説明

ナノ微粒子含有MgB2系高温超伝導体、及びその製造方法

【課題】 超伝導特性に優れたナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体を提供する。
【解決手段】 MgBからなるマトリックス中に、Mgを除く金属、合金、金属及び/又は合金の酸化物、Mgを除く金属及び/又は合金とMgとからなる化合物、並びにMgを除く金属及び/又は合金とBとからなる化合物の群から選ばれる1種又は2種以上の粒子径5〜25nmのナノ微粒子が含有され、15〜25Kの自己磁場下における臨界電流密度が3×10〜5×10A/cmであり、超伝導開始温度が40K以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MgB系高温超伝導体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新たな金属化合物超伝導体として、二硼化マグネシウム(MgB)が我国で発見された。MgBは、金属化合物超伝導体の理論的限界とされる30Kを大幅に超える40Kの高温で超伝導を示す。又、酸化物系高温超伝導体に比べると超伝導転移温度は低いものの、加工性に優れることからMgBが注目されている。
【0003】
MgBの製造は、原料の粉末を焼結して行うのが通常であり、Mgの酸化を防止するため、非酸化性のガス中で熱処理を行う。ところが、硼化物は硬くて脆いという問題がある。このため、線材に加工する方法として、PIT(Powder in tube)法が用いられている。この方法は、MgB粉末を金属管に充填し、金属管を延伸等して線材に加工し、熱処理して金属管内部のMgBを焼結して超伝導線材とする方法である。
しかしながら、PIT法を用いても、線材の芯のMgBはやはり硬くて脆く、線材の可撓性の点で問題があった。又、この方法では超伝導体組織中へのピンニングセンターの導入が充分でなく、臨界電流密度(Jc)の値も低かった。そこで、超伝導体組織中へ展延性を有する金属粒子等を加える技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−123556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の技術を用いても、臨界電流密度等の超伝導特性にはさらに改善の余地が残っている。
従って、本発明の目的は、超伝導特性に優れたナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、粒径がnmレベルの金属(合金)ナノ微粒子をMgBマトリックスに含有させることで、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明のナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体は、MgBからなるマトリックス中に、金属、合金、金属及び/又は合金の酸化物、金属及び/又は合金とMgとからなる化合物、並びに金属及び/又は合金とBとからなる化合物の群から選ばれる1種又は2種以上の粒子径5〜25nmのナノ微粒子が含有されていることを特徴とする。但し、これらの金属、合金、金属酸化物、及び合金の酸化物はいずれもMgを除くものとする。
【0007】
前記MgB90〜99.5モル%に対し、前記ナノ微粒子を構成する金属原子の含有割合が0.5〜10モル%であることが好ましく、15〜25Kの自己磁場下における臨界電流密度が3×10A/cmを超え、超伝導開始温度が40K以上であることが好ましい。但し、金属原子はMgを除くものとする。
【0008】
本発明のナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体の製造方法は、金属及び/又は合金、金属及び/又は合金の酸化物、金属及び/又は合金の窒化物、並びに金属及び/又は合金の硼化物の群から選ばれる1種又は2種以上の粉末と、Mg粉末と、B粉末とを混合する工程と、該混合物を還元雰囲気中で焼成する工程とを有することを特徴とする。但し、これらの金属、合金、金属酸化物、及び合金の酸化物はいずれもMgを除くものとする。
【0009】
(前記Mg粉末の混合量)/(前記B粉末の混合量)で表される比が、モル換算で0.5を超え0.8以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、超伝導特性に優れたナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
