説明

ナノバブル含有磁気活水製造装置およびナノバブル含有磁気活水製造方法

【課題】化学的に安定な物質を効率的に分解し得るナノバブル含有磁気活水の製造装置およびナノバブル含有磁気活水の製造方法を提供する。
【解決手段】液体と気体とを混合およびせん断してマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断部4と、マイクロバブル含有水を更にせん断してナノバブル含有水を作製する第2気体せん断部5と、マイクロバブル含有水またはナノバブル含有水に対して磁場をかける第1磁気活水作製部9と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノバブルを含有する磁気活水を製造するための装置、およびナノバブルを含有する磁気活水を製造するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダイオキシン、有機フッ素化合物(例えば、パーフルオロオクタスルホン酸(PFOS)またはパーフルオロオクタン酸(PFOA)等)は化学的に安定な物質であって、耐熱性および耐薬品性(例えば、耐酸性)に優れている。それゆえ、例えば有機フッ素化合物は、界面活性剤、または半導体製造における反射防止膜等の産業用材料として広く用いられている。しかしながら、有機フッ素化合物が広く用いられれば用いられるほど、有機フッ素化合物が自然界に放出される可能性が増加する。上述したように、有機フッ素化合物は化学的に安定な物質であるが故に、一度自然界に放出されれば、深刻な環境汚染の原因となり得る。例えば、北極熊、アザラシおよび鯨の体内から有機フッ素化合物が検出されており、有機フッ素化合物による環境汚染が国際的に深刻化しつつあることが明らかになっている。
【0003】
それゆえ、環境汚染を防止するために、産業用材料として用いられた後の有機フッ素化合物を処理(例えば、回収および分解)するための様々な装置および方法の開発が進められている。
【0004】
例えば、有機フッ素化合物等を含有する水の浄化設備として、生物学的処理設備(例えば各種微生物槽)、または物理学的処理設備(例えば活性炭吸着塔、急速濾過装置)が従来から用いられている。上記生物学的処理設備の場合、微生物の代謝経路中に有機フッ素化合物が取り込まれ、当該代謝経路中で、有機フッ素化合物が分解される。一方、物理学的処理設備の場合、有機フッ素化合物を例えば活性炭に吸着させた後、当該活性炭から有機フッ素化合物を回収している。
【0005】
また、有機フッ素化合物を含有する廃水を加熱処理することによって、有機フッ素化合物を熱分解する方法も従来から用いられている。
【0006】
ところで、従来から、小さな直径を有する気泡(バブル)には様々な生理作用があることが知られており、現在、このような気泡を作製する技術およびその効果に対する研究が進みつつある。そして、上記気泡を用いて、様々な有機物を分解しようとする試みもなされている。
【0007】
上記気泡は、その直径に応じて、マイクロバブル、マイクロナノバブルおよびナノバブルに分類することができる。具体的には、マイクロバブルは、その発生時において10μm〜数十μmの直径を有する気泡であり、マイクロナノバブルは、その発生時において数百nm〜10μmの直径を有する気泡であり、ナノバブルは、その発生時において数百nm以下の直径を有する気泡である。なお、マイクロバブルは、発生後の収縮運動によって、その一部がマイクロナノバブルに変化することがある。また、ナノバブルは、長期に渡って液体中に存在することができるという性質を有している。
【0008】
例えば、従来から、様々なナノバブルの利用方法、およびナノバブルを利用した各種装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。より具体的には、特許文献1には、ナノバブルが、浮力の減少、表面積の増加、表面活性の増大、局所高圧場の生成、または静電分極の実現によって、界面活性作用および殺菌作用を示すことが記載されている。更に、特許文献1には、ナノバブルが有する界面活性作用および殺菌作用を用いて、各種物体を洗浄する技術および汚濁水を浄化する技術が記載されている。更に、特許文献1には、ナノバブルを用いて生体の疲労を回復する方法が記載されている。なお、特許文献1では、水を電気分解するとともに、当該水に超音波振動を加えることによって、ナノバブルを作製している。
【0009】
また、従来から、液体を原料としてナノバブルを作製する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。上記作製方法は、液体中において、1)上記液体の一部を分解ガス化する工程、2)上記液体に超音波を印加する工程、または3)上記液体の一部を分解ガス化する工程および上記液体に超音波を印加する工程、からなるものである。なお、液体の一部を分解ガス化する工程として、電気分解法または光分解法を用いることができることが記載されている。
【0010】
また、従来から、オゾンガスからなるマイクロバブル(オゾンマイクロバブル)を利用する廃液処理装置が用いられている(例えば、特許文献3参照)。上記廃液処理装置では、オゾン発生装置によって作製されたオゾンガスと廃液とを、加圧ポンプを用いて混合することによって、オゾンガスからなるマイクロバブルを作製している。そして、当該マイクロバブルが廃液中の有機物と反応することによって、廃液中の有機物が酸化分解される。
【特許文献1】特開2004−121962号公報(平成16年4月22日公開)
【特許文献2】特開2003−334548号公報(平成15年11月25日公開)
【特許文献3】特開2004−321959号公報(平成16年11月18日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の装置および方法では、化学的に安定な物質(例えば、有機フッ素化合物)を効率的に分解することができないという問題点を有している。
【0012】
例えば、上記生物学的処理設備を用いる場合、有機フッ素化合物を効率的に分解することができる微生物が存在しない。したがって、大量の有機フッ素化合物を処理することができないという問題点を有している。
【0013】
また、上記物理学的処理設備を用いる場合、例えば活性炭を頻繁に交換することが必要であるため作業が煩雑であるという問題点を有するとともに、活性炭を再生するために多くのコストを必要とするという問題点を有している。また、上記物理学的処理設備は、基本的に有機フッ素化合物を回収するための設備であって、有機フッ素化合物を分解するための設備ではない。したがって、上記物理学的処理設備を用いる場合、有機フッ素化合物を分解するための更なる設備(例えば、加熱装置)を必要とするという問題点を有している。
【0014】
また、有機フッ素化合物を含有する廃水を加熱処理する場合、有機フッ素化合物は熱に安定であるので、約1000℃以上に加熱して熱分解させる必要がある。したがって、有機フッ素化合物を含有する廃水を加熱処理する場合、当該廃水を高温に加熱するための更なる設備を必要とするとともに、多量の燃料を必要とするという問題点を有している。また、加熱処理の過程で多くの二酸化炭素を自然界に排出するので、地球温暖化を招くという問題点を有している。
【0015】
また、上記気泡を用いる場合、気泡によって多様な有機物を分解することができるが、有機フッ素化合物のような化学的に安定な物質に関しては、効率的に分解することができない。したがって、大量の有機フッ素化合物を処理することができないという問題点を有している。
【0016】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、化学的に安定な物質を効率的に分解し得るナノバブル含有磁気活水の製造装置およびナノバブル含有磁気活水の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、以下の1)〜5)を見出し、本発明を完成させるに至った。つまり、
1)ナノバブル含有磁気活水は、ナノバブル含有水よりも大きなマイナス電荷を有し、それゆえ、ナノバブル含有磁気活水は、強い酸化力を有すること、
2)ナノバブル含有磁気活水は、磁力とナノバブルとの相乗効果によって、ナノバブル含有水よりも格段に多くの不安定なフリーラジカルを発生する。その結果、ナノバブル含有磁気活水は、強い酸化力を有すること、
3)ナノバブル含有磁気活水は、ナノバブル含有水よりも強い酸化力を有する。それゆえ、ナノバブル含有磁気活水は、難分解性の有機フッ素化合物を効率的に酸化分解し得ること、
4)難分解性の有機フッ素化合物を完全に処理するためには、まず、難分解性の物質(例えば、有機フッ素化合物)をナノバブル含有磁気活水にて酸化分解(1次処理)し、その後、例えば活性炭に吸着(2次処理)することが有効であること、
5)ナノバブル含有磁気活水は、ナノバブル含有水よりも微生物を活性化するので、微生物を用いた廃水処理に有効であること。
【0018】
本発明のナノバブル含有磁気活水製造装置は、液体と気体とを混合およびせん断してマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断部と、前記マイクロバブル含有水を更にせん断してナノバブル含有水を作製する第2気体せん断部と、前記マイクロバブル含有水または前記ナノバブル含有水に対して磁場をかける磁気活水作製手段と、を有することを特徴としている。
【0019】
上記構成によれば、上記第1気体せん断部によってマイクロバブル含有水を作製することができるとともに、当該マイクロバブル含有水を用いて、上記第2気体せん断部によってナノバブル含有水を作製することができる。つまり、一連の連続した工程によって、効率よくナノバブル含有水を作製することができる。また、上記構成によれば、マイクロバブル含有水またはナノバブル含有水に対して磁場をかけるので、最終産物であるナノバブル含有水を磁気活水にすることができる。換言すれば、最終産物であるナノバブル含有水に、磁気活水としての活性(磁気活性)を備えさせることができる。つまり、ナノバブル含有磁気活水に、ナノバブルによって発生されるフリーラジカルが有する酸化能力と、磁気活水中に発生する活性酸素が有する酸化能力の両方を備えさせることができる。
【0020】
マイクロバブルとナノバブルとは、共にフリーラジカルを発生するが、マイクロバブルは水中に数時間程度存在するのに対し、ナノバブルは水中に1週間以上存在することができる。したがって、ナノバブルを用いれば、ナノバブルによって発生されるフリーラジカルが有する酸化能力を、1週間以上持続することができる。すなわち、ナノバブル含有磁気活水は、フリーラジカルが有する酸化能力と、磁気活水中に発生する活性酸素が有する酸化能力との両方を、1週間以上持続することができる。
【0021】
