説明

ナビゲーション地図生成システム

【課題】好適なナビゲーション地図生成システムを提供すること。
【解決手段】電子地図の地図的特徴をシミュレートするシステムが提供される。このシステムは、電子地図の地図的特徴を表すために、クロソイドのような1つ以上の幾何学形状を使用する。このシステムは、直線のシステムよりも正確で写実的に地図的特徴を記述することができる。このシステムは、データを直線システムからクロソイドシステムに変換するためのデータモデル及び方法を含むことができる。また、このシステムは、電子地図の地図的特徴を記述するために必要とされる記憶容量を低減することができる。電子地図は、広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、無線又は有線ネットワーク、イントラネット又はインターネットのようなコンピュータネットワーク上で表示することができる。このシステムは、ナビゲーションシステムのような他のシステムと共に使用することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、「ナビゲーション地図を生成するための装置及び方法」と題された米国特許出願番号10/142,279号の部分継続出願として優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、地図的特徴のマッピングに関し、より具体的にはナビゲーションシステムと共に使用する、或いはコンピュータネットワーク上で表示することができる電子地図に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
電子地図を使用してユーザを目的地へ案内するのを支援するような道案内用ナビゲーションシステムの使用が、益々盛んになっている。このような道案内用ナビゲーションシステムは、典型的には道路、建物、公園、及び河川のような地図上の地図的特徴に関するデータを格納するために、コンパクトディスク(CD)又はデジタルビデオディスク(DVD)のような媒体を使用する。ナビゲーションシステムと地球投影位置決定システム(GPS)の結合により、多くの応用分野についてナビゲーションシステムの使用が実用化された。GPSベースのナビゲーションシステムは、種々の乗物において並びにユーザの携帯装置においても見ることができる。
【0004】
公知のナビゲーションシステムは、典型的には電子地図を使用して、直線によって接続された一連の点を保存して呼び出すことにより地図的特徴を表す。しかしながらこの形式の表現は、多くの欠点を含む。例えば、道路や河川は実際には一連の直線から構成されておらず、むしろ一連の滑らかな曲線から構成されている。その結果、ユーザに対してディスプレイ装置上で図形情報を表示するナビゲーション地図は、通常は地図細部の特徴を高度に正確には示していない。地図詳細部をより正確に表現することを企図して、地図細部を表現するために使用される直線線分の数を増すことができる。しかしながら、線分数の増加は、地図的特徴を正確に表現するために格納されなくてはならないデータの量を大幅に増大させることになる。従って、大容量の記憶装置を必要とすることなく、地図的特徴の表示情報を正確にモデル化し表示する、ナビゲーションシステム用のマッピングシステムに対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の開示)
地図上の地図的特徴を電子的な形態で表すために、クロソイドのような幾何学形状を使用することができる。地図は、分散型のナビゲーションシステムと接続されて、或いは通信ネットワークに接続されたナビゲーションシステムによって使用されることができる。このシステムは、クロソイドを用いて地図的特徴を表すナビゲーション用地図データを含むことができる。道路、鉄道線路、河川、湖等のような地図的特徴は、1つ又はそれ以上のクロソイドによって表すことができる。
【0006】
一連の直線によって地図的特徴を表すのではなく、点によって接続された一連のクロソイドによって地図的特徴を表すことができる。クロソイドは、始点と始点曲率と終点と終点曲率とにより表すことができる。従って、一連の直線を用いて地図的特徴を表す公知のシステムと比べた時に、ナビゲーション用地図のパラメータを格納するのに要する記憶装置の量を低減することができる。同様に、システムに必要な記憶装置容量を増やす必要性を最少化すると共に、ナビゲーション用地図の精度を向上させることができる。
【0007】
ナビゲーションシステムは、複数のセンサからセンサデータを受け取って、該ナビゲーションシステムのディスプレイ装置上でユーザに対して地図を発生させることができる。ナビゲーションシステムは、記憶装置内に記憶された道路又は他の地図的特徴を、データモデルにおけるクロソイドの形態で表す地図データを含むことができる。また、このシステムは、ユーザの現在位置に対応するGPSシステムからのデータのようなセンサデータを受け取るナビゲーション処理装置を含むことができる。システムは、センサデータと関係付けられた地図データを記憶装置に要求して、地図データから地図画像を計算することができる。地図上におけるユーザの現在位置を示すためにユーザに対し地図画像を表示することができる。
【0008】
本発明の他のシステム、方法、特徴、及び利点は、添付図面と以下の詳細な説明を吟味することにより当業者には明らかになるであろう。本明細書に含まれるこのような追加的なシステム、方法、特徴、及び利点の全ては、本発明の範囲内に含まれ、添付の請求項によって保護されるべきである。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1) 電子地図の地図的特徴を表すことができるデータモデルであって、第1のクロソイド経路を含み、該経路が前記地図的特徴を表す少なくとも1つのクロソイド区分を有するデータモデル。
(項目2) 前記第1のクロソイド経路が、接続点において接続された少なくとも2つのクロソイド区分を含むことを特徴とする項目1に記載のデータモデル。
(項目3) 前記第1のクロソイド経路と第2のクロソイド経路との間の連結部に形成される交差点を更に含む項目1に記載のデータモデル。
(項目4) 前記第1のクロソイド経路が主要経路を含み、第2のクロソイド経路が補助経路を含むことを特徴とする項目3に記載のデータモデル。