本実施形態のナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体は、MgBからなるマトリックス中に、粒子径5〜25nmのナノ微粒子が含まれている。
図1は、ナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体のX線回折像である。この図に示すように、強度の大きいMgBからのピークの他、AgMg及びAgMgのピークが観察されている。又、各ピークを構成する各成分の粒子径d(nm)は、いわゆるシェラーの式
d=0.1388/(B×cosθ) (1)
で表される(B:ピークの半値幅(rad),θ:散乱角(度))。
この例では、MgBは35nm以上の粒子径を有し、AgMg及びAgMgは15nmの粒子径を有している。なお、図1のmol%は、MgB系高温超伝導体中のAgMg及びAgMgを構成するAg原子のモル%を示す。
【0013】
図2は、上記ナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体のTEM(透過型電子顕微鏡)像である。この図に示すように、マトリックス中に、ナノ微粒子が含有されている。そして、試料のX線回折像により、上記マトリックスがMgBからなり、ナノ微粒子がAgMg及びAgMgであることが判定できる。又、TEM測定と共にEDX(エネルギー分散X線分光)によって生成物の判定を行うこともできる。
【0014】
一方、図3は、製造時に上記ナノ微粒子の成分(AgO)を添加しなかった試料のTEM像である。マトリックスのみ存在し、ナノ微粒子が観察されないことがわかる。
【0015】
本発明において、「MgBマトリックス」とは、MgB及び不可避不純物からなる組織をいい、例えばMgBの多結晶体である。MgBは、マグネシウムを中心とし、硼素が六角形の頂点に配置された構造(蜂の巣構造)を有する。一方、上記ナノ微粒子は磁束線のピンニングを生じさせるピンニングセンターとして機能すると考えられる。
【0016】
ナノ微粒子は、金属、合金、金属及び/又は合金の酸化物、金属及び/又は合金とMgとからなる化合物、並びに金属及び/又は合金とBとからなる化合物の群から選ばれる1種又は2種以上である。但し、これらの金属、合金、金属酸化物、及び合金の酸化物はいずれもMgを除くものとする。ナノ微粒子としては、例えば、Ag,Al,Cu等の高電気伝導性の金属、Fe,Ni,Co等の磁性金属又はこれらの金属、Pb,Sn等の低融点の金属、Nb,V,Ta等の高融点の金属や、これらの金属の1種以上を含む合金が挙げられる。2種以上の金属や合金をマトリックス中に含有してもよい。
又、金属の酸化物としては、γ-Feが例示される。金属とMgとからなる化合物としては、AgMg、AgMg、MgCu等が例示される。金属とBとからなる化合物としては、NbB等が例示される。
【0017】
上記した高電気伝導性の金属は、ピンニング効果が高く、後述する超伝導開始温度を上昇させる。特に、Agを用いた場合、Agを用いない場合に比べて、超伝導開始温度が10K程度上昇する。
又、上記した磁性金属は、非磁性金属に比べてピンニング効果が高く、脆性の改善効果も高い。又、上記した低融点の金属はMgBとなじんで微細なフィラメントとなり易く、MgB結晶の結合度を改善して臨界電流を向上させる。上記した高融点の金属は、ピンニング中心として作用した場合に、超伝導特性の熱安定性を向上させる。
【0018】
本発明において、上記ナノ微粒子の粒子径を5〜25nmとする。ナノ微粒子の粒子径が5nm未満であると、MgB系のコヒーレンス長を大幅に超え、超伝導特性が低下する。又、ナノ微粒子の粒子径が25nmを超えると、磁束線のピンニング効果や加工性の改善効果が低減する。好ましくはナノ微粒子の粒子径を5〜20nmとし、より好ましくは10〜15nmとする。
ナノ微粒子の粒子径は、X線回折像にもとづき、ナノ微粒子成分を示すピークに対し、シェラーの式(1)を用いて計算した値とする。従って、ナノ微粒子の形状は限定されず、例えば球形(粒状)、針状、板状等であってもよい。
【0019】
又、MgB90〜99.5モル%に対し、上記ナノ微粒子を構成する金属原子の含有割合が0.5〜10モル%であることが好ましい。但し、金属原子はMgを除くものとする。
