説明

ナビゲーションシステム及び方法、携帯情報端末

【課題】 ユーザに正しい乗降場や車両等を知らせ、交通機関の遅延などがある場合でも正確且つ判りやすい案内を実現可能とする。
【解決手段】
列車・車両RFタグ12は、各車両に搭載され、列車固有番号及び車両固有番号の情報を送信する。乗降場RFタグ13は、各乗降場に設けられ、駅・駅ホーム固有番号及び乗降場固有番号の情報を送信する。経路検索サーバ10は、経路検索情報と共に、ユーザが乗車すべき列車の列車固有番号,車両固有番号と乗降すべき駅・駅ホーム固有番号,乗降場固有番号を提供する。携帯電話端末11は、ナビゲーションの際に、列車・車両RFタグ12と経路検索サーバ10から得た列車固有番号及び車両固有番号を基に列車と車両が正しいか判定し、乗降場RFタグ13と経路検索サーバ10から得た駅・駅ホーム固有番号及び乗降場固有番号を基に乗降場が正しいか判定してナビゲーションに反映させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地から目的地までの間に例えば電車やバス等の交通機関を利用する場合の経路検索(ルート検索)を行う際に好適なナビゲーションシステム及び方法、携帯情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開平10−307994号の公開特許公報(特許文献1)には、利用者の指定条件に適合する経路を選択すると共に、利用者は移動体基地局からの送信信号による位置検出手段を携行し、利用者と乗り物の位置及び時刻を比較することにより、所定の公共交通機関の乗り物に乗っていることを特定可能とした技術が開示されている。
【0003】
また、特開2000−335418号の公開特許公報(特許文献2)には、鉄道の線路に沿って各駅の構内に設けた駅名タグと、その線路上を走行する列車に搭載した車上装置と、各駅に設けた駅装置と、列車内の乗客等が携帯する情報端末とからなり、それぞれの情報端末によって乗客が車上装置又は駅装置に随時アクセスし、その列車の現在位置に関する案内を受けられるようにし、これら現在位置等を配信メッセージに編成して表示プログラムと共に無線等により乗客の各情報端末に送信するような技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−307994号公報(図1)
【特許文献2】特開2000−335418号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来より携帯電話サービスには様々なものがあるが、その一つとして、例えば、出発地から目的地までの経路検索と、携帯電話端末に内蔵されたGPS(Global Positioning System)等の測位データに基づく移動ルートのトレースとにより、ユーザの道案内等を行うようなナビゲーションサービスがある。
【0006】
しかし、従来のナビゲーションシステムでは、例えば、経路検索で得られた移動ルートの途中に交通機関を利用するルートがあるような場合、その交通機関の乗降場(駅ホームなど)と乗車すべき列車名や発車時刻等までの案内はなされるが、交通機関の利用に不慣れなユーザである場合や交通機関に遅延などがあった場合、ユーザは実際にどの電車やバス等に乗車すればよいか分かり難く、この場合、ユーザ自身が交通機関関係者などに問い合わせなどして、何れの電車やバス等に乗車すればよいのかを確認しなければならなくなる。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、経路検索(ルート検索)による移動ルートの中に交通機関を利用するようなルートが存在する場合に、ユーザに対して正しい乗降場や車両等を知らせることができ、また、交通機関の遅延などがある場合であっても、より正確且つユーザが判りやすい案内を実現することができるナビゲーションシステム及び方法、携帯情報端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のナビゲーションシステムは、交通機関にて使用される各運搬装置に搭載され、少なくとも当該運搬装置を特定する装置特定情報を近距離無線通信により送信する装置特定情報送信部と、運搬装置が移動を停止する位置に設けられ、当該運搬装置の移動停止位置を特定する位置特定情報を近距離無線通信により送信する位置特定情報送信部と、少なくとも交通機関を利用する移動経路を検索し、当該移動経路の情報と共に、その移動経路内での運搬装置に対応した装置特定情報とその運搬装置の移動停止位置に対応した位置特定情報とを、携帯情報端末へ提供する経路検索部と、移動経路情報に基づくナビゲーションを行う際に、装置特定情報送信部から装置特定情報を受信した時には、その受信装置特定情報と経路検索部からの装置特定情報との比較により運搬装置の正否判定を行ってナビゲーションに反映させ、位置特定情報送信部からの位置特定情報を受信した時には、その受信位置特定情報と経路検索部からの位置特定情報との比較により、運搬装置の移動停止位置の正否判定を行ってナビゲーションに反映させる携帯情報端末とを有することにより、上述した課題を解決する。
【0009】
また、本発明のナビゲーション方法は、少なくとも交通機関を利用する移動経路を検索し、当該移動経路の情報と共に、その移動経路内の運搬装置を特定する装置特定情報とその運搬装置の移動停止位置を特定する位置特定情報とを経路検索部が携帯情報端末へ提供するステップと、経路検索部からの移動経路情報に基づいて携帯情報端末がナビゲーションを行う際に、運搬装置に搭載された装置特定情報送信部から近距離無線通信により送信された装置特定情報を受信した時には、その受信装置特定情報と経路検索部からの装置特定情報との比較により、その運搬装置の正否判定を行ってナビゲーションに反映させるステップと、運搬装置の移動停止位置に設けられた位置特定情報送信部から近距離無線通信により送信された位置特定情報を受信した時には、その受信位置特定情報と経路検索部からの位置特定情報との比較により、その運搬装置の移動停止位置の正否判定を行ってナビゲーションに反映させるステップとを有することにより、上述した課題を解決する。
【0010】
