説明

ナノ中空物品用プロセス及び装置

ナノ中空物品、ナノ中空コーティング、及び低屈折率コーティングの製造プロセス及び装置が記載される。このプロセスは、溶媒中の重合性材料が第1の溶液を提供する工程と、重合性材料を少なくとも部分的に重合し、不溶性ポリマーマトリックス及び第2の溶液を含む組成物を形成する工程であって、この不溶性ポリマーマトリックスが第2の溶液で満たされる複数のナノ空隙を備える工程と、第2の溶液から溶媒の大部分を除去する工程と、を含む。このプロセス用装置も記載され、ウェブラインと、コーティング区域と、部分重合区域と、溶媒除去区域と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ナノメートルサイズの孔又は空隙構造を有する物品は、これらのナノ中空組成物によりもたらされる光学的特性、物理的特性、又は機械的特性に基づき、様々な用途で有用である場合がある。例えば、ナノ中空物品は、孔又は空隙を少なくとも部分的に取り囲む、ポリマー固体ネットワーク又はマトリックスを含む。孔又は空隙は、空気などの気体で満たされていることが多い。ナノ中空物品中の孔又は空隙の寸法は、一般的には、約1ナノメートル〜約1000ナノメートルの範囲であり得る平均有効径を有するものとして記載されることがある。International Union of Pure and Applied Chemistry(IUPAC)は、ナノ細孔物質に、2nm未満の空隙を有するミクロ細孔、2nm〜50nmの空隙を有するメソ細孔、及び50nmを超える空隙を有するマクロ細孔の3つの寸法のカテゴリーを設けている。異なる寸法のカテゴリーのそれぞれが、ナノ中空物品に独特の特性を与えることができる。
【0002】
いくつかの手法を用いて、多孔質又は中空物品が製造されており、これらには例えば、重合誘導型相分離(PIPS)、熱誘導型相分離(TIPS)、溶媒誘導型相分離(SIPS)、エマルション重合、及び泡立ち剤/発泡剤を用いる重合が含まれる。多くの場合、これらの方法で製造される多孔質又は中空物品は、構造体の形成に用いられた材料、例えば界面活性剤、油、又は化学残留物を除去するための洗浄工程を必要とする。洗浄工程は、製造される孔又は空隙の寸法範囲及び均一性を制限する場合がある。これらの手法はまた、用いることができる材料の種類も制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
洗浄工程を必要とせずに、ナノ中空物品を製造するための迅速で確実な手法のニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様では、本開示は、ナノ中空物品の製造プロセスを提供する。このプロセスは、溶媒中に重合性材料を含む第1の溶液を提供する工程と、この重合性材料を少なくとも部分的に重合し、不溶性ポリマーマトリックスと、第2の溶液と、を含む組成物を形成する工程と、を含む。不溶性ポリマーマトリックスは、第2の溶液で満たされた複数のナノ空隙を含む。このプロセスは、第2の溶液から溶媒の大部分を除去する工程を更に含む。
【0005】
別の態様では、本開示は、ナノ中空コーティングの製造プロセスを提供する。このプロセスは、第1の溶液を基材上にコーティングする工程を含む。第1の溶液は、溶媒中に重合性材料を含む。このプロセスは、重合性材料を少なくとも部分的に重合し、複数のナノ空隙及び第2の溶液と共連続する不溶性ポリマーマトリックスを形成する工程を更に含み、この複数のナノ空隙は第2の溶液で満たされている。このプロセスは、第2の溶液から溶媒の大部分を除去する工程を更に含む。
【0006】
別の態様では、本開示は、低屈折率コーティングの製造プロセスを提供する。このプロセスは、分散液を基材上にコーティングする工程を含む。分散液は、紫外線硬化性材料と、光開始剤と、溶媒と、複数のナノ粒子と、を含む。このプロセスは、分散液を紫外線で照射し、放射線硬化性材料を少なくとも部分的に重合させる工程と、複数のナノ粒子を結合する不溶性ポリマーマトリックスを形成する工程と、重合性材料及びナノ粒子を使い尽した分散液で満たされた複数のナノ空隙を含める工程と、を更に含む。このプロセスは、重合性材料を少なくとも部分的に重合した後に、分散液から溶媒の大部分を除去する工程を更に含む。
【0007】
別の態様では、本開示は、ナノ中空コーティングの製造装置を提供する。この装置は、基材ダウンウェブを巻き戻しロールから巻き取りロールまで運ぶウェブラインを含む。この装置は、巻き戻しロールに隣接して配置され、溶媒中に重合性材料を有する第1の溶液を基材上にコーティングできるコーティング区域を更に含む。この装置は、コーティング区域からダウンウェブ方向に配置され、重合性材料を少なくとも部分的に重合し、不溶性ポリマーマトリックス及び第2の溶液を含む組成物を形成できる重合区域を更に含む。不溶性ポリマーマトリックスは、第2の溶液で満たされた複数のナノ空隙を含む。この装置は、重合区域からダウンウェブ方向に配置され、第2の溶液から溶媒の大部分を除去できる溶媒除去区域を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書を通して、添付の図面を参照し、ここで、同じ参照番号は同じ要素を示す。
【図1】ナノ中空物品の形成プロセスの概略図。
【図2】ナノ中空物品の形成プロセスの概略図。
【図3A】ナノ中空コーティングの形成プロセスの概略図。
【図3B】図3Aの重合区域の概略図。
【図3C】図3Bの重合区域の概略図。
【図4A】コーティングの走査型電子顕微鏡写真。
【図4B】ナノ中空コーティングの走査型電子顕微鏡写真。
【図5】紫外線LED出力に対する屈折率のプロット。
【図6】ウェブ速度に対する屈折率のプロット。
【図7】紫外線LED出力に対する屈折率のプロット。
【図8】固体パーセントに対する屈折率のプロット。
【図9】紫外線LED出力に対する屈折率のプロット。
【図10】光開始剤濃度に対する屈折率のプロット。
【図11】紫外線LED出力に対する屈折率のプロット。
【図12】紫外線LED出力に対する屈折率のプロット。
【0009】
図面は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。図中で用いられる類似の数字は、類似の構成要素を示す。しかし、所与の図中の構成要素を意味する数字の使用は、同一数字でラベル付けされた別の図中の構成要素を制約するものではないことは理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特有の形態を有するナノ中空物品を製造するための特有のプロセス及び装置が記載される。このプロセスは、溶媒が溶液中に存在すると同時に、溶液中材料の重合を目的とする。この材料は、熱重合することができるか、化学線を用いて重合することができる。溶媒中に放射線硬化性材料を含む溶液が、ナノ中空物品の製造に特によく適し得る。溶媒は、溶媒の混合物であってもよく、特によく適する溶媒は、重合性材料と反応しないものである。重合中、形成されたポリマーの溶媒への溶解度は低下し、溶液から分離され、不溶性ポリマーマトリックス及び分相した溶媒を多く含むネットワークが得られる。続いて溶媒は除去され、ナノ中空物品を生じさせる孔及び空隙が残される。この溶液を基材上にコーティングし、基材上にナノ中空コーティングをもたらすことができる。いくつかの実施形態では、続いて基材を除去し、ナノ中空物品を残すことができる。
【0011】
一般に、本明細書で使用されるとき、「孔」及び「空隙」は、ポリマーマトリックスで部分的に又は全体的に取り囲むことができる、ナノ中空物品内のポリマーを含まない領域を意味する。「空隙」は、その容積が小さい場合であっても、任意のポリマーを含まない領域を意味する広義の用語であり、ナノ中空物品の寸法によってのみ制限される。「孔」は「空隙」の一部であり、一般にはポリマーマトリックス全体に実質的に広がるポリマーを含まない領域を意味する。「孔」はナノ中空物品の全体に広がる場合があり、いくつかの実施形態では、他の部分に記載するように、物品の一表面を別の表面につなげる。
【0012】
任意の孔又は空隙の有効径は、孔又は空隙と同じ断面積を有する円の直径に関連することができ、この有効径を物品の寸法で平均して平均有効径を与えることができる。ナノ中空物品は、孔又は空隙が物品を取り囲む周囲と連通する「連続気泡」構造であってもよい。あるいは、ナノ中空物品は、孔又は空隙が固体ネットワーク又はマトリックスで取り囲まれ、物品を取り囲む周囲から遮断されている「独立気泡」構造であってもよい。多くの場合、ナノ中空物品は、連続気泡及び独立気泡構造の組み合わせを含む。
【0013】
ナノ中空物品中の孔及び空隙の平均有効径は、通常約1000nm未満、100nm未満、又は更に約10nm未満の範囲の寸法であってもよい。いくつかの用途、特に光と連携するなどの用途では、孔及び空隙の平均有効径は、用いる光の波長に相当する寸法である。いくつかの代表的なナノ中空物品、及びナノ中空物品の用途は、例えば、全て本明細書と同日付で出願された、同時係属の代理人整理番号65062US002号、名称「OPTICAL FILM」、同65357US002、名称「BACKLIGHT AND DISPLAY SYSTEM INCORPORATING SAME」、同65356US002号、名称「OPTICAL FILM FOR PREVENTING OPTICAL COUPLING」、同65354US002号、名称「OPTICAL CONSTRUCTION AND DISPLAY SYSTEM INCORPORATING SAME」、及び同65355US002号、名称「RETROREFLECTING OPTICAL CONSTRUCTION」に見出すことができる。ナノ中空物品の用途は、ポリマーマトリックスの機械的特性によって決められてよい。特定の一実施形態では、ポリマーマトリックスの弾性率及び強度は、溶媒が除去されるときに空隙を保持するのに十分である。
【0014】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックスの弾性率及び強度は、溶媒が除去された後に空隙を保持するのに不十分であり、ナノ中空を持たない「崩れた」コーティングをもたらす。このような一実施形態では、均質組成物はポリマーゲルを含む。ポリマーゲルは、流体(この場合は溶媒)の全体積全体に広がるポリマーネットワークであるが、溶媒の除去後は自立しない。このような崩れたコーティングは、例えば、本明細書と同日付で出願された、同時係属の代理人整理番号65185US002号、名称「PROCESS AND APPARATUS FOR COATING WITH REDUCED DEFECTS」に記載されるように、コーティング不良を低減して、均質なコーティング製造の改善をもたらすことができる。
【0015】
