説明

ナノインプリント装置およびナノインプリント方法、並びに、歪み付与デバイスおよび歪み付与方法

【課題】ナノインプリントにおいて、インプリント部材の剛性によらず、いかなるインプリント部材を使用しても、モールドの凹凸パターンをその中央部分からレジストに接触させることを可能とする。
【解決手段】ナノインプリント装置10において、インプリント部材1が所定の撓み状態を維持するように、インプリント部材1に外力を作用させてそのインプリント部材1に永久歪みを付与する歪み付与デバイス20と、歪み付与デバイス20によって永久歪みが付与されたインプリント部材1を使用して、モールド1の凹凸パターン2を基板6上に配置されたレジスト7に押し付けて、レジスト7に上記凹凸パターン2を転写するインプリントユニット40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の凹凸パターンを表面に有するモールドを用いてナノインプリントを行うナノインプリント装置およびそれを用いたナノインプリント方法、並びに、それらに用いられる歪み付与デバイスおよび歪み付与方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナノインプリントは、光ディスク製作では良く知られているエンボス技術を発展させ、凹凸パターンを形成した型(一般的にモールド、スタンパ、テンプレートとも呼ばれる)を被加工基板上に塗布されたレジストに押し付け、レジストを力学的に変形または流動させて微細パターンを精密に転写する技術である。モールドを一度作製すれば、ナノレベルの微細構造を簡単に繰り返して成型できるため経済的であるとともに、有害な廃棄物および排出物が少ない転写技術であるため、近年、さまざまな分野へも応用が期待されている。
【0003】
ナノインプリントにおいては、モールドをレジストに押し付けた時に、凹凸パターンの凹部に的確にレジストを充填させることが重要である。凹部に残留気体が残ってしまうと、その部分はそのままレジストパターンの欠陥となるためである。
【0004】
そこで、例えば特許文献1および2には、例えば図7のように、凹凸パターンが形成された表面側にモールド90が凸形状に撓むように、保持部材91で保持しかつポンプ92で吸引しながら、モールド90を基板93上のレジスト94に押し付ける方法が開示されている。このようにモールド90の中央部分を凸形状に変形させながらインプリントを行えば、当該中央部分から順次レジストに密着することになる。この結果、当該中央部分から外周に向かって気体を押し出しながらモールドとレジストが密着するため、残留気体の発生を抑制することができる。
【0005】
また、インプリント用の基板を撓ませても同様な効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−305895号公報
【特許文献2】特表2009−518207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のようなインプリント部材(モールドおよびインプリント用の基板を言う)は、例えば雰囲気の圧力等、周囲の条件が変化した場合に、その寸法が変化してしまう場合もある。したがって、そのような寸法の変化を抑制する必要がある場合には、剛性の高いインプリント部材が使用される。
【0008】
しかしながら、特許文献1および2のような方法では、インプリント部材の剛性が高い場合にはインプリント部材を充分に変形させることができないという問題がある。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、ナノインプリントにおいて、インプリント部材の剛性によらず、いかなるインプリント部材を使用しても、モールドの凹凸パターンをその中央部分からレジストに接触させることを可能とするナノインプリント装置およびナノインプリント方法、並びに、歪み付与デバイスおよび歪み付与方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係るナノインプリント装置は、
微細な凹凸パターンが一方の表面に形成されたモールドおよび一方の表面にレジストが配置されるインプリント用の基板のうちいずれかのインプリント部材が、所定の撓み状態を維持するように、インプリント部材に外力を作用させてそのインプリント部材に永久歪みを付与する歪み付与デバイスと、
歪み付与デバイスによって永久歪みが付与されたインプリント部材を使用して、モールドの凹凸パターンを基板上に配置されたレジストに押し付けて、レジストに上記凹凸パターンを転写するインプリントユニットとを備えることを特徴とするものである。
【0011】
本明細書において、「インプリント部材」はモールドおよびインプリント用の基板の総称とする。
【0012】
「永久歪み」とは、材料に外力を加え、その外力を取り去った後もその材料に残る歪みを意味する。
【0013】
そして、本発明に係るナノインプリント装置において、歪み付与デバイスは、開口部を有する筺体であって、上記一方の表面を筺体の内部へ向けてインプリント部材が開口部に設置されたときにその一方の表面上に隔室を形成する筺体と、隔室内の減圧または加圧を行う圧力制御部とを有するものであることが好ましい。
【0014】
インプリント部材の「一方の表面」とは、インプリント部材がモールドである場合には凹凸パターンが形成された側の表面を意味し、インプリント部材が基板である場合にはレジストが配置されるべき側の表面を意味する。
【0015】
また、本発明に係るナノインプリント装置において、歪み付与デバイスは、隔室内を加熱する加熱部を有するものであることが好ましい。
【0016】
また、本発明に係るナノインプリント装置において、歪み付与デバイスは、隔室内に離型剤を供給する離型剤供給部を有するものであることが好ましい。
【0017】
また、本発明に係るナノインプリント装置において、歪み付与デバイスは、隔室内の湿度を制御する湿度制御部を有するものであることが好ましい。
【0018】
或いは、本発明に係るナノインプリント装置において、歪み付与デバイスは、インプリント部材の外縁を支持する支持部材と、インプリント部材が支持部材によって支持された状態でインプリント部材の他方の表面を押圧する押圧部材とを有するものであることが好ましい。
【0019】
インプリント部材の「他方の表面」とは、インプリント部材がモールドである場合には凹凸パターンが形成された側の表面の反対側の表面を意味し、インプリント部材が基板である場合にはレジストが配置されるべき側の表面の反対側の表面を意味する。
【0020】
本発明に係るナノインプリント方法は、永久歪みが付与されたインプリント部材を使用して、モールドの凹凸パターンを基板上に配置されたレジストに押し付けて、レジストに上記凹凸パターンを転写することを特徴とするものである。
【0021】
本発明に係る第1の歪み付与デバイスは、
微細な凹凸パターンが一方の表面に形成されたモールドおよび一方の表面にレジストが配置されるインプリント用の基板のうちいずれかのインプリント部材が、所定の撓み状態を維持するように、インプリント部材に外力を作用させてそのインプリント部材に永久歪みを付与する歪み付与デバイスであって、
開口部を有する筺体であって、上記一方の表面を筺体の内部へ向けてインプリント部材が開口部に設置されたときにその一方の表面上に隔室を形成する筺体と、
隔室内の減圧または加圧を行う圧力制御部とを備えることを特徴とするものである。
【0022】
本発明に係る第2の歪み付与デバイスは、
