説明

ナノ粒子を含む粒子、それの使用および方法

本発明は、母材内にカプセル化されたナノ粒子を含む粒子であって、その粒子が粒子の外表面の少なくとも一部の上に配置されたコーティングを含む粒子に関するものである。ある種の実施形態において、ナノ粒子は発光特性を有する。コーティングは低酸素透過性を有する樹脂を含むことができ、コーティングはポリビニルアルコール化合物を含み、そのポリビニルアルコール化合物は同一であっても異なっていても良い1以上の置換基を含んでいても良い。好ましい実施形態において、ナノ粒子は半導体ナノ結晶を含む。ある種の実施形態において、母材はポリマーまたは無機材料を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本願は、2009年9月9日出願の米国特許出願第61/240932号(引用によって全体が本明細書に組み込まれる)に対する優先権を主張するものである。
【0002】
連邦支援研究または開発
本発明は、中央情報局提供の契約番号2004*H838109*000下の政府支援で行ったものである。本発明には政府が一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、ナノ技術の技術分野に関するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
詳細には、本発明は、母材内に含まれるナノ粒子を含む粒子であって、粒子が粒子の外表面の少なくとも一部にコーティングを含むものに関するものである。本発明は、それを含む粉末、製剤、組成物、フィルムおよびコーティング、それの使用および方法に関するものでもある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1態様によれば、粒子がその粒子の外表面の少なくとも一部にコーティングを含む、母材に含まれるナノ粒子を含む粒子が提供される。
【0006】
ある種の実施形態において、ナノ粒子は発光特性を有する。
【0007】
好ましくは、コーティングは粒子外表面の全体または実質的に全体を覆う。
【0008】
コーティングは好ましくは、低酸素透過性を有する樹脂を含むコーティング材料を含む。
【0009】
そのような樹脂の例には、ポリビニルアルコール化合物およびポリビニリデンジクロライド化合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
そのような樹脂は、置換されているか置換されていないものであることができる。
【0011】
ある種の実施形態において、コーティングはポリビニルアルコール化合物を含む。
【0012】
ポリビニルアルコール化合物は、同一であっても異なっていても良い1以上の置換基を含んでいても良い。
【0013】
ある種の実施形態において、前記ポリビニルアルコール化合物はポリビニルアルコール(PVA)を含む。
【0014】
ポリビニルアルコールは、同一であっても異なっていても良い1以上の置換基を含んでいても良い。
【0015】
ある種の実施形態において、ポリビニルアルコール化合物は、ポリ(エチレンビニル)アルコール(EVA)を含む。
【0016】
ポリ(エチレンビニル)アルコールは、同一であっても異なっていても良い1以上の置換基を含んでいても良い。
【0017】
ある種の実施形態において、コーティングはポリビニリデンジクロライドを含む。
【0018】
ポリビニリデンジクロライドは、同一であっても異なっていても良い1以上の置換基を含んでいても良い。
【0019】
ある種の実施形態において、前記粒子は約0.01μmから約100μmの範囲の少なくとも一次元を有する。ある種の実施形態において、前記粒子は約0.01μmから約75μmの少なくとも一次元を有する。ある種の実施形態において、前記粒子は約0.01μmから約50μmの範囲の少なくとも一次元を有する。ある種の実施形態において、前記粒子は約0.01μmから約25μmの範囲の少なくとも一次元を有する。他の粒子径が有用であるか望ましい場合がある。
【0020】
母材または粒子におけるナノ粒子の濃度は変動し得るものである。ある種の実施形態において、ナノ粒子は少なくとも約0.001重量%の量で母材中に含まれていることができる。ある種の実施形態において、ナノ粒子は少なくとも約0.001から約25重量%の範囲の量で母材中に含まれていることができる。ある種の実施形態において、ナノ粒子は少なくとも約0.001から約20重量%の範囲の量で母材中に含まれていることができる。ある種の実施形態において、ナノ粒子は少なくとも約0.001から約15重量%の範囲の量で母材中に含まれていることができる。ある種の実施形態において、ナノ粒子は少なくとも約0.001から約10重量%の範囲の量で母材中に含まれていることができる。ある種の実施形態において、ナノ粒子は少なくとも約0.001から約5重量%の範囲の量で母材中に含まれていることができる。ある種の実施形態において、ナノ粒子は少なくとも約0.001から約2.5重量%の範囲の量で母材中に含まれていることができる。ある種の実施形態において、ナノ粒子は少なくとも約0.01から約2重量%の範囲の量で母材中に含まれていることができる。母材中のナノ粒子の他の濃度を決定して、有用または所望のものとすることができる。
【0021】
粒子中に含まれるナノ粒子の重量%は、結合する可能性があるリガンドを問わず、ナノ粒子の重量に基づくものである。
【0022】
ある種の実施形態において、母材はポリマーを含む。
【0023】
ある種の好ましい実施形態において、母材はポリアクリレートを含む。
【0024】
ある種の実施形態において、母材はポリメタクリレートを含む。
【0025】
ある種の実施形態において、母材はポリメタクリル酸ラウリルを含む。
【0026】
ある種の実施形態において、母材はモノマーを含む。
【0027】
ある種の実施形態において、母材は樹脂を含む。
【0028】
ある種の実施形態において、母材は1以上のモノマー、ポリマーおよび/または樹脂を含む。
【0029】
ポリマーおよび樹脂の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリシロキサン、ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリ(フェニレン−ビニレン)、ポリシラン、ポリエチレンテレフタレートおよびポリ(フェニレン−エチニレン)、ポリメチルメタクリレート、ポリラウリルメタクリレート、ポリカーボネート、エポキシおよび他のエポキシ類などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
他のポリマーおよび樹脂は、関連業界の当業者であれば容易に決めることができる。
【0031】
モノマーの例には、上記で挙げたポリマー例および本明細書に記載の他の例についてのモノマー前駆体などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
ある種の実施形態において、母材は1以上のモノマー、ポリマーおよび/または樹脂を含む混合物を含む。
【0033】
ある種の実施形態において、母材は金属酸化物(シリカまたはチタニアなどがあるがそれに限定されるものではない)などの無機材料を含む。
【0034】
ある種の実施形態において、母材は固体ロウを含む。
【0035】
ある種の実施形態において、母材は半固体ロウを含む。
【0036】
ある種の実施形態において、母材はロウの混合物を含む。
【0037】
ある種の実施形態において、ロウは非生体分解性である。
【0038】
ある種の実施形態において、母材は光学的に透明である。
【0039】
ある種の実施形態において、母材はナノ粒子を光学的に励起させるのに用いられる励起光に対して光学的に透明である。
【0040】
ある種の実施形態において、母材は発光ナノ粒子から放出された光に対して光学的に透明である。
【0041】
ある種の実施形態において、母材は励起光および発光ナノ粒子から放出される光の両方に対して光学的に透明である。
【0042】
発光特性を有するナノ粒子について下記に記載する。
【0043】
ある種の実施形態において、ナノ粒子の少なくとも一部には、第1の半導体材料を含むコアおよび前記コアの外表面の少なくとも一部の上に配置されたシェルが含まれ、前記シェルは第2の半導体材料を含む。
【0044】
ある種の実施形態において、ナノ粒子の少なくとも一部は、それの外表面に結合した1以上のリガンドを含む。
【0045】
ナノ粒子の少なくとも一部がそれの外表面に結合した1以上のリガンドを含むある種の実施形態において、リガンドは母材と化学的に適合するよう選択される。
【0046】
ある種の好ましい実施形態において、ナノ粒子は半導体ナノ結晶を含む(半導体ナノ結晶は、本明細書において量子ドットとも称される)。
【0047】
ある種の実施形態において、半導体ナノ結晶は、第1の半導体ナノ結晶性材料を含むコアおよび前記コアの外表面の少なくとも一部の上の配置されたシェルを含み、前記シェルは第2の半導体ナノ結晶性材料を含む。
【0048】
ある種の実施形態において、半導体ナノ結晶の少なくとも一部は、それの外表面に結合した1以上のリガンドを含む。
【0049】
本発明の別の態様によれば、複数の本発明による粒子を含む粉末が提供される。
【0050】
ある種の実施形態において、粉末は所定の粒径分布を有する。所定の粒径分布は、篩い分けまたは関連する業界の当業者によって容易に確認できる他の技術によって達成することができる。
【0051】
ある種の実施形態において、粉末には2以上の粒子群が含まれ、少なくとも一つの粒子群が別の粒子群に含まれるナノ粒子によって放出されるものと異なる波長の光を放出するナノ粒子を含む。
【0052】
本発明の別の態様によれば、本発明による1以上の粒子および固体もしくは液体媒体を含む製剤が提供される。
【0053】
ある種の実施形態において、粒子は、媒体の重量基準で少なくとも約0.1重量%の量で製剤中に存在する。ある種の実施形態において、粒子は媒体の重量基準で少なくとも約0.1から約75重量%の量で製剤中に存在する。ある種の実施形態において、粒子は媒体の重量基準で少なくとも約0.1から約50重量%の量で製剤中に存在する。ある種の実施形態において、粒子は媒体の重量基準で少なくとも約0.1から約25重量%の量で製剤中に存在する。ある種の実施形態において、粒子は媒体の重量基準で少なくとも約0.1から約10重量%の量で製剤中に存在する。ある種の実施形態において、粒子は媒体の重量基準で少なくとも約0.1から約5重量%の量で製剤中に存在する。ある種の実施形態において、粒子は媒体の重量基準で少なくとも約0.1から約2.5重量%の量で製剤中に存在する。ある種の実施形態において、粒子は媒体の重量基準で少なくとも約0.1から約2重量%の量で製剤中に存在する。ある種の実施形態において、粒子は媒体の重量基準で少なくとも約0.1から約1重量%の量で製剤中に存在する。媒体中の粒子の他の濃度を決定して有用または所望となるようにすることができる。
【0054】
ある種の実施形態において、媒体は、モノマー、ポリマー、樹脂、フィルム形成組成物、および/または前記のもののうちの少なくとも1種類を含む混合物を含む。
【0055】
ある種の実施形態において、媒体は1以上のモノマー、ポリマーおよび/または樹脂を含む混合物を含む。
【0056】
ある種の実施形態において、製剤はさらに1以上の添加剤を含む。
ある種の実施形態において、前記1以上の添加剤は、着色剤、散乱剤、結合剤、界面活性剤、UV吸収剤、および/またはそれらの1以上の混合物を含むことができる。
【0057】
添加剤およびそれの量は、所期の用途に基づいて選択することができる。そのような添加剤および量は、関連する業界の当業者であれば容易に確認することができる。
