説明

ナチュラルキラー刺激因子

【課題】癌の処置に有用な、新規ナチュラルキラー細胞刺激因子を提供すること。
【解決手段】発現制御配列と共同的に機能する特定のDNA(明細書に開示された特定のアミノ酸配列または当該アミノ酸配列の1〜数個のアミノ酸が欠失、挿入および/または置換したアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするDNA)で形質転換された哺乳類または細菌細胞を培養することによって、目的とするナチュラルキラー細胞刺激因子を産生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
これは1988年11月10日出願の米国特許出願番号第07/269945号の一部継続出願である、1989年2月7日出願の係属中の米国特許出願番号第07/307817号の一部継続出願である。
【0002】
本発明はナチュラルキラー細胞および免疫系のその他の細胞の機能を刺激する新規なサイトカイン、並びに均質な形態での因子の獲得、および組み換え遺伝子工学の技法によるそれの産生に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
ナチュラルキラー(NK)細胞は免疫系において活性なリンパ球のサブセットであり、ヒト末梢血では単核細胞の平均15%になる[G.トリンチエリおよびB.ペルシア、ラボラトリー・インベスティゲーション50巻489頁(1984年)]。表面マーカーの中でヒトNK細胞の同定に用いられるものの中には、低い親和性でIgG抗体のFc断片に結合する受容体、例えばFc−ガンマー受容体IIIまたはCD16抗原がある[B.ペルシアら、ジャーナル・オブ・イムノロジー133巻180頁(1984年)]。NK細胞は、腫瘍防御、腫瘍転移、ウイルス感染に対するにおいてイン・ビトロで重要な役割を果たし、正常および悪性の造血を制御することが示されている。
【0004】
免疫系の細胞間で信号を送る制御タンパクの増大しつつある群が同定されている。これらの制御分子はサイトカインとして知られている。多くのサイトカインは、造血および免疫系の細胞の成長、発展および生物学的活性を調節することが見出されている。これらの制御分子には、全てのコロニー刺激因子(GM−CSF、G−CSF、M−CSFおよびマルチCSFまたはインターロイキン−3)、インターロイキン(IL−1〜IL−11)、インターフェロン(アルファ、ベータおよびガンマー)、腫瘍壊死因子(アルファおよびベータ)および白血病阻止因子(LIF)がある。これらのサイトカインは、骨髄、末梢血、胎児肝臓、およびその他のリンパ様または造血器官の標的細胞と、広範な生物学的活性を呈する。G.ウォングおよびS.クラーク、イムノロジー・トゥディ9巻5号137頁(1988年)を参照されたい。
【0005】
特定のサイトカインの生化学的および生物学的同定および特性化は、天然の供給源、例えば血液および尿から入り得る少量の天然発生の因子により妨害された。多くのサイトカインは最近、分子的にクローン化され、異種発現され、均質になるまで精製されている。[D.メットカルフ、「ザ・モレキュラー・バイオロジー・アンド・ファンクションズ・オブ・ザ・グラニュロサイト−マクロファージ・コロニー・スティミュレーティング・ファクターズ」ブラッド67巻2号257−267頁(1986年)。]これらのサイトカインにはガンマー・インターフェロン、ヒトおよびネズミGM−CSF、ヒトG−CSF、ヒトCSF−1並びにヒトおよびネズミIL−3がある。これらの精製因子のなかには造血および免疫系にイン・ビボで制御効果を示すことが見出されているものもあり、これらにはGM−CSF、G−CSF、IL−3およびIL−2がある。
【0006】
当業界では、免疫応答を刺激または増強でき、医薬的用途に適した、天然の供給源から精製するか、そうでなければ均質な形態で産生したさらなるタンパクの必要性が残っている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の簡単な要約
本発明は1つの様相において、実質的にその他の哺乳動物タンパクを含まない、NKSFと称する新規なヒトナチュラルキラー刺激因子を提供する。活性なNKSFの見かけの分子量は約70〜80キロダルトンである。NKSFの純粋な調製物は約40キロダルトンおよび30キロダルトンのサブユニットである2つのポリペプチドが存在することを示し、これらが会合した場合に活性NKSFを生じる。現在では、NKSFは大きいサブユニットと小さいサブユニットの両方が1個またはそれ以上のジスルフィド結合を介して会合することにより形成されるヘテロダイマーであると推測される。この見かけのヘテロダイマー構造は、2個の別個のサブユニットの会合により生じることができる。
【0008】
活性で約70〜80キロダルトンのNKSFは、さらに、以下の表1および/または2のアミノ酸配列の全部または一部を含有するという特徴がある。さらに、9配列のアミノ酸の1個またはそれ以上が、大きいまたは小さいNKSFのサブユニットの一次配列に存在する。これらの9個のアミノ酸断片は以下に一覧表にして詳細に論じる。
【0009】
NKSFの大きいサブユニットポリペプチドは、見かけの分子量が40キロダルトンであるという特徴がある。このサブユニットはさらに、表1に記載したアミノ酸配列と同じかまたは実質的に同じであるという特徴があり、N−末端配列:
Ile-Trp-Glu-Leu-Lys-Lys-Asp-Val-Tyr-Val-Val-Glu-Leu-Asp-Trp-Tyr-Pro-Asp-Ala-Pro-Gly-Glu-Met (配列番号:2の残基23−45)
を有する。このN末端アミノ酸配列は、表1のアミノ酸#23〜45に相当する。このポリペプチドはさらに9個のアミノ酸の断片を6個含有するという特徴がある。
【0010】
NKSFの小さいポリペプチドサブユニットの見かけの分子量は約30〜35キロダルトンであるという特徴がある。2つのcDNA配列が小さい方のサブユニットについて同定された。2つの配列の短い方は、表2に示すプラスミドp35nksf14−1−1の長い配列内に実質的に含まれる。小さいサブユニットはさらに表2に記載するのと同じかまたは実質的に同じアミノ酸配列を有するという特徴があり、以下のN−末端配列を含有する:
Arg-Asn-Leu-Pro-Val-Ala-Thr-Pro-Asp-Pro-Gly-Met-Phe-Pro (配列番号:4の残基57−70)

