説明

ドラム式洗濯機

【課題】水漏れを検知し、高温水を冷やしながら素早く排水することで、水漏れの被害拡大を防ぐとともに、使用者に異常の発生を知らせること。
【解決手段】洗濯機の底板に本体内部への水漏れを検知する漏水検知手段48と加熱手段50近傍に水温を検知する温度検出手段56を配設し、制御手段45は漏水検知手段48が水漏れを検知したときに、直ちに運転を停止させると共に、水受け槽32内の水温に応じた排水制御を行い、異常報知を行うとともに、温度検出手段56により前記水受け槽32内の水温が所定の温度以上だった場合、排水経路41に給水を行いながら、前記水受け槽32内の高温水を冷却排水する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラム式洗濯機の排水時の安全性に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のドラム式洗濯機は、洗濯機を設置する防水パンに異常水位が生じた際、溢水して屋内の床面等に損傷を与えないように、防水パン内の水位を検知する水位検知装置を設けて、洗濯機の運転停止や異常報知を行う事が提案されてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3は、特許文献1に記載された従来の洗濯機の全体破断側面図を示すものである。図3に示すように、防水パン1は排水口(図示せず)を有し、この排水口に洗濯機の排水ホース21を差し込んで排水できるようになっている。
【0004】
全自動洗濯機の内部機構を内包する電気洗濯機の枠体である外箱2は、前記防水パン1内に載置され、前記外箱2は底部に開放口3を有しており、この開放口3によって防水パン1内と連通している。
【0005】
外箱2の内部には、外槽4及び内槽5から成る槽6、特にはその外槽4を、複数組(一組のみ図示)の弾性吊持機構7により支持して配設している。弾性吊持機構7は、それぞれ吊り棒8及びスプリング9を有して成るもので、槽6の揺動を許容すると共に、該槽6の収容物の重量に応じた降下を許容するようになっている。
【0006】
また、外槽4の下方部には、外槽4(内槽5内)から排水する為の排水弁20や排水ホース20を配設している。
【0007】
内槽5内には底部に攪拌体10を配設しており、外槽4には外下方部の複数のボス部11に支持板12をそれぞれボルト13によって取り付けている。支持板12にはモータ14と機構部15及び水位検知装置16を取り付けている。そして、水位検知装置16からの信号を制御装置30に入力している。
【0008】
上記構成より、防水パン1の排水口から先の屋内排水管の詰まりなどにより排水しきれずに残った水や洗濯機内部からの水漏れによる水が防水パン1内に溜まり、次第に水位を上げていき、防水パンより溢水するのを防止する為に、以下の構成をとっている。
【0009】
即ち、防水パン内の水位を水位検知装置16が検知し、信号を制御装置30に送り、制御装置30は、水位検知装置16からの入力信号にもとづき、運転を停止(排水中止)させ、異常の報知を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記従来の構成では、防水パンに異常水位(水漏れ)を検知した時に、槽6内に水が残っている状態で運転停止し排水を停止してしまうと、外槽4などの破損や排水弁20の故障による水漏れなどの場合、そのまま水漏れが続き、防水パンより溢れ出た水が床面を濡らせたり、腐らせてしまい被害が拡大する可能性があるという課題を有していた。
【0012】
また、槽内に残っていたのが高温水だった場合、溢れ出た高温水により、使用者が火傷等の身体への被害を及ぼす危険性があるという課題を有していた。
【0013】
また、防水パンの設置がない(例えば風呂場に直接排水する)場合には更に危険性が高まるという課題もあった。