【0058】
本発明の別の態様によれば、本発明による製剤から製造されるフィルムが提供される。
【0059】
ある種の実施形態において、前記フィルムはさらに、モノマー、ポリマー、樹脂、フィルム形成組成物、および/またはこれらの混合物を含む。
【0060】
ある種の実施形態において、フィルムはさらに1以上の添加剤を含む。
【0061】
ある種の実施形態において、1以上の添加剤は、着色剤、散乱剤、結合剤、界面活性剤、UV吸収剤および/またはそれらの1以上の混合物を含むことができる。
【0062】
添加剤およびそれの量は、所期の用途に基づいて選択することができる。そのような添加剤および量は、関連する業界の当業者であれば容易に確認することができる。
【0063】
本発明の別の態様によれば、本発明による製剤を含むコーティングが提供される。
【0064】
本発明の別の態様によれば、本発明による1以上の粒子を含む組成物が提供される。
【0065】
ある種の実施形態において、1以上の粒子が第2の母材に分散されている。
【0066】
ある種の実施形態において、第2の母材はポリマーを含む。
【0067】
ある種の実施形態において、第2の母材はモノマーを含む。
【0068】
ある種の実施形態において、第2の母材は樹脂を含む。
【0069】
ある種の実施形態において、第2の母材はモノマー、ポリマー、樹脂、および/または前記のものの少なくとも一つを含む混合物を含む。
【0070】
本発明の別の態様によれば、母材中にナノ粒子を分散させる段階、母材中に分散したナノ粒子を含む粒子を提供する段階、前記粒子の少なくとも一部の外表面の少なくとも一部にコーティングを形成する段階を含むカプセル化ナノ粒子の製造方法が提供される。
【0071】
母材の例には、上記および本明細書の別の場所で提供されるものなどがある。
【0072】
前記コーティングは好ましくは、低酸素透過性を有する樹脂を含むコーティング材料を含む。
【0073】
そのような樹脂の例には、ポリビニルアルコール化合物およびポリビニリデンジクロライド化合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
そのような樹脂は、置換されているか置換されていないものであることができる。
【0075】
ある種の実施形態において、前記コーティングはポリビニルアルコール化合物を含む。
【0076】
ポリビニルアルコール化合物は、同一であるか異なっていることができる1以上の置換基を含んでいても良い。
【0077】
ある種の実施形態において、前記ポリビニルアルコール化合物はポリビニルアルコール(PVA)を含む。
【0078】
ポリビニルアルコールは、同一であるか異なっていることができる1以上の置換基を含んでいても良い。
【0079】
ある種の実施形態において、ポリビニルアルコール化合物はポリ(エチレンビニル)アルコール(EVA)を含む。
【0080】
ポリ(エチレンビニル)アルコールは、同一であるか異なっていることができる1以上の置換基を含んでいても良い。
【0081】
ある種の実施形態において、コーティングはポリビニリデンジクロライドを含む。
【0082】
ポリビニリデンジクロライドは、同一であるか異なっていることができる1以上の置換基を含んでいても良い。
【0083】
ある種の実施形態において、前記カプセル化ナノ粒子の製造方法は、母材中に分散したナノ粒子を含む粒子を形成する段階、コーティング材料を不溶性とすることで液体媒体中の粒子の少なくとも一部の外表面の少なくとも一部の上にコーティング材料を含む層を形成する段階、コーティング材料を架橋することでコーティングを形成する段階を有する。
【0084】
コーティング材料を含む層は、例えば温度を調節してコーティング材料の溶解度を下げ、液体媒体のイオン強度を調節し、および/または液体媒体の極性を調節して粒子の少なくとも一部の上にコーティング材料を沈殿させることで形成することができる。好ましくはそのような沈殿段階は、制御された形で行う。
【0085】
他の技術が、粒子上にコーティング材料の層を形成する上で有用であるか望ましいものであることがあり得る。
【0086】
本明細書に記載され、本開示によって想定される前記および他の態様および実施形態はいずれも、本発明の実施形態を構成する。
【0087】
本発明が関係する業界における通常の技術を有する者であれば、本発明の特定の態様および/または実施形態に関して本明細書に記載のいずれかの特徴を本明細書に記載の本発明のいずれか他の態様および/または実施形態の他の特徴の1以上と組み合わせて、適宜に変更を加えることで組み合わせの適合性を確保することが可能であることは明らかである。そのような組み合わせは、本開示によって想定される本発明の一部であると考えられる。
【0088】
理解すべき点として、前記の一般的説明および下記の詳細な説明の両方が例示および説明のみを目的としたものであり、特許請求の本発明を限定するものではない。他の実施形態は、本明細書および本明細書に開示の本発明の実務を考慮することで当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】実施例に記載の本発明の1実施形態の1例の製造における一つの段階を示す図である。
【図2】量子効率の測定方法を示すスペクトラムである。
【発明を実施するための形態】
【0090】
他の利点およびそれの能力とともに本発明についての理解を深めるため、上記の図面との関連で下記の開示および添付の特許請求の範囲を参照する。
【0091】
詳細には、本発明は、母材内に含まれるナノ粒子を含む粒子であって、粒子が粒子の外表面の少なくとも一部にコーティングを含むものに関するものである。本発明は、それを含む粉末、製剤、組成物およびコーティング、それの使用および方法に関するものでもある。
【0092】
本発明の1態様によれば、粒子がその粒子の外表面の少なくとも一部にコーティングを含む、母材に含まれるナノ粒子を含む粒子が提供される。
【0093】
好ましくは、コーティングは粒子外表面の全体または実質的に全体を覆う。
【0094】
コーティングは好ましくは、低酸素透過性を有する樹脂を含むコーティング材料を含む。
【0095】
そのような樹脂の例には、ポリビニルアルコール化合物およびポリビニリデンジクロライド化合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0096】
そのような樹脂は、置換されているか置換されていないものであることができる。
【0097】
ある種の実施形態において、コーティングはポリビニルアルコール化合物を含む。
【0098】
ポリビニルアルコール化合物は、同一であっても異なっていても良い1以上の置換基を含んでいても良い。
【0099】
ある種の実施形態において、前記ポリビニルアルコール化合物はポリビニルアルコール(PVA)を含む。
【0100】
ポリビニルアルコールは、同一であっても異なっていても良い1以上の置換基を含んでいても良い。
【0101】
ある種の実施形態において、ポリビニルアルコール化合物は、ポリ(エチレンビニル)アルコール(EVA)を含む。
【0102】
ポリ(エチレンビニル)アルコールは、同一であっても異なっていても良い1以上の置換基を含んでいても良い。
【0103】
ある種の実施形態において、コーティングはポリビニリデンジクロライドを含む。
【0104】
ポリビニリデンジクロライドは、同一であっても異なっていても良い1以上の置換基を含んでいても良い。
【0105】
コーティングは、コーティングされた粒子の少なくとも0.1重量%を占めることができる。例えば、コーティングは、コーティングされた粒子の約0.1から約10重量%、コーティングされた粒子の約0.1から約5重量%、コーティングされた粒子の約0.1から約3.5重量%、コーティングされた粒子の約0.1から約2.5重量%を占めることができる。これらの範囲外である他のコーティング濃度も、有用または望ましいものと確認される場合もあり得る。
【0106】
コーティングは、少なくとも0.1ミクロンの厚さを有することができる。例えば、コーティングは約0.1から約10ミクロンの範囲、約0.1から約5ミクロンの範囲の厚さを有することができる。
【0107】
これらの範囲外である他のコーティング厚さが、有用または望ましいものと確認される場合もあり得る。
【0108】
ある種の実施形態において、ナノ粒子は発光特性を有することができる。ある種の実施形態において、ナノ粒子は半導体ナノ結晶を含む。ナノ粒子および半導体ナノ結晶について下記でさらに説明する。
【0109】
ある種の実施形態において、ナノ粒子はそれの外表面に結合した1以上のリガンドを含むことができる。
【0110】
好ましくは母材は固体材料を含む。ある種の実施形態において、母材はナノ粒子に対して環境的安定性を提供するよう選択することができる。例えば、好ましい母材は、内部に含まれるナノ粒子をそのナノ粒子に悪影響を与え得る環境的要素から保護する特徴を有することができる。そのような要素の例には、酸素、水などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0111】
ある種の実施形態において、母材はポリマーを含む。
【0112】
ある種の好ましい実施形態において、母材はポリアクリレートを含む。
【0113】
ある種の実施形態において、母材はポリメタクリレートを含む。
【0114】
ある種の実施形態において、母材はポリメタクリル酸ラウリルを含む。
【0115】
ある種の実施形態において、母材はモノマーを含む。
【0116】
ある種の実施形態において、母材は樹脂を含む。
【0117】
ある種の実施形態において、母材は1以上のモノマー、ポリマーおよび/または樹脂を含む。
【0118】
ポリマーおよび樹脂の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリシロキサン、ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリ(フェニレン−ビニレン)、ポリシラン、ポリエチレンテレフタレートおよびポリ(フェニレン−エチニレン)、ポリメチルメタクリレート、ポリラウリルメタクリレート、ポリカーボネート、エポキシおよび他のエポキシなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0119】
他のポリマーおよび樹脂は、関連する業界の当業者には容易に確認できる。
【0120】
モノマーの例には、上記で挙げたポリマー例用のモノマー前駆体などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0121】
モノマーの別の例には、メタクリル酸アリル、メチルアクリル酸ベンジル、1,3−ブタンジオール・ジメタクリレート、1,4−ブタンジオール・ジメタクリレート、アクリル酸ブチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、1,6−ヘキサンジオール・ジメタクリレート、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル、トリアクリル酸ペンタエリトリトール、2−メチルアクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、トリアクリル酸トリケチロールプロパン、アクリルアミドn,n−メチレン−ビスアクリル−アミドフェニルアクリレートおよびジビニルベンゼンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0122】
