説明

ドロスピレノンの調製方法

プロゲステロン活性と、抗電解質コルチコイド活性と、抗アンドロゲン活性とを有する合成ステロイドであり、避妊作用を有する医薬組成物の調製に有用なドロスピレノンの調製方法について、開示する。この方法は、17α−(3−ヒドロキシプロピル)−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスタン−3β,5,17β−トリオールを酸化する工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステロイドの合成方法に係り、特に、ドロスピレノンの工業スケールでの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の式(I)に記載の化合物は、ドロスピレノンとして公知の、6β,7β,15β,16β−ジメチレン−3−オキソ−17α−プレグン−4−エン−21,17−カルボラクトンなる化学名を有するものである。
【0003】
【化8】

【0004】
この化合物は、プロゲステロン活性と、抗電解質コルチコイド活性と、抗アンドロゲン活性とを有する合成ステロイドである;これらの特性のおかげで、ドロスピレノンは、経口投与用の避妊作用を有する医薬組成物の調製に使用されてきた。
【0005】
ドロスピレノンの調製について、文献に数多くの方法が知られているが、例えば、特許文献1に記載の方法では、3β,7α,15α−トリヒドロキシ−5−アンドロステン−17−オンから出発して、中間体である5,6β−エポキシ−7β−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスタン−17−オンを経由するものである。
【0006】
特許文献1で述べるように、この中間体は、その後、試薬として及び反応溶媒として、テトラクロロメタンを用いる反応により、7α−クロロ−5,6β−エポキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイロキシ−5β−アンドロスタン−17β−オンに変換される。比較的大容量でこのような高い毒性を有する溶媒を使用することは、この方法の望ましくない面の一つである。
【0007】
特許文献1に開示の方法において、中間体である7α−クロロ−5,6β−エポキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスタン−17−オンから、複数のステップを経て、中間体である17α−(3−ヒドロキシプロピル)−6β,7β,15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスタン−3β,5,17β−トリオールに到達し、ここから、熱条件下で、ピリジン/水/無水クロム酸の混合物を用いて酸化することにより、最終産物であるドロスピレノンが得られる。このステップは、公知の方法において、さらなる欠点となる:無水クロム酸は、法的に使用が制限される公知の発ガン物質であって、使用及びこれらの産物の廃棄に注意が必要であり、実用的に使用に適さないものとしている。
【0008】
特許文献2は、ドロスピレノンのその他の調製方法について開示しており、17α−(3−ヒドロキシプロピル)−6β,7β,15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスタン−3β,5,17β−トリオールから出発して、酸化剤としてルテニウム塩を用いた2つの異なる相において、ドロスピレノンが製造される;この文献に記載の例において、クロマトグラフィーによる純度が93%である粗ドロスピレノンが得られ、その後、クロマトグラフィーにより純度が向上される。
【0009】
ここで、注目すべきことに、ステロイドの工業バッチでの組織だったクロマトグラフィー精製が可能な技術であることであるが、しかしながら、専用の装置と、作業環境を必要とし、従って、かなりの実務上及び経済上に関与するものとなる。
【特許文献1】欧州特許第0075189号明細書
【特許文献2】欧州特許第0918791B8号明細書
【特許文献3】米国特許第6,121,465号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、先行技術における上述の方法の欠点を示すことなく、高い純度でドロスピレノンを調製し得る方法について、要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願出願人は、医薬組成物の調製への使用に適した、高い純度でドロスピレノンを取得し得る方法を開発し、この方法は、毒性及び発癌性を有する試薬を使用することに関連する上記の欠点を克服し、高い最終純度で取得するように、粗ドロスピレノンのクロマトグラフィーによる精製に関する要求を克服するものである。
【0012】
従って、本発明の主題は、ドロスピレノンの調製方法であって、有機溶媒中で、触媒量の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカルの存在下、式(VIII)に示す、17α−(3−ヒドロキシプロピル)−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスタン−3β,5,17β−トリオールを、適当な酸化剤で酸化する工程を有する。この酸化は、その後、酸化反応を行う同様の反応器にプロトン酸を直接添加し、式(I)のドロスピレノンを得るものである。
【0013】
【化9】