また、本発明の携帯情報端末は、少なくとも交通機関を利用する移動経路の情報と共に、その移動経路内の運搬装置を特定する装置特定情報とその運搬装置の移動停止位置を特定する位置特定情報とを経路検索部から取得する経路検索情報取得部と、近距離無線通信による送信信号を受信する近距離無線通信部と、経路検索部からの移動経路情報に基づくナビゲーションを行う際に、交通機関の運搬装置に搭載された装置特定情報送信部から近距離無線通信により送信された、当該運搬装置を特定する装置特定情報を受信した時には、その受信装置特定情報と経路検索部からの装置特定情報との比較により、当該運搬装置の正否判定を行ってナビゲーションに反映させ、運搬装置が移動を停止する位置に設けられた位置特定情報送信部から近距離無線通信により送信された、当該運搬装置の移動停止位置を特定する位置特定情報を受信した時には、その受信位置特定情報と経路検索部から取得した位置特定情報との比較により、当該運搬装置の移動停止位置の正否判定を行ってナビゲーションに反映させるナビゲーション実行部とを有することにより、上述した課題を解決する。
【0011】
すなわち、本発明によれば、経路検索に基づくナビゲーションを行う際には、ユーザが乗車すべき運搬装置(例えば列車等)を特定する装置特定情報(例えば列車や車両の固有番号)と、実際にユーザが乗車しようとする運搬装置に設けられている装置特定情報送信部(例えばRFタグ)から近距離無線送信された装置特定情報(列車や車両の固有番号)とを比較して、その運搬装置が正しいか否か判断し、また、ユーザが乗降すべき位置(乗降位置)を特定する位置特定情報(例えば乗降場固有番号)と、実際にユーザが乗降しようとする位置に設けられている位置特定情報送信部(例えばRFタグ)から近距離無線送信された位置特定情報(乗降場固有番号)とを比較して、その乗降位置が正しいか否か判断してナビゲーションに反映させている。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、経路検索に基づくナビゲーションを行う際には、ユーザが乗車すべき車両等を特定する情報と、実際にユーザが乗車しようとする車両等に設けられている情報送信部から送信された装置特定情報とを比較して、その運搬装置が正しいか否か判断し、また、ユーザが乗降すべき乗降場位置等を特定する位置特定情報と、実際にユーザが乗降しようとする位置に設けられている情報送信部から送信された位置特定情報とを比較して、その乗降位置が正しいか否か判断してナビゲーションに反映させているため、例えば、経路検索(ルート検索)による移動ルートの中に交通機関を利用するようなルートが存在するような場合に、ユーザに対して正しい乗降場や車両等を知らせることができ、また、交通機関の遅延などがある場合であっても、より正確且つユーザが判りやすい案内を実現可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
なお、以下の説明では、本発明のナビゲーションシステム及び方法が適用される一実施形態として、電車等の交通機関を利用した移動と徒歩や自動車、自転車等による道路等を利用した移動の際の経路検索(ルート検索)を行うナビゲーションシステムを挙げており、本発明の携帯情報端末として、本発明実施形態のナビゲーションシステムに対応した携帯電話端末を挙げている。また、以下の実施形態では、交通機関の一例として鉄道交通機関を挙げ、当該交通機関で用いられる運搬装置の一例として列車を挙げている。勿論、ここで説明する内容はあくまで一例であり、本発明はこれらの例に限定されないことは言うまでもない。
【0015】
〔システムの概略構成〕
図1には、本実施形態のナビゲーションシステムの概略構成を示す。
【0016】
本発明実施形態において、列車(電車)等を運行させている交通機関には、少なくとも、交通機関管理サーバ14と、列車・車両RFタグ12と、乗降場RFタグ13と、交通機関ネットワーク3とを備えた交通機関システムが構築されている。なお、以下の説明では、近距離無線通信の一例としてRFタグを挙げているが、本発明はこれに限定されず、より通信距離の長い、いわゆるブルートゥース方式(Bluetooth:登録商標)やUWB(Ultra Wide Band)方式、無線LAN(Local Area Network)、赤外線方式などによる近距離無線通信を用いることも可能である。
【0017】
列車・車両RFタグ12は、当該交通機関の各列車及びその列車の各車両毎に取り付けられており、各列車をそれぞれ特定するための列車固有番号の情報(本発明にかかる装置特定情報)とその列車の各車両をそれぞれ特定するための車両固有番号の情報(本発明にかかる車両特定情報)が書き込まれている。そして、当該列車・車両RFタグ12は、近距離無線通信により、それら列車固有番号と車両固有番号の情報を、常時若しくは一定時間毎に送信している。
【0018】
乗降場RFタグ13は、当該交通機関の各駅及びそれら各駅内に設けられた各ホーム(駅ホーム)とそれら各駅ホームに設けられた各乗降場毎(つまり列車の各車両にそれぞれ対応した乗降場毎)に取り付けられており、それら各駅及び各駅ホームをそれぞれ特定する駅・ホーム固有番号の情報(本発明にかかる停止位置特定情報)と、各駅ホームの各乗降場固有番号の情報(本発明にかかる車両停止位置特定情報)とが書き込まれている。そして、当該乗降場RFタグ13は、近距離無線通信により、それら駅・ホーム固有番号と各乗降場固有番号の情報を、常時若しくは一定時間毎に送信している。
【0019】
上記交通機関管理サーバ14は、その交通機関内の全ての路線における全ての列車等の運行管理及び運行制御を行うと共に、当該交通機関内の全ての駅と全ての駅ホーム及び各乗降場に設けられた乗降場RFタグ13に書き込まれる駅・ホーム固有番号及び各乗降場固有番号の管理と、当該交通機関内の全ての列車及び各車両に設けられた列車・車両RFタグ12に書き込まれる列車固有番号及び車両固有番号の管理をも行う。
【0020】
すなわち一例として、当該交通機関管理サーバ14は、全ての路線に関する情報の管理、全ての列車の運行スケジュールの作成や変更等の管理、各列車等が運行スケジュールに従って正常に運行しているかどうかの管理、例えば車両故障や信号機故障,事故,気象条件等により各列車等の運行スケジュールに乱れが生じた時の時間遅延等と正常運行スケジュールとの間の時間差分の算出、当該運行スケジュールの乱れを直して正常運行スケジュールに戻すための運行調整等を行うと共に、これら運行スケジュールにかかる各列車及び車両に割り当てられている列車固有番号及び車両固有番号の管理、当該運行スケジュールにかかる各駅及び各駅ホームと各乗降場に割り当てられている駅・ホーム固有番号と各乗降場固有番号の管理などを行う。
【0021】
交通機関ネットワーク3は、その交通機関内の様々な装置を接続するローカルエリアネットワークであり、当該ネットワーク内の装置の一つとして上記交通機関管理サーバ14が接続されている。また、交通機関ネットワーク3は、インターネット1等の外部のネットワークにも接続されている。したがって、交通機関管理サーバ14は、交通機関ネットワーク3を介して、上記インターネット1へも接続可能となされている。なお、交通機関管理サーバ14は、交通機関ネットワーク3を介さずに直接、インターネット1へ接続されていても良い。