光重合性であるモノマーの場合、光開始剤化学種をモノマーとともに含有させることで、重合プロセスを可能とすることができる。光吸収の結果として流体モノマー中にフリーラジカルを生じさせることができる化学物質を効率的に、光開始剤化学種として用いることができる。光開始剤には二種類がある。第1の種類では、その化学物質は単分子開裂を受けてフリーラジカルを生じる。そのような光開始剤の例には、ベンゾインエーテル類、ベンジルケタール類、a−ジアルコキシ−アセトフェノン類、a−アミノ−アルキルフェノン類およびアシルホスフィンオキサイド類などがある。第2の種類の光開始剤は、光開始剤が共開始剤と反応してフリーラジカルを形成する二分子反応を特徴とする。そのようなものの例は、ベンゾフェノン類/アミン類、チオキサントン類/アミン類およびチタノセン類である(可視光)。
【0123】
粒子製造に光重合性モノマーとともに有用となり得る光開始剤の例の限定的なリストには、CIBAからの次のもの:IRGACURE184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン)、IRGACURE2959(2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン)、DAROCURMBF(メチルベンゾイルフォーメート)、IRGACURE754(オキシ−フェニル−酢酸2−[2オキソ−2フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステルおよびオキシ−フェニル−アセティック2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル)、IRGACURE651アルファ、(アルファ−ジメトキシ−アルファ−フェニルアセトフェノン)、IRGACURE369(2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、IRGACURE907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン)、DAROCURTPO(ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド)、IRGACURE819(ホスフィンオキサイド、フェニルビス(BAPO)(2,4,6−トリメチルベンゾイル))、IRGACURE784(ビス(エータ5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]チタン)、IRGACURE250(ヨードニウム、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロホスフェート(1−).)などがある。
【0124】
使用される場合、光開始剤は、少なくとも重合プロセスを可能とする上で有効な量で含まれる。
【0125】
ある種の実施形態において、約5重量%以下の光開始剤が重合される混合物に含まれる。ある種の実施形態において、約4%以下の光開始剤が重合される混合物に含まれる。ある種の実施形態において、約3%以下の光開始剤が重合される混合物に含まれる。ある種の実施形態において、約2%以下の光開始剤が重合される混合物に含まれる。ある種の実施形態において、約1重量%の光開始剤が好ましい可能性がある。
【0126】
上記の範囲外の光開始剤の他の量が有用または望ましいものと確認される可能性がある。
【0127】
ある種の実施形態において、母材は1以上のモノマー、ポリマーおよび/または樹脂を含む混合物を含む。
【0128】
ある種の実施形態において、母材は金属酸化物(シリカまたはチタニアなどがあるが、これらに限定されるものではない)などの無機材料を含む。
【0129】
粒子に含まれる母材の例には、異なる分子量版で入手可能な炭化水素ロウなどもある。低分子量版は、パラフィンロウと称される。フィッシャー・トロプシュロウが、中分子量版の1例である。ポリエチレンロウは、高分子量版の1例である。融点は、50℃から130℃の範囲であることができる。直鎖炭化水素ロウは、直鎖アルカンリガンドを含む1以上のリガンドを含むナノ粒子と非常に適合性である。一定の分子量を超えると、これらのロウはほとんどの溶媒に不溶となる。相対的に低分子量の鎖が、半導体ナノ結晶を含むナノ粒子の好ましい母材である(相対的に高分子量の鎖はより脆い可能性があり、粒径低下がより容易に起こり得る)。これらのロウの屈折率は1.51から1.54の範囲であり、PMMAにおける1.49という値と似ている。それは無色ないし乳白色である。ポリエチレンロウは至適より劣るO障壁であるが、ある種の用途では、それが生体分解性でなく、製剤中に含まれる液体および/または成分に対して耐性であり得ることから好ましい。
【0130】
他のロウを母材として用いることができ、所望の粒径を得る上で有用な方法が多くある。
【0131】
ある種の実施形態において、固体ロウを母材として用いる。ある種の実施形態において、半固体ロウを母材として用いる。
【0132】
ある種の実施形態において、母材は光学的に透明であることができる。
【0133】
本発明のある種の実施形態において、分散したナノ粒子を含む母材を含む粒子が提供される。ある種の実施形態において、ナノ粒子は母材全体に分散される。ある種の実施形態において、ナノ粒子は母材全体に実質的に均一に分散されている。ある種の実施形態において、ナノ粒子は粒子全体に分散されている。ある種の実施形態において、ナノ粒子は粒子全体に実質的に均一に分散されている。
【0134】
ある種の実施形態において、粒子は約0.01から約100ミクロンの範囲の径を有することができる。ある種の実施形態において、粒子は約0.01から約80ミクロンの範囲の径を有することができる。ある種の実施形態において、粒子は約0.01から約60ミクロンの範囲の径を有することができる。ある種の実施形態において、粒子は約0.01から約50ミクロンの範囲の径を有することができる。ある種の実施形態において、粒子は約0.01から約40ミクロンの範囲の径を有することができる。ある種の実施形態において、粒子は約0.01から約20ミクロンの範囲の径を有することができる。ある種の実施形態において、粒子は約0.01から約10ミクロンの範囲の径を有することができる。ある種の実施形態において、粒子は約0.5から約50ミクロンの範囲の径を有することができる。ある種の実施形態において、粒子は約0.5から約30ミクロンの範囲の径を有することができる。ある種の実施形態において、粒子は約0.5から約20ミクロンの範囲の径を有することができる。ミクロン径の本発明のある種の実施形態による粒子により、ナノサイズの材料の取り扱いを避けながら、製剤、他の組成物、方法および用途にナノ粒子を含めることが容易になり得る。
【0135】
母材または粒子中でのナノ粒子の濃度は多様であり得る。
【0136】
ある種の実施形態において、少なくとも約0.001重量%の量で母材にナノ粒子を含ませることができる。ある種の実施形態において、約0.001から約25重量%の範囲の量で母材にナノ粒子を含ませることができる。ある種の実施形態において、約1から約10重量%の範囲の量で母材にナノ粒子を含ませることができる。ある種の実施形態において、約0.001から約5重量%ある種の実施形態において、約0.001から約2.5重量%の範囲の量で母材にナノ粒子を含ませることができる。ある種の実施形態において、約0.01から約2重量%の範囲の量で母材にナノ粒子を含ませることができる。
【0137】
母材中のナノ粒子の他の濃度が有用または望ましいことが確認される可能性がある。
【0138】
本発明の別の実施形態によれば、複数の本発明による粒子を含む粉末が提供される。
【0139】
ある種の実施形態において、粉末は所定の粒径分布を有する。
【0140】
所定の粒径分布は、篩い分けまたは関連する業界の当業者によって容易に確認できる他の技術によって達成することができる。
【0141】
本発明の別の実施形態において、複数の本発明による粒子を含む製剤が提供される。
【0142】
ある種の実施形態において、製剤はさらに液体を含むことができる。
【0143】
その液体は水系または非水系であることができる。
【0144】
その液体は極性または非極性であることができる。
【0145】
ある種の実施形態において、製剤は1以上のモノマー、ポリマー、樹脂および/または他のフィルム形成組成物を含むことができる。
【0146】
ポリマーおよび樹脂の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリシロキサン、ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリ(フェニレン−ビニレン)、ポリシラン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(フェニレン−エチニレン)、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ラウリル、ポリカーボネート、エポキシおよび他のエポキシなどがあるが、それらに限定されるものではない。
【0147】
製剤の末端用途に好適な他のポリマーおよび樹脂をさらに用いることができる。
【0148】
モノマーの例には、上記で挙げたポリマー例のモノマー前駆体および本明細書に記載の他のモノマー例などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0149】
本明細書で挙げたモノマー、ポリマー、樹脂および/または他のフィルム形成組成物の他の例も製剤に含めることができる。
【0150】
ある種の実施形態において、製剤は着色剤、散乱剤、結合剤、界面活性剤、消泡剤、UV吸収剤などおよび/またはこれらの1以上の混合物など(これらに限定されるものではない)の1以上の添加剤を含んでいても良い。
【0151】
添加剤およびそれの量は、所期の用途に基づいて選択することができる。そのような添加剤および量は、関連する業界の当業者であれば容易に確認することができる。
【0152】
液体を含む製剤のある種の実施形態において、母材は好ましくは、液体が除去された後の製剤の屈折率に一致するか、それとほぼ同じ屈折率を有する。
【0153】
ある種の実施形態において、粒子に含まれる母材は、製剤中の液体および他の成分に不溶である。ある種の実施形態において、粒子に含まれる母材は製剤の液体および/または他の成分と化学的に反応しない。
【0154】
ナノ粒子の少なくとも一部がそれの外表面に結合した1以上のリガンドを含むある種の実施形態において、リガンドと化学的に適合する母材を選択する。
【0155】
母材中にナノ粒子をカプセル封入することで、例えば他の製剤、組成物および他の製品および末端用途中でのナノ粒子の加工および/または使用を簡単とすることができて有利である。例えば、製剤に含める前にナノ粒子を母材中にカプセル封入すると、異なる組成を有するナノ粒子が関与する製剤の製造を簡易にすることができる。これは特に、異なる組成のナノ粒子のそれぞれが異なるナノ粒子のそれぞれにおいて同一である母材に含まれている実施形態に当てはまる。
【0156】
ある種の実施形態において、本発明の製剤は塗料で用いることができる。
【0157】
ある種の実施形態において、本発明の製剤はインクで用いることができる。
【0158】
本発明の別の実施形態によれば、本発明の粒子を含むコーティングが提供される。
【0159】
ある種の実施形態において、コーティングはさらに、1以上のモノマー、ポリマー、樹脂および/または他のフィルム形成組成物を含む。ある種の実施形態において、コーティングは、着色剤、散乱剤、結合剤、界面活性剤、UV吸収剤など(これらに限定されるものではない)の1以上の添加剤および/または前記のものの1以上の混合物を含んでいても良い。
