説明

ニッケル触媒を用いたカップリング法によるフェニル置換複素環誘導体の製造法

【課題】痛風・高尿酸血症等の治療に有用なキサンチンオキシダーゼ阻害剤であるフェニル置換複素環誘導体又はその中間体の、低コストかつ短工程の効率的な製造法を提供すること。
【解決手段】触媒として安価なニッケル化合物を使用して、フェニル誘導体のフェニル環と複素環誘導体上のC−H結合とを直接カップリングする(下例)ことによるフェニル置換複素環誘導体又はその中間体の製造法。該ニッケル化合物としては、0価のニッケル、又は2価のニッケルの塩であり、特に、ニッケル化合物が、酢酸ニッケル(II)、ビス(1,5‐シクロオクタジエン)ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)又はそれらの水和物であることが好ましい。該反応中、さらにニッケル化合物に配位し得る配位子、特に、2,2’−ビピリジルが存在することが好ましい。該反応中、さらに塩基、特に、tert−ブトキシリチウムが存在することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニッケル触媒を用いたフェニル誘導体と複素環誘導体との新規なカップリング法を用いたフェニル置換複素環誘導体の製造方法に関するものである。更に詳細には、本発明は例えば痛風、高尿酸血症治療剤等のキサンチンオキシダーゼ阻害剤として有用なフェニル置換複素環誘導体又はその中間体の優れた製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
痛風は高尿酸血症を基礎疾患とし、発作の寛解後は高尿酸血症の改善療法が行なわれる。高尿酸血症の治療薬は大別して尿酸排泄促進剤と尿酸合成阻害剤(キサンチンオキシダーゼ阻害剤)に分けられ、疾患の態様や程度に応じて適宜選択される。
【0003】
キサンチンオキシダーゼ(XOD)阻害剤としては、2−フェニルチアゾール誘導体(特許文献1〜6、非特許文献1)、3−フェニルイソチアゾール誘導体(特許文献7、8)フェニルピラゾール誘導体(特許文献9〜11)、2−フェニルオキサゾール誘導体(特許文献12)、及びフェニルヘテロアリール誘導体(特許文献13)が挙げられる。特許文献1〜12で記載されている特許文献記載の製造法は、反応を直線的に連続させた製造方法で複素環を構築していく方法で工程数が長い。特許文献13に記載されている製造法はフェニル環と複素環を直接カップリングして骨格を構築する方法で工程数が短い。しかしながら、この方法ではボロン化合物を製造する必要があるためコストが高く、短工程、低コストの製造方法という観点ではまだ十分とは言えないものである。
【0004】
ボロン化合物を用いることなく、複素環上のC−H結合を直接フェニル環と結合させる製造法としては、触媒として、パラジウム(非特許文献2〜4)、ロジウム(非特許文献5)、又はイリジウム(非特許文献6)等を使用した例が報告されているが、いずれも高価な金属触媒である。近年、安価な銅(非特許文献7)を用いたカップリングも報告されてきている。安価なニッケル触媒を用いたカップリング反応(非特許文献8〜11)はこれまでも報告されているが、C−H結合でのビアリールカップリングに用いることについては報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第92/09279号パンフレット
【特許文献2】特開平6-293746号公報
【特許文献3】特開平6-32674号公報
【特許文献4】特開平6-345724号公報
【特許文献5】特開平10-139770号公報
【特許文献6】特開平11-60552号公報
【特許文献7】特開昭57-85379号公報
【特許文献8】特開平6-211815号公報
【特許文献9】特開昭59-95272号公報
【特許文献10】国際公開第98-18765号パンフレット
【特許文献11】特開平10-310578号公報
【特許文献12】特開平6-65210号公報
【特許文献13】国際公開第2007-097403号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Heterocycles 1998:47,857
【非特許文献2】J. Am. Chem. Soc. 2003:125,1700
【非特許文献3】J. Am. Chem. Soc. 2006:128,16496
【非特許文献4】Angew. Chem., Int. Ed. 2007:46,7996
【非特許文献5】J. Am. Chem. Soc. 2008:130,14926
【非特許文献6】Chem. Comm. 2004:1926
【非特許文献7】J. Am. Chem. Soc. 2007:129,12404
【非特許文献8】Angew. Chem., Int. Ed. 2004:43,2428
【非特許文献9】Angew. Chem., Int. Ed. 2008:47,4866
【非特許文献10】J. Am. Chem. Soc. 2008:130,14468
【非特許文献11】J. Am. Chem. Soc. 2008:130,14422
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、前記公知製造法とは異なる、痛風・高尿酸血症治療剤等のキサンチンオキシダーゼ阻害剤であるフェニル置換複素環誘導体又はその中間体の、低コストかつ短工程の優れた製造法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、触媒として安価なニッケル化合物を使用して、フェニル誘導体のフェニル環と複素環誘導体上のC−H結合とを直接カップリングできるという知見を得た。
【0009】
すなわち本発明は、以下のものに関する。
[1]下記式(1)
【0010】
【化1】

[式(1)において、
は、水素原子又はハロゲン原子を表し;
は、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、ホルミル基、又はハロメチル基を表し;
Aは、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、フェニル基、フッ素原子(Xが結合手の場合に限る)、又は水酸基の保護基(Xが酸素原子の場合に限る)を表し、
Aは1〜3個の置換基で置換されていてもよく、かかる置換基は、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cシクロアルキル基、フェニル基、フェノキシ基、及びピリジル基からなる群から選ばれる基を表し;
Xは、結合手(ただし、Aが、フェニル基、又はフッ素原子の場合に限る)、又は酸素原子を表し;
Yは、脱離基を表す。]
で表される化合物と、下記式(2)
【0011】
【化2】

