ドリル
【課題】 CFRPなど難削材を含む複合材料に対する課題であった表面層の捲れ上がりPおよび裏面層の髭バリQの発生を効果的に防止して加工精度の高いドリルを提供すること。
【解決手段】 ドリル本体1の外周面に所定のリード角βをもつ捩れリード溝3を形成し、先端面に先端角αにより形成される切り刃5を有するドリルにおいて、そのドリル本体の先端ヘッド部分10,20に、前記捩れリード溝の先端リード角βaを前記リード角βより小さな角度−10°〜+10°の範囲の一定値に設定した先端リード部3aを形成し、外周掬い角θの設定により前記切り刃5に刃先形状を鋭利にした外周刃部5aを形成するとともに切り刃5の稜線を凹曲線状となしたこと。
【解決手段】 ドリル本体1の外周面に所定のリード角βをもつ捩れリード溝3を形成し、先端面に先端角αにより形成される切り刃5を有するドリルにおいて、そのドリル本体の先端ヘッド部分10,20に、前記捩れリード溝の先端リード角βaを前記リード角βより小さな角度−10°〜+10°の範囲の一定値に設定した先端リード部3aを形成し、外周掬い角θの設定により前記切り刃5に刃先形状を鋭利にした外周刃部5aを形成するとともに切り刃5の稜線を凹曲線状となしたこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドリルに関し、特に航空機用素材として多用されている炭素繊維強化樹脂(CFRP)など難削材を含む材料が積層された複合材料に適用して有用なドリルであって、ドリル本体の外周面に捩れリード溝を形成し、先端面に先端角により形成される切り刃を有するツイストドリルの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、航空機の主要部品として多用されているCFRPなど難削材を含む複合材料Wをワーク(被穿孔材料)としてドリルで穿孔加工を行う場合に、炭素繊維の毛羽立ちが原因となって図16に示すように、表面の孔周辺が捲れ上がった状態Pや裏面の孔周辺に髭バリが突出した状態Qが発生するなど加工精度および品質上の問題点があった。
上記問題点を解決せんとして、従来、ドリル本体の外径を変化させるバックテーパ部を形成し、捩れリード溝のリード角に対して先端角を二段変化させる改良(特許文献1)、あるいは、センタリング切刃を中心としてその両側円周面に先端が被穿孔面に対し弧状をなす略三日月形の主切刃を形成し、前記センタリング切刃と主切刃間には切込み刃を形成して、それらが正面から見て略M字形状の刃先形状となるような改良(特許文献2)などがみられた。
【0003】
また、本願の発明者らは、特に高強度繊維複合材料、例えばミリ波レーダーアンテナのアンテナ基板を穿孔することに好適なドリルを開発し出願している(特許文献3:特願2005−338841号)。
この先願ドリルの基本構造は、ドリル本体の先端部分に、先端角により形成される一対の切り刃および逃げ面が形成されるが、その逃げ面の外周肩部をR面取りした湾曲面とし、切り刃および前記肩部近傍の捩れリード溝に掬い部を設け、かつ切り刃の稜線を先端部から外周端に向けた凹曲線状とそれに続く湾曲状にし、全体として切り刃を側面視S字曲線からなる鋭利な刃先形状としたものであり、それにより、表面層の捲れ上がり、孔内の髭残りや裏面層の下バリ発生を防止するものである。
【0004】
【特許文献1】実公昭59−33546号公報
【特許文献2】特開平8−71824号公報
【特許文献3】特願2005−338841号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1や特許文献2の従来技術においても、CFRP材料Wを穿孔した際の捲れ上がりPや強靱な繊維の髭バリQの発生に対して十分に効果的な解決手段を得ることはできず、特許文献3の従来技術を採用したときでも、CFRP材料Wに適用した場合には、孔内の髭残りや裏面層の髭バリQの発生を防止できたものの表面層の捲れ上がりPの防止に十分ではなかった。
【0006】
本発明は上記従来事情に鑑み、上記特許文献3のドリルをさらに改良することを基本として、CFRPなど難削材を含む複合材料に対する課題であった表面層の捲れ上がりPおよび裏面層の髭バリQの発生を効果的に防止して加工精度の高いドリルを提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、ドリル本体の先端ヘッド部分の構造や材質の改良によりドリルの製作性および耐久性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯る本発明は、ドリル本体の外周面に所定のリード角βをもつ捩れリード溝を形成し、先端面に先端角により形成される切り刃を有するドリルにおいて、そのドリル本体の先端ヘッド部分に、前記捩れリード溝の先端リード角βaを前記リード角βより小さな角度−10°〜+10°の範囲の一定値に設定した先端リード部を形成し、外周掬い角の設定により前記切り刃に刃先形状を鋭利にした外周刃部を形成するとともに切り刃の稜線を凹曲線状となしたことを特徴とする(請求項1)。すなわち、一般的な捩れリード溝は先端まで一定であって、そのリード角βが20°〜30°であるところ、先端リード角βaを−10°〜+10°の角度に変化させたことを第1の特徴とし、外周刃部を鋭利にし、かつ切り刃稜線を凹曲線状となしたことを第2の特徴とするものである。
なお、第2の特徴は、前記特許文献3の先願発明を実質的に応用した構成、第1の特徴が先願発明を改良・変更した構成である。
【0008】
上記第1の特徴によれば、穿孔加工の初期において先端リード部3aのラジアル方向に作用する力成分がスラスト方向寄りの向きになるので、外周刃部およびそれに続く先端リード部による切り上がりが抑制されて確実な切り込みが開始され、また第2の特徴によれば、穿孔加工の貫通直前に切り刃稜線の凹曲線内に切屑がリング状で残り、それが略そのままの状態で維持されて貫通時またはその直後に切り離されるので、孔出口部分の繊維部材が確実に切断される。
【0009】
そして、上記外周刃部の具体的な構造は、外周掬い角を20°〜40°に設定することにより鋭利な刃先形状が形成される(請求項2)。この鋭利な外周刃部は、砥石を使用した掬い加工により形成する方式、あるいは後述の刃先交換可能な先端ヘッドのように型成形により形成する方式の何れでもよい。もっとも、前者の掬い加工により外周刃部を形成する場合には、先端切り刃稜線の凹曲線も必然的に同時に形成されものである。
また、上記先端切り刃は、直径方向の対向位置にそれぞれ切り刃が配置される二枚刃構造でもよいが、それに比べて求心性による安定した穿孔切削が可能な三枚刃であることが好ましい(請求項3)。
さらに、上記ドリル本体の先端切り刃を形成する先端角は、標準的には118°〜130°であるところ、前記切り刃稜線の凹曲線をより効果的にするために、標準より鈍角な140°〜150°とすることが好ましい(請求項4)。もっとも三枚刃構造の場合は、スラスト方向の切削抵抗が大きくなるので、その抵抗を軽減するために先端中央部を120°程度とし、その外周を140°〜150°として二段変化させることもよい(請求項5)。
【0010】
上記ドリル本体には先端切り刃を冷却する構造を付設することが好ましい。
その冷却構造としては、ドリル本体の軸中心に冷媒路を穿孔し、その冷媒路より分岐させた冷却孔を上記各リード溝内の先方部に開口し、該冷却孔の開口より噴射する冷媒が先端切り刃の稜線に向けて噴射するようにする(請求項6)。