【0160】
添加剤およびそれの量は、所期の用途に基づいて選択することができる。そのような添加剤および量は、関連する業界の当業者であれば容易に確認することができる。
【0161】
ポリマーおよび樹脂の例には、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリシロキサン、ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリ(フェニレン−ビニレン)、ポリシラン、ポリエチレンテレフタレートおよびポリ(フェニレン−エチニレン、エポキシポリメチルメタクリレート類)、エポキシおよび他のエポキシなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0162】
コーティングの末端用途に好適な他のポリマーおよび樹脂をさらに用いることができる。
【0163】
モノマーの例には、上記で挙げたポリマー例についてのモノマー前駆体などがあるが、それらに限定されるものではない。
【0164】
本明細書に挙げたモノマー、ポリマー、樹脂および/または他のフィルム形成組成物の他の例をコーティングに含めることもできる。
【0165】
ある種の実施形態において、液体を含む本発明の1実施形態による製剤を表面に塗布し、液体を除去することでコーティングを作ることができる。ある種の実施形態において、液体は蒸発、加熱その他の好適な技術によって塗布された製剤から除去することができる。
【0166】
ある種の実施形態において、製剤はスクリーン印刷、接触印刷、インクジェット印刷、グラビアコーティング、ロールコーティング、ブラシ、スプレーその他の好適な技術によって表面に塗布することができる。
【0167】
ある種の実施形態において、コーティングはパターニングすることができるか、パターニングしなくとも良い。
【0168】
本発明の別の実施形態によれば、上記の本発明の粒子の製造方法が提供される。その方法は、母材中に分散したナノ粒子を含む粒子を提供する段階および粒子の少なくとも一部の外表面の少なくとも一部の上にコーティングを形成する段階を有する。
【0169】
母材の例には、上記および本明細書の別の場所で提供されるものなどがある。
【0170】
コーティングは好ましくは、低酸素透過性を有する樹脂を含むコーティング材料を含む。
【0171】
そのような樹脂の例には、ポリビニルアルコール化合物およびポリビニリデンジクロライド化合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0172】
そのような樹脂は、置換されているか置換されていないものであることができる。
【0173】
ある種の実施形態において、コーティングはポリビニルアルコール化合物を含む。
【0174】
ポリビニルアルコール化合物は、同一であるか異なっていることができる1以上の置換基を含んでいても良い。
【0175】
ある種の実施形態において、ポリビニルアルコール化合物はポリビニルアルコール(PVA)を含む。
【0176】
ポリビニルアルコールは、同一であるか異なっていることができる1以上の置換基を含んでいても良い。
【0177】
ある種の実施形態において、ポリビニルアルコール化合物はポリ(エチレンビニル)アルコール(EVA)を含む。
【0178】
ポリ(エチレンビニル)アルコールは、同一であるか異なっていることができる1以上の置換基を含んでいても良い。
【0179】
ある種の実施形態において、コーティングはポリビニリデンジクロライドを含む。
【0180】
ポリビニリデンジクロライドは、同一であるか異なっていることができる1以上の置換基を含んでいても良い。
【0181】
ある種の実施形態において、カプセル化ナノ粒子の製造方法は、母材中に分散したナノ粒子を含む粒子を形成する段階、好ましくは制御された形でコーティング材料を不溶とすることで液体媒体中の粒子の少なくとも一部の外表面の少なくとも一部の上にコーティング材料を含む層を形成する段階、コーティング材料を架橋することでコーティングを形成する段階を有する。
【0182】
ある種の実施形態において、コーティング材料を含む層は、温度を調節し、液体媒体のイオン強度を調節し、および/または液体媒体の極性を調節することで、制御された形で粒子の少なくとも位一部の上にコーティング材料を沈殿させることで形成することができる。
【0183】
液体媒体は水を含むことができる。
【0184】
液体媒体は、当業者が容易に選択することができる極性有機溶媒を含むことができる。
【0185】
ある種の実施形態において、量子ドットが1以上のモノマーおよび光開始剤の混合物中で分散している。適宜に、異なる放射特性を有する2以上の異なる種類の量子ドットが含まれていることができる。その混合物は架橋剤をさらに含むことができる(架橋剤は約25重量%以下の量で含まれていることができる。ある種の実施形態において、架橋剤は約15から約20重量%の量で含まれていることができる。)。その混合物は、界面活性剤をさらに含んでいても良く、好ましくは混合物をさらに処理する液体媒体の重量に基づいて約0.01から約5重量%の界面活性剤の量である。架橋剤および界面活性剤は、公知の種類の試薬である。混合物中に含ませる1以上の架橋剤および/または界面活性剤の選択は、関連する業界における当業者であれば容易に行うことができる。そのような選択は、中に含まれる他の材料の組成によって影響され得る。混合物中の各種成分の他の濃度を決定して、有用または望ましいものとすることもできる。本明細書に記載のもの(それに限定されるものではない)などの他の添加剤をさらに含ませても良い。その混合物を次に、例えばローター−固定子、分散機を用いて高剪断力でコーティング材料の水および/または他の極性有機溶媒中の溶液中に分散させて、ミクロスフィアを形成する。次に、ミクロスフィアを迅速に光重合させて、量子ドットを含む固体の架橋ミクロスフィアを形成する。次に、溶液を処理してコーティング材料を粒子上に沈殿させて、外側粒子表面の少なくとも一部の上にコーティングを形成する。沈殿したコーティングをその後、固定および乾燥させることができる。
【0186】
例えば、PVAを含むコーティング材料では、硫酸ナトリウムを用いてPVAの曇り点までイオン強度を上昇させ、温度を上昇させて、PVAを粒子周囲に沈殿させることで反応溶液を処理することができる。次に、このPVA層を固定することができ(例えば、架橋剤(例えば、ホウ酸ナトリウム)で)、得られたゲルを溶媒中で脱水し、乾燥させて最終の多コート量子ドット含有粒子または顔料とする。
【0187】
好ましい実施形態の1例では、量子ドットを光線感作物質(本明細書では光開始剤とも称する)を含むアクリルモノマーおよび架橋剤の混合物中に分散させる。界面活性剤をさらに含ませることができる。
【0188】
次に、混合物を、好ましくは例えばローター−固定子、分散機を用いて高剪断力で所望のコーティング材料(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)などがあるが、これに限定されるものではない)の溶液中に分散させて、ミクロスフィアを形成する。次に、ミクロスフィアを迅速に光重合させて、量子ドットを含む固体の架橋ミクロスフィアを形成する。
【0189】
次に、反応溶液を処理してコーティング材料を粒子上に沈殿させる。そのような処理は、イオン性塩(例:硫酸ナトリウムなどの無機塩)を用いてコーティング材料(例:PVA)の曇り点までイオン強度を上昇させる段階および温度を上昇させてコーティング材料を粒子周囲に沈殿させる段階を有することができる。このコーティング材料の層(例:PVA層)を固定し(例えば、架橋剤(例えば、ホウ酸ナトリウム)を用いて)、得られたゲルを溶媒中で脱水し、乾燥させて量子ドットを含む最終的なコーティングされた粒子とする。
【0190】
本発明による粒子を、所望の末端用途に適した製剤中に分散させることができる。
【0191】
例えば、塗料の場合、本発明による複数の粒子をアクリル系コーティング剤に分散させて、改善された環境安定性を有する塗料を作ることができる。
【0192】
各種アルコール、モノマー、ポリマー、樹脂および有機部分を含む本明細書で言及の他の化合物または材料は置換されていても良く、例えば同一または異なっていることができる1以上の置換基を含むことができる。
【0193】
置換基の例には、有機基および無機基などがある。有機基の例には、脂肪族基、環状有機基、または脂肪族部分と環状部分を有する有機化合物などがあるが、これらに限定されるものではない。有機基はさらに、置換されているか置換されておらず、分岐または未分岐であることができる。脂肪族基には、例えばアルカン類、アルケン類、アルコール類、エーテル類、アルデヒド類、ケトン類、カルボン酸類および炭化水素類から誘導される基などがある。環状有機基には、脂環式炭化水素基(例えば、シクロアルキル類、シクロアルキル類、シクロアルケニル)、複素環炭化水素基(例えば、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニルなど)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニルなど)およびヘテロアリール基(イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、チエニル、チアゾリル、フリル、インドリルなど)などがあるが、これらに限定されるものではない。置換された有機基の立体障害が大きくなるに連れて、有機基の数は小さくなり得る。
【0194】
有機基が置換されている場合、それは官能基を含むことができる。例としては、OR、COR、COOR、OCOR、COONa、COOK、COONR、ハロゲン、CN、NR、SOH、SONa、SOK、SONR、NR(COR)、CONR、NO、PO、POHNa、PONa、N=NR、NRおよびPRなどがあるが、これらに限定されるものではない。Rは独立に水素、C−C20アルキル(分岐しているか分岐していない)またはアリールであることができる。整数nは、例えば1から8、好ましくは2から4の範囲であることができる。アニオンXは、ハライドまたは鉱酸もしくは有機酸から誘導することができるアニオンであることができる。
【0195】
置換基であることができる有機基の別の例の群は、官能基としてイオン性基またはイオン化可能な基で置換された有機基である。イオン化可能基は、使用される媒体または母材中でイオン性基を形成する能力を有するものである。イオン性基はアニオン性基またはカチオン性基であることができ、イオン化可能基はアニオンまたはカチオンであることができる。アニオンを形成するイオン化可能な官能基には、例えば酸性基または酸性基の塩などがある。従って、有機基には、例えば有機酸から誘導される基などがあり得る。
【0196】
他の置換基が有用または望ましいものと確認できる場合もある。
【0197】
発光ナノ粒子は、電子およびホールを閉じこめ、異なる波長の光を再放出することができる。発光ナノ粒子からの発光の色特性は、ナノ粒子の径および化学組成によって決まる。
【0198】
本明細書に記載の本発明の各種実施形態および態様において、粒子は化学組成および径に関して少なくとも1種類の発光ナノ粒子を含む発光ナノ粒子を含むことができる。本開示によって想到される本発明の各種態様または実施形態に含まれる発光ナノ粒子の種類は、変換される光の波長および所望の光出力の波長によって決まる。ある種の実施形態において、同一または異なる波長の光を放出する2種類以上の発光ナノ粒子を用いることができる。
【0199】