この断片はp35nksf14−1−1クローンの下線を付したアミノ酸#57〜70に相当する。
【0011】
この小さいポリペプチドはさらに表2の下線を付して区別した9個のアミノ酸断片を3個含有するという特徴がある。
【0012】
NKSFはイン・ビトロでヒト末梢血リンパ球(PBLs)のガンマーインターフェロンの産生を誘起する生物学的活性を示す。NKSFは、等質な形態では、ガンマーインターフェロン誘導検定において、特異活性がミリグラムあたり1×10希釈単位以上であるという特徴があるが、詳細は以下に記載する。
【0013】
PBLsにおけるガンマーインターフェロンの誘導に加えて、NKSFは以下の生物学的活性を示す:
(1)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)誘導検定におけるPBLsとの生物学的活性;
(2)白血病および腫瘍由来の細胞を殺すナチュラルキラー(NK)細胞の活性化における生物学的活性;
(3)腫瘍壊死因子(TNF)誘起検定におけるフィトヘマグルチニン(PHA)−活性化Tリンパ球との生物学的活性;
(4)末梢血Tリンパ球との共ミトゲン活性;および
(5)PBLsでのγIFN誘導およびPBL増殖の維持におけるIL−2との相乗作用。
【0014】
本発明の別の様相には、ヒトNKSFポリペプチド、ヒトNKSFの大きいサブユニットポリペプチド、およびヒトNKSFの小さいサブユニットポリペプチドの発現をコードするcDNA配列を含むDNA配列がある。このような配列は上記のサブユニットおよびペプチド配列を1個またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0015】
本発明はまた発現調節配列と機能可能に結合したNKSFまたはNKSFサブユニットをコードするDNA配列を含有するベクターをも提供する。本発明はまた組み換えNKSFまたはそれの組み換えサブユニットの産生に使用されるこのようなベクターで形質転換した宿主細胞をも提供する。
【0016】
本発明のさらなる様相として、組み換えNKSFタンパクを提供する。このタンパクはその他の哺乳動物のタンパク質性物質を含まず、上記物理学的、生化学的または生物学的活性または特性を1つまたはそれ以上含む上記サブユニットまたはペプチド断片を1個またはそれ以上をコードするDNA配列が存在するという特徴がある。
【0017】
本発明の別の様相では、均質なもしくは組み換えNKSFを治療的に有効量、またはNKSFのサブユニットを1つまたは両方またはそれのペプチド断片を1つまたはそれ以上を有効量含有する医薬組成物を提供する。これらの医薬組成物は癌、ウイルス感染、例えばエイズ、細菌感染、およびガンマーインターフェロンの増加またはGM−CSF産生に反応するその他の疾病状態の処置方法において用いることができる。従って、一般的にこの因子は免疫機能を刺激するのが有益であろうと考えられる疾病の処置に用いることができる。
【0018】
従って、本発明のさらなる様相は、患者にNKSFまたはそれのサブユニットを1つもしくは両方、またはそれのペプチド断片を治療的に有効量、適切な医薬用担体中で投与することにより、ナチュラルキラー細胞機能を増強すると有効である癌および/またはその他の病理学的状態を処置する方法である。これらの治療法にはNKSFまたはそれのサブユニットもしくはペプチド断片を1つもしくはそれ以上と共に、少なくとも1つのその他のサイトカイン、造血素、インターロイキン、成長因子または抗体の有効量を同時にまたは逐次的に投与することが含まれる。具体的には、NKSFまたはそれのサブユニットの1つまたはそれ以上をIL−2と共に投与すると相乗効果があることが示されている。イン・ビトロでIL−2と相乗効果があるために、このインターロイキンはとりわけNKSFと組み合わせると効果的であると考えられる。
【0019】
本発明のさらなる様相は、NKSFまたはそのサブユニットをその他のタンパクおよびポリペプチドと混合して産生するヒトセルラインから、等質なNKSFまたはそれのサブユニットを産生する方法である。本発明が提供するこの産生方法には、NKSF、そのサブユニットまたはそれのペプチド断片の産生能力のある選別した細胞を培養してならし培地を得、5段階の1次精製段階を通してならし培地を精製することが含まれる。
【0020】
本発明のベクターおよび形質転換細胞は、本発明の別の様相、すなわち、組み換えヒトNKSFタンパク、それのサブユニットまたはそれのペプチド断片を産生するための新規な方法に用いられる。この方法では、発現調節配列と機能可能に結合した、NKSFタンパク、それのサブユニットまたはそれのペプチド断片の発現をコードするDNA配列で形質転換したセルラインを培養する。この特許請求した方法ではポリペプチドを発現させるための宿主細胞として多くの既知の細胞を用いることができる。現在のところ好ましいセルライは哺乳動物セルラインおよび細菌細胞である。
【0021】
本発明のその他の様相および優越性は、それの好ましい態様に関する以下の詳細な説明を考慮すると明白になろう。
【0022】
発明の詳細な説明
本発明が提供する新規なヒトナチュラルキラー細胞刺激因子、NKSFは、実質的にその他の哺乳動物のタンパク質性物質が関与しない等質なタンパクまたはタンパク質性組成物である。
【0023】
ナチュラルキラー刺激因子は、非還元条件下、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により決定すると、見かけの分子量が約70〜80キロダルトンである。この70〜80キロダルトンのペプチドはガンマーインターフェロン誘導検定において活性である。
【0024】
SDS−PAGEでは、70〜80キロダルトンのバンドが、還元条件下見かけの分子量約40キロダルトン(大きい方のサブユニット)および約30〜35キロダルトン(小さい方のサブユニット)の2つの小さなサブユニットを生じる。両方のサブユニットは別個に、同一のガンマーインターフェロン誘導検定において生物学的活性が、元来の70〜80キロダルトンの種と比較すると実質的に喪失されている。上記で同定されたアミノ末端配列はNKSFヘテロダイマーのサブユニットであると考えられている40キロダルトンの還元種および30〜35キロダルトンの還元種から元来決定された。現在NKSFは大きいおよび小さいサブユニットのジスルフィド−結合へテロダイマーであると考えられている。しかしながら、これらのサブユニットの1つまたは両方は、単独で存在する場合、生物学的活性を有することも可能である。
【0025】
NKSFは、少なくとも部分的に陰イオン糖タンパクである。等電点電気泳動では、NKSFの2種は等電点が4.3および4.8であることが観察される。現在では、2種はグリコシル化パターンで異なることが推測されている。
【0026】
NKSFは、以下の実施例8で詳細に記載するガンマーインターフェロン誘導検定における生物学的活性により主に特性化される。NKSFのその他の生物学的活性には、ヒト末梢血リンパ球によるGM−CSF産生を誘起する能力もある。[例えば、GM−CSFのさらなる情報に関する発行PCT出願WO86/00639を参照されたい。]NKSFはまた、末梢血Tリンパ球における種々ミトゲン、例えばレクチンおよびフォルボールジエステルのミトゲン活性に及ぼす増強効果をも有し、活性化ヒト扁桃腺Bセルに及ぼす成長促進効果をも有する。NKSFはまたイン・ビトロで自然性細胞毒性検定および抗体依存性細胞毒性(ADCC)検定を用いると、白血病および腫瘍由来細胞を殺すNK細胞機能を増強することも観察されている。
【0027】
自発性細胞毒性検定では、ヒト末梢血リンパ球または精製NK細胞をNKSFの存在下、8〜18時間恒温培養する。次いで標準51Cr放出検定でリンパ球およびNK細胞の、標的細胞、例えば白血病セルライン、腫瘍由来のセルラインまたはウイルス感染した線維芽細胞を融解する能力を検定する。NKSFは、NK細胞の、このような標的細胞を融解する能力をインターフェロンアルファおよびIL−2といった周知のNK細胞細胞毒性活性の活性化剤に匹敵する水準で、劇的に高める[例えばG.トリンチエリら、ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディスン147巻1314頁(1978年)およびG.トリンチエリら、ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディスン160巻1146頁(1984年)を参照されたい]。
【0028】
ADCC検定では、標的癌細胞はNK細胞のFC受容体に結合能力のある抗体例えばIgG2a、IgG等で被覆する。予備検定では、NKSFの存在が、ADCCにおける被覆腫瘍細胞に対するNK細胞の殺活性を増強するようである。[例えばL.M.ワイナーら、キャンサー・リサーチ48巻2568〜2573頁(1988年);P.ハーセイら、キャンサー・リサーチ46巻6083〜6090頁(1988年);およびC.J.ハンシクら、プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ジ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ83巻7893〜7897頁(1986年)のADCCに関するさらなる情報を参照されたい。]
【0029】
ビーズに結合したヤギ抗ヒトIgM抗体(アンチ−μ)で刺激した正常ヒトBセルを用いるBセル成長因子検定でのNKSFの予備分析により、NKSFがBセル成長因子活性によっても特性化できるとことが示される。この検定ではBセル表面上のIgMイムノグロブリンに抗する抗体がBセルを活性化し、Bセル成長因子に反応するようにさせる。[C−TK.ツェングら、ジャーナル・オブ・イムノロジー140巻2305−2311頁(1988年)を参照されたい]。このような抗体は市販で入手できる。
【0030】
NKSFは元来、リンフォカインの混合物を産生する市販で入手可能なセルライン[ユニバーシティー・オブ・ペンシルバニア・セル・センター]であるヒトセルライン、RPMI8866のならし培地で検出された。この因子はその他のエプスタイン・バール・ウイルス形質転換リンフォブラストイドセルラインにより、またはその他のヒトセルラインからも産生できる。RPMI8866セルラインは自発的に因子を産生するが、産生レベルはセルラインをフォルボールエステル類、例えばフォルボール・ジブチレートで処理することにより増強できる。血清を除去した細胞は、48時間でも依然、NKSFをその他のリンフォカインと共に産生する。RPMI8866または別のNKSFの供給源の細胞の培養方法(実施例1参照)は、当業者には周知である。
【0031】
天然にNKSFを産生する細胞からNKSFを得る場合に用いる精製技術では以下の段階を用いる。これらの段階には、イオン交換カラム例えばQAEゼータ予備カートリッジ[LKBファルマシア]を通す精製、があり、これはNKSFタンパクが陰イオン性であることを示している。2番めの精製段階はレンチル・レクチン・カラムであり、これはNKSFが少なくとも部分的に糖タンパクであることを示している。レンチル・レクチン・カラムからの溶出液はヒドロキシルアパタイトカラムを通してさらに精製し、続いてヘパリンセファロースカラムおよび高速タンパク液体クロマトグラフィー(FPLC)モノ−Qカラムを通して精製する。RPMI8866からのNKSFは、後者の3個のカラムの各々で単一のピークとして溶出された。残存する約37キロダルトンのタンパク夾雑物を、ゲル濾過クロマトグラフィー単独で、または逆相HPLCおよびゲル濾過クロマトグラフィーで除去する。結果的に得られた精製した等質NKSFは実施例8のガンマーインターフェロン誘導検定で生物学的活性を検定し、ミリグラムあたり1×10希釈単位以上の特異活性が示された。
【0032】
従って、均質なNKSFは上記の精製法に適用して得ることができ、このことは実施例2でRPMI8866またはその他のヒトNKSF供給源のならし培地に関して詳細に記載する。
【0033】
NKSF、そのサブユニットの1つもしくは両方、またはそれのペプチド断片もまたは組み換え技術により、例えば適当な条件下、それを発現させることができる制御調節配列を有効に関与させた、大きいおよび/または小さいサブユニットをコードするDNA配列で形質転換した宿主細胞を培養することにより産生できる。
【0034】
クローン化NKSFおよびそのサブユニットのDNA配列は、等質なポリペプチドをトリプシン消化させることにより本来単離された。例えば、本来NKSFに見出される9個のトリプシン処理断片は以下のように同定される:
【表1】

断片4,5および6は小さい方、すなわち30キロダルトンのサブユニット内に位置することが確認されている。これらの配列は表2に説明するp35nksf14−1−1クローンの下線を付したアミノ酸#180−184、246−252および81−88の各々に相当する。断片1−3および7−9は、大きい方の40キロダルトンのNKSFサブユニット内に位置することが確認されている。断片1(アミノ酸#75−79);断片2(アミノ酸#219−224);断片3(アミノ酸#23−27);断片7(アミノ酸#303−308);断片8(アミノ酸#127−130);および断片9(アミノ酸#231−239)に相当するアミノ酸配列は、表1で下線を付してある。さらに、NKSFの大きいおよび小さいサブユニットのアミノ末端配列は以下の実施例5に記載するように同定し、各々表1(#23−45)および表2(#57−70)で下線を付してある。
【0035】
オリゴヌクレオチドプローブは、NKSFのこれらのトリプシン消化産生物のアミノ酸配列をコードする全ての可能な配列を予想するための遺伝子コードを用いて合成した。同一の方法を行って、上記で同定されたNKSFの2つのサブユニットのアミノ末端配列からプローブを構築することができる。NKSFサブユニット遺伝子はこれらのプローブを用いて同定でき、ヒトゲノムライブラリーをふるい分けできる。また別に、RPMI8866または別のNKSFの細胞供給源からのmRNAを用いてNKSFの大きいおよび小さいサブユニットのポリペプチドをコードするcDNAを同定するプローブでふるい分けできるcDNAライブラリを作ることができる。一度cDNAを同定すると、これらを発現ベクターに導入し、NKSF、またはそれのサブユニットの1つもしくは両方の発現系を作った。
【0036】
このように組み換え技術を用いることにより、NKSFの大きいおよび小さいサブユニットのポリペプチドをコードするDNA配列を得たが、これはトリプシン処理断片または上記で同定されたアミノ末端配列をコードするDNA配列を含有する。
【0037】
pNK40−4と称する1つのNKSFクローンは以下の表1に示すDNAおよびアミノ酸配列を有し、大きいNKSFサブユニットの全てまたは一部をコードする:
表1
pNK40−4
cDNAヌクレオチドおよびアミノ酸配列、
40キロダルトンのNKSFのサブユニット
(配列番号:2をコードする配列番号:1)
【表2】