本プロセスは、物品全体の孔分布の制御を可能にする。例えば、ナノ中空物品中の孔及び空隙は、物品全体に均一に分散されてもよく、勾配状態のように不均一に分散されてもよく、又は様々な寸法、形状、物品全体での分布をしてもよい。特定の一実施形態では、少なくとも一部の孔及び空隙は物品全体にわたって連続的である、すなわち、各孔及び空隙を物品の表面につなげる、連続的ではあるが場合によっては蛇行した経路がある。連続的経路(多くの場合、共連続相により得られる)により、ポリマーマトリックスの重合中に溶媒が独立気泡構造内に捕捉されるようになるのではなく、物品から溶媒の素早い除去を可能にする。
【0016】
特定の一実施形態では、重合装置は、最近開発された紫外線発光ダイオード(紫外線LED)システムを利用する。紫外線LEDシステムは、寸法を小さく、コーティングの加熱低減の原因になり得る赤外線の放射をわずかにできる。これらの特性により、コーティング溶媒が存在する環境下における、UV硬化性組成物の暴露を安全かつ実用的にする。紫外線LEDシステムを、いくつかの所望のピーク波長、例えば365nm、385nm、395nm、405nmなどで稼働するよう構成してもよい。例えば、UVレーザー、UVランプ、可視ランプ、フラッシュランプなどといった他の放射線源を使用してもよく、例えば、電子ビーム(EB)源などを含む他の高エネルギー粒子装置を使用できる。
【0017】
重合は急速に起こり得、重合装置をコーティング場所と従来の溶媒除去システムとの間に配置できる。また、重合装置を従来の乾燥設備内に、又は、硬化開始時において、コーティングされたフィルムにかなりの量の溶媒が依然として存在する場合は、一連の従来の乾燥設備間に配置することもできる。
【0018】
プロセスパラメーター、例えば、ウェブ速度、コーティング厚さ、紫外線LEDスペクトル及びピーク波長、強度、線量、温度、並びに重合開始時におけるコーティングの組成などは、得られるナノ中空物品に影響を及ぼし得る。得られるナノ中空物品に影響を及ぼし得るその他のプロセスパラメーターとして、重合中のコーティングの組成、並びに、例えば、気相組成、気流場、及びガス流量などの環境制御が挙げられる。気相組成は、溶媒組成及び濃度、並びに、特に重合領域付近の酸素濃度の両方を含み得る。重合プロセスの間、コーティング適用からコーティングされたフィルムの環境を制御することが所望され、調節ガスの給気及び排気の両方で温度制御されたエンクロージャにより達成できる。一部の状況では、硬化(重合)と乾燥が同時に起こり得る。乾燥技術もまた、薄膜の形態及び均一性に影響を及ぼすことがある。
【0019】
ポリマーマトリックスは、溶媒の除去後に空隙を保持するため、十分な弾性率及び機械的一体性を持たなくてはならない。いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックスは三次元高分子マトリックスなどの架橋マトリックスであり、溶媒除去中及び除去後の変形に抵抗性がある。粒子状充填剤(例えば、ナノ粒子などの粒子)をポリマーマトリックスに添加し、ナノ中空物品の形成及び強度に影響を与えることができる。一部の状況では、ナノ粒子を添加すると、重合した材料の有効弾性率の増加、孔/空隙の平均有効径及び物品内での分布の増加若しくは減少、ゲル点における重合性材料の変換の減少、硬化前及び硬化中の溶液の粘度の増加、又はこれら並びに別の効果の組み合わせが起こり得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、ナノ中空コーティングの製造プロセスは、1)コーティング装置に溶液を供給する工程と、2)多くのコーティング手法のうち1つを用いてコーティング溶液を基材に塗布する工程と、3)コーティングされた基材を重合装置(所望の組成で薄膜コーティングを与ることができるように環境が制御される)に移送する工程と、4)溶媒がコーティング内に存在する場合でも少なくとも部分的に重合する工程(重合は周囲条件又は制御下環境で実施できる)と、5)任意に、重合環境を制御するため、重合装置の上流、下流、又は装置内に調節ガスを供給する工程と、6)重合されたコーティングを乾燥設備に移送する工程(乾燥を妨げる装置が置かれていない場合は、この移送工程中に自然に乾燥が起こり得る)と、7)重合されたコーティングを乾燥する工程と、8)任意に、乾燥後の重合されたコーティングを、例えば、追加の熱硬化、可視硬化、UV硬化、又はEB硬化により後処理する工程と、を通常含む。
【0021】
図1は、本開示の一態様によるナノ中空物品170を形成するためのプロセス100の概略図を示す。溶媒120中に重合性材料130を含む第1の溶液110が提供される。第1の溶液110の重合性材料130は、少なくとも部分的に重合され、第2の溶液160中に不溶性ポリマーマトリックス150を含む組成物140を形成する。溶媒120の大部分は第2の溶液160から除去され、ナノ中空物品170を形成する。第2の溶液160は重合性材料130を枯渇しているが、他の部分に記載するように、一部の重合性材料130は第2の溶液160中に残存し得る。ナノ中空物品170は、不溶性ポリマーマトリックス150と、平均有効径190を有する複数の空隙180と、を含む。図1には示されないが、第1の溶液110を基材(図示せず)上にコーティングし、基材上にナノ中空コーティングを形成できることが理解される。
【0022】
重合性材料130は、様々な従来のカチオン重合又はフリーラジカル重合技術(例えば、溶媒重合、エマルション重合、懸濁重合、バルク重合、及び、例えば、可視線光及び紫外線光、電子ビーム照射、並びにこれらの組み合わせなどの化学線を用いるプロセスを含む放射線重合などの、化学開始型、熱開始型、又は放射線開始型であり得る)で重合できる任意の重合性材料であってもよい。
【0023】
化学線硬化性材料として、モノマー、オリゴマー、及びアクリレート、メタクリレート、ウレタン、エポキシなどのポリマーが挙げられる。本開示の実践に好適なエネルギー硬化性基の代表例として、エポキシ基、(メタ)アクリレート基、オレフィン性炭素−炭素二重結合、アリルオキシ基、α−メチルスチレン基、(メタ)アクリルアミド基、シアン酸エステル基、ビニルエーテル基、これらの組み合わせ、及び同種のものが挙げられる。フリーラジカル的に重合可能な基が好ましい。いくつかの実施形態では、代表的な材料としてアクリレート及びメタクリレートモノマーが挙げられ、具体的には、当該技術分野において既知の、重合により架橋ネットワークを形成できる多官能性モノマーを使用できる。重合性材料として、モノマー、オリゴマー、及びポリマーの任意の混合物を挙げることができるが、材料は、少なくとも1つの溶媒に少なくとも部分的に可溶性でなければならない。いくつかの実施形態では、材料は、溶媒モノマー混合物に可溶性でなくてはならない。
【0024】
本明細書で使用されるとき、用語「モノマー」は、1つ以上のエネルギー重合性基を有する比較的低分子量の(すなわち、約500g/モル未満の分子量を有する)材料を意味する。「オリゴマー」は、約500〜約10,000g/モルの分子量を有する、比較的中程度の分子量の材料を意味する。「ポリマー」は、少なくとも約10,000g/モル、好ましくは10,000〜100,000g/モルの分子量を有する、比較的高分子量の材料を意味する。本明細書にわたって使用されるとき、用語「分子量」は、特に明示的な断わりのない限り、数平均分子量を意味する。
【0025】
代表的なモノマー重合性材料として、スチレン、α−メチルスチレン、置換スチレン、ビニルエステル、ビニルエーテル、N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエトキシレート(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、脂環式エポキシド、α−エポキシド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、無水マレイン酸、イタコン酸、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N−ビニルカプロラクタム、ステアリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ官能性ポリカプロラクトンエステル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、これらの組み合わせ、及び同種のものが挙げられる。
【0026】
オリゴマー及びポリマーは総じて、本明細書で「高分子量構成成分又は高分子量種」と称してもよい。好適な高分子量構成成分を、本開示の組成物内に混合してもよい。そのような高分子量構成成分は、粘度調節、硬化時の縮み低減、耐久性、柔軟性、多孔質及び非多孔質基材への接着性、屋外耐候性、及び/又は同種のものなどの効果をもたらすことができる。本開示の液体組成物に混合されるオリゴマー及び/又はポリマーの量は、得られる組成物の用途、反応性希釈剤の性質、オリゴマー及び/又はポリマーの性質及び重量平均分子量、並びに同種のものなどの因子に応じ、幅広く可変であってもよい。オリゴマー及び/又はポリマー自体は、直鎖状、分枝状、及び/又は環状であってもよい。分枝状オリゴマー及び/又はポリマーは、同程度の分子量の直鎖状のものよりも粘度が低い傾向がある。
【0027】
代表的な重合性オリゴマー又はポリマーとして、脂肪族ポリウレタン、アクリル、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、エポキシポリマー、ポリスチレン(スチレンのコポリマーを含む)及び置換スチレン、シリコーン含有ポリマー、フッ素化ポリマー、これらの組み合わせ、並びにその他同種のものが挙げられる。一部の用途には、ポリウレタン及びアクリル含有オリゴマー及び/又はポリマーは、耐久性及び耐候性特性を改善できている。このような材料は、放射線硬化性(メタ)アクリレート官能性モノマーから形成される反応性希釈剤に容易に溶ける傾向も持つ。
【0028】
オリゴマー及び/又はポリマーの芳香族構成成分は、一般に低い耐候性及び/又は低い耐日光性を有する傾向があるため、芳香族構成成分を5重量パーセント未満、好ましくは1重量パーセント未満に制限することができ、オリゴマー及び/又はポリマー、並びに本開示の反応性希釈剤から実質的に除くことができる。したがって、直鎖状、分枝状、並びに/又は、環状脂肪族及び/若しくは複素環式成分は、屋外の用途で用いられるオリゴマー及び/又はポリマーを形成するのに好ましい。
【0029】
本開示での使用に好適な放射線硬化性オリゴマー及び/又はポリマーとして、(メタ)アクリレート化ウレタン(すなわち、ウレタン(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリレート化エポキシ(すなわち、エポキシ(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリレート化ポリエステル(すなわち、ポリエステル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリレート化(メタ)アクリル、(メタ)アクリレート化シリコーン、(メタ)アクリレート化ポリエーテル(すなわち、ポリエーテル(メタ)アクリレート)、ビニル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリレート化油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