上記含有割合が0.5モル%未満であると、ピンニング効果の向上が不充分である。上記含有割合が10モル%を超えると、MgBが劣化(MgB2の結晶のゆがみ、欠陥の増加およびアモルファス(非結晶)化など)して超伝導特性が低下する場合がある。
上記含有割合は、上記範囲内で各金属(合金)によって異なっていてもよい。例えば、Agの場合、含有割合が0.5〜1モル%であることが好ましく、Nbの場合、含有割合が1.5〜2.5モル%であることが好ましく、Cuの場合、含有割合が1〜8モル%であることが好ましい。
【0020】
本実施形態の高温超伝導体は、好ましくは、15〜25Kの自己磁場下における臨界電流密度が3×10A/cmを超え、超伝導開始温度が40K以上である。ここで、超伝導開始温度とは、超伝導体の電気抵抗が減少し始める温度であり、臨界温度よりは高い温度である。通常、臨界温度近傍では組織が不安定となり、超伝導体が破壊(超伝導を失う)ことがあるため、高温超伝導体は臨界温度より低い温度で使用される。超伝導開始温度が高いほど、超伝導体の実使用温度での安定性が高くなる。なお、臨界電流密度の上限は特に設定されないが、通常の試料の場合、臨界電流密度の上限は1×10A/cm〜5×10A/cmである。
【0021】
超伝導開始温度は、次のようにして求める。図4は、本実施形態の高温超伝導体の電気抵抗の温度依存性を示す。この図において、高温側(50K以上)のデータについて直線でフィッティングする。次に、各データをスプライン曲線でフィッティングし、上記直線との電気抵抗の差が1%を超えた温度を超伝導開始温度とする。なお、図中、Tconsetは超伝導開始温度である。
【0022】
又、臨界電流密度は、次のようにして求める。図5は、20Kにおける本実施形態の高温超伝導体の磁化−磁場曲線を示す。この図において、縦軸のμMは各試料の磁化の大きさを示す(μ:真空の透磁率、M:磁化(T))。横軸を指定することで、所定の磁場H(A/m)におけるμMが求められる。
臨界状態モデルによれば、各試料のμMの履歴の大きさ(上側曲線から下側曲線を差し引いた値)であるμΔMは、臨界電流密度Jc(A/cm)と以下の関係を有する。
Jc=α×ΔM (2)
(α:Beanモデルの係数)
従って、式2から臨界電流密度を求めることができる。
【0023】
なお、本発明の高温超伝導体は、例えば磁気共鳴映像装置(MRI)等の超伝導マグネット用線材;超伝導送電等の電力輸送用の電力ケーブル、変圧器;超伝導磁気エネルギー貯蔵システム;フライホイール用超伝導軸受;単一磁束量子素子、超伝導受信フィルタ、SQUID高感度磁束計等に適用できる。
【0024】
次に、本実施形態の高温超伝導体の代表的な製造方法について、その概略を以下に述べる。
<混合>
まず、金属及び/又は合金、金属及び/又は合金の酸化物、金属及び/又は合金の窒化物、並びに金属及び/又は合金の硼化物の群から選ばれる1種又は2種以上の粉末(以下、「ナノ微粒子の原料粉末」という)、Mg粉末と、B粉末とを混合する。
MgB粉末でなく、Mg粉末,B粉末をそれぞれ混合する理由は、MgB粉末を用いた場合、次の焼成工程でMgBが劣化(酸化等)するためである。又、Mg粉末とB粉末を焼成することで、均一な組織(マトリックス)が得られると考えられる。
Mg粉末、B粉末、及びナノ微粒子の原料粉末の粒径は、例えば0.1〜1μmとすることができる。原料粉末の粒径より、焼成後のナノ微粒子の粒子径の方が小さい理由は、焼成によりMg、B及びナノ微粒子の原料粉末が化学反応し、MgBマトリックス中にナノ微粒子が微細析出するためと考えられる。
【0025】
<焼成>
次に必要に応じ、該混合物を所望の形状に加工後、還元雰囲気中で焼成することにより、本発明の高温超伝導体が得られる。焼成条件としては、例えば水素−アルゴンの混合還元ガスを用いることができる。混合ガスの組成としては、水素が5〜25%で残部アルゴンとすることが好ましく、特に、水素10%−アルゴン90%とするのが好ましい。ガスの圧力は常圧で構わない。焼成温度は750〜1000℃程度がよく、焼成時間は対象物の大きさ等によっても異なるが、20〜60分程度が好ましく、特に30分程度とすることが好ましい。
なお、ナノ微粒子の原料粉末として、金属及び/又は合金の酸化物を用いると、ナノ微粒子の微細化が促進されるので好ましい。これは、還元焼成によって酸化物から酸素が外れ、金属(合金)がMgやBと反応しやすくなるためと考えられる。
上記混合物は、ペレット状、線状、棒状、テープ状等に加工することができ、又、いわゆるPIT法等により線状にすることもできる。
【0026】
