説明

ナノウレア分散体

本発明は、分散媒中に存在するナノウレアの分散体、その製造方法およびその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散媒中のナノウレアの分散体、その製造方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
架橋ナノスケールポリウレア粒子を含む水性分散体の調製はWO−A2005/063873に記載されている。これには、親水性イソシアネートを触媒の存在下で導入することが含まれ、その結果、架橋はウレア結合によって分散粒子内で生じる。これらの粒子はポリクロロプレン分散体をベースとする接触接着剤用の添加剤として用いられる。
【0003】
ナノウレア分散体は、50重量%〜80重量%の含水量のため、非水性または水不相溶性の系に用いるのに適していない。例えば、直接蒸留による水の除去のような典型的な乾燥法は、分散媒中にもはや均質に混合できない不溶性固体を生じさせる。多くの用途、例えば被覆組成物、または接着剤などは有機溶媒ベースで存在するが、その系は水相溶性ではないため、ナノウレア非水性分散体を供給することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/063873号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる状況下、本発明の目的は、ナノウレア分散体ならびにその製造方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
架橋ナノウレア粒子を含む水性分散体を異なった分散媒に再分散できることおよび該混合物から水を除去することができることを見出した。これは革新的なナノウレアの分散体により得られる。
【0007】
従って、本発明は、架橋ナノウレア粒子a)およびイソシアネート基に対して反応性である少なくとも1つ、好適には2つの基を有する少なくとも1つの分散媒B)を含んでなり、水画分は分散体A)を基準として0重量%〜5重量%である、ナノウレア分散体A)を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の目的のための分散体は、分散媒B)中に微粉化された粒子からなる物質の組成物である。これらの混合物の特徴は、相分離が起こらないことである;その代わり、室温で、該粒子は分散媒に安定的に分散される。本発明における粒子は固体からなる;該分散媒は室温で固体また液体であり得る。
【0009】
分散ナノウレア粒子a)の平均粒子直径(例えばLCS測定によって決定、23℃で測定、測定装置:Malvern Zetasizer 1000、Malvern Instr. Limited)は、5〜3000nm、好適には10〜1500nm、より好適には30〜300nmである。
【0010】
本発明の分散体A)の含水量(Karl−Fischer法によって決定)は、0重量%〜5重量%、好適には0.002重量%〜2重量%、より好適には0.01重量%〜1重量%、極めて好適には0.01重量%〜0.2重量%である。
【0011】
本発明の分散体A)中のナノウレア粒子a)の量は、0.1重量%と50重量%の間、好適には1重量%〜25重量%である。
【0012】
本発明のナノウレア分散体A)に存在するナノウレア粒子a)は親水性化ポリイソシアネートi)を水性媒体中で反応させて、ナノウレア分散体A’)を形成することによって得られる。該粒子は、実質的にウレア結合により粒子内架橋されている。非架橋または予備架橋した粒子が、水中への親水性化ポリイソシアネートの分散によって生じる。次いで、存在するイソシアネート基の一部が、イソシアネート−水の反応によって第1級アミンまたは第2級アミンへと分解する。次いで、これらのアミノ基は、さらなるイソシアネート基との反応によってウレア基を生成し、それによって水性分散体A’)中に存在するナノウレアに架橋する。イソシアネート基の一部は、例えば水との該反応前または該反応中に、水または他のイソシアネート反応性の種(例えば第1級アミンまたは第2級アミンおよび/またはアルコールなど)と反応することもできる。
【0013】
親水性化ポリイソシアネートi)として、非イオン的にまたは潜在的イオン的に親水性化された当業者に既知の全てのNCO含有化合物を用いることはそれ自体可能である。異なったポリイソシアネートi)の混合物を用いる場合、少なくとも1つのポリイソシアネートは非イオン的に親水性化する構造単位を含有することは好適である。特に好適には、非イオン的親水性化基を含有するポリイソシアネートi)のみを用いる。
【0014】
イオン的にまたは潜在的イオン的に親水性化する化合物とは、少なくとも1つのイソシアネート反応性基ならびに少なくとも1つの官能基、例えば、−COOY、−SOY、−PO(OY)(Yは、例えば、H、NH、金属カチオンである)、−NR、−NR(Rは、H、アルキル、アリールである)を含有する全ての化合物を意味し、これらは、水性媒体との相互作用に際して、pH依存性解離平衡状態になり、かくして、負電荷、正電荷または中性電荷を持ち得る。好適なイソシアネート反応性基は、ヒドロキシル基またはアミノ基である。
【0015】
適当なイオン的または潜在的イオン的に親水性化する化合物は、例えば、モノおよびジヒドロキシカルボン酸、モノおよびジアミノカルボン酸、モノおよびジヒドロキシスルホン酸、モノおよびジアミノスルホン酸ならびにモノおよびジヒドロキシホスホン酸またはモノおよびジアミノホスホン酸およびこれらの塩、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ヒドロキシピバリン酸、N−(2−アミノエチル)−β−アラニン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸、エチレンジアミンプロピル−または−ブチルスルホン酸、1,2−または1,3−プロピレンジアミン−β−エチルスルホン酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、グリシン、アラニン、タウリン、リシン、3,5−ジアミノ安息香酸、IPDIとアクリル酸との付加物(EP−A0916 647、実施例1)およびそのアルカリ金属塩および/またはアンモニウム塩;重亜硫酸ナトリウムとブタ−2−エン−1,4−ジオールとの付加物、ポリエーテルスルホネート、2−ブテンジオールとNaHSOとのプロポキシル化付加物(例えば、DE−A2446440(5〜9頁、式I〜III)に記載)ならびに親水性合成成分として、カチオン性基に変換し得る単位、例えば、アミン系単位(例えばN−メチルジエタノールアミンなど)を含有する化合物である。また、例えば、化合物として、WO01/88006中のシクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸(CAPS)を使用することもできる。
