説明

ネジ測定装置、ネジ測定方法、及びネジ測定装置を備えた工作機械

【課題】小型で工作機械への搭載が容易でネジの有効径またはネジ溝のリード幅をより高精度に測定することが可能なネジ測定装置、及びネジ測定方法、そして、ワークの取り外しを行うことなく、ネジ溝の加工と、ネジの有効径及びネジ溝のリード幅をより高精度に測定することが可能な、ネジ測定装置を備えた工作機械を提供する。
【解決手段】ネジ部の径方向に対向配置され付勢された一対の測定子83A、83Cと、測定子の各々をリード方向に往復移動自在に保持するフローティング手段と、測定子の対向方向の位置を検出可能な径側位置検出手段と、測定子とフローティング手段と径側位置検出手段の各々とを保持する保持手段と、制御手段とを備え、測定子がネジ溝に入るまでワークを回転させ、各々の径側位置検出手段からの検出信号に基づいて、各々の測定子の対向方向の位置を測定し、測定した位置に基づいて、ネジの有効径を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの少なくとも一部の円筒面に形成されているネジの有効径やリード幅を測定するネジ測定装置、ネジ測定方法、及びネジ測定装置を備えた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、円筒状のワークの少なくとも一部の円筒面にネジ溝を形成する場合、まず、ワーリング等の粗加工を行ってネジ溝の概略形状を形成した後、粗加工したネジ溝を仕上げ研削している。従って、仕上げ研削を行う場合、砥石(加工工具)の位置を、ネジ溝位置の正面に割り出す必要があり、ネジ溝の位置を正確に測定する必要がある。また、仕上げ研削したネジの有効径やネジのリード幅等を測定する種々の測定装置が提案されている。
例えば、特許文献1に記載された従来技術では、加工工具の支持台に連結した測定装置に設けた1個の測定子を、ワークの回転軸方向に押付け、測定子の径方向の移動距離を電気マイクロメータで検出する、ワークのネジ有効径のインプロセス測定装置が提案されている。
また、特許文献2に記載された従来技術では、3点式測定子を用いてワークを3方向の径方向から支持し、ワークを回転させながら測定子を回転軸方向に移動させて、ネジの有効径とリード幅を連続的に測定できるネジ軸の測定装置が提案されている。
【特許文献1】特開平1−295713号公報
【特許文献2】特開平11−271007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、ネジの有効径は、一般的には、3本の針金を用い、隣り合うネジ溝に入れた2本の針金と、前記2本の針金と軸を挟んで対向したネジ溝に入れた1本の針金とでネジ軸を径方向に挟んで有効径を求める3針法により測定している。しかし、3針法ではネジの有効径を測定できるが、リード幅は測定できない。
また、加工後のワークを取り付けて、ワークの回転に同期させて測定子をリード方向に移動させてネジの有効径とリード幅とを測定可能な3次元測定器もあるが、3次元測定器は比較的大型であり、工作機械に搭載することが困難である。ネジの測定装置を工作機械に搭載できなければ、加工後のネジの精度を確認する毎に工作機械からワークを取り外し、測定装置に取り付けて測定した後、再度工作機械に取り付けて加工する必要があるため、非常に手間がかかるとともに、加工精度に影響を与える可能性がある。
また、特許文献1に記載された従来技術では、加工しながらネジ軸の有効径を測定できるが、リード幅は測定できない。また、測定子が1個であり、この測定子を2組の平行板バネで、ワークの径方向及びリード方向に揺動可能に保持しており、径方向またはリード方向に円弧を描くように板バネが湾曲した場合、測定子がワーク回転軸に向かう方向からずれた位置に移動し、正しい径を測定できなくなる可能性がある。
また、特許文献2に記載された従来技術は、ネジの有効径とリード幅を測定できるが、測定装置が大型であり、工作機械に搭載することが困難である。このため、測定装置または工作機械を使用する毎に、ワークの取り外しと取り付けが必要であり、非常に手間がかかるとともに、加工精度に影響を与える可能性がある。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、小型で工作機械への搭載が容易でネジの有効径またはネジ溝のリード幅をより高精度に測定することが可能なネジ測定装置、及びネジ測定方法、そして、ワークの取り外しを行うことなく、ネジ溝の加工と、ネジの有効径及びネジ溝のリード幅をより高精度に測定することが可能な、ネジ測定装置を備えた工作機械を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための手段として、本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりのネジ測定装置である。
請求項1に記載のネジ測定装置は、所定の回転軸回りに回転可能に保持したワークの少なくとも一部の円筒面に形成されたネジの有効径を測定するネジ測定装置であって、測定対象のネジ部に対して、前記回転軸に交差する方向から前記ネジ部を挟み込むように対向配置され、互いに対向している方向に付勢された一対の測定子と、前記一対の測定子の各々を前記回転軸方向であるリード方向に往復移動自在に保持する各々のフローティング手段と、対向配置された一対の測定子の各々における対向方向の位置を検出可能な各々の径側位置検出手段と、前記測定子の各々と前記フローティング手段の各々と前記径側位置検出手段の各々とを保持する保持手段と、制御手段と、を備える。
そして、前記制御手段は、少なくとも前記測定子の各々が前記ネジ部のネジ溝に入るまで前記ワークを前記回転軸回りに回転させ、前記各々の径側位置検出手段からの検出信号に基づいて、各々の測定子における前記対向方向の位置を測定し、測定した各々の測定子の前記径方向の位置に基づいて、前記ネジの有効径を測定する。
【0005】
また、本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりのネジ測定方法である。
請求項2に記載のネジ測定方法は、請求項1に記載のネジ測定装置を用いたネジ測定方法であって、前記一対の測定子を前記ネジ部のネジ溝に入れた状態で、前記ワークを前記回転軸回りに回転させるとともに当該回転に同期させて前記ネジ測定装置に対して前記ワークを前記リード方向に前記リード幅に基づいた量で相対的に移動させ、前記ネジの有効径を連続的に測定する、ネジ測定方法である。
【0006】
また、本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりのネジ測定装置である。
請求項3に記載のネジ測定装置は、所定の回転軸回りに回転可能に保持したワークの少なくとも一部の円筒面に形成されたネジにおける前記回転軸方向であるリード方向におけるネジ溝の間隔であるリード幅を測定するネジ測定装置であって、測定対象のネジ部に対して、前記回転軸に交差する方向から前記ネジ部を挟み込むように対向配置され、互いに対向している方向に付勢された一対の測定子と、前記一対の測定子の各々を前記リード方向に往復移動自在に保持する各々のフローティング手段と、前記フローティング手段にて移動した各々の測定子における前記リード方向の位置を検出可能な各々のリード側位置検出手段と、前記測定子の各々と前記フローティング手段の各々と前記リード側位置検出手段の各々を保持する保持手段と、制御手段と、を備える。