【0022】
携帯電話端末11は、ユーザが所有する携帯電話機であり、詳細な構成については後述するが、通話機能やデータ通信機能,画像及びテキスト表示機能,音声出力機能,バイブレータ機能等のような一般的な携帯電話端末が有する機能の他に、例えばGPS等の現在地測位機能とRFタグ等との間の近距離無線通信機能をも備えている。
【0023】
携帯電話ネットワーク2は、携帯電話機が通話やデータ通信等を行うためのネットワークである。また、携帯電話ネットワーク2は、インターネット1等の外部のネットワークにも接続されている。したがって、ユーザの携帯電話端末11は、当該携帯電話ネットワーク2を通じてインターネット1へも接続可能となされている。
【0024】
経路検索サーバ10は、ユーザが電車等の交通機関を利用して移動する場合や徒歩,自動車、自転車等にて道路等を利用して移動する際の経路検索(ルート検索)サービスを提供するために、例えばインターネット1上に用意された経路検索サイトのサーバである。当該経路検索サーバ10による経路検索サービスでは、徒歩や自動車、自転車等による道路等を利用したルートや電車等の交通機関を利用したルートのみならず、それらが混在したルートの検索も可能となされており、また、交通機関を利用する移動ルートの検索時には、一つの交通機関を利用する路線検索だけでなく、複数の交通機関を跨いだ路線検索も可能となされている。
【0025】
ここで、当該経路検索サーバ10には、全ての交通機関の全路線情報とそれら各交通機関における全列車等の運行スケジュール情報が予め登録されている。なお、各交通機関において新たな路線が生成された場合や運行スケジュールの新規作成、運行スケジュールの更新等があった場合には、それらの情報が各交通機関の交通機関管理サーバ14から当該経路検索サーバ10に供給されて、上記登録されている運行スケジュールの更新等が行われる。
【0026】
また、経路検索サーバ10には、各交通機関の全駅と各駅ホームの乗降場に設けられた前記乗降場RFタグ13から近距離無線送信される前記駅・ホーム固有番号及び各乗降場固有番号の情報と、各交通機関の全ての列車の各車両に設けられた前記列車・車両RFタグ12から近距離無線送信される前記列車固有番号及び車両固有番号の情報も、予め登録されている。なお、各交通機関にて新たな駅,駅ホーム等が建設等された場合や、駅,駅ホーム等の改装,移設があった場合には、それら各交通機関の交通機関管理サーバ14からは、当該新規建設や改装,移設等による新設,更新等された乗降場RFタグ13の駅・ホーム固有番号,各乗降場固有番号が、当該経路検索サーバ10に供給される。
【0027】
また、経路検索サーバ10には、各交通機関の交通機関管理サーバ14から、例えば、運行スケジュールが正常に運行されているかどうかの情報や、運行スケジュールに乱れ等が生じた時の時間遅延等と正常運行スケジュールとの間の時間差分の情報、運行スケジュールの乱れ等により時間遅延等が発生した各列車の列車固有番号の情報、運行スケジュールの乱れ等により各列車が停車等する駅や駅ホーム,乗降場が変更された場合のそれら各列車の列車固有番号及び駅・ホーム固有番号と各乗降場固有番号の情報、運行スケジュールの乱れ等により各列車の停車時における各車両の停車位置(乗降位置)が変更された場合の各列車の車両固有番号と各乗降場固有番号の情報、例えば列車の車両編成が変更された場合のその列車の列車固有番号及び車両固有番号の情報なども供給される。その他にも、何らかの理由により運行スケジュールや列車,車両等に変更が有った場合には、その都度、各交通機関の交通機関管理サーバ14から当該経路検索サービス10に当該変更にかかる情報が供給される。
【0028】
そして、経路検索サーバ10は、例えばインターネット1を経由して、ユーザの携帯電話端末11から経路検索のための情報が入力された場合、すなわち例えば、経路検索を要求する旨の情報と出発地及び目的地の情報が入力された場合には、その出発地から目的地までの経路検索を実行する。また、経路検索サーバ10は、その出発地から目的地の間で交通機関の路線が利用可能である場合や、直接ユーザから出発駅と到着駅及び出発時刻若しくは到着時刻等の情報が入力された場合には、上述した全路線情報及び運行スケジュール情報等を用いた路線検索を実行すると共に、乗降すべき駅,駅ホーム及び乗降場と乗降すべき列車及び車両の検索、更に、それら乗降すべき駅,駅ホームの駅・ホーム固有番号及び各乗降場固有番号の検索、乗降すべき列車固有番号及び車両固有番号の検索を実行し、それら検索された路線情報と、乗降すべき駅,駅ホーム及び乗降場,乗降すべき列車及び車両の運行スケジュール情報と、それら乗降すべき駅,駅ホームの駅・ホーム固有番号及び各乗降場固有番号,列車固有番号及び車両固有番号の情報を、インターネット1等を介して上記ユーザの携帯電話端末11へ送信する。
【0029】
これにより、ユーザの携帯電話端末11は、出発地から目的地までの経路情報を得ることができ、また、その経路内で交通機関の路線を利用する場合には、その利用路線と乗降すべき駅及び駅ホーム、その駅ホームの乗降場、乗降すべき列車及び車両の運行スケジュール情報と、それら乗降すべき駅,駅ホームの駅・ホーム固有番号及び各乗降場固有番号,列車固有番号及び車両固有番号の情報を得ることができることになる。そして、携帯電話端末11は、それら情報を内部メモリ等に蓄積する。
【0030】
そして、携帯電話端末11は、ユーザからナビゲーションの開始要求があった場合には、上記経路情報,乗降駅及び駅ホームと乗降場と列車及び車両の運行スケジュール情報、駅・ホーム固有番号及び各乗降場固有番号と列車固有番号及び車両固有番号の情報を用いることにより、出発地から目的地までのナビゲーション処理を実行する。
【0031】
特に本実施形態において、ユーザが駅及びその駅ホームに居る場合、携帯電話端末11は、その駅ホームの乗降場に設けられている乗降場RFタグ13から近距離無線通信された駅・ホーム固有番号及び各乗降場固有番号と、上記内部メモリ等に蓄積している駅・ホーム固有番号及び各乗降場固有番号との比較参照により、現在ユーザが居る駅及び駅ホーム,乗降場が正しいかどうかの判断や、何れの駅ホーム及び乗降場へ行くべきかの案内等を行う。また例えば、ユーザが列車の乗降する際や乗車中である場合、携帯電話端末11は、その列車の各車両に設けられている列車・車両タグ12から近距離無線通信された列車固有番号及び車両固有番号と、上記内部メモリ等に蓄積している列車固有番号及び車両固有番号との比較参照により、現在ユーザが乗降すべき列車及び車両が正しいかどうかの判断や、何れの列車及び車両に乗降すべきかの案内等を行う。
【0032】
