説明

ナノ粒子の検出方法およびその利用分野

本発明の目的は、平坦な固体支持体の上部表面に存在しプラズモン共鳴を有する60nm未満のサイズのナノ粒子の検出および/または定量化方法にある。本発明は同様に、かかる方法を実施するための装置ならびにその利用分野をも含んで成るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、平坦な固体支持体の上部表面に存在しプラズモン共鳴を有する60nm未満のサイズのナノ粒子の検出および/または定量化方法にある。本発明は同様に、かかる方法を実施するための装置、ならびにその利用分野をも含んでいる。
【背景技術】
【0002】
生物学に関係する数多くの分野においては、蛍光測定を用いた分子の観察が実験作業で実施されている。特に、細胞(タンパク質、RNA等)の機能の中で基本的な役割を果たす生体分子または薬剤の反応力学についての研究などが挙げられる。これらの研究における真の焦点は、単一分子レベルでこの種の情報を獲得することにある。例えば細胞のゲノムレベルでの薬剤の活性は、ただ一つの分子の作用を介入させる可能性があり、したがってこの分子を観察し特徴づけできる必要がある。ここで、蛍光シグナルの微弱性が大きな制限となる。
【0003】
一方、蛍光マーキングは、マーカーの光破壊方法に関係するもう一つの大きな制限を有する。蛍光分子は、破壊前には少数の光子しか吸収および発出することができず、かくしてマーキングされた試料の平均蛍光は経時的に減少する。この現象は、マーキングされた分子が追跡される時間的長さを制限する。その上、蛍光マーカーの劣化により、長時間の保存が不可能となる。例えば、バイオチップはその製造から数週間後には読取り不可能となってしまう。
【0004】
蛍光マーカーの光破壊の問題は、ナノ結晶半導体の蛍光色素分子としての利用において実現された最近の進歩のおかげで、一部解決された。それでも、光破壊に対する優れた耐性をもつこれらのマーカーは、生体媒質での動的研究におけるそれらの有効性を制限するシンチレーションおよび生体適合性の問題といったような新たな問題を引き起こす。
【0005】
非蛍光マーカーにも数多くのタイプのものが存在し、特に金属ナノ粒子は、特有の光学特性を有する。特にこれらの粒子は、一部の波長について、その伝導電子の集団振動に付随する顕著な吸収共鳴を示す。かくして、ナノ粒子は、蛍光マーカーに置き換わるものとして、分子生物学におけるトレーサーとして増々利用されている。ナノ粒子は光破壊されず、多色マーカーを可能にし、標準的な蛍光色素分子に比べてはるかに強いシグナルを発出する。その検出は、その光拡散能力(レーリー拡散)に基づいている。残念なことに、この適性はそのサイズと共に低下し、実際には30nm未満のサイズのナノ粒子を検出することはできない。このサイズ限界は、例えば、マーキングされた生体分子の膜チャネルを介した移動がナノ粒子にとって不可能になることから、あらゆる動的研究、特にインビボでの生体分子の追跡調査にとって致命的な欠陥となる。
【0006】
したがって、ナノ粒子によるマーキングは、(特にバイオマーカーの場合において)帰納的に実施または修正されることが多い。例えば、マーキングのためにより小さなナノ粒子が利用される場合、発光シグナルを増大させ、そしてこれらを検出することができるよう増幅し(銀増幅)、そのサイズを帰納的に増大させる必要がある。
【0007】
光熱効果の測定を介入させる最近の技術は、10nm未満のナノ粒子の検出を可能にする。まだ商品化されていないこれらの技術では、全視野ではなく逐点的な画像処理しか実現できない。したがって、測定が遅いことから、動的研究はなおも困難、ひいては不可能なままである。その上、これらの間接的技術は、二つの光源の利用を必要とする。
【0008】
ナノ粒子は同様に、金属化されたブレード上での減衰全反射(ATR)の観察用装置においても利用されている。この技術は、表面付近における屈折率の変動を高感度で測定することを可能にする。透明な支持体に被着された金属フィルムの表面のプラズモンモードは、きわめて精確な角度で、支持体を介してフィルムを照明することで励起され得る。この角度でのみ、金属上の光の反射は完全に減衰する。この角度の測定により、研究対象の試料の表面近くにおける屈折率の変動を高感度で検出することが可能となる。金属化されたブレードの表面に接近するナノ粒子は、媒質の屈折率を部分的に増幅する。この技術は画像処理で使用する場合、特定の機器が必要となる。
【0009】
最後に、バイオセンサーに応用される非光学的技術が数多く存在する(重量測定センサ、電気化学センサ、および電気センサ)。これらのタイプの検出は全て相対的に副次的なものであり、特定的かつ多大な資金投資を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
かくして、固体支持体の表面で、60nm以下の、特に20nm以下のサイズを有するナノ粒子の検出および/または定量化を可能にする、実施が容易で信頼性の高い有効な方法が自由に使えることが必要となる。このことがまさに、本発明の目的である。
【0011】