そして、前記制御手段は、少なくとも前記測定子の各々が前記ネジ部のネジ溝に入るまで前記ワークを前記回転軸回りに回転させ、前記各々のリード側位置検出手段からの検出信号に基づいて、各々の測定子における前記リード方向の位置を測定し、測定した各々の測定子の前記リード方向の位置に基づいて、前記ネジ溝のリード幅を測定する。
【0007】
また、本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりのネジ測定方法である。
請求項4に記載のネジ測定方法は、請求項3に記載のネジ測定装置を用いたネジ測定方法であって、前記一対の測定子を前記ネジ部のネジ溝に入れた状態で、前記ワークを前記回転軸回りに回転させるとともに当該回転に同期させて前記ネジ測定装置に対して前記ワークを前記リード方向に前記リード幅に基づいた量で相対的に移動させ、前記ネジ溝のリード幅を連続的に測定する、ネジ測定方法である。
【0008】
また、本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりのネジ測定方法である。
請求項5に記載のネジ測定方法は、請求項1及び3に記載のネジ測定装置を用いたネジ測定方法であって、前記一対の測定子を前記ネジ部のネジ溝に入れた状態で、前記ワークを前記回転軸回りに回転させるとともに当該回転に同期させて前記ネジ測定装置に対して前記ワークを前記リード方向に前記リード幅に基づいた量で相対的に移動させ、前記ネジの有効径と前記ネジ溝のリード幅とを連続的に測定する、ネジ測定方法である。
【0009】
また、本発明の第6発明は、請求項6に記載されたとおりのネジ測定装置を備えた工作機械である。
請求項6に記載のネジ測定装置を備えた工作機械は、所定の回転軸回りに回転可能に保持したワークの少なくとも一部の円筒面に形成されたネジ部に対して、前記回転軸に交差する方向から前記ネジ部を挟み込むように対向配置され、互いに対向している方向に付勢された一対の測定子と、前記一対の測定子の各々を前記回転軸方向であるリード方向に往復移動自在に保持する各々のフローティング手段と、対向配置された一対の測定子の各々における対向方向の位置を検出可能な各々の径側位置検出手段と、前記フローティング手段にて移動した各々の測定子における前記リード方向の位置を検出可能な各々のリード側位置検出手段と、前記測定子の各々と前記フローティング手段の各々と前記径側位置検出手段の各々と前記リード側位置検出手段の各々とを保持する保持手段と、前記保持手段を前記回転軸に交差する方向に移動可能な検出体移動手段とを備えたネジ測定装置と、前記ネジ溝を仕上げ研削する加工工具と、前記ワークを保持して前記回転軸回りに回転可能なワーク回転手段と、前記ネジ測定装置及び前記加工工具に対して前記ワークを前記リード方向に相対的に移動可能なリード方向移動手段と、前記加工工具に対して前記ワークを前記径方向に相対的に移動可能な径方向移動手段と、制御手段と、を備える。
前記制御手段は、前記検出体移動手段を用いて、前記一対の測定子にて前記ワークの前記ネジ部を挟み込むまで前記ネジ測定装置を移動させ、少なくとも前記測定子の各々が前記ネジ部のネジ溝に入るまで前記ワークを前記回転軸回りに回転させ、前記各々の径側位置検出手段からの検出信号に基づいて、各々の測定子における前記対向方向の位置を測定し、測定した各々の測定子の前記径方向の位置に基づいて、前記ネジの有効径を測定し、前記各々のリード側位置検出手段からの検出信号に基づいて、各々の測定子における前記リード方向の位置を測定し、測定した各々の測定子の前記リード方向の位置に基づいて、前記ネジ溝のリード幅を測定する。
更に、少なくとも一方の測定子の前記リード方向の位置に基づいて前記加工工具と対向する前記ネジ溝のリード方向の位置を求め、求めたリード方向の位置を前記ネジ溝の仕上げ研削の開始位置として、前記リード方向移動手段と前記径方向移動手段を用いて前記ワークのネジ溝に対して前記加工工具を位置決めする。
そして、前記一対の測定子を前記ネジ部のネジ溝に入れた状態で、前記ワークを前記回転軸回りに回転させるとともに当該回転に同期させて前記ネジ測定装置に対して前記ワークを前記リード方向に前記リード幅に基づいた量で相対的に移動させて前記加工工具を用いて前記ネジ溝を仕上げ研削しながら、前記ネジの有効径と前記ネジ溝のリード幅とを連続的に測定する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載のネジ測定装置を用いれば、対向配置するとともに互いにリード方向に往復移動自在に保持した2つの測定子を用いてワークを挟むことで、ネジの有効径をより高精度に測定することが可能なネジ測定装置を構成することができる。
また、ネジ測定装置に大型な構成部品を必要とせず、工作機械に搭載可能な程度の小型に構成することができる。
【0011】
また、請求項2に記載のネジ測定方法によれば、対向配置するとともに互いにリード方向に往復移動自在に保持した2つの測定子を用いてワークを挟み、ワークの回転に同期させてリード幅に応じた量だけリード方向に移動させることで、ネジの有効径を連続的に、より高精度に測定することができる。
【0012】
また、請求項3に記載のネジ測定装置によれば、対向配置するとともに互いにリード方向に往復移動自在に保持した2つの測定子を用いてワークを挟むことで、ネジ溝のリード幅をより高精度に測定することが可能なネジ測定装置を構成することができる。
また、ネジ測定装置に大型な構成部品を必要とせず、工作機械に搭載可能な程度の小型に構成することができる。
【0013】
また、請求項4に記載のネジ測定方法によれば、対向配置するとともに互いにリード方向に往復移動自在に保持した2つの測定子を用いてワークを挟み、ワークの回転に同期させてリード幅に応じた量だけリード方向に移動させることで、ネジ溝のリード幅を連続的に、より高精度に測定することができる。
【0014】
また、請求項5に記載のネジ測定方法によれば、対向配置するとともに互いにリード方向に往復移動自在に保持した2つの測定子を用いてワークを挟み、ワークの回転に同期させてリード幅に応じた量だけリード方向に移動させることで、ネジの有効径とネジ溝のリード幅とを連続的に、より高精度に測定することができる。
【0015】
また、請求項6に記載のネジ測定装置を備えた工作機械によれば、ネジ測定装置を工作機械に搭載し、加工工具でネジ溝を仕上げ研削するために、加工工具と対向するネジ溝の位置とリード幅を検出する。そして、検出したネジ溝の位置に加工工具を位置決めし、ネジ溝を加工工具で仕上げ研削しながら、ネジの有効径とネジ溝のリード幅とを連続的に測定することができるので、仕上げ研削の状態を適切に確認することができる。
これにより、ワークの取り外しを行うことなく、ネジ溝の加工と、ネジの有効径及びネジ溝のリード幅をより高精度に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。図1(A)は、本発明のネジ測定装置80を備えた工作機械1の一実施の形態の概略外観図(平面図)を示しており、図1(B)は当該工作機械1(この場合、ネジ研削盤)の概略外観図(側面図)の例を示している。なお、図1(B)では、ワークWと接触子83A、83Cと砥石22の位置関係を説明するために、主軸装置30R、30L等を省略している。
また、図2(A)及び(B)は、主軸装置30L、30Rを用いてワークWを支持する様子を示している。
なお、全ての図面において、X軸、Y軸、Z軸は直交しており、Y軸は鉛直上方を示しており、Z軸はワーク回転軸CWと平行な水平方向を示しており、X軸はZ軸に直交する水平方向を示している。
