説明

ネットワークのリンク増設箇所またはリンク容量増設箇所特定方法

【課題】単一リンク障害時の迂回トラヒックを考慮し、品質の安定性の観点から、適切なリンク増設・リンク容量増設箇所を求めることを可能にする。
【解決手段】ネットワークのトポロジとリンク容量とがNW条件入力装置101に与えられたときに、この情報を受け取り、ネットワーク構造分析装置102が投資コストを抑えながら、ネットワークの障害時の接続性と安定性を効率性に向上させるために、適切なリンク増設箇所とリンク容量増設箇所を絞り込む。絞り込まれたリンク増設箇所情報をリンク増設・リンク容量増設箇所出力装置103から出力する。ネットワーク分析装置102は、単一リンク障害時にフローのホップ長が最も増加する場所は最大最短閉路(任意の二つのノードを含む経路で経路コストが最小のものを最短閉路と定義し、最短閉路の中でホップ長が最大のものを最大最短閉路と定義)であることから、最大最短閉路のホップ長が小さくなるようにバイパスリンクを設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トポロジとリンク容量が与えられたネットワークを対象として、投資コストを抑えながら効果的に信頼性を向上させるように、リンク増設を行う際に、過剰増設とならないよう、リンク増設箇所またはリンク容量増設箇所を特定する方法に関し、特に、特定方法として、単一のリンク故障時に最大最短閉路のホップ長が小さくなるようにバイパスリンクを増設する手法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子メール、Webアクセス、ファイル交換などの利用が主であったインターネットには、近年、電話サービスのマイグレーションが急速に進みつつある。日常的に利用される機会は今後ますます増加していくことが予想され、社会インフラ化に伴って信頼性に対する要求はますます増大している。
特に、バックボーンは大量のトラヒックを中継する役目を担っており、特に高い信頼性が求められる。ファイバ切断や光伝送装置の故障、ルータの設定ミスやソフトウェアのバグ、処理装置の過剰負荷といった様々な要因で、インターネットでは日常的に様々なリンクやルータで障害が発生することを前提とし、障害発生時にもノード間の接続性を維持し、サービスを継続する堅牢性が求められている。
【0003】
インターネットの単一AS(自律システム)内では、ルーティングプロトコルとしてOSPF(Open Shortest Path First)が用いられているが、障害発生時、ルータは障害発生箇所を避けるようにフロー(発着ノード間を流れるパケットの集合と定義)の迂回経路を自律的に設定する。そのため、障害発生時にも高い接続性を維持することができる反面、フローの経路が迂回される結果、フローのホップ長が大きく増加する可能性や、迂回フローが特定のリンクに集中し負荷が大はく増加する可能性がある。
このことは、パケット転送時間の増大、フローのスループット低下を意味するため、音声や動画といった即時性の高いサービスの品質劣化を招く。そのため、ネットワーク(NW)の信頼性を議論する際には、接続性の維持の観点だけでは不十分であり、フロー長やリンク負荷の安定性の維持の観点からも評価することが重要である。
【0004】
障害時の接続性と安定性を向上させる最も単易な方法は、大容量のリンクを数多く敷設することであるが、設備投資コストと管理・運営コストが増大する。ISP(インターネットサービスプロバイダ)が競争力を保つためには、信頼性の高いサービスを低料金でユーザに提供することが重要であり、限られた投資コストで効果的に信頼性を向上させる必要がある。
一つの方法は、静的な交流トラヒック行列に対して障害発生時の迂回を考慮した上で総コストが最小化するように網トポロジとリンク容量を設計することである。しかし、交流量を精度よく推定することは容易でなく、またトラヒック量は日々変化するため、時間の経過に伴って最適性が低下する。そのため、ISPにとっての現実的な方法は、長期的な交流需要行列の変化に応じて、既に保有するNWに対し部分的にリンクを設置し、リンク容量を増設することである。そのためには、障害発生時に接続性や安定性を低下させる主な要因を分析し、設備増設箇所を効果的に絞り込む必要がある。
以上の技術については、上山憲昭,吉野秀明“リンク障害時の迂回トラヒックを考慮した網トポロジ設計”信学技報,IN2007−89.(非特許文献1)を参照されたい。
【0005】
【非特許文献1】上山憲昭,吉野秀明“リンク障害時の迂回トラヒックを考慮した網トポロジ設計”信学技報,IN2007−89.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リンクの重要度を図る尺度としてBetweenessがよく知られている。ノードiからノードjの間の最短コスト経路数をσijとし、そのうちリンクlを通るものの本数をσij(l)とすると、リンクIのBetweenessはΣijσij(l)/σij/n/(n−1)で定義される。ただし、nはノード数である。Betweenessが大きなリンクほど、SLF時に影響を受け、経路が迂回されるフロー数が多くなる。そのため、BetweenessはSLF(スランプフロー値)時の迂回フロー数の大小を測る尺度として用いることができるが、経路の迂回に関しては何等考慮されておらず、SLF時の接続性や品質の安定性を図る尺度として用いることはできない。