微細な凹凸パターンが一方の表面に形成されたモールドおよび一方の表面にレジストが配置されるインプリント用の基板のうちいずれかのインプリント部材が、所定の撓み状態を維持するように、インプリント部材に外力を作用させてそのインプリント部材に永久歪みを付与する歪み付与デバイスであって、
インプリント部材の外縁を支持する支持部材と、
インプリント部材が支持部材によって支持された状態でインプリント部材の他方の表面を押圧する押圧部材とを備えることを特徴とするものである。
【0023】
本発明に係る第1の歪み付与方法は、
微細な凹凸パターンが一方の表面に形成されたモールドおよび一方の表面にレジストが配置されるインプリント用の基板のうちいずれかのインプリント部材が、所定の撓み状態を維持するように、インプリント部材に外力を作用させてそのインプリント部材に永久歪みを付与する歪み付与方法であって、
上記第1の歪み付与デバイスを使用して、
一方の表面を筺体の内部へ向けてインプリント部材を筺体の開口部に設置し、
圧力制御部により隔室内の減圧または加圧を行うことを特徴とするものである。
【0024】
そして、本発明に係る第1の歪み付与方法において、上記第1の歪み付与デバイスは、隔室内に離型剤を供給する離型剤供給部を有するものであり、圧力制御部により隔室内の減圧または加圧を行うとともに、離型剤供給部により隔室内に離型剤を供給することが好ましい。
【0025】
本発明に係る第2の歪み付与方法は、
微細な凹凸パターンが一方の表面に形成されたモールドおよび一方の表面にレジストが配置されるインプリント用の基板のうちいずれかのインプリント部材が、所定の撓み状態を維持するように、インプリント部材に外力を作用させてそのインプリント部材に永久歪みを付与する歪み付与方法であって、
上記第2の歪み付与デバイスを使用して、
支持部材によりインプリント部材の外縁を支持し、
押圧部材により、インプリント部材が支持された状態でインプリント部材の他方の表面を押圧することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るナノインプリント装置およびナノインプリント方法は、歪み付与デバイスによって永久歪みが付与されたインプリント部材を使用して、モールドの凹凸パターンをインプリント用の基板上に配置されたレジストに押し付けて、レジストに上記凹凸パターンを転写することを特徴とする。この歪み付与デバイスによれば、インプリント部材を変形させるのに必要な外力を充分に作用させることができ、インプリント部材の剛性によらず、その中央部分が凸形状となるような永久歪みをインプリント部材に付与することができる。この結果、ナノインプリントにおいて、インプリント部材の剛性によらず、いかなるインプリント部材を使用しても、モールドの凹凸パターンをその中央部分からレジストに接触させることが可能となる。
【0027】
また、本発明に係る第1の歪み付与デバイスおよび第1の歪み付与方法は、一方の表面を筺体の内部へ向けてインプリント部材を筺体の開口部に設置し、圧力制御部により隔室内の減圧または加圧を行うことを特徴とするものである。この歪み付与デバイスによれば、インプリント部材を変形させるのに必要な外力を充分に作用させることができ、インプリント部材の剛性によらず、その中央部分が凸形状となるような永久歪みをインプリント部材に付与することができる。この結果、ナノインプリントにおいて、インプリント部材の剛性によらず、いかなるインプリント部材を使用しても、モールドの凹凸パターンをその中央部分からレジストに接触させることが可能となる。
【0028】
また、本発明に係る第2の歪み付与デバイスおよび第2の歪み付与方法は、支持部材によりインプリント部材の外縁を支持し、押圧部材により、インプリント部材が支持された状態でインプリント部材の他方の表面を押圧することを特徴とするものである。この歪み付与デバイスによれば、インプリント部材を変形させるのに必要な外力を充分に作用させることができ、インプリント部材の剛性によらず、その中央部分が凸形状となるような永久歪みをインプリント部材に付与することができる。この結果、ナノインプリントにおいて、インプリント部材の剛性によらず、いかなるインプリント部材を使用しても、モールドの凹凸パターンをその中央部分からレジストに接触させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態のナノインプリント装置の構成を概略的に示す平面図である。
【図2】実施形態の歪み付与デバイスの構成を概略的に示す切断部端面図である。
【図3】モールドの変形量と外力との関係を概略的に示すグラフである。
【図4】他の歪み付与デバイスの構成を概略的に示す切断部端面図である。
【図5】実施形態のインプリントユニットの構成を概略的に示す切断部端面図である。
【図6】インプリント装置を用いたインプリント工程の手順を示すフローチャート図である。
【図7】従来のインプリントユニットの構成を概略的に示す切断部端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明するが、本発明はこれに限られるものではない。なお、視認しやすくするため、図面中の各構成要素の縮尺等は実際のものとは適宜異ならせてある。
【0031】
図1は、実施形態のナノインプリント装置の構成を概略的に示す平面図である。図2は、実施形態の歪み付与デバイスの構成を概略的に示す切断部端面図である。
【0032】
実施形態のナノインプリント装置10は、図1に示されるように、台11の上に設置された3つのモールド待機部12a、12bおよび12c、インプリント部13、モールドカセットローダ14、基板カセットローダ15、搬送機16およびレール17並びに図示しないレジスト塗布機構を備えるものである。
【0033】
また、実施形態のナノインプリント方法は、上記ナノインプリント装置10を用いて、永久歪みが付与されたモールド1の凹凸パターンを、基板上に塗布されたレジストからなる液滴に押し付けて、この液滴の結合からなるレジスト膜に上記凹凸パターンを転写するものである。
【0034】
(モールド待機部)
モールド待機部12a、12bおよび12cは、モールド1を待機させながら永久歪みをモールド1に付与する機構である。例えば、モールド待機部12a、12bおよび12cはそれぞれ、図2に示されるような歪み付与デバイス20から構成される。モールド待機部12a、12bおよび12cのすべてが、同じ構造の歪み付与デバイスから構成される必要はない。また、モールド待機部の数は必要に応じて増減することができる。
【0035】
歪み付与デバイス20は、微細な凹凸パターン2が一方の表面3(凹凸パターン面)に形成されたモールド1が所定の撓み状態を維持するように、モールド1に外力を作用させてこのモールド1に永久歪みを付与するものである。「所定の撓み状態」とは、永久歪みが付与された後のインプリント部材が所望の変形状態を得るために、外力が作用している間に維持すべき変形状態を意味する。多くの場合、外力が作用しなくなると弾性変形によりインプリント部材は元の状態に戻ろうとするため、外力が作用している間に維持すべき変形状態の変形度合は、最終的な所望の変形状態の変形度合に比べて大きいものとなる。また、「外力を作用させ」とは、歪み付与デバイスがその機械的機構によって直接的に外力をモールドに作用させること、および、歪み付与デバイスがその制御機構により作るモールド周囲の気圧差によって間接的に外力をモールドに作用させることを含む意味である。
【0036】
歪み付与デバイス20は、モールド1に永久歪みを付与することができれば、どのような構成でもよい。例えば実施形態では、歪み付与デバイス20は、筺体21、気体供給部22、ヒーター23、離型剤供給部24、湿度制御部25、低圧水銀灯26、水晶振動子27、リーク弁28およびポンプ29を備えるものである。