なお、ここでは、携帯電話端末11は、経路検索サーバ10に予めアクセスして経路の情報や運行スケジュール、乗降場固有番号や車両固有番号等を取得してメモリに保持しておく例を挙げたが、例えば、乗降場RFタグ13や列車・車両RFタグ12から情報を取得する都度、或いは、一定時間毎に、経路検索サーバ10にアクセスして最新の経路情報や運行スケジュール、乗降場固有番号や車両固有番号等を取得することで、急な運行スケジュールの変更や乱れなどに即応できるようにしても良い。
【0033】
〔携帯電話端末の概略構成〕
図2には、本発明実施形態の携帯電話端末11の概略的な内部構成例を示す。
【0034】
図2に示す携帯電話端末において、通信アンテナ42は、例えば内蔵アンテナであり通話やパケット通信のための信号電波の送受信を行う。通信回路41は、送受信信号の周波数変換、変調と復調等を行う。本実施形態の携帯電話端末は、これら通信回路41及び通信アンテナ42により、音声通話やパケット通信など行う。
【0035】
音声処理部52は、上記通信アンテナ42及び通信回路41から通話音声の受信データが供給された時には、当該通話音声の受信データを復号化し、その復号化後の通話音声データをデータラインを介してスピーカ50へ送る。これにより、スピーカ50からは通話音声が出力されることになる。また、マイクロホン51は、送話用及び外部音声集音用のマイクロホンである。このマイクロホン51を介して入力された音声信号は、増幅器により所定のレベルに増幅された後、アナログ/ディジタル変換器によりディジタル音声データに変換され、データラインを介して音声処理部52へ送られて符号化された後、データラインを介して通信回路41へ送られて変調、周波数変換等の各種処理を受け、通信アンテナ42から送信される。
【0036】
表示部43は、例えば液晶等のディスプレイとそのディスプレイの表示駆動回路とを含み、上記ディスプレイ上には電子メールの表示や写真画像等が表示される。
【0037】
画像処理部53は、待ち受け画面や、電子メール、スケジュール、カレンダー、電話帳、本実施形態にかかる経路検索のナビゲーション画面などの画像データを生成し、それら画像データをデータラインを介して表示部43のディスプレイへ送って表示させる処理を行う。
【0038】
操作部44は、本実施形態の携帯電話端末の図示しない筐体上に設けられているテンキーや発話,終話キー/電源キー等の各キーや十字キー,シャッターボタン、ジョグダイヤル,タッチパネル等の各操作子と、それら操作子が操作された時の操作信号を発生する操作信号発生器とからなる。
【0039】
GPS部54は、GPSアンテナとGPS制御部からなる。GPSアンテナは、GPS衛星の発信する電波を受信する。GPS制御部は、GPSアンテナの受信電波に基づいて、自端末の現在位置の緯度及び経度を求める。このGPS部54により得られたGPSデータ(緯度,経度を表す情報)は制御部40へ送られる。これにより、制御部40は、自端末の現在位置を知ることができると共に、例えば一定時間毎に得られたGPSデータの差分に基づいて、自端末の移動の有無、移動時の移動距離や移動速度、移動方向、移動の経路などを知ることができる。
【0040】
近距離無線通信部55は、少なくともRFタグから無線送信される信号を受信し、その受信データを制御部40へ送る。なお、近距離無線通信部55は、例えばブルートゥース方式やUWB方式、無線LAN、赤外線通信などによる近距離無線通信機能も備えている。
【0041】
メモリ部45は、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、NAND型フラッシュメモリ(NAND-type flash memory)のような書き換え可能なROMを含み、例えば、OS(Operating System)のプログラムや制御部40が各部を制御するための制御プログラム、本発明に係るナビゲーション機能を実現するためのナビゲーションプログラム49、経路検索サーバ10からナビゲーションのために供給された地図データ46,路線データ47,経路データ48の他、一般的な携帯電話端末に搭載されている各アプリケーションプログラム、各種の初期設定値、フォントデータ、各辞書データ、識別情報などを記憶する。RAMは、制御部40が各種のデータ処理を行う際の作業領域として、随時データを格納する。
【0042】
上記制御部40は、通信回路41における通信の制御、音声処理部52や画像処理部53等の各制御の他、本実施形態の携帯電話端末の各構成要素の制御や各種演算処理を行う。特に本実施形態の場合、制御部40は、メモリ部45のナビゲーションプログラム49における後述するようなナビゲーション処理の実行と制御等を行う。
【0043】
その他、図2には図示を省略しているが、本発明の携帯電話端末は、年月日時等の情報を発生したり時間を計測する時計部や、キー照明や着信ライト用などのLED(発光ダイオード)とその駆動部、バイブレータとその駆動部、各部へ電力を供給するバッテリとその電力をコントロールするパワーマネージメントIC部、いわゆる電子マネーのための情報記憶と信号の送受信を行う電子財布部、カメラ機能部など、一般的な携帯電話端末に設けられる各構成要素についても備えている。
【0044】
〔ナビゲーション処理実行時の携帯電話端末のフロー〕
図3には、本実施形態の携帯電話端末11において、メモリ部45のナビゲーションプログラム49により制御部40が実行するナビゲーション処理の概略的なフローチャートを示す。なお、図3のフローチャートは、出発地から目的地までの経路の間で交通機関を利用する場合のナビゲーション処理例を示しており、特に、交通機関を利用する部分についての基本的な処理の流れを示している。また、図3のフローチャートの例では、経路検索サーバ10での経路検索により、既に出発地から目的地までの経路情報及び地図情報等を得ており、また、その経路内で利用する交通機関の路線と乗降駅及び駅ホームの情報、駅ホームの乗降場の情報、乗降列車及び車両の運行スケジュール情報、駅・ホーム固有番号及び各乗降場固有番号,列車固有番号及び車両固有番号の情報を得ていて、それらの情報がメモリ部45に蓄積されている。
【0045】
図3において、携帯電話端末11の制御部40は、出発地から交通機関の乗車駅までの間は、ステップS1の処理として、経路検索サーバ10での経路検索結果にて得られた経路情報及び地図情報とGPS部54からのGPS情報とを用いたナビゲーションを行う。
【0046】
上記ステップS1でのナビゲーションの結果、ユーザが乗車駅に到着し、当該ユーザが乗車駅構内へ入場して駅ホーム近傍に移動したことを例えばGPS部54のGPS情報に基づいて確認すると、制御部40は、ステップS2の処理として、近距離無線通信部55を通じて、当該駅構内の駅ホームの乗降場に設けられている乗降場RFタグ13から近距離無線通信された駅・ホーム固有番号及び各乗降場固有番号の情報を取得する。