[式(2)において、
Hは、水素原子を表し;
【0012】
【化3】

は、COOR3a、又はCOR3bを表し;
3aは、水素原子、C〜Cアルキル基、又はカルボキシル基の保護基を表し;
3bは、カルボキシル基のアミド系保護基を表し;
は、水素原子、ハロゲン原子、又はC〜Cアルキルを表し;
Wは、酸素原子、又は硫黄原子を表す。]
で表される化合物とを、ニッケル化合物存在下において反応させることによる、
下記式(3)
【0013】
【化4】

[式(3)において、
A、X、R、及びRは式(1)の定義と同じであり、B、及びRは式(2)の定義と同じである。]で表されるフェニル置換複素環誘導体の製造法。
[2] Aが、C〜Cアルキル基である[1]記載の製造法。
[3] Aが、イソブチル基である[1]記載の製造法。
[4] Xが、酸素原子である[1]〜[3]のいずれかに記載の製造法。
[5] Rが、水素原子である[1]〜[4]のいずれかに記載の製造法。
[6] Rが、シアノ基である[1]〜[5]のいずれかに記載の製造法。
[7] Yが、ハロゲン原子、−OCO−(C〜Cアルキル基)、−OCO−(フェニル基)、−OSO−(C〜Cアルキル基)、−OSO−(フェニル基)、又はジアゾニウム基であり、
Y中の、C〜Cアルキル基は1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく、フェニル基は1〜3個の、ハロゲン原子又はC〜Cアルキル基で置換されていてもよい[1]〜[6]のいずれかに記載の製造法。
[8] Bが、以下の基である[1]〜[7]のいずれかに記載の製造法。
【0014】
【化5】