また、上記ドリル本体は刃先交換式、つまり、上記先端ヘッド部分がドリル本体と別体に成形され、ドリル本体の先端に着脱可能に取り付けられた構造であってもよい(請求項7)。その刃先交換式の場合、先端ヘッドは、超硬合金素材を砥石で切削・研削加工し、あるいは超高圧焼結体やダイヤモンド刃先を付設し、又は表面にダイヤモンドなどの硬質被膜を被覆する一般的な成形法でもよいが、複雑な形状に対応できる型成形とすることがよく、特に先端ヘッド全体が、ダイヤモンド粉末や超硬材料の高密度粉末を素材として超高圧で焼結させた成形品であることが好ましい(請求項8)。
【0011】
さらに、上記先端ヘッドは、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナなどのセラミックス成形品であること(請求項9)、あるいは、それにダイヤモンド被覆を形成することが好ましい(請求項10)。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、穿孔加工の初期において、外周刃部およびそれに続く先端リード部による切り上がりが抑制されて確実な切り込みが開始されるので、CFRPなど難削材を含む複合材料をワークとして穿孔加工する場合でも、その表面層の捲れ上がりPが防止されるとともに、鋭利な外周刃部に形成される凹曲線状稜線によって、穿孔出口部分の繊維部材が確実に切断されるので裏面層の髭バリQの発生も防止することができる。しかも、先端切り刃を三枚刃構造とすれば、前記捲れ上がりおよび髭バリの防止と併せて真円形状の穿孔が確保されるなど加工精度の高いドリルを提供することができる(請求項1〜5)。
また、ドリル本体に設けた冷媒路を通してエアーなどの冷媒を、先端ヘッド部分における捩れリード溝内から切り刃稜線に向けて直接に噴射することにより、切り刃の高い冷却効果が得られてドリルの耐久性を向上させることができるとともにリード溝内の先端で反転する冷媒流により切屑の排出効果が一段と向上する(請求項6)。
【0013】
そして、請求項7のように先端ヘッド部分をドリル本体に着脱可能な刃先交換式とすれば、CFRP材料など刃先部分が摩耗し易い場合でも、先端ヘッドを交換または再研磨して常に最良な切削性を確保することができる。
しかも、刃先交換方式により請求項8のように先端ヘッド部分を型成形することもできるので、従来の研削・研磨加工では得られない複雑な構造・形状の先端ヘッドが得られ、これまで以上に機能的なドリルを提供することができる。
また、請求項9のように先端ヘッド部分をセラミックス成形体とすることにより当該部分の強靭性を高めることができ、さらに、請求項10のように、ダイヤモンド被覆層を形成することによって耐摩耗性を向上させて特にCFRPなど難削性材料に好適なドリルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図面により説明すると、図1〜図4は本発明ドリルAの基本形態を例示するもので、図1は側面図、図2は先端面側をみた正面図、図3は(3)−(3)線に沿う断面図である。
ドリル本体1は、超硬合金や高速度鋼など超硬質材料製であって、軸線回りに回転される略円柱状の一側(後方側)にシャンク2を備え、先方側には切屑排出用の3条の捩れリード溝3,3,3を形成したランド部4を設けており、先端のヘッド部分10には、先端角αにより形成される切り刃5,5,5と、各切り刃から円周方向へ連なる逃げ面6および切屑を排出しやすくするためのシンニング7と、シンニングにより形成されるチゼルエッジ8を備えている。
また、ドリル本体1は、前記シャンク2の端面から先端ヘッド部分10に向けた軸中心に冷媒路9を開孔している。
【0015】
上記切り刃5,5,5は、前記3条の捩れリード溝3,3,3により中心角120°毎に配置された三枚刃構造を例示しており、その各切り刃5は前記チゼルエッジ8の各端から外周端に向けて形成され、実質的には、チゼルエッジ8が一次切り刃として機能し、前記切り刃5が二次切り刃として機能するものである。
【0016】
上記各捩れリード溝3は、先端ヘッド部分10からシャンク2側へ向けて、一般には、リード角(捩れ角)βを20°〜30°の範囲の中から一定値で開溝されるものであるが、本発明においては、先端ヘッド部分10だけのリード角(先端リード角)βaを、図1に示すようにリード角βより小さな角度(図示例では5°)に設定し、先端ヘッド部分10に先端リード部3aを形成する。すなわち、捩れリード溝3は、先端ヘッド部分10においてリード角βaが5°の先端リード部3aを有し、そこから所定のリード角β(特に限定されないが20°〜30°)に変化するものである。
なお、上記先端リード角βaは、前記5°に限定されるものではなく、捩れリード溝3のリード角やワークの材質等に対応して−10°〜+10°の範囲の一定値で有効である(図4参照)。すなわち、リード角βaが10°を超えると捲れ上がりPを防止する機能が達成できず、−10°未満になると切削性自体が低下することになるからである。さらに先端リード角βaの好ましい範囲は−5°〜+5°である。
【0017】
また、先端ヘッド部分10においては、図2、図3に示すように、捩れリード溝3を大きな外周掬い角θに設定することにより前記先端切り刃5の外周に鋭利な刃先形状をもった外周刃部5aを形成する。
この外周掬い角θは、外周刃部5aの切削性および刃先強度を考慮して20°〜40°、好ましくは30°〜40°の中の一定値に設定する。外周掬い角θが20°未満では所望の切削性が得られず、40°を超えると刃先強度が低く耐久性が得られないからである。
【0018】
そして、上記外周掬い角θの掬い面を形成することにより、各切り刃5は、鋭利な前記外周刃部5aが形成されるばかりでなく、前記チゼルエッジ8の各端から外周刃部5aに向けた切り刃稜線が凹曲線状に形成される。
この切り刃稜線の凹曲線形状は、外周掬い角θが同じ場合では前記先端角αにより変化する。具体的には、標準的な先端角αは118°〜130°であるので、図1においては先端角αが120°の場合を例示するが、図5のように先端角αを140°にすると、切り刃稜線の凹曲深さが図1の場合よりも大きく、すなわち、先端角αが大きい場合ほど凹曲線深さが深くなる。
なお、CFRP材料Wの加工においては、切屑が非常に硬く粉状になるため大容量の切屑を迅速に排出することが重要であることを考慮すると、前記切り刃稜線の凹曲線深さは深いことが好ましい。
【0019】
一方、三枚刃構造のドリルAにおいては、先端角αが大きくなるとスラスト方向(穿孔方向)の切削抵抗が大きくなることを考慮して、先端角αを標準角度より大きくする場合でも140°〜150°の範囲に設定する。
なお、切削抵抗をより軽減させるためには、上記の先端角140°〜150°の範囲であっても、先端角を二段変化、つまり中央部の先端角を120°前後にし、その外周先端角を140°〜150°の範囲に設定すればよい(図14)。なお、図14においては、刃先交換式の先端ヘッド20について図示するが、前記先端ヘッド部分10に適用できること勿論である。
【0020】
上記冷媒路9は、その後端を前記シャンク2の後端面に開口してドリル本体1の軸中心に延設され、先端を先端ヘッド部分10の前記先端リード部3aの近傍、具体的には、先端リード部3aの僅か後部位に配置して該先端に三本に分岐させた冷却孔9aを形成し、その各冷却孔9aの先端を前記捩れリード溝3内に開口する。
