説明

ニードルボードのための運搬台車

【課題】フェルト機に使われるようなニードル(針)ボードの丁寧なおよび危険のない運搬のための運搬装置を提供する。
【解決手段】運搬台車1は、ニードルボードの収容のために、回転軸22について回動可能であるように支持されたコンソール21を備える。締め付け具がコンソール21に設けられ、そして当該締め付け具が相互の間に、好ましくは力限られた方法で、ニードルボードを締め付けし、したがって摩擦力で係合した形で前記ニードルボードを保持する。それに固定されるニードルボードは垂直の位置に旋回でき、従ってニードルボードの運搬を容易にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェルト機に使われるようなニードル(針)ボードを、搬送し取り扱うための運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
フェルト機はフェルトの製造のために使用されており、当該フェルト機はニードル(針)ボードを備える。この種のニードルボードは、ニードルボードの表面から突き出した多数のフェルト針を有する、大きな平板形の構成部分である。フェルト機では一以上のこの種のニードルボードが使用されているが、ニードルボードはたいてい、必要に応じてフェルト機に設置したり取り外したりするために、保管場所で多数がすぐに利用できるようにされている。
【0003】
フェルト針は摩耗しやすい。従って、ニードルボード上のフェルト針は時々交換されなければならない。このために自動装着機が使用され、必要に応じてニードルボードがそれに搬入され、或いは搬出される。ニードルボードは数キログラムの相当な重量、例えば50kgあるいはそれ以上、を有することもあり、また非常に大きい事もある。一方、フェルト針は非常にデリケートである。それらは、運搬の間も、保管の間も、損傷を受けてはならない。フェルト針の一以上の曲がりですら容認できない。他方で、フェルト針は、しばしば非常に鋭い先端、鋭いエッジおよび/または棘をもち、それらは、かなり怪我をしやすく危険である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ニードルボードの丁寧なおよび危険のない運搬のための運搬装置を提供することである。
【0005】
この目的は、請求項1の運搬台車により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の運搬台車には、走行車輪を有する下部架台が具備されており、その当該台車は、ホールのフロアで、手動で、また任意では、付属のあるいは付随する運転装置によっても動かされうる。走行車輪は好ましくは自由回転する。それらの内の一つ以上は、運転装置、ブレーキ装置などを伴ってもよい。
【0007】
運搬台車の下部架台は、ニードルボードの収容装置を搭載する。この収容装置には、ニードルボードのための少なくとも一つの支持面を有する、少なくとも一つのコンソールと、ニードルボードをコンソールに固定し、保持する少なくとも一つの締め付け装置とが具備されている。
【0008】
コンソールには、ニードルボードのための少なくとも一つの支持面と、コンソール上のニードルボードに張力をかけるように設けられた締め付け装置とが設けられており、そして、そのようにして、支持面上に前記ニードルボードを保持する。
【0009】
ニードルボード(その裏側)は、支持面に置かれ、一方から支持面上へ押し付けられる。締め付け装置は、ニードルボードに張力をかけるために使用される。張力は、好ましくは摩擦係合に起因し、針が装着されたニードルボードの固有の重量が、いかなる位置においても、ニードルボードが締め付け装置から外れることがないような張力を示す。このようにして、ニードルボードは一時的にコンソールに結合される。
【0010】
好ましい実施例では、収容装置全体または少なくともコンソールは、一方向、好ましくは垂直の方向において調整できる。この結果、コンソールはさまざまな高さに適合でき、
例えば、ニードルボードが格納される、異なる高さの棚や、ニードルボードが稼働する機械、そして、針がニードルボードから取り外され、任意に、新しい針が適用される自動装着装置の間を移動したりできる。
【0011】
さらにまた、コンソールが、加えてあるいはそれに代えて、少なくとも一つの軸について軸周りの旋回動作ができると有利である。この軸は、例えばそして好ましくは、支持面に平行して配向している。加えて、この軸は、垂直の収容装置が好ましくは高さ調節可能なように支持される支柱から離れて、延びている。そのようにして、コンソールと、それに固定されるニードルボードは垂直の位置に旋回でき、従ってニードルボードの運搬を容易にする。
【0012】