【0047】
次に、制御部40は、経路検索サーバ10での経路検索により既に取得してメモリ部45に蓄積している駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号と、上記乗降場RFタグ13から取得した駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号とを比較することにより、現在ユーザが居る駅ホーム及び乗降場が正しい乗車場であるか否かの判定を行う。つまり、制御部40は、メモリ部45の駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号と上記乗降場RFタグ13からの駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号とが一致したか否か判定する。
【0048】
そして、制御部40は、それらの番号が一致している時(正しい乗車場である時)には、例えば表示部43のディスプレイ表示やスピーカ50からの音出力、バイブレータの振動などを通じて、その乗車場は正しい旨をユーザへ通知した後、ステップS4へ処理を進める。一方、それらの番号が一致していない場合、制御部40は、例えば表示部43のディスプレイ表示やスピーカ50からの音出力、バイブレータの振動などを通じて、その乗車場は正しくない旨をユーザへ通知すると共に、正しい乗車場へユーザを導くためのナビゲーションを行い、ステップS2へ処理を戻す。
【0049】
ステップS3にて正しい乗車場であると判定されてステップS4の処理に進むと、制御部40は、各列車及び各車両毎に設けられている列車・車両RFタグ12から近距離無線通信される列車固有番号及び車両固有番号の情報を、上記近距離無線通信部55を通じて取得することを試みる。なお、この例では、ステップS3からステップS4の処理に進んだ場合に、上記列車固有番号及び車両固有番号情報の取得を直ちに開始するとしたが、例えば、乗車予定の列車の運行スケジュールに概ね一致した時刻になってから上記列車固有番号及び車両固有番号情報の取得を開始するようにしてもよい。このように、乗車予定列車の運行スケジュールに概ね一致した時刻になるまで、上記近距離無線通信部55を動作させないようにすれば、携帯電話端末11のバッテリ消費を少なくすることが可能となる。その他にも、ユーザから、操作部44を通じて、列車固有番号及び車両固有番号の情報取得指示がなされた時に、上記列車・車両RFタグ12からの列車固有番号及び車両固有番号の情報を上記近距離無線通信部55を通じて取得する動作を開始するようにしても良い。
【0050】
そして、ユーザが列車に乗車等することにより、列車・車両RFタグ12から近距離無線通信されている列車固有番号及び車両固有番号の情報を、上記近距離無線通信部55を通じて取得できた時、制御部40は、ステップS5の処理として、経路検索サーバ10での経路検索により既に取得してメモリ部45に蓄積している列車固有番号及び列車固有番号と、上記列車・車両RFタグ12から取得した列車固有番号及び車両固有番号とを比較することにより、ユーザが乗車した列車及びその車両が正しい列車及び車両であるか否かの判定を行う。つまり、制御部40は、メモリ部45の列車固有番号及び車両固有番号と上記列車・車両RFタグ12からの列車固有番号及び車両固有番号とが一致したか否か判定する。
【0051】
制御部40は、それらの番号が一致している時(正しい列車及び車両である時)には、表示部43のディスプレイ表示やスピーカ50からの音出力、バイブレータの振動などを通じて、その列車及び車両は正しい旨をユーザへ通史した後、ステップS6へ処理を進める。一方、それらの番号が一致していない場合、制御部40は、例えば表示部43のディスプレイ表示やスピーカ50からの音出力、バイブレータの振動などを通じて、その列車若しくは車両が正しくない旨をユーザへ通知すると共に、正しい列車若しくは車両へユーザを導くためのナビゲーションを行い、ステップS4へ処理を戻す。なお、列車固有番号のみ一致し、車両固有番号が一致していない場合には、ユーザに対して、正しい車両ではないことの通知や、正しい車両が何両目(次の降車場で降りるべき位置に最も近い場所に到着する車両番号の情報)であるかの通知のみを行うようにし、当該ユーザを正しい車両へ導くためのナビゲーションについては行わないようにしても良い。
【0052】
ステップS5にて正しい列車・車両であると判定されてステップS6の処理に進むと、制御部40は、当該列車が駅に停車する度に、近距離無線通信部55を通じて、乗降場RFタグ13から近距離無線通信される駅・ホーム固有番号及び各乗降場固有番号の情報を取得するための動作を行う。ここで、本実施形態において、列車が駅に停車したか否かは、例えばGPS部54のGPS情報から判断することができる。すなわち、制御部40は、GPS部54のGPS情報により自端末の移動が止まったことを検知した時に、当該列車が駅に停車したと判断し、近距離無線通信部55を通じて上記駅・ホーム固有番号及び各乗降場固有番号の情報取得動作を開始する。なお、近距離無線通信部55を通じた上記駅・ホーム固有番号及び各乗降場固有番号の情報取得動作は、当該列車の運行スケジュールを基に列車が駅に停車する時刻になった時に行うようにしても良い。但し、列車は必ずしも運行スケジュール通りに運行されるとは限らないため、運行スケジュールのみに基づいて情報取得動作を行うような場合には、運行スケジュールにより決められた駅停車時刻の前後一定時間のマージンをとって情報取得動作を行うことが望ましい。
【0053】
次に、当該列車が駅に停車等することにより、駅ホームの乗降場の乗降場RFタグ13から近距離無線通信されている駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号を、上記近距離無線通信部55を通じて取得できた時、制御部40は、ステップS7の処理として、経路検索サーバ10での経路検索により既に取得してメモリ部45に蓄積している駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号と、上記乗降場RFタグ13から取得した駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号とを比較することにより、当該列車が現在停車している駅ホーム及び乗降場が正しい降車場であるか否かの判定を行う。すなわち、制御部40は、メモリ部45の駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号と上記乗降場RFタグ13からの駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号とが一致したか否か判定する。