各冷却孔9aには、ドリルの穿孔加工時に冷媒路9を介して冷媒が供給されるが、その冷媒が捩れリード溝3内から先端切り刃5の稜線に向けて、より好ましくは切り刃5の外周刃部5aおよび先端リード部3aに向けて噴射し該部分を冷却するとともに切削された切屑を捩れリード溝3内後方へ排出するようにする。
【0021】
なお、冷媒としてはエアー、水、油などが使用されるが、CFRP材料Wを穿孔する場合には、切屑が非常に硬く粉状になるため水、油など液体の使用は不適合であることを考慮し、しかも膨張による冷却率の高いエアーを使用することが好ましい。
【0022】
而して、上記ドリルA(先端角αは図5の140°を例示)を用いてCFRP材料Wを穿孔加工する場合の作用について図6により説明する。
先ず、冷媒路9にエアーを供給しながらドリルAを高速回転させてCFRP材料Wに穿孔加工を開始するが、その初期には、先端ヘッド部分10の中心が当接し各チゼルエッジ8により切削して芯出しがなされ、その直後から鋭利な外周刃部5aがCFRP材料Wの表面を先端リード部3aで押し下げながら切り込みを開始する(図6(1)参照)。この切り込み初期において、外周刃部5aが円形を描きながら切り込むとともに、外周刃部5aに続く先端リード部3aの先端リード角βaの設定により,先端リード部3aのラジアル方向に作用する力成分がスラスト方向寄りの向き、すなわち外周刃部5aによる炭素繊維の切削力がドリルの進行方向に対して上向きに作用するのでなく下向きに作用する。それによって、図16に示したような表面の捲れ上がりPを防止することができる。
【0023】
次いで、ドリルAが進行する穿孔中においては、外周刃部5aの鋭利な刃先形状により切削されるので、炭素繊維が確実に切断されて孔内における髭残りが防止できるるとともに、穿孔が貫通する直前には、図6(2)に示すように、切り刃5の稜線で形成される凹曲線部内に切屑がリング状に残り、その切屑が穿孔貫通時に略そのままの状態で切り離されるので(図6(3)参照)、図16に示したような裏面における髭バリQの発生を防止することができる。
なお、上記穿孔加工中に冷媒路9に供給されたエアーにより、切屑が捩れリード溝3を通して後方へ排出され、また先端切り刃5の外周刃部5aおよび先端リード部3aに向けて噴射され冷却作用を及ぼすことは勿論である。特に、冷媒としてエアーの供給、切り刃稜線の凹曲線深さにより、CFRP材料Wの加工において、大容量の切屑を迅速に排出することが可能なことは前述のとおりである。
【0024】
次に、図7〜図12は本発明の他の実施例を示すもので、詳しくは、上述した先端ヘッド部分10に相当する先端ヘッド20をドリル本体11と別体に成形し、それをドリル本体11に着脱可能とした刃先交換式の場合である。
ドリル本体11が、3条の捩れリード溝13,13,13、ランド部14,14,14を有することや材質を超硬合金等にすることは前示ドリル本体1と同様である。
ドリル本体11は、その軸心部を貫通する冷媒路19を形成し、先端面すなわち先端ヘッド20を接合させる端面には、中心から各ランド部4へ放射状に延びる取付溝21を形成し、各取付溝21に先端ヘッド20の係合突起22を嵌め合ようにする。
また、ドリル本体11には、前記冷媒路19の先端外周面に各捩れリード溝3に冷却孔口19aを開口し、冷媒路19へ供給される冷媒(エアー)が先端ヘッド20の切れ刃15へ向けて噴射するようにする。
【0025】
先端ヘッド20が、凹曲線状の稜線を有する切り刃15を形成していること、その外周に鋭利な外周刃部15aを形成していること、および前記捩れリード溝13のリード角βより小さな角度の先端リード角βaを有する先端リード部13aを形成していることは、それらの機能と併せて前示先端ヘッド部分10と同様であるので詳細な説明は省略する。
この図7の先端リード部13aは、前記外周刃部15aから先端ヘッド20の裏面つまり後面に至る区域に形成され、すなわち、その区域が一定の先端リード角βaに形成され、その後端においてドリル本体11の捩れリード溝13に接続、つまりリード角βに変位する場合を例示している。なお、その変位点においては、製作性および耐久性を高めるために滑らかな角度変化となるようにR接続にする。
【0026】
この先端ヘッド20は、その裏面に前記ドリル本体11の各取付溝21に嵌め合う係合突起22を形成しており、各取付溝21は略V形溝とし、各係合突起22は略V形状として両者がガタツキなく嵌め合って位置決めされるようにする。すなわち、各取付溝21と各係合突起22との嵌合により、ドリル本体11の各捩れリード溝13が先端ヘッド20へ連続するように接合可能にする。また、上記各取付溝21と各係合突起22との嵌合構造は、先端ヘッド20の回転トルクを支承するものである。
【0027】
上記先端ヘッド20は、ドリル本体11の先端面にろう付けすることにより一体的に結合し、再研磨時など必要に応じてろうを溶融させることによりドリル本体11から取り外すことも可能である。また、ドリル径が大きい場合には、ろう付けに代えて、図13に例示するように、3箇所をボルト止め23により先端ヘッド20をドリル本体11に着脱可能に取り付けるようにすることも任意である。
なお、この刃先交換式のドリルを使用することにより、捲れ上がりPおよび髭バリQを防止する前述した作用が得られることは容易に理解されるので、説明の便宜上詳細は省略する。
【0028】
図14および図15は上記先端ヘッド20を改良した他の実施例を示すものである。
図14の先端ヘッド20aは、前述したとおり、先端角αを二段変化、具体的には中央部を120°、その外周部を140°に設定した場合である。それにより、先端ヘッド20による切り込み時における切削抵抗を軽減させるとともに切り刃稜線の凹曲線深さを確保させて、CFRP材料Wの捲れ上がりPおよび髭バリQの発生を一層確実に防止させる構造としたものである。
【0029】
図15の先端ヘッド20bは、先端リード部13aの長さを短くした場合である。すなわち、先の図7の先端ヘッド20においては、先端リード部13aを外周刃部15aから先端ヘッド20の裏面までの区域としたが、先端ヘッド20bにおいては、その区域を短く形成したものである。
具体的には、先端リード部13aは、外周刃部15aから先端ヘッド20bの裏面までの区域の略1/5程度の長さに形成し、その後方に捩れリード溝13と同一のリード角βを有する繋ぎリード部13bを介在させたものである。この先端ヘッド20bによれば、先端リード部13aの長さが短いので、刃先部分を再研磨する場合にその加工作業が容易になる。
【0030】
また、上記先端ヘッド20bにおいては、先端リード角βaとして負角(−5°)の場合を例示しているとともに先端リード部13aと繋ぎリード部13bが接続する変位点においては図7の先端ヘッド20で説明したと同様にR接続としている。
上記繋ぎリード部13bは、その後方の捩れリード溝13のリード角βと同一のリード角とした場合を説明したが、先端リード部13aの先端リード角βaと捩れリード溝13のリード角βとの角度差が大きい場合には、繋ぎリード部13bのリード角を、前記先端リード角βaより大きく捩れリード溝13のリード角βよりも小さくすること、すなわち、繋ぎリード部13bの介在により、先端リード部13aから捩れリード溝13を滑らかに接続するようにしてもよい。
なお、上記先端ヘッド20bの構成を前記図1の先端ヘッド部分10に適用することができることも勿論である。
【0031】
上記ドリル本体11、先端ヘッド20または20a,20bの成形法について説明すると、ドリル本体11は通常のドリル成形と同様に、回転砥石を用いて3条の捩れリード溝13を研削・研磨するとともに取付溝21を研削研磨加工する方法、あるいは捩れリード溝13を押し出し成形する方法が採用される。