[9] Rが、メチル基である[1]〜[8]のいずれかに記載の製造法。
[10] ニッケル化合物が、0価のニッケル、又は2価のニッケルの塩である[1]〜[9]のいずれかに記載の製造法。
[11] ニッケル化合物が、酢酸ニッケル(II)(Ni(OAc))、ビス(1,5‐シクロオクタジエン)ニッケル(II)(Ni(cycloocta−1,5−diene))、塩化ニッケル(II)(NiCl)、又はそれらの水和物である[1]〜[9]のいずれかに記載の製造法。
[12] 反応中、さらにニッケル化合物に配位し得る配位子が存在する[1]〜[11]のいずれかに記載の製造法。
[13] 該配位子が、2,2’−ビピリジルである[12]記載の製造法。
[14] 反応中、さらに塩基が存在する[1]〜[13]のいずれかに記載の製造法。
[15] 該塩基が、tert−ブトキシリチウムである[14]記載の製造法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、安価なニッケル触媒を用いて、フェニル誘導体(式(1)で表される化合物)と複素環誘導体(式(2)で表される化合物)とをカップリング反応することにより、低コストかつ短工程で、フェニル置換複素環誘導体(式(3)で表される化合物)を得ることができる。
【0016】
また、短工程であることから、フェニル置換複素環誘導体(式(3)で表される化合物)を高収率で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で単独又は組み合わせて用いられる用語を以下に説明する。特段の記載がない限り、各置換基の説明は、各部位において共通するものとする。なお、置換基及び変数の組み合わせは、そのような組み合わせが化学的に安定な化合物をもたらす場合にだけ許される。置換基自身が2個以上の基で置換される場合、これらの多数の基は、安定な構造が生じる限り、同じ炭素又は異なる炭素に存在し得る。
【0018】
本発明において「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を意味する。
【0019】
本発明において「C〜Cアルキル基」とは、炭素数が1〜8個の飽和の直鎖又は分岐状脂肪族炭化水素基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、及びn−オクチル基等が挙げられる。
【0020】
本発明において「C〜Cアルコキシ基」とは、「C〜Cアルキル基」とオキシ基とからなる基を意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、及びtert−ブチルオキシ基等が挙げられる。
【0021】
本発明において「C〜Cシクロアルキル基」とは、3〜6個の炭素原子からなる環状アルキル基を意味し、例えば、シクロプロピル基、シクロブタニル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0022】
本発明において「C〜Cアルキルチオ基」とは、「C〜Cアルキル基」とチオ基とからなる基を意味し、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、及びtert−ブチルチオ基等が挙げられる。
【0023】
本発明において「ハロメチル基」とは、1個以上のハロゲン原子で置換されたメチルを意味し、例えば、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、フルオロメチル基、トリクロロメチル基、ジクロロメチル基、クロロメチル基、トリブロモメチル基、ジブロモメチル基、及びブロモメチル基等が挙げられる。
【0024】
本発明において、「脱離基」とは、置換反応又は脱離反応等において、反応基質から離れていく原子又は原子団を意味する。かかる「脱離基」としては、例えば、ハロゲン原子、−OCO−(C〜Cアルキル基)、−OCO−(フェニル基)、−OSO−(C〜Cアルキル基)、−OSO−(フェニル基)、及びジアゾニウム基(−N≡N)等が挙げられる。また、脱離基を構成する、C〜Cアルキル基は1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく、フェニル基は1〜3個の、ハロゲン原子又はC〜Cアルキル基で置換されていてもよい。ただし、これらに限定されない。
【0025】
「水酸基の保護基」とは、水酸基を保護する基を意味する。このような「水酸基の保護基」は、当技術分野に周知であるが、エーテル系保護基、シリルエーテル系保護基、エステル系保護基、カルボナート系保護基、ホスフィン系保護基、スルホナート系保護基等に分類され、例えば、ベンジルオキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、フェニルチオメチル基、フェナシルメチル基、4−ブロモフェナシルメチル基、シクロプロピルメチル基、アリル基、プロパルギル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、o−ニトロベンジル基、4−(ジメチルアミノ)カルボニルベンジル基、4−メチルスルフィニルベンジル基、9−アントラニルメチル基、4−ピコリル基、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ホルミル基、−(C=O)−(C〜Cアルキル基)、ベンゾイル基、4−オキソ−ペンタノイル基、ピバロイル基、メチルエステル基、1−アダマンチルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、4−メチルスルフィニルベンジルオキシカルボニル基、2,4−ジメチルペント−3−イルオキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、ビニルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、−(C=O)NH−(C〜Cアルキル基)、メタンスルホニル基、及びトルエンスルホニル基等、グリーン(T.W.Greene)及びウッツ(P.G.M.Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1994年)、(第4版、2006年)」のフェノールの保護基に記載される基等を挙げることができる。ただし、ここに例示した基に限定されず、水酸基の保護基として利用される基であればよい。ここで、Aとしての水酸基の保護基は、Xが酸素原子の場合に水酸基の保護基として用いられるものである。例えば、ベンジル基が保護基の場合、A−X−はPhCH−O−となる。
【0026】
「カルボキシル基の保護基」とは、カルボキシル基を保護する基を意味する。このような「カルボキシル基の保護基」は、当技術分野に周知であり、エステル系保護基、アミド系保護基等に分類される。ただし、本発明における「カルボキシル基の保護基」とは、後述する「カルボキシル基のアミド系保護基」と区別して、エステル系保護基を意味する。このような「カルボキシル基の保護基」としては、例えば、C〜Cアルキル基、9−フルオレニルメチル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、メトキシエトキシメチル基、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基、フェニルアセトキシメチル基、トリイソプロピルシリルメチル基、p−ブロモフェナシル基、α−メチルフェナシル基、p−メトキシファナシル基、デシル基、カルボキサミドメチル基、p−アゾベンゼンカルボキサミドメチル基、N−フタルイミドメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2−ハロエチル基、ω−クロロアルキル基、2−(トリエチルシリル)エチル基、2−メチルチオエチル基、1,3−ジチアニル−2−メチル基、2−(p−ニトロフェニルスルフェニル)エチル基、2−(p−トルエンスルホニル)エチル基、2−(2‘−ピリジル)エチル基、2−(p−メトキシフェニル)エチル基、2−(ジフェニルホスフィノ)エチル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、2−(4−アセチル−2−ニトロフェニル)エチル基、2−シアノエチル基、ジシクロプロピルメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アリル基、メタリル基、2−メチルブト−3−エン−2−イル基、3−メチルブト−2−(プレニル)基、3−ブテン−1−イル基、4−(トリメチルシリル)−2−ブテン−1−イル基、シンナミル基、α−メチルシンナミル基、プロプ−2−インイル(プロパルギル)基、フェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェニル基、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メトキシフェニル基、p−(メチルチオ)フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ベンジル基、トリフェニルメチル基、ジフェニルメチル基、ビス(o−ニトロフェニル)メチル基、9−アントラニルメチル基、2−(9,10−ジオキソ)アントラニルメチル基、5−ジベンゾスベリル基、1−ピレニルメチル基、2−(トリフルオロメチル)−6−クロモニルメチル基、2,4,6−トリメチルベンジル基、p−ブロモベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基、p−メトキシベンジル基、2,6−ジメトキシベンジル基、4−(メチルスルフィニル)ベンジル基、4−スルホベンジル基、4−アジドメトキシベンジル基、ピペロニル基、4−ピコニル基、p−P−ベンジル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、i−プロピルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、ジ−(tert−ブチル)メチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、C〜Cアルキルチオ基、オキサゾール基、2−アルキル−1,3−オキサゾリン基、4−アルキル−5−オキソ−1,3−オキサゾリジン基、2,2−ビストリフルオロメチル−4−アルキル−5−オキソ−1,3−オキサゾリジン基、5−アルキル−4−オキソ−1,3−ジオキソラン基、及びジオキサノン基等、グリーン(T.W.Greene)及びウッツ(P.G.M.Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1994年)、(第4版、2006年)」のカルボキシル基の保護基に記載される基を挙げることができる。ただし、ここに例示した基に限定されず、カルボキシル基の保護基として利用される基であればよい。ここで例示した保護基は、保護するカルボキシル基の酸素原子と結合する。
【0027】
本発明における「カルボキシル基のアミド系保護基」とは、周知の「カルボキシル基の保護基」のうちアミド系保護基等に分類されるものであり、例えば、N,N−ジメチルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、5,6−ジヒドロフェナントリジル基、o−ニトロフェニルアミノ基、N−7−ニトロインドリル基、N−8−ニトロ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリル基、N−フェニルヒドラジル基、及びN,N’−ジイソプロピルヒドラジル基等、グリーン(T.W.Greene)及びウッツ(P.G.M.Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis(第3版、1994年)、(第4版、2006年)」のカルボキシル基の保護基に記載される基を挙げることができる。ただし、ここに例示した基に限定されず、カルボキシル基の保護基として利用されるアミノ基であればよい。
【0028】
本発明のうち、例えば「C」等の「C」は炭素原子を表し、その後に付く数字は炭素数を表す。例えば、「C〜C」は炭素数1から炭素数6までの範囲を表す。もちろんであるが、本発明において、炭素数が異なれば、その炭素数を有するその基を意味することとなる。例えば、「C〜Cアルキル基」は、「C〜Cアルキル基」で定義するアルキル基の炭素数が1から4であるものを意味する。他の基における炭素数の扱いも同様である。
【0029】
本発明における「ジアゾニウム基」は塩を形成し、かかる塩としては、フッ化塩、塩化塩、臭化塩、ヨウ化塩、及びテトラフルオロボラン塩等を挙げることができる。
【0030】
本発明で使用する略称は以下の通りである。
TfO:トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、MsO:メタンスルホニルオキシ基、TsO:トルエンスルホニルオキシ基、Me:メチル基、Et:エチル基、n−Pr:n−プロピル基、i−Pr:イソプロピル基、i−Bu:イソブチル基、t−Bu:tert−ブチル基、MeO:メトキシ基、Ph:フェニル基、OAc:アセチルオキシ基、4−MeO−Ph:4−メトキシ−フェニル基
本発明は、前記式(1)
【0031】
【化6】