溶媒120は、所望の重合性材料130を含む溶液を形成する任意の溶媒であってもよい。溶媒は、極性又は非極性溶媒、高沸点溶媒又は低沸点溶媒であってもよく、いくつかの溶媒の混合液が好ましい場合もある。溶媒又は溶媒混合液を、形成される不溶性ポリマーマトリックス150が、溶媒(又は溶媒混合液中の少なくとも1つの溶媒)に少なくとも部分的に不溶性であるように選択することができる。いくつかの実施形態では、溶媒混合液は、重合性材料の溶媒及び非溶媒の混合液であってもよい。重合中、第1の溶液110は分離し、第2の溶液160、及び重合して不溶性ポリマーマトリックス150を形成するポリマーを多く含む溶液を生成する。特定の一実施形態では、不溶性ポリマーマトリックス150は、三次元骨格をもたらすポリマー鎖連結155を有する三次元ポリマーマトリックスであってもよい。ポリマー鎖連結155は、溶媒120の除去後に不溶性ポリマーマトリックス150の変形を防ぐことができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、図1に示すように、第2の溶液160は、不溶性ポリマーマトリックス150に組み込まれない一部の残存する重合性材料135を含んでもよい(すなわち、第2の溶液160は重合性材料135を使い尽すようになるが、一部は依然として存在してもよい)。組成物140の重合度を最大にし、第2の溶液160中に残存する重合性材料135の量を最小限にすることが好ましい。
【0032】
一実施形態では、溶媒120は、例えば、不溶性ポリマーマトリックス150又は基材(含まれる場合)のいずれかの分解温度を超えない温度で乾燥することにより、組成物140から容易に除去され得る。特定の一実施形態では、乾燥中の温度は基材が変形しやすい温度、例えば、基材の反り温度又はガラス転移温度以下に維持される。代表的な溶媒として、例えば、DOWANOL(商標)PMプロピレングリコールメチルエーテルなどのプロピレングリコールエーテル、イソプロピルアルコール、エタノール、トルエン、エチルアセテート、2−ブタノン、ブチルアセテート、メチルイソブチルケトン、水、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン、芳香族炭化水素、イソホロン、ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフランなどの直鎖状、分枝状、及び環状の炭化水素類、アルコール類、ケトン類、及びエーテル類、ラクテート、アセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMアセテート)、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート(DEアセテート)、エチレングリコールブチルエーテルアセテート(EBアセテート)、ジプロピレングリコールモノメチルアセテート(DPMアセテート)、イソアルキルエステル、イソヘキシルアセテート、イソヘプチルアセテート、イソオクチルアセテート、イソノニルアセテート、イソデシルアセテート、イソドデシルアセテート、イソトリデシルアセテート、又はその他イソアルキルエステルなどのエステル類、これらの組み合わせ、並びに同種のものが挙げられる。
【0033】
第1の溶液110はまた、例えば、反応開始剤、硬化剤、硬化促進剤、触媒、架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、染料、界面活性剤、難燃剤、結合剤、色素、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーを含む衝撃改質剤、フロー制御剤、泡立ち剤、充填剤、ガラス及びポリマーミクロスフェア及び微小粒子、導電性粒子、熱伝導性粒子などのその他粒子、繊維、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などのその他成分を含んでもよい。
【0034】
光開始剤などの反応開始剤を、第1の溶液110に存在するモノマーの重合を促進するための有効量で使用できる。光開始剤の量は、例えば、反応開始剤の種類、反応開始剤の分子量、得られる不溶性ポリマーマトリックス150の用途、及び、例えばプロセスの温度、及び用いる化学線の波長などの重合プロセスに応じ、可変であり得る。有用な光開始剤として、例えば、IRGACURE(商標)184及びIRGACURE(商標)819など、Ciba Specialty ChemicalsからIRGACURE(商標)及びDAROCURE(商標)の商品名で市販されるものが挙げられる。
【0035】
いくつかの実施形態では、例えば、異なるプロセスの部分で重合を制御するため、反応開始剤及び反応開始剤種の混合物を用いてもよい。一実施形態では、任意の後処理重合は、熱的に生成されるフリーラジカル反応開始剤を必要とする熱開始型重合であってもよい。別の実施形態では、任意の後処理重合は、光開始剤を必要とする化学線開始型重合であってもよい。後処理光開始剤は、溶液中ポリマーマトリックスの重合に用いた光開始剤と同じであっても異なっていてもよい。
【0036】
不溶性ポリマーマトリックス150を架橋し、より強固なポリマーネットワークを提供してもよい。架橋は、ガンマ線又は電子ビーム照射のような高エネルギー放射線の使用によって、架橋剤を用いて又は用いずに達成され得る。いくつかの実施形態では、架橋剤又は架橋剤の組合せを、重合性モノマーの混合物に添加してもよい。架橋は、他の部分に記載する任意の化学線源を使用して、ポリマーネットワークの重合中に起こり得る。
【0037】
有用な放射線硬化性架橋剤として、米国特許第4,379,201号(Heilmannら)に開示されるもののような多官能性アクリレート及びメタクリレートが挙げられ、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカノールジ(メタ)アクリレート、米国特許第4,737,559号(Kellenら)に開示されるもののような共重合性芳香族ケトンコモノマーなど、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0038】
第1の溶液110はまた、連鎖移動剤を含んでもよい。連鎖移動剤は、好ましくは重合前のモノマー混合物に可溶性である。好適な連鎖移動剤の例として、トリエチルシラン及びメルカプタンが挙げられる。いくつかの実施形態では、連鎖移動は溶媒に対しても起こり得るが、これは好ましい機構ではない。
【0039】
重合工程は、好ましくは、低酸素濃度である雰囲気で放射線源を使用することを含む。酸素は、フリーラジカル重合を抑制することが知られており、低い硬化度をもたらす。重合及び/又は架橋を達成するために用いられる放射線源は、化学線(例えば、スペクトルの紫外線又は可視光領域に波長を有する放射線)、加速粒子(例えば、電子ビーム照射)、熱(例えば、熱又は赤外線)などであってもよい。いくつかの実施形態では、エネルギーは、重合及び/又は架橋の開始及び速度の制御を行ううえで優れている化学線又は加速粒子である。加えて、比較的低い温度で硬化を行なうために、化学線及び加速粒子を用いることができる。これにより、熱硬化技術を用いる場合にエネルギー硬化性基の重合及び/又は架橋の開始に必要な比較的高温に対し、反応する場合がある構成成分の分解又は蒸発を防ぐ。好適な硬化エネルギー源として、紫外線LED、可視LED、レーザー、電子ビーム、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、タングステンフィラメントランプ、フラッシュランプ、太陽光、低強度紫外線ライト(ブラックライト)などが挙げられる。
【0040】
溶媒120の大部分は溶媒除去工程で除去され、ナノ中空物品170を形成する。溶媒の大部分とは、溶媒の90重量%超、80重量%超、70重量%超、60重量%超、又は50重量%超を意味する。溶媒は、浮上/対流する空気を包含し得る加熱オーブン内での乾燥、赤外光若しくはその他放射光源による乾燥、真空乾燥、ギャップ乾燥、又は乾燥技術の組み合わせにより除去できる。乾燥技術の選択は、所望のプロセス速度、溶媒除去の程度、及び中でも期待されるコーティング形態により左右され得る。ギャップ乾燥は最小限のスペースで迅速な乾燥をもたらすため、特定の一実施形態では、ギャップ乾燥が溶媒除去において利益を提供できる。
【0041】
図2は、本開示の別の態様によるナノ中空物品280を形成するためのプロセス200の概略図を示す。溶媒220中に重合性材料230及びナノ粒子240を含む第1の溶液210が提供される。第1の溶液210は少なくとも部分的に重合され、第2の溶液270中の不溶性ポリマーマトリックス260に結合したナノ粒子240を含む組成物250を形成する。溶媒220の大部分は第2の溶液270から除去され、ナノ中空物品280を形成する。特定の一実施形態では、不溶性ポリマーマトリックス260は、三次元骨格をもたらすポリマー鎖連結265を有する三次元ポリマーマトリックスであってもよい。ポリマー鎖連結265は、溶媒220の除去後に不溶性ポリマーマトリックス260の変形を防ぐことができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、図2に示すように、第2の溶液270は、不溶性ポリマーマトリックス260に組み込まれない一部の残存する重合性材料235を含んでもよい(すなわち、第2の溶液270は重合性材料235を使い尽すようになるが、一部は依然として存在してもよい)。重合工程後、第2の溶液270中に残存する重合性材料235の量を最小限にすることが好ましい。いくつかの実施形態では、図2に示すように、第2の溶液270はまた、不溶性ポリマーマトリックス260に結合していない少量のナノ粒子245も含んでよい(すなわち、第2の溶液270はナノ粒子240を使い尽すようになるが、一部は依然として存在してよい)。一般には、重合工程後、不溶性ポリマーマトリックス260に結合していないナノ粒子245の量を最小限にすることが望ましい。本明細書で使用されるとき、ポリマーマトリックスに「結合する」ナノ粒子とは、ポリマーマトリックスに完全に埋め込まれているナノ粒子、ポリマーマトリックスに部分的に埋め込まれているナノ粒子、ポリマーマトリックスの表面に付着しているナノ粒子、又はこれらの組み合わせを含むことを意味する。
【0043】