【0037】
筺体21は、歪み付与デバイス20の本体を成す部材であり、モールド1を設置する設置台として機能するものである。筺体21は、開口部21aを有している。この開口部21aにモールド1が、凹凸パターン面3を内側に向けた状態で設置される。図2のように実施形態では、モールド1の設置は開口部21aにある吸引チャック21bによって行われる。ただし、樹脂製のOリングを開口部21a上に設け、その上にモールド1を置くだけでもよい。
【0038】
そして、開口部21aにモールド1が設置されたとき、モールド1と筺体21とにより隔室Cが形成される。隔室Cは密閉された構造となり、この隔室C内の雰囲気は、ポンプ29や気体供給部22により減圧または加圧が行われたり、離型剤供給部24により気化した離型剤が供給されたり、湿度制御部25により湿度が制御されたりすることで制御される。このような構成にすることにより、雰囲気中の異物微粒子が十分に低減された環境を形成することができ、モールド1の凹凸パターン面3への異物微粒子の付着を避けることも可能となる。
【0039】
気体供給部22は、例えば大気供給部22a、酸素供給部22bおよび窒素供給部22cから構成される。また、必要に応じてその他の気体を供給する供給部を用意してもよい。気体供給部22は、例えば隔室C内を加圧したいときまたは不活性ガスで満たしたいときに気体を隔室C内に供給する。なお、気体は、異物微粒子の十分除去されたフィルタリング済みのものを使用することが好ましい。また、リーク弁28は、隔室C内の圧力を開放するための弁であり、ポンプ29は、隔室C内を真空排気(減圧)するための排気手段である。これら、気体供給部22、リーク弁28およびポンプ29が全体として、本発明における圧力制御部に相当する。
【0040】
ヒーター23は、モールド1を加熱したいときおよび/または隔室C内の雰囲気の温度を上げたいときに使用される。モールド1を加熱したいときとは、例えばモールド1の永久歪みの発生を促進する場合等である。一方、隔室C内の雰囲気の温度を上げたいときとは、例えば後述する離型剤のモールド1への結合を促進したい場合等である。
【0041】
離型剤供給部24は、気化した離型剤を隔室C内に供給するものである。このような本実施形態の構成によれば、歪み付与デバイス20によってモールド1に永久歪みを付与している間に、同時に凹凸パターン面3上に離型層を形成する離型処理を施すことも可能となる。
【0042】
湿度制御部25は、隔室C内の湿度を制御するものである。隔室C内の湿度を制御することにより、離型剤のモールド1への被覆率を向上させることができる。
【0043】
低圧水銀灯26は、モールド1の凹凸パターン面3に対して光を照射するものである。隔室C内に酸素が存在する条件で、低圧水銀灯26により光を照射すると、凹凸パターン面3上の有機物を分解除去し、乾式洗浄することができる。
【0044】
水晶振動子27は、離型処理時の離型剤の堆積膜厚をモニタリングするセンサである。例えば、1〜20MHz程度の基本周波数を有し、両面に電極を有する水晶振動子27をセンサとして使用する。そして、この水晶振動子27の片面にモールド1表面と同じ材料からなる薄膜が形成されて、水晶振動子27は離型剤のセンサとして機能する。例えば、モールド1の材料が石英である場合には、酸化シリコンからなる薄膜が形成される。
【0045】
以上の構成による歪み付与デバイス20を用いることにより、モールド1に永久歪みを付与している間に、モールド1の凹凸パターン面3を清浄に保ちつつ、インプリントに十分なモールド洗浄と離型処理を大掛かりな設備なしに簡便に実施することができる。
【0046】
歪み付与デバイス20では、未使用でかつ処理(歪み付与処理および離型処理)が施されていないモールド1に対して洗浄および/または処理を実施することの他、未使用でかつ処理が施されたモールド1を単に待機させること、または、使用済みのモールド1を再度歪み付与デバイスに設置することにより洗浄および/または再処理することも可能である。
【0047】
実施形態の歪み付与デバイス20では、一方の表面を筺体の内部へ向けてモールド1を筺体の開口部に設置した後、隔室C内の減圧または加圧を行うことにより、モールド1に永久歪みが付与される。例えば、隔室C内が減圧された場合には、図2に示されるように、モールド1が外気圧に押されてモールド1が凸形状(凹凸パターン面3をおもて面、その反対側の面4を裏面とし、モールド1に対しておもて面側を正方向とした。)となるように撓むことになる。一方、隔室C内が加圧された場合には、逆に、モールド1が内圧に押されてモールド1が凹形状となるように撓むことになる。
【0048】
永久歪みの発生には、撓み量、撓み状態の維持時間およびモールド1の温度が、重要なパラメータとなる。また、モールド1の最終的な所望の変形状態やモールド1の材質によっても、上記パラメータの最適値は異なる。しかしながら、概ね以下の範囲でパラメータを設定することができる。撓み量は、通常、モールド1の外縁部に対して中心部を1〜5000μm、好ましくは10〜1000μm、更に好ましくは50〜500μmとする。維持時間は、通常、10分〜100時間、好ましくは1〜50時間、更に好ましくは12〜24時間とする。隔室C内の温度は、通常、室温以上モールドのガラス転移点未満の値に設定するものとする。
【0049】
上記条件でモールド1は応力緩和が発生し、形状に永久歪みが残る。
【0050】
本明細書において、「永久歪み」とは、材料に外力を加え、その外力を取り去った後もその材料に残る歪みを意味し、残留歪みとも言われる。このような永久歪みは、外力が材料の応力の弾性限界を超えた場合、または、高温下および/または高外圧下に長時間置かれたような場合に生じる。図3は、モールドの変形量と外力との関係を概略的に示すグラフである。例えば、永久歪みが付与される前のモールド1の状態をグラフ中の原点とすると、本発明における永久歪みが付与されたモールドの状態はグラフ中のE点にあると表現することができる。ここで、本発明においては上記原点から上記E点に至るまでの経路は問わない。つまり、インプリントを行う際に所望の変形状態を維持できていれば充分である。
【0051】
例えば、図3において、「原点→A点→E点」の経路を通った場合の歪みは、外力がF=F1からF=0へと減少しても歪みが元に戻らない、つまり弾性限界を超えた塑性変形に基づく歪みである。また、「原点→A点→B点→C点→D点→E点」の経路を通った場合の歪みは、外力がF=F2を維持している際に変形量が増加する、いわゆるクリープ現象を経た歪みである。その他、「原点→A点→B点→D点→E点」の経路を通った場合の歪み、および「原点→A点→B点→E点」の経路を通った場合の歪みも本発明における永久歪みに含まれる。なお、ナノインプリントにおいて想定している永久歪み量は数mm程度と微小であることを考慮すると、Siや石英等のモールド1の材料として通常使用される材料では、塑性変形に基づく歪みが生じることは少ないと思われる。
【0052】
また、永久歪みの付与デバイスおよび永久歪みの付与方法は、図2のようなものに限られない。例えば、図4は、機械的な外力により永久歪みを付与する歪み付与デバイス30の構成を概略的に示す切断部端面図である。
【0053】
歪み付与デバイス30は、台31に固定された支持部材32であってモールド1の外縁を支持する支持部材32と、モールド1が支持部材32によって支持された状態でモールド1の裏面4を押圧する押圧部材33とを備えるものである。支持部材32は、吸引チャック32aを有しており、この吸引チャック32aでモールド1の外縁を吸引支持する。また、押圧部材33は、アーム部34およびその先端に設けられたパッド部35を有している。この歪み付与デバイス30では、押圧部材33により、モールド1が支持された状態でモールド1の裏面4が押圧されることにより、モールド1に永久歪みが付与される。この他、歪み付与デバイスは加熱のみで撓ませるようにしても良い。