好ましくは、締め付け装置は、相対して配置された締め付け具(ジョー)を備える。好ましくは、締め付け具は平坦な締め付け表面を有し、相対する長い狭い側面でニードルボードを保持するために設けられ、それらの間にニードルボードを固定する。このために、2つの締め付け具のうちの少なくとも1つは、調節可能であるように支持され、調整は作動装置によってなされる。その際、調整の方向は、コンソールの支持面と好ましくは平行であり、その時、ニードルボードは、支持面に押し付けられずに締め付け具の間に保持される。しかしながら、支持面に向かってニードルボードに張力をかける締め付け具を設けることもできる。
【0013】
好ましくは、2つの締め付け具は、ニードルボードが張力をかけられる圧力面を備え、当該圧力面は互いに平行に配置され、そして、ある輪郭を有するかまたは平面である。その際、2つの締め付け具のうちの少なくとも1つが浮くように支持されると有利である。好ましくは、浮くように支持される締め付け具は、支持面と直角をなす軸について少なくとも最小の軸周りの旋回運動ができる。このようにして、それらの狭い側面が理想的な平行で揃えられていないか、必ずしも真っ直ぐでないときでも、締め付け具はニードルボードに適合できるであろう。そのために、例えば、それぞれの締め付け具が弾力的な方法で支持されると有利であろう。このために、例えば、最小のバネ変位、例えば、わずか数ミリメートルの、比較的堅い、好ましくはプレテンション加工されたばねが選択される。例えば、締め付け具が、作動装置または締め付け具支持体内の調整装置の、この種の2つのばねにより保持される場合、調整装置がきつく締められ、そして、確実に締め付け具をニードルボードに押し付けるときには、一つ以上のばねが張力をかけられる。この実施例の利点は、それが振動に強いことである。ニードルボードが張力をかけられれば、それは締め付け具の間に確実に保持される。
【0014】
弾性をもって支持された締め付け具は、例えば、上述の堅いばねの張力を示す表示装置に、好ましくは連結され、ニードルボードが、十分にきつい状態で載置されているかどうかについて操作者に信号を送る。ばねが示すべき(それが完全に圧縮される前の)最大のスプリング力が、ニードルボードを載置するための最大の締め付け力より大きいときに、ばねは「堅い」ばねといえる。いくつかのばねが設けられたときには、これは、したがって、対応する締め付け力の部分となる。最も単純な場合において、表示装置は当該ばねの圧縮を示すための機構である。
【0015】
好ましくは、調整装置は支持面の下に位置する。それにより、支持上のニードルボードの取り付けをいかなる形であれ妨げない。
【0016】
締め付け具は、好ましくは、分離可能な接続装置を介して調整装置に連結される。従って、コンソールまたは調整装置には、例えば、異なるニードルボードに適合するよう、任意で、異なる締め付け具が設けられうる。
【0017】
加えて、結合装置がさまざまな結合位置を定めるなら有利である。この結果、異なる幅を有するニードルボードが運搬台車により受け入れられ、コンソールに固定できる。その際、異なるボード幅の範囲は、調整装置の調整の範囲より大きくてもよい。
【0018】
締め付け力制限手段が締め付け装置の締め付け力を制限するために設けられると有利である。この締め付け力制限手段は、調整装置が、例えば、手動操作されるトルク制限装置でよい。締め付け力制限手段はトルクレンチの方法で設計されてもよい。それは収容装置の別々の部材または構成部品でもよい。例えば、締め付け力制限手段は弾性的に支持されたハンドルによる手動クランクでもよく、それによって調整装置がきつく締められるときに、クランクハンドルは弾力的にわずかにたわみ、これが調整力として目盛に示される。
【0019】
有利な実施例のさらなる詳細は、請求項、図面または記載に基づく。記載は本発明の本質的な態様および種々の状況に限定される。図面はさらなる詳細を開示し、記載を補充する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】収容装置が垂直位置にある、ニードルボードを有する本発明の運搬台車の全体斜視図。
【図2】水平位置の収容装置を有する、図1の運搬台車の詳細の斜視図。
【図2a】図2の収容装置の詳細の斜視図。
【図3】針が下方へ向いた、保持位置にあるニードルボードを有する、図1の運搬台車の詳細の斜視図。
【図4】収容装置の締め付けブロックの斜視図。
