説明

ドーパミンD3受容体の調節に応答する障害の治療に好適なアザビシクロヘプチル化合物

本発明は式(I)の化合物およびそれの生理的に耐容される酸付加塩に関するものであり、その式中においてRはH、C〜C−アルキル(C〜C−シクロアルキルによって置換されていても良い)、フッ素化C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、フッ素化C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、フッ素化C〜C−アルケニル、ホルミル、アセチルまたはプロピオニルであり;Aは、フェニレン、ピリジレン、ピリミジレン、ピラニジレン、ピリダニジレンまたはチオフェニレンであり、それらはハロゲン、メチル、メトキシおよびCFから選択される1以上の置換基によって置換されていても良く;Eは、NRまたはCHであり、RはHまたはC〜C−アルキルであり;Arはフェニル、環員としてN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を有する5もしくは6員ヘテロ芳香族基ならびに飽和もしくは不飽和5もしくは6員炭素環または複素環に縮合したフェニル環からなる群から選択される環状基であり、前記複素環は環員としてN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子および/またはそれぞれ独立にNRから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子含有基を有しており、RはH、C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキル、C〜C−アルキルカルボニルまたはフッ素化C〜C−アルキルカルボニルであり、環状基Arは1、2もしくは3個の置換基Rを有することができ;可変要素Raは、請求項および説明において示された意味を有する。本発明はさらに、ドーパミンD受容体リガンドによる治療に感受性である医学的障害の治療のための医薬組成物を製造する上での式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩の使用に関するものでもある。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアザビシクロヘプチル化合物に関するものである。その化合物は、有用な治療特性を有し、ドーパミンD受容体の調節に応答する疾患の治療において特に好適である。
【背景技術】
【0002】
ニューロンは、特にはGタンパク質結合受容体を介してその情報を受け取る。多くの物質が、これらの受容体を介して作用を行う。その一つがドーパミンである。ドーパミンの存在およびそれの神経伝達物質としての生理機能については、立証された所見が存在する。ドーパミン作働性伝達物質系の乱れによって、例えば統合失調症、抑鬱およびパーキンソン病などの中枢神経系の疾患が生じる。これらおよび他の疾患は、ドーパミン受容体と相互作用する医薬で治療される。
【0003】
1990年までに、ドーパミン受容体の2つのサブタイプ、すなわちDおよびD受容体が薬理的に明瞭に定義された。さらに最近では、第3のサブタイプ、すなわちD受容体が認められており、それは抗精神病薬および抗パーキンソン病薬のいくつかの効果に介在するように思われる(J.C. Schwartz et al., The Dopamine D3 Receptor as a Target for Antipsychotics, in Novel Antipsychotic Drugs, H.Y. Meltzer, Ed. Raven Press, New York 1992, pages 135-144; M. Dooley et al., Drugs and Aging 1998, 12, 495-514, J.N. Joyce, Pharmacology and Therapeutics 2001, 90, pp. 231-59 ″The Dopamine D3 Receptor as a Therapeutic Target for Antipsychotic and Antiparkinsonian Drugs″)。
【0004】
それ以降、ドーパミン受容体は2つのファミリーに分けられている。一方では、D、DおよびD受容体からなるD群があり、他方ではDおよびD受容体からなるD群がある。DおよびD受容体は広く分布しているが、D受容体は位置選択的に発現されるように思われる。従ってこれらの受容体は、辺縁系、中脳辺縁系ドーパミン系の投射領域、特には中隔側坐核で優先的に認められるが、扁桃体などの他の領域でも認められる。この比較的位置選択的な発現のために、D受容体は、副作用の少ない標的と考えられ、選択的Dリガンドが公知の抗精神病薬の特性を有するが、それらのドーパミンD受容体介在による神経系の副作用がないであろうと仮定されている(P. Sokoloff et al., Localization and Function of the D3 Dopamine Receptor, Arzneim. Forsch./Drug Res. 42(1), 224 (1992); P. Sokoloff et al. Molecular Cloning and Characterization of a Novel Dopamine Receptor (D3) as a Target for Neuroleptics, Nature, 347, 146 (1990))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドーパミンD受容体に対してアフィニティを有する化合物は、多様な場合で先行技術に記載されており、例えばWO95/04713、WO96/23760、WO97/45503、WO98/27081およびWO99/58499に記載されている。これら化合物のうちの一部は、ドーパミンD受容体に対して中等度のアフィニティおよび/または選択性を有する。従ってそれらは、中枢神経系の疾患の治療において好適であると提案されている。これら刊行物に記載の化合物の中には、ピロリジニルフェニル構造を有するものがある。残念ながら、それらのD受容体に対するアフィニティおよび選択性またはそれらの薬理プロファイルは、満足できるものではない。その結果、高アフィニティおよび改善された選択性を有する新たな化合物を提供することが現在もなお必要とされている。その化合物はまた、良好な薬理プロファイル、例えば高い脳血漿比、高い生物学的利用能、良好な代謝安定性または低いミトコンドリア呼吸阻害を有するものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、より選択性の高いドーパミンD受容体リガンドとして作用する化合物を提供するという目的に基づくものである。驚くべきことに、この目的は下記式Iの化合物およびそれの生理的に耐容される酸付加塩によって達成される。
【0007】
【化3】

【0008】
式中、
は、H、C〜C−シクロアルキルによって置換されていても良いC〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、フッ素化C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、フッ素化C〜C−アルケニル、ホルミル、アセチルまたはプロピオニルであり;
Aは、フェニレン、ピリジレン、ピリミジレン、ピラニジレン、ピリダニジレンまたはチオフェニレンであり、それらはハロゲン、メチル、メトキシおよびCFから選択される1以上の置換基によって置換されていても良く;
Eは、NRまたはCHであり、Rは、HまたはC〜C−アルキルであり;
Arは、フェニル、環員としてN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を有する5もしくは6員ヘテロ芳香族基ならびに飽和もしくは不飽和5もしくは6員炭素環もしくは複素環に縮合したフェニル環からなる群から選択される環状基であり;前記複素環は、環員としてN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子および/またはそれぞれ独立にNRから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子含有基を有し;Rは、H、C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキル、C〜C−アルキルカルボニルまたはフッ素化C〜C−アルキルカルボニルであり;前記環状基Arは1、2もしくは3個の置換基Rを有することができ;
は、ハロゲン、C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキル、C〜C−ヒドロキシアルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、フッ素化C〜C−アルケニル、C〜C−シクロアルキル、フッ素化C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−ヒドロキシアルコキシ、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルコキシ、C〜C−アルキルチオ、フッ素化C〜C−アルキルチオ、C〜C−アルキルスルフィニル、フッ素化C〜C−アルキルスルフィニル、C〜C−アルキルスルホニル、フッ素化C〜C−アルキルスルホニル、CN、ニトロ、C〜C−アルキルカルボニル、フッ素化C〜C−アルキルカルボニル、C〜C−アルキルカルボニルアミノ、フッ素化C〜C−アルキルカルボニルアミノ、C〜C−アルキルカルボニルオキシ、フッ素化C〜C−アルキルカルボニルオキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、NH−C(O)−NR、NR、NR−C〜C−アルキレン、O−NR(RおよびRは互いに独立に、H、C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキルまたはC〜C−アルコキシであるか、Nとともに4、5もしくは6員飽和もしくは不飽和環を形成していても良い。)、フェニルスルホニル、ベンジルオキシ、フェノキシ、フェニルまたは環員としてN、OおよびSから選択される1、2、3もしくは4個のヘテロ原子および/またはNR(Rは、Rについて示した意味の一つを有する。)、SO、SOおよびCOから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子含有基を有する飽和もしくは不飽和3〜7員複素環(最後に言及した5つの基は、ヒドロキシおよび前記基Rから選択される1、2、3もしくは4個の置換基を有することができる。)である。
【0009】
従って本発明は、一般式Iの化合物およびそれらの生理的に耐容される酸付加塩に関するものである。
【0010】
本発明は、適切な場合には生理的に許容される担体および/または補助物質とともに、少なくとも1種類の式Iの化合物および/または少なくとも1種類のIの生理的に耐容される酸付加塩を含む医薬組成物に関するものでもある。
【0011】
本発明はさらに、処置を必要とする被験者に対して、有効量の少なくとも1種類の式Iの化合物および/または少なくとも1種類のIの生理的に耐容される酸付加塩を投与する段階を有する、ドーパミンD受容体拮抗薬またはドーパミンD作働薬による影響に応答する障害を治療する方法に関するものでもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
ドーパミンD受容体拮抗薬または作働薬の影響に応答する疾患には、特には中枢神経系の障害および疾患、特には情動障害、神経症性障害、ストレス障害および身体表現性障害および精神病、特には統合失調症および抑鬱、さらには腎機能障害、特には糖尿病によって引き起こされる腎機能障害などがある(WO00/67847参照)。
【0013】
本発明によれば、少なくとも1種類の最初に言及した意味を有する一般式Iの化合物を上記の適応症の治療に用いる。ある構成の式Iの化合物が異なる空間配置で存在し得る場合、例えばそれらが1以上の不斉中心、多置換環もしくは二重結合を有する場合、または異なる互変異体として存在し得る場合、エナンチオマーの混合物、特にはラセミ体、ジアステレオマーの混合物、互変異体の混合物を用いることも可能であるが、好ましくは個々の実質的に純粋な式Iの化合物および/またはそれの塩のエナンチオマー、ジアステレオマーおよび互変異体である。
【0014】
特に、式Iの化合物は、エンド−またはエキソ−配置であることができる。従って、(1R,5S,6R)−6−(A−E−SO−Ar)−3−R−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、(1S,5R,6S)−6−(A−E−SO−Ar)−3−R−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン、(1S,5R,6R)−6−(A−E−SO−Ar)−3−R−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタンおよび(1R,5S,6S)−6−(A−E− SO−Ar)−3−R−3−アザ−イシクロ[3.2.0]ヘプタンという異性体が生じる場合がある。
【0015】
式Iの化合物の生理的に許容される塩、特には生理的に耐容される酸との酸付加塩を用いることも同様に可能である。好適な生理的に耐容される有機および無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸塩、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸などのC〜C−アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびトルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、アジピン酸および安息香酸がある。使用可能な他の酸が、文献に記載されている(Fortschritte der Arzneimittelforschung [Advances in drug research], Volume 10, pages 224 ff., Birkhauser Verlag, Basle and Stuttgart, 1966)。
【0016】
可変要素の上記定義で言及した有機部分は、ハロゲンという用語のように、個々の基の構成員についての個別の列記に関しての総称である。接頭語のC〜Cは各場合で、その基における炭素原子の可能な数を示す。
【0017】
ハロゲンという用語は各場合で、フッ素、臭素、塩素またはヨウ素を指し、特にはフッ素、塩素または臭素を指す。
【0018】
〜Cアルキルは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基である。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソ−ブチルまたはtert−ブチルがある。C〜Cアルキルはメチルまたはエチルであり、C〜Cアルキルにはさらに、n−プロピルまたはイソプロピルがある。
【0019】
〜Cアルキルは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基である。例には、上記のC〜Cアルキルならびにペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピルおよび1−エチル−2−メチルプロピルなどがある。
【0020】
フッ素化C〜Cアルキルは、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、(R)−1−フルオロエチル、(S)−1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、(R)−1−フルオロプロピル、(S)−1−フルオロプロピル、2−フルオロプロピル、(R)−2−フルオロプロピル、(S)−2−フルオロプロピル、3−フルオロプロピル、1,1−ジフルオロプロピル、2,2−ジフルオロプロピル、3,3−ジフルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、(R)−2−フルオロ−1−メチルエチル、(S)−2−フルオロ−1−メチルエチル、(R)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(S)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(R)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(S)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エチル、1−(ジフルオロメチル)−2,2−ジフルオロエチル、1−(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル、1−(トリフルオロメチル)−1,2,2,2−テトラフルオロエチル、(R)−1−フルオロブチル、(S)−1−フルオロブチル、2−フルオロブチル、3−フルオロブチル、4−フルオロブチル、1,1−ジフルオロブチル、2,2−ジフルオロブチル、3,3−ジフルオロブチル、4,4−ジフルオロブチル、4,4,4−トリフルオロブチルなどでのように、1〜6個、特別には1〜4個の炭素原子、特には1〜3個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基であって、少なくとも1個、例えば1個、2個、3個、4個もしくは全ての水素原子がフッ素原子によって置き換わっているものである。フッ素化メチルは、CHF、CHFまたはCFである。
【0021】
分岐C〜Cアルキルは、少なくとも1個が2級もしくは3級炭素原子である3〜6個の炭素原子を有するアルキルである。例には、イソプロピル、tert−ブチル、2−ブチル、イソブチル、2−ペンチル、2−ヘキシル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル1−メチル−1−エチルプロピルがある。
【0022】
フッ素化分岐C〜Cアルキルは、少なくとも1個が2級または3級炭素原子である3〜6個の炭素原子を有するアルキルであって、少なくとも1個、例えば1個、2個、3個、4個もしくは全ての水素原子がフッ素原子によって置き換わっているものである。
【0023】
〜Cアルコキシは、分子の残りの部分に酸素原子を介して結合している1〜6個、特には1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基である。例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、2−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、1−メチルブトキシ、2−メチルブトキシ、3−メチルブトキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、1−エチルプロポキシ、ヘキシルオキシ、1,1−ジメチルプロポキシ、1,2−ジメチルプロポキシ、1−メチルペンチルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、3−メチルペンチルオキシ、4−メチルペンチルオキシ、1,1−ジメチルブチルオキシ、1,2−ジメチルブチルオキシ、1,3−ジメチルブチルオキシ、2,2−ジメチルブチルオキシ、2,3−ジメチルブチルオキシ、3,3−ジメチルブチルオキシ、1−エチルブチルオキシ、2−エチルブチルオキシ、1,1,2−トリメチルプロポキシ、1,2,2−トリメチルプロポキシ、1−エチル−1−メチルプロポキシおよび1−エチル−2−メチルプロポキシなどがある。
【0024】
フッ素化C〜Cアルキルオキシは、1〜6個、特には1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルコキシ基であって、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、(R)−1−フルオロエトキシ、(S)−1−フルオロエトキシ、2−フルオロエトキシ、1,1−ジフルオロエトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、(R)−1−フルオロプロポキシ、(S)−1−フルオロプロポキシ、2−フルオロプロポキシ、3−フルオロプロポキシ、1,1−ジフルオロプロポキシ、2,2−ジフルオロプロポキシ、3,3−ジフルオロプロポキシ、3,3,3−トリフルオロプロポキシ、(R)−2−フルオロ−1−メチルエトキシ、(S)−2−フルオロ−1−メチルエトキシ、(R)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエトキシ、(S)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエトキシ、(R)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエトキシ、(S)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエトキシ、(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエトキシ、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエトキシ、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エトキシ、1−(ジフルオロメチル)−2,2−ジフルオロエトキシ、(R)−1−フルオロブトキシ、(S)−1−フルオロブトキシ、2−フルオロブトキシ、3−フルオロブトキシ、4−フルオロブトキシ、1,1−ジフルオロブトキシ、2,2−ジフルオロブトキシ、3,3−ジフルオロブトキシ、4,4−ジフルオロブトキシ、4,4,4−トリフルオロブトキシなどにおけるように、少なくとも1個、例えば1個、2個、3個、4個もしくは全ての水素原子がフッ素原子によって置き換わっているものである。
【0025】
〜Cヒドロキシアルキルは、1個の水素原子がヒドロキシによって置き換わっている、上記で定義の1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である。例としてはヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、1−メチル−1−ヒドロキシエチルなどがある。
【0026】
〜Cヒドロキシアルコキシは、1個の水素原子がヒドロキシによって置き換わっている、上記で定義の1〜6個、好ましくは2〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基である。例としては2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、1−メチル−2−ヒドロキシエチルなどがある。
【0027】
〜Cアルコキシ−C〜C−アルキルは、1個の水素原子がC〜Cアルコキシによって置き換わっている上記で定義の1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。例としてはメトキシメチル、2−メトキシエチル、1−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、2−メトキシプロピル、1−メチル−1−メトキシエチル、エトキシメチル、2−エトキシエチル、1−エトキシエチル、3−エトキシプロピル、2−エトキシプロピル、1−メチル−1−エトキシエチルなどがある。
【0028】
〜Cアルコキシ−C〜C−アルコキシは、1個の水素原子がC〜Cアルコキシによって置き換わっている上記で定義の1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基である。例としてはメトキシメトキシ、2−メトキシエトキシ、1−メトキシエトキシ、3−メトキシプロポキシ、2−メトキシプロポキシ、1−メチル−1−メトキシエトキシ、エトキシメトキシ、2−エトキシエトキシ、1−エトキシエトキシ、3−エトキシプロポキシ、2−エトキシプロポキシ、1−メチル−1−エトキシエトキシなどがある。