発明人らは、透明で平坦な固体支持体をコーティングした金属表面から数百ナノメートル未満の距離にある、直径数ナノメートルのナノ粒子を検出することが可能であるということを明らかにした。発明人らは、特に、ナノ粒子が金属表面に接近した場合、その近接場に存在するエバネッセント波が金属の表面プラズモンにカップリングし、それにより、金属の表面プラズモンにエネルギーの伝達が誘発されることを実証することができた。このエネルギーは次に、薄い金属フィルムの後部面から発光した光円錐の形で伝達され得る(図5参照)。かくして、直径数ナノメートルのナノ粒子を、従来の光学顕微鏡を用いて全視野で検出し、画像処理することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かくして、第一の態様では、本発明は、平坦な固体支持体の上部表面に存在するナノ粒子の検出および/または定量化方法を目的としており、前記ナノ粒子がプラズモン共鳴を有し、前記固体支持体には、表面プラズモンを有する金属フィルムによってその上部表面がコーティングされている透明な固体支持体が含まれており、前記透明な支持体の屈折率が、前記ナノ粒子が存在する媒質の屈折率を上回る方法であり、前記方法は、以下の:
a)場合によって上部表面上に存在するナノ粒子を照明するべく、前記支持体の上部または下部表面から照明を行なう段階、
b)下部表面から、ナノ粒子に由来する光を検出および/または定量化する段階、
を含むことを特徴とする。
【0013】
好ましい実施態様においては、本発明に従ったナノ粒子の検出および/または定量化方法は、
−段階a)で、照明が上部表面から実施され;かつ
−段階b)で、下部表面からのナノ粒子に由来する光の検出および/または定量化が、金属フィルムを介する照明に由来する直接光の影響を受けずに実施されること、
あるいはまた、
−段階a)で、照明が下部表面から実施され;かつ
−段階b)で、下部表面からのナノ粒子に由来する光の検出および/または定量化が、照明に由来する反射光の影響を受けずに実施されること、
を特徴とする。
【0014】
上部表面上に場合によって存在するナノ粒子を照明するための、前記支持体の上部表面または下部表面からの照明は、本発明の方法においては、前記ナノ粒子のプラズモン共鳴の振動数に同調された波長でナノ粒子を励起することを目的としている。
【0015】
「下部表面からのナノ粒子由来の光」というのは、ここでは、ナノ粒子の励起波長と同じ波長であり、そしてナノ粒子から由来する、下部表面から伝達される光を特に指している。
【0016】
同様に好ましい実施態様においては、本発明に従ったナノ粒子の検出および/または定量化方法は、ナノ粒子が、特に金、銀、アルミニウム、白金または銅ナノ粒子から選択された金属ナノ粒子であり、金または銀ナノ粒子が最も好ましいことを特徴とする。
【0017】
同様に好ましい実施態様においては、本発明に従ったナノ粒子の検出および/または定量化方法は、透明の固体支持体の上部表面をコーティングする金属フィルムがその金属が検出されるべきナノ粒子の金属であるフィルムから選択されていることを特徴とする。
【0018】
好ましくは、この金属フィルムは、5nm〜500nmの間、好ましくは20nm〜80nmの間に含まれる厚みを有する。
【0019】
この金属フィルムは、特にナノ粒子の励起波長が可視光の領域内にある光の波長である場合に、20nm〜80nmの間に含まれる厚みを有するものである。
【0020】
同様に好ましい実施態様においては、本発明に従ったナノ粒子の検出および/または定量化方法は、検出および/または定量化が求められている固体支持体の上部表面に存在する可能性のある前記ナノ粒子が、前記ナノ粒子の励起波長以下の距離、好ましくは前記ナノ粒子の励起波長の半分以下の距離のところにあることを特徴とする。
【0021】
好ましくは、検出および/または定量化が求められている固体支持体の上部表面に存在する可能性のあるナノ粒子は、照明に用いられる光が可視光の領域内にある場合、500nm以下の距離のところにある。
【0022】
好ましくは、検出および/または定量化が求められている固体支持体の上部表面に存在する可能性のあるナノ粒子は、固体支持体の上部表面から500nm以下、好ましくは400nm、300nmまたは200nm以下の距離のところにあり、200nm以下の距離が最も好ましい。
【0023】
本発明に従った方法の特定の実施態様に従うと、支持体の上部表面に位置づけられている金属フィルムは、ナノ粒子と金属フィルムの間の最小距離を調整することができるようにする透明フィルムでコーティングされている。
【0024】
好ましくは、支持体の上部表面に位置づけられている金属フィルムは、特に酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)といった金属酸化物から選択される非伝導性金属から成る透明フィルムでコーティングされている。
【0025】
好ましくは、この透明フィルムは、50nm以下の厚みを有する。
【0026】
同様に好ましい実施態様においては、本発明に従ったナノ粒子の検出および/または定量化方法は、段階a)で、照明が上部表面から実施されることを特徴とする。好ましくは、この実施態様においては、段階b)で、ナノ粒子に由来する光は前記支持体を介して下部表面に伝達される。
【0027】
同様に好ましい実施態様においては、本発明に従ったナノ粒子の検出および/または定量化方法は、段階a)で、前記支持体の上部表面または下部表面からの照明が、
−白色光源、または、その励起波長が少なくとも一本の前記ナノ粒子のプラズモン共鳴振動数に同調された励起波長である多色光を用いて、あるいは、
−前記ナノ粒子のプラズモン共鳴振動数に同調された励起波長をもつ単色光源を用いて
実施されることを特徴とする。
【0028】
同様に好ましい実施態様においては、本発明に従ったナノ粒子の検出および/または定量化方法は、段階b)で、下部表面におけるナノ粒子に由来する光の検出および/または定量化が、場合によってはCCDカメラに連結された顕微鏡を用いて実施されることを特徴とする。
【0029】