特定の一実施形態では、ナノ粒子240は、不溶性ポリマーマトリックス260に化学的に結合する表面改質された反応性ナノ粒子であってもよい。特定の一実施形態では、ナノ粒子240は、不溶性ポリマーマトリックス260に物理的に結合する表面改質された非反応性ナノ粒子であってもよい。特定の一実施形態では、ナノ粒子240は、表面改質された反応性ナノ粒子及び非反応性ナノ粒子の混合物であってもよい。
【0044】
ナノ中空物品280は、不溶性ポリマーマトリックス260に結合するナノ粒子240と、平均有効径295を有する複数の空隙290と、を含む。図2には示されないが、第1の溶液210を基材上にコーティングし、基材上にナノ中空コーティングを形成できることが理解される。
【0045】
重合性材料230及び溶媒220は、図1でそれぞれ説明した重合性材料130及び溶媒120と同じであってもよい。一実施形態では、ナノ粒子240は、無機ナノ粒子、有機(例えば、ポリマー)ナノ粒子、又は有機ナノ粒子及び無機ナノ粒子の組み合わせであってもよい。特定の一実施形態では、粒子240は、多孔質粒子、中空粒子、固体粒子、又はこれらの組み合わせであってもよい。好適な無機ナノ粒子の例としては、ジルコニア、チタニア、セリア、アルミナ、酸化鉄、バナジア、酸化アンチモン、酸化スズ、アルミナ/シリカ、及びそれらの組み合わせを含む、シリカ及び金属酸化物ナノ粒子が挙げられる。ナノ粒子は、約1000nm未満、約100nm未満、約50nm、又は約3nm〜約50nmの平均粒子直径を有してもよい。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、約3nm〜約50nm、又は約3nm〜約35nm、又は約5〜約25nmの平均粒子直径を有してもよい。ナノ粒子が凝集物である場合、凝集した粒子の最大断面寸法は、任意のこれらの範囲内であってよく、約100nm超であってもよい。いくつかの実施形態では、Cabot Co.(Boston,MA)から入手できるCAB−O−SPERSE(登録商標)PG 002ヒュームドシリカ、CAB−O−SPERSE(登録商標)2017Aヒュームドシリカ、及びCAB−O−SPERSE(登録商標)PG 003ヒュームドアルミナなどの、主たる寸法が約50nm未満のシリカ及びアルミナなどの「ヒュームド」ナノ粒子も含まれる。
【0046】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子240は、疎水基、親水基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される表面基を含む。別の実施形態では、ナノ粒子は、シラン、有機酸、有機塩基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される剤由来の表面基を含む。別の実施形態では、ナノ粒子は、アルキルシラン、アリールシラン、アルコキシシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される剤由来のオルガノシリル表面基を含む。
【0047】
「表面改質ナノ粒子」という用語は、粒子の表面上に付着された表面基を含む粒子を意味する。表面基は、粒子の特性を修飾する。「粒子直径」及び「粒径」という用語は、粒子の最大断面寸法を意味する。粒子が凝集物の形で存在する場合、「粒子直径」及び「粒径」という用語は凝集物の最大断面寸法を意味する。いくつかの実施形態では、粒子は、ヒュームドシリカ粒子などの、アスペクト比が大きいナノ粒子の凝集物であってもよい。
【0048】
表面改質ナノ粒子は、ナノ粒子の溶解度特性を修飾する表面基を有する。一般に、粒子を、第1の溶液210に混合可能にするように表面基が選択される。一実施形態では、表面基は、第1の溶液210の少なくとも1つの成分と結合する又は反応するように選択され、重合したネットワークの化学的結合部分となる。
【0049】
種々の方法が、ナノ粒子の表面を改質するために利用可能であり、それらには、例えば、表面改質剤のナノ粒子への添加(例えば、粉末又はコロイド状分散物の形態)及び表面改質剤をナノ粒子と反応するのを可能にすることが挙げられる。他の有用な表面改質プロセスは、例えば、米国特許第2,801,185号(Iler)及び同第4,522,958号(Dasら)に記載されており、本明細書に組み込まれる。
【0050】
有用な表面改質シリカナノ粒子として、例えば、GE SiliconesのSilquest(登録商標)A−1230などのSilquest(登録商標)シラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、4−(トリエトキシシリル)−ブチロニトリル、(2−シアノエチル)トリエトキシシラン、N−−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート(PEG3TMS)、N−−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート(PEG2TMS)、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリス−イソブトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、及びこれらの組み合わせなどの、シラン表面改質剤で表面改質されたシリカナノ粒子が挙げられる。シリカナノ粒子は多数の表面改質剤で処理することが可能であり、例えば、アルコール、例えばアルキルトリクロロシラン、トリアルコキシアリールシラン、トリアルコキシ(アルキル)シラン、及びこれらの組み合わせを包含するオルガノシラン、並びにオルガノチタネート及びそれらの混合物が挙げられる。
【0051】
ナノ粒子は、コロイド状分散液の形態で提供されてもよい。有用な市販の非改質シリカ出発材料の例として、Nalco Chemical Co.(Naperville,Ill)からNALCO 1040、1050、1060、2326、2327、及び2329コロイド状シリカの製品名で入手できるナノサイズのコロイド状シリカ、Chemical America Co.(Houston,TX)からIPA−ST−MS、IPA−ST−L、IPA−ST、IPA−ST−UP、MA−ST−M、及びMA−STゾルの、更にNissan Chemical America Co.(Houston,TX)からSnowTex(登録商標)ST−40、ST−50、ST−20L、ST−C、ST−N、ST−O、ST−OL、ST−ZL、ST−UP、及びST−OUPの製品名のオルガノシリカが挙げられる。重合性材料とナノ粒子の重量比は、約30:70、40:60、50:50、55:45、60:40、70:30、80:20、又は90:10以上の範囲であってもよい。ナノ粒子の重量%の好ましい範囲は、約10重量%〜約60重量%であり、用いるナノ粒子の密度及び寸法に依存し得る。
【0052】
図3Aは、本開示の一態様による基材302上にナノ中空コーティング356を形成するためのプロセス300の概略図を示す。図3Aに示すプロセス300は連続プロセスであるが、その代わりに、このプロセスを段階的方法で実施し、すなわち、以下に説明するコーティング工程、重合工程、溶媒除去工程を、それぞれの基材片に対して別々の操作で実施し、ナノ中空コーティングを形成できることが理解される。
【0053】
図3Aに示すプロセス300は、コーティング区域310、任意のコーティング調整区域315、重合区域320、第1の溶媒除去区域340、及び任意の第2の溶媒除去区域350に基材302を通し、基材302上にナノ中空コーティング356を形成する。次いで、基材302上のナノ中空コーティング356は任意の第2の重合区域360を通り、任意に基材302上に後硬化したナノ中空コーティング366を形成し、続いて出口ロール370として巻き取られる。いくつかの実施形態では、プロセス300は、ウェブ系材料の製造に共通した追加の処理装置、例えば、アイドラーロール、テンションロール、ガイド機構、コロナ処理器又は火炎処理器などの表面処理器、積層ロールなどを含めてもよい。いくつかの実施形態では、プロセス300は、様々なウェブ経路、コーティング手法、重合装置、重合装置の配置、乾燥オーブン、調整区域などを利用することができ、記載の区域の一部は任意であってもよい。
【0054】
基材302は、ウェブラインにおいてロールツーロールウェブプロセスに好適な任意の既知の基材、例えば、ポリマー基材、金属化ポリマー基材、金属箔、これらの組み合わせなどであってもよい。特定の一実施形態では、基材302は、液晶ディスプレイなどの光学的ディスプレイでの使用に好適な、光学品質のポリマー基材である。
【0055】
基材302は、入口ロール301から巻き戻され、アイドラーロール303を通し、コーティング区域310でコーティングロール304に接触する。第1の溶液305はコーティングダイ307を通り、基材302上に第1の溶液305の第1のコーティング306を形成する。第1の溶液305は、溶媒、重合性材料、任意のナノ粒子、光開始剤、及び、他の部分に記載する任意の他の第1の溶液成分を含んでもよい。コーティング区域310のコーティングダイ307と、任意のコーティング調整区域315のコーティング調整領域309との間に配置される囲い板308は、第1の溶液305を取り囲む第1の制御下環境311をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、例えば、第1の溶液305の組成が実質的に変化する前に重合が起こるとき、囲い板308及び任意のコーティング調整区域315は任意であってもよい。続いて、他の部分に記載するように、第1の溶液305の第1のコーティング306を有する基材302は、第1の溶液305が重合される重合区域320に入る。
【0056】
コーティングダイ307は、任意の既知のコーティングダイ及びコーティング手法を含めてよく、任意の特定のダイ設計又は薄膜コーティング手法に限定されない。コーティング手法の例として、ナイフコーティング、グラビアコーティング、スライドコーティング、スロットコーティング、スロット供給ナイフコーティング、カーテンコーティング、及び当業者に既知の同種の手法が挙げられる。ナノ中空物品のいくつかの用途には、高精度の厚さ、及び欠陥のないコーティングの必要性が含まれてよく、図3Aに示すように、精密コーティングロール304に対して配置される精密なスロットコーティングダイ307の利用を必要としてもよい。第1のコーティング306は任意の厚さで適用されてもよいが、薄いコーティングが好ましく、例えば、1000マイクロメートル厚未満、約500マイクロメートル厚未満、又は更には約100マイクロメートル厚未満のコーティングが、代表的な特性を有するナノ中空物品を提供することができる。
【0057】
