ニッケル−亜鉛セル用の熱密封セパレータ
【解決手段】実施形態はセパレータ及びジェリイロール電極集合体を密封する選択的方法及びそのような方法を使用して作成されるセルに関して記述される。殊に、セパレータを選択的に熱密封してジェリイロール集合体を有するニッケル−亜鉛充電式セル用の二つの電極の一方を包み込む方法が記載される。選択的熱密封はジェリイロールの各端部の二つの電極の中の一方を選択的に密封するためジェリイロール電極集合体の両端部に実施してもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2009年9月8日に提出された米国特許暫定出願61/240,600号に基づいて優先権を主張するものであり、上記文献に於ける内容の全体はすべての目的に於いて本願に参照して合同されるものとする。
【0002】
本発明は一般的に充電式バッテリに関し、殊に充電式ニッケル−亜鉛バッテリに関するものである。更に詳細に言えば、本発明は充電式ニッケル−亜鉛バッテリに使用される電極集合体及び製法に関する。
【背景技術】
【0003】
パワー用具のようなコードレスの携帯用装置が普及するに従い、高度のパワーが供給可能であり、且つ高エネルギ密度である充電式バッテリへの必要性及び要求度が増加している。パワー及びエネルギ密度に関する要求度が増すに従って、高サイクル寿命の充電式電極の必要性も増加する。アルカリ性亜鉛電極はその高電圧、低等価重量、及び低価格によって知られており、亜鉛電極はその充放電に関する高速電気化学的動特性により高度のパワーも高度のエネルギ密度も供することが出来る。ニッケル−亜鉛バッテリは、例えば電気乗用車(EV)、プラグ型ハイブリッド式電気乗用車(PHEV)、使用者用電子器具及びその他への応用のためのバッテリのような高度のパワー及びエネルギ密度への必要性を満足させるものである。
【0004】
殊に重要なのは充電式バッテリのサイクル寿命である。ニッケル―亜鉛バッテリは例えば陰極(亜鉛)から陽極(ニッケル)への樹枝状突起の形成などによる電気的短絡などの被害を受けやすい。この問題に対応する従来の手法の例には短絡の傾向を減少させるための化学的変形などがあったが、これらは高放電率及びバッテリ容量に関して典型的に最善の化学形態ではない。電極の角の部分をコーティングしたりテイピングすることは生産のスケールにおいては実施に難度があり、典型的に効果的なものでもない。
【0005】
セパレータは樹枝状突起による電極間における短絡の生成を防止するのに典型的に使用されるが、樹枝状突起は電極を包み込むように密封されない限りセパレータを回り込んで転位する。セパレータを密封して個々の電極を密封すれば電極間の樹枝状突起の生成(及びその他の粒子の移動)が効率的に防止され、バッテリの寿命が延長される。角柱形のセルの場合、個々の電極は電極スタックに組み立てる前に包み込まれる。
【0006】
巻き上げる形式の電極の場合、巻き上げの前に個々の電極を包み込むことは皺寄せ、結合、及びその他セパレータ物質の物理的特性に起因する難点、及び多くの層がジェリイロール内に巻き上げられる事実により、問題である。巻き上げの後にセパレータを熱密封することは知られているが、このような方法は巻き上げられたジェリイロール電極集合体の一端部の両方の電極を密封することのみである。これらの方法には、充電式ニッケルー亜鉛セルの使用法が変化し続けているのに対して往々極めて重要となる柔軟性がない。
【発明の概要】
【0007】
本発明は最も一般的にセパレータを密封する選択的方法及びそのような方法を使用して製作されるジェリーロール電極集合体に関して記述されるものである。更に詳細に言うならば、本発明はジェリイロール集合体を有する充電式ニッケル−亜鉛セル用の二つの電極の中の一つの上のセパレータを選択的に熱密封する方法に関して記述されるものである。選択的密封はジェリイロール集合体の一端又は両端で使用可能である。
【0008】
従って、本発明はその一面において、二個の電極を有するジェリイロール集合体の第一電極の両側に位置してその端部を越えて延びる第一セットのセパレータ層を、第二電極の、第一電極の端部に平行で近隣に在る一端部の両側に位置してそれを越えて延びる第二セットのセパレータ層を密封することなく、ジェリイロール集合体の同じ端部を熱源に晒しながら、選択的に密封する方法に関するものである。この方法は、此処に記載される実施形態の多くの様相において実施可能である。
【0009】
一実施形態の場合、第一セットのセパレータ層を選択的に密封する工程には(i)熱源がジェリイロール集合体の同じ端部に当てられる時に、第一セットのセパレータ層は第一電極に密着することが可能であるが第二セットのセパレータ層は第二電極に密着したり包み込むことが物理的に防止されるように、第二電極の電流収集下地層を構成する工程、及び(ii)ジェリイロール集合体の同じ端部に熱源を当てる工程とが含まれる。特殊な実施形態の場合、第二電極の電流収集下地層を構成する工程には、実質上包み込まれた体積が形成されて、第一セットのセパレータ層及び第二セットのセパレータ層から隣接したセパレータ層がこの実質上包み込まれた体積の中に位置するように、実質上第一電極の電流収集下地層を覆うけれど接触せずに第二電極の電流収集下地層を折り曲げる工程が含まれる。
【0010】
別の実施形態の場合、第一セットのセパレータ層を選択的に密封する工程には(i)第一セットのセパレータ層には熱源が当てられる時に第一電極に密着して包み込むことが可能な層が含まれるが、第二セットのセパレータ層には熱源が当てられる時に第二電極に密着して包み込むことが不可能な層が含まれるようにジェリイロール集合体を構成する工程、及び(ii)ジェリイロール集合体の同じ端部に熱源を当てる工程が含まれる。
【0011】
上記の実施形態に応用される場合の一実施形態の場合、第一セットのセパレータ層と第二セットのセパレータ層とは夫々異なる融点を有する。上記の実施形態に応用される場合の別の実施形態の場合、第一セットのセパレータ層はポリプロピレン層であり、第二セットのセパレータ層はセルローズを基にした層である。一実施形態の場合、このセルローズを基にした層はポリビニルアルコール(PVA)で含浸された及び/又はコーティングされたセルローズである。
【0012】
一実施形態の場合、この熱源には対流式熱源、誘電式熱源、伝導式熱源、及び放射式熱源の中の少なくとも一種が含まれる。別の実施形態の場合、熱源は伝導式熱源である。別の実施形態の場合、伝導式熱源は加熱されたプラテンのことである。一実施形態の場合、第一電極が第一セットのセパレータに密着により選択的に包み込まれたジュリイロールの端部は約130°C〜600°Cの間の温度に加熱されたプラテンに約1秒〜約30秒の間接触される。別の実施形態の場合、ジュリイロールは約300°C〜600°Cの間の温度に加熱されたプラテンに約3秒〜約10秒の間接触される。更に別の実施形態の場合、ジュリイロールは約450°C〜550°Cの間の温度に加熱されたプラテンに約5秒〜約25秒の間接触される。
【0013】
或る実施形態の場合、加熱されたプラテンと接触の間、ジェリイロールは加熱されたプラテンに約0.5kg/cm2〜約5kg/cm2との間の力で接触されている。別の実施形態の場合、ジェリイロールは加熱されたプラテンに約1kg/cm2〜約3kg/cm2の間の力で接触されている。別の実施形態の場合、ジェリイロールは加熱されたプラテンに約1kg/cm2〜約2kg/cm2との間の力で接触されている。別の実施形態の場合、ジェリイロールは加熱されたプラテンに約1.5kg/cm2の力で接触されている。
【0014】
本発明の方法は如何なるジェリイロール構成の電極集合体にも実施可能であり、殊に亜鉛電極からの樹枝状突起の形成が電極を短絡するニッケル−亜鉛セルにおいて有用である。
【0015】
従って、本発明は別の面において、(i)第一セットのセパレータ層の間に位置される第一電極、及び(ii)第二セットのセパレータ層の間に位置される第二電極を含み、ジェリイロール電極集合体の同じ端部において第一電極と第二電極の一方がその対応するセパレータ層で包み込まれ、他方の電極がそのセパレータ層で包み込まれていないものであるジェリイロール電極集合体に関する。一実施形態の場合、この第一電極は亜鉛電極であり、第二電極はニッケル電極である。別の実施形態の場合、第一セットのセパレータ層はポリプロピレン層を含む。別の実施形態の場合、第二セットのセパレータ層はポリビニルアルコールで含浸されたセルローズを含む。此処に記載されるジェリイロール電極集合体を含むバッテリは本発明の別の面に関するものである。
【0016】
上記及びその他の特徴及び利点は図を参照して以下説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】本発明の円筒形ニッケル−亜鉛セルの主要部品を図示する図である。
【図1B】本発明の円筒形ニッケル−亜鉛セルの主要部品を図示する図である。
【図1C】本発明の円筒形ニッケル−亜鉛セルの主要部品を図示する図である。
【図2A】ジェリイロールに巻き上げる以前における電極とセパレータ層の透視図である。
【図2B】図2Aの集合体の断面図である。
【図2C】本発明のジェリイロール集合体の断面図である。
【図2D】電流収集下地層が或る構成に折り曲げられジェリイロールの一端部での選択的熱密封の後のジェリイロール集合体の断面図である。
【図2E】反極性バッテリに組み込まれた図2Dのジェリイロールの断面図である。
【図2F】図2Dに関して記述されたジェリイロール集合体のジェリイロールの反対側端部が選択的熱密封された後の断面図である。
【図2G】図2Fに関して記述されたジュリイロールからの密封されたセパレータの断面図である。
【図2H】反極性バッテリに組み込まれた図2Fのジェリイロール集合体の断面図である。
【図2I】電極―セパレータのスタックの断面図である。
【図2J】ジェリイロール集合体の断面図である。
【図2K】図2Jのジェリイロール集合体のジェリイロールの一端部の熱密封後の断面図である。
【図2L】通常極性のバッテリに組み込まれた図2Kのジェリイロール集合体の断面図である。
【図2M】図2Kに関して記述されたジェリイロール集合体のジェリイロール集合体の反対側端部が選択的熱密封された後の断面図である。
【図2N】通常極性のバッテリに組み込まれた図2Mのジェリイロール集合体の断面図である。
【図3】此処に記述された熱密封法で製造されたニッケル―亜鉛バッテリの熱密封法を使用しない場合との比較結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
A.定義
【0019】
此処に使用される用語はこの技術分野で普遍的に使用されるものに限られていない。その他の用語は複数の意味を持つ場合もある。よって此処における開示の理解の援助のために以下の定義を供する。クレーム部に記載される本発明は必ずしもこの定義に限定されるものではない。
【0020】
「加熱されたプラテン」とは加熱されたステージ、ホットプレイト、又は対象物をその上の載せて加熱するその他の加熱された表面のことである。
【0021】
「伝導式熱源」とは対象物に直接接触して熱を対象物に導く器具のことであり、従って熱は直接熱源から被加熱対象物に導かれる。
【0022】
「対流式熱源」とは対象物にガス又は液体を通じて、その一カ所から他の箇所へとの還流によって熱を導く器具のことである。対流式熱源の一例には加熱ガンがあり、これは対象物の上に熱風を吹き付けて対象物を熱するものである。
【0023】
「誘電式熱源」とは電気コイル(典型的にはそれを通る交流を使用)で生成される磁界に位置して渦電流を対象物に発生させて対象物に熱を導く器具である。熱は対象物内に電気抵抗(ジュール熱)により又は物質内の磁気ヒステリシス損として生成される。誘電式熱源の一例として磁気誘電溶接器がある。例えばプラスチックなど、強磁性プラスチック物質でドーピングされている場合(粒子の磁性ヒステリシスが熱を与える)又は金属粒子でドーピングされて居る場合(金属粒子内の電気抵抗が熱を与える)、誘電効果によって溶接が可能である。
【0024】
「放射式熱源」とは対象物に放射エネルギを通じて熱を与える器具のことであり、エネルギは一度対象物内に打ち込まれた後、対象物の分子を励起して分子運動を活発化し、この分子運動及び/又は摩擦で対象物を加熱する。放射式熱源の例にはレイザー、マイクロ波発生器、赤外線発生器などがある。
【0025】
「包み込む」とは、一度セパレータ層が密封されると、これがジェリイロール電極集合体の端部又は縁部の連続的な包み又は覆いの役を果たすことを意味する。「包み込む」とは必ずしもこの表現が通常使用されるように電極全体が囲われることを意味するものではない。従って、「包み込む」とは例えばセパレータ物質が密封された後、電極がセパレータ物質の小袋又は二重の折れ目の中に在留することを意味することも出来る。更に「包み込む」は例えばセパレータ物質の両側の縁を熱密封して、露出することになる電極を閉じ込めることを意味することも出来る。
【0026】
「密封する」とはセパレータ層を例えばセパレータ層又はその成分の融点又はそれ以上に熱を与えて融合又は共に溶解して繋ぎあわせることを意味する。典型的に密封は層が重なり合う、又は隣接するが接続していない縁の近くで実施されるが、それに限定されるものではない。一実施形態の場合、これらの層はポリプロピレンであって、一緒に溶解して連続した層となり、従って共に密着されるように、実質上共に延長する縁部に沿って層は熱されるものである。
【0027】
B.概論
【0028】
実施形態は最も一般的にセパレータを密封する選択的な方法及びそのような方法で作成されたジェリイロール電極集合体に関して記述される。更に詳細に言えば、ジェリイロール集合体の端部の二個の電極の中の一方のみを包み込むようにセパレータを熱密封する方法が記述される。これらの方法は、ジェリイロールの一方又は両方の端部に応用可能である。特殊な実施形態の場合、ジェリイロール集合体は充電式ニッケル−亜鉛セル用に使用されるものである。
【0029】
個々の電極層集合体はセパレータ物質の一個以上の層の間にサンドイッチ状に挟まっている。サンドイッチ状に挟まれた電極集合体は積み重ねられ、次いでジェリイロール集合体に巻き上げられる。セパレータと電極の物質は、一度ジェリイロール集合体の一端部が熱密封されると、セパレータ層は挟まれた電極集合体の中ただ一個のみが包み込まれるように選択的に密封されるように構成されている。上記のように、選択的に只一方の電極集合体を包み込むようにすると、例えば無駄に両方の電極集合体を包み込む場合に使用するような余分のセパレータ物質の使用が防止され、従って費用が節約され、内部のセルデザインの柔軟性が増加する。此処に記述される熱密封されたセパレータ及び熱密封の方法はサイクル寿命が向上したセルを製造することになる。
【0030】
以下、発明に関するニッケル−亜鉛バッテリの化学作用、更に説明対象のニッケル−亜鉛バッテリに関連して本発明に特別な特色に焦点を当てながらバッテリのデザインをより詳細に説明する。
【0031】
・ニッケル―亜鉛バッテリの電気化学的反応
【0032】
アルカリ性電気化学セルに於ける水酸化ニッケル陽極の充電工程は以下の反応式による:
Ni(OH)2+OH− → NiOOH+H2O+e− (1)
【0033】
アルカリ性電解質は亜鉛電極内の電気化学反応でイオン担体として作用する。充電式亜鉛電極に於ける初期活性材料はZnO粉末、或いは、亜鉛と酸化亜鉛粉末の混合物である。ZnO粉末は反応式(2)のようにKOH溶液に溶解してZn(OH)42−を生成し、これは充電工程に於いて反応式(3)のように金属亜鉛に還元する。亜鉛電極に於ける反応は以下のように記載される:
ZnO+2OH−+H2O → Zn(OH)42− (2)
及び
Zn(OH)42−+2e− → Zn+4OH− (3)
【0034】
従って、ニッケル―亜鉛バッテリ全体の反応は以下のように記載される:
ZnO+H2O+2e− → Zn+2OH-+2e− (4)
【0035】
全体としてのニッケル−亜鉛バッテリの反応は以下のようになる:
Zn+2NiOOH+H2O = ZnO+2Ni(OH)2 (5)
【0036】
亜鉛電極における放電工程においては、金属亜鉛が電子を放出して亜鉛酸塩を生成する。それと同時にKOH溶液の亜鉛酸塩濃度は増加する。
【0037】
再充電の場合、反応(1)ー(5)が繰り返される。ニッケル−亜鉛バッテリの寿命期間内において、このような充電ー放電のサイクルは何回も繰り返される。本発明は亜鉛陰極の効率に関し、例えば本発明の熱密封されたセパレータを使用するバッテリセルは充放電サイクル数が著しく増加するものである。
【0038】
C.実施形態
【0039】
電極及び部品の記述をも含めて、より詳細なニッケル―亜鉛バッテリの記述、殊にセパレータを密封する選択的方法及び選択的に密封されたセパレータを含むジェリイロール集合体に関する実施形態は以下の通りである。
【0040】
・ニッケル−亜鉛バッテリ及びバッテリの部品
【0041】
図1A及び1Bは一実施形態による円筒形燃料セルの主成分を図示するものであり、図1Aはセルの分解図である。電極と電解質の層が交互に円筒形の集合体101(ジェリイロールと呼ばれる)の中に与えられて居る。円筒形集合体、又はジェリイロール101は缶113又はその他の収容容器の内部に位置されている。缶の内側は導電性を援助するために例えば錫でめっきされていてもよい。負極コレクタ円板103(例えば任意的に例えば錫でメッキされた銅)と正極コレクタ円板105(例えば泡状のニッケル)とが円筒形集合体101の相対する端部に付着されている。負極と正極のコレクタ円板は内部端子として機能し、負極コレクタ円板は陰極に電気的に接続し、正極コレクタ円板は陽極に電気的に接続して居る。キャップ109と缶113とは外部端子として機能する。図示された実施形態では、負極コレクタ円板103は負極コレクタ円板103をキャップ109に接続するためのタブ107を含んで居る。正極コレクタ円板105は溶接又は別法によって電気的に缶113に接続されて居る。別の実施形態の場合、負極コレクタ円板が缶に接続し、正極コレクタ円板がキャップに接続する。
【0042】
負極と正極のコレクタ円板103、105は穿孔と共に示されて居り、これによってジェリイロールへの結合及び/又は電解質のセルの一部から他の部分への移行を容易にする。別の実施形態の場合、円板に於ける(径方向、或は周辺の)孔、溝、或はその他の構成によって、これらの結合及び/或は電解質の分布を容易にする。負極コレクタ円板は典型的に銅であり、任意的に錫でコーティングされる。正極コレクタ円板は典型的にニッケルであるか、その構成の中に少なくともニッケルを含むものである。
【0043】
柔軟なガスケット111が、キャップ109に近く、缶113の上部の周辺に沿って備えられた周辺ビーズ115の上に設置されている。このガスケット111はキャップ109を電気的に缶113から隔離する役を果たす。実施形態によっては、ガスケット111が置かれるこれらのビーズ115は重合体でコーティングされて居る。ガスケットはキャップを缶から電気的に隔離するならば、どのような材料であってもよい。この材料は高温であまり変形しないものが好ましく、ナイロンなどがその一例である。別例として好ましいのは、比較的疎水性の材料を使用することで、アルカリ性の電解液をしみこませて終局的に継ぎ目とかそれ以外の侵入口の位置から漏れる力を減少させることである。濡れにくい材料の一例としてポリプロピレンがある。
【0044】
缶叉はそれ以外の収容容器が電解液で満たされた後、容器は典型的にビーズ115の上の缶の部分を使用するクリンピング工程で缶113の環状部分を内側方向へガスケット111の最上部の上をクリンピングして密封され、電極や電解質が環境から隔離される。実施形態によっては、漏れを防ぐために密封剤が使用される。密封剤の適宜な例として、瀝青剤、タール、及びオハイオ州、シンシナティ在のCognis から入手可能なVERSAMID(商標)がある。
【0045】
バッテリ缶とは、最終的なセルの外側のハウジング或はケーシングとなる容器のことである。缶が陰極端子となる従来例のニッケル―カドミウムセルに於いて、これは典型的にニッケルでメッキされたスチールである。上記の如く、本発明に於いて、缶は陰極端子でも陽極端子であってもよい。缶が陰極である実施形態の場合、缶材料は、亜鉛電極の電圧に対応出来る物質でコーティングされて居る限り、スチールのような、従来例のニッケル―カドミウムバッテリで使用されるような構成に似たものであってよい。例えば、陰極の缶は腐食を妨げるべく、銅のような物質でコーティングされてよい。
【0046】