かかる顕微鏡は特に、デジタル大口径であり、そして好ましくはマスクが装備された、液浸対物レンズを具備した反射顕微鏡であり、該マスクは、照明が上部表面から実施される場合には金属フィルムを介する照明に由来する直接光をマスキングまたは除去することができ、また照明が下部表面から実施される場合には照明に由来する反射光をマスキングまたは除去することができる。
【0030】
下部表面のナノ粒子に由来する光を収集するための、そして検出および/または定量化が望まれるデジタル大口径液浸対物レンズの利用は、同様に、上部部分からの照明を伴う構成のためにも特に好ましい(例4Bを参照のこと)。
【0031】
ナノ粒子の検出のために利用される顕微鏡は同様に、共焦点顕微鏡またはスキャナタイプの「逐点走査型」顕微鏡であってもよい。下部表面からの粒子に由来し、例2に記述され図5で図示されている光円錐を収集するには、デジタル大口径液浸対物レンズを利用することができる。この顕微鏡には特に、2005年9月の「Biophotonics International」誌内のThomas Ruckstuhl博士の論文の48ページ目の図1に記述されているもののような原理に基づく液浸「放物面」対物レンズが具備され得る。
【0032】
同様に好ましい実施態様においては、本発明に従ったナノ粒子の検出および/または定量化方法は、60nm以下、好ましくは40nm、30nmまたは20nm以下の直径を有し、20nm以下の直径が特に好まれることを特徴とする。
【0033】
特定の実施態様においては、本発明に従ったナノ粒子の検出および/または定量化方法は、検出および/または定量化が求められているナノ粒子が、そのプラズモン共鳴に結びつけられた色を有することを特徴とする。
【0034】
特定の実施態様においては、本発明に従ったナノ粒子の検出および/または定量化方法は、前記支持体が、ナノ粒子を用いてまたはナノ粒子の存在により検出および/または定量化が求められている、標的化合物を特異的に認識する能力をもつプローブ化合物が上に固定されている金属フィルムでその上部表面がコーティングされている透明な固体支持体であることを特徴とする。
【0035】
ナノ粒子は今日、タンパク質、神経伝達物質、核酸、脂質またさらには炭水化物といったような特に生物学的化合物だけでなく細胞の捕捉またはマーキング用としても生物学において一般的に利用されている。一般に、ナノ粒子の表面は、複合体(例えば相補的核酸の特異的ハイブリダイゼーションにより形成される複合体、抗体−抗原タイプ、リガンド−レセプタタイプの複合体など)を形成するのに求められる標的化合物に特異的に結合する能力をもつ化合物によって、コーティングされているかまたはそれにより機能化されている。このように標的化合物に複合化されたこれらのナノ粒子の検出または定量化は、試料に存在する標的化合物の有無および/または数量と直接相関関係を有するものである。
【0036】
かくして、新規の様相に基づくと、本発明は、固体支持体を用いた試料の標的化合物を検出および/または定量化する方法を目的としており、該方法において、前記標的化合物の検出および/または定量化がナノ粒子の検出および/または定量化と相関されており、ナノ粒子が本発明に従った方法によって検出および/または定量化されていることを特徴とする。
【0037】
本発明は同様に、本発明に従ったナノ粒子の検出および/または定量化方法または本発明に従った試料中の標的化合物の検出および/または定量化方法をも含んでおり、該方法は、検出および/または定量化が求められているナノ粒子が、検出および/または定量化が求められている前記標的化合物の特異的マーカーとして利用されることを特徴とする。
【0038】
好ましい実施態様においては、検出および/または定量化が求められているナノ粒子は、標的化合物に特異的に結合する能力をもつ化合物、特に、標的化合物が核酸である場合には標的化合物の相補的核酸、標的化合物がタンパク質である場合には標的化合物を特異的に認識する能力をもつ抗体、標的化合物がレセプタである場合には標的化合物を特異的に認識する能力をもつ、特に神経伝達物質であるリガンドでコーティングされている(あるいはこれらを用いて機能化されている)。
【0039】
かくして本発明は、本発明に従った試料中の標的化合物の検出および/または定量化方法またはナノ粒子の検出および/または定量化方法に関するものであり、該方法は、プローブ化合物または標的化合物が、核酸、ポリペプチド、ペプチド−核酸(PNA)、リポペプチド、糖ペプチド、神経伝達物質、炭水化物、脂質、好ましくは核酸、ポリペプチド、神経伝達物質または炭水化物から成る群から選択されることを特徴とする。
【0040】
本発明に従った方法の好ましい実施態様においては、前記固体支持体はガラス製である。
【0041】
さらにもう一つの様相に基づくと、本発明は、平坦な固体支持体の上部表面に存在するナノ粒子の検出および/または定量化用装置を含んでおり、該装置は、前記ナノ粒子がプラズモン共鳴を有し、前記固体支持体には、表面プラズモンを有する金属フィルムでその上部表面がコーティングされている透明な固体支持体が含まれており、そして前記透明な支持体の屈折率が、前記ナノ粒子が存在する媒質の屈折率を上回っているものであり、前記装置は、前記支持体の上部表面または下部表面の照明を可能にする光源および前記支持体の下部表面から伝達された光の検出および/または定量化システムを含んでおり、前記装置が、
−照明が固体支持体の下部表面から実施される場合には光源に由来する反射光;または
−照明が固体支持体の上部表面から実施される場合には光源によって伝達された直接光、
