説明

ドレナージバッグ

ドレナージチューブとの接続のための接続部材(4)を有する、吸引された体液の収容のためのドレナージバッグは、ドレナージチューブからドレナージバッグ(B)の中への体液の流動を可能にし、かつドレナージバッグ(B)からドレナージチューブの中への体液の流動を阻止する一方向弁(8)を備えている。該ドレナージバッグ(B)は、簡単な方法で、すでに吸引された液体の逆流を阻止し、かつ衛生に関するきわめて高い要求を充足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念によるドレナージバッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療の領域、例えば外科手術の時もしくは手術後、あるいはまた創傷ドレナージ、胸部ドレナージまたは体脂肪吸引における体液の吸引のため、一方が吸引ポンプと接続され、他方が患者に繋がれたドレナージチューブに接続されている捕集容器が使用される。吸引ポンプを用いて、捕集容器中に負圧を生じさせ、その結果、体液がドレナージチューブを介して吸引され、捕集容器中に捕集されることができる。該捕集容器は、通常、硬質材料から製造されており、かつ密栓可能な蓋を有している。
【0003】
しかしながら、今日の衛生規則を充足するには、液体は、通常、硬質容器自体にではなく、捕集容器中に配置されている使い捨てバッグ中に捕集される。液体で充填されたこの種の使い捨てバッグは、ドレナージバッグとも呼ばれるが、簡単に除去でき、かつ適切に廃棄物処理できる。捕集容器は、洗浄されて再利用される。
【0004】
EP−A−0861688から、吸引すべき液体の収容のためのこの種の使い捨てバッグは公知である。該使い捨てバッグは、硬質ヘッド部材を有しており、該ヘッド部材にはドレナージチューブまたは吸引チューブのための接続部材と、吸引源との接続のためのもう1つの開口部が配置されている。該硬質ヘッド部材は、捕集容器の蓋に固定されることができるが、この際、ドレナージチューブ接続部材は、同時に、蓋にドレナージバッグを固定するための固定手段として用いられる。該ドレナージバックは、医療現場で有利であることが認められている。
【0005】
しかしながら、取扱いを誤ると、ある種のドレナージバッグでは、すでに吸引された液体が患者に押し戻されてしまうことがある。これは、殊にポンプ排出過程の終了時に、真空ポンプのスイッチが切られるのではなく、他の方法で、例えば接続管がドレナージバッグと真空ポンプの間で引き抜かれることによって、回路が遮断される場合に生じる。
【0006】
この場合、自己の体液であるとしても、これがすでに不利な結果となり得る。しかしながら、更に大きな衛生学上のリスクを個々の病院の日常的な業務ははらんでいる。即ち、コストの理由から、最初の患者によってまだ完全には充填されていないバッグが、2人目もしくは3人目の患者にも、しばしば利用されているのである。この場合には、ドレナージチューブのみが交換される。次に、この後に続く患者で取扱いを誤り、そのためすでにバッグ中に存在する液体が逆流すると、これが健康上重大な結果をもたらすことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(発明の要約)
従って、本発明の課題は、この問題を取り除く器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、請求項1の特徴を備えたドレナージバッグが解決する。
ドレナージチューブとの接続のための接続部材を有する、吸引された体液の収容のための本発明によるドレナージバッグは、ドレナージチューブからドレナージバッグの中への体液の流動を可能にし、かつドレナージバッグからドレナージチューブの中への体液の流動を阻止する一方向弁を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるドレナージバッグは、簡単な方法で、すでに吸引された液体の逆流を阻止し、かつ衛生に関するきわめて高い要求を充足する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の対象を、添付の図面に略図的に記載されている1つの有利な実施例に基づいて説明する。
【0011】
1つの好ましい実施態様では、一方向弁が、ドレナージバッグの入口部上に配置されており、この際、該一方向弁は、該入口部の入口開口部を覆う舌状物を有している。該一方向弁の前記構成は、安価であり、その結果、この弁が使い捨てバッグとして用いられるドレナージバッグの製造コスト著しく上昇させることはない。好ましくは、該入口部は、接続部材のバッグ内部延長部を形成する。
【0012】
1つの好ましい実施態様では、使い捨てバッグが硬質ヘッド部材を有しており、該硬質ヘッド部材に接続部材が配置されており、かつ好ましくは、該硬質ヘッド部材に吸引のために必要な負圧を生じる吸引源との接続のための開口部も存在する。
【0013】