【0017】
●[工作機械1の構成(図1、図2)]
図1(A)、及び図2(A)、(B)に示すように、工作機械1には、主軸装置30L、30R(この場合、ワーク回転手段に相当するとともにリード方向移動手段に相当)が対向配置されており、主軸装置30LはリニアガイドGLに沿ってZ軸方向(工作物回転軸の軸線方向)に移動可能であり、主軸装置30RはリニアガイドGRに沿ってZ軸方向に移動可能である。
制御手段50(制御装置)は、主軸装置30L、30R用のZ軸方向駆動モータ30LM、30RMに駆動信号を出力し、検出手段30LE、30RE(エンコーダ等)からの検出信号を取り込み、主軸装置30L、30RのZ軸方向における位置及び移動速度等を制御可能である。例えば図2(A)及び(B)に示すように、Z軸方向駆動モータ30LM(30RM)は、ボールネジBL(BR)を回転させ、当該ボールネジBL(BR)にナット等で嵌合されたアームCL(CR)を移動させ、アームCL(CR)に接続された主軸装置30L(30R)を移動させる。
【0018】
また、工作機械1には、リニアガイドGZに沿ってZ軸方向に移動可能な砥石台10が載置されている。そして、砥石台10の上には、リニアガイドGXに沿って砥石台10に対してX軸方向に移動可能な砥石テーブル20が載置されている。また、砥石テーブル20には、砥石駆動モータ21及び砥石22(加工工具に相当)が設けられている。
制御手段50は、砥石台10用のZ軸方向駆動モータ10Mに駆動信号を出力し、検出手段10E(エンコーダ等)からの検出信号を取り込み、砥石台10のZ軸方向における位置及び移動速度等を制御可能である。また同様に、制御手段50は、砥石テーブル20用のX軸方向駆動モータ20Mに駆動信号を出力し、検出手段20Eからの検出信号を取り込み、砥石テーブル20のX軸方向における位置及び移動速度等を制御可能であり、砥石駆動モータ21に駆動信号を出力し、砥石22の回転を制御可能である。なお、砥石駆動モータ21に検出手段を設ければ、砥石22の回転速度を制御可能である。
また、図1(A)に示す工作機械1には、主軸装置30Lに砥石22を成形するツルーイング装置60が設けられている。
【0019】
また、工作機械1には、ワークWの少なくとも一部の円筒面に形成されたネジ部Kのネジ溝に当接させる、対向配置された一対の接触子83A、83C(測定子に相当)と、接触子83A、83Cを保持する保持手段81と、保持手段81をワーク回転軸CWに直交する方向に移動可能な検出体移動手段82とで構成されたネジ測定装置80が、連結部材84Aを介して砥石台10に設けられている(図1(B)参照)。なお、図1(A)では連結部材84Aの記載を省略している。また、図1(A)に点線で示すように、連結部材84Aを介することなくネジ測定装置80を砥石台10に設けてもよい。
そして、対向配置された一対の接触子83A、83Cは、ワーク回転軸CWに直交する径方向からネジ部Kを挟み込んでネジの有効径、ネジ溝のリード幅を測定する。
また、図1(B)に示す例では、ワーク回転軸CWと砥石回転軸CTは同一水平面(XZ平面)上に設定されている。
【0020】
また、図1(C)にワークWの外観の例を示す。本実施の形態にて説明する工作機械1が対象とするワークWは、ワークWの少なくとも一部の円筒面にネジ溝が形成されたワークWを対象とする。図1(C)は、上記の対象内容に合致するEPS(Electric Power Steering)のステアリングロッドの外観を示しており、当該ステアリングロッドは、ネジ溝が形成されたネジ部Kの他にも、ラック&ピニオンの構造におけるラック部KR(円筒面の一部を平面状にして、ピニオンギアが嵌合する溝が形成された形状)が形成されている。
【0021】
主軸装置30Lは、主軸台31Lと、ワーク回転軸回りに回転するスピンドル部32Lと、スピンドル部32Lと一体となって回転するとともに挿入されたワークWの円筒面を支持可能なチャック爪34Lを備えたチャック部33Lとで構成されている。また、スピンドル部32Lとチャック部33Lは、同軸上に(ワーク回転軸上に)設けられており、ワークWをZ軸方向に挿入可能な径を有する穴部が形成されている。制御手段50は、チャック爪34Lの開閉を制御可能であり、スピンドル部32Lの回転を制御可能である。また、主軸装置30R、主軸台31R、スピンドル部32R、チャック部33R、チャック爪34Rについては、上記に説明した主軸装置30Lと同様であるので説明を省略する。
【0022】
ここで、図1(C)に示すワークWの場合、ネジ部Kの両端の近傍を支持しようとすると、ラック部KRの部位の支持が必要となる。しかし、ラック部KRの面をチャック爪34Lまたは34Rで支持(把持)するのは適切でない。チャック爪34Lまたは34Rで支持(把持)する場合、ラック部KRの面を回避してワークWの円筒面を支持することが好ましい。
そこで、図1(C)に示すように、ワークWの端面には、ワークWの回転角度を特定可能な位置決め溝WMが形成されている(例えば、ラック部KRの面と平行な方向に位置決め溝WMが形成されている)。なお、位置決め溝WMは、少なくとも一方の端面に形成されていればよい。
なお、本実施の形態では、図2(A)及び(B)に示すように、仮受け台73、74上に載置したワークWにおけるラック部KRの側の端面を主軸装置30R側に挿入し、ラック部KRと反対側の端面を主軸装置30Lに挿入している。従って、チャック部33Lで支持するワークWの部位は、円周上のどの位置を支持しても円筒面であるので、チャック爪34Lが3つ爪のチャック部33Lを用いることが好ましい(図示省略)。また、チャック爪34Rで支持するワークWの部位は、円周上にラック部KRが有るため、これを回避して円筒部を支持できるように、チャック爪34Rが2つ爪のチャック部33Rを用いることが好ましい(図示省略)。
なお、仮受け台73、74に載置されたワークWをチャック部33L、33Rにて保持すると、ワークWは仮受け台73、74から僅かに浮き上がる。
【0023】
また図2(A)及び(B)に示すように、位置決め溝WMが形成された端面が挿入されるスピンドル部32Rの穴部には、位置決め溝WMに嵌合してZ軸方向に移動可能であるとともにスピンドル部32Rと一体となって回転する嵌合部材35Rが設けられている。嵌合部材35Rは、弾性部材(図示省略)にてワークWの側(位置決め溝WMに嵌合する方向)に付勢されており当該弾性部材は、制御手段50からの制御信号によってスピンドル部32R内においてZ軸方向に移動可能な調整部材(図示省略)に設けられている。
また、位置決め溝WMが形成されていない端面が挿入されるスピンドル部32Lの穴部には、ワークWの端面が当接する当接部材35Lと、Z軸方向に移動可能で当接部材35LのZ軸方向の位置を制御する調整部材(図示省略)が設けられている。
上記の説明では、ワークWの位置決め溝WMをラック部KRの側の端面のみに形成した例を説明したが、位置決め溝WMをワークWの両端面に形成してもよい。その場合、スピンドル部32L内の当接部材35Lを嵌合部材35Rと同様の部材とすればよい。
【0024】
●[ネジ測定装置80の構成(図3〜図5)]
次に図3〜図5を用いて、ネジ測定装置80の構成について説明する。なお、以下の説明では、ボールネジの例で説明する。
ネジ測定装置80は、対向配置した一対の接触子83A、83C(測定子に相当)と、接触子83A、83Cの各々をリード方向(ワーク回転軸CWの軸線方向)に往復移動自在に保持するフローティング手段と、径側センサ83SA、83SCと、リード側センサ85SA〜85SDと、保持手段81と、検出体移動手段82と、を備えている。