を除去するかまたはマスキングすることのできるシステムをさらに含んで成ることを特徴とする。
【0042】
好ましくは、本発明に従った装置は、例えば従来内部全反射蛍光(TIRF)向けに利用されている顕微鏡といった、好ましくはさらにデジタル大口径の液浸対物レンズを特に具備している反射顕微鏡であり、この顕微鏡には、ナノ粒子の照明が平坦な固体支持体の上部表面から実施される場合に金属フィルムを介する照明に由来する直接光をマスキングまたは除去することのできるマスク、または照明が下部表面から実施される場合に照明に由来する反射光をマスキングまたは除去することのできるマスクが具備されていることを特徴とする。
【0043】
さらに好ましくは、かかる装置は図6に示されている。
【0044】
本発明は同様にもう一つの様相に基づいて、
−試料中に存在する化合物の検出および/または定量化;
−患者に由来する生体試料中の特定の化合物の存在または濃度に関係づけられた、前記患者における疾病のインビトロ診断;
−内部全反射蛍光(TIRF)および表面プラズモン共鳴画像処理(SPR)といった従来の技術に置換わる、特に膜輸送、細胞区画内の化合物あるいはバイオセンサーの精確な位置特定の研究のための、数百nmにわたる限定されたシステムの生物学的画像処理;および
−500nm以下、好ましくは200nm以下の厚みにわたる、特に20nm以下の直径のナノ粒子の全視野画像処理
のための本発明に従った方法または装置の利用を含んでいる。
【0045】
超高感度のこの全視野画像処理は、表面上の分子相互作用を視覚化することを可能にし、このことは、数多くの分子輸送過程が膜貫通であるため、細胞および分子生物学において重大な利点を表わしている。例として、ホルモン、神経伝達物質および抗原による細胞の活性化、(特にバイオフィルムにおける)表面に対する細胞の接着、膜内の電子輸送、膜および細胞骨格の動力学、細胞分泌に関係する事象および膜と小胞の融合を挙げることができる。この技術によりプローブ探索されたゾーンは極めて繊細であることから、表面に付着したナノ粒子のみを検出することが可能となる。周囲環境内に存在する細胞はこの技術によると見えない。
【0046】
バイオセンサーの分野も同様に、本発明にとっての大きな利用分野である。
【0047】
この新しい方法は、単一生体分子の追跡研究ならびに、数ナノメートルのナノ粒子を用いてマーキングされた試料の超感度かつ高速の画像処理への途を切開くものである。
【0048】
今日、ナノ粒子は、タンパク質−タンパク質反応、抗原/抗体(免疫学的試薬)またはリガンド/レセプタタイプの反応、さらには相補的核酸ストランド(DNAプローブ)間の反応を検出または増幅するための支持体およびマーカーとして広く利用されている。現在、サイズおよび表面特性(親水性、官能基等)が極めて多様であり先験的に問題の生体分子を吸着または共有結合によりそこに固定するのに充分なものであり得る、非常に広いレンジのナノ粒子が市販されている。これらのナノ粒子上であれ、それらの検出のために利用されるSPR支持体上であれ、このような固定を実現するため、当業者にとって周知の数多くの手順が文献中で記述されている。このような発明に従ったこのような検出方法が備わったこれらのナノ粒子は、「ラボオンチップ」(DNAチップまたはタンパク質チップ)タイプの微小系の実現ならびに試験の実施および製造にとっての新たな解決法をもたらす。
【実施例】
【0049】
以下の図および実施例の凡例は、本発明を例示する目的をもつものであり、その範囲を制限するものでは全くない。
【0050】
実施例1:ナノ粒子カップリングの原理−表面プラズモン
蛍光色素分子が金属表面に接近した場合、表面プラズモンを介して新たなエネルギー伝達過程が現われる。表面プラズモンは、金属と誘電体の間の界面における伝導電子の集団振動モードである。これらの振動は、金属の表面において伝搬するエバネッセント電磁波(EM)を生成する(図1参照)。
【0051】
二つのモード間にカップリング(すなわちエネルギーの伝達)が行われるには、これら二つのモードの波動ベクトルの成分とエネルギーが一致しなければならない。屈折率n’に付随する試料側にある金属表面上に到達し、かつ表面に対する垂線と角度θを成す光ビームが、ω=ck/n’sinθという線分散関係式を有し、式中k=2π/λは波動ベクトルのノルムであり、cは真空中の光の速度である。図2に示されているグラフは、金属の表面に対して平行なkの成分に応じたこれらの分散関係式全体を示す。入射角の如何に関わらず、入射光ビームに結びつけられた分散曲線は、臨界角以下の入射の波動による直線ω=ck/n’の左側に位置づけられている。表面プラズモンの分散曲線はこのラインの右側に位置づけられていることから、この曲線は、試料側の入射光線に付随する分散曲線と決して交わらない。したがって、試料側の表面に入射するエバネッセント電磁波でプラズモンを励起することは不可能である。また逆に、プラズモンはこの側から光を発光することはできない。
【0052】
したがって、(エバネッセント波の外の)金属表面から離れた所にある蛍光色素分子によって発光された蛍光はプラズモンを励起できない。発光双極子に付随し、蛍光色素分子の近接場にのみ存在するエバネッセント波のみがプラズモンとカップリングできる(図2参照)。実際、エバネッセント波は、直交成分が虚数(すなわちエバネッセント)になることから、任意に大きい表面に対して平行な波動ベクトル成分を有することができる。かくして、標準的に200nm未満であるエバネッセント波内に位置づけられている蛍光色素分子のみが表面プラズモンを励起できる。このカップリングは、表面に対する蛍光色素分子の発光双極子の方向性により左右される。これは、無作為に方向づけされた蛍光色素分子全体によって失なわれたエネルギーの約60%を占め(図3参照)、双極子が表面に対し直角に方向づけされている場合、93%に達し得る。