で表される化合物と、下記式(2)
【0032】
【化7】

で表される化合物とを、ニッケル化合物存在下において反応させることによる、下記式(3)
【0033】
【化8】

で表されるフェニル置換複素環誘導体を製造する方法に関する。
【0034】
前記式(1)及び(3)中、Rは、水素原子、又はハロゲン原子を表す。
【0035】
における「ハロゲン原子」としては、塩素原子、又はフッ素原子が好ましく、さらにはフッ素原子が好ましい。
全体としては、水素原子が好ましい。
【0036】
前記式(1)及び(3)中、Rは、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、ホルミル基、又はハロメチル基を表す。
【0037】
における「ハロゲン原子」としては、臭素原子が好ましい。
【0038】
における「ハロメチル基」としては、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、又はトリフルオロメチル基が好ましい。
【0039】
全体としては、シアノ基、ニトロ基、又はホルミル基が好ましく、中でもシアノ基が好ましい。
【0040】
前記式(1)及び(3)中、Aは、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、フェニル基、フッ素原子(Xが結合手の場合に限る)、又は水酸基の保護基(Xが酸素原子の場合に限る)を表す。ここで、Aとしての水酸基の保護基は、Xが酸素原子である場合に水酸基の保護基として用いられるものである。例えば、保護基がベンジル基の場合、A−X−はPhCH−O−となる。
【0041】
また、Aは、1〜3個の置換基で置換されていてもよく、かかる置換基は、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cシクロアルキル基、フェニル基、フェノキシ基、及びピリジル基からなる群から選ばれる基を表す。
【0042】
Aにおける「C〜Cアルキル基」としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、又はネオペンチル基が好ましく、中でもイソブチル基、又はネオペンチル基が好ましく、さらにはイソブチル基が好ましい。
【0043】
A全体としては、C〜Cアルキル基が好ましい。
【0044】
前記式(1)及び(3)中、Xは、結合手(ただし、Aが、フェニル基、又はフッ素原子の場合に限る。)、又は酸素原子を表す。中でも、酸素原子が好ましい。
【0045】
前記式(1)中、Yは、脱離基を表す。中でも、ハロゲン原子、−OCO−(C〜Cアルキル基)、−OCO−(フェニル基)、−OSO−(C〜Cアルキル基)、−OSO−(フェニル基)、又はジアゾニウム基が好ましい。
【0046】
Yとしての脱離基が「−OCO−(C〜Cアルキル基)」、又は「−OSO−(C〜Cアルキル基)」である場合、かかるY中の「C〜Cアルキル基」としては、メチル基が好ましい。
【0047】
Yとしての脱離基が「−OCO−(C〜Cアルキル基)」、又は「−OSO−(C〜Cアルキル基)」である場合、かかるY中の「C〜Cアルキル基」は1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい。かかる「ハロゲン原子」としては、フッ素原子が好ましく、特に3個のフッ素原子で置換されていることが好ましい。
Yとしての脱離基が「−OCO−(フェニル基)」、又は「−OSO−(フェニル基)」である場合、かかるY中の「フェニル基」は1〜3個の、ハロゲン原子又はC〜Cアルキル基で置換されていてもよい。かかる「C〜Cアルキル基」としては、メチル基が好ましい。
【0048】
Yとしての脱離基が「ハロゲン原子」である場合、「ハロゲン原子」としては、ヨウ素原子、臭素原子、又は塩素原子が好ましく、中でもヨウ素原子、又は臭素原子が好ましく、特にヨウ素原子が好ましい。
「ジアゾニウム基」は塩を形成し得る。Yとしての脱離基が「ジアゾニウム基」である場合、「ジアゾニウム基」の塩としては、テトラフルオロボラン塩が好ましい。
Y全体としては、ヨウ素原子、臭素原子、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基等が好ましい。
前記式(2)中、Hは、水素原子を表す。
前記式(2)及び(3)中、Bは、下記式から選択される基を表す。
【0049】
【化9】

中でも、以下の基が好ましい。
【0050】
【化10】

前記式(2)及び(3)中、Rは、COOR3a、又はCOR3bを表す。
【0051】
3aは、水素原子、C〜Cアルキル基、又はカルボキシル基の保護基を表す。ここで、R3aとしてのカルボキシル基の保護基は、R3aが置換するカルボキシル基を保護するものである。
3aとしては、水素原子、又はC〜Cアルキル基が好ましい。
3bは、カルボキシル基のアミド系保護基を表す。
全体としては、COOR3aが好ましい。
前記式(2)及び(3)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又はC〜Cアルキル基を表す。
における「ハロゲン原子」としては、フッ素原子が好ましい。
における「C〜Cアルキル基」としては、メチル基が好ましい。
全体としては、C〜Cアルキル基が好ましく、中でもメチル基が好ましい。
前記式(2)及び(3)中、Wは、酸素原子、又は硫黄原子を表す。
前記式(3)において、A、X、R、Rの定義及び好ましい基は、式(1)のものとそれぞれ同じであり、B、Rの定義及び好ましい基は式(2)のものとそれぞれ同じである。
【0052】
式(1)に表される化合物の具体的な例を表1〜4に、式(2)に表される化合物の具体的な例を表5〜7に、列挙する。ただし、式(1)及び式(2)に表される化合物は、かかる具体例に限定されるものではない。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
【表5】