本発明のナノバブル含有磁気活水製造装置では、前記磁気活水作製手段には、第1配管を介してマイクロバブル含有水またはナノバブル含有水が供給されており、前記第1配管には、当該第1配管の少なくとも一部の内腔横断面の大きさを変化させ得る配管径調節手段が設けられていることが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、上記配管径調節手段によって、第1配管の少なくとも一部の領域において配管内腔の横断面の大きさを変化させることができる。その結果、第1配管を介して上記磁気活水作製手段に供給されるマイクロバブル含有水またはナノバブル含有水の量を調節することができる。つまり、上記磁気活水作製手段によって磁気がかけられているときのマイクロバブル含有水またはナノバブル含有水の流速を調節することができるとともに、上記磁気活水作製手段によって磁気がかけられているときのマイクロバブル含有水またはナノバブル含有水の流れを乱流ではなく相流にすることができる。
【0023】
効率よく磁気活水を作製するためには磁場がかけられる液体の流速を調節する必要がある。したがって、上記構成によれば、効率よく磁気活水を作製することができる。また、マイクロバブル含有水またはナノバブル含有水の流れが相流であれば、マイクロバブル含有水またはナノバブル含有水に対して均等に磁場をかけることができる。その結果、効率的に磁気活水を作製することができる。
【0024】
本発明のナノバブル含有磁気活水製造装置では、前記磁気活水作製手段は、磁石のS極として機能する第1面と磁石のN極として機能する第2面とが対向するように配置された流路を備え、前記流路中を、前記マイクロバブル含有水または前記ナノバブル含有水が通過することが好ましい。
【0025】
上記構成によれば、上記磁気活水作製手段は、磁石のS極として機能する第1面と磁石のN極として機能する第2面とが対向するように配置された流路を有している。したがって、当該流路中をマイクロバブル含有水またはナノバブル含有水を通過させることによって、マイクロバブル含有水またはナノバブル含有水に磁場をかけることができる。そして、その結果、マイクロバブル含有水またはナノバブル含有水を磁気活水にすることができる。換言すれば、マイクロバブル含有水またはナノバブル含有水に、磁気活水としての活性を備えさせることができる。
【0026】
本発明のナノバブル含有磁気活水製造装置では、前記第1面と前記第2面との間隔は、30mm以下であることが好ましい。
【0027】
上記構成によれば、上記流路中を通過しているマイクロバブル含有水またはナノバブル含有水に均等に磁場をかけることができる。その結果、より効率的に、マイクロバブル含有水またはナノバブル含有水を磁気活水にすることができる。
【0028】
本発明のナノバブル含有磁気活水製造装置は、前記第1気体せん断部に対して、1.2リットル/分以下にて前記気体を供給するための気体量調節手段を有することが好ましい。
【0029】
上記構成によれば、上記気体量調節手段によって、第1気体せん断部に対して1.2リットル/分以下にて気体を供給することができる。そして、後述する実施例にも明記しているように、上記割合にて第1気体せん断部に気体を供給すれば、多量のナノバブルを作製することができる。
【0030】
本発明のナノバブル含有磁気活水製造装置では、前記第1気体せん断部の内部の横断面は、楕円形または真円形であることが好ましい。
【0031】
上記構成によれば、上記第1気体せん断部の内部の横断面の形状が、楕円形または真円形であるので、上記気体と上記液体との混合物は、上記第1気体せん断部の内部表面に沿って回転運動を行うことができる。つまり、旋回乱流が起こらないような状態で、上記第1気体せん断部の内部にて、上記気体と上記液体との混合物を高速にて回転運動させることができる。その結果、効率よく気体をせん断することができるので、第1気体せん断部にて、多量のマイクロバブルを作製することができる。そして、第1気体せん断部にて多量のマイクロバブルを作製することができれば、第2気体せん断部にて、当該マイクロバブルから多量のナノバブルを作製することができる。
【0032】
本発明のナノバブル含有磁気活水製造装置では、前記第1気体せん断部の内部表面には、2本以上の溝が設けられることが好ましい。
【0033】
上記構成によれば、上記第1気体せん断部の内部表面に溝を形成することによって、上記第1気体せん断部の内部にて上記気体と上記液体との混合物を回転運動させた場合に、旋回乱流が生じることを防止することができる。その結果、第1気体せん断部にて、多量のマイクロバブルを作製することができる。そして、第1気体せん断部にて多量のマイクロバブルを作製することができれば、第2気体せん断部にて、当該マイクロバブルから多量のナノバブルを作製することができる。
【0034】
本発明のナノバブル含有磁気活水製造装置では、前記溝の深さは、0.3mm〜0.6mmであり、前記溝の幅は、0.8mm以内であることが好ましい。
【0035】
上記構成によれば、より確実に旋回乱流が生じることを防止することができる。
【0036】
本発明のナノバブル含有磁気活水製造装置では、前記第1気体せん断部には、第2配管を介して前記液体が供給されるとともに、第3配管を介して前記マイクロバブル含有水が吐出され、前記第2配管の内腔の横断面の面積は、前記第3配管の内腔の横断面の面積よりも大きいことが好ましい。
【0037】
上記構成によれば、多量のマイクロバブルを作製することができるとともに、当該マイクロバブルを用いて多量のナノバブルを作製することができる。一般的に上記第1気体せん断部にて安定にマイクロバブルを作製するためには、上記第1気体せん断部からのマイクロバブル含有水の吐出圧力を高める必要がある。そこで、液体を上記第1気体せん断部に供給するための第2配管の内腔における横断面の面積を、マイクロバブル含有水を上記第1気体せん断部から吐出するための第3配管の内腔における横断面の面積よりも大きくすれば(換言すれば、上記マイクロバブル含有水の吐出口を上記液体の供給口よりも小さくすれば)、上記第1気体せん断部からのマイクロバブル含有水の吐出圧力を高めることができる。その結果、上記第1気体せん断部にて多量のマイクロバブルを作製することができる。そして、第1気体せん断部にて多量のマイクロバブルを作製することができれば、当該マイクロバブルを用いて、第2気体せん断部にて多量のナノバブルを作製することができる。
【0038】
本発明のナノバブル含有磁気活水製造装置では、前記第1気体せん断部の内部には、第4配管を介して前記気体が供給され、前記第4配管は、前記第1気体せん断部の内側面に対して18度の角度(換言すれば、第1気体せん断部の内側面への入射角度が18度)をなすように、前記第1気体せん断部に接続されていることが好ましい。なお、上記18度の値は入射最適角度であって、入射角度が略18度であればよい。具体的には、上記入射角度は、17度〜19度であることが好ましい。
【0039】
上記構成によれば、実験結果から判断して、入射角度が18度であることによって気体と液体との効率の良い高速せん断が起こり、多量のマイクロバブルを作製することができる。すなわち、上記第1気体せん断部によって多量のマイクロバブルを作製することができる。そして、当該マイクロバブルを用いれば、第2気体せん断部にて多量の名のナノバブルを作製することができる。
【0040】
本発明のナノバブル含有磁気活水製造装置では、前記第1気体せん断部の隔壁の厚さは、6mm〜12mmであることが好ましい。
【0041】
上記構成によれば、第1気体せん断部の隔壁が厚く形成されているので、第1気体せん断部が振動することがない。つまり、第1気体せん断部の内部にて上記気体と上記液体との混合物が旋回しても、それによって第1気体せん断部が振動することがない。したがって、第1気体せん断部の内部で旋回している上記混合物の運動エネルギーが、振動として外部(例えば、外部気体)に伝播して失われることがないので、上記混合物を高速で回転運動させることができる。その結果、上記第1気体せん断部にて、効率よくマイクロバブルを作製することができる。
【0042】
本発明のナノバブル含有磁気活水製造装置は、前記磁気活水作製手段によって磁場がかけられた前記マイクロバブル含有水または前記ナノバブル含有水を更にせん断する第3気体せん断部を有することが好ましい。
【0043】
上記構成によれば、最終的に作製されるナノバブル含有磁気活水中に含まれるナノバブルのサイズを小さくすることができるとともに、最終的に作製されるナノバブル含有磁気活水中に含まれるナノバブルの量を増加させることができる。その結果、ナノバブル含有磁気活水の酸化能力を上昇させることができる。
【0044】
本発明のナノバブル含有磁気活水製造方法は、上記課題を解決するために、液体と気体とを混合およびせん断してマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断工程と、前記マイクロバブル含有水を更にせん断してナノバブル含有水を作製する第2気体せん断工程と、前記マイクロバブル含有水または前記ナノバブル含有水に磁場をかける磁気活水作製工程と、を有することを特徴としている。
【0045】
上記構成によれば、上記第1気体せん断工程によってマイクロバブル含有水を作製することができるとともに、当該マイクロバブル含有水を用いて、上記第2気体せん断工程によってナノバブル含有水を作製することができる。つまり、一連の連続した工程によって、効率よくナノバブル含有水を作製することができる。また、上記構成によれば、マイクロバブル含有水またはナノバブル含有水に対して磁場をかける磁気活水作製工程を有しているので、最終産物であるナノバブル含有水を磁気活水にすることができる。換言すれば、最終産物であるナノバブル含有水に、磁気活水としての活性を備えさせることができる。つまり、ナノバブル含有磁気活水に、ナノバブルによって発生されるフリーラジカルが有する酸化能力と、磁気活水中に発生する活性酸素が有する酸化能力の両方を備えさせることができる。
【0046】
本発明のナノバブル含有磁気活水製造方法では、前記第1気体せん断工程は、前記液体をポンプにて攪拌する液体攪拌工程と、前記攪拌されている液体に対して前記気体を加える気体混合工程と、を有し、前記気体混合工程では、前記ポンプの出力が最大値に達した時点以降に、前記気体が前記液体に対して加えられることが好ましい。
【0047】
上記構成によれば、上記ポンプが気体によって損傷することを防止することができる。つまり、キャビテーションの発生によるポンプの損傷を防止することができる。その結果、上記第1気体せん断工程において、多量のマイクロバブルを作製することができる。そして、上記第2気体せん断工程にて、当該多量のマイクロバブルから多量のナノバブルを作製することができる。
【0048】
本発明のナノバブル含有磁気活水製造方法では、前記気体混合工程では、前記ポンプの動作開始時から60秒後以降に、前記気体が前記液体に対して加えられることが好ましい。
【0049】
上記構成によれば、上記ポンプの出力が確実に最大値に達しているので、上記第1気体せん断工程にて多量のマイクロバブルを作製することができるとともに、上記第2気体せん断工程にて多量のナノバブルを作製することができる。