【0007】
各リンクの接続性に関する重要度を評価する方法として、Reliability Polynomial(RP)(信頼多項式)が知られている。これは、障害発生確率が全リンクで同一であると仮定し、各リンクに対して、SLF時に任意に定めたK個(全ノード数nでもよい)のノード間の接続性が維持される確率として定義される。そして、任意の2本のリンクに対してNW全体の接続性に関する相対的な重要度の大小関係をRPにより評価する。RPが接続性に関する重要度を任意に選んだ2本のリンクの相対的な大小関係として評価するのに対して、各リンクに対して、そのリンクを除去することで減少するSpanning Tree(データがループを循環し続けることを防止する制御手法)の本数を算出することで、個々のリンクに接続性に関する重要度を表す尺度を直接定義する方法も存在する。
【0008】
すなわち、Spanning Treeを構成するリンクが消失すると接続性が失われるノードが発生するため、構成するSpanning Treeの個数が多いリンクほど接続性に関して重要である。同様に、リンクコストとして任意の値が設定されている場合を対象に、個々のリンクに対して構成するMinimum Spanning Tree(MST)の個数で重要度を定義する方法もある。ところで、次数が1のノードが存在する場合、そのノードを発着とするフローは必ずそのノードに接続するリンクを通るため、Betweenessは大きくなるが、そのリンクはNW全体の接続性に対しては大きな貢献を果していない。
【0009】
このようなバイアスを排除するため、各リンクに対して最小コストの経路が通るノードペア集合をTraversal setとして定義し、さらにそのようなノードペアのうち少なくとも一方のノードを除去するために除去する必要のあるノード数でリンクの重要度を評価する方法もある。これらの方法を用いることで、障害時の接続性の観点からNWの信頼性に対する各リンクの重要度を測ることが可能である。しかし、障害時のフロー長やリンク負荷の増大といった品質の安定性の観点からは重要度を測ることができない。
【0010】
(目的)
本発明の目的は、このような従来の課題を解決し、単一リンク障害時の迂回トラヒックを考慮し、品質の安定性の観点から、適切なリンク増設・リンク容量増設箇所を求めることが可能なネットワークの増設箇所特定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のネットワークの増設箇所特定方法は、ネットワークのトポロジとリンク容量とが与えられたときに、投資コストを抑えながら、ネットワークの障害時の接続性と安定性を効率性に向上させるために、適切なリンク増設箇所とリンク容量増設箇所を絞り込む方法である。
また、単一リンク障害時にフローのホップ長が最も増加する場所は最大最短閉路(任意の二つのノードを含む経路で経路コストが最小のものを最短閉路と定義し、最短閉路の中でホップ長が最大のものを最大最短閉路と定義)であることから、最大最短閉路のホップ長が小さくなるようにバイパスリンクを設置する方法である。
【0012】
また、単一リンク障害時にリンクの負荷が最も増加する場所は、容量格差の大きなリンクから構成される複数のハブノードを含むか、ホップ長の長い最短閉路上の小容量リンクであることから、容量格差の大きな最短閉路が存在するかを調べ、存在する場合には、その小容量リンクの容量を増設する方法である。
さらに、単一リンク障害時にボトルネックリンク容量が大きく悪化するフローは、容量格差の大きい最短閉路上の小容量リンクを経由するフローであることから、やはり容量格差の大きな最短閉路上の小容量リンクの容量を増設する方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ネットワークのトポロジとリンク容量が与えられているときに、単一リンク障害時において、フローのホップ長の増加、リンクの負荷の増加、フローのボトルネックリンク容量の減少、の三つを効果的に抑えるためのリンク増設・リンク容量の増設箇所を絞り込むことができる、という効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の網トポロジ・リンク容量設計方法の実施の形態に係るシステム構成図である。
図1において、101はトポロジ情報とリンク容量情報(ネットワーク条件)を入力するNW条件入力装置、102は入力装置101から情報を受取り、ネットワーク構造の分析を実行するネットワーク構造分析装置、103はネットワーク構造分析装置102から情報を受取り、リンク増設・リンク容量増設箇所を特定して、それを出力するリンク増設・リンク容量増設箇所出力装置である。
【0015】
まず、NW条件入力装置101により、ネットワークのトポロジとリンク容量が入力される。ネットワーク構造分析装置102により、効果的なリンク増設箇所・リンク容量増設箇所が特定される。そして、得られた増設箇所が、リンク増設・リンク容量増設箇所出力装置103によって出力される。
【0016】
次に、本発明の実施の形態に係るネットワークの効果的な信頼性向上のためのネットワークの増設箇所特定方法について、図面により詳細に説明する。