【0058】
【表6】

【0059】
【表7】

本発明の製造法は、触媒としてニッケル化合物を用いることが特徴である。本発明の製造法において、使用するニッケル化合物としては、特に限定されないが、中でも、0価のNi(0)、又は2価のNi(II)の塩が好ましい。
【0060】
Ni(II)の塩としては、酢酸ニッケル(II)、トリフルオロ酢酸ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)、ニッケル(II)アセチルアセトナート、過塩素酸ニッケル(II)、クエン酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)、シクロヘキサン酪酸ニッケル(II)、安息香酸ニッケル(II)、ステアリン酸ニッケル(II)、ステアリン酸ニッケル(II)、スルファミンニッケル(II)、炭酸ニッケル(II)、チオシアン酸ニッケル(II)、トリフルオロメタンスルホン酸ニッケル(II)、ビス(1,5‐シクロオクタジエン)ニッケル(II)、ビス( 4 ‐ジエチルアミノジチオベンジル)ニッケル(II)、シアン化ニッケル(II)、フッ化ニッケル(II)、ホウ化ニッケル(II)、ホウ酸ニッケル(II)、次亜リン酸ニッケル(II)、硫酸アンモニウムニッケル(II)、水酸化ニッケル(II)、シクロペンタジエニルニッケル(II)、及びこれらの水和物、ならびにこれらの混合物等が挙げられる。
【0061】
0価のNi(0)、2価のNi(II)の塩としては、配位子を事前に配位させた化合物を使用してもよい。
【0062】
本発明の製造法において、ニッケル化合物とともに、ニッケルに配位し得る配位子を存在させてもよい。かかる本発明の製造法に使用する配位子としては、カルボン酸系、アミド系、ホスフィン系、オキシム系、スルホン酸系、1,3−ジケトン系、シッフ塩基系、オキサゾリン系、ジアミン系、一酸化炭素、及びカルベン系、の配位子等が挙げられる。ただし、この限りではない。配位子における配位原子は窒素原子、リン原子、酸素原子及び硫黄原子等であり、配位子には配位原子を1箇所のみ有する単座配位子と2箇所以上を有する多座配位子がある。一酸化炭素、カルベン系に関しては、炭素原子を配位原子とする。
【0063】
単座の配位子としては、トリフェニルホスフィン、トリメトキシホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ(i−プロピル)ホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリ(n−ブチル)ホスフィン、トリ(イソプロポキシ)ホスフィン、トリ(シクロペンチル)ホスフィン、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン、トリ(オルト−トルイル)ホスフィン、トリ(メシチル)ホスフィン、トリ(フェノキシ)ホスフィン、トリ−(2−フリル)ホスフィン、ビス(p−スルホナートフェニル)フェニルホスフィンカリウム、ジ(tert−ブチル)メチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、トリエチルアミン、及びピリジン等が挙げられる。
【0064】
二座の配位子としては、2,2’−ビピリジル、4,4’−(tert−ブチル)ビピリジル、フェナントロリン、2,2’−ビピリミジル、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、2−(ジメチルアミノ)エタノール、テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、2−アミノメチルピリジン、又は(NE)−N−(ピリジン−2−イルメチリデン)アニリン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(tert−ブチル)フェロセン、ジフェニルホスフィノメタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,2−ビス(ジペンタフルオロフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、1,3−(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,5−シクロオクタジエン、BINAP、BIPHEMP、PROPHOS、DIOP、DEGUPHOS、DIPAMP、DuPHOS、NORPHOS、PNNP、SKEWPHOS、BPPFA、SEGPHOS、CHIRAPHOS、JOSIPHOS等、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0065】
【化11】

BINAPとしては、BINAPの誘導体も含まれ、具体例としては、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジ―p―トリルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジ―p―第3級ブチルフェニルホスフィノ) −1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジ−m−トリルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジ−3,5−ジメチルフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジ−p−メトキシフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジシクロペンチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−ジ(β−ナフチル)ホスフィノ−2’−ジフェニルホスフィノ−1,1’−ビナフチル、及び2−ジフェニルホスフィノ−2’−ジ( p -トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ−1,1’−ビナフチル等が挙げられる。
【0066】
BIPHEMPとしては、BIPHEMPの誘導体も含まれ、具体例としては、2,2’−ジメチル−6,6’−ビス(ジフェニルホスフィノ−1,1’−ビフェニル、2,2’−ジメチル−6,6’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)−6,6’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、2,2’,4,4’−テトラメチル−6,6‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、2,2’−ジメトキシ−6,6’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメトキシ−6,6’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、2,2’,4,4’−テトラメチル−3,3’ジメトキシ−6,6’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、2,2’−ジメチル−6,6’−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、2,2’−ジメチル−6,6’−ビス(ジ−p−第3級ブチルフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、及び2,2’,4,4’−テトラメチル−3,3’−ジメトキシ−6,6’−ビス(ジ−p−メトキシフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル等が挙げられる。
【0067】
本発明の反応に使用する配位子は、場合によっては使用しなくてもよい。また、配位子は、混合物として使用してもよい。
【0068】
本発明の製造法は、ニッケル化合物とともに塩基を併用してもよい。このような本発明の製造法に用いる塩基としては、特に限定されないが、中でも、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、リン酸三カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等、C〜Cのアルコキシドの金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩)、C〜Cのアルキルアニオンの金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩)、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロオクタン、又はイミダゾール等が好ましい
本発明の製造法に用いる塩基としての「C〜Cのアルコキシドの金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩)」における「C〜Cのアルコキシド」としては、メトキシド、エトキシド、n−プロピルオキシド、イソプロピルオキシド、n−ブチルオキシド、イソブチルオキシド、tert−ブチルオキシド、n−ペンチルオキシド、イソペンチルオキシド、ネオペンチルオキシド、1−メチルプロピルオキシド、n−ヘキシルオキシド、イソヘキシルオキシド、1,1−ジメチルブチルオキシド、2,2−ジメチルブチルオキシド、及び3,3−ジメチルブチルオキシド等が挙げられる。また、これらの混合物を用いてもよい。
【0069】
本発明の反応に用いる塩基としての「C〜Cのアルキルアニオンの金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩)」における「C〜Cのアルキルアニオン」としては、メチルアニオン、エチルアニオン、n−プロピルアニオン、イソプロピルアニオン、n−ブチルアニオン、イソブチルアニオン、tert−ブチルアニオン、n−ペンチルアニオン、イソペンチルアニオン、ネオペンチルアニオン、1−メチルプロピルアニオン、n−ヘキシルアニオン、イソヘキシルアニオン、1,1−ジメチルブチルアニオン、2,2−ジメチルブチルアニオン、及び3,3−ジメチルブチルアニオン等が挙げられる。また、これらの混合物を用いてもよい。
【0070】
本発明の製造法に用いる塩基としては、C〜Cのアルコキシドの金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩)が好ましく、中でも、tert−ブトキシリチウムが好ましい。
【0071】
本発明の反応に使用する塩基は、場合によっては使用しなくてもよい。
【0072】
本発明の製造法は、ニッケル化合物とともにNi(II)をNi(0)に還元する還元剤を併用してもよい。例えば、亜鉛等が挙げられる。
【0073】
本反応の製造法において、銀塩を添加してもよい。かかる銀塩としては、例えば、炭酸銀等が挙げられる。
【0074】
本発明の製造法は広い温度範囲内において実施することができる。一般には、0℃〜200℃、好ましくは0℃〜100℃、さらに好ましくは、0℃〜80℃である。また、反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧又は減圧下で操作することもできる。反応時間は、0.1〜72時間であり、好ましくは、0.1〜48時間である。空気中での反応も可能だが、アルゴンガス、窒素ガス等の反応に悪影響のないガス雰囲気下が望ましい。また、本反応はマイクロ波を照射してもよい。
【0075】
本発明の製造法に使用する溶媒としては、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン 等)、脂肪族ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン 等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン 等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、tert−ブチルメチルエーテル、テトロヒドロフラン、ジオキサン 等)、エステル類(酢酸エチル、プロピオン酸エチル 等)、酸アミド類(ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセタミド(DMA)、N−メチルピロリドン(NMP) 等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル 等)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及びこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
【0076】
本発明の製造法に使用するニッケル化合物、配位子の使用量は、使用する式(1)の化合物又は式(2)の化合物の100モル%以下の範囲で使用してよい。好ましくは20モル%以下の範囲である。配位子は場合によっては使用しなくてもよい。
【0077】
本発明の製造法に使用する塩基の使用量は、式(1)の化合物又は式(2)の化合物の1000モル%以下の範囲で使用してよい。好ましくは200モル%以下の範囲である。
【0078】
本発明の製造法に使用する溶媒量は、式(1)の化合物又は式(2)の化合物の重量の1000倍以下の重量で使用してよい。好ましくは、100倍以下である。さらに好ましくは、20倍以下である。
【0079】
本発明の製造法で使用する、式(1)の化合物、式(2)の化合物、ニッケル化合物、配位子、塩基、溶媒の加える順序については任意であり、使用する試薬の組み合わせにより、最適な順序が選択されてよい。
【0080】
本発明の製造法に使用される式(1)で表される化合物は以下の方法で製造することが可能である。
合成法(1)
【0081】
【化12】