【0016】
好適なイオン性基または潜在的イオン性基は、カルボキシル基またはカルボキシレート基および/またはスルホネート基および/またはアンモニウム基を含有するものである。特に好適なイオン性化合物は、イオン性基または潜在的イオン性基としてカルボキシル基および/またはスルホネート基を含有するもの、例えば、N−(2−アミノエチル)−β−アラニンの塩、2−(2−アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸の塩またはIPDIとアクリル酸との付加生成物の塩(EP−A0916647、実施例1)ならびにジメチロールプロピオン酸の塩である。
【0017】
適当な非イオン的に親水性化する化合物の例は、少なくとも1つのヒドロキシル基またはアミノ基を含有するポリオキシアルキレンエーテルである。これらのポリエーテルは、30重量%〜100重量%のエチレンオキシド由来の単位の画分を含有する。
【0018】
エチレンオキシド単位を含有する末端親水性鎖を組み込むための親水性合成成分は一般式(I):
H−Y’−X−Y−R (I)
〔式中、
Rは、1〜12個の炭素原子を有する1価炭化水素基、好適には1〜4個の炭素原子を有する未置換アルキル基を表し、
Xは、少なくとも40%、好適には少なくとも65%の量のエチレンオキシド単位に構成され、エチレンオキシド単位に加えてプロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはスチレンオキシドから構成されていてよい(後述の単位は好適にはプロピレンオキシド単位である)、5〜90個、好適には20〜70個の鎖構成要素(Kettengliedern)を有するポリアルキレンオキシドを表し、
Y’/Yは、酸素または−NR’−を表し、R’は定義におけるRまたは水素に相当する。〕
で示される好適な化合物である。
【0019】
特に好適なものは、50%、より好適には55%〜89%を超えるエチレンオキシド質量を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマーである。ある好適な実施態様においては、少なくとも400g/mol、好適には少なくとも500g/mol、より好適には1200〜4500g/molの分子量を有する化合物を用いる。
【0020】
特に好適には、1分子あたり平均5〜70個、好適には7〜55個のオキシエチレン基、好適にはエチレン基を含有する非イオン的親水性化ポリイソシアネートi)である。
【0021】
親水性化ポリイソシアネートi)は、当業者にそれ自体既知であり、1分子あたり1個を越えるNCO基を有し、0.5〜50重量%、好適には3〜30重量%、より好適には5〜25重量%のイソシアネート含量を有する脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および芳香族ポリイソシアネートまたはこれらの混合物をベースとする。
【0022】
適するポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−および−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソシアナトメチルオクタン−1,8−ジイソシアネート、メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)またはトリイソシアナトノナン(TIN、4−イソシアナトメチルオクタン、1,8−ジイソシアネート)ならびにこれらの混合物である。また原則的に適するのは、芳香族ポリイソシアネート、例えば1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または−2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−2,4’−および/または−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、トリフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートまたはナフチレン−1,5−ジイソシアネートである。
【0023】
上記のポリイソシアネートに加えて、ウレットジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有する高分子量誘導体を用いることも可能である。このような誘導体は、従来技術に記載の変性反応によってモノマージイソシアネートからそれ自体既知の方法において知られていす。
【0024】
親水性化ポリイソシアネートi)は、好適には、もっぱら脂肪族的または脂環式的に結合したイソシアネート基を含有する上記の種類のポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物、または任意の所望のこれらの混合物をベースとする。
【0025】
特に好適には、親水性化ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートまたは異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンならびに上記のジイソシアネートのそれらの混合物をベースとする。ポリイソシアネートi)は、ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする少なくとも50重量%のポリイソシアネートを好適に含有する。
【0026】