【図5】図4の締め付けブロックの、部分的に断面の、別の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、図3のように、ニードルボード2を収容し搬送するために設けられた運搬台車1を示す。ニードルボード2は、複数のフェルト針3を有する平板形の部材であり、複数のフェルト針3はニードルボード2の1つの平坦な側面から、基本的に直角に延び、ニードルボード2に保持される。ニードルボード2は、例えば、2つの短い狭い側面4、5および2つの長い狭い側面6、7をもつ、長方形の輪郭をもつ。当該ニードルボードは収容装置8に保持され、順に、運搬台車1の下部架台9により保持される。
【0022】
運搬台車1は、垂直方向上方へ支柱11が延びるフット10を有する。フット10は、ローラー12、13、14、15あるいは調整足をも有する支柱を有する。一つ以上のハンドル16、17が、図3から明らかなように、運搬台車1を動かすために使用される。
【0023】
収容装置8は、固定高さに配置されるか、好みにより、支柱11に垂直に調節可能であるように配置される(矢印V、図1)。付随する調整装置18は、手動またはモータにより動作させてもよい。この装置は、支柱11上の垂直の方向に案内されうるスライド19を含む。調整駆動装置は、電動モータまたは液圧式動力伝達装置、あるいは、同様に、手動で作動される手動調整装置でもよい。後者は、最上部に向けてスライド19を付勢し、ニードルボードおよび収容装置8の重量を補償することのできる、例えば、空気ばねの形の、重量補償装置を備えてもよい。同様に、収容装置8の高さ調整のためのハンドル16、17を使用することも可能である。例えば、ハンドル16、17は、収容装置8の持ち上げまたは下降動作を、徐々に増加するかあるいは段階的に、実行するように回動可能に支持されてもよい。収容装置8の垂直方向の調整を考慮して、多数の設計変更が可能である。
【0024】
収容装置8には、例えばスライド19を介して支柱11に支持される軸周りの旋回装置20が具備されている。さらにまた、収容装置は旋回装置20により支持されるコンソール21を備える。コンソール21は、ニードルボード2を収容するために設けられる。図1乃至図3から明らかであるように、平面図で見て、それは正方形または長方形のフレームで示される。好ましくは、コンソール21は、横断方向に、支柱11から間隔をおいて配置される、ローラー12、13上に延びる水平軸22について回動可能であるように、旋回装置20に支持される。図1乃至図3は、軸22についての異なる軸周りの旋回位置のコンソール21を示す。
【0025】
基本的に、本実施例の運搬台車1にはない、付加的な調整オプションを有する旋回装置20を設けることができる。例えば、必要であれば、旋回装置20は、コンソール21が、軸22に関して横断方向に、例えば、ニードルボード2の長い狭い側面6または7と平行して整列配置されている付加的な軸について回転できるよう、修正されうる。
【0026】
収容装置21はその上側に少なくとも一つの支持面23を有し、当該支持面は好ましくは軸22に横軸方向に配向される。支持面23の長さは、ニードルボードの長い狭い側面7の長さと異なってもよく、実質的により短くてもよい。ニードルボード2は、支持面に対し、その狭い側面7の近くで当接する。さらにまた、収容装置21は、2つの締め付け具24、25および調整装置29を有する締め付け装置66を備える。図2の実施例では、締め付け具24は支持面23のすぐ近くに配置され、当該締め付け具が所定位置のコンソール21に取り付けられる。それと反対側の側面には、別の締め付け具25が設けられ、当該締め付け具は締め付け具24に対して前後に移動可能であるように支持される。それらが互いに向かって、そして互いから離れて一様に動けるように、締め付け具24および25を配置してもよく、それによりニードルボード2の締め付けと解放が容易になる。締め付け具25の下には、支持面23をもつ1つの平面である表面26があってもよく、したがって、支持面として使用されてもよい。本実施例では、ニードルボード2は、表面26および支持面23に位置している。コンソール21には、その上側に、上側に支持面27、28を有する2つのストリップ形の支持部材が設けられる。支持面23および表面26は、共通の平面上にあって、かつ軸22と平行して配置されてもよい。支持面27、28が、支持面23および表面26により形成される平面の下に位置することもできる。その際、それらは、例えば、前記ニードルボードが調整装置29から外されている間、前記ニードルボードが支持面23および表面26を外れたときに、ニードルボード2の支持として作用する。支持面23、27、28を有するストリップ形の部材は、プラスチック部材、ゴム部材等でもよい。
【0027】
ニードルボードの締め付けを確実にするために、締め付け具24は、2つの締め付け手段24aおよび24bから成ってもよい。これらの2つの締め付け手段は、コンソール21(図2a)上で互いから少し離れて配置される。この結果、軸22について傾けられて調整装置29に当初置かれたニードルボード2が、締め付け手段24aおよび24bおよび締め付け具25を閉じることによって、整列配置され、確実に保持されることができる。
