説明

ネットワークインターフェース装置

【課題】自身が搭載されている情報処理装置等の電源が切断されている場合であっても、ネットワーク監視用のリクエストに対応することがきるネットワークインターフェース装置を提供すること。
【解決手段】本ネットワークインターフェース装置100aは、当該ネットワークインターフェース装置に割り当てられているMACアドレスとIPアドレスを記憶する記憶部108と、このIPアドレスを割り当てられたネットワークインターフェース装置を対象とするネットワーク監視用のリクエストが受信された場合に、リクエストに対応する処理を実行する被監視制御部107と、本体装置の電源が切断されている間に少なくとも被監視制御手段に電源を供給する電源供給部109とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネットワーク接続機能を提供するネットワークインターフェース装置に関し、特に、自身が搭載されている情報処理装置等の電源が切断されている場合であっても、ネットワーク監視用のリクエストに対応することがきるネットワークインターフェース装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置が正しくネットワークに接続されているか否かを判定する手法として、ARP(Address Resolution Protocol)プロトコル(例えば、特許文献1参照)を利用する手法が知られている。
【0003】
ARPプロトコルとは、本来、IPアドレスをMACアドレスへ変換するために用いられるプロトコルであり、MACアドレスを知りたい情報処理装置等のIPアドレスを指定したARPリクエストがブロードキャストされると、そのIPアドレスをもつ情報処理装置等が、自身のMACアドレスを設定したAPRレスポンスを送信元に応答することになっている。
【0004】
このプロトコルを利用して、ある情報処理装置が正しくネットワークに接続されているか否かを判定するには、判定対象の情報処理装置のIPアドレスを設定したARPリクエストがブロードキャストする。これに対して、判定対象の情報処理装置のMACアドレスが設定されたARPレスポンスが応答されれば、判定対象の情報処理装置が正しくネットワークに接続されていると判定される。
【0005】
一方、判定対象の情報処理装置以外のMACアドレスが設定されたARPレスポンスが応答されたり、ARPレスポンスが応答されなかったりした場合は、判定対象の情報処理装置が正しくネットワークに接続されていないと判定される。
【0006】
【特許文献1】特開2001−244945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の判定方法は、判定対象の情報処理装置等が稼動状態であることを前提とするものであった。すなわち、判定対象の情報処理装置等が正しくネットワークに接続されている場合であっても、その情報処理装置等に電源が投入されていない場合には、ARPレスポンスが応答されず、その情報処理装置等が正しくネットワークに接続されていないと判定されてしまうという問題があった。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、自身が搭載されている情報処理装置等の電源が切断されている場合であっても、ネットワーク監視用のリクエストに対応することがきるネットワークインターフェース装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の一つの態様では、本体装置にネットワーク接続機能を提供するネットワークインターフェース装置であって、当該ネットワークインターフェース装置に割り当てられているMACアドレスとIPアドレスを記憶する記憶手段と、前記IPアドレスを割り当てられたネットワークインターフェース装置を対象とするネットワーク監視用のリクエストが受信された場合に、該リクエストに対応する処理を実行する被監視制御手段と、前記本体装置の電源が切断されている間に少なくとも前記被監視制御手段に電源を供給する電源供給手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明の態様によれば、当該ネットワークインターフェース装置に割り当てられているMACアドレスとIPアドレスを記憶手段に記憶させておき、前記本体装置の電源が切断されている間でも被監視制御手段に電源を供給して、被監視制御手段が記憶手段に記憶されているIPアドレス等を用いて通信処理を行うことができるように構成されているので、本体装置の電源が切断されている場合であっても、ネットワーク監視用のリクエストに対応することがきるネットワークインターフェース装置を得ることができる。
【0011】
また、本発明の他の態様では、上記の発明の態様において、前記被監視制御手段は、前記IPアドレスに対応するMACアドレスを問い合せるARPリクエストが受信された場合に、前記MACアドレスを設定したARPレスポンスを応答することを特徴とする。
【0012】