(項目5) 前記主要経路が曲率を含み、前記補助経路が曲率を含むことを特徴とする項目4に記載のデータモデル。
(項目6) 前記主要経路の曲率が、交差点において前記補助経路の曲率を含むことを特徴とする項目5に記載のデータモデル。
(項目7) 前記第1のクロソイド経路が第1の主要経路を含み、前記第2のクロソイド経路が第2の主要経路を含むことを特徴とする項目3に記載のデータモデル。
(項目8) 前記第1の主要経路が曲率を含み、前記第2の主要経路が曲率を含むことを特徴とする項目7に記載のデータモデル。
(項目9) 交差点において、前記第1の主要経路の曲率が前記第2の主要経路の曲率と異なることを特徴とする項目8に記載のデータモデル。
(項目10) 電子地図の地図的特徴を表す方法であって、少なくとも1つのクロソイド区分を含む第1のクロソイド経路を用いて地図的特徴を表す段階を含む方法。
(項目11) 前記第1のクロソイド経路と第2のクロソイド経路との間の連結部において交差点を生成する段階を更に含む項目10に記載の方法。
(項目12) 第1のクロソイド経路が主要経路を含み、前記第2のクロソイド経路が補助経路を含むことを特徴とする項目11に記載の方法。
(項目13) 前記主要経路が曲率を含み、前記補助経路が曲率を含むことを特徴とする項目12に記載の方法。
(項目14) 前記主要経路の曲率が、交差点において前記補助経路の曲率と等しいことを特徴とする項目13に記載の方法。
(項目15) 前記第1のクロソイド経路が第1の主要経路を含み、前記第2のクロソイド経路が第2の主要経路を含むことを特徴とする項目11に記載の方法。
(項目16) 前記第1の主要経路が曲率を含み、前記第2の主要経路が曲率を含むことを特徴とする項目15に記載の方法。
(項目17) 前記第1の主要経路の曲率が、交差点において前記第2の主要経路の曲率と異なることを特徴とする項目16に記載の方法。
(項目18) 電子地図内で表される地図的特徴を変換する方法であって、
地図的特徴の少なくとも一部を少なくとも1つのクロソイド区分に変換する段階と、
前記クロソイド区分が前記地図的特徴の一部を表していることを確認する段階と、
を含む方法。
(項目19) 前記変換する段階が、直線データモデルをクロソイドデータモデルに変換する段階を含む項目18に記載の方法。
(項目20) 前記確認する段階が、前記直線データモデルにおける少なくとも1つの点と、前記クロソイドデータモデルにおける最も近い点との間の距離を求める段階を含む項目19に記載の方法。
(項目21) 前記距離を求める段階が、元の空間内に位置する少なくとも1つの点を、単位クロソイド空間内に位置する変換された点に変換する段階を含む項目20に記載の方法。
(項目22) 前記距離を求める段階が、少なくとも1つの点と単位クロソイドとの間の距離を求める段階を更に含む項目21に記載の方法。
(項目23) 前記距離を求める段階が、
変換された点が位置する前記単位クロソイド空間内の領域を判定する段階と、
前記求められた領域に従って前記単位クロソイド上の境界を選択する段階と、
定められた距離を識別するために、前記境界を反復的に調節する段階と、
を含む項目22に記載の方法。
(項目24) 前記選択された境界に従ってサンプル境界を計算する段階と、
前記サンプル境界と前記変換された点との間の距離を計算する段階と、
前記サンプル境界を調節する段階と、
前記距離を計算する段階を続行すべきか否かを判定する段階と、
を更に含み、
計算が完了している場合には、前記サンプル境界と前記変換された点との間の計算された前記距離が前記定められた距離を含み、計算が完了していない場合には、新たなサンプル境界を計算して、新たな該サンプル境界と前記変換された点との間の距離を計算する項目23に記載の方法。
(項目25) 前記反復は、定められた量の反復が完了した時に完了する項目23に記載の方法。
(項目26) 前記反復は、前記サンプル境界と前記点との間の距離が定められた許容可能な誤差値内である時に完了する項目23に記載の方法。
(項目27) 距離を求める段階が、求められた前記距離を前記元の空間における距離に変換する段階を更に含む項目23に記載の方法。
(項目28) 距離を求める段階が、求められた前記距離を前記元の空間における距離に変換する段階を更に含む項目23に記載の方法。
(項目29) クロソイドと点との間の距離を計算するための方法であって、
元の空間内に位置する地図的特徴の少なくとも1つの点を、単位クロソイド空間内に位置する変換された点に変換する段階と、
前記変換された点が位置する前記単位クロソイドの領域の境界を選択する段階と、
前記境界と前記変換された点との間の距離の関数として前記境界を調節して、前記地図的特徴の少なくとも1つの点を表すクロソイド区分を識別する段階と、
を含む方法。
(項目30) 前記計算は、定められた量の反復が完了した時に完了する項目29に記載の方法。
(項目31) 前記計算は、サンプル境界と前記点との間の距離が定められた許容可能な誤差値内である時に完了する項目29に記載の方法。
(項目32) 前記距離を前記元の空間における変換された距離に変換する段階を更に含む項目29に記載の方法。
(項目33) 前記距離がナディアを含むことを特徴とする項目29に記載の方法。
(項目34) 計算された前記距離を用いて、前記クロソイド区分が前記地図的特徴の少なくとも一部を正確に表していることを確認する段階を更に含む項目29に記載の方法。
(項目35) ナビゲーション用アプリケーションは、計算された前記距離を利用して、地図的特徴と特定位置との間の距離を求めることを特徴とする請求項34に記載の方法。
(項目36) ナビゲーション用アプリケーションを実行するために、プロセッサを設ける段階を更に含む項目35に記載の方法。
(項目37) 前記特定位置が、プロセッサの位置を含むことを特徴とする項目35に記載の方法。
(項目38) プロセッサが乗物内に配置さえていることを特徴とする請求項37に記載の方法。
(項目39) 電子地図の地図的特徴を表示することのできるナビゲーションシステムであって、
電子地図の地図的特徴を表すことができるデータモデルを処理し、該データモデルが前記地図的特徴を表す少なくとも1つのクロソイド区分を有するクロソイド経路を含む、プロセッサと、
