説明

ドレン中和器

【課題】給湯器の制御部側で水位の異常上昇を確実に検知可能なドレン中和器を提供すること。
【解決手段】給湯器1の熱交換器4へ繋がるドレン入口71を備えたドレン中和器であって、ドレン入口71の近傍には、一対の水位検知用の電極76が横並びに設けられ、それらの電極76のうち、ドレン入口71から遠い側の第1の電極76Aの下端761が、ドレン入口71に近い側の第2の電極76Bの下端762より下位となるように配置された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器に組み込まれるドレン中和器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱交換器で発生した強酸性のドレンの中和処理を行う従来のドレン中和器において、その容器内の水位の異常な上昇を検知するための水位検知用の電極を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来のドレン中和器では、給湯器の制御部へ繋がる一対の電極が容器内の上部に並設されており、ドレン排出経路の凍結や詰まり等によって容器内の水位がこれら両電極の配設部にまで達し、その下端が共にドレンに浸漬すると、電気的に導通するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−189931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このものでは、給湯器が傾いた状態で設置され、ドレン中和器が傾いていると、水位の上昇に伴って容器内の上部に空気溜まりができた際に、一方の電極がその空気溜まりの中に配置された状態となってドレンに浸漬せず、制御部側で水位の異常上昇を検知し損なう虞があった。
【0006】
本発明は係る点に鑑みてなされたものであり、給湯器の制御部側で水位の異常上昇を確実に検知可能なドレン中和器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るドレン中和器は、
給湯器の熱交換器へ繋がるドレン入口を備えたドレン中和器であって、
ドレン入口の近傍には、一対の水位検知用の電極が横並びに設けられ、
前記電極のうち、ドレン入口から遠い側の第1の電極の下端が、ドレン入口に近い側の第2の電極の下端より下位となるように配置されたものである。
【0008】
給湯器が傾いた状態で設置され、ドレン中和器が傾いていると、ドレン入口より遠い側に上述した空気溜まりができ易いが、このものでは、そのドレン入口の遠い側に配設された第1の電極の下端が、ドレン入口の近い側に配設された第2の電極の下端より下方に位置しているから、ドレン中和器内の水位が上昇した際には、両電極の下端が共にドレンに浸漬する。
【0009】
上記ドレン中和器において、第1の電極および第2の電極が同一構造であり、前記第1の電極の取付部が第2の電極の取付部より下位に配置されたものであるのが望ましい。
【0010】
このものでは、両電極をいずれの取付部へ取り付けても、ドレン入口に遠い側の電極の下端がドレン入口に近い側の電極の下端より下位となるから、電極の組み付け不良を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記構成であるから次の特有の効果を有する。
【0012】
ドレン中和器が傾いていても、給湯器の制御部側で水位の異常上昇を確実に検知可能なドレン中和器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係るドレン中和器を組み込んだ給湯器の内部構造を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るドレン中和器の正面視一部断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るドレン中和器の斜視一部断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るドレン中和器の電極周辺を示す部分断面である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るドレン中和器の電極周辺を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、上記した本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
【0015】
図1に示すように、給湯器1の外ケース10内には、バーナユニット2と、このバーナユニット2から放出される燃焼ガス中の顕熱を回収する主熱交換器3と、上記燃焼ガス中の潜熱を回収する副熱交換器4とがこの順序で上方へ積み重なるように配設されている。また、バーナユニット2の下部で且つ外ケース10内の右側下方の空間には、バーナユニット2へのガスの供給量を調整する弁ユニット5が配設されている。
【0016】
外ケース10の底壁101の下面側には、給水配管接続口12、出湯配管接続口13およびガス配管接続口15が設けられている。上記給水配管接続口12は、外ケース10内に延設される入水管120を介して副熱交換器4の図示しない水入口へ繋がっており、上記出湯配管接続口13は、外ケース10内に延設される出湯管130を介して主熱交換器3の図示しない湯出口へ繋がっている。また、上記ガス配管接続口15は、弁ユニット5の図示しないガス入口へ直接的に繋がっている。
