説明

ナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法

本発明は、ナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法に関するものであって、高分子紡糸溶液を高電圧が印加されているノズル(5)を通して、(I)長さ方向に沿って一定の幅(u)と深さ(h)を有する溝らが一定間隔に形成されているエンドレスベルト(endless belt)形態の非導電体板(7a)と、(II)前記非導電体板の溝に挿入されている導電体版(7b)とから構成され、高電圧が印加されているコレクター(7)の上に電気紡糸してリボン形態のナノ繊維ウェブを製造し、前記ナノ繊維ウェブをコレクター(7)から分離してから、集束、延伸及び巻き取りすることを特徴とする。
また、本発明は、別途の紡績工程を行わなくても、電気紡糸方式によって簡単で連続的な工程でナノ繊維からなる連続状フィラメント(糸)を大量に製造することができる。
また、本発明は、ナノ繊維などを繊維の軸方向によく配向させることにより、集束性と延伸性を向上させることができる。したがって、もっと優秀な機械的物性を有するナノ繊維の連続状フィラメントを製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ繊維からなる連続状フィラメント又は糸(以下、“フィラメント”と通称する)を製造する方法に関するものであって、より詳しくは、電気紡糸方式を用いて連続状フィラメントを連続工程により製造する方法に関するものである。
【0002】
本発明において、ナノ繊維とは、その繊維直径が1,000nm以下である、より好ましくは、500nm以下である繊維を意味する。
【0003】
ナノ繊維からなる不織布などは、人造皮革、フィルター、おむつ、生理用ナプキン、縫合糸、癒着防止剤、ワイピングクロース(wiping cloth)、人造血管、骨固定用機具(born fixture)などに多様に活用することができ、特に人工皮革の製造に極めて有用である。
【背景技術】
【0004】
人工皮革などの製造に適した極細繊維又はナノ繊維を製造するための従来技術としては、海島型複合紡糸方式(sea-island type conjugated spinning)、分割型複合紡糸方式(dividing type conjugated spinning)及びブレンド紡糸方式(blend spinning)などが知られている。
【0005】
しかし、海島型複合紡糸方式やブレンド紡糸方式の場合は、繊維の極細化のため、繊維を構成する二種の高分子成分の中で、一種の高分子成分を溶出、除去しなければならないし、これらの方式により製造された繊維から人工皮革を製造するためには、溶融紡糸、繊維製造、不織布製造、ウレタン含浸、一種成分の溶出のような複雑な工程を経なければならない問題があった。それにもかかわらず、上記二種の方式によっては、直径1,000nm以下の繊維を製造することができなかった。
【0006】
一方、分割型複合紡糸方式の場合は、相違の染色特性を有する二種の高分子成分(例えば、ポリエステルとポリアミド)などが繊維内に共存するので染色斑ができ、人工皮革の製造工程も複雑であるとの問題点があった。また、上記方式によっては、直径2,000nm以下の繊維を製造することができなかった。
【0007】
ナノ繊維を製造するための他の従来技術として、米国特許第4,323,525号などには電気紡糸方式が提案されている。上記従来の電気紡糸方式は、紡糸溶液主タンク内の高分子紡糸溶液を計量ポンプを通じて高電圧が与えられる多数のノズル内に連続的に定量供給し、次いで、ノズルに供給された紡糸溶液をノズルを通じて、5kV以上の高電圧が印加されているエンドレス(endless)ベルトタイプの集束装置上に紡糸、集束(collecting)することにより、繊維ウエブ(web)を製造する方式である。こうした製造された繊維ウエブを、後続工程で、ニドルパンチングすることにより、ナノ繊維からなる不織布を製造する。
【0008】
以上のように、従来の電気紡糸方式によっては、1,000nm以下のナノ繊維からなるウエブと不織布のみを製造することができた。従って、従来の電気紡糸方式により連続状フィラメントを製造するためには、製造されたナノ繊維ウエブ(web)を一定長さに切断して短繊維を製造し、これを混打綿してから別途の紡績工程を経なければならないので、工程が複雑であるとの問題があった。
【0009】
ナノ繊維からなる不織布の場合は、不織布の固有物性上の限界によって、人造皮革などの多樣な応用分野に広範囲に適用するには限界があった。参考として、ナノ繊維からなる不織布において、10MPa以上の物性を達成することが困難である。