ある種の実施形態において、発光ナノ粒子には好ましくは、シェルおよび/またはそれの表面上のリガンドなどがある。シェルおよび/またはリガンドは、非放射性欠陥部位を不動態化し、集塊または凝集がナノ粒子間のファン・デル・ワールス結合力を超えるのを防止する作用を持ち得る。ある種の実施形態において、リガンドは好ましくは、発光ナノ粒子が含まれる母材に対してアフィニティを有する材料を含む。本明細書に記載のように、ある種の実施形態において、シェルは無機シェルを含む。リガンドおよびシェルについて下記でさらに説明する。
【0200】
ある種の実施形態において、本発明の粒子は、励起光の吸収時に所定の波長または所望の色の波長帯域で発光するよう選択されるナノ粒子を含むことができる。
【0201】
ある種の実施形態において、本発明の粒子は、所望の光出力用の1以上の光源からの光エネルギーによって励起された場合に、他のものと異なる所定の波長または波長帯域で発光するようそれぞれが選択される2以上のナノ粒子の混合物を含むことができる。
【0202】
本明細書に記載の粒子、粉末、組成物、製剤およびコーティングは、励起光源から放出される光の少なくとも一部の波長を変える上で有用であることができる。
【0203】
ある種の実施形態において、ナノ粒子は、約1から約1000ナノメートル(nm)の範囲、好ましくは約1から約100nmの範囲の平均粒径を有する。ある種の実施形態において、ナノ粒子は、約1から約20nmの範囲の平均粒径を有する。ある種の実施形態において、ナノ粒子は、約1から約10nmの範囲の平均粒径を有する。
【0204】
ある種の実施形態において、発光特性を有するナノ粒子は、半導体ナノ結晶を含む。ある種の実施形態において、半導体ナノ結晶は、約1から約20nm、好ましくは約1から約10nmの範囲の平均粒径を有する。
【0205】
半導体ナノ結晶を形成する半導体は、IV族元素、II−VI族化合物、II−V族化合物、III−VI族化合物、III−V族化合物、IV−VI族化合物、I−III−VI族化合物、II−IV−VI族化合物、II−IV−V族化合物、これらのいずれかを含む合金および/またはこれらのいずれかを含む混合物(三元および四元混合物もしくは合金など)を含むことができる。例を挙げると、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaAs、GaN、GaP、GaSe、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、PbTe、Ge、Si、これらのいずれかを含む合金および/またはこれらのいずれかを含む混合物(三元および四元の混合物または合金など)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0206】
半導体ナノ結晶および他のナノ粒子の形状の例には、球、ロッド、円板、他の形状またはこれらの混合型などがあり得る。
【0207】
半導体ナノ結晶製造方法の1例は、高温の配位性溶媒にMドナーとXドナーを注入することで生じる。単分散半導体ナノ結晶の好ましい製造方法の1例には、高温の配位性溶媒中に注入されたジメチルカドミウムなどの有機金属試薬を熱分解する段階がある。これによって、離散的核形成が可能となり、巨視的量の半導体ナノ結晶の制御された成長が生じる。注入によって核が生じ、それが制御された形で成長して半導体ナノ結晶を形成することができる。反応混合物をやさしく加熱して、半導体ナノ結晶を成長およびアニールすることができる。サンプル中の半導体ナノ結晶の平均径および径分布の両方が、成長温度によって決まる。安定な成長を維持する上で必要な成長温度は、平均結晶径が大きくなるに連れて上昇する。半導体ナノ結晶は、半導体ナノ結晶の群の1構成員である。離散的核形成および制御された成長の結果として、得ることができる半導体ナノ結晶の群は、狭い単分散分布の直径を有する。直径の単分散分布を径と称することもできる。好ましくは、粒子の単分散群には、群内の少なくとも約60%の粒子が特定の粒径範囲に含まれる粒子の群などがある。単分散粒子の群において好ましくは、直径の偏差は15%rms(2乗平均平方根)未満、より好ましくは10%rms未満、最も好ましくは5%未満である。
【0208】
ある種の実施形態において、ナノ粒子は第1の半導体材料を含むコアおよび第2の半導体材料を含むシェルを有する半導体ナノ結晶を含むことができ、そのシェルはコアの表面の少なくとも一部の上に配置されている。コアおよびシェルを含む半導体ナノ結晶は、「コア/シェル」半導体ナノ結晶とも称される。
【0209】
例えば、半導体ナノ結晶は、式MXを有するコアを含むことができ、Mはカドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムまたはこれらの混合物であることができ、Xは酸素、硫黄、セレン、テルル、窒素、リン、ヒ素、アンチモンまたはこれらの混合物であることができる。半導体ナノ結晶コアとしての使用に好適な材料の例には、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaAs、GaN、GaP、GaSe、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、PbTe、Ge、Si、これらのいずれかを含む合金および/またはこれらのいずれかを含む混合物(三元および四元混合物もしくは合金など)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0210】
シェルは、コアの組成と同じまたは異なっている組成を有する半導体材料であることができる。シェルは、コア表面上の半導体材料のオーバーコートを含む。半導体ナノ結晶は、IV族元素、II−VI族化合物、II−V族化合物、III−VI族化合物、III−V族化合物、IV−VI族化合物、I−III−VI族化合物、II−IV−VI族化合物、II−IV−V族化合物、これらのいずれかを含む合金および/またはこれらのいずれかを含む混合物(三元および四元混合物もしくは合金など)を含むことができる。例を挙げると、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaAs、GaN、GaP、GaSe、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、PbTe、Ge、Si、これらのいずれかを含む合金および/またはこれらのいずれかを含む混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。例えば、ZnS、ZnSeまたはCdSオーバーコーティングは、CdSeまたはCdTe半導体ナノ結晶上で成長させることができる。オーバーコーティングプロセスについては、例えば米国特許第6322901号に記載されている。オーバーコーティング時に反応混合物の温度を調節し、コアの吸収スペクトラムをモニタリングすることで、高放出量子効率および狭い粒径分布を有するオーバーコートされた材料を得ることができる。オーバーコーティングは、1以上の層を含むことができる。オーバーコーティングは、コアの組成と同一または異なる少なくとも一つの半導体材料を含む。好ましくは、オーバーコーティングは約1から約10層の単層の厚さを有する。オーバーコーティングは、10層を超える単層の厚さを有することもできる。ある種の実施形態において、複数のオーバーコーティングがコア上に含まれていることができる。
【0211】
ある種の実施形態において周囲の「シェル」材料は、コア材料のバンドギャップより大きいバンドギャップを有することができる。ある種の他の実施形態において、周囲のシェル材料は、コア材料のバンドギャップより小さいバンドギャップを有することができる。
【0212】
ある種の実施形態において、シェルは「コア」基材のものに近い原子間隔を有するように選択することができる。ある種の他の実施形態において、シェルおよびコア材料が同じ結晶構造を有することができる。
【0213】
半導体ナノ結晶(コア)シェル材料の例には、赤(例えば、(CdSe)ZnS(コア)シェル)、緑(例えば、(CdZnSe)CdZnS(コア)シェルなど)および青(例えば、(CdS)CdZnS(コア)シェル)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0214】
半導体ナノ結晶の狭い粒径分布によって、狭いスペクトル幅での発光の可能性が可能となる。単分散半導体ナノ結晶については、Murray et al. (J. Am. Chem. Soc, 115:8706 (1993));Christopher Murrayの論文″Synthesis and Characterization of II−VI Quantum Dots and Their Assembly into 3−D Quantum Dot Superlattices″, Massachusetts Institute of Technology, September, 1995;および米国特許出願第08/969,302号「Highly Luminescent Color−Selective Materials」に詳細に記載されている。これら文献は、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0215】
核形成に続く配位性溶媒中での半導体ナノ結晶の制御された成長およびアニーリングのプロセスによって、均一な表面誘導体化および規則的なコア構造を生じさせることもできる。粒径分布が鋭くなるほど、安定な成長を維持する上で温度が上昇し得る。より多くのMドナーまたはXドナーを加えることで、成長期間を短縮することができる。Mドナーは、無機化合物、有機金属化合物または元素状金属であることができる。例えば、Mはカドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウムまたはタリウムであることができる。Xドナーは、Mドナーと反応して一般式MXを有する材料を形成することができる化合物である。例えば、Xドナーはカルコゲニドドナーまたはプニクチドドナーであることができ、それには、ホスフィンカルコゲニド、ビス(シリル)カルコゲニド、二原子酸素、アンモニウム塩またはトリス(シリル)プニクチドなどがある。好適なXドナーには、二原子酸素、ビス(トリメチルシリル)セレニド((TMS)Se)、(トリ−n−オクチルホスフィン)セレニド(TOPSe)または(トリ−n−ブチルホスフィン)セレニド(TBPSe)などのトリアルキルホスフィンセレニド類、(トリ−n−オクチルホスフィン)テルリド(TOPTe)またはヘキサプロピルリンアミドテルリド(HPPTTe)などのトリアルキルホスフィンテルリド類、ビス(トリメチルシリル)テルリド((TMS)Te)、ビス(トリメチルシリル)スルフィド((TMS)S)、(トリ−n−オクチルホスフィン)スルフィド(TOPS)などのトリアルキルホスフィンスルフィド、ハロゲン化アンモニウム(例:NHCl)などのアンモニウム塩、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン((TMS)P)、トリス(トリメチルシリル)アルセニド((TMS)As)またはトリス(トリメチルシリル)アンチモニド((TMS)Sb)などがある。ある種の実施形態において、MドナーおよびXドナーは、同じ分子内の部分であることができる。
【0216】