【0017】
(1)ネットワークの分類と構造分析
本発明における評価には、CAIDAのWebページでトポロジとリンク容量が公開されている39の商用ISPのバックボーンNWを用いる。ただし、Cable InternetとRISQ(Review of International Social Questions)Networkはトポロジが単一のSpanning Treeであり、任意のSLF時に障害フローの迂回が全くできないことから、評価には用いない。
また、Unilat Inc.は全体が4つと2つのノードの集合に分断されているため、やはり評価には用いない。また、PSINet,Qwest,Telstra Internet,UUNETにおいて、各々、3,2,6,2個のノードが孤立しているため、これらのノードは除外する。
【0018】
図14は、評価に用いた36のNWの性能をまとめた図である。
これは、36のNWについて、名称(Name)、ノード数(n)、(双方向)リンク数(m)、ノード次数の平均と最大値(Av,Max)、リンク容量の最小値と最大値(Min,Max)をまとめたものである。
【0019】
図2は、評価に用いた36のNWの平均ノード次数と最大ノード次数の散布図である。
図2により、NWを下記1)〜3)の3つのグループに分類する。
1)Full mesh・・・各ノードがほとんど他の全てのノードと接続しているトポロジで、平均次数と最大次数の差が小さく、平均次数が大きい。平均次数をE(d),最大次数をMax(d)とすると、ここではE(d)≧Max(d)−1を満たすNWと定義する。2つのNW(ノード次数6および8)が該当する。
【0020】
2)H&S・・・次数の高いノード(ハブノード)が存在し最大次数が大きい。ハブ&スポーク型と呼ばれるトポロジ構造であり、航空路線のトポロジが本形態となることが知られている。ハブノードを経由して多数のノードに到達することができるため、フローはホップ長が短くなる特徴がある反面、ハブノードに多数のフローが経由するため、負荷がハブノードに集中し易い。ここでは、max(d)≧10,E(d)<Max(d)−1を満たすNWと定義する。12のNWが該当する。
【0021】
3)Ladder・・・高次数ノードが存在せず、ループを組み合わせたトポロジ構造となる。平均次数と最大次数が共に小さい。リンク総延長を抑えられる反面、遠方のノードに到達するためには、多数のノードを経由する必要があり、フローのホップ長が長くなる傾向がある。高速道路網が本形態となることが知られている。ここでは、Max(d)<10,E(d)<Max(d)−1を満たすNWと定義する。22のNWが該当する。
【0022】
図3は、各々の種別に属するNWの例を示す図である。
これら3つのNWは、全て米国のISPであるが、種別ごとに大きく形態が異なることが確認される。図3(a)のFull meshは、各ノード毎に網目のように接続されている。横軸は順位をノード数nで除した値である。図3(b)のH&Sは、リンク数は多くはないが、次数の高いノードであるハブノードが多く存在している。図3(c)のLadderは、高次数ノードが少なく、リンク数もそれほど多くない。
【0023】
図4は、H&S型ネットワークの特性を示す図である。
H&S型のNWは、次数の大きく異なるノードから構成されているため、ノードの接続構造を考察する。図4(a)には、H&S型の12のNWの各々に対して、次数の大きな順に正規化ノード次数(ノード次数を最大次数で除した値)をプロットする。横軸は、順位をノード数nで除した値である。NW16,29を除く他の10のH&S型NWでは、全て全体の5%〜20%程度の少数のノードが高次数である。
【0024】
次に、ハブノードが相互に接続されている度合いを調べるため、図4(b)に、RCC(rich club connectivity)をプロットする。RCCは、ノードを次数の大きな順に並べたときの上位ρ個のノード間に存在するリンク数を、可能な総数ρ(ρ−1)/2で除した値で定義され、図ではρをnで正規化した値に対してプロットしている。RCCも正規化ノード次数と同様の傾向を示しており、高次数ノードのRCCは高く、多くの高次数ノード間にはリンクが設置されている。
【0025】
高次数ノード間に設置されたリンクには多数のフローが経由することから、そのような場所には大容量リンクが設置されることが予想される。リンク容量が均一なNW13を除いた11のNWを対象に、各リンクの正規化リンク容量(リンク容量を最大リンク容量で除した値)を正規化ノード次数積に対して図4(c)にプロットする。正規化ノード次数積を、各リンクの両端のノードの次数の積を、各NWにおける次数積の最大値で除した値で定義する。次数の高いノード間に設置されたリンクほど、正規化ノード次数積が大きくなるが、予想に反して、リンク容量とノード次数積との間には明確な正の相関は見られない。
【0026】
(2)正常時のフローとリンク負荷特性
障害が発生していない正常時の、フローホップ長、フローのボトルネット(BN)容量、リンク負荷について考察する。これら特性は、フローの経路設定法に依存するが、本発明においては、OSPF(Open Shortest Path First)を想定し、リンクコストとして、シスコ社の推将するリンク容量の逆数に設定する場合(inv.cap)と、全リンクで同一の値を設定する場合(min.hop)の二つを考える。ある発着ノード間に同じコストの経路が複数存在する場合には、全ての最小コスト経路にトラヒックが均一に分散されると仮定する。