水中でのナノウレアa)の分散および水性分散体A’)を調製するための水との反応は、好ましくは、撹拌装置または他の種類の混合によって、例えばポンプ循環によって、スタティックミキサー、棘付ミキサー、ノズルジェット分散機、回転子および固定子によって、または超音波の作用下で行う。
【0027】
原則、分散操作中または分散操作後、NCO基をイソシアネート反応性化合物、例えば第1級アミンまたは第2級アミンまたは(ポリ)アルコールなどで変性させることも可能である。その例は、1,3−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ヒドラジン、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、N−メチルエタノールアミンおよびN−メチルイソプロパノールアミン、1−アミノプロパノールまたはジエタノールアミンである。
【0028】
親水性化ポリイソシアネートi)のNCO基と水との分子比は、好適には1:100〜1:5、より好適には1:30〜1:10である。
【0029】
原則として、親水性化ポリイソシアネートi)を水中への分散によって一部に組み込むことも可能である。例えば30分〜20時間にわたる親水性化ポリイソシアネートの連続添加も可能である。部分的な添加も好適であり、部分の数は2〜50、好適には3〜20、より好適には4〜10であり、部分はサイズが等しくても異なっていてもよい。
【0030】
個々の部分間の待ち時間は通常、5分〜12時間、好適には10分〜8時間、より好適には30分〜5時間である。
【0031】
1時間〜24時間、好適には2時間〜15時間にわたる親水性化ポリイソシアネートi)の連続添加も可能である。
【0032】
ウレア粒子の調製のために、反応器温度は10〜80℃、好適には20〜70℃、より好適には25〜50℃である。
【0033】
親水性化ポリイソシアネートi)と水との反応に次いで、反応器は、0℃〜80℃、好適には20℃〜60℃、より好適には25℃〜50℃の内部温度で好適に真空化する。真空は、1〜900mbar、好適には10〜800mbar、より好適には100〜400mbarの内部圧力に低下させて実施する。実際の反応に続く脱気手順の時間は、1分〜24時間、好適には10分〜8時間である。
【0034】
好適には、ナノウレア分散体A’)は、例えば撹拌により、真空と同時に混合する。
【0035】
水性分散体A’)は好適には触媒の存在下で調製する。
【0036】
ナノウレア分散体A’)を調製するために用いる触媒の例として、第3級アミン、錫化合物、亜鉛化合物またはビスマス化合物または塩基性塩が挙げられる。
【0037】
適する触媒の例は、塩化鉄(II)、塩化亜鉛、錫塩、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、10〜20個の炭素原子および適切な場合にはペダント(seitenstaendigen)OH基を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩、オクタン酸鉛または第3級アミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノジエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、N−メチル−およびN−エチル−モルホリン、N,N’−ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、N−シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルピペラジン、N−ジメチルアミノエチルピペリジン、1,2−ジメチルイミダゾール、N−ヒドロキシプロピルイミダゾール、1−アザビシクロ[2.2.0]オクタン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(Dabco)またはアルカノールアミン化合物、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチル−およびN−エチル−ジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−(N,N−ジメチルアミノエトキシ)エタノールまたはN−トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロトリアジン、例えばN,N’,N−トリス(ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジンである。
【0038】
第3級アミン、例えばトリブチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミンまたは1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどは好適である。好適な錫化合物は、錫ジオクトエート、錫ジエチルヘキソエート、ジブチル錫ジラウレートまたはジブチルジラウリル錫メルカプチドである。2,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、テトラメチルアンモニウム水酸化物、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシドまたはカリウムイソプロポキシドである。
【0039】
特に好適な触媒は、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミンまたは1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである。
【0040】
触媒は、得られる分散体の全固形分量を基準に、0.01〜8重量%、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%の量で用いる。
【0041】
触媒は、親水性化ポリイソシアネートi)と、または分散水と混合してもよく、またはポリイソシアネートi)を水中に分散した後、添加してよい。ポリイソシアネートi)の添加前に分散水に触媒を混合することも好適である。触媒を分割して、反応過程の間に異なった箇所に添加することもできる。