この発明の態様によれば、被監視制御手段がARPリクエストへの対応を行うように構成されているので、本体装置の電源が切断されている場合であっても、ARPリクエストを用いた接続確認に正常に対応することができる。
【0013】
また、本発明の他の態様では、上記の発明の態様において、前記被監視制御手段は、前記MACアドレスに対応するIPアドレスを、MACアドレスとIPアドレスの対応を管理するサーバ装置に問合せ、応答されたIPアドレスを当該ネットワークインターフェース装置に割り当てられているIPアドレスとして前記記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0014】
この発明の態様によれば、被監視制御手段がDHCPサーバ等に問い合せてIPアドレスを取得するように構成されているので、被監視制御手段が最新のIPアドレスを用いて処理を実行することができる。
【0015】
また、本発明の他の態様では、上記の発明の態様において、ネットワークから受信されたパケットを、前記本体装置の電源が投入されている間は、前記本体装置へ出力させ、前記本体装置の電源が投入されていない間は、前記被監視制御手段へ出力させる切替手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0016】
この発明の態様によれば、本体装置の電源が切断されている間のみ被監視制御手段が機能し、それ以外のときは本体装置が全ての通信処理を行うように構成されているので、特定の種別のパケットのみを被監視制御手段に振り分けるといった複雑なフィルタリング処理が不要になり、装置を簡易に実現することができる。
【0017】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一つの態様によれば、当該ネットワークインターフェース装置に割り当てられているMACアドレスとIPアドレスを記憶手段に記憶させておき、前記本体装置の電源が切断されている間でも被監視制御手段に電源を供給して、被監視制御手段が記憶手段に記憶されているIPアドレス等を用いて通信処理を行うことができるように構成されているので、本体装置の電源が切断されている場合であっても、ネットワーク監視用のリクエストに対応することがきるネットワークインターフェース装置を得ることができるという効果を奏する。
【0019】
また、本発明の一つの態様によれば、被監視制御手段がARPリクエストへの対応を行うように構成されているので、本体装置の電源が切断されている場合であっても、ARPリクエストを用いた接続確認に正常に対応することができるという効果を奏する。
【0020】
また、本発明の一つの態様によれば、被監視制御手段がDHCPサーバ等に問い合せてIPアドレスを取得するように構成されているので、被監視制御手段が最新のIPアドレスを用いて処理を実行することができるという効果を奏する。
【0021】
また、本発明の一つの態様によれば、本体装置の電源が切断されている間のみ被監視制御手段が機能し、それ以外のときは本体装置が全ての通信処理を行うように構成されているので、特定の種別のパケットのみを被監視制御手段に振り分けるといった複雑なフィルタリング処理が不要になり、装置を簡易に実現することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るネットワークインターフェース装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0023】
まず、本実施例に係るネットワークインターフェース装置(以下、「ネットワークIF装置」という)を備えた情報処理装置を含むネットワークの一例について図1を参照しながら説明する。
【0024】
同図に示すネットワークは、情報処理装置10および11と、監視装置20と、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ30とを、レイヤ2スイッチ(L2SW)40を介して接続して構成されている。DHCPサーバ30は、ネットワーク接続された他の装置に対して、TCP/IPによる通信を行うために必要なIPアドレスやサブネットマスク等の情報を提供する装置であり、レイヤ2スイッチ40は、ネットワーク中継装置である。
【0025】
情報処理装置10は、例えば、サーバ装置やパソコンのような、情報処理能力を有する装置であり、ネットワークIF装置100aおよび100bを備える。同様に、情報処理装置11も、情報処理能力を有する装置であり、ネットワークIF装置100cを備える。
【0026】
ネットワークIF装置100a〜100cは、自身が搭載された装置(以下、「本体装置」という)である情報処理装置10または11に対してネットワーク接続機能を提供する装置であり、それぞれが固有のMACアドレスを有する。MACアドレスは、データリンク層において通信相手を識別するためのネットワークアドレスであり、製造メーカによって予め固定値が設定される。
【0027】
図1の例では、ネットワークIF装置100aは、「xx:xx:xx:xx:xx:01」というMACアドレスを有し、ネットワークIF装置100bは、「xx:xx:xx:xx:xx:02」というMACアドレスを有し、ネットワークIF装置100cは、「xx:xx:xx:xx:xx:03」というMACアドレスを有している。