配位性溶媒は、半導体ナノ結晶の成長を制御する上で役立ち得る。配位性溶媒は、例えば成長する半導体ナノ結晶の表面に配位するのに使用可能な孤立電子対を有するドナー孤立電子対を有する化合物である。溶媒配位は、成長する半導体ナノ結晶を安定化させることができる。配位性溶媒の例には、アルキルホスフィン類、アルキルホスフィンオキサイド類、アルキルホスホン酸類またはアルキルホスフィン酸類などがあるが、ピリジン類、フラン類およびアミン類などの他の配位性溶媒が半導体ナノ結晶製造に好適である可能性もある。好適な配位性溶媒の別の例には、ピリジン、トリ−n−オクチルホスフィン(TOP)、トリ−n−オクチルホスフィンオキサイド(TOPO)およびトリスヒドロキシルプロピルホスフィン(tHPP)、トリブチルホスフィン、トリ(ドデシル)ホスフィン、亜リン酸ジブチル、亜リン酸トリブチル、亜リン酸トリオクタデシル、亜リン酸トリラウリル、亜リン酸トリス(トリデシル)、亜リン酸トリイソデシル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸トリス(トリデシル)、ヘキサデシルアミン、オレイルアミン、オクタデシルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、ドデシルアミン/ラウリルアミン、ジドデシルアミン、トリドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ジオクタデシルアミン、トリオクタデシルアミン、フェニルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、オクチルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、プロピレンジホスホン酸、フェニルホスホン酸、アミノヘキシルホスホン酸、ジオクチルエーテル、ジフェニルエーテル、ミリスチン酸メチル、オクタン酸オクチルおよびオクタン酸ヘキシルなどがある。ある種の実施形態において、工業用TOPOを用いることができる。
【0217】
ある種の実施形態においては、半導体ナノ結晶は、比配位性溶媒を用いて別途製造することができる。
【0218】
粒子の吸収または発光線幅をモニタリングすることで、反応の成長段階中の粒径分布を推定することができる。粒子吸収スペクトラムにおける変化に応じて反応温度を変えることで、成長時の鋭い粒径分布を維持することができる。結晶成長時に核形成溶液に反応液を加えることで、より大きい結晶を成長させることができる。例えば、CdSeおよびCdTeの場合、特定の半導体ナノ結晶平均直径で成長を停止し、半導体材料の適当な組成を選択することで、半導体ナノ結晶の発光スペクトラムを300nmから5ミクロンまたは400nmから800nmの波長範囲にわたって連続的に調整することができる。
【0219】
米国特許第6322901号に記載の方法に従ってメタノール/ブタノールなどの半導体ナノ結晶に対する貧溶媒を用いるサイズ選択的沈澱によって、半導体ナノ結晶の粒径分布をさらに縮めることができる。例えば、半導体ナノ結晶を10%ブタノール/ヘキサンの溶液に分散させることができる。乳白色が消えなくなるまで、この撹拌溶液にメタノールを滴下することができる。遠心によって上清および羊毛状塊を分離することで、サンプル中の最大結晶が豊富な沈殿を得る。この手順を、光学吸収スペクトラムがそれ以上鋭くならないことが確認されるまで繰り返すことができる。粒径選択的沈殿は、ピリジン/ヘキサンおよびクロロホルム/メタノールなどの各種の溶媒/非溶媒対で行うことができる。粒径選択された半導体ナノ結晶群は好ましくは、平均直径から15%rms以下の偏差、より好ましくは10%rms以下の偏差、最も好ましくは5%rms以下の偏差を有する。
【0220】
ある種の実施形態において、半導体ナノ結晶は好ましくは、それに結合したリガンドを有する。
【0221】
ある種の実施形態において、リガンドは成長プロセス中に用いた配位性溶媒から誘導することができる。
【0222】
ある種の実施形態において、過剰の競争的配位基に繰り返し曝露することで表面を変性させて、被覆層を形成することができる。
【0223】
例えば、キャッピングを施した半導体ナノ結晶の分散液を、ピリジンなどの配位性有機化合物で処理して、ピリジン、メタノールおよび芳香族化合物中に容易に分散するが、脂肪族溶媒にはもはや分散しない結晶を生成することができる。そのような表面交換プロセスは、例えばホスフィン類、チオール類、アミン類およびホスフェート類などの半導体ナノ結晶の外表面に配位または結合することができる化合物を用いて行うことができる。表面に対してアフィニティを示し、半導体ナノ結晶を懸濁もしくは分散させる液体媒体に対してアフィニティを有する部分を末端とする短鎖ポリマーに半導体ナノ結晶を曝露することができる。そのようなアフィニティによって懸濁液の安定性が改善され、半導体ナノ結晶の凝集が阻止される。
【0224】
より具体的には、配位性リガンドは下記式を有することができる。
【0225】
(Y−)k−n−(X)−(−L)
式中、kは2、34または5であり、nは1、2、3、4または5であって、k−nはゼロ以上となっており;XはO、OS、O−Se、O−N、O−P、O−As、S、S=O、SO、Se、Se=O、N、N=O、P、P=O、C=OAsまたはAs=Oであり;YおよびLのそれぞれが独立に、H、OH、アリール、ヘテロアリール、または少なくとも1個の二重結合、少なくとも1個の三重結合もしくは少なくとも1個の二重結合と1個の三重結合を含んでいても良い直鎖もしくは分岐のC2−18炭化水素鎖である。炭化水素鎖は、1以上のC1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシル、ハロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C3−5シクロアルキル、3から5員複素環アルキル、アリール、ヘテロアリール、C1−4アルキルカルボニルオキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、C1−4アルキルカルボニルまたはホルミルで置換されていても良い。炭化水素鎖は、−O−、−S−、−N(Ra)−、−N(Ra)−C(O)−O−、−O−C(O)−N(Ra)−、−N(Ra)−C(O)−N(Rb)−、−O−C(O)−O−、−P(Ra)−または−P(O)(Ra)−によって中断されていても良い。各RaおよびRbは独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、ヒドロキシルまたはハロアルキルである。アリール基は、置換されているか置換されていない環状芳香族基である。例としては、フェニル、ベンジル、ナフチル、トリル、アントらシル、ニトロフェニルまたはハロフェニルなどがある。ヘテロアリール基は、環中に1以上のヘテロ原子を有するアリール基であり、例えばフリル、ピリジル、ピロリル、フェナントリルがある。
【0226】
好適な配位性リガンドは市販されているか、例えばJ. March, Advanced Organic Chemistryに記載のような通常の合成有機技術によって製造することができる。
【0227】
他のリガンドは2003年8月15日出願の米国特許出願第10/641292号「Stabilized Semiconductor Nanocrystals」に記載されており、当該出願は2007年1月9日に米国特許第7160613号として発行されており、それは参照によって全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0228】
リガンドの他の例には、ベンジルホスホン酸、ベンジル基の環上に少なくとも1個の置換基を含むベンジルホスホン酸、そのような酸の共役塩基およびこれらのうちの1以上を含む混合物などがある。ある種の実施形態において、リガンドは4−ヒドロキシベンジルホスホン酸、その酸の共役塩基またはこれらの混合物を含む。ある種の実施形態において、リガンドは3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸、その酸の共役塩基またはこれらの混合物を含む。
【0229】
本発明で有用であることができるリガンドの別の例が、2008年9月12日出願の国際特許出願番号PCT/US2008/010651「Functionalized Nanoparticles and Method]および2009年7月28日出願のBreenらの国際特許出願PCT/US2009/004345号「Nanoparticle Including Multi−Functional Ligand And Method」(これら各引例は参照によって本明細書に組み込まれる。)に記載されている。
【0230】
発光することができるナノ粒子(例えば、半導体ナノ結晶)からの発光は、ナノ粒子の径、ナノ粒子の組成または両方を変えることで、スペクトラムの紫外領域、可視領域、NIR(700nmから1400nm)または赤外領域の完全な波長領域にわたって調整することができる狭ガウス発光帯域であることができる。例えば、CdSeを含む半導体ナノ結晶は可視領域で調整することができ、InAsを含む半導体ナノ結晶は赤外領域で調整することができる。発光することができるナノ粒子の群(例えば、半導体ナノ結晶)の狭い粒径分布によって、狭いスペクトル範囲の発光を生じさせることができる。その群は単分散であることができ、好ましくはそのようなナノ粒子の直径において15%rms(平方根平均2乗)未満の偏差、より好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満の偏差を示す。可視領域で発光するそのようなナノ粒子についての約75nm、好ましくは60nm、より好ましくは40nm、最も好ましくは30nm以下の半値全幅(FWHM)の狭い領域でのスペクトル放射を観察することができる。IR発光ナノ粒子は、150nm以下または100nm以下のFWHMを有することができる。発光のエネルギーに関して表現すると、その発光は0.05eV以下または0.03eV以下のFWHMを有することができる。発光ナノ粒子の直径の分散度が低下するに連れて、発光の幅は小さくなる。
【0231】
例えば、半導体ナノ結晶は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%を超えるような高発光量子効率を有することができる。
【0232】
半導体ナノ結晶のFWHMが狭いことで、飽和色発光を生じることができる。単一の材料系の全可視スペクトラムにわたる広く調整可能な飽和色発光は、いかなる種類の有機発色団にも例を見ないものである(例えば、Dabbousi et al., J. Phys. Chem. 101, 9463 (1997)を参照(参照によって全体が本明細書に組み込まれる。))。単分散群の半導体ナノ結晶は、狭い範囲の波長に及ぶ光を発する。複数の径の半導体ナノ結晶を含むパターンは、複数の狭い範囲の波長で発光を行うことができる。観察者が知覚する放射光の色は、半導体ナノ結晶の径および材料の適切な組み合わせを選択することで制御することができる。半導体ナノ結晶のバンド端エネルギーレベルの縮重によって、全ての可能な励起子の捕捉および放射再結合が容易になる。
【0233】
透過型電子顕微鏡(TEM)は、半導体ナノ結晶群の径、形状および分布についての情報を提供することができる。粉末X線回折(XRD)パターンは、半導体ナノ結晶の結晶構造の種類および性質に関して最も完全な情報を提供することができる。粒子直径がX線コヒーレンス長を介してピーク幅と逆相関の関係にあることから、径の推定も可能である。例えば、半導体ナノ結晶の直径は、透過型電子顕微鏡観察によって直接測定することができるか、例えばシェラーの式を用いてX線回折データから推算することができる。それは、UV/Vis吸収スペクトラムから推算することもできる。
【0234】