【0050】
本発明のナノバブル含有磁気活水製造方法では、前記液体は、上水、廃水、浴槽水、培養液または原油であることが好ましい。
【0051】
上記構成によれば、上水、廃水、浴槽水、培養液または原油中にナノバブルを発生させることができるとともに、これら液体に磁気活性を付与することができる。その結果、これら液体を酸化処理すると同時に、これらの液体にナノバブルを含有させることができる。
【0052】
本発明のナノバブル含有磁気活水製造方法は、前記磁気活水作製工程において磁場がかけられた前記マイクロバブル含有水または前記ナノバブル含有水を更にせん断する第3気体せん断工程を有することが好ましい。
【0053】
上記構成によれば、最終的に作製されるナノバブル含有磁気活水中に含まれるナノバブルのサイズを小さくすることができるとともに、最終的に作製されるナノバブル含有磁気活水中に含まれるナノバブルの量を増加させることができる。その結果、ナノバブル含有磁気活水の酸化能力を上昇させることができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明のナノバブル含有磁気活水製造装置は、以上のように、液体と気体とを混合およびせん断してマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断部と、前記マイクロバブル含有水を更にせん断してナノバブル含有水を作製する第2気体せん断部と、前記マイクロバブル含有水または前記ナノバブル含有水に対して磁場をかける磁気活水作製手段と、を有するものである。
【0055】
また、本発明のナノバブル含有磁気活水製造方法は、以上のように、液体と気体とを混合およびせん断してマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断工程と、前記マイクロバブル含有水を更にせん断してナノバブル含有水を作製する第2気体せん断工程と、前記マイクロバブル含有水または前記ナノバブル含有水に磁場をかける磁気活水作製工程と、を有する方法である。
【0056】
それゆえ、本願発明の装置および方法によって作製されるナノバブル含有磁気活水は、強力な酸化作用を有するので、化学的に安定な物質を効率的に分解することができるという効果を奏する。
【0057】
本願発明の装置および方法によって作製されるナノバブル含有磁気活水は、廃水等の処理水をナノバブル含有磁気活水とするだけで、当該処理水を容易に酸化処理することができる。その結果、従来は活性炭を用いて行っていた処理水の脱色等の処理を、活性炭を用いずに容易に行うことができるという効果を奏する。
【0058】
また、活性炭を併用した場合には、ナノバブル含有磁気活水が、活性炭の小孔に進入する。その結果、既に活性炭に吸着した有機物を酸化分解しすることができるとともに、活性炭に繁殖した微生物を強力に活性化することによって、活性炭が吸着した有機物を微生物によって分解することができる。それゆえ、一度吸着能力がなくなった活性炭(一般に活性炭が破過したという)の吸着能力を、復活させることができるという効果を奏する。
【0059】
また、処理水中の有機物を強力に酸化することができるので、従来の技術では化学的酸素要求量を低減することが困難な処理水においても、化学的酸素要求量を低減できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0061】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置は、ナノバブルを含有する磁気活水を作製することができる。なお、本明細書において「ナノバブル」とは、その発生時において数百nm以下の直径を有する気泡が意図される。また、本明細書において「磁気活水」とは、例えば人工的に作り出された磁場中に水を通過させることにより、磁界のエネルギーによって活性化された液体(例えば、水)が意図される。また、本明細書において「磁気活性」とは、磁力線の作用によって、液体(例えば、水)が備える活性が意図される。
【0062】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置17は、槽1、ナノバブル発生機47、第1磁気活水作製部9(磁気活水作製手段)、および第1配管径調節部34(配管径調節手段)を備えている。以下に、各構成について説明することにする。
【0063】
まず、槽1について説明する。
【0064】
槽1は、ナノバブル含有磁気活水を作製するための材料の1つである液体を貯蔵するための空間として用いられるとともに、作製されたナノバブル含有磁気活水が吐出されるス空間としても用いられる。なお、作製されたナノバブル含有磁気活水を吐出するための空間としては、槽1とは別の槽(図示せず)を用いることも可能である。
【0065】
槽1は、液体を少なくとも一時的に保持することができるものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。適宜目的に応じて、槽1の大きさおよび材質を選択することができる。
【0066】
上述したように、槽1の内部には、ナノバブル含有磁気活水を作製するための液体が貯蔵されている。上記液体としては特に限定されず、目的に応じて液体の種類を選択することができる。例えば、上記液体としては、上水、廃水(例えば、有機フッ素化合物含有廃水など)、浴槽水(例えば、治療用浴槽水)、再利用水、培養液(例えば、微生物または細胞の培養液、魚等の養殖に用いる水、植物の栽培に用いる水など)、薬品、化粧品、有機溶剤、重油、原油、またはバイオエタノールなどを用いることができるがこれらに限定されない。本実施の形態のナノバブル含有磁気活水であれば、これら液体中に含まれる化学的に安定な物質を効率的に分解することができる。
【0067】
次いで、ナノバブル発生機47について説明する。
【0068】
上記ナノバブル発生機47は、配管2、気液混合循環ポンプ3(ポンプ)を有する第1気体せん断部4、第2気体せん断部5、第3気体せん断部14、配管7(第4配管)および電動ニードルバルブ8(気体量調節手段)を備えている。
【0069】
上記第1気体せん断部4には配管2および配管7が接続されている。そして、上記配管2を介して第1気体せん断部4に液体が供給されるとともに、上記配管4を介して第1気体せん断部4に気体が供給される。そして、上記第1気体せん断部4の中で上記液体と上記気体とが混合およびせん断されて、その結果、マイクロバブル含有水が作製される。
【0070】
上記第1気体せん断部4内への液体の供給は、気液混合循環ポンプ3を動作させることによって行われる。また、上記第1気体せん断部4内への気体の供給、および気体の供給量の調節は、電動ニードルバルブ8の開閉動作によって調節されている。
【0071】
上記電動ニードルバルブ8の開閉動作のタイミングは特に限定されない。例えば、まず上記気液混合循環ポンプ3の運転を開始することによって上記第1気体せん断部4内に液体を導入するとともに当該液体を攪拌させる(液体攪拌工程)。その後、上記気液混合循環ポンプ3の出力が最大値に達した時点以降に上記電動ニードルバルブ8を開いて、これによって上記第1気体せん断部4内に気体を供給する(気体混合工程)ことが好ましい。また、上記気液混合循環ポンプ3の運転を開始してから60秒後以降に上記電動ニードルバルブ8を開いて、これによって上記第1気体せん断部4内に気体を供給する(気体混合工程)ことが、より好ましい。
【0072】
上記気液混合循環ポンプ3の運転開始時に上記電動ニードルバルブ8を開くことも可能であるが、この場合、気液混合循環ポンプ3がキャビテーション現象を起し、その結果、気液混合循環ポンプ3が損傷する恐れがある。しかしながら、上記構成であれば、気液混合循環ポンプ3がキャビテーション現象を起すことを防止することができるので、その結果、気液混合循環ポンプ3が破損することを防ぐことができる。
【0073】
上記電動ニードルバルブ8を開くことによって上記第1気体せん断部4内に供給される気体の量は特に限定されない。例えば、上記第1気体せん断部4に対して、1.2リットル/分以下にて気体を供給することが好ましい。後述する実施例にも明記しているが、上記構成であれば、効率よく多量のナノバブル含有水を作製することができる。
【0074】
図1に示すように、第1気体せん断部4には配管7(第4配管)を介して気体が供給される。上記配管7を1気体せん断部4へ接続させる場合、上記第1気体せん断部4上における配管7の接続位置、および上記第1気体せん断部4に対する配管7の接続角度等は特に限定されない。
【0075】
例えば、図11に、横断面の形状が円である場合の第1気体せん断部4の横断面を示す。なお、図11における矢印は、気体・液体混合物(マイクロバブル含有水)の回転運動(旋回運動)の方向を示している。このとき、図11に示すように、配管7は上記第1気体せん断部4の側面に接続されるとともに、上記第1気体せん断部4の内側面(換言すれば、第1気体せん断部4の内面に対する接線)に対して略18度の角度をなすように接続されることが好ましい。換言すれば、配管7の接続箇所における局所を考えた場合、配管7は、上記気体・液体混合物の運動方向に対して18度の角度をなすように第1気体せん断部4の内側面に接続されることが好ましい。
【0076】
マイクロバブルを効率的に作製するためには、効率的に気体をせん断する必要がある。このとき、液体を超高速回転させて負圧部を形成させ、当該負圧部に気体を導入する。そして、気体と液体の回転速度の差により、効率的に気体をせん断させている。本願発明者らは、気体の取り込み角度、すなわち、第1気体せん断部4中の液体に対する気体の入射角度によって、気体をせん断させる効率が変化することを見出した。この場合、上記入射角度が18度であるときが、最も気体のせん断効率が高く、それゆえ、最も多くのマイクロバブルを作製することができる。
【0077】
次いで、ナノバブル発生機47によってナノバブル含有水が作製される工程について説明する。なお、ナノバブル含有水は、大まかに言えば2つの工程(第1気体せん断工程および第2気体せん断工程)を経て製造される。以下に、第1気体せん断工程および第2気体せん断工程について更に詳細に説明する。
【0078】
〔第1気体せん断工程〕
第1気体せん断工程では、気体と液体とから、マイクロバブル含有水が作製される。
【0079】
第1気体せん断工程では、上記第1気体せん断部4において、気液混合循環ポンプ3を用いて気体と液体との混合物の圧力が流体力学的に制御されるとともに、負圧部に対して気体が吸入される。なお、「負圧部」とは、気体と液体との混合物の中で周りと比較して圧力が小さな領域を意図する。そして、上記混合物を高速流体運動させて負圧部を形成しながら気体をせん断することによって、微細なマイクロバブルを発生させる。換言すれば、液体と気体とを効果的に自給混合溶解するとともに、圧送する。これによって、より微細なマイクロバブルを含有するマイクロバブル含有水を形成することができる。