【表3】


【表4】

【表5】

【0038】
プラスミドpNK40−4のこのクローン化配列はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、12301パークローン・ドライブ、ロックビル、メリーランドに1990年7月31日に受け入れ番号40854で寄託した。おおよそヌクレオチド#888までを含有する配列を通ってN末端非コード化部域を含有する、この大きい断片の先の部分的クローンをpNK−6と称し、1989年2月3日にATCCNo.40545でATCCに寄託した。大きいサブユニットの別の部分的クローンであるpNK162を配列決定すると、表1のヌクレオチド#643〜2362の配列を含有する。このクローンはジェネティックス・インスティテュート有限会社の研究室で保存されている。
【0039】
NKSFの小さい(30〜35キロダルトン)サブユニットの配列をコードする2個の別個のcDNAクローンを同定した。長いクローン(p35nksf14−1−1と称する)を表2に示す。短いクローン(p35nksf9−1−1と称する)は表2および寄託配列のヌクレオチド#133(*で示す)で始まり、ヌクレオチド#1335(*で示す)で終わる。これらの2つのヌクレオチドの間では、小さいクローンは、3’非コード化部域での5ヌクレオチドの変化以外は表2の配列と同一である。従ってこの短いクローンは表2のMet(アミノ酸#35)で始まるコード化配列を有する。p35nksf14−1−1の5’末端における付加的な配列は、p35nksf9−1−1での有効な開始コドンのフレーム内開始コドン(ATG)34残基5’をコードする。
【表6】

【表7】

【0040】
これらのクローンの両方は、精製NKSFのトリプシン消化で同定されたペプチド配列の全ておよび精製30キロダルトンサブユニットのアミノ末端配列をコードするが、これらは40キロダルトンのサブユニットタンパクでは見出されなかった。これらの配列は表2で下線を付している。クローンは翻訳が表2のMet#1またはMet#35で開始されるかどうかに依って、NKSFの30〜35キロダルトンのサブユニットの2つの可能な翻訳物をコードする配列を含有する。しかしながら、NKSFの30〜35キロダルトンのタンパクサブユニットはAla(アミノ酸#56)に続く開裂により生じると考えられるので、両方の配列は同じ成熟タンパクを産生するはずである。p35nksf14−1−1の配列は、1990年9月11日に受け入れ番号40886でATCCに寄託した。
【0041】
【表8】

【0042】
表2
30キロダルトンのサブユニットのヌクレオチドおよびアミノ酸配列
長いクローン、p35nksf14−1−1および短いクローン、p35nksf9−1−1
(配列番号:4をコードする配列番号:3)
【表9】