【0028】
近年、各種ネットワークサービスを実現するために主として利用されているTCP/IPは、データリンク層よりも上位の階層を制御するプロトコルであり、通信相手を識別するためにIPアドレスを必要とする。IPアドレスは、重複させない等の一定の条件の下で任意の値を設定することができる。
【0029】
このIPアドレスは、ネットワークIF装置毎に値が設定される。したがって、IPアドレスとMACアドレスは、1対1で対応し、その対応は、本体装置内もしくはDHCPサーバ30のような外部のサーバ装置に記憶される。本実施例においては、IPアドレスとMACアドレスの対応は、DHCPサーバ30に設定されているものとする。
【0030】
情報処理装置10および11は、自身が備えるネットワークIF装置のIPアドレスを知るために、起動時に各ネットワークIF装置のMACアドレスを指定して、DHCPサーバ30に対してDHCPリクエストを送信する。そして、応答されたDHCPレスポンスに含まれるIPアドレスを当該のネットワークIF装置のIPアドレスとして設定する。なお、DHCPレスポンスには、ネットマスク等の通信に必要な他の情報も含まれる。
【0031】
TCP/IPを用いて通信を行うプログラムは、IPアドレスによって相手を識別するため、情報処理装置10のように複数のネットワークIF装置を備える装置においては、それぞれのネットワークIF装置が独立した通信相手とみなされる。したがって、ネットワークIF装置100bに割り当てられているIPアドレスを通信相手のアドレスとして通信を行うプログラムは、ネットワークIF装置100bがネットワークに接続されていないと、たとえネットワークIF装置100aがネットワークに接続されていても、情報処理装置10と通信することができない。
【0032】
また、DHCPサーバ30の設定ミス等により、ネットワークIF装置に誤ったIPアドレスが割り当てられた場合は、通信相手となる本体装置が異なることになるため、この場合も正常に通信を行うことはできない。このように、TCP/IPを用いて通信を行うには、通信相手のIPアドレスに対応するネットワークIF装置が、正しくネットワークに接続されている必要がある。
【0033】
監視装置20は、ネットワークに接続されている装置に関する各種監視処理を実行する装置である。監視装置20は、各種監視処理の1つとして、ネットワークIF装置が正しくネットワークに接続されているか否かを確認する接続確認処理を行う。
【0034】
具体的には、監視装置20は、ネットワークに接続されているべきネットワークIF装置のIPアドレスとMACアドレスの対応を記憶している。そして、定期的に、記憶しているIPアドレスの1つを指定したARPリクエストを送信し、ARPレスポンスが応答されるか否か、および、応答されたAPRレスポンスに設定されたMACアドレスが正しいか否かを確認することにより、ネットワークIF装置が正しくネットワークに接続されているか否かを判定する。
【0035】
従来、この方式でネットワークIF装置の監視を行う場合、本体装置の電源が投入されていないと、ネットワークIF装置からの応答が得られないため、正しい判定が行われないという問題があったが、本実施例に係るネットワークIF装置100a〜100cは、以下に説明する構成によって、この問題を解決している。
【0036】
次に、ネットワークIF装置100a〜100cの構成について説明する。ネットワークIF装置100a〜100cは、いずれも同様の構成を有するので、ここではネットワークIF装置100aを例にして構成の説明を行うこととする。
【0037】
図2は、ネットワークIF装置100aの構成を示すブロック図である。同図に示すように、ネットワークIF装置100aは、コネクタ101と、L1制御部102と、L2制御部103と、切替部104と、バスインターフェース部(以下、「バスIF部」という)105と、本体電源監視部106と、被監視制御部107と、記憶部108と、電源供給部109とを有する。
【0038】
コネクタ101は、ネットワークケーブルが接続される接続部である。L1制御部102は、物理層における通信を制御する制御部であり、コネクタ101とL2制御部103の間に設けられている。L2制御部103は、データリンク層における通信を制御する制御部である。
【0039】
切替部104は、L2制御部103と主信号のやりとりをする対象を、バスIF部105もしくは被監視制御部107のいずれかに切り替えるスイッチである。具体的には、切替部104は、本体装置の電源の投入および切断を検出する本体電源監視部106において本体装置の電源の切断が検出された場合は、L2制御部103と主信号のやりとりをする対象を被監視制御部107に切り替え、電源の投入が検出された場合は、L2制御部103と主信号のやりとりをする対象をバスIF部105に切り替える。
【0040】