缶が陽極でキャップが陰極の実施形態の場合では、缶は従来例のニッケル―カドミウムセルで使用されるような構成に似たもの、典型的にはニッケルでメッキされたスチールでよい。或る実施例の場合、水素再結合を補助するための物質で缶の内部をコーティングすることが出来る。水素再結合の触媒となる物質ならば、何を使用してもよい。酸化銀はその一例である。別の実施形態の場合、負極コレクタ円板は例えば金属,合金、及び重合体の少なくとも一種である水素発生抑制物質でコーティングされた金属円板である。負性の円板は例えば錫、銀、ビスマス、真鍮、亜鉛、及び鉛の中の少なくとも一種でコーティングされたスチール、真鍮、又は銅であってよい。一実施形態の場合、この円板は錫及び/又は銀でコーティングされた真鍮、又は銅である。一実施形態の場合、円板の少なくとも一部分は例えばTeflon(登録商標)(E.I.Dupont de Nemours and Company, of Wilmington, Delawareのポリテトラフルオロエチレンの商品名)のような重合体でコーティングされたものである。
【0047】
図1Cはジェリイロールニッケル−亜鉛セルのより特種な構成を示すものである。このセルは図1A及び1Bのものに似ており、ジェリイロール電極集合体110、缶113、キャップ109、柔軟性ガスケット111などを有するが、この例では負極コレクタ円板103aにスロットがあり、ジェリイロール101の最上部にある巻かれた負極コレクタへの電気的接続を形成するための鉛直(降下)タブ108即ちエネルギ誘導体が存在する。タブ108はこのセルが組み立てられる時負極コレクタに押しつけられ、負極コレクタ円板103aの最上部はキャップ109を押し、負極コレクタとキャップ109との電気的接続が完成する。一実施形態の場合、タブ108は破れたり負極コレクタへ裂かれたりしないように構成される(図示されるように、タブ108はスキーのように示されたこの例の場合負極コレクタの上にのせられた曲がった部分を有する)。負極コレクタ円板103aはジェリイロールへ電解質を導入する中央の孔も有する。中央の孔が電解質の流れを容易にする場合、例えば電解質貯蔵場がセルの下部でジュリイロールの底部と缶の底の間に保持される場合、正極コレクタ円板も円板103aのように構成されてよい。この実施形態の場合、正極コレクタ円板105aは図1Aの円板105について記述されたように穿孔されているが、円板105aにはジェリイロール110の底部の巻かれた正極コレクタと電気的に接触する突起部112も含まれる。一実施形態の場合、巻かれた正極コレクタはジェリイロール101の底部に対して折り曲げられ、突起部112は折り曲げられた正極コレクタを貫いて電気的接触を達成する。
【0048】
或る実施形態の場合、セルは電解質枯渇の状態で作用するように構成されている。更に或る実施形態の場合、本発明のニッケル―亜鉛セルは電解質枯渇様式を使用するものである。かようなセルは、活性電極材料に比して、相対的に少量の電解質を有するものであり、セル内部に遊離電解液を有する浸水型のセルから容易に区別することが出来る。枯渇した形態のセルについては米国特許出願11/116、113("Nickel Zinc Battery Design" 2005年4月26日出願、US2006−0240317 A1として公開)(本願に参照して合同するものとする)に記載されて居る。セルを枯渇した状態で作用することは、多くの理由により望ましいことかも知れない。一般的に、枯渇したセルとは、セル電極スタックの中の空間総体積が電解質によって占められて居ないもののことと理解されて居る。典型的な例の場合、電解質充填後の枯渇状態のセルのボイド容積は、充填前のボイドの総容積の少なくとも約10%である。
【0049】
本発明のバッテリセルは、多くの異なる形状及びサイズのものでよい。例えば、本発明の円筒形セルは通常のAAA型セル、AA型セル、D型セル、C型セルなどの直径や長さでよい。或る応用面に於いては、カスタマイズされたセル設計が適当となる。特別な実施形態の場合、セルのサイズは直径22mmで、長さ43mmのサブC型セルのものでよい。本発明は種々の非携帯用の応用で使用される種々の大きさのセルのみならず、比較的小さい角柱のセル形で使用されることに留意されるべきである。動力機具とか芝刈り機のようなものの為のバッテリパックのプロファイルによって、バッテリセルの大きさとか形状は決定されるものである。一実施形態は此処に記述されたような選択的に密封されたセパレータを有するジェリイロールを含んだニッケル−亜鉛セルである。一実施形態は此処に記述されたニッケル−亜鉛バッテリセルを一個以上含んだバッテリパック、及び電気器具の充電放電を可能とする適宜なケイシング、接点、導電線である。
【0050】
図1A、1B及び1Cに示された実施形態は従来市場で入手可能なセル、例えば市場で入手可能なニッケル―カドミウムセルと極性が逆になって居り、キャップが陰極で缶が陽極となって居ることに留意されたい。従来の電力セルでは、セルの極性がキャップで陽極、缶或は容器で陰極である。即ち、セル集合体の陽極はキャップと電気的に連結し、セル集合体の陰極はセル集合体を保持する缶と電気的に連結する。図1A、1B及び1Cに示されるものを含めて本発明の或る実施形態に於いて、セルの極性は従来例のセルのものと逆である。従って、陰極はキャップと電気的に連結し、陽極は缶と電気的に連結する。本発明の或る実施形態に於いては、極性が従来例のデザインと同じであり、キャップが陽極であると留意されたい。この実施形態の少なくとも一例が以下において記載される。
【0051】
特殊な「正常」及び「反対」極性のセル、及び通気キャップ、陽極、セパレータ、電解質、及び陰極のより詳細な記述が以下において提供される。
【0052】
・通気キャップ
【0053】
セルは通常環境から密閉されたものであるが、充電や放電に際してバッテリから発生するガスを放出可能にしてもよい。従って、例えば図1Aを参照して、キャップ109は一般に非通気キャップとして示されるが、典型的には通気キャップである。典型的なニッケル―カドミウムセルの場合、約200PSIの圧力でガスを放出する。或る実施形態の場合、本発明のニッケル―亜鉛セルは、通気なしのまま、この圧力或はそれ以上の圧力(例えば300PSI位まで)で作用するように設計されて居る。これにより、セル内部で生成される酸素や水素の再結合が促進される。実施形態によっては、内圧を450PSI位まで、更には600PSI位までに保つように、セルが構成されてある。その他の実施例のニッケル−亜鉛セルは、比較的低圧でガスを放出するように設計される。設計が水素及び/或は酸素ガスをセル内部で再結合させず、制御された状態での放出を促進する場合に適切である。
【0054】
通気キャップ及び円板、ならびに担体下地層の構成に関する或る程度の詳細な説明は以下の特許出願に記載されており、これらはすべての目的で本願に参照して合同されるものとする:2006年4月25日を出願日とするPCT/US2006/015807及び2004年8月17日を出願日とするPCT/US2004/026859(WO2005/020353 A3)。
【0055】
・陽極
【0056】
水酸化ニッケル電極は、高パワー高エネルギ金属ニッケル水素化物バッテリ、ニッケル―カドミウムバッテリ、及びニッケル−亜鉛バッテリの陽極として使用されてきた。ニッケル陽極には、製造、電子運送、濡れ、機械的特性などの目的で、通常電気化学的活性の酸化、又は水酸化、又はオキシ水酸化ニッケル、及び一種以上の添加剤が含まれる。例えば、陽極には水酸化ニッケル粒子、酸化亜鉛、酸化コバルト(CoO)、コバルト金属、ニッケル金属、及びカルボキシメチルセルローズ(CMC)のような揺変剤が含まれてよい。コバルト金属及びニッケル金属は化学的に純粋な金属としてでも、合金として提供されてもよいことに留意されたい。陽極はこれらの物質と重合体フルオロカーボン(例えばTeflon(登録商標))のような結合剤を含むペーストから製造されてもよい。
【0057】
或る実施形態の場合、水酸化ニッケル電極には水酸化ニッケル(及び/又はオキシ水酸化ニッケル)、コバルト/コバルト化合物粉末、ニッケル粉末、及び結合物質が含まれる。コバルト化合物はニッケル電極の導電率を増加するために導入される。一実施形態の場合、ニッケル電極には酸化コバルト、水酸化コバルト、及び/又はオキシ水酸化コバルトの中の一つが、任意的に水酸化(又はオキシ水酸化)ニッケル粒子にコーティングされて含まれる。
【0058】
電気的活性酸化ニッケル(例えばNi(OH)2)電極物質を支持するために、ニッケル泡状マトリクスが使用可能である。泡状下地層の厚さは15〜60ミルの間でよい。電気化学的活性及びその他の電極物質が充填された泡状ニッケルを含む陽極の厚さは約16〜24ミルの範囲であり、好適には約20ミルである。一実施形態の場合、密度が約350g/m2であって、厚さが約16〜18ミルの範囲である泡状ニッケルが使用される。
【0059】
或る実施形態の場合、バッテリにニッケル以外の陽極(例えば銀又は空気の陽極)が使用される。銀―亜鉛システムには陽極として酸化銀が使用される一方、亜鉛―空気システムの場合には酸素還元―生成用の触媒を含むガス拡散電極が使用される。
【0060】
・セパレータ
【0061】
典型的に、セパレータは小さい孔を有するものである。此処に記載されるいくつかの実施形態に於いて、セパレータは複数の層から成るものである。孔の存在及び/叉は層状構成により、亜鉛の樹枝状突起は曲がりくねった通路を形成することになり、従って効果的に貫通することと、短絡とを防止することになる。好ましくは、多孔性セパレータのくねり度は約1.5〜10の範囲であり、より好ましくは約2〜5である。孔の平均直径は好ましくは大きくとも約0.2ミクロンで、更に好ましくは、約0.02〜0.1ミクロンの間である。孔のサイズはセパレータの内部に於いて均一であることが好ましい。特別な実施形態に於いて、セパレータは多孔率が約35〜55%の間であり、多孔率が45%で孔のサイズが0.1ミクロンの好ましい材料を有するものとする。
【0062】
或る実施形態の場合、セパレータは亜鉛の貫通を防止するバリヤ層とセルを電解質と共に濡れ状態に保ってイオン流を可能にする浸潤層の少なくとも二層から成る(更に好ましくは只二層のみから成る)ものである。これは互いに隣接する電極間に唯一の隔離材料を使用するニッケル−カドミウムセルに於いて通常のことではない。
【0063】
セルの作用は陽極を濡らし、陰極を比較的乾燥状態に保てば向上する。従って、或る実施形態に於いては、バリヤ層は陰極に隣接し、浸潤層を陽極に隣接して位置させる。この配置により、電解層を陽極に密接させ、セルの作用が向上する。
【0064】
その他の実施形態の場合、浸潤層が陰極に隣接し、バリヤ層が陽極に隣接して位置される。この配置は酸素の電解質を通って陰極への移行を容易にし、陰極での酸素の再結合に役立つ。
【0065】
バリヤ層は典型的に微小な孔を有する多孔性の膜である。導イオン性の微小な孔を持つ多孔性の膜ならば、いずれのものでも使用可能である。多孔率が30〜80%の間のポリオレフィンがしばしば使用されるが、孔の平均径が約0.005〜0.3ミクロンの間であることが好適である。好ましい実施形態の場合、バリヤ層は微小な孔を持つ多孔性のポリプロピレンである。バリヤ層は典型的に厚さが約0.5〜4ミルで、より好ましくは約1.5〜4ミルの間である。
【0066】
浸潤層は浸潤性が適当にある如何なる隔離層材料であってもよい。典型的に、浸潤層の多孔率は比較的高く、例えば約50〜85%の間である。例として、ナイロンを基にした浸潤性のあるポリエチレンやポリプロピレン材料のようなポリアミドが挙げられる。特別な一種の物質として、ポリビニルアルコールを含浸及び/又はそれでコーティングされたセルローズがある。或る実施形態の場合、浸潤層の厚さは約1〜10ミルの間であり、好ましくは約3〜6ミルの間である。隔離層材料で、浸潤層材料として使用できるものの例としては、NKK VL100 (東京のNKK Corporation 製)、Freudenberg FS2213E、Scimat 650/45 (英国 Swindon の SciMAT Limited製)、及び Vilene FV4365 がある。
【0067】
当業者に周知のその他の隔離部材料も使用可能である。上記の如く、ナイロンを基にした材料や、微小な孔を有する多孔性ポリオレフィン(例えばポリエチレン及びポロプロピレン)はしばしば非常に好適である。実施形態は選択的に密封されたセパレータに向いたものである。此処に記述されたような熱源を応用して密封可能である限り、殆どどのようなセパレータ物質でも適当である。或る実施形態の場合には異なる融点のセパレータ物質が使用され、別の使用形態の場合には密封するセパレータとジェリイロールの一方又は両方の端部が晒される条件下で密封しないものと一緒に使用される。
【0068】
電極/セパレータのデザインについて更に考慮すべきことは、セパレータを電極及び電流コレクタシートと略同じ厚さのシートとして提供すべきか、又は電極の一方又は両方をセパレータ層に入れ込むべきかと言うことである。後者の場合、セパレータは一方の電極シート用の袋として機能し、効果的に電極層を包み込む。或る実施形態の場合、陰極をセパレータ層に包み込むことは樹枝状突起形成の防止に役立つ。特殊な熱密封実施形態は以下の「電極とセパレータ集合体―ジェリイロール」の部分でより詳細に説明される。
【0069】
・電解質
【0070】
ニッケル−亜鉛セルに関連する或る実施形態の場合、亜鉛電極内の樹枝状突起の形成及びその他の形態の物質の再分配が電解質成分によって限定される。好適な電解質成分の例は此処に参照して合同されるものとする1993年6月1日にM.Eisenbergに発行された米国特許5215836号に記載されている。或る場合において、電解質には(1)アルカリ又はアルカリ土金属の水酸化物、(2)アルカリ又はアルカリ土金属の溶解性フッ化物、及び(3)ホウ酸塩、ヒ酸塩、及び/又はリン酸塩(例えばホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、及び/又はリン酸ナトリウム又はカリウム)が含まれる。一特殊実施形態の電解質の場合、約4.5〜10当量リットルの水酸化カリウム、約2〜6当量リットルのホウ酸又はメタホウ酸ナトリウム、及び約0.01〜1当量のフッ化カリウムが含まれる。高級応用の特殊な好適電解質は約8.5当量リットルの水酸化物、約4.5当量リットルのホウ酸、及び約0.2当量のフッ化カリウムを含むものである。
【0071】
実施形態はEisenbergの特許に記載された電解質成分に限定されるものではない。一般的に、所望の特殊応用面での判定基準に従うならば、いずれの電解質成分でも十分である。高パワーの応用の場合、電解質は良好な導電性が要求される。良好なサイクル寿命が望ましい場合、電解質は樹枝状物の生成しにくいものがよい。本発明の場合、適当なセパレータ層と共にホウ酸塩及び/又はフッ化物を含む水酸化カリウム電解質を使用すると樹枝状物の形成が減少し、より頑丈で長寿命のパワーセルが達成される。
【0072】
或る特殊実施形態の場合、約3〜5当量リットルの過剰水酸化物(例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、及び/又は水酸化リチウム)が電解質成分に含まれる。これは陰極が酸化亜鉛に基づく電極である仮定のもとである。亜鉛酸カルシウムの陰極の場合には、その他の電解質方式が適当であろう。一実施形態の場合、約15〜25重量%の水酸化カリウム、約0.5〜5.0重量%の水酸化リチウムの構成の電解質が亜鉛酸カルシウムに好適である。
【0073】
種々の実施形態の場合、液体及びゲルが電解質に含まれてよい。ゲルの電解質には、オハイオ州ClevelandのNoveonから入手可能なCARBOPOL(登録商標)のような増長剤が含まれても良い。好適な実施形態の場合、活性電解質成分の一部分がゲル状である。特殊実施形態の場合、電解質の約5〜25重量%がゲルであり、ゲル成分の約1〜2重量%がCARBOPOL(登録商標)である。
【0074】
場合により、本願にすべての目的で参照して合同されるものとする”Electrolyte Composition for Nickel Zinc Batteries”の題で2006年2月1日にJ.Phillips及びS.Mahantaによって提出された米国特許7550230号に記載されたように、電解質には相対的に高濃度のリン酸塩イオンが含まれてもよい。
【0075】
・陰極
【0076】
ニッケル−亜鉛バッテリに応用される陰極は下記の如く、此処に記載された界面活性剤でコーティングされた粒子、腐食抑制剤、浸潤剤などの一種以上と共に、亜鉛或は亜鉛酸イオンの電気的活性源を一種以上含むものである。電極は、その製造の時に、クーロン容量、活性亜鉛の化学的構成、多孔性、曲げ特性のような物理的、化学的、形態的特性によって特徴付けられるものである。
【0077】
或る実施形態の場合、電気化学的活性亜鉛源は、酸化亜鉛、亜鉛酸カルシウム、金属亜鉛、及び種々な亜鉛合金から選ばれる一種以上から成る。これらの物質はいずれも製造中に供給及び/又は通常のセル周期の間に生成されるものである。特別な例として、亜鉛酸カルシウムが考慮されるが、これは例えば酸化カルシウムと酸化亜鉛とを含むペースト或はスラリイから製造出来るものである。
【0078】
充電式亜鉛アルカリ性電気化学的セルの陰極の活性物質には亜鉛金属(又は亜鉛合金)粒子が含まれて良い。亜鉛合金が使用される場合、実施形態によっては、これにビスマス及び/又はインジウムが含まれて居てもよい。実施形態によっては、百万に対して約20部未満の鉛が含まれてもよい。この構成条件を満たし、市場で入手可能な亜鉛合金として、カナダのNoranda社によるPG101がある。或る実施形態の場合、約0.05重量%の鉛がニッケル−亜鉛セルの電気化学的活性亜鉛金属成分に含まれる。
【0079】
或る実施形態の場合、亜鉛金属粒子は錫及び/又は鉛でコーティングされてよい。亜鉛粒子をコーティングする場合、鉛や錫の塩が亜鉛粒子、増長剤、及び水を含む混合物の中に加えられる。亜鉛金属は酸化亜鉛及び他の電極成分の存在下でコーティング可能である。鉛又は錫でコーティングされた亜鉛粒子を含む亜鉛電極は一般的に電解質内にコバルトが存在するとガス放出をしにくい。亜鉛の導電性マトリクスがそのままであり、貯蔵期間の放電が減少すると、セルのサイクル寿命及び貯蔵期間が向上する。本発明の陰極に好適な活性物質の例は更に”Pasted Zinc Electrode for Rechargeable Nickel−Zinc Batteries”と題するJ.Phillips et.al.によって2009年5月18日に提出された米国特許出願12/467993号に記載されており、これは本願にすべての目的で参照して合同されるものとする。
【0080】
亜鉛活性物質は粉末状、粒子状などでよい。亜鉛電極のペースト材料内部の各成分が比較的小さい粒径であることが望ましい。これは、粒子が浸透或はその他によって陽極と陰極の間のセパレータを傷害する可能性を減少する為である。
【0081】
電気化学的活性亜鉛成分(及びその他の電極粒子成分)を殊に考慮する場合、かような成分の粒子サイズは約40又は50ミクロメートル未満であることが望ましい。或る実施形態の場合、粒子サイズは約40ミクロン未満であり、即ち平均直径が約40ミクロン未満であると言うことである。このサイズ体制には鉛でコーティングされた亜鉛又は酸化亜鉛粒子も含まれる。或る実施形態の場合、物質はその粒子の約1%未満の主寸法(例えば直径、又は主軸)が約50ミクロメートル未満であることで特徴付けされる。このような組成物は例えば篩いわけ又はその他の大粒子を除去するように亜鉛粒子を処理することで製造可能である。此処に記載される粒子サイズ体制は亜鉛金属のみならず酸化亜鉛及び亜鉛合金の粉末にも応用されるものである。
【0082】
電気化学的活性の亜鉛成分に加え、陰極は更にイオン移送、電子移送(例えば導電性の向上のため)、濡れ、多孔性、構成的完全性(例えば結合性)、ガス放出、活性物質の溶解性、バリヤ性能(例えば電極から脱出する亜鉛の量の削減)、腐食防止など電極内でのプロセスを容易にしたり、影響を与えたりする一種以上の物質を追加的に含むものでよい。
【0083】
結合、分散、及び/或はセパレータの代用物たることの目的として、陰極には種々の有機物が添加され得る。その例として、ヒドロキシルエチルセルローズ(HEC)、カルボキシメチルセルローズ(CMC)、遊離酸の形態のカルボキシメチルセルローズ(HCMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスチレンスルフォネート(PSS)、ポリビニルアルコール(PVA)、nopcosperse 分散剤(京都のSan Nopco Ltd.より入手可能)などがある。
【0084】
或る実施形態の場合、PSSやPVAのような重合体材料は陰極内でセパレータにとって危険となる鋭い或は大きな粒子を埋め込む目的で、ペースト構成(コーティングではなく)に混入してもよい。