【0010】
このような従来の問題点を解決するための従来技術として、韓国出願特許第2004-6402号では、ノズルを通して高分子紡糸溶液をコレクターに電気紡糸してリボン形態のナノ繊維からなるナノ繊維のウェブを製造し、その後前記ナノ繊維のウェブをエア撚り糸装置内に通過させて撚り糸することにより、連続状フィラメント形態のナノ繊維フィラメントを製造し、次いで、上記ナノ繊維フィラメントを延伸してナノ繊維からなる連続状フィラメントを製造する方法が提供されている。
【0011】
しかし、上記の従来方法は電気紡糸されるナノ繊維をコレクター上で繊維の軸方向に配向させることができないので、集束性及び延伸性が 低下され、それによって製造された連続状フィラメントの機械的物性が低下される問題があった。
【0012】
また、上記の従来方法は、リボン形態のナノ繊維のウェブを製造することにおいて、小幅のコレクターを使用したり、或いは拡幅のコレクターを使用する場合、製造されたナノ繊維のウェブを一定の幅で切断しなければならない問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、別途の紡績工程を行わなくても、電気紡糸されたナノ繊維ウエブを用いて、連続的にフィラメント(糸)を製造する方法を提供することにより、ナノ繊維からなる連続状フィラメントを簡単な工程により製造しようとする。また、本発明は、電気紡糸工程でナノ繊維などを繊維の軸方向によく配向させて集束性と延伸性を向上させることにより、連続状フィラメントの機械的物性を高く向上させようとする。さらに、本発明は、その物性に優れるので、人造皮革は勿論、フィルター、おむつ、生理用ナプキン、人造血管などの多樣な産業素材として適したナノ繊維からなる連続状フィラメントを製造する方法を提供しようとする。
【0014】
上記のような課題を達成するための本発明によるナノ繊維から構成された連続状フィラメントの製造方法は、高分子紡糸溶液を高電圧が印加されているノズル(5)を通して、(I)長さ方向に沿って一定の幅(u)と深さ(h)を有する溝らが一定間隔に形成されているエンドレスベルト(endless belt)形態の非導電体板(7a)と、(II)前記非導電体板の溝に挿入されている導電体版(7b)とから構成され、高電圧が印加されているコレクター(7)の上に電気紡糸してリボン形態のナノ繊維ウェブを製造し、前記ナノ繊維ウェブをコレクター(7)から分離してから、集束、延伸及び巻き取りすることを特徴とする。
【0015】
以下、添付した図面などによって、本発明を詳述する。まず、本発明は、図1に図示されたように、紡糸溶液貯蔵タンク(1)内の高分子紡糸溶液を、高電圧が印加されているノズル(5)を通して、高電圧が印加されているコレクター(7)に電気紡糸してリボン形態のナノ繊維ウェブ(16)を製造する。
【0016】
より具体的に、高分子紡糸溶液は計量ポンプ(2)及び紡糸溶液ドロップ裝置(3)を通じてノズルブロック(4)に配列されたノズル(5)に定量供給される。
【0017】
この時、本発明はナノ繊維が集積されるコレクター(7)として、図2及び図3に図示されるように、(I)長さ方向に沿って一定の幅(u)と深さ(h)を有する溝らが一定間隔に形成されているエンドレスベルト形態の非導電体板(7a)と、(II)前記非導電体板の溝に挿入されている導電体版(7b)とから構成されたコレクター(7)を使用するか、或いは、図4に図示されるように、(I)長さ方向に沿って溝らが一定間隔に形成されているエンドレスベルト形態の非導電体板(7a)と、(II)前記非導電体板の溝に挿入されて非導電体板の表面から突出されている、一定の幅(u’)と高さ(h’)を有する導電体版(7b)とから構成されたコレクターを使用することにより、コレクター上に集積されるナノ繊維を繊維の軸方向によく配向させることを特徴とする。
【0018】
図1は上向式方式を用いた本発明の工程概略図であり、図2は導電体版(7b)が非導電体版(7a)の溝内に位置しているコレクター(7)の部分で、リボン形態のナノ繊維ウェブが製造される工程を示す模式図であり、図3は図2に図示されているコレクター(7)の一部分に対する拡大模式図である。
【0019】
図4は、導電体板(7b)が非導電体板(7a)の表面から突出されたコレクター(7)部分でリボン形態のナノ繊維ウェブが製造される工程を示す模式図である。図4における導電体板(7b)の形状は、円筒型、台形、楕円型などの多様な形態を取ることができる。
【0020】
前記導電体版(7b)は非導電体板(7a)の溝内に固定されて非導電体板(7a)と一体で回転することもでき、非導電体板(7a)の溝内に固定されない状態で挿入されて非導電体板(7a)とは異なる回転線速度で回転運動することができる。