【0025】
測定対象のネジ溝WNに接触させる一対の接触子83A、83Cは、ワーク回転軸CWに直交する径方向からワークWのネジ部を挟み込むように対向配置され、互いに対向している方向(挟み込む方向)に弾性部材83BA、83BCにて付勢されている。また、接触子83Aは保持体85Aに設けられ、接触子83Cは保持体85Cに設けられている。
また、接触子83A、83Cの先端には、ネジ溝WNの幅に収まる径の球状部材が固定されており、ネジ溝WNに入った場合、ネジ溝WNの中心に案内される構成を有している。
接触子83Aをリード方向に往復移動自在に保持するフローティング手段は、保持体85Aと、保持体85Aのリード方向の移動を案内する3本のガイド86Aと、保持体85Aをガイド86Aのほぼ中央に維持する弾性部材86BA、86BBにて構成されている。また、接触子83Cをリード方向に往復移動自在に保持するフローティング手段も同様であるので、説明は省略する。
【0026】
保持手段81は、接触子83A、83Cと、上記のフローティング手段と、更に、リード側センサ85SA、85SB、85SC、85SD(リード側位置検出手段に相当)と、径側センサ83SA、83SC(径側位置検出手段に相当)とを保持している。
そして、検出体移動手段82は、例えばシリンダとピストン82Aとで構成されており、制御手段50からの駆動信号に基づいて、保持手段81をワーク回転軸CWから最も遠ざかる位置(図5(A)に示す位置)、または保持手段81をワーク回転軸CWに最も近接する位置(図5(B)に示す位置)のいずれかの位置に移動可能である。なお、図5(B)に示す位置では、対向配置した一対の接触子83A、83Cを結ぶ線分の中央がワーク回転軸CWの位置となる。
【0027】
接触子83A(保持体85A)のリード方向の位置(この場合、Z軸方向の位置)は、接触子83A(保持体85A)を挟んで対向配置されたリード側センサ85SA、85SBにて検出され、接触子83C(保持体85C)のリード方向の位置(この場合、Z軸方向の位置)は、接触子83C(保持体85C)を挟んで対向配置されたリード側センサ85SC、85SDにて検出される。
リード側センサ85SA、85SBは、例えば非接触式センサであり、保持手段81に固定され、保持体85Aまでの距離をそれぞれが検出可能である。例えば、図4(A)において、リード側センサ85SAは距離L1aを検出可能であり、リード側センサ85SBは距離L1bを検出可能である。
同様に、リード側センサ85SC、85SDは、例えば非接触式センサであり、保持手段81に固定され、保持体85Cまでの距離をそれぞれが検出可能である。例えば、図4(A)において、リード側センサ85SCは距離L2aを検出可能であり、リード側センサ85SDは距離L2bを検出可能である。
【0028】
接触子83Aの径方向の位置(この場合、Y軸方向の位置)は、図4(B)の断面図に示すように、接触子83Aの付勢方向の反対側に配置された径側センサ83SAにて検出される。
径側センサ83SAは、例えば非接触式のセンサであり、保持体85Aに固定され、接触子83Aの端面までの距離(図4(B)の例では、距離K1、K1´)を検出可能である。なお、接触子83Cの径方向の位置(この場合、Y軸方向の位置)についても同様であるので説明を省略する。
【0029】
●[ネジ測定装置80によるネジの有効径の測定(図5)]
次に、図5を用いてネジ測定装置80によるネジの有効径の測定について説明する。
まず、制御手段50は、ネジ測定装置80がワークWから離間している状態(図5(A)に示す状態)から、検出体移動手段82に駆動信号を出力してネジ測定装置80をワーク回転軸CWに直交する方向からワークWに向かって前進させる。本実施の形態では、最も前進した位置で、リード方向(Z軸方向)から見た場合に、接触子83Aとワーク回転軸CWと接触子83Cとが直線上に並ぶように設定している(図5(B)参照)。
【0030】
この時点で、一対の接触子83A、83CでワークWを挟み込んではいるが、接触子83A、83Cがネジ溝WNに入っているとは限らない。制御手段50は、径側センサ83SAからの検出信号に基づいて、接触子83Aまでの径方向の距離を測定し、接触子83Aがネジ溝WNに入っているか否かを判定することができる。例えば判定閾値をΔxに設定し、ネジ溝に入った場合の距離がK1´(理論値)であるとする。この場合、制御手段50は、測定した距離が距離K1´±Δx以内であるとき、接触子83Aがネジ溝WNに入ったと判定する。(制御手段50は、ネジ溝WNに入った場合の距離の範囲(距離K1´±Δx)を予め認識している)。同様に、制御手段50は、径側センサ83SCからの検出信号に基づいて、接触子83Cまでの径方向の距離を測定し、接触子83Cがネジ溝WNに入っているか否かを判定することができる。
接触子83A、83Cの少なくとも一方がネジ溝WNに入っていないと判定した場合、制御手段50は、少なくとも接触子83A、83Cがネジ溝WNに入るまで、ワークWをワーク回転軸CW回りに回転させる。なお、ワークWを回転させる前にネジ溝WNに入ったか否か判定せずに、とにかくワークWを回転させてからネジ溝に入ったか否かを判定するようにしてもよい。
少なくともワークWを1回転すれば、接触子の位置にネジ溝WNが到達し、ネジ溝WNに接触子の先端が入る。
【0031】
そして、制御手段50は、径側センサ83SAからの検出信号に基づいて、接触子83Aまでの径方向の距離を測定し、接触子83Aの先端の径方向の位置(図5(B)における接触子83Aの先端とワークW(ネジ溝WN)との接点である測定点PAのY軸方向の位置であり対向方向の位置)を求める。また、同様に、径側センサ83SCからの検出信号に基づいて、接触子83Cの先端の径方向の位置(図5(B)における接触子83Cの先端とワークW(ネジ溝WN)との接点である測定点PCのY軸方向の位置であり対向方向の位置)を求める。そして、測定点PAの径方向の位置と測定点PCの径方向の位置に基づいて、ネジの有効径を求める。
なお、本実施の形態では、一対の接触子83A、83Cにて上下からワークWを挟む例を説明しているが、ネジ測定装置80と砥石22の、それぞれのZ軸方向の位置が異なるように設定すれば、ネジ測定装置80にてワークWを挟む方向は、上下方向に限定されず、任意の方向からワークWを挟むように構成してもよい。また、検出体移動手段82を省略して、常に一対の接触子でワークWを挟み込むように構成してもよい。
また、ネジの有効径を測定するがネジ溝WNのリード幅を測定しない場合は、リード側センサ85SA〜85SDを省略してもよい。
以上、対向配置した一対の接触子83A、83Cを用いることで、芯ずれの影響を受けにくく、誤差がより小さいネジ測定装置80を構成することができる。
【0032】
●[ネジ測定装置80によるネジ溝WNのリード幅の測定(図4)]
次に、図4を用いてネジ測定装置80によるネジ溝WNのリード幅の測定について説明する。
まず、制御手段50は、ネジ測定装置80がワークWから離間している状態(図5(A)に示す状態)から、検出体移動手段82に駆動信号を出力してネジ測定装置80をワーク回転軸CWに直交する方向からワークWに向かって前進させる。本実施の形態では、最も前進した位置で、リード方向(Z軸方向)から見た場合に、接触子83Aとワーク回転軸CWと接触子83Cとが直線上に並ぶように設定している(図5(B)参照)。
【0033】
この時点で、一対の接触子83A、83CでワークWを挟み込んではいるが、接触子83A、83Cがネジ溝WNに入っているとは限らない。