【0014】
本発明のさらなる主題は、上述の工程で得られたドロスピレノンであり、また、活性本体として上述の方法で得たドロスピレノンと、キャリアとを有する医薬組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の特徴及び利点について、以下に詳細に記載する。
【0016】
本発明における方法の酸化の基質、つまり、17α−(3−ヒドロキシプロピル)−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスタン−3β,5,17β−トリオールは、市販の製品から、当業者公知の方法により取得され得る。好ましくは、この製品は、以下のステップを有する方法に従って、5,6β−エポキシ−7β−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスタン−17−オンから得られる:
【0017】
a)式(III)に示す7α−ブロモ−5,6β−エポキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスタン−17−オンを得るように、式(II)の化合物を、メシルクロライドと反応して、単離されない対応するメシレートを得て、且つこれから、リチウムブロマイドを添加して式(III)の化合物を得ることにより、式(II)に示す5,6β−エポキシ−7β−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスタン−17−オンの7α位を臭素化するステップ:
【0018】
【化10】

【0019】
ここで、PVは、ピバロイル基、つまり、トリメチルアセチル基を示す;
【0020】
b)ステップa)に由来する式(III)に示す7α−ブロモ−5,6β−エポキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスタン−17−オンについて、エポキシ環を開環し、臭素を除去して、式(IV)に示す5−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスト−6−エン−17−オンを得るステップ:
【0021】
【化11】

【0022】
c)ステップb)に由来する式(IV)に示す5−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスト−6−エン−17−オンのピバロイル基を加水分解して、式(V)に示す3β,5−ジヒドロキシ−15β,16β−メチレン−5β−アンドロスト−6−エン−17−オンを得るステップ:
【0023】
【化12】

【0024】
ここで、PVは、上記の通りのものである:
【0025】
d)ステップc)に由来する式(V)に示す3β,5−ジヒドロキシ−15β,16β−メチレン−5β−アンドロスト−6−エン−17−オンのΔ6位の二重結合をメチル化して、式(VI)に示す3β,5−ジヒドロキシ−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスト−17−オンを得るステップ;
【0026】
【化13】

【0027】
e)ステップd)に由来する式(VI)で示す3β,5−ジヒドロキシ−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスト−17−オンを、プロパルギルアルコールと反応して、式(VII)に示す17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスタン−3β,5,17β−トリオールを得るステップ;
【0028】
【化14】

【0029】
f)ステップe)に由来する式(VII)に示す17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスタン−3β,5,17β−トリオールを水素化して、式(VIII)に示す17α−(3−ヒドロキシプロピル)−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスタン−3β,5,17β−トリオールを得るステップ;である。
【0030】
【化15】