【0014】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、防水パンの設置有り無しにかかわらず水漏れによる被害拡大を防ぐとともに、排水温度が高温の場合には使用者にやけど等の被害を与えることなく、また、それ以上の水漏れによる被害拡大を防ぐことができる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記従来の課題を解決するために、本発明の洗濯機は、水平または斜めの回転中心軸を有する回転ドラムと、洗濯機本体に弾性的に支持され前記回転ドラムを回転自在に内包する水受け槽と、前記回転ドラムを回転駆動するモータと、前記水受け槽内に給水する経路と、前記排水経路に給水する経路と、前記2つの経路を切り換えることができる給水手段と、前記水受け槽内の水位を検知する水位検知手段と、前記水受け槽内の洗濯水の排水をする排水手段と、洗濯機の底板に配置した本体内部への水漏れを検知する漏水検知手段と、前記モータ、前記給水手段、前記水位検知手段および前記排水手段等を制御し洗濯運転を行う制御手段と、前記水受け槽内に給水された水を温める為の加熱手段と、前記水受け槽内の水温を検知する温度検出手段とを備え、前記制御手段は、前記加熱手段を使用した温水での洗濯運転中に前記漏水検知手段が水漏れを検知したとき、洗濯運転を停止させると共に、前記温度検出手段により前記水受け槽内の水温が所定の温度以上だった場合、排水経路に給水を行いながら前記水受け槽内の温水の排水を行うようにしている。
【0016】
これによって、洗濯機内部へのいかなる水漏れも検知でき、素早く排水を行うので、それ以上の水漏れによる被害拡大を防ぐとともに、水受け槽内の高温水を新たな給水で冷やしながら排水する(例えば、防水パンの無いお風呂場に洗濯機を設置するような、排水口に排水ホースを差し込むことが望めない環境の場合、高温水をそのまま洗い場に排水すると、使用者にやけど等の身体への被害を与える可能性がある)ので、使用者にやけど等の被害を与えることが極力なくなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の洗濯機は、排水異常発生時、使用者にやけど等の被害を極力与えることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の断面図
【図2】同ドラム式洗濯機の一部ブロック化した回路図
【図3】従来の洗濯機の全体破断側面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1の発明は、水平または斜めの回転中心軸を有する回転ドラムと、洗濯機本体に弾性的に支持され前記回転ドラムを回転自在に内包する水受け槽と、前記回転ドラムを回転駆動するモータと、前記水受け槽内に給水する経路と、前記排水経路に給水する経路と、前記2つの経路を切り換えることができる給水手段と、前記水受け槽内の水位を検知する水位検知手段と、前記水受け槽内の洗濯水の排水をする排水手段と、洗濯機の底板に配置した本体内部への水漏れを検知する漏水検知手段と、前記モータ、前記給水手段、前記水位検知手段および前記排水手段等を制御し洗濯運転を行う制御手段と、前記水受け槽内に給水された水を温める為の加熱手段と、前記水受け槽内の水温を検知する温度検出手段とを備え、前記制御手段は、前記加熱手段を使用した温水での洗濯運転中に前記漏水検知手段が水漏れを検知したとき、洗濯運転を停止させると共に、前記温度検出手段により前記水受け槽内の水温が所定の温度以上だった場合、排水経路に給水を行いながら前記水受け槽内の温水の排水を行うように制御したことにより、洗濯機内部へのいかなる水漏れも検知でき、素早く排水を行うので、それ以上の水漏れによる被害拡大を防ぐとともに、水受け槽内の高温水を新たな給水で冷やしながら排水する(例えば、防水パンの無い風呂場に洗濯機を設置するような、排水口に排水ホースを差し込むことが望めない環境の場合、高温水をそのまま洗い場に排水すると、使用者にやけど等の身体への被害を与える可能性がある)ので、使用者にやけど等の被害を与えることが極力なくなる。
【0020】