【0053】
蛍光色素分子の場合と同様に、この効果は、金属表面近くに位置づけられるナノ粒子の場合にも存在する。金属ナノ粒子は双極子のように振舞う。
【0054】
図4は、10、30および50nmの半径についてλ=500nmでの法線入射の下で照明された金属界面から50nmのところに位置づけられている、銀ナノ粒子のモデル化の結果を表わしている。これらの理論的計算によると、表面プラズモンに対してナノ粒子により伝達されたエネルギーの割合は、(10nmの半径につき)46%に達する。ナノ粒子と金属表面の離隔距離を減少させた場合、より一層大きい割合を得ることが予想される。
【0055】
ナノ粒子−表面プラズモンのカップリングは、ナノ粒子が小さければ小さいほど強くなる(図4参照)。実際、小さいナノ粒子については、波動ベクトルに応じたエバネッセント電磁場の成分の分布は、大きい空間周波数においてさらに大規模である。換言すると、エバネッセント場(近接場)の相対的割合は、伝搬場に結びつけられる割合に比べて大きい。ところが、表面プラズモンとカップリングする可能性が高いのはまさにこれらの成分である(図4中のピーク)。
【0056】
ナノ粒子の拡散効率は、そのサイズが小さいほど減少する。この低下は、内部エネルギーの消散過程(吸収)に対するエネルギー消散の放射性過程(レイリーの拡散)の相対的減少によって誘発される。したがって、小さいナノ粒子(標準的には半径10nm未満)を拡散により検出することは困難である。この拡散は、図4では、1未満のkの正規化値(非エバネッセント場)に対応する。同じ程小さいナノ粒子を検出することのできる現在の方法は、吸収に基づく光熱効果の検出方法である(WO2004/025278という番号で公開された国際特許出願を参照のこと)。
【0057】
実施例2:ナノ粒子の検出
表面プラズモンは先験的に伝搬場にカップリングされ得ないことから、これらの非放射モードに伝達されるエネルギーは失われる(金属フィルム内で熱の形で消散される)。したがって、隔離する距離を増大させることにより、ナノ粒子と金属表面から形成されるシステムの吸収断面積を増大させたと考えることができる。
【0058】
しかしながら、このエネルギーを光の形で回収することが可能である。実際、フィルムの後部面に位置づけされた媒質の屈折率が前部面に位置づけられたものを上回る場合、そして金属表面が明確な厚みを有する場合には、表面プラズモンは伝搬エバネッセント電磁場とカップリングし(図2参照)後部面から光円錐を発光する(図5参照)。
【0059】
このカップリングを可能にするための金属フィルムの最適な厚み(標準的には数十ナノメートル)は、金属フィルムの両側の媒質の屈折率および励起の波長により左右される。
【0060】
このとき、透明な支持体を通して金属表面の画像を実現することで標準的な顕微鏡を用い、数十ナノメートルのナノ粒子を全視野で視覚化することが可能である。
【0061】
実施例3:生物学的マーカーとしてのナノ粒子
金属ナノ粒子はプラズモン共鳴すなわち、(その幾何学的サイズに対して)その吸収断面積が非常に大きくなる振動数を有する。この現象は、伝導電子の振動モードの閉じ込めに起因する。この共鳴は、ナノ粒子の形状、サイズおよび性質に左右されるものである。これは、例えば銀または金ナノ粒子においてきわめて顕著である。ナノ粒子の励起波長をそれらのプラズモン共鳴振動数に同調させてこれらを検出できるようにすることが不可欠であり、このプラズモン共鳴振動数は特にこれらのナノ粒子の性質、形状および環境、特に金属フィルムに対するそれらの距離に応じて異なる。ナノ粒子のこの特性のため、複数のタイプ(例えば性質または形状)の異なるナノ粒子を利用することにより(蛍光のように)多色マーカーを行なうことが可能となる。蛍光マーカーに比べ、ナノ粒子は光破壊されないという利点を示す。
【0062】
数ナノメートルの機能化されたナノ粒子による生物学的細胞標識は今日、電子顕微鏡検査の観察のために広く利用されていることから、充分に習熟されている。かくして本発明に従った方法は、すでに市販されている標識相に関して問題を提起することはない。
【0063】
実施例4:励起構成
蛍光色素分子を励起するためには複数の励起モードが可能である。
【0064】
A)蛍光色素分子はプラズモンを励起させることによりエバネッセント波で励起され得る。
後部面から伝達される円錐形の光の放射とプラズモンの間のカップリングと同じ過程で、プラズモンと平行な波動ベクトルの成分の同調に対応する明確な角度に沿って傾斜している後部面への入射ビームにより、試料−金属界面でプラズモンを励起することが可能である(クレッチマン構成、図2参照)。
【0065】
このためには、(プラズモン共鳴の反射率測定用または内部全反射での蛍光測定用、図6参照)エバネッセント波励起向けの従来の組立てに類似した構成(および機器)を利用することが可能である。ただし、ビームの偏光が、プラズモンを励起するためp型となるように、また表面プラズモンとカップリングされた光円錐の残りを通過させる反射された入射ビームを停止させるためのマスクを設置するようにしなくてはならない。同様に、このマスクが、薄い金属フィルムを介した試料内に拡散された光全体を停止させることも望ましい。入射ビームがプラズモンを励起するのに良好な角度を有する場合に、反射されたビーム内の強度は最小であるということに留意されたい。かくして、励起に由来する寄生光は低減される。
【0066】