又、(前記Mg粉末の混合量)/(前記B粉末の混合量)で表される比が、モル換算で0.5を超え0.8以下であることが好ましい。Mgは融点が低くて焼成によって蒸発するので、その分、MgBの化学量論比よりMgを多く混合するためである。
ここで、モル換算で上記比が0.5以下であると、Mgが焼成時に蒸発してBと反応するMgの量が不足し、上記比が0.8を超えると、得られたMgBが劣化する場合がある。
【0027】
<実施例>
以下に、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0028】
<Ag系ナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体の製造>
市販のMg粉末(純マグネシウム99.9%、粒径0.1〜1μm)、市販のB粉末(純硼素99.9%、粒径0.1〜1μm)、及び市販のAgO粉末(酸化銀(I)99.9%、粒径0.1〜1μm)を混合し、直径10mm、厚さ2mmのペレットに成形した。MgとBの混合比(モル比)は、Mg/B=0.8とし、MgBに対するAg(金属)の含有割合が1.0モル%となるよう、AgO粉末の混合量を調整した。
次に、このペレットを水素10%−アルゴン90%の還元雰囲気ガス(常圧)中、900℃で30分間焼成し、高温超伝導体を得た。高温超伝導体のナノ微粒子の組成は、AgMg及びAgMgであることが、X線回折像のピーク位置より判明した。
【実施例2】
【0029】
<Nb系ナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体の製造>
AgO粉末の代わりに市販のNb粉末(酸化ニオブ(V)99.9%、粒径0.1〜1μm)を用い、MgBに対するNb(金属)の含有割合が2.0モル%となるようNb粉末の混合量を調整したこと以外は、実施例1と全く同様にして高温超伝導体を得た。
なお高温超伝導体中のNb系ナノ微粒子の組成は、Nb及びNbBであることが、X線回折像のピーク位置より判明した。
【実施例3】
【0030】
<Cu系ナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体の製造>
AgO粉末の代わりに市販のCuO粉末(酸化銅(II)99.9%、粒径0.1〜1μm)を用い、MgBに対するCu(金属)の含有割合が5モル%となるようCuO粉末の混合量を調整したこと以外は、実施例1と全く同様にして高温超伝導体を得た。
なお高温超伝導体中のCu系ナノ微粒子の組成は、MgCuおよびMgCuであることが、X線回折像のピーク位置より判明した。
【0031】
<比較例>
<ナノ微粒子を含有しないMgB系高温超伝導体の製造>
AgO粉末を混合しなかったこと以外は、実施例1と全く同様にして高温超伝導体を得た。
【0032】
<評価>
得られた高温超伝導体について、以下の項目を評価した。
1.ナノ微粒子の成分同定及び粒子径
試料のX線回折像におけるピークからナノ微粒子の成分組成を同定し、又、上記したシェラーの式1により粒子径を求めた。
2.臨界電流密度
試料の磁化−磁場曲線をSQUID磁力計によって測定し、この曲線からμΔMを求め、臨界状態モデル(Beanモデル)に従って、上記式2により臨界電流密度Jc(A/cm)を求めた。
3.超伝導開始温度
試料の電気抵抗の温度依存性を測定し、高温側(50K以上)のデータについて直線でフィッティングした。次に、各データをスプライン曲線でフィッティングし、上記直線との電気抵抗の差が1%を超えた温度を超伝導開始温度とした。
4.低温での超伝導安定性
5Kの温度で0〜0.5Tの磁場中で、試料の磁化−磁場曲線をSQUID磁力計によって測定し、隣接するデータ間で磁化の不連続な飛びの有無を目視判定し、磁化の飛びを示さなかった場合、低温での超伝導安定性が良好(○)であるとした。
得られた結果を表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
表1から明らかなように、ナノ微粒子を含有した各実施例の場合、20K,15Kにおける臨界電流密度が比較例に比べてそれぞれ高く、又、超伝導開始温度も50Kとなった。さらに、実施例2、3の超伝導体の場合、低温での超伝導安定性にも優れていた。
なお、表中の0磁場中の臨界電流密度は、自己磁場中の臨界電流密度と同一である。
【0035】
一方、ナノ微粒子を含有しなかった比較例の場合、20K,15Kにおける臨界電流密度が実施例に比べてそれぞれ低く、又、超伝導開始温度も40K程度であった。さらに、比較例の場合、低温での超伝導安定性に劣った。