【0031】
式(II)に示す、出発物質である5,6β−エポキシ−7β−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスタン−17−オンは、特許文献1に記載の3β−ヒドロキシ−5−アンドロステン−17−オンから、順に得られてもよい。
【0032】
ステップa)における臭素化反応は、室温で、上記の出発物質に、メシルクロライド及びピリジンを添加して、対応するメシレートを形成した後、水に溶解したリチウムブロマイドを添加して、温度を70〜75℃とすることにより、好ましく実行される。
【0033】
ステップa)からf)の一連のステップは、一般的に利用され当業者に公知の方法に従って、実行されてもよい。
【0034】
本発明において、用語「適当な酸化剤」とは、アルカリ及びアルカリ土類金属のハイポハライド(hypohalide)からなる群から選択される製品を意味し、好ましくは、カルシウムハイポクロライト及びナトリウムハイポクロライド、ヨウ素、CuCl存在下の酸素、Oxone(登録商標)で市販のKHSOで示されるペルオキシモノサルフェートカリウム、及び1,3,5−トリクロロ−2,4,6−トリアジントリオンが挙げられる。
【0035】
本発明における方法に使用され得る、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカルの誘導体は、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル、及び4−(ベンゾイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカルから例えば選択される。
【0036】
上記の酸化反応用の有機溶媒としては、アセトン、メチルt−ブチルエーテル及びテトラヒドロフランなどのエーテル、酢酸エチルなどのエステル、トルエンなどの炭化水素、並びに塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素、並びにこれらの混合物を使用し得る。
【0037】
上記の酸化反応及び続く脱水反応は、例えば、0〜40℃の温度、好ましくは、20〜25℃の温度で、実行され得る。
【0038】
好ましい反応条件としては、上記の酸化が、20〜25℃の温度で、触媒量の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカルの存在下、及び重炭酸ナトリウム水溶液の存在下、有機溶媒として塩化メチレン/テトラヒドロフランの混合物を用いて、好ましくは8.5/1の比率で、カルシウムハイポクロライトとで行われるものが挙げられる。
【0039】
この酸化反応の終期において、酸化反応が行われている有機溶液に、直接プロトン酸を添加する。代替的に、酸化反応が行われる有機溶液は、半固形の残渣が得られその後適当な有機溶媒で再溶解されるまで、希釈され、このようにして得た溶液にプロトン酸が添加される。
【0040】
上記のプロトン酸は、濃塩酸、希塩酸、及びp−トルエン硫酸からなる群から例えば選択され、好ましくは、使用されるプロトン酸は、p−トルエンスルホン酸一水和物である。
【0041】
本発明における上述の方法で得られる粗ドロスピレノンは、高い純度を有しており、これは、96.5%であって、この純度は、酸化反応に由来するこの粗生成物を、精製方法に付して、99.5%よりも高い純度のドロスピレノンを得ることによって、増加され得る。
【0042】
このような純度でドロスピレノンを得るためには、クロマトグラフ法は不要であるが、ゲルを介した濾過、及び脱色炭(decolourising carbon)で十分であり、その後、溶媒から、その濾過物を結晶化する。これらの濾過と結晶化の2つのステップは、1回以上繰り返してもよい。
【0043】
本発明に従って用いられる上記のゲルは、好ましくは、シリカゲルであり、上記の結晶化の溶媒は、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、酢酸エチル、メチルt−ブチルエーテル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、ジメトキシエタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、塩化メチレン、アセトン、ジメチルアセタミド、及びジメチルフォルムアミド、並びにこれらの混合物からなる群から選択されたものであってもよく、好ましい結晶化溶媒は、酢酸イソプロピルである。
【0044】
本発明の特に好ましい実施例によれば、本発明の精製方法は、以下のステップを有する:つまり、
i)適当な有機溶媒、並びにこれにシリカゲル及び脱色炭を有するものに粗ドロスピレノンを溶解し、このようにして得た溶液を濾過するステップと;
ii)ステップi)に由来する溶液を蒸留し、第2の有機溶媒にこの蒸留物を再溶解するステップと;
iii)ステップii)に由来する溶液を蒸留し、上記の第2の有機溶媒にこの蒸留物を再溶解するステップと;
iv)ステップiii)に由来する溶液から、純ドロスピレノンを結晶化するステップと;
v)濾過、適当な有機溶媒を用いた、フィルター上での少なくとも1回の洗浄、及びその後、大気圧未満の圧力での乾燥により、純ドロスピレノンを回収するステップと;
vi)必要であれば、ステップv)に由来するドロスピレノンから出発して、ステップi)からステップv)の各ステップを繰り返すステップと;
を有する。
【0045】
ステップi)で用いるシリカゲル及び脱色炭の量は、精製されるべき粗ドロスピレノンの重量に対して、5重量%未満であることが好ましい。
【0046】
ステップii)及びステップiii)の蒸留ステップは、35〜45℃の温度、及び大気圧未満の圧力で、好ましく実行される。
【0047】
ステップiv)において、この結晶化は、0〜5℃の温度において、60〜180分の時間で、実行される。
【0048】