電子地図上に地図的特徴を表示するためのディスプレイ装置と、
を含むことを特徴とするナビゲーションシステム。
(項目40) 前記プロセッサによりアクセス可能なナビゲーション用アプリケーションを更に含むことを特徴とする項目39に記載のナビゲーションシステム。
(項目41) ナビゲーション用アプリケーションが、地図的特徴と特定位置との間の距離を求めることを特徴とする項目40に記載のナビゲーションシステム。
(項目42) 前記特定位置が、前記プロセッサの現在の地理的位置を含むことを特徴とする項目41に記載のナビゲーションシステム。
(項目43) 前記プロセッサが乗物内に配置されていることを特徴とする項目42に記載のナビゲーションシステム。
(項目44) ネットワークを介して地図データにアクセスするためのサーバコンピュータを更に含むことを特徴とする項目39に記載のナビゲーションシステム。
(項目45) 前記ディスプレイ装置を用いて、前記クロソイドに沿った経路、位置、及び軌道の内の少なくとも1つを動的に表示するために、前記プロセッサと共に作動可能なセンサを更に含むことを特徴とする項目39に記載のナビゲーションシステム。
(項目46) 地図的特徴の少なくとも一部を、該地図的特徴を表す少なくとも1つのクロソイド区分に変換するためのプロセッサと、
前記クロソイド区分を表すデータを含む記憶装置と、
を含み、
前記プロセッサが、前記記憶装置内の前記データをクロソイドデータモデルに構成することを特徴とするデータ処理装置。
(項目47) 前記プロセッサは、前記クロソイド区分が前記地図的特徴の一部を正確に表していることを確認することを特徴とする項目46に記載のデータ処理装置。
(項目48) 前記プロセッサは、前記地図的特徴の直線データモデルを前記クロソイドデータモデルに変換することを特徴とする項目46に記載のデータ処理装置。
(項目49) 点とクロソイドとの間の最も近い距離を求めることができるデータ処理システムであって、
(i)元の空間内に位置する点を単位クロソイド空間内に位置する変換された点に変換し、(ii)前記変換された点が位置する前記単位クロソイド空間内の領域を判定し、(iii)前記判定された領域に従って前記単位クロソイド上の境界を選択し、(iv)前記選択された境界に従ってサンプル境界を計算し、(v)該サンプル境界と前記点との間の距離を計算し、(vi)前記サンプル境界を調節し、(vii)一連の反復が完了したか否かを判定し、(viii)一連の反復が完了した場合には、前記サンプル境界と前記点との間の計算された前記距離は定められた距離を含み、一連の反復作業が完了していない場合には、新たなサンプル境界を計算して(v)へ戻るように構成されたプロセッサを含むことを特徴とするデータ処理システム。
(項目50) 一連の前記反復は、定められた量の反復が完了した時に完了することを特徴とする項目49に記載のデータ処理システム。
(項目51) 一連の前記反復は、前記サンプル境界と前記点との間の距離が定められた許容可能な誤差値内である時に完了することを特徴とする項目49に記載のデータ処理システム。
(項目52) 前記プロセッサが、前記計算された距離を前記元の空間における変換された距離に変換することを特徴とする項目49に記載のデータ処理システム。
(項目53) ナビゲーション用アプリケーションを更に含むことを特徴とする項目49に記載のデータ処理システム。
(項目54) 前記ナビゲーション用アプリケーションが、前記計算された距離を利用して、地図的特徴と特定点との間の距離を求めることを特徴とする項目53に記載のデータ処理システム。
(項目55) 前記プロセッサが、前記ナビゲーション用アプリケーションを実行することを特徴とする項目54に記載のデータ処理システム。
(項目56) 前記特定点が、プロセッサの現在の地理的位置を含むことを特徴とする項目55に記載のデータ処理システム。
(項目57) 前記プロセッサが乗物と共に配置されていることを特徴とする項目56に記載のデータ処理システム。
(項目58) 電子地図上に地図的特徴を表示することができるコンピュータプログラムであって、
データモデルから電子地図の地図的特徴を表すためにプロセッサによって実行可能であり、前記データモデルが前記地図的特徴を表す少なくとも1つのクロソイド区分を有するクロソイド経路を含む、プログラムコードと、
前記電子地図上に地図的特徴を表示するためにプロセッサによって実行可能なプログラムコードと、
を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
(項目59) 前記プログラムコードが、前記地図的特徴と特定点との間の距離を計算することができることを特徴とする項目58に記載のコンピュータプログラム。
(項目60) 前記特定点が、地球投影位置決定衛星装置によって提供される現在の地理的位置を含むことを特徴とする項目59に記載のコンピュータプログラム。
(項目61) 前記プロセッサが乗物と共に配置されていることを特徴とする項目60に記載のコンピュータプログラム。
(項目62) 電子地図内で具現化される地図的特徴であって、
前記地図的特徴の少なくとも一部を表す少なくとも1つのクロソイド区分を含むクロソイド経路を含み、前記クロソイド区分が、少なくとも1つのXY座標と曲率とを使用して記述されることを特徴とする地図的特徴。
(項目63) 前記クロソイド区分が、始点と始点曲率と終点と終点曲率とを含むことを特徴とする項目62に記載の地図的特徴。
(項目64) 前記クロソイド区分が、始点曲率と終点曲率と長さとを用いて記述されることを特徴とする項目62に記載の地図的特徴。
(項目65) 交差するクロソイド経路間の連結部に形成される交差点を更に含むことを特徴とする項目64に記載の地図的特徴。
(項目66) 主要経路と補助経路とを更に含むことを特徴とする項目65に記載の地図的特徴。
(項目67) 前記主要経路が曲率を含み、補助経路が曲率を含むことを特徴とする項目66に記載の地図的特徴。
(項目68) 前記主要経路の曲率が、前記交差点において前記補助経路の曲率を含むことを特徴とする項目67に記載の地図的特徴。
(項目69) 第1の主要経路と第2の主要経路とを更に含むことを特徴とする項目65に記載の地図的特徴。