【0080】
上記気液混合循環ポンプ3としては特に限定されないが、揚程40m以上(4kg/cmの圧力)の高揚程のポンプであることが好ましい。また、気液混合循環ポンプ3としてはトルクが安定している2ポールのポンプを用いることが好ましい。上記構成によれば、第1気体せん断部4内のマイクロバブル含有水に対して所望の圧力を加えることが可能であり、その結果、マイクロバブル含有水に含まれるマイクロバブルをより微細にせん断することができる。
【0081】
また、気液混合循環ポンプ3では、ポンプの圧力が制御されていることが好ましい。例えば、気液混合循環ポンプ3の回転数が、インバーター等の回転制御部(図示せず)によって制御されていることが好ましい。なお、上記回転制御部は、更にシーケンサー(図示せず)によって制御され得る。上記構成によれば、上記第1気体せん断部4の中のマイクロバブル含有水に対して所望の圧力を加えることが可能となり、その結果、マイクロバブル含有水に含まれるマイクロバブルを所望のサイズに揃えることができる。
【0082】
上記第1気体せん断部4の材料は特に限定されないが、ステンレス、プラスチック、または樹脂であることが好ましい。上記材料の中では、ステンレスが最も好ましい。上記構成によれば、マイクロバブル含有水中に不純物が混入することを防止することができるとともに、第1気体せん断部4が振動することを防止することができる。
【0083】
また、上記第1気体せん断部4の厚さ(隔壁の厚さ)は特に限定されないが、6mm〜12mmであることが好ましい。一般的に、第1気体せん断部4の厚さが薄ければ、第1気体せん断部4中のマイクロバブル含有水の運動によって、第1気体せん断部4が振動する。つまり、マイクロバブル含有水の運動エネルギーが振動として外部に伝播して失われるので、マイクロバブル含有水の高速流動運動が低下し、その結果、せん断エネルギーが低下する。しかしながら、上記構成によれば、第1気体せん断部4の振動を防ぐことかできるので、効率よくマイクロバブルを作製することができる。
【0084】
次いで、気液混合循環ポンプ3を有する第1気体せん断部4がマイクロバブルを発生させるメカニズムについて詳細に説明する。
【0085】
まず、上記第1気体せん断部4において、マイクロバブル含有水の構成成分である液体と気体とからなる混相旋回流を発生させる。具体的には、インペラと呼ばれる羽を超高速で回転させて、液体と気体とからなる混相旋回流を発生させる。このとき、第1気体せん断部4の中心部には、高速旋回する気体空洞部が形成される。
【0086】
次いで、上記気体空洞部を圧力によって竜巻状に細くして、より高速で旋回する回転せん断流を発生させる。このとき、上記気体空洞部に対しては、当該気体空洞部の負圧を利用して、気体を自動的に供給させる。そして、さらにマイクロバブルを切断・粉砕しながら混相旋回流を回転させる。なお、上記切断・粉砕は、第1気体せん断部4の出口内外における気液二相流体の回転速度の差によって生じる。なお、上記回転速度の差は、500〜600回転/秒であることが好ましい。
【0087】
すなわち、第1気体せん断部4において、気液混合循環ポンプ3によってマイクロバブル含有水を高速流体運動させることによって負圧部を形成するとともに、流体力学的にマイクロバブル含有水の圧力を制御することによって上記負圧部に対して気体を供給している。その結果、第1気体せん断部4では、マイクロバブルを発生させることができる。換言すれば、気液混合循環ポンプ3を用いて液体と気体とを効果的に自給混合溶解しながら圧送することによりマイクロバブル含有水を製造することができる。
【0088】
上記第1気体せん断部4の内腔の横断面の形状は特に限定されないが、楕円形であることが好ましく、真円形であることが最も好ましい。また、上記第1気体せん断部4の内腔表面は、鏡面仕上げによって形成されていることが好ましい。上記構成によれば、第1気体せん断部4の内部表面の摩擦が小さいので、気体と液体との混合物を高速旋回させることができるとともに、気体を効率良くせん断することができる。その結果、多くの微細なマイクロバブルを発生させることができるとともに、最終的に多くのナノバブルを発生させることができる。
【0089】
また、第1気体せん断部4の内部表面(内腔表面)には、溝が設けられていることが好ましい。また、上記溝の数は特に限定されないが、2本以上設けられていることが好ましい。また、上記溝は、第1気体せん断部4の内部表面上に形成された凹形状を有するものであればよく、その形状は特に限定されない。例えば、上記溝は、深さ略0.3mm〜0.6mm、幅略0.8mm以内であることが好ましい。上記構成によれば、第1気体せん断部4内の液体と気体との混合物の旋回乱流の発生を制御することができるので、多くの微細なマイクロバブルを発生させることができるとともに、最終的に多くのナノバブルを発生させることができる。
【0090】
また、上記第1気体せん断部4へは、配管2を介して液体が供給され、配管51を介してマイクロバブル含有水が吐出されている。このとき、上記液体を供給する配管(第2配管)の内腔の横断面の面積は、マイクロバブル含有水を吐出する配管(第3配管)の内腔の横断面の面積よりも大きいことが好ましい。上記構成によれば、マイクロバブル含有水の吐出圧力を高めることができるので、安定的にマイクロバブルを発生させることができる。
【0091】
〔第2気体せん断工程〕
第2気体せん断工程では、上記第1気体せん断工程にて作製されたマイクロバブル含有水からナノバブル含有水が作製される。更に詳細には、上記第1気体せん断部4によって作製されたマイクロバブル含有水を第2気体せん断部5にて更にせん断して、これによって、ナノバブル含有水を作製している。
【0092】
なお、必要に応じて第3気体せん断部14を更に備えることができる。第3気体せん断部14を備えれば、第2気体せん断部5によって作製されたナノバブルの大きさを更に小さくすることができるとともに、ナノバブルの量を増加させることができる。上記第3気体せん断部14の設置位置としては特に限定されない。例えば、後述する第1磁気活水作製部9よりも下流側に設置することも可能であり、第1磁気活水作製部9よりも上流側に設置することも可能である。
【0093】
上記気液混合循環ポンプ3によって、マイクロバブル含有水が第1気体せん断部4から第2気体せん断部5へ、さらには第3気体せん断部14へ圧送される。マイクロバブル含有水が第1気体せん断部4から第2気体せん断部5へ、さらには第3気体せん断部14へへと配管を介して圧送される場合には、マイクロバブル含有水が圧送される方向に向かって、徐々にまたは段階的に配管の直径が小さくなることが好ましい。上記構成によれば、マイクロバブル含有水をより高速で流体運動しながら竜巻状に細くすることができる。換言すれば、より高速で旋回する回転せん断流を発生させることができる。その結果、マイクロバブルからナノバブルを効率よく発生させることができるとともに、ナノバブル含有水中に超高温の極限反応場を形成することができる。
【0094】
上記極限反応場が形成されると、ナノバブル含有水が局部的に高温高圧状態となり、当該局所にて不安定なフリーラジカルができるとともに、同時に熱が発生される。フリーラジカルは不対電子を有する原子または分子であって、他の原子または分子から電子を奪い取って安定化しようとする。それゆえ、フリーラジカルを含むナノバブル含有水は、強い酸化力を示すことになる。したがって上記構成によれば、フリーラジカルの作用によって、有機物などを酸化分解することができる。
【0095】
また、第2気体せん断部5および第3気体せん断部14は、ステンレス、プラスチック、または樹脂によって形成されていることが好ましい。上記構成によれば、ナノバブル含有水の使用目的に応じて、上記第2気体せん断部5および第3気体せん断部14の材料を選択することができる。例えば、製薬業界では、薬に不純物が混入することを避ける必要がある。この場合、上記構成であれば、第2気体せん断部5および第3気体せん断部14の材料が混入する可能性が低いので、製造されたナノバブル含有水を医薬品の製造、すなわち製薬に使用することができる。
【0096】
また、第2気体せん断部5および第3気体せん断部14の内腔の横断面の形状は、楕円形であることが好ましく、真円形であることが最も好ましい。上記構成によれば、第2気体せん断部5および第3気体せん断部14の内部表面の抵抗(摩擦)が小さいので、マイクロバブル含有水を高速旋回させることができるとともに、マイクロバブル含有水を効率良くせん断することができ、その結果、多くのナノバブルを発生させることができる。
【0097】
また、第2気体せん断部5および第3気体せん断部14には、サイズおよび形が規定された小孔が開いていることが好ましい。上記小孔の開口の直径は特に限定されないが、4mm〜9mmであることが好ましい。上記構成によれば、上記第2気体せん断部5および第3気体せん断部14の内部におけるバブル含有水の旋回運動を制御することができる。つまり、上記構成によれば、上記第2気体せん断部および第3気体せん断部の内部の旋回乱流の発生を制御することができる。その結果、第2気体せん断部および第3気体せん断部によって、安定にナノバブルを発生させることができる。なお、上記小孔の具体的サイズは、ポンプの吸引最大値、モーター出力値、およびポンプ吐出圧力値によって決定することができる。
【0098】
なお、上述した気液混合循環ポンプ3、第1気体せん断部4、第2気体せん断部5および第3気体せん断部14の具体的な構成としては特に限定しないが、例えば市販のものを用いることが可能である。更に具体的には、例えば株式会社 協和機設社製のバビダスHYK型を用いることが可能である。
【0099】
次いで、第1配管径調節部34について説明する。
【0100】
第2気体せん断部5にて作製されたナノバブル含有水は、次いで第1配管径調節部34に導入される。
【0101】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置では、上記第1配管径調節部34は、後述する第1磁気活水作製部9に導入するナノバブル含有水の流量を調節するとともに、上記第2気体せん断部5から乱流として吐出されたナノバブル含有水の流れを相流の状態に整える。これによって、第1磁気活水作製部9によって、ナノバブル含有水に対して磁気活性を効率よく付与させることができる。
【0102】
以下に、第1配管径調節部34の具体的な構成について説明する。
【0103】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置では、第2気体せん断部5と第1磁気活水作製部9とを連結する配管50(第1配管)に第1配管径調節部34が設けられている。
【0104】
上記第1配管径調節部34は、配管50の少なくとも一部の内腔横断面の大きさを変化させることができるものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。
【0105】
