロム緑、酸化コバルト、コバルト緑、コバルト・クロム緑、群青、紺青、コバルト青、セルリアン青、マンガン紫、コバルト紫等)、及び有機顔料(シェラック、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、フタロシアニンブルー、染色レーキ等)が挙げられる。上記顔料は、体積平均粒径が好ましくは0.01〜5μm程度の微粒子であり、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。顔料の使用量は、活性水素成分(A)とイソシアネート成分(B)の合計重量又はウレタンプレポリマー(C)の重量に基づいて、接着剤の凝集力の観点から好ましくは250重量%以下、更に好ましくは0.1〜50重量%である。
【0076】
末端に水酸基を有するプレポリマー(a3)、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(b6)及び末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C)の製造方法としては、既知のウレタンの方法が使用でき、例えば溶剤(トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン及びテトラヒドロフラン等)の存在下又は非存在下で、必要な活性水素成分とイソシアネート成分を反応させる方法が挙げられる。
【0077】
反応には、公知の反応装置(撹拌機を備えた混合槽、スタティックミキサー等)が使用でき、反応温度は、反応性及び熱劣化抑制の観点から好ましくは10〜160℃、更に好ましくは25〜120℃であり、安定性の観点から気相部を窒素で置換するのが好ましい。
【0078】
上記溶剤、粘着性付与剤(D)、触媒、重合禁止剤並びに酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、充填剤及び顔料等の添加剤は、2液硬化型接着剤の場合、主剤、硬化剤のいずれに添加しても、主剤と硬化剤の配合時に添加してもよいが、予め主剤に添加しておくことが好ましい。また、1液硬化型接着剤の場合は予め接着剤に添加しておてもよいし、使用時に添加してもよい。
【0079】
本発明のドライラミネート用接着剤は、各種プラスチックフィルム同士のドライラミネート接着、及びプラスチックフィルムと、金属蒸着フィルム、無機質板、プラスチック成形板又は金属板とのドライラミネート接着に特に有用である。
【0080】
上記プラスチックフィルムとしては、例えばポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアクリルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロンフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、フッ素フィルム、エチレン酢酸ビニル重合体フィルム、これらのフィルム表面をアルミやシリカにより蒸着処理又はポリ塩化ビニリデンでコーティング処理したプラスチックフィルムが挙げられる。
プラスチックフィルムは、接着性の観点からコロナ処理やプラズマ処理等の表面処理をすることが好ましい。
【0081】
無機質板としては、例えばスレート板、珪酸カルシウム板、石膏ボード、木毛セメント板及び発泡コンクリート板が挙げられる。
プラスチック成形板としては、例えばABS樹脂成形板、ポリスチレン樹脂成形板、ポリエステル樹脂成形板、アクリル樹脂成形板、ポリカーボネート樹脂成形板、ポリ塩化ビニル樹脂成形板及びメラミン樹脂成形板が挙げられる。
金属板としては、例えばステンレス版、亜鉛鋼板、化成処理鋼板、アルミ板が挙げられる。
【0082】
プラスチックフィルム同士の接着における接着剤のコーティングには、グラビアコーター、リバースロールコーター、コンマコーター、スピンコーター、カーテンコーター、スロットコーター又はバーコーター等を用いることができる。コーティング時の接着剤の塗布量(固形分)は好ましくは1〜50g/m2、更に好ましくは2〜40g/m2である。