【0029】
〜Cアルキルカルボニルは、上記で定義のRが1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である式R−C(O)−の基である。例としてはアセチル、プロピオニル、n−ブチリル、2−メチルプロピオニル、ピバリルなどがある。
【0030】
〜Cアルキルカルボニルアミノは、上記で定義のRが1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である式R−C(O)−NH−の基である。例としてはアセトアミド、プロピオンアミド、n−ブチルアミド、2−メチルプロピオンアミド、2,2−ジメチルプロピオンアミドなどがある。
【0031】
〜Cアルキルカルボニルオキシは、上記で定義のRが1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である式R−C(O)−O−の基である。例としてアセチルオキシ、プロピオニルオキシ、n−ブチリルオキシ、2−メチルプロピオニルオキシ、2,2−ジメチルプロピオニルオキシはなどがある。
【0032】
〜Cアルコキシカルボニルは、Rが上記で定義の1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である式RO−C(O)−の基である。例としては、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニルなどがある。
【0033】
〜Cアルキルチオ(C〜Cアルキルスルファニルとも称される。)は、上記で定義のRが1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である式R−S−の基である。例としてはメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、1−メチルブチルチオ、2−メチルブチルチオ、3−メチルブチルチオ、2,2−ジメチルプロピルチオ、1−エチルプロピルチオ、ヘキシルチオ、1,1−ジメチルプロピルチオ、1,2−ジメチルプロピルチオ、1−メチルペンチルチオ、2−メチルペンチルチオ、3−メチルペンチルチオ、4−メチルペンチルチオ、1,1−ジメチルブチルチオ、1,2−ジメチルブチルチオ、1,3−ジメチルブチルチオ、2,2−ジメチルブチルチオ、2,3−ジメチルブチルチオ、3,3−ジメチルブチルチオ、1−エチルブチルチオ、2−エチルブチルチオ、1,1,2−トリメチルプロピルチオ、1,2,2−トリメチルプロピルチオ、1−エチル−1−メチルプロピルおよび1−エチル−2−メチルプロピルなどがある。
【0034】
〜Cアルキルスルフィニルは、上記で定義のRが1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である式R−S(O)−の基である。例としてはメチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル、ペンチルスルフィニル、1−メチルブチルスルフィニル、2−メチルブチルスルフィニル、3−メチルブチルスルフィニル、2,2−ジメチルプロピルスルフィニル、1−エチルプロピルスルフィニル、ヘキシルスルフィニル、1,1−ジメチルプロピルスルフィニル、1,2−ジメチルプロピルスルフィニル、1−メチルペンチルスルフィニル、2−メチルペンチルスルフィニル、3−メチルペンチルスルフィニル、4−メチルペンチルスルフィニル、1,1−ジメチルブチルスルフィニル、1,2−ジメチルブチルスルフィニル、1,3−ジメチルブチルスルフィニル、2,2−ジメチルブチルスルフィニル、2,3−ジメチルブチルスルフィニル、3,3−ジメチルブチルスルフィニル、1−エチルブチルスルフィニル、2−エチルブチルスルフィニル、1,1,2−トリメチルプロピルスルフィニル、1,2,2−トリメチルプロピルスルフィニル、1−エチル−1−メチルプロピルおよび1−エチル−2−メチルプロピルなどがある。
【0035】
〜Cアルキルスルホニルは、上記で定義のRが1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である式R−S(O)−の基である。例としてはメチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、1−メチルブチルスルホニル、2−メチルブチルスルホニル、3−メチルブチルスルホニル、2,2−ジメチルプロピルスルホニル、1−エチルプロピルスルホニル、ヘキシルスルホニル、1,1−ジメチルプロピルスルホニル、1,2−ジメチルプロピルスルホニル、1−メチルペンチルスルホニル、2−メチルペンチルスルホニル、3−メチルペンチルスルホニル、4−メチルペンチルスルホニル、1,1−ジメチルブチルスルホニル、1,2−ジメチルブチルスルホニル、1,3−ジメチルブチルスルホニル、2,2−ジメチルブチルスルホニル、2,3−ジメチルブチルスルホニル、3,3−ジメチルブチルスルホニル、1−エチルブチルスルホニル、2−エチルブチルスルホニル、1,1,2−トリメチルプロピルスルホニル、1,2,2−トリメチルプロピルスルホニル、1−エチル−1−メチルプロピルおよび1−エチル−2−メチルプロピルなどがある。
【0036】
フッ素化C〜Cアルキルカルボニルは、上記で定義のRが1〜6個の炭素原子を有するフッ素化アルキル基である式R−C(O)−の基である。例としてはフルオロアセチル、ジフルオロアセチル、トリフルオロアセチル、(R)−1−フルオロエチルカルボニル、(S)−1−フルオロエチルカルボニル、2−フルオロエチルカルボニル、1,1−ジフルオロエチルカルボニル、2,2−ジフルオロエチルカルボニル、2,2,2−トリフルオロエチルカルボニル、(R)−1−フルオロプロピルカルボニル、(S)−1−フルオロプロピルカルボニル、2−フルオロプロピルカルボニル、3−フルオロプロピルカルボニル、1,1−ジフルオロプロピルカルボニル、2,2−ジフルオロプロピルカルボニル、3,3−ジフルオロプロピルカルボニル、3,3,3−トリフルオロプロピルカルボニル、(R)−2−フルオロ−1−メチルエチルカルボニル、(S)−2−フルオロ−1−メチルエチルカルボニル、(R)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチルカルボニル、(S)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチルカルボニル、(R)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチルカルボニル、(S)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチルカルボニル、(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルカルボニル、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルカルボニル、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エチルカルボニル、1−(ジフルオロメチル)−2,2−ジフルオロエチルカルボニル、(R)−1−フルオロブチルカルボニル、(S)−1−フルオロブチルカルボニル、2−フルオロブチルカルボニル、3−フルオロブチルカルボニル、4−フルオロブチルカルボニル、1,1−ジフルオロブチルカルボニル、2,2−ジフルオロブチルカルボニル、3,3−ジフルオロブチルカルボニル、4,4−ジフルオロブチルカルボニル、4,4,4−トリフルオロブチルカルボニルなどがある。
【0037】
フッ素化C〜Cアルキルカルボニルアミノは、上記で定義のRが1〜6個の炭素原子を有するフッ素化アルキル基である式R−C(O)−NH−の基である。例としては、フルオロアセトアミド、ジフルオロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、(R)−1−フルオロエチルカルボニルアミノ、(S)−1−フルオロエチルカルボニルアミノ、2−フルオロエチルカルボニルアミノ、1,1−ジフルオロエチルカルボニルアミノ、2,2−ジフルオロエチルカルボニルアミノ、2,2,2−トリフルオロエチル−カルボニルアミノ、(R)−1−フルオロプロピルカルボニルアミノ、(S)−1−フルオロプロピルカルボニルアミノ、2−フルオロプロピルカルボニルアミノ、3−フルオロプロピルカルボニルアミノ、1,1−ジフルオロプロピルカルボニル−アミノ、2,2−ジフルオロプロピルカルボニルアミノ、3,3−ジフルオロプロピルカルボニルアミノ、3,3,3−トリフルオロプロピルカルボニルアミノ、(R)−2−フルオロ−1−メチルエチルカルボニルアミノ、(S)−2−フルオロ−1−メチルエチルカルボニルアミノ、(R)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチルカルボニルアミノ、(S)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチルカルボニルアミノ、(R)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチルカルボニルアミノ、(S)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチルカルボニルアミノ、(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルカルボニル−アミノ、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルカルボニルアミノ、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エチル−カルボニルアミノ、1−(ジフルオロメチル)−2,2−ジフルオロエチルカルボニルアミノ、(R)−1−フルオロブチル−カルボニルアミノ、(S)−1−フルオロブチルカルボニルアミノ、2−フルオロブチルカルボニルアミノ、3−フルオロブチルカルボニルアミノ、4−フルオロブチルカルボニルアミノ、1,1−ジフルオロブチルカルボニルアミノ、2,2−ジフルオロブチルカルボニルアミノ、3,3−ジフルオロブチルカルボニルアミノ、4,4−ジフルオロブチル−カルボニルアミノ、4,4,4−トリフルオロブチルカルボニルアミノなどがある。
【0038】
フッ素化C〜Cアルキルカルボニルオキシは、上記で定義のRが1〜6個の炭素原子を有するフッ素化アルキル基である式R−C(O)−O−の基である。フルオロアセチル、ジフルオロアセチル、トリフルオロアセチル、(R)−1−フルオロエチルカルボニルオキシ、(S)−1−フルオロエチルカルボニルオキシ、2−フルオロエチルカルボニルオキシ、1,1−ジフルオロエチルカルボニルオキシ、2,2−ジフルオロエチルカルボニルオキシ、2,2,2−トリフルオロエチルカルボニルオキシ、(R)−1−フルオロプロピルカルボニルオキシ、(S)−1−フルオロプロピル−カルボニルオキシ、2−フルオロプロピルカルボニルオキシ、3−フルオロプロピルカルボニルオキシ、1,1−ジフルオロプロピル−カルボニルオキシ、2,2−ジフルオロプロピルカルボニルオキシ、3,3−ジフルオロプロピルカルボニルオキシ、3,3,3−トリフルオロプロピルカルボニルオキシ、(R)−2−フルオロ−1−メチルエチルカルボニルオキシ、(S)−2−フルオロ−1−メチルエチルカルボニルオキシ、(R)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチルカルボニルオキシ、(S)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチルカルボニルオキシ、(R)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチルカルボニルオキシ、(S)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチルカルボニルオキシ、(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルカルボニルオキシ、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルカルボニルオキシ、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エチルカルボニルオキシ、1−(ジフルオロ−メチル)−2,2−ジフルオロエチルカルボニルオキシ、(R)−1−フルオロブチルカルボニルオキシ、(S)−1−フルオロブチル−カルボニルオキシ、2−フルオロブチルカルボニルオキシ、3−フルオロブチルカルボニルオキシ、4−フルオロブチル−カルボニルオキシ、1,1−ジフルオロブチルカルボニルオキシ、2,2−ジフルオロブチルカルボニルオキシ、3,3−ジフルオロブチルカルボニルオキシ、4,4−ジフルオロブチルカルボニルオキシ、4,4,4−トリフルオロブチルカルボニルオキシなどがある。
【0039】
フッ素化C〜Cアルキルチオ(フッ素化C〜C−アルキルスルファニルとも称される。)は、上記で定義のRが1〜6個の炭素原子を有するフッ素化アルキル基である式R−S−の基である。例としては、フルオロメチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、(R)−1−フルオロエチルチオ、(S)−1−フルオロエチルチオ、2−フルオロエチルチオ、1,1−ジフルオロエチルチオ、2,2−ジフルオロエチルチオ、2,2,2−トリフルオロエチルチオ、(R)−1−フルオロプロピルチオ、(S)−1−フルオロプロピルチオ、2−フルオロプロピルチオ、3−フルオロプロピルチオ、1,1−ジフルオロプロピルチオ、2,2−ジフルオロプロピルチオ、3,3−ジフルオロプロピルチオ、3,3,3−トリフルオロプロピルチオ、(R)−2−フルオロ−1−メチルエチルチオ、(S)−2−フルオロ−1−メチルエチルチオ、(R)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチルチオ、(S)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチルチオ、(R)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチルチオ、(S)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチルチオ、(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルチオ、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルチオ、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エチルチオ、1−(ジフルオロメチル)−2,2−ジフルオロエチルチオ、(R)−1−フルオロブチルチオ、(S)−1−フルオロブチルチオ、2−フルオロブチルチオ、3−フルオロブチルチオ、4−フルオロブチルチオ、1,1−ジフルオロブチルチオ、2,2−ジフルオロブチルチオ、3,3−ジフルオロブチルチオ、4,4−ジフルオロブチルチオ、4,4,4−トリフルオロブチルチオなどがある。
【0040】
フッ素化C〜Cアルキルスルフィニルは、上記で定義のRが1〜6個の炭素原子を有するフッ素化アルキル基である式R−S(O)−の基である。例としては、フルオロメチルスルフィニル、ジフルオロメチルスルフィニル、トリフルオロメチルスルフィニル、(R)−1−フルオロエチルスルフィニル、(S)−1−フルオロエチルスルフィニル、2−フルオロエチルスルフィニル、1,1−ジフルオロエチルスルフィニル、2,2−ジフルオロエチルスルフィニル、2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル、(R)−1−フルオロプロピルスルフィニル、(S)−1−フルオロプロピルスルフィニル、2−フルオロプロピルスルフィニル、3−フルオロプロピルスルフィニル、1,1−ジフルオロプロピルスルフィニル、2,2−ジフルオロプロピルスルフィニル、3,3−ジフルオロプロピルスルフィニル、3,3,3−トリフルオロプロピルスルフィニル、(R)−2−フルオロ−1−メチルエチルスルフィニル、(S)−2−フルオロ−1−メチルエチルスルフィニル、(R)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチルスルフィニル、(S)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチルスルフィニル、(R)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチルスルフィニル、(S)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチルスルフィニル、(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルスルフィニル、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルスルフィニル、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エチルスルフィニル、1−(ジフルオロメチル)−2,2−ジフルオロエチルスルフィニル、(R)−1−フルオロブチルスルフィニル、(S)−1−フルオロブチルスルフィニル、2−フルオロブチルスルフィニル、3−フルオロブチルスルフィニル、4−フルオロブチルスルフィニル、1,1−ジフルオロブチルスルフィニル、2,2−ジフルオロブチルスルフィニル、3,3−ジフルオロブチルスルフィニル、4,4−ジフルオロブチルスルフィニル、4,4,4−トリフルオロブチルスルフィニルなどがある。
【0041】
フッ素化C〜Cアルキルスルホニルは、上記で定義のRが1〜6個の炭素原子を有するフッ素化アルキル基である式R−S(O)−の基である。例としては、フルオロメチルスルホニル、ジフルオロメチルスルホニル、トリフルオロメチルスルホニル、(R)−1−フルオロエチルスルホニル、(S)−1−フルオロエチルスルホニル、2−フルオロエチルスルホニル、1,1−ジフルオロエチルスルホニル、2,2−ジフルオロエチルスルホニル、2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル、(R)−1−フルオロプロピルスルホニル、(S)−1−フルオロプロピルスルホニル、2−フルオロプロピルスルホニル、3−フルオロプロピルスルホニル、1,1−ジフルオロプロピルスルホニル、2,2−ジフルオロプロピルスルホニル、3,3−ジフルオロプロピルスルホニル、3,3,3−トリフルオロプロピルスルホニル、(R)−2−フルオロ−1−メチルエチルスルホニル、(S)−2−フルオロ−1−メチルエチルスルホニル、(R)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチルスルホニル、(S)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチルスルホニル、(R)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチルスルホニル、(S)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチルスルホニル、(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルスルホニル、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルスルホニル、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エチルスルホニル、1−(ジフルオロメチル)−2,2−ジフルオロエチルスルホニル、(R)−1−フルオロブチルスルホニル、(S)−1−フルオロブチルスルホニル、2−フルオロブチルスルホニル、3−フルオロブチルスルホニル、4−フルオロブチルスルホニル、1,1−ジフルオロブチルスルホニル、2,2−ジフルオロブチルスルホニル、3,3−ジフルオロブチルスルホニル、4,4−ジフルオロブチルスルホニル、4,4,4−トリフルオロブチルスルホニルなどがある。
【0042】
〜Cシクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどの3〜6個のC原子を有するシクロ脂肪族基である。シクロアルキル基は未置換であるか、1、2、3または4個のC〜Cアルキル基、好ましくはメチル基を有することができる。好ましくは、1−メチルシクロプロピルまたは1−メチルシクロブチルのように、シクロアルキル基の1位に1個アルキル基が位置している。
【0043】
フッ素化C〜Cシクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどのように3〜6個のC原子を有するシクロ脂肪族基であって、1−フルオロシクロプロピル、2−フルオロシクロプロピル、(S)−および(R)−2,2−ジフルオロシクロプロピル、1,2−ジフルオロシクロプロピル、2,3−ジフルオロシクロプロピル、ペンタフルオロシクロプロピル、1−フルオロシクロブチル、2−フルオロシクロブチル、3−フルオロシクロブチル、2,2−ジフルオロシクロブチル、3,3−ジフルオロシクロブチル、1,2−ジフルオロシクロブチル、1,3−ジフルオロシクロブチル、2,3−ジフルオロシクロブチル、2,4−ジフルオロシクロブチルまたは1,2,2−トリフルオロシクロブチルでのように少なくとも1個、例えば1個、2個、3個、4個もしくは全ての水素原子がフッ素原子によって置き換わっているものである。
【0044】
〜C−アルケニルは、2、3、4、5または6個のC原子を有する単不飽和炭化水素基であり、例えばビニル、アリル(2−プロペン−1−イル)、1−プロペン−1−イル、2−プロペン−2−イル、メタリル(2−メチルプロプ−2−エン−1−イル)などがある。C〜C−アルケニルは特には、アリル、1−メチルプロプ−2−エン−1−イル、2−ブテン−1−イル、3−ブテン−1−イル、メタリル、2−ペンテン−1−イル、3−ペンテン−1−イル、4−ペンテン−1−イル、1−メチルブト−2−エン−1−イルまたは2−エチルプロプ−2−エン−1−イルである。
【0045】
フッ素化C〜C−アルケニルは、1−フルオロビニル、2−フルオロビニル、2,2−フルオロビニル、3,3,3−フルオロプロペニル、1,1−ジフルオロ−2−プロペニル1−フルオロ−2−プロペニルなどのように、少なくとも1個、例えば1個、2個、3個、4個もしくは全ての水素原子がフッ素原子によって置き換わった2、3、4、5または6個のC原子を有する単不飽和炭化水素基である。
【0046】
〜C−アルキレンは、メチレン、エチレン、1,2−および1,3−プロピレン、1,4−ブチレンなどのように1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する炭化水素架橋基である。
【0047】
3〜7員複素環基には、3、4、5、6または7個の環形成原子(環員)を有する飽和複素環基、5、6または7個の環形成原子を有する不飽和非芳香族複素環基、および5または6個の環形成原子を有するヘテロ芳香族基などがある。複素環基は、炭素原子を介して(C−結合)または窒素原子を介して(N−結合)結合することができる。好ましい複素環基は、原子環員としての1個の窒素原子および適宜に環員としての互いに独立にO、SおよびNから選択される1、2または3個の別のヘテロ原子を有する。同様に好ましい複素環基には、環員としてのO、SおよびNから選択される1個のヘテロ原子、および適宜に環員としての1、2または3個の別の窒素原子を含む。複素環基は、CO、SOおよびSOのように環員として1〜3個のヘテロ原子含有基を有していても良い。従って、例としては下記のオキソ含有複素環がある。
【0048】