【表10】

【表11】

【0043】
p35nksf9−1−1の配列(表2で下線を付したPstI部位からブルースクリプト・ポリリンカー配列のPstI部位まで)は、発現ベクターpEMC3(1)中40キロダルトンのサブユニットを発現するプラスミドと共にCos細胞に導入した場合、生物学的に活性なNKSFを産生した。この物質は以下で論じる天然のNKSFを試験するのに用いたのと同じ生物検定で活性であった。この配列はp35nksf14−1−1よりPstIで消化して得ることができる。また別に、短い30〜35キロダルトンのサブユニット配列を含有するプラスミドp35nksf9−1−1のクローン化配列は、ジェネティックス・インスティテュート、ケンブリッジパーク、メリーランド州の研究室で保存されており、特許が賦与されたとき、公けに入手可能になるであろう。
【0044】
より長い30〜35キロダルトンのサブユニット発現に適したcDNAは、SalIおよびNotIでの消化によりp35nksf14−1−1寄託クローンから得ることができる。長い30〜35キロダルトンのサブユニットには先のMet(アミノ酸#1)コドン、付加的な5’コード化および非コード化配列、並びに3’非コード化配列を含有する。成熟タンパク(両方のcDNAによりコードされる)のMet(アミノ酸#35)からN末端までの配列は、信号ペプチドに似た配列をコードし、サブユニットの適切な折りたたみおよび/または分泌を指示できる。従って、長い30〜35キロダルトンのサブユニットの配列が、短いものよりも効果的にCos細胞により発現および分泌されることが可能である。これはまた異なって折りたたまれ、それによりNKSFの活性が40キロダルトンのサブユニットの存在とは独立して付与される。
【0045】
表2は寄託クローンのポリリンカー配列、並びにこのサブユニットの大きいおよび小さい翻訳物の最初と最後のヌクレオチドの配置を示す。また発現した小さいサブユニットの配列および下線を付したトリプシン処理断片の配列を得るための5’PstI部位をも示す。
【0046】
ペプチド配列および上記の大きいおよび小さいサブユニットをコードするDNA配列のアレル化したものおよびそれのアナログまたは誘導体もまた本発明に含まれる。
【0047】
従って、本発明はまたその他の霊長類タンパクをコードするDNA配列を随伴せず、それの大きいおよび小さいサブユニットを含むNKSFポリペプチドの発現をコードするこれらの新規DNA配列を包含する。これらのDNA配列には上記で同定したDNAおよびペプチド配列、並びにストリンジェントハイブリダイゼーション条件下〔T.マニアティスら、モレキュラー・クローニング(アラボラトリー・マニュアル)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(1982年)387〜389頁を参照されたい〕でDNA配列にハイブリダイズするこれらの配列の1つまたはそれ以上を含有するものを含む。このようなストリンジェント・ハイブリダイゼーション条件の例としては、65℃で4×SSCでハイブリダイゼーションし、続いて65℃で0.1×SSCで1時間洗浄する。また別に、典型的なストリンジェント・ハイブリダイゼーション条件は50%ホルムアミド中42℃で4×SSCである。
【0048】
緩和なハイブリダイゼーション条件下、NKSFまたはそのサブユニットの配列にハイブリダイズし、NKSF生物学的特性を有するNKSFペプチドの発現をコードするDNA配列もまた新規なNKSFポリペプチドをコードする。このような非ストリンジェント・ハイブリダイゼーション条件の例としては、50℃で4×SSCかまたは、42℃で30〜40%ホルムアミドでのハイブリダイズがある。例えば、グリコシル化またはジスルフィド架橋といった重要な等質性の部域をNKSF配列と共有し、NKSFの生物学的特性を1つまたはそれ以上有するタンパクをコードするDNA配列は、このようなDNA配列がたとえストリンジェント的にNKSF配列にハイブリダイズしなくても、明らかにNKSFポリペプチドをコードする。
【0049】
同様に、NKSFの配列によりコードされるNKSFポリペプチドをコードするが、遺伝子コードが縮重またはアレル変化する(種の集合体において天然に発生する塩基の変化で、結果的にアミノ酸変化をもたらす場合ももたらさない場合もある)ためにコドン配列が異なるDNA配列もまた、本発明に包含する。点突然変異により、または活性、半減期またはそれによりコードされるポリペプチドの産生を増強するように改変させることにより引き起こされるNKSFのDNA配列の変化もまた本発明に包含される。
【0050】
NKSFポリペプチドはまた、既知の通常の化学合成によっても産生できる。本発明のポリペプチドを合成手段により構築する方法は当業者に周知である。1次、2次または3次構造および配置特性をNKSFポリペプチドと共有することにより、合成的に構築したNKSFポリペプチド配列は、それと共通したNKSF生物学的特性を有することができる。従って、これらは治療的および免疫学的方法において天然精製NKSFポリペプチドの、生物学的活性また免疫学的代替物として用いることができる。
【0051】
本明細書で提供するNKSFポリペプチドはまた、精製した等質な組み換えNKSFタンパクまたはサブユニットポリペプチドであるが、改変が自然に行われるか、故意に操作されたものの配列に類似した配列でコードされる因子をも含むペプチドまたはDNA配列における改変は、当業者間で周知の技術を用いて行うことができる。NKSF配列中の重要な改変には、コード化配列中の選別されたアミノ酸残基の置換、挿入または削除がある。このような置換、挿入または削除のための突然変異誘発技術は当業者に周知である〔例えば米国特許第4518584号を参照されたい。〕
【0052】
本明細書に記載したNKSFポリペプチドまたはサブユニットポリペプチドの配列のその他の特異的な突然変異には、グリコシル化部位の改変がある。任意のアスパラギン連結グリコシル化認識部位で、または0−連結炭水化物の添加により改変される分子の任意の部位でのアミノ酸置換または削除の結果、グリコシル化しなかったり、部分的にしかグリコシル化しなかったりする。アスパラギン連結グリコシル化認識部位には、適当な細胞性グリコシル化酵素により特異的に認識されるトリペプチド配列を含む。これらのトリペプチド配列は、アスパラギン−X−スレオニンかまたはアスパラギン−X−セリン(ここでXは通常任意のアミノ酸である)のどちらかである。グリコシル化認識部位の1番めのまたは3番めのアミノ酸の位置の1つかまたは両方での、種々のアミノ酸置換または削除(および/または2番めの位置でのアミノ酸の削除)の結果、改変されたトリペプチド配列で非グリコシル化される。
【0053】
このように変化したヌクレオチド配列の発現により、その部位でグリコシル化されない変種が産生される。
【0054】
NKSF活性が全体的にまたは部分的に保持されているであろうと考えられるNKSFまたはそのサブユニットの配列のその他のアナログおよび誘導体もまた、本明細書に示された当業者により容易に作ることができる。そのような改変の1つは、ポリエチレングリコールの存在するリジン残基への付着または通常の技法による付着を可能にするためのリジン残基の配列への挿入である。このような改変は本発明に包含されると考えられる。
【0055】
本発明はまたNKSFポリペプチドを産生する方法をも提供する。本発明の方法には、既知の制御配列の調節を受けながら、NKSFポリペプチドまたはサブユニットの発現をコードするDNA配列で形質転換した適当な細胞またはセルラインを培養することを含む。両方のサブユニットの好ましいDNA配列は宿主細胞に形質転換する。
【0056】
適当な細胞またはセルラインは、哺乳動物細胞、例えばチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞(CHO)または3T3細胞である。適当な哺乳動物宿主細胞の選別および形質転換、培養、増幅、ふるい分け並びに産生物の産生および精製の方法は当業界で周知である。例えばゲティングおよびサンブルーク、ネイチャー293巻620〜625頁(1981年)、別法としてカウマンら、モル.セル.ビオール.5巻7号1750〜1759頁(1985年)もしくはハウレイら、米国特許第4419446号を参照されたい。CHO細胞における2種の異なるDNAの同時発現については、例えば発行PCT国際出願WO88/08035に記載されている。その他の適当な哺乳動物セルラインはサルCOS−1セルラインおよび元来ウィスター・インスティテュート、フィラデルヒィア、ペンシルベニア州で開発されたCV−1セルラインである。
【0057】
同様に本発明に適した宿主細胞として有用であるのは、細菌細胞である。例えば、エシェリキア・コリ(例えばHB101、MC1061および以下の実施例で用いた菌株)の種々の菌株は、バイオテクノロジーの分野で宿主細胞として周知である。B.サブチリス、プセウドモナス、その他の桿菌等の種々の菌株をもこの方法に用いることができる。
【0058】
当業者に周知の酵母細胞の多くの株もまた本発明のポリペプチドの発現のための宿主細胞として利用できる。さらに、望まれる場合、昆虫細胞を本発明の方法において宿主細胞として利用できる。例えばミラーら、ジェネティック・エンジニアリング8巻277〜298頁(プレナム・プレス1986年)およびそこで引用されている参考文献を参照されたい。
【0059】
本発明はまた新規NKSFポリペプチドの発現方法において使用されるベクターをも提供する。これらのベクターは本発明のサブユニットポリペプチドを含むNKSFポリペプチドをコードする新規NKSFDNA配列を含有する。また別に、上記で記載したような改変した配列を組み込んだベクターもまた本発明の態様であり、NKSFポリペプチド産生に有用である。この方法で用いるベクターもまた本発明のDNAコード化配列と有効に関与し、選択した宿主細胞中でそれの複製および発現を指示できる選択された制御配列を含有する。
【0060】
従って、細胞供給源から等質になるまで精製した、または組み換えもしくは合成により産生したNKSFは、医薬組成物すなわち増強されたNK細胞活性またはイン・ビボでのガンマーインターフェロンもしくはGM−CSFの産生増加に反応する癌またはその他の疾病状態を処置するための製剤に用いることができる。このような病理学的状態は、疾病、放射線または薬物の暴露、例えば白血病、細菌およびウイルス感染、貧血、骨髄移植後の免疫細胞または造血細胞不全を含むBセルまたはTセル不全の結果起こる。これらのNKSFポリペプチド組成物での癌またはその他の疾病の治療的処置によると、現在使用できる薬物での処置により引き起こされる望ましくない副作用を避けることができる。本発明によるNKSFポリペプチド組成物は、後天性免疫不全症候群(AIDS)およびその他のウイルス感染、とりわけ非反応性ウイルス感染および細菌感染の処置にも用いることができる。
【0061】
このような医薬用製剤において、NKSFのサブユニットポリペプチドもしくはそれのペプチド断片の1つまたは両方を用いることも可能である。
【0062】
本発明のポリペプチドはまた、単独でまたはその他のサイトカイン、造血素、インターロイキン、成長因子もしくは抗体と組み合わせて、癌またはその他の疾病状態の処置に用いることもできる。例えばNKSFポリペプチドをIL−2と連結させて投与した場合、相乗効果があることが示されている。これは感染、とりわけウイルス感染および癌の処置に有用であると考えられる。これらの新規ポリペプチドのその他の用途は、標準方法により診断または治療用に発生させたモノクローナルおよびポリクローナル抗体の開発である。
【0063】
従って、本発明のまた別の様相は、上記で言及した状態の処置のための方法および治療用組成物である。このような組成物には、本発明のNKSFタンパクもしくはサブユニットポリペプチドまたは治療的に有効なそれの断片の治療的に有効量を医薬的に許容されうる担体と混合したものを含む。この組成物は非経口的に全身的に投与できる。また別に、この組成物は静脈内投与できる。望まれる場合は、この組成物は静脈内投与できる。全身的に投与する場合、本発明で用いられる治療用組成物は、発熱物質不含の非経口的に許容され得る水性溶液の形態である。このような医薬的に許容され得るタンパク溶液の調製物は、pH、等調性、安定性等を十分に考慮して、当業界の技術の範疇である。
【0064】
上記の状態を処置する方法において用いられる投与計画は、薬物の作用を変化させる種々の因子、例えば患者の病状、体重、性別および食事、感染の重篤度、投与回数並びにその他の臨床因子を考慮して担当の内科医により決定されるであろう。一般に、1日の投与計画はNKSFタンパクもしくはそれのサブユニット1〜1000μgまたは体重1kgあたりタンパク50〜5000単位(すなわち、1単位/mlはガンマーインターフェロン誘導検定において最大刺激の半分まで刺激するタンパク濃度である)の範囲内にすべきである。
【0065】
本発明の治療方法および組成物には、その他のヒト因子との併用投与も含まれる。このような用途のための典型的なサイトカインまたは造血素には、既知の因子、とりわけIL−1、IL−2およびIL−6がある。〔例えばPCT公開WO85/05124、およびWO88/00206;並びにヨーロッパ特許出願第0188864号を参照されたい。〕その他のNKSF治療への参入の強力な候補には、IL−4、G−CSF、CSF−1、GM−CSF、IL−3、IL−11またはエリトロポエチンも含まれ得る。B細胞成長因子のような成長因子、Bセル分化因子または好エオシン分化因子もまたNKSFと併用投与するのが有用であることが解明できている。
【0066】
同様に、NKSFもしくはサブユニットまたはそれの断片を、NK細胞のFc受容体に結合する能力のある抗体と一緒に、またはこれに先んじて投与すると、腫瘍に抗することを目的としたADCC治療を増強できる。上記で列挙した投与量は、治療用組成物中のこのような付加的な成分のために補整されよう。処置した患者の改善は、通常の方法で監視する。
【実施例】
【0067】
以下の実施例は、本発明の均質なヒトNKSFの精製および特性並びにその他の方法および産生物を説明するために記載する。これらの実施例は説明のためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0068】
実施例1.血漿無含有RPMI8866細胞順化培地の製造
ヒトB−類リンパ球芽細胞系(lymphoblastoid cell line)RPMI8866を5%熱不活化胎児ウシ血清(FCS)を含むRPMI1640培地中に維持した。血漿無含有順化培地の製造のために、細胞を洗浄し、10−7Mフォルボール−12−13−ジブチラート(PdBU)を含む血漿無含有RPMI1640培地中に懸濁(10セル/ml)し、48時間37℃、5%COで培養した。細胞無含有上清を0.2μmフィルター[ドラポア(商標)親水性カートリッジフィルター、ミリポア、ベッドフォード、MA]を通して濾過により採取し、トゥィーン−20およびフェニルメチルスルホニル−フルオリド(PMSF)を0.02%および0.1mMにそれぞれ加えた。ついで、細胞順化培地を、限外濾過カートリッジ[スパイラル−ウンド、S1、アミコン、ダンバース、MA]を使用して加圧下50倍に濃縮した。
【0069】
実施例2.順化培地からNKSFの精製
下記の製造法は、現在、上記の実施例1と同様に、RPMI8866順化培地から相同NKSFタンパク質を得るために使用されている。
【0070】
a.アニオン交換カートリッジクロマトグラフィー
粗濃縮順化培地の2リットルを、6m Os/cmの伝導度まで蒸留水で希釈し、1Mトリス−HCl緩衝液(pH8)でpH8に調整した。ついで、濃縮物を、流速150ml/分で平行に連結されている、および0.1Mトリス−HCl緩衝液(pH8)で前以て平衡化した5個のQAEゼタプレップ250カートリッジ[ファルマシア]に適用した。特に断らない限り、精製に使用した緩衝液すべては0.02%トゥィーン−20および0.1mM PMSFを含有した。カートリッジを0.1Mトリス−HCl緩衝液3リットルで洗浄し、ついで0.1トリス−HCl緩衝液(pH6.8)中0.5M NaCl 1.5リットルで洗浄し、画分300mlを捕集した。NKSF活性を0.5M NaCl含有洗浄液で溶出した。
【0071】
b.レンチル−レクチンセファロースクロマトグラフィー
2種の別個のQAEゼタプレップ溶出液から溜めたNKSF−含有画分を集め、20mM トリス−HCl緩衝液(pH7.2)で平衡化されているレンチル−レクチンセファロース4B[ファルマシア]のカラム(2.5×15cm)に直接適用した。カラムの5倍容量の平衡化緩衝液で洗浄後、カラムをカラムの3倍容量の0.2M α−メチル−D−マンノピラノシド[シグマ]および0.5M NaCl含有20mMトリス−HCl緩衝液(pH7.2)で溶出した。NKSFの約半分の活性がカラムにより結合し、α−メチルD−マンノピラノシドで溶出した画分中に回収した。
【0072】
c.ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー
レンチル−レクチンセファロースカラムに結合したNKSF活性のプールから濃縮した試料を0.1mMCaClおよび0.15M NaClを含む1mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)で透析し、0.1mMCaClを含む1mMリン酸カリウム緩衝液で前以て平衡化したバイオゲルHT[バイオラッド]カラム(2×5cm)に適用した。カラムを平衡化したカラムの5倍容量の緩衝液で洗浄し、0.15M NaClを含む1mM〜400mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)の直線勾配100mlで溶出した。画分4mlを捕集し、NKSF活性を試験した。活性の単一ピークが約200mM〜300mMリン酸カリウム間でカラムから現れた。
【0073】
d.ヘパリンセファロースクロマトグラフィー
バイオゲルHTカラムから溶出したNKSF−含有画分を溜め、20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)で透析し、ヘパリンセファロース[ピアース、ロックファード、IL]カラム(1×10cm)に適用した。カラムを20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)の5倍容量で洗浄し、1M NaClを含む同じ緩衝液で溶出した。画分3mlを捕集し、NKSF活性を測定した。本質上活性すべてをヘパリンカラムにより結合し、1M NaCl洗浄液中に回収した。
【0074】
e.モノQクロマトグラフィー
ヘパリンセファロールカラムから溜めた画分を1%エチレングリコールおよび0.1mM PMSFを含み、トゥィーン20を含まない20mMトリス−HCl(緩衝液A)で透析し、YM10膜で撹拌した細胞[アミコン]を使用して2mlに濃縮した。試料をモノQ(5/5)カラム[ファルマシア−FPLC装置]に適用し、緩衝液A(pH6.8)中直線勾配0M〜1M NaClで溶出した。画分0.5mlを捕集し、NKSF活性を試験した。活性は約220mM〜270mM NaClの単一ピークとしてカラムから現れた。
【0075】
f.ゲル濾過クロマトグラフィー
モノQカラムからNKSF活性を含む溜めた画分をスピードバック濃縮機[サバント、ファルミングデール、NY]により100マイクロリットルに濃縮し、FPLCスパローズ12カラムに適用した。クロマトグラフィーを0.15M NaCl、1%エチレングリコールおよび0.1mM PMSFを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)で行った。流速は0.6ml/分であり、画分0.5mlを捕集した。NKSFタンパク質を約37kDタンパク質混合物から分離した。
別法として、溜めたモノ−Q画分を上記の工程(f)より前に逆相HPLC(C8カラム)に入れ、活性70kDタンパク質からタンパク質を分離することができる。
【0076】
実施例3.ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
SDS−PAGEを10%アクリルアミドスラッブゲル(厚さ0.75mm)でラエミリの方法[ラエミリ、U.K.ネイチャー、第227巻、680〜685頁(1970年)]により行った。電気泳動後、ゲルを銀染色剤[バイオラッド]を使用して硝酸銀法で染色するか、2mm薄片にし、4時間24℃で0.5mlのRPMI培地で溶出し、NKSF活性を分析した。見掛け分子量をタンパク質標準、ホスホリパーゼb(94kD)、ウシ血清アルブミン(67kD)、オバルビン(43kD)、カルボニックアンヒドラーゼ(30kD)、大豆トリプシン阻害剤(20kD)、およびラクトアルブミン(14.4kD)で測定した。
【0077】
NKSF活性前に溶出する数種の画分で始め、ついで活性画分を通して適当に行い、NKSF活性ピーク後に溶出する画分で終わるモノQカラム画分(実施例2、工程(e))SDS−PAGE分析(非還元状態)は、2種のタンパク質(70kDおよび37kD)の存在が種々のモノQ画分中NKSF活性の存在と関係することを示した。活性画分を第2の非還元ゲルに再度移し、タンパク質を70kDおよび37kDバンドに対応する領域から溶出し、NKSF活性を試験した。活性すべては、70kD種と関連し、このタンパク質がNKSFであることを示した。
【0078】
70kD種をゲルから溶出し、クロラミンT[シグマ、セント・ルイス、MO]を使用してヨウ素化し、還元剤β−メルカプトエタノール(10%)の存在下2分間煮沸後、第2SDSゲル上で再度行った。
それらの条件下、70kD種を分子量40kDおよび30kDの2種の別のサブユニットに分解し、未変性NKSFはそれらサブユニットポリペプチドのジスルフィド結合ヘテロダイマーであり得ることを示している。あるいは、NKSFはより大きいまたはより小さいサブユニットの多重化により生成したダイマーであり得る。未変性70kD NKSFの還元はその活性のすべてを破壊し、ガンマインターフェロンの末梢血リンパ球製造を誘発すると思われた。
【0079】
実施例4.タンパク質の回収
RPMI8866細胞無含有順化培地の500リットルで開始し、モノQカラムから最後に溜めた活性画分は、同じゲルで同時に分析した対照タンパク質で銀染色の強さにより評価したところタンパク質約10μgを含んでいた。これの約6μgは70kD NKSFタンパク質に相当した。70kD NKSFの推定特異的活性は1×10u/mgである。生成物におけるNKSF活性の全回収率は2%であった。
【0080】
実施例5.NKSFタンパク質組成物
相同NKSFを上記のSDS−PAGE実施例と同様に還元し、トリプシンで分解した。別法として、非還元NKSFを逆相HPLCカラムから得、トリプシンで消化し得る。以下のアミノ酸配列を含む9種のトリプシン断片を分離する:
【表12】