【0042】
溶媒、例えばN−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、メトキシプロピルアセテート、ジメチルスルホキシド、メトキシプロプルアセテート、アセトンおよび/またはメチルエチルケトンなどを、分散前に親水性化ポリイソシアネートi)に添加することも可能である。反応および分散の完了後、揮発性溶媒、例えばアセトンおよび/またはメチルエチルケトンなどを蒸留によって除去することが可能である。溶媒なしでまたはアセトンまたはメチルエチルケトンを用いて調製することが好適であり、特に溶媒なしで調製することが好適である。
【0043】
本発明の分散体A)に存在する分散媒B)は、少なくとも1つの、好適には2つのイソシアネート基に対して反応性の基を有する。
【0044】
適当な分散媒B)の例として、ジアミン、ポリアミン、ジオール、ポリオールまたはアルコール基および第1級アミノ基および/または第2級アミノ基だけでなく、イソシアネート基に対して反応性の基を含有する化合物が挙げられる。
【0045】
記載された分散媒の例は、ポリエーテルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリエステルポリオール、ポリウレタンポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリカーボネートポリオールまたはポリエステルポリカーボネートポリオールである。
【0046】
好適な分散媒は、ナノウレア分散体A’)と混合することができ、ナノウレア水性分散体A’)との混合物から水を除去することが可能な物質、例えばポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールおよび短鎖ポリオールなどである。
【0047】
適当な短鎖ポリオールの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトールまたはネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートである。好適な短鎖ポリオールは、1,4−または1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールまたはトリメチロールプロパンである。
【0048】
適当な単官能性アルコールの例は、エタノール、n−ブタノール、n−プロパノール、エチレングリコールモノブチルエーテル(2−ブトキシエタノール)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロプルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、2−エチルヘキサノール、1−オクタノール、1−ドデカノール、1−ヘキサデカノール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール、アミルアルコール、シクロヘキサノール、フルフリルアルコール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾールおよびフェノールである。好適な単官能性アルコールは、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジアセトンアルコール、アミルアルコールまたはシクロヘキサノールである。
【0049】
ジアミンまたはポリアミンの例は、1,2−エチレンジアミン、1,2−および1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリアミノノナン、1,3−および1,4−キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−および−1,4−キシリレンジアミンおよび4,4−ジアミノジシクロヘキシルメタンまたはジメチルエチレンジアミンである。好適なものは、1,2−エチレンジアミン、1,6−ジアミノヘキサンまたはイソホロンジアミンである。
【0050】
同様に適当なものは、第1級アミノ基だけでなく第2級アミノ基も含有する化合物またはアミノ基(第1級または第2級)だけでなくOH基も含有する化合物である。その例は、第1級/第2級アミン、例えばジエタノールアミン、3−アミノ−1−メチルアミノプロパン、3−アミノ−1−エチルアミノプロパン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、3−アミノ−1−メチルアミノブタン、アルカノールアミン、例えばN−アミノエチルエタノールアミン、エタノールアミン、3−アミノプロパノールまたはネオペンタノールアミンなどである。好適なものは、ジエタノールアミン、3−アミノ−1−メチルアミノプロパンまたは3−アミノプロパノールである。
【0051】
特に好適な分散媒B)は、ポリエステルポリオール、例えばジオールおよび適切な場合にはトリオールおよびテトラオールなど、ならびにジカルボン酸および適切な場合にはトリカルボン酸およびテトラカルボン酸またはヒドロキシカルボン酸またはラクトンの従来法による重縮合物などである。遊離ポリカルボン酸に代えて、対応するポリカルボン酸無水物または対応する低級アルコールとのポリカルボン酸エステルを用いて、ポリエステルを製造することもできる。
【0052】