3〜7員飽和複素環基の例には、1−または2−アジリジニル、1−、2−または3−アゼチジニル、1−、2−または3−ピロリジニル、2−または3−オキソピロリジニル、1−、2−、3−または4−ピペリジニル、2−、3−または4−モルホリニル、2−、3−または4−チオモルホリニル、1−オキソ−チオモルホリニル、1,1−ジオキソチオモルホリニル、1−、2−または3−ピペラジニル、2−、3−4−または5−オキサゾリジニル、2−、4−または5−オキソ−オキサゾリジニル、2−、3−、4−または5−イソオキサゾリジニル、2−オキシラニル、2−または3−オキセタニル、2−または3−オキソラニル、2−、3−または4−オキサニル、1,3−ジオキソラン−2−または4−イルなどがあり、それらは未置換であることができるか、1、2もしくは3個の上記基Rおよび/またはヒドロキシを有することができる。
【0049】
不飽和非芳香族複素環基は、5、6または7個の環形成原子を有し、芳香族π−電子系を形成しない1個もしくは2個の二重結合を有する複素環基である。例としては、2,3−ジヒドロピロリル、3,4−ジヒドロピロリル、2,3−ジヒドロフラニル、3,4−ジヒドロフラニル、2,3−ジヒドロチオフェニル、3,4−ジヒドロチオフェニル、1,2−ジヒドロピリジニル、2,3−ジヒドロピリジニル、3,4−ジヒドロピリジニル、1,2,3,4−テトラヒドロピリジニル、2,3,4,5−テトラヒドロピリジニルなどがある。
【0050】
5員もしくは6員ヘテロ芳香族基は、ヘテロ芳香族環状基であって、その環状基が環を形成する5もしくは6個の原子(環員)を有し、1、2、3もしくは4個の環員原子がO、SおよびNから選択され、他の環員原子が炭素原子であるものである。そのヘテロ芳香族基は、炭素原子を介して(C−結合)または窒素原子を介して(N−結合)結合していることができる。好ましいヘテロ芳香族基は、環員原子としての1個の窒素原子および適宜に環員としてとしての互いに独立にO、SおよびNから選択される1、2もしくは3個の別のヘテロ原子を有する。同様に好ましいヘテロ芳香族基は、環員としてのO、SおよびNから選択される1個のヘテロ原子および適宜に環員としての1、2もしくは3個の別の窒素原子を有する。5員もしくは6員のヘテロ芳香族基の例には、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−または5−ピリミジニル、ピラジニル、3−または4−ピリダジニル、2−または3−チエニル、2−または3−フラニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2−または4−イミダゾリル、1−、3−または4−ピラゾリル、1−または3−[1,2,4]−トリアゾリル、1−または4−[1,2,3]−トリアゾリル、1−、2−または5−テトラゾリル、2−、3−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、3−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、4−または5−[1,2,3]−オキサジアゾリル、[1,2,5]−オキサジアゾリル(=フラザニル)、3−または5−[1,2,4]−オキサジアゾリル、[1,3,4]−オキサジアゾリル、4−または5−[1,2,3]−チアジアゾリル、[1,2,5]−チアジアゾリル、3−または5−[1,2,4]−チアジゾリルまたは[1,3,4]−チアジアゾリルなどがあり、前記ヘテロ芳香族基は、未置換であるか、または1、2または3個の上記の基Rおよび/またはヒドロキシを有することができる。
【0051】
飽和もしくは不飽和5もしくは6員炭素環もしくは複素環に縮合したフェニル環の例には、インデニル、インダニル、ナフチル、1,2−または2,3−ジヒドロナフチル、テトラリン、ベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、クロメニル、クロマニルなどがあり、それらは未置換であることができるか、1、2または3個の上記基Rを有することができる。この縮合系は、フェニル部分の炭素原子を介して、またはフェニルに縮合した環の環原子(C−またはN−原子)を介して、分子の残りの部分(より正確にはスルホニル基に)に結合していても良い。
【0052】
およびRがNと一体となって4、5もしくは6員環を形成している場合、この種の基の例としては、環員として少なくとも1個のN原子を有する上記で定義の5もしくは6員ヘテロ芳香族基は別として、Ar(ピロール−1−イル、ピラゾール−1−イル、イミダゾール−1−イル、[1,2,3]−トリアゾール−1−イルなどでのように)、アゼチジニル、アゼチニル、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルなどにさらに結合しているN原子などがある。
【0053】
本発明の具体的な実施形態では、化合物Iにおいて、
Arは、フェニル、環員としてN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を有する5もしくは6員ヘテロ芳香族基ならびに飽和もしくは不飽和5もしくは6員炭素環もしくは複素環に縮合したフェニル環からなる群から選択される環状基であり;前記複素環は、環員としてN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を有し;前記環状基は、ハロゲン、C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキル、NR、NR−C〜C−アルキレンからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基Rを有することができ;RおよびRは互いに独立に、H、C〜C−アルキルもしくはフッ素化C〜C−アルキルであるか、あるいはNとともに4、5もしくは6員飽和または不飽和環、C〜C−シクロアルキル、フッ素化C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルコキシ、CN、アセチル、カルボキシおよび環員としてN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和もしくは不飽和5もしくは6員複素環を形成していても良い。
【0054】
好ましくは、基Rは、H、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキルによって置換されたC〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキルおよびC〜C−アルケニルから選択される。より好ましいものは、H、プロピル、シクロプロピルメチレン、フッ素化メチルおよびアリルである。特に好ましい実施形態では、Rはn−プロピルまたはアリルであり、特別にはn−プロピルである。
【0055】
基Aは好ましくは、フェニレン、ピリジレンまたはピリミジレンである。さらに.Aが未置換であることが好ましい。より好ましい実施形態では、Aは1,4−フェニレン、1,2−フェニレン、2,5−ピリジレンまたは2,5−ピリミジレンである。特には、Aは1,4−フェニレンまたは1,2−フェニレンである。特に、Aは1,4−フェニレンである。
【0056】
基Eは、好ましくはNRであり、より好ましくはNHまたはNCHであり、特にはNHである。
【0057】
好ましくは、RおよびRは独立に、H、C〜C−アルキルまたはC〜C−アルコキシである。
【0058】
Arが5もしくは6員ヘテロ芳香族基である場合、好ましい基Arは、2−または3−チエニル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−または5−ピリミジニル、2−、3−または5−チアゾリル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,2,3−トリアゾール−4−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、特には2−チエニル、2−ピリミジニル、5−ピリミジニル、2−ピリジニルである。ヘテロ芳香族基は、未置換であっても良く、または1、2または3個の上記基Rを有することができる。好ましい基はこの場合、ハロゲン、C〜C−アルキル.フッ素化C〜C−アルキル、C〜C−アルキルカルボニルアミノ、ニトロ、フェノキシ、フェニルスルホニルまたは環員としてOおよびNから選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を有する5もしくは6員芳香族もしくは非芳香族複素環から優先的に選択される上記で定義の3〜7員複素環である。
【0059】
Arが、上記のように5もしくは6員複素環または炭素環に縮合しているフェニルであって、未置換であるか上記の1、2もしくは3個の基Rを有することができるものである場合、この縮合系は好ましくは、インデニル、インダニル、ナフチル、テトラリン、ベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、クロメニルおよびクロマニルから選択され、その場合の縮合系は未置換であるか1、2もしくは3個の上記基Rを有することができる。好ましくは、その縮合系は、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、キノリニル、イソキノリニルおよびテトラヒドロイソキノリニルから選択される。この縮合系に好ましい置換基Rは、ハロゲン、C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルコキシ、C〜C−アルキルカルボニルおよびフッ素化C〜C−アルキルカルボニルから選択される。この縮合系により好ましい置換基Rは、ハロゲン、C〜C−アルキルおよびフッ素化C〜C−アルキルカルボニルから選択される。
【0060】
上記5員ヘテロ芳香族基において、Arは好ましくは、5位(SO基の2位に関して)に1個の基Rおよび適宜にハロゲン、特にはフッ素または塩素から選択される1個もしくは2個の別の基を有する。
【0061】
フェニルおよび上記6員ヘテロ芳香族基Arは好ましくは、4位(SO基の1位に関して)に1個の基Rおよび適宜にハロゲン、特にはフッ素または臭素から選択される1個もしくは2個の別の基を有する。
【0062】
本発明のある好ましい実施形態においてArは、フェニル環の4位の基Rおよび適宜に好ましくはハロゲン、特にはフッ素または塩素から選択される1個もしくは2個の別の基Rを有するフェニルである。より好ましくはArは、フェニル環の4位に基Rを有して別の基を持たないフェニルである。
【0063】
本発明の別の好ましい実施形態においてArは、ピリミジン環の5位の基Rおよび適宜に好ましくはハロゲン、特にはフッ素もしくは塩素から選択される1個もしくは2個の別の基Rを有する2−ピリミジニルである。
【0064】
本発明の別の好ましい実施形態においてArは、ピリミジン環の2位の基Rおよび適宜に好ましくはハロゲン、特にはフッ素もしくは塩素から選択される1個もしくは2個の別の基Rを有する5−ピリミジニルである。
【0065】
本発明の別の好ましい実施形態においてArは、チオフェン環の3位の基Rおよび適宜に好ましくはハロゲン、特にはフッ素もしくは塩素から選択される1個もしくは2個の別の基Rを有する2−チエニルである。
【0066】
本発明の別の好ましい実施形態においてArは、上記で記載の5員もしくは6員複素環もしくは炭素環に縮合しているフェニルであって、未置換であるかまたは上記の1、2もしくは3個の基Rを有することができるものである。
【0067】
基Arの好ましい環状基は、フェニル、2−または3−チエニル、2−、3−または4−ピリジル、1−、2−、3−、4−または5−インダニル、2−、3−、4−または5−ベンゾフラニル、特にはフェニル、2−チエニル、2−または3−ピリジニル、5−インダニルおよび5−ベンゾフラニルである。
【0068】
本発明のより好ましい実施形態において、Arはフェニルである。好ましくはArは、フェニル環の4位の基Rおよび適宜に好ましくはハロゲン、特にはフッ素もしくは塩素から選択される1個もしくは2個の別の基Rを有するフェニルである。より好ましくはArは、フェニル環の4位の基Rを有して別の基を持たないフェニルである。
【0069】
が飽和または不飽和3〜7員複素環である場合、この基は未置換であるか、OHおよびRから選択される1〜3個の置換基によって置換されている。好ましい置換基は、ヒドロキシ、ハロゲン、C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシおよびC〜C−アルキル−C〜C−アルコキシから選択される。具体的にはその置換基は、C〜C−アルキル−C〜C−アルコキシから選択される。好ましくは、前記3〜7員複素環は、未置換であるか、1個の置換基を有する。
【0070】
ある好ましい実施形態において、環状基Arは、ハロゲン、C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルコキシ(OCF、OCHFおよびOCHFなど)、C〜C−アルケニル、フッ素化C〜C−アルケニル、CHN(CH、NR(RおよびRは互いに独立に、H、C〜C−アルキルまたはフッ素化C〜C−アルキルであるか、またはNとともに4、5もしくは6員飽和もしくは不飽和環、特にはアゼチジニル、ピロリジニルもしくはピペリジニル系を形成していても良い。)、C〜C−シクロアルキル(ハロゲン、アセチルもしくはカルボキシルによって置換されていても良い)からなる群から選択される1、2または3個の置換基Rによって置換されている。より好ましくはArは、ハロゲン、C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルコキシ(OCF、OCHFおよびOCHFなど)、C〜C−アルケニル、フッ素化C〜C−アルケニル、CHN(CH、NR(RおよびRは互いに独立にH、C〜C−アルキルまたはフッ素化C〜C−アルキルであるか、Nとともに、アゼチジニル、ピロリジニルまたはピペリジニル系を形成していても良い。)、C〜C−シクロアルキル(ハロゲン、アセチルもしくはカルボキシルによって置換されていても良い。)からなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基によって置換されているフェニルであるか、あるいはArは、ハロゲン、C〜C−アルキルまたはC〜C−アルケニルによって置換されていても良いチエニル、ピリジル、ベンゾフラニルまたはインダニルである。さらに好ましくはArは、フッ素もしくは臭素、C〜C−アルキル(特別にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、ジメチルプロピル、特にはイソプロピル)、フッ素化C〜C−アルキル(特別にはCFまたはフッ素化イソプロピル)、C〜C−アルコキシ(特別にはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシまたはブトキシ)、OCF、OCHF、OCHF、イソプロペニル、CHN(CH、NR(RおよびRは互いに独立にH、C〜C−アルキルまたはフッ素化C〜C−アルキルである。)、C〜C−シクロアルキル(特別にはシクロペンチル)、フッ素化C〜C−シクロアルキル(特別には2,2−ジフルオロシクロプロピル)、アセチルまたはカルボキシルから選択される1、2もしくは3個の置換基Rによって置換されているフェニルである。あるいはArは、ハロゲン(特には塩素)およびC〜C−アルケニル(特にはイソプロペニル)から選択される1、2もしくは3個の置換基を有するチエニルもしくはピリジルであるか、またはArはベンゾフラニルまたはインダニルである。
【0071】
別の好ましい実施形態では、Arは好ましくは、式Ra′を有する1個の基Rを有する。
【0072】
【化4】

【0073】
Yは、N、CHまたはCFであり;
a1およびRa2は互いに独立に、C〜C−アルキル(特にはメチル)、フッ素化C〜C−アルキル(特にはフルオロメチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチル)から選択され、ただしYがCHまたはCFである場合には、基Ra1またはRa2のうちの一方が水素またはフッ素であることもできるか、または
a1およびRa2が一体となって基(CHを形成しており、その式中において水素原子のうちの1個もしくは2個がフッ素、ヒドロキシ、オキソ、C〜C−アルキルまたはC〜C−アルコキシによって置き換わっていても良く、一つのCH部分がO、S、S=O、SOまたはN−Rによって置き換わっていても良く、Rは水素またはC〜C−アルキルであり、mは2、3、4、5または6であり、特にはCH−CH、CHF−CHCF−CH、CH−CH−CH、CHF−CH−CH、CF−CH−CH、CH−CHF−CH、CH−CF−CHである。
【0074】
a1およびRa2が基(CHを形成している場合、水素原子のうちの1個もしくは2個がフッ素によって置き換わっていることが好ましい。それの例には、CH−CH、CHF−CHCF−CH、CH−CH−CH、CHF−CH−CH、CF−CH−CH、CH−CHF−CHおよびCH−CF−CHがある。
【0075】
a1およびRa2が互いに異なる場合、上記式Rの基は、Y部分に関して(R)配置または(S)配置を有することができる。
【0076】
式Ra′の好ましい基の例には、イソプロピル、(R)−1−フルオロエチル、(S)−1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、(R)−1−フルオロプロピル、(S)−1−フルオロプロピル、(R)−2−フルオロプロピル、(S)−2−フルオロプロピル、3−フルオロプロピル、1,1−ジフルオロプロピル、2,2−ジフルオロプロピル、3,3−ジフルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、(R)−2−フルオロ−1−メチルエチル、(S)−2−フルオロ−1−メチルエチル、(R)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(S)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(R)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(S)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エチル、1−(ジフルオロメチル)−2,2−ジフルオロエチル、1−フルオロ−1−メチルエチルシクロプロピル、シクロブチル、1−フルオロシクロプロピル、(S)および(R)−2,2−ジフルオロシクロプロピルおよび2−フルオロシクロプロピルなどがある。
【0077】
式Ra′の基の中で、1、2、3または4個、特には1、2または3個のフッ素原子を有するものが好ましい。
【0078】
式Ra′の別の好ましい基の例には、4−モルホリニル、4−チオモルホリニル、4−(1,1−ジオキソ)チオモルホリニル、ピペラジン−1−イル、4−メチルピペラジン−1−イル、アゼチジン−1−イル、2−メチルアゼチジン−1−イル、(S)−2−メチルアゼチジン−1−イル、(R)−2−メチルアゼチジン−1−イル、3−フルオロアゼチジン−1−イル、3−メトキシアゼチジン−1−イル、3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、(S)−ピロリジン−2−イル、(R)−ピロリジン−2−イル、ピロリジン−3−イル、(S)−ピロリジン−3−イル、(R)−ピロリジン−3−イル、2−フルオロピロリジン−1−イル、(S)−2−フルオロピロリジン−1−イル、(R)−2−フルオロピロリジン−1−イル、3−フルオロピロリジン−1−イル、(S)−3−フルオロピロリジン−1−イル、(R)−3−フルオロピロリジン−1−イル、2,2−ジフルオロピロリジン−1−イル、3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル、2−メチルピロリジン−1−イル、(S)−2−メチルピロリジン−1−イル、(R)−2−メチルピロリジン−1−イル、3−メチルピロリジン−1−イル、(S)−3−メチルピロリジン−1−イル、(R)−3−メチルピロリジン−1−イル、1−メチルピロリジン−2−イル、(S)−1−メチルピロリジン−2−イル、(R)−1−メチルピロリジン−2−イル、1−メチルピロリジン−3−イル、(S)−1−メチルピロリジン−3−イル、(R)−1−メチルピロリジン−3−イル、2,2−ジメチルピロリジン−1−イル、3,3−ジメチルピロリジン−1−イル、2−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル、(S)−2−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル、(R)−2−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル、3−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル、(S)−3−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル、(R)−3−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル、2−メトキシメチルピロリジン−1−イル、(R)−2−メトキシメチルピロリジン−1−イル、(S)−2−メトキシメチルピロリジン−1−イル、3−メトキシメチルピロリジン−1−イル、(R)−3−メトキシメチルピロリジン−1−イル、(S)−3−メトキシメチルピロリジン−1−イル、2−オキソピロリジン−1−イル、2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル、ピペリジン−1−イル、2−メチルピペリジン−1−イル、(S)−2−メチルピペリジン−1−イルおよび(R)−2−メチルピペリジン−1−イルなどがある。
【0079】
より好ましくはRa′は、イソプロピル、フッ素化イソプロピル((R)−2−フルオロ−1−メチルエチル、(S)−2−フルオロ−1−メチルエチル、(R)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(S)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(R)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(S)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エチルおよび1−(ジフルオロメチル)−2,2−ジフルオロエチルのように)、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2−メトキシメチルピロリジン−1−イル、(R)−2−メトキシメチルピロリジン−1−イルおよび(S)−2−メトキシメチルピロリジン−1−イルから選択される。
【0080】
特に好ましい実施形態では、基Ra′はフェニル環の4位にある。
【0081】