本発明で有用である可能性がある他の材料、技術、方法、用途および情報は、Cloughらの2007年11月21日出願の国際特許出願PCT/US2007/24320「Nanocrystals Including A Group IIIa Element And A Group Va Element, Method, Composition, Device And Other Products」(WO2008/133660として公開);Breenらの2007年11月21日出願の国際特許出願PCT/US2007/24305「Blue Light Emitting Semiconductor Nanocrystal And Compositions And Devices Including Same」(WO2008/063652として公開);Ramprasadの2007年11月21日出願の国際特許出願PCT/US2007/24306「Semiconductor Nanocrystal And Compositions And Devices Including Same」(WO2008/063653として公開);Coe−Sullivanらの2007年6月4日出願の国際特許出願PCT/US2007/013152「Light−Emitting Devices And Displays With Improved Performance」(WO2007/143197として公開);Coe−Sullivanらの2007年12月3日出願の国際特許出願PCT/US2007/24750「Improved Composites And Devices Including Nanoparticles」(WO2008/070028として公開);Kazlasらの2007年11月21日出願の国際特許出願PCT/US2007/24310「Light−Emitting Devices And Displays With Improved Performance」(WO2008/063653として公開);Bulovicらの2007年2月14日出願の国際特許出願PCT/US2007/003677「Solid State Lighting Devices Including Semiconductor Nanocrystals & Methods」、Coe−Sullivanらの2008年9月12日出願の米国特許出願12/283,609「Compositions, Optical Component, System Including an Optical Component, Devices, and Other Products」およびLintonらの2007年7月12日出願の米国特許出願60/949306「Compositions, Methods For Depositing Nanomaterial, Methods For Fabricating A Device, And Methods For Fabricating An Array Of Devices」、Chanらの2007年6月12日発行の米国特許第7,229,690号「Microspheres Including Nanoparticles」、Chanらの2008年11月11日発行の米国特許第7,449,237号「Microspheres Including Nanoparticles in the Peripheral Region」、およびJohn R. Lintonらの2009年3月4日出願の国際特許出願PCT/US2009/01372「Particles Including Nanoparticles, Uses Thereof, and Methods」に記載されている。上記で挙げた特許文献のそれぞれの開示内容は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0235】
本発明の各種実施形態による粒子、粉末、製剤、コーティング、フィルムおよび組成物は、インク、塗料、コーティング剤、光学フィルム、光学部品、フラットパネル・ディスプレイ、コンピュータモニター、テレビ、広告掲示板、屋内および屋外の照明および/または信号用のライト、ヘッドアップ表示装置、完全透明ディスプレイ(fully transparent display)、フレキシブルディスプレイ、レーバープリンター、電話、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ファインダー、超小型表示装置、車両、大面積の壁、劇場またはスタジアムのスクリーン、標識、照明器具および各種の固体照明装置など(これらに限定されるものではない)の非常に多様な製品および末端用途に組み込むことができる。
【0236】
以下の実施例によって、本発明についての理解が深まるが、これら実施例は本発明を限定するものではなく、本発明の例示を意図したものである。
【0237】
実施例
下記において、分散剤としてポリビニルアルコールを用いる乳化光重合および保護オーバーコーティングを介したLMA/EGDAアクリルマイクロカプセル中のオクタデシルホスホン酸(ODPA)およびデシルアミンリガンドを持ったInP/ZnS量子ドットを含む粒子の製造例について説明する。
【0238】
材料
脱イオン水を用いる。メタクリル酸ラウリル(LMA)(Aldrich Chemical、96%ロット番号08118DE)およびジアクリル酸エチレングリコール(EGDA)(Aldrich Chemical、98%ロット番号15017PD)を、活性アルミナの短い層を通過させて重合阻害剤を除去することで精製する。カラムを通過させた後、モノマー類は密閉された琥珀色バイアル中に保管し、冷蔵し、24時間以内に使用する。Esacure KTO46光開始剤(Sartomer、ロット番号2008050005)、硫酸ナトリウム(Aldrich Chemical、無水)およびポリビニルアルコール(Fluka、4−98ロット番号454084)は、それ以上精製せずに用いる。他の溶媒はいずれも試薬用であり、それ以上精製せずに用いる。
【0239】
硫酸ナトリウム溶液。磁気撹拌子を入れた三角フラスコに、脱イオン水800mLを入れる。無水硫酸ナトリウム20gをゆっくり加えて凝塊の形成を防ぐ。溶液が透明であった場合、それを1リットルのメスフラスコに入れ、脱イオン水で印の所まで希釈する。
【0240】
ポリビニルアルコール溶液。磁気撹拌子を入れた三角フラスコに、脱イオン水1リットルを入れる。その水を、撹拌しながらホットプレート上で加熱して90℃とする。PVA粉末をゆっくり加えて、凝塊形成を防止する。PVA全量を加えたら、透明で固体がなくなるまで溶液を加熱する。次に、熱溶液を、Whatmanの中サイズ溝折り付き濾紙で重力濾過して保存瓶に入れる。
【0241】
オクタデシルホスホン酸(ODPA)およびデシルアミンリガンドを含むコロイドInP/ZnSコア/シェル量子ドットをトルエン中に分散させる(7mL、無機物基準で21mg/mL;無機物合計147mg)。その量子ドットは、発光max=620nm、量子収率=68%、吸光度=589nmおよびFWHM=56nmを有する。
【0242】
実験
量子ドット/モノマー製造。ラバーセプタムおよび磁気撹拌子を取り付けた50mLシュレンクフラスコに、アクリル酸ラウリル(6.08g、6.88mL)およびジアクリル酸エチレングリコール(1.52g、1.39mL)を入れる。トルエン中のInP/ZnS量子ドット(7mL、無機物基準で21mg/mL;合計無機物147mg)を注射器で加え、系の圧力が500ミリtorr以下に低下することで示されるようにトルエン溶媒が全て除去されるまで減圧を続ける。Esacure KTO−46光開始剤(0.28g)をアクリル酸ラウリル/量子ドット溶液に加え、磁気撹拌子を用いて十分に混和する。
【0243】
乳濁液形成および重合。250mLのジャケット付きビーカーに磁気撹拌バーを入れ、冷却された石英製スリーブに入った450W Hgライトをビーカーの上約10.2cmから約12.7cm(4から5インチ)のところに吊り下げる。
【0244】
4%PVA溶液89mLをビーカーに入れ、撹拌し、循環浴温を2℃設定温度に設定することで冷却して6℃とする。その温度に到達したら、モノマー/QD溶液を注射器によって液面下に加えて、赤色ビーズの懸濁液を得る。IKAT25ローター−固定子を懸濁液に浸漬し、反応溶液の上層の油相が消え、組み込まれて乳濁液となるまで低速(8000rpm)で剪断する。ローター・固定子を低−中速で10分間運転することで、空気の巻き込みが最小限となるようにする。10分後、ローター−固定子を停止し、ランプを電源装置に接続し、石英製フォト・ウェル(photo well)にすぐに入れる。ランプを点灯し、正確に20分間運転する。20分経過後、ランプへの電力を切る。バラ色で濁っているが肉眼では見えない粒子を認めることができる。
【0245】
反応溶液を顕微鏡下に調べ、ローダミンフィルター下に蛍光を発する1から10μmの粒子が認められる。
【0246】
溶液1滴を100℃の顕微鏡スライドガラスに乗せ、フィルムを形成させ、10分間加熱する。カプセルは塊化するが、破裂するものはない。カプセルは重合している。
【0247】
PVAオーバーコーティング
温度が再度6℃になるまで反応混合物を冷却下に撹拌する。20%硫酸ナトリウム溶液42mLを、シリンジポンプを用いて5mL/分で加える(この体積は、6℃で4%4−98PVA溶液86mLの曇り点に達するように決定したものである)。溶液添加完了後、循環浴設定温度を30℃に設定し、反応溶液を20分間かけて昇温させて25℃とする。図1には、反応溶液中で生成するゲル粒子を示してある(200×ローダミンフィルター)(硫酸ナトリウム添加後のPVA水溶液)。
【0248】
ローター−固定子を再度低速でスイッチオンとし、反応混合物に1.25%四ホウ酸ナトリウム水溶液5.4mLを全量一気に加え、それによって反応混合物を直ちにゲル化させる。全ての撹拌を停止する。
【0249】
微小粒子の回収および洗浄
ゲルを500mLビーカーに移し入れ、メタノール250mLを加える。混合物をローター・固定子(低に設定)で温浸し、30分間分散させ、その間にゲルが崩壊して粒径低下が生じた。混合物を250mL遠心瓶に移し入れ、4000rpmで15分間遠心する。固体が管の底部にあり(黄褐色)、その上に薄い白色層がある。管の残りの部分は透明なメタノールであり、それは傾斜法で除去する。
【0250】
固体を三角フラスコに移し入れ、メタノール200mLに再懸濁させ、2時間撹拌し、同じ条件下で再度遠心する。固体を再度ヘキサン(200mL)に再懸濁させ、終夜撹拌する。翌朝、固体を遠心によって回収し、再度ヘキサン(200mL)に再懸濁させ、20分間撹拌する。次に、固体を減圧濾過によって粗いガラスフリットで回収し、丸底フラスコに入れ、真空乾燥する。乾燥した黄褐色固体をジャーに移し入れて保存する。
【0251】
収量10.05g乾燥固体(88%)(理論量11.47g基準):((QD+マイクロカプセル)8.03g+PVA3.44g)。
【0252】
カプセル化粒子は、塗料およびコーティング剤で使用される製剤に含有させる上で有用である。
【0253】
ある種の好ましい実施形態では、光重合を用いることによって非常に短い重合時間を用いてカプセル化粒子を形成する。そのような実施形態では、粒子の外表面の少なくとも一部の上を覆う本明細書に記載のコーティングを含む高架橋内側シェル(例:PVA外殻シェル)の組み合わせによって、量子ドット凝集を防止し、水および酸素障壁層を提供する。
【0254】