先端ヘッド20または20a,20bの成形には、ドリル本体11と同様に回転砥石を用いた研削・研磨加工とすることもよいが、好ましくは、ダイヤモンド粉末や超硬材料などの高密度粉末を素材として型成形する方法、具体的には、それら粉末素材を超高圧および高温で型成形することにより、又はそれに加えて放電加工や研削加工などの追加工を施すことにより先端ヘッド20全体を焼結成形体とすることがよい。
この型成形法によれば、砥石が干渉して成形し得ない複雑、緻密な掬い部や先端リード溝などの形状を作製すること可能となり、また、特にダイヤモンド粉末を素材として使用すれば刃先部分の強度を高めて耐久性(寿命)の高いドリルが得られる。
【0032】
また、先端ヘッド20または20a,20bをセラミックス成形体とすること、詳しくは、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(SiN)、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、炭化ホウ素(B4C)、窒化ホウ素(CBN)などのセラミックス粉末材料を、例えば静水圧加圧(CIP,HIP)処理を施して成形することもよい。
さらに、上記セラミックス成形体の表面にダイヤモンド被覆層を形成すること、好ましくはダイヤモンドのナノ粒子を用いた被覆層とすることがよい。そして、ダイヤモンド被覆層を形成する場合には、ダイヤモンド被覆層の密着強度を高めるために、セラミックス成形体とダイヤモンド被覆層との間に両材料に相互に馴染む中間層を形成することが好ましい。
【0033】
なお、上記の型成形による焼結成形体を採用する場合、又はセラミック成形体、あるいはそれにダイヤモンド被覆層を形成した先端ヘッドの場合には、上記説明で開示した先端ヘッドの構造・形状に限定されることなく、通常の刃先交換式の先端ヘッドにも適用可能である。
【0034】
上記実施の形態の説明において、図1,4,7,14,15に示す先端リード部3a,13aは、何れもその全長を直線状に形成した場合を例示したが、それに限定されるものではなく、例えば、滑らかな凸面状(凸R形)や凹面状(凹R形)とすることも任意である。
【0035】
上記実施の形態の説明において、ドリル本体の芯厚の変化や捩れリード溝の溝幅、溝深さについて特に説明していないが、それらについて限定されるものではない。すなわち、芯厚については先端からシャンク側に向けて一定、増大、減少するもの、リード溝についても、その溝幅および深さが一定あるいは変化するもの、あるいはリード角βが途中から変化するものなどいずれでも本発明に適用できるものである。
各部寸法の具体値を例示すれば、ドリル径は1/8〜1インチ(約3.175〜25.4mm)で、図示例のドリルAでは約6mm、先端リード部3aの長さはCFRP材料Wなど被削材の厚さの50%以下(図示例で1〜1.5mm)である。
また、図9〜図11における溝幅比、芯厚、軸溝比を例示すれば表1のとおりである。
【0036】
【表1】
【0037】
また、上記実施の形態においては、難削材を含む複合材料としてCFRP材料の場合について説明したが、それに限定されるものではなく、それと同程度の難削性を有する複合材料に適用可能であること、それより切削容易な複合材料その他のワークに適用可能であることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明ドリルの側面図である。
【図2】同ドリルの先端拡大正面図である。
【図3】図1の(3)−(3)線に沿う拡大断面図である
【図4】本発明において適用される先端リード角の範囲を示す側面図である。
【図5】本発明において先端角を140°とした場合の側面図である。
【図6】本発明の作用を説明する断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態のドリルを示す部分拡大側面図である。
【図8】同ドリルの先端正面図である。
【図9】図7の(9)−(9)線に沿う断面図である。
【図10】同(10)−(10)線に沿う断面図である。
【図11】同(11)−(11)線に沿う断面図である。
【図12】図7のドリルの斜視図であり、その(1)は組立状態、(2)は分解した先端ヘッドの裏側斜視図、(3)は分解したドリル本体である。
【図13】先端ヘッドをボルト止めにより取り付ける実施例の先端正面図である。
【図14】先端角を二段変化させた先端ヘッドの他の実施例の側面図である。
【図15】先端リード部を改良した先端ヘッドのさらに他の実施例の側面図である。
【図16】従来ドリルで加工した場合における問題点を示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1:ドリル本体 3:捩れリード溝
3a:先端リード部 5:先端切り刃
5a:外周刃部 9:冷媒路
9a:冷却孔 10:先端ヘッド部分
β:捩れリード溝のリード角 βa:先端リード角
θ:外周掬い角 11:ドリル本体
13:捩れリード溝 13a:先端リード部
15:先端切り刃 15a:外周刃部
19:冷媒路 19a:冷却孔口
20:先端ヘッド 20a:先端ヘッド
20b:先端ヘッド 21:取付溝
22:係合突起 23:ボルト止め
【技術分野】
【0001】
本発明はドリルに関し、特に航空機用素材として多用されている炭素繊維強化樹脂(CFRP)など難削材を含む材料が積層された複合材料に適用して有用なドリルであって、ドリル本体の外周面に捩れリード溝を形成し、先端面に先端角により形成される切り刃を有するツイストドリルの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、航空機の主要部品として多用されているCFRPなど難削材を含む複合材料Wをワーク(被穿孔材料)としてドリルで穿孔加工を行う場合に、炭素繊維の毛羽立ちが原因となって図16に示すように、表面の孔周辺が捲れ上がった状態Pや裏面の孔周辺に髭バリが突出した状態Qが発生するなど加工精度および品質上の問題点があった。
上記問題点を解決せんとして、従来、ドリル本体の外径を変化させるバックテーパ部を形成し、捩れリード溝のリード角に対して先端角を二段変化させる改良(特許文献1)、あるいは、センタリング切刃を中心としてその両側円周面に先端が被穿孔面に対し弧状をなす略三日月形の主切刃を形成し、前記センタリング切刃と主切刃間には切込み刃を形成して、それらが正面から見て略M字形状の刃先形状となるような改良(特許文献2)などがみられた。
【0003】
また、本願の発明者らは、特に高強度繊維複合材料、例えばミリ波レーダーアンテナのアンテナ基板を穿孔することに好適なドリルを開発し出願している(特許文献3:特願2005−338841号)。
この先願ドリルの基本構造は、ドリル本体の先端部分に、先端角により形成される一対の切り刃および逃げ面が形成されるが、その逃げ面の外周肩部をR面取りした湾曲面とし、切り刃および前記肩部近傍の捩れリード溝に掬い部を設け、かつ切り刃の稜線を先端部から外周端に向けた凹曲線状とそれに続く湾曲状にし、全体として切り刃を側面視S字曲線からなる鋭利な刃先形状としたものであり、それにより、表面層の捲れ上がり、孔内の髭残りや裏面層の下バリ発生を防止するものである。
【0004】
【特許文献1】実公昭59−33546号公報
【特許文献2】特開平8−71824号公報