ステップi)、ii)、iii)及びv)で用いられる有機溶媒は、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、ジメトキシエタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、塩化メチレン、アセトン、ジメチルアセタミド、ジメチルフォルムアミド、及びメチルt−ブチルエーテル、並びにこれらの混合物からなる群から例えば選択される。
【0049】
好ましくは、ステップi)の有機溶媒は、塩化メチレンであり、ステップii)の有機溶媒は、酢酸イソプロピルであり、ステップv)において、2回の洗浄が行われ、そのうち、一回目は、酢酸イソプロピルで行われ、2回目は、エチルエーテルで行われる。
【0050】
上述のドロスピレノンを調製するための本発明の方法は、ドロスピレノンの合成に有用な、中間体である7α−ブロモ−5,6β−エポキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスタン−17−オンを調製することを可能とする一方で、特許文献1で開示の方法で使用される、テトラクロロメタンなどの有害な溶媒及び試薬の使用を回避し得る点で、有利であると証明されている。さらに、メシル化された中間体の形成を経由してこの臭素化された中間体の調製を介することで、このメシル化物は、単離されず直接臭素化されることから、追加のステップが必要ない。
【0051】
上記の酸化ステップにおいて、発癌性の試薬の使用が回避されるとともに、発癌性の試薬が必要なく、これらのことは、特許文献1に開示の無水クロム酸を用いた酸化反応と同様の有用性を有する。
【0052】
最後に、上述の精製方法により、クロマトグラフ法を用いることなく、粗生成物中に存在する逆ラクトン画分(inverted lactone fraction)、及び特許文献3においてZK35096と同定されるものが、完全に消失することを可能とする。この精製方法は、本発明における方法に従って調製されるドロスピレノンの精製だけでなく、その他の方法で得られる生成物、及び不純物として逆ラクトン(inverted lacton)を有するものの精製においても、適用可能であり、且つ有用である。
【実施例】
【0053】
本発明を限定することを意図することなく、以下に例を示す。
【0054】
(例1)
(7α−ブロモ−5,6β−エポキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスタン−17−オンの調製−ステップa)
67.5gの5,6β−エポキシ−7β−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスタン−17−オンを、2Lのフラスコ中で、窒素存在下で、205mLのピリジンに溶解する。
【0055】
17.5mLのメシルクロライドを、滴下漏斗から添加し、20/25℃の温度を保持する。
【0056】
この混合物を、1時間、20℃で攪拌し、濃橙色の懸濁液を得る。
【0057】
この反応の進行を、TLCでチェックする。この反応を完了すると、54mLの水に溶解した83.2gのリチウムブロマイドを添加し、70/75℃の温度とする。3時間後、水に溶解した8gのリチウムブロマイド、及び50mLのピリジンを添加する。
【0058】
この反応の終期(TLCでチェック済み)において、60℃の温度とし、700mLの水を添加する;これを、15/20℃に冷却し、この温度で、1時間、攪拌下で保持する。
【0059】
得た固形物を濾過し、500mLの水で洗浄する。
【0060】
得た固形物を、減圧下、45℃で、24時間、乾燥し、69.5gの表題の化合物を得る。
【0061】
このようにして産物を得た後、クロマトグラフィーで精製し、H−NMR、及び質量分光分析を行い、以下の結果を得た。
【0062】
H−NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)0.92(18−Me,s,3H);1.04(19−Me,s,3H);1.08−1.16(m,1H);1.16(t−But,s,9H);1.18−1.28(m,1H);1.36−1.60(m,8H);1.62−1.68(m,1H);1.72−1.76(m,1H);1.84−1.96(m,3H);2.04−2.16(m,3H);3.46(6−H,broad s,1H);4.73(7−H,broad s,1H);4.76−4.84(3−H,m,1H)
【0063】
電子衝撃質量分析法:m/z[376]及び[378]=M−C(CH−COOH;[297]及び[299]=M−C(CH−COOH−Br
【0064】
(例2)
(5−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスト−6−エン−17−オンの調製−ステップb)
1Lのフラスコに、91mLのTHF(テトラヒドロフラン)に懸濁した27gの粉末状の亜鉛を、窒素下で供給する。
【0065】
その後、例1で調製した、67.5gの7α−ブロモ−5,6β−エポキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスタン−17−オンを277mLのTHFに溶解した溶液を、添加し;19.9mLの氷酢酸を、滴下で緩徐に添加し、添加中、60℃未満の温度に保持する。この反応混合物を、3時間、59/60℃で、攪拌下で保持する。
【0066】
この反応の終期において(TLCでチェック済み)、及び50℃に冷却した後、上記の亜鉛をdicaliteを用いて濾過し、このフィルターを、200mLのTHFで洗浄する。
【0067】
濾過した溶液を、60mLのトリエチルアミンを用いて、pH9とする。
【0068】
この溶液を、減圧下、50℃で濃縮し、約180gの半固形の産物を得、これを、5%の酢酸−水溶液500mLに溶解する(pH4で沈殿物)。
【0069】
これを、10/15℃で、1時間、攪拌下で保持し、その固形物を濾過し、500mLの水で洗浄し、その後、50℃で、減圧下、12時間、乾燥し、57gの粗生成物を得る。
【0070】
この粗生成物を、115mLのt−ブチルメチルエーテル及び114mLの酢酸エチルの混合物中で、1時間、還流する(部分溶解)。