【0081】
更に、NKSFの各ユニットのアミノ酸末端のアミノ酸配列を、実施例3に記載と同様に、還元後、NKSFの分離した40kDおよび30kD種から決定した。40kDサブユニットからのアミノ酸末端配列は、以下のとおりであった:
【表13】

上記アミノ酸末端配列および断片1〜3および7〜9が、上記の第1表に示したより大きいサブユニットのクローンのアミノ酸配列から由来することが判明した。 30kDより小さいサブユニットからのアミノ酸末端配列は以下のとおりであった:
【表14】

断片4、5および6は上記の第2表に記したより低いサブユニットのクローンのアミノ酸配列から由来することが判明した。
【0082】
オリゴヌクリオチドのプールまたは独特のオリゴヌクリオチドからなるプローブは、R.ラス、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー、183(1)巻:1〜12(1985年)の方法で設計する。オリゴヌクレオチドプローブを自動DNA合成機で合成する。
【0083】
遺伝子コードが縮重しているため(1個以上のコドンは同じアミノ酸をコードし得る)、トリプシン断片のアミノ酸配列をコード化するすべての可能なヌクレトチド配列を含むオリゴヌクレオチドの混合物を合成しなければならない。幾つかのコドンが真核性遺伝子にほとんど使用されないために、および真核性コード化配列におけるジヌクレオチドCpGが相対的にまれである[J.トール等、ネーチャー、第312巻、342〜347頁(1984年)]ために、コドン使用を基礎とするプローブ混合物におけるオリゴヌクレオチドの数を減少することは可能であり得る。プローブ設計に使用したアミノ酸配列の領域をもし可能なら高度に縮重したコドンを避けて選択する。オリゴヌクレオチドを自動DNA合成機で合成し、ついでプローブをポリヌクレオチドキナーゼおよび32P−ATPで放射能標識化する。
【0084】
NKSFの小さいサブユニットをコード化するcDNAを、定着している技術(上記で引用のトール等参照)を使用してPdBu誘発8866細胞(ユニバーシティ・ペンシルバニア・セル・センター)からのポリアデニル化RNAから作ったcDNAラリブラリー(ラムダZapで製造;ストラタジークローニングシステム、ラ・ジオラ、CA)をスクリーニングして同定した。スクリーニングを、プローブとして40kDタンパク質をコード化する以前クローン化されたcDNA中に含まれないそれらトリプシンペプチドにより予測された配列を有するオリゴヌクレオチドを使用して行った。このライブラリーからの組換え型をプレートに置き、プレートでつくられたニトロセルロースを複製する。オリゴヌクレオチドを32PガンマATPで切断し、複製をハイブリダイズする。
【0085】
特に、オリゴヌクレオチドの2種のプールをペプチドVal−Met−Ser−Tyr−Leu−Asn−Ala(配列番号:8)に基づいて合成した。17量体の1種のプールの配列はペプチドMet−Ser−Tyr−Leu−Asn−Ala(配列番号:9)から、第2のものはVal−Met−Ser−Tyr−Leu−Asn(配列番号:10)から誘導した。オリゴヌクレオチドの第1のプールにハイブリッドしたクローンを第2プールでハイブリッドした。3M TMACを含む緩衝液中48℃でハイブッリドした。フィルターを連続して3M TMAC、50mMトリスpH8、50℃で洗浄した。[K.A.ジャコブ等、ニュークレイック・アシッズ・リサーチ、第16巻:4637〜4650頁(1988年)、参照]複製共に陽性のものをプラーク精製した。両方のプール、上記のp35nksf9−1−1およびp35nksf14−1−1にハイブリダイズした2種のクローンを同定した。
【0086】
配列およびコンピューターによる翻訳を第2表に示す。40kDサブユニットタンパク質中に発見されなかった精製NKSFのトリプシン消化物において同定したすべてのペプチド配列(下線部)および精製30kDサブユニットのアミノ酸末端配列(下線部)を含む。
【0087】
NKSF40kDサブユニットの完全な長さのcDNAを得るために、8866ポリアデニル化RNAから先に製造したcDNAを上記と同様にλZAPへクローン化した。このライブラリーから200000個の組み換え型をプレートし、複製ニトロセルロースフィルターを製造し、pNK−6内に存在する配列であるランダムにプライムされた32P標識化DNA断片をスクリーニングした。プローブ実験を標準的ストリンジェントハイブリダイゼーションおよび洗浄条件を使用しておこなった。プラークを再プレートし、上記のプローブおよび条件を使用して再プローブし、プラークをクローン分離した。ついで3種の分離物を32P末端標識化オリゴdTプローブ(pd(T)12−18、ファルマシア)でプローブ化した。このハイブリダイゼーションを6XSSC、5Xデンハルズ溶液、およびキャリヤーDNAプラス標識プローブ中室温で行った。3種の分離物中の1種のpNK162はオリゴdTプローブにハイブリダイズし、配列決定した。
【0088】
標準制限消化およびサブクローン化技術を使用して、NKSFクローンpNK−6およびpKN162を転写および翻訳のフレーム内で共にサブクローン化し、COS発現のpXM発現ベクターへ結合した。生じたクローンであるpNK40−4(第1表)は、40kD NKSFサブユニットの完全な長さのcDNAを含むと思われる。
【0089】
実施例6.組み換え型ヒトNKSFの発現
NKSFを製造するために、そのサブユニットをコード化するDNAを、標準分子生物学技術により、多くのタイプが哺乳類、昆虫、酵母、真菌、および細菌の発現について公知である適当な発現ベクターに移送する。哺乳類細胞のそのようなベクターの1種は、pXM[Y.C.ヤン等、セル、47:3ー10頁(1986年)]である。このベクターは、哺乳類の細胞中で所望のcDNAの高濃度発現をもたらすに適当な関係で、SN40複製開始点およびエンハンサー、アデノウイルス主遅滞プロモーター、アデノウイルストリパルタイトリーダー配列のcDNAコピー、小ハイブリッド介在配列、SV40ポリアデニル化シグナルおよびアデノウイルスVAI遺伝子を含む[参照、例えば、コフマン、プロシーディング・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・ユエスエー、82巻:689〜693頁(1985年)]。pXMベクターをエンドヌクレアーゼ酵素XhoIで直線化し、ついでNKSFの各サブユニットの発現用構築物を生成すためにXhoI相補的末端を生成する合成オリゴヌクレオチド[コラボラティブ・リサーチ、レキシントン、MA]を加えて前もって修飾したNKSFサブユニットをコード化するcDNAに別々に当量を結合する。
【0090】
哺乳類発現用のもう1つのベクターpEMC3(1)を下記のようにpEMC2BIベクターの単純な修飾により生成し得る。pEMC3(1)は、ポリリンカー領域中の3種の制限部位SmaI、SalI、XbaIによりpEMC2BIと異なる。pEMC3(1)を生成するために、これら3種の制限部位を常法によりpEMC2B1のPstIとEcoRI制限部位の間に挿入した。
【0091】
pEMC2B1は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)、ロックビル、メリーランド(アメリカ合衆国)に、受託番号ATCC40348で寄託されているpMCT2pcから誘導し得る。DNAはPstIによる消化により、直線化される。DNAはそれからTDNAポリメラ−ゼを用いて鈍端にする。オリゴヌクレオチド
【表15】

を、次にDNA中にライゲートして、5’末端にPstI部位を再生し、EcoRI部位およびXholI部位をDHFRcDNAのATGの前に加える。このプラスミドはpMT21と呼ばれる。pMT21は、EcoRIおよびXholIで切断し、これはプラスミドを2カ所の隣接クローニング部位で開裂する。508塩基対のEMCV断片が制限酵素EcoRIおよびTaqαIによりpMTECATから切断された(エス・ケー・ジョングら、ジャーナル・オブ・ビロロジー、63巻、1651−1660頁(1989年))。68ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチド一対はEMCV配列をATGまで複製することにより合成される。ATGはATTへ変え、Cを加え、3’末端にXhoI部位を作る。TaqαI部位は5’末端に位置させる。このオリゴヌクレオチドの配列は:
【表16】