【0036】
なお、それぞれ5K、15K、20Kにおける各実施例の高温超伝導体の磁化−磁場曲線をそれぞれ図6〜図8に示す。ここで、図6は、ナノ微粒子(AgMg及びAgMg)の含有の有無によるMgB系高温超伝導体の磁化−磁場曲線の違いを表している。又、図6において、ナノ微粒子を含有しない試料(比較例)で、磁化の飛びが観察された。
図6〜8のmol%は、AgMg及びAgMgを構成するAg原子のモル%、Nb及びNbB2を構成するNb原子のモル%、並びにMgCu及びMgCuを構成するCu原子のモル%をそれぞれ示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】ナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体のX線回折像を示す図である。
【図2】ナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体のTEM(透過型電子顕微鏡)像を示す図である。
【図3】ナノ微粒子を含まないMgBのTEM(透過型電子顕微鏡)像を示す図である。
【図4】ナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体の電気抵抗の温度依存性を示す図である。
【図5】ナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体の磁化−磁場曲線を示す図である。
【図6】ナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体の5Kにおける磁化−磁場曲線を示す図である。
【図7】ナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体の15Kにおける磁化−磁場曲線を示す図である。
【図8】ナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体の20Kにおける磁化−磁場曲線を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MgBからなるマトリックス中に、Mgを除く金属、合金、金属及び/又は合金の酸化物、Mgを除く金属及び/又は合金とMgとからなる化合物、並びにMgを除く金属及び/又は合金とBとからなる化合物の群から選ばれる1種又は2種以上の粒子径5〜25nmのナノ微粒子が含有されていることを特徴とするナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体。
【請求項2】
前記MgB90〜99.5モル%に対し、前記ナノ微粒子を構成しMgを除く金属原子の含有割合が0.5〜10モル%であることを特徴とする請求項1記載のナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体。
【請求項3】
15〜25Kの自己磁場下における臨界電流密度が3×10A/cmを超え超伝導開始温度が40K以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体。
【請求項4】
Mgを除く金属及び/又は合金、Mgを除く金属及び/又は合金の酸化物、Mgを除く金属及び/又は合金の窒化物、並びにMgを除く金属及び/又は合金の硼化物の群から選ばれる1種又は2種以上の粉末と、Mg粉末と、B粉末とを混合する工程と、該混合物を還元雰囲気中で焼成する工程とを有することを特徴とするナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体の製造方法。
【請求項5】
(前記Mg粉末の混合量)/(前記B粉末の混合量)で表される比が、モル換算で0.5を超え0.8以下であることを特徴とする請求項4記載のナノ微粒子含有MgB系高温超伝導体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−143500(P2006−143500A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333492(P2004−333492)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(504182255)国立大学法人横浜国立大学 (429)
【Fターム(参考)】