このタイプの励起構成は同様に、半球形、半円筒または三角プリズムを用いた組立てでも実施可能である。
【0067】
この励起構成は、標準的なTIRF系の場合と同様に、問題のゾーンにある(すなわちエバネッセント波内にある)蛍光色素分子しか照明しないという利点を有するため、好ましい構成に対応している。その上、金属フィルムの厚みが調整されている場合、この波動の振幅を入射ビームと比べて、1けた超増幅させることができ、これにより、標準的TIRFに対するシグナルの有意な増大が誘発される(図7参照)。
【0068】
B)蛍光色素分子を試料の側でも照明することができる(図5参照)。
この構成は、励起時の選択性が無く、表面の近接場の振幅がより弱いものである(金属レベルでの場は事実上ゼロである)ことから、一般的にさほど有利ではない。それでも、金属表面に近接するナノ粒子のみがプラズモンを励起し得ることから、空間的選択は発光時に行なわれる。金属層を横断することにより強く減衰されている波になる表面からより遠位のナノ粒子(プラズモンにカップリングされていないナノ粒子)の拡散も検出器に到達する。拡散した寄生光は、プラズモンとのカップリングに由来する円錐のものより小さい最大角度で伝達される。同様に、ディスク形のマスクを用いてこの蛍光をろ過することが可能である。試料側に設置された励起の場合でさえ、金属から遠位にあるナノ粒子に由来するシグナルを完全にろ過することが可能である。
【0069】
実施例5:支持体の製造
試料は、真空下の熱蒸発によって製造される。金属層は所与の励起波長において最適化される。このタイプの支持体を製作するのは困難ではないことから、その他の技術も同様に利用可能である。
【0070】
銀または金は、選択肢の候補であり、可視光領域内で大きな場の増幅を可能にする。その他の金属(アルミニウム、白金、銅等)も同じく利用可能である。
【0071】
本発明に従った方法は、例えば水相で20nmの金ナノ粒子を用いて実施された。これらのナノ粒子は、顕微鏡で裸眼で直接観察され得、そのブラウン運動は目に見える。
【0072】
実施例6:支持体上に被着された直径20nmの銀ナノ粒子の検出
検出すべきナノ粒子
直径20nmの個々の銀ナノ粒子
【0073】
利用される支持体
厚み50nmの銀フィルムで被覆されたガラス製の平坦な固体支持体。検出すべきナノ粒子は、厚み15nmの非晶質アルミナ層により金属フィルムから分離されている。
【0074】
ナノ粒子の励起波長
被着されたナノ粒子は、ここで利用する銀ナノ粒子のプラズモン共鳴振動数に同調された波長(約450nm+/−30nm)を含むスペクトルを有する100Wのハロゲン白色光を用いた支持体の上部表面の照明により励起される。
【0075】
検出(図8を参照)
利用される顕微鏡は、デジタル大口径液浸対物レンズ(1.49 ON)を備えたOlympus(登録商標)BH−2またはNikon(登録商標)である。ここで利用されるカメラは、EM−CCD Hamamatsu C−9100である。図8で得た画像は、白黒用紙でより良く表現されるように(白色で)バイナリ化された。
【0076】
直径20nmの個々の銀ナノ粒子の存在を明らかにする同じ品質の画像を同じ支持体で、ただし支持体の下部部分を照明することで獲得し、ここでは、固体支持体の下部表面からの光源に由来する反射光を除去することのできるマスクを設置するのに充分注意を払った。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】表面プラズモン、すなわち電荷により誘発されるエバネッセント電磁場、金属側および誘電体側の付随するエバネッセント波の振幅、電場Ezの理論的マッピング(W. L. Barnes et al., Nature 424 p.824 (2003))を表わすスキーマ。
【図2】(屈折率n’の)金属/試料界面の表面プラズモンの分散関係(破線で表わされた水平な漸近線に向かう曲線)においては、最も勾配の強い直線(濃い灰色の直線)は、臨界角以下の入射を伴う試料の側に由来する光線の分散限界曲線を表わし、最も勾配の小さい直線(明るい灰色の直線)は、より高い屈折率n>n’の媒質に由来する光線では、臨界角に相当する直線を越えていることを示している。このとき、金属−試料プラズモンとのカップリングが可能である。このようにして、プラズモンは光円錐を生成するかまたは後部面により励起され得る。 ωp=プラズマ振動数 n=基板(すなわちガラス)の屈折率
【図3】表面までの距離に応じたλ=600nmでの蛍光色素分子のエネルギー伝達の確率。破線:無作為に方向づけされた双極子アセンブリについての平均(W. H. WeberおよびC. F. Eagen, Opt. Lett. 4(8) p.236 (1979))。(「emission probability」は「放射確率」を意味する)
【図4】λ=500nmの法線入射で照明され金属界面から50nmのところに位置づけされた、10nm(a)、30nm(b)および50nm(c)の銀ナノ粒子についての正規曲面に対し平行な波動ベクトルに応じた、消散出力(J. SollerおよびD. G. Hall J. Opt. Soc. Am. B19(5) p.1195 (2002))。
【図5】表面プラズモンとのカップリングに由来する光円錐:この場合カップリングは、薄い金属フィルムの表面に存在するナノ粗度に由来する(N.Fang, Opt. Express 11 p.682 (2003))。
【図6】本発明の方法の実施のためのマスクを具備する蛍光画像処理特に内部全反射(TIRF)画像処理のために従来利用されているデジタル大口径液浸対物レンズ(対物レンズの画像は、サイトhttp;//www.olympusmicro.com/primer/から引用されたものである)。