【0017】
バーナユニット2の下部左側には、給湯器1の外部の空気をバーナユニット2へ送り込む図示しない給気ファンが配設されており、本発明の実施の形態に係るドレン中和器7は、この給気ファンの正面側で且つ弁ユニット5の左側の空間に組み込まれている。
【0018】
ドレン中和器7の外郭を構成する中空の容器70は、上面が開放する箱状の容器本体70Aと、その上面の開口部700を覆う上蓋70Bとで構成されており、その上蓋70Bの上部には、後述する水位検知用の電極76を組み込むための電極収容部703が設けられている。
【0019】
電極収容部703の上部には、その電極収容部703の内側の空間を介して容器本体70Aの内部へ繋がるドレン入口71が設けられており、副熱交換器4から外ケース10内に延設されたドレン管170は、このドレン入口71に接続される。従って、副熱交換器4内で生成されたドレンは、ドレン管170を通じてドレン入口71へ導かれ、容器70内へ回収される。
【0020】
一方、容器本体70Aの下面701で且つ正面視右寄りの箇所には、ドレン出口72が設けられている。このドレン出口72は、容器本体70Aに一体形成されており、給湯器1のドレン排出口として外ケース10の底壁101の下方へ突出する。尚、図示しないが、上記ドレン出口72には、給湯器1の外部へ延びる排水用の配管が直接的に接続される。従って、容器70内に回収されたドレンは、容器本体70A内に装填された中和剤7Nによって中和された後、上記ドレン出口72から図示しない排水用の配管を通じて給湯器1の外部へ排出される。
【0021】
また、容器本体70Aの下面701の略中央には、水抜き栓73が設けられている。この水抜き栓73は、外ケース10の底壁101の下方へ突出し、開栓することで容器本体70A内に滞留したドレンを給湯器1の外部へ排出できる。
【0022】
図2に示すように、容器本体70Aの内部空間は、ドレンの中和剤7Nを収容する中和剤収容室C1と、中和剤収容室C1に回収されたドレンをドレン出口72へ導くドレン導出室C2とに区分けされており、ドレンの中和剤7Nは、上記中和剤収容室C1に装填される。尚、ドレン出口72は、上記ドレン導出室C2の底部に設けられており、水抜き栓73は、上記中和剤収容室C1の底部に設けられている。
【0023】
上蓋70Bは、その周縁が容器本体70Aの開口部700の周縁に対して水密状態で固定されており、この上蓋70Bの左側で且つ上記中和剤収容室C1の左上方に電極収容部703が形成されている。
【0024】
電極収容部703は、下方へ開放する正面視断面略コの字状に形成されており、その内側の空間(以下、「電極室」という)C3は、容器本体70Aの開口部700を介して中和剤収容室C1へ繋がっている。一方、ドレン入口71の内側開口711は、電極収容部703の上壁(以下、「電極室上壁」という)704の内側に開設されており、この電極室C3を介して中和剤収容室C1へ繋がっている。
【0025】
また、電極室上壁704で且つドレン入口71の前方には、容器70内の水位の異常な上昇を検知するための一対の電極76が設けられている。詳述すると、収容部上壁704の上面の異なる高さ位置には、電極取付部として二つの円形の座面77がドレン中和器7の左右方向へ横並びで形成されており、それら座面77に、丸小ねじ状で且つ同一長さの電極76が各別に取り付けられている。
【0026】
電極76は、座面77の上部から電極室C3内へ延設されており、給湯器1の図示しない制御部へ電気配線を通じて繋がっている。そして、容器本体70A内の水位がこの電極室C3内にまで達し、それら電極76の下端761,762が共にドレンに浸漬すると、それら電極下端761,762相互が電気的に導通し、上記制御部側で検知するように構成されている。
【0027】
図3に示すように、ドレン入口71は、電極室上壁704の左後方位置に配設されており、上記二つの座面77は、このドレン入口71の前方右側に並設されている。また、ドレン入口71から遠い側に配設された座面(以下、「第1の座面」という)77Aは、ドレン入口71から近い側に配設された座面(以下、「第2の座面」という)77Bより下位に設けられている。
【0028】
即ち、上記二つの電極76のうち、第2の座面77Bに取り付けられる電極(以下、「第2の電極」という)76Bは、ドレン入口71に近い位置に配設され、第1の座面77Aに取り付けられる電極(以下、「第1の電極」という)76Aは、ドレン入口71から遠い位置で且つ上記第2の電極より下位に配設されている。
【0029】
従って、第1の電極76Aの下端761は、第2の電極76Bの下端762より下方で且つドレン入口71の内側開口711から遠い側に配置され、第2の電極76Bの下端762は、第1の電極76Aの下端761より上方で且つドレン入口71の内側開口711に近い側に配置される。
【0030】
また、図2に示したように、第1の電極76Aの下端761および第2の電極76Bの下端762は、共にドレン入口71の内側開口711より下方に位置しており、それら第1の電極76Aの下端761と第2の電極76Bの下端762とを繋ぐ基準線Lを水平線として見た場合に、その基準線Lより上方に上記内側開口711が設けられている。
【0031】
ところで、給湯器1が壁面に対して正面視左側へ傾いた状態で設置されていると、ドレン出口72の下流側で生じた凍結や詰まり、或いは、副熱交換器4からの水漏れ等によって容器70内の水位が電極室C3内にまで達した際に、その電極室C3内の右側上部、即ち、ドレン入口71の内側開口711より右側の電極76の配設部周辺に空気溜まりAのできる可能性がある(図4参照)。