第1のコーティング306は、他の部分に記載するように、少なくとも1つの溶媒及び重合性材料を含むため、囲い板308は、コーティングからの不要な溶媒損失をいかなる程度であっても低減するように、また、重合を阻害する場合がある酸素からコーティングを保護するようにも配置される。囲い板308は、例えば、第1のコーティング306にごく近接して配置される形成されたアルミニウム板であってもよく、第1の制御下環境311が維持できるように、コーティングダイ307及びコーティングロール304の周囲に封止をもたらす。いくつかの実施形態では、囲い板308は、周囲の室内条件からコーティングを保護するように機能することもできる。第1の制御下環境311として、酸素濃度を制御するための窒素などの不活性ガス、溶媒の損失を低減するための溶媒蒸気、又は不活性ガスと溶媒蒸気の組み合わせを挙げることができる。酸素濃度は、重合率及び重合度の両方に影響し得るため、一実施形態では、第1の制御下環境311中の酸素濃度を、1000百万分率(ppm)未満、500ppm未満、300ppm未満、150ppm未満、100ppm未満、又は更には50ppm未満に低下させる。一般に、達成可能な最低酸素濃度が好ましい。
【0058】
任意のコーティング調整区域315内のコーティング調整領域309は、囲い板308の延長部分であり、重合区域320に入る前に、第1のコーティング306を修飾する追加機能を提供する。第1の制御下環境311を、コーティング調整領域309内でも依然として維持することができる。別の実施形態では、更なる加熱、冷却、又は吸排気を提供し、第1のコーティング306の組成を調整又は維持することができる。例えば、溶媒蒸気を給気内に混入し、重合前に第1のコーティング306からの溶媒蒸発を低減させることができる。
【0059】
例えば、米国特許第5,694,701号に記載されているギャップドライヤーなどの加熱装置を用い、第1のコーティング306の温度の上昇又は低下、第1のコーティング306の組成調整用追加溶媒の除去、又はその両方を行うことができる。また、例えばコーティングの最適な組成(例えば、固体%)が重合に最適な組成と異なる場合、ギャップドライヤーを用いて、所望の薄膜形態にできるよう、重合区域の前に溶媒の一部を除くこともできた。多くの場合、コーティング調整領域309は、重合前に、第1のコーティング306が安定化するため、例えば、表面の任意のしわ又はすじをならすための追加時間を提供する働きができる。
【0060】
図3Bは、本開示の一態様による、図3Aに示されるプロセス300の重合区域320の概略図である。図3Bは、基材302の経路を下に見たときの重合区域320の横断面を示す。重合区域320は、ハウジング321と、基材302上の第1のコーティング306を部分的に取り囲む、第2の制御下環境327の境界を提供する石英プレート322と、を備える。放射線源323は、石英プレート322を通り抜け、基材302上の第1のコーティング306を重合する化学線324を発生する。単一の放射線源323の代わりに、図3Bに示す放射線源アレイ325により、重合プロセスに改良された均一性及び重合率をもたらすことができる。放射線源アレイ325は、放射線源323をそれぞれ調整でき、例えば、クロスウェブ又はダウンウェブ特性を所望するようにもたらすことができる。熱抽出装置326を配置し、放射線源アレイ325内の各放射線源323が発生する熱を除去することにより、温度を調節することができる。
【0061】
ハウジング321は、基材302、第1のコーティング306、及び少なくとも部分的に重合された第2のコーティング336(図3Cに示す)を取り囲むように設計される単一のエンクロージャであってよく、又はハウジング321は、例えば、第2の制御下環境327の温度を調節できる温度制御プレート(図示せず)などの追加要素もまた備えてもよい。ハウジング321は、基材302及び第1のコーティング306を囲むのに十分な内部寸法「h3」及び「h2」を有し、第2の制御下環境327を提供する。気流場は、不活性能、コーティング組成、コーティングの均一性などに影響する。図3Bに示すように、ハウジング321は、放射線源アレイ325内で放射線源323から第2の制御下環境327を分離する上部石英プレート322を備える。放射線源アレイ325は、基材302から「h1」の距離に位置し、均一な化学線324を第1のコーティング306に提供する。一実施形態では、「h1」及び「h3」は、それぞれ1インチ(2.54cm)及び0.25インチ(0.64cm)である。いくつかの実施形態(図示せず)では、石英プレート322及び放射線源323が基材302の下部に位置し、第1のコーティング306を重合する前に化学線324が基材302を通過するように、重合区域320を逆にしてもよい。別の実施形態(これも図示せず)では、重合区域320は、2つの石英プレート322と、基材の上部及び下部に位置する2つの放射線源323と、を含み、第1のコーティング306を重合してもよい。
【0062】
放射線源323は、他の部分に記載するように、任意の化学線源であってもよい。いくつかの実施形態では、放射線源323は、紫外線を発生可能な紫外線LEDである。異なる波長を放射する放射線源の組み合わせを用い、重合反応率及び重合反応の程度を調節してもよい。紫外線LED又はその他放射線源は、操作中に熱を発生することがあり、空気又は水のいずれかにより冷却されるアルミニウムで熱抽出装置326を製造し、発生した熱を取ることにより温度を調節してもよい。
【0063】
図3Cは、本開示の一態様による、図3Aに示されるプロセス300の重合区域320の概略図である。図3Cは、基材302の縁部に沿って見たときの重合区域320の横断面を示す。重合区域320は、ハウジング321と、第2の制御下環境327の境界を提供する石英プレート322と、を含む。第2の制御下環境327は、第1のコーティング306、及び基材302上の少なくとも部分的に重合された第2のコーティング336を部分的に取り囲む。少なくとも部分的に重合された第2のコーティング336は、他の部分に記載するように、第2の溶液中の不溶性ポリマーマトリックスを含む。
【0064】
ここで、第2の制御下環境327について説明する。ハウジング321は、基材302、基材302上のコーティング306、及びそれぞれの開口部間に、所望の任意の空隙を提供するよう調節できる入口開口部328及び出口開口部329を含む。第2の制御下環境327は、ハウジング321の温度制御、並びに、第1の給気331、第2の給気333、第1の排気335及び第2の排気334の温度、組成、圧力及び流量を適切な制御により維持することができる。入口及び出口開口部328、329の寸法を適切に調節すると、それぞれ第1及び第2の排気335、334の圧力及び流量調節を促進できる。
【0065】
第1の排気335は、第2の制御下環境327から入口開口部328を通り、図3Aに示す任意のコーティング調整区域315の第1の制御下環境311内に流れてもよい。いくつかの実施形態では、第2の制御下環境327及び第1の制御下環境311内の圧力を調節して2つの環境間の流れを防ぎ、第1の排気335は、ハウジング321内の別の場所(図示せず)から第2の制御下環境327を出ていく。第2の排気334は、第2の制御下環境327から出口開口部329を通り、図3Aに示す第1の溶媒除去区域340内に流れることができ、又は第2の排気334は、ハウジング321の別の場所(図示せず)から第2の制御下環境327を出ていってもよい。
【0066】
第1の給気マニホールド330は、入口開口部328に近接するハウジング321に隣接して配置され、第1のコーティング306の幅全体に、所望の均一性で第1の給気331を分布する。第2の給気マニホールド332は、出口開口部329に近接するハウジング321に隣接して配置され、第2のコーティング336の幅全体に、所望の均一性で第2の給気333を分布する。第1及び第2の給気331、333は、所望に応じ、ウェブ上部、ウェブ下部、又はウェブ上部及び下部の任意の組み合わせに分布してもよい。第1及び第2の給気331、333は、同じであっても異なっていてもよく、周知のように、重合反応を阻害可能な酸素濃度を低減できる、窒素などの不活性ガスを含んでもよい。第1及び第2の給気331、333はまた、他の部分に記載するように、重合前又は重合中に第1のコーティング306からの溶媒損失を低減するのに役立てることができる溶媒蒸気も含んでもよい。相対流量、流速、コーティング上への流れの衝突又は方向、及び第1及び第2の給気331、333の各温度を独立して制御し、調節して、重合前の第1のコーティング306における欠陥を低減することができる。当該技術分野において既知のように、コーティングへの障害が原因で欠陥が起こることがある。一部の状況では、第1及び第2の給気331、333のうち一方のみを流してもよい。
【0067】
次に図3Aを参照し、このプロセスの残りについて説明する。重合区域320を出た後、基材302上に重合された第2のコーティング336は、第1の溶媒除去区域340に入る。第1の溶媒除去区域340は、重合された第2のコーティング336を加熱し、溶媒を蒸発させることにより溶媒を除去する従来の乾燥オーブンであってもよい。好ましい第1の溶媒除去区域340は、例えば、米国特許第5,694,701号及び同第7,032,324号に記載されるようなギャップドライヤーである。ギャップドライヤーは、一部の用途において所望されることがある、乾燥環境のより良好な制御をもたらし得る。任意の第2の溶媒除去区域350を更に用い、確実に溶媒の大部分を除去することができる。
【0068】
基材302上のナノ中空コーティング356は、任意の第2の溶媒除去区域350を出て、その後任意の第2の重合区域360を通り、任意に基材302上に後硬化したナノ中空コーティング366を形成する。任意の第2の重合区域360は、既述の任意の化学線源を含むことができ、ナノ中空コーティング356の硬化度を上昇させることができる。いくつかの実施形態では、硬化度を上昇させることには、溶媒の除去後に、残存する重合性材料(すなわち、それぞれ図1及び図2に示す残存する重合性材料135、235)を重合することを含んでもよい。基材302上のナノ中空コーティング356は任意の第2の重合区域360を出て、次いで出口ロール370として巻き取られる。いくつかの実施形態では、出口ロール370は、ナノ中空コーティングに積層される別の所望のフィルム(図示せず)を有し、同時に出口ロール370に巻かれてもよい。別の実施形態では、ナノ中空コーティング356又は基材302のいずれか上に、追加の層(図示せず)をコーティングし、硬化し、乾燥することができる。
【実施例】
【0069】
以下の材料の一覧及びこれらの供給源は実施例全体で使用される。
【0070】
【表1】

【0071】
実施例1:溶液中重合により形成されるナノ多孔質物品
表面改質されたナノ粒子を含む第1のコーティング溶液を調製した。表面改質されたナノ粒子は、重合中にポリマーと化学結合する反応性ナノ粒子とした。
【0072】