【0021】
前記コレクター(7)の上にナノ繊維を紡糸すると、導電体版(7b)にのみナノ繊維が集積されて、リボン形態のナノ繊維ウェブ(16)が製造され、導電体版(7b)に集積されたナノ繊維は前方へ進行する導電体版(7b)によって繊維の軸方向によく配向されるので、以後の工程において良好な集束性と延伸性を発現するようになる。
【0022】
一方、非導電体板(7a)の長さ方向を追って一定間隔をおいて形成された溝などの幅(u)と深さ(h)は、製造しようとする連続状フィラメントの太さによって調節することが好ましい。
【0023】
好ましくは、前記溝の幅(u)が0.1〜20mm、より好ましくは1〜15mmであり、前記溝の深さ(h)が0.1〜50mm、より好ましくは1〜30mmであることが好ましい。
【0024】
前記幅(u)が0.1mm未満である場合、集積されるナノ繊維の量があまり少なくて取り扱い難い。また、20mmを超過する場合、ナノ繊維が繊維の軸方向によく配列(配向)されないことができるので、連続状フィラメントの機械的物性が悪くなる。
【0025】
一方、前記深さ(h)が0.1mm未満であると、電気紡糸中、飛散されるナノ繊維によってナノ繊維の配向性が悪くなり、50mmを超過する場合にはノズル(5)との距離があまり遠いので、溶媒の揮発空間があまり狭くてナノ繊維の形成能が低下されることができる。
【0026】
一方、図4のような形態を有する非導電体板(7a)の幅(u’)と高さ(h’)は、製造しようとする連続状フィラメントの太さによって調節することが好ましい。
【0027】
好ましくは、前記導電体板の幅(u’)が0.1〜20mm、より好ましくは1〜15mmであり、前記導電体板の高さ(h’)が0.1〜50mm、より好ましくは1〜30mmであることが好ましい。
【0028】
前記幅(u’)が0.1mm未満である場合、集積されるナノ繊維の量があまり少なくて取り扱いにくい。また、20mmを超過する場合、ナノ繊維が繊維の軸方向によく配列(配向)されないことができるので、連続状フィラメントの機械的物性が悪くなる。
【0029】
一方、前記高さ(h’)が0.1mm未満であると、電気紡糸中、飛散されるナノ繊維によってナノ繊維の配向性が悪くなり、50mmを超過する場合には導電体板の側面にナノ繊維が付着されることにより、繊維の配向性が著しく低下されて紡糸性が低くなることもできる。
【0030】
非導電体板(7a)の材質では、石英、ガラス、高分子フィルム、高分子板などが使われ、導電体版(7b)の材質では、銅、金などの無機材料や優秀な伝導性を有する高分子などが使われる。単位幅でナノ繊維を紡糸するためには、製造しようとするフィラメントの太さに合うように適当にノズルブロック(4)の上にノズル(5)などを繊維の進行方向に一列に配列することが好ましいが、必要によって二列以上に配列することができる。
【0031】
電気紡糸方式では、(I)ノズルブロックがコレクターの下部に位置する上向式電気紡糸方式を使用することもでき、(II)ノズルブロックがコレクターの上部に位置する下向式電気紡糸方式を使用することもでき、(III)ノズルブロックとコレクターが水平または水平と類似な角度で位置する水平式電気紡糸方式を使用することができる。
【0032】
大量生産のためには、上向式電気紡糸方式を使用することがもっと好ましい。
【0033】
電気紡糸時、2種以上の高分子紡糸溶液を各々のノズルブロック内に配列されたノズル(5)を通じてコレクター(7)に電気紡糸してハイブリッド形態のナノ繊維から構成された連続状フィラメントを製造することができる。
【0034】
ノズルブロック(4)には、ナノ繊維の形成能を増加させるためにヒーターが設けられている。また、長時間紡糸するか、或いは無機酸化物が含まれている紡糸溶液を紡糸する場合長時間滞留すると、ゲル(gel)化が発生する。このような現状を防止するためには、不導体の棒(10b)を介して連結された攪拌機(10c)を攪拌機モータ(10a)によって駆動して紡糸溶液を攪拌させるようにすることが好ましい。
【0035】
次では、上記のように、コレクター(7)上に形成されたリボン形態のナノ繊維ウェブ(16)をウェブ移送ローラー(15、17)を用いてコレクター(7)から離隔(分離)させてから、集束、延伸及び熱処理してナノ繊維から構成される連続状フィラメントを製造する。
【0036】
コレクター(7)からリボン形態のナノ繊維ウェブ(16)を離隔(分離)させる時は、図1のようにナノ繊維ウェブ分離用溶液(13)をコレクターの上に連続または不連続的にコーティング或いは噴霧することが好ましい。
【0037】