【0054】
(インプリント部)
インプリント部13は、モールド1の凹凸パターン2を基板上に配置されたレジストに押し付けて、このレジストに上記凹凸パターンを転写する機構である。例えばインプリント部13は、次のようなインプリントユニット40から構成される。
【0055】
図5は、実施形態のインプリントユニットの構成を概略的に示す切断部端面図である。実施形態のインプリントユニット40は、xyzステージ41、ロードセル42、基板ステージ43、モールド保持部44、アライメントカメラ45および紫外光光源46から構成される。
【0056】
xyzステージ41は、インプリント用基板6のx方向、y方向およびz方向の位置を微調整するための調整機構である。
【0057】
ロードセル42は、基板ステージ43を上下させる機構であり、モールド1をレジスト7から剥離する際の剥離力を測定することができる。
【0058】
基板ステージ43は、基板6を設置する台である。
【0059】
モールド保持部44は、モールド1の裏面4を吸引チャック44aによって吸引保持し、かつ、基板6上に配置されたレジスト7に凹凸パターン2が対向するようにモールド1を保持するものである。このモールド保持部44が、上下に移動するように構成されてもよい。
【0060】
アライメントカメラ45は、基板6に対するモールド1の相対的な位置関係をモールド1の裏面4から観察するためのものである。
【0061】
紫外光光源46は、例えば基板6上に配置された光硬化性のレジスト7を硬化させるために紫外光を照射するものである。
【0062】
(モールドカセットローダおよび基板カセットローダ)
モールドカセットローダ14および基板カセットローダ15は、それぞれモールド1および基板6を収納したカセットを設置する台を有し、そのカセットを含む収納ケースを開閉する機構を有する。モールド1の形状および基板6の形状が異なる場合には、それぞれの形状に応じたカセットを使用し、同じ場合には、同一のカセット内にモールド1および基板6を混在させても良い。収納ケースを開くことにより、カセット内のモールド1および基板6に搬送機16のアームがアクセス可能となり、モールド1および基板6の搬出入を行うことが可能になる。
【0063】
(搬送機およびレール)
搬送機16は、例えば、モールド1および基板6を保持するハンド部、1個以上の間接を有するアーム部、高さ位置を制御するZステージ、およびレール17に沿って移動可能な走行機構から構成される。搬送機16は、モールド待機部12a、12bおよび12c、インプリント部13、並びに、モールドカセットローダ14および基板カセットローダ15の間を移動し、モールド1および基板6を搬送する機能を有する。
【0064】
(レジスト塗布機構)
レジスト塗布機構にはインクジェット法式、スピンコート方式、ディップコート方式、などが挙げられる。例えば、インクジェット法式であればインプリントユニット40内にレジスト塗布機構を設けることも可能である。ただし、インプリント装置10にレジスト塗布機構が無くとも、あらかじめレジストを塗布した基板を準備できれば、それでも良い。
【0065】
(モールド)
本実施形態で使用する永久歪みが付与される前のモールドは、例えば以下の手順により製造することができる。まず、Si基材上に、スピンコートなどでPHS(polyhydroxy styrene)系の化学増幅型レジスト、ノボラック系レジスト、PMMA(ポリメチルメタクリレート)等のアクリル樹脂などを主成分とするレジスト液を塗布し、レジスト層を形成する。その後、Si基材にレーザー光(又は電子ビーム)を所望の凹凸パターンに対応して変調しながら照射し、レジスト層表面に凹凸パターンを露光する。その後、レジスト層を現像処理し、除去後のレジスト層のパターンをマスクにして反応性イオンエッチング(RIE)などにより選択エッチングを行い、所定の凹凸パターンを有するSiモールドを得る。
【0066】
一方、モールドはこれに限られず、石英モールドを用いることも可能である。この場合、石英モールドは上記のSiモールドの製造法と同様の方法や、後述する複版の製造方法等により製造することができる。
【0067】
モールド表面の離型剤被覆率を上昇させ、また、離型処理時間を短縮化するには、モールド表面の吸着水を増やすことが効果的である。
【0068】
モールド表面の吸着水を増やすには、モールド表面を親水性に改質する方法や、雰囲気中の相対湿度を上昇させる方法がある。モールド表面を親水性に改質する方法として、薬液を用いた湿式洗浄法、プラズマやUVオゾンによる乾式洗浄法、または湿式と乾式の組み合わせ、などが挙げられる。相対湿度は好ましくは20〜70%、さらに好ましくは30〜50%の範囲で制御する。
【0069】
本実施形態では、歪み付与デバイス20で簡便に離型処理を実施できるため、大掛かりな設備を必要としないUVオゾンによる乾式洗浄法が好ましい。UVオゾン洗浄方式では、低圧水銀灯26によって185nm付近にピーク波長を持つ紫外光が凹凸パターン面3に照射されることにより、凹凸パターン面3近傍の雰囲気中に含まれる酸素が活性化し、凹凸パターン面3の有機物が酸化して除去される。
【0070】
(離型剤)
本実施形態では、レジスト7とモールド1表面との離型性を向上させるために凹凸パターン面3に離型処理を行った。離型処理に使用する離型剤としては、フッ素系のシランカップリング剤として、ダイキン工業株式会社製のオプツール(登録商標)DSXや、住友スリーエム株式会社製のNovec(登録商標) EGC-1720等、が挙げられる。
【0071】
この他にも、公知のフッ素系樹脂、炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、フッ素系シランカップリング剤などが使用できる。
【0072】
例えばフッ素系樹脂としては、PTFA(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)などが挙げられる。
【0073】
例えば炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、ステアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。
【0074】
例えばフッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤が挙げられる。
【0075】
例えばパーフルオロポリエーテル基としては、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CFCFCFO)、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF)CFO)またはこれらの共重合体等である。ここで、添え字のnは重合度を表す。具体的な素材としては、ソルベイソレクシス株式会社製のフォンブリン(登録商標)Z−DOLなどがある。
【0076】
例えばフッ素系シランカップリング剤としては、分子中に少なくとも1個、好ましくは1〜10個のアルコキシシラン基、クロロシラン基を有するものであり、分子量200〜10,000のものが好ましい。
【0077】