また、プラスチックフィルムと無機質板、プラスチック成形板又は金属板との接着における接着剤のコーティングには、コンマコーター、ダイコーター又はナイフコーター等が用いられる。コーティング時の接着剤の塗布量(固形分)は、無機質板の場合は好ましくは2〜500g/m2、更に好ましくは3〜450g/m2、プラスチック成形板又は金属板の場合は、好ましくは1〜300g/m2、更に好ましくは2〜250g/m2である。
【0083】
支持体に適用するときの接着剤の塗工温度は、塗工性及び熱劣化抑制の観点から好ましくは10〜160℃、更に好ましくは25〜120℃であり、塗工温度における接着剤の粘度は成形性(厚塗りができ、硬化後に反り及びヒケ等の外観不良がないこと)及び塗工性の観点から好ましくは0.01〜100Pa・s、更に好ましくは0.02〜50Pa・s、特に好ましくは0.03〜10Pa・sである。
ラミネートには通常のドライラミネーター又はエクストルージョンラミネーターが用いられる。ラミネート後、通常10〜50℃で20〜150時間養生することにより接着剤が完全硬化する。
【実施例】
【0084】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例中、特に断りのない限り、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。
【0085】
[活性水素成分(A)の製造]
製造例1
冷却管を備えた反応容器中にポリエステルジオール[商品名「サンエスター45625」、三洋化成工業(株)製、Mn:2,500] 353部、グリセリンモノメタクリレート[商品名「ブレンマーGLM」、日油(株)製、分子量:160] 50部及び酢酸エチル500部を仕込み均一攪拌した後、MDI[商品名「ミリオネートMT」、日本ポリウレタン(株)製] 97部を仕込み窒素気流下、攪拌、混合して70〜80℃で6時間反応させ、固形分濃度50%の末端に水酸基を有するウレタンプレポリマー(A−1)の溶液を得た。
【0086】
製造例2
冷却管を備えた反応容器中にポリテトラメチレンエーテルグリコール[商品名「PTMG1000」、三菱化学(株)製、Mn:1,000] 209.6部及びビスフェノールAのEO付加物[商品名「BPE−20T」、三洋化成工業(株)製、Mn:310]139.8部を仕込み、105℃で均一攪拌後60℃まで冷却して、グリセリンモノメタクリレート2.5部及び酢酸エチル500部を仕込み均一攪拌した後、水添MDI[商品名「デスモジュールW」、住化バイエルウレタン(株)製] 148.1部を仕込み、窒素気流下、攪拌、混合して70〜80℃で2時間反応させ、更に触媒[商品名「ネオスタン U−600」、日東化成(株)製] 0.2部を仕込み8時間反応させて、固形分濃度50%の末端に水酸基を有するウレタンプレポリマー(A−2)の溶液を得た。
【0087】
製造例3
ポリテトラメチレンエーテルグリコールの仕込量を236.8部に、ビスフェノールAのEO付加物の仕込量を101.5部に、グリセリンモノメタクリレートの仕込量を15.0部に、水添MDIの仕込量を146.7部に代える以外は製造例2と同様にして、固形分濃度50%の末端に水酸基を有するウレタンプレポリマー(A−3)の溶液を得た。
【0088】
製造例4
ポリテトラメチレンエーテルグリコールの仕込量を286.7部に、ビスフェノールAのEO付加物の仕込量を50.6部に、グリセリンモノメタクリレートの仕込量を25.0部に、水添MDIの仕込量を137.7部に代える以外は製造例2と同様にして、固形分濃度50%の末端に水酸基を有するウレタンプレポリマー(A−4)の溶液を得た。
【0089】
製造例5
ポリテトラメチレンエーテルグリコールの仕込量を251.7部に、ビスフェノールAのEO付加物の仕込量を107.9部に、グリセリンモノメタクリレートの仕込量を3.6部に、水添MDIの仕込量を136.9部に代える以外は製造例2と同様にして、固形分濃度50%の末端に水酸基を有するウレタンプレポリマー(A−5)の溶液を得た。
【0090】
製造例6
冷却管を備えた反応容器中に上記ポリテトラメチレンエーテルグリコール247.0部及び上記ビスフェノールAのEO付加物105.8部を仕込み、105℃で均一攪拌後60℃まで冷却して、グリセリンモノメタクリレート3.5部、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸3.5部及び酢酸エチル500部を仕込み均一攪拌した後、上記水添MDI140.2部を仕込み、窒素気流下、攪拌、混合して70〜80℃で2時間反応させ、更に上記触媒(ネオスタン U−600)0.2部を仕込み8時間反応させて、固形分濃度50%の末端に水酸基を有するウレタンプレポリマー(A−6)の溶液を得た。