第2の発明は、第1の発明において、制御手段は、温度検出手段により水受け槽内の水温が所定の温度以下だった場合、排水経路への給水は行わずに前記水受け槽内の水を排水するように制御したことにより、水受け槽内の高温水を新たな給水で冷やしながら、使用者にやけど等の被害を与えることが極力なくなり、防水パンの無い場合でも安全に排水を行うことができる。また、水受け槽内の水を冷やしてから排水するといったような工程(時間)を設けずに、すぐに排水工程に移行できるので、運転時間の短縮を図り、使い勝手を向上させることができる。また、水温が不安全に至らない場合には排水経路への給水は行わずに排水を行うことで、水の使用量を低減して運転することができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なおこの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機の断面図を示すものである。
【0023】
図1に示すように、回転ドラム31は、水受け槽32内に回転自在に配設されており、回転ドラム31の回転中心に略傾斜方向に回転軸(回転中心軸)33を設け、回転ドラム31の軸心方向を正面側から背面側に向けて下向きに傾斜させて配設している。この回転軸33に、水受け槽32の背面に取り付けたモータ34を連結し、回転ドラム31を正転、逆転方向に回転駆動する。
【0024】
水受け槽32の正面側の上向き傾斜面に設けた開口部を蓋体35により開閉自在に覆い、この蓋体35を開くことにより回転ドラム31内に洗濯物を出し入れできるようにしている。
【0025】
水受け槽32は、洗濯機本体36よりばね体37とダンパー38により揺動可能に吊り下げて防振支持しており、水受け槽32底部からの排水経路41の途中に排水手段39を配設して水受け槽32内の洗濯水を排水するようにしている。
【0026】
給水手段40には、水受け槽32内に給水する経路42と、排水経路41に給水する経路43が接続されており、水受け槽32もしくは排水経路41に給水方向を切り換え可能なようにしているものである。水位検知手段44は水受け槽32内の水位を検知するものである。
【0027】
なお、給水手段40は、給水方向を、水受け槽内に給水する経路42と、排水経路に給水する経路43とに切り換え可能なようにしているが、それぞれの経路に別々に給水手段を設けてもよい。
【0028】
洗濯機本体36下方には制御手段45を有する制御回路46を、また上方前面部には入力設定・表示手段47を配設する。
【0029】
制御手段45は、入力設定・表示手段47からの情報をもとに、運転が開始されると、モータ34、排水手段39、給水手段40、水位検知手段44、などの動作を制御し、洗濯、すすぎ、脱水等の運転制御を行う。
【0030】
排水手段39には、例えば、排水弁などがあげられるが、排水ポンプを使用してもよい。また、両方とも使用しても構わない。洗濯機の使用される環境に合わせた組み合わせとすればよい。
【0031】
また、洗濯機本体36下部には底部の開放口58を覆う底板57を固着し、この底板57には、水漏れを検知するのに最適な位置に漏水検知手段48が配設されており、さらに本体内部に漏れた水が、漏水検知手段48の配設部分へと水が溜まりやすいように底板57に絞り形状49が設けられている。この漏水検知手段48は、例えば、2つの電極で構成し、この電極間の電位差で漏水を検知するように構成している。つまり、漏水した水が電極間に付着した場合、電位差がなくなり、水漏れを検知することができる。
【0032】
なお、漏水検知手段48の配設位置は、各製品の状態に合わせ、底板57に限らず、漏れた水を検知するのに最適な位置に配設すれば良い。
【0033】
また、底板57の絞り形状49は、各製品の状態に合わせ、水が意図する場所に溜まりやすいように最適な形状とすれば良い。また、必要であれば、底板57に限らず、水が流れ込みやすいように側面などに、ガイド状の絞りを設けても良い。
【0034】
回転ドラム31下方には、水受け槽32内に給水された水を温める為の加熱手段50および温度検出手段56が設けられており、制御手段45が、前記加熱手段50の動作を制御し、温水洗濯が可能にしている。
【0035】