例えば図12(a)および図12(b)に示すように、上記第1配管径調節部34は、円筒形状を有する配管によって形成され得る。図12(a)に示すように、上記配管50の各端部には、フランジ33およびフランジ35が備え付けられている。また、上記第1配管径調節部34の各端部にも、フランジ33およびフランジ35が備え付けられている。また、上記フランジ33およびフランジ35にはボルト孔65が設けられている。そして、図12(b)に示すように、当該ボルト孔65にボルトを着脱することによって、配管50に備え付けられたフランジ33と第1配管径調節部34に備え付けられたフランジ33同士、および配管50に備え付けられたフランジ35と第1配管径調節部34に備え付けられたフランジ35同士を着脱することができる。これによって、上記配管50の端部の間に連結する第1配管径調節部34を交換することができる。このとき、異なる円筒形状、つまり横断面の直径が異なる円筒形状を有する複数の第1配管径調節部34を準備しておき、これらの中から所望の第1配管径調節部34を選択して、当該第1配管径調節部34を配管50の端部の間に連結すれば、これによって、配管50の少なくとも一部の内腔横断面を、所望の大きさに変化させることができる。なお、第1配管径調節部34の横断面の形状および大きさに応じて、適宜、フランジ33およびフランジ35の形状および大きさを選択することができる。
【0106】
第1配管径調節部34が円筒形状の配管によって形成される場合、ナノバブル含有水が流れる方向における上記第1配管径調節部34の長さは特に限定されず、適宜設定することができる。例えば、上記第1配管径調節部34の長さは、後述するフランジ6に開けられた開口の直径の10倍以上の長さであることが好ましい。また、上記第1配管径調節部34の長さは、円筒形状を有する第1配管径調節部34の横断面の直径の10倍以上の長さであることが更に好ましい。
【0107】
上記構成によれば、乱流として第1配管径調節部34内に導入されたナノバブル含有水を確実に相流にした後、当該ナノバブル含有水を第1磁気活水作製部9側に吐出することができる。
【0108】
次いで、第1磁気活水作製部9について説明する。
【0109】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置では、上記第1配管径調節部34を通過したナノバブル含有水は、第1磁気活水作製部9に導入される。
【0110】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置では、上記第1磁気活水作製部9において、上記第2気体せん断部5にて製造されたナノバブル含有水に磁場をかける。その結果、ナノバブル含有水に対して磁気活水としての活性(磁気活性)を付与することができる。
【0111】
以下に、第1磁気活水作製部9の具体的な構成について説明する。
【0112】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置では、第2気体せん断部5と第3気体せん断部14との間に第1磁気活水作製部9が設けられている。なお、第1磁気活水作製部9の位置としては、これに限定されない。
【0113】
上記第1磁気活水作製部9は、第2気体せん断部5にて製造されたナノバブル含有水に磁場をかけることができるものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、図1に示すように、上記第1磁気活水作製部9は、フランジ6およびフランジ12に挟まれるように設けられ得る。図1に示すように、フランジ6は配管50の端部に備え付けられており、フランジ12は配管13の端部に備え付けられている。また、上記第1磁気活水作製部9の一方の端部にはフランジ6が備え付けられているとともに、別の端部にはフランジ12が備え付けられている。そして、上記フランジ6同士、および上記フランジ12同士をボルト等によって固定することによって、上記フランジ6とフランジ12との間に上記第1磁気活水作製部9が設けられ得る。
【0114】
上記第1磁気活水作製部9は、ナノバブル含有水を通過させるための流路26を有している。そして、当該流路26の少なくとも一部は、磁石のS極として機能する領域と磁石のN極として機能する領域によって挟まれており、これによって、上記流路26中を通過するナノバブル含有水に磁場をかけることが可能になる。
【0115】
上記流路26の横断面の形状は特に限定されず適宜設定することができる。上記流路26の横断面の形状としては、例えば、対向する少なくとも1対の面を有するもの(例えば、正方形または長方形など)であることが好ましい。なお、上記流路26の横断面の形状が例えば正方形または長方形である場合には、上記流路26の立体的な形状は、略平板状になることが好ましい。
【0116】
一例として、図13に、横断面の形状が長方形である流路26を有する第1磁気活水作製部9の断面図を示す。図13に示すように、流路26は、互いに対向する第1面60および第2面61を有している。そして、上記第1面60の側には磁石のS極10が配置されており、上記第2面61の側には磁石のN極16が配置されている。そして、上記S極10とN極16との間で磁場が形成され、当該磁場の中をナノバブル含有水が通過する。換言すれば、図1に示すように、上記S極10とN極16との間で形成される磁力線11の中をバブル含有水が通過する。そして、磁場の中を通過することによって、ナノバブル含有水には磁気活性が付与される。
【0117】
つまり、磁力線11の中を液体が通過すると、微弱な電流が発生する。そして、微弱な電流の作用によって水分子同士の結合が崩れ、その結果、クラスター(分子のかたまり)が細分化する。クラスターが細分化された水は、当該クラスターのすき間に酸素を吸収する作用が高いので、外気から大量の酸素を吸収して溶存酸素濃度が高くなる。それと同時に、微弱な電流の作用により、液体中にラジカルを発生させることが可能になる。その結果、液体に磁気活性を付与すれば、当該液体中に活性酸素を発生させることが可能になる。したがって、磁気活性を有するナノバブル含有水は、ナノバブルに由来するフリーラジカルの酸化能力と、上記活性酸素に由来する酸化能力の両方を備えることが可能になり、当該強力な酸化能力によって難分解性の有機物をも分解することができる。
【0118】
上記第1面60と上記第2面61との間の距離は特に限定されず、適宜設定することができる。例えば、上記第1面60と上記第2面61との間の距離は、30mm以下であることが好ましい。上記構成によれば、ナノバブル含有水に対して効率よく磁気活水としての活性を付与することができる。
【0119】
また、上記流路26内の磁束密度(残留磁束密度)は、350ミリテスラ(3500ガウス以上であることが好ましく、450ミリテスラ以上であることが、より好ましい。
【0120】
また、上記第1面60の側に配置される磁石のS極10の数、および上記第2面61の側に配置される磁石のN極16の数も特に限定されず、適宜設定することができる。例えば、図1に示すように、S極10およびN極16を各々3つずつ配置することができるが、これに限定されない。
【0121】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置では、第1磁気活水作製部9にて作製されたナノバブル含有磁気活水は、配管13を介して第3気体せん断部14に導入される。上述したように、当該第3気体せん断部14では、ナノバブルが更にせん断される。その結果、ナノバブル含有磁気活水中のナノバブルのサイズを小さくするとともに、含有されるナノバブルの量を多くする。なお、第3気体せん断部14の詳細については既に説明したので、ここではその説明を省略する。
【0122】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置では、第3気体せん断部14にて処理されたナノバブル含有磁気活水は、矢印15に示すように槽1内に吐出される。なお、ナノバブル含有磁気活水の吐出場所は槽1に限定されない。例えば、槽1とは別の槽を準備しておき、当該別の槽内へ吐出することもできる。
【0123】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図2に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0124】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置は、第2気体せん断部5が第1磁気活水作製部9の下流に設けられている点において、実施の形態1とは異なる。
【0125】
したがって、本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置では、第1気体せん断部4にて製造されたマイクロバブル含有水は、まず第1配管径調節部34に導入されて相流にされる。その後、当該マイクロバブル含有水が第1磁気活水作製部9に導入されて、当該マイクロバブル含有水に磁気活性が付与される。そして、磁気活性が付与されたマイクロバブル含有水が第2気体せん断部5、次いで第3気体せん断部14に導入されて、ナノバブル含有水磁気活水が製造される。そして、当該ナノバブル含有磁気活水は、槽1内に吐出される。
【0126】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0127】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置は、第2気体せん断部5が第1磁気活水作製部9の下流に設けられている点、ならびに、第2配管径調節部37および第2磁気活水作製部19が第1気体せん断部4の上流に設けられている点において、実施の形態1とは異なる。
【0128】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置では、槽1内の液体は、配管2を介して第2配管径調節部37、次いで第2磁気活水作製部19に導入された後、第1気体せん断部4に導入される。
【0129】
上記第2配管径調節部37は、上述した第1配管径調節部34と同様に形成することができる。そして、当該第2配管径調節部37によって、乱流の状態で取り込まれた液体を相流に変換し、その後、当該液体を第2磁気活水作製部19に導入することができる。
【0130】
また、上記第2磁気活水作製部19は、基本的には、上述した第1磁気活水作製部9と同様に形成することができる。具体的には、図3に示すように、上記第2磁気活水作製部19は、フランジ23とフランジ25との間に設けられている。そして、上記第2磁気活水作製部19には流路24が設けられており、当該流路24を挟むように各々1個の磁石のS極20およびN極21が配置されている。なお、磁石のS極20およびN極21の各々の数は特に限定されない。そして、上記S極20とN極21との間で形成される磁力線22の中を液体が通過する。なお、流路24は、上述した流路26と同様に構成すればよい。