【0071】
これを、0/5℃で1時間冷却し、その固形物を濾過し、t−ブチルメチルエーテルで洗浄し、60℃で、減圧下、1時間乾燥する。
【0072】
44.6gの表題の化合物を得る。
【0073】
クロマトグラフィーにより精製したこのサンプルから得た分析データは、特許文献1に開示のものに対応する。
【0074】
(例3)
(3β,5−ジヒドロキシ−15β,16β−メチレン−5β−アンドロスト−6−エン−17−オンの調製−ステップc)
例2で調製した43gの5−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスト−6−エン−17−オンと、430mLのTHFと、215mLのメタノールと、12.9gの水酸化カリウムとを、窒素下、20℃で、2Lのフラスコに供給する。この懸濁液を、20℃で3時間、攪拌する。
【0075】
この反応の終期において(TLCでチェック済み)、この反応混合物を、2Lの水に注入し、20%の硫酸(約25mL)でpHを7とし、その後、この懸濁液を、0/5℃で、1時間、攪拌する。その固形物を濾過し、水で洗浄し、50℃で、減圧下、12時間乾燥し、30.6gの表題の化合物を得る。
【0076】
クロマトグラフィーにより精製したこのサンプルから得た分析データは、特許文献1に開示のものに対応する。
【0077】
(例4)
(3β,5−ジヒドロキシ−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスト−17−オンの調製−ステップd)
例3で調製した29gの3β,5−ジヒドロキシ−15β,16β−メチレン−5β−アンドロスト−6−エン−17−オンを、410mLのTHFとともに、20℃で、窒素下、2Lのフラスコに供給する。
【0078】
0.6gの酢酸銅(II)水和物を添加し、この混合物を、溶液が澄明(緑色)となるまで、攪拌しながら保持する。
【0079】
37.9gの微粉状の亜鉛を添加し、15分間攪拌した後、1.7mLの酢酸をさらに添加する。
【0080】
この混合物を、20℃で30分間、さらに攪拌し、その後、50℃に加温し;32.3mLのメチレンブロマイドを添加し、これを、2時間、還流する。
【0081】
この反応の終期において(TLCでチェック済み)、20℃に冷却し、450mLの水中に26.8mLの酢酸を有するものからなる混合物を、冷却しながら、緩徐に添加する。
【0082】
この混合物を、dicaliteを用いて濾過し、600mLのトルエンで洗浄する。
【0083】
各相を分離し、水相を、200mLのトルエンで抽出する。合わせた有機相を、350mLの水で洗浄する。
【0084】
その有機相を、硫酸ナトリウム上で乾固し、濾過し、固形物が得られるまで、60℃、減圧下で濃縮する。
【0085】
その固形物を、ヘプタン/酢酸エチルの3/1の混合物50mLに溶解し、濾過し、その後、45℃、減圧下で、12時間乾燥し、25.5gの表題の化合物を得る。
【0086】
クロマトグラフィーにより精製したこのサンプルから得た分析データは、特許文献1に開示のものに対応する。
【0087】
(例5)
(17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスタン−3β,5,17β−トリオールの調製−ステップe)
例4で調製した24gの3β,5−ジヒドロキシ−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスト−17−オンを、480mLのTHFとともに、20℃、窒素下で、1Lのフラスコに供給する。
【0088】
この混合物を、0/5℃に冷却し、72gのメシル酸カリウムを添加する(黄色の懸濁液)。
【0089】
0/5℃の温度に保持しながら、90mLのTHFで希釈した48mLのプロパルギルアルコールを緩徐に添加する(濃橙色の溶液)。
【0090】
この溶液の密度が攪拌し得ないものとなった場合には、150mLのTHFをさらに添加する。この溶液を、0/5℃、12時間、攪拌下で保持する。
【0091】
この反応の終期において(TLCでチェック済み)、非常に濃厚な懸濁液を、2Lの氷水に注入する(橙色の固形沈殿物)。
【0092】
得た固形物を、1.5Lの酢酸イソプロピルで抽出する。
【0093】
得た有機相を、硫酸ナトリウム上で乾固し、濾過し、50℃、減圧下で濃縮し、固形物を得る。
【0094】
その固形物をヘプタンから濾過し、減圧下、45℃で12時間乾燥し、27.1gの表題の化合物を得る。
【0095】
クロマトグラフィーにより精製したこのサンプルから得た分析データは、特許文献1に開示のものに対応する。
【0096】
(例6)
(17α−(3−ヒドロキシプロピル)−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスタン−3β,5,17β−トリオールの調製−ステップf)
例5で調製した25.1gの17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスタン−3β,5,17β−トリオールと、750mLのTHF、375mLのメタノール及び1.5mLのピリジンを有する混合物930mLとの溶液を、オートクレーブに供給する。
【0097】
5gの5%Pd/C触媒を添加し、大気圧下(20/25℃)、2時間、水素化を行う。
【0098】
この反応の終期において(TLCでチェック済み)、懸濁液を、dicaliteで濾過し、その後、このフィルターを塩化メチレンで洗浄する。
【0099】
その生成物を、50℃、減圧下で濃縮し、32gの表題の化合物を得る。
【0100】
この表題の化合物の粗生成物は、2つの、6β,7β;15β,16β−ジメチレン−3β,5β−ジヒドロキシ−17α−プレグン−21,17−カルボラクトールの少量を含有した。それにもかかわらず、これを、さらなる精製を行うことなく、次の反応に有利に使用した。
【0101】
クロマトグラフィーにより精製した表題の生成物のサンプルについて、H−NMR分析を行ったところ、以下の結果を得た。