【0028】
ニードルボード2に張力をかけるために、そして、締め付け具24、25のうちの少なくとも1つを調整するために、図1乃至図3から明らかなように、コンソール21は調整装置29を支持する。調整装置29には、本件の場合は、互いに対する並行である2本のロッド31、32により示される線形ガイド30が、当該ロッド(図1を参照)上を移動する一つ以上のスライド33、34と共に、備えられている。ロッド31、32は、例えば、互いに並行に配置された丸いロッドであり、当該丸いロッドは潜在的に軸22と平行に整列配置され、それらの端はコンソール21に保持されている。2つのスライド33、34は、したがって、ロッド31、32に沿って、長さ方向に摺動できる。
【0029】
例えばネジ付きスピンドル35として構成される、適切な駆動装置がスライド33、34を動かすために使用されうる。2つのスライド33、34のうちの少なくとも1つ、好ましくはしかし、両スライドを調整するように、当該スピンドルは構成されてもよい。そのために、ネジ付きスピンドル35は、例えば、スライドのうちの1つと接続された1つの区間には右利きのねじ山を有し、そして2つのスライドの内の他方と接続された他の区間には左利きのねじ山を有する。あるいは、回転可能であるが軸方向には移動可能でないように、2つのスライド33、34のうちの1つにネジ付きスピンドル35を支持する事もでき、ネジ付きスピンドルは、2つのスライドの他方のねじ山に係合する。これは、ネジ付きスピンドル35を回すことにより、互いに向き合い、そして、互いから離れた方向へ、2本のロッド32、31に沿う2つのスライド33、34の相対的な動作を遂行する別の方法である。
【0030】
駆動装置36は、ネジ付きスピンドル35を目標通りに回転させることができるように設けられており、そして、したがって、締め付け具24、25のうちの少なくとも1つを目標通りに調整できる。特に図1および図3から明らかであるように、当該駆動装置は、例えば、作動スピンドル38有する角度伝達装置37および端側ハンドル39を備える。後者は、図3のような単純な調整装置でもよく、または図1のようなクランクとして構成されてもよい。いずれの場合にでも、角度伝達装置は、作動スピンドル38に、または、ハンドル39に、例えば、トルクレンチの方法で構成されるトルク制限装置40を備える。好ましくは、このトルク制限装置40は、ニードルボード2に張力をかけるためのトルクを制限するために使用できる。加えて、必要トルクに達したあと、適当な装置がこの状態を示すノイズを発生させることが可能である。この装置は、滑らかであるか歯のあるクラッチディスクを有するスリッピングクラッチでよい。
【0031】
締め付け具24は、図2のようにコンソール21に連結されてもよい。あるいは、当該締め付け具は、スライド33に連結されてもよい。締め付け具25は、好ましくはスライド34に連結される。
【0032】
少なくとも、スライド33および/またはスライド34に連結される締め付け具25は、図4および図5それ自体により示されるように、締め付けブロック42の部分である。締め付け具ブロック42は、締め付け具25がわずかに浮くように支持されたキャリア43を具備する。これは、概締め付け具ブロック42を概略的に示す図5から明らかである。例えば、締め付け具キャリア43は2つの開口44、45を有し、そこを通して、互いに並行に延び、横方向にあそびを有する締め付け具25に確実に連結される、ドグ46、47が延在する。その際、締め付け具25は、円板ばねパック48、49として好ましくは構成される圧縮ばねを介して、締め付け具キャリア43に対し当接し、これらが図5に概略的にのみ示されている。円板ばねパック48、49は、短い変位および比較的小さなバネ行程を有するプレテンション加工された堅いばねを構成する。円板ばねパックにより印加されるスプリング力は、少なくともバネ工程のある地点では、必要とされるスプリング力と同程度に大きい。
【0033】
好ましくは、締め付け具ブロック42は追加のテンション表示器50を備える。後者は、例えば、締め付け具25上のピン52について回動可能に支持されるロッカー型の2腕のレバー51を備える。レバー51の一の端部が締め付け具ブロック43に設けられている静止サポート・ピン53と当接することとなる一方、その別の端は締め付け具キャリア43の開口55を通って延びる表示器ピン54に、関節方法で連結される。ピン54は、例えば着色した環の形の目盛が設けられていてもよい。したがって、操作者は表示器ピン54が開口55からどの程度突き出ているかについて容易に検知できる。この情報は、ニードルボード2が十分にきつく張力をかけられているかどうかを判断するために使用できる。