【0054】
そして、制御部40は、それらの番号が一致している時(正しい降車場である時)にはステップS9へ処理を進める。一方、それらの番号が一致していない場合、制御部40は、例えば表示部43のディスプレイ表示やスピーカ50からの音出力、バイブレータの振動などを通じて、未だ正しい降車場に到着していない旨をユーザへ通知し、ステップS8へ処理を進める。
【0055】
ステップS8の処理に進んだ場合、制御部40は、乗降場RFタグ13から得られている駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号と、当該路線内の各乗降場の駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号とを比較参照し、現在列車の停車している駅が、ユーザが降車すべき降車場の駅よりも当該路線上で手前であるか否かを判定する。そして、制御部40は、ユーザが降車すべき降車場の駅よりも現在の停車駅が手前であると判定した場合には、ステップS6へ処理を戻す。
【0056】
一方、ステップS8にて、ユーザが降車すべき降車場の駅よりも現在の停車駅が手前でないと判断した時、すなわち、現在の列車停車駅がユーザの降車すべき降車場駅よりも先の駅になってしまっていると判断した場合(目的降車場駅を既に過ぎてしまっている場合、経路検索で得られた停車駅以外の駅になってしまった場合も含む。)、制御部40は、例えば表示部43のディスプレイ表示やスピーカ50からの音出力、バイブレータの振動などを通じて、目的降車場駅を既に過ぎてしまったことなどをユーザへ通知すると共に、目的降車場に戻るための路線再検索を行った後、ステップS2へ処理を戻す。これにより、この場合のステップS2以降では、再検索後の路線のついて上述同様の処理が行われることになる。
【0057】
また、ステップS7で正しい降車場であると判定してステップS9の処理に進んだ場合、制御部40は、経路検索により既に取得してメモリ部45に蓄積している目的地最寄りの降車駅の駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号と、上記乗降場RFタグ13から取得した駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号とを比較することにより、その降車場駅が目的地の最寄り駅の降車場であるか否か判定する。
【0058】
そして、制御部40は、それらの番号が一致している時(目的地の最寄りの降車場駅である時)にはステップS10へ処理を進める。一方、それらの番号が一致していない場合、制御部40は、例えば表示部43のディスプレイ表示やスピーカ50からの音出力、バイブレータの振動などを通じて、当該駅は例えば乗り換え駅である旨をユーザへ通知して、ユーザに列車の乗り換え案内を行った後、ステップS2へ処理を戻す。これにより、この場合のステップS2以降では、乗り換え後の路線について上述同様の処理が行われることになる。
【0059】
ステップS9にて目的地の最寄り降車場駅であると判定してステップS10の処理に進んだ場合、制御部40は、その後、当該降車場駅から目的までについて、経路検索サーバ10での経路検索結果にて得られた経路情報及び地図情報とGPS部54からのGPS情報とを用いたナビゲーションを行う。
【0060】
〔列車乗車時の携帯電話端末と列車・車両RFタグの処理シーケンス〕
図4には、列車へ乗車する際に携帯電話端末11と列車・車両RFタグ12で行われる処理のシーケンス図を示す。なお、図4では、経路検索サーバ10と携帯電話端末11との間で予め行われる経路検索の際のシーケンスも示されている。
【0061】
図4において、経路検索が行われる際、携帯電話端末11からは、ステップS20として、例えば現在地(出発地)と目的地、現在の時刻の情報等が経路検索サーバ10へ送られ、経路検索サーバ10からは、列車への乗車時に使用される情報として、経路情報や路線情報,地図情報と共に、ステップS21のように、ユーザが乗車すべき列車固有番号及び車両固有番号を表す目的列車番号情報L1,車両番号情報L2等が携帯電話端末11へ送り返されており、当該携帯電話端末11はそれらの情報を保持している。なお、この経路検索と情報取得は、当該図4のシーケンスにおいて毎回行っても良い。
【0062】
その後、ユーザが駅及びその駅ホームに到着し、さらに当該駅ホームに例えば到着している列車に乗車することで、当該列車に設けられている列車・車両RFタグ12と近距離無線通信が可能な距離内に入った時、携帯電話端末11は、ステップS22として、その列車・車両RFタグ12から近距離無線通信されている列車固有番号及び車両固有番号である列車番号情報L3,車両番号情報L4を受信する。
【0063】
上記列車・車両RFタグ12から列車番号情報L3,車両番号情報L4を受信すると、携帯電話端末11は、ステップS23として、上記目的列車番号情報L1と列車番号情報L3とが等しいか否か判断する。そして、目的列車番号情報L1と列車番号情報L3とが一致した時、携帯電話端末11は、ステップS24として、その列車が正しい列車である旨をユーザに通知する。
【0064】
また、携帯電話端末11は、ステップS25として、上記車両番号情報L2と車両番号情報L4を比較し、例えばそれら番号が一致していない時には、上記車両番号情報L2に対応した車両が、当該車両番号情報L4に対応した車両から前若しくは後方向の何両目であるかをユーザに通知する。
【0065】
〔列車降車時の携帯電話端末と乗降場RFタグの処理シーケンス〕
図5は、列車から降車する際に携帯電話端末11と乗降場RFタグ13で行われる処理のシーケンス図を示す。なお、図5では、経路検索サーバ10と携帯電話端末11との間で予め行われる経路検索の際のシーケンスも示されている。
【0066】
図5において、前述のステップS20のように経路検索が行われて現在地(出発地)と目的地、現在の時刻の情報等が携帯電話端末11から経路検索サーバ10へ送られた場合、当該経路検索サーバ10からは、降車時に使用される情報として、前述の経路情報や路線情報,地図情報と共に、ステップS31のように、ユーザが降車すべき目的駅の駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号を表す目的降車場情報L5等が携帯電話端末11へ送り返されており、当該携帯電話端末11はそれら情報を保持している。なお、この経路検索と情報取得は、当該図5のシーケンスにおいて毎回行っても良い。
【0067】