【特許文献3】特願2005−338841号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1や特許文献2の従来技術においても、CFRP材料Wを穿孔した際の捲れ上がりPや強靱な繊維の髭バリQの発生に対して十分に効果的な解決手段を得ることはできず、特許文献3の従来技術を採用したときでも、CFRP材料Wに適用した場合には、孔内の髭残りや裏面層の髭バリQの発生を防止できたものの表面層の捲れ上がりPの防止に十分ではなかった。
【0006】
本発明は上記従来事情に鑑み、上記特許文献3のドリルをさらに改良することを基本として、CFRPなど難削材を含む複合材料に対する課題であった表面層の捲れ上がりPおよび裏面層の髭バリQの発生を効果的に防止して加工精度の高いドリルを提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、ドリル本体の先端ヘッド部分の構造や材質の改良によりドリルの製作性および耐久性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯る本発明は、ドリル本体の外周面に所定のリード角βをもつ捩れリード溝を形成し、先端面に先端角により形成される切り刃を有するドリルにおいて、そのドリル本体の先端ヘッド部分に、前記捩れリード溝の先端リード角βaを前記リード角βより小さな角度−10°〜+10°の範囲の一定値に設定した先端リード部を形成し、外周掬い角の設定により前記切り刃に刃先形状を鋭利にした外周刃部を形成するとともに切り刃の稜線を凹曲線状となしたことを特徴とする(請求項1)。すなわち、一般的な捩れリード溝は先端まで一定であって、そのリード角βが20°〜30°であるところ、先端リード角βaを−10°〜+10°の角度に変化させたことを第1の特徴とし、外周刃部を鋭利にし、かつ切り刃稜線を凹曲線状となしたことを第2の特徴とするものである。
なお、第2の特徴は、前記特許文献3の先願発明を実質的に応用した構成、第1の特徴が先願発明を改良・変更した構成である。
【0008】
上記第1の特徴によれば、穿孔加工の初期において先端リード部3aのラジアル方向に作用する力成分がスラスト方向寄りの向きになるので、外周刃部およびそれに続く先端リード部による切り上がりが抑制されて確実な切り込みが開始され、また第2の特徴によれば、穿孔加工の貫通直前に切り刃稜線の凹曲線内に切屑がリング状で残り、それが略そのままの状態で維持されて貫通時またはその直後に切り離されるので、孔出口部分の繊維部材が確実に切断される。
【0009】
そして、上記外周刃部の具体的な構造は、外周掬い角を20°〜40°に設定することにより鋭利な刃先形状が形成される(請求項2)。この鋭利な外周刃部は、砥石を使用した掬い加工により形成する方式、あるいは後述の刃先交換可能な先端ヘッドのように型成形により形成する方式の何れでもよい。もっとも、前者の掬い加工により外周刃部を形成する場合には、先端切り刃稜線の凹曲線も必然的に同時に形成されものである。
また、上記先端切り刃は、直径方向の対向位置にそれぞれ切り刃が配置される二枚刃構造でもよいが、それに比べて求心性による安定した穿孔切削が可能な三枚刃であることが好ましい(請求項3)。
さらに、上記ドリル本体の先端切り刃を形成する先端角は、標準的には118°〜130°であるところ、前記切り刃稜線の凹曲線をより効果的にするために、標準より鈍角な140°〜150°とすることが好ましい(請求項4)。もっとも三枚刃構造の場合は、スラスト方向の切削抵抗が大きくなるので、その抵抗を軽減するために先端中央部を120°程度とし、その外周を140°〜150°として二段変化させることもよい(請求項5)。
【0010】
上記ドリル本体には先端切り刃を冷却する構造を付設することが好ましい。
その冷却構造としては、ドリル本体の軸中心に冷媒路を穿孔し、その冷媒路より分岐させた冷却孔を上記各リード溝内の先方部に開口し、該冷却孔の開口より噴射する冷媒が先端切り刃の稜線に向けて噴射するようにする(請求項6)。
また、上記ドリル本体は刃先交換式、つまり、上記先端ヘッド部分がドリル本体と別体に成形され、ドリル本体の先端に着脱可能に取り付けられた構造であってもよい(請求項7)。その刃先交換式の場合、先端ヘッドは、超硬合金素材を砥石で切削・研削加工し、あるいは超高圧焼結体やダイヤモンド刃先を付設し、又は表面にダイヤモンドなどの硬質被膜を被覆する一般的な成形法でもよいが、複雑な形状に対応できる型成形とすることがよく、特に先端ヘッド全体が、ダイヤモンド粉末や超硬材料の高密度粉末を素材として超高圧で焼結させた成形品であることが好ましい(請求項8)。
【0011】
さらに、上記先端ヘッドは、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナなどのセラミックス成形品であること(請求項9)、あるいは、それにダイヤモンド被覆を形成することが好ましい(請求項10)。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、穿孔加工の初期において、外周刃部およびそれに続く先端リード部による切り上がりが抑制されて確実な切り込みが開始されるので、CFRPなど難削材を含む複合材料をワークとして穿孔加工する場合でも、その表面層の捲れ上がりPが防止されるとともに、鋭利な外周刃部に形成される凹曲線状稜線によって、穿孔出口部分の繊維部材が確実に切断されるので裏面層の髭バリQの発生も防止することができる。しかも、先端切り刃を三枚刃構造とすれば、前記捲れ上がりおよび髭バリの防止と併せて真円形状の穿孔が確保されるなど加工精度の高いドリルを提供することができる(請求項1〜5)。
また、ドリル本体に設けた冷媒路を通してエアーなどの冷媒を、先端ヘッド部分における捩れリード溝内から切り刃稜線に向けて直接に噴射することにより、切り刃の高い冷却効果が得られてドリルの耐久性を向上させることができるとともにリード溝内の先端で反転する冷媒流により切屑の排出効果が一段と向上する(請求項6)。
【0013】
そして、請求項7のように先端ヘッド部分をドリル本体に着脱可能な刃先交換式とすれば、CFRP材料など刃先部分が摩耗し易い場合でも、先端ヘッドを交換または再研磨して常に最良な切削性を確保することができる。
しかも、刃先交換方式により請求項8のように先端ヘッド部分を型成形することもできるので、従来の研削・研磨加工では得られない複雑な構造・形状の先端ヘッドが得られ、これまで以上に機能的なドリルを提供することができる。
また、請求項9のように先端ヘッド部分をセラミックス成形体とすることにより当該部分の強靭性を高めることができ、さらに、請求項10のように、ダイヤモンド被覆層を形成することによって耐摩耗性を向上させて特にCFRPなど難削性材料に好適なドリルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図面により説明すると、図1〜図4は本発明ドリルAの基本形態を例示するもので、図1は側面図、図2は先端面側をみた正面図、図3は(3)−(3)線に沿う断面図である。
ドリル本体1は、超硬合金や高速度鋼など超硬質材料製であって、軸線回りに回転される略円柱状の一側(後方側)にシャンク2を備え、先方側には切屑排出用の3条の捩れリード溝3,3,3を形成したランド部4を設けており、先端のヘッド部分10には、先端角αにより形成される切り刃5,5,5と、各切り刃から円周方向へ連なる逃げ面6および切屑を排出しやすくするためのシンニング7と、シンニングにより形成されるチゼルエッジ8を備えている。