適当なジオールの例は、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコールならびに1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン1,6−ジオールおよび異性体、ネオペンチルグリコールまたはネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートであり、ヘキサン1,6−ジオールおよび異性体、ネオペンチルグリコールおよびネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートが好ましい。これらの他に、ポリオール、例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、エリトリトール、ペンタエリトリトール、トリメチロールベンゼンまたはトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートを用いることもできる。用いることができるジカルボン酸として、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、テトラクロロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2−メチルコハク酸、3,3−ジエチルグルタル酸および/または2,2−ジメチルコハク酸が挙げられる。用いることができる他の酸源は対応する無水物である。エステル化用のポリオールの平均官能価が2を越える場合、モノカルボン酸、例えば安息香酸およびヘキサンカルボン酸なども使用することができる。好適な酸は、上記の種類の脂肪族または芳香族増の酸である。特に好適なものは、アジピン酸、イソフタル酸および適切な場合には、トリメリット酸である。末端ヒドロキシル基を有するポリエステルポリオール製造する場合に反応酸化物として用い得るヒドロキシカルボン酸は、例えば、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシステアリン酸などである。適当なラクトンは、カプロラクトン、ブチロラクトンおよび同族体である。カプロラクトンは好適である。
【0053】
特に好適なポリエステルポリオールは、酸成分としてアジピン酸、フタル酸、イソフタル酸およびテトラヒドロフタル酸、およびアルコール成分としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール;1,4−または1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび/またはトリメチロールプロパンをベースとするものである。
【0054】
分散媒B)として用いるのに好適なものは、数平均分子量M400〜8000g/mol、好適には600〜3000g/molを有するヒドロキシル含有ポリカーボネート、好適にはポリカーボネートジオールである。これらは、炭酸誘導体、例えばジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲンなどとポリオール、好適にはジオールとの反応によって得られる。このようなジオールの例は、エチレングリコール、1,2−および1,3−プロパンジオール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンー1,3−ジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAおよび課題中の上記の種類のラクトン変性ジオールである。ジオール成分は、40重量%〜100重量%のヘキサンジオールを好適に含有し、好ましくは1,6−ヘキサンジオールおよび/またはヘキサンジオール誘導体を含む。このようなヘキサンジオール誘導体は、末端OH基のほかにエステル基又はエーテル基を含有するヘキサンジオールをベースとする。この種の誘導体は、ヘキサンジオールと過剰のカプロラクトンとを反応させることによって、またはヘキサンジオールの自己エーテル化によってジヘキシレングリコール又はトリヘキシレングリコールを形成することによって得られる。純粋なポリカーボネートジオールの代わりにまたはこれに代えてポリエーテルポリカーボネートジオールを用いることも可能である。ヒドロキシル含有カーボネートは、好ましくは、線状構造であるが、多官能性成分、特に低分子量ポリオールを組み入れることによって容易に得ることもできる。かかる目的に適したものの例として、グリセロール、トリメチロールプロパン、ヘキサン−1,2,6−トリオール、ブタン−1,2,4−トリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシドまたは1,3,4,6−ジアンヒドロヘキシトールが挙げられる。好適なポリカーボネートは、ジフェニルカーボネートおよび/またはジメチルカーボネートおよび1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオールおよびメチル−1,3−プロパンジオールから構成される。
【0055】
分散媒B)として、好適にはポリエーテルポリオールを用いることも可能である。適当なものの例は、カチオン開環によるテトラヒドロフランの重合によって得られるポリウレタン化学においてそれ自体既知のポリテトラメチレングリコールポリエーテルである。同様に適当なポリエーテル−ポリオールは、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよび/またはエピクロロヒドリンと二官能性または多官能性のスターター分子との従来法により付加物である。用いることができる適当なスターター分子として、先行技術から既知の全ての化合物、例えば水、ブチルジグリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,4−ブタンジオールが挙げられる。エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドから構成されるポリエーテルポリオールを用いることは特に好適である。
【0056】
本発明はまた、第1工程において、架橋ナノウレア粒子a)を含むナノウレア水性分散体A’)を少なくとも2つのイソシアネート基に対して反応性の基を有する少なくとも1つの分散媒B)と混合し、次いで第2工程において混合操作と同時または混合を完了した後水を除去することを特徴とする本発明のナノウレア分散体A)を調製するための方法を提供する。
【0057】
ナノウレア水性分散体A’)および分散媒B)は、いずれかの順序により混合することができる;一成分を連続的に、部分的にまたは全て一度に他の成分に添加することができる。ある好適な変法においては、分散媒B)およびナノウレア水性分散体A’)はまず、互いに完全に混合し、次いで水を混合物から除去する。
【0058】