例えば、アルコキシシラン基としては、−Si(OCH基、−Si(OCHCH基が挙げられ、クロロシラン基としては、−Si(Cl)基などが挙げられる。具体的には、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラ-ハイドロデシルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルジメチルクロロシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラ-ハイドロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラ-ハイドロオクチルトリメトキシシランなどの化合物である。
【0078】
以上に挙げた離型剤は、隔室C内で効率よく蒸発させることができる観点から低分子量であることが好ましい。よって、離型剤は、少なくとも分子量200〜10,000の化合物を含むことが好ましく、分子量200〜5,000の化合物を含むことがより好ましく、分子量200〜1,000の化合物を含むことが特に好ましい。
【0079】
(モールドの離型処理)
以下にこの隔室Cを利用して凹凸パターン面3に離型処理を行う方法について述べる。本実施形態では、この隔室Cは離型剤供給部24と接続されている。離型剤供給部24と凹凸パターン面3の距離は近いほど効率よく離型処理が可能であり、図2では離型剤供給部24と隔室Cがバルブを介して配管で接続されている。しかし、隔室C内に離型剤を貯留した容器を設置し、蓋の開閉等で離型処理を制御する構成を用いても良い。
【0080】
隔室Cが離型剤供給部24と接続されていれば、凹凸パターン面3を異物微粒子付着から守るだけではなく、同時に、凹凸パターン面3の離型処理をすることが可能である。離型剤は離型剤供給部24において蒸発することにより、蒸発した離型剤(離型剤蒸気)が隔室C内に供給される。離型剤蒸気は凹凸パターン面3に吸着し、凹凸パターン面3に離型剤層を形成する。離型剤の蒸気圧によって変わるが、大気圧、25℃程度の室温下であっても多くの離型剤は蒸発する。したがって、離型剤が微量であっても蒸発さえすれば、凹凸パターン面3を離型剤蒸気に長時間晒すことにより離型処理することは可能である。また、隔室C内をポンプ29により減圧および/またはヒーターにより高温条件にすることにより雰囲気中の離型剤蒸気の量を増やすことも出来る。
【0081】
離型剤としてシランカップリング剤を使用する場合には、湿度制御部25で離型処理時の隔室C内の湿度を調整することにより、凹凸パターン面3への離型剤の被覆を向上させることが出来る。
【0082】
水晶振動子27は、隔室C内にセットされ、凹凸パターン面3と同様の乾式洗浄を施されて初期化される。その後、隔室C内が一定温度に保たれた状態で離型剤蒸気が導入された時および/または隔室C内の湿度が調整された時における水晶振動子27の共振周波数の変化が、パソコンとつながれた周波数カウンターで測定される。初期状態からの周波数変化により水晶振動子27表面に堆積した離型剤の重量が算出され、堆積膜厚および被覆率がモニタリングされる。所望の堆積膜厚および被覆率に達したら、離型剤供給部24と隔室Cの間に設置したバルブが閉じられて離型処理が終了する。
【0083】
(インプリント用基板)
Siモールドに対しては、レジストへの露光を可能とするために石英基板が好ましい。石英基板は、光透過性を有し、厚さが0.3mm以上であれば、特に制限されることなく、目的に応じて適宜選択される。例えば、石英基板表面をシランカップリング剤で被覆したもの、レジストとの密着性を向上させるためのポリマーなどからなる有機物層を積層したもの、石英基板上にCr、W、Ti、Ni、Ag、Pt、Auなどからなる金属層を積層したもの、石英基板上にCrO、WO、TiOなどからなる金属酸化膜層を積層したもの、および、前記積層体の表面をシランカップリング剤で被覆したものなどが挙げられる。有機物層、金属層または金属酸化膜層の厚さは、通常30nm以下、好ましくは20nm以下にする。30nmを超えるとUV透過性が低下し、レジストの硬化不良が起こりやすいためである。
【0084】
また、上記「光透過性を有する」とは、具体的には、基板6にレジスト膜が形成される一方の面から出射するように、基板の他方の面から光を入射した場合に、レジスト膜が十分に硬化することを意味しており、少なくとも、上記他方の面から上記一方の面へ波長200nm以上の光の透過率が5%以上であることを意味する。
【0085】
石英基板の厚さは、通常0.3mm以上が好ましい。0.3mm以下では、ハンドリングやインプリント中の押圧で破損しやすい。
【0086】
一方、石英モールドに対する基板は、その形状、構造、大きさ、材質等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。形状としては、例えば、情報記録媒体である場合には、円板状である。構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。材料としては、基板材料として公知のものの中から、適宜選択することができ、例えば、シリコン、ニッケル、アルミニウム、ガラス、樹脂、などが挙げられる。これらの基板材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記基板は、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。また、表面をシランカップリング剤で被覆したものでも良い。基板の厚さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましい。基板の厚さが0.05mm未満であると、基板とモールドとの密着時に基板側に撓みが発生し、均一な密着状態を確保できない可能性がある。
【0087】
(レジスト)
レジストは、特に制限されるものではないが、本実施形態では例えば重合性化合物に、光重合開始剤(2質量%程度)、フッ素モノマー(0.1〜1質量%)を加えて調製されたレジストを用いることができる。
【0088】
また、必要に応じて酸化防止剤(1質量%程度)を添加することもできる。上記の手順により作成したレジストは波長360nmの紫外光により硬化することができる。溶解性の悪いものについては少量のアセトンまたは酢酸エチルを加えて溶解させた後、溶媒を留去することが好ましい。
【0089】
上記重合性化合物としては、ベンジルアクリレート(ビスコート(登録商標)#160:大阪有機化学株式会社製)、エチルカルビトールアクリレート(ビスコート(登録商標)#190:大阪有機化学株式会社製)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(アロニックス(登録商標)M−220:東亞合成株式会社製)、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート(アロニックス(登録商標)M−310:東亞合成株式会社製)等の他、下記構造式1で表される化合物A等を挙げることができる。
【0090】
構造式1:
【化1】

【0091】
また、上記重合開始剤としては、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(IRGACURE(登録商標)379:豊通ケミプラス株式会社製)等のアルキルフェノン系光重合開始剤を挙げることができる。
【0092】
また、上記フッ素モノマーとしては、下記構造式2で表される化合物B等を挙げることができる。
【0093】
構造式2:
【化2】

【0094】