およびその相補鎖である。
【0092】
pMT21 EcoRIからXhoI断片の、EMCV EcoRIからTaqαI断片へおよびTaqαI/XhoIオリゴヌクレオチドへのライゲーションはベクターpEMC2B1を生成する。このベクターはSV40の複製開始点およびエンハンサー、アデノウィルス主要遅延プロモーター、アデノウィルス3分節リーダー配列の大部分のcDNAコピー、小ハイブリッド介在配列、SV40ポリアデニル化信号およびアデノウィルスVA I遺伝子、DHFRおよびβ−ラクタマーゼマーカー類およびEMC配列を哺乳類細胞の目的cDNAの高レベルの発現の指令に適当な関係で含む。
これら2つの異なったcDNA類は同時に同じ宿主に、または独立して別の宿主に発現する。後者の場合、サブユニットが別々に精製され、最終活性NKSFは個々のサブユニットの再生により組立てられる。
【0093】
a.哺乳類細胞発現
下記の測定に使用するためのNKSF蛋白の発現を得るために、40kDおよび30kD(小形種)サブユニット類のためのcDNA類を含む構築物を哺乳類発現ベクターpEMC3(1)に別々にクローニングし、COS細胞にリン酸カルシウム共沈および形質導入により一緒に挿入する。約80kD(非還元)および40kDおよび30kD(還元)35Sメチオニン標識蛋白(4時間パルス、形質導入後2日)がCOS共同形質導入物順化培地のPAGEゲルに存在するが、陰性対照形質導入物には存在しない。COS同時形質導入物から形質導入後48時間で回収した調整培地は、ガンマインターフェロン(IFNγ)分析測定で活性である(実施例7a参照)。
【0094】
活性が8866調整培地から精製されたものと全く同一であるという更なる証拠は、IFNγ導入分析においてIL2と相乗作用すること、NKSF重鎖に対するポリクローナルウサギ抗血清(1:100希釈)が共同形質導入体中およびRPMI8861調整培地での活性を阻害することの観察からきている。抗血清はNKSF重鎖cDNAで形質導入(pEMC 3(1)中にクローニング)したCOS細胞からの調整培地から精製されたNKSF重鎖で免疫したウサギで産生する。
【0095】
pNK40−4プラスミドを別々にCOS細胞に形質導入した場合、上清を回収し測定し、それから細胞を35Sシステインで短時間標識した。標識蛋白は標準還元および非還元条件下11%アクリルアミドゲル上を流した。pNK40−4でのこの形質転換からの非標識上清は、実施例8記載の通り行ったガンマインターフェロン導入分析および殺細胞活性分析に対して不活性であった。
【0096】
本明細書に記載の哺乳類細胞発現ベクターは当分野の技術者に既知の技術で合成し得る。ベクターの要素、例えばレプリコン、選択遺伝子、エンハンサー、プロモーター、およびその他は既知の方法で天然源または合成により得られる。カウフマンら、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー、159巻、511−521頁(1982年)、およびカウフマン、プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・ユーエスエー、82巻、689−693頁(1985年)参照。代表的な哺乳類宿主細胞は、特に形質転換細胞系を含む霊長類細胞系および齧歯類細胞系である。通常のディプロイド細胞、初期組織のイン・ビトロ培養由来の細胞株および初期体外移植片もまた適当である。候補細胞は、分泌遺伝子が優性に作用する限り分泌遺伝子の遺伝子型的欠損を必要としない。両方とも既知の方法によるベクターDNA類安定な統合、および統合ベクターDNA類のその後の増幅のためにCHO細胞が用いられ得る。あるいは、ベクターDNAはウシ乳頭腫ウィルスゲノムの全部または一部を含み得(ルスキーら、セル、36巻、391−401頁(1984年))、安定エピゾーム因子としてC127マウス細胞のような細胞系に導入される。他の適当な哺乳類細胞系はHeLa、COS−1サル細胞、マウスL−929細胞、スイス人由来3T3系、Balb−cまたはNIHマウス、BHKまたはHaKハムスター細胞系が含まれるが限定はされない。
【0097】
2個のサブユニットが哺乳類での同時発現を必要とする場合、2種のcDNAを異なった選択遺伝子またはマーカーを用いて細胞内へ導入し得る。下の実施例7に記載のように、これはジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子を1つのマーカーとして、アデノシンデアミナーゼ(ADA)を他のマーカーとして使用してCHO細胞中へ容易に行われる。独立して哺乳類細胞系に選択される2つの遺伝子のいかなる組み合わせも本方法に使用できる。例えば、CHO細胞系を独立してADA選択下1つのサブユニットの発現のために開発し、異なった細胞系をDHFR選択下他のサブユニット発現のために開発する。細胞系は2種の選択下ポリエチレングリコール中で融合し、両方のサブユニットを発現する安定系を産生する。あるいは、DNA類を同時にまたは連続的に同じ細胞へ導入し、それにより活性NKSFを発現する系を産生する。
【0098】
単一の選択可能マーカーで両方のサブユニットをコードする多シストロンベクターが、両方のサブユニットが1個の選択薬で同時増幅される細胞を産生し得ることもまた可能である。加えて、この効果は細胞への別個のベクターの同時の単純なコトランスフェクションによりなしとげ得る。
【0099】
安定な形質導入体は、次に標準免疫学的、生物学的または酵素分析により発現産物についてスクリーニングする。NKSFポリポプチドをコードするDNAおよびmRNAの存在は、サザン・ブロット法およびRNAブロット法などの標準的な方法で検出し得る。ポリペプチフドをコードするDNAのCOS−1サル細胞のような適当な宿主細胞への発現ベクターDNAの導入後数日間の一過性の発現は培養培地中の蛋白の活性または免疫学的測定の選択なしに測定し得る。
【0100】
当分野の技術者はpEMC3(1)ベクターに相当する他の哺乳類発現ベクター類を、例えばそれぞれのプラスミドからのNKSFサブユニットDNA配列を適当な酵素で挿入して、および周知の組み替え遺伝子工学技術、および他のpXM、pJL3およびpJL4(ゴーホら、エンボ・ジャーナル、4巻、645−653頁(1985年))およびpMT2(pMT2−VWFで開始し、ATCC#67122;PCT出願第PCT/US87/00033号参照)のような既知ベクターを用いて構築し得る。両方のNKSFサブユニット(別々のベクターまたは同一のベクターいずれも)をもつこれらのベクターの適当な宿主細胞への形質導入は、NKSFポリペプチド発現をもたらす。
【0101】
b.細菌発現系
同様に、当分野の技術者はNKSFサブユニットをコードする配列を、コード配列に隣接する哺乳類調節配列がある場合これを除去しおよび細菌調節配列を挿入して、本発明のNKSFサブユニットの細菌細胞による細胞内または細胞外発現のための細菌ベクターを作ることにより操作できる。NKSF蛋白をコードするDNAは当分野で既知のように、さらに細菌の発現を能率よくするために異なったコドンを含むように修飾し得る。好ましくは、成熟NKSFサブユニットをコードする配列はまた当分野で既知の方法で、成熟NKSFポリペプチドの細菌発現、分泌および加工を可能にする分泌性リーダーポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に機能可能に枠内で連結する。このような分泌系を用いたエシェリキア・コリでの両方のNKSFサブユニットの同時発現は活性ヘテロダイマーの分泌をもたらす。この方法は活性キメラ抗体断片を産生する(例えばビターら、サイエンス、240巻、1041−1043頁(1988年)参照)。
あるいは、既知の方法で細胞内発現の為のベクターを使用して個々のサブユニットをエシェリキア・コリの2つの異なったcDNAから別々に成熟形として発現させ、サブユニットを別々に単離し、混合し、再び折りたたむ。例えば米国特許第4512922号参照。いずれの経路で細菌宿主細胞内に発現された組成物も次に、すべて既知の方法で、回収し、精製しおよび/または物理学的、生物学的および/または臨床パラメーターにより確認される。
【0102】
c.昆虫または酵母細胞発現
昆虫細胞でNKSFポリペプチドを発現する昆虫ベクターの構築物についても同様の操作が可能である(例えばヨーロッパ特許出願第155476号公報に記載の方法参照)。もしNKSFサブユニットが1個のcDNA由来であれば、このcDNAは昆虫細胞で発現するであろう。あるいは、もしNKSFサブユニットが2個の異なったcDNA類由来の場合、それぞれのサブユニットを別々に昆虫細胞ベクターに挿入し、得られた2個のベクターを生物学的に活性なNKSFを発現するために昆虫細胞へ挿入する。
【0103】
同様に酵母ベクターは酵母調整配列を用いてそれぞれ個々のNKSFを同時に、またはもし蛋白が1個の前駆体由来であれば、その前駆体をコードするcDNAを、酵母細胞中で発現するように構築して細胞外分泌活性NKSFヘテロダイマーを産生する。あるいは個々のサブユニットを酵母において細胞内発現し、個々のポリペプチドを単離し、最後に折りたたみ活性NKSDを産生させ得る。(例えばPCT出願第WO86/00639号およびヨーロッパ特許出願第EP123289号参照。)
【0104】
実施例7.NKSFを高レベルで産生するCHO細胞系の構築
哺乳類細胞から高レベルの本発明のNKSF蛋白を産生する1つの方法は個々のNKSFサブユニットをコードする2個のcDNAの多くのコピーを含む細胞の構築に関する。
【0105】
2つのNKSFポリペプチドがそれぞれ別のmRNA類に由来するため、それぞれの対応するcDNAは同時にCHO細胞に発現しなければならない。2つの異なった選択マーカー、例えばDHFRおよびADAが用いられ得る。cDNAのうち一方は例えばベクターpEMC3(1)を用いてDHFR系を使用して発現し(カウフマンおよびシャープ、シャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー、(1982年)前掲)、第1のNKSFサブユニットおよびDHFRを発現する。第2のサブユニットは第2のベクター、例えばpMT3SV2ADA(アール・ジェー・カウルマン、メソッズ・オブ・エンザイムノロジー、185巻、537−566頁(1990年))を用いて発現する。プラスミドpMT3SV2ADAはまた哺乳類細胞でADAの発現を司る。1つのサブユニットを含む第1のベクター構築物はDHFR−欠損CHODUKX−BII細胞に形質転換する。第2のサブユニットを含む第2のベクター構築物は第2のCHO細胞系に形質転換する。形質転換細胞はDHFRマーカーとして約5nMで開始し適当な段階で100μMまでメトトレキセートの濃度を増加させるか、または2’−デオキシコフォマイシン(dCF)をADAマーカーとして100nMから適当な段階で10μMまで増加させたときの成育で選択する。個々のcDNAの発現(第1の細胞系でDHFR選択下第1のサブユニットおよび第2目の細胞系でADA選択下第2のサブユニット)は転写の試験のためにmRNAブロットおよび蛋白産生の試験のために免疫測定を組み合わせて測定する。ADA選択下のサブユニットを発現する細胞およびDHFR選択下の他方サブユニットを発現する細胞は、当分野で確立された方法によりポリエチレングリコール中で、dCFおよびMTXの両方に耐性で、両方のサブユニットを産生して生物学的に活性なNKSFを産生する1つの細胞系を産生するために融合する。