原則として、大気圧、大気圧より低い圧力または大気圧より高い圧力で水を除去することが可能である。ある特に好適な変法においては、水は、減圧下および/または高温下で操作しながら蒸留によって除去する。
【0059】
他の技術、例えば薄膜法または水除去性乾燥剤、例えばシリカゲルまたはゼオライトなどの使用も、水の分離のために可能である。異なった脱水技術の同時または連続した組み合わせも可能である。さらなる可能性は添加剤を用いて水を分離することであり、その例は水の簡易化蒸留除去のための添加溶剤を混合することである。
【0060】
本発明の方法においては、ナノウレア水性分散体A’)と非水性分散媒B)との混合は、撹拌装置による混合によって好適に実施する。他の種類の混合は、好適には、例えばポンプ循環、スタティックミキサー、振盪機、容器、棘付ミキサー、ノズルジェット分散機、回転子および固定子によって、または超音波の作用下で行う。混合は、0℃および150℃の間、好適には10℃および120℃、より好適には20℃および100℃の間の温度で行う。混合は、分散媒が液体形態である温度で実施する。
【0061】
蒸留による水の除去の場合には、操作は、20℃および200℃の間、好適には25℃および150℃の間、より好適には40℃および100℃の間の温度で実施する。水を減圧化で除去する場合は、設定される圧力は通常、1および900mbarの間、好適には2および500mbarの間、より好適には5および100mbarの間である。温度プロファイルおよび/または圧力プロファイルの横断も可能である。適当な脱水時間の例は、10分および24時間の間、好適には30分および16時間の間である。水を除去する間は、該混合物を、例えば撹拌および/またはポンプ循環によって混合し続ける。
【0062】
本発明のある好適な変法においては、液体または溶融分散媒B)を撹拌装置に投入し、激しく撹拌しながら、ナノウレア水性分散体A’)を液滴状に添加し、好適な計量時間は、1分〜10時間、好適には10分〜5時間であり、次いで該系を、1時間〜10時間撹拌し、その後、水を蒸留によって該分散体から除去し、該分散体を減圧下で乾燥させる。
【0063】
本発明のナノウレア分散体A)の調製において、共溶媒、消泡剤、表面活性洗剤および他の助剤および添加剤を用いることも可能である。揮発性共溶媒を用いる場合、これらは、例えば水の除去と共に、本発明のナノウレア分散体A)から再び除去することができる。
【0064】
さらなる添加剤の例として、触媒、安定剤、光安定剤、抗酸化剤、バイオサイド、顔料および/または充填剤が挙げられる。その添加は、本発明のナノウレア分散体A)の調製前、調製中または調製後に行い得る。
【0065】
本発明のナノウレア分散体A)は、例えば添加剤、バインダーまたは助剤またはアジュバントのための形態として用いることができる。
【0066】
従って、本発明はまた、添加剤、バインダーまたは助剤またはアジュバントを調製するための本発明のナノウレア分散体A)の使用のために提供する。
【0067】
本発明はさらに、本発明によるナノウレア分散体A)を含む添加剤、バインダーまたは補助物質またはアジュバントを提供する。
【実施例】
【0068】
化学薬品
〔Bayhydur(登録商標) VP LS 2336 (Bayer MaterialScience AG、レーフェルクーゼン、独国)〕
ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする親水性化ポリイソシアネート、溶媒非含有、粘度約6800mPa・s、イソシアネート含量約16.2%、Bayer MaterialScience AG、レーフェルクーゼン、独国。
〔Impranil(登録商標) DLN (Bayer MaterialScience AG、レーフェルクーゼン、独国)〕
約40%の固形分を有する、アニオン的に親水性化され、交差分枝していない(nicht querverzweigte)、水中における脂肪族ポリエステルポリウレタン分散体、Bayer MaterialScience AG、レーフェルクーゼン、独国。
〔Bayhydur(登録商標) VP LS 2240 (Bayer MaterialScience AG、レーフェルクーゼン、独国)〕
ブロックトイソシアネート基を含有する非イオン的に親水性化された水性ポリイソシアネート分散体、水/MPA/キシレン(56:4.5:4.5)中において固形分約35%

〔Isofoam(登録商標) 16(Petrofer−Chemie、ヒルデスハイム、DE)〕
消泡剤。
他の化学薬品は、Sigma−Aldrich GmbH、タウフキルヒェン、独国から市販されている精製化学薬品により得た。
【0069】
貯蔵試験:1リットルポリエチレンボトル中における試料の貯蔵。沈殿物の形成のための目視検査。
【0070】
水分決定は、DIN 51777第1章に従ってKarl−Fischer滴定により実施した。アミンが存在する場合、緩衝は安息香酸を用いて行った。
【0071】
特記のない限り、全てのパーセンテージは重量による。
【0072】
特記のない限り、全ての分析測定は23℃の温度に関する。
【0073】
報告した粘度は、Anton Paar Germany GmbH、オストフィルデルン、独国からの回転式粘度計を用いて23℃でDIN53019に従って、回転式粘度計を用いて決定した。
【0074】
NOC含量は、特記のない限り、DIN−EN ISO 11909に従って容量分析により決定した。
【0075】
報告した粘度は、レーザー相関分光法により決定した(装置:Malvern Zetasizer 1000、Malvern Instr. Limited)。
【0076】
固形分量は、120℃で計量試料を加熱することによって決定した。一定量で、試料を再び計量し、固形分を計算した。
【0077】
遊離NCO基のための監視をIR分光法により実施した(2260cm−1でのバンド)。
【0078】
1)ナノウレア水性分散体の調製
脱イオン水4952g中のトリエチルアミン20.72gの溶液を30℃で強撹拌により820.20gのBayhydur(登録商標)VP LS 2336と混合し、次いで0.32gのIsofoam(登録商標)16と混合し、撹拌を継続した。3時間、6時間および9時間後、さらなる820.20gのBayhydur(登録商標)VP LS 2336を、各時間添加し、次いで、いずれの場合にも0.32gのIsofoam(登録商標)16を添加し、その後、撹拌を30℃で4時間継続した。撹拌を3時間、200mbarの減圧下および30℃で継続した後、得られる分散体を分配した。
