説明

ナースコール・システム

【課題】
ナースコール用端末の移動や増設や変更が容易で、工期を短縮させたり工事費用を抑えることが可能なナースコール・システムを提供することにある。
【解決手段】
無線通信が可能な、呼出しを必要とする者の近傍に配置されたナースコール用押しボタン、マットセンサー、廊下表示灯、復旧ボタン、トイレ・浴室用押しボタン、カメラ付きインターフォン等のナースコール用端末と、ナースコール用端末と無線を介して接続する無線中継器と、電話機と電話機との間の電話交換を行うシステム制御装置とを備え、ナースコール用端末が、無線中継器を介してシステム制御装置に接続されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院、介護及び福祉の現場等で用いられるナースコール・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、病院、介護及び福祉の現場等で、患者や利用者が医師や看護師を呼び出すためのシステムとして、ナースコール・システムが用いられている。例えば特許文献1に示されるようなナースコール・システムがある。特許文献1に示されるナースコール・システムは、患者が看護師を呼び出すために利用される握り押しボタンが、廊下灯を経由して有線でナースコール制御器に接続されている。そして、ナースコール制御器が有線でナースコール親機に接続され、ナースコール親機は、無線LANで他の電話系に接続されている。すなわち、握り押しボタンから無線LANまでの間は、有線で接続されている。
【0003】
他の一般的な従来のナースコール・システムの例としては、図3に示すような構成を有している。従来の一般的なナースコール・システム6では、表示板状のナースコール親機60に、各患者のベッド脇に設けられた押しボタン64が個々に有線で接続されている。このナースコール親機60は、例えばナースステーションに設置されており、患者が押しボタン64を押すと、ナースコール親機60の該当の表示が点灯して、押しボタン64が押されたことを看護師が知ることになる。この押しボタン64とナースコール親機60との間の通信は、単に押しボタン64が押されたことをナースコール親機60に伝えるだけの一方向の情報の伝達である。
【0004】
そして、特に看護師等のスタッフが構内用のPHS端末42を使用できる環境がある場合には、ナースコール親機60をナースコール制御機62を介して、構内電話交換機(PBX)であるハンディナースコール主装置66に接続している。ナースコール制御機62では、複数の押しボタン64を一旦集約して取り込んだナースコール親機60からの信号を、ハンディナースコール主装置66で着呼可能な信号に変換している。ナースコール制御機62は、あくまでも押しボタン64が押されたという信号を一方的にハンディナースコール主装置66に送っているのみで、双方向の通信が成り立つような機能は有していない。
【0005】
ハンディナースコール主装置66は、ナースコール制御機62からの着呼すると、同報呼び出しのような方法で、システム制御装置10に接続された構内端末用の無線中継器40を介して、スタッフが所持するPHS端末42に通報する。これにより、ナースコール親機60の近傍に居ないスタッフが、押しボタン64が押されたことを知ることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−11434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のナースコール・システムでは、押しボタンからハンディナースコール主装置までの間が有線で接続されているため、押しボタンの配置を変更したり増やしたりする場合には、単に押しボタンを増やしたり位置を変えたりするだけでは済まず、関係する配線を含めて大がかりに変更等をする必要があり、システム構成の変更を柔軟に且つ費用を抑えて行うことが困難である。
【0008】