ナノ繊維ウェブ分離用溶液(13)では、水、メタノール、エタノール、トルエン、メチレンクロリド、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性イオン(陽イオン性−陰イオン性)界面活性剤或いは非イオン性界面活性剤であることをなどを使用する。
【0038】
続いて、コレクター(7)から離隔(分離)されたナノ繊維ウェブ(16)を流体または空気を用いる集束装置(18)内に通過させて集束させてから、次いでは、第1ローラー(19)と第2ローラー(20)を通過させながらこれらの回転線速度の差を用いて延伸させ、その後熱処理装置(21)を通過させながら熱処理及び溶媒除去処理し、第3ローラー(22)を通過させた後、延伸された連続状フィラメントをボビン(23)に巻き取る。
【0039】
相違の高分子溶液を各々本発明によって電気紡糸して製造した各々の相違の成分のナノ繊維フィラメントを合糸するか、あるいは複合ノズルから構成されたノズルブロックを用いて複合紡糸して、相違の成分からなるナノ繊維フィラメントを製造することができる。
【0040】
また、相違の高分子溶液をコア/シェル(core/shell)形態に複合紡糸してから、この中でコア成分を溶出する方式によって中空糸を製造することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明は、繊維の軸方向に繊維がよく配列されているので、延伸性に優れたナノ繊維から構成される連続状フィラメントをもっと簡単な連続工程で製造できる。
【実施例】
【0042】
実施例1
相対粘度3.2(96%硫酸溶液で)のナイロン樹脂をその濃度が15%になるようにギ酸に溶解して高分子紡糸溶液を製造した。該高分子紡糸溶液の表面張力は49mN/m、溶液粘度は常温で40センチポアズ、電気伝導度は420mS/mであった。
【0043】
上記高分子紡糸溶液を図1のように、計量ポンプ(2)によって、上向式電気紡糸装置のノズルブロック(4)内のノズル(5)に供給し、このノズル(5)を通じて、(I)長さ方向に沿って幅7mm、長さ6mmを有する8個の溝が形成されている強化ガラス材質の非導電体板(7a)と、(II)前記溝内に各々挿入固定されている幅6.9mmの導電体板(7b)とから構成される図3のような形態を有するコレクター(7)に電気紡糸した。
【0044】
この時、ノズルブロック(4)としては、直径1mmのノズル2000個が一例に配列されてなる単位ノズルブロック8個から構成されて、ノズルの総数が16,000個であるノズルブロックを使用し、ノズル一つ当たりの吐出量は1.2mg/分とし、電圧は28kVと、紡糸距離は16cmとした。
【0045】
続いて、回転線速度80m/分のウエブ移送ローラー(15、17)を用いて、上記のようにコレクター上にリボン形態に集束されたナノ繊維ウエブをコレクター(7)から分離し、続いて、分離されたナノ繊維ウエブを集束装置(18)内に通過集束させた後、回転線速度82m/分の第1ローラー(19)、回転線速度285m/分の第2ローラー(20)、回転線速度295m/分の第3ローラー(22)を次第に通過させて延伸した。
【0046】
また、第2ローラー(20)と第3ローラー(22)の間に設置されている熱処理装置(21)で170℃で熱固定してから、290m/分の巻き取り速度で巻き取りして、ナノ繊維からなる連続状フィラメントを製造した。
【0047】
製造された連続状フィラメントは、その繊度が75デニールで、強度が4.5g/デニールで、伸度は42%で、ナノ繊維の直径は186nmであった。
【0048】
製造されたフィラメントの電子顕微鏡写真を図5に示した。
【0049】
図5のように製造された連続状フィラメントを構成するナノ繊維は繊維の軸方向によくは配列されていた。
【0050】
実施例2
相対粘度3.2(96%硫酸溶液で)のナイロン樹脂をその濃度が15%になるようにギ酸に溶解して高分子紡糸溶液を製造した。上記高分子紡糸溶液の表面張力は49mN/m、溶液粘度は常温で40センチポアズ、電気伝導度は420mS/mであった。
【0051】
上記高分子紡糸溶液を図1のように、計量ポンプ(2)によって、上向式電気紡糸装置のノズルブロック(4)内のノズル(5)に供給し、このノズル(5)を通じて、(I)長さ方向に沿って幅7mm、長さ6mmを有する8個の溝が形成されている強化ガラス材質の非導電体板(7a)と、(II)前記溝内に各々挿入されて自体的に回転可能である幅6.8mmの導電体板(7b)とから構成される図3のような形態を有するコレクター(7)に電気紡糸した。
【0052】