【0131】
上記磁力線22の中を液体が通過すると、微弱な電流が発生する。そして、微弱な電流の作用によって水分子同士の結合が崩れ、その結果、クラスター(分子のかたまり)が細分化する。クラスターが細分化された液体は、当該クラスターのすき間に酸素を吸収する作用が高いので、外気から大量の酸素を吸収して溶存酸素濃度が高くなる。それと同時に、微弱な電流の作用により、液体中にラジカルを発生させることが可能になる。その結果、液体に磁気活性を付与すれば、当該液体中に活性酸素を発生させることが可能になる。つまり、本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置では、マイクロバブル含有水を作製するための材料の1つである液体に対して、予め磁気活性を付与することによって、最終産物であるナノバブル含有磁気活水が有する酸化能力を更に上昇させることができる。
【0132】
なお、上記第2磁気活水作製部19の下流については、実施の形態2にて説明したので、ここではその説明を省略する。
【0133】
着色した液体の脱色作用を指標としてナノバブル含有磁気活水の酸化能力を検討した結果、実施の形態1に記載した装置にて作製したナノバブル含有磁気活水よりも、実施の形態3に記載した装置にて作製したナノバブル含有磁気活水の方が、酸化能力は高かった(実施例参照)。
【0134】
〔実施の形態4〕
本発明の他の実施の形態について図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0135】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置は、槽1内に収容部48が設けられると共に、当該収容部48内に活性炭18が充填されている点において、実施の形態1とは異なる。
【0136】
したがって、本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置では、液体を酸化処理することによって当該液体中の有機物を分解することができるとともに、上記有機物等を活性炭18に物理的に吸着させることによって、液体から有機物等を除去することができる。なお、上記収容部48は槽1内に設けられているので、ナノバブル含有磁気活水が槽1内に吐出される場合には、原料である液体と最終産物であるナノバブル含有磁気活水との両方から、有機物等を除去することができる。
【0137】
上記収容部48としては、その内部に活性炭18を充填することができるとともに、当該活性炭を槽1内の液体に接触させることができるものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、上記収容部48は、網状の隔壁によってその内部と外部とが隔てられた各種容器であることが好ましい。
【0138】
また、上記活性炭18としても特に限定されず、適宜市販の活性炭を用いればよい。
【0139】
〔実施の形態5〕
本発明の他の実施の形態について図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態3と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態3の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0140】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置は、槽1内に酸化還元電位計29が設けられるとともに当該酸化還元電位計29が信号線30を介して酸化還元電位調節計31に接続されている点、上記酸化還元電位調節計31がシーケンサー32に接続されるとともに当該シーケンサー32が信号線28を介して気液混合循環ポンプ3および電動ニードルバルブ8に接続されている点において、実施の形態3とは異なる。本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置は上記構成を備えているので、所望の酸化還元電位を有するナノバブル含有磁気活水を製造することができる。
【0141】
上記酸化還元電位計29は、槽1内の液体およびナノバブル含有磁気活水の混合物の酸化還元電位を測定する。当該測定によって、上記混合物の酸化還元電位が、所望の酸化還元電位と比較して大きいかまたは小さいかを知ることができる。なお、酸化還元電位とは、その物質が他の物質を酸化しやすい状態にあるのか、または還元しやすい状態にあるのかを表す指標である。つまり、酸化還元電位の値がプラス側に大きければ酸化力が強いことを示し、マイナス側に大きければ還元力が強いことを示している。
なお、上記酸化還元電位計29の具体的な構成としては特に限定されず、適宜公知の酸化還元電位計を用いることができる。
【0142】
上記酸化還元電位計29にて測定された値は、信号線30を介して酸化還元電位調節計31へと伝達される。当該酸化還元電位調節計31には、予め、作製しようとするナノバブル含有磁気活水が有すべき酸化還元電位の値が入力されており、当該値と実際に測定された値とが比較される。そして、上記酸化還元電位調節計31は、上記比較結果に基づいてナノバブル含有磁気活水中のナノバブルの量を多くするべきか、少なくするべきかを判断する。
【0143】
上位酸化還元電位調節計31にて行われた判断はシーケンサー32へと伝達され、上記判断に基づいて、シーケンサー32が、電動ニードルバルブ8の開閉動作、または気液混合循環ポンプ3の出力を制御する。つまり、測定されたナノバブル含有磁気活水の酸化還元電位の値が所望の値よりも大きな場合は、電動ニードルバルブ8を閉じる、または気液混合循環ポンプ3の出力を下げることによって、ナノバブル含有磁気活水中のナノバブルの量を減少させる。一方、測定されたナノバブル含有磁気活水の酸化還元電位の値が所望の値よりも小さな場合は、電動ニードルバルブ8を開ける、または気液混合循環ポンプ3の出力を上げることによって、ナノバブル含有磁気活水中のナノバブルの量を増加させる。これによって、ナノバブル含有磁気活水の酸化還元電位を所望の値にすることができる。
【0144】
〔実施の形態6〕
本発明の他の実施の形態について図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0145】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置は、配管62が槽1に接続さており、当該配管62を介してナノバブル含有磁気活水が上水処理設備39に導入される点において、実施の形態1とは異なる。なお、第3気体せん断部14から槽1内に吐出されるナノバブル含有磁気活水は、槽1内に貯留された後、すなわち上記吐出から一定時間後、配管62を介して上水処理設備39に導入される。
【0146】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置は上記構成を備えているので、難分解性の有機物(例えば、有機フッ素化合物)がより分解された水(例えば、水道水などの飲料水)などを製造することができる。
【0147】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置では、槽1内に流入水が導入されている。上記流入水としては特に限定されないが、例えば浄化することによって飲料水として用いることができる河川水、地下水または湖沼水等を挙げることができる。
【0148】
上記流入水を用いて製造されたナノバブル含有磁気活水は、上水処理設備39に導入される。上記上水処理設備39の具体的構成としては特に限定されないが、例えば、活性炭吸着塔(図示せず)を有するものであることが好ましい。上記構成によれば、ナノバブル含有磁気活水中に残存する有機物等を活性炭吸着塔に吸着させることによって、より確実に有機物等を除去することができる。
【0149】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置を用いて飲料水を製造すれば、人間や動物の体を活性化させることができる飲料水を製造することができる。つまり、ナノバブルが有する生理活性効果と磁気活水が有する生理活性効果との両方が付与された飲料水を製造することができる。
【0150】
〔実施の形態7〕
本発明の他の実施の形態について図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0151】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置は、配管62が槽1に接続さており、当該配管62を介してナノバブル含有磁気活水が廃水処理設備40に導入される点において、実施の形態1とは異なる。なお、第3気体せん断部14から槽1内に吐出されるナノバブル含有磁気活水は、槽1内に貯留された後、すなわち上記吐出から一定時間後、配管62を介して廃水処理設備40に導入される。
【0152】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置は上記構成を備えているので、廃水中に含まれる難分解性の有機物(例えば、有機フッ素化合物)を効率よく分解・除去することができるとともに、廃水処理に必要なコストを低く抑えることができる。
【0153】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置では、槽1内に流入水が導入されている。上記流入水としては特に限定されないが、例えば各種廃水を挙げることができる。更に具体的には、上記各種廃水としては、有機物または無機物を含有する廃水を挙げることができる。上記無機物を含有する廃水としては、無機フッ素含有廃水、酸性廃水またはアルカリ性廃水等を挙げることができる。また、上記有機物を含有する廃水としては、生活廃水、または工場廃水等を挙げることができる。
【0154】
上記流入水を用いて製造されたナノバブル含有磁気活水は、廃水処理設備40に導入される。上記廃水処理設備40の具体的構成としては特に限定されないが、例えば、微生物の培養槽、すなわち、さらに具体的な一例として曝気槽(図示せず)を有するものであることが好ましい。上記構成によれば、ナノバブル含有磁気活水中の有機物等をより効率よく除去することができる。
【0155】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置を用いて廃水を処理すれば、効率よく廃水を処理することができる。つまり、ナノバブル含有磁気活水には、活性酸素が多量に含まれている。活性酸素は、有機物等の物質との反応性が高いのみならず、廃水処理設備40内の微生物の活性(例えば、物質の分解に関与する代謝活性など)を高めることができる。その結果、本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置であれば、より確実に廃水を処理することができる。
【0156】
〔実施の形態8〕