別の好ましい実施形態においてRは、環員としてO、SおよびNから選択される1個のヘテロ原子を有する5もしくは6員ヘテロ芳香族基から選択され、それは環員として1、2もしくは3個の窒素原子をさらに有していても良く;その5もしくは6員ヘテロ芳香族基は、ハロゲン、NO、NH、OH、CN、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−シクロアルキル、フッ素化C〜C−アルコキシ、C〜C−ヒドロキシアルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル、C〜C−ヒドロキシアルコキシ、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルコキシ、C〜C−アルキルカルボニル、C〜C−アルキルアミノ、ジ−C〜C−アルキルアミノ、C〜C−アルキルアミノカルボニル、ジ−C〜C−アルキルアミノカルボニル、フッ素化C〜C−アルキルカルボニル、C〜C−アルキルカルボニルアミノ、フッ素化C〜C−アルキルカルボニルアミノ、C〜C−アルキルカルボニルオキシ、フッ素化C〜C−アルキルカルボニルオキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、C〜C−アルキルチオ、フッ素化C〜C−アルキルチオ、C〜C−アルキルスルフィニル、C〜C−アルキルスルホニル、フッ素化C〜C−アルキルスルフィニルおよびフッ素化C〜C−アルキルスルホニルから選択される1、2もしくは3個の置換基を有することができる。これらの基Rの中で、好ましいものは、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−または5−ピリミジニル、ピラジニル、3−または4−ピリダジニル、2−または3−チエニル、2−または3−フリル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2−または4−イミダゾリル、1−、3−または4−ピラゾリル、1−または3−[1,2,4]−トリアゾリル、1−または4−[1,2,3]−トリアゾリル、1−、2−または5−テトラゾリル、2−、3−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、3−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、4−または5−[1,2,3]−オキサジアゾリル、[1,2,5]−オキサジアゾリル(=フラザニル)、3−または5−[1,2,4]−オキサジゾリル、[1,3,4]−オキサジゾリル、4−または5−[1,2,3]−チアジアゾリル、[1,2,5]−チアジアゾリル、3−または5−[1,2,4]−チアジゾリルまたは[1,3,4]−チアジアゾリルから、特には2−または3−フラニル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリルおよびテトラゾリルから選択される基であり、そのヘテロ芳香族基は未置換であるか、上記の1〜3個の置換基を有することができる。ヘテロ芳香族R上の好ましい置換基は、ハロゲン、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルキルおよびフッ素化C〜C−アルコキシから選択される。好ましくは、そのヘテロ芳香族基は、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリルおよびイソチアゾリルなどの5員ヘテロ芳香族基から選択される。具体的には、そのヘテロ芳香族基は2−フラニルまたは2−チエニルである。
【0082】
別の好ましい実施形態においてRは、ハロゲン、フッ素化メチル、C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルコキシ、C〜C−アルキルチオおよびフッ素化C〜C−アルキルチオから、より好ましくはハロゲン、フッ素化メチル、フッ素化C〜C−アルコキシおよびフッ素化C〜C−アルキルチオから、特にはハロゲン、CHF、CHF、CF、OCHF、OCHF、OCF、SCHF、SCHFおよびSCFから、具体的にはハロゲン、CF、OCFおよびSCFから選択される。
【0083】
本発明のより好ましい実施形態ではRは、式Rの基、特にはイソプロピル、フッ素化イソプロピル((R)−2−フルオロ−1−メチルエチル、(S)−2−フルオロ−1−メチルエチル、(R)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(S)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(R)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(S)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エチルおよび1−(ジフルオロメチル)−2,2−ジフルオロエチルのように)、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2−メトキシメチルピロリジン−1−イル、(R)−2−メトキシメチルピロリジン−1−イルまたは(S)−2−メトキシメチルピロリジン−1−イルから、さらにはハロゲン(特には臭素)、フッ素化メチル、C〜C−アルコキシおよびフッ素化C〜C−アルキルチオ(CHF、CHF、CF、OCHF、OCHF、OCF、SCHF、SCHFおよびSCF、具体的にはCF、OCFおよびSCFなど)から、5員ヘテロ芳香族基(特には2−フラニルおよび2−チエニル)から選択される。具体的にはRは、イソプロピル、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2−メトキシメチルピロリジン−1−イル、(R)−2−メトキシメチルピロリジン−1−イル、(S)−2−メトキシメチルピロリジン−1−イル、ハロゲン、特には臭素、フッ素化メチル、C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルキルチオ(CHF、CHF、CF、OCHF、OCHF、OCF、SCHF、SCHFおよびSCF、具体的にはCF、OCFおよびSCFなど)および5員ヘテロ芳香族基(特には2−フラニルおよび2−チエニル)から選択される。
【0084】
好ましくはArは、1個の基Rを有する。
【0085】
非常に好ましい実施形態ではArは、ハロゲン、C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルコキシ、C〜C−アルキルチオ、フッ素化C〜C−アルキルチオ、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2−フラニルおよび2−チエニルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基を有するフェニルであり、最後の4個の言及した基はハロゲン、C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルコキシおよびC〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルから選択される1個もしくは2個の置換基によって置換されていても良い。
【0086】
より好ましくはArは、フェニル環の4位に基Rを有するフェニルであり;Rは、イソプロピル、フッ素化イソプロピル((R)−2−フルオロ−1−メチルエチル、(S)−2−フルオロ−1−メチルエチル、(R)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(S)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(R)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(S)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エチルおよび1−(ジフルオロメチル)−2,2−ジフルオロエチルのように)、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2−メトキシメチルピロリジン−1−イル、(R)−2−メトキシメチルピロリジン−1−イルおよび(S)−2−メトキシメチルピロリジン−1−イルから選択される式Ra′の基であるか、またはRはハロゲン(特には臭素)、フッ素化メチル、フッ素化C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルキルチオ(CHF、CHF、CF、OCHF、OCHF、OCF、SCHF、SCHFおよびSCF、具体的にはCF、OCFおよびSCFなど)、2−フラニルまたは2−チエニルである。
【0087】
具体的にはArは、フェニル環の4位に1個の基Rを有するフェニルであり;Rは、イソプロピル、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2−メトキシメチルピロリジン−1−イル、(R)−2−メトキシメチルピロリジン−1−イル、(S)−2−メトキシメチルピロリジン−1−イル、ハロゲン(特には臭素)、フッ素化メチル、フッ素化C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルキルチオ(CHF、CHF、CF、OCHF、OCHF、OCF、SCHF、SCHFおよびSCF、具体的にはCF、OCFおよびSCFなど)、2−フラニルおよび2−チエニルから選択される。
【0088】
特に好ましい化合物Iは、下記式I.a、I.b、I.cおよびI.dのものであり、式中においてRおよびArは上記で定義の意味を有する。RおよびArの好ましい意味は上記で定義の通りである。式I.a、I.b、I.cおよびI.dによって表される好ましい化合物の例として、表Aにまとめた個々の化合物があり、可変要素ArおよびRは表Aの一つの列に示した意味を有する。
【0089】
【化5】

【0090】
式I.a、I.b、I.cおよびI.dによって表される好ましい化合物の例は、上記でまとめた個々の化合物I.a、I.b、I.cおよびI.dであり、可変要素ArおよびRは表Aの一つの列に示した意味を有する。
【0091】
【表1】



































































【0092】
下記の合成経路に示した方法に従って、本発明の化合物Iを合成することができる。
【0093】
【化6】

【0094】
図式1において、AおよびArは上記で定義の通りである。R′は、Rであるか、Rの前駆体である。
【0095】
所望の生成物(I)であるかそれの前駆体である化合物(I′)は、アザビシクロヘプタン(II)のアリールまたはヘタリール部分A−Hをニトロ化することで得ることができる。ニトロ基の還元および形成されたアミノ官能基の好適なスルホン酸誘導体との反応によって、化合物(I1′)が得られる(段階(i)、(ii)および(iii))。あるいは、アザビシクロヘプタン(II)のアリールまたはヘタリール部分A−Hを臭素化し、次に好適なスルホン酸誘導体と反応させる。
【0096】
段階(i)の反応は、文献(例えば、Jerry March, Advanced Organic Chemistry, John Wiley, 3rd edition, page 468ff;Tetrahedron 1999, 55(33), pp. 10243-10252;J. Med. Chem. 1997, 40(22), pp. 3679-3686;Synthetic Communications, 1993, 23(5), pp. 591-599)に記載の芳香族基上のニトロ化反応について一般的な反応条件下で行う。例えば、化合物(II)を、濃硫酸の存在下に濃硝酸または硝酸カリウムもしくはナトリウムなどの硝酸塩と反応させる。そのニトロ化反応によって通常、オルト、パラおよびメタ生成物などの異なる位置異性体が形成される。通常、メタ生成物Iは実質的に形成されない。しかしながら、一般的にはオルトおよびパラの両方の生成物が得られ、パラ生成物が主たる化学種である。オルト生成物とパラ生成物を分離することで、Aが1,4−アリールまたはヘタリールである式Iの化合物ならびにAが1,2−アリールまたはヘタリールである化合物Iを、図式1に示した反応経路によって得ることができる。
【0097】
段階(ii)では、(III)におけるニトロ基を還元してNH基とする。次に、そのNH基を−NR5′基(R5′はRについて具体的に挙げた水素とは異なる意味を有する。)に変換することができる。段階(ii)に必要な反応条件は、文献(例えば、J. March, Advanced Organic Chemistry, 3rd ed., J. Wiley & Sons, New-York, 1985, p. 1183およびこの文献で引用の文献参照)に広範囲に記載されている芳香族ニトロ基の還元のための一般的な条件に相当する。その還元は、例えば酸性反応条件下で鉄、亜鉛またはスズなどの金属とニトロ化合物IIIを反応させることで、すなわち発生期水素を用いるか、または好ましくはNiCl(P(フェニル)またはCoClなどのニッケルまたはコバルトの遷移金属化合物存在下に水素化リチウムアルミニウムまたは水素化ホウ素ナトリウムなどの複合水素化物を用いて(Ono et al. Chem. Ind. (London), 1983 p.480参照。)またはNaBH(Lalancette et al. Can. J. Chem. 49, 1971 , p. 2990参照)を用いて行い、これらの還元は、所定の試薬に応じて、実質的にまたは溶媒もしくは希釈剤中にて行うことが可能である。あるいは、VIIのVIIIへの還元は、遷移金属触媒の存在下に水素で、例えば白金、パラジウム、ニッケル、ルテニウムまたはロジウム系の触媒の存在下に水素を用いて行うことができる。その触媒は、遷移金属を元素の形で、または遷移金属の錯化合物、塩もしくは酸化物の形態で含むことができ、活性を変える目的で、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンまたはトリ−n−ブチルホスフィン類またはホスファイト類などの有機ホスフィン化合物のような従来の共配位子を用いることが可能である。触媒は従来のように、触媒金属として計算して、化合物VII 1モル当たり0.001〜1モルの量で用いる。好ましい変形態様では、その還元は、文献(Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, 2002, 12(15), pp. 1917-1919 and J. Med. Chem. 2002, 45(21), pp. 4679-4688)に記載の方法と同様にして塩化スズ(II)を用いて行う。VIIの塩化スズ(II)との反応は好ましくは、不活性有機溶媒中、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノールまたはブタノールなどのアルコール中で行う。
【0098】
段階(iii)は好ましくは、当業界における標準的な手順に従って塩基存在下に行う。上記図式に示した反応において、段階(iii)は、それぞれアリールスルホンアミド化合物またはアリールスルホン酸エステルを製造する上で一般的であり、文献(例えば、J. March, Advanced Organic Chemistry, 3rd edition, John Wiley & Sons, New York, 1985 p 444およびそこに引用されている文献、European J. Org. Chem. 2002 (13), pp. 2094-2108, Tetrahedron 2001, 57 (27) pp. 5885-5895、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, 2000, 10(8), pp. 835-838およびSynthesis 2000 (1), pp. 103-108)に記載されている反応条件下で行う。その反応は一般的に、例えばエーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテルまたはテトラヒドロフランなど)、ハロ炭化水素(塩化メチレンなど)、脂肪族もしくはシクロ脂肪族炭化水素(ペンタン、ヘキサンまたはシクロヘキサンなど)または芳香族炭化水素(トルエン、キシレン、クメンなど)などの不活性溶媒中または上記溶媒の混合物中で行う。Cl−SO−Arとの反応は一般的に、補助塩基の存在下に行う。好適な塩基は、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムまたは炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムなどの無機塩基、ならびに例えばトリエチルアミンなどのトリアルキルアミン類またはピリジン、ルチジンなどのピリジン化合物などの有機塩基である。後者の化合物は、同時に溶媒として用いることができる。補助塩基は一般的に、アミン化合物IIに基づいて少なくとも等モル量で使用する。
【0099】
ニトロ化段階(i)に代えて、化合物(II)を臭素化することで、化合物I′を得ることもできる。次に、例えばマイクロ波条件下で適切なスルホンアミドArSONHと反応させることによって、A基のブロモ置換基を置き換えることができる。Pd、特にはPd(0)またはCu触媒をカップリングに用いることもできる(例えば、Org. Lett. 2000, 2, 1101;J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 6043;Org. Lett. 2003, 5, 4373;Tetrahedron Lett. 2003, 44, 3385参照。)。この反応経路は、相当するスルホニルクロライドが入手できない場合に特に有用である。あるいは、例えばPd触媒の存在下にベンゾフェノンイミンと反応させることで、ブロモ置換基をアミノ置換基によって置き換えることができる(例えば、J. Org. Chem. 2000, 65, 2612参照。)。次に、アミノアリールまたはヘタリール化合物について、段階(iii)のスルホン化を行うことができる。
【0100】
R′がアリルである場合、そのアリル基を開裂させて、R′が水素である化合物を得ることができる。アリル基の開裂は、触媒量のパラジウム(0)化合物または反応条件下でパラジウム(0)化合物を形成することができるパラジウム化合物(例えば、二塩化パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)またはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))の存在下に、有利にはトリアリールホスフィン類(トリフェニルホスフィンなど)、トリアルキルホスフィン類(トリブチルホスフィンなど)およびシクロアルキルホスフィン類(トリシクロヘキシルホスフィンなど)などのホスフィン配位子と、特には2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフチルまたは1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンなどのホスフィンキレート配位子と組み合わせて、文献から公知の方法(メルカプト安息香酸存在下でのN−アリルの脱離に関しては、WO94/24088参照;1,3−ジメチルバルビツール酸存在下での脱離に関しては、J. Am. Chem. Soc. 2001 , 123 (28), pp. 6801-6808およびJ. Org. Chem 2002, 67(11) pp. 3718-3723参照。)を用いて、例えばI[R′=アリル]をメルカプト安息香酸または1,3−ジメチルバルビツール酸などのアリル捕捉剤と反応させることで行う。あるいは、N−アリルの開裂は、文献で公知の方法を用いて(J. Chem. Soc, Perkin Transaction I: Organic and Bio-Organic Chemistry 1999 (21) pp. 3089-3104およびTetrahedron Asymmetry 1997, 8(20), pp. 3387-3391参照)、トリス(トリフェニルホスフィン)クロロロジウム(I)などのロジウム化合物の存在下に反応させることで行うこともできる。
【0101】
R′がベンジルである場合、この置換基を開裂させて、R′がHである化合物I′を得ることもできる。その開裂の反応条件は当業界で公知である。代表的には、Pd/炭素または水酸化パラジウムなどの好適なPd触媒の存在下での水素化反応によって、ベンジル基を脱離させる。
【0102】
R′は保護基であることもできる。その保護基を脱離させて、R′がHである化合物I′を得ることができる。好適な保護基は当業界で公知であり、例えばtert−ブトキシカルボニル(boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフェニルメチル(Trt)およびニトロベンゼンスルフェニル(Nps)から選択される。好ましい保護基はbocである。その保護基は、HClもしくはHBrなどのハロゲン酸またはトリフルオロ酢酸のような酸による保護アミンの処理、または適宜にPd触媒存在下での水素化などの公知の方法によって脱離させることができる。
【0103】
次に、得られた化合物[R′=H]を、公知の方法で、アルキル化の意味において、化合物R−Xと反応させることができる。この化合物において、Rは、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−ハロアルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルまたはC〜C−シクロアルキル−C〜C−アルキルであり、Xは例えばハロゲン、トリフルオロ酢酸エステル、アルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、アルキル硫酸エステルなどの求核置換可能な脱離基である。そのアルキル化に必要な反応条件は、文献(例えばBioorganic and Medicinal Chemistry Lett. 2002, 12(7), pp. 2443-2446および2002, 12(5), pp. 1917-1919)に十分に開示されている。
【0104】
そのアルキル化は、還元的アミノ化の意味において、還元剤の存在下、例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素シアノナトリウムまたは水素化ホウ素トリアセトキシナトリウムなどのホウ水素化物の存在下に、R′=Hである化合物Iを好適なケトンまたはアルデヒドと反応させることで行うこともできる。当業者であれば、例えば文献(Bioorganic and Medicinal Chemistry Lett. 2002, 12(5), pp. 795-798および12(7) pp. 1269-1273)から、還元的アミノ化に必要な反応条件については熟知している。
【0105】
R′が水素である場合、得られたスルホンアミドをアシルハライドとさらに反応させて、RがC〜C−アルキルカルボニルである式Iの化合物を得ることができる。これら化合物におけるカルボニル基を、例えばジボランまたは水素化リチウムアルミニウムによって還元して、RがC〜C−アルキルである一般式Iの化合物を得ることができる。そのカルボニル基をフッ素化剤と反応させて、Rが1,1−ジフルオロアルキルである化合物を得ることもできる。アシル化および還元は、マーチの著作(J. March, Advanced Organic Chemistry, 3rd ed. Jerry. Wiley & Sons, New York 1985, p.370 and 373(アシル化)およびp.1099f)ならびにその刊行物で引用されている文献(アシル化に関してはSynth. Commun. 1986, 16, p. 267も参照し、還元に関してはJ. Heterocycl. Chem. 1979, 16, p. 1525も参照する。)に記載されている標準的な方法によって行うことができる。
【0106】
置換基Arは、各種スルホニルクロライドを用いることで、または公知の方法によってスルホニルアミドを形成した後に環状基Arの置換基を修飾することで変えることができる。例えば、Ar基の臭素置換基は、文献(Tetrahedron Asym. 1999, 10, 1831)に記載の手順に従ってN−結合ピロリジニル基によって置き換えることができる。Arの臭素置換基は、適切なPdカップリング触媒、例えばテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)の存在下にブロモ化合物をスズ酸アルケニルトリブチルと反応させるスティルカップリングに従って、イソプロペニル基によって置き換えることができる(例えば、Tetrahedron, 2003, 59(34), 6545およびBioorg. Med. Chem. 1999, 7(5), 665参照。)。次に、そのイソプロペニル基を、公知の水素化法によってイソプロピル基に変換することができる。
【0107】
原料化合物(II)は、下記図式2に従って得ることができる(WO94/00458、WO00/23423およびDrugs and Future, 1998, 23(2), 191参照。)。
【0108】
【化7】

【0109】
図式2において、Aは上記で定義の意味を有する。RはHであるか、ハロゲンなどの好適な置換基である。RがBrである場合、得られた化合物(II)について、それ以上の反応を行わずに、段階(v)を行うことができる。
【0110】
