説明

ネットワークシステムおよびノード

【課題】極めて簡素なハードウェアで各ノードのデータ通信路を接続する。
【解決手段】コネクタ部21に、当該ノード10の物理レイヤ部11の受信ポートP1rを一方の隣接ノード10と接続する通信線L1と、コンデンサC1を介して物理レイヤ部11の送信ポートP1tを一方の隣接ノードと接続する通信線L2とを含み、コネクタ部22に、当該ノードの物理レイヤ部12の受信ポートP2rを他方の隣接ノードと接続する通信線L3と、コンデンサC2を介して物理レイヤ部12の送信ポートP2tを他方の隣接ノードと接続する通信線L4とを含み、コネクタ部21で、一方の隣接ノードのコネクタ部22と接続することにより、当該ノードの通信線L1を一方の隣接ノードの通信線L4と接続するとともに、当該ノードの通信線L2を一方の隣接ノードの通信線L3と接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク技術に関し、特に複数のノードをリング状に接続するネットワーク接続技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル設備やプラント設備を監視制御する監視制御システムなどのネットワークシステムでは、アプリケーションソフトウェアを実行して情報収集機能や制御機能などの各種機能を提供する制御機器などのノードを、データ通信路を介して相互接続し、これらノード間で各種情報をやり取りすることにより、各ノードで個々の設備を監視制御するものとなっている。
このようなネットワークシステムでは、ノード間を結ぶデータ通信方式として、RS−485などのバス型の通信方式が広く用いられている。しかし、このような通信方式は、通信速度が遅く十分な通信帯域が確保できないため、複雑な監視制御を行うには、より高速な通信帯域を持つ通信方式が必要となる。
【0003】
このようなネットワークシステムにおいて、ノード間でより高速なデータ通信を行うため、通信方式としてイーサネット(Ethernet/IEEE802.3u:100BASE-T:登録商標)を導入したものが提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
イーサネットでは、複数のノードを接続する際、ハブやスイッチに各ノードをそれぞれ接続するスター配線方式が基本である。このようなスター配線方式は、比較的規模の小さいオフィス環境には適合するものの、ビル設備やプラント設備などの大規模な設備には必ずしも適合しない。その理由としては、スター配線方式では、ハブやスイッチと各ノードとをそれぞれ個別の配線を介して接続する必要があり、広範囲にわたってノードが設置されている場合には、ノード間を結ぶ配線が複雑化し、配線工事やメンテナンスの作業負担が増大するからである。
【0004】
一方、イーサネットを用いたネットワークシステムにおいて、各ノードに2つのポートを設け、UTP(Unshielded Twist Pair cable)などの通信ケーブルを介して各ノードをリング状に接続するリング型イーサネットが提案されている(例えば、特許文献2など参照)。このリング型イーサネットは、データ通信路内に存在するリングトポロジーによる通信エラーを回避するSTP(Spanning Tree Protocol/IEEE 802.1D)機能や、これを改良したRSTP(Rapid Spanning Tree Protocol/IEEE 802.1w)機能などのネットワーク制御機能を用いて、システムの冗長化を実現することが可能となる。
【0005】
図15は、従来のリング型イーサネットシステムの構成例である。図16は、従来のリング型のイーサネットシステムの接続例である。ここでは、DINレールなどの架台に並べて取り付けられた6つのノードN1〜N6が、通信ケーブルLUでリング接続されており、ノードN4のうちノードN3側のポートでブロッキングが行われている。
このブロッキングにより、リングトポロジーからなる元のリングから、ルートノードN1からノードN2→ノードN3およびノードN5→ノードN4までの2つの枝経路を持つツリートポロジーが構築される。これにより、物理的にリングトポロジーを形成しているネットワークであっても、データループの発生が回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2008−544658号公報
【特許文献2】特開2005−109846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来技術では、通信ケーブルからなるデータ通信路を介して各ノード間を接続することにより、リング型のイーサネットを構築しているため、ノード間接続に要するハードウェアが複雑化して、ネットワーク全体の製品コストが増大するとともに、メンテナンスの作業負担が増大するという問題点があった。
【0008】
図17は、従来のノード間接続回路の要部を示すブロック図である。イーサネットの場合、各ノードNの物理レイヤ部PHYに設けられている送信回路および受信回路は、UTPなどの通信ケーブルLUを介して、他のノードの物理レイヤ部PHYに設けられている受信回路および送信回路と相互に接続されている。
この際、送信回路および受信回路は、所定の通信経路長で一定の通信品質を得るため、トランスを介してコネクタ部に接続されており、これらコネクタ部が通信ケーブルLUで接続される。
【0009】