バスIF部105は、ネットワークIF装置100aを本体装置と電気的に接続し、主信号および各種制御信号のやりとりを行えるようにするインターフェース部である。本体装置の電源が投入されている間は、ネットワークを通じてネットワークIF装置100aへ送信されたARPリスクスト等のリクエストは、バスIF部105を経由して本体装置に送られ、それを処理した本体装置が何らかのレスポンスを応答する場合は、そのレスポンスは、バスIF部105を経由でネットワークへ送出される。
【0041】
被監視制御部107は、本体装置の電源が切断されている間に、監視装置20による監視処理に対応するための制御を実行する制御部である。本体装置の電源が切断されている間に被監視制御部107等が動作するために必要な電源は、電源供給部109によって供給される。なお、電源供給部109は、本体装置から電力を取得するものであってもよいし、本体装置の外部から電力を取得するものであってもよいし、蓄電池等から電力を取得するものであってもよい。また、図2においては、表示が煩雑になることを避けるため、電源供給部109がネットワークIF装置100aの各部に電源を供給する経路の図示を省略している。
【0042】
被監視制御部107の構成を図3に示す。同図に示すように、被監視制御部107は、IPアドレス問合せ部107aと、MACアドレス応答部107bとを有する。
【0043】
IPアドレス問合せ部107aは、当該のネットワークIF装置に割り当てられているIPアドレスを取得する処理部である。本体装置の電源が投入されている間は、データリンク層よりも上位の階層の処理は本体装置にて行われるため、ネットワークIF装置100aは、IPアドレスを知る必要がない。
【0044】
しかしながら、本体装置の電源が切断されている間は、被監視制御部107は、監視装置20による監視処理に対応するために、データリンク層よりも上位の階層の処理を行わなければならない。このため、被監視制御部107は、当該のネットワークIF装置に割り当てられているIPアドレスを知っておく必要がある。
【0045】
そこで、IPアドレス問合せ部107aは、DHCPプロトコルを使ってDHCPサーバ30に対して問合せを行い、応答されたDHCPレスポンスから当該のネットワークIF装置に割り当てられているIPアドレスを取得し、それを記憶部108に記憶させる。IPアドレスは、管理者等が任意のタイミングで変更可能であるが、このように、DHCPサーバ30に問合せを行うことにより、当該のネットワークIF装置に割り当てられている最新のIPアドレスを確実に取得することができる。
【0046】
なお、DHCPに代えて、BOOTP(BOOTstrap Protocol)やRARP(Reverse Address Resolution Protocol)等の他のプロトコルを用いてIPアドレスを取得することとしてもよい。また、MACアドレスとIPアドレスの対応が他のサーバ装置等に記憶されていない場合には、管理者等が、当該のネットワークIF装置に割り当てられている最新のIPアドレスを予め記憶部108に記憶させておくこととしてもよい。
【0047】
MACアドレス応答部107bは、監視装置20から送信されるARPリクエストに対応する処理部である。具体的には、MACアドレス応答部107bは、当該ネットワークIF装置においてARPリクエストが受信された場合、問合せ対象として設定されているIPアドレスが、記憶部108に記憶されている当該のネットワークIF装置のIPアドレスと一致する否かを確認する。
【0048】
そして、IPアドレス同士が一致した場合は、記憶部108等に予め記憶されている当該のネットワークIF装置のMACアドレスを設定したARPレスポンスをARPリクエストの送信元へ応答する。このように、ネットワークIF装置100aは、本体装置の電源が切断されている間は本体装置に代わって被監視制御部107がARPリクエストに応答するように構成されているので、本体装置の電源が切断されている場合であっても、監視装置20は、ネットワークIF装置100aが正しくネットワークに接続されているか否かを判定することができる。
【0049】
次に、ネットワークIF装置100aの処理手順について説明する。図4は、本体装置の電源が切断された場合のネットワークIF装置100aの処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、本体電源監視部106において本体電源の切断が検出されると(ステップS101)、切替部104が、L2制御部103の接続相手をバスIF部105から被監視制御部107に切り替え、被監視制御部107がネットワークに接続された状態にする(ステップS102)。
【0050】
そして、被監視制御部107のIPアドレス問合せ部107aは、記憶部108等に予め記憶されている当該のネットワークIF装置のMACアドレスを取得し(ステップS103)、このMACアドレスを設定したDHCPリクエストを送信する(ステップS104)。そして、DHCPレスポンスが受信されると(ステップS105)、そこからIPアドレスを取得し、当該のネットワークIF装置に割り当てられているIPアドレスとして記憶部108に記憶させる(ステップS106)。
【0051】