【0085】
此処で電極構成を定義する場合、これは形成サイクリングの間又はその後、又はセルが例えば携帯用ツールの使用で充放電サイクルを繰り返す間又はその後のものであるばかりでなく、製造過程で得られた構成(例えばペースト、スラリ、又は乾式製造方式)に応用可能である。
【0086】
本発明の範囲内の種々の陽極構成は以下の文献に記載されて居り、これらの文献はすべてあらゆる目的に対して参照して本願に合同されるものとする:PCT公開WO02/39517(J.Phillips); PCT公開WO02/39520( J.Phillips );PCT公開WO02/39521; PCT公開WO02/39534( J.Phillips );米国特許公開2002182501号。上記文献に於ける陰極添加剤の例として、シリカ、各種アルカリ土金属のフッ化物、遷移金属、貴金属がある。
【0087】
留意すべきことは、或る特種な性質を得る為に、何種もの物質を陰極に加えることが出来るが、これらの性質は陰極以外のバッテリ成分によって導入されることが出来ると言うことである。例えば、電解質内での亜鉛の溶解度を減少させる為の物質は、陰極によっても導入されるか否かを問わず、電解質或はセパレータ(陰極にもまた与えられて居るか否かを問わず)の中に供給されてもよい。そのような物質の例にはリン酸塩、フッ化物、ホウ酸塩、亜鉛酸塩、ケイ酸塩、ステアリン酸塩などがある。上記された電極添加剤のその他の例で、電解質及び/又はセパレータの中に付与されてもよいものとして、インジウム、ビスマス、鉛、錫、カルシウムなどのイオンがある。
【0088】
例えば、或る実施形態の場合、陰極は酸化ビスマス、酸化インジウム、及び/叉は酸化アルミニウムのような酸化物を含む。酸化ビスマスと酸化インジウムとは、亜鉛と反応して電極に於けるガス放出を低減する。酸化ビスマスは乾燥状陰極構成に対し、重量で約1%〜10%の間の濃度で与えられる。これで、水素と酸素の再結合を容易にすることが出来る。酸化インジウムは、乾燥状陰極構成に対し、重量で約0.05%〜1%の間の濃度で存在してよい。酸化アルミニウム、乾燥状陰極構成に対し、重量で約1%〜5%の間の濃度で供給されて良い。
【0089】
或る実施形態の場合、電気的活性亜鉛物質の耐腐食性を向上し、それによって貯蔵期間を延長させるように、一種以上の添加剤を加えてもよい。貯蔵期間は、バッテリセルが商業的に成功するか不成功に終わるかについて決定的な要素である。バッテリは本来不安定なものであるから、陰極をも含めてバッテリの成分などは、化学的に有用な形態で保存されるように努力が必要である。何週間も何ヶ月も使用しない中に、電極物質が腐食したり、その他の理由で多分に変質すれば、貯蔵期間の短い事でこの値打ちは限られてしまう。
【0090】
電解質内での亜鉛の溶解度を減らす為に加えられるアニオンの例として、燐酸塩、フッ酸塩、ホウ酸塩、珪酸塩、ステアリン酸塩などがある。一般的にこれらのアニオンは乾燥状陰極構成に対し重量で約5%以内の濃度で陰極内に存在してよい。これらのアニオンの中、少なくともあるものはセル周期の間に溶液中に入り、亜鉛の溶解度を減少させるものと思われて居る。これらの材料を含んだ電極構成の例は以下の特許及び特許出願に記載されて居り、これらは総て、あらゆる目的において参照して本願に合同するものとする:米国特許6797433号("Negative Electrode Formulation for a Low Toxicity Zinc Electrode Having Additives with Redox Potentials Negative to Zinc Potential"、発明者 Jeffrey Phillips, 2004年9月28日発行);米国特許6835499("Negative Electrode Formulation for a Low Toxicity Zinc Electrode Having Additives with Redox Potentials Positive to Zinc Potential", 発明者 Jeffrey Phillips, 2004年12月28日発行); 米国特許6818350("Alkaline Cells Having Low Toxicity Rechargeable Zinc Electrodes", 発明者Jeffrey Phillips, 2004年11月16日発行);PCT特許出願PCT/NZ02/00036(公開番号WO02/075830号、発明者 Hall,et al.2002年3月15日出願)。
【0091】
陰極に添加される導電性繊維は電極を灌漑又は浸潤させる役を果たす。界面活性剤でコーティングされた炭素繊維はこのような物質の一例であるが、その他の物質も濡れを容易にする為に含まれてよいと理解されるべきである。そのような物質の例には酸化チタン、アルミナ、シリカなどがある。一般的に、これらは乾燥状陰極構成に対して重量で約10%以内の濃度で付与される。かような物質については米国特許6811926号("Formulation of Zinc Negative Electrode for Rechargeable Cells Having an Alkaline Electrolyte" 、発明者 Jeffrey Phillips, 2004年11月2日発行)に記載されてあり、この特許は本願に全体としてあらゆる目的に対して参照して合同されるものとする。
【0092】
亜鉛陰極は亜鉛陰極の電気化学的活性成分とニッケル陽極との間の導電的交信を達成する物質を含むものである。上記のように、本発明の発明者は電極の全体的電流搬送能力が陰極の中へ界面活性剤でコーティングされた粒子、殊に界面活性剤でコーティングされた炭素粒子(此処に参照して合同されるJeffrey Phillipsによって2010年8月6日に提出された“Carbon Fiber Zinc Negative Electrode”と題する米国特許出願12/852,345号に記載されている)を導入することで向上されることを発見した。
【0093】
上記のように、亜鉛陰極の製造には安定した粘性を有して亜鉛電極の製造にあたって使用しやすいスラリ/ペーストが使用されてよい。かようなスラリ/ペーストは任意的に鉛及び錫の塩を亜鉛粒子、増長剤、及び例えば水であるような液体を含む混合物に加えた亜鉛粒子を有するものである。酸化亜鉛(ZnO)、酸化ビスマス(Bi2O3)、分散剤、及びテフロン(登録商標)のような結合剤も添加されてよい。この面において好適な結合剤にはPTFE、スチレン、ブタジエンゴム、ポリスチレン、及びHECがある。この面において好適な分散剤には石けん、有機物分散剤、アンモニウム塩分散剤、ワクス分散剤があるが、それらに限定されるものではない。発明のこの面に好適であって市場で入手可能な分散剤の一例にNopcosperse(商標)(Nopco Paper Technology Australia Pty. Ltd.から入手可能な分散剤の液体シリーズの商標名)がある。発明のこの面に好適な液体には水、アルコール、エーテル、及びこれらの混合物があるが、これらに限定されるものではない。
【0094】
・電極及びセパレータ集合体―ジェリイロール
【0095】
上記のように、本発明はジェリイロール端部の二個の電極の中一個のみを包み込むように選択的にセパレータを熱密封する方法に関して記述するものである。特殊実施形態の場合、ジェリイロール集合体は充電式ニッケル−亜鉛セルに使用される。
【0096】
ジェリイロールを製造するに当たり、個々の電極層はセパレータ物質の一個以上の層の間にサンドイッチ状に挟まれる。サンドイッチ状に挟まれた電極集合体は積み重ねられてからジェリイロールに巻き上げられる。独特な或る実施形態の場合、セパレータ及び電極層物質は、一度ジェリイロール集合体の一端部が熱密封された時にセパレータ層が選択的に密封されてサンドイッチ状の電極集合体のただ一方のみが選択的に包み込まれるように構成されたものである。
【0097】
図2Aはジェリイロールに巻き上げる以前における電極とセパレータ層の透視図である。図示の例の場合、セパレータ(200及び208)は電極シートと共に巻き上げ機へ引き寄せられ又は供給される前に、先ず電極の平面に沿って陰極(各面を電気化学的活性層206でコーティングされた導電性下地層204)及び陽極(各面を電気化学的活性層212でコーティングされた導電性下地層210)の各々の上に折り曲げられる。この実施形態の場合、各セパレータシートは二重折であり、電極の各々は、(水平矢印で示されるように)実質上は折り目202へとその二重折に挟み込まれている。このアプローチではセパレータの源が二個使用されている。代行的実施形態としては、電極シートの各々がセパレータシートの二個の別個の源で跨られ、二個でなくて四個のセパレータ源が使用される。従って、最初にセパレータシートは電極の先端縁で折り曲げられない。結果として得られる層状構成は同じであるが、二重折セパレータは巻き上げ機へ差し込む時スタックの差込み及び制御を容易にする。いずれのアプローチで製造された構成であっても、二層のセパレータは各電極層を隣接する電極層から隔離している。このことは一般的に隣接する電極層の間にセパレータを一層しか使用しないニッケル―カドミウムセルでは達成しないことである。ニッケル―亜鉛セルでは余分の層があるので樹枝状突起の形成による短絡を防止する助けとなり、ウィッキングセパレータが使用される場合には灌漑とイオン流の援助にもなる。
【0098】
樹枝状突起は金属堆積物の中で骸骨状又は樹木状の成長パタン(「樹枝状成長」)を有する結晶構造のことである。実際問題として、樹枝状突起はセルの寿命期間においてパワー用セルの導電性媒体の中に形成され、効果的に陰極と陽極とを繋ぎ、短絡及びその結果としてバッテリの機能を喪失せしめるものである。
【0099】
セパレータシートは一般的に電極シートを幅全体に亘って覆うものでないことに留意されたい。殊に、各電極シートの一縁部(導電性下地層)は接続端子に露出されている。一実施形態の場合、これらの露出された縁部は互いに反対側にあるため、一度ジェリイロールが巻き上げられると、陽極と陰極の各々がバッテリの互いに反対側の端子と電気的接触することになる。別の実施形態では露出された縁部は同じ側にあり、バッテリ端子への電気的接触はジェリイロールの同じ端部で行われる。
【0100】
図2Bは個々の電極を図2Aの中の対応するセパレータと積み重ねて(図2Aに双頭の太線矢印で示されるように)形成された集合体の断面図(図2Aの断面Aで示す)である。セパレータ200は陰極(下地層204及び電気化学的活性層206)を陽極(下地層210及び電気化学的活性層212)から、イオン電流がこれら電極間を流れることを許可する一方、機械的及び電気的に隔離するものである。この実施形態の場合、セパレータ200は微孔性ポリプロピレンであるが、本発明はこれに限定されるものではない。上記のように、亜鉛陰極の電気化学的活性層206は電気化学的活性物質として酸化亜鉛及び/又は亜鉛金属を含み、上記のような界面活性剤でコーティングされた粒子を含んでもよい。この層206には更に他の添加剤又は亜鉛酸カルシウム、酸化ビスマス、酸化アルミニウム、酸化インジウム、ヒドロキシエチルセルローズ、及び分散剤のような電気化学的活性化合物が含まれて良い。
【0101】
陰極下地層204は陰極物質206と電気化学的にコンパチブルであるべきものである。上記のように、電極下地層は穿孔性金属シート、伸張された金属、金属泡体、又は連続的金属シートパタンなどの構成であってよい。或る実施形態の場合、下地層は金属箔のような単なる金属層である。
【0102】
陰極から向き合って、セパレータ200の逆側には陽極とセパレータ208がある。この実施形態の場合、セパレータ208はセルローズに基づく物質であり、更にはポリビニルアルコールで含浸及び/又はコーティングされたセルローズであるが、本発明はこれに限定されるものではない。この層はウィッキング層(例えば上記のセパレータの部で詳細に記述されたNKKからのもの)である。陽極には電気化学的活性層212及び電極下地層210も含まれる。陽極の層212には電気化学的活性物質として水酸化ニッケル、酸化ニッケル、及び/又はオキシ水酸化ニッケル、及び種々の添加剤が含まれてよく、これらはすべて此処に記載されている。電極下地層210は例えばニッケル金属泡体マトリクス、又はニッケル金属シートであってよい。ニッケル泡体マトリクスが使用される場合、層212は金属泡体の中のボイドを満たして泡体の中を通過するので、一個の連続的電極を形成することになる。層状の亜鉛陰極とニッケル陽極構成物とは図1A、1B及び1Cに示されるようにジェリイロール構成101に巻き上げられる。
【0103】
図2Bに見られるように、導電性下地層204及び210は側方にオフセットされて居り、一度ジェリイロールが巻き上げられると、各電極はジェリイロールの対向する端部のバッテリ端子に電気的に接続される。
【0104】
巻き上げ機は同時に種々のシートを引き寄せてジェリイロール集合体に巻き上げる。厚さが十分の円筒形が製造された後、機械はセパレータ及び電極の層を剪断して図1Aの最終的ジェリイロールを作成する。
【0105】
図2Cはジェリイロール101aの断面図(図1Aでの断面B)であり、これは殊に図2Bで示された重ねられたスタック構成を巻き上げて製作されたジェリイロールとの意味で図1Aに記載されたジェリイロール101に類似したものである。此処に記載されるジェリイロールの断面図は要するに「切片」なのであり、即ち、図を簡素化するために厚みの詳細は省略したものである。ボイド201はジェリイロールが巻き上げれた後巻き上げ機の心棒を抜き取ることで形成され、これは電解質の貯蔵に使用される。上記のように、本発明の一実施形態は二個の電極を有するジェリイロール集合体の第一電極の両側に位置してその端部を越えて延びる第一セットのセパレータ層を、第二電極の、第一電極の端部に平行で近隣に在る一端部の両側に位置してそれを越えて延びる第二セットのセパレータ層を密封することなく、ジェリイロール集合体の同じ端部を熱源に晒しながら、選択的に密封する方法である。ジェリイロール101aの図2Cでの断面図には、図2Bで示されたようなセパレータ―サンドイッチされた電極の交互の層が示されている。重要なこととして、各電極の上でセパレータ物質は電気化学的活性物質を超えて突出しており、各導電性物質は一端部においてジェリイロールの端部からセパレータ物質よりよけい突出しているので、バッテリの端子との電気的接触が可能である。この例の反極性のバッテリ用のジェリイロールの場合、負極収集下地層204がジェリイロール最上部で電気活性及びセパレータ物質を超えて突出する一方、正極収集下地層210はジェリイロールの底部で電気活性及びセパレータ物質を超えて突出する。バッテリが図1A及び1Bに示されるように組み立てられる時、陰極コレクタ204は通気キャップ端子と接続し、陽極コレクタ210はバッテリ缶と接続する。此処に記載の方法とはジェリイロールの片側又は両側において、二個の電極の中一個のみを選択的に密封するものである。この例の場合ポリプロピレンセパレータ200及びウィッキングセパレータ208であるセパレータはジェリイロールの外側及びボイド201の内側を除いて隣接するものであることに留意されたい。ジェリイロールの底部でセパレータ200はセパレータ208ほどには下方に延びていないこと、セパレータ200及び208の両方が実施形態の場合陰極の上で密封されるものであったこと、この構成では密封の時に208が十分溶解されて200と結合されることにも留意されたい。又、電極下地層210は更に下方に延びているので、208をジェリイロールの底部で長くすることも出来、従ってもし密封が十分でないならば、210は208によって更に保護される。同様に、下地層204は下地層210よりよけい突出するので、ジェリイロールセパレータ200の最上部は208より更に上方に延長して居り、従って204は更にセパレータ200によって保護されている。
【0106】
一実施形態の場合、第一セットのセパレータ層を選択的に密封する工程には(i)熱源がジェリイロール集合体の同じ端部に当てられる時に、第一セットのセパレータ層は第一電極に密着することが可能であるが第二セットのセパレータ層は第二電極に密着したり包み込むことが物理的に防止されるように、第二電極の電流収集下地層を構成する工程、及び(ii)ジェリイロール集合体の同じ端部に熱源を当てる工程とが含まれる。この例の場合、熱密封の工程は電流収集コレクタ下地層210がセパレータ層を超えて突出するジェリイロールの底部で実施される。
【0107】
一実施形態の場合、第二電極の電流収集下地層を構成する工程には、実質上包み込まれた体積が形成されて、第一セットのセパレータ層及び第二セットのセパレータ層から隣接したセパレータ層がこの実質上包み込まれた体積の中に位置するように、実質上第一電極の電流収集下地層を覆うけれど接触せずに第二電極の電流収集下地層を折り曲げる工程が含まれる。図2Dは陰極(電流コレクタ204及び電気化学的活性物質206を含む)を熱密封するように電流収集下地層210が折り曲げられ、熱がジェリイロールのその端部に当てられた後のジェリイロール101aの分解図を示す。折り曲げは手動で実施されてもよく、又は例えばジェリイロール集合体及びローラを(この例ではジェリイロールの外側縁部から内側縁部に向かって)掴み、図示のように電流コレクタを折り曲げる機械を使用してもよい。
【0108】
再度図2Dを参照し、コレクタ210が折り曲げられた後、そこには集合体端部のセパレータ物質が三方から正極コレクタ210、垂直壁、及びコレクタ210の曲げられた部分で囲まれた体積空間211(太い点線)が形成される。このように形成されて熱がジュリイロールの底端部で電流コレクタ210の折り曲げられた外面(上向きの太線矢印)に当てられると、ポリプロピレンセパレータは溶解し、溶融点200aで示されるように連続的な層が形成される。この例の電流コレクタ210の構成は少なくとも三つの目的を果たしている。折り曲げることは熱の体積空間211への伝達を助成する(実質上小型のオーブンとなる)。210がセパレータ物質から延長することはセパレータ物質208が電流コレクタ210を超えて密封すること(もし密封可能であるならば、実施形態には両方が熱密封可能である二重セパレータが含まれる)、又はその上で折り曲げることを物理的に阻止する。最後に、セパレータを超えて延長することにより、電流コレクタと缶との電気的交信が可能(例えば電流収集円板105と通じて)となり、折り曲げることで缶又は電流収集円板との電気的接触が最大化される。
【0109】
この密封が一度完成すると、小さい空間203が形成され、これは折り曲げと共にバッテリ集合体内部で貴重な体積を節約することになり、より多くの電気的活性物質の使用が可能となる(効果的に電極の高さが増加することになるから)。この例の場合、208aで示されるように、隣接した陽極の巻き上げられた部分からのウィッキング層と溶融することはなく、これはセルローズに基づく物質であって溶解しない(図示のように変形することはあるが)からである。此処に記載されるセルに使用される熱密封はこの様態に限定されるものではない。或る実施形態の場合、両方のセパレータ(或る実施形態では二つ以上のセパレータ層が存在する)が一方の電極の上に二重密封を形成するように溶融可能な物質で作成される。即ち、もし二種の異なるセパレータ物質がコンパチブルであって共に溶融するものであるならば、二倍の厚さの単一層の溶融端部を形成することができる。もし二種の異なるセパレータ物質が共に溶融するようにコンパチブルでないならば、二重密着層が形成される。この実施形態の場合、電流コレクタは、密封用の熱が与えられる時、他方の電極(この場合は陽極)がセパレータの下に密着されることを阻止する物理的バリヤが存在するために(空間211が陽極を汚染から保護しているけれど)一方の電極のみが包み込まれるように構成されている。
【0110】