【0102】
H−NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)0.84(18−Me,s,3H);0.88(19−Me,s,3H);1.72(s,−OH);2.32−2.40(m,−OH);2.6(s,−OH);3.38−3.40(m,−OH);3.64−3.76(−CHOH,m,2H);4.0(3−H,m,1H)
【0103】
水酸基のプロトンに由来するシグナルは、重水素化により、同定した。
【0104】
さらなる反応に使用した粗反応生成物は、以下のシグナルを示した。
【0105】
H−NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)5.50(17−O−CHOH−21,t,1H);5.58(17−O−CHOH−21,t,1H)
【0106】
(例7)
(6β,7β,15β,16β−ジメチレン−3−オキソ−17α−プレグン−4−エン−21,17−カルボラクトン(ドロスピレノン)の調製−酸化)
例6で調製した50gの17α−(3−ヒドロキシプロピル)−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスタン−3β,5,17β−トリオール、850mLの塩化メチレン、及び100mLのTHFを反応器に供給し、20℃の温度で攪拌する。
【0107】
75gの重炭酸ナトリウムを750mLの水に溶解して調製した溶液を、上記の通り得た有機溶液に添加する。
【0108】
20℃で激しく攪拌してこの二相性の溶液を保持しながら、1.2gの2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシラジカル(TEMPO)、及び35gのカルシウムハイポクロライトを一部に添加し、TLCにより、酸化反応の進行状態をモニタリングする。
【0109】
この二相性の溶液を濾過し、2つの相に分離させ、有機相を、重硫酸ナトリウム一水和物水溶液で最初に洗浄し、その後、水で洗浄する。
【0110】
上記の有機相を、半固形の残渣が得られるまで、吸引下、40℃で濃縮し、その後、560mLのTHFで溶解する;このようにして得た溶液に、4.9gのp−トルエンスルフォン酸一水和物を添加し、TLCでドロスピレノンの形成をモニタリングしつつ、20℃で、1時間、攪拌しながら保持する。
【0111】
この反応が完了した後、生成物を、10%の重炭酸ナトリウム水溶液で中和し、800mLのイソプロピル酢酸で抽出する。その有機相を水で洗浄し、40℃、吸引下で濃縮する。
【0112】
その残渣を、イソプロピル酢酸で溶解し、その後、40℃、吸引下で再度濃縮し、0/5℃で、再度イソプロピル酢酸で溶解し、懸濁液を得る。
【0113】
この懸濁液を濾過し、得た固形物をエチルエーテルで洗浄し、40℃、吸引下で乾燥することにより、31.3gの粗ドロスピレノンを得、これを、その後、反応器に供給し、150mLの塩化メチレン、2gの脱色炭、及び1.45gのシリカゲルを添加する。この懸濁液を、その後濾過し、40℃、吸引下で蒸留することで、少量に濃縮する。
【0114】
得た残渣を、イソプロピル酢酸で溶解し、40℃、吸引下で蒸留することで、少量に濃縮し、25mLのイソプロピル酢酸で再度溶解し、30℃で15分間、攪拌しながら保持した後、0/2℃で2時間保持する。
【0115】
濾過した後、得た固形物を、最初にイソプロピル酢酸で洗浄し、その後、エチルエーテルで洗浄する。一定の重量となるまで、40℃、吸引下で乾燥した後、28.9gのドロスピレノンを得る。その分析データは、上記の文献に開示のものと対応する。
【0116】
(例8)
(6β,7β,15β,16β−ジメチレン−3−オキソ−17α−プレグン−4−エン−21,17−カルボラクトン(ドロスピレノン)の調製−酸化)
例6で調製した12gの17α−(3−ヒドロキシプロピル)−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスタン−3β,5,17β−トリオール、170mLの塩化メチレン、及び20mLのTHFを反応器に供給する。この混合物を、均一な溶液が得られるまで、20℃で攪拌する。
【0117】
15gの重炭酸ナトリウムを150mLの水に溶解して調製した溶液を、上記の通り得た有機溶液に添加する。
【0118】
20℃で激しく攪拌してこの二相性の溶液を保持しながら、0.54gの2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル(TEMPO)、及び8.6gのカルシウムハイポクロライトを一部に添加し、TLCにより、酸化反応の進行状態をモニタリングする。
【0119】
この酸化反応が完了した後、この二相性の溶液を濾過し、2つの相を分離させる。その有機相に、1.5gのp−トルエンスルホン酸一水和物を添加する。
【0120】
この混合物を、20℃で約3時間、攪拌しながら保持する一方、この反応をTLCでモニタリングする。
【0121】
この反応が完了した際、1%の重炭酸ナトリウム水溶液を用いて、中和を行う。
【0122】
例7に述べたように、この反応は進行し、最終的に、6.5gのドロスピレノンを得、その分析データは、上記の文献、及び例7の生成物で得たものに対応する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドロスピレノンの調製方法であって、
式(VIII)に示す17α−(3−ヒドロキシプロピル)−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスタン−3β,5,17β−トリオールを、触媒量の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル、又はその誘導体の存在下、有機溶媒中で適当な酸化剤を用いて、酸化するステップであって、該酸化するステップの後に、該酸化するステップを行う同じ容器にプロトン酸を直接添加して、式(I)のドロスピレノン
【化1】