【図7】30、40、50および60nmの銀厚みについての入射角に応じた内部全反射で得られるものに対するエバネッセント波の相対的振幅のシミュレーション。最大値は40〜50nmの間で得られる。
【図8】100Wのハロゲンランプで支持体の上部部分を照明した後の、厚み50nmの銀フィルムおよび厚み15nmの非晶質アルミナ層が被覆された平坦な固体支持体上に被着させられた直径20nmの個々の銀ナノ粒子の存在を顕微鏡のスライド上で明らかにするバイナリ化画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な固体支持体の上部表面に存在するナノ粒子の検出および/または定量化方法であり、前記ナノ粒子がプラズモン共鳴を有し、前記固体支持体には、表面プラズモンを有する金属フィルムによってその上部表面がコーティングされている透明な固体支持体が含まれており、前記透明な支持体の屈折率が、前記ナノ粒子が存在する媒質の屈折率を上回る方法であり、以下の:
a)場合によって上部表面上に存在するナノ粒子を照明するべく、前記支持体の上部または下部表面から照明を行なう段階、
b)下部表面から、ナノ粒子に由来する光を検出および/または定量化する段階、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
−段階a)で、照明が上部表面から実施され;かつ
−段階b)で、下部表面からのナノ粒子に由来する光の検出および/または定量化が、金属フィルムを介する照明に由来する直接光の影響を受けずに実施されること、
あるいはまた、
−段階a)で、照明が下部表面から実施され;かつ
−段階b)で、下部表面からのナノ粒子に由来する光の検出および/または定量化が、照明に由来する反射光の影響を受けずに実施されること
を特徴とする、請求項1に記載のナノ粒子の検出および/または定量化方法。
【請求項3】
ナノ粒子が金属ナノ粒子であることを特徴とする、請求項1または2に記載のナノ粒子の検出および/または定量化方法。
【請求項4】
ナノ粒子が、金、銀、アルミニウム、白金または銅ナノ粒子から選択されたナノ粒子であることを特徴とする、請求項3に記載のナノ粒子の検出および/または定量化方法。
【請求項5】
ナノ粒子が、金または銀ナノ粒子から選択されたナノ粒子であることを特徴とする、請求項4に記載のナノ粒子の検出および/または定量化方法。
【請求項6】
前記金属フィルムは、その金属が検出すべきナノ粒子の金属であるフィルムから選択されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項7】
前記金属フィルムが、5nm〜500nmの間、好ましくは20〜80nmの間に含まれる厚みを有することを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
検出および/または定量化方法は、検出および/または定量化が求められている固体支持体の上部表面に存在する可能性のある前記ナノ粒子が、前記ナノ粒子の励起波長以下の距離、好ましくは前記ナノ粒子の励起波長の半分以下の距離のところにあることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載のナノ粒子の検出および/または定量化方法。
【請求項9】
検出および/または定量化が求められている固体支持体の上部表面に存在する可能性のあるナノ粒子は、照明に用いられる光が可視光の領域内にある場合、500nm以下の距離のところにあることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載のナノ粒子の検出および/または定量化方法。
【請求項10】
検出および/または定量化が求められている固体支持体の上部表面に存在する可能性のあるナノ粒子は、固体支持体の上部表面から500nm以下、好ましくは200nm以下の距離が最も好ましいのところにあることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載のナノ粒子の検出および/または定量化方法。
【請求項11】
支持体の上部表面に位置づけられている金属フィルムが、ナノ粒子と金属フィルムの間の最小距離を調整することができるようにする透明フィルムでコーティングされていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載のナノ粒子の検出および/または定量化方法。
【請求項12】
前記透明フィルムが50nm以下の厚みを有することを特徴とする、請求項11に記載のナノ粒子の検出および/または定量化方法。
【請求項13】
段階a)で、照明が上部表面から実施されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一つに記載のナノ粒子の検出および/または定量化方法。
【請求項14】
段階b)で、ナノ粒子に由来する光が前記支持体を介して下部表面に伝達されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一つに記載のナノ粒子検出方法。
【請求項15】
段階a)で、前記支持体の上部表面または下部表面からの照明が、白色光源、または、その励起波長が少なくとも一本の前記ナノ粒子のプラズモン共鳴振動数に同調された励起波長をもつ多色光を用いて実施されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一つに記載のナノ粒子の検出および/または定量化方法。