また、ドリル本体1は、前記シャンク2の端面から先端ヘッド部分10に向けた軸中心に冷媒路9を開孔している。
【0015】
上記切り刃5,5,5は、前記3条の捩れリード溝3,3,3により中心角120°毎に配置された三枚刃構造を例示しており、その各切り刃5は前記チゼルエッジ8の各端から外周端に向けて形成され、実質的には、チゼルエッジ8が一次切り刃として機能し、前記切り刃5が二次切り刃として機能するものである。
【0016】
上記各捩れリード溝3は、先端ヘッド部分10からシャンク2側へ向けて、一般には、リード角(捩れ角)βを20°〜30°の範囲の中から一定値で開溝されるものであるが、本発明においては、先端ヘッド部分10だけのリード角(先端リード角)βaを、図1に示すようにリード角βより小さな角度(図示例では5°)に設定し、先端ヘッド部分10に先端リード部3aを形成する。すなわち、捩れリード溝3は、先端ヘッド部分10においてリード角βaが5°の先端リード部3aを有し、そこから所定のリード角β(特に限定されないが20°〜30°)に変化するものである。
なお、上記先端リード角βaは、前記5°に限定されるものではなく、捩れリード溝3のリード角やワークの材質等に対応して−10°〜+10°の範囲の一定値で有効である(図4参照)。すなわち、リード角βaが10°を超えると捲れ上がりPを防止する機能が達成できず、−10°未満になると切削性自体が低下することになるからである。さらに先端リード角βaの好ましい範囲は−5°〜+5°である。
【0017】
また、先端ヘッド部分10においては、図2、図3に示すように、捩れリード溝3を大きな外周掬い角θに設定することにより前記先端切り刃5の外周に鋭利な刃先形状をもった外周刃部5aを形成する。
この外周掬い角θは、外周刃部5aの切削性および刃先強度を考慮して20°〜40°、好ましくは30°〜40°の中の一定値に設定する。外周掬い角θが20°未満では所望の切削性が得られず、40°を超えると刃先強度が低く耐久性が得られないからである。
【0018】
そして、上記外周掬い角θの掬い面を形成することにより、各切り刃5は、鋭利な前記外周刃部5aが形成されるばかりでなく、前記チゼルエッジ8の各端から外周刃部5aに向けた切り刃稜線が凹曲線状に形成される。
この切り刃稜線の凹曲線形状は、外周掬い角θが同じ場合では前記先端角αにより変化する。具体的には、標準的な先端角αは118°〜130°であるので、図1においては先端角αが120°の場合を例示するが、図5のように先端角αを140°にすると、切り刃稜線の凹曲深さが図1の場合よりも大きく、すなわち、先端角αが大きい場合ほど凹曲線深さが深くなる。
なお、CFRP材料Wの加工においては、切屑が非常に硬く粉状になるため大容量の切屑を迅速に排出することが重要であることを考慮すると、前記切り刃稜線の凹曲線深さは深いことが好ましい。
【0019】
一方、三枚刃構造のドリルAにおいては、先端角αが大きくなるとスラスト方向(穿孔方向)の切削抵抗が大きくなることを考慮して、先端角αを標準角度より大きくする場合でも140°〜150°の範囲に設定する。
なお、切削抵抗をより軽減させるためには、上記の先端角140°〜150°の範囲であっても、先端角を二段変化、つまり中央部の先端角を120°前後にし、その外周先端角を140°〜150°の範囲に設定すればよい(図14)。なお、図14においては、刃先交換式の先端ヘッド20について図示するが、前記先端ヘッド部分10に適用できること勿論である。
【0020】
上記冷媒路9は、その後端を前記シャンク2の後端面に開口してドリル本体1の軸中心に延設され、先端を先端ヘッド部分10の前記先端リード部3aの近傍、具体的には、先端リード部3aの僅か後部位に配置して該先端に三本に分岐させた冷却孔9aを形成し、その各冷却孔9aの先端を前記捩れリード溝3内に開口する。
各冷却孔9aには、ドリルの穿孔加工時に冷媒路9を介して冷媒が供給されるが、その冷媒が捩れリード溝3内から先端切り刃5の稜線に向けて、より好ましくは切り刃5の外周刃部5aおよび先端リード部3aに向けて噴射し該部分を冷却するとともに切削された切屑を捩れリード溝3内後方へ排出するようにする。
【0021】
なお、冷媒としてはエアー、水、油などが使用されるが、CFRP材料Wを穿孔する場合には、切屑が非常に硬く粉状になるため水、油など液体の使用は不適合であることを考慮し、しかも膨張による冷却率の高いエアーを使用することが好ましい。
【0022】
而して、上記ドリルA(先端角αは図5の140°を例示)を用いてCFRP材料Wを穿孔加工する場合の作用について図6により説明する。
先ず、冷媒路9にエアーを供給しながらドリルAを高速回転させてCFRP材料Wに穿孔加工を開始するが、その初期には、先端ヘッド部分10の中心が当接し各チゼルエッジ8により切削して芯出しがなされ、その直後から鋭利な外周刃部5aがCFRP材料Wの表面を先端リード部3aで押し下げながら切り込みを開始する(図6(1)参照)。この切り込み初期において、外周刃部5aが円形を描きながら切り込むとともに、外周刃部5aに続く先端リード部3aの先端リード角βaの設定により,先端リード部3aのラジアル方向に作用する力成分がスラスト方向寄りの向き、すなわち外周刃部5aによる炭素繊維の切削力がドリルの進行方向に対して上向きに作用するのでなく下向きに作用する。それによって、図16に示したような表面の捲れ上がりPを防止することができる。
【0023】
次いで、ドリルAが進行する穿孔中においては、外周刃部5aの鋭利な刃先形状により切削されるので、炭素繊維が確実に切断されて孔内における髭残りが防止できるるとともに、穿孔が貫通する直前には、図6(2)に示すように、切り刃5の稜線で形成される凹曲線部内に切屑がリング状に残り、その切屑が穿孔貫通時に略そのままの状態で切り離されるので(図6(3)参照)、図16に示したような裏面における髭バリQの発生を防止することができる。
なお、上記穿孔加工中に冷媒路9に供給されたエアーにより、切屑が捩れリード溝3を通して後方へ排出され、また先端切り刃5の外周刃部5aおよび先端リード部3aに向けて噴射され冷却作用を及ぼすことは勿論である。特に、冷媒としてエアーの供給、切り刃稜線の凹曲線深さにより、CFRP材料Wの加工において、大容量の切屑を迅速に排出することが可能なことは前述のとおりである。
【0024】
次に、図7〜図12は本発明の他の実施例を示すもので、詳しくは、上述した先端ヘッド部分10に相当する先端ヘッド20をドリル本体11と別体に成形し、それをドリル本体11に着脱可能とした刃先交換式の場合である。
ドリル本体11が、3条の捩れリード溝13,13,13、ランド部14,14,14を有することや材質を超硬合金等にすることは前示ドリル本体1と同様である。
ドリル本体11は、その軸心部を貫通する冷媒路19を形成し、先端面すなわち先端ヘッド20を接合させる端面には、中心から各ランド部4へ放射状に延びる取付溝21を形成し、各取付溝21に先端ヘッド20の係合突起22を嵌め合ようにする。
また、ドリル本体11には、前記冷媒路19の先端外周面に各捩れリード溝3に冷却孔口19aを開口し、冷媒路19へ供給される冷媒(エアー)が先端ヘッド20の切れ刃15へ向けて噴射するようにする。
【0025】
先端ヘッド20が、凹曲線状の稜線を有する切り刃15を形成していること、その外周に鋭利な外周刃部15aを形成していること、および前記捩れリード溝13のリード角βより小さな角度の先端リード角βaを有する先端リード部13aを形成していることは、それらの機能と併せて前示先端ヘッド部分10と同様であるので詳細な説明は省略する。