その後、ユーザが乗車している列車が駅及びその駅ホームに到着し、当該駅ホームの各乗降場に設けられている乗降場RFタグ13と近距離無線通信が可能な距離内に入った時、携帯電話端末11は、ステップS32として、その乗降場RFタグ13から近距離無線通信されている駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号を表す停車場情報L6を受信する。
【0068】
上記乗降場RFタグ13から停車場情報L6を受信すると、携帯電話端末11は、ステップS33として、上記目的降車場情報L5と上記停車場情報L6とが等しいか否か判断する。そして、目的降車場情報L5と停車場情報L6とが一致した時、携帯電話端末11は、ステップS34として、その停車場が目的の降車場である旨をユーザに通知する。なお、目的降車場情報L5と停車場情報L6とが一致していない場合、携帯電話端末11は、その旨をユーザに通知することになる。
【0069】
〔目的降車場を通過した場合の携帯電話端末と乗降場RFタグの処理シーケンス〕
図6は、目的降車場を通過してしまった際の携帯電話端末11と乗降場RFタグ13で行われる処理のシーケンス図を示す。なお、図6では、経路検索サーバ10と携帯電話端末11との間で予め行われる経路検索の際のシーケンスも示されている。
【0070】
図6において、前述の図5で説明したように経路検索が行われて現在地(出発地)と目的地、現在の時刻の情報等が携帯電話端末11から経路検索サーバ10へ送られた場合(ステップS20)、当該経路検索サーバ10からは、前述の経路情報や路線情報,地図情報と共に目的降車場情報L5が携帯電話端末11へ送り返されており(ステップS31)、当該携帯電話端末11はそれら情報を保持している。なお、この経路検索と情報取得は、当該図6のシーケンスにおいて毎回行っても良い。
【0071】
その後、ユーザが乗車している列車が駅及びその駅ホームに到着し、その駅ホームの乗降場に設けられている乗降場RFタグ13から近距離無線通信されている停車場情報L6を携帯電話端末11が受信して、その停車場情報L6と目的降車場情報L5とが等しいか否か判断した際に、ステップS43のように、その停車場情報L6にて表される駅が、目的降車場情報L5にて表される駅よりも、路線上で先の駅であることが判った場合、携帯電話端末11は、ステップS44として、現在地と目的地、現在の時刻の情報等を経路検索サーバ10へ送る。
【0072】
これにより、経路検索サーバ10では、経路の再検索が行われ、当該経路検索サーバ10からは、新たな経路情報や路線情報,地図情報等と共に、ステップS45のように、ユーザが乗車し直すべき列車固有番号及び車両固有番号を表す目的列車番号情報L1’,車両番号情報L2’等が携帯電話端末11へ送り返される。これにより、その後の携帯電話端末11は、それらの情報を用いて図4及び図5で説明したようなナビゲーション処理を行うことになる。なお、当該経路の再検索時において、携帯電話端末11内に既に保持されている経路情報や路線情報、地図情報を利用可能である場合には、上述のような新たな経路情報や路線情報、地図情報を再取得しないようにすることも可能である。
【0073】
〔まとめ〕
以上説明したように、本実施形態によれば、各交通機関の駅及び駅ホームの各乗降場と各列車及び車両にはRFタグ12,13が取り付けられており、それらRFタグ12,13からは、上記交通機関の各駅及び各駅ホームの各乗降場と各列車及び各車両をそれぞれ個々に識別可能にするための駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号と列車固有番号及び車両固有番号が、近距離無線通信により送信されるシステムが構築されている。
【0074】
そして、出発地から目的地までの間に例えば列車等の交通機関を利用するようなナビゲーションが行われる場合、携帯電話端末11は、当該交通機関の利用路線の駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号と列車固有番号及び車両固有番号等を経路検索サーバ10から予め取得して保持し、実際に当該路線を利用する際には、当該交通機関のRFタグ12,13から上記駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号と列車固有番号及び車両固有番号等を逐次取得し、そのRFタグ12,13から取得した駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号と列車固有番号及び車両固有番号と、上記経路検索サーバ10から取得済みの駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号と列車固有番号及び車両固有番号とを比較して、正しい駅・ホーム及び乗降場と列車及び車両であるかを判断する。
【0075】
これにより、本実施形態の携帯電話端末11は、ユーザが正しく乗降車できるようなナビゲーションを実現可能であり、さらには、降車時に便利な位置で降車できるように、乗車時の車両や乗車位置のナビゲーションをも実現可能となっている。したがって、ユーザは、例えば駅ホーム等で列車情報の確認や交通機関関係者に問い合わせるようなことを行わなくても正しく目的地まで辿り着くことが容易となる。
【0076】
また、本実施形態によれば、例えば交通機関の遅延など予期せぬ事象が発生した場合には、交通機関管理サーバ14にて運行スケジュールの調整等が行われると共にその運行スケジュールの調整に対応して駅・ホーム固有番号及び乗降場固有番号,列車固有番号及び車両固有番号等の更新も行われ、さらに、経路検索サーバ10においてもそれら運行スケジュールの調整や各番号の更新等が反映される。このため、上記交通機関の遅延など予期せぬ事象が発生した場合であっても、経路検索サーバ10は、ユーザの携帯電話端末11に対しては現時点の交通機関の状況に合わせた適切な経路検索サービスを提供可能となり、したがって、携帯電話端末11ではユーザを正確にナビゲーションすることが可能となる。
【0077】
なお、上述した実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0078】
上述の実施形態では、交通機関の一例として列車を挙げたが、本発明はバス等、その他の交通機関を利用する経路検索とナビゲーションにも適用可能である。
【0079】
また、本実施形態では、本発明に係る携帯情報端末として携帯電話端末を挙げたが、携帯情報端末はパーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明実施形態のナビゲーションシステムの概略構成を示す図である。