段階(vi)において、アリールまたはヘタリールアルデヒドをビニルマグネシウムクロライドと反応させて、エノール(VII)を得る。HCl付加および脱水を介して得られた(VIII)をアリルアミンと反応させて(IX)を得て、それを光化学[2+2]−環状付加反応でアザビシクロヘプタン(II)に変換する。E配置を有する化合物(IX)(図式2に示したもの)は実質的にエキソ−エナンチオマーを生じ、(IX)の相当するZ異性体は実質的にエンド異性体を提供する。(IX)のZ異性体は、段階(vi)でアリールリチウム種と反応させることでヒドロキシル化種を形成し、それを次に脱水および水素化してZ化合物を得ることで取得することができる。
【0111】
エキソおよびエンドエナンチオマーはそれぞれ、当業界で公知の方法によって分離することができる。例えば、エナンチオマーの混合物をエナンチオマー的に純粋な酸、例えば(+)または(−)−酒石酸ジトルイルで処理して、ジアステレオマー塩を得ることができる。後者は、クロマトグラフィー、結晶化などの標準的な分離方法によって分離することができる。あるいは、混合物をキラルクロマトグラフィーカラムによって分離することができる。
【0112】
R′がHである化合物(II)(図式2に従って得られるもの)を、所望に応じて、上記で記載の好適なアルキル化剤またはアシル化剤と反応させることでN−置換化合物に変換してから、図式1の反応段階を行うことができる。
【0113】
別段の断りがなければ、上記の反応は室温から使用溶媒の沸点との間の温度で溶媒中にて行う。あるいは、マイクロ波を用いて反応混合物に反応に必要な活性化エネルギーを導入することができ、それの何らかが、特には、遷移金属によって触媒される反応の場合には(マイクロ波を用いる反応に関しては、Tetrahedron 2001, 57, p. 9199 ff. p. 9225 ffを参照し、一般法では″Microwaves in Organic Synthesis″, Andre Loupy (Ed.), Wiley-VCH 2002を参照する。)有効であることが明らかになっている。
【0114】
スルホニルクロライドCl−SO−Arは市販されているか、標準的な合成方法に従って製造することができる。フッ素化基Rを含むスルホニルクロライドは、好適なヒドロキシまたはオキソ前駆体(例:ヒドロキシ基またはオキソ置換基を有する化合物Cl−SO−Ar)をDAST(ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド)、モルホリン−DAST、デオキソ−フルオル(ビス(2−メトキシエチル)アミノ硫黄トリフルオリド)、イシカワ試薬(N,N−ジエチル−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)アミン;Journal of Fluorine Chemistry, 1989, 43, 371-377)などのフッ素化試薬と反応させる等の各種合成経路によって製造することができる。より簡便には、ヒドロキシ置換基を有するがクロロスルホニル基は持たない芳香族化合物のヒドロキシ基を脱離基に変換し、次にそれをフッ素化物イオンによって置き換える(J. Org. Chem., 1994, 59, 2898-22901 ; Tetrahedron Letters, 1998, 7305-6; J. Org. Chem., 1998, 63, 9587-9589, Synthesis, 1987, 920-21)。次に行うクロロスルホン酸による直接クロロスルホニル化(Heterocycles, 2001, 55, 9, 1789-1803;J. Org. Chem., 2000, 65, 1399-1406)または最初にスルホン酸誘導体を製造し、次にそれを例えばクロロスルホン酸、五塩化リンなどでスルホニルクロライドに変換する2段階法(Eur. J. Med. Chem., 2002, 36, 809-828)などによって、所望のスルホニルクロライドを得る(Tetrahedron Letters, 1991 , 33,50 7787-7788)。スルホニルクロライドは、酸性条件下での好適なアミン前駆体Ar−NHの亜硝酸ナトリウムによるジアゾ化および酢酸中での二酸化硫黄との反応によって(図式(iii);J. Org. Chem., 1960, 25, 1824-26);好適なヘテロアリール−チオールHS−Arまたはヘテロアリール−ベンジル−チオエーテルC−CH−S−Arを塩素で酸化して(Synthesis, 1998, 36-38; J. Am. Chem. Soc, 1950, 74, 4890-92)、直接相当するスルホニルクロライドとすることで製造することもできる。さらに別のものが当業界で知られており、標準的な方法によって製造することができる。例えば、メルカプトピリミジン類またはピリミジニル−ベンジルチオエーテル前駆体は、例えば文献に従って製造することができる(Chemische Berichte, 1960, 1208-11;Chemische Berichte, 1960, 95, 230-235;Collection Czechoslow. Chem. Comm., 1959, 24, 1667-1671;Austr. J. Chem., 1966, 19, 2321-30;Chemiker-Zeitung, 101, 6, 1977, 305-7;Tetrahedron, 2002, 58, 887-890;Synthesis, 1983, 641-645)。
【0115】
下記図式3〜5には、フッ素化プロピル基を有するベンゼンスルホニルクロライドを製造する上で好適ないくつかの経路を示してある。
【0116】
【化8】

【0117】
4−(1,1−ジフルオロプロパン−2−イル)ベンゼン−1−スルホニルクロライド中間体は、市販の2−フェニルプロパン酸から製造することができる。最初の段階a)では、2−フェニルプロパン酸を酸触媒作用(例えば、HCl、SOCl)下にアルコール(例えば、メタノールまたはエタノール)でエステル化することで、アルキルエステルに変換する。そのエステルを、DIBAL(水素化ジイソブチルアルミニウム)などの還元剤によって相当する2−フェニルプロパナールに還元することができる。DAST(ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド)、モルホリン−DAST、デオキソ−フルオル(ビス(2−メトキシエチル)アミノ硫黄トリフルオリド)、イシカワ試薬(N,N−ジエチル−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)アミン;Journal of Fluorine Chemistry, 1989, 43, 371-377)などの好適なフッ素化試薬と反応させることで、アルデヒドを1,1−ジフルオロ−2−プロピル誘導体に変換する(段階b)。そうして得られた1,1−ジフルオロ−2−フェニルプロパンを、クロロスルホン酸による直接クロロスルホニル化(Heterocycles, 2001, 55, 9, 1789-1803;J. Org. Chem., 2000, 65, 1399-1406)(段階c)または最初にスルホン酸誘導体を製造し(段階d)、次にそれを例えばクロロスルホン酸、五塩化リンなどでスルホニルクロライドに変換する(段階e)2段階法(Eur. J. Med. Chem., 2002, 36, 809-828)によって;酸性条件下での亜硝酸ナトリウムによる好適なアミン前駆体のジアゾ化と、酢酸中での二酸化硫黄との反応によって(J. Org. Chem., 1960, 25, 1824-26);好適なヘテロアリール−チオール類またはヘテロアリール−ベンジル−チオエーテル類の塩素による(Synthesis, 1998, 36-38;J. Am. Chem. Soc, 1950, 74, 4890-92)相当するスルホニルクロライド類への直接酸化によって、4−(1,1−ジフルオロ−2−プロピル)ベンゼンスルホニルクロライドに変換することができる。
【0118】
図式3に示した合成を、(R)−2−フェニルプロパン酸および(S)−2−フェニルプロパン酸をそれぞれ用いて行って、相当するキラル4−(1,1−ジフルオロプロパン−2−イル)ベンゼン−1−スルホニルクロライドを得ることもできる。
【0119】
【化9】

【0120】
4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)ベンゼン−1−スルホニルクロライド中間体は、図式4に示した合成経路によって、市販の2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエタノンから製造することができる。そのケトンを、メチレン−トリフェニルホスファン(メチルトリフェニルホスホニウムハライドおよびリチウムジイソプロピルアミドまたはカリウムtert−ブトキシドなどの好適な塩基の反応によって製造)などの好適なイリドとのウィティッヒ反応によって、またはホーナー−エモンズ反応に従ってケトンをジエチルメチルホスホネートなどの好適なホスホネートおよびリチウムジイソプロピルアミドまたはカリウムtert−ブトキシドなどの好適な塩基と反応させることで、3,3,3−トリフルオロ−2−フェニルプロペンに変換することができる。そうして得られた3,3,3−トリフルオロ−2−フェニルプロペンを接触水素化(例:Pd−C)とそれに続く図式3に記載の方法によるスルホニルクロライドへの変換によって還元して、飽和アルカンとすることができる。
【0121】
図式4の合成をアルケン水素化用のキラル触媒を用いて行って、相当するキラル4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)ベンゼン−1−スルホニルクロライドを製造することもできる。
【0122】
【化10】

【0123】
4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)ベンゼン−1−スルホニルクロライドは、図式5に示した4段階手順によって、市販の1−フェニル−エタノンから製造することもできる。そのケトンは、トリメチル−トリフルオロメチル−シランとの反応によってトリフルオロメチルヒドロキシル中間体に変換することができ(Journal of Organic Chemistry, 2000, 65, 8848-8856;Journal of Fluorine Chemistry, 2003, 122, 243-246)、それを次にトリフルオロメチルブロマイドに変換することができる(Journal of the American Chemical Society, 1987, 109, 2435-4)。接触水素化(例:Pd−C)による脱ハロゲンを行ってから、上記の方法によってスルホニルクロライドに変換することができる。
【0124】
使用可能な溶媒の例としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテルまたはテトラヒドロフランなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタンおよびアセトニトリルなどの非プロトン性極性溶媒、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素、アセトンまたはメチルエチルケトンなどのケトン類、塩化メチレン、トリクロロメタンおよびジクロロエタンなどのハロ炭化水素類、酢酸エチルおよび酪酸メチルなどのエステル類、酢酸またはプロピオン酸などのカルボン酸類、ならびにメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノールおよびtert−ブタノールなどのアルコール類がある。
【0125】
所望に応じて、塩基を存在させて、反応で放出されるプロトンを中和することが可能である。好適な塩基には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムなどの無機塩基、さらにはナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドなどのアルコキシド類、水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物、さらにはブチルリチウム化合物またはアルキルマグネシウ化合物などの有機金属化合物、またはトリエチルアミンまたはピリジンなどの有機窒素塩基などがある。後者の化合物は同時に、溶媒として用いることもできる。
【0126】
得られた粗生成物は、例えば濾過、溶媒留去または反応混合物からの抽出などの一般的な方法で単離される。得られた化合物は、一般的な方法で、例えば溶媒からの再結晶によって、クロマトグラフィーによって、または酸付加塩への変換によって精製することができる。
【0127】
酸付加塩は、適切な場合には、例えば低級アルコール(メタノール、エタノールまたはプロパノールなど)、エーテル(メチルtert−ブチルエーテルまたはジイソプロピルエーテルなど)、ケトン(アセトンまたはメチルエチルケトンなど)またはエステル(酢酸エチルなど)の有機溶媒中の溶液での遊離塩基の相当する酸との混合によって、一般的な方法で製造される。
【0128】
式Iの本発明による化合物は、D受容体、D受容体、α1−アドレナリンおよび/またはα2−アドレナリン受容体、ムスカリン受容体、ヒスタミン受容体、オピエート受容体などの他の受容体、特にはドーパミンD受容体に対するアフィニティが低いことから、D受容体拮抗薬である従来の神経遮断薬より副作用が少ない驚くほど高選択性のドーパミンD受容体リガンドである。本発明の化合物は、部分作働薬活性を含むドーパミンD受容体作働薬または部分的拮抗薬活性を含むドーパミンD受容体拮抗薬であることができる。
【0129】
本発明の化合物のD受容体に対する高アフィニティは、通常50nM(nmol/L)未満、好ましくは10nM未満、特には5nM未満の非常に低いイン・ビトロでの受容体結合定数(K(D)値)で反映されている。例えば、受容体結合試験で、受容体結合試験での[125I]−ヨードスルプリドの置換を用いて、D受容体への結合アフィニティを求めることができる。
【0130】
本発明による化合物の選択性、すなわち受容体結合定数の比K(D)/K(D)は、通常は少なくとも50、好ましくは少なくとも100、さらには150である。例えばD、DおよびD受容体に関する受容体結合試験を行うには、[H]SCH23390、[125I]ヨードスルプリドおよび[125I]スピペロンの置換を用いることができる。
【0131】
その化合物は、結合プロファイルのため、ドーパミンDリガンドに応答する(またはそれぞれドーパミンD受容体リガンドでの治療に感受性である)疾患の治療において用いることができる。すなわちその化合物は、ドーパミンD受容体の影響(調節)を行うことで、臨床像における改善または疾患の治癒を生じる医学的障害または疾患の治療において有効である。これらの疾患の例は、中枢神経系の障害または疾患である。
【0132】
中枢神経系の障害または疾患とは、脊髄および特には脳に影響を与える障害を意味するものと理解される。本発明による意味において「障害」という用語は、病的な状態または機能と通常見なされ、それ自体が特定の徴候、症状および/または機能不全の形で現れ得る障害および/または異常を指す。本発明による治療は、個々の障害、すなわち異常または病的状態に対するものであることができるが、それは本発明に従って治療が可能な、互いに原因的に関連していることでパターンにまとめられるいくつかの異常、すなわち症候群である可能性もある。
【0133】
本発明に従って治療可能な障害には、特には精神障害および神経障害がある。これらの障害には特には、急性外因性反応型の精神病または器質性もしくは外因性の原因である関連する精神病、例えば代謝障害、感染および内分泌疾患に関連するもの;統合失調症および統合失調症型および妄想性障害などの内因性精神病;抑鬱、躁病および/または躁鬱状態などの情動障害;および上記の障害の併発した形態;神経症および身体表現性障害、およびストレス関連の障害;解離性障害、例えば意識の欠乏、意識混濁、二重意識および人格障害;幼児期および青年期に始まる行動障害および情緒障害などの注意および覚醒/睡眠行動の障害、例えば小児期の活動亢進、知的欠陥、特には注意障害(注意力欠如障害)、記憶障害および認識の障害、例えば学習障害および記憶障害(認知機能障害)、認知症、発作性睡眠および睡眠障害、例えば下肢静止不能症候群;発達障害;不安状態、譫妄;性生活の障害、例えば男性インポテンス;摂食障害、例えば拒食症または過食症;耽溺,;および他の定義されない精神障害などの症候性障害を含む器質性障害などがある。
【0134】
本発明に従って治療できる障害には、パーキンソニズムおよび癲癇、特にはそれらに関連する情動障害などもある。
【0135】
耽溺障害には、医薬または麻薬などの向精神剤の乱用によって生じる心理的障害および行動的障害、および強迫性賭博などの他の耽溺障害(他のものに分類されない衝動調節障害)などがある。常習性薬物の例には、オピオイド類(例:モルヒネ、ヘロイン、コデイン);コカイン;ニコチン;アルコール;GABAクロライドチャンネル複合体と相互作用する物質、鎮静剤、睡眠薬または精神安定薬、例えばベンゾジアゼピン類;LSD;カンナビノイド類;3,4−メチレンジオキシ−N−メチルアンフェタミン(エクスタシー)などの精神運動興奮薬;メチルフェニデートおよびカフェインなどの他の刺激剤などのアンフェタミンおよびアンフェタミン様物質がある。特別の注意を必要とする常習性薬物は、オピオイド類、コカイン、アンフェタミンまたはアンフェタミン様物質、ニコチンおよびアルコールである。
【0136】
耽溺障害の治療に関しては、特に好ましいものは、それ自体は向精神効果を持たない式Iの本発明による化合物である。それは、本発明に従って用いることができる化合物の投与後に、向精神剤、例えばコカインの自己投与を減らすラットを用いる試験で認めることもできる。
【0137】
本発明の別の態様によれば、本発明による化合物は、原因が少なくとも部分的にドーパミンD受容体の異常活性によるものである可能性がある障害の治療において好適である。
【0138】
本発明の別の態様によれば、治療は特には、適切な医学的治療の意味で、好ましくは外因的に投与されたドーパミンD受容体への結合相手(リガンド)の結合によって影響され得る障害に関するものである。
【0139】
本発明による化合物によって治療可能な疾患は非常に多くの場合、漸進的進行を特徴とし、すなわち上記の状態が経時的に変化し、重度は通常は大きくなり、状態は交互に現れる可能性があるか、他の状態が以前からの既存の状態に加わるように思われる場合がある。
【0140】
本発明による化合物は、中枢神経系の障害、特には上記の状態に関連する多くの徴候、症状および/または機能不全を治療するのに用いることができる。これらの徴候、症状および/または機能不全には例えば、現実に対する歪んだ関係、通常の社会規範および生活上の要求に従う洞察および能力の欠如、気質の変化、空腹、睡眠、口渇などの個人的衝動および気分における変化、観察および組み合わせを行う能力における障害、人格変化、特には情動不安定、幻覚、自我障害、滅裂、両価性、自閉症、離人症または幻覚、妄想観念、断続言語、連合運動の欠如、小股歩行、胴体および四肢の傾斜姿勢、振戦、顔面表現の乏しさ、単調言語、抑鬱、感情鈍麻、自発性欠如および不決断、連合能力低下、不安、神経興奮、吃音、対人恐怖、パニック障害、依存性関連の禁断症状、誇大症候群、興奮状態および混乱状態、神経不安、運動障害症候群およびチック障害(例:ハンチントン舞踏病)、ジル−ド−ラ−ツレット症候群、眩暈症候群(例:末梢体位性、回転性および前庭性の眩暈)、うつ病、ヒステリー、心気症などがある。
【0141】
本発明による意味での治療には、急性もしくは慢性の徴候、症状および/または機能不全の治療だけでなく、予防的処置(予防)、特には再発もしくは相の予防としての処置も含まれる。治療は対症的であることができ、例えば症状の抑制に向けたものであることができる。それは短期で行うことができ、中期で行うことができ、または例えば維持療法の一環として長期治療であることもできる。
【0142】
従って本発明の化合物は好ましくは、中枢神経系の疾患の治療、特には情動障害;神経障害、ストレス障害および身体表現性障害および精神病の治療、特別には統合失調症および抑鬱の治療において好適である。D受容体に関する高い選択性のため、本発明による化合物Iは、腎機能障害、特には糖尿病によって引き起こされる腎機能障害(WO00/67847参照)、特には糖尿病性腎障害の治療にも用いられる。
【0143】
治療の文脈の範囲内において、記載の化合物の本発明による使用には、方法が関与する。この方法では、概して医薬および動物薬の実務に従って製剤された有効量の1以上の化合物を治療対象の個体、好ましくは哺乳動物、特にはヒト、繁殖動物または家畜に投与する。そのような治療が適応であるか否かおよびそれが取る形態は、個々の症例によって決まるものであり、存在する徴候、症状および/または機能不全、ある種の徴候、症状および/または機能不全発症のリスク、ならびに他の因子を考慮する医学的評価(診断)に従うものである。
【0144】
治療は通常、1日1回またはそれ以上、適宜に他の活性化合物もしくは活性化合物含有薬と一緒もしくは交互に投与することで行って、治療を受ける個体が、好ましくは経口投与の場合で約0.1〜1000mg/kgまたは非経口投与の場合で約0.1〜100mg/kgの1日用量の投与を受けるようにする。
【0145】
本発明はまた、個体、好ましくは哺乳動物、特にはヒト、繁殖動物または家畜の治療用の医薬組成物の製造に関するものでもある。従って、前記リガンドは通常、少なくとも1種類の本発明による化合物と適宜に他の活性化合物とともに製薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物の形態で投与される。それらの組成物は、例えば経口、直腸、経皮、皮下、静脈、筋肉または鼻腔内経路によって投与することができる。
【0146】
好適な医薬製剤の例には、粉剤、粒剤、錠剤、特にはフィルムコート錠、ロゼンジ剤、小袋剤、カシェ剤、糖衣錠、硬ゼラチンカプセルおよび軟ゼラチンカプセルなどのカプセル、坐剤または膣製剤などの固体医薬製剤;軟膏、クリーム、ヒドロゲル、ペーストまたは貼付剤などの半固体医薬製剤;および液剤、乳濁液、特には水中油型乳濁液、懸濁液、例えばローション、注射製剤および注入用製剤ならびに点眼剤および点耳剤などの液体医薬製剤がある。埋め込み投与機器を用いて、本発明による阻害薬を投与することもできる。さらに、リポソームやミクロスフェアの使用も可能である。
【0147】
組成物を製造する場合、本発明による化合物を適宜に1以上の賦形剤と混合またはそれで希釈する。賦形剤は、活性化合物用の媒体、担体または媒質として働く固体、半固体または液体材料であることができる。
【0148】
好適な賦形剤は、専門の医薬研究書に列記されている。前記製剤はさらに、製薬上許容される担体または潤滑剤;湿展剤;乳化剤および懸濁剤;保存剤;酸化防止剤;抗刺激剤;キレート剤;コート助剤;乳濁液安定剤;フィルム形成剤;ゲル形成剤;臭気マスク剤;矯味薬;樹脂;親水コロイド;溶媒;溶解剤;中和剤;拡散促進剤;顔料;4級アンモニウム化合物;再脂肪剤および過脂肪剤;軟膏、クリームもしくはオイル基剤;シリコーン誘導体;展着助剤;安定剤;滅菌剤;坐剤基剤;結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤もしくはコーティング剤などの錠剤賦形剤;推進剤;乾燥剤;乳白剤;増粘剤;ロウ類;可塑剤;白油などの従来の補助物質を含むことができる。これに関する製剤は、文献(例えば、Fiedler, H.P., Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie, Kosmetik and angrenzende Gebiete [Encyclopedia of auxiliary substances for pharmacy, cosmetics and related fields], 4th edition, Aulendorf: ECV-Editio-Kantor-Verlag, 1996)に記載の専門知識に基づいたものである。
【0149】
下記の実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0150】
化合物は、400MHzまたは500MHzNMR装置(Bruker AVANCE)でのd−メタノール、d−ジメチルスルホキシドまたはd−クロロホルム中にてのプロトン−NMRによって、またはC18材料での急勾配でのHPLC−MSによって記録される質量分析(エレクトロスプレーイオン化(ESI)モード)または融点によって特性決定した。