ここで、径側センサ83SA、83SCを備えている場合、制御手段50は、径側センサ83SAからの検出信号に基づいて、接触子83Aまでの径方向の距離を測定し、接触子83Aがネジ溝WNに入っているか否かを判定することができる(ネジ溝WNに入った場合の距離の範囲(距離K1´±Δx)を予め認識している)。同様に、制御手段50は、径側センサ83SCからの検出信号に基づいて、接触子83Cまでの径方向の距離を測定し、接触子83Cがネジ溝WNに入っているか否かを判定することができる。
なお、ネジの有効径の測定が不要である場合は、径側センサ83SA、83SCを省略することができる。この場合、少なくともワークWを1回転させれば、接触子の位置にネジ溝WNが到達し、ネジ溝WNに接触子の先端が入る。
【0034】
そして、制御手段50は、リード側センサ85SAからの検出信号に基づいて、保持体85A(接触子83A)までのリード方向の距離L1aを測定する。
本実施の形態では、対向配置した2個のリード側センサ85SA、85SBの間に保持体85A(接触子83A)を配置し、リード側センサ85SAからの検出信号と、リード側センサ85SBからの検出信号との比を用いて、リード側センサ85SAとリード側センサ85SBの間における、どの位置に保持体85A(接触子83A)が位置しているかを求める。
例えば、距離が大きくなるにつれて検出信号の出力が大きくなる特性の場合において、リード側センサ85SAから測定対象までの距離がL1、検出信号の出力がm1、リード側センサ85SBから測定対象までの距離がL2、検出信号の出力がm2であったとする。この場合、m1:m2=L1:L2の式が成立し、またL1+L2は所定距離であるので、これらの式を用いて、距離L1、L2を求めることができる。この場合、比を用いることで、温度ドリフト等によりm1及びm2が大きくなる方向に、または小さくなる方向にずれても誤差を相殺できるので、1個のリード側センサを用いた場合よりも、小さな誤差で保持体85A(接触子83A)のリード側の位置を検出することができる。
以上、対向配置した一対の接触子83A、83Cを用いることで、熱変位の影響を受けにくく、誤差がより小さいネジ測定装置80を構成することができる。
【0035】
また、本実施の形態では、リード側センサ85SAとリード側センサ85SBのリード方向の中間位置に基準点を設け、当該基準点を通るY軸に平行な基準線STZを設定している。制御手段50は、この基準点の位置(図5(B)に示す状態の基準点の(X座標、Y座標、Z座標))を認識しており、当該基準点を通る基準線STZから接触子83AまでのZ軸方向の距離(図4(A)における距離ΔL1)を求めて、接触子83Aが入っているネジ溝のリード方向の位置を求めることができる。
なお、接触子83Cとリード側センサ85SC、85SDも同様であり、制御手段50は、基準線STZから接触子83CまでのZ軸方向の距離(図4(A)における距離ΔL2)を求めて、接触子83Cが入っているネジ溝のリード方向の位置を求めることができる。
基準線STZから接触子83AまでのZ軸方向の距離ΔL1と、基準線STZから接触子83CまでのZ軸方向の距離ΔL2と、の和は、リード幅の1/2であるので、これを換算することで、制御手段50は、リード幅を求めることができる。
なお、本実施の形態では、一対の接触子83A、83Cにて上下からワークWを挟む例を説明しているが、ネジ測定装置80と砥石22の、それぞれのZ軸方向の位置が異なるように設定すれば、ネジ測定装置80にてワークWを挟む方向は、上下方向に限定されず、任意の方向からワークWを挟むように構成してもよい。また、検出体移動手段82を省略して、常に一対の接触子でワークWを挟み込むように構成してもよい。
【0036】
また、径側センサ83SA、83SC、リード側センサ85SA〜85SDを備え、ワークWをワーク回転軸CW回りに回転させ、当該回転に同期させてリード幅に基づいた量でワークWをリード方向に相対的に移動させれば、ネジの有効径と、ネジ溝WNのリード幅とを連続的に、ネジ部の全域で測定することができる。この場合、図6の例に示すようなグラフを得ることができ、品質管理等に利用することができる。
例えば、図6(A)に示すネジの有効径のグラフから、ワーク回転軸CWからの振れ量を把握することができ、図6(B)に示すネジ溝のリード幅のグラフから、リード幅のバラツキ等を把握することができる。
また、ネジ測定装置80を工作機械1に搭載すれば、ネジ溝WNの仕上げ研削を行いながら、仕上げ研削後のネジの有効径とネジ溝のリード幅を測定するインプロセス測定も可能となる。この場合、残加工量を把握できるので、次回の加工時の切り込み量を適切に設定することができる。
【0037】
●[ネジ測定装置80による加工工具を当てるネジ溝のリード方向の位置の測定と、ネジの有効径及びネジ溝WNのリード幅の連続測定(図5〜図9)]
次に、ネジ測定装置80を搭載した工作機械1(図1(A)及び(B)参照)を用いて、ネジ溝WNの仕上げ研削を行いながら、ネジの有効径とネジ溝WNのリード幅を測定するインプロセス測定について説明する。
上記と同様にして、まず、制御手段50は、ネジ測定装置80がワークWから離間している状態(図5(A)に示す状態)から、検出体移動手段82に駆動信号を出力して、接触子83Aとワーク回転軸CWと接触子83Cとが直線上に並んだ状態(図5(B)に示す状態)とする。
そして、制御手段50は、径側センサ83SA、83SCからの検出信号から、接触子83A、83Cがネジ溝WNに入ったと検出されるまで、主軸装置30L、30R(ワーク回転手段に相当)にてワークWを回転させる。
接触子83A、83Cがネジ溝WNに入ったことを確認できたら一旦ワークWの回転を停止し、既に説明したように、ネジの有効径とネジ溝WNのリード幅とを測定することができる。
【0038】
次に図7、図8に示す模式図を用いて、測定したネジ溝WNの位置に、砥石22を位置決めする方法を説明する。なお、「ネジ溝の位置」とは、「ネジ溝の中心位置」を指す。また、以下の説明では、図1(A)に示す工作機械1において、ネジ測定装置80が砥石台10に設けられている例で説明する。
図7(A)に示すように、砥石台10には、X軸方向に往復移動可能な砥石22と、検出体移動手段にてX軸方向に往復移動可能なネジ測定装置80が設けられている。なお、既に説明したようにネジ測定装置80の接触子83A、83CはZ軸方向(リード方向)に往復移動自在に保持されており、図7(A)の例では基準線STZの位置(中立位置)に接触子83A(83C)があるものとする。また、工作機械1上の固定位置(Z軸方向基準位置Pz(ゼロ))に対する砥石台10のZ軸方向の位置(距離Zi)を求めるための、砥石台10上の基準位置Pstdは、図7(A)における砥石台10の右端部とする。
【0039】
まず、図7(A)における接触子83Aの中心(基準線STZ)と砥石22の中心との間のZ軸方向の距離Qを、図7(B)、図8(A)及び(B)に示す手順で求める。
図7(B)は、図7(A)の状態から接触子83AをX軸方向に沿って少し前進させ、更に砥石台10をZ軸方向に沿って負側(図7(B)では左側)に移動させ、接触子83Aの先端左側がZ軸方向基準位置Pzの面に接触した状態を示しており、このとき、接触子83AのZ軸方向への移動距離が、基準線STZから距離ΔLだけ右に移動したことが検出された状態を示している。
このときの基準位置PstdのZ座標から、Z軸方向基準位置Pz(座標0、0、0)から基準位置PstdまでのZ軸方向の距離Z1を求める。ここで、接触子83Aの先端が直径Rの球である場合、基準位置Pstdから基準線STZまでのZ軸方向の距離は、以下の式で表すことができる。