図2Eは図1A及び1Bに記載されたと同様な最終的バッテリ集合体に組み込まれた選択的に熱密封されたジェリイロール集合体101aを図示するものである。電流収集円板105は電流移送改善のために正極コレクタ210の折り曲げられた表面と接触する。電流収集下地層204は電流コレクタ円板103と接触し、電気的交信を行う。理論によって拘束される意図ではないが、粒子汚染による短絡は電流収集下地層が折り曲げられる場合に可能性が増加し、従ってこの例の場合、陰極下地層210は負極収集下地層204から直視線上にあると信じられる。この例の場合、陰極を密着させると、粒子が電極の間の短絡を起こすことが防止される。陰極下地層204が負極コレクタ円板103と電気接触するジェリイロール101aの最上部で、下地層204と210とは直視線上にあるものでなく、従って樹枝状突起が成長して短絡を起こすには電気化学的活性物質206から両方のセパレータ層200及び208を超え、再度下方に向いて下地層210へと移動しなくてはならない。従って、ジェリイロール最上部での電極の構成は、電極が互いに直視線上になく、電極間の高さの差Cが十分大きく、更に横断バリヤを形成するセパレータがジェリイロールのこの端部におけるセパレータを密封することを不必要とするように行われる。しかしながら、本発明はそのように限定されるものではない。或る実施形態の場合、電極及びセパレータは二つの電極の中の一方の選択的密封がジェリイロールの両端部、例えばジェリイロールの両端部の陽極と陰極の間の相対的距離を最小化したい箇所で行われる。缶113、タブ107、ガスケット111、及びキャップ109は 図1A及び1Bに関して記述されたものと同様である。
【0111】
図2Fは図2Dに関して記述されたジェリイロール集合体101aで、ジェリイロールの最上部(図示の場合)に熱が与えられた場合の断面図である。此処では、熱はジェリイロールの両端部に与えられたものである。底部(図示の場合)は図2Dに関して記述されたように密封されている。ジェリイロールの最上部では、ジェリイロールのこの端部でのセパレータ及び電極の配置によって選択的密封が達成される。例えばジェリイロールの最上部を此処に記載されたように高温のプラテンに押し付けることによって熱が好適に与えられると、セパレータ200の層は隣接する陰極下地層204の間の点200bにおいて溶融される。セパレータ層208は溶融しない(上記)が、少なくともジェリイロールの内部の層の中で溶融により包み込まれる。最外側及び最内側の層の上でセパレータ200は溶融されるが、最外側及び最内側であるため対応する溶融200bを形成するセパレータ200の相補的層がない。それでも、ジェリイロールのこの端部におけるセパレータ200の内部層の溶融で陽極が包み込まれる。更に、最外側及び最内側のセパレータ200の層が熱で変形すると、ジェリイロールの最上端部の最外側及び最内側の陽極が少なくとも或る程度の追加的保護(部分的覆い)が得られる。要するに、セパレータ層200は、最上部と底部とに開いた部分を有する同軸的チューブ状のセパレータの単一シートを形成するように溶融されている。図2Gは溶融体200a及び200bによって単一セパレータ200に溶解したセパレータ層200を図示するものである。図2Gにおいて、ウイッキングセパレータ層は図示されて居らず、電極は単に「+」と「―」の列としてのみ示されている。密封200b及び200aにより、ジェリイロールの最上部(図示の場合)において陽極物質は陰極から保護され、陰極物質はジェリイロールの底部の陽極物質から夫々保護されている。従って、この例によるジェリイロール両端での選択的密封により、ジェリイロールの一端部の陰極が包み込まれ、ジェリイロールの他の端部の陽極が包み込まれる。巻き上げの後に選択的密封を行うことにより、独特な単一性セパレータ構成200の形成が可能となる。図2Hは反極性バッテリに組み込まれた図2Fのジェリイロール集合体を図示するものであり、此処では例えば陰極キャップ109、正極コレクタ105など、部品は図2Eに関して記述されたものと類似である。
【0112】
一実施形態の場合、第一セットのセパレータ層を選択的に密封する工程には(i)第一セットのセパレータ層には熱源が当てられる時に第一電極に密着して包み込むことが可能な層が含まれるが、第二セットのセパレータ層には熱源が当てられる時に第二電極に密着して包み込むことが不可能な層が含まれるようにジェリイロール集合体を構成する工程、及び(ii)ジェリイロール集合体の同じ端部に熱源を当てる工程とが含まれる。図2F及び2G(及び例えば以下の図2M及び図2N)、しかしそれに限定されない例に関して記載されたように、一実施形態の場合、方法には熱源がジェリイロールのその端部に当てられる時にジェリイロールの他の端部の第二電極を密封して包み込むことが出来る層が第一セットのセパレータ層に含まれるようにジェリイロール集合体を構成する工程、及びジェリイロールの他の端部に熱源を当てる工程が含まれる。上記の実施形態に応用される一実施形態の場合、第一セットのセパレータ層及び第二セットのセパレータ層は夫々異なる融点を持つものである。上記の実施形態に応用される別の実施形態の場合、第一セットのセパレータ層は密封の熱が当てられた時に溶解して溶融することの出来る物質から成り、第二セットのセパレータ層は密封の熱が当てられた時に溶解して溶融することの出来ない物質から成るものである。後者の実施形態の一例の場合、第一セットのセパレータ層はポリプロピレン層であり、第二セットのセパレータ層はセルローズに基づく層である。一実施形態の場合、このセルローズに基づく層はポリビニルアルコール(PVA)で含浸されたセルローズである。
【0113】
図2Iは図2Bのような別のスタック集合体であるが、セパレータ物質及び電極は図2Bの場合とは異なるようにオフセットされている。此処では、陽極下地層210はセパレータ物質を越えて突出して居らず、陰極下地層204はそのように突出している。このスタックは正常の極性のバッテリに使用されるものの一例である。
【0114】
図2Jは図1Aに記載されたジェリイロール101と同様であるが、殊にスタック集合体が図2Iで記述されたように巻き上げて作成されるジェリイロール101bの断面図(図1Aでの断面B)である。この例の場合、数字はセパレータ、電極、及び電気化学的活性物質に関して使用されたものと同じである。ジェリイロール底部において、電極端部間の相対的距離Cは前回の実施形態のジェリイロール最上部と同じである。しかし此の場合、ジェリイロール最上部の電極端部間の相対的距離Dは前回の実施形態のもの程大きくない。この構成は、ジェリイロール(後記)の一方又は両方の端部の選択的密封の使用に好適である。此の場合、セパレータ200及び208はジェリイロールの底部において前回のジェリイロール101aの最上部におけるものと同様にずらしてあるが、ジェリイロールのセパレータは前回のジェリイロール101aの底部のものと同様にずらしてある。一例として、ジェリイロール101bの最上部(図示の場合)の電極の一方の選択的密封が図2Kに示されている。
【0115】
セパレータ層200はポリプロピレン層であり、セパレータ層208はセルローズに基づく層であるから、ポリプロピレンのセパレータ層200を溶解して密封するのに十分な熱がジェリイロール101bの最上部に当てられても、セパレータ層208は密封されない。従って、陰極は密封されても、陽極は密封されずにいる。大部分の実施形態の場合、熱は急速に当てられるので、実質上ジェリイロールの当てられた端部に局地化し、従って電気化学的活性物質の近辺のセパレータへの熱による傷害(例えばセパレータ多孔構成の溶解による閉鎖)が最小化される。図2Kは例えばセルローズに基づく層208が密封されず、ポリプロピレンのセパレータ層200を密封するのに十分な熱を(下向きの太線矢印で示されるようにジェリイロール101bの最上部に)当てた場合の結果を示すものである。熱密封されたジェリイロール101aに関して記述された相対的関係と同様に、セパレータ層200aが点200において溶解して溶融する一方、セパレータ層208は208aにおいて見られるように溶解と溶融がない。
【0116】
ジェリイロール101bを使用する一実施形態として、タブ214がジェリイロール101bの最上部に近い正極コレクタ下地層210に溶接される。タブ214の陽極下地層への溶接は熱処理の前でも後でもよい。一実施形態の場合、タブ214は熱密封の前に付着される。此の実施形態の場合、タブ214はジェリイロールの端部全体が加熱されるように、熱密封の間にジェリイロールの端部と実質上平行に折り曲げられる。この実施形態の場合、熱はタブ214の折り曲げられた部分を通って、折り曲げられたタブ214の下側のセパレータ物質に移動される。熱密封の後、タブ214はバッテリキャップ又は電流コレクタに溶接可能のように図2Kに示されるように開かれる。
【0117】
図2Lは通常極性のバッテリに組み込まれたジェリイロール101bを示す。此の場合、タブ214は例えば上記された通気キャップのようなキャップ109に溶接されている。この構成であると、ジェリイロール101bの中の電極集合体を長くすることが出来、電流コレクタのない空間節約となり、バッテリ内によけい電気化学的活性物質が供される。代行的実施形態の場合、タブ214は正極コレクタ円板105(図示なし)に溶接又は例えばバネの圧力で押し付けられている。缶113及びガスケット111は図1A及び1Bに関して記述されたものと同様である。負極コレクタ下地層204は現在缶113の底部にある負極コレクタ103と電気的交信状態にある。この例の場合、キャップ109は陽極である。
【0118】
図2Mは図2Kに関して記述されたジェリイロール101bを示すもので、ここでは熱はジェリイロールの底部(図示の場合)に与えられたものである。此処では、ジェリイロールの両端部が選択的密封をされたものである。最上部(図示の場合)は図2Kに関して記述されたように密封される。ジェリイロールの底部では、ジェリイロールのこの端部でのセパレータ及び電極の配置によって選択的密封が達成される。例えば此処に記述されるようにジェリイロールの最上部を高温のプラテンに押し付けて熱が適当に与えられると、セパレータ200の層は負極下地層204の隣接した層の間の点200bで溶融する。セパレータ層208は溶融しない(上記)が、少なくともジェリイロールの内部の層の中で溶融200bに包み込まれる。最外側及び最内側の層の上では、セパレータ200は溶解するが、最外側及び最内側の層であるため、各々には対応する溶融200bを作成する相補的な層がない。ジェリイロールのこの端部の内部層の溶融は図2F−Gに関して記述されたジェリイロール及びプロセスと同様に陽極を包み込む。図2Nは通常極性のバッテリに組み込まれた図2Mのジェリイロールを示し、此処での部品は例えば陽極キャップ109、負極コレクタ103など、図2Lに関して記述されたものと類似である。
【0119】
上記の実施形態の各々について、セパレータの密封に使用される熱源には対流式熱源、誘電式熱源、伝導式熱源、及び放射式熱源の中の少なくとも一種が含まれる。別の実施形態の場合、伝導式熱源である。別の実施形態の場合、伝導式熱源は加熱されたプラテンである。或る実施形態の場合、例えば約5秒がポリプロピレンのセパレータを密封するのに充分であるが、余分な層及び/又は絶縁体の層(例えばセルローズに基づく層)が必要な場合には、密封のためにセパレータの端部に充分な熱を搬送するのに余分の時間が必要となることもある。一実施形態の場合、第一電極が第一セットのセパレータの密封により選択的に包み込まれたジュリイロールの端部は約130°C〜600°Cの間の温度に加熱されたプラテンに約1秒〜約30秒の間接触される。別の実施形態の場合、ジュリイロールは約300°C〜600°Cの間の温度に加熱されたプラテンに約3秒〜約10秒の間接触される。更に別の実施形態の場合、ジュリイロールは約450°C〜550°Cの間の温度に加熱されたプラテンに約5秒〜約25秒の間接触される。
【0120】
或る実施形態の場合、加熱されたプラテンと接触の間、ジェリイロールは加熱されたプラテンに約0.5kg/cm2〜約5kg/cm2との間の力で接触されている。別の実施形態の場合、ジェリイロールは加熱されたプラテンに約1kg/cm2〜約3kg/cm2との間の力で接触されている。更に別の実施形態の場合、ジェリイロールは加熱されたプラテンに約1kg/cm2〜約2kg/cm2との間の力で接触されている。別の実施形態の場合、ジェリイロールは加熱されたプラテンに約1.5kg/cm2の力で接触されている。例えばジェリイロール101a及び101bに関して記述された或る実施形態の場合、この力は選択的密封が実施されるジェリイロールの端部の加熱に使用される。折り曲げられた下地層が使用される実施形態の場合、与えられる力は加熱をより均一にするために導電性下地層の折り目を平坦化する役も果たす。
【0121】
上記のように、本発明の方法は如何なるジェリイロール構成の電極集合体にも実施可能であり、殊に亜鉛電極からの樹枝状突起の形成が電極を短絡するニッケル―亜鉛セルにおいて有用である。
【0122】
従って、上記の種々の実施形態の詳細な記述に鑑み、本発明は更に別の面において(i)第一セットのセパレータ層の間に位置される第一電極、及び(ii)第二セットのセパレータ層の間に位置される第二電極を含み、ジェリイロール電極集合体の同じ端部において第一電極と第二電極の一方がその対応するセパレータ層で包み込まれ、他方の電極がそのセパレータ層で包み込まれていないものであるジェリイロール電極集合体に関する。ニッケル陽極と亜鉛陰極のいずれかが選択的に密封される電極となる。一実施形態の場合、この第一電極は亜鉛電極であり、第二電極はニッケル電極である。別の実施形態の場合、第一セットのセパレータ層はポリプロピレン層を含む。別の実施形態の場合、第二セットのセパレータ層はポリビニルアルコールで含浸されたセルローズを含む。此処に記載されるジェリイロール電極集合体を含むバッテリは本発明の別の面、上記のように平常及び反対の極性をもつバッテリである。
【0123】
・実験結果
【0124】
図3はジェリロール101aに関して記述された実施形態に従って熱密封されたセパレータを組み込んだセルのテスト結果を示すものであり、此処では正極コレクタ下地層210はジェリイロールが巻き上げられた後に折り曲げられ、その後、3個のテスト用セルと2個のコントロール用セル(対照用セル)のセットとについて、ジェリイロールの端部が、上述した時間、温度範囲、及び応力で、熱密封しない状態でホットプレートに晒された。これらのセルは5Cの放電の割合以下でテストされた。これらの曲線は何時セルが過電流の状態に入ったか、例えば105%まで又は105%以上の過電流(Y軸の上で0.9=90%、1=100%、1.1=110%、など)を示す。曲線が安定的に上昇するのは、セル内に短絡のあったことを示す。上昇曲線が示すように、コントロール用のセルは短絡するまでに100から250サイクル保った。此処に記載されたような熱密封により3個のテスト用セルは一般的セルの変質が起こるまでに500を越えて650サイクルに至まで運行が可能であった(3本の曲線は実質上重なり合っている)。100以上のセルに熱密封を実施したが、陰極移行短絡による故障のセルはなかった。
【0125】
発明は理解のために或る程度詳細に記述されたが、記載された実施形態は例示の為であり、限定的なものではない。或る程度の変更及び変化は此処に添付した請求項の範囲内で実施可能であることは当業者には自明であろう。
【技術分野】
【0001】
本出願は2009年9月8日に提出された米国特許暫定出願61/240,600号に基づいて優先権を主張するものであり、上記文献に於ける内容の全体はすべての目的に於いて本願に参照して合同されるものとする。
【0002】
本発明は一般的に充電式バッテリに関し、殊に充電式ニッケル−亜鉛バッテリに関するものである。更に詳細に言えば、本発明は充電式ニッケル−亜鉛バッテリに使用される電極集合体及び製法に関する。
【背景技術】
【0003】
パワー用具のようなコードレスの携帯用装置が普及するに従い、高度のパワーが供給可能であり、且つ高エネルギ密度である充電式バッテリへの必要性及び要求度が増加している。パワー及びエネルギ密度に関する要求度が増すに従って、高サイクル寿命の充電式電極の必要性も増加する。アルカリ性亜鉛電極はその高電圧、低等価重量、及び低価格によって知られており、亜鉛電極はその充放電に関する高速電気化学的動特性により高度のパワーも高度のエネルギ密度も供することが出来る。ニッケル−亜鉛バッテリは、例えば電気乗用車(EV)、プラグ型ハイブリッド式電気乗用車(PHEV)、使用者用電子器具及びその他への応用のためのバッテリのような高度のパワー及びエネルギ密度への必要性を満足させるものである。
【0004】
殊に重要なのは充電式バッテリのサイクル寿命である。ニッケル―亜鉛バッテリは例えば陰極(亜鉛)から陽極(ニッケル)への樹枝状突起の形成などによる電気的短絡などの被害を受けやすい。この問題に対応する従来の手法の例には短絡の傾向を減少させるための化学的変形などがあったが、これらは高放電率及びバッテリ容量に関して典型的に最善の化学形態ではない。電極の角の部分をコーティングしたりテイピングすることは生産のスケールにおいては実施に難度があり、典型的に効果的なものでもない。
【0005】
セパレータは樹枝状突起による電極間における短絡の生成を防止するのに典型的に使用されるが、樹枝状突起は電極を包み込むように密封されない限りセパレータを回り込んで転位する。セパレータを密封して個々の電極を密封すれば電極間の樹枝状突起の生成(及びその他の粒子の移動)が効率的に防止され、バッテリの寿命が延長される。角柱形のセルの場合、個々の電極は電極スタックに組み立てる前に包み込まれる。
【0006】
巻き上げる形式の電極の場合、巻き上げの前に個々の電極を包み込むことは皺寄せ、結合、及びその他セパレータ物質の物理的特性に起因する難点、及び多くの層がジェリイロール内に巻き上げられる事実により、問題である。巻き上げの後にセパレータを熱密封することは知られているが、このような方法は巻き上げられたジェリイロール電極集合体の一端部の両方の電極を密封することのみである。これらの方法には、充電式ニッケルー亜鉛セルの使用法が変化し続けているのに対して往々極めて重要となる柔軟性がない。
【発明の概要】
【0007】
本発明は最も一般的にセパレータを密封する選択的方法及びそのような方法を使用して製作されるジェリーロール電極集合体に関して記述されるものである。更に詳細に言うならば、本発明はジェリイロール集合体を有する充電式ニッケル−亜鉛セル用の二つの電極の中の一つの上のセパレータを選択的に熱密封する方法に関して記述されるものである。選択的密封はジェリイロール集合体の一端又は両端で使用可能である。
【0008】
従って、本発明はその一面において、二個の電極を有するジェリイロール集合体の第一電極の両側に位置してその端部を越えて延びる第一セットのセパレータ層を、第二電極の、第一電極の端部に平行で近隣に在る一端部の両側に位置してそれを越えて延びる第二セットのセパレータ層を密封することなく、ジェリイロール集合体の同じ端部を熱源に晒しながら、選択的に密封する方法に関するものである。この方法は、此処に記載される実施形態の多くの様相において実施可能である。
【0009】
一実施形態の場合、第一セットのセパレータ層を選択的に密封する工程には(i)熱源がジェリイロール集合体の同じ端部に当てられる時に、第一セットのセパレータ層は第一電極に密着することが可能であるが第二セットのセパレータ層は第二電極に密着したり包み込むことが物理的に防止されるように、第二電極の電流収集下地層を構成する工程、及び(ii)ジェリイロール集合体の同じ端部に熱源を当てる工程とが含まれる。特殊な実施形態の場合、第二電極の電流収集下地層を構成する工程には、実質上包み込まれた体積が形成されて、第一セットのセパレータ層及び第二セットのセパレータ層から隣接したセパレータ層がこの実質上包み込まれた体積の中に位置するように、実質上第一電極の電流収集下地層を覆うけれど接触せずに第二電極の電流収集下地層を折り曲げる工程が含まれる。
【0010】
別の実施形態の場合、第一セットのセパレータ層を選択的に密封する工程には(i)第一セットのセパレータ層には熱源が当てられる時に第一電極に密着して包み込むことが可能な層が含まれるが、第二セットのセパレータ層には熱源が当てられる時に第二電極に密着して包み込むことが不可能な層が含まれるようにジェリイロール集合体を構成する工程、及び(ii)ジェリイロール集合体の同じ端部に熱源を当てる工程が含まれる。
【0011】
上記の実施形態に応用される場合の一実施形態の場合、第一セットのセパレータ層と第二セットのセパレータ層とは夫々異なる融点を有する。上記の実施形態に応用される場合の別の実施形態の場合、第一セットのセパレータ層はポリプロピレン層であり、第二セットのセパレータ層はセルローズを基にした層である。一実施形態の場合、このセルローズを基にした層はポリビニルアルコール(PVA)で含浸された及び/又はコーティングされたセルローズである。
【0012】
一実施形態の場合、この熱源には対流式熱源、誘電式熱源、伝導式熱源、及び放射式熱源の中の少なくとも一種が含まれる。別の実施形態の場合、熱源は伝導式熱源である。別の実施形態の場合、伝導式熱源は加熱されたプラテンのことである。一実施形態の場合、第一電極が第一セットのセパレータに密着により選択的に包み込まれたジュリイロールの端部は約130°C〜600°Cの間の温度に加熱されたプラテンに約1秒〜約30秒の間接触される。別の実施形態の場合、ジュリイロールは約300°C〜600°Cの間の温度に加熱されたプラテンに約3秒〜約10秒の間接触される。更に別の実施形態の場合、ジュリイロールは約450°C〜550°Cの間の温度に加熱されたプラテンに約5秒〜約25秒の間接触される。