【0151】
核磁気共鳴スペクトル特性(NMR)は、百万分の部数単位(ppm)で表現される化学シフト(δ)に関係するものである。H NMRスペクトラムにおけるシフトの相対面積は、分子中の特定の機能型における水素原子の数に相当する。多重性に関するシフトの性質は、一重線(s)、広い一重線(s.br.)、二重線(d)、広い二重線(dbr.)、三重線(t)、広い三重線(tbr.)、四重線(q)、五重線(quint.)および多重線(m)として示される。
【0152】
製造例
I.中間体の製造
a.:スルホニルクロライド類の合成
a.1:4−((S)−2−フルオロ−1−メチル−エチル)−ベンゼンスルホニルクロライド
a.1.1:トルエン−4−スルホン酸(S)−2−フェニル−プロピルエステル
(S)−(−)−2−フェニル−1−プロパノール20gの塩化メチレン(240mL)溶液に、p−トルエンスルホニルクロライド28g(146.8mmol)を少量ずつ加えた。室温で18時間撹拌後、有機相を水100mLで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去して、標題化合物43gを得た。
【0153】
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]7.65(d、2H)、7.15〜7.3(m、5H)、7.1(d、2H)、4.0〜4.1(m、2H)、3.1(m、1H)、2.4(s、3H)、1.3(d、3H)。
【0154】
a.1.2:((S)−2−フルオロ−1−メチル−エチル)−ベンゼン
トルエン−4−スルホン酸(S)−2−フェニル−プロピルエステル9.62g(33.13mmol)をポリエチレングリコール400 80mLに溶かした。フッ化カリウム9.62g(165.6mmol)を加え、反応混合物を50℃で3日間、55〜70℃でさらに2日間撹拌した。反応液を飽和塩化ナトリウム水溶液150mLで処理し、ジエチルエーテルで3回抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に留去した。溶離液としてシクロヘキサン/酢酸エチル15%を用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって、粗生成物を精製した。脱離副生成物約25%を含む所望の生成物2.85gを単離した。
【0155】
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]7.2〜7.4(m、5H)、4.3〜4.6(いくつかのm、2H)、3.15(m、1H).1.3(m、3H)。
【0156】
a.1.3:4−((S)−2−フルオロ−1−メチル−エチル)−ベンゼンスルホニルクロライド
((S)−2−フルオロ−1−メチル−エチル)−ベンゼン3.5g(25.32mmol)を塩化メチレン80mLに溶かした。0〜5℃で、塩化メチレン20mLに溶かしたクロロスルホン酸11.81g(101.31mmol)を滴下した。反応混合物を室温で30分間、30℃で2時間撹拌した。溶媒を留去した。ジエチルエーテル150mLを残留物に加え、水150mLで1回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去した。粗生成物を、溶離液としてn−ヘプタン−塩化メチレン(6:4)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物1.5gを得た。
【0157】
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]8.0(d、2H)、7.5(d、2H)、4.5(dd、2H)、3.25(m、1H)、1.4(d、3H)。
【0158】
a.2:4−((R)−2−フルオロ−1−メチル−エチル)−ベンゼンスルホニルクロライド
a.2.1:トルエン−4−スルホン酸(R)−2−フェニル−プロピルエステル
(R)−2−フェニル−1−プロパノールを用いた以外は、トルエン−4−スルホン酸(S)−2−フェニル−プロピルエステルの合成において用いたものと同様の手順に従って、標題化合物を製造した。
【0159】
a.2.2((R)−2−フルオロ−1−メチル−エチル)−ベンゼン
トルエン−4−スルホン酸(S)−2−フェニル−プロピルエステルに代えてトルエン−4−スルホン酸(R)−2−フェニル−プロピルエステルを用いた以外は、((S)−2−フルオロ−1−メチル−エチル)−ベンゼンの合成について前述した方法に従って、標題化合物を製造した。
【0160】
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]7.2〜7.4(m、5H)、4.3〜4.6(いくつかのm、2H)、3.15(m、1H).1.3(m、3H)。
【0161】
a.2.3:4−((R)−2−フルオロ−1−メチル−エチル)−ベンゼンスルホニルクロライド
((R)−2−フルオロ−1−メチル−エチル)−ベンゼン1.3g(9.4mmol)を塩化メチレン50mLに溶かした。0〜5℃で、塩化メチレン10mLに溶かしたクロロスルホン酸1.1g(9.4mmol)を滴下した。反応混合物を0〜5℃で20分間撹拌し、塩化メチレン40mLに溶かした五塩化リン2.15gの溶液に加えた。反応混合物を0〜5℃で30分間、室温で1時間撹拌した。溶媒留去し、ジエチルエーテル100mLを加え、混合物を水150mLで1回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去した。粗生成物を、溶離液としてn−ヘプタン−塩化メチレン(1:1)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物0.261gを得た。
【0162】
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]8.0(d、2H)、7.5(d、2H)、4.5(dd、2H)、3.25(m、1H)、1.4(d、3H)。
【0163】
a.3:4−(2−フルオロ−1−メチル−エチル)−ベンゼンスルホニルクロライド
段階a.3.1で2−フェニル−1−プロパノールを原料とした以外は、4−((S)−2−フルオロ−1−メチル−エチル)−ベンゼンスルホニルクロライドの製造に用いたものと同様の手順に従って、標題化合物を製造した。
【0164】
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]8.0(d、2H)、7.5(d、2H)、4.5(dd、2H)、3.25(m、1H)、1.4(d、3H)。
【0165】
a.4:4−(2−フルオロ−1−フルオロメチル−エチル)−ベンゼンスルホニルクロライド
a.4.1:(2−フルオロ−1−フルオロメチル−エチル)−ベンゼン
3−フェニルグルタル酸4g(19.21mmol)を塩化メチレン350mLに懸濁させた。室温で、二フッ化キセノン6.5g(38.42mmol)を加え、反応混合物を室温で18時間撹拌した。有機相を6%炭酸水素ナトリウム水溶液975mLで1回洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒留去した。残った残留物を浴温123℃で21mmにて蒸留して、標題化合物0.78gを得たが、それは約50%の4−(2−フルオロ−1−メチル−エチル)−ベンゼンを含んでいた。
【0166】
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]7.2〜7.4(m、5H)、4.6〜4.8(dd、4H)、3.3(m、1H)。
【0167】
a.4.2:4−(2−フルオロ−1−フルオロメチル−エチル)−ベンゼンスルホニルクロライド
5当量のクロロスルホン酸を用いた以外は、4−((S)−2−フルオロ−1−メチル−エチル)−ベンゼンスルホニルクロライドの製造に用いたものと同様の手順に従って、標題化合物0.12gを得た。
【0168】
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]8.05(d、2H)、7.55(d、2H)、4.75(dd、4H)、3.4(m、1H)。
【0169】
a.5:4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−ベンゼンスルホニルクロライド
上記の4−((S)−2−フルオロ−1−メチル−エチル)−ベンゼンスルホニルクロライドの合成に用いた手順に従って、市販の(3,3,3−トリフルオロプロピル)−ベンゼンから2.9gを得た。
【0170】
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]8.0(d、2H)、7.45(d、2H)、3.0(t、2H)、2.45(m、2H)。
【0171】
a.6:4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−ベンゼンスルホニルクロライド
文献(J. Org. Chem., 1960, 25, 1824-26)に記載の手順に従って、市販の(2,2,2−トリフルオロエチル)−ベンゼンから生成物を得た。
【0172】
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]8.05(d、2H)、7.55(d、2H)、3.5(q、2H)。
【0173】
a.7:4−(3−フルオロプロピル)−ベンゼンスルホニルクロライド
a.7.1:(3−フルオロプロピル)−ベンゼン
ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド15.6g(DAST、96.91mmol)を塩化メチレン18mLに溶かした。0〜5℃で、塩化メチレン30mLに溶かした3−フェニル−1−プロパノール12g(88.1mmol)を滴下した。反応混合物を18時間撹拌し、塩化メチレン30mLを加えた後、氷水100mLの上に注いだ。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒留去した。粗生成物を、浴温106℃で20mmにて蒸留することによって精製して、標題化合物7.4gを得た。 H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]7.1〜7.3(m、5H)、4.4(dt、2H)、2.7(m、2H)、2.0(m、2H)。
【0174】
a.7.2:4−(3−フルオロプロピル)−ベンゼンスルホニルクロライド
(3−フルオロ−プロピル)−ベンゼン4.1g(29.67mmol)を、塩化メチレン40mLに溶かした。0〜5℃で、塩化メチレン10mLに溶かしたクロロスルホン酸6.91g(59.34mmol)を滴下した。反応混合物を0〜5℃で45分間撹拌し、塩化メチレン50mLに溶かした五塩化リン6.8g(32.63mmol)溶液に加えた。反応混合物を5〜10℃で1時間撹拌した。溶媒留去し、ジエチルエーテル150mLを加え、氷水150mLで1回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去した。粗生成物を、溶離液としてn−ヘプタン−塩化メチレン(11:9)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物5.5gを得た。
【0175】
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]7.95(d、2H)、7.45(d、2H)、4.5(dt、2H)、2.9(t、2H)、2.05(m、2H)。
【0176】
a.8:4−(2,2−ジフルオロ−シクロプロピル)−ベンゼンスルホニルクロライド
五塩化リン1.1当量のみを用いた以外は、(3−フルオロプロピル)−ベンゼンスルホニルクロライドの合成に用いた手順に従って、市販の(2,2−ジフルオロシクロプロピル)−ベンゼンから2.07gを得た。
【0177】
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]8.0(d、2H)、7.45(d、2H)、2.85(m、1H)、2.0(m、1H)、1.75(m、1H)。
【0178】
a.9:3−ブロモ−4−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホニルクロライド
1−ブロモ−2−(トリフルオロ−メトキシ)ベンゼン2.0g(8.3mmol)を塩化メチレン30mLに溶かした。0〜5℃で、塩化メチレン3mLに溶かしたクロロスルホン酸1.06g(9.13mmol)を滴下した。反応混合物を室温で30分間撹拌した。追加の5.5当量のクロロスルホン酸の塩化メチレン溶液を加えて、反応を完結させた。標準的な後処理に従い、n−ヘプタン−塩化メチレン(6:4)を溶離液として用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって、標題化合物2.19gを得た。
【0179】
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]8.3(d、1H)、8.05(dd、1H)、7.5(dd、1H)。
【0180】
a.10:4−(2−フルオロエチル)−ベンゼンスルホニルクロライド
a.10.1:(2−フルオロエチル)−ベンゼン
(3−フルオロプロピル)−ベンゼンの合成に用いた手順に従って、市販の2−フェニル−エタノールから、標題化合物6.8gを得た。
【0181】
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]7.1〜7.3(m、5H)、4.6(m、1H)、4.45(m、1H)、2.95(m、1H)、2.9(m、1H)。
【0182】
a.10.2:4−(2−フルオロエチル)−ベンゼンスルホニルクロライド
4−((R)−2−フルオロ−1−メチル−エチル)−ベンゼンスルホニルクロライドの合成に用いた手順に従って、3.55gを得た。
【0183】
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]8.0(d、2H)、7.5(d、2H)、4.7(dt、2H)、3.05〜3.2(dt、2H)。
【0184】
a.11:5−プロピルチオフェン−2−スルホニルクロライド
五塩化リンを1当量のみ使用した以外は、(3−フルオロ−プロピル)−ベンゼンスルホニルクロライドの製造に用いたものと同様の手順に従って、標題化合物を製造した。
【0185】
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]7.7(d、1H)、6.85(d、1H)、2.9(t、2H)、1.75(m、2H)、1.0(t、3H)。
【0186】
a.12:4−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ベンゼンスルホニルクロライド
a.12.1:1−メチル−4−フェニル−1H−ピラゾール
2−フェニルマロンアルデヒド1g(6.75mmol)をエタノール25mLに溶かした。N−メチル−ヒドラジン0.36mL(6.75mmol)を加え、反応混合物を還流下に4時間撹拌し、減圧下に溶媒留去して、生成物1.09gを得た。
【0187】
ESI−MS:159.1[M+H]
【0188】
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]7.75(s、1H)、7.6(s、1H)、7.45(d、2H)、7.35(t、2H)、7.2(t、1H)、3.9(s、3H)。
【0189】
a.12.2:4−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ベンゼンスルホニルクロライド
1−メチル−4−フェニル−1H−ピラゾール0.5g(3.16mmol)をジ−クロロメタン20mLに溶かした。0℃で、クロロスルホン酸0.232mLを加え、反応混合物を氷冷下に1時間撹拌した。追加のクロロスルホン酸0.7mLを加え、混合物を0℃で30分間、次に50℃で90分間撹拌した。2相を分離し、下層を氷上に置き、ジエチルエーテルで2回抽出し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去して、生成物0.496gを得た。
【0190】
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]8.0(d、2H)、7.85(s、1H)、7.75(s、1H)、7.65(d、2H)、4.0(s、3H)。
【0191】
a.13:4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)ベンゼンスルホニルクロライドおよび2−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)ベンゼンスルホニルクロライド
図式7に示した手順に従って、14gの量で製造した。2−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)ベンゼンスルホニルクロライドは、その反応の副生成物である。
【0192】
4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)ベンゼンスルホニルクロライド:
MS(ESI)m/z:273.1[M+H]
H−NMR(DMSO):δ[ppm]7.62(d、2H)、7.33(d、2H)、3.81(m、1H)、1.42(d、3H)。
【0193】
2−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)ベンゼンスルホニルクロライド:
MS(ESI)m/z:273.1[M+H]
a.14:4−(1,1−ジフルオロプロパン−2−イル)ベンゼンスルホニルクロライドおよび2−(1,1−ジフルオロプロパン−2−イル)ベンゼン−1−スルホニルクロライド
図式6に示した手順に従って、11gの量で製造した。2−(1,1−ジフルオロプロパン−2−イル)ベンゼン−1−スルホニルクロライドは、その反応の副生成物である。
【0194】
4−(1,1−ジフルオロプロパン−2−イル)ベンゼンスルホニルクロライド:
MS(ESI)m/z:255.0[M+H]
H−NMR(DMSO):δ[ppm]8.03(d、2H)、7.55(d、2H)、5.88(dt、1H)、3.34(m、1H)、1.47(d、3H)。
【0195】
13C−NMR(DMSO−d):δ[ppm]146.43、143.54、129.77、127.28、117.06(t)、43.76、13.78。
【0196】
2−(1,1−ジフルオロプロパン−2−イル)ベンゼン−1−スルホニルクロライド:
110mgの量でクロマトグラフィーによって単離した。
【0197】
MS(ESI)m/z:255.0[M+H]
H−NMR(DMSO−d):δ[ppm]8.15(d、1H)、7.77(t、1H)、7.70(d、1H)、7.54(t、1H)、5.99(dt、1H)、4.43(m、1H)、1.51(d、3H)。
【0198】
13C−NMR(DMSO−d):δ[ppm]143.45、138.63、135.53、130.93、129.04、128.17、116.61(t)、38.38、13.68。
【0199】
b.トルエン−4−スルホン酸3−フルオロ−プロピルエステルの製造
3−フルオロ−プロパノール5g(64.03mmol)およびトリエチルアミン18mL(129.32mmol)を塩化メチレン50mLに溶かした。0〜5℃で、トルエン−4−スルホニルクロライド12.9g(67.66mmol)を加え、反応混合物を室温で18時間撹拌した。標準的な後処理によって、トルエン−4−スルホン酸3−フルオロ−プロピルエステル13.7gを得た。
【0200】
ESI−MS:233.1[M+H]
【0201】
II.化合物Iの製造
【実施例1】
【0202】
4−イソプロピル−N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
1.1:(1R,5S,6R)−6−フェニル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン
(1R,5S,6R)−6−フェニル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン・0.5ジトリル酒石酸塩11.1gを1N水酸化ナトリウム水溶液50mLに溶かした。水層をジエチルエーテルで3回抽出し、合わせた有機相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒留去して乾固させて、遊離アミン5.15gを得た。
【0203】
H−NMR(CDCl):δ[ppm]7.15〜7.4(いくつかのm、5H)、3.0(m、2H)、2.7〜2.9(いくつかのm、4H)、2.3(m、1H)、2.1(m、1H)、2.0(m、1H)。
【0204】
1.2:1−((1R,5S,6R)−6−フェニル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル)−プロパン−1−オン
(1R,5S,6R)−6−フェニル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン2.82g(16.28mmol)をテトラヒドロフラン45mLに溶かし、トリエチルアミン4.53mL(32.55mmol)を加えた。−5℃で、無水プロピオン酸2.33g(17.9mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液を滴下した。室温で2時間撹拌後、反応混合物を7Nアンモニア/メタノール3mLで処理し、10分間撹拌し、溶媒留去した。残留物を酢酸エチルに再度溶かし、水および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に留去した。残留物をジエチルエーテル70mLに再度溶かし、水で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回洗浄した。有機相を再度硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去して、生成物3.64gを得た。
【0205】
ESI−MS:230.1[M+H]
H−NMR(CDCl):δ[ppm]7.15〜7.4(いくつかのm、5H)、4.0(dd、1H)、3.6(m、2H)、3.2〜3.45(いくつかのm、2H)、2.9〜3.1(m、2H)、2.25〜2.5(m、3H)、2.15(m、1H)、1.2(m、3H)。
【0206】
1.3:1−[(1R,5S,6R)−6−(4−ニトロ−フェニル)−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル]−プロパン−1−オン
1−((1R,5S,6R)−6−フェニル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル)−プロパン−1−オン1.0g(4.36mmol)をニトロメタン12mLに溶かした。−8℃で、硝酸0.3mL(65%、4.36mmol)および硫酸4.6mL(95%)の水(0.76mL)中混合物を45分以内に滴下した。−8℃での撹拌を30分間続けてから氷水20mLを加え、水相をジエチルエーテルで2回抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に留去して、生成物1.27gを2:1パラ−オルト置換生成物の混合物として得て、それをそれ以上分離せずに用いた。
【0207】
ESI−MS:275.1[M+H]
【0208】
1.4:1−[(1R,5S,6R)−6−(4−アミノ−フェニル)−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル]−プロパン−1−オン