この時、導電体板(7b)の回転線速度は80m/分とした。また、ノズルブロック(4)としては、直径1mmのノズル2,000個が一例に配列されてなる単位ノズルブロック8個から構成されて、ノズルの総数が16,000個であるノズルブロックを使用し、ノズル一つ当たりの吐出量は1.2mg/分とし、電圧は28kVと、紡糸距離は16cmとした。
【0053】
続いて、回転線速度80m/分のウエブ移送ローラー(15、17)を用いて、上記のようにコレクター上にリボン形態に集束されたナノ繊維ウエブをコレクター(7)から分離し、続いて、分離されたナノ繊維ウエブを集束装置(18)内に通過集束させた後、回転線速度82m/分の第1ローラー(19)、回転線速度285m/分の第2ローラー(20)、回転線速度295m/分の第3ローラー(22)を次第に通過させて延伸した。
【0054】
また、第2ローラー(20)と第3ローラー(22)の間に設置されている熱処理装置(21)で170℃で熱固定してから、290m/分の巻き取り速度で巻き取りして、ナノ繊維からなる連続状フィラメントを製造した。
【0055】
製造された連続状フィラメントは、その繊度が75デニールで、強度が5.1g/デニールで、伸度は35%で、ナノ繊維の直径は176nmであった。
【0056】
実施例3
分子量80,000のポリウレタン樹脂と重合度800のポリ塩化ビニルを、70:30の重量比でジメチルホルムアミド/テトラヒドロフラン(体積比:5/5)の混合溶媒に溶解して紡糸溶液を製造した。上記紡糸溶液の粘度は450センチポアズであった。
【0057】
上記高分子紡糸溶液を図1のように、計量ポンプ(2)によって、上向式電気紡糸装置のノズルブロック(4)内のノズル(5)に供給し、このノズル(5)を通じて、(I)長さ方向に沿って幅7mm、長さ6mmを有する8個の溝が形成されている強化ガラス材質の非導電体板(7a)と、(II)前記溝内に各々挿入固定されている幅6.9mmの導電体板(7b)とから構成される図3のような形態を有するコレクター(7)に電気紡糸した。
【0058】
この時、ノズルブロック(4)としては、直径1mmのノズル2,000個が一例に配列されてなる単位ノズルブロック8個から構成されて、ノズルの総数が16,000個であるノズルブロックを使用し、ノズル一つ当たりの吐出量は2.0mg/分とし、電圧は35kVと、紡糸距離は20cmとした。
【0059】
続いて、回転線速度145m/分のウエブ移送ローラー(15、17)を用いて、上記のようにコレクター上にリボン形態に集束されたナノ繊維ウエブをコレクター(7)から分離し、続いて、分離されたナノ繊維ウエブを集束装置(18)内に通過集束させた後、回転線速度149m/分の第1ローラー(19)、回転線速度484m/分の第2ローラー(20)、回転線速度490m/分の第3ローラー(22)を次第に通過させて延伸した。
【0060】
また、第2ローラー(20)と第3ローラー(22)の間に設置されている熱処理装置(21)で110℃で熱固定してから、486m/分の巻き取り速度で巻き取りして、ナノ繊維からなる連続状フィラメントを製造した。
【0061】
製造された連続状フィラメントは、その繊度が75デニールで、強度が3.4g/デニールで、伸度は45%で、ナノ繊維の直径は480nmであった。
【0062】
実施例4
相対粘度3.2(96%硫酸溶液で)のナイロン樹脂をその濃度が15%になるようにギ酸に溶解して高分子紡糸溶液を製造した。上記高分子紡糸溶液の表面張力は49mN/m、溶液粘度は常温で40センチポアズ、電気伝導度は420mS/mであった。
【0063】
上記高分子紡糸溶液を図1のように、計量ポンプ(2)を通じて、上向式電気紡糸装置のノズルブロック(4)内のノズル(5)に供給し、このノズル(5)を通じて、(I)長さ方向に沿って幅4.1mmを有する8個の溝が形成されている強化ガラス材質の非導電体板(7a)と、(II)前記溝内に各々挿入固定されると共に、非導電体板(7b)の表面から突出されている、幅(u’)4mm、高さ(h’)5mmの銅材質の導電体板(7b)8個とから構成される図4のような形態を有するコレクター(7)に電気紡糸した。
【0064】
この時、ノズルブロック(4)としては、直径1mmのノズル2,000個が一例に配列されてなる単位ノズルブロック8個から構成されて、ノズルの総数が16,000個であるノズルブロックを使用し、ノズル一つ当たりの吐出量は1.2mg/分とし、電圧は28kVと、紡糸距離は16cmとした。
【0065】
続いて、回転線速度80m/分のウエブ移送ローラー(15、17)を用いて、上記のようにコレクター上にリボン形態に集束されたナノ繊維ウエブをコレクター(7)から分離し、続いて、分離されたナノ繊維ウエブを集束装置(18)内に通過集束させた後、回転線速度82m/分の第1ローラー(19)、回転線速度285m/分の第2ローラー(20)、回転線速度295m/分の第3ローラー(22)を次第に通過させて延伸した。