反応性ナノ粒子の調製:400gのNalco 2327コロイド状シリカ分散液を、1クオート容広口瓶に入れた。別の容器に、450gの1−メトキシ−2−プロパノール、25.43gの3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、0.27gのProstab 5128(1重量%水溶液)を混合し、攪拌しながらコロイド状シリカ分散液に添加した。この広口瓶を密封し、80℃で17時間加熱して、反応性表面改質ナノ粒子溶液を得た。
【0073】
放射線硬化性ハードコート(RCHC)コーティング溶液の調製:3つのアクリレートモノマー、SR444(400g)、SR238(400g)及びSR506(200g)を合わせ、混合して放射線硬化性樹脂を作製した。別のフラスコで、667gの反応性ナノ粒子溶液(上記)を、174gの放射線硬化性樹脂、及び1.22gのProstab 5128(5重量%水溶液)と混合した。水及び1−メトキシ−2−プロパノールは、回転蒸発によって混合物から除去した。これにより、改質シリカの重量パーセントが約43%である透明組成物(約308g)が得られた。透明組成物をエチルアセテートを用いて40固体%まで希釈し、Irgacure 819光開始剤を2固体重量%で添加することにより、第1のコーティング溶液を調製した。
【0074】
コーティング溶液の処理:一般工程は図3A〜Cに示す概略に従った。第1のコーティング溶液を、4インチ(10.2cm)幅のスロットタイプのコーティングダイに3cc/分の割合で供給した。基材を10フィート/分(305cm/分)の速度で動かし、約8マイクロメートルのウェットコーティング厚さを得た。4インチ(10.2cm)幅のコーティングダイをクラムシェル型エンクロージャ(すなわち囲い板)内に置き、そのクラムシェルは180立方フィート/時(84リットル/分)の流量で窒素を供給した。クラムシェルは、石英窓を2か所備える小空隙ウェブエンクロージャに直接連結させた。小空隙重合区域を酸素濃度360ppmの不活性にするように、クラムシェルに窒素流を供給した。
【0075】
重合区域には、Clearstone Technologies Inc.(Minneapolis MN)から入手可能な、直径1.75インチ(4.4cm)の円内に配置される18個のLEDを有するClearstone Tech UV LEDユニットを2つ備えた。2つの紫外線LEDユニットを石英窓のすぐ上に配置し、スイッチを入れる際100%出力で操作した。各紫外線LEDユニットの波長は、それぞれ405nm及び365nmであった。365nmの紫外線LEDは、約0.11W/cmのUV−A、及び0W/cmの可視線を発生し、405nmの紫外線LEDは、約0.03W/cmのUV−A、及び0.196W/cmの可視線を発生した。LEDは、これもClearstoneから入手できるCF 1000 UV−Vis LED Sourceを搭載した。2つのサンプルを、一方を紫外線LEDを付けた状態で、もう一方を紫外線LEDを消した状態で調製した。
【0076】
紫外線LED重合に続き、コーティングされたウェブは室内環境で10フィート(3m)の距離を進み、次いで、プレート温度が170°F(77℃)に設定された5フィート(1.5m)長の小ギャップ乾燥ゾーンを2か所通過した。続いて、Hバルブを装着したFusion Systems Model I300P(Gaithersburg MD)を用いてコーティングを後重合した。UVチャンバを、約50ppm酸素になるように窒素不活性化した。図4Aは、紫外線LEDを消して調製したサンプルのSEMを示し、図4Bは、紫外線LEDを付けて調製したサンプルのSEMを示す。
【0077】
図4A及び4Bの比較により、薄膜の形態を変化させる紫外線LEDの重合能が示される。図4Aは、溶液中の重合が起こっていないことを示し、コーティングは非多孔質である。図4Bは、溶液中の重合が起こっていることを示し、ナノメートル寸法範囲の孔寸法を有するナノ中空コーティングが生じる。
【0078】
各サンプルの屈折率は、Metricon MODEL 2010プリズムカップラー(Metricon Corporation Inc.(Pennington,NJ))を使用して632.8nmで測定した。サンプルの表面粗さは、Digital Instruments Dimension 5000 SPM AFM Systemを使用して測定した。空気の体積分率は、屈折率と体積分率との間の体積平均関係である、V+V=n、及びV+V=1を用いて推定した。ここでVは空気の体積分率であり、nは空気の屈折率であり、Vは樹脂/粒子の体積分率であり、nは樹脂/粒子の屈折率であり、nは生じたコーティングの屈折率である。生じたコーティングの屈折率を測定し、空気及び樹脂/粒子系の屈折率を得ると、この等式をフィルム中空気の体積分率の推定に用いることができる。その結果を以下の表1にまとめた。
【0079】
【表2】

【0080】
実施例2:ナノ多孔性及び屈折率の制御
シリカナノ粒子(906ハードコート溶液)を有する放射線硬化性材料溶液を用いて、広範な紫外線LED出力レベルで重合される薄膜を生成した。米国特許第5,677,050号(Bilkadiら)の第10段、25〜39行目、及び実施例1に記載されるプロセスにより製造された906ハードコート原液は、18.4重量%のメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(アクリレートシラン)で表面改質された20nmシリカ(Nalco 2327)、25.5重量%のペンタエリスリトートリ/テトラアクリレート(PETA)、4.0重量%のN,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、1.2重量%のIrgacure 184、1.0重量%のTinuvin 292、46.9重量%のイソプロパノール、及び3.0重量%の水を含有する組成物である。906ハードコートの原液を1−メトキシ2−プロパノールで35固体%に希釈し、第1のコーティング溶液を作製した。図3A〜3Cに示すプロセスにおいて、第1のコーティング溶液を、0.002インチ(0.051mm)厚のプライミングしたポリエステル(Melinex 617(DuPont Teijin Films))基材ウェブに適用した。
【0081】
第1のコーティング溶液を、4インチ(10.2cm)幅のスロットタイプのコーティングダイに3cc/分の割合で、5フィート/分(152cm/分)の速度で動く基材上に供給し、約19マイクロメートルのウェットコーティング厚さを得た。コーティング後、ウェブは囲い板を通過し、紫外線LED重合区域に入る前の溶媒の蒸発を減少させた。紫外線LED放射線源アレイは、4インチ(10.2cm)×8インチ(20.4cm)の面積内のウェブの幅方向に8つのLED、ウェブの長さ方向に20列のLEDがあった。LEDは385nmの紫外線LED(Cree Inc.(Durham NC)から入手可能)であった。紫外線LEDアレイは、ダウンウェブ方向に位置する4”(10.2cm)の寸法を有し、基材から約1インチ(2.54cm)間隔を置いた。ファン冷却式アレイは、TENMA 72−6910(42V/10A)の電源供給装置(TENMA(Centerville OH)から入手可能)で動く。電源供給装置の出力は0〜8アンペアに調節した。紫外線LED重合区域に、下流(すなわち、図3C中のマニホールド332)のガス導入装置から100立方フィート/時(46.7リットル/分)の窒素を供給し、制御下環境で約150ppmの酸素濃度を得た。
【0082】
紫外線LED重合に続き、コーティングされたウェブは室内環境で10フィート(3m)の距離を通過し、次いで、プレート温度が170°F(77℃)に設定された5フィート(1.5m)長の小ギャップ乾燥区域を2か所通過した。続いて、Hバルブを装着したFusion Systems Model I300P(Gaithersburg MD)を用いてコーティングを後重合した。UVチャンバを、約50ppm酸素になるように窒素不活性化した。
【0083】
9つのサンプルを調製し、紫外線LED電源供給装置を0〜8アンペアまで1アンペアずつ増加させて変更することによる、ナノ多孔性及びコーティング屈折率の制御を実証した。9つのコーティングの屈折率は、Metricon MODEL 2010プリズムカップラー(Metricon Corporation Inc.(Pennington,NJ))を使用して632.8nmで測定し、結果を図5にプロットした。約1アンペア未満の出力レベルでは、最終のコーティング形態は変わらず、屈折率(n=1.49)は連続的なコーティング、乾燥、及び硬化の後に906ハードコートで予想されるものであった。出力レベルを上げると、屈折率は徐々に低下し、8アンペアの出力設定において最小値(n=1.22)に達する。
【0084】
実施例1に示した体積平均関係を用いると、測定値1.22の屈折率を有するフィルム中における算出された空気の体積分率は0.56である。この実施例は、重合条件を制御することにより、コーティング中の空気量が0〜56%まで変化可能であることを示す。
【0085】
実施例3:高体積低コストロールツーロール製造の実証
実施例2の35固体%の906ハードコート溶液を、エチルアセテートを添加して30固体%に更に希釈した。次いで、Irgacure 819を2固体重量%で追加した。図3A〜3Cに示すプロセスにおいて、コーティング溶液を、0.002インチ(0.051mm)厚のプライミングしたポリエステル(Melinex 617(DuPont Teijin Films))基材ウェブに適用した。
【0086】
第1のコーティング溶液を、20〜100フィート/分(6.1〜30.5m/分)に変化させた速度で動く基材上の、8インチ(20.3cm)幅のスロットタイプのコーティングダイに供給した。コーティング溶液の適用量をウェブ速度が増加するにつれて増やし、19マイクロメートルの一定のウェットコーティング厚さを維持した。コーティング後、ウェブは、ウェブエンクロージャ(すなわち、図3Aの囲い板308)を通過し、5フィート(152cm)長のギャップドライヤー区域(図3Aのコーティング調整領域309に対応する)に入る。ギャップドライヤーは、0.25インチ(0.64cm)の空隙、並びに70°F(21℃)に設定した上側及び下側プレートの両方を備えた状態で操作し、コーティングダイと重合区域との間の乾燥が最小限になるように条件を設定した。紫外線LED重合装置は、ギャップドライヤーのダウンウェブ側末端に直接連結した。
【0087】