【0091】
製造例7
冷却管を備えた反応容器中にポリプロピレングリコール[商品名「サンニックスPP−1000」、三洋化成工業(株)製、Mn:1,000] 412.5部及び酢酸エチル500部を仕込み、均一攪拌して60℃に温調した後、MDI 87.5部を仕込み窒素気流下、攪拌、混合して70〜80℃で6時間反応させ、固形分濃度50%の末端に水酸基を有するウレタンプレポリマー(A−7)の溶液を得た。
【0092】
製造例8
ポリプロピレングリコールをポリテトラメチレンエーテルグリコール[三菱化学(株)製「PTMG1000」]に代える以外は製造例7と同様にして、固形分濃度50%の末端に水酸基を有するウレタンプレポリマー(A−8)の溶液を得た。
【0093】
製造例9
冷却管を備えた反応容器中に製造例8で得られた(A−8)の溶液495部、2−ヒドロキシエチルアクリレート2.5部及び酢酸エチル2.5部を仕込み、均一攪拌し、固形分濃度50%の末端に水酸基を有するウレタンプレポリマー(A−9)の溶液を得た。
【0094】
[末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C)の製造]
製造例10
冷却管を備えた反応容器中にポリカーボネートジオール[商品名「クラレポリオール C−2090」、(株)クラレ製、Mn:2,000] 222.9部、ポリテトラメチレンエーテルグリコール[三菱化学(株)製「PTMG1000」] 148.6部、グリセリンモノメタクリレート15.0部及び酢酸エチル500部を仕込み、均一攪拌後水後60℃に温調した後、MDI 113.5部を仕込み窒素気流下、攪拌、混合して70〜80℃で6時間反応させ、固形分濃度50%の末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C−1)の溶液を得た。
【0095】
比較製造例1
冷却管を備えた反応容器中にポリカーボネートジオール[(株)クラレ製「クラレポリオール C−2090」] 246.2部、ポリテトラメチレンエーテルグリコール[三菱化学(株)製「PTMG1000」] 164.2部及び酢酸エチル500部を仕込み、均一攪拌後水後60℃に温調した後、MDI 89.6部を仕込み窒素気流下、攪拌、混合して70〜80℃で6時間反応させ、固形分濃度50%の末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C’−1)の溶液を得た。
【0096】
実施例1〜12及び比較例1〜2
表1に示す部数の活性水素成分(A)、酢酸エチル並びに必要により粘着性樹脂(D)、触媒及び酸化防止剤を配合して2液硬化型接着剤の主剤を調製し、また、表1に示した(B−1)〜(B−2)の溶液又は(B−3)のいずれか(数値が記載されているもの)を対応する硬化剤として、主剤と硬化剤からなる本発明の2液硬化型接着剤(Y1)〜(Y12)及び比較用の2液硬化型接着剤(Z1)〜(Z2)を得た。
【0097】
実施例13及び比較例3
表1に示す部数の末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C)の溶液、酢酸エチル及び必要により酸化防止剤を配合して本発明の1液硬化型接着剤(Y13)及び比較用の1液硬化型接着剤(Z3)を得た。
【0098】
尚、表1における各成分の詳細は以下の通りである。
・(A−1)〜(A−9)の溶液:製造例1〜9で得られた固形分濃度50%の末端に水酸基を有するウレタンプレポリマーの溶液;
・粘着性付与剤(D−1):テルペンフェノール樹脂[商品名「マイティエース K−125」、水酸基価200mgKOH/g、ヤスハラケミカル(株)製];
・粘着性付与剤(D−2):テルペンフェノール樹脂の水素添加物[商品名「YSポリスター TH−130」、水酸基価60mgKOH/g、ヤスハラケミカル(株)製];
・触媒:ビスマス系触媒[商品名「ネオスタン U−600」、日東化成(株)製];