【0034】
締め付け具ブロック42は、分離可能な結合手段57によりスライド34と連結される。結合手段57は図2と共に図4に示されている。当該結合手段は、締め付け具キャリア43の底面に設けられている溝のような凹所59を伴うもどり止めストリップ58を有する。特に図示されないが、好ましくは係止(positive-locking)接続手段が、スライド34上の所望の拘束位置で締め付けブロック42を保持するために設けられる。好ましくは、結合手段57はいくつかの異なる拘束位置を規定し、締め付け具ブロック42は異なる縦位置でスライド34に載置されうる。結合手段57は、スライド33からスライド34(図示されていない)にまで届く、図2に示されるよりも多くの拘束位置を有する長さを有してもよい。
【0035】
作動装置60により、コンソール21は軸22周りに回転できる。これは図3に概略的に示される。電動モータ62および角度伝達装置62を備えてもよい。制御装置63は、ニードルボード2を有するコンソール21を軸22について前方または後方に回転させるために、モータ61を特定の方法で前方または後方に回転させるために設けられてもよい。
【0036】
さらにまた、図1乃至図3に示されるように、フード64がコンソール21に設けられてもよい。当該フードは、特に、ニードルボード2およびその針3用の防護カバーとして作用する。このために、フード64は好ましくはニードルボード2の長さに対応する長さを有する。短いニードルボード2の使用にあたっては、フード64はまたニードルボード2の長さよりかなり長いかもしれない。加えて、前記フードは、ニードルボード2の長手縁部6または7に対し並行して延びる軸について、好ましくは回動可能であるように、コンソール21に支持される。それ故、前記フードは、コンソールから離れて(図2および図3)、あるいはコンソールの方へ(図1)回転できる。対応するハンドル65が操作のために使用される。フード64の回動可能な支持は、戻り止めベアリングとして、またはトルク型ヒンジとして構成されてもよく、フード64をニードルボード2より上の異なる軸回転位置に置くことができる。
【0037】
上述した運搬台車1は、以下のように操作される。
【0038】
ニードルボード2の収容のために、コンソール21は図2により示される位置に好ましくは持ってこられる。所望の高さに調整される。そして、ニードルボードは締め付け具24、25の間の支持面23、26に載置される。ハンドル39を回転させて、締め付け具24、25を、それらがニードルボード2の長い狭い側面6、7に対して当接するまで、互いの方向へ動かす。ここで所望の始動トルクに達するよう、ハンドル39をきつく締める。これは、例えば、ハンドル39上の、あるいは同様に締め付け具ブロック42上の、表示器により示される。
【0039】
張力の増加に伴い、締め付け具25はニードルボード2に対してますますきつく押し付けられる。力が円板ばねパック48、49(図4および図5)の付勢力に打ち勝つのに十分であると、締め付け具25が締め付け具キャリア43向かって僅かに動く。この結果、レバー51は偏り、そして表示器ピン54は開口55からますます飛び出す。目盛56上に読める目標値に達したとき、ニードルボード2は確実に張力をかけられている。ここで、前記ニードルボードは図1の垂直の位置に動かされて、他の場所、例えば保管場所に動かすことができ、そして、必要に応じて、その短い側面の縁4または5で下ろしたり持ち上げたりされる。
【0040】
受け入れ場所では、コンソール21の下で針3を下方へ懸架する水平位置に、ニードルボード2は持ってこられてもよい。締め付け具24、25を緩めることによって、前記ニードルボードは解放されて、それぞれの収容位置、例えばフェルト機または自動装着装置に設置されうる。
【0041】
本発明に従う運搬台車1は、ニードルボード2の収容のために、好ましくは回転軸22について回動可能であるように支持されたコンソール21を備える。締め付け具24、25は、コンソール21に設けられ、当該締め付け具は相互の間に、好ましくは力限られた方法で、ニードルボード2を締め付けし、したがって摩擦力で係合する形で前記ニードルボードを保持する。
【符号の説明】
【0042】
1 運搬台車
2 ニードルボード
3 フェルト針
4、5 ニードルボードの短い狭い側面
6、7 ニードルボードの長い狭い側面
8 収容装置
9 下部架台
10 フット
11 支柱
12、13、14、15 ローラー、走行車輪
16、17 ハンドル
18 調整装置
19 キャリッジ
20 旋回装置
21 コンソール
22 軸
23 支持面
24、25 締め付け具(ジョー)
26 表面
27、28 支持面