【0013】
或る実施形態の場合、加熱されたプラテンと接触の間、ジェリイロールは加熱されたプラテンに約0.5kg/cm2〜約5kg/cm2との間の力で接触されている。別の実施形態の場合、ジェリイロールは加熱されたプラテンに約1kg/cm2〜約3kg/cm2の間の力で接触されている。別の実施形態の場合、ジェリイロールは加熱されたプラテンに約1kg/cm2〜約2kg/cm2との間の力で接触されている。別の実施形態の場合、ジェリイロールは加熱されたプラテンに約1.5kg/cm2の力で接触されている。
【0014】
本発明の方法は如何なるジェリイロール構成の電極集合体にも実施可能であり、殊に亜鉛電極からの樹枝状突起の形成が電極を短絡するニッケル−亜鉛セルにおいて有用である。
【0015】
従って、本発明は別の面において、(i)第一セットのセパレータ層の間に位置される第一電極、及び(ii)第二セットのセパレータ層の間に位置される第二電極を含み、ジェリイロール電極集合体の同じ端部において第一電極と第二電極の一方がその対応するセパレータ層で包み込まれ、他方の電極がそのセパレータ層で包み込まれていないものであるジェリイロール電極集合体に関する。一実施形態の場合、この第一電極は亜鉛電極であり、第二電極はニッケル電極である。別の実施形態の場合、第一セットのセパレータ層はポリプロピレン層を含む。別の実施形態の場合、第二セットのセパレータ層はポリビニルアルコールで含浸されたセルローズを含む。此処に記載されるジェリイロール電極集合体を含むバッテリは本発明の別の面に関するものである。
【0016】
上記及びその他の特徴及び利点は図を参照して以下説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】本発明の円筒形ニッケル−亜鉛セルの主要部品を図示する図である。
【図1B】本発明の円筒形ニッケル−亜鉛セルの主要部品を図示する図である。
【図1C】本発明の円筒形ニッケル−亜鉛セルの主要部品を図示する図である。
【図2A】ジェリイロールに巻き上げる以前における電極とセパレータ層の透視図である。
【図2B】図2Aの集合体の断面図である。
【図2C】本発明のジェリイロール集合体の断面図である。
【図2D】電流収集下地層が或る構成に折り曲げられジェリイロールの一端部での選択的熱密封の後のジェリイロール集合体の断面図である。
【図2E】反極性バッテリに組み込まれた図2Dのジェリイロールの断面図である。
【図2F】図2Dに関して記述されたジェリイロール集合体のジェリイロールの反対側端部が選択的熱密封された後の断面図である。
【図2G】図2Fに関して記述されたジュリイロールからの密封されたセパレータの断面図である。
【図2H】反極性バッテリに組み込まれた図2Fのジェリイロール集合体の断面図である。
【図2I】電極―セパレータのスタックの断面図である。
【図2J】ジェリイロール集合体の断面図である。
【図2K】図2Jのジェリイロール集合体のジェリイロールの一端部の熱密封後の断面図である。
【図2L】通常極性のバッテリに組み込まれた図2Kのジェリイロール集合体の断面図である。
【図2M】図2Kに関して記述されたジェリイロール集合体のジェリイロール集合体の反対側端部が選択的熱密封された後の断面図である。
【図2N】通常極性のバッテリに組み込まれた図2Mのジェリイロール集合体の断面図である。
【図3】此処に記述された熱密封法で製造されたニッケル―亜鉛バッテリの熱密封法を使用しない場合との比較結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
A.定義
【0019】
此処に使用される用語はこの技術分野で普遍的に使用されるものに限られていない。その他の用語は複数の意味を持つ場合もある。よって此処における開示の理解の援助のために以下の定義を供する。クレーム部に記載される本発明は必ずしもこの定義に限定されるものではない。
【0020】
「加熱されたプラテン」とは加熱されたステージ、ホットプレイト、又は対象物をその上の載せて加熱するその他の加熱された表面のことである。
【0021】
「伝導式熱源」とは対象物に直接接触して熱を対象物に導く器具のことであり、従って熱は直接熱源から被加熱対象物に導かれる。
【0022】
「対流式熱源」とは対象物にガス又は液体を通じて、その一カ所から他の箇所へとの還流によって熱を導く器具のことである。対流式熱源の一例には加熱ガンがあり、これは対象物の上に熱風を吹き付けて対象物を熱するものである。
【0023】
「誘電式熱源」とは電気コイル(典型的にはそれを通る交流を使用)で生成される磁界に位置して渦電流を対象物に発生させて対象物に熱を導く器具である。熱は対象物内に電気抵抗(ジュール熱)により又は物質内の磁気ヒステリシス損として生成される。誘電式熱源の一例として磁気誘電溶接器がある。例えばプラスチックなど、強磁性プラスチック物質でドーピングされている場合(粒子の磁性ヒステリシスが熱を与える)又は金属粒子でドーピングされて居る場合(金属粒子内の電気抵抗が熱を与える)、誘電効果によって溶接が可能である。
【0024】
「放射式熱源」とは対象物に放射エネルギを通じて熱を与える器具のことであり、エネルギは一度対象物内に打ち込まれた後、対象物の分子を励起して分子運動を活発化し、この分子運動及び/又は摩擦で対象物を加熱する。放射式熱源の例にはレイザー、マイクロ波発生器、赤外線発生器などがある。
【0025】
「包み込む」とは、一度セパレータ層が密封されると、これがジェリイロール電極集合体の端部又は縁部の連続的な包み又は覆いの役を果たすことを意味する。「包み込む」とは必ずしもこの表現が通常使用されるように電極全体が囲われることを意味するものではない。従って、「包み込む」とは例えばセパレータ物質が密封された後、電極がセパレータ物質の小袋又は二重の折れ目の中に在留することを意味することも出来る。更に「包み込む」は例えばセパレータ物質の両側の縁を熱密封して、露出することになる電極を閉じ込めることを意味することも出来る。
【0026】
「密封する」とはセパレータ層を例えばセパレータ層又はその成分の融点又はそれ以上に熱を与えて融合又は共に溶解して繋ぎあわせることを意味する。典型的に密封は層が重なり合う、又は隣接するが接続していない縁の近くで実施されるが、それに限定されるものではない。一実施形態の場合、これらの層はポリプロピレンであって、一緒に溶解して連続した層となり、従って共に密着されるように、実質上共に延長する縁部に沿って層は熱されるものである。
【0027】
B.概論
【0028】
実施形態は最も一般的にセパレータを密封する選択的な方法及びそのような方法で作成されたジェリイロール電極集合体に関して記述される。更に詳細に言えば、ジェリイロール集合体の端部の二個の電極の中の一方のみを包み込むようにセパレータを熱密封する方法が記述される。これらの方法は、ジェリイロールの一方又は両方の端部に応用可能である。特殊な実施形態の場合、ジェリイロール集合体は充電式ニッケル−亜鉛セル用に使用されるものである。
【0029】
個々の電極層集合体はセパレータ物質の一個以上の層の間にサンドイッチ状に挟まっている。サンドイッチ状に挟まれた電極集合体は積み重ねられ、次いでジェリイロール集合体に巻き上げられる。セパレータと電極の物質は、一度ジェリイロール集合体の一端部が熱密封されると、セパレータ層は挟まれた電極集合体の中ただ一個のみが包み込まれるように選択的に密封されるように構成されている。上記のように、選択的に只一方の電極集合体を包み込むようにすると、例えば無駄に両方の電極集合体を包み込む場合に使用するような余分のセパレータ物質の使用が防止され、従って費用が節約され、内部のセルデザインの柔軟性が増加する。此処に記述される熱密封されたセパレータ及び熱密封の方法はサイクル寿命が向上したセルを製造することになる。
【0030】
以下、発明に関するニッケル−亜鉛バッテリの化学作用、更に説明対象のニッケル−亜鉛バッテリに関連して本発明に特別な特色に焦点を当てながらバッテリのデザインをより詳細に説明する。
【0031】
・ニッケル―亜鉛バッテリの電気化学的反応
【0032】
アルカリ性電気化学セルに於ける水酸化ニッケル陽極の充電工程は以下の反応式による:
Ni(OH)2+OH− → NiOOH+H2O+e− (1)
【0033】
アルカリ性電解質は亜鉛電極内の電気化学反応でイオン担体として作用する。充電式亜鉛電極に於ける初期活性材料はZnO粉末、或いは、亜鉛と酸化亜鉛粉末の混合物である。ZnO粉末は反応式(2)のようにKOH溶液に溶解してZn(OH)42−を生成し、これは充電工程に於いて反応式(3)のように金属亜鉛に還元する。亜鉛電極に於ける反応は以下のように記載される:
ZnO+2OH−+H2O → Zn(OH)42− (2)
及び
Zn(OH)42−+2e− → Zn+4OH− (3)
【0034】
従って、ニッケル―亜鉛バッテリ全体の反応は以下のように記載される:
ZnO+H2O+2e− → Zn+2OH-+2e− (4)
【0035】
全体としてのニッケル−亜鉛バッテリの反応は以下のようになる:
Zn+2NiOOH+H2O = ZnO+2Ni(OH)2 (5)
【0036】
亜鉛電極における放電工程においては、金属亜鉛が電子を放出して亜鉛酸塩を生成する。それと同時にKOH溶液の亜鉛酸塩濃度は増加する。
【0037】
再充電の場合、反応(1)ー(5)が繰り返される。ニッケル−亜鉛バッテリの寿命期間内において、このような充電ー放電のサイクルは何回も繰り返される。本発明は亜鉛陰極の効率に関し、例えば本発明の熱密封されたセパレータを使用するバッテリセルは充放電サイクル数が著しく増加するものである。
【0038】
C.実施形態
【0039】
電極及び部品の記述をも含めて、より詳細なニッケル―亜鉛バッテリの記述、殊にセパレータを密封する選択的方法及び選択的に密封されたセパレータを含むジェリイロール集合体に関する実施形態は以下の通りである。
【0040】
・ニッケル−亜鉛バッテリ及びバッテリの部品
【0041】
図1A及び1Bは一実施形態による円筒形燃料セルの主成分を図示するものであり、図1Aはセルの分解図である。電極と電解質の層が交互に円筒形の集合体101(ジェリイロールと呼ばれる)の中に与えられて居る。円筒形集合体、又はジェリイロール101は缶113又はその他の収容容器の内部に位置されている。缶の内側は導電性を援助するために例えば錫でめっきされていてもよい。負極コレクタ円板103(例えば任意的に例えば錫でメッキされた銅)と正極コレクタ円板105(例えば泡状のニッケル)とが円筒形集合体101の相対する端部に付着されている。負極と正極のコレクタ円板は内部端子として機能し、負極コレクタ円板は陰極に電気的に接続し、正極コレクタ円板は陽極に電気的に接続して居る。キャップ109と缶113とは外部端子として機能する。図示された実施形態では、負極コレクタ円板103は負極コレクタ円板103をキャップ109に接続するためのタブ107を含んで居る。正極コレクタ円板105は溶接又は別法によって電気的に缶113に接続されて居る。別の実施形態の場合、負極コレクタ円板が缶に接続し、正極コレクタ円板がキャップに接続する。
【0042】
負極と正極のコレクタ円板103、105は穿孔と共に示されて居り、これによってジェリイロールへの結合及び/又は電解質のセルの一部から他の部分への移行を容易にする。別の実施形態の場合、円板に於ける(径方向、或は周辺の)孔、溝、或はその他の構成によって、これらの結合及び/或は電解質の分布を容易にする。負極コレクタ円板は典型的に銅であり、任意的に錫でコーティングされる。正極コレクタ円板は典型的にニッケルであるか、その構成の中に少なくともニッケルを含むものである。
【0043】
柔軟なガスケット111が、キャップ109に近く、缶113の上部の周辺に沿って備えられた周辺ビーズ115の上に設置されている。このガスケット111はキャップ109を電気的に缶113から隔離する役を果たす。実施形態によっては、ガスケット111が置かれるこれらのビーズ115は重合体でコーティングされて居る。ガスケットはキャップを缶から電気的に隔離するならば、どのような材料であってもよい。この材料は高温であまり変形しないものが好ましく、ナイロンなどがその一例である。別例として好ましいのは、比較的疎水性の材料を使用することで、アルカリ性の電解液をしみこませて終局的に継ぎ目とかそれ以外の侵入口の位置から漏れる力を減少させることである。濡れにくい材料の一例としてポリプロピレンがある。
【0044】
缶叉はそれ以外の収容容器が電解液で満たされた後、容器は典型的にビーズ115の上の缶の部分を使用するクリンピング工程で缶113の環状部分を内側方向へガスケット111の最上部の上をクリンピングして密封され、電極や電解質が環境から隔離される。実施形態によっては、漏れを防ぐために密封剤が使用される。密封剤の適宜な例として、瀝青剤、タール、及びオハイオ州、シンシナティ在のCognis から入手可能なVERSAMID(商標)がある。
【0045】
バッテリ缶とは、最終的なセルの外側のハウジング或はケーシングとなる容器のことである。缶が陰極端子となる従来例のニッケル―カドミウムセルに於いて、これは典型的にニッケルでメッキされたスチールである。上記の如く、本発明に於いて、缶は陰極端子でも陽極端子であってもよい。缶が陰極である実施形態の場合、缶材料は、亜鉛電極の電圧に対応出来る物質でコーティングされて居る限り、スチールのような、従来例のニッケル―カドミウムバッテリで使用されるような構成に似たものであってよい。例えば、陰極の缶は腐食を妨げるべく、銅のような物質でコーティングされてよい。
【0046】
缶が陽極でキャップが陰極の実施形態の場合では、缶は従来例のニッケル―カドミウムセルで使用されるような構成に似たもの、典型的にはニッケルでメッキされたスチールでよい。或る実施例の場合、水素再結合を補助するための物質で缶の内部をコーティングすることが出来る。水素再結合の触媒となる物質ならば、何を使用してもよい。酸化銀はその一例である。別の実施形態の場合、負極コレクタ円板は例えば金属,合金、及び重合体の少なくとも一種である水素発生抑制物質でコーティングされた金属円板である。負性の円板は例えば錫、銀、ビスマス、真鍮、亜鉛、及び鉛の中の少なくとも一種でコーティングされたスチール、真鍮、又は銅であってよい。一実施形態の場合、この円板は錫及び/又は銀でコーティングされた真鍮、又は銅である。一実施形態の場合、円板の少なくとも一部分は例えばTeflon(登録商標)(E.I.Dupont de Nemours and Company, of Wilmington, Delawareのポリテトラフルオロエチレンの商品名)のような重合体でコーティングされたものである。
【0047】
図1Cはジェリイロールニッケル−亜鉛セルのより特種な構成を示すものである。このセルは図1A及び1Bのものに似ており、ジェリイロール電極集合体110、缶113、キャップ109、柔軟性ガスケット111などを有するが、この例では負極コレクタ円板103aにスロットがあり、ジェリイロール101の最上部にある巻かれた負極コレクタへの電気的接続を形成するための鉛直(降下)タブ108即ちエネルギ誘導体が存在する。タブ108はこのセルが組み立てられる時負極コレクタに押しつけられ、負極コレクタ円板103aの最上部はキャップ109を押し、負極コレクタとキャップ109との電気的接続が完成する。一実施形態の場合、タブ108は破れたり負極コレクタへ裂かれたりしないように構成される(図示されるように、タブ108はスキーのように示されたこの例の場合負極コレクタの上にのせられた曲がった部分を有する)。負極コレクタ円板103aはジェリイロールへ電解質を導入する中央の孔も有する。中央の孔が電解質の流れを容易にする場合、例えば電解質貯蔵場がセルの下部でジュリイロールの底部と缶の底の間に保持される場合、正極コレクタ円板も円板103aのように構成されてよい。この実施形態の場合、正極コレクタ円板105aは図1Aの円板105について記述されたように穿孔されているが、円板105aにはジェリイロール110の底部の巻かれた正極コレクタと電気的に接触する突起部112も含まれる。一実施形態の場合、巻かれた正極コレクタはジェリイロール101の底部に対して折り曲げられ、突起部112は折り曲げられた正極コレクタを貫いて電気的接触を達成する。
【0048】
或る実施形態の場合、セルは電解質枯渇の状態で作用するように構成されている。更に或る実施形態の場合、本発明のニッケル―亜鉛セルは電解質枯渇様式を使用するものである。かようなセルは、活性電極材料に比して、相対的に少量の電解質を有するものであり、セル内部に遊離電解液を有する浸水型のセルから容易に区別することが出来る。枯渇した形態のセルについては米国特許出願11/116、113("Nickel Zinc Battery Design" 2005年4月26日出願、US2006−0240317 A1として公開)(本願に参照して合同するものとする)に記載されて居る。セルを枯渇した状態で作用することは、多くの理由により望ましいことかも知れない。一般的に、枯渇したセルとは、セル電極スタックの中の空間総体積が電解質によって占められて居ないもののことと理解されて居る。典型的な例の場合、電解質充填後の枯渇状態のセルのボイド容積は、充填前のボイドの総容積の少なくとも約10%である。
【0049】
本発明のバッテリセルは、多くの異なる形状及びサイズのものでよい。例えば、本発明の円筒形セルは通常のAAA型セル、AA型セル、D型セル、C型セルなどの直径や長さでよい。或る応用面に於いては、カスタマイズされたセル設計が適当となる。特別な実施形態の場合、セルのサイズは直径22mmで、長さ43mmのサブC型セルのものでよい。本発明は種々の非携帯用の応用で使用される種々の大きさのセルのみならず、比較的小さい角柱のセル形で使用されることに留意されるべきである。動力機具とか芝刈り機のようなものの為のバッテリパックのプロファイルによって、バッテリセルの大きさとか形状は決定されるものである。一実施形態は此処に記述されたような選択的に密封されたセパレータを有するジェリイロールを含んだニッケル−亜鉛セルである。一実施形態は此処に記述されたニッケル−亜鉛バッテリセルを一個以上含んだバッテリパック、及び電気器具の充電放電を可能とする適宜なケイシング、接点、導電線である。
【0050】
図1A、1B及び1Cに示された実施形態は従来市場で入手可能なセル、例えば市場で入手可能なニッケル―カドミウムセルと極性が逆になって居り、キャップが陰極で缶が陽極となって居ることに留意されたい。従来の電力セルでは、セルの極性がキャップで陽極、缶或は容器で陰極である。即ち、セル集合体の陽極はキャップと電気的に連結し、セル集合体の陰極はセル集合体を保持する缶と電気的に連結する。図1A、1B及び1Cに示されるものを含めて本発明の或る実施形態に於いて、セルの極性は従来例のセルのものと逆である。従って、陰極はキャップと電気的に連結し、陽極は缶と電気的に連結する。本発明の或る実施形態に於いては、極性が従来例のデザインと同じであり、キャップが陽極であると留意されたい。この実施形態の少なくとも一例が以下において記載される。
【0051】
特殊な「正常」及び「反対」極性のセル、及び通気キャップ、陽極、セパレータ、電解質、及び陰極のより詳細な記述が以下において提供される。
【0052】
・通気キャップ
【0053】
セルは通常環境から密閉されたものであるが、充電や放電に際してバッテリから発生するガスを放出可能にしてもよい。従って、例えば図1Aを参照して、キャップ109は一般に非通気キャップとして示されるが、典型的には通気キャップである。典型的なニッケル―カドミウムセルの場合、約200PSIの圧力でガスを放出する。或る実施形態の場合、本発明のニッケル―亜鉛セルは、通気なしのまま、この圧力或はそれ以上の圧力(例えば300PSI位まで)で作用するように設計されて居る。これにより、セル内部で生成される酸素や水素の再結合が促進される。実施形態によっては、内圧を450PSI位まで、更には600PSI位までに保つように、セルが構成されてある。その他の実施例のニッケル−亜鉛セルは、比較的低圧でガスを放出するように設計される。設計が水素及び/或は酸素ガスをセル内部で再結合させず、制御された状態での放出を促進する場合に適切である。
【0054】
通気キャップ及び円板、ならびに担体下地層の構成に関する或る程度の詳細な説明は以下の特許出願に記載されており、これらはすべての目的で本願に参照して合同されるものとする:2006年4月25日を出願日とするPCT/US2006/015807及び2004年8月17日を出願日とするPCT/US2004/026859(WO2005/020353 A3)。