図2は、ドラム式洗濯機の一部ブロック化した回路図を示したものである。図2において、制御回路46は、マイクロコンピュータ等により構成した制御手段45と、入力回路51、モータ駆動回路52及びスイッチング手段駆動回路53から成るもので、制御手段45は、入力設定・表示手段47へ各種表示信号を出力すると共に、モータ駆動回路52を介して、モータ34の回転制御を行っている。
【0036】
また、スイッチング手段駆動回路53を介して、スイッチング手段54を制御して、排水手段39、給水手段40、蓋ロック装置55などの動作を制御している。蓋ロック装置55は、水受け槽32に設けた衣類投入口としての開口部を覆う蓋体35の開閉を運転中に禁止するものであり、ソレノイドとレバーより構成している。
【0037】
また、制御手段45には、入力設定・表示手段47からの各種操作信号が入力されると共に、入力回路51を介して、水位検知手段44や漏水検知手段48からの検出信号が入力される。さらに、加熱手段50の近傍には温めた水の温度を検知する為の温度検出手段56が設けられており、検出した信号を入力回路51を介して制御手段45へ入力している。
【0038】
以上のように構成された洗濯機について、以下その動作、作用を説明する。
【0039】
蓋体35を開け、洗濯物を回転ドラム31に投入し、蓋体35を閉めた後、入力設定・表示手段47により温水で洗濯を行う行程内容を設定し、運転を開始する。
【0040】
制御手段45は、洗濯物の量に応じて、最適な水位を設定し、給水手段40を制御して、水受け槽32内に給水する経路42に給水経路を切り換え、回転ドラム31内および水受け槽32内に給水を行なう。そして、水位検知手段44によって水位を検知し、設定された水位に達したら、給水を終了し、モータ34を制御し、回転ドラム31を回転させ、洗濯行程を行う。洗濯行程中、制御手段45は、温度検出手段56からの検出信号にもとづいて、設定された水温になるように、加熱手段50を制御し、高温水で洗濯を行う。
【0041】
洗濯行程終了後、排水手段39を制御して、また、温度検出手段56からの情報にもとづき、必要に応じて給水手段40を制御して(温度検出手段56により水受け槽32内の水温が所定の温度以上だった場合、排水経路41に給水する経路43に給水経路を切り換える。)、排水経路41に新たに給水を行い高温になった洗濯水を冷やしながら排水し、脱水した後、再び給水手段40を制御して(排水経路41に給水する経路43に給水経路を切り換えていた場合は、水受け槽32内に給水する経路42に給水経路を再び切り換える。)、回転ドラム31内および水受け槽32内に給水を行う。
【0042】
そして、水位検知手段44によって水位を検知し、設定された水位に達したら、給水を終了し、モータ34を制御し、回転ドラム31を回転させ、すすぎ行程を行う。すすぎ行程終了後、排水手段39を制御してすすぎ後の水を排水し、最終脱水を行って運転を終了する。
【0043】
なお、入力設定・表示手段47からの情報をもとに、必要に応じて洗濯工程の時と同じように、すすぎ工程においても高温水でのすすぎや、新たな給水で高温水を冷やしながら排水を行えばよい。
【0044】
制御手段45は、電源入りスイッチ(図示せず)押圧後の初期待機時含め、運転開始から運転が終了し電源が切れるまでの間、常時、漏水検知手段48からの入力信号をモニターしており、その間、水漏れ状態の検知信号が入ってきたら、直ちに運転を停止させると共に、温度検出手段56により水受け槽32内の水温が所定の温度以上だった場合、給水手段40を制御し、排水経路41に給水を行いながら、水受け槽32内の高温水を排水し、異常報知を行うようにしている。
【0045】
なお、漏水検知手段48からの入力信号は、常にモニターしていなくても、確実に水漏れを検知できるのであれば、最適なタイミングで入力信号をモニターするようにすれば良い。
【0046】