【0106】
他の存在する好ましい発現の方法は両方のサブユニットを発現する1つの細胞系の開発を基礎とする。例えば上記の最初のベクターの様な1つのサブユニットを含む最初のベクターは選択CHO細胞系に形質導入され、サブユニットの発現は上記の薬選択下に増幅する。その後、他のサブユニットを含む第2のベクターを既に増幅された第1のベクターを含む細胞系に形質導入する。他のサブユニットを発現するcDNA、例えば上記の第2のベクターは第2の薬選択下で導入し得る。第2のベクターは次に同様の方法で増幅し、両方のサブユニットを同時に発現する細胞系が得られる。(例えば、DHFR遺伝子に結合した第1の遺伝子およびADA遺伝子に結合した第2の遺伝子を個々に増幅する代表的記載例はPCT国際出願第WO88/08035号参照。)
【0107】
他の方法では、2つのベクター構築物、例えば第1のサブユニットおよびDHFR遺伝子を含む第1のpEMC3(1)および第2のサブユニットおよびDHFR遺伝子を含む第2のpEMC3(1)構築物を設計し得る。両方のNKSFサブユニットを発現する2つのpEMC3(1)構築物を混合しそして混合物をCHO細胞へ形質導入し得る。細胞は次にMTX中で上記のように増幅し、両方のサブユニットを産生する細胞系を得る。あるいは、2つの薬選択マーカーがこの方法で用いられ、両方の薬の結合選択分泌が使用され得、形質転換体のNKSF活性が直接試験され、ヘテロダイマーを発現する細胞系が得られる。
【0108】
更に別の方法では、両サブユニットおよび1つの薬選択マーカーをコードする他のシストロンベクターの開発である。このベクターの形質導入およびその増幅がさらに急速に高発現細胞系を作る可能性がある。
【0109】
上記のいずれの発現系も、得られた細胞系は更に適当な薬選択により増幅でき、得られた細胞系は再びクローニングし得、発現の評価は本明細書で述べたガンマインターフェロン分析により行うことができる。
【0110】
実施例8.ヒトNKSFの生物学的活性
以下の測定は実施例2記載の均質NKSFまたは部分精製変形NKSFのいずれかを使用して行った。分子の組み合え変形はNKSF生物学的特性を、これらの同じ測定または別の測定で示すと予期される。
【0111】
新鮮ヒト末梢血単核細胞(PBMC)またはフィトヘマグルチニン(PHA)−誘導芽細胞をNKSFと共に培養した場合、上清に有意なガンマインターフェロンの量を検出する。更に、NKSFはIL−2、ジブタン酸フォルボール(PdBu)およびPHAと、ガンマインターフェロン誘導において相乗作用がある。ノーザンブッロト測定は、NKSF単独または他の因子との組合せでガンマインターフェロンmRNAの蓄積を増加させることを示す。ガンマインターフェロンメッセージは精製TおよびNK集団の両方で発見された。蛋白合成阻害剤、シクロヘキシミド(CHX)との予備インキュベーションはNKSFによる刺激の後ガンマインターフェロンmRNAの超誘導を導く。HLA−DR(+)補助細胞はTおよびNK細胞がガンマインターフェロンを産生するのに必要である。ガンマインターフェロンmRNAの誘導はPHA芽細胞のNKSFで処理後1時間の早さですでに検出できる。測定の詳細は以下に述べる。
【0112】
a.ガンマインターフェロン誘導測定
NKSF活性はヒト末梢血リンパ球(PBLs)のガンマインターフェロン(ガンマ−IFN)発現の誘導により測定された。測定では、10%熱不活性FCSを加えたRPMI1640培養培地に懸濁した100μlのヒトPBLs(10細胞/ml)を100μlの試験をするサンプルにマイクロタイタープレート(U底、98−ウェル、コスター、ケンブリッジ、エムエー)中で加え、18時間37℃、5%COでインキュベーションする。試験するサンプルは純粋NKSF、フォルボールジエステル48時間刺激RPMI8866細胞の透析した細胞非存在上清および組換えIL−2(ジェネティクス・インスティテュート・インコーポレイテッド、PCT出願第WO85/05124号)を含む。インキュベーションの後、100μlの細胞非存在上清をそれぞれのウェルから回収し、ガンマ−IFN産生レベルを放射免疫測定で測定した(デントコール・ガンマ・インターフェロン・ラジオイムノアッセイ、セントコール、マルベルン、ピーエー)。1ml当たりのNKSFの単位は、NKSFの最適濃度の存在下の最大ガンマ−IFN産生の半分を産生するのに必要な濃度である。
【0113】
それぞれのウェルのガンマ−IFN産生量と培養液のNKSF量の間には明確な直線関係がある。
【0114】
ガンマ−IFNに加えて、NKSFはTおよびNK細胞をGM−CSFおよび腫瘍壊死因子を産生するために誘導する。これらのサイトカイン類の測定は、上記のように行い、上清は特異的生物学的測定または放射免疫測定によりサイトカイン類の存在を測定する(クツリら、ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディスン、165巻、1581−1594頁(1987年))。あるいはサイトカイン遺伝子の誘導はNKSFで処理したリンパ球中の3種のサイトカイン類のmRNA転写の蓄積の評価により測定する。リンパ球はNKSFと共に4から18時間培養し、RNAは確立した方法で抽出し、アガロースゲル電気泳動により画分化し、ニトロセルロースで吸着し、IFN−ガンマ、GM−CSF、または腫瘍壊死因子遺伝子用32P標識cDNAプローブでハイブリダイズする(ノーザン・ブロッティング)。ハイブリッド形成の程度はオートラジオグラフィーおよびデンシトメトリー測定する。
【0115】
NKSFは精製ヒトNK細胞由来のIFN−ガンマおよびTNFの産生を誘導する。上記工程(a)のガンマインターフェロン誘導下に記載のように測定した場合、NK細胞は種々の標的細胞を2つの機構で融解することができる。1つの機構は特異的刺激不存在下の、リンパ血病および固形癌由来細胞系、ウィルス感染細胞、および、ある場合には、正常細胞系を含む種々の標的細胞の自然融解である。第2の機構はADCCである。予備的証拠は、NKSFが、NK細胞のFc受容体に結合可能なFc部分をもつIgG抗体で覆われた標的細胞を更に効果的に融解するNK細胞の能力を増加させ得ることを示す。
【0116】
b.NK分析
NK細胞のNKSFによる自然殺細胞活性の増加を測定するために、PBLsまたは精製NK細胞(5×10細胞/ml)を18時間RPMI1640、10%熱不活性FCS中で、種々の希釈NKSFの存在下インキュベーションする。PBLsは次に洗浄し、PBL−標的細胞比1:1から100:1で、10
51Cr−標識標的細胞にU底マイクロタイタープレート中で加える(最終量200μl)。4時間後、プレートを遠心し、細胞非存在上清を回収し、標的細胞の融解は細胞からの51Cr標識遊離により評価する。NKSFは以下の標的細胞に対して測定した場合、NK細胞の細胞毒性を数倍上昇させた:悪性造血細胞系(即ち、K562、ダウジ、U937、HL−60、ML3、モルト4、ジューカット、THP−1)、固型腫瘍由来細胞系(横紋筋肉腫、メラノーマ)および正常包皮由来繊維芽細胞系。NKSFによるNK細胞媒介細胞毒性の増加はNKSFで処理したPBLにより産生されるINF−ガンマ、腫瘍壊死因子、またはIL−2産生による2時的なものではない。細胞毒性測定、NK細胞精製およびサイトカイン類によるNK細胞媒介促進の上昇の定量的評価の方法はジー・トリンシェリら、ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディスン、147巻、1314頁(1978年);ジー・トリンシェリら、ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディスン、160巻、1147頁(1984年);およびビー・ペルシャら、ナチュラル・イムニティー・アンド・セル・グロース・レギュレーション、6巻、171−188頁(1987年)に詳細に記載されている。
【0117】
c.ADCC測定
標準抗体依存細胞媒介細胞毒性測定において、予備的結果は、本発明の部分精製NKSFがNK細胞の抗体で包まれた腫瘍標的細胞の殺傷を用量依存的に増加させることを示す。NK細胞のFc受容体に結合する抗体の能力のため、NK細胞のADCC反応はNKSFを添加することにより増加した。
【0118】
d.NKSFの共同マイトジェン効果
PBLs(0.5×10/ml)を200μlの10%熱不活性ヒトAB血清を加えたRPMI1640培地で培養する。3および6日後、PBLsはH−チミジンでパルスし、DNA合成(増殖)はスカルトロン細胞回収機を使用して細胞をグラスフィルター上に回収し、細胞関連H−チミジンをパッカード・トリカーブ・ベータ測定器を使用した液体シンチレーションで測定し、細胞内のH−チミジン取込みにより評価する。NKSFはPBL増殖にはそれ自身殆ど影響しないが、フィトヘマグルチニン(PHA−M ウェルカム、1:100)と一緒に培養6日で、およびフォルボールジエステル(TPAまたはPDBu、それぞれ10−8または10−7)と一緒に3日および6日で強い共同マイトジェン効果を示す。細胞周期分析はフローサイトメトリー(サイトフルオログラフ 50H、オルトダイアゴニスティクス)でロンドンら、ジャーナル・オブ・イムノロジー、137巻、3845頁(1986年)に従ってDNA染色と免疫蛍光染色を組み合わせて行った。この分析はNKSFの共同マイトジェン効果に影響を受けるPBLsがCD4またはCD8のいずれかが陽性のT細胞であることを示す。
【0119】
e.GM−CSF誘導測定
ヒトPBLsの培養液中でのGM−CSF発現誘導を測定した。この測定では、10%熱不活性FCS添加RPMI1640培養培地に懸濁した100μlのヒトPBLs(10細胞/ml)をマイクロプレート(U−底、96ウェル、コスター、ケンブリッジ、エムエー)中の試験サンプル100μlに添加し、18時間37℃、5%COでインキュベーションした。インキュベーションの後、100μlの細胞非存在上清をそれぞれのウェルから回収し、GM−CSF産生のレベルを酵素結合免疫吸着測定(ELISA)で、異なるエピトープを認識するヒトGM−CSFに対する2種のマウスモノクローナル抗体(3/8.20.5および2/3.1、ジェネティクス・インスティテュート・インコーポレイテッド販売)を使用して行った。組換えヒトGM−CSF(ジェネティクス・インスティテュート・インコーポレイテッド)を標準として用いた場合、本測定の測定限界は50pg/mlであった。
【0120】
本発明の実行に際し多数の修飾および変形がこの分野の技術者によって行われることが期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト末梢血リンパ球(PBL)におけるガンマインターフェロンのインビトロ産生を誘導する能力があり、次のアミノ酸配列のいずれか1つを含むタンパク質:
(a)次表AおよびBに示したアミノ酸配列を含むアミノ酸配列:
表A(配列番号:5)
【表1】