【0055】
・陽極
【0056】
水酸化ニッケル電極は、高パワー高エネルギ金属ニッケル水素化物バッテリ、ニッケル―カドミウムバッテリ、及びニッケル−亜鉛バッテリの陽極として使用されてきた。ニッケル陽極には、製造、電子運送、濡れ、機械的特性などの目的で、通常電気化学的活性の酸化、又は水酸化、又はオキシ水酸化ニッケル、及び一種以上の添加剤が含まれる。例えば、陽極には水酸化ニッケル粒子、酸化亜鉛、酸化コバルト(CoO)、コバルト金属、ニッケル金属、及びカルボキシメチルセルローズ(CMC)のような揺変剤が含まれてよい。コバルト金属及びニッケル金属は化学的に純粋な金属としてでも、合金として提供されてもよいことに留意されたい。陽極はこれらの物質と重合体フルオロカーボン(例えばTeflon(登録商標))のような結合剤を含むペーストから製造されてもよい。
【0057】
或る実施形態の場合、水酸化ニッケル電極には水酸化ニッケル(及び/又はオキシ水酸化ニッケル)、コバルト/コバルト化合物粉末、ニッケル粉末、及び結合物質が含まれる。コバルト化合物はニッケル電極の導電率を増加するために導入される。一実施形態の場合、ニッケル電極には酸化コバルト、水酸化コバルト、及び/又はオキシ水酸化コバルトの中の一つが、任意的に水酸化(又はオキシ水酸化)ニッケル粒子にコーティングされて含まれる。
【0058】
電気的活性酸化ニッケル(例えばNi(OH)2)電極物質を支持するために、ニッケル泡状マトリクスが使用可能である。泡状下地層の厚さは15〜60ミルの間でよい。電気化学的活性及びその他の電極物質が充填された泡状ニッケルを含む陽極の厚さは約16〜24ミルの範囲であり、好適には約20ミルである。一実施形態の場合、密度が約350g/m2であって、厚さが約16〜18ミルの範囲である泡状ニッケルが使用される。
【0059】
或る実施形態の場合、バッテリにニッケル以外の陽極(例えば銀又は空気の陽極)が使用される。銀―亜鉛システムには陽極として酸化銀が使用される一方、亜鉛―空気システムの場合には酸素還元―生成用の触媒を含むガス拡散電極が使用される。
【0060】
・セパレータ
【0061】
典型的に、セパレータは小さい孔を有するものである。此処に記載されるいくつかの実施形態に於いて、セパレータは複数の層から成るものである。孔の存在及び/叉は層状構成により、亜鉛の樹枝状突起は曲がりくねった通路を形成することになり、従って効果的に貫通することと、短絡とを防止することになる。好ましくは、多孔性セパレータのくねり度は約1.5〜10の範囲であり、より好ましくは約2〜5である。孔の平均直径は好ましくは大きくとも約0.2ミクロンで、更に好ましくは、約0.02〜0.1ミクロンの間である。孔のサイズはセパレータの内部に於いて均一であることが好ましい。特別な実施形態に於いて、セパレータは多孔率が約35〜55%の間であり、多孔率が45%で孔のサイズが0.1ミクロンの好ましい材料を有するものとする。
【0062】
或る実施形態の場合、セパレータは亜鉛の貫通を防止するバリヤ層とセルを電解質と共に濡れ状態に保ってイオン流を可能にする浸潤層の少なくとも二層から成る(更に好ましくは只二層のみから成る)ものである。これは互いに隣接する電極間に唯一の隔離材料を使用するニッケル−カドミウムセルに於いて通常のことではない。
【0063】
セルの作用は陽極を濡らし、陰極を比較的乾燥状態に保てば向上する。従って、或る実施形態に於いては、バリヤ層は陰極に隣接し、浸潤層を陽極に隣接して位置させる。この配置により、電解層を陽極に密接させ、セルの作用が向上する。
【0064】
その他の実施形態の場合、浸潤層が陰極に隣接し、バリヤ層が陽極に隣接して位置される。この配置は酸素の電解質を通って陰極への移行を容易にし、陰極での酸素の再結合に役立つ。
【0065】
バリヤ層は典型的に微小な孔を有する多孔性の膜である。導イオン性の微小な孔を持つ多孔性の膜ならば、いずれのものでも使用可能である。多孔率が30〜80%の間のポリオレフィンがしばしば使用されるが、孔の平均径が約0.005〜0.3ミクロンの間であることが好適である。好ましい実施形態の場合、バリヤ層は微小な孔を持つ多孔性のポリプロピレンである。バリヤ層は典型的に厚さが約0.5〜4ミルで、より好ましくは約1.5〜4ミルの間である。
【0066】
浸潤層は浸潤性が適当にある如何なる隔離層材料であってもよい。典型的に、浸潤層の多孔率は比較的高く、例えば約50〜85%の間である。例として、ナイロンを基にした浸潤性のあるポリエチレンやポリプロピレン材料のようなポリアミドが挙げられる。特別な一種の物質として、ポリビニルアルコールを含浸及び/又はそれでコーティングされたセルローズがある。或る実施形態の場合、浸潤層の厚さは約1〜10ミルの間であり、好ましくは約3〜6ミルの間である。隔離層材料で、浸潤層材料として使用できるものの例としては、NKK VL100 (東京のNKK Corporation 製)、Freudenberg FS2213E、Scimat 650/45 (英国 Swindon の SciMAT Limited製)、及び Vilene FV4365 がある。
【0067】
当業者に周知のその他の隔離部材料も使用可能である。上記の如く、ナイロンを基にした材料や、微小な孔を有する多孔性ポリオレフィン(例えばポリエチレン及びポロプロピレン)はしばしば非常に好適である。実施形態は選択的に密封されたセパレータに向いたものである。此処に記述されたような熱源を応用して密封可能である限り、殆どどのようなセパレータ物質でも適当である。或る実施形態の場合には異なる融点のセパレータ物質が使用され、別の使用形態の場合には密封するセパレータとジェリイロールの一方又は両方の端部が晒される条件下で密封しないものと一緒に使用される。
【0068】
電極/セパレータのデザインについて更に考慮すべきことは、セパレータを電極及び電流コレクタシートと略同じ厚さのシートとして提供すべきか、又は電極の一方又は両方をセパレータ層に入れ込むべきかと言うことである。後者の場合、セパレータは一方の電極シート用の袋として機能し、効果的に電極層を包み込む。或る実施形態の場合、陰極をセパレータ層に包み込むことは樹枝状突起形成の防止に役立つ。特殊な熱密封実施形態は以下の「電極とセパレータ集合体―ジェリイロール」の部分でより詳細に説明される。
【0069】
・電解質
【0070】
ニッケル−亜鉛セルに関連する或る実施形態の場合、亜鉛電極内の樹枝状突起の形成及びその他の形態の物質の再分配が電解質成分によって限定される。好適な電解質成分の例は此処に参照して合同されるものとする1993年6月1日にM.Eisenbergに発行された米国特許5215836号に記載されている。或る場合において、電解質には(1)アルカリ又はアルカリ土金属の水酸化物、(2)アルカリ又はアルカリ土金属の溶解性フッ化物、及び(3)ホウ酸塩、ヒ酸塩、及び/又はリン酸塩(例えばホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、及び/又はリン酸ナトリウム又はカリウム)が含まれる。一特殊実施形態の電解質の場合、約4.5〜10当量リットルの水酸化カリウム、約2〜6当量リットルのホウ酸又はメタホウ酸ナトリウム、及び約0.01〜1当量のフッ化カリウムが含まれる。高級応用の特殊な好適電解質は約8.5当量リットルの水酸化物、約4.5当量リットルのホウ酸、及び約0.2当量のフッ化カリウムを含むものである。
【0071】
実施形態はEisenbergの特許に記載された電解質成分に限定されるものではない。一般的に、所望の特殊応用面での判定基準に従うならば、いずれの電解質成分でも十分である。高パワーの応用の場合、電解質は良好な導電性が要求される。良好なサイクル寿命が望ましい場合、電解質は樹枝状物の生成しにくいものがよい。本発明の場合、適当なセパレータ層と共にホウ酸塩及び/又はフッ化物を含む水酸化カリウム電解質を使用すると樹枝状物の形成が減少し、より頑丈で長寿命のパワーセルが達成される。
【0072】
或る特殊実施形態の場合、約3〜5当量リットルの過剰水酸化物(例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、及び/又は水酸化リチウム)が電解質成分に含まれる。これは陰極が酸化亜鉛に基づく電極である仮定のもとである。亜鉛酸カルシウムの陰極の場合には、その他の電解質方式が適当であろう。一実施形態の場合、約15〜25重量%の水酸化カリウム、約0.5〜5.0重量%の水酸化リチウムの構成の電解質が亜鉛酸カルシウムに好適である。
【0073】
種々の実施形態の場合、液体及びゲルが電解質に含まれてよい。ゲルの電解質には、オハイオ州ClevelandのNoveonから入手可能なCARBOPOL(登録商標)のような増長剤が含まれても良い。好適な実施形態の場合、活性電解質成分の一部分がゲル状である。特殊実施形態の場合、電解質の約5〜25重量%がゲルであり、ゲル成分の約1〜2重量%がCARBOPOL(登録商標)である。
【0074】
場合により、本願にすべての目的で参照して合同されるものとする”Electrolyte Composition for Nickel Zinc Batteries”の題で2006年2月1日にJ.Phillips及びS.Mahantaによって提出された米国特許7550230号に記載されたように、電解質には相対的に高濃度のリン酸塩イオンが含まれてもよい。
【0075】
・陰極
【0076】
ニッケル−亜鉛バッテリに応用される陰極は下記の如く、此処に記載された界面活性剤でコーティングされた粒子、腐食抑制剤、浸潤剤などの一種以上と共に、亜鉛或は亜鉛酸イオンの電気的活性源を一種以上含むものである。電極は、その製造の時に、クーロン容量、活性亜鉛の化学的構成、多孔性、曲げ特性のような物理的、化学的、形態的特性によって特徴付けられるものである。
【0077】
或る実施形態の場合、電気化学的活性亜鉛源は、酸化亜鉛、亜鉛酸カルシウム、金属亜鉛、及び種々な亜鉛合金から選ばれる一種以上から成る。これらの物質はいずれも製造中に供給及び/又は通常のセル周期の間に生成されるものである。特別な例として、亜鉛酸カルシウムが考慮されるが、これは例えば酸化カルシウムと酸化亜鉛とを含むペースト或はスラリイから製造出来るものである。
【0078】
充電式亜鉛アルカリ性電気化学的セルの陰極の活性物質には亜鉛金属(又は亜鉛合金)粒子が含まれて良い。亜鉛合金が使用される場合、実施形態によっては、これにビスマス及び/又はインジウムが含まれて居てもよい。実施形態によっては、百万に対して約20部未満の鉛が含まれてもよい。この構成条件を満たし、市場で入手可能な亜鉛合金として、カナダのNoranda社によるPG101がある。或る実施形態の場合、約0.05重量%の鉛がニッケル−亜鉛セルの電気化学的活性亜鉛金属成分に含まれる。
【0079】
或る実施形態の場合、亜鉛金属粒子は錫及び/又は鉛でコーティングされてよい。亜鉛粒子をコーティングする場合、鉛や錫の塩が亜鉛粒子、増長剤、及び水を含む混合物の中に加えられる。亜鉛金属は酸化亜鉛及び他の電極成分の存在下でコーティング可能である。鉛又は錫でコーティングされた亜鉛粒子を含む亜鉛電極は一般的に電解質内にコバルトが存在するとガス放出をしにくい。亜鉛の導電性マトリクスがそのままであり、貯蔵期間の放電が減少すると、セルのサイクル寿命及び貯蔵期間が向上する。本発明の陰極に好適な活性物質の例は更に”Pasted Zinc Electrode for Rechargeable Nickel−Zinc Batteries”と題するJ.Phillips et.al.によって2009年5月18日に提出された米国特許出願12/467993号に記載されており、これは本願にすべての目的で参照して合同されるものとする。
【0080】
亜鉛活性物質は粉末状、粒子状などでよい。亜鉛電極のペースト材料内部の各成分が比較的小さい粒径であることが望ましい。これは、粒子が浸透或はその他によって陽極と陰極の間のセパレータを傷害する可能性を減少する為である。
【0081】
電気化学的活性亜鉛成分(及びその他の電極粒子成分)を殊に考慮する場合、かような成分の粒子サイズは約40又は50ミクロメートル未満であることが望ましい。或る実施形態の場合、粒子サイズは約40ミクロン未満であり、即ち平均直径が約40ミクロン未満であると言うことである。このサイズ体制には鉛でコーティングされた亜鉛又は酸化亜鉛粒子も含まれる。或る実施形態の場合、物質はその粒子の約1%未満の主寸法(例えば直径、又は主軸)が約50ミクロメートル未満であることで特徴付けされる。このような組成物は例えば篩いわけ又はその他の大粒子を除去するように亜鉛粒子を処理することで製造可能である。此処に記載される粒子サイズ体制は亜鉛金属のみならず酸化亜鉛及び亜鉛合金の粉末にも応用されるものである。
【0082】
電気化学的活性の亜鉛成分に加え、陰極は更にイオン移送、電子移送(例えば導電性の向上のため)、濡れ、多孔性、構成的完全性(例えば結合性)、ガス放出、活性物質の溶解性、バリヤ性能(例えば電極から脱出する亜鉛の量の削減)、腐食防止など電極内でのプロセスを容易にしたり、影響を与えたりする一種以上の物質を追加的に含むものでよい。
【0083】
結合、分散、及び/或はセパレータの代用物たることの目的として、陰極には種々の有機物が添加され得る。その例として、ヒドロキシルエチルセルローズ(HEC)、カルボキシメチルセルローズ(CMC)、遊離酸の形態のカルボキシメチルセルローズ(HCMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスチレンスルフォネート(PSS)、ポリビニルアルコール(PVA)、nopcosperse 分散剤(京都のSan Nopco Ltd.より入手可能)などがある。
【0084】
或る実施形態の場合、PSSやPVAのような重合体材料は陰極内でセパレータにとって危険となる鋭い或は大きな粒子を埋め込む目的で、ペースト構成(コーティングではなく)に混入してもよい。
【0085】
此処で電極構成を定義する場合、これは形成サイクリングの間又はその後、又はセルが例えば携帯用ツールの使用で充放電サイクルを繰り返す間又はその後のものであるばかりでなく、製造過程で得られた構成(例えばペースト、スラリ、又は乾式製造方式)に応用可能である。
【0086】
本発明の範囲内の種々の陽極構成は以下の文献に記載されて居り、これらの文献はすべてあらゆる目的に対して参照して本願に合同されるものとする:PCT公開WO02/39517(J.Phillips); PCT公開WO02/39520( J.Phillips );PCT公開WO02/39521; PCT公開WO02/39534( J.Phillips );米国特許公開2002182501号。上記文献に於ける陰極添加剤の例として、シリカ、各種アルカリ土金属のフッ化物、遷移金属、貴金属がある。
【0087】
留意すべきことは、或る特種な性質を得る為に、何種もの物質を陰極に加えることが出来るが、これらの性質は陰極以外のバッテリ成分によって導入されることが出来ると言うことである。例えば、電解質内での亜鉛の溶解度を減少させる為の物質は、陰極によっても導入されるか否かを問わず、電解質或はセパレータ(陰極にもまた与えられて居るか否かを問わず)の中に供給されてもよい。そのような物質の例にはリン酸塩、フッ化物、ホウ酸塩、亜鉛酸塩、ケイ酸塩、ステアリン酸塩などがある。上記された電極添加剤のその他の例で、電解質及び/又はセパレータの中に付与されてもよいものとして、インジウム、ビスマス、鉛、錫、カルシウムなどのイオンがある。
【0088】
例えば、或る実施形態の場合、陰極は酸化ビスマス、酸化インジウム、及び/叉は酸化アルミニウムのような酸化物を含む。酸化ビスマスと酸化インジウムとは、亜鉛と反応して電極に於けるガス放出を低減する。酸化ビスマスは乾燥状陰極構成に対し、重量で約1%〜10%の間の濃度で与えられる。これで、水素と酸素の再結合を容易にすることが出来る。酸化インジウムは、乾燥状陰極構成に対し、重量で約0.05%〜1%の間の濃度で存在してよい。酸化アルミニウム、乾燥状陰極構成に対し、重量で約1%〜5%の間の濃度で供給されて良い。
【0089】
或る実施形態の場合、電気的活性亜鉛物質の耐腐食性を向上し、それによって貯蔵期間を延長させるように、一種以上の添加剤を加えてもよい。貯蔵期間は、バッテリセルが商業的に成功するか不成功に終わるかについて決定的な要素である。バッテリは本来不安定なものであるから、陰極をも含めてバッテリの成分などは、化学的に有用な形態で保存されるように努力が必要である。何週間も何ヶ月も使用しない中に、電極物質が腐食したり、その他の理由で多分に変質すれば、貯蔵期間の短い事でこの値打ちは限られてしまう。
【0090】
電解質内での亜鉛の溶解度を減らす為に加えられるアニオンの例として、燐酸塩、フッ酸塩、ホウ酸塩、珪酸塩、ステアリン酸塩などがある。一般的にこれらのアニオンは乾燥状陰極構成に対し重量で約5%以内の濃度で陰極内に存在してよい。これらのアニオンの中、少なくともあるものはセル周期の間に溶液中に入り、亜鉛の溶解度を減少させるものと思われて居る。これらの材料を含んだ電極構成の例は以下の特許及び特許出願に記載されて居り、これらは総て、あらゆる目的において参照して本願に合同するものとする:米国特許6797433号("Negative Electrode Formulation for a Low Toxicity Zinc Electrode Having Additives with Redox Potentials Negative to Zinc Potential"、発明者 Jeffrey Phillips, 2004年9月28日発行);米国特許6835499("Negative Electrode Formulation for a Low Toxicity Zinc Electrode Having Additives with Redox Potentials Positive to Zinc Potential", 発明者 Jeffrey Phillips, 2004年12月28日発行); 米国特許6818350("Alkaline Cells Having Low Toxicity Rechargeable Zinc Electrodes", 発明者Jeffrey Phillips, 2004年11月16日発行);PCT特許出願PCT/NZ02/00036(公開番号WO02/075830号、発明者 Hall,et al.2002年3月15日出願)。
【0091】
陰極に添加される導電性繊維は電極を灌漑又は浸潤させる役を果たす。界面活性剤でコーティングされた炭素繊維はこのような物質の一例であるが、その他の物質も濡れを容易にする為に含まれてよいと理解されるべきである。そのような物質の例には酸化チタン、アルミナ、シリカなどがある。一般的に、これらは乾燥状陰極構成に対して重量で約10%以内の濃度で付与される。かような物質については米国特許6811926号("Formulation of Zinc Negative Electrode for Rechargeable Cells Having an Alkaline Electrolyte" 、発明者 Jeffrey Phillips, 2004年11月2日発行)に記載されてあり、この特許は本願に全体としてあらゆる目的に対して参照して合同されるものとする。
【0092】
亜鉛陰極は亜鉛陰極の電気化学的活性成分とニッケル陽極との間の導電的交信を達成する物質を含むものである。上記のように、本発明の発明者は電極の全体的電流搬送能力が陰極の中へ界面活性剤でコーティングされた粒子、殊に界面活性剤でコーティングされた炭素粒子(此処に参照して合同されるJeffrey Phillipsによって2010年8月6日に提出された“Carbon Fiber Zinc Negative Electrode”と題する米国特許出願12/852,345号に記載されている)を導入することで向上されることを発見した。
【0093】
上記のように、亜鉛陰極の製造には安定した粘性を有して亜鉛電極の製造にあたって使用しやすいスラリ/ペーストが使用されてよい。かようなスラリ/ペーストは任意的に鉛及び錫の塩を亜鉛粒子、増長剤、及び例えば水であるような液体を含む混合物に加えた亜鉛粒子を有するものである。酸化亜鉛(ZnO)、酸化ビスマス(Bi2O3)、分散剤、及びテフロン(登録商標)のような結合剤も添加されてよい。この面において好適な結合剤にはPTFE、スチレン、ブタジエンゴム、ポリスチレン、及びHECがある。この面において好適な分散剤には石けん、有機物分散剤、アンモニウム塩分散剤、ワクス分散剤があるが、それらに限定されるものではない。発明のこの面に好適であって市場で入手可能な分散剤の一例にNopcosperse(商標)(Nopco Paper Technology Australia Pty. Ltd.から入手可能な分散剤の液体シリーズの商標名)がある。発明のこの面に好適な液体には水、アルコール、エーテル、及びこれらの混合物があるが、これらに限定されるものではない。