29 調整装置
30 線形ガイド
31、32 ロッド
33、34 スライド
35 ネジ付きスピンドル
36 駆動装置
37 角度伝達装置
38 作動スピンドル
39 ハンドル
40 トルク制限装置
41 細長い穴
42 締め付け具ブロック
43 締め付け具キャリア
44、45 開口
46、47 ドグ
48、49 円板ばねパック
50 テンション表示器
51 レバー
52 ピン
53 当接ピン
54 表示器ピン
55 開口
56 目盛
57 結合手段
58 もどり止めストリップ
59 凹部
60 作動装置
61 電動モータ
62 角度伝達装置
63 制御装置
64 フード
65 ハンドル
66 締め付け装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車輪(12、13、14、15)を有する下部架台(9)と、
ニードルボード(2)のための収容装置(8)とを有し、
当該収容装置(8)は当該ニードルボード(2)のための少なくとも一の支持面(23)を有する少なくとも一つのコンソール(21)と、当該コンソール(21)の所定の位置に、当該ニードルボード(2)を固定するための少なくとも一の締め付け装置(66)を含む
当該ニードルボード(2)のための運搬台車(1)。
【請求項2】
前記収容装置(8)は、少なくとも一方向(V)において調節可能なように前記下部架台(9)に支持される
ことを特徴とする請求項1に記載の運搬台車。
【請求項3】
前記コンソール(21)は、前記下部架台(9)に対して、少なくとも一つの軸(22)の周りに回動可能であるように支持される
ことを特徴とする請求項1に記載の運搬台車。
【請求項4】
前記コンソール(21)は、作動装置(60)を伴い、作動動作によって、少なくとも軸(22)について前記コンソール(21)の軸周りの旋回動作を遂行する
ことを特徴とする請求項3に記載の運搬台車。
【請求項5】
前記収容装置(8)は、2つの対向する締め付け具(24、25)を備え、少なくともその1は、相対して配置された長い狭い側面(6、7)上のそれらの間で、所定の位置(2)に前記ニードルボード(2)を固定するために、相対して位置された締め付け具の方へまたは締め付け具の方から移動可能なように支持されている
ことを特徴とする請求項1に記載の運搬台車。
【請求項6】
前記締め付け具(24、25)は基本的に互いに並行な圧力面を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の運搬台車。
【請求項7】
前記締め付け具(24、25)のうちの少なくとも1つは弾性的に支持される
ことを特徴とする請求項5に記載の運搬台車。
【請求項8】
前記締め付け具(24、25)のうちの少なくとも1つは浮いた状態に支持される
ことを特徴とする請求項5に記載の運搬台車。
【請求項9】
前記締め付け具(24、25)のうちの少なくとも1つは、前記コンソール(21)に堅固に保持される
ことを特徴とする請求項5に記載の運搬台車。
【請求項10】
前記締め付け具(24、25)のうちの少なくとも1つは調整装置(29)によって、動かされる
ことを特徴とする請求項5に記載の運搬台車。
【請求項11】
前記調整装置(29)には、線形ガイド(30)に支持される少なくとも一つのスライド(34、35)、が具備され、
当該スライドは、当該線形ガイド(30)によって、前記締め付け具(24、25)のうちの1つの方へ、そして、前記締め付け具から離れるように移動する
ことを特徴とする請求項10に記載の運搬台車。
【請求項12】
前記調整装置(29)は、前記コンソール(21)の前記支持面(23、27、28)の下に配置される
ことを特徴とする請求項11に記載の運搬台車。
【請求項13】
前記締め付け具(24、25)は、結合装置(57)を介して調整装置(29)に分離可能に連結される
ことを特徴とする請求項10に記載の運搬台車。
【請求項14】
前記結合装置(57)はさまざまな結合位置を定める
ことを特徴とする請求項13に記載の運搬台車。
【請求項15】
締め付け力制限手段(40)が締め付け装置の締め付け力を制限するために設けられる
ことを特徴とする請求項12に記載の運搬台車。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−202186(P2010−202186A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−40881(P2010−40881)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(598132646)グロツ・ベッケルト コマンディートゲゼルシャフト (77)
【Fターム(参考)】