また、従来のナースコール・システムは、ハンディナースコール主装置との接続を前提にしておらず、あくまでもナースコール親機で、押しボタンが押されたことを表示できることのみをその使命としていたため、複数の押しボタンを1つのナースコール親機で集約してから他に接続するといった独自の物理的レイヤを介してシステム制御装置に接続されることになり、PHS端末のような特殊な物理的レイヤを持たずにシステム制御装置に接続できる機器と違って、通信プロトコルが複雑になり双方向の通信を行うことが困難である。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ナースコール用端末の移動や増設や変更が容易で、工期を短縮させたり工事費用を抑えることが可能なナースコール・システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載のナースコール・システムは、無線通信が可能で呼出しを必要とする者の近傍に設けられたナースコール用端末と、ナースコール用端末と無線を介して接続する無線中継器と、電話機と電話機との間の電話交換を行うシステム制御装置とを備え、ナースコール用端末が、無線中継器を介して該システム制御装置に接続されることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載のナースコール・システムは、無線中継器と前記システム制御装置との間に、無線中継器の信号を電話交換可能な音声信号又は及び映像信号に相互変換するメディア信号変換器を備え、ナースコール用端末が、無線中継器及び該メディア信号変換器を介してシステム制御装置に接続されることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載のナースコール・システムは、ナースコール用端末が、システム制御装置に接続された電話機や無線式電話機等のスタッフ側端末と同一レイヤでシステム制御装置に接続されることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載のナースコール・システムは、ナースコール用端末とスタッフ側端末とが、通信又は及び通話可能なことを特徴とする。
【0014】
請求項5記載のナースコール・システムは、ナースコール用端末の無線回線方式として、PHS方式、IEEE802.15.4規格又は特定小電力無線方式を用いることを特徴とする。
【0015】
請求項6記載のナースコール・システムは、ナースコール用端末のナースコール用押しボタンの無線回線方式として、PHS方式を用いることを特徴とする。
【0016】
請求項7記載のナースコール・システムは、ナースコール用端末が、電源コンセント端子又は及び電源コードを有し、電源コンセント端子又は電源コードから電力を供給されている状態で、利用者の周辺又は近傍で使用可能なことを特徴とする。
【0017】
請求項8記載のナースコール・システムは、ナースコール用端末が、内蔵する蓄電池の電力で動作することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1及び請求項2の発明によれば、ナースコール用端末が無線通信可能で、ナースコール用端末が、無線中継器及びメディア信号変換器を介してシステム制御装置に接続されることから、ナースコール用端末の移動や増設や変更が容易で、工期を短縮させたり工事費用を抑えることが可能である。
【0019】
請求項3の発明によれば、ナースコール用端末が、スタッフ側端末と同一レイヤでシステム制御装置に接続されることから、システム全体の構成を簡略化可能で、システムのトータルコストを抑えることが可能である。
【0020】
請求項4の発明によれば、ナースコール用端末とスタッフ側端末とが、通信又は及び通話可能なことから、患者や施設利用者等とスタッフとのコミュニケーションを迅速に且つ正確に行うことができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、ナースコール用端末の無線回線方式として、PHS方式を用いることで、ナースコール用端末の電波による他の機器への影響を抑えることができる。また、ナースコール用端末の無線回線方式として、IEEE802.15.4規格を用いることで、多段の中継が可能で、より多くのナースコール用端末をシステム内に同時に収容することができる。さらに、特定小電力無線方式を用いることで、消費電力を抑えることが可能となる。
【0022】
請求項6の発明によれば、ナースコール用端末のナースコール用押しボタンの無線回線方式として、PHS方式を用いることで、PHS端末のようなスタッフ側端末と直接通信や通話が可能となり、患者や施設利用者等とスタッフとのコミュニケーションを迅速に且つ正確に行うことができる。
【0023】
請求項7の発明によれば、ナースコール用端末が、電源コンセント端子を有することで、ナースコール用端末を利用者の周辺の壁面にある電源コンセントに直接挿入して使用することになり、ナースコール用端末が壁面に固定され利用者の邪魔にならない位置に配置することが可能である。また、ナースコール用端末が、電源コードを有することで、電源コンセントが利用者から離れた位置にあっても、ナースコール用端末自体は利用者の近傍に配置することが可能となる。
【0024】