【0066】
また、第2ローラー(20)と第3ローラー(22)の間に設置されている熱処理装置(21)で170℃で熱固定してから、290m/分の巻き取り速度で巻き取りして、ナノ繊維からなる連続状フィラメントを製造した。
【0067】
製造された連続状フィラメントは、その繊度が75デニールで、強度が4.5g/デニールで、伸度は42%で、ナノ繊維の直径は186nmであった。
【0068】
実施例5
相対粘度3.2(96%硫酸溶液で)のナイロン樹脂をその濃度が15%になるようにギ酸に溶解して高分子紡糸溶液を製造した。上記高分子紡糸溶液の表面張力は49mN/m、溶液粘度は常温で40センチポアズ、電気伝導度は420mS/mであった。
【0069】
上記高分子紡糸溶液を図1のように、計量ポンプ(2)を通じて、上向式電気紡糸装置のノズルブロック(4)内のノズル(5)に供給し、このノズル(5)を通じて、(I)長さ方向に沿って幅4.1mmを有する8個の溝が形成されているテフロン(登録商標)材質の非導電体板(7a)と、(II)前記溝内に各々挿入され、非導電体板(7b)の表面から突出され、自体的に回転可能である、幅(u’)4mm、高さ(h’)5mmの銅材質の導電体板(7b)8個とから構成される図4のような形態を有するコレクター(7)に電気紡糸した。
【0070】
この時、上記導電体板(7b)の回転線速度は80/分とした。また、ノズルブロック(4)としては、直径1mmのノズル2,000個が一例に配列されてなる単位ノズルブロック8個から構成されて、ノズルの総数が16,000個であるノズルブロックを使用し、ノズル一つ当たりの吐出量は1.2mg/分とし、電圧は28kVと、紡糸距離は16cmとした。
【0071】
続いて、回転線速度80m/分のウエブ移送ローラー(15、17)を用いて、上記のようにコレクター上にリボン形態に集束されたナノ繊維ウエブをコレクター(7)から分離し、続いて、分離されたナノ繊維ウエブを集束装置(18)内に通過集束させた後、回転線速度82m/分の第1ローラー(19)、回転線速度285m/分の第2ローラー(20)、回転線速度295m/分の第3ローラー(22)を次第に通過させて延伸した。
【0072】
また、第2ローラー(20)と第3ローラー(22)の間に設置されている熱処理装置(21)で170℃で熱固定してから、290m/分の巻き取り速度で巻き取りして、ナノ繊維からなる連続状フィラメントを製造した。
【0073】
製造された連続状フィラメントは、その繊度が75デニールで、強度が5.3g/デニールで、伸度は33%で、ナノ繊維の直径は173nmであった。
【0074】
実施例6
分子量80,000のポリウレタン樹脂と重合度800のポリ塩化ビニルを、70:30の重量比でジメチルホルムアミド/テトラヒドロフラン(体積比:5/5)の混合溶媒に溶解して紡糸溶液を製造した。上記紡糸溶液の粘度は450センチポアズであった。
【0075】
上記高分子紡糸溶液を図1のように、計量ポンプ(2)を通じて、上向式電気紡糸装置のノズルブロック(4)内のノズル(5)に供給し、このノズル(5)を通じて、(I)長さ方向に沿って幅6.1mmを有する8個の溝が形成されているテフロン(登録商標)材質の非導電体板(7a)と、(II)前記溝内に各々挿入固定され、非導電体板(7b)の表面から突出されている、幅(u’)6mm、高さ(h’)5mmの銅材質の導電体板(7b)8個とから構成される図4のような形態を有するコレクター(7)に電気紡糸した。
【0076】
この時、ノズルブロック(4)としては、直径1mmのノズル2,000個が一例に配列されてなる単位ノズルブロック8個から構成されて、ノズルの総数が16,000個であるノズルブロックを使用し、ノズル一つ当たりの吐出量は2.0mg/分とし、電圧は35kVと、紡糸距離は20cmとした。
【0077】
続いて、回転線速度145m/分のウエブ移送ローラー(15、17)を用いて、上記のようにコレクター上にリボン形態に集束されたナノ繊維ウエブをコレクター(7)から分離し、続いて、分離されたナノ繊維ウエブを集束装置(18)内に通過集束させた後、回転線速度149m/分の第1ローラー(19)、回転線速度484m/分の第2ローラー(20)、回転線速度490m/分の第3ローラー(22)を次第に通過させて延伸した。
【0078】
また、第2ローラー(20)と第3ローラー(22)の間に設置されている熱処理装置(21)で110℃で熱固定してから、486m/分の巻き取り速度で巻き取りして、ナノ繊維からなる連続状フィラメントを製造した。
【0079】