本発明において、レジスト材料の粘度は8〜20cPであり、レジスト材料の表面エネルギーは25〜35mN/mである。ここで、レジスト材料の粘度は、RE−80L型回転粘度計(東機産業株式会社製)を用い、25±0.2℃で測定した値である。測定時の回転速度は、0.5cP以上5cP未満の場合は100rpmとし、5cP以上10cP未満の場合は50rpmとし、10cP以上30cP未満の場合は20rpmとし、30cP以上60cP未満の場合は10rpmとした。また、レジスト材料の表面エネルギーは、“UV nanoimprint materials: Surface energies, residual layers, and imprint quality”, H. Schmitt, L. Frey, H. Ryssel, M. Rommel, C. Lehrer, J. Vac. Sci. Technol. B, Volume 25, Issue 3, 2007, Pages 785-790.に記載の方法を用いた。具体的には、UVオゾン処理をしたSi基板と、オプツール(登録商標)DSX(ダイキン株式会社製)により表面処理をしたSi基板の表面エネルギーをそれぞれ求め、両基板に対するレジスト材料の接触角からレジスト材料の表面エネルギーを算出した。
【0095】
(レジストの塗布方法)
レジスト塗布方法としてはインクジェット法やディスペンス法など所定の量の液滴を基板またはモールド上の所定の位置に配置できる方法、または、スピンコート法やディップコート法など均一な膜厚でレジストを塗布できる方法を用いる。
【0096】
基板上にレジストの液滴を配置する際は、所望の液滴量に応じてインクジェットプリンターまたはディスペンサーを使い分けても良い。例えば、液滴量が100nl未満の場合はインクジェットプリンターを用い、100nl以上の場合はディスペンサーを用いるなどの方法がある。
【0097】
レジストをノズルから吐出するインクジェットヘッドには、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式などが挙げられる。これらの中でも、液適量(配置された液滴1つ当たりの量)や吐出速度の調整が可能なピエゾ方式が好ましい。基板上にレジストの液滴を配置する前には、あらかじめ液滴量や吐出速度を設定及び調整する。例えば、液適量は、モールドの凹凸パターンの空間体積が大きい領域に対応する基板上の位置では多くしたり、モールドの凹凸パターンの空間体積が小さい領域に対応する基板上の位置では少なくしたりして調整することが好ましい。このような調整は、液滴吐出量(吐出された液滴1つ当たりの量)に応じて適宜制御される。具体的には、液滴量を5plと設定する場合には、液滴吐出量が1plであるインクジェットヘッドを用いて同じ場所に5回吐出するように、液滴量を制御する。液滴量は、例えば事前に同条件で基板上に吐出した液滴の3次元形状を共焦点顕微鏡等により測定し、その形状から体積を計算することで求められる。
【0098】
上記のようにして液滴量を調整した後、所定の液滴配置パターンに従って、基板上に液滴を配置する。
【0099】
スピンコート法やディップコート法を用いる際は、所定の厚さになるようにレジストを溶媒で希釈し、スピンコート法の場合は回転数、ディップコート法の場合は引き上げ速度を制御することにより均一な塗布膜を基板上に形成する。
【0100】
(インプリント方法)
上記のインプリントユニット40を使用してインプリントを行う。具体的には以下の通りである。
【0101】
モールド1とレジスト7を接触させる前に、モールド1と基板6間の雰囲気を減圧または真空雰囲気にすることで残留気体を低減することが好ましい。ただし、高真空雰囲気下では硬化前のレジスト7が揮発し、均一な膜厚を維持することが困難となる可能性がある。そこで、好ましくはモールド1と基板6間の雰囲気を、He雰囲気または減圧He雰囲気にすることで残留気体を低減する方法を採用する。Heは石英基板を透過するため、取り込まれた残留気体(He)は徐々に減少する。Heの透過には時間を要すため減圧He雰囲気とすることがより好ましい。減圧雰囲気は、1〜90kPaであることが好ましく、1〜10kPaが特に好ましい。
【0102】
モールド1およびレジスト7を塗布した基板6は、所定の相対位置関係となるように両者を位置合わせした後に接触させる。位置合わせにはアライメントマークを用いることが好ましい。アライメントマークは、アライメントカメラ45やモアレ干渉法等で検出可能な凹凸パターンで形成される。位置合わせ精度は好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは100nm以下である。
【0103】
モールド1の押し付け圧は、100kPa以上、10MPa以下の範囲で行う。圧力が大きい方が、モールド1と基板6の表面形状を互いに倣わせることが容易であり、レジスト7の流動が促進される。さらに、圧力が大きい場合には、残留気体の除去、圧縮、残留気体のレジスト7への溶解、石英基板中のHeの透過も促進し、レジストパターンの品質向上に繋がる。しかし、加圧力が強すぎるとモールド1接触時に異物を噛みこんだ際にモールド1および基板6を破損する可能性がある。よって、モールド1の押し付け圧は、100kPa〜5MPaであることが好ましく、100kPa〜1MPaであることが特に好ましい。100kPa以上としたのは、大気中でインプリントを行う際、モールド1と基板6間が液体で満たされている場合、モールド1と基板6間が大気圧(約101kPa)で加圧されているためである。
【0104】
モールド1を押し付けてレジスト膜を形成した後、レジスト7に含まれる重合開始剤に合わせた波長を含む光で露光し、レジスト7を硬化させる。硬化後に離型する方法としては、例えば、モールド1または基板のどちらかの裏面または外縁部を保持し、他方の基板またはモールドの裏面または外縁部を保持した状態で、外縁の保持部もしくは裏面の保持部を押圧と反対方向に相対移動させる方法が挙げられる。なお、ロードセル42を用いて離型に要した力を離型力としてモニタリングしても良い。
【0105】
以上のインプリント方法を基板とモールド1のx−y平面における相対位置を移動させながら実施することにより、基板6上の複数個所に連続してパターニングすることも可能である。
【0106】
(モールド複版の製造方法)
次に、モールド複版の製造方法の実施形態について説明する。本実施形態では、Siモールドを原盤として、前述したナノインプリント方法を用いてモールド1の複版が製造される。
【0107】
まず、上記のナノインプリント方法を用いて、パターン転写されたレジスト膜を基板6の一方の面に形成する。次に、パターン転写されたレジスト膜をマスクにして、ドライエッチングを行い、レジスト膜に形成された凹凸パターンに対応した凹凸パターンを基板上に形成して、所定のパターンを有する基板を得る。
【0108】
一方、基板が積層構造を有しており表面上に金属層を含む場合には、レジスト膜をマスクにして、ドライエッチングを行い、レジスト膜に形成された凹凸パターンに対応した凹凸パターンを当該金属層に形成し、その金属薄層をエッチストップ層にして基板にさらにドライエッチングを行い、凹凸パターンを基板上に形成して、所定のパターンを有する基板を得る。
【0109】
ドライエッチングとしては、基板に凹凸パターンを形成できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオンミリング法、反応性イオンエッチング(RIE)、スパッタエッチング、などが挙げられる。これらの中でも、イオンミリング法、RIEが特に好ましい。
【0110】