1−((1R,5S,6R)−6−(4−ニトロ−フェニル)−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル)−プロパン−1−オン1.21g(4.44mmol)をメタノール50mLに溶かし、塩化第一スズSnCl・HO 8.0g(35.46mmol)を加え、反応液を還流条件下に2時間撹拌した。溶媒留去し、残留物を1N水酸化ナトリウム水溶液と酢酸エチルとの間で分配した。この混合物を濾過し、2相を分離し、水層を酢酸エチルおよび塩化メチレンで抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に留去して、生成物0.94gを72%パラおよび28%オルト置換生成物の混合物として得て、それをそれ以上分離せずに次の段階で用いた。
【0209】
ESI−MS:245.1[M+H]
【0210】
1.5:4−イソプロピル−N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピオニル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
1−((1R,5S,6R)−6−(4−アミノ−フェニル)−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル)−プロパン−1−オン0.935g(3.83mmol)をテトラヒドロフラン30mLに溶かし、4−イソプロピル−ベンゼンスルホニルクロライド0.795g(3.64mmol)およびトリエチルアミン1.6mL(11.48mmol)を加えた。室温で18時間撹拌後、溶媒を減圧下に留去し、残った取得物をジエチルエーテルと1N水酸化ナトリウム水溶液でアルカリpHに調節した水との間で分配した。水層をジエチルエーテルで3回再抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒を留去して粗生成物1.76gを得て、それをそれ以上の精製を行わずに次の反応段階で用いた。
【0211】
ESI−MS:427.1[M+H]
【0212】
1.6:4−イソプロピル−N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
4−イソプロピル−N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピオニル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド0.9g(2.11mmol)をテトラヒドロフランに溶かし、1Mボラン/THF錯体のテトラヒドロフラン溶液11mL(10.8mmol)を室温で加えた。反応混合物を還流下に30分間加熱し、2N塩酸水溶液10mLを加え、混合物を再度3時間還流させた。冷却して室温とした後、溶媒を留去し、残留物を50%水酸化ナトリウム水溶液で処理し、水層をジエチルエーテルで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒を留去して粗生成物0.824gを得て、次にそれを分取HPLC(カラム−デルタパック(Delta Pak)、直径40mm、メタノール/水/0.1%酢酸)によって精製して、精製生成物0.078gを得た。
【0213】
ESI−MS:413.3[M+H]
H−NMR(DMSO−d):δ[ppm]10.2(s、広い、1H)、7.7(d、2H)、7.4(d、2H)、7.1(d、2H)、7.0(d、2H)、3.1(m、1H)、2.8〜3.0(m、3H)、2.7(m、1H)、2.6(m、1H)、2.4(m、2H)、1.9〜2.1(m、4H)、1.5(m、2H)、1.15(m、6H)、0.9(m、3H)。
【実施例2】
【0214】
4−イソプロピル−N−[4−(エキソ−3−プロピオニル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミドおよび4−イソプロピル−N−[2−(エキソ−3−プロピオニル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
2.1:エキソ−1−[6−(4−ニトロ−フェニル)−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル]−プロパン−1−オンおよびエキソ−1−[6−(2−ニトロ−フェニル)−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル]−プロパン−1−オン
1−[(1R,5S,6R)−6−(4−ニトロ−フェニル)−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル]−プロパン−1−オンについて記載の合成手順に従ってエキソ−1−[6−(4−ニトロ−フェニル)−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル]−プロパン−1−オンおよびエキソ−1−[6−(2−ニトロ−フェニル)−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル]−プロパン−1−オン2.86gを製造した。
【0215】
ESI−MS:275.1[M+H]
【0216】
2.2エキソ−1−[6−(4−アミノ−フェニル)−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル]−プロパン−1−オンおよびエキソ−1−[6−(2−アミノ−フェニル)−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル]−プロパン−1−オン
2.1で得られた生成物2.8g(10.2mmol)をメタノール40mLに溶かし、酢酸4mLを加え、窒素雰囲気下に、10%Pd/C0.4gを加えた。原料が消費されるまで、水素化を続けた。触媒を濾過し、濾液を溶媒留去して乾固させて、アミノ化合物3.2gを、やはりパラおよびオルト異性体の2:1混合物として得て、それをそれ以上分離せずに次の段階で用いた。
【0217】
ESI−MS:245.15[M+H]
【0218】
2.3:4−イソプロピル−N−[4−(エキソ−3−プロピオニル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミドおよび4−イソプロピル−N−[2−(エキソ−3−プロピオニル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
2.2で得られた生成物3.2g(13.1mmol)のピリジン(40mL)溶液に0℃で、4−イソプロピルベンゼンスルホニルクロライド3.15gの塩化メチレン(5mL)溶液を滴下した。撹拌を3時間続けてから溶媒留去し、残留物を酢酸エチル80mLと水60mLとの間で分配した。水相を酢酸エチルで再度抽出し、合わせた有機相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒留去して乾固させて、生成物3.9gをパラおよびオルト異性体の2:1混合物として得て、それをそれ以上分離せずに実施例3で用いた。
【0219】
ESI−MS:427.2[M+H]
【実施例3】
【0220】
4−イソプロピル−N−[4−(エキソ−3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
実施例1.6に記載の方法に従って、4−イソプロピル−N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミドについてと同じ合成手順を用いて、生成物0.151gを得た。粗生成物を、デルタパックカラム(内径40mm、メタノール/水/0.1%酢酸)を用いる分取HPLCによって精製して、標題化合物0.151gおよび相当するオルト置換生成物0.04mgを得た。
【0221】
4−イソプロピル−N−[4−(エキソ−3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
ESI−MS:413.
1[M+H]+1H−NMR(DMSO−d):δ[ppm]10.15(s、広い、1H)、7.7(d、2H)、7.4(d、2H)、7.1(d、2H)、7.0(d、2H)、3.1(m、1H)、2.8〜3.0(m、3H)、2.7(m、1H)、2.6(m、1H)、2.4(m、2H)、1.9〜2.1(m、4H)、1.5(m、2H)、1.15(m、6H)、0.9(m、3H)。
【0222】
4−イソプロピル−N−[2−(エキソ−3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
ESI−MS:413.2[M+H]
【実施例4】
【0223】
N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−4−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホンアミド
段階1:1−[(1R,5S,6R)−6−(4−アミノフェニル)−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル]−プロパン−1−オンおよび4−トリフルオロメトキシベンゼンスルホニルクロライドを原料とした以外は実施例1.5に記載の手順と同様の手順に従って、N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピオニル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホンアミド(234mg、収率86%)を得た。
【0224】
段階2.実施例1.6に記載の手順と同様の手順に従って、N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピオニル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル]−プロパン−1−オンを還元して標題化合物を得た(37mg、収率:38%)。
【0225】
MS(ESI)m/z:455.0[M+H]
H−NMR(DMSO−d):δ[ppm]7.83(d、2H)、7.52(d、2H)、7.12(d、2H)、7.02(d、2H)、3.11(m、1H)、2.91(m、2H)、2.73(m、1H)、2.62(m、1H)、2.40(m、3H)、2.01(m、2H)、1.55(m、2H)、0.92(t、J=7.3Hz、3H)。
【実施例5】
【0226】
N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド
段階1.実施例1.5に記載の手順と同様の手順に従って、スルホンアミドを製造した(389mg、収率98%)。
【0227】
段階2.実施例1.6に記載の手順と同様の手順に従って、アミドを還元して標題化合物を得た(量76mg;収率39%)。
【0228】
MS(ESI)m/z:439.1[M+H]
H−NMR(DMSO−d):δ[ppm]10.32(brs、1H)、7.92(m、4H)、7.14(d、2H)、7.02(d、2H)、3.11(m、1H)、2.89(m、2H)、2.73(m、1H)、2.62(m、1H)、2.40(m、3H)、2.01(m、2H)、1.55(m、2H)、0.92(t、J=7.3Hz、3H)。
【実施例6】
【0229】
N−[4−((1R,5S,6R)−3−アリル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−4−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホンアミド
段階1:N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピオニル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−4−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホンアミド(100mg、0.21mmol)をn−ブタノール(10mL)に溶かしてから、濃HCl(2mL)を加えた。溶液を3時間還流させ、冷却し、濃縮した。残留物を酢酸エチルで洗浄し、NaOH(2M)で処理し、酢酸エチルで抽出した(10mLで3回)。アルカリ有機抽出液をMgSOで脱水し、濾過し、濃縮して、N−[4−(3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−4−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホンアミドを油状物として得た(量389mg、収率98%)。
【0230】
段階2.N−[4−(3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−4−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホンアミド100mg(0.43mmol)および臭化アリル40μL(0.46mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド2mLに溶かした。トリエチルアミン0.18mL(1.26mmol)を溶液に加えた。混合物を室温で1時間撹拌した後、追加の臭化アリル10μLを反応混合物に加え、それを室温で終夜撹拌した。溶媒を留去して乾固させた後、得られた残留物を水に取り、この溶液を1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてアルカリ性とした。その後、水系反応混合物をジエチルエーテルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒留去して、標題化合物50mgを得た(収率46%)。
【0231】
MS(ESI)m/z:453.0[M+H]
H−NMR(DMSO−d):δ[ppm]10.25(brs、1H)、7.82(d、2H)、7.52(d、2H)、7.12(d、2H)、7.01(d、2H)、5.92(m、1H)、5.20(d、1H)、5.11(d、1H)、3.15(m、3H)、2.80(m、2H)、2.71(m、1H)、2.62(m、1H)、2.00(m、4H)。
【実施例7】
【0232】
4−ブロモ−N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
段階1:実施例1.6に記載の手順と同様の手順に従って、1−[(1R,5S,6R)−6−(4−アミノ−フェニル)−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル]−プロパン−1−オンのボラン還元によって、そのプロピル化合物を得た。
【0233】
段階2:実施例1.5に記載の手順と同様の手順に従って、標題化合物164mg(収率42%)を得た。
【0234】
MS(ESI)m/z:449.0、451.0[M+H]
H−NMR(DMSO−d):δ[ppm]10.18(brs、1H)、7.75(d、2H)、7.64(d、2H)、7.13(d、2H)、7.00(d、2H)、3.11(m、1H)、2.91(m、2H)、2.73(m、1H)、2.62(m、1H)、2.40(m、3H)、2.01(m、2H)、1.52(m、2H)、0.92(t、J=7.3Hz、3H)。
【実施例8】
【0235】
N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−4−トリフルオロメチルスルファニル−ベンゼンスルホンアミド
段階1.実施例1.4からの1−[(1R,5S,6R)−6−(4−アミノ−フェニル)−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル]−プロパン−1−オン(200mg、0.82mmol)を−78℃でTHF(15mL)に溶かし、カリウムヘキサメチルジシラジド(490mg、2.46mmol)を加えた。溶液を−78℃で1時間撹拌し、4−(トリフルオロメチルチオ)ベンゼン−1−スルホニルフルオリド(218mg、0.82mmol)を加え、溶液を終夜で室温に到達させた。溶媒を減圧下に除去し、残留物を酢酸エチルとNaOH(2M)との間で分配した。有機抽出液を分離し、脱水し(MgSO)、濾過し、濃縮して、N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピオニル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−4−トリフルオロメチルスルファニル−ベンゼンスルホンアミド133mg(収率34%)を得た。
【0236】
段階2.実施例1.6に記載の手順と同様の手順に従って、N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピオニル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−4−トリフルオロメチルスルファニル−ベンゼンスルホンアミドのアミド還元によって、標題化合物96mg(収率99%)を得た。
【0237】
MS(ESI)m/z:471.0[M+H]
H−NMR(DMSO−d):δ[ppm]10.30(brs、1H)、7.84(m、4H)、7.13(d、2H)、7.01(d、2H)、3.11(m、1H)、2.87(m、2H)、2.73(m、1H)、2.62(m、1H)、2.40(t、1H、J=7.3Hz、2H)、2.01(m、3H)、1.52(m、2H)、0.90(t、J=7.3Hz、3H)。
【実施例9】
【0238】
4−((R)−2−メトキシメチル−ピロリジン−1−イル)−N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
rac−2,2′−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナフタレン0.07g(BINAP、0.11mmol)およびトリ(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.043g(0.05mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液を、4−ブロモ−N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド(0.26g、0.59mmol)、(R)−2−(メトキシメチル)ピロリジン(104mg、0.9mmol)およびナトリウムtert−ブチレート0.104g(1.08mmol)の(20mL)テトラヒドロフラン溶液に滴下した。反応混合物を5.5時間還流させ、(R)−2−(メトキシメチル)ピロリジン0.04mLを追加してからさらに2時間還流させた。溶媒留去後、残留物を水で処理し、ジエチルエーテルおよび塩化メチレンでそれぞれ2回抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、溶媒留去した。そうして得られた粗生成物を、塩化メチレン/メタノール0%から12%の勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィーによってを精製することで、標題化合物50mg(収率18%)を得た。
【0239】
MS(ESI)m/z:484.5[M+H]
H−NMR(DMSO−d):δ[ppm]9.85(brs、1H)、7.50(d、2H)、7.08(d、2H)、7.00(d、2H)、6.61(d、2H)、3.90(brs、1H)、3.30(m、7H)、3.11(m、1H)、2.83(m、2H)、2.69(m、1H)、2.62(m、1H)、1.90(m、6H)、1.51(m、2H)、0.91(t、J=7.3Hz、3H)。
【実施例10】
【0240】
N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−4−ピロリジン−1−イル−ベンゼンスルホンアミド
実施例9に記載の手順と同様の手順に従って、標題化合物5.6mg(収率9%)を得た。
【0241】
MS(ESI)m/z:440.2[M+H]
H−NMR(CHOH−d):δ[ppm]7.51(d、2H)、7.06(d、2H)、7.00(d、2H)、6.60(d、2H)、3.30(m、4H)、3.12(m、1H)、2.83(m、2H)、2.69(m、1H)、2.62(m、1H)、1.90(m、6H)、1.51(m、2H)、0.92(t、J=7.3Hz、3H)。
【実施例11】
【0242】
4−アゼチジン−1−イル−N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
実施例9に記載の手順と同様の手順に従って、標題化合物12mg(収率13%)を得た。
【0243】
MS(ESI)m/z:426.1[M+H]
H−NMR(DMSO−d):δ[ppm]7.49(d、2H)、7.08(d、2H)、6.98(d、2H)、6.33(d、2H)、3.83(t、4H)、3.08(m、1H)、2.83(m、2H)、2.73(m、1H)、2.62(m、1H)、2.33(t、1H、J=7.3Hz、2H)、2.28(m、2H)、1.90(m、4H)、1.50(m、2H)、0.91(t、J=7.3Hz、3H)。
【実施例12】
【0244】
N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−4−フラン−2−イル−ベンゼンスルホンアミド
4−ブロモ−N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド(50mg、0.11mmol)、2−(トリブチルスタンニル)−フラン(199mg、0.56mmol)およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(26mg、0.02mmol)をテトラヒドロフラン5mLに溶かし、マイクロ波(CEM)下に150℃で40分間撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、メタノールで洗浄し、濾液を減圧下に溶媒留去して乾固させた。残留物を、酢酸エチルおよび酢酸エチル/メタノール(15%)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。生成物を含む分画を合わせ、溶媒留去して、標題生成物4.2mg(収率9%)を得た。
【0245】
MS(ESI)m/z:437.1[M+H]
H−NMR(DMSO−d):δ[ppm]7.86(m、1H)、7.72(m、4H)、7.61(s、1H)、7.16(d、2H)、7.12(d、2H)、6.91(s、1H)、6.53(s、1H)、3.75(m、2H)、3.15(m、4H)、2.30(t、1H、J=7.3Hz、2H)、1.85(m、2H)、1.28(m、2H)、1.06(t、J=7.3Hz、3H)。
【実施例13】
【0246】
N−[4−((1R,5S,6R)−3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−4−チオフェン−2−イル−ベンゼンスルホンアミド
実施例12に記載の手順と同様の手順に従って、標題化合物を得た。(37mg、収率67%)。
【0247】
MS(ESI)m/z:453.1[M+H]
H−NMR(DMSO−d):δ[ppm]10.24(brs、1H)、7.82(m、1H)、7.77(m、4H)、7.64(m、2H)、7.16(m、3H)、7.08(d、2H)、4.01(m、2H)、3.70(m、1H)、3.62(m、1H)、3.32(m、1H)、3.10(m、4H)、2.20(t、1H、J=7.3Hz、2H)、1.72(m、2H)、1.18(m、2H)、0.92(t、J=7.3Hz、3H)。
【実施例14】
【0248】
4−イソプロピル−N−[4−((1S,5R,6S)−3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
段階1.実施例1.5に記載の手順と同様の手順に従って、スルホンアミドを得た(175mg、収率100%)。
【0249】
段階2.実施例1.6に記載の手順と同様の手順に従って、標題化合物(量78mg;収率100%)を得た。
【0250】
MS(ESI)m/z413.1[M+H]
H−NMR(DMSO−d):δ[ppm]10.08(brs、1H)、7.66(d、2H)、7.40(d、2H)、7.12(d、2H)、7.02(d、2H)、3.40(m、1H)、3.07(m、1H)、2.85(m、3H)、2.72(m、1H)、2.62(m、1H)、2.39(t、1H、J=7.3Hz、2H)、1.95(m、4H)、1.51(m、2H)、1.18(d、6H)、0.91(t、J=7.3Hz、3H)。