(項目70) 前記第1の主要経路が曲率を含み、前記第2の主要経路が曲率を含むことを特徴とする項目69に記載の地図的特徴。
(項目71) 前記第1の主要経路の曲率が、前記交差点において前記第2の主要経路の曲率と異なることを特徴とする項目70に記載の地図的特徴。
(項目72) 前記クロソイド区分が、直線、曲線、円、及びスプラインの内の少なくとも1つのを表すことを特徴とする項目62に記載の地図的特徴。
(項目73) 複数のクロソイド区分が、円と直線との内の少なくとも1つを表すことを特徴とする項目62に記載の地図的特徴。
(項目74) 前記クロソイド経路が、接続点において接続された少なくとも2つのクロソイド区分を含み、前記クロソイド区分の各々の曲率と進行方向とが、前記接続点において等しいことを特徴とする項目62に記載の地図的特徴。
(項目75) 前記クロソイド経路が、少なくとも2つのクロソイド区分を含むことを特徴とする項目62に記載の地図的特徴。
(項目76) 複数のクロソイド区分が、連結されて地図的特徴を形成することを特徴とする項目75に記載の地図的特徴。
(項目77) 少なくとも1つの直線によって表される地図的特徴を含む電子地図を、少なくとも1つのクロソイド区分によって表される地図的特徴に変換するための手段を更に含むことを特徴とする項目62に記載の地図的特徴。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付図面を参照しながら以下の説明を読むことにより、本発明は一層よく理解することができる。図面中の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理を説明するために強調されている。更に全ての図面を通して、同じ参照符号は対応する部分を示している。
【図1】ディスプレイ装置上に地図を生成するために地図データを利用するナビゲーションシステムを示すブロック図である。
【図2】ディスプレイ装置上に地図を生成するために地図データを利用するコンピュータネットワークシステムを示すブロック図である。
【図3】クロソイドを示すグラフである。
【図4】移動距離に対する曲率の関係を示すグラフである。
【図5】地図的特徴を表すために点によって互いに連結された1対のクロソイド区分を示す図である。
【図6】図5に示す地図的特徴を直線線分により表した図である。
【図7】クロソイドを基準化するために、クロソイドのセカントに対するベクトルの関係を示すグラフである。
【図8】クロソイドの数学的に使用可能な部分を示すグラフである。
【図9】クロソイド経路を示すグラフである。
【図10】クロソイドのグラフの幾つかの領域への分割を示すグラフである。
【図11】交差した2つの経路を示す図である。
【図12】交差した2つの主要経路と1つの補助経路とを示す図である。
【図13】直線により接続された点によって道路を表した地図を示す図である。
【図14】図13の地図よりも少数の点によって道路を表し、該点は求められた曲率を含む線によって接続されている地図である。
【図15】ナディアとクロソイドから1つの点までの距離の判定を表したフローチャートである。
【図16】クロソイドのグラフを複数領域に分割することを用いて、点までの距離を求めることを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明を実施するための最良の形態)
クロソイド(コルニュ螺旋又はオイラーの螺旋としても知られている)のような幾何学形状は、電子地図上の地図的特徴を表現するのに使用することができる。この地図は、ナビゲーションシステム、或いは携帯用情報端末(PDA)又は家庭用コンピュータのような電子地図を用いる他のシステムと共に使用することができる。また、このような地図は、無線ネットワーク、広域ネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット及びインターネットのようなコンピュータネットワークを介してアクセスすることも可能である。このナビゲーションシステムは、携帯用システム内で使用することができ、或いは自動車、トラック、農作業機械、鉱山機械、ゴルフカート、及び移動ロボットのような乗物用に使用することができる。また、これらのナビゲーションシステムは、船舶のための周知の航路、航空機のための周知の飛行経路を作図するのに使用することができ、或いは航空機又は宇宙船の自動操縦装置と共に使用してもよい。「地図的特徴」又は「地図特徴」という用語は、道路、鉄道線路、公園、建物、河川等のような電子地図上に描くことができるどのような属性をも含むものとして広義に解釈されるべきである。
【0011】
図1は、地図を作成し及び発生させるために地図データを利用するナビゲーションシステム100を示すブロック図である。このナビゲーションシステム100は、単に説明の目的で使用されているに過ぎず、ナビゲーション地図システムとは異なる他のシステムを使用してもよい。ナビゲーションシステム100は、ディスプレイ装置110、ナビゲーション処理装置120のようなプロセッサ、ナビゲーション地図データ130、入力装置140、及び少なくとも1つのセンサ150を含むことができる。ディスプレイ装置110は、ユーザに対して地図を発生させるのに使用することができる。ディスプレイ装置110には、液晶ディスプレイ(LCD),陰極線管(CRT)、ヘッドアップディスプレイ、又は他の形式のディスプレイ装置を含むことができる。
【0012】
ディスプレイ装置110は、ナビゲーション地図データ130にアクセスして処理することができるナビゲーション処理装置120と接続されて、ユーザに対し地図を表示することができる。ユーザは、入力装置140を介して、情報を要求し、またナビゲーションシステム100とインターフェースをとることができる。ナビゲーションシステム100は、通信リンク、地球投影位置決定衛星(GPS)、基地局、又は他の送信システムのような、他の機構及び装置を含むことができる。
【0013】