イオンミリング法は、イオンビームエッチングとも言われ、イオン源にArなどの不活性ガスを導入し、イオンを生成する。これを、グリッドを通して加速させ、試料基板に衝突させてエッチングするものである。イオン源としては、カウフマン型、高周波型、電子衝撃型、デュオプラズマトロン型、フリーマン型、ECR(電子サイクロトロン共鳴)型などが挙げられる。
【0111】
イオンビームエッチングでのプロセスガスとしては、Arガス、RIEのエッチャントとしては、フッ素系ガスや塩素系ガスを用いることができる。
【0112】
以上のように、上記モールド複版の製造方法は、マスクとして、上記に記載のインプリント方法により形成された、欠陥の少ない凹凸パターンを持つレジスト膜を用いてドライエッチングを行っているから、高精度で歩留まりよく基板を加工することが可能となる。
【0113】
(本発明の作用効果)
従来、インプリント部材の剛性が高い場合にはインプリント部材を充分に変形させることができないという問題がある。具体的には以下の通りである。
【0114】
例えば特許文献2では、図7のように、インプリント部材の裏面の外縁部分を吸引保持し、吸引力による外縁部の変形のみでインプリント部材全体を撓ませる方法が開示されている。しかしこのような方法では、外縁部の変形のみに依存しているため、剛性の高いインプリント部材を十分に変形させることが出来ない。一方、特許文献1および2では、インプリント部材の裏面の外縁部を吸引保持し、そのインプリント部材の裏面の中心部近傍の圧力制御により、インプリント部材を撓ませる方法が開示されている。しかしこのような方法では、インプリント部材を吸引保持する吸引力との関係から、インプリント部材を撓ませる外力をあまり大きくできないため、剛性の高いインプリント部材を十分に変形させることが出来ない。
【0115】
しかしながら、本発明のナノインプリント装置およびナノインプリント方法によれば、歪み付与デバイスによって予め永久歪みが付与されたインプリント部材を使用して、モールドの凹凸パターンをインプリント用の基板上に配置されたレジストに押し付けて、レジストに上記凹凸パターンを転写するから、上記のような問題が生じない。
【0116】
そして、本発明の歪み付与デバイスおよび歪み付与方法によれば、インプリント部材を変形させるのに必要な外力を充分に作用させることができ、インプリント部材の剛性によらず、その中央部分が凸形状となるような永久歪みをインプリント部材に付与することができる。この結果、ナノインプリントにおいて、インプリント部材の剛性によらず、いかなるインプリント部材を使用しても、モールドの凹凸パターンをその中央部分からレジストに接触させることが可能となる。
【実施例】
【0117】
以下、本発明の実施例を示す。図6は、実施例におけるインプリント工程の手順を示すフローチャートである。
【0118】
(モールドの作製)
0.725mm厚のSi基材上に、スピンコートによりPHS(polyhydroxy styrene)系の化学増幅型レジストなどを主成分とするレジスト液を塗布し、レジスト層を形成した。その後、Si基材をXYステージ上で走査しながら、線幅30nm、ピッチ60nmのラインパターンに対応して変調した電子ビームを照射し、0.5mm角の範囲のレジスト層全面のラインパターンに対応する部分を露光した。
【0119】
その後、レジスト層を現像処理し、露光部分を除去して、除去後のレジスト層のパターンをマスクにしてRIEにより溝深さが60nmになるように選択エッチングを行い、直線状凹凸パターンを有するSiモールドを得た。テーパー角は85度であった。
【0120】
(インプリント用基板)
インプリント用基板として石英基板を使用した。石英基板の表面に、レジストとの密着性に優れるシランカップリング剤であるKBM−5103(信越化学工業株式会社製)により表面処理をした。KBM−5103をPGMEAで1質量%に希釈し、スピンコート法により基板表面に塗布した。続いて、塗布基板をホットプレート上で150℃、5分の条件でアニールし、シランカップリング剤を基板表面に結合させた。
【0121】
(レジスト)
上記構造式1で表される化合物Aを48wt.%、アロニックスM220を48wt.%、IRGACURE 379を3wt.%、上記構造式2で表される化合物Bを1wt.%含有するレジストを調整した。
【0122】
(レジストの塗布工程)
ピエゾ方式のインクジェットプリンターであるFUJIFILM Dimatix社製DMP−2831を使用した。インクジェットヘッドには専用の10plヘッドであるDMC−11610を使用した。液滴量が10plとなるように、あらかじめ吐出条件を調整及び設定した。上記のようにして液滴量を調整した後、残膜厚が10nmになるように調整した所定の液滴配置パターンに従って、基板上に液滴を配置した。
【0123】
(モールド搬入)
上記Siモールドをカセットに収納し、そのカセットの収納容器をモールドカセットローダに設置した。モールドカセットローダにより収納ケースを開封し、搬送機を用いてモールドを歪み付与デバイスに搬送した(ST1)。
【0124】
(モールドの歪み付与処理および離型処理)
歪み付与デバイスにて、モールドの凹凸パターン面が内側になるようにモールド外縁部を真空チャックした。まず、隔室内を酸素で置換し、低圧水銀灯を照射することによりモールド表面を洗浄した。次に、隔室内を大気に置換し、ポンプと湿度制御部とヒーターを用いて、50kPa、50℃、相対湿度50%の減圧雰囲気を維持した状態で、離型剤供給部にCF(CF(CHSi(OCHを充填し、離型剤供給部のバルブを開いて離型剤を含む気体を隔室に導入し、モールド表面を12時間晒した(ST2)。
【0125】
この工程で、モールドは中心部が外周部に対して50μm撓んだ永久歪みを持つようになった。また、同時にモールドの凹凸パターン面を離型処理した。インプリントユニットにロード済みのモールドが存在しており、処理中のモールドが待機している間はロード済みのモールドでインプリントをした。なお、インプリントユニットにモールドが無く、処理済のモールドを別途搬入した場合は、この工程をスキップして、そのモールドを直接インプリントユニットにロードしても良い。
【0126】
(モールドのロード)
搬送機を用いて使用済みのモールドをインプリントユニットからアンロードし(ST6)、歪み付与デバイスから新たなモールドをインプリントユニットにロードした(ST3)。使用済みのモールドは歪み付与デバイスに運ばれ、洗浄後、再形状制御及び再離型処理を行った(ST2)。
【0127】
(基板の搬送)
上記石英基板にレジストを塗布したものをカセットに収納し、そのカセットの収納ケースを基板カセットローダに設置した。基板カセットローダにより収納ケースを開封し、搬送機を用いて基板をインプリントユニットに搬送した(ST4)。
【0128】
(インプリント)
モールドと石英基板をギャップが0.1mm以下になる位置まで近接させ、石英基板の背面から基板上のアライメントマークとモールド上のアライメントマークが一致するように位置合わせをした。
【0129】
モールドと石英基板間の空間を99体積%以上のHeガスで置換し、He置換後に20kPa以下まで減圧した。減圧He条件下でモールドをレジストからなる液滴に接触させた。モールドの撓みにより中心部からレジストに密着し、気体を取り込むことなく全体を均一に密着させた(ST5)。
【0130】
密着後、1MPaの押付け圧で10秒間加圧し、360nmの波長を含む紫外光により、照射量が100mJ/cmとなるように露光し、レジストを硬化させた。
【0131】
基板およびモールドの裏面の外縁部を吸引保持した状態で、基板またはモールドを押圧と反対方向に相対移動させることでモールドを離型した。離型に要した力を離型力としてモニタリングした。