請求項8の発明によれば、ナースコール用端末が、内蔵する蓄電池の電力で動作することから、電源コンセントが近くにない場合や、移動する利用者が身につける場合でも、ナースコール用端末を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るナースコール・システムの構成の一例を示す構成図である。
【図2】同ナースコール・システムの拡張例を示す構成図である。
【図3】従来のナースコール・システムの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明に係るナースコール・システムの構成の一例を示す構成図である。図2は、同ナースコール・システムの拡張例を示す構成図である。
【0027】
本発明の形態に係るナースコール・システム1は、病院、介護及び福祉の現場等で、患者や施設利用者が医師や看護師等のスタッフを呼び出すためのシステムである。ナースコール・システム1は、ナースコール用端末20、無線中継器30、メディア信号変換器32、システム制御装置10等から構成されている。
【0028】
ナースコール用端末20は、患者や施設利用者等の近傍に配置され、患者や施設利用者が医師や看護師等のスタッフを呼び出したり、患者や施設利用者等の異変を検知しスタッフに通知するための検知手段である。ナースコール用端末20には、例えば、押しボタンスイッチ22、マットセンサー24がある。また、患者や施設利用者等が直接用いない物でも、患者や施設利用者等の近傍に設ける必要があるものとして、例えば廊下表示灯26や復旧ボタン28等もナースコール用端末20とみなせる。また、患者や施設利用者等が行き来する共有スペースに設けられるナースコール用端末20としては、トイレ・浴室用押しボタン等もある。さらに、患者や施設利用者等が病院や施設内で身につけるペンダント型などの押しボタンもナースコール用端末20である。さらに、映像を授受できるナースコール用端末20としては、例えば、カメラインターフォンもある。このように、ナースコール用端末20とは、スタッフ側の端末(スタッフ側端末)ではなく、呼出しを必要とする患者や施設利用者等の近傍に設けられた患者や施設利用者等の側の端末全般である。そして、ナースコール用端末20が用いる信号の内容としては、ボタンを押されたかどうかのON/OFF情報、音声、映像等があり、その形態により制限されるものではない。
【0029】
このナースコール用端末20は、有線ではなく無線で情報のやりとりができる無線通信が可能な装置であり、病院や施設内に設けられた無線中継器30と無線を介して接続可能に設けられている。
【0030】
ナースコール用端末20が接続する無線中継器30は、メディア信号変換器32を介して、システム制御装置10に接続されている。システム制御装置10は、接続された電話機14と電話機14との間の電話交換を行うもので、病院や施設では一般的に構内電話交換機(PBX)であり、電話回線12が接続されることで病院や施設の外とも通話が可能となるものである。そして、メディア信号変換器32は、無線中継器30の信号を、システム制御装置10との間で電話交換可能な音声信号又は及び映像信号に相互変換するものである。尚、無線中継器30とメディア信号変換器32とが、同一の設けられたものでもよく、一体の方が機器スペースやコストを抑えることも可能となる。また、本実施の形態では、メディア信号変換器32を記載しているが、ナースコール用端末20とスタッフ側端末との間で通話を必要としない場合には、メディア信号変換器32を用いなくてもいいケースもある。
【0031】
システム制御装置10には、メディア信号変換器32の他、電話機14やスタッフが所持するPHS端末42と繋がる無線中継器40が接続されている。電話機14は、単に通話だけが可能ないわゆる黒電話的な電話機の他、通話以外の情報(映像を含む)の表示機能が備えられた多機能電話機であってもよい。電話機14や無線中継器40を介してPHS端末42は、医師や看護師等が使用するスタッフ側端末である。スタッフ側端末としては、PHS端末42に限られるものではなく、携帯電話、無線選択呼出装置(ページャ)、スマートフォン、タブレットコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)等であってもよく、無線方式であれば、デジタル方式・デジタル方式の如何もとわない。尚、システム制御装置10は、従来の有線式のナースコール・システムを接続することも可能である。
【0032】