図5は、本体装置の電源が切断されている間における接続確認処理の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、監視装置20は、ネットワークに正しく接続されているか否かを判定する対象のネットワークIF装置のIPアドレスとMACアドレスをデータベース等から取得する(ステップS201)。そして、取得したIPアドレスを問合せ対象として設定したARPリクエストを送信する(ステップS202)。
【0052】
ネットワークIF装置100aにおいて、このARPリクエストが受信されると(ステップS301)、被監視制御部107のMACアドレス応答部107bが、問合せの対象が自装置であるか否かの判定を行う。そして、問合せの対象が自装置でなかった場合、すなわち、問合せ対象とされているIPアドレスと記憶部108に記憶されているIPアドレスが一致しなかった場合は(ステップS302否定)、MACアドレス応答部107bは特に処理を行わない。
【0053】
この場合、他のネットワークIF装置からもARPレスポンスの応答がなければ、監視装置20においては、タイムアウトが発生し(ステップS203肯定)、監視装置20は、判定対象のネットワークIF装置が正しくネットワークに接続されていないと判定する(ステップS204)。
【0054】
一方、ネットワークIF装置100aにおいて、MACアドレス応答部107bが、問合せの対象が自装置である、すなわち、問合せ対象とされているIPアドレスと記憶部108に記憶されているIPアドレスが一致すると判定した場合は(ステップS302肯定)、MACアドレス応答部107bは、当該のネットワークIF装置のMACアドレスを設定したARPレスポンスを送信元へ応答する(ステップS303)。
【0055】
この場合、監視装置20においては、タイムアウトが発生することなく(ステップS203否定)、ARPレスポンスが受信されることになる(ステップS205)。そして、監視装置20は、ARPレスポンスに含まれるMACアドレスと、判定対象のネットワークIF装置のMACアドレスとを比較し(ステップS206)、両者が一致すれば(ステップS207肯定)、判定対象のネットワークIF装置が正しくネットワークに接続されていると判定し(ステップS208)、両者が一致しなければ(ステップS207否定)、判定対象のネットワークIF装置が正しくネットワークに接続されていないと判定する(ステップS204)。
【0056】
このようにネットワークIF装置100aは、本体装置の電源が切断されている間も、本体装置の電源が投入されている場合と同様の振舞いをARPリクエストに対して行い、接続の確認を正常に実行することを可能にしている。
【0057】
図6は、本体装置の電源が投入された場合のネットワークIF装置100aの処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、本体電源監視部106において本体電源の投入が検出されると(ステップS401)、切替部104が、L2制御部103の接続相手を被監視制御部107からバスIF部105に切り替え、本体装置がバスIF部105を経由してネットワークに接続された状態にする(ステップS402)。
【0058】
なお、図2および3に示した本実施例に係るネットワークIF装置100aの構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができる。例えば、被監視制御部107の機能をソフトウェア(ファームウェア)として実装し、これをMPU(Micro Processing Unit)で実行することにより、被監視制御部107と同等の機能を実現することもできる。この場合、被監視制御部107の機能を実現するソフトウェアは、記憶部108に記憶され、必要に応じてMPUによって読み出され、実行される。
【0059】
また、上記の実施例では、被監視制御部107がARPリクエストに対応する処理を実行する例を示したが、他のネットワーク監視用のリクエスト、例えば、PING(Packet INternet Groper)のリクエスト等にも対応するように構成してもよい。
【0060】
上述してきたように、本実施例では、本体装置の電源が切断されている間でも被監視制御部107がARPリクエストに対応するように構成したので、本体装置の電源が切断されている場合であっても、監視装置20による接続確認処理にネットワークIF装置100a〜100cが対応することができる。
【0061】
(付記1)本体装置にネットワーク接続機能を提供するネットワークインターフェース装置であって、
当該ネットワークインターフェース装置に割り当てられているMACアドレスとIPアドレスを記憶する記憶手段と、
前記IPアドレスを割り当てられたネットワークインターフェース装置を対象とするネットワーク監視用のリクエストが受信された場合に、該リクエストに対応する処理を実行する被監視制御手段と、
前記本体装置の電源が切断されている間に少なくとも前記被監視制御手段に電源を供給する電源供給手段と
を備えたことを特徴とするネットワークインターフェース装置。
【0062】