【実施例15】
【0251】
エンド−4−イソプロピル−N−[4−(−3−プロピオニル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
15.1:エンド−1−[6−(4−ニトロ−フェニル)−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル]−プロパン−1−オン
実施例2.1に記載の手順と同様にして、標題化合物を製造した。
【0252】
ESI−MS:275.1[M+H]
【0253】
15.2:エンド−1−[6−(4−アミノ−フェニル)−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル]−プロパン−1−オン
実施例2.2に記載の手順と同様にして、標題化合物を製造した。
【0254】
ESI−MS:245.1[M+H]
【0255】
15.3:エンド−4−イソプロピル−N−[4−(−3−プロピオニル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
実施例2.3に記載の手順と同様にして、標題化合物を製造した。
【0256】
ESI−MS:427.15[M+H]
【実施例16】
【0257】
エンド−4−イソプロピル−N−[4−(3−プロピル−3−アザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
実施例3に記載の手順と同様にして、標題化合物を製造した。
【0258】
ESI−MS:413.15[M+H]
H−NMR(CDCl、400MHz):δ[ppm]7.7(d、2H)、7.25(m、4H)、7.0(d、2H)、3.6(m、1H)、2.95(m、2H)、2.8(m、2H)、2.5〜2.3(m、3H)、2.2(m、2H)、2.05(m、1H)、1.85(m、1H)、1.45(m、2H)、1.25(d、6H)、0.9(t、3H)。
【0259】
III.医薬投与製剤例
A)錠剤
下記組成の錠剤を、従来の方法で打錠機で圧縮する。
【0260】
実施例8の物質40mg
コーンスターチ120mg
ゼラチン13.5mg
乳糖45mg
エアロジル(Aerosil;登録商標)(超顕微鏡的に微細な分布での化学的に純粋なケイ酸)2.25mg
ジャガイモデンプン(6%ペーストとして)6.75mg。
【0261】
B)糖衣錠
実施例8の物質20mg
コア組成物60mg
糖化組成物70mg。
【0262】
コア組成物は、コーンスターチ9部、乳糖3部、ビニルピロリドン/酢酸ビニル60:40コポリマー1部からなる。糖化組成物は、ショ糖5部、コーンスターチ2部、炭酸カルシウム2部およびタルク1部からなる。このようにして製造された糖衣錠には次に、胃液耐性コーティングを施す。
【0263】
IV.生物学的検討
受容体結合試験
被験物質を、メタノール/クレモホル(登録商標)(BASF−AG)またはジメチルスルホキシドに溶かし、水で希釈して所望濃度とした。
【0264】
ドーパミンD受容体:
アッセイ混合物(0.250mL)は、安定に発現されたヒトドーパミンD受容体、0.1nM[125I]−ヨードスルプリドおよびインキュベーション緩衝液を加えた(全結合)、または別の試験物質(阻害プロット)もしくは1μMスピペロン(非特異的結合)を加えたHEK−293細胞約10個由来の膜からなるものとした。各アッセイ混合物を、3連で調べた。
【0265】
インキュベーション緩衝液は、50mM Tris、120mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl、2mM MgClおよび0.1%ウシ血清アルブミン、10μMキノロン、0.1%アスコルビン酸(毎日新鮮なものを調製)を含むものとした。緩衝液は、HClによってpH7.4に調節した。
【0266】
ドーパミンD2L受容体:
アッセイ混合物(1mL)は、安定に発現されたヒトドーパミンD2L受容体(長いイソ型)および0.01nM[125I]−ヨードスピペロンおよびインキュベーション緩衝液を加えた(全結合)、またはさらに試験物質(阻害曲線)もしくは1μMハロペリドール(非特異的結合)を加えたHEK−293細胞約10個からの膜からなるものであった。各アッセイ混合物を3連で調べた。
【0267】
インキュベーション緩衝液は、50mM Tris、120mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl、2mM MgClおよび0.1%ウシ血清アルブミンを含むものとした。緩衝液は、HClによってpH7.4に調節した。
【0268】
測定および解析:
25℃で60分間インキュベーション後、アッセイ混合物を減圧下に、細胞回収装置を用いてワットマン(Whatman)GF/Bガラスファイバーフィルターで濾過した。フィルターを、フィルター移動システムによってシンチレーションバイアル中に移動させた。ウルティマ・ゴールド(Ultima Gold;登録商標)(パッカード(Packard))4mLを加えた後、サンプルを1時間振盪し、放射能をβ−カウンタでカウントした(パッカード、トリカーブ(Tricarb)2000または2200CA)。標準クエンチシリーズおよび装置に搭載のプログラムを用いて、cpm値をdpmに変換した。
【0269】
阻害曲線の解析を、ムンソンらの報告(Munson and Rodbard)に記載の「LIGAND」プログラムと同様の統計解析システム(SAS)を用いる反復非線形回帰分析によって行った。
【0270】
受容体結合試験の結果は、本明細書で前述し、表1に示したように、それぞれ受容体結合定数K(D)およびK(D)として表してある。
【0271】
これらの試験において、本発明による化合物は、D受容体に対して非常に良好なアフィニティを示し(<10nM、非常に多くの場合<5nM)、D受容体に選択的に結合する。
【0272】
結合試験の結果を下記表1に示した。
【0273】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iの化合物および該化合物の生理的に耐容される酸付加塩。
【化1】

[式中、
は、H、C〜C−シクロアルキルによって置換されていても良いC〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、フッ素化C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルケニル、フッ素化C〜C−アルケニル、ホルミル、アセチルまたはプロピオニルであり;
Aは、フェニレン、ピリジレン、ピリミジレン、ピラニジレン、ピリダニジレンまたはチオフェニレンであり、それらはハロゲン、メチル、メトキシおよびCFから選択される1以上の置換基によって置換されていても良く;
Eは、NRまたはCHであり、Rは、HまたはC〜C−アルキルであり;
Arは、フェニル、環員としてN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を有する5もしくは6員ヘテロ芳香族基ならびに飽和もしくは不飽和5もしくは6員炭素環もしくは複素環に縮合したフェニル環からなる群から選択される環状基であり;前記複素環は、環員としてN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子および/またはそれぞれ独立にNRから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子含有基を有し;Rは、H、C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキル、C〜C−アルキルカルボニルまたはフッ素化C〜C−アルキルカルボニルであり;前記環状基Arは1、2もしくは3個の置換基Rを有することができ;
は、ハロゲン、C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキル、C〜C−ヒドロキシアルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、フッ素化C〜C−アルケニル、C〜C−シクロアルキル、フッ素化C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、C〜C−ヒドロキシアルコキシ、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルコキシ、C〜C−アルキルチオ、フッ素化C〜C−アルキルチオ、C〜C−アルキルスルフィニル、フッ素化C〜C−アルキルスルフィニル、C〜C−アルキルスルホニル、フッ素化C〜C−アルキルスルホニル、CN、ニトロ、C〜C−アルキルカルボニル、フッ素化C〜C−アルキルカルボニル、C〜C−アルキルカルボニルアミノ、フッ素化C〜C−アルキルカルボニルアミノ、C〜C−アルキルカルボニルオキシ、フッ素化C〜C−アルキルカルボニルオキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、NH−C(O)−NR、NR、NR−C〜C−アルキレン、O−NR(RおよびRは互いに独立に、H、C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキルまたはC〜C−アルコキシであるか、Nとともに4、5もしくは6員飽和もしくは不飽和環を形成していても良い。)、フェニルスルホニル、ベンジルオキシ、フェノキシ、フェニルまたは環員としてN、OおよびSから選択される1、2、3もしくは4個のヘテロ原子および/またはNR(Rは、Rについて示した意味の一つを有する。)、SO、SOおよびCOから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子含有基を有する飽和もしくは不飽和3〜7員複素環(最後に言及した5つの基は、ヒドロキシおよび前記基Rから選択される1、2、3もしくは4個の置換基を有することができる。)である。]
【請求項2】
Arが、フェニル、環員としてN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を有する5もしくは6員ヘテロ芳香族基ならびに飽和もしくは不飽和5もしくは6員炭素環もしくは複素環に縮合したフェニル環からなる群から選択される環状基であり;前記複素環が、環員としてN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を有し;前記環状基が、ハロゲン、C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、フッ素化C〜C−アルケニル、C〜C−シクロアルキル、フッ素化C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルコキシ、CN、アセチル、カルボキシ、NR、NR−C〜C−アルキレンからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基Rを有することができ;RおよびRが互いに独立に、H、C〜C−アルキルもしくはフッ素化C〜C−アルキルであるか、あるいはNとともに4、5もしくは6員飽和または不飽和環、および環員としてN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を有する飽和もしくは不飽和3、4、5もしくは6員複素環を形成していても良い請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がn−プロピルまたはアリルである請求項1と2のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項4】
Aがフェニレン、ピリジレンまたはピリミジレンである請求項1または2のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
EがNHである請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
Arが、請求項1で定義のように置換されていても良いフェニル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリルまたはインダニルである請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
Arが、請求項2で定義のように置換されていても良いフェニル、チエニル、ピリジル、ベンゾフラニルまたはインダニルである請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Arが、下記式Ra′の1個の基Rを有する請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【化2】

[式中、
Yは、N、CHまたはCFであり;
a1およびRa2は互いに独立に、C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキルから選択され、ただしYがCHまたはCFである場合には、基Ra1またはRa2のうちの一方が水素またはフッ素であることもできるか、または
a1およびRa2が一体となって基(CHを形成しており、その式中において水素原子のうちの1個もしくは2個がフッ素、ヒドロキシ、オキソ、C〜C−アルキルまたはC〜C−アルコキシによって置き換わっていても良く、一つのCH部分がO、S、S=O、SOまたはN−Rによって置き換わっていても良く、Rは水素またはC〜C−アルキルであり、mは2、3、4、5または6である。]
【請求項9】
前記基Rが、イソプロピル、(R)−1−フルオロエチル、(S)−1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、(R)−1−フルオロプロピル、(S)−1−フルオロプロピル、2−フルオロプロピル、3−フルオロプロピル、1,1−ジフルオロプロピル、2,2−ジフルオロプロピル、3,3−ジフルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、(R)−2−フルオロ−1−メチルエチル、(S)−2−フルオロ−1−メチルエチル、(R)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(S)−2,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(R)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(S)−1,2−ジフルオロ−1−メチルエチル、(R)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル、2−フルオロ−1−(フルオロメチル)エチル、1−(ジフルオロメチル)−2,2−ジフルオロエチル、シクロプロピル、シクロブチル、1−フルオロシクロプロピル、2−フルオロシクロプロピル、(S)−および(R)−ジフルオロシクロプロピルから選択される請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
前記基Rが、4−モルホリニル、4−チオモルホリニル、4−(1,1−ジオキソ)チオモルホリニル、ピペラジン−1−イル、4−メチルピペラジン−1−イル、アゼチジン−1−イル、2−メチルアゼチジン−1−イル、(S)−2−メチルアゼチジン−1−イル、(R)−2−メチルアゼチジン−1−イル、3−フルオロアゼチジン−1−イル、3−メトキシアゼチジン−1−イル、3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、(S)−ピロリジン−2−イル、(R)−ピロリジン−2−イル、ピロリジン−3−イル、(S)−ピロリジン−3−イル、(R)−ピロリジン−3−イル、2−フルオロピロリジン−1−イル、(S)−2−フルオロピロリジン−1−イル、(R)−2−フルオロピロリジン−1−イル、3−フルオロピロリジン−1−イル、(S)−3−フルオロピロリジン−1−イル、(R)−3−フルオロピロリジン−1−イル、2,2−ジフルオロピロリジン−1−イル、3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル、2−メチルピロリジン−1−イル、(S)−2−メチルピロリジン−1−イル、(R)−2−メチルピロリジン−1−イル、3−メチルピロリジン−1−イル、(S)−3−メチルピロリジン−1−イル、(R)−3−メチルピロリジン−1−イル、1−メチルピロリジン−2−イル、(S)−1−メチルピロリジン−2−イル、(R)−1−メチルピロリジン−2−イル、1−メチルピロリジン−3−イル、(S)−1−メチルピロリジン−3−イル、(R)−1−メチルピロリジン−3−イル、2,2−ジメチルピロリジン−1−イル、3,3−ジメチルピロリジン−1−イル、2−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル、(S)−2−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル、(R)−2−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル、3−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル、(S)−3−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル、(R)−3−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル、2−メトキシメチルピロリジン−1−イル、(R)−2−メトキシメチルピロリジン−1−イル、(S)−2−メトキシメチルピロリジン−1−イル、2−オキソピロリジン−1−イル、2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル、ピペリジン−1−イル、2−メチルピペリジン−1−イル、(S)−2−メチルピペリジン−1−イルおよび(R)−2−メチルピペリジン−1−イルから選択される請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
前記基Rが1、2、3または4個のフッ素原子を有する請求項8〜10のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
が、フッ素化メチル、C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルコキシ、C〜C−アルキルチオおよびフッ素化C〜C−アルキルチオから選択される請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
Arが1個の基Rを有し;該基は、環員として1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を有する5もしくは6員ヘテロ芳香族基から選択され、環員として1、2もしくは3個の窒素原子をさらに有することができ;前記5もしくは6員ヘテロ芳香族基は、ハロゲン、NO、NH、OH、CN、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−シクロアルキル、フッ素化C〜C−アルコキシ、C〜C−ヒドロキシアルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル、C〜C−ヒドロキシアルコキシ、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルコキシ、C〜C−アルキルカルボニル、C〜C−アルキルアミノ、ジ−C〜C−アルキルアミノ、C〜C−アルキルアミノカルボニル、ジ−C〜C−アルキルアミノカルボニル、フッ素化C〜C−アルキルカルボニル、C〜C−アルキルカルボニルアミノ、フッ素化C〜C−アルキルカルボニルアミノ、C〜C−アルキルカルボニルオキシ、フッ素化C〜C−アルキルカルボニルオキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、C〜C−アルキルチオ、フッ素化C〜C−アルキルチオ、C〜C−アルキルスルフィニル、C〜C−アルキルスルホニル、フッ素化C〜C−アルキルスルフィニルおよびフッ素化C〜C−アルキルスルホニルから選択される1、2もしくは3個の置換基を有することができる請求項1および3〜6のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
Arが1個のヘテロ芳香族基Rを有し;該基が、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリルおよびテトラゾリルから選択され;前記ヘテロ芳香族基が、未置換であるかハロゲン、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルキルおよびフッ素化C〜C−アルコキシから選択される1〜3個の置換基を有することができる請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
Arがフェニルである請求項1〜14のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
Arが、ハロゲン、C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルコキシ、1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、2−フラニルおよび2−チエニルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基を有するフェニルであり;前記4個の最後に言及された基が、ハロゲン、C〜C−アルキル、フッ素化C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、フッ素化C〜C−アルコキシおよびC〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルから選択される1もしくは2個の置換基によって置換されていても良い請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Arが、フェニル環の4位に基Rを有するフェニルである請求項1〜16のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
少なくとも1種類の生理的に許容される担体または補助物質と組み合わせても良い、少なくとも1種類の請求項1〜17のうちのいずれか1項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項19】
有効量の少なくとも1種類の請求項1〜17のうちのいずれか1項に記載の化合物を、処置を必要とする被験者に投与する段階を有する、ドーパミンD受容体リガンドによる治療に感受性の医学的障害の治療方法。
【請求項20】
前記医学的障害が、中枢神経系の疾患である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ドーパミンD受容体リガンドによる治療に感受性の医学的障害の治療のための医薬組成物を製造する上での請求項1〜17のうちのいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項22】
前記医学的障害が、中枢神経系の疾患である請求項21に記載の使用。

【公表番号】特表2008−516912(P2008−516912A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536103(P2007−536103)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011089
【国際公開番号】WO2006/040176
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(502104228)アボット ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー (89)
【Fターム(参考)】