製造された連続状フィラメントは、その繊度が75デニールで、強度が3.6g/デニールで、伸度は42%で、ナノ繊維の直径は456nmであった。
【0080】
図6は、実施例6により製造された連続状フィラメントの電子顕微鏡写真であって、連続状フィラメントを構成するナノ繊維が繊維の軸方向によく配列されていることを示す。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明から製造された上記連続状フィラメントは、その物性が向上されて、人造皮革、空気清浄用フィルター、ワイピングクロース、ゴルフグローブ、かつらなどの日常用品は勿論、人工透析用フィルター、人造血管、癒着防止剤、人工骨などの多様の産業分野の素材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】上向式紡糸方式を用いた本発明の工程概略図である。
【図2】導電体板(7b)が非導電体板(7a)の溝内に位置するコレクター(7)部分でリボン形態のナノ繊維ウェブが製造される工程を示す模式図である。
【図3】図2に図示されたコレクター(7)の部分拡大模式図である。
【図4】導電体板(7b)が非導電体板(7a)の表面上に突出されたコレクター(7)部分でリボン形態のナノ繊維ウェブが製造される工程を示す模式図である。
【図5】実施例1により製造されて、ナノ繊維が繊維の軸方向によく配列されている連続状フィラメントの電子顕微鏡写真である。
【図6】実施例6により製造されて、ナノ繊維が繊維の軸方向によく配列されている連続状フィラメントの電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0083】
1 : 紡糸溶液貯蔵タンク
2 : 計量ポンプ
3 : 紡糸溶液ドロップ装置
4 : ノズルブロック
5 : ノズル
6 : ナノ繊維
7 : コレクター
7a : コレクター内の非導電体板
7b : コレクター内の導電体版
8a、8b : コレクターの支持棒
9 : 高電圧発生装置
10a : 攪拌機モータ
10b : 不導体棒
10c : 攪拌機
11 : オーバーフロー吸入装置
12 : 移送管
13 : ナノ繊維ウェブ分離用溶液
14 : 分離用液体の供給タンク
15 : ウェブ移送ローラー
16 : リボン形態のナノ繊維ウェブ
17 : ウェブ移送ローラー
18 : 集束装置(流体或は空気利用)
19 : 第1ローラー
20 : 第2ローラー
21 : 熱処理装置(溶媒除去装置)
22 : 第3ローラー
23 : 製造された連続状フィラメントが巻かれているボビン
u : 非導電体板(7a)に形成されている溝の幅
h: 非導電体板(7a)に形成されている溝の深さ
u’ : 導電体板(7b)の幅
h’ : 導電体板(7b)の高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子紡糸溶液を高電圧が印加されているノズル(5)を通して、(I)長さ方向に沿って一定の幅(u)と深さ(h)を有する溝が一定間隔に形成されているエンドレスベルト(endless belt)形態の非導電体板(7a)と、(II)前記非導電体板の溝に挿入されている導電体版(7b)とから構成され、高電圧が印加されているコレクター(7)の上に電気紡糸してリボン形態のナノ繊維ウェブを製造し、前記ナノ繊維ウェブをコレクター(7)から分離してから、集束、延伸及び巻き取りすることを特徴とするナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法。
【請求項2】
前記導電体版(7b)は、前記非導電体板(7a)の溝内に固定されて、非導電体板(7a)と一体に回転運動することを特徴とする請求項1に記載のナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法。
【請求項3】
前記導電体版(7b)は、前記非導電体板(7a)の溝内に非固定状態に挿入されて、非導電体板(7a)とは異なる回転線速度で回転運動することを特徴とする請求項1に記載のナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法。
【請求項4】
前記非導電体板(7a)の長さ方向に沿って一定間隔で形成されている溝の幅(u)が0.1〜20mmであることを特徴とする請求項1に記載のナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法。
【請求項5】
前記非導電体板(7a)の長さ方向に沿って一定間隔で形成されている溝の深さ(h)が0.1〜50mmであることを特徴とする請求項1に記載のナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法。