反応式中、Xは酸素原子であり、R、R、A、Yは式(1)の定義と同じである。Lは脱離基を表し、ハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等が挙げられる。
具体的には、化合物(a)を適当な塩基存在下、適当な溶媒中、適当な温度条件下で化合物(b)と反応させることで、式(1)に示される化合物を製造することができる。
【0082】
使用する溶媒は特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン 等)、脂肪族ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン 等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン 等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトロヒドロフラン、ジオキサン 等)、エステル類(酢酸エチル、プロピオン酸エチル 等)、酸アミド類(ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセタミド(DMA)、N−メチルピロリドン(NMP) 等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル 等)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水、及びこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
【0083】
使用する塩基としては、例えば、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、リン酸三カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等、C〜Cのアルコキシドの金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩)、C〜Cのアルキルアニオンの金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩)、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロオクタン、及びイミダゾール等を挙げることができる。
【0084】
例えば、本発明の参考例、又は「Bioorg. Med. Chem. Lett. 2004:14,2547-2550」等を参考に合成することができる。
合成法(2)
【0085】
【化13】

反応式中、Xは酸素原子であり、R、R、A、Yは式(1)の定義と同じである。この反応は光延反応を使用することができる。例えば、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)、1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(ADDP)、又は1,1’−アゾビス(N,N−ジメチルホルムアミド)(TMAD)等の存在下、かつトリフェニルホスフィン、又はトリブチルホスフィン等の存在下、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジクロロメタン、又はトルエン等の溶媒中、0℃から150℃の温度範囲で反応を行うことができる。
【0086】
光延反応及びその類縁反応「Bull.Chem.Soc.Jpn.,1967年,第40巻,p.2380」、「Synthesis,1981年,P.1」、「Org.React.,1992年,第42巻,p.335」を用いて反応させることで、式(1)に示される化合物を製造することができる。
【0087】
式(1)で表される化合物は他にも、既存の一般的なエーテル合成の手法を用いて合成可能である。例えば、「丸善(株)社団法人日本化学会編 第4版 実験化学講座20 有機合成IIアルコール・アミン− p187−205」等の一般的な有機合成化学の書物を参考に合成することができる。
【0088】
式(2)で表される化合物のうち、Bがチアゾール環である化合物は、市販されている場合もあるが、例えば、以下のスキームを参考に合成できる。
【0089】
【化14】