本発明の他の実施の形態について図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0157】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置は、配管62が槽1に接続さており、当該配管62を介してナノバブル含有磁気活水が有機フッ素化合物含有廃水処理設備41に導入される点において、実施の形態1とは異なる。なお、第3気体せん断部14から槽1内に吐出されるナノバブル含有磁気活水は、槽1内に貯留された後、すなわち上記吐出から一定時間後、配管62を介して有機フッ素化合物含有廃水処理設備41に導入される。本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置は上記構成を備えているので、廃水中に含まれる難分解性の有機フッ素化合物を効率よく分解・除去することができるとともに、廃水処理に必要なコストを低く抑えることができる。
【0158】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置では、槽1内に流入水が導入されている。上記流入水としては有機フッ素化合物を含有するものであればよく、特に限定されない。例えば、上記流入水としては、有機フッ素化合物を含有する廃水であることが好ましい。
【0159】
上記流入水を用いて製造されたナノバブル含有磁気活水は、有機フッ素化合物含有廃水処理設備41に導入される。上記有機フッ素化合物含有廃水処理設備41の具体的構成としては特に限定されないが、例えば、活性炭吸着塔(図示せず)を有するものであることが好ましい。上記構成によれば、ナノバブル含有磁気活水中の有機物等を活性炭吸着塔に吸着させることによって、より確実に有機物等を除去することができる。
【0160】
つまり、本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置では、廃水中の有機フッ素化合物のうち、分解しやすいものはナノバブル含有磁気活水が有する強力な酸化作用によって分解され、最終的に廃水中に残った難分解性の化合物(例えば、有機フッ素化合物)は、有機フッ素化合物含有廃水処理設備41内に設置してある活性炭吸着塔に吸着させることによって除去することができる。
【0161】
〔実施の形態9〕
本発明の他の実施の形態について図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0162】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置は、配管62が槽1に接続さており、当該配管62を介してナノバブル含有磁気活水が浴槽設備42に導入される点において、実施の形態1とは異なる。なお、第3気体せん断部14から槽1内に吐出されるナノバブル含有磁気活水は、槽1内に貯留された後、すなわち上記吐出から一定時間後、配管62を介して浴槽設備42に導入される。
【0163】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置は上記構成を備えているので、ナノバブルが有する生理活性効果と磁気活水が有する生理活性効果との両方を備えた浴槽水を製造することができる。
【0164】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置では、槽1内に流入水が導入されている。上記流入水としては、入浴するための浴槽水を用いることができる。なお、具体的に上記浴槽水としては、一般の家庭における浴槽水、公衆浴場における浴槽水、エステ施設における浴槽水、病院における浴槽水等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0165】
上記流入水を用いて製造されたナノバブル含有磁気活水は、浴槽設備42に導入される。上記浴槽設備42の具体的構成としては特に限定されないが、例えば、少なくとも一定量のナノバブル含有磁気活水を貯留することができる浴槽(図示せず)を有するものであることが好ましい。上記構成によれば、上記入浴槽中のナノバブル含有磁気活水に体を接触させることによって、皮膚からナノバブル含有磁気活水が吸収されて体内の血流量を増加させるのみならず、皮膚を効率よく洗浄することができる。その結果、皮膚を滑らかにする効果、美肌効果、皮膚の若返り効果、および育毛効果などを体に及ぼすことができる。
【0166】
〔実施の形態10〕
本発明の他の実施の形態について図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、実施の形態4と同じである。また、説明の便宜上、実施の形態4の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0167】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置は、配管62を介してナノバブル含有磁気活水がピット43内に導入される点、ピット43内のナノバブル含有磁気活水がピットポンプ44によって、急速ろ過機45および活性炭吸着塔46に導入される点において、実施の形態4とは異なる。
【0168】
本実施の形態のナノバブル含有磁気活水製造装置では、槽1内に吐出されたナノバブル含有磁気活水が配管62を介してピット43内に導入される。上記ピット43は、ナノバブル含有磁気活水を一時的に貯蔵し得るものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。
【0169】
上記ピット43内に貯蔵されたナノバブル含有磁気活水は、ピットポンプ44を駆動することによって、まず急速ろ過機45に導入される。
【0170】
上記ピットポンプ44としては特に限定されず、適宜公知のポンプを用いることができる。
【0171】
また、上記急速ろ過機45としても特に限定されず、適宜公知の濾過装置を用いることができる。なお、急速ろ過機45によってろ過される物質のサイズも特に限定されず、目的に応じて適宜設定すればよい。当該急速ろ過機45によって、比較的大きな物質を、ナノバブル含有磁気活水から除去することができる。
【0172】
上記急速ろ過機45によって処理されたナノバブル含有磁気活水は、次いで、活性炭吸着塔46に導入される。活性炭吸着塔46は自身に物質を吸着させる性質を有するので、上記急速ろ過機45によって除去することができなかった比較的小さな物質(例えば、有機フッ素化合物など)を吸着して、当該物質をナノバブル含有磁気活水から除去することができる。そして、上記活性炭吸着塔46にて処理されたナノバブル含有磁気活水は、不純物の混入濃度が極めて低い処理水に変換される。
【0173】
上記活性炭吸着塔46としては特に限定されず、例えば活性炭を含んだ各種カラム等を用いることができる。
【実施例】
【0174】
〔1.ナノバブル含有磁気活水製造装置〕
図1に基づいて、ナノバブル含有磁気活水製造装置を作製した。なお、槽1の容量を略1mとした。また、ナノバブル発生機47としては、3.7kwの気液混合循環ポンプ3を有するもの(株式会社協和機設製のHYK型)を用いた。また、第1磁気活水作製部9としては、寸法が全長800mm、断面の横幅160mmおよび断面の縦幅310mmのもの(株式会社ビー・シー・オー製のBK型)を用いた。
【0175】
槽1中に800リットルの水を投入した後、ナノバブル発生機47を12分間運転し、ナノバブルの直径および量をベックマンコールター株式会社製の測定器にて測定したところ、直径0.1μmのものを中心として、ナノバブルが略正規分布していることが確認できた。
【0176】
また、ナノバブル含有磁気活水が有する磁気活性に由来する酸化還元電位をORP計(東亜ディーケーケー株式会社製のHC型)で測定したところ、プラスの300mvであった。
【0177】
〔2.気体量とバブルサイズとの関係〕
上述したナノバブル含有磁気活水製造装置を用いて、第1気体せん断部4に供給する気体(空気)の量と、そのときに製造されるバブルのサイズとの関係を検討した。マイクロバブル発生部4に供給する気体の量としては、0.6L/分、0.75L/分、1.2L/分、または1.5L/分とし、各条件下で製造されるバブルの直径および量をベックマンコールター株式会社製の測定器にて測定した。その結果を表1に示す。
【0178】
【表1】

【0179】
表1からも明らかなように、第1気体せん断部4に供給する気体が1.2L/分以下であれば、効率よくナノバブルが作製できることが明らかになった。一方、第1気体せん断部4に供給する気体が1.2L/分よりも多ければ、ナノバブルではなくマイクロバブルが製造されることが明らかになった。
【0180】
〔3.気液混合循環ポンプへの空気取り込み開始時間〕
上述したナノバブル含有磁気活水製造装置を用いて、気液混合循環ポンプ3への空気取り込み開始時間と、上記気液混合循環ポンプ3から1m離れた場所における振動との関係を調べた。その結果を、表2に示す。
【0181】
【表2】

【0182】
表2から明らかなように、気液混合循環ポンプ3の動作開始時から60秒後以降に空気を気液混合循環ポンプ3に取り込めば、振動が極めて低いことが明らかになった。なお、一般的な測定器では、45デシベル以下の振動は、値が低すぎるので測定することができない。
【0183】
上記条件下で振動を抑えれば、ポンプのインペラに負担をかけることなく、またインペラを損傷することなく、ナノバブルを製造することができる。
【0184】
〔4.第1気体せん断部4の隔壁の厚さ〕
上述したナノバブル含有磁気活水製造装置において、第1気体せん断部4の隔壁の厚さを様々な厚さに変更して、そのとき気液混合循環ポンプ3から1m離れた場所における振動を測定した。その結果を、表3に示す。
【0185】
【表3】

【0186】
表3から明らかなように、第1気体せん断部4の厚さが5mm以下であれば、振動が大きいことが明らかになった。つまり、第1気体せん断部4の厚さが5mm以下であれば、第1気体せん断部4の内部で旋回している液体と気体との混合物の運動エネルギーが、振動として外部に伝播して失われることが明らかになった。
【0187】
一方、第1気体せん断部4の厚さが6mm以上であれば、振動が小さいことが明らかになった。つまり、第1気体せん断部4の厚さが6mm以上であれば、第1気体せん断部4の内部で旋回している液体と気体との混合物の運動エネルギーが、振動として外部に伝播して失われることがないことが明らかになった。
【0188】
〔5.ナノバブル含有磁気活水の効果〕
上述したナノバブル含有磁気活水製造装置を用いて作製したナノバブル含有磁気活水と、対照としてマイクロバブル含有水とを、それぞれ着色有機物含有廃水に加えた。なお、ナノバブル含有磁気活水およびマイクロバブル含有水は、上記着色有機物含有廃水の体積の10%量を加えた。加えてから12時間後に、色度、化学的酸素要求量および破過した活性炭吸着性の回復度(吸着性能の回復)について検討した。
【0189】
【表4】