この図7の先端リード部13aは、前記外周刃部15aから先端ヘッド20の裏面つまり後面に至る区域に形成され、すなわち、その区域が一定の先端リード角βaに形成され、その後端においてドリル本体11の捩れリード溝13に接続、つまりリード角βに変位する場合を例示している。なお、その変位点においては、製作性および耐久性を高めるために滑らかな角度変化となるようにR接続にする。
【0026】
この先端ヘッド20は、その裏面に前記ドリル本体11の各取付溝21に嵌め合う係合突起22を形成しており、各取付溝21は略V形溝とし、各係合突起22は略V形状として両者がガタツキなく嵌め合って位置決めされるようにする。すなわち、各取付溝21と各係合突起22との嵌合により、ドリル本体11の各捩れリード溝13が先端ヘッド20へ連続するように接合可能にする。また、上記各取付溝21と各係合突起22との嵌合構造は、先端ヘッド20の回転トルクを支承するものである。
【0027】
上記先端ヘッド20は、ドリル本体11の先端面にろう付けすることにより一体的に結合し、再研磨時など必要に応じてろうを溶融させることによりドリル本体11から取り外すことも可能である。また、ドリル径が大きい場合には、ろう付けに代えて、図13に例示するように、3箇所をボルト止め23により先端ヘッド20をドリル本体11に着脱可能に取り付けるようにすることも任意である。
なお、この刃先交換式のドリルを使用することにより、捲れ上がりPおよび髭バリQを防止する前述した作用が得られることは容易に理解されるので、説明の便宜上詳細は省略する。
【0028】
図14および図15は上記先端ヘッド20を改良した他の実施例を示すものである。
図14の先端ヘッド20aは、前述したとおり、先端角αを二段変化、具体的には中央部を120°、その外周部を140°に設定した場合である。それにより、先端ヘッド20による切り込み時における切削抵抗を軽減させるとともに切り刃稜線の凹曲線深さを確保させて、CFRP材料Wの捲れ上がりPおよび髭バリQの発生を一層確実に防止させる構造としたものである。
【0029】
図15の先端ヘッド20bは、先端リード部13aの長さを短くした場合である。すなわち、先の図7の先端ヘッド20においては、先端リード部13aを外周刃部15aから先端ヘッド20の裏面までの区域としたが、先端ヘッド20bにおいては、その区域を短く形成したものである。
具体的には、先端リード部13aは、外周刃部15aから先端ヘッド20bの裏面までの区域の略1/5程度の長さに形成し、その後方に捩れリード溝13と同一のリード角βを有する繋ぎリード部13bを介在させたものである。この先端ヘッド20bによれば、先端リード部13aの長さが短いので、刃先部分を再研磨する場合にその加工作業が容易になる。
【0030】
また、上記先端ヘッド20bにおいては、先端リード角βaとして負角(−5°)の場合を例示しているとともに先端リード部13aと繋ぎリード部13bが接続する変位点においては図7の先端ヘッド20で説明したと同様にR接続としている。
上記繋ぎリード部13bは、その後方の捩れリード溝13のリード角βと同一のリード角とした場合を説明したが、先端リード部13aの先端リード角βaと捩れリード溝13のリード角βとの角度差が大きい場合には、繋ぎリード部13bのリード角を、前記先端リード角βaより大きく捩れリード溝13のリード角βよりも小さくすること、すなわち、繋ぎリード部13bの介在により、先端リード部13aから捩れリード溝13を滑らかに接続するようにしてもよい。
なお、上記先端ヘッド20bの構成を前記図1の先端ヘッド部分10に適用することができることも勿論である。
【0031】
上記ドリル本体11、先端ヘッド20または20a,20bの成形法について説明すると、ドリル本体11は通常のドリル成形と同様に、回転砥石を用いて3条の捩れリード溝13を研削・研磨するとともに取付溝21を研削研磨加工する方法、あるいは捩れリード溝13を押し出し成形する方法が採用される。
先端ヘッド20または20a,20bの成形には、ドリル本体11と同様に回転砥石を用いた研削・研磨加工とすることもよいが、好ましくは、ダイヤモンド粉末や超硬材料などの高密度粉末を素材として型成形する方法、具体的には、それら粉末素材を超高圧および高温で型成形することにより、又はそれに加えて放電加工や研削加工などの追加工を施すことにより先端ヘッド20全体を焼結成形体とすることがよい。
この型成形法によれば、砥石が干渉して成形し得ない複雑、緻密な掬い部や先端リード溝などの形状を作製すること可能となり、また、特にダイヤモンド粉末を素材として使用すれば刃先部分の強度を高めて耐久性(寿命)の高いドリルが得られる。
【0032】
また、先端ヘッド20または20a,20bをセラミックス成形体とすること、詳しくは、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(SiN)、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、炭化ホウ素(B4C)、窒化ホウ素(CBN)などのセラミックス粉末材料を、例えば静水圧加圧(CIP,HIP)処理を施して成形することもよい。
さらに、上記セラミックス成形体の表面にダイヤモンド被覆層を形成すること、好ましくはダイヤモンドのナノ粒子を用いた被覆層とすることがよい。そして、ダイヤモンド被覆層を形成する場合には、ダイヤモンド被覆層の密着強度を高めるために、セラミックス成形体とダイヤモンド被覆層との間に両材料に相互に馴染む中間層を形成することが好ましい。
【0033】
なお、上記の型成形による焼結成形体を採用する場合、又はセラミック成形体、あるいはそれにダイヤモンド被覆層を形成した先端ヘッドの場合には、上記説明で開示した先端ヘッドの構造・形状に限定されることなく、通常の刃先交換式の先端ヘッドにも適用可能である。
【0034】
上記実施の形態の説明において、図1,4,7,14,15に示す先端リード部3a,13aは、何れもその全長を直線状に形成した場合を例示したが、それに限定されるものではなく、例えば、滑らかな凸面状(凸R形)や凹面状(凹R形)とすることも任意である。
【0035】
上記実施の形態の説明において、ドリル本体の芯厚の変化や捩れリード溝の溝幅、溝深さについて特に説明していないが、それらについて限定されるものではない。すなわち、芯厚については先端からシャンク側に向けて一定、増大、減少するもの、リード溝についても、その溝幅および深さが一定あるいは変化するもの、あるいはリード角βが途中から変化するものなどいずれでも本発明に適用できるものである。
各部寸法の具体値を例示すれば、ドリル径は1/8〜1インチ(約3.175〜25.4mm)で、図示例のドリルAでは約6mm、先端リード部3aの長さはCFRP材料Wなど被削材の厚さの50%以下(図示例で1〜1.5mm)である。
また、図9〜図11における溝幅比、芯厚、軸溝比を例示すれば表1のとおりである。
【0036】
【表1】
【0037】
また、上記実施の形態においては、難削材を含む複合材料としてCFRP材料の場合について説明したが、それに限定されるものではなく、それと同程度の難削性を有する複合材料に適用可能であること、それより切削容易な複合材料その他のワークに適用可能であることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明ドリルの側面図である。