次いで、コーティングされたウェブは、各列22個のLEDを備えた16列のLEDからなる395nmの紫外線LED水冷却型アレイを用いる重合区域内に入った。8インチ×8インチ(20.3×20.3cm)の面積内に、各列22個のLEDがウェブ幅方向に等間隔に置かれ、16列をダウンウェブ方向に沿って等間隔に置いた。アレイ中352個のLEDは、395nmの紫外線LED(Cree Inc.(Durham NC)から入手可能)であった。LEDアレイは、LAMBDA GENH750W電源供給装置を用いて作動させた。電源供給装置の出力を0〜13アンペアに変化させ、約45ボルトで操作することができる。制御下環境に、2つの下流ガス導入装置(例えば、図3C中のマニホールド332)から約300立方フィート/時(140リットル/分)の窒素を供給した。これにより、重合区域の制御下環境で約140ppmの酸素濃度を得た。装置を出た後、ウェブは約3フィート(0.9m)進み、3ゾーン全てを150°F(66℃)に設定した30フィート(9.1m)の従来の空気浮上式ドライヤーに入った。乾燥後巻き取り前に、重合されて乾燥されたコーティングをFusion UV Systems,Inc.のVPS/I600(Gaithersburg,MD)を用いて後重合した。FusionシステムはHバルブで構成され、硬化ゾーン内で酸素50ppm未満において100%の出力で操作した。
【0088】
後重合された、異なるウェブ速度で調製したコーティングの屈折率は、Metricon MODEL 2010プリズムカップラー(Metricon Corporation Inc.(Pennington,NJ))を使用して632.8nmで測定した。図6は、一定のコーティング厚さ及び13アンペアの一定の紫外線LED出力設定における、測定される屈折率に対するウェブ速度の影響を示す。この結果は、20〜100フィート/分(6.1〜30.5m/分)の速度範囲全体にわたり、屈折率が本質的に一定のままである(n=1.22)ことを示す。各速度において、流量は、ウェブ速度20フィート/分(6.09m/分)におけるコーティング溶液流量24cc/分から、ウェブ速度100フィート/分(30.5m/分)におけるコーティング溶液流量120cc/分の範囲で可変であった。
【0089】
図7は、100フィート/分(30.5m/分)の一定のウェブ速度及び120cc/分のコーティング溶液流量における、紫外線LED出力範囲に対する屈折率を示す。約2アンペア未満の出力レベルでは、最終のコーティング形態は変わらず、屈折率(n=1.5)は連続的なコーティング、乾燥、及び硬化の後に906ハードコートで予想されるものであった。しかし、出力レベルを上げると、屈折率は徐々に低下し、9アンペアを超える出力設定において最小値(n=1.21)に達した。
【0090】
実施例4:屈折率に対する重合チャンバO濃度の影響
100フィート/分(30.5m/分)の速度でサンプルをコーティングし、120cc/分のコーティング溶液流量、及び13アンペアの紫外線LED出力を用いた以外は、実施例3に記載するプロセスを繰り返した。2つの異なる窒素流条件における、重合区域の酸素濃度の影響を決定した。窒素流量が300立方フィート/時(140リットル/分)で得られる酸素濃度が140ppmである第1の条件では、1.21の屈折率を有するコーティングが製造された。窒素流量が100立方フィート/時(46.7リットル/分)で得られる酸素濃度が10,000ppmを超える第2の条件では、1.45の屈折率を有するコーティングが製造された。
【0091】
実施例5:第1の溶液の溶媒濃度の影響
改質ナノ粒子分散液の調製:凝縮器及び温度計を備えた2L容三口フラスコ内で、360gのNalco 2327コロイド状シリカ(40固体重量%)及び300gの1−メトキシ−2−プロパノールを素早く攪拌しながら混合した。その後、22.15gのSilquest A−174シランを加え、混合物を10分間攪拌し、400gの更なる1−メトキシ−2−プロパノールを添加した。この混合物を加熱マントルを用いて6時間85℃に加熱した。得られた溶液を、室温まで冷却した。水/1−メトキシ−2−プロパノール溶媒(約700g)の大部分を、60℃の水浴中でロータリーエバポレーターを用いて除去し、44重量%のA−174で改質した20nmシリカの透明な1−メトキシ−2−プロパノール中の分散液を得た。
【0092】
コーティング溶液の調製:70.1gのA−174改質シリカ分散液及び20.5gのSR 444を攪拌により混合し、1−メトキシ−2−プロパノール中56.6固体%の溶液である均質なコーティング溶液を作製した。この均質なコーティング溶液の、10固体%〜50固体%の範囲の異なる希釈溶液をいくつか調製した。各希釈液は2%(重量で)の光開始剤Irgacure 184を含有し、IPA/Dowanol(商標)PMの2:1混合物で希釈された。実施例3の16×22アレイの395nm紫外線LED装置を用い、窒素流量が75立方フィート/時(35リットル/分)であったこと以外は、実施例2に記載したものと同じ処理条件下で、13アンペアの紫外線LED出力において、各第1のコーティング希釈液を処理した。重合されたコーティングの各屈折率を他の部分に記載するように測定し、その結果を図8にプロットした。
【0093】
理論に束縛されるものではないが、低固体パーセントでは、不溶性ポリマーマトリックスは、機械的一体性のための十分に硬化されたポリマーを含まないため、フィルムが乾燥すると縮み及び圧縮が起こり、高固体パーセントでは、低屈折率コーティングをもたらすのに必要な十分なナノ中空を作るための溶媒が不足する場合があるようである。
【0094】
実施例6:コーティング厚さ及びUV線量の影響
コーティング溶液の調製:実施例5の改質ナノ粒子分散液(A−174シリカ分散液)を調製した。70.1gのA−174シリカ分散液、20.5gのSR 444、1.1gのIrgacure 184、及び80.4gのイソプロピルアルコールを攪拌により混合し、均質な30固体%(重量で)のコーティング溶液を作製した。
【0095】
第1のコーティング溶液の流量を変えていくつかの異なるコーティングを製造し、ウェットコーティング厚さが9.7マイクロメートル(コーティングA)、12.9マイクロメートル(コーティングB)、及び19.3マイクロメートル(コーティングC)を得た。実施例2に記載したものと同じ条件下で8×20アレイの385nm紫外線LED装置を用い、紫外線LED出力を0〜8アンペアまで1アンペアずつ増加させて変更し、各コーティングを処理した。重合されたコーティングの各屈折率を他の部分に記載するように測定した。この結果は図9にプロットしており、UVランプの出力の関数として各コーティングの屈折率を示す。
【0096】
実施例7:光開始剤濃度の影響
Irgacure 184濃度を1〜5固体重量%まで1%ずつ増加させて変え、5つの異なるコーティング溶液を調製した以外は、実施例6のコーティング溶液を調製した。各コーティング溶液の流量は16マイクロメートルのウェットコーティング厚さとなるように設定した。16×22アレイの395nm紫外線LED装置を用い、実施例2に記載したものと同じ条件下で、13アンペアの紫外線LED出力において、各コーティングを処理した。各光開始剤濃度における重合されたコーティングの各屈折率を他の部分に記載するように測定した。この結果は図10にプロットしており、光開始剤濃度の関数としてコーティングの屈折率を示す。
【0097】
実施例8:紫外線LED線量の影響
均質なコーティング溶液を、IPA/DOWANOL(商標)PMの2:1混合物(重量で)を用いて、25固体重量%に希釈した(光開始剤は2固体重量%のIrgacure 184を残した)以外は、実施例5のコーティング溶液を調製した。各コーティング溶液の流量は16マイクロメートルのウェットコーティング厚さとなるように設定した。実施例3の16×22アレイの395nm紫外線LED装置を用い、実施例2に記載したものと同じ処理条件下で、5フィート/分(1.52m/分)のウェブ速度において、紫外線LED出力を1〜13アンペアまで1アンペアずつ増加させて変更して、一組の一定速度(CS)のサンプルを処理した。実施例3の16×22アレイの395nm紫外線LED装置を用い、実施例2に記載したものと同じ処理条件下で、ただし紫外線LED出力を1〜13アンペアまで1アンペアずつ増加させて変更して、第2の組の一定線量(CD)のサンプルを処理した。CDサンプルでは、コーティングが同じUV線量を受けるように、ウェブをLEDの下で停止した。High Energy UV Integrating Radiometer(EIT Inc.(Sterling VA)から入手可能なPower Puck(登録商標))を用いてUV線量を測定し、一定の線量のためにウェブがLED下で停止した時間と共に結果を表2に示す。
【0098】
【表3】

【0099】
各UV線量における重合されたコーティングの各屈折率を他の部分に記載するように測定した。この結果は図11にプロットしており、一定線量(CD)及び一定速度(CS)サンプルに対する紫外線LED出力の関数としてコーティングの屈折率を示す。この実施例では、UVチャンバの不活性化により乾燥及び硬化が同時に起こり得る。
【0100】
実施例9:添加ナノ粒子を含まないナノ中空コーティング
放射線硬化性樹脂(SR−444)をIPA/DOWANOL(商標)PMの2:1混合物(重量で)を用いて30固体重量%に希釈し、Irgacure 184を2固体重量%で添加した。実施例2に記載したものと同じ条件下で装置を用い、紫外線LED出力を0〜8アンペアまで1アンペアずつ増加させて変更し、コーティングを処理した。重合されたコーティングの各屈折率を他の部分に記載するように測定した。この結果は図12にプロットしており、UVランプの出力の関数としてコーティングの屈折率を示す。
【0101】
指示がない限り、本明細書及び請求項で使用される特性となる大きさ、量、及び物理特性を示す全ての数字は、「約」と言う用語によって修飾されることを理解されたい。それ故に、別の指示がない限りは、本明細書及び添付の請求項に説明される数字のパラメータは近似値であり、本明細書に開示された教示を使用して当業者が獲得しようとする所望の特性に応じて変化し得る。
【0102】
本願で引用した全ての参照文献及び刊行物は、本開示と完全には矛盾することのない程度まで、その全てが引用によって本開示に明白に組み込まれる。本明細書において特定の実施形態が例示及び説明されてきたが、多様な代替及び/又は同等の実施が、本開示の範囲から逸脱することなく、図示され説明された特定の実施形態と置き換えられ得ることは、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書で説明された特定の実施形態のいかなる翻案又は変形をも包含すべく意図されている。したがって、本開示が「特許請求の範囲」及びその同等物によってのみ限定されることを、意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ中空物品の製造プロセスであって、
溶媒中に重合性材料を含む第1の溶液を提供する工程と、
前記重合性材料を少なくとも部分的に重合し、不溶性ポリマーマトリックスと、第2の溶液と、を含む組成物を形成する工程であって、前記不溶性ポリマーマトリックスが前記第2の溶液で満たされる複数のナノ空隙を備える工程と、