上記反応スキーム中、R、及びRは本発明の式(2)における定義と同じである。X’はハロゲン原子を示す。
【0090】
工程1のチアゾール環化反応による2-アミノチアゾール誘導体は、「Pharmaceutical Chemistry Journal, 2007年,第41巻,p.105−108」、「Pharmaceutical Chemistry Journal, 2001年,第35巻,p.96−98」、「国際公開第2005/075435号パンフレット」、「国際公開第2005/026137号パンフレット」等を参考に合成できる。工程2の反応は、「Journal of Heterocyclic Chemistry,1985年,第22巻,p.1621−1630」、「Journal of the Chemical Society,Perkin Transactions1:Organic and Bio−Organic Chemistry,1982年,第1巻,p.159−164」、「Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2008年,第18巻,p.6231−6235」を参考に実施可能である。他にも、例えば、「国際公開第2002/051849号パンフレット」、「国際公開第2001/062250号パンフレット」を参考に式(2)に示されるチアゾール誘導体を合成することができる。
【0091】
式(2)で表される化合物のうち、Bがピリジン環である化合物は、種々市販されており、購入可能であるとともに広く合成法が報告されており、それらの技術を利用することにより合成できる。
【0092】
式(2)で表される化合物のうち、Bがイソキサゾール環、又はイソチアゾール環[式(2)中、Wが酸素原子、又は硫黄原子]である化合物は市販されている場合もあるが、例えば、「Tetrahedron Letters,1968年,p.5209−5213」、「Synthesis,1970年,p.344−350」、「Angewandte Chemie,1967年,第79巻,p.471−472」、「Chemische Berichte,1973年,第106巻,p.3291−3311」記載の方法を参考に合成できる。
【実施例】
【0093】
本発明を以下に実施例等によって具体的に説明する。しかし、本発明の範囲はこれらの実施例によっていかなる意味においても制限されるものではない。
本実施例において、分析、精製は以下の機器等を使用した。
【0094】
TLC:E.Merck silica gel 60 F254 (0.25mm)
Flash column chromatography:E.Merck silica gel 60 (230−400mesh)
Preparative thin−layer chromatography(PTLC):Wakogel B5−F silica coated plates(0.75mm)
GCMS:Shimadzu GC−2010,HP−5 column(30m×0.25mm,Hewlett−Packard)
High−resolution mass spectra(HRMS):JEOL JMS−700(Electron Ionization High Resolution Mass Spectroscopy,EIHRMS)
Nuclear magnetic resonance(NMR):JEOL JNA−ECA−600(H 600MHz,13C 150MHz);JEOL A−400(H 400MHz,13C 100MHz)
H−NMRのシフト値は、ppm表示、テトラメチルシランのシフト値(δ0.0ppm)を基準として表示した。13C−NMRのシフト値はCDCl3のシフト値(δ77.0ppm)を基準として表示した。データは以下の略称で表示した。
s=singlet,d=doublet,dd=doublet of doublets,t=triplet,q=quartet,m=multiplet,br=broad signal).
なお、参考例及び実施例のH−NMRにおいて、カルボン酸におけるプロトンシグナルは溶媒等の測定条件により、確認できない場合もある。
[参考例1]
tert−ブチル 4−メチルチアゾール−5−カルボキシレートの合成
【0095】
【化15】

4−メチル−5−チアゾールカルボン酸(238mg,1.67mmol)と塩化チオニル(5mL)との混合物を加熱し均一溶液とした。溶液を減圧濃縮して塩化チオニルを除去して、4−メチル−5−チアゾールカルボン酸の酸クロリドを得た。得られた酸クロリドのジクロロメタン(1mL)溶液にtert−ブタノール(0.5mL)とピリジン(3mL)を加え、60℃で5時間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、得られた粗体に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)と酢酸エチル(20mL)を加え、酢酸エチルを分離後、さらに飽和炭酸ナトリウム水溶液に酢酸エチルを加え、2回抽出(2×20mL)した。有機相を合わせて、飽和食塩水(20mL)で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮し、得られた粗体をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=83/17)で精製し、表題化合物(230mg)を得た。収率69%。
H−NMR(400MHz,CDCl) δ 8.68(s,1H), 2.69(s,3H), 1.52(s,9H).
13C−NMR(100Mz,CDCl) δ 17.2, 20.2, 82.4, 124.1, 154.6, 159.5, 161.3.
HRMS(EI) m/z calcd for C13NOS:199.0667,found 199.0667.
[参考例2]
5−ヨード−2−イソブトキシベンゾニトリルの合成
【0096】
【化16】

2−メチル−1−プロパノール(0.56mL,6.06mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)溶液を0℃に冷却し、水素化ナトリウム(242mg,60% suspension in mineral oil,6.06mmol)を少しずつ加えた。懸濁した反応液を0℃で5分間攪拌した後、 10分間かけて温度を23℃にした後、再び0℃に冷却した。反応液に2−フルオロ−5−ヨードベンゾニトリル(1.0g,4.04mmol)を加え、反応液を23℃まで温度上昇させ、その後室温で8時間攪拌した。反応終了後、反応液に水(20mL)を加え、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。有機相を合わせて、飽和食塩水(3×30mL)で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮し、得られた粗体をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=90/10)で精製し、表題化合物(1.15g)を得た。収率95%。
H−NMR(400MHz,CDCl) δ 7.80(s,1H), 7.76(d,J=8.8Hz,1H), 6.73(d,J=8.8Hz,1H), 3.80(d,J=6.4Hz,2H), 2.11−2.21(m、1H), 1.06(d,J=6.4Hz,6H).
13C−NMR(100Mz,CDCl) δ 19.0, 28.1, 75.4, 80.9, 104.3, 114.3, 114.7, 141.4, 142.9, 160.6.
HRMS(EI) m/z calcd for C1112NOI:300.9964,found 300.9950.
[実施例1]
tert−ブチル 2−(3−シアノ−4−イソブトキシフェニル)−4−メチルチアゾール−5−カルボキシレートの合成
【0097】
【化17】