(付記2)前記被監視制御手段は、前記IPアドレスに対応するMACアドレスを問い合せるARPリクエストが受信された場合に、前記MACアドレスを設定したARPレスポンスを応答することを特徴とする付記1に記載のネットワークインターフェース装置。
【0063】
(付記3)前記被監視制御手段は、前記MACアドレスに対応するIPアドレスを、MACアドレスとIPアドレスの対応を管理するサーバ装置に問合せ、応答されたIPアドレスを当該ネットワークインターフェース装置に割り当てられているIPアドレスとして前記記憶手段に記憶させることを特徴とする付記1または2に記載のネットワークインターフェース装置。
【0064】
(付記4)ネットワークから受信されたパケットを、前記本体装置の電源が投入されている間は、前記本体装置へ出力させ、前記本体装置の電源が投入されていない間は、前記被監視制御手段へ出力させる切替手段をさらに備えたことを特徴とする付記1〜3のいずれか1つに記載のネットワークインターフェース装置。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明に係るネットワークインターフェース装置は、本体装置へのネットワーク接続機能の提供に有用であり、特に、自身が搭載されている情報処理装置等の電源が切断されている場合であっても、ネットワーク監視用のリクエストに対応することが必要な場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施例に係るネットワークIF装置を備えた情報処理装置を含むネットワークの一例を示す図である。
【図2】本実施例に係るネットワークIF装置の構成を示すブロック図である。
【図3】被監視制御部の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】本体装置の電源が切断された場合のネットワークIF装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本体装置の電源が切断されている間における接続確認処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本体装置の電源が投入された場合のネットワークIF装置の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
10、11 情報処理装置
20 監視装置
30 DHCPサーバ
40 レイヤ2スイッチ(L2SW)
100a、100b、100c ネットワークIF装置
101 コネクタ
102 L1制御部
103 L2制御部
104 切替部
105 バスIF部
106 本体電源監視部
107 被監視制御部
107a IPアドレス問合せ部
107b MACアドレス応答部
108 記憶部
109 電源供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体装置にネットワーク接続機能を提供するネットワークインターフェース装置であって、
当該ネットワークインターフェース装置に割り当てられているMACアドレスとIPアドレスを記憶する記憶手段と、
前記IPアドレスを割り当てられたネットワークインターフェース装置を対象とするネットワーク監視用のリクエストが受信された場合に、該リクエストに対応する処理を実行する被監視制御手段と、
前記本体装置の電源が切断されている間に少なくとも前記被監視制御手段に電源を供給する電源供給手段と
を備えたことを特徴とするネットワークインターフェース装置。
【請求項2】
前記被監視制御手段は、前記IPアドレスに対応するMACアドレスを問い合せるARPリクエストが受信された場合に、前記MACアドレスを設定したARPレスポンスを応答することを特徴とする請求項1に記載のネットワークインターフェース装置。
【請求項3】
前記被監視制御手段は、前記MACアドレスに対応するIPアドレスを、MACアドレスとIPアドレスの対応を管理するサーバ装置に問合せ、応答されたIPアドレスを当該ネットワークインターフェース装置に割り当てられているIPアドレスとして前記記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項1または2に記載のネットワークインターフェース装置。
【請求項4】
ネットワークから受信されたパケットを、前記本体装置の電源が投入されている間は、前記本体装置へ出力させ、前記本体装置の電源が投入されていない間は、前記被監視制御手段へ出力させる切替手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のネットワークインターフェース装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−199410(P2008−199410A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33970(P2007−33970)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】