【0094】
・電極及びセパレータ集合体―ジェリイロール
【0095】
上記のように、本発明はジェリイロール端部の二個の電極の中一個のみを包み込むように選択的にセパレータを熱密封する方法に関して記述するものである。特殊実施形態の場合、ジェリイロール集合体は充電式ニッケル−亜鉛セルに使用される。
【0096】
ジェリイロールを製造するに当たり、個々の電極層はセパレータ物質の一個以上の層の間にサンドイッチ状に挟まれる。サンドイッチ状に挟まれた電極集合体は積み重ねられてからジェリイロールに巻き上げられる。独特な或る実施形態の場合、セパレータ及び電極層物質は、一度ジェリイロール集合体の一端部が熱密封された時にセパレータ層が選択的に密封されてサンドイッチ状の電極集合体のただ一方のみが選択的に包み込まれるように構成されたものである。
【0097】
図2Aはジェリイロールに巻き上げる以前における電極とセパレータ層の透視図である。図示の例の場合、セパレータ(200及び208)は電極シートと共に巻き上げ機へ引き寄せられ又は供給される前に、先ず電極の平面に沿って陰極(各面を電気化学的活性層206でコーティングされた導電性下地層204)及び陽極(各面を電気化学的活性層212でコーティングされた導電性下地層210)の各々の上に折り曲げられる。この実施形態の場合、各セパレータシートは二重折であり、電極の各々は、(水平矢印で示されるように)実質上は折り目202へとその二重折に挟み込まれている。このアプローチではセパレータの源が二個使用されている。代行的実施形態としては、電極シートの各々がセパレータシートの二個の別個の源で跨られ、二個でなくて四個のセパレータ源が使用される。従って、最初にセパレータシートは電極の先端縁で折り曲げられない。結果として得られる層状構成は同じであるが、二重折セパレータは巻き上げ機へ差し込む時スタックの差込み及び制御を容易にする。いずれのアプローチで製造された構成であっても、二層のセパレータは各電極層を隣接する電極層から隔離している。このことは一般的に隣接する電極層の間にセパレータを一層しか使用しないニッケル―カドミウムセルでは達成しないことである。ニッケル―亜鉛セルでは余分の層があるので樹枝状突起の形成による短絡を防止する助けとなり、ウィッキングセパレータが使用される場合には灌漑とイオン流の援助にもなる。
【0098】
樹枝状突起は金属堆積物の中で骸骨状又は樹木状の成長パタン(「樹枝状成長」)を有する結晶構造のことである。実際問題として、樹枝状突起はセルの寿命期間においてパワー用セルの導電性媒体の中に形成され、効果的に陰極と陽極とを繋ぎ、短絡及びその結果としてバッテリの機能を喪失せしめるものである。
【0099】
セパレータシートは一般的に電極シートを幅全体に亘って覆うものでないことに留意されたい。殊に、各電極シートの一縁部(導電性下地層)は接続端子に露出されている。一実施形態の場合、これらの露出された縁部は互いに反対側にあるため、一度ジェリイロールが巻き上げられると、陽極と陰極の各々がバッテリの互いに反対側の端子と電気的接触することになる。別の実施形態では露出された縁部は同じ側にあり、バッテリ端子への電気的接触はジェリイロールの同じ端部で行われる。
【0100】
図2Bは個々の電極を図2Aの中の対応するセパレータと積み重ねて(図2Aに双頭の太線矢印で示されるように)形成された集合体の断面図(図2Aの断面Aで示す)である。セパレータ200は陰極(下地層204及び電気化学的活性層206)を陽極(下地層210及び電気化学的活性層212)から、イオン電流がこれら電極間を流れることを許可する一方、機械的及び電気的に隔離するものである。この実施形態の場合、セパレータ200は微孔性ポリプロピレンであるが、本発明はこれに限定されるものではない。上記のように、亜鉛陰極の電気化学的活性層206は電気化学的活性物質として酸化亜鉛及び/又は亜鉛金属を含み、上記のような界面活性剤でコーティングされた粒子を含んでもよい。この層206には更に他の添加剤又は亜鉛酸カルシウム、酸化ビスマス、酸化アルミニウム、酸化インジウム、ヒドロキシエチルセルローズ、及び分散剤のような電気化学的活性化合物が含まれて良い。
【0101】
陰極下地層204は陰極物質206と電気化学的にコンパチブルであるべきものである。上記のように、電極下地層は穿孔性金属シート、伸張された金属、金属泡体、又は連続的金属シートパタンなどの構成であってよい。或る実施形態の場合、下地層は金属箔のような単なる金属層である。
【0102】
陰極から向き合って、セパレータ200の逆側には陽極とセパレータ208がある。この実施形態の場合、セパレータ208はセルローズに基づく物質であり、更にはポリビニルアルコールで含浸及び/又はコーティングされたセルローズであるが、本発明はこれに限定されるものではない。この層はウィッキング層(例えば上記のセパレータの部で詳細に記述されたNKKからのもの)である。陽極には電気化学的活性層212及び電極下地層210も含まれる。陽極の層212には電気化学的活性物質として水酸化ニッケル、酸化ニッケル、及び/又はオキシ水酸化ニッケル、及び種々の添加剤が含まれてよく、これらはすべて此処に記載されている。電極下地層210は例えばニッケル金属泡体マトリクス、又はニッケル金属シートであってよい。ニッケル泡体マトリクスが使用される場合、層212は金属泡体の中のボイドを満たして泡体の中を通過するので、一個の連続的電極を形成することになる。層状の亜鉛陰極とニッケル陽極構成物とは図1A、1B及び1Cに示されるようにジェリイロール構成101に巻き上げられる。
【0103】
図2Bに見られるように、導電性下地層204及び210は側方にオフセットされて居り、一度ジェリイロールが巻き上げられると、各電極はジェリイロールの対向する端部のバッテリ端子に電気的に接続される。
【0104】
巻き上げ機は同時に種々のシートを引き寄せてジェリイロール集合体に巻き上げる。厚さが十分の円筒形が製造された後、機械はセパレータ及び電極の層を剪断して図1Aの最終的ジェリイロールを作成する。
【0105】
図2Cはジェリイロール101aの断面図(図1Aでの断面B)であり、これは殊に図2Bで示された重ねられたスタック構成を巻き上げて製作されたジェリイロールとの意味で図1Aに記載されたジェリイロール101に類似したものである。此処に記載されるジェリイロールの断面図は要するに「切片」なのであり、即ち、図を簡素化するために厚みの詳細は省略したものである。ボイド201はジェリイロールが巻き上げれた後巻き上げ機の心棒を抜き取ることで形成され、これは電解質の貯蔵に使用される。上記のように、本発明の一実施形態は二個の電極を有するジェリイロール集合体の第一電極の両側に位置してその端部を越えて延びる第一セットのセパレータ層を、第二電極の、第一電極の端部に平行で近隣に在る一端部の両側に位置してそれを越えて延びる第二セットのセパレータ層を密封することなく、ジェリイロール集合体の同じ端部を熱源に晒しながら、選択的に密封する方法である。ジェリイロール101aの図2Cでの断面図には、図2Bで示されたようなセパレータ―サンドイッチされた電極の交互の層が示されている。重要なこととして、各電極の上でセパレータ物質は電気化学的活性物質を超えて突出しており、各導電性物質は一端部においてジェリイロールの端部からセパレータ物質よりよけい突出しているので、バッテリの端子との電気的接触が可能である。この例の反極性のバッテリ用のジェリイロールの場合、負極収集下地層204がジェリイロール最上部で電気活性及びセパレータ物質を超えて突出する一方、正極収集下地層210はジェリイロールの底部で電気活性及びセパレータ物質を超えて突出する。バッテリが図1A及び1Bに示されるように組み立てられる時、陰極コレクタ204は通気キャップ端子と接続し、陽極コレクタ210はバッテリ缶と接続する。此処に記載の方法とはジェリイロールの片側又は両側において、二個の電極の中一個のみを選択的に密封するものである。この例の場合ポリプロピレンセパレータ200及びウィッキングセパレータ208であるセパレータはジェリイロールの外側及びボイド201の内側を除いて隣接するものであることに留意されたい。ジェリイロールの底部でセパレータ200はセパレータ208ほどには下方に延びていないこと、セパレータ200及び208の両方が実施形態の場合陰極の上で密封されるものであったこと、この構成では密封の時に208が十分溶解されて200と結合されることにも留意されたい。又、電極下地層210は更に下方に延びているので、208をジェリイロールの底部で長くすることも出来、従ってもし密封が十分でないならば、210は208によって更に保護される。同様に、下地層204は下地層210よりよけい突出するので、ジェリイロールセパレータ200の最上部は208より更に上方に延長して居り、従って204は更にセパレータ200によって保護されている。
【0106】
一実施形態の場合、第一セットのセパレータ層を選択的に密封する工程には(i)熱源がジェリイロール集合体の同じ端部に当てられる時に、第一セットのセパレータ層は第一電極に密着することが可能であるが第二セットのセパレータ層は第二電極に密着したり包み込むことが物理的に防止されるように、第二電極の電流収集下地層を構成する工程、及び(ii)ジェリイロール集合体の同じ端部に熱源を当てる工程とが含まれる。この例の場合、熱密封の工程は電流収集コレクタ下地層210がセパレータ層を超えて突出するジェリイロールの底部で実施される。
【0107】
一実施形態の場合、第二電極の電流収集下地層を構成する工程には、実質上包み込まれた体積が形成されて、第一セットのセパレータ層及び第二セットのセパレータ層から隣接したセパレータ層がこの実質上包み込まれた体積の中に位置するように、実質上第一電極の電流収集下地層を覆うけれど接触せずに第二電極の電流収集下地層を折り曲げる工程が含まれる。図2Dは陰極(電流コレクタ204及び電気化学的活性物質206を含む)を熱密封するように電流収集下地層210が折り曲げられ、熱がジェリイロールのその端部に当てられた後のジェリイロール101aの分解図を示す。折り曲げは手動で実施されてもよく、又は例えばジェリイロール集合体及びローラを(この例ではジェリイロールの外側縁部から内側縁部に向かって)掴み、図示のように電流コレクタを折り曲げる機械を使用してもよい。
【0108】
再度図2Dを参照し、コレクタ210が折り曲げられた後、そこには集合体端部のセパレータ物質が三方から正極コレクタ210、垂直壁、及びコレクタ210の曲げられた部分で囲まれた体積空間211(太い点線)が形成される。このように形成されて熱がジュリイロールの底端部で電流コレクタ210の折り曲げられた外面(上向きの太線矢印)に当てられると、ポリプロピレンセパレータは溶解し、溶融点200aで示されるように連続的な層が形成される。この例の電流コレクタ210の構成は少なくとも三つの目的を果たしている。折り曲げることは熱の体積空間211への伝達を助成する(実質上小型のオーブンとなる)。210がセパレータ物質から延長することはセパレータ物質208が電流コレクタ210を超えて密封すること(もし密封可能であるならば、実施形態には両方が熱密封可能である二重セパレータが含まれる)、又はその上で折り曲げることを物理的に阻止する。最後に、セパレータを超えて延長することにより、電流コレクタと缶との電気的交信が可能(例えば電流収集円板105と通じて)となり、折り曲げることで缶又は電流収集円板との電気的接触が最大化される。
【0109】
この密封が一度完成すると、小さい空間203が形成され、これは折り曲げと共にバッテリ集合体内部で貴重な体積を節約することになり、より多くの電気的活性物質の使用が可能となる(効果的に電極の高さが増加することになるから)。この例の場合、208aで示されるように、隣接した陽極の巻き上げられた部分からのウィッキング層と溶融することはなく、これはセルローズに基づく物質であって溶解しない(図示のように変形することはあるが)からである。此処に記載されるセルに使用される熱密封はこの様態に限定されるものではない。或る実施形態の場合、両方のセパレータ(或る実施形態では二つ以上のセパレータ層が存在する)が一方の電極の上に二重密封を形成するように溶融可能な物質で作成される。即ち、もし二種の異なるセパレータ物質がコンパチブルであって共に溶融するものであるならば、二倍の厚さの単一層の溶融端部を形成することができる。もし二種の異なるセパレータ物質が共に溶融するようにコンパチブルでないならば、二重密着層が形成される。この実施形態の場合、電流コレクタは、密封用の熱が与えられる時、他方の電極(この場合は陽極)がセパレータの下に密着されることを阻止する物理的バリヤが存在するために(空間211が陽極を汚染から保護しているけれど)一方の電極のみが包み込まれるように構成されている。
【0110】
図2Eは図1A及び1Bに記載されたと同様な最終的バッテリ集合体に組み込まれた選択的に熱密封されたジェリイロール集合体101aを図示するものである。電流収集円板105は電流移送改善のために正極コレクタ210の折り曲げられた表面と接触する。電流収集下地層204は電流コレクタ円板103と接触し、電気的交信を行う。理論によって拘束される意図ではないが、粒子汚染による短絡は電流収集下地層が折り曲げられる場合に可能性が増加し、従ってこの例の場合、陰極下地層210は負極収集下地層204から直視線上にあると信じられる。この例の場合、陰極を密着させると、粒子が電極の間の短絡を起こすことが防止される。陰極下地層204が負極コレクタ円板103と電気接触するジェリイロール101aの最上部で、下地層204と210とは直視線上にあるものでなく、従って樹枝状突起が成長して短絡を起こすには電気化学的活性物質206から両方のセパレータ層200及び208を超え、再度下方に向いて下地層210へと移動しなくてはならない。従って、ジェリイロール最上部での電極の構成は、電極が互いに直視線上になく、電極間の高さの差Cが十分大きく、更に横断バリヤを形成するセパレータがジェリイロールのこの端部におけるセパレータを密封することを不必要とするように行われる。しかしながら、本発明はそのように限定されるものではない。或る実施形態の場合、電極及びセパレータは二つの電極の中の一方の選択的密封がジェリイロールの両端部、例えばジェリイロールの両端部の陽極と陰極の間の相対的距離を最小化したい箇所で行われる。缶113、タブ107、ガスケット111、及びキャップ109は 図1A及び1Bに関して記述されたものと同様である。
【0111】
図2Fは図2Dに関して記述されたジェリイロール集合体101aで、ジェリイロールの最上部(図示の場合)に熱が与えられた場合の断面図である。此処では、熱はジェリイロールの両端部に与えられたものである。底部(図示の場合)は図2Dに関して記述されたように密封されている。ジェリイロールの最上部では、ジェリイロールのこの端部でのセパレータ及び電極の配置によって選択的密封が達成される。例えばジェリイロールの最上部を此処に記載されたように高温のプラテンに押し付けることによって熱が好適に与えられると、セパレータ200の層は隣接する陰極下地層204の間の点200bにおいて溶融される。セパレータ層208は溶融しない(上記)が、少なくともジェリイロールの内部の層の中で溶融により包み込まれる。最外側及び最内側の層の上でセパレータ200は溶融されるが、最外側及び最内側であるため対応する溶融200bを形成するセパレータ200の相補的層がない。それでも、ジェリイロールのこの端部におけるセパレータ200の内部層の溶融で陽極が包み込まれる。更に、最外側及び最内側のセパレータ200の層が熱で変形すると、ジェリイロールの最上端部の最外側及び最内側の陽極が少なくとも或る程度の追加的保護(部分的覆い)が得られる。要するに、セパレータ層200は、最上部と底部とに開いた部分を有する同軸的チューブ状のセパレータの単一シートを形成するように溶融されている。図2Gは溶融体200a及び200bによって単一セパレータ200に溶解したセパレータ層200を図示するものである。図2Gにおいて、ウイッキングセパレータ層は図示されて居らず、電極は単に「+」と「―」の列としてのみ示されている。密封200b及び200aにより、ジェリイロールの最上部(図示の場合)において陽極物質は陰極から保護され、陰極物質はジェリイロールの底部の陽極物質から夫々保護されている。従って、この例によるジェリイロール両端での選択的密封により、ジェリイロールの一端部の陰極が包み込まれ、ジェリイロールの他の端部の陽極が包み込まれる。巻き上げの後に選択的密封を行うことにより、独特な単一性セパレータ構成200の形成が可能となる。図2Hは反極性バッテリに組み込まれた図2Fのジェリイロール集合体を図示するものであり、此処では例えば陰極キャップ109、正極コレクタ105など、部品は図2Eに関して記述されたものと類似である。
【0112】
一実施形態の場合、第一セットのセパレータ層を選択的に密封する工程には(i)第一セットのセパレータ層には熱源が当てられる時に第一電極に密着して包み込むことが可能な層が含まれるが、第二セットのセパレータ層には熱源が当てられる時に第二電極に密着して包み込むことが不可能な層が含まれるようにジェリイロール集合体を構成する工程、及び(ii)ジェリイロール集合体の同じ端部に熱源を当てる工程とが含まれる。図2F及び2G(及び例えば以下の図2M及び図2N)、しかしそれに限定されない例に関して記載されたように、一実施形態の場合、方法には熱源がジェリイロールのその端部に当てられる時にジェリイロールの他の端部の第二電極を密封して包み込むことが出来る層が第一セットのセパレータ層に含まれるようにジェリイロール集合体を構成する工程、及びジェリイロールの他の端部に熱源を当てる工程が含まれる。上記の実施形態に応用される一実施形態の場合、第一セットのセパレータ層及び第二セットのセパレータ層は夫々異なる融点を持つものである。上記の実施形態に応用される別の実施形態の場合、第一セットのセパレータ層は密封の熱が当てられた時に溶解して溶融することの出来る物質から成り、第二セットのセパレータ層は密封の熱が当てられた時に溶解して溶融することの出来ない物質から成るものである。後者の実施形態の一例の場合、第一セットのセパレータ層はポリプロピレン層であり、第二セットのセパレータ層はセルローズに基づく層である。一実施形態の場合、このセルローズに基づく層はポリビニルアルコール(PVA)で含浸されたセルローズである。
【0113】
図2Iは図2Bのような別のスタック集合体であるが、セパレータ物質及び電極は図2Bの場合とは異なるようにオフセットされている。此処では、陽極下地層210はセパレータ物質を越えて突出して居らず、陰極下地層204はそのように突出している。このスタックは正常の極性のバッテリに使用されるものの一例である。
【0114】
図2Jは図1Aに記載されたジェリイロール101と同様であるが、殊にスタック集合体が図2Iで記述されたように巻き上げて作成されるジェリイロール101bの断面図(図1Aでの断面B)である。この例の場合、数字はセパレータ、電極、及び電気化学的活性物質に関して使用されたものと同じである。ジェリイロール底部において、電極端部間の相対的距離Cは前回の実施形態のジェリイロール最上部と同じである。しかし此の場合、ジェリイロール最上部の電極端部間の相対的距離Dは前回の実施形態のもの程大きくない。この構成は、ジェリイロール(後記)の一方又は両方の端部の選択的密封の使用に好適である。此の場合、セパレータ200及び208はジェリイロールの底部において前回のジェリイロール101aの最上部におけるものと同様にずらしてあるが、ジェリイロールのセパレータは前回のジェリイロール101aの底部のものと同様にずらしてある。一例として、ジェリイロール101bの最上部(図示の場合)の電極の一方の選択的密封が図2Kに示されている。
【0115】
セパレータ層200はポリプロピレン層であり、セパレータ層208はセルローズに基づく層であるから、ポリプロピレンのセパレータ層200を溶解して密封するのに十分な熱がジェリイロール101bの最上部に当てられても、セパレータ層208は密封されない。従って、陰極は密封されても、陽極は密封されずにいる。大部分の実施形態の場合、熱は急速に当てられるので、実質上ジェリイロールの当てられた端部に局地化し、従って電気化学的活性物質の近辺のセパレータへの熱による傷害(例えばセパレータ多孔構成の溶解による閉鎖)が最小化される。図2Kは例えばセルローズに基づく層208が密封されず、ポリプロピレンのセパレータ層200を密封するのに十分な熱を(下向きの太線矢印で示されるようにジェリイロール101bの最上部に)当てた場合の結果を示すものである。熱密封されたジェリイロール101aに関して記述された相対的関係と同様に、セパレータ層200aが点200において溶解して溶融する一方、セパレータ層208は208aにおいて見られるように溶解と溶融がない。