ナビゲーション地図データ130は、クロソイドのような1つ又はそれ以上の幾何学形状によって表現することができる地図的特徴に関するデータを含むことができる。更に、一連のクロソイドを使用して、一連の直線の配列を用いた表現よりもより正確で写実的に道路や他の地図的特徴の実際のパターンを表すことができる。クロソイドを使用することにより、地図上の位置表示の正確さを向上させることができる。正確な位置は、2つの直線が連結する点だけでなく、道路のコース全体にわたって存在する。又、少なくとも1つのクロソイドによる地図的特徴の表は、地図的特徴を表現するために一連の直線を用いるシステムよりも少数のパラメータしか必要としないことから、従って記憶装置の記憶空間を節約することが可能である。
【0014】
センサ150は、ナビゲーション地図データ130と関係付けて使用して、ユーザの軌道と位置(例えば、経路)とを感知した状態を自動的に維持することができる。センサ150は、タイヤの回転速度を測定するためのホイールカウンタ、乗物の位置を測定するためのGPS装置、乗物が方向を変えた時や、航空機のための飛行データや、船舶のための現在の航行方向及び速度に関するデータ等を測定するためのジャイロを含むことができる。また、ナビゲーション処理装置120は、センサ及びナビゲーション地図データ130からの情報にアクセスして、今後の予測経路を表すことができる予測経路データを計算することができる。例えば、ディスプレイ装置は、現在のデータに基づいて今後の移動範囲をある程度示すことができる。また、ナビゲーション処理装置120は、センサ150とナビゲーション地図データ130とを利用して、到着推定時間、経路に関する方向、又は乗物の動きに関する他の任意の動的パラメータのような、経路に関する他の機能を実行することもできる。
【0015】
図2は、コンピュータネットワークシステム200に接続されたナビゲーションシステムを示すブロック図である。このコンピュータネットワークシステム200は、地図データを送受することができ、これによりユーザが少なくとも1つのクライアント210から地図にアクセスすることが可能となる。クライアント210は、ネットワークを介してサーバ220に接続されている。サーバ220は、コンピュータ読取り可能コードを実行するプロセッサ又はコンピュータを含むことができる。このネットワークは、WAN、LAN、イントラネット及び/又はインターネットのような、無線及び/又は有線の通信リンクを含むことができる。サーバ220は、データを送るためにネットワーク又は他の任意の通信路を介してナビゲーション処理装置120に接続されることができる。ナビゲーション処理装置120により、地図又は地図データをサーバ220と送受することができる。ナビゲーション処理装置120は記憶装置を含むことができ、ナビゲーション地図データ130を格納するために遠隔データ記憶装置130と通信することができる。
【0016】
コンピュータ及びナビゲーションシステムは、上述の諸機能を行うための命令を実行するプロセッサを含むことができる。この命令は、プロセッサによってアクセス可能な記憶装置内に格納されたプロセッサ読取り可能コードの形態とすることができる。実行可能なコードは、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア、又はこれらの任意の組合せを用いて実行することができる。プロセッサは、1つ又はそれ以上の記憶装置と双方向的に通信することができる。記憶装置とプロセッサとは、地図に関するデータ、及びコンピュータとナビゲーションシステムとの動作に関する他のデータを送受することができる。データは、無線通信及び/又は有線通信で送ることができ、コンピュータネットワークを介して通信することも可能である。
【0017】
図3は、地図の地図的特徴に関するデータを生成するのに使用することができるクロソイド300を示すグラフである。クロソイドは、典型的には曲率が線形に変化する幾何学形状である。従って、クロソイド区分を用いて、曲線、直線、円、及びスプラインのような地図の地図的特徴を表すことができる。直線と円とはクロソイドの特別な場合であって、クロソイドの異なる区分によって表すことができる。これにより、全ての地図的特徴がクロソイドを用いてモデル化することが可能になる。直線を表すためには、ゼロに等しい曲率を有するクロソイド区分が使用される。
【0018】
図4は、曲率と移動距離の関係を示すグラフである。この曲率−距離グラフに関して、ユーザが点1から点2に移動する場合、曲率は一定値ゼロを保つ。従ってこれに対応するx−yグラフにおいては、点1から点2まで直線が横に延びる。点2から点3までの曲率−距離グラフに関して、曲率は定常的に増大する。従って、点2と点3との間のx−yグラフは、移動距離につれて曲率が増大することを示している。クロソイドの曲率は、移動距離に正比例させることができ、例えば、曲率は移動した距離と共に一定の割合で増大することができる。
【0019】
例えば、点2と点3との間で移動した距離の1m毎に、曲率は0.0001(1/m)だけ増加する。乗物のドライバーの場合、乗物が点2と点3との間を移動する時にドライバーはステアリング・ホイールを一定の速度で一様に回転させる。点3から点4までは、移動距離全体にわたり曲率が一定に保たれる。このようにして、クロソイド区分は、地図上の地図的特徴を表すために互いに連結される。クロソイドを適用する場合には、点と点の間の線分の曲率は線形的に表すことができる。更に、他の幾何学形状を適用する場合には、曲率と距離との間の比例関係は、線形的、対数的、指数関数的等とすることができる。
【0020】
図5は、1対のクロソイド区分S1、S2を点P1、P2、及びP3により互いに連結して地図的特徴を形成するクロソイドデータモデルを示す図である。各々のクロソイド区分は、デカルト座標系のx−y軸上に置かれ、曲率値Kを含む始点ノード又は始点と、曲率Kを有するx−y軸上の終点とによって表される。図6は、図5のクロソイドデータモデルで示したのと同じ地図的特徴を、直線データモデルにおける直線線分によって表した図である。図5と図6とを比較すると、図5に示すクロソイドの使用により、曲線を表すために点SP1−SP6の間の一連の直線線分SS1−SS5を使用する方法よりも少いデータ点を用いて、地図的特徴をより正確に表示することが可能となる。地図的特徴の曲線を表すためにクロソイドを使用することは、現在走行している道路についてのより正確な表示をナビゲーションシステムのユーザに提供する。
【0021】
クロソイドを表す数式
クロソイドは、曲率が弧長に比例する曲線である。クロソイドは、次の式で計算することができる。
【数1】