前記第2の溶液から溶媒の大部分を除去する工程と、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記不溶性ポリマーマトリックスが、前記第2の溶液と実質的に共連続している、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記重合性材料が架橋性材料を含み、少なくとも部分的に重合する工程が前記架橋性材料を架橋する工程を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記溶媒が有機溶媒を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記溶媒が少なくとも2つの有機溶媒のブレンドを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記溶媒の大部分を除去する工程が、加熱オーブン内での乾燥、赤外光若しくはその他放射光源による乾燥、真空乾燥、ギャップ乾燥、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記第1の溶液の固体重量パーセントが約5%を超え、約90%未満である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第1の溶液の固体重量パーセントが約10%を超え、約60%未満である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第1の溶液の固体重量パーセントが約30%を超え、約40%未満である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記第1の溶液がナノ粒子を更に含み、前記ナノ粒子の少なくとも一部が前記重合工程中に前記不溶性ポリマーマトリックスと結合する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記ナノ粒子が表面改質されたナノ粒子を含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記表面改質されたナノ粒子が、反応性ナノ粒子、非反応性ナノ粒子、又はこれらの組み合わせを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記反応性ナノ粒子の大部分が前記不溶性ポリマーマトリックスと化学結合を形成する、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記非反応性ナノ粒子の大部分が前記不溶性ポリマーマトリックスと物理的結合を形成する、請求項12に記載のプロセス。
【請求項15】
前記重合性材料と前記ナノ粒子の重量比が約30:70〜約90:10の範囲である、請求項10に記載のプロセス。
【請求項16】
前記重合性材料を少なくとも部分的に重合する工程が、前記第1の溶液を化学線で照射する工程を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
前記第1の溶液が光開始剤を更に含む、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記化学線が紫外線(UV)を含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記紫外線が少なくとも1つの発光ダイオード(LED)により生成される、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記少なくとも1つのLEDが、365、385、395、又は405ナノメートルのピーク波長を備える、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
ナノ中空コーティングの製造プロセスであって、
溶媒中に重合性材料を含む第1の溶液を基材上にコーティングする工程と、
前記重合性材料を少なくとも部分的に重合し、複数のナノ空隙及び第2の溶液と共連続する不溶性ポリマーマトリックスを形成する工程であって、前記複数のナノ空隙が前記第2の溶液で満たされている工程と、
前記第2の溶液から溶媒の大部分を除去する工程と、を含む、プロセス。
【請求項22】
前記重合性材料が架橋性材料を含み、少なくとも部分的に重合する工程が前記架橋性材料を架橋する工程を含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記溶媒が少なくとも2つの有機溶媒のブレンドを含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項24】
前記溶媒の大部分を除去する工程が、加熱オーブン内での乾燥、赤外光若しくはその他放射光源による乾燥、真空乾燥、ギャップ乾燥、又はこれらの組み合わせを含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項25】
前記第1の溶液の固体重量パーセントが約10%を超える、請求項21に記載のプロセス。
【請求項26】
前記第1の溶液の固体重量パーセントが約10%〜90%、約10%〜60%、又は約30%〜40%である、請求項21に記載のプロセス。
【請求項27】
前記第1の溶液がナノ粒子を更に含み、前記ナノ粒子の少なくとも一部が前記重合工程中に前記不溶性ポリマーマトリックスと結合する、請求項21に記載のプロセス。
【請求項28】
前記ナノ粒子が表面改質されたナノ粒子を含む、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記表面改質されたナノ粒子が、反応性ナノ粒子、非反応性ナノ粒子、又はこれらの組み合わせを含む、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
前記反応性ナノ粒子の大部分が前記不溶性ポリマーマトリックスと化学結合を形成する、請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
前記非反応性ナノ粒子の大部分が前記不溶性ポリマーマトリックスと物理的結合を形成する、請求項29に記載のプロセス。
【請求項32】
前記重合性材料と前記ナノ粒子の重量比が約30:70〜約90:10の範囲である、請求項27に記載のプロセス。
【請求項33】
前記重合性材料を少なくとも部分的に重合する工程が、前記第1の溶液を化学線で照射する工程を含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項34】
前記第1の溶液が光開始剤を更に含む、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
前記化学線が紫外線(UV)を含む、請求項33に記載のプロセス。
【請求項36】
前記紫外線が少なくとも1つの発光ダイオード(LED)により生成される、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
前記少なくとも1つのLEDが、365、385、395、又は405ナノメートルのピーク波長を備える、請求項36に記載のプロセス。
【請求項38】
前記基材がロールで提供され、前記コーティング工程、少なくとも部分的に重合する工程、及び除去工程が連続的に行われる、請求項21に記載のプロセス。
【請求項39】
低屈折率コーティングの製造プロセスであって、
基材上に分散液をコーティングする工程であって、前記分散液が、
紫外線(UV)硬化性材料と、
光開始剤と、
溶媒と、
複数のナノ粒子と、を含む工程と、
前記分散液を紫外線で照射し、前記紫外線硬化性材料を少なくとも部分的に重合させる工程と、前記複数のナノ粒子を結合する不溶性ポリマーマトリックスを形成する工程と、複数のナノ空隙を含める工程であって、前記複数のナノ空隙が前記重合性材料及び前記ナノ粒子を枯渇した前記分散液で満たされる工程と、
前記重合性材料を少なくとも部分的に重合した後、分散液から溶媒の大部分を除去する工程と、を含む、プロセス。
【請求項40】
前記紫外線硬化性材料が架橋性材料を含む、請求項39に記載のプロセス。
【請求項41】
前記ナノ粒子が、前記ポリマーマトリックスと化学結合を形成する反応性ナノ粒子を含む、請求項39に記載のプロセス。
【請求項42】
前記溶媒が少なくとも2つの有機溶媒のブレンドを含む、請求項39に記載のプロセス。
【請求項43】
前記溶媒の大部分を除去する工程が、加熱オーブン内での乾燥、赤外光若しくはその他放射光源による乾燥、真空乾燥、ギャップ乾燥、又はこれらの組み合わせを含む、請求項39に記載のプロセス。
【請求項44】
前記重合工程中の前記分散液の固体重量パーセントが、約10%〜90%、約10%〜60%、又は約30%〜40%である、請求項39に記載のプロセス。
【請求項45】
前記紫外線が少なくとも1つの発光ダイオードにより生成される、請求項39に記載のプロセス。
【請求項46】
前記溶媒の除去工程後の前記分散液の重合工程を更に含む、請求項39に記載のプロセス。
【請求項47】
前記低屈折率コーティングの屈折率が約1.4未満である、請求項39に記載のプロセス。
【請求項48】
ナノ中空コーティングの製造装置であって、
基材ダウンウェブを巻き戻しロールから巻き取りロールまで運ぶウェブラインと、
前記巻き戻しロールに隣接して配置され、溶媒中に重合性材料を含む第1の溶液を前記基材上にコーティングできるコーティング区域と、
前記コーティング区域からダウンウェブ方向に配置され、前記重合性材料を少なくとも部分的に重合し、不溶性ポリマーマトリックスと、第2の溶液と、を含む組成物を形成できる重合区域であって、前記不溶性ポリマーマトリックスが前記第2の溶液で満たされる複数のナノ空隙を備える区域と、
前記重合区域からダウンウェブ方向に配置され、前記第2の溶液から溶媒の大部分を除去できる溶媒除去区域と、を備える、装置。
【請求項49】
前記コーティング区域と重合区域との間に配置されるコーティング調整区域を更に備え、前記コーティング調整区域が前記基材を取り囲む第1の制御下環境をもたらすことができる、請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記重合区域が前記基材を取り囲む第2の制御下環境をもたらすことができる、請求項48に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−524154(P2012−524154A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506052(P2012−506052)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/028777
【国際公開番号】WO2010/120468
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】