外部光輝性(PL)量子効率を、Melloらが開発した方法を用いて測定する(Mello et al., Advanced Materials 9(3):230(1997)(参照によって全体が本明細書に組み込まれる)を参照する。)。その方法は、平行450nmLED光源、積分球および顕微鏡を用いる。3種類の測定を行う。第1に、LEDによって積分球を直接照射して下記のL1と標識されたスペクトラムを得る。次に、PLサンプルを積分球内に入れて、拡散LED光のみがサンプルを照射するようにして、下記の(L2+P2)スペクトラムを得る。最後に、PLサンプルを積分球内に入れて、LEDがサンプルを直接照射するようにして(ちょうど(just off)法線入射)、下記の(L3+P3)スペクトラムを得る(図2参照)。データ収集後、各スペクトル寄与(L類とP類)を計算する。L1、L2およびL3は各測定におけるLEDスペクトラムの合計に相当し、P2およびP3は2番目および3番目の測定におけるPLスペクトラムに関連する合計である。下記の等式は、外部PL量子効率を与えるものである。
【0255】
EQE=[(P3・L2)−(P2・L3)]/(L1・(L2−L3))
本明細書で使用される場合、単数形である「一つの」、「1個の」および「その」は、文脈によって他の意味が明瞭に示されていない限り、複数形を含むものである。従って、例えば、発光材料に対する言及は、1以上のそのような材料に対する言及を含むものである。
【0256】
本願人らは、本開示における全ての引用文献の全内容を参照によって全体に本明細書に具体的に組み込むものである。さらに、量、濃度または他の値もしくはパラメータが範囲、好ましい範囲または上側の好ましい値と下側の好ましい値の列記として与えられる場合、それは、範囲が別個に開示されているか否かとは無関係に、いずれかの上側の範囲限界もしくは好ましい値といずれかの下側の範囲限界もしくは好ましい値のいずれかのペアから形成される全ての範囲を具体的に開示しているものと理解されるべきである。ある範囲の数値が本明細書で挙げられている場合、別段の断りがない限り、その範囲はそれの端の値ならびにその範囲に含まれる全ての整数および分数を含むものである。本発明の範囲は、範囲を規定する際に言及される具体的な値に限定されるものではない。
【0257】
本発明の他の実施形態は、本明細書および本明細書に開示の本発明の実務を考慮すれば当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は例示的なものにすぎないと考えられるものであり、本発明の真の範囲および精神添付の特許請求の範囲およびそれの均等物によって示されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材内に含まれるナノ粒子を含む粒子であって、該粒子の外表面の少なくとも一部にコーティングを含み、該コーティングが低酸素透過性の樹脂を含む、粒子。
【請求項2】
前記コーティングが、置換または非置換であり得る、ポリビニルアルコール化合物を含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
前記コーティングが、置換または非置換であり得る、ポリビニリデンジクロライドを含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項4】
前記コーティングが、少なくとも0.1ミクロンの厚さを有する、請求項1に記載の粒子。
【請求項5】
前記粒子が、約0.01μmから約100μmの範囲の少なくとも一次元を有する、請求項1に記載の粒子。
【請求項6】
前記粒子が、少なくとも約0.001重量%のナノ粒子を含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項7】
前記粒子が、約0.001から約25重量%のナノ粒子を含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項8】
前記母材がポリマーを含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項9】
前記母材がロウを含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項10】
前記ナノ粒子の少なくとも一部が発光特性を有し、前記母材が光学的に透明である、請求項1に記載の粒子。
【請求項11】
前記母材が、ナノ粒子を光学的に励起させるのに用いられる励起光に対して光学的に透明である、請求項10に記載の粒子。
【請求項12】
前記母材が、発光ナノ粒子から放出される光に対して光学的に透明である、請求項10に記載の粒子。
【請求項13】
前記母材が、発光ナノ粒子から放出される光に対して光学的に透明である、請求項11に記載の粒子。
【請求項14】
前記ナノ粒子の少なくとも一部が、第1の半導体材料を含むコアおよび該コアの外表面の少なくとも一部の上に配置されたシェルを含み、該シェルが第2の半導体材料を含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項15】
前記ナノ粒子の少なくとも一部が、その外表面に結合した1以上のリガンドを含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項16】
請求項1に記載の複数の粒子を含む、粉末。
【請求項17】
2以上の粒子群が前記粉末に含まれ、少なくとも一つの粒子群が、別の粒子群に含まれるナノ粒子によって放出されるものと異なる波長の光を放出するナノ粒子を含む、請求項16に記載の粉末。
【請求項18】
請求項1に記載の1以上の粒子および固体もしくは液体媒体を含む、製剤。
【請求項19】
粒子が、媒体の重量基準で少なくとも約0.1重量%の量で製剤中に存在する、請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
粒子が、媒体の重量基準で少なくとも約0.1から約75重量%の量で製剤中に存在する、請求項18に記載の製剤。
【請求項21】
粒子が、媒体の重量基準で少なくとも約0.1から約50重量%の量で製剤中に存在する、請求項18に記載の製剤。
【請求項22】
粒子が、媒体の重量基準で少なくとも約0.1から約25重量%の量で製剤中に存在する、請求項18に記載の製剤。
【請求項23】
粒子が、媒体の重量基準で少なくとも約0.1から約10重量%の量で製剤中に存在する、請求項18に記載の製剤。
【請求項24】
前記媒体が、モノマー類、ポリマー類、樹脂類および/または他のフィルム形成組成物を含む、請求項18に記載の製剤。
【請求項25】
前記製剤が、1以上の添加剤をさらに含む、請求項18に記載の製剤。
【請求項26】
前記1以上の添加剤が、着色剤、散乱剤、結合剤、界面活性剤、UV吸収剤および/またはこれらの1以上の混合物を含む、請求項25に記載の製剤。
【請求項27】
請求項18に記載の製剤を含む、コーティング。
【請求項28】
前記コーティングが、モノマー類、ポリマー類、樹脂類および/または他のフィルム形成組成物をさらに含む、請求項27に記載のコーティング。
【請求項29】
前記コーティングが、1以上の添加剤をさらに含む、請求項27に記載のコーティング。
【請求項30】
前記1以上の添加剤が、着色剤、散乱剤、結合剤、界面活性剤、UV吸収剤および/またはこれらの1以上の温合物を含む、請求項29に記載のコーティング。
【請求項31】
請求項1に記載の複数の粒子から製造されるフィルムを含む、コーティング。
【請求項32】
第2の母材中に分散した、請求項1に記載の1以上の粒子を含む、組成物。
【請求項33】
前記第2の母材が、ポリマーを含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記第2の母材が、モノマーを含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項35】
前記第2の母材が、樹脂を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項36】
請求項1に記載の複数の粒子を含む、粉末。
【請求項37】
母材中に分散させたナノ粒子を含む粒子を提供する段階、前記粒子の少なくとも一部の外表面の少なくとも一部の上にコーティングを形成する段階を有し、前記コーティングが低酸素透過性を有する樹脂を含む、カプセル化ナノ粒子の製造方法。
【請求項38】
前記コーティングが、置換または非置換であり得る、ポリビニルアルコール化合物を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記コーティングが、置換または非置換であり得る、ポリビニリデンジクロライドを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記コーティングが、少なくとも0.1ミクロンの厚さを有する、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記母材が、ポリマーを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記母材が、ロウを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記母材が、ポリアクリレートを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記母材が、無機材料を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
前記ナノ粒子が、発光特性を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
前記母材が、ポリアクリレートを含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項47】
前記母材が、ポリメタクリレートを含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項48】
前記母材が、ポリメタクリル酸ラウリルを含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項49】
前記母材が、無機材料を含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項50】
前記ナノ粒子が、発光特性を有する、請求項1に記載の粒子。
【請求項51】
請求項1に記載の1以上の粒子を含む、組成物。
【請求項52】
前記母材中に分散したナノ粒子を含む粒子を形成する段階、コーティング材料を不溶性とすることで液体媒体中の粒子の少なくとも一部の外表面の少なくとも一部の上にコーティング材料を含む層を形成する段階、前記コーティング材料を架橋することでコーティングを形成する段階を有する、カプセル化ナノ粒子の製造方法。
【請求項53】
本明細書に明示および記載されている新規で有用な非自明の方法、機械、製造および組成物。
【請求項54】
本明細書に明示および記載されている方法、機械、製造および組成物の新規で有用な非自明の改良。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−504660(P2013−504660A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528899(P2012−528899)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/048285
【国際公開番号】WO2011/031871
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(508241026)キユーデイー・ビジヨン・インコーポレーテツド (12)
【Fターム(参考)】