ここで、Iは弧長、Kは曲率、aは比例定数を表す。パラメータの形では、クロソイドの方程式は、以下の座標として表すことができる。
【数2】


【数3】


この場合、
【数4】


である。
【0022】
全てのクロソイドは同様であるから、1に等しいパラメータ値a(すなわちa=1)を有する単位クロソイドが存在する。計算速度を向上させるために、単位クロソイドのx−y座標値を、表(例えば、sin−cos表)に格納することができ、実際のクロソイドは、これらの値から計算することができ、ここで、tは指数である。a=1の場合の単位クロソイドは、
【数5】


【数6】


である。
【0023】
これらの積分は容易には解けないので、x軸値とy軸値とを計算するために、正弦関数及び余弦関数は、次式で表されるテイラー級数に変換することができ、
【数7】


【数8】


これを、方程式に挿入する。
【数9】


【数10】

【0024】
従って積分は以下のように解くことができる。
【数11】


【数12】


τ=0からtの境界を用いて、テイラー級数は次のように計算することができる。
【数13】


【数14】

【0025】
上に示すように、級数は任意の項数以下を切り捨て、1つの多項式が残るようにすることができる。この多項式の各項も表に格納することができる。項の数は処理系に応じて決まる。つまり、例えば64ビットの浮動小数点数を使用する典型的なコンピュータシステムを用いる場合には、9項多項式の最終項の階乗の精度は仮数部(53ビット)の精度に等しいことから、この多項式は9番目の項で終結することができる。ここで、
【数15】


である。
【0026】
上記の積分を解くために、ニュートンの補間式、或いはラグランジェ又はエイトケン−ネヴィルの補間式の使用によるような、テイラー級数以外の方法も使用できることは当業者には分かるであろう。
【0027】
進行方向を表すγは、元のxとy積分から求めることができる。
【数16】

【0028】
曲率Kによっては、パラメータtの代わりに、x、y、γを使用してもよい。
ここで、
【数17】


である。
【0029】
x、y、γに対する式は次のようになる。
【数18】


【数19】


ここで、
【数20】


である。
【0030】
地図に対するクロソイドの使用
データモデル内でクロソイドを記述する方法が幾つかある。第1に、クロソイドは、曲率K0で始まり、流さlを含み、終点曲率K1を有することができる。従って比例定数aは、次式で計算できる。
【数21】

【0031】
特定の場合においては、曲率の正負符号は進行方向すなわち線の向きを表すのに適している。曲率が正の場合にはその曲線は左に進み、曲率が負の場合にはその曲線は右に進む。比例定数aと進行方向dとは、次のように計算できる。
【数22】


【数23】

【0032】
曲率間の差がゼロである線又は円の場合には、aは理論的には無限大であって、これは別個に取り扱われる。例えば、始点又は終点曲率の絶対値が、最小値より小さい場合には線が使用され、最小値より大きい場合には円が使用される。
【0033】
第2に、クロソイドは、始点X0、Y0と始点曲率K0と、終点X1、Y1と終点曲率K1で表すことができる。比例定数aと回転角βは、基準化され、回転され且つ位置付けされた単位クロソイドに対して計算することができる。ここで、
【数24】


【数25】


である。
【0034】
図7は、クロソイドを基準化するための、クロソイドのセカント710(右側のグラフ)に対するベクトル700(左側のグラフ)の関係を示すグラフである。式24及び25を用いると、式の左項は始点から終点まで延びるベクトル700を表している。式の右項は曲線上の始点から終点までのクロソイドのセカント部分710を表している。セカント710は、基準化し、回転させることができる。これらの式を容易に読み取ることができるように、下記の項を代入する。
【数26】


【数27】


【数28】


【数29】

【0035】
従って、これらの式は次のように書き換えられる。
【数30】


【数31】

【0036】
比例定数は、次のように計算できる。
【数32】


【数33】


ピタゴラスの定理を使用することにより、
【数34】


比例定数aは、次のように計算できる。
【数35】


【数36】


【数37】


【数38】


【数39】

【0037】
即ち、クロソイドの基準化因子a2は、ベクトルの長さをセカントの長さで除算したものに等しいとすることができるので、
【数40】


従って、式40は、クロソイドのベクトルとセカントとの間の関係を示している。
【0038】
従って、代入された項は、次のように計算できる。
【数41】


【数42】


【数43】


【数44】


【数45】


結果として、次のようなゼロ交差式が得られる。
【数46】

【0039】
比例定数aを計算するために、第1のゼロ交差が計算される。ニュートン法は急速に収束して、少数の反復段階しか必要としないので、第1のゼロ交差を計算するためにニュートンの方法を使用することができる。
【数47】

【0040】
ニュートンの方法の開始値はベクトルの長さ、すなわちベクトルの始点と終点との間の距離である。
【数48】

【0041】
複数のゼロ交差がこれを超えて生じる特異性の限界があるであろう。従って、クロソイドの使用可能な部分は次式のように減少する。
【数49】


(これを言葉で表現すると、tはマイナスルート2からプラスルート2まで生じる可能性がある)
【数50】

【0042】
限界を数学的に超えることは、第1のゼロ交差が複素数を有することによって示すことができる。図8は、数学的に使用可能なクロソイドの部分800を示すグラフである。ニュートン法から得られる結果は、以下の限界によって確かめられる。
【数51】


及び
【数52】


又、次のゼロ交差式を用いて確認することもできる。
【数53】


結果が限界を超えている場合には、この結果は、線又は円と同一であるとみなすこともできる。
【0043】
比例定数aが計算された後、回転値βが次のように計算される。
【数54】