【0132】
そして、上記基板搬送からインプリントまでの工程を、繰り返し行なった。
【0133】
(モールドのアンロード)
離型力がインプリント回数10回目から30回目までの平均離型力に対し、±30%の値を閾値とし、±30%の範囲を超えた段階でインプリントと基板搬送の繰り返しを中止し、搬送機を用いて使用済みのモールドをインプリントユニットからアンロードした(ST6)。使用済みのモールドは歪み付与デバイスに運ばれ、洗浄後、歪み付与処理および離型処理を再度行った(ST2)。
【0134】
(モールドの搬出)
モールドを再度使用しない場合は、インプリントユニットから使用済みモールドをアンロードし、搬送機でモールドカセットに収納し、モールドを搬出した(ST7)。
【0135】
(モールド複版の製造工程)
凹凸パターンが転写されたレジスト膜をマスクにして、下記に示すようにドライエッチングを行い、レジスト膜に形成された凹凸パターンに基づく凹凸形状を石英基板上に形成し、所定の凹凸パターンを有するモールド複版を得た。
【0136】
まず、パターン凹部に存在する残膜を酸素プラズマエッチングにより除去し、パターン凹部の石英基板を露出させた。その際、凹凸パターン領域内の最も厚い残膜を除去できる条件にあわせてエッチング量を設定した。次に、フッ素系ガスにより、パターン凸部をマスクにして石英基板のRIEを行った。エッチング深さが60nmになるようにRIEの条件を設定した。最後に、パターン凸部の残渣を酸素プラズマエッチングにより除去した。
【0137】
以上のモールド複版工程により、Siモールドの凹凸パターンが精度よく転写された石英モールド複版が作製された。
【符号の説明】
【0138】
1 モールド
2 凹凸パターン
3 凹凸パターン面
4 モールドの裏面
6 インプリント用基板
7 レジスト
10 ナノインプリント装置
12a モールド待機部
13 インプリント部
14 モールドカセットローダ
15 基板カセットローダ
16 搬送機
20 歪み付与デバイス
21 筺体
21a 開口部
22 気体供給部
23 ヒーター
24 離型剤供給部
25 湿度制御部
26 低圧水銀灯
27 水晶振動子
30 歪み付与デバイス
32 支持部材
33 押圧部材
40 インプリントユニット
42 ロードセル
43 基板ステージ
44 モールド保持部
45 アライメントカメラ
46 紫外光光源
C 隔室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細な凹凸パターンが一方の表面に形成されたモールドおよび一方の表面にレジストが配置されるインプリント用の基板のうちいずれかのインプリント部材が、所定の撓み状態を維持するように、前記インプリント部材に外力を作用させて該インプリント部材に永久歪みを付与する歪み付与デバイスと、
前記歪み付与デバイスによって永久歪みが付与された前記インプリント部材を使用して、前記モールドの前記凹凸パターンを前記基板上に配置されたレジストに押し付けて、前記レジストに前記凹凸パターンを転写するインプリントユニットとを備えることを特徴とするナノインプリント装置。
【請求項2】
前記歪み付与デバイスが、開口部を有する筺体であって、前記一方の表面を該筺体の内部へ向けて前記インプリント部材が前記開口部に設置されたときに前記一方の表面上に隔室を形成する前記筺体と、前記隔室内の減圧または加圧を行う圧力制御部とを有するものであることを特徴とする請求項1に記載のナノインプリント装置。
【請求項3】
前記歪み付与デバイスが、前記隔室内を加熱する加熱部を有するものであることを特徴とする請求項2に記載のナノインプリント装置。
【請求項4】
前記歪み付与デバイスが、前記隔室内に離型剤を供給する離型剤供給部を有するものであることを特徴とする請求項2または3に記載のナノインプリント装置。
【請求項5】
前記歪み付与デバイスが、前記隔室内の湿度を制御する湿度制御部を有するものであることを特徴とする請求項4に記載のナノインプリント装置。
【請求項6】
前記歪み付与デバイスが、前記インプリント部材の外縁を支持する支持部材と、前記インプリント部材が前記支持部材によって支持された状態で前記インプリント部材の他方の表面を押圧する押圧部材とを有するものであることを特徴とする請求項1に記載のナノインプリント装置。
【請求項7】
永久歪みが付与されたインプリント部材を使用して、モールドの凹凸パターンを基板上に配置されたレジストに押し付けて、前記レジストに前記凹凸パターンを転写することを特徴とするナノインプリント方法。
【請求項8】
微細な凹凸パターンが一方の表面に形成されたモールドおよび一方の表面にレジストが配置されるインプリント用の基板のうちいずれかのインプリント部材が、所定の撓み状態を維持するように、前記インプリント部材に外力を作用させて該インプリント部材に永久歪みを付与する歪み付与デバイスであって、
開口部を有する筺体であって、前記一方の表面を該筺体の内部へ向けて前記インプリント部材が前記開口部に設置されたときに前記一方の表面上に隔室を形成する前記筺体と、
前記隔室内の減圧または加圧を行う圧力制御部とを備えることを特徴とする歪み付与デバイス。
【請求項9】
微細な凹凸パターンが一方の表面に形成されたモールドおよび一方の表面にレジストが配置されるインプリント用の基板のうちいずれかのインプリント部材が、所定の撓み状態を維持するように、前記インプリント部材に外力を作用させて該インプリント部材に永久歪みを付与する歪み付与デバイスであって、
前記インプリント部材の外縁を支持する支持部材と、
前記インプリント部材が前記支持部材によって支持された状態で前記インプリント部材の他方の表面を押圧する押圧部材とを備えることを特徴とする歪み付与デバイス。
【請求項10】
微細な凹凸パターンが一方の表面に形成されたモールドおよび一方の表面にレジストが配置されるインプリント用の基板のうちいずれかのインプリント部材が、所定の撓み状態を維持するように、前記インプリント部材に外力を作用させて該インプリント部材に永久歪みを付与する歪み付与方法であって、
請求項8に記載の歪み付与デバイスを使用して、
前記一方の表面を前記筺体の内部へ向けて前記インプリント部材を前記筺体の前記開口部に設置し、
前記圧力制御部により前記隔室内の減圧または加圧を行うことを特徴とする歪み付与方法。
【請求項11】
前記歪み付与デバイスが、前記隔室内に離型剤を供給する離型剤供給部を有するものであり、
前記圧力制御部により前記隔室内の減圧または加圧を行うとともに、前記離型剤供給部により前記隔室内に前記離型剤を供給することを特徴とする請求項10に記載の歪み付与方法。
【請求項12】
微細な凹凸パターンが一方の表面に形成されたモールドおよび一方の表面にレジストが配置されるインプリント用の基板のうちいずれかのインプリント部材が、所定の撓み状態を維持するように、前記インプリント部材に外力を作用させて該インプリント部材に永久歪みを付与する歪み付与方法であって、
請求項9に記載の歪み付与デバイスを使用して、
前記支持部材により前記インプリント部材の外縁を支持し、
前記押圧部材により、前記インプリント部材が支持された状態で前記インプリント部材の他方の表面を押圧することを特徴とする歪み付与方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−74115(P2013−74115A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212135(P2011−212135)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】