【0032】
しかしながら、このものでは、上記内側開口711から遠い側に配設された右側の電極下端(第1の電極76Aの下端)761が、内側開口711に近い側に配設された左側の電極下端(第2の電極76Bの下端)762より下方に配置されているから、給湯器1が所定角度の範囲内で正面視左側へ傾いた状態で設置されても、その右側の電極下端761が左側の電極下端762より上位にならない。そのため、容器70内の水位が上昇した際には、右側の電極下端761が上記空気溜まりAの中に配置された状態とならず、両電極下端761,762が共にドレンに浸漬する。これにより、給湯器1の制御部側で水位の異常上昇を確実に検知することが可能である。
【0033】
尚、給湯器1が壁面に対して正面視右側へ傾いた状態で設置されている場合、容器70内の空気は、その内部の水位の上昇に伴ってドレン入口71の内側開口711からドレン管170側へ排出されるため、電極76の配設部周辺に上述した空気溜まりAができ難い。従って、この場合も、容器70内の水位が上昇した際、上記両電極下端761,762が共にドレンに浸漬する。
【0034】
また、第1の電極76Aの下端761と第2の電極76Bの下端762とを繋ぐ基準線Lを水平線として見た場合に、その基準線Lより上方にドレン入口71の内側開口711が配設されていることで、容器70内の水位が上昇した際、それら両電極下端761,762が確実にドレンに浸漬するから、水位の異常上昇を一層確実に検知することが可能である。
【0035】
さらに、第1の座面77Aを第2の座面77Bより下位に配設し、それら第1の座面77Aおよび第2の座面77Bに同一構造の電極76を各別に取り付けた構成を採用したことによって、両電極76をいずれの座面77A,77Bへ取り付けても、ドレン入口71に遠い側の電極76の下端がドレン入口71に近い側の電極76の下端より下位となるから、ドレン中和器7への電極76の組み付け不良を確実に防止できる。これにより、水位の異常上昇を確実に検知することの可能なドレン中和器7を提供できる。
【0036】
[その他]
上記実施の形態では、第1の座面77Aを第2の座面77Bより下位に配設し、それら第1の座面77Aおよび第2の座面77Bに同一長さの電極76を各別に取り付けたものを説明したが、図5に示すように、第1の座面77Aと第2の座面77Bとを同一高さ位置に配設し、第1の座面77Aには、第2の座面77Bに取り付けた第2の電極76Bより長い第1の電極76Aを取り付け、それら第1の電極76Aの下端761と第2の電極76Bの下端762とを繋ぐ基準線Lを水平線として見た場合に、その基準線Lより上方にドレン入口71の内側開口711が設けられるように構成したものであっても良い。
【0037】
このものでも上述した形態と同様、容器70内の水位が上昇した際に、第1の電極76Aの下端761および第2の電極76Bの下端762が共にドレンに浸漬するから、給湯器1の制御部側で水位の異常上昇を確実に検知することが可能である。
【0038】
また、上記実施の形態では、座面77A,77Bがドレン中和器7の左右方向へ横並びで配置されたものを説明したが、第1の座面77Aが第2の座面77Bより前方に配置されるように、ドレン入口71の左前方へ向かって横並びで配置されたものであっても良い。
【0039】
給湯器1が後方へ傾いた状態で設置されていると、容器70内の水位が電極室C3内にまで達した際に、その電極室C3内の前側上部、即ち、ドレン入口71の内側開口711より前方の電極76の配設部周辺に空気溜まりができる可能性がある。しかしながら、このものでは、内側開口711から遠い側に配設された前側の電極下端(第1の電極76Aの下端)761が、内側開口711に近い側に配設された後側の電極下端(第2の電極76Bの下端)762より下方に配置されており、容器70内の水位が上昇した際には、それら両電極下端761,762が共にドレンに浸漬するから、水位の異常上昇を一層確実に検知することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1・・・給湯器
4・・・副熱交換器(熱交換器)
7・・・ドレン中和器
70A・・・容器本体(容器)
70B・・・上蓋(容器)
71・・・ドレン入口
72・・・ドレン出口
76A・・・第1の電極
76B・・・第2の電極
761・・・第1の電極の下端
762・・・第2の電極の下端
77A・・・第1の座面(第1の電極の取付部)
77B・・・第2の座面(第2の電極の取付部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯器の熱交換器へ繋がるドレン入口を備えたドレン中和器であって、
ドレン入口の近傍には、一対の水位検知用の電極が横並びに設けられ、
前記電極のうち、ドレン入口から遠い側の第1の電極の下端が、ドレン入口に近い側の第2の電極の下端より下位となるように配置された、ドレン中和器。
【請求項2】
請求項1に記載のドレン中和器において、
第1の電極および第2の電極が同一構造であり、前記第1の電極の取付部が第2の電極の取付部より下位に配置された、ドレン中和器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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