そして進行方向dが次のように計算される。
【数55】

【0044】
クロソイド経路の計算
図9は、道路のような地図的特徴を表すクロソイド経路900(クロソイドスプラインとしても知られている)を示すグラフである。クロソイド経路900は、一連に接続されたクロソイド線分910a−910dから構成されることができる。クロソイド線分910a−910dの接続点XYZγは、追加的な制約を生じる可能性がある。接続点XYKγにおいて、接続しているクロソイド区分の曲率Kと進行方向γは、クロソイド経路の連続性を保証するために同一とすることができる(さもなければ、本質的に道路のような地図的特徴はねじれを含むことになるであろう)。
【0045】
接続したクロソイド区分の進行方向は、複数の反復段階を用いて整列させることができる。接続したクロソイド区分の進行方向に基づいて、曲率の変化と共に進行方向差を計算することができる。進行方向差が正ならば、曲率は増大することができる。進行方向差が負ならば、曲率は減少する。従って、
【数56】


であり、この場合、
【数57】


である。
【0046】
進行方向における変化は、接続したクロソイド区分の長さl0及びl1と、各反復段階の強化を最適化するために使用される定数cとにより基準化することができる。過度に小さな定数cが選ばれた場合には、計算に長い時間がかかり、定数cが大き過ぎる場合には、接続が振動する可能性がある。
【0047】
クロソイドと点との間の距離の計算
アルゴリズムは、クロソイドと点との間の距離を計算するために様々なアプリケーションで使用することができる。アルゴリズムは、コンピュータにより実行することができる。このアルゴリズムは、例えば線データモデルをクロソイドデータモデルに変換するために、クロソイド回帰計算において使用することができる。また、このアルゴリズムは、例えばGPSで求められた位置を道路上の位置に整合させるために、ナビゲーション中に使用することもできる。クロソイドが単位クロソイドでない場合には、式24及び式25に記述された変換の逆を使用して、点は単位クロソイド空間に変換することができる。
【0048】
単位クロソイドと変換された点との間の距離を計算するために、反復法を用いてナディア(nadir、すなわち変換された点に最も近いクロソイド上の点)を計算することができる。単位クロソイドと変換された点との間の距離dは、次のように計算できる。
【数58】


この場合、
【数59】


である。ここで、距離dは、単位クロソイド上の点と変換された点との間の距離の関数である。距離関数の最小値は、最初に単位クロソイドを幾つかの領域に分割することによって位置付けられる。
【0049】
図10は、dの決定に役立つ、クロソイド800の使用可能な部分のグラフを各領域(0、1、2a、2b、3、4、5、6a、6b、7とする)に分割するための1つの方法を示すグラフである。各領域内では、距離関数は単峰性である。従って、この距離関数は、この領域内で1つの極小値を含むことができる。この極小値は、黄金分割法を使用して求めることができる。例えば、領域4に関して距離関数は、t=0からt=1及びt=平方根(−2)から計算することができる。
【0050】
領域2及び6を除いて、全ての領域は直線によって分割することができる。領域2及び6は、1つの曲線によって領域2a、2b、6a、6bに分割することができる。この曲線は、全ての垂線の包絡線(すなわち、クロソイド上の直立線を取り囲む曲線)とすることができる。
【0051】
垂線は次のように計算することができる。
【数60】


【数61】


パラメータuを消去することによって、
【数62】


ここで
【数63】


微分計算すると、
【数64】


この式は、ピタゴラスの定理を用いることにより次のように単純化できる。
【数65】


原始関数と導関数とを組み合わせると、
【数66】


これを再びピタゴラスの定理を用いて簡約すると、
【数67】


垂線に関する元の式と比較することによって、
【数68】


垂線の包絡線に関する式は、
【数69】


【数70】


とすることができる(xの代わりにyを使用しても同じ結果が得られる)。ここで、パラメータtは、消去することができない。この点が曲線のどちら側に位置しているかを判定するために、パラメータtは、Xに関して、次にYに関して計算することができる。この関数は単峰性であるので、黄金分割法をここでも使用することができる。更に、X値及びY値は表に格納することができる。
【0052】
黄金分割法によれば、最初に、求められた境界を開始値として使用することができる。この境界は、図10に示すようにクロソイド800の領域に従って求めることができる。
【数71】


【数72】

【0053】
区間内の結果は、境界に関する値を用いて計算することができる。
【数73】


【数74】


この場合、黄金分割によれば、
【数75】


である。
【0054】
クロソイド上の点t2と変換された点との間の距離、並びにクロソイド上の点t3と変換された点との間の距離の両方を計算することができる。どちらの距離がより大きいかに応じて、境界を以下のように調節することができる。
【数76】