Z1−R/2+ΔL (式1)
なお、距離ΔLは接触子83Aのみを用いて測定してもよいし、接触子83Cのみ、または接触子83Aと83Cの双方、を用いて測定してもよい。
【0040】
図8(A)は、図7(B)の状態から接触子83AをX軸方向に沿って後退させ、砥石22をX軸方向に沿って少し前進させ、その後、砥石台10をZ軸方向に沿って負側に移動させ、砥石22の左端面(砥石22の回転軸に直交する面)がZ軸方向基準位置Pzの面に接触した状態を示している。
このときの基準位置PstdのZ座標から、Z軸方向基準位置Pz(座標0、0、0)から基準位置PstdまでのZ軸方向の距離Z2を求める。ここで、砥石22のZ軸方向の幅がWTである場合、基準位置Pstdから砥石22の中心までのZ軸方向の距離は、以下の式で表すことができる。
Z2−WT/2 (式2)
以上より、図8(B)に示すように、接触子83Aの中心(基準線STZ)と砥石22の中心との間のZ軸方向の距離Qは、以下の式で表すことができる。
Q=(Z1−R/2+ΔL)―(Z2−WT/2) (式3)
この距離Qを、機械初期設定時に、機械固有値として制御手段50に記憶しておく。
【0041】
次に図9(A)及び(B)を用いて、上記のように求めた距離Qを用いて、接触子83A、83Cにて測定したネジ溝WNのZ軸方向の位置に、砥石22を位置決めする方法について説明する。
図9(B)に示すように、ワークWを挟み込んでいない場合において接触子83A、83Cの中立位置は、基準線STZの位置であるとする。この場合、リード側センサ85SA、85SBから接触子83Aまでの距離a、距離bと、リード側センサ85SC、85SDから接触子83Cまでの距離c、距離dは全て同じであるとする(距離a=距離b=距離c=距離dとする)。
図9(A)は、ワークWのネジ溝WNに接触子83A、83Cが入った状態を示している(接触子83A、83Cを模式的に示している)。
このときの基準位置PstdのZ座標から、Z軸方向基準位置Pzから基準位置PstdまでのZ軸方向の距離Zwを求める。また、基準線STZから接触子83Aまでの距離ΔLw1と、基準線STZから接触子83Cまでの距離ΔLw2も求める。
【0042】
本実施の形態では、接触子83AのZ軸方向の位置と、接触子83CのZ軸方向の位置の中間位置(図9(A)中の線TGTの位置)をネジ溝の中心位置とみなし、この線TGTに砥石22の中心を一致させることで砥石22をネジ溝の位置に位置決めする。基準線STZから線TGTまでの距離Lwは、以下の式で表すことができる。
Lw=ΔLw1+(ΔLw2−ΔLw1)/2 (式4)
そして、図9(A)に示す状態から、以下に示す位置に砥石22を位置決めする。
砥石22のZ軸方向の位置決め位置=Zw−Q+Lw (式5)
上記の位置に砥石22を位置決めし、ワークWを回転させながら、当該回転に同期させてネジ溝WNのリード幅に基づいた量で砥石台10をリード方向に移動させ、ネジ溝WNを仕上げ研削する。
なお、線TGTは基準線STZに近い程、弾性部材86BA〜86BDや、リード側センサ85SA〜85SDの性能の影響を受けにくくなるので、より高精度にネジ溝WNの位置を測定することができる。
また、ネジ溝WNの始まりのZ軸方向の位置は、ワークWが固有であるため、おおまかな位置が解っている。そこで、ネジ溝の始まりの位置から適当にZ軸方向にオフセットした位置にてネジ溝の位置を測定し、測定した位置から、前記のオフセット分戻した位置から研削を開始すればよい。
【0043】
以上の説明では(式4)及び図9(A)に示すように、基準線STZからネジ溝の位置までの距離Lwを、ΔLw1とΔLw2を用いて求めたが、ΔLw1またはΔLw2の一方のみを用いてネジ溝の位置を求めることもできる。なお、ΔLw1またはΔLw2の一方のみを用いる場合、図5(B)に示す角度θと、ネジ溝WNのリード幅も必要である。
既に制御手段50は、測定点PAの径方向の位置(この場合、Y軸方向の位置)、リード方向の位置(この場合、Z軸方向の位置)を測定しており、ネジ溝WNのリード幅も測定している。
また、図5(B)に示すように、測定点PAからワーク回転軸CWに下ろした垂線である測定点垂線と、加工点PTからワーク回転軸CWに下ろした垂線である加工点垂線とが成す角度θは90度である。従って、制御手段50は、測定点PAのリード方向の位置に、リード幅*90/360をリード方向に加えた位置(あるいは減算した位置)が、ネジ溝WNの位置と一致する加工点PTのリード方向の位置であると認識することができる。
このように、少なくとも一方の接触子のリード方向の位置に基づいて、砥石22と対向するネジ溝のリード方向の位置を求めることができる。
【0044】
そして、以下に説明するように、測定したネジ溝WNのリード方向の位置に砥石22を位置決めし、ネジ溝WNを仕上げ研削する。
制御手段50は、上記で求めた加工点PTの位置をネジ溝WNの仕上げ研削の開始位置として、主軸装置30L、30R(リード方向移動手段に相当)を用いて、またはZ軸方向駆動モータ10M(リード方向移動手段に相当)を用いて、加工点PTが砥石22と対向する位置となるように、ワークWに対して砥石22を相対的に移動させる。更に、制御手段50は、X軸方向駆動モータ20M(径方向移動手段に相当)を用いて、砥石22に対してワークWを相対的に移動させて、砥石22の先端を加工点PT(この場合、ネジ溝WN)に当接させて位置決めする。
そして、制御手段50は、接触子83A、83Cをネジ部Kのネジ溝WNに入れた状態で、ワークWをワーク回転軸CW回りに回転させるとともに当該回転に同期させてネジ測定装置80に対してワークWをリード方向に(あるいは当該回転に同期させて砥石台10(砥石22)及びネジ測定装置80をリード方向に)、リード幅に基づいた量で相対的に移動させて砥石22を用いてネジ溝WNを仕上げ研削しながら、ネジの有効径とネジ溝WNのリード幅とを連続的に測定する。
この場合、ネジ部の全域で測定することができ、図6の例に示すようなグラフを得ることができ、品質管理等に利用することができる。
【0045】
なお、本実施の形態の説明では、ネジ測定装置80を砥石台10に連結(固定)して砥石台10と一体となってZ軸方向に移動する構成の例を説明したが、ネジ測定装置80を砥石台10に連結しない構成にして砥石台10と同期してネジ溝測定装置80をZ軸方向に移動可能に構成することもできる。
また、ネジ測定装置80を砥石台10に固定することなく基台2に固定し、Z軸方向に移動しない構成としてもよい。
そこで、以下の(1)〜(4)の4通りの構成の例を説明する。なお、ワークWの回転に同期させるとともにネジ溝のリード幅に基づいた量でリード方向に移動させる制御を、以下では「C−Z同期制御」と記載する。
【0046】
(1)ネジ測定装置80が砥石台10(砥石22)に連結されて、砥石台10がリード方向(Z軸方向)に移動可能な構成であり、リード幅に基づいた量で「ワークWの回転に同期させて砥石22及びネジ測定装置80をリード方向に移動させる」構成(ワークWの回転に同期させてワークWをリード方向に移動させない構成)。
いわゆる「砥石台トラバース」タイプであり、ネジ測定装置80が砥石台10と一体となってリード方向に移動する構成である。
この構成では、制御手段50は、砥石台10を「C−Z同期制御」でリード方向に移動させる。なお、ネジ測定装置80は砥石台10と一体となってリード方向に移動するので、結果としてネジ測定装置80も「C−Z同期制御」でリード方向に移動することになる。