【図2】同ドリルの先端拡大正面図である。
【図3】図1の(3)−(3)線に沿う拡大断面図である
【図4】本発明において適用される先端リード角の範囲を示す側面図である。
【図5】本発明において先端角を140°とした場合の側面図である。
【図6】本発明の作用を説明する断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態のドリルを示す部分拡大側面図である。
【図8】同ドリルの先端正面図である。
【図9】図7の(9)−(9)線に沿う断面図である。
【図10】同(10)−(10)線に沿う断面図である。
【図11】同(11)−(11)線に沿う断面図である。
【図12】図7のドリルの斜視図であり、その(1)は組立状態、(2)は分解した先端ヘッドの裏側斜視図、(3)は分解したドリル本体である。
【図13】先端ヘッドをボルト止めにより取り付ける実施例の先端正面図である。
【図14】先端角を二段変化させた先端ヘッドの他の実施例の側面図である。
【図15】先端リード部を改良した先端ヘッドのさらに他の実施例の側面図である。
【図16】従来ドリルで加工した場合における問題点を示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1:ドリル本体 3:捩れリード溝
3a:先端リード部 5:先端切り刃
5a:外周刃部 9:冷媒路
9a:冷却孔 10:先端ヘッド部分
β:捩れリード溝のリード角 βa:先端リード角
θ:外周掬い角 11:ドリル本体
13:捩れリード溝 13a:先端リード部
15:先端切り刃 15a:外周刃部
19:冷媒路 19a:冷却孔口
20:先端ヘッド 20a:先端ヘッド
20b:先端ヘッド 21:取付溝
22:係合突起 23:ボルト止め
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリル本体の外周面に所定のリード角βをもつ捩れリード溝を形成し、先端面に先端角により形成される切り刃を有するドリルにおいて、そのドリル本体の先端ヘッド部分に、前記捩れリード溝の先端リード角βaを前記リード角βより小さな角度−10°〜+10°の範囲の一定値に設定した先端リード部を形成し、外周掬い角の設定により前記切り刃に刃先形状を鋭利にした外周刃部を形成するとともに切り刃の稜線を凹曲線状となしたことを特徴とするドリル。
【請求項2】
上記外周掬い角が20°〜40°であることを特徴とする請求項1記載のドリル。
【請求項3】
上記先端切り刃が、3条の捩れリード溝により中心角120°毎に配置される三枚刃であることを特徴とする請求項1または2記載のドリル。
【請求項4】
上記先端ヘッド部分の先端角を140°〜150°としたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載のドリル。
【請求項5】
上記先端角が、先端中央部を約120°とし、その外周を140°〜150°としたことを特徴とする請求項4記載のドリル。
【請求項6】
ドリル本体の軸中心に冷媒路を穿孔し、その冷媒路より分岐させた冷却孔を上記各リード溝内の先方部に開口し、該冷却孔の開口より噴射する冷媒が先端切り刃の稜線に向けて噴射するようにしたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載のドリル。
【請求項7】
上記先端ヘッド部分が、ドリル本体と別体であってドリル本体の先端に着脱可能に取り付けられた刃先交換式であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項記載のドリル。
【請求項8】
上記先端ヘッド部分が粉末材料を型成形により形成した焼結成形体であることを特徴とする請求項7記載のドリル。
【請求項9】
上記先端ヘッド部分が炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナなどのセラミックス成形体であることを特徴とする請求項8記載のドリル。
【請求項10】
上記先端ヘッド部分がセラミックス成形体の表面にダイヤモンド被覆層を形成していることを特徴とする請求項9記載のドリル。
【請求項1】
ドリル本体の外周面に所定のリード角βをもつ捩れリード溝を形成し、先端面に先端角により形成される切り刃を有するドリルにおいて、そのドリル本体の先端ヘッド部分に、前記捩れリード溝の先端リード角βaを前記リード角βより小さな角度−10°〜+10°の範囲の一定値に設定した先端リード部を形成し、外周掬い角の設定により前記切り刃に刃先形状を鋭利にした外周刃部を形成するとともに切り刃の稜線を凹曲線状となしたことを特徴とするドリル。
【請求項2】
上記外周掬い角が20°〜40°であることを特徴とする請求項1記載のドリル。
【請求項3】
上記先端切り刃が、3条の捩れリード溝により中心角120°毎に配置される三枚刃であることを特徴とする請求項1または2記載のドリル。
【請求項4】
上記先端ヘッド部分の先端角を140°〜150°としたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載のドリル。
【請求項5】
上記先端角が、先端中央部を約120°とし、その外周を140°〜150°としたことを特徴とする請求項4記載のドリル。
【請求項6】
ドリル本体の軸中心に冷媒路を穿孔し、その冷媒路より分岐させた冷却孔を上記各リード溝内の先方部に開口し、該冷却孔の開口より噴射する冷媒が先端切り刃の稜線に向けて噴射するようにしたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載のドリル。
【請求項7】
上記先端ヘッド部分が、ドリル本体と別体であってドリル本体の先端に着脱可能に取り付けられた刃先交換式であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項記載のドリル。
【請求項8】
上記先端ヘッド部分が粉末材料を型成形により形成した焼結成形体であることを特徴とする請求項7記載のドリル。
【請求項9】
上記先端ヘッド部分が炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナなどのセラミックス成形体であることを特徴とする請求項8記載のドリル。
【請求項10】
上記先端ヘッド部分がセラミックス成形体の表面にダイヤモンド被覆層を形成していることを特徴とする請求項9記載のドリル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−806(P2009−806A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−130714(P2008−130714)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(503071428)NEXT I&D株式会社 (11)
【出願人】(596157045)ビーティーティー株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(503071428)NEXT I&D株式会社 (11)
【出願人】(596157045)ビーティーティー株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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