このように、水受け槽32内に給水する経路42と、排水経路41に給水する経路43と、給水経路を切り換えることができる給水手段40と、洗濯機の底板57に本体内部への水漏れを検知する漏水検知手段48と、加熱手段50近傍に水温を検知する温度検出手段56を配設し、制御手段45は漏水検知手段48が水漏れを検知したときに、直ちに運転(給水やドラム回転など)を停止させると共に、温度検出手段56により水受け槽32内の水温が所定の温度以上だった場合、排水経路41に給水を行いながら、水受け槽32内の高温水を冷却排水し、異常報知を行うことで、洗濯機内部へのいかなる水漏れも検知でき、素早く排水を行うので、それ以上の水漏れによる被害拡大を防ぐとともに、水受け槽32内の高温水を新たな給水で冷やしながら排水する(例えば、防水パンの無い、お風呂場に洗濯機を設置するような、排水口に排水ホースを差し込むことが望めない環境の場合、高温水をそのまま洗い場に排水すると、使用者にやけど等の身体への被害を与える可能性がある)ので、使用者にやけど等の被害を与えることなく、異常の発生を知らせることができる。
【0047】
また、制御手段45は、温度検出手段56により水受け槽32内の水温が所定の温度以下だった場合、排水経路41への給水は行わずに水受け槽32内の水を排水し、異常報知を行うことにより、素早く排水を行うことで、それ以上の水漏れによる被害拡大を防ぐとともに、水の使用量を増やすことなく異常の発生を知らせることができる。
【0048】
(実施の形態2)
構成は上記実施の形態1と同じである。
【0049】
上記構成において、蓋体35を開け、洗濯物を回転ドラム31に投入し、蓋体35を閉めた後、入力設定・表示手段47により温水で洗濯を行う行程内容を設定し、運転を開始する。
【0050】
制御手段45は、洗濯物の量に応じて、最適な水位を設定し、給水手段40を制御して、水受け槽32内に給水する経路42に給水経路を切り換え、回転ドラム31内および水受け槽32内に給水を行なう。
【0051】
そして、水位検知手段44によって水位を検知し、設定された水位に達したら、給水を終了し、モータ34を制御し、回転ドラム31を回転させ、洗濯行程を行う。洗濯行程中、制御手段45は、温度検出手段56からの検出信号にもとづいて、設定された水温になるように、加熱手段50を制御し、高温水で洗濯を行う。
【0052】
洗濯行程終了後、排水手段39を制御して、また、温度検出手段56からの情報にもとづき、必要に応じて給水手段40を制御して(温度検出手段56により水受け槽32内の水温が所定の温度以上だった場合、排水経路41に給水する経路43に給水経路を切り換える。)、排水経路41に新たに給水を行い高温になった洗濯水を冷却しながら排水し、脱水した後、再び給水手段40を制御して(排水経路41に給水する経路43に給水経路を切り換えていた場合は、水受け槽32内に給水する経路42に給水経路を再び切り換える。)、回転ドラム31内および水受け槽32内に給水を行う。
【0053】
そして、水位検知手段44によって水位を検知し、設定された水位に達したら、給水を終了し、モータ34を制御し、回転ドラム31を回転させ、すすぎ行程を行う。すすぎ行程終了後、排水手段39を制御してすすぎ後の水を排水し、最終脱水を行って運転を終了する。
【0054】
なお、入力設定・表示手段47からの情報をもとに、必要に応じて洗濯工程の時と同じように、すすぎ工程においても高温水でのすすぎや、新たな給水で高温水を冷却しながら
排水を行えばよい。
【0055】
こうした高温水での洗いまたはすすぎから脱水へ移行する際の排水工程において、温度検出手段56により水受け槽32内の水温が所定の温度以上だった場合、排水経路41に給水を行いながら、水受け槽32内の高温水を排水するようにしている。
【0056】
その際、そのまま高温水になった洗濯水あるいはすすぎ水を排水すると、洗濯機の設置環境によっては、使用者がやけどをする恐れがある。つまり、防水パンの無い風呂場などに洗濯機を設置し、排水ホースを排水口に挿入せずに使用していた場合、排水された高温水が風呂場(洗い場)に流れ出ることになり、使用者がやけどをする恐れがある。したがって、高温水を排水する時は、新たな給水で冷やしながら排水するようにしている。
【0057】
なお、水受け槽32内の水温の判断は、所定の温度以上という条件だけでなく、所定の温度より高い、などの条件にすればよい。また、必要に応じて条件を組み合わせるなど、最適な判断条件とすればよい。