他の有利な実施態様は、従属請求項から明らかである。
【0014】
発明の本質的特徴がより良く理解されるために、図中のドレナージバッグは、上下を逆にして図示されている。該ドレナージバッグの使用時の状態は、通常、180度回転させられるが、これは即ち、以下に記載の接続ニップルが、上に向かって突き出し、かつフィルム1が下に向くということである。
【0015】
図1は、本発明によるドレナージバッグBを示している。該ドレナージバッグは、本質的に可撓性の材料、殊にバッグに溶着されたフィルム1と、該フィルム1と溶着されている硬質ヘッド部材2とからなる。該ドレナージバッグBは、ヘッド部材2中に存在する開口部以外は密閉されている。
【0016】
該フィルム1は、スタンドバッグとして構成されていてもよい。しかしながら、該フィルムは、単純に、互いに溶着されている2つの互いに向かい合うフィルムシートからなっていてもよい。同様に、該フィルムは、一方の横断面がかみ合わせ溶着で閉鎖されており、他方の向かい合う横断面が少なくとも部分的に硬質ヘッド部材2を取り囲むチューブバッグとして構成されていてもよい。
【0017】
該硬質ヘッド部材2は、好ましくは合成樹脂から製造されている。それは、ベースプレート3を有しており、該ベースプレートには、該フィルム1が溶着されている。図2でよくわかるように、ベースプレート3は、連結路開口部を備えており、該連結路開口部は、接続部材4によって取り囲まれている。該接続部材4は、接続ニップル40を有しており、該接続ニップルには、ここで図示されていない患者に通じるドレナージチューブが接続可能である。該接続部材4は、更に、休止ノブ41を有しており、該休止ノブは、接続ニップル40を取り囲み、かつここで図示されていない硬質ドレナージ容器中でドレナージバッグBの取り外し可能な固定に用いられている。ベースプレート3には、更に、閉鎖蓋5が、可動接続されており、該閉鎖蓋は、該バッグBの使用の前後に、接続ニップル40を閉鎖する。好ましくは、蓋5は、休止ノブ41の上に被せられるが、この場合、該蓋は、内部短管を有しており、該内部短管は、密閉しつつ接続ニップル40の中に突き出ている。
【0018】
硬質ヘッド部材2は、好ましくは更に開口部6を有しており、該開口部が、ここで図示されていない吸引源、殊に吸引ポンプとの接続に使用される。吸引源が吸引された体液から保護されるように、該開口部6は、膜7、例えば疎水性フィルタで閉鎖されている。該フィルタ7は、好ましくはバッグ内部空間中に突き出している吸込み口60中に配置されている。
【0019】
同様のバッグは、冒頭で引用したEP−A−0861668に記載および図示されている。これにより、その開示内容は、本願に統合される。
【0020】
しかしながら、本発明によるドレナージバッグBは、その他に一方向弁8を有しており、該一方向弁が、ドレナージチューブからドレナージバッグの中への体液の流動を可能にし、かつ該一方向弁がドレナージバッグからドレナージチューブの中への体液の流動を阻止する。
このため、ここで図示された実施態様では、硬質ヘッド部材2が入口部42を有しており、該入口部上に一方向弁8が配置されている。該入口部42は、ここでは、バッグ内部空間I中に突き出た接続部材4の延長部であるので、その結果、該一方向弁8は、接続部材4のドレナージチューブの反対側に配置されている。
【0021】
該一方向弁は、図3において図示されているように、本質的に円筒状の基体80を有しており、該基体は、入口部42を取り囲んでいる。該基体80には、接続部分81を介して平らな舌状物82が可動配置されており、該舌状物は、入口部42の入口開口部を覆い、かつその上方の前部表面上に載置されている。バッグ内部空間I中に作られる負圧によって、舌状物82が、入口部42の開口部から引き離され、かつ該開口部が吸引された体液の流入のために開かれる。この平らなブリッジ81は、この場合、開口部の動きを容易にする。しかし、ドレナージバッグ内部空間I中に、大気圧もしくは周囲に比べた負圧が存在しない場合には、該舌状物82は、密閉しつつ入口部42の上にのっている。好ましくは、該一方向弁8は、若干弾性のある材料、殊に比較的堅いゴムで製造される。これによって、簡単な方法および手段で、入口部42に蓋をすることができる。
【0022】
該ヘッド部材2が、ここで図示されているように、吸込み口60を有している場合には、入口部42は、好ましくは吸込み口60よりも短く構成され、その結果、該吸込み口は、バッグ内部空間I中でより遠くまで突き出ている。更に、該弁8の該舌状物82は、好ましくは、接続部分81が吸込み口60の方に向けられるように配置される。これ等の措置はそれぞれ飛沫からの保護を可能にするので、その結果、膜7はできるだけ液体と接触することはなく、ひいてはあまり速くに詰まり得るものではない。
【0023】