攪拌子を入れた20mLのガラス反応容器(J.Young(登録商標) O−ring tap装備)に、酢酸ニッケル(II)(5.3mg,0.03mmol,10mol%)、2,2’−ビピリジル(4.7mg,0.03mmol,10mol%)、tert−ブトキシリチウム(36mg,0.45mmol)、参考例1で得られたtert−ブチル 4−メチルチアゾール−5−カルボキシレート(89.6mg,0.45mmol)、参考例2で得られた5−ヨード−2−イソブトキシベンゾニトリル(76.2mg,0.3mmol)、及び無水1,4−ジオキサン(1.2mL)を加えた。反応容器をO−ringで蓋をし、100℃に加熱し、40時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)によって粗精製した。得られた粗体を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/6 ×3回)で精製し、表題化合物(59.7mg)を得た。収率51%。
H−NMR(400MHz,CDCl) δ 8.16(d, J=2.4Hz,1H), 8.08(dd, J=8.8Hz,2.4Hz, 1H), 7.00(d,J=8.8Hz,1H), 3.89(d,J=6.8Hz,2H), 2.73(s,3H), 2.16−2.24(m,1H), 1.59(s,9H), 1.19(d,J=7.2Hz,6H).
13C−NMR(100Mz,CDCl) δ 17.4, 19.0, 28.1,28.2, 75.6, 82.5, 102.9, 112.5, 115.4, 123.6, 126.1, 131.9, 132.4, 160.1, 161.3, 162.3, 166.5.
HRMS(EI) m/z calcd for C2024S:372.1508,found 372.1511.
[参考例3]
2−(3−シアノ−4−イソブトキシフェニル)−4−メチルチアゾール−5−カルボン酸[Febuxostat(TMX−67)]の合成
【0098】
【化18】

実施例1で得られたtert−ブチル 2−(3−シアノ−4−イソブトキシフェニル)−4−メチルチアゾール−5−カルボキシレート(34.6mg,0.093mmol)に、ジクロロメタン(0.5mL)とトリフルオロ酢酸(0.5mL)を加え、室温で5時間攪拌した。反応終了後、トルエン(1mL)を加えて、共沸して減圧濃縮した。この操作を3回行い、表題化合物(29.4mg,0.093mmol)を定量的に得た。
H−NMR(400MHz,CDCl) δ 8.17(d,J=2.4Hz,1H), 8.08(dd,J=8.8, 2.4Hz,1H), 7.01(d,J=8.8Hz,1H), 3.90(d,J=6.8Hz,2H), 2.79(s,3H), 2.25−2.15(m,1H), 1.09(d,J=6.8Hz,6H).
13C−NMR(100Mz,CDCl) δ 17.6, 19.0, 28.1, 75.7, 102.9, 112.6, 115.3, 125.6, 129.0, 132.1, 132.7, 162.6, 162.6, 162.9, 168.5.
HRMS(EI) m/z calcd for C1616S:316.0882,found 316.0879.
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の式(1)で表されるフェニル誘導体と式(2)で表される複素環誘導体とを、ニッケル化合物存在下でカップリングし、式(3)で表されるフェニル置換複素環誘導体を得る新規のカップリング法は、高尿酸血症の治療薬であるキサンチンオキシダーゼ阻害薬又はその中間体を低コストかつ短工程で製造するのに有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】

[式(1)において、
は、水素原子又はハロゲン原子を表し;
は、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、ホルミル基、又はハロメチル基を表し;
Aは、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、フェニル基、フッ素原子(Xが結合手の場合に限る)、又は水酸基の保護基(Xが酸素原子の場合に限る)を表し、
Aは1〜3個の置換基で置換されていてもよく、かかる置換基は、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cシクロアルキル基、フェニル基、フェノキシ基、及びピリジル基からなる群から選ばれる基を表し;
Xは、結合手(ただし、Aが、フェニル基、又はフッ素原子の場合に限る。)、又は酸素原子を表し;
Yは、脱離基を表す。]
で表される化合物と、下記式(2)
【化2】

[式(2)において、
Hは、水素原子を表し;
Bは、下記式から選択される基を表し;
【化3】




は、COOR3a、又はCOR3bを表し;
3aは、水素原子、C〜Cアルキル基、又はカルボキシル基の保護基を表し;
3bは、カルボキシル基のアミド系保護基を表し;
は、水素原子、ハロゲン原子、又はC〜Cアルキルを表し;
Wは、酸素原子、又は硫黄原子を表す。]
で表される化合物とを、ニッケル化合物存在下において反応させることによる、下記式(3)
【化4】


[式(3)において、
A、X、R、及びRは式(1)の定義と同じであり、B、及びRは式(2)の定義と同じである。]で表されるフェニル置換複素環誘導体を製造する方法。
【請求項2】
Aが、C〜Cアルキル基である請求項1記載の製造法。
【請求項3】
Aが、イソブチル基である請求項1記載の製造法。
【請求項4】
Xが、酸素原子である請求項1〜3のいずれかに記載の製造法。
【請求項5】
が、水素原子である請求項1〜4のいずれかに記載の製造法。
【請求項6】
が、シアノ基である請求項1〜5のいずれかに記載の製造法。
【請求項7】
Yが、ハロゲン原子、−OCO−(C〜Cアルキル基)、−OCO−(フェニル基)、−OSO−(C〜Cアルキル基)、−OSO−(フェニル基)、又はジアゾニウム基であり、
Y中の、C〜Cアルキル基は1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく、フェニル基は1〜3個の、ハロゲン原子又はC〜Cアルキル基で置換されていてもよい請求項1〜6のいずれかに記載の製造法。
【請求項8】
Bが、以下の基である請求項1〜7のいずれかに記載の製造法。
【化5】

【請求項9】
が、メチル基である請求項1〜8のいずれかに記載の製造法。
【請求項10】
ニッケル化合物が、0価のニッケル、又は2価のニッケルの塩である請求項1〜9のいずれかに記載の製造法。
【請求項11】
ニッケル化合物が、酢酸ニッケル(II)、ビス(1,5‐シクロオクタジエン)ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)又はそれらの水和物である請求項1〜9のいずれかに記載の製造法。
【請求項12】
反応中、さらにニッケル化合物に配位し得る配位子が存在する請求項1〜11のいずれかに記載の製造法。
【請求項13】
該配位子が、2,2’−ビピリジルである請求項12記載の製造法。
【請求項14】
反応中、さらに塩基が存在する請求項1〜13のいずれかに記載の製造法。
【請求項15】
該塩基が、tert−ブトキシリチウムである請求項14記載の製造法。

【公開番号】特開2012−96999(P2012−96999A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45115(P2009−45115)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【Fターム(参考)】