【0027】
各NWに対して、平均フロー長hを次式で定義する。
【0028】
【数1】

ただし、Vはノード集合、hsdはノードsとdの間のフロー(フローsdと表記)の平均フロー長、σsdはフローsdの本数、Fsdはフローsdの集合、hsd,fはsd間のフローfのホップ長である。
【0029】
図5は、正常時のフロー特性を示す図である。
図5(a)には、36の各NWに対して、inv.capにおけるhをmin.hopにおけるhに対してプロットする。min.hopでは最短ホップ経路が設定されるため、inv.capはmin.hopよりhが増加し、全てのNWは直線y=x上か右下の領域に存在する。特に、NW2,4,8,15,26のhが大きいが、これらは全てLadder型である。Ladder型NWにはハブノードが存在せず、遠方のノードに到達するためには多数のノードを経由する必要があり、hが大きくなる傾向がある。
【0030】
11のH&S型NW、1つのFull mesh型NW、22のLadder型NWはリンク容量が不均一である。これら24のNWでは、フローが小容量リンクを経由する可能性がある。フローのスループットは経由リンクの最小容量(BN容量と表記)で抑えられるため、フローのBN容量が重要な性能指標となる。
そこで、図5(b)に、24のNWに対して、inv.capにおける平均正規化BN容量ζをmin.hopにおけるζに対してプロットする。ただし、NWごとに、フローのBN容量の平均値zを平均リンク容量cで除したものをζと定義し、
【0031】
【数2】

【0032】
【数3】

とする。zsdはフローsdのBN容量、Psd,fはsd間のフローfの経路、cはリンクlの容量である。平均正規化BN容量ζが大きなほどNWの資源を有効に活用できていることを意味するが、inv.capが良好な特性を示している。また、H&S型NWは他の種別と比較してBN容量が小い傾向が見られる。これはハブノード間に設置されたリンクの一部は図4(c)で見たように小容量リンクであるが、ハブノードを経由することで短いホップ数で多数のノードに到達できるため、多くのフローが経由する結果、BNとなるためである。例えば、NW5の場合、154本のリンクのうち31本が2.333Gbps、27本が155Mbps、96本が45Mbpsであるが、二つのハブノード、シカゴ(次数16)とダラス(次数15)間に設置されたリンクの容量は45Mbpsと小さい。そのため、例えばシアトル・アトランタ間のmin.hopにおける経由はシアトル−シカゴ−ダラス−アトランタとなるが、シカゴ−ダラス間のリンク容量がBNとなっている。
【0033】
次に、正常時に各リンクを経由するフロー数について考慮する。リンクlの平均フロー数υをBetweenessと同様、
【0034】
【数4】

と定義し、各NWに対して平均フロー数υと最大フロー数υmaxを、m本の全リンクにわたるυの相加平均と最大値により求める。
【0035】
図6は、正常時のリンク負荷特性を示す図である。
図6(a)に、inv.capとmin.hopにおけるυmaxをυで除した値の散布図を36のNWに対してプロットする。殆んどのNWは直線y=xの右下の領域に存在し、inv.capを用いることで大容量リンクにフローが集中し、各リンクを経由するフロー数の格差が拡大することが確認できる。リンク容量の格差が大きく迂回経路を見つけ易いH&S型のNWで、特にこの傾向が強い。
【0036】
また、図6(b)に、リンク容量が不均一な24の各NWに対して、リンク容量cとフロー数υとの間の相関係数を、inv.capとmin.hopの各々の場合について散布図としてプロットする。NWによって、cとυとの間の相関係数のばらつきが大きく、NW種別による明確な傾向が見られない。
inv.capを用いることでリンク容量の大きなリンクにフローが集中し、cとυとの間の相関性が向上すること、リンク容量の有効な活用の観点からはinv.capを用いることが望ましいこと、がそれぞれ確認できる。
【0037】
また、図6(c)(d)に、inv.capとmin.hopにおける,24のNWの各リンクに対して、正規化リンク容量(cを各NWの最大リンク容量cmaxで除した値)と正規化フロー数(υをvmaxで除した値)間の散布図を各々示す。inv.capを用いることで、リンク容量の小さいリンクを経由するフロー数が抑えられることが確認できる。
【0038】
(3)接続性に関する評価
SLF時の接続性喪失率Pdcを、一つ以上のSLF発生パタンにおいて接続性が失われるフローの割合と定義する。すなわち、xsd,lをリンクlのSLF時にフローsdの接続性が維持される場合に1、損なわれる場合に0をとる2値変数と定義すると、
【0039】
【数5】

である。次数dが1のノードを発着とするフローは、そのノードが接続するリンクの障害時に必ず接続性が失われる。
【0040】
図7は、次数1のノード数比率を示す図である。
図7(a)に、次数1のノード数のnに対する割合をnに対してプロットする。ただし、NW11,18(Full mesh型)とNW7,17(Ladder型)は、次数1のノードが存在しないため、省いている。次数1のノード割合はNWによって大きく異なり、nやNW種別による明確な傾向は見られない。