を得るステップを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記の式(VIII)に示す17α−(3−ヒドロキシプロピル)−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスタン−3β,5,17β−トリオールは、下記のステップ:
a)式(II)に示す化合物を、メシルクロライドと反応して、単離されない対応するメシレートを得て、且つこれから、リチウムブロマイドを添加して式(III)に示す化合物を得ることにより、式(II)に示す5,6β−エポキシ−7β−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスタン−17−オンの7α位を臭素化して、式(III)に示す7α−ブロモ−5,6β−エポキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスタン−17−オン
【化2】


を得るステップであって、PVは、ピバロイル基、つまり、トリメチルアセチル基である、ステップと;
b)ステップa)に由来する式(III)に示す7α−ブロモ−5,6β−エポキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスタン−17−オンのエポキシ環を開環し、臭素を除去して、式(IV)に示す5−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスト−6−エン−17−オン
【化3】


を得るステップと;
c)ステップb)に由来する式(IV)に示す5−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスト−6−エン−17−オンのピバロイルオキシ基を加水分解し、式(V)に示す3β,5−ジヒドロキシ−15β,16β−メチレン−5β−アンドロスト−6−エン−17−オン
【化4】


を得るステップであって、PVは、上記で定義した通りのものである、ステップと;
d)ステップc)に由来する式(V)に示す3β,5−ジヒドロキシ−15β,16β−メチレン−5β−アンドロスト−6−エン−17−オンのΔ位の二重結合をメチル化して、式(VI)に示す3β,5−ジヒドロキシ−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスト−17−オン
【化5】


を得るステップと;
e)ステップd)に由来する式(VI)に示す3β,5−ジヒドロキシ−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスト−17−オンとプロパルギルアルコールとを反応させて、式(VII)に示す17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスタン−3β,5,17β−トリオール
【化6】


を得るステップと;
f)ステップe)に由来する式(VII)に示す17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスタン−3β,5,17β−トリオールを水素化して、式(VIII)に示す17α−(3−ヒドロキシプロピル)−6β,7β;15β,16β−ジメチレン−5β−アンドロスタン−3β,5,17β−トリオール
【化7】