【図2】本発明実施形態の携帯電話端末の概略的な内部構成例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の携帯電話端末において行われるナビゲーション処理の概略的なフローチャートである。
【図4】ユーザが列車へ乗車する際に携帯電話端末と列車・車両RFタグで行われる処理のシーケンスを示す図である。
【図5】ユーザが列車から降車する際に携帯電話端末と乗降場RFタグで行われる処理のシーケンス図を示す。
【図6】ユーザが目的降車場を通過してしまった際の携帯電話端末と乗降場RFタグで行われる処理のシーケンス図を示す。
【符号の説明】
【0081】
1 インターネット、2 携帯電話ネットワーク、3 交通機関ネットワーク、10 経路検索サーバ、11 携帯電話端末、12 列車・車両RFタグ、13 乗降場RFタグ、14 交通機関管理サーバ、40 制御簿、41 通信回路、42 通信アンテナ、43 表示部、44 操作部、45 メモリ部、46 地図データ、路線データ、48 経路データ、49 ナビゲーションプログラム、50 スピーカ、51 マイクロホン、52 音声処理部、53 画像処理部、54 GPS部、55 近距離無線通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通機関にて使用される各運搬装置に搭載され、少なくとも当該運搬装置を特定する装置特定情報を近距離無線通信により送信する装置特定情報送信部と、
上記交通機関にて使用される運搬装置が移動を停止する位置に設けられ、当該運搬装置の移動停止位置を特定する位置特定情報を近距離無線通信により送信する位置特定情報送信部と、
少なくとも交通機関を利用する移動経路を検索し、当該移動経路の情報と共に、その移動経路内で利用する運搬装置に対応した装置特定情報とその運搬装置の移動停止位置に対応した位置特定情報とを、携帯情報端末へ提供する経路検索部と、
上記経路検索部から提供された移動経路情報に基づくナビゲーションを行う際に、上記装置特定情報送信部から送信された装置特定情報を受信した時には、当該受信した装置特定情報と上記経路検索部から提供された装置特定情報との比較により、運搬装置の正否判定を行ってナビゲーションに反映させ、上記位置特定情報送信部から送信された位置特定情報を受信した時には、当該受信した位置特定情報と上記経路検索部から提供された位置特定情報との比較により、運搬装置の移動停止位置の正否判定を行ってナビゲーションに反映させる携帯情報端末とを有する、
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
上記運搬装置は複数の車両により構成され、
上記装置特定情報は、上記運搬装置を構成する各車両を個々に特定する車両特定情報を含み、
上記位置特定情報は、上記運搬装置を構成する各車両が停止する位置を個々に特定する車両停止位置特定情報を含むことを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
上記交通機関の各運搬装置の運行スケジュール情報と上記装置特定情報及び位置特定情報を管理する交通機関管理部を有し、
上記経路検索部は、上記交通機関管理部から取得した運行スケジュール情報と装置特定情報及び位置特定情報を用いて上記移動経路の検索を行うことを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
上記携帯情報端末は、運搬装置の移動停止位置の正否判定により、当該運搬装置の現在の移動停止位置が、上記経路検索部から提供された移動経路情報内の停止位置に含まれないことの正否判定結果を得た時には、上記経路検索部に対して上記移動経路の再検索を要求することを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
少なくとも交通機関を利用する移動経路を検索し、当該移動経路の情報と共に、その移動経路内で利用する運搬装置を特定する装置特定情報とその運搬装置の移動停止位置を特定する位置特定情報とを、経路検索部が携帯情報端末へ提供するステップと、
上記経路検索部から提供された移動経路情報に基づいて携帯情報端末がナビゲーションを行う際に、当該携帯情報端末が、上記運搬装置に搭載された装置特定情報送信部から近距離無線通信により送信された装置特定情報を受信した時には、当該受信した装置特定情報と上記経路検索部から提供された装置特定情報との比較により、その運搬装置の正否判定を行ってナビゲーションに反映させるステップと、
上記経路検索部から提供された移動経路情報に基づいて携帯情報端末がナビゲーションを行う際に、当該携帯情報端末が、上記運搬装置の移動停止位置に設けられた位置特定情報送信部から近距離無線通信により送信された位置特定情報を受信した時には、当該受信した位置特定情報と上記経路検索部から提供された位置特定情報との比較により、その運搬装置の移動停止位置の正否判定を行ってナビゲーションに反映させるステップとを有する、
ことを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項6】
少なくとも交通機関を利用する移動経路の情報と共に、その移動経路内で利用する運搬装置を特定する装置特定情報とその運搬装置の移動停止位置を特定する位置特定情報とを、経路検索部から取得する経路検索情報取得部と、
近距離無線通信による送信信号を受信する近距離無線通信部と、
上記経路検索部から提供された移動経路情報に基づくナビゲーションを行う際に、交通機関にて利用する運搬装置に搭載された装置特定情報送信部から近距離無線通信により送信された、当該運搬装置を特定する装置特定情報を上記近距離無線通信部が受信した時には、その受信した装置特定情報と上記経路検索部から取得した装置特定情報との比較により、当該運搬装置の正否判定を行ってナビゲーションに反映させ、運搬装置が移動を停止する位置に設けられた位置特定情報送信部から近距離無線通信により送信された、当該運搬装置の移動停止位置を特定する位置特定情報を上記近距離無線通信部が受信した時には、その受信した位置特定情報と上記経路検索部から取得した位置特定情報との比較により、当該運搬装置の移動停止位置の正否判定を行ってナビゲーションに反映させるナビゲーション実行部とを有する、
ことを特徴とする携帯情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−238894(P2008−238894A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80216(P2007−80216)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】