【0079】
得られた白色水性分散体は次の特性を有した:
粒度(LCS):83nm
粘度(粘度計、23℃):<50mPa・s
pH(23℃):8.33
【0080】
2)比較例:
アニオン的に親水性化された、交差分枝していない脂肪族ポリエステルポリウレタン分散体からの非水性分散体の調製(分散媒:1,4−ブタンジオール)
上部に設置された蒸留装置を有する撹拌装置に、室温で500gの1,4−ブタンジオールを投入する。125gのImpranil(商標登録) DLN分散体を30分にわたって撹拌しながら液滴状に添加する。撹拌を室温で5時間継続する。次いで、該系を約100mbarおよび75℃で真空にし、水を、上部に設置された蒸留装置によって約3時間にわたって除去する。該手順の過程において、圧力を1mbarにさらに低下する。ゲル状の不均一な混合物を得る。
【0081】
3)比較例
非イオン的に親水性化された、交差分枝していない脂肪族ポリエステルポリウレタン分散体からの非水性分散体の調製(分散媒:1,4−ブタンジオール)
上部に設置された蒸留装置を有する撹拌装置に、室温で500gの1,4−ブタンジオールを投入する。40分にわたって、125gのBayhydur(商標登録) VP LS 2240分散体を撹拌しながら分散体に液滴状に添加する。次いで、該系を約100mbarおよび75℃で真空にし、水を上部に設置された蒸留装置によって約3時間にわたって除去する。該手順の過程において、圧力を1mbarにさらに低下する。撹拌モーターを停止した際、容器の底に定着する塊が生じる。安定性分散体は形成されない。
【0082】
4)比較例
ナノウレア分散体の乾燥、およびそれに続く分散によって実施例1に由来するナノウレア水性分散体から非水性分散体の調製(分散媒:1,4−ブタンジオール、10重量%ナノ粒子)
撹拌装置に、実施例1)に由来する1kgの分散体を室温で投入し、該真空装置を撹拌しながら約50mbarに真空にした。加熱槽の温度を、水がもはや蒸留されなくなるまで100℃に徐々に上昇する。撹拌を、約10mbarでおよび同一温度で約3時間以上継続する。
得られる白色固体50gを取り出し、さらなる撹拌装置中において強撹拌で450gの1,4−ブタンジオールに添加する。室温で2時間撹拌し、次いで120℃に昇温した後でさえ(3時間)均一な混合にならない。冷却し、および撹拌モーターを停止した後、白色固体が定着する。
【0083】
5)比較例
凍結乾燥によるナノウレア分散体の乾燥、およびそれに続く分散によって実施例1に由来するナノウレア水性分散体からの非水性分散体の調製(分散媒:1,4−ブタンジオール、10重量%ナノ粒子)
実施例4に記載の手順を繰り返したが、実施例1に由来する分散体を2リットル丸底フラスコ中の凍結乾燥装置に取り付けられた冷凍槽中において凍結した。
得られる白色固体50gを取り出し、さらなる撹拌装置中において強撹拌で450gの1,4−ブタンジオールに添加する。室温で2時間撹拌し、次いで120℃に昇温した後でさえ(3時間)均一な混合にならない。冷却し、および撹拌モーターの電源を停止した後、白色固体が定着する。
【0084】
6)本発明
実施例1に由来するナノウレア水性分散体からの非水性分散体の調製(分散媒:1,4−ブタンジオール、9重量%ナノ粒子)
実施例2)に記載の手順を繰り返したが、実施例1に由来する128gの分散体をImpranil(登録商標) DLNの代わりに添加する。
【0085】
得られた白色の非水性分散体は以下の特性を有した:
粒度(LCS):136nm
粘度(粘度計、23℃):137mPa・s
含水量(Karl−Fischer):0.076%
【0086】
7)本発明
実施例1に由来するナノウレア水性分散体からの非水性分散体の調製(分散媒:1,4−ブタンジオール、20重量%ナノ粒子)
実施例2)に記載の手順を繰り返したが、実施例1に由来する320gの分散体をImpranil(登録商標) DLNの代わりに添加する。
【0087】
得られた白色の非水性分散体は以下の特性を有した:
粒度(LCS):112nm
粘度(粘度計、23℃):310mPa・s
含水量(Karl−Fischer):0.046%
【0088】
8)本発明
実施例1に由来するナノウレア水性分散体からの非水性分散体の調製(分散媒:1,4−ブタンジオール、29重量%ナノ粒子)
実施例2)に記載の手順を繰り返したが、実施例1に由来する409gの分散体をImpranil(登録商標) DLNの代わりに添加する。
【0089】
得られた白色の非水性分散体は以下の特性を有した:
粒度(LCS):136nm
粘度(粘度計、23℃):741mPa・s
含水量(Karl−Fischer):0.065%
【0090】
9)本発明
上部に設置された蒸留装置を有する撹拌装置に、アジピン酸、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールをベースとする1000gのポリエステルジオール(OH価55mgKOH、酸価最大1mgKOH)を40℃で投入する。40分間にわたって、実施例1に由来する256gの分散体を撹拌しながら液滴状に添加する。次いで、該系を約100mbarおよび80℃で真空にし、水を上部に設置された蒸留装置によって約3時間にわたって除去する。該手順の過程において、圧力を1mbarにさらに低下する。
この結果、室温に冷却すると固化する白色の非水性分散体が得られる。該分散体は、温度上昇により再び液化させることができる。
含水量(Karl−Fischer):0.04%
【0091】
10)本発明
実施例1に由来するナノウレア水性分散体からの非水性分散体の調製(分散媒:ポリエステルポリオール、9重量%ナノ粒子)
上部に設置された蒸留装置を有する撹拌装置に、グリセロール、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドをベースとする900gのポリエーテルポリオール(OH価:35、平均官能価:3)を室温で投入する。70分間にわたって、実施例1に由来する230gの分散体を撹拌しながら液滴状に添加する。撹拌を室温で5時間継続する。次いで、該系を約100mbarに真空にし、水を約3時間にわたって蒸留装置によって蒸留する。その後、約1mbarに減圧し、脱水をさらに5時間、約50℃の反応器温度で実施する。