次に、ナースコール用端末20の押しボタン22の詳細を説明する。押しボタン22は、無線通信が可能な端末で、例えば、本体部分からケーブルが伸び、そのケーブルの先端に握りボタンが設けられている。押しボタン22の本体部分には、制御部や無線部の他、電源部も設けられている。電源部は、充電機能を有さずACコンセントから直接電力の供給を受けて動作する形式や、乾電池で動作する形式や、蓄電池を有して予め充電された電力で動作するような構成にしてもよい。電源部とACコンセントを接続する方法としては、押しボタン22の本体部分から電源コードが伸びてACコンセントに挿入される形式でもよいし、押しボタン22の本体部分からACコンセントに直接挿入される電源コンセント端子が突出するような形式でもよい。尚、電源コードには、ACアダプターも含まれるものとする。ナースコール用端末20を、内蔵する蓄電池の電力で動作させることで、電源コンセントが近くにない場合や、移動する利用者が身につける場合でも、ナースコール用端末20を使用することができる。
【0033】
また、ナースコール用端末20と無線中継器30との間の無線回線方式は、特にこだわるものではないが、PHS方式やIEEE802.15.4規格や特定小電力無線方式(電波産業会標準規格 RCR STD−20及び31等)を用いることが好ましい。PHS方式は、小型省電力の無線形式であり、ペースメーカー等の医療機器への影響の心配がない方式である。また、IEEE802.15.4規格の無線回線方式は、小容量の制御・計測データを間欠的に送るネットワークに最適な無線形式である。さらに、特定小電力無線方式は、出力電力が低く抑えられていることから、消費電力を抑えることが可能である。さらに、無線LAN方式(IEEE 802.11規格等)を用いることも可能である。
【0034】
ナースコール用端末20の押しボタン22には、単にボタンを押されたらスタッフ側端末に押された旨を通報する通知機能だけではなく、双方向の通信や通話の機能を持たせることも可能である。具体的には、例えば、患者や施設利用者等が押しボタン22を介して、スタッフからのメッセージを受け取れる表示手段を設けたり、スタッフと直接会話が可能なマイクやスピーカや、また映像をやりとりするカメラやモニタを設けることも可能である。
【0035】
また、上述の押しボタン22の会話が可能な例の別の態様として、PHS端末42が接続する無線中継器40に対して接続可能なナースコール用端末20であってもよい。この例が、呼出型押しボタン44である。この呼出型押しボタン44は、PHS方式の無線通信が可能なものであり、ボタンを備えて、そのボタンを押すことで無線中継器40を介してスタッフを呼び出すことができる他、スタッフ側端末との間で通話ができる機能を持たせることができる。呼出型押しボタン44は、無線中継器40を介することなくスタッフ側端末であるPHS端末42を呼び出すことができたり、直接PHS端末との間で通話ができるようにすることも可能である。尚、PHS方式のPHS端末42に限られるものではなく、CDMA方式や無線LAN方式等の無線電話端末であってもよい。
【0036】
このように、呼出型押しボタン44もナースコール用端末20の一形態として捉えることが可能で、上述の押しボタン22と同様な電源部の構成にすることも可能である。すなわち、呼出型押しボタン44の電源部を、充電機能を有さずACコンセントから直接電力の供給を受けて動作する形式や、乾電池で動作する形式や、蓄電池を有して予め充電された電力で動作するような構成にしてもよい。電源部とACコンセントを接続する方法としては、呼出型押しボタン44の本体部分から電源コードが伸びてACコンセントに挿入される形式でもよいし、呼出型押しボタン44の本体部分からACコンセントに直接挿入される電源コンセント端子が突出するような形式でもよい。尚、電源コードには、ACアダプターも含まれるものとする。呼出型押しボタン44を、内蔵する蓄電池の電力で動作させることで、電源コンセントが近くにない場合や、移動する利用者が身につける場合でも、呼出型押しボタン44を使用することができる。押しボタン22も呼出型押しボタン44も、例えば、移動式のベッドや車椅子に装着して、移動しながらでも使用できる状態にすることも可能である。
【0037】
以上のように、本発明の形態のナースコール・システム1によれば、ナースコール用端末20が無線通信可能で、ナースコール用端末20が、無線中継器30及びメディア信号変換器32を介してシステム制御装置10に接続されることから、ナースコール用端末20の移動や増設や変更が容易で、工期を短縮させたり工事費用を抑えることが可能である。より具体的には、配線工事が大幅に削減されると共に、従来であれば必要であったナースコール親機60やナースコール制御機62が不要になることで、システム全体のコストを大幅に抑えることが可能になる。