この構成では、ネジ溝の研削を行いながら、ネジの有効径とネジ溝のリード幅とをネジ部の全域で連続的に測定することができる。
【0047】
(2)ネジ測定装置80が砥石台10(砥石22)に連結されておらず、砥石台10とネジ測定装置80の各々がリード方向(Z軸方向)に移動可能な構成であり、リード幅に基づいた量で「ワークWの回転に同期させて砥石22及びネジ測定装置80をリード方向に移動させる」構成(ワークWの回転に同期させてワークWをリード方向に移動させない構成)。
いわゆる「砥石台トラバース」タイプであるが、ネジ測定装置80と砥石台10とが互いに独立してリード方向に移動する構成である。
この構成では、制御手段50は、砥石台10とネジ測定装置80の各々を「C−Z同期制御」でリード方向に移動させる。
この構成では、ネジ溝の研削を行いながら、ネジの有効径とネジ溝のリード幅とをネジ部の全域で連続的に測定することができる。
【0048】
(3)砥石台10(砥石22)及びネジ測定装置80がリード方向(Z軸方向)に移動しない構成であり、リード幅に基づいた量で「ワークWの回転に同期させてワークWをリード方向に移動させる」構成(ワークWの回転に同期させて砥石22及びネジ測定装置80をリード方向に移動させない構成)。
いわゆる「テーブルトラバース」タイプであり、ネジ測定装置80は基台2に固定され、砥石台10はX軸方向に移動可能であるがZ軸方向には移動しない。
この構成では、制御手段50は、ワークWを「C−Z同期制御」でリード方向に移動させる。この結果として、砥石台10とネジ測定装置80とが、ワークWに対して相対的に「C−Z同期制御」でリード方向に移動することになる。
この構成では、ネジ溝の研削を行いながら、ネジの有効径とネジ溝のリード幅とをネジ部の全域で連続的に測定することができる。
【0049】
(4)砥石台10(砥石22)がリード方向(Z軸方向)に移動可能であるが、ネジ測定装置80はリード方向に移動しない構成であり、リード幅に基づいた量で「ワークWの回転に同期させて砥石22をリード方向に移動させる」構成(ワークWの回転に同期させてワークW及びネジ測定装置80をリード方向に移動させない構成)。
いわゆる「砥石台トラバース」タイプであり、砥石台10はリード方向に移動可能であるが、ネジ測定装置80は基台2に固定されてリード方向に移動しない構成である。
この構成では、制御手段50は、砥石台10を「C−Z同期制御」でリード方向に移動させる。
この場合、ワークWの回転に同期させて砥石22(砥石台10)をリード方向に移動させて研削する際、ネジ測定装置80を(接触子83A、83Cを)ワークWから離間させておく。
この構成では、ネジ溝の研削を行いながら、ネジの有効径とネジ溝のリード幅とをネジ部の全域で連続的に測定することはできない。
【0050】
なお、上記の「C−Z同期制御」にて砥石22でネジ溝を研削する際、砥石22のX軸方向への切り込み量は変化させず、ネジ溝の開始位置からネジ溝の終了位置まで、一定の切り込み量で研削する。
そして、1パス済んだ(ネジ溝の開始位置から終了位置まで、1回研削した)後に、新たな切り込み量を設定し、再度「C−Z同期制御」でネジ溝を研削する。これを繰り返して所望する寸法になるまでネジ溝の研削を行う(円筒研削盤による一般的な研削方法と同様の方法)。
【0051】
以上、本実施の形態にて説明したネジ測定装置80は、ネジ溝WNにおけるリード方向の中心の位置を接触子83A、83Cを接触させることで直接的に検出するので、ネジ溝WNのリード方向の位置の測定精度が高い。また、非常に短時間にネジ溝の中心の位置を測定可能である。更に、ネジ測定装置80はコンパクトに構成することができるので、工作機械1に搭載することが容易である。
なお、本実施の形態の説明では、検出体移動手段82を用いて、接触子83A、83CをワークWに接触あるいは離間させたが、検出体移動手段82を省略して、接触子83A、83CをワークWに接触させた状態を保持するようにしてもよいし、作業者の操作で接触子A83A、83Cを接触または離間するように構成してもよい。
【0052】
なお、本実施の形態の説明では、ワークWに対して砥石22をX軸方向に移動させたが、砥石22に対してワークWをX軸方向に移動させる構成にすることもできる。従って、砥石22はワークWに対して相対的にX軸方向に移動するものである。
同様に、Z軸方向については、ワークWに対して砥石22をZ軸方向に移動させたが、砥石22に対してワークWをZ軸方向に移動させる構成にすることもできる。従って、砥石22はワークWに対して相対的にZ軸方向に移動するものである。
【0053】
本発明のネジ測定装置80、ネジ測定方法、及びネジ測定装置80を備えた工作機械1は、本実施の形態で説明した外観、構成、構造、処理等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、ワークWの両端部をチャックで保持する構造でなく、一方の端部を心押し台のセンタで支持する構造であってもよいし、加工工具として、砥石22の代わりにバイト等を用いてもよい。
本実施の形態の説明では、接触子がワーク回転軸CWに直交する径方向に摺動する例で説明したが、所定の角度でワーク回転軸CWに交差する方向に摺動するように構成してもよい(接触子を付勢する方向も、ワーク回転軸CWに交差する方向に付勢してもよい)。また、保持手段81がワーク回転軸CWに直交する方向に往復移動する例を説明したが、所定の角度でワーク回転軸CWに交差する方向に往復移動するように構成してもよい。
また、図9(A)を用いたネジ溝WNのリード方向の位置の測定の説明において、ワークWを一対の接触子にて上下方向から挟むことなく任意の方向から挟んだ場合、砥石22とワークWとの接点からワーク回転軸CWに下ろした垂線と、一対の接触子にてワークWを挟んだ方向との角度θ(図5(B)参照)に基づいて、接触子にて求めたネジ溝のZ軸方向の位置に、求めたネジ溝のピッチをθで補正した値を加算した位置(あるいはピッチをθで補正した値を減算した位置)に補正することで、砥石22と対向するネジ溝のZ軸方向の位置を求めることができる。
また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
また、本実施の形態の説明では、ボールネジを例として説明したが、ボールネジに限定されず、種々のネジに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明のネジ測定装置80を備えた工作機械1の一実施の形態を説明する図、及びワークWの例を説明する図である。
【図2】主軸装置30L、30Rを用いてワークWを支持する様子を説明する図である。
【図3】ネジ測定装置80の構成を説明する図である。
【図4】ネジ測定装置80の構成とネジ溝のリード幅の測定を説明する図である。
【図5】ネジ測定装置80の構成とネジの有効径の測定を説明する図である。
【図6】連続的に測定したネジの有効径、ネジ溝のリード幅の例を説明する図である。
【図7】ネジ溝WNのリード方向の位置の測定方法の例を説明する図である。
【図8】ネジ溝WNのリード方向の位置の測定方法の例を説明する図である。
【図9】ネジ溝WNのリード方向の位置の測定方法の例を説明する図である。
【符号の説明】
【0055】
1 工作機械
2 基台
10 砥石台
10M Z軸方向駆動モータ(リード方向移動手段)
10E 検出手段
20 砥石テーブル
20M X軸方向駆動モータ(径方向移動手段)
20E 検出手段
21 砥石駆動モータ
22 砥石(加工工具)