【請求項16】
段階a)で、前記支持体の上部表面または下部表面からの照明が、前記ナノ粒子のプラズモン共鳴振動数に同調された励起波長をもつ単色光源を用いて実施されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一つに記載のナノ粒子の検出および/または定量化方法。
【請求項17】
段階b)で、下部表面におけるナノ粒子に由来する光の検出および/または定量化が、場合によってはCCDカメラに連結された顕微鏡を用いて実施されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一つに記載のナノ粒子の検出および/または定量化方法。
【請求項18】
検出および/または定量化が求められているナノ粒子が、60nm以下、好ましくは20nm以下の直径を有することを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一つに記載のナノ粒子の検出および/または定量化方法。
【請求項19】
検出および/または定量化が求められているナノ粒子が、そのプラズモン共鳴に結びつけられた色を有することを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一つに記載のナノ粒子の検出および/または定量化方法。
【請求項20】
前記支持体が、ナノ粒子を用いてまたはナノ粒子の存在により検出および/または定量化が求められている標的化合物を特異的に認識する能力をもつプローブ化合物が上に固定されている金属フィルムでその上部表面がコーティングされている透明な固体支持体であることを特徴とする、請求項1〜19の一つに記載の方法。
【請求項21】
固体支持体を用いた試料の標的化合物を検出および/または定量化する方法であり、これにおいて前記標的化合物の検出および/または定量化が、ナノ粒子の検出および/または定量化と相関されている、ナノ粒子が請求項1〜20の一つに記載の方法によって検出および/または定量化されていることを特徴とする方法。
【請求項22】
検出および/または定量化が求められているナノ粒子が前記標的化合物の特異的マーカーとして利用されることを特徴とする、請求項20に記載のナノ粒子の検出および/または定量化方法または請求項21に記載の試料中の標的化合物の検出および/または定量化方法。
【請求項23】
検出および/または定量化が求められているナノ粒子が、標的化合物に特異的に結合する能力をもつ化合物でコーティングされていることを特徴とする、請求項22に記載の試料中の標的化合物の検出および/または定量化方法またはナノ粒子の検出および/または定量化方法。
【請求項24】
プローブ化合物または標的化合物が、核酸、ポリペプチド、ペプチド−核酸(PNA)、リポペプチド、糖ペプチド、炭水化物、脂質、好ましくは核酸、ポリペプチドまたは炭水化物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項21〜23の一つに記載の試料中の標的化合物の検出および/または定量化方法またはナノ粒子の検出および/または定量化方法。
【請求項25】
前記固体支持体がガラス製であることを特徴とする、請求項1〜24の一つに記載の方法。
【請求項26】
平坦な固体支持体の上部表面に存在するナノ粒子の検出および/または定量化用装置であり、前記ナノ粒子がプラズモン共鳴を有し、前記固体支持体には、表面プラズモンを有する金属フィルムでその上部表面がコーティングされている透明な固体支持体が含まれており、そして前記透明な支持体の屈折率が、前記ナノ粒子が存在する媒質の屈折率を上回っているものであり、前記装置は、前記支持体の上部表面または下部表面の照明を可能にする光源および前記支持体の下部表面から伝達された光の検出および/または定量化システムを含んでおり、
−照明が固体支持体の下部表面から実施される場合には光源に由来する反射光;または
−照明が固体支持体の上部表面から実施される場合には光源によって伝達された直接光、
を除去するかまたはマスキングすることのできるシステムをさらに含んで成ることを特徴とする装置。
【請求項27】
− 試料中に存在する化合物の検出および/または定量化;
− 診断;
− 特に膜輸送またはバイオセンサーの研究のための、数百nmにわたる限定された系の生物学的画像処理;および
− 500nm以下、好ましくは200nm以下の厚みにわたる、特に20nm以下の直径のナノ粒子の全視野画像処理
のための、請求項1〜25の一つに記載の方法または請求項26に記載の装置の利用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−515181(P2009−515181A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539442(P2008−539442)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068316
【国際公開番号】WO2007/054552
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(500470482)サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック(セーエヌエールエス) (25)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE (CNRS)
【Fターム(参考)】