好ましくは、更にねじれ保護が存在しており、これによって、該一方向弁8を位置決めして配置することができる。従って、ここに図示された例では、基体80が、本質的に円形の内壁を有しており、該内壁が、接続部分81の領域では平坦にされており、これにより、入口部42の円形の外被に設置する際のねじれ保護が形成される。あるいは、相応する平坦部を、弁8の外被膜上に配置することもできる。
【0024】
更に、一方向弁8をその位置で保持するために固定支持手段が存在していてもよい。例えば、入口部42は、固定支持節状物、隆起または固定支持突出部を備えていてもよい。該入口部は、円錐形に構成されていてもよい。
【0025】
上記のドレナージバッグBは、1つの好ましい実施例である。しかしながら、別のドレナージバッグにこの種の一方向弁を備えることもできる。例えば、該一方向弁は、バッグの外面上に配置されていてもよい。該バッグは、必ずしも硬質ヘッド部材を有していなければならないというものでもない。また、該バッグは、必ずしも吸引源との接続のための開口部を有していなければならないというものでもない。更に、該バッグは、更に別の開口部、例えばバッグを容易に空にするための開口部を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明によるドレナージバッグの斜視図である。
【図2】図1によるドレナージバッグの硬質ヘッド部材の斜視図である。
【図3】図3は、図1による一方向弁の斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
B ドレナージバッグ
I バッグ内部空間
1 フィルム
2 ヘッド部材
3 ベースプレート
4 接続部材
5 閉鎖蓋
6 開口部
7 膜
8 一方向弁
40 接続ニップル
41 休止ノブ
42 入口部
60 吸込み口
80 基体
81 接続部分
82 舌状物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレナージチューブとの接続のための接続部材(4)を有する、吸引された体液の収容のためのドレナージバッグであって、該ドレナージバッグが、ドレナージチューブからドレナージバッグの中への体液の流動を可能にし、ドレナージバッグからドレナージチューブの中への体液の流動を阻止する一方向弁(8)を備えていることを特徴とする、ドレナージバッグ。
【請求項2】
該ドレナージバッグが硬質ヘッド部材(2)を有し、該接続部材(4)が硬質ヘッド部材(2)中に配置されている、請求項1に記載のドレナージバッグ。
【請求項3】
該一方向弁(8)が該接続部材(4)に配置されている、請求項1または2に記載のドレナージバッグ。
【請求項4】
該一方向弁(8)が、該接続部材(4)のドレナージチューブの反対側に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載のドレナージバッグ。
【請求項5】
該ドレナージバッグが、入口部(42)を有し、かつ該一方向弁(8)が該入口部(42)上に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項に記載のドレナージバッグ。
【請求項6】
該入口部(42)が、固定支持手段を備えている、請求項5に記載のドレナージバッグ。
【請求項7】
該一方向弁(8)が、該入口部(42)を取り囲む円筒状の基体(80)を有し、該一方向弁(8)が、更に、該入口部(42)の入口開口部を覆い、該円筒状の基体(80)に可動に配置された舌状物(82)を有する、請求項5または6に記載のドレナージバッグ。
【請求項8】
該ドレナージバッグが、吸引源との接続のための開口部(6)を有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載のドレナージバッグ。
【請求項9】
該開口部(6)が、該硬質ヘッド部材(2)中に配置されている、請求項2及び8に記載のドレナージバッグ。
【請求項10】
該ドレナージバッグが、該硬質ヘッド部材(2)を除いて、可撓性の材料、殊にバッグに成形された合成樹脂フィルムから製造されている、請求項2に記載のドレナージバッグ。
【請求項11】
該吸引源との接続のための該開口部(6)が、ドレナージバッグの内部空間(I)中に突き出ている吸込み口(60)を有し、その際、該入口部(42)が、該吸込み口(60)よりも短く構成されている、請求項5及び8に記載のドレナージバッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−529244(P2007−529244A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503173(P2007−503173)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000139
【国際公開番号】WO2005/087152
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(503465052)メデラ ホールディング アーゲー (40)
【Fターム(参考)】