を得るステップと;
に従って、式(II)に示す5,6β−エポキシ−7β−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3β−ピバロイルオキシ−5β−アンドロスタン−17−オンを出発物質として調製されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸化剤は、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属のハイポハライド、ヨウ素、CuCl存在下の酸素、ペルオキシモノサルフェートカリウム、並びに1,3,5−トリクロロ−2,4,6−トリアジントリオンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記酸化剤は、ナトリウムハイポクロライド及びカルシウムハイポクロライトからなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカルの誘導体は、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル、及び4−(ベンゾイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカルからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記有機溶媒は、エーテル、エステル、炭化水素、及びハロゲン化炭化水素並びにこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記有機溶媒は、アセトン、トルエン、メチルt−ブチルエーテル、酢酸エチル、塩化メチレン、及びテトラヒドロフラン、並びにこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化は、0〜40℃の温度で実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化は、触媒量の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカルの存在下、及び重炭酸ナトリウム水溶液の存在下、20〜25℃の温度で、有機溶媒として塩化メチレン/テトラヒドロフランの混合物を用いて、カルシウムハイポクロライトとで実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記の塩化メチレン/テトラヒドロフランの混合物は、8.5/1の比率で使用されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プロトン酸は、濃塩酸、希塩酸、及びp−トルエン硫酸からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記プロトン酸は、p−トルエンスルホン酸一水和物であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記のプロトン酸の添加は、0〜40℃の温度で実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記のプロトン酸の添加は、20〜25℃の温度で実行されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プロトン酸は、前記の酸化反応が実行される有機溶液に直接添加されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記プロトン酸は、前記の酸化反応が実行される有機溶液の蒸留に由来する半固形残渣を適当な有機溶媒に溶解することで得られる溶液に添加されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記のステップa)における臭素化は、上記の出発化合物に、メシルクロライド及びピリジンを添加して対応するメシレートを形成させ、その後、水に溶解したリチウムブロマイドを添加し、70〜75℃の温度とすることで、実行されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項18】
ゲル濾過、及び濾過物の結晶化を有する手順によって粗ドロスピレノンを精製するステップをさらに有する、請求項1に記載の方法であって、
前記手順は、1回以上、可能に繰り返されることを特徴とする方法。
【請求項19】
前記の精製するステップは:
i)適当な有機溶媒並びに、シリカゲル及び脱色炭をさらに含有するものに、粗ドロスピレノンを溶解し、得た溶液を濾過するステップと;
ii)ステップi)に由来する溶液を蒸留し、蒸留物を第2の有機溶媒中で再溶解するステップと;
iii)ステップii)に由来する溶液を蒸留し、蒸留物を前記の第2の有機溶媒中で再溶解するステップと;
iv)ステップiii)に由来する溶液から、純ドロスピレノンを結晶化するステップと;
v)濾過し、フィルターを適当な有機溶媒で少なくとも1回以上洗浄し、大気圧以下の圧力で乾燥することにより、純ドロスピレノンを回収するステップと;
vi)ステップv)に由来するドロスピレノンから出発して、任意で、ステップi)乃至v)のステップを繰り返すステップと;
を有することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記の用いられるシリカゲル及び脱色炭の量は、精製される粗ドロスピレノンの重量に対して、5重量%未満であることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ステップii)及びiii)における蒸留温度は、35〜45℃であることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記のステップii)及びiii)の蒸留は、大気圧未満の圧力で実行されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記のステップiv)の結晶化は、60〜180分の時間の間、0〜5℃の温度で実行されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記のステップi)、ii)、iii)及びv)の有機溶媒は、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、酢酸エチル、メチルt−ブチルエーテル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、ジメトキシエタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、塩化メチレン、アセトン、ジメチルアセタミド、及びジメチルフォルムアミド、並びにこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記のステップi)の有機溶媒は、塩化メチレンであり、
前記のステップii)の有機溶媒は、イソプロピル酢酸であり、
前記ステップv)において、2つの洗浄は、第1に、イソプロピル酢酸を用いて行われ、第2に、エチルエーテルを用いて行われることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項26】
請求項1に記載の式(VIII)に示す化合物を、触媒量の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル、又はその誘導体の存在下、有機溶媒中で、酸化反応を行い、プロトン酸を添加することで得られる、96.5%以上の純度を有することを特徴とするドロスピレノン。
【請求項27】
請求項1に記載の方法によって得られた生成物を、クロマトグラフィー法を用いることなく、精製し、ゲル濾過し、且つ有機溶媒から濾過物を結晶化することにより得られる、99.5%以上の純度を有することを特徴とするドロスピレノン。
【請求項28】
請求項26に記載のドロスピレノンを活性本体として有し、且つキャリアを有することを特徴とする医薬組成物。
【請求項29】
請求項27に記載のドロスピレノンを活性本体として有し、且つキャリアを有することを特徴とする医薬組成物。

【公表番号】特表2008−522962(P2008−522962A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543825(P2007−543825)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055963
【国際公開番号】WO2006/061309
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(507182830)インダストリアレ チミカ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (2)
【Fターム(参考)】