・酸化防止剤:ヒンダードフェノール系酸化防止剤[商品名「イルガノックス1010」、BASFジャパン(株)製];
・(B−1)の溶液:TDI(3モル)とTMP(1モル)との反応物(B−1)の75%酢酸エチル溶液[商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン(株)製];
・(B−2)の溶液:HDI(3モル)とTMP(1モル)との反応物(B−2)の75%酢酸エチル溶液[商品名「コロネートHL」、日本ポリウレタン(株)製];
・(B−3):HDIのイソシアヌレート変性物[商品名「デュラネートTKA−100」、旭化成ケミカルズ(株)製];
・(C−1)の溶液:製造例10で得られた固形分濃度50%の末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液;
・(C’−1)の溶液:比較製造例1で得られた固形分濃度50%の末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液。
【0099】
得られた接着剤を、2液硬化型接着剤の場合は表1に記載の部数(主剤の部数は合計の欄に記載のもの)の主剤と硬化剤とを配合後、第1基材である表面をコロナ処理したPETフィルム(膜厚100μm)に溶剤型ドライラミネーターで固形分の塗布量が4.5〜5.5g/m2となるように塗布し、80〜100℃の熱風乾燥機で約1分乾燥して溶剤を揮散させた後、塗布面を第2基材である表面をコロナ処理したPETフィルム(膜厚100μm)と貼り合わせ、40℃で3日間養生し、ラミネートフィルムを得た。このラミネートフィルムを用いて、以下の方法によりフィルムの接着力を測定した結果を表2に示す。
【0100】
また、得られた接着剤を、2液硬化型接着剤の場合は表1に記載の部数(主剤の部数は合計の欄に記載のもの)の主剤と硬化剤とを配合後、乾燥後の膜厚が1mmになるように流延して、常温で2日間、40℃で3日間、更に減圧下60℃で12時間乾燥・硬化することにより厚さ1mmの樹脂フィルムを得た。このフィルムを用いて接着剤の耐久性(耐熱性及び耐熱水性)を以下の方法で評価した結果を、各接着剤におけるエチレン性不飽和結合含有基(x)の含有量と共に表2に示す。
【0101】
(1)接着力の測定方法
(1−1)加熱前接着力
接着剤(Y1)〜(Y13)又は(Z1)〜(Z3)で貼り合わせたラミネートフィルムを養生後に200mm×25mmの大きさに裁断し、引張試験機を用い、23℃で引っ張り速度300mm/分の条件でT型剥離強度(単位:N/25mm)を測定した。測定は5つの試料について行い、その平均値を表2に示した。T型剥離強度の数値が大きいほど接着力に優れる。
(1−2)加熱後接着力
ラミネートフィルムを、150℃で3日間加熱し23℃で1日温調した後、上記方法で接着力測定をした。測定は5つの試料について行い、その平均値を表2に示した。
【0102】
(2)耐熱性の評価方法
接着剤の樹脂フィルムを180℃で2日間加熱した。加熱の前後で以下の方法でフィルムの粘弾性を測定し、以下の基準で耐久性を評価した。
<粘弾性測定条件>
測定装置:Rheogel−E4000[UBM(株)製]
測定治具:固体せん断
測定温度:−20 〜 200℃
昇温速度:5℃/min
測定周波数:10Hz
サンプルサイズ:約7mm(縦)×約6mm(横)
<評価基準>
150℃における貯蔵弾性率(G’)の変化で下記基準に基づいて評価した。
◎:加熱前後で粘弾性(貯蔵弾性率(G’);以下同じ)の変化が少ない。
○:加熱後の粘弾性(G’)が30%以上高くなる。
△:加熱後の粘弾性(G’)が30%以上低下する。
×:加熱後、樹脂が流動し粘弾性を測定することができない。
【0103】
(3)耐熱水性の評価方法
ラミネートフィルムを100mm×100mmの大きさに裁断し、100℃の熱水に4時間浸せきした後、浮き剥がれの有無を目視で下記基準に基づいて評価した。
◎:浮き剥がれ無し
○:端部にわずかに浮き剥がれが見られる。(面積:5%以内)
×:浮き剥がれ有り
【0104】
【表1】

【0105】
【表2】

【0106】