【0058】
このように、水受け槽32内に給水された水を温める為の加熱手段50と、加熱手段50近傍に水温を検知する温度検出手段56を配設し、制御手段45は加熱手段50を使用した高温水での洗いまたはすすぎから脱水へ移行する際の排水工程において、温度検出手段56により水受け槽32内の水温が所定の温度以上だった場合、排水経路41に給水を行いながら、水受け槽32内の高温水を冷却しながら排水することで、使用者にやけど等の被害を与えることなく、防水パンの無い排水条件でも安全に排水を行うことができる。
【0059】
また、水受け槽32内の水をしばらく放置して冷却してから排水するといったような別工程(時間)を設けずに、すぐに排水工程に移行できるので、運転時間の短縮を図り、使い勝手を向上させることができる。
【0060】
また、制御手段45は、洗いまたはすすぎから脱水へ移行する際の排水工程時に、温度検出手段56により水温が所定の温度以下だった場合、排水経路41への給水は行わずに水受け槽32内の水を排水するようにしている。
【0061】
即ち、温度検出手段56により水温が所定の温度以下だった場合、排水経路41への給水は行わずに水受け槽32内の水を排水することで、排水経路41への給水は行わずに排水を行うので、水の使用量を増加することなく運転することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明にかかる洗濯機は、制御手段は漏水検知手段が水漏れを検知したときに、直ちに運転(給水やドラム回転など)を停止させると共に、水受け槽内の水温が所定の温度以上だった場合、水受け槽内の高温水を新たな給水で冷やしながら排水するので、使用者にやけど等の被害を与えることなく、異常の発生を知らせることができるので、乾燥機能のついた洗濯乾燥機等にも利用可能である。
【符号の説明】
【0063】
31 回転ドラム
32 水受け槽
33 回転中心軸
34 モータ
36 洗濯機本体
39 排水手段
40 給水手段
41 排水経路
42 水受け槽32内に水道水を給水する経路
43 排水経路41に水道水を給水する経路
44 水位検知手段
45 制御手段
47 入力設定・表示手段
48 漏水検知手段
50 加熱手段
56 温度検出手段
57 底板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平または斜めの回転中心軸を有する回転ドラムと、洗濯機本体に弾性的に支持され前記回転ドラムを回転自在に内包する水受け槽と、前記回転ドラムを回転駆動するモータと、前記水受け槽内に給水する経路と、前記排水経路に給水する経路と、前記2つの経路を切り換えることができる給水手段と、前記水受け槽内の水位を検知する水位検知手段と、前記水受け槽内の洗濯水の排水をする排水手段と、洗濯機の底板に配置した本体内部への水漏れを検知する漏水検知手段と、前記モータ、前記給水手段、前記水位検知手段および前記排水手段等を制御し洗濯運転を行う制御手段と、前記水受け槽内に給水された水を温める為の加熱手段と、前記水受け槽内の水温を検知する温度検出手段とを備え、前記制御手段は、前記加熱手段を使用した温水での洗濯運転中に前記漏水検知手段が水漏れを検知したとき、洗濯運転を停止させると共に、前記温度検出手段により前記水受け槽内の水温が所定の温度以上だった場合、排水経路に給水を行いながら前記水受け槽内の温水の排水を行うように制御したドラム式洗濯機。
【請求項2】
制御手段は、温度検出手段により水受け槽内の水温が所定の温度以下だった場合、排水経路への給水は行わずに前記水受け槽内の水を排水するように制御した請求項1に記載のドラム式洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−94326(P2013−94326A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238349(P2011−238349)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】