そして、式73を用いて再計算して、
【数77】


そして、式74を用いて再計算することができる。
【0055】
従って、黄金分割法を用いる場合には、後続する反復の各々は、値t2又はt3、及び距離を再計算することを含む。この反復は、t0とt1との間の差が、求められた値よりも小さい場合に終了することができる。例えば、10kmのクロソイドに対してこの差が1cmに等しくなった場合である。反復を完了することが処理系に応じて決まる場合には、反復は一定量の反復を実行し終えた後に完了してもよい。クロソイド区分は境界値t0(t1)によって識別され、距離dは誤差である。クロソイド区分は、クロソイド経路を形成するために組み合わせることができる。
【0056】
データモデル
再び図5及び6を参照すると、直線を使用するデータモデル(図6)とクロソイド区分を使用するデータモデル(図5)との間の1つの違いは、クロソイド区分が複数の点を介して接続されることを記述している点である。直線データモデルにおいては、全ての線は別々に考察されるが、クロソイドデータモデルにおいては、複数のクロソイド区分を接続して1本のクロソイド経路を形成することができる。クロソイド経路は、道路のような地図的特徴を連続的なモデルとして表すことを可能にする。位置、曲率、及び進行方向といったパラメータを、道路上のあらゆる地点において計算することができる。
【0057】
クロソイドは、始点XYと、始点曲率Kと、終点X′Y′と、終点曲率K′とを含む。従ってクロソイド経路は、曲率Kを有する複数の点を含むことができる。クロソイドデータモデル内の点は、これらが複数の形式の情報を含むことができることから、直線データモデルと比べて頑強である。更にクロソイドモデルにおいては、地図的特徴を正確に表すために必要とされる点の数を、直線データモデルの場合よりも少なくすることができる。
【0058】
図11は、経路P2と交差した経路P1を示している。経路P1及び2は、交差する2つの道路のような地図的特徴とすることができる。複数のクロソイド経路が互いに交差する場合、交差点Iが形成される。交差点Iでの点の記述に関しては、経路P1及びP2の位置XYは同じものとすることができる。しかしながら経路P1及びP2の曲率は、個別のままである。従って、交差点Iにおいて、どのクロソイド部分が経路P1に対応し、またどのクロソイド部分が経路P2に対応するかを判定することができる。両方の経路P1及びP2に対応するクロソイド部分は、交差点を横断する主要経路を形成することができる。図11には1つの交差点Iのみが示されているが、複数の交差点Iが存在し得るということを理解されたい。
【0059】
図12は、第2の主要経路P2と交差し、更に補助経路P3を含む第1の主要経路P1を示している。例えば、1つの道路が別の道路と接続しているランプが道路上に存在する場合には、このランプが補助経路P3を形成することができる。補助経路P3は、これが接続している第1の主要経路P1と同一の曲率を含むことができる。位置X,Yに関するパラメータは、交差点の位置を表すのに使用することができる。曲率値K0は、主要経路P1及び補助経路P3の曲率を表すのに使用することができ、曲率値K1は、主要経路P2の曲率を表すのに使用することができる。
【0060】
XYデータのXYKデータへの変換
図13は、道路1310が、何本かの直線により接続された幾つかの点1320によって表された地図1300を示している。地図1300は、該地図で使用されている直線データモデルを、クロソイド又は他の幾何学データモデルに変換することにより改善することができる。図14は、図13の地図1300をクロソイドデータモデルで示している。道路1400は、図13に示す地図におけるよりも少数の点1410で表され、これらの点は、求められた曲率を含むクロソイドにより接続されている。直線データモデルからクロソイドデータモデルへの変換は、図15に示すように、上記に論じた技術を用いて直線をクロソイド区分で置き換えることにより達成することができる。直線を置き換えることに加えて、図14に示す点1410は、図13に示した点1310とは異なる可能性があり、従ってこれらの点1310と対応する場合もあれば、対応しない場合もある。
【0061】
図15は、例えばXYデータ点をXYK値を有するデータ点に変換するために、ナディアとクロソイドから1つの点までの距離とを求める反復プロセスを表したフローチャートである。始めに、主要経路と補助経路との交差点に関するXYKデータ点を求める。複数の経路が接続して1つの交差点を形成することができる。各経路は、交差点上で、主要方向、補助方向、又は関係なしといった3つの可能性のある方法で互いに関係付けられる。例えば、これらの経路は、「T」字交差点として関連付けることができる。「T」字の水平方向を形成する2つの経路は、主要方向とみなすことができ、残りの経路は何らの関係も形成しない。更に、高速道路の出口ランプのように、1つの経路が補助方向を形成することができる。このランプは主要経路と接続するので、補助経路の方向は主要方向と関係付けられる。
【0062】
ブロック1500において、計算を簡単にするために、マップ化される点は単位クロソイド空間に変換される。図16は、単位クロソイド空間内に位置する変換された点1600を示すグラフである。ブロック1510において、変換された点が位置する領域が判定される(例えば、図16の領域3)。ブロック1520において、変換された点1600が位置する領域が、領域2又は6であるかが判定される。ブロック1530において、領域が領域2又は6であると判定された場合には、境界tの内の1つは未知である。従って、例えば垂線の包絡線を計算する式を用いて、曲線の一方の側を定めてこの未知の境界を決定する。ブロック1540において、始点境界t0及びt1が選択される。
【0063】
ブロック1550において、サンプル境界t2及びt3が計算される。ブロック1560において、x(t2)、y(t2)と変換された点(=d(t2))との間の距離、及びx(t3)、y(t3)と変換された点(=d(t3))との間の距離が計算される(図16)。ブロック1570において、境界は式76及び式77に記述されたように調節される。ブロック1580において、反復を続行するか否か、すなわち例えばt1とt2との間の計算された距離が許容可能な誤差値内であるか、或いは定められた反復回数が完了したか否かが判定される。反復が完了していない場合には、ブロック1550において、調節されたサンプル境界が計算される。反復が完了している場合には、ブロック1590において、サンプル境界t2又はt3がナディアとして使用される。ブロック1595において、ナディアと計算された距離とが元の空間に変換される。
【0064】
このプロセスは、他の点と他のクロソイドとの間の距離を計算するために繰り返すことができる。交差点の間に接続された線上の点に対して、データ点XYはXYKデータ点に変換することができる。
【0065】
最もよく適合するクロソイドを求めるために、例えばガウス誤差分布曲線のようなガウス誤差低減法を使用することができる。主要方向及び補助方向は、可能性のある方向の組合せをクロソイドに変換し、交差点に最もよく適合するクロソイド区分を使用することによって計算することができる。例えば、ランプが高速道路に連結しており、その逆ではないことを確実にするために、道路の種類のような追加的な属性が考慮される。その結果として、交差点の曲率と方向とが既知である場合、どの経路が主要方向で、どの経路が補助方向であるかを特定するデータを含むことになる。従って、交差点における計算された曲率と進行方向に関するデータは一定のまま維持されるが、交差点間の幾何学形状は、例えばクロソイド経路に変換することができる。
【0066】
本発明の様々な実施形態を説明してきたが、本発明の範囲内で更に多くの実施形態及び実装が可能であることは当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−209302(P2011−209302A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−156143(P2011−156143)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【分割の表示】特願2004−503893(P2004−503893)の分割
【原出願日】平成15年5月7日(2003.5.7)
【出願人】(592051453)ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド (91)
【Fターム(参考)】