30L、30R 主軸装置(ワーク回転手段、リード方向移動手段)
30LM、30RM Z軸方向駆動モータ
30LE、30RE 検出手段
50 制御手段
60 ツルーイング装置
80 ネジ測定装置
81 保持手段
82 検出体移動手段
83A、83C 接触子(測定子)
83BA、83BC 弾性部材
83SA、83SC 径側センサ(径側位置検出手段)
85A、85C 保持体(フローティング手段)
85SA〜85SD リード側センサ(リード側位置検出手段)
86A、86C ガイド(フローティング手段)
86BA〜86BD 弾性部材(フローティング手段)
STZ 基準線
CW ワーク回転軸
CT 砥石回転軸
W ワーク(工作物)
WN ネジ溝
K ネジ部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回転軸回りに回転可能に保持したワークの少なくとも一部の円筒面に形成されたネジの有効径を測定するネジ測定装置であって、
測定対象のネジ部に対して、前記回転軸に交差する方向から前記ネジ部を挟み込むように対向配置され、互いに対向している方向に付勢された一対の測定子と、
前記一対の測定子の各々を前記回転軸方向であるリード方向に往復移動自在に保持する各々のフローティング手段と、
対向配置された一対の測定子の各々における対向方向の位置を検出可能な各々の径側位置検出手段と、
前記測定子の各々と前記フローティング手段の各々と前記径側位置検出手段の各々とを保持する保持手段と、
制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
少なくとも前記測定子の各々が前記ネジ部のネジ溝に入るまで前記ワークを前記回転軸回りに回転させ、
前記各々の径側位置検出手段からの検出信号に基づいて、各々の測定子における前記対向方向の位置を測定し、測定した各々の測定子の前記径方向の位置に基づいて、前記ネジの有効径を測定する、
ネジ測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のネジ測定装置を用いたネジ測定方法であって、
前記一対の測定子を前記ネジ部のネジ溝に入れた状態で、前記ワークを前記回転軸回りに回転させるとともに当該回転に同期させて前記ネジ測定装置に対して前記ワークを前記リード方向に前記リード幅に基づいた量で相対的に移動させ、前記ネジの有効径を連続的に測定する、
ネジ測定方法。
【請求項3】
所定の回転軸回りに回転可能に保持したワークの少なくとも一部の円筒面に形成されたネジにおける前記回転軸方向であるリード方向におけるネジ溝の間隔であるリード幅を測定するネジ測定装置であって、
測定対象のネジ部に対して、前記回転軸に交差する方向から前記ネジ部を挟み込むように対向配置され、互いに対向している方向に付勢された一対の測定子と、
前記一対の測定子の各々を前記リード方向に往復移動自在に保持する各々のフローティング手段と、
前記フローティング手段にて移動した各々の測定子における前記リード方向の位置を検出可能な各々のリード側位置検出手段と、
前記測定子の各々と前記フローティング手段の各々と前記リード側位置検出手段の各々を保持する保持手段と、
制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
少なくとも前記測定子の各々が前記ネジ部のネジ溝に入るまで前記ワークを前記回転軸回りに回転させ、
前記各々のリード側位置検出手段からの検出信号に基づいて、各々の測定子における前記リード方向の位置を測定し、測定した各々の測定子の前記リード方向の位置に基づいて、前記ネジ溝のリード幅を測定する、
ネジ測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載のネジ測定装置を用いたネジ測定方法であって、
前記一対の測定子を前記ネジ部のネジ溝に入れた状態で、前記ワークを前記回転軸回りに回転させるとともに当該回転に同期させて前記ネジ測定装置に対して前記ワークを前記リード方向に前記リード幅に基づいた量で相対的に移動させ、前記ネジ溝のリード幅を連続的に測定する、
ネジ測定方法。
【請求項5】
請求項1及び3に記載のネジ測定装置を用いたネジ測定方法であって、
前記一対の測定子を前記ネジ部のネジ溝に入れた状態で、前記ワークを前記回転軸回りに回転させるとともに当該回転に同期させて前記ネジ測定装置に対して前記ワークを前記リード方向に前記リード幅に基づいた量で相対的に移動させ、前記ネジの有効径と前記ネジ溝のリード幅とを連続的に測定する、
ネジ測定方法。
【請求項6】
所定の回転軸回りに回転可能に保持したワークの少なくとも一部の円筒面に形成されたネジ部に対して、前記回転軸に交差する方向から前記ネジ部を挟み込むように対向配置され、互いに対向している方向に付勢された一対の測定子と、
前記一対の測定子の各々を前記回転軸方向であるリード方向に往復移動自在に保持する各々のフローティング手段と、
対向配置された一対の測定子の各々における対向方向の位置を検出可能な各々の径側位置検出手段と、
前記フローティング手段にて移動した各々の測定子における前記リード方向の位置を検出可能な各々のリード側位置検出手段と、
前記測定子の各々と前記フローティング手段の各々と前記径側位置検出手段の各々と前記リード側位置検出手段の各々とを保持する保持手段と、
前記保持手段を前記回転軸に交差する方向に移動可能な検出体移動手段とを備えたネジ測定装置と、
前記ネジ部のネジ溝を仕上げ研削する加工工具と、
前記ワークを保持して前記回転軸回りに回転可能なワーク回転手段と、
前記ネジ測定装置及び前記加工工具に対して前記ワークを前記リード方向に相対的に移動可能なリード方向移動手段と、
前記加工工具に対して前記ワークを前記径方向に相対的に移動可能な径方向移動手段と、
制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記検出体移動手段を用いて、前記一対の測定子にて前記ワークの前記ネジ部を挟み込むまで前記ネジ測定装置を移動させ、
少なくとも前記測定子の各々が前記ネジ部のネジ溝に入るまで前記ワークを前記回転軸回りに回転させ、
前記各々の径側位置検出手段からの検出信号に基づいて、各々の測定子における前記対向方向の位置を測定し、測定した各々の測定子の前記径方向の位置に基づいて、前記ネジの有効径を測定し、
前記各々のリード側位置検出手段からの検出信号に基づいて、各々の測定子における前記リード方向の位置を測定し、測定した各々の測定子の前記リード方向の位置に基づいて、前記ネジ溝のリード幅を測定し、
更に、少なくとも一方の測定子の前記リード方向の位置に基づいて前記加工工具と対向する前記ネジ溝のリード方向の位置を求め、求めたリード方向の位置を前記ネジ溝の仕上げ研削の開始位置として、前記リード方向移動手段と前記径方向移動手段を用いて前記ワークのネジ溝に対して前記加工工具を位置決めし、
前記一対の測定子を前記ネジ部のネジ溝に入れた状態で、前記ワークを前記回転軸回りに回転させるとともに当該回転に同期させて前記ネジ測定装置に対して前記ワークを前記リード方向に前記リード幅に基づいた量で相対的に移動させて前記加工工具を用いて前記ネジ溝を仕上げ研削しながら、前記ネジの有効径と前記ネジ溝のリード幅とを連続的に測定する、
ネジ測定装置を備えた工作機械。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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