【0038】
また、ナースコール用端末20が、スタッフ側端末と同一レイヤでシステム制御装置10に接続されることから、システム全体の構成を簡略化可能で、システムのトータルコストを抑えることが可能である。従来のシステムでは、システム制御装置10との接続を前提にしておらず、あくまでもナースコール親機60で、押しボタン64が押されたことを表示できることのみをその使命としていたため、複数の押しボタン64を1つのナースコール親機60で集約してから他に接続するといった独自の物理的レイヤを介してシステム制御装置10に接続されることになり、PHS端末42のような特殊な物理的レイヤを持たずにシステム制御装置10に接続できる機器と違って、通信プロトコルが複雑になり双方向の通信を行うことが困難であり、コストも上昇してしまっていた。さらに、ナースコール用端末20が、スタッフ側端末と同一レイヤでシステム制御装置10に接続されることで、複数の電話機14やPHS端末42への同時呼出を容易に行うことも可能になる。
【0039】
さらに、ナースコール用端末20とスタッフ側端末とが、通信又は及び通話可能なことから、患者や施設利用者等とスタッフとのコミュニケーションを迅速に且つ正確に行うことができる。特に、ナースコール用端末20が、スタッフ側端末と同一レイヤでシステム制御装置10に接続されることから、通信プロトコル上の制約がなくなり、押しボタン22のようなナースコール用端末20とPHS端末42との間で、直接通信が可能となる。より具体的には、押しボタン22のボタンを押すことで、予め定められた特定のPHS端末42を呼び出して会話することが可能なったり、逆にPHS端末42の方から、特定の押しボタン22を呼び出して通話をすることも可能となる。さらに、呼出型押しボタン44であれば、押しボタン22の効果に加え、無線中継器40を介することなくPHS端末42への呼び出しや通話が可能で、自由度の高い利用が可能となる。特に、自営標準仕様を満たす系にすることで、あらゆるメーカのシステム制御装置10や無線中継器40を用いることが可能となり、汎用性が一段と向上する。
【0040】
さらに、ナースコール用端末20の無線回線方式として、PHS方式を用いることで、ナースコール用端末20の電波による他の機器への影響を抑えることができる。また、ナースコール用端末20の無線回線方式として、IEEE802.15.4規格を用いることで、多段の中継が可能で、より多くのナースコール用端末20をシステム内に同時に収容することができる。より具体的には、IEEE802.15.4規格は、無線中継器30を親機として設置し、さらに中継器(ルーター)を設けることでクラスターツリー方式で何段にも構成可能である。このため、病院や施設が複数階に及び電波を遮りやすい鉄骨や鉄筋であっても、中継器(ルーター)を効率的に配置することで、建物全体として1つの系を構築することができるようになる。さらに、特定小電力無線方式を用いることで、消費電力を抑えることが可能で、特に乾電池や蓄電池で動作する形態に適している。
【0041】
さらに、ナースコール用端末20が、電源コンセント端子を有することで、ナースコール用端末20を利用者の周辺の壁面にある電源コンセントに直接挿入して使用することになり、ナースコール用端末20が壁面に固定され利用者の邪魔にならない位置に配置することが可能である。また、ナースコール用端末20が、電源コードを有することで、電源コンセントが利用者から離れた位置にあっても、ナースコール用端末20自体は利用者の近傍に配置することが可能となる。
【0042】
尚、システム制御装置10には、他の機能を付加することも可能であり、図2は、同ナースコール・システムの拡張例を示す構成図である。図2に示すナースコール・システム2では、システム制御装置10に、防災システム50、入退出管理システム52、防犯監視カメラシステム54が、接続されている。防災システム50は、火災報知器やガス漏れ検知機等を備え、火災やガス漏れの発生の際に警報を発するシステムである。ナースコール・システム2に、防災システム50を備えることで、火災やガス漏れ等をスタッフ側端末と共にナースコール用端末20に一斉に知らせることができる。入退室監視システム52は、スタッフが病院や施設等に出勤してきた管理や、患者や施設利用者等の入退室の管理や、外来者の入退出の管理を行うものである。防犯監視カメラシステム54は、監視カメラや不法侵入監視センサ等により不審者を発見し、不審者の侵入の警報を発するシステムである。このように、ナースコール・システム2によれば、スタッフだけでなく患者や施設利用者等にも同時に情報を提供する必要がある場合に、有効である。