【0041】
また、図7(b)には、NWごとに次数1ノード数比率に対して、Pdcをプロットする。
これら二つの尺度間には正の相関が見られ、SLF時に接続性が失われるフローの大部分は次数1のノードを発着とするものであることが予想される。ただし、次数1ノードに接続するリンクのSLF時、影響を受けるフローはそのノードを発着とするフローに限定され、NW全体の信頼性に与える影響は小さい。そこで、Pdcから次数1ノードに起因するものを除いたSLF時の接続性喪失率Pdc’を算出したところ、23のNWでPdc’が0.05を超えたのはNW2,12,15,20のLadder型の4つのNWのみであった。これら4つのNWのトポロジ形状を調べたところ、NW2は82ノード中17ノードが1本のリンクによって他の部分に接続しており、NW12,15は1本のリンクのSLFにより、NW全体が二つに分断される形状であり、NW20は15ノード中3ノードが1本のリンクによって他の部分に接続している。
よって、これら4つのNWにおいては、SLFに対して脆弱なアキレス腱となるリンクが存在するが、他の32のNWにはそのようなリンクは存在せず、接続性については堅牢であると言える。以後、SLF時の安定性に関する性能指標を算出する際には、接続性が喪失したフローについては全て除いて考える。
【0042】
(4)フロー長の増加に関する分析
図8は、各フローやリンクに影響を与える障害パタン数比率を示す図である。
ホップ数がyのフローがSLF時に影響を受ける障害発生パタン数の全リンク数mに対する割合をR(y)とすると、R(y)=y/mであるので、NW全体で各フローが平均的に影響を受ける障害発生パタン数のmに対する比率Rは、
【0043】
【数6】

より算出できる。
図8(a)には、36のNWに対して、inv.capにおけるRとmin.hop
におけるRの散布図を示す。inv.capを用いると、min.hopと比較してフローの平均ホップ長が増加するため、Rは若干大きくなる。また、Ladder型のNWはフローのホップ長が長くなる傾向があるため、Rが大きい。殆んどのNWはRが0.15程度より小さいため、SLF時の平均的なフロー長増加特性を評価するに際し、各フローに対して影響を受けるリンク障害パタンのみを考慮する。すなわち、SLF時のフローsdの平均フロー長h’sdを、
【0044】
【数7】

で定義する。ただし、msdはSLF時にフローsdが影響を受けるリンク数、Esdはそのリンク集合、hsd,lはリンクlのSLF時のノードs,d間のフローの平均ホップ長、σsd,lはリンクlのSLF時にノードs,d間に設置されるフロー数、Fsd,lはそのフロー集合、hsd,l,fはFsd,lに属するフローfのホップ長である。そして、SLF時の平均フロー長倍率ξを、ξ=Σsd∈Vh’sd/hsd/n/(n−1)で算出する。また、SLF時の最大フロ長倍率ξmaxを、
【0045】
【数8】

で定義する。ただし、hmin,sdは正常時にノードs,d間に設置されるフローの最小ホップ長である。
【0046】
図9は、SLF時のフロー長増加率を示す図である。
図9では、36のNWを対象にξmaxとξの散布図を、(a)inv.capと(b)min.hopの各々について示している。min.hopとinv.capとでは大きな差異は見られない。Ladder型NWは全体的にフロー長が長いため、SLF時の増加の度合いも大きくなる傾向が見られる。特に、5つのNWはξmaxが突出して大きいが、これらは正常時の平均フロー長が大きい5つのNWである(図5(a)参照)。
次に、これらのNWで、ξmaxが大きな要因を考察する。
【0047】
正常時のトポロジにおいて、任意のノードAから出発して同じリンクを逆方向も含めて2回以上経由することなく、任意の他のノードBを経由し、さらに元のノードAに戻ることのできる経路の中で、最小コストのものをノードAとBの最短閉路と定義する。最短経路の存在しない二つのノード間フローは、どのように経路を設定しても必ず経由する必要のあるリンクが存在することになり、そのリンクのSLF時には接続性が失われるため、SLF時の安定性の評価の対象外となる。従って、最短閉路が存在するノードペアについてのみ考える。
【0048】
ノードA,Bの最短閉路上にはリンクを共有しない二つの経路がAとBの間に存在するが、そのうちコストの小さい方がAB間の最小コスト経路となり、もう一方が、次にコストの小さい経路となる。そのため、正常時には最短閉路上のコストの小さい経路が用いられ、この経路上のリンクのSLF時には最短閉路上のもう一方の経路にフローが迂回される。そのため、最短閉路上の迂回経路のホップ数を正常時経路のホップ数で除したものがAB間のフロー長倍率となる。よって、各NWにおいて、隣接する二つのノードに対して定義される最短閉路の中でホップ数が最大のものを最大最短閉路と定義すると、最大最短閉路を導く二つの隣接ノード間のリンクのSLF時に、これら二つのノード間のフローのフロー長倍率がξmaxを与え、最大最短閉路のホップ数をθとすると、ξmax=θ−1となる。
【0049】
図10は、At Home networkのトポロジを示す図である。