表B(配列番号:6)
【表2】

および
(b)(a)に示したアミノ酸配列の1〜数個のアミノ酸が欠失、挿入および/または置換したアミノ酸配列。
【請求項2】
ヒト末梢血リンパ球(PBL)におけるガンマインターフェロンのインビトロ産生を誘導する能力があり、次のDNA配列のいずれか1つによってコードされるタンパク質:
(a)次表CおよびDに示したヌクレオチド配列を含むDNA配列:
表C(配列番号:1)
【表3】

【表4】

表D(配列番号:7)
【表5】

および
(b)(a)に示したDNA配列に相補的なヌクレオチド配列を含むDNA配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA配列。
【請求項3】
発現制御配列と機能的に結合するナチュラルキラー刺激因子(NKSF)またはそのサブユニット発現コード化DNA配列で形質転換した細胞系を培養することを含むNKSFまたはそのサブユニットを製造する方法。
【請求項4】
上記DNA配列が表1と同じまたは実質的に同じ配列、またはその断片を含む請求項3記載の方法。
【請求項5】
上記DNA配列が表2と同じまたは実質的に同じ配列、またはその断片を含む請求項3記載の方法。
【請求項6】
配列が
(a)表1の配列;
(b)表2の配列;
(c)それらの断片;
(d)それらとハイブリダイズできる配列
からなる群から選択された配列と同じまたは実質的に同じヌクレオチド塩基の配列を含むNKSFまたはそのサブユニットをコードするDNA配列。
【請求項7】
発現制御配列と機能的に結合する請求項6記載のDNA配列で形質転換した細胞。
【請求項8】
薬理学的に有効な溶媒中にNKSFまたはそのユニットを治療上有効な量で含む医薬組成物。
【請求項9】
請求項6記載のDNA配列を含むプラスミド。
【請求項10】
患者に有効量のNKSFまたはそのサブユニットを投与することを含む癌の処置法。
【請求項11】
患者に有効量のNKSFまたはそのサブユニットを投与することを含む感染症の処置法。

【公開番号】特開2009−178164(P2009−178164A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104301(P2009−104301)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【分割の表示】特願2007−173878(P2007−173878)の分割
【原出願日】平成3年9月4日(1991.9.4)
【出願人】(501418214)ジェネティクス インスティテュート,エルエルシー (35)
【出願人】(594096852)ザ・ウイスター・インスティテュート (2)
【氏名又は名称原語表記】THE WISTAR INSTITUTE
【Fターム(参考)】