【0190】
表4に示すように、ナノバブル含有磁気活水はマイクロバブル含有水と比較して、いずれの項目においても優れていることが明らかになった。
【0191】
〔6.ナノバブル含有磁気活水製造装置間の酸化能力の比較〕
上述したナノバブル含有磁気活水製造装置に基づいて、図3に示したナノバブル含有磁気活水製造装置を作製した。なお、第2磁気活水作製部19としては、第1磁気活水作製部9と同じ構成を用いた。
【0192】
その後、図1に示すナノバブル含有磁気活水製造装置と、図3に示すナノバブル含有磁気活水製造装置とに同一の廃水を導入して運転したあと、槽1内の液体の水質を検討した。なお、上記水質の指標として、具体的には、色度、および化学的酸素要求量を測定した。
【0193】
【表5】

【0194】
表4に示すように、実施の形態1に記載した装置(図1参照)にて作製したナノバブル含有磁気活水よりも、実施の形態3に記載した装置(図3参照)にて作製したナノバブル含有磁気活水の方が、酸化能力は高かった。
【0195】
〔7.有機フッ素化合物の分解〕
図8に基づいて、上述したナノバブル含有磁気活水製造装置の下流に有機フッ素化合物含有廃水処理設備41を接続し、当該装置を用いて有機フッ素化合物含有廃水を処理し、各処理段階における水質を測定した。
【0196】
上記有機フッ素化合物含有廃水処理設備41としては、1)原水槽、2)第1接触曝気槽、3)第2接触曝気槽、4)備長炭前処理槽、5)急速ろ過塔、および6)活性炭吸着塔を用いた。つまり、上記1)〜6)をこの順番で直列に接続するとともに、上記1)〜4)に示される槽のそれぞれの上部スラブ(コンクリート床面)に、上述したナノバブル含有磁気活水製造装置を接続した。
【0197】
そして、水中ポンプにて、上記1)〜4)に示される各槽にて一度処理された処理水を汲み上げた後、当該処理水のそれぞれを別々に、再度、ナノバブル含有磁気活水製造装置17に導入した。そして、上記ナノバブル含有磁気活水製造装置17および有機フッ素化合物含有廃水処理設備41の両方によって処理された水を、上記1)、2)および6)において採集し、当該処理水の水質を検討した。
【0198】
上記水質の指標として、具体的には、色度、化学的酸素要求量、および有機フッ素化合物濃度を測定した。なお、上記有機フッ素化合物としては、パーフルオロオクタン酸(PFOA)を用いた。また、有機フッ素化合物濃度の測定には、液体クロマトグラフ−タンデム型質量分析計(LC−MS/MS法)を用いた。
【0199】
【表6】

【0200】
表4に示すように、本実施例のナノバブル含有磁気活水製造装置は、効率よく有機フッ素化合物を分解することができた。
【0201】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0202】
本発明は、浄水装置、入浴装置、飲料水製造装置、石油関連製品製造装置などに代表される各種液体処理装置やその部品を製造する分野に利用することができる。更に詳細には、本発明は各種液体(例えば、上水、廃水、地下水、難分解性物質含有廃水、再利用水、植物栽培の水耕液、各種分野の洗浄水、浴槽水、蒸留前の重油、蒸留前のバイオエタノール等)に含まれる有機物質を除去することを必要とする分野に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0203】
【図1】本発明におけるナノバブル含有磁気活水製造装置の実施の一形態を示す模式図である。
【図2】本発明におけるナノバブル含有磁気活水製造装置の他の実施の形態を示す模式図である。
【図3】本発明におけるナノバブル含有磁気活水製造装置のさらに他の実施の形態を示す模式図である。
【図4】本発明におけるナノバブル含有磁気活水製造装置のさらに他の実施の形態を示す模式図である。
【図5】本発明におけるナノバブル含有磁気活水製造装置のさらに他の実施の形態を示す模式図である。
【図6】本発明におけるナノバブル含有磁気活水製造装置のさらに他の実施の形態を示す模式図である。
【図7】本発明におけるナノバブル含有磁気活水製造装置のさらに他の実施の形態を示す模式図である。
【図8】本発明におけるナノバブル含有磁気活水製造装置のさらに他の実施の形態を示す模式図である。
【図9】本発明におけるナノバブル含有磁気活水製造装置のさらに他の実施の形態を示す模式図である。
【図10】本発明におけるナノバブル含有磁気活水製造装置のさらに他の実施の形態を示す模式図である。
【図11】上記ナノバブル含有磁気活水製造装置における、第1気体せん断部と配管との接続を示す模式図である。
【図12】(a)および(b)は、上記ナノバブル含有磁気活水製造装置における、配管径調節部の模式図である。
【図13】上記ナノバブル含有磁気活水製造装置における、磁気活水作製部の横断面図である。
【符号の説明】
【0204】
1 槽
2・13・51・62 配管
3 気液混合循環ポンプ(ポンプ)
4 第1気体せん断部
5 第2気体せん断部
6・12・23・25・33・35 フランジ
7 配管(第4配管)
8 電動ニードルバルブ(気体量調節手段)
9 第1磁気活水作製部(磁気活水作製手段)
10・20 S極
11・22 磁力線
14 第3気体せん断部
16・21 N極
17 ナノバブル含有磁気活水製造装置
18 活性炭
19 第2磁気活水作製部
24・26 流路
28・30 信号線
29 酸化還元電位計
31 酸化還元電位調節計
32 シーケンサー
34 第1配管径調節部(配管径調節手段)
37 第2配管径調節部
39 上水処理設備
40 廃水処理設備
41 有機フッ素化合物含有廃水処理設備
42 浴槽設備
43 ピット
44 ピットポンプ
45 急速ろ過機
46 活性炭吸着塔
47 ナノバブル発生機
48 収容部
50 配管(第1配管)
60 第1面
61 第2面
65 ボルト孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体と気体とを混合およびせん断してマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断部と、
前記マイクロバブル含有水を更にせん断してナノバブル含有水を作製する第2気体せん断部と、
前記マイクロバブル含有水または前記ナノバブル含有水に対して磁場をかける磁気活水作製手段と、を有することを特徴とするナノバブル含有磁気活水製造装置。
【請求項2】
前記磁気活水作製手段には、第1配管を介してマイクロバブル含有水またはナノバブル含有水が供給されており、
前記第1配管には、当該第1配管の少なくとも一部の内腔横断面の大きさを変化させ得る配管径調節手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のナノバブル含有磁気活水製造装置。
【請求項3】
前記磁気活水作製手段は、磁石のS極として機能する第1面と磁石のN極として機能する第2面とが対向するように配置された流路を備え、
前記流路中を、前記マイクロバブル含有水または前記ナノバブル含有水が通過することを特徴とする請求項1に記載のナノバブル含有磁気活水製造装置。
【請求項4】
前記第1面と前記第2面との間隔は、30mm以下であることを特徴とする請求項3に記載のナノバブル含有磁気活水製造装置。
【請求項5】
前記第1気体せん断部に対して、1.2リットル/分以下にて前記気体を供給するための気体量調節手段を有することを特徴とする請求項1に記載のナノバブル含有磁気活水製造装置。
【請求項6】
前記第1気体せん断部の内部の横断面は、楕円形または真円形であることを特徴とする請求項1に記載のナノバブル含有磁気活水製造装置。
【請求項7】
前記第1気体せん断部の内部表面には、2本以上の溝が設けられることを特徴とする請求項1に記載のナノバブル含有磁気活水製造装置。
【請求項8】
前記溝の深さは、0.3mm〜0.6mmであり、
前記溝の幅は、0.8mm以内であることを特徴とする請求項7に記載のナノバブル含有磁気活水製造装置。
【請求項9】
前記第1気体せん断部には、第2配管を介して前記液体が供給されるとともに、第3配管を介して前記マイクロバブル含有水が吐出され、
前記第2配管の内腔の横断面の面積は、前記第3配管の内腔の横断面の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のナノバブル含有磁気活水製造装置。
【請求項10】
前記第1気体せん断部の内部には、第4配管を介して前記気体が供給され、
前記第4配管は、前記第1気体せん断部の内側面に対して18度の角度をなすように、前記第1気体せん断部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のナノバブル含有磁気活水製造装置。
【請求項11】
前記第1気体せん断部の隔壁の厚さは、6mm〜12mmであることを特徴とする請求項1に記載のナノバブル含有磁気活水製造装置。
【請求項12】
前記磁気活水作製手段によって磁場がかけられた前記マイクロバブル含有水または前記ナノバブル含有水を更にせん断する第3気体せん断部を有することを特徴とする請求項1に記載のナノバブル含有磁気活水製造装置。
【請求項13】
液体と気体とを混合およびせん断してマイクロバブル含有水を作製する第1気体せん断工程と、
前記マイクロバブル含有水を更にせん断してナノバブル含有水を作製する第2気体せん断工程と、
前記マイクロバブル含有水または前記ナノバブル含有水に磁場をかける磁気活水作製工程と、を有することを特徴とするナノバブル含有磁気活水製造方法。
【請求項14】
前記第1気体せん断工程は、
前記液体をポンプにて攪拌する液体攪拌工程と、
前記攪拌されている液体に対して前記気体を加える気体混合工程と、を有し、
前記気体混合工程では、前記ポンプの出力が最大値に達した時点以降に、前記気体が前記液体に対して加えられることを特徴とする請求項13に記載のナノバブル含有磁気活水製造方法。
【請求項15】
前記気体混合工程では、前記ポンプの動作開始時から60秒後以降に、前記気体が前記液体に対して加えられることを特徴とする請求項14に記載のナノバブル含有磁気活水製造方法。
【請求項16】
前記液体は、上水、廃水、浴槽水、培養液または原油であることを特徴とする請求項13に記載のナノバブル含有磁気活水製造方法。
【請求項17】
前記磁気活水作製工程において磁場がかけられた前記マイクロバブル含有水または前記ナノバブル含有水を更にせん断する第3気体せん断工程を有することを特徴とする請求項13に記載のナノバブル含有磁気活水製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−28666(P2009−28666A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−196494(P2007−196494)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(507175843)株式会社協和機設 (8)
【Fターム(参考)】