図10では、ξmaxが突出して大きかった5つのNWの例として、NW4のトポロジを示している。このNWには、θ=14の最大最短閉路が2つ存在し、隣接ノードペア7,9などの最短閉路(7−9−15−18−21−39−40−41−36−38−14−12−10−8−7)と、隣接ノードペア33,34などの最短閉路(18−20−28−29−30−31−32−33−34−35−37−40−39−21−18)が該当する。例えば、ノード7,9間のリンクのSLF時、これらのノード間のフローのホップ長が1から13に増加し、ξmax=13となる。
【0050】
ξmaxの大きなNWはξも大きな傾向があり、ξmaxの突出して大きな5つのNWのうちNW26を除く4つは、1.8を超えていた。また、NW11,17,18,20,21の5つのNWは、ξmaxは小さいもののξが大きい。このうち、NW11と18はFull mesh型であり、正常時には殆んどのノード間のフローが1ホップであるのに対して、SLF時には影響を受けたフローが2ホップとなり、ξが2に近くなる。また、NW17,20,21はループトポロジに近く、θの総リンク数mに対する比率が大きく、多数のフローのフロー長倍率が大きくなる結果、ξが大きい。
【0051】
(5)リンク負荷の増加に関する分析
各リンクを経由するフロー数が正常時のフロー数と比較して、増加するSLFのパタン数の全リンクにわたる平均を、リンク数mで除した値をRと定義する。図8(b)に36のNWに対して、inv.capにおけるRの散布図を示す。inv.capを用いると、特定のリンクにフローが集中するため、多くのリンクに対しては障害時にフローが迂回されず、min.hopと比較してRが小さい。
【0052】
殆んどのNWは、Rが0.5程度より小さいため、SLF時の平均的な経由フロー数増加特性を評価するに際し、やはり各リンクの経由フロー数が増加するリンク障害パタンのみを考慮する。SLF時のリンクの平均経由フロー数倍率εを次式で定義する。
【0053】
【数9】

ただし、εはSLFにおけるリンクlの平均フロー数倍率、υ’l,eはリンクeのSLF時におけるリンクlのフロー数(算出方法は(4)に順じる)。mε,lはυ’l,e>υとなるSLFパタン数、Eε,lはそのSLFリンク集合、mεはmε,l>0のリンク数、Eはそのリンク集合である。また、SLF時の最大フロー数倍率εmaxを次式で定義する。
【0054】
【数10】

ただし、εεmaxの算出において、υ=0のリンクはυ=1と置換える。
【0055】
図11は、SLF時のフロー数増加率を示す図である。
図11では、36のNWを対象にεmaxとεの散布図を、(a)inv.capと(b)min.hopの各々について示している。min.hopを用いると、リンク間で経由フロ−数の格差が大きいため、SLF時のフロー数倍率も高くなる。
リンクごとにSLF時のフロー数倍率の格差が大きく、εの大きなリンクが存在するNWはεも大きい。inv.capの場合、8つのNWで特にこれらの値が大きいが、その要因を考察する。
【0056】
SLF時のフロー数倍率が高いリンクは正常時に経由するフロー数が少なく、かつSLF時に大量のフローが迂回される障害パタンが存在するリンクである。そのようなリンクは、(イ)二つ以上のハブノードを含む最短閉路、(ロ)ホップ数の長い最短閉路、のいずれかに存在すると考えられる。そのような最短閉路を構成するリンクの容量の格差が大きく一部のリンク容量が極端に小さい場合、小容量リンクの両端のノードA,B間のフローはinv.capにおいては、正常時にはそのリンクを用いず、最短閉路上を周回する経由を用いる。このようなリンクは、正常時には経由するフロー数がゼロとなるが、最短閉路上に存在する少なくとも一方がA,Bとは異なる2個のノードのうち、やはり同一の最短閉路を構成するものの間の任意のリンクのSLF時には、大量のフローがA,B間を接続するリンクに迂回される結果、フロー数倍率が高くなる。
【0057】
図12は、above.netのトポロジを示す図である。
図12では、εの大きいNWの例として、NW1のトポロジを示している。
ノードペア0,1および1,2の最短閉路は(0−1−2−0)であるが、リンク(0,1)と(0,2)の容量が622Mbpsであるのに対して、リンク(1,2)の容量155Mbpsである。そのため、正常時、ノード1,2間のフローも含め、リンク(1,2)には全くフローが経由しないが、二つのハブノード0と1の間のリンクのSLF時、大量のフローが(0−2−1)の経路に迂回される結果、リンク(1,2)のフロー数倍率が高くなる。
【0058】
最短閉路長が短い場合に、単一のリンクを通るコストが最短閉路上を周回するコストより大きくなり易いため、εが大きなリンクは3本のリンクから構成される最短閉路において生じ易い。実際、εmaxの大きな8つのNWのうち、NW1,3,5,33は2つ以上のハブノードを含み、リンク容量格差の大きな3本のリンクから構成される最短閉路において、εが最大となった。また、NW8,23,26は、各々、6,5,6ホップの最短閉路上においてεが最大となった。ただし、NW2は17のノードが1本のリンクで接続する特殊な形状となっており、例外的に、接続点からNWの他の部分に接続する容量の異なる2本のリンクでεが最大となった。
【0059】