表2から、本発明の接着剤は、接着力に優れ、樹脂の劣化が少なく、また、エチレン性不飽和結合が熱や酸化等の影響で発生するラジカルを捉えるため、分子切断等による劣化を抑制するだけでなく、エチレン性不飽和結合の含有量を変えることで、架橋効果による接着剤の粘弾性(G’)を向上するができることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明の接着剤は上述の効果を奏することから、フィルム材料[樹脂フィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、セロファン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、エチレン酢酸ビニル共重樹脂及びポリエステル樹脂等)及び金属(アルミ及び銅等)蒸着フィルムや金属(アルミ及び銅等)箔等]等を貼り合わせる、ドライラミネート方式による接着剤として好適に用いられ、また、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂及びメラミン樹脂等のプラスチック製建材並びに鉄及びアルミ等の金属製建材と上記樹脂フィルムとのラミネート用接着剤としても有用であり、長期にわたり屋外で使用される建築材料、外装材料及び封止材料等に用いられる接着剤として特に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性水素成分(A)を含有する主剤とイソシアネート成分(B)を含有する硬化剤とからなる2液硬化型接着剤、又は末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C)を含有してなる1液硬化型接着剤であって、前記活性水素成分(A)及び/又は前記イソシアネート成分(B)並びに前記ウレタンプレポリマー(C)がエチレン性不飽和結合含有基(x)を有することを特徴とするドライラミネート用接着剤。
【請求項2】
前記エチレン性不飽和結合含有基(x)が、(メタ)アクリロイル基である請求項1記載の接着剤。
【請求項3】
前記活性水素成分(A)が、ポリエーテルポリオール(a21)、ポリエステルポリオール(a22)並びに(a21)及び/又は(a22)と炭素数2〜18の脂肪族イソシアネート(b1)、炭素数4〜15の脂環式イソシアネート(b2)、炭素数8〜15の芳香脂肪族イソシアネート(b3)、炭素数6〜20の芳香族イソシアネート(b4)及び/又はこれらの変性体(b5)とを反応させてなる末端に水酸基を有するプレポリマー(a3)からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオールを含有する請求項1又は2記載の接着剤。
【請求項4】
前記プレポリマー(C)が、ポリエーテルポリオール(a21)及び/又はポリエステルポリオール(a22)を必須成分とする活性水素成分と炭素数2〜18の脂肪族イソシアネート(b1)、炭素数4〜15の脂環式イソシアネート(b2)、炭素数8〜15の芳香脂肪族イソシアネート(b3)、炭素数6〜20の芳香族イソシアネート(b4)及び/又はこれらの変性体(b5)とを反応させてなる末端にイソシアネート基を有するプレポリマーである請求項1又は2記載の接着剤。
【請求項5】
前記ポリエステルポリオール(a22)が、ポリカーボネートポリオールである請求項3又は4記載の接着剤。
【請求項6】
前記ポリエーテルポリオール(a21)が、ビスフェノール系化合物のアルキレンオキサイド付加物を含有する請求項3〜5のいずれか記載の接着剤。
【請求項7】
更に、粘着性付与剤(D)を含有する請求項1〜6のいずれか記載の接着剤。
【請求項8】
前記粘着性付与剤(D)が、テルペンフェノール樹脂及び/又はテルペンフェノール樹脂の水素添加物である請求項7記載の接着剤。
【請求項9】
プラスチック同士又はプラスチックと金属との接着に用いられる請求項1〜8のいずれか記載の接着剤。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか記載の接着剤で接着されてなるラミネートフィルム。

【公開番号】特開2012−67278(P2012−67278A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162719(P2011−162719)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】