【0092】
この結果、以下の特性を有する白色の非水性分散体を得た:
粘度(Haake回転式粘度計、23℃):2100mPa・s
粒度(レーザー相関分光法、LCS):647nm
含水量(Karl−Fischer):0.02%
【0093】
11)本発明
実施例1)に由来するナノウレア水性分散体からの非水性分散体の調製(分散媒:イソホロンジアミン、10重量%ナノ粒子)
実施例6)に記載の手順を繰り返すが、500gのブタンジオールの代わりに500gのイソホロンジアミンを添加する。
得られた白色の非水性分散体は以下の特性を有した:
粒度(LCS):91nm
粘度(粘度計、23℃):<50mPa・s
含水量(Karl−Fischer):0.02%
【0094】
12)本発明:
実施例1)に由来するナノウレア水性分散体からの非水性分散体の調製(分散媒:ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)、9重量%ナノ粒子)
上部に設置された蒸留装置を有する撹拌装置に、100℃で300gのヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)を投入する。40分にわたって、77gの実施例1に由来する分散体を撹拌しながら液滴状に添加する。次いで、該系を約50mbarおよび100℃で真空にし、水を約3時間にわたって蒸留装置によって蒸留する。該手順の過程において、温度を160℃に徐々に上昇させた。
この結果、室温に冷却すると固化する非水性分散体を得る。該分散体は温度上昇によって再び液化させることができる。
含水量(Karl−Fischer):0.04%
【0095】
13)本発明:
実施例1)に由来するナノウレア水性分散体からの非水性分散体の調製(分散媒:2−ブトキシエタノール、9重量%ナノ粒子)
上部に設置された蒸留装置を有する撹拌装置に、25℃で900gの2−ブトキシエタノールを投入する。40分にわたって、256gの実施例1に由来する分散体を撹拌しながら液滴状に添加する。次いで、該系を約30mbar、80℃で真空にし、水を約15時間にわたって蒸留装置によって蒸留する。
得られた白色の非水性分散体は以下の特性を有した:
粒度(LCS):93nm
粘度(粘度計、23℃):<100mPa・s
含水量(Karl−Fischer):0.032%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋ナノウレア粒子a)およびイソシアネート基に対して反応性である少なくとも1つの基を有する少なくとも1つの分散媒B)を含んでなり、水画分が分散体A)を基準として0重量%〜5重量%である、ナノウレア分散体A)。
【請求項2】
ナノウレア粒子a)は、水性媒体中において親水性化ポリイソシアネートi)を反応させて、ナノウレア水性分散体A’)を形成することによって得られることを特徴とする、請求項1に記載のナノウレア分散体A)。
【請求項3】
親水性化ポリイソシアネートi)の少なくとも1つのポリイソシアネートは、非イオン的に親水性化する構造単位を含有することを特徴とする、請求項2に記載のナノウレア分散体A)。
【請求項4】
親水性化ポリイソシアネートi)は、1分子あたり平均5〜70個のオキシエチレン基を含有する非イオン的親水性化ポリイソシアネートi)であることを特徴とする、請求項2に記載のナノウレア分散体A)。
【請求項5】
分散媒B)は、ジアミン、ポリアミン、ジオール、ポリオールまたはアルコール基および第1級アミノ基および/または第2級アミノ基だけでなくイソシアネート基に対して反応性である基を含有する化合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のナノウレア分散体A)。
【請求項6】
分散媒B)は、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオールまたはポリエーテルポリオールであることを特徴とする、請求項1に記載のナノウレア分散体A)。
【請求項7】
第1工程において、架橋ナノウレア粒子a)を含むナノウレア水性分散体A’)を、イソシアネート基に対して反応性である少なくとも1つの基を有する少なくとも1つの分散媒B)と混合し、次いで第2工程において、水を混合操作と同時または混合を完了した後に除去することを特徴とする、請求項1に記載のナノウレア分散体A)の製造方法。
【請求項8】
水を、減圧および/または昇温による蒸留によって除去することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
混合物を、水を除去する間に混合し続けることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
分散媒B)を撹拌装置中に投入し、激しく撹拌しながら、ナノウレア水性分散体A’)を液滴状に添加し(計量時間は1分〜10時間である)、次いで系を1時間〜10時間撹拌し、次いで水を蒸留により分散体から除去し、該分散体を減圧により乾燥させることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
添加剤、バインダーまたは助剤もしくはアジュバントを製造するための、請求項1に記載のナノウレア分散体A)の使用。
【請求項12】
請求項1に記載のナノウレア分散体A)を含んでなる、添加剤、バインダーまたは助剤もしくはアジュバント。

【公表番号】特表2010−516877(P2010−516877A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547571(P2009−547571)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000355
【国際公開番号】WO2008/092574
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】