【請求項6】
前記導電体板(7b)が、前記非導電体板(7a)の表面から突出されていることを特徴とする請求項1に記載のナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法。
【請求項7】
前記導電体板(7b)の幅(u’)が0.1〜20mmであることを特徴とする請求項6に記載のナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法。
【請求項8】
前記導電体板(7b)の高さ(h’)が0.1〜50mmであることを特徴とする請求項6に記載のナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法。
【請求項9】
前記導電体板(7b)の形状が円筒型、台形又は楕円型であることを特徴とする請求項6に記載のナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法。
【請求項10】
前記ノズル(5)などがノズルブロック(4)の上にナノ繊維の進行方向に一列又は二列以上に配列されていることを特徴とする請求項1に記載のナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法。
【請求項11】
前記電気紡糸方式が、(I)ノズルブロック(4)がコレクター(7)の下部に位置する上向式電気紡糸方式、(II)ノズルブロック(4)がコレクター(7)の上部に位置する下向式電気紡糸方式、又は(III)ノズルブロック(4)とコレクター(7)が水平又は水平と類似な角度に位置する水平式電気紡糸方式であることを特徴とする請求項1に記載のナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法。
【請求項12】
電気紡糸する時、2種以上の高分子紡糸溶液を各々のノズルブロック内に配列されたノズル(5)を通じて、同一のコレクター(7)上に電気紡糸することを特徴とする請求項1に記載のナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法。
【請求項13】
ナノ繊維が電気紡糸されるコレクター(7)上にナノ繊維ウエブ分離用溶液(13)を連続的或いは不連続的にコーティング或いは噴霧することを特徴とする請求項1に記載のナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法。
【請求項14】
前記ナノ繊維ウエブ分離用溶液(13)が、水、メタノール、エタノール、トルエン、塩化メチレン、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性イオン(陽イオン性−陰イオン性)界面活性剤或いは非イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項13に記載のナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法。
【請求項15】
前記コレクター(7)から離隔されたリボン形態のナノ繊維ウェブ(16)を流体または空気を用いた集束装置(18)内に通過させて集束させることを特徴とする請求項1に記載のナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法。
【請求項16】
前記集束処理されたナノ繊維ウェブ(16)を2個のローラーの間で、これらの回転速度の差を用いて延伸させることを特徴とする請求項1に記載のナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法。
【請求項17】
前記延伸されたナノ繊維フィラメントを熱処理することを特徴とする請求項1に記載のナノ繊維からなる連続状フィラメントの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−519175(P2008−519175A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540241(P2007−540241)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【国際出願番号】PCT/KR2004/002926
【国際公開番号】WO2006/052039
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(506153756)
【出願人】(506154409)
【Fターム(参考)】