【0043】
本実施の形態では、病院、介護及び福祉の現場等で、患者や施設利用者が医師や看護師等のスタッフを呼び出すためのシステムとしてのナースコール・システムについて説明したが、ナースコール・システム1,2は、医療や介護の現場だけではなく、1つの工場や事業所やビル等の構内で、個の呼び出しや通話が必要な系においても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明によれば、ナースコール用端末の移動や増設や変更が容易で、工期を短縮させたり工事費用を抑えることが可能なナースコール・システムを提供することができ、1つの工場や事業所やビル等の構内で、個の呼び出しや通話が必要な系においても適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1・・・・ナースコール・システム
2・・・・ナースコール・システム
10・・・システム制御装置
12・・・電話回線
14・・・電話機
20・・・ナースコール用端末
22・・・押しボタン
24・・・マットセンサー
26・・・廊下表示灯
28・・・復旧ボタン
30・・・無線中継器
32・・・メディア信号変換器
40・・・無線中継器
42・・・PHS端末
44・・・呼出型押しボタン
50・・・防災システム
52・・・入退室管理システム
54・・・防犯監視カメラシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
病院、介護及び福祉の現場等で用いられるナースコール・システムにおいて、
無線通信が可能で呼出しを必要とする者の近傍に設けられたナースコール用端末と、
該ナースコール用端末と無線を介して接続する無線中継器と、
電話機と電話機との間の電話交換を行うシステム制御装置とを備え、
該ナースコール用端末が、該無線中継器を介して該システム制御装置に接続されることを特徴とするナースコール・システム。
【請求項2】
前記無線中継器と前記システム制御装置との間に、該無線中継器の信号を電話交換可能な音声信号又は及び映像信号に相互変換するメディア信号変換器を備え、
該ナースコール用端末が、該無線中継器及び該メディア信号変換器を介して該システム制御装置に接続されることを特徴とする請求項1記載のナースコール・システム。
【請求項3】
前記ナースコール用端末が、前記システム制御装置に接続された電話機や無線式電話機等のスタッフ側端末と同一レイヤで該システム制御装置に接続されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のナースコール・システム。
【請求項4】
前記ナースコール用端末と前記スタッフ側端末とが、通信又は及び通話可能なことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のナースコール・システム。
【請求項5】
前記ナースコール用端末の無線回線方式として、PHS方式、IEEE802.15.4規格又は特定小電力無線方式を用いることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のナースコール・システム。
【請求項6】
前記ナースコール用端末のナースコール用押しボタンの無線回線方式として、PHS方式を用いることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のナースコール・システム。
【請求項7】
前記ナースコール用端末が、電源コンセント端子又は及び電源コードを有し、該電源コンセント端子又は該電源コードから電力を供給されている状態で、利用者の周辺又は近傍で使用可能なことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のナースコール・システム。
【請求項8】
前記ナースコール用端末が、内蔵する蓄電池の電力で動作することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載のナースコール・システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−75093(P2012−75093A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186747(P2011−186747)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(510235028)株式会社平和テクノシステム (1)
【Fターム(参考)】