このように、容量格差の大きいリンクで最短閉路を構成した場合、SLF時に一部のリンクで経由フロー数が非常に増加する場合がある。特に、リンク容量の小さなリンクで、フロー数倍率が高くなる場合、SLF時にリンク輻輳を生じる要因となる。
【0060】
図13は、SLF時の正規化平均迂回フロー数を示す図である。
上記段落〔0059〕に記載したことを確認するため、各リンクのSLF時の平均迂回フロー数を最大迂回フロー数で正規化した値ψを、正規化リンク容量に対して図13にプロットする。ただし、リンク容量が不均一な24のNWの各リンクに対して、(a)inv.cap、(b)min.hopの場合について示している。
ψは、次式で定義する。
【0061】
【数11】

ただし、ψはSLFにおけるリンクlの平均フロー数倍率、υ’l,eはリンクeのSLF時におけるリンクlのフロー数(算出方法は(4)に順じる)。mψ,lはυl,e>0のSLFパタン数、Eψ,lはそのSLFリンク集合、mψはmψ,l>0のリンク数、Eψはそのリンク集合である。最大リンク容量の0.1〜0.01倍を下回る小容量リンクの多くに、最大迂回フロー数に近い大量のフローが迂回されることが確認できる。
【0062】
(6)フローのBN容量の低下に関する分析
SLF時のフローのBN容量最大低下倍率ηを、次式で定義する。
【0063】
【数12】

ただし、z’sd,eは、フローsdのリンクeのSLF時のBN容量である。
inv.capにおいて、リンク容量の不均一な24のNWを対象にBN容量最大低下倍率ηを算出したところ、8つのNWでη=1であり、7つのNWで0.25〜0.4であり、5つのNWで0.05〜0.1であり、NW5,26,31,33の4つのNWで0.02未満となった。η<0.02の4つのNWについてBN容量低下倍率が最大となったフローを調べたところ、NW5,26,33では平均フロー数倍率εが最大となったリンクを経由するフローであった。
【0064】
また、NW31においても、容量格差の大きなリンクで構成される最短閉路において、容量の小さなリンクのSLF時にこのリンクを経由するフローのBN容量低下倍率が最大となった。以上のことから、やはり容量格差の大きなリンクで構成されたハブノードを含むか、ホップの長い最短閉路を有するNWにおいて、SLF時のフローのBN容量低下倍率が大きくなることが確認できる。
【0065】
(7)分析のまとめと設計指針
公開されている36の商用ISPのバックボーンNWを対象に、単一リンク障害(SLF)に対する信頼性を接続性と品質の安定性の観点から評価し、信頼性が劣化する要因について分析した結果、以下のことが明らかとなった。
イ)SLFによりNWが分断されるリンクを有するNWは4つのみであり、大部分のNWは接続性の観点からは堅牢である。
ロ)SLF時のフロー長の最大増加量は、最大最短閉路によって決まり、最大最短閉路長が長いLadder型のNWがSLF時のフロー長の増加度合いが高くなる傾向がある。
ハ)容量格差の大きなリンクから構成される,2個以上のハブノードを含むか、ホップ長の長い最短閉路上の小容量リンクが、SLF時に経由するフロー数の増加度合いが大きい。ハブノードを多く含むH&S型のNWにおいて、SLF時のリンクのフロー数増加度合いが高くなる傾向がある。
ニ)容量格差の大きい最短閉路上の小容量リンクを経由するフローのBN容量がSLF時に大きく低下する傾向にある。
【0066】
以上のことから、H&S型のNWにおいては容量格差の大きな最短閉路が存在するか調べ、存在する場合には最短閉路上の小容量リンクの容量を増設することが、またLadder型のNWにおいてはホップ長が大きな最大最短閉路が存在するか調べ、存在する場合には、最大最短閉路のホップ長が小さくなるよう、バイパスリンクを設置することが、ISPにとって投資コストを抑えながら信頼性を効果的に向上させるために有効である。
【0067】
図15は、本発明のリンク増設箇所またはリンク容量増設箇所特定処理の動作フローチャートである。
本発明では、ネットワーク構造分析装置102のコンピュータにおけるプログラムの動作により、リンク増設またはリンク容量増設の箇所が絞られ、バイパスリンクの設置またはリンクの容量の増設の指示を出力装置から出力される。
コンピュータは、ステップ202〜204の3つの手順のうちの1つないし3つを実施して、リンク増設またはリンク容量増設の箇所を絞る。1つ目は、フローのホップ長が最も増加する場所は最大最短閉路(任意の二つのノードを含む経路で経路コストが最小のものの中で、ホップ長が最大のもの)であることから、最大最短閉路が存在するか否かを判別する(ステップ202)。存在すると判別されれば、その経路のホップ長を小さくするため、バイパスリンクを設置するか、または、小容量リンクの容量を増設する指示情報を出力する(ステップ206)。
【0068】
2つ目は、ボトルネットリンク容量が大きく悪化するフローとして、最大最短閉路で、容量格差の大きい経路上の小容量リンクを経由するフローがあるか否かを判別する(ステップ203)。あると判別されれば、その経路上の小容量リンクの容量を増設する指示情報を出力する(ステップ207)。
3つ目は、容量格差の大きなリンクからなる複数のハブノード、または、ホップ長の長い経路上の小容量リンクを含むか否かを判別する(ステップ204)。含むと判別されれば、それら複数のハブノード間のリンクの増設、または、小容量リンクの容量リンクの容量を増設する指示情報を出力する(ステップ208)。