【0116】
ジェリイロール101bを使用する一実施形態として、タブ214がジェリイロール101bの最上部に近い正極コレクタ下地層210に溶接される。タブ214の陽極下地層への溶接は熱処理の前でも後でもよい。一実施形態の場合、タブ214は熱密封の前に付着される。此の実施形態の場合、タブ214はジェリイロールの端部全体が加熱されるように、熱密封の間にジェリイロールの端部と実質上平行に折り曲げられる。この実施形態の場合、熱はタブ214の折り曲げられた部分を通って、折り曲げられたタブ214の下側のセパレータ物質に移動される。熱密封の後、タブ214はバッテリキャップ又は電流コレクタに溶接可能のように図2Kに示されるように開かれる。
【0117】
図2Lは通常極性のバッテリに組み込まれたジェリイロール101bを示す。此の場合、タブ214は例えば上記された通気キャップのようなキャップ109に溶接されている。この構成であると、ジェリイロール101bの中の電極集合体を長くすることが出来、電流コレクタのない空間節約となり、バッテリ内によけい電気化学的活性物質が供される。代行的実施形態の場合、タブ214は正極コレクタ円板105(図示なし)に溶接又は例えばバネの圧力で押し付けられている。缶113及びガスケット111は図1A及び1Bに関して記述されたものと同様である。負極コレクタ下地層204は現在缶113の底部にある負極コレクタ103と電気的交信状態にある。この例の場合、キャップ109は陽極である。
【0118】
図2Mは図2Kに関して記述されたジェリイロール101bを示すもので、ここでは熱はジェリイロールの底部(図示の場合)に与えられたものである。此処では、ジェリイロールの両端部が選択的密封をされたものである。最上部(図示の場合)は図2Kに関して記述されたように密封される。ジェリイロールの底部では、ジェリイロールのこの端部でのセパレータ及び電極の配置によって選択的密封が達成される。例えば此処に記述されるようにジェリイロールの最上部を高温のプラテンに押し付けて熱が適当に与えられると、セパレータ200の層は負極下地層204の隣接した層の間の点200bで溶融する。セパレータ層208は溶融しない(上記)が、少なくともジェリイロールの内部の層の中で溶融200bに包み込まれる。最外側及び最内側の層の上では、セパレータ200は溶解するが、最外側及び最内側の層であるため、各々には対応する溶融200bを作成する相補的な層がない。ジェリイロールのこの端部の内部層の溶融は図2F−Gに関して記述されたジェリイロール及びプロセスと同様に陽極を包み込む。図2Nは通常極性のバッテリに組み込まれた図2Mのジェリイロールを示し、此処での部品は例えば陽極キャップ109、負極コレクタ103など、図2Lに関して記述されたものと類似である。
【0119】
上記の実施形態の各々について、セパレータの密封に使用される熱源には対流式熱源、誘電式熱源、伝導式熱源、及び放射式熱源の中の少なくとも一種が含まれる。別の実施形態の場合、伝導式熱源である。別の実施形態の場合、伝導式熱源は加熱されたプラテンである。或る実施形態の場合、例えば約5秒がポリプロピレンのセパレータを密封するのに充分であるが、余分な層及び/又は絶縁体の層(例えばセルローズに基づく層)が必要な場合には、密封のためにセパレータの端部に充分な熱を搬送するのに余分の時間が必要となることもある。一実施形態の場合、第一電極が第一セットのセパレータの密封により選択的に包み込まれたジュリイロールの端部は約130°C〜600°Cの間の温度に加熱されたプラテンに約1秒〜約30秒の間接触される。別の実施形態の場合、ジュリイロールは約300°C〜600°Cの間の温度に加熱されたプラテンに約3秒〜約10秒の間接触される。更に別の実施形態の場合、ジュリイロールは約450°C〜550°Cの間の温度に加熱されたプラテンに約5秒〜約25秒の間接触される。
【0120】
或る実施形態の場合、加熱されたプラテンと接触の間、ジェリイロールは加熱されたプラテンに約0.5kg/cm2〜約5kg/cm2との間の力で接触されている。別の実施形態の場合、ジェリイロールは加熱されたプラテンに約1kg/cm2〜約3kg/cm2との間の力で接触されている。更に別の実施形態の場合、ジェリイロールは加熱されたプラテンに約1kg/cm2〜約2kg/cm2との間の力で接触されている。別の実施形態の場合、ジェリイロールは加熱されたプラテンに約1.5kg/cm2の力で接触されている。例えばジェリイロール101a及び101bに関して記述された或る実施形態の場合、この力は選択的密封が実施されるジェリイロールの端部の加熱に使用される。折り曲げられた下地層が使用される実施形態の場合、与えられる力は加熱をより均一にするために導電性下地層の折り目を平坦化する役も果たす。
【0121】
上記のように、本発明の方法は如何なるジェリイロール構成の電極集合体にも実施可能であり、殊に亜鉛電極からの樹枝状突起の形成が電極を短絡するニッケル―亜鉛セルにおいて有用である。
【0122】
従って、上記の種々の実施形態の詳細な記述に鑑み、本発明は更に別の面において(i)第一セットのセパレータ層の間に位置される第一電極、及び(ii)第二セットのセパレータ層の間に位置される第二電極を含み、ジェリイロール電極集合体の同じ端部において第一電極と第二電極の一方がその対応するセパレータ層で包み込まれ、他方の電極がそのセパレータ層で包み込まれていないものであるジェリイロール電極集合体に関する。ニッケル陽極と亜鉛陰極のいずれかが選択的に密封される電極となる。一実施形態の場合、この第一電極は亜鉛電極であり、第二電極はニッケル電極である。別の実施形態の場合、第一セットのセパレータ層はポリプロピレン層を含む。別の実施形態の場合、第二セットのセパレータ層はポリビニルアルコールで含浸されたセルローズを含む。此処に記載されるジェリイロール電極集合体を含むバッテリは本発明の別の面、上記のように平常及び反対の極性をもつバッテリである。
【0123】
・実験結果
【0124】
図3はジェリロール101aに関して記述された実施形態に従って熱密封されたセパレータを組み込んだセルのテスト結果を示すものであり、此処では正極コレクタ下地層210はジェリイロールが巻き上げられた後に折り曲げられ、その後、3個のテスト用セルと2個のコントロール用セル(対照用セル)のセットとについて、ジェリイロールの端部が、上述した時間、温度範囲、及び応力で、熱密封しない状態でホットプレートに晒された。これらのセルは5Cの放電の割合以下でテストされた。これらの曲線は何時セルが過電流の状態に入ったか、例えば105%まで又は105%以上の過電流(Y軸の上で0.9=90%、1=100%、1.1=110%、など)を示す。曲線が安定的に上昇するのは、セル内に短絡のあったことを示す。上昇曲線が示すように、コントロール用のセルは短絡するまでに100から250サイクル保った。此処に記載されたような熱密封により3個のテスト用セルは一般的セルの変質が起こるまでに500を越えて650サイクルに至まで運行が可能であった(3本の曲線は実質上重なり合っている)。100以上のセルに熱密封を実施したが、陰極移行短絡による故障のセルはなかった。
【0125】
発明は理解のために或る程度詳細に記述されたが、記載された実施形態は例示の為であり、限定的なものではない。或る程度の変更及び変化は此処に添付した請求項の範囲内で実施可能であることは当業者には自明であろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二個の電極を有するジェリイロール集合体の第一電極の両側に位置してその端部を越えて延びる第一セットのセパレータ層を選択的に密封し、この際、前記第一電極の端部に平行で近隣に在る第二電極の端部の両側に位置してそれを越えて延びる第二セットのセパレータ層を密封することなく、前記ジェリイロール集合体の同じ端部を熱源に晒しながら前記第一セットのセパレータ層を選択的に密封する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第一セットのセパレータ層を選択的に密封する工程は、
i)前記熱源が前記ジェリイロール集合体の同じ端部に当てられる時に、前記第一セットのセパレータ層は前記第一電極に密着することが可能であるが前記第二セットのセパレータ層は前記第二電極に密着したり包み込むことが物理的に防止されるように、前記第二電極の電流収集下地層を構成する工程と、
ii)前記ジェリイロール集合体の同じ端部に前記熱源を当てる工程と、
を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記第二電極の電流収集下地層を構成する工程は、実質的に前記第一電極の電流収集下地層に接触することなく前記第一電極の電流収集下地層を覆うように前記第二電極の電流収集下地層を折り曲げる工程を含み、これによって、実質上包み込まれた体積が形成されて、前記第一セットのセパレータ層及び前記第二セットのセパレータ層のうちの隣接したセパレータ層が前記実質上包み込まれた体積の中に位置するように前記第二電極の電流収集下地層が折り曲げられる方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記第一セットのセパレータ層を選択的に密封する工程は、
i)前記第一セットのセパレータ層には前記熱源が当てられる時に前記第一電極に密着して包み込むことが可能な層が含まれるが、前記第二セットのセパレータ層には前記熱源が当てられる時に前記第二電極に密着して包み込むことが不可能な層が含まれるように前記ジェリイロール集合体を構成する工程と、
ii)前記ジェリイロール集合体の同じ端部に熱源を当てる工程と、
を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記第一セットのセパレータ層及び前記第二セットのセパレータ層は夫々異なる融点を持つものである、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記第一セットのセパレータ層はポリプロピレン層であり、前記第二セットのセパレータ層はセルローズに基づく層である、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記第二セットのセパレータ層はポリビニルアルコールで含浸されたセルローズである、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記熱源には対流式熱源、誘電式熱源、伝導式熱源、及び放射式熱源の中の少なくとも一種が含まれる、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記熱源は伝導式熱源である、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記伝導式熱源は加熱されたプラテンである、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記ジェリイロールの同じ端部は、前記加熱されたプラテンに約3秒〜約10秒の間接触されるものであり、前記プラテンの温度は約300°C〜600°Cの間である、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記ジェリイロールは、前記加熱されたプラテンに約0.5kg/cm2〜約5kg/cm2との間の力で接触される、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記第一電極は亜鉛電極であり、前記第二電極はニッケル電極である、方法。
【請求項14】
ジェリイロール電極集合体であって、
i)第一セットのセパレータ層の間に位置される第一電極、及び
ii)第二セットのセパレータ層の間に位置される第二電極を含み、
前記ジェリイロール電極集合体の同じ端部において前記第一電極と前記第二電極の一方がその対応するセパレータ層で包み込まれ、他方の電極が前記セパレータ層で包み込まれていない、ジェリイロール電極集合体。
【請求項15】
請求項14にジェリイロール電極集合体であって、
前記第一電極は亜鉛電極であり、前記第二電極はニッケル電極である、ジェリイロール電極集合体。
【請求項16】
請求項15にジェリイロール電極集合体であって、
前記第一セットのセパレータ層はポリプロピレン層を含む、ジェリイロール電極集合体。
【請求項17】
請求項16にジェリイロール電極集合体であって、
前記第二セットのセパレータ層はポリビニルアルコールで含浸されたセルローズを含む、ジェリイロール電極集合体。
【請求項18】
請求項15にジェリイロール電極集合体であって、
前記ジェリイロール電極集合体の両端部で、前記第一電極と前記第二電極の一方はそれに対応するセットのセパレータ層で包み込まれ、他方の電極はそのセットのセパレータ層で包み込まれていない、ジェリイロール電極集合体。
【請求項1】
二個の電極を有するジェリイロール集合体の第一電極の両側に位置してその端部を越えて延びる第一セットのセパレータ層を選択的に密封し、この際、前記第一電極の端部に平行で近隣に在る第二電極の端部の両側に位置してそれを越えて延びる第二セットのセパレータ層を密封することなく、前記ジェリイロール集合体の同じ端部を熱源に晒しながら前記第一セットのセパレータ層を選択的に密封する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第一セットのセパレータ層を選択的に密封する工程は、
i)前記熱源が前記ジェリイロール集合体の同じ端部に当てられる時に、前記第一セットのセパレータ層は前記第一電極に密着することが可能であるが前記第二セットのセパレータ層は前記第二電極に密着したり包み込むことが物理的に防止されるように、前記第二電極の電流収集下地層を構成する工程と、
ii)前記ジェリイロール集合体の同じ端部に前記熱源を当てる工程と、
を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記第二電極の電流収集下地層を構成する工程は、実質的に前記第一電極の電流収集下地層に接触することなく前記第一電極の電流収集下地層を覆うように前記第二電極の電流収集下地層を折り曲げる工程を含み、これによって、実質上包み込まれた体積が形成されて、前記第一セットのセパレータ層及び前記第二セットのセパレータ層のうちの隣接したセパレータ層が前記実質上包み込まれた体積の中に位置するように前記第二電極の電流収集下地層が折り曲げられる方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記第一セットのセパレータ層を選択的に密封する工程は、
i)前記第一セットのセパレータ層には前記熱源が当てられる時に前記第一電極に密着して包み込むことが可能な層が含まれるが、前記第二セットのセパレータ層には前記熱源が当てられる時に前記第二電極に密着して包み込むことが不可能な層が含まれるように前記ジェリイロール集合体を構成する工程と、
ii)前記ジェリイロール集合体の同じ端部に熱源を当てる工程と、
を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記第一セットのセパレータ層及び前記第二セットのセパレータ層は夫々異なる融点を持つものである、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記第一セットのセパレータ層はポリプロピレン層であり、前記第二セットのセパレータ層はセルローズに基づく層である、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記第二セットのセパレータ層はポリビニルアルコールで含浸されたセルローズである、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記熱源には対流式熱源、誘電式熱源、伝導式熱源、及び放射式熱源の中の少なくとも一種が含まれる、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記熱源は伝導式熱源である、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記伝導式熱源は加熱されたプラテンである、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記ジェリイロールの同じ端部は、前記加熱されたプラテンに約3秒〜約10秒の間接触されるものであり、前記プラテンの温度は約300°C〜600°Cの間である、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記ジェリイロールは、前記加熱されたプラテンに約0.5kg/cm2〜約5kg/cm2との間の力で接触される、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記第一電極は亜鉛電極であり、前記第二電極はニッケル電極である、方法。
【請求項14】
ジェリイロール電極集合体であって、
i)第一セットのセパレータ層の間に位置される第一電極、及び
ii)第二セットのセパレータ層の間に位置される第二電極を含み、
前記ジェリイロール電極集合体の同じ端部において前記第一電極と前記第二電極の一方がその対応するセパレータ層で包み込まれ、他方の電極が前記セパレータ層で包み込まれていない、ジェリイロール電極集合体。
【請求項15】
請求項14にジェリイロール電極集合体であって、
前記第一電極は亜鉛電極であり、前記第二電極はニッケル電極である、ジェリイロール電極集合体。
【請求項16】
請求項15にジェリイロール電極集合体であって、
前記第一セットのセパレータ層はポリプロピレン層を含む、ジェリイロール電極集合体。
【請求項17】
請求項16にジェリイロール電極集合体であって、
前記第二セットのセパレータ層はポリビニルアルコールで含浸されたセルローズを含む、ジェリイロール電極集合体。
【請求項18】
請求項15にジェリイロール電極集合体であって、
前記ジェリイロール電極集合体の両端部で、前記第一電極と前記第二電極の一方はそれに対応するセットのセパレータ層で包み込まれ、他方の電極はそのセットのセパレータ層で包み込まれていない、ジェリイロール電極集合体。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図2J】
【図2K】
【図2L】
【図2M】
【図2N】
【図3】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図2J】
【図2K】
【図2L】
【図2M】
【図2N】
【図3】
【公表番号】特表2013−504169(P2013−504169A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528125(P2012−528125)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/048154
【国際公開番号】WO2011/031778
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(511262359)パワージェニックス・システムズ・インコーポレーテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】POWERGENIX SYSTEMS, INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/048154
【国際公開番号】WO2011/031778
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(511262359)パワージェニックス・システムズ・インコーポレーテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】POWERGENIX SYSTEMS, INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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