【0069】
このようにして、本発明によれば、ネットワークのトポロジとリンク容量が入力されたとき、コンピュータの制御により、投資コストを抑えながら、ネットワークの障害時の接続性と安定性を効率的に向上させるため、適切なリンク増設箇所とリンク容量増設箇所を絞り込むことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態に係るシステム構成図である。
【図2】平均次数と最大次数の散布図である。
【図3】ネットワークトポロジの例を示す図である。
【図4】H&S型ネットワークの特性を示す図である。
【図5】正常時のフロー特性を示す図である。
【図6】正常時のリンク負荷特性を示す図である。
【図7】次数1のノード数比率を示す図である。
【図8】各フローやリンクに影響を与える障害パタン数比率を示す図である。
【図9】SLF時のフロー長増加率を示す図である。
【図10】At Home networkのトポロジを示す図である。
【図11】SLF時のフロー数増加率を示す図である。
【図12】above.netのトポロジを示す図である。
【図13】SLF時の正規化平均迂回フロー数を示す図である。
【図14】36のISPバックボーンネットワークの基本特性を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態に係るリンク増設箇所またはリンク容量増設箇所特定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
101 NW条件入力装置
102 ネットワーク構造分析装置
103 リンク増設・リンク容量増設箇所出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークのトポロジとリンク容量の各情報をコンピュータに入力し、該コンピュータの制御により、投資コストを抑えながら、ネットワークの障害時の接続性と安定性を効率性に向上させるために、リンク増設箇所またはリンク容量増設箇所を絞り込む特定方法であって、
該コンピュータは、単一りンクの障害時にフローのホップ長が最も増加する場所として、任意の二つのノードを含む経路で経路コストが最小のものの中から、ホップ長が最大の経路を算出することで検出し、
該コンピュータは、検出された経路のホップ長が小さくなるように、該当ノード間にバイパスリンクを設置するか、あるいは、該当ノード間の小容量リンクの容量を増設するか、いずれかの指示情報を出力することを特徴とするネットワークのリンク増設箇所またはリンク容量増設箇所特定方法。
【請求項2】
前記コンピュータは、単一リンク障害時に、リンクの負荷が最も増加する場所として、任意の二つのノードを含む経路で経路コストが最小のものの中から、容量格差の大きなリンクから構成される複数のハブノードを含むか、あるいは、ホップ長の長い経路上の小容量リンクを含むかを、それぞれ算出することにより、判別し、
該コンピュータは、判別の結果、容量格差の大きなリンクからなるハブノード、あるいは、前記小容量リンクを含むことが判別された場合には、容量格差の大きなリンクからなる複数のハブノード間のリンク、あるいは、前記小容量リンクの容量を増設する指示情報を出力することを特徴とする請求項1に記載のネットワークのリンク増設箇所またはリンク容量増設箇所特定方法。
【請求項3】
前記コンピュータは、単一リンク障害時にボトルネックリンク容量が大きく悪化するフローとして、任意の二つのノードを含む経路で経路コストが最小のものの中から、ホップ長が最大の経路の中で、容量格差の大きい経路上の小容量リンクを経由するフローを算出することにより検出し、
該コンピュータは、検出された容量格差の大きな経路上の小容量リンクの容量を増設することを特徴とする請求項1に記載のネットワークのリンク増設箇所またはリンク容量増設箇所特定方法。
【請求項4】
前記コンピュータは、H&S型のネットワークに対して、任意の二つのノードを含む経路で経路コストが最小のものの中から、ホップ長が最大の経路の中で、容量格差の大きな経路が存在するかを、算出することにより判別し、判別の結果、存在する場合には、小容量リンクの容量を増設する指示情報を出力することを特徴とする請求項1に記載のネットワークのリンク増設箇所またはリンク容量増設箇所特定方法。
【請求項5】
前記コンピュータは、Ladder型のネットワークに対して、任意の二つのノードを含む経路で経路コストが最小のものの中から、ホップ長が最大の経路が存在するかを、算出することにより判別し、判別の結果、存在する場合には、該ホップ長が最大の経路のホップ長が小さくなるように、該当ノード間にバイパスリンクを設置する指示情報を出力することを特徴とする請求項1記載のネットワークのリンク増設箇所またはリンク容量増設箇所特定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−206718(P2009−206718A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45906(P2008−45906)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】