したがって、例えば一方のノードN1の送信回路から出力された信号は、トランス−コネクタ部−通信ケーブルLU−コネクタ部−トランスを介して、他方のノードN2の受信回路で受信される。このため、図16に示したように、同一架台に隣接設置されているような通信経路長が極めて短いノード間であっても、データ通信のための多くの回路要素を備えることになり、ノード自体、さらにはネットワーク全体の製品コストが増大する。
また、ノード間ごとに通信ケーブルLUが必要となり、ノードと通信ケーブルLUとの接続不良やケーブル外れなどに対応するためのメンテナンス作業が増大する。さらには、誤配線の可能性も高くなる。
【0010】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、極めて簡素なハードウェアで複数のノードをデータ通信路で接続することができるネットワーク接続技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、本発明にかかるネットワークシステムは、データ通信路を介して複数のノードを接続するネットワークシステムであって、各ノードは、当該ノードの一方に隣接する第1の隣接ノードと当該ノードとを電気的に接続する第1のコネクタ部と、当該ノードの他方に隣接する第2の隣接ノードと当該ノードとを電気的に接続する第2のコネクタ部とを備え、第1のコネクタ部に、当該ノードの第1の物理レイヤ部の受信ポート(送信ポート)を第1の隣接ノードと接続する第1の通信線と、容量素子を介して第1の物理レイヤ部の送信ポート(受信ポート)を第1の隣接ノードと接続する第2の通信線とを含み、第2のコネクタ部に、当該ノードの第2の物理レイヤ部の受信ポート(送信ポート)を第2の隣接ノードと接続する第3の通信線と、容量素子を介して第2の物理レイヤ部の送信ポート(受信ポート)を第2の隣接ノードと接続する第4の通信線とを含み、第1のコネクタ部で、第1の隣接ノードの第2のコネクタ部と接続することにより、当該ノードの第1の通信線を当該第1の隣接ノードの第4の通信線と接続するとともに、当該ノードの第2の通信線を当該第1の隣接ノードの第3の通信線と接続する。
【0012】
この際、第1のコネクタ部に、第1の物理レイヤ部の送信ポート(受信ポート)を第1の隣接ノードと接続する第5の通信線をさらに含み、第2のコネクタ部に、第2の物理レイヤ部の送信ポート(受信ポート)を第2の隣接ノードと接続する第6の通信線をさらに含み、データ通信路を構成する第1の通信ケーブルを接続するための第1のケーブルコネクタを含み、ノードの第1のコネクタ部と接続することにより、当該ノードの第1および第5の通信線を、それぞれ別個の終端トランスを介した通信線で当該第1のケーブルコネクタと接続する第1のアダプタと、データ通信路を構成する第2の通信ケーブルを接続するための第2のケーブルコネクタを含み、ノードの第2のコネクタ部と接続することにより、当該ノードの第3および第6の通信線とを、それぞれ別個の終端トランスを介した通信線で当該第2のケーブルコネクタと接続する第2のアダプタとをさらに備えてもよい。
【0013】
また、ノードに、当該ノードを通過して第1のコネクタ部と第2のコネクタ部とを直接接続するノードバイパス通信線を含み、第1のコネクタ部で、第1の隣接ノードの第2のコネクタ部と接続することにより、当該ノードバイパス通信線を第1の隣接ノードのノードバイパス通信線と接続するようにしてもよい。
【0014】
また、第1のコネクタ部に、第1の物理レイヤ部の送信ポート(受信ポート)を第1の隣接ノードと接続する第5の通信線をさらに含み、第2のコネクタ部に、第2の物理レイヤ部の送信ポート(受信ポート)を第2の隣接ノードと接続する第6の通信線をさらに含み、データ通信路を構成する第1の通信ケーブルを接続するための第1のケーブルコネクタを含み、ノードの第1のコネクタ部と接続することにより、当該ノードの第1および第5の通信線とを、それぞれ別個の終端トランスを介した通信線で当該第1のケーブルコネクタと接続するとともに、当該ノードのノードバイパス通信線と当該第1のケーブルコネクタとをバイパス用通信線で接続する第1のアダプタと、データ通信路を構成する第2の通信ケーブルを接続するための第2のケーブルコネクタを含み、ノードの第2のコネクタ部と接続することにより、当該ノードの第3および第6の通信線とを、それぞれ別個の終端トランスを介した通信線で当該第2のケーブルコネクタと接続するとともに、当該ノードのノードバイパス通信線と当該第2のケーブルコネクタとをバイパス用通信線で接続する第2のアダプタとをさらに備えてもよい。
【0015】
また、第1のアダプタの第1のケーブルコネクタ、または第2のアダプタの第2のケーブルコネクタに接続されて、当該ケーブルコネクタの絶縁用通信路とバイパス用通信線とを折り返し接続する折り返しプラグをさらに備えてもよい。
【0016】
また、本発明にかかるノードは、データ通信路を介して複数のノードを接続するネットワークシステムで用いられるノードであって、当該ノードの一方に隣接する第1の隣接ノードと当該ノードとを電気的に接続する第1のコネクタ部と、当該ノードの他方に隣接する第2の隣接ノードと当該ノードとを電気的に接続する第2のコネクタ部とを備え、第1のコネクタ部に、当該ノードの第1の物理レイヤ部の受信ポート(送信ポート)を第1の隣接ノードと接続する第1の通信線と、容量素子を介して第1の物理レイヤ部の送信ポート(受信ポート)を第1の隣接ノードと接続する第2の通信線とを含み、第2のコネクタ部に、当該ノードの第2の物理レイヤ部の受信ポート(送信ポート)を第2の隣接ノードと接続する第3の通信線と、容量素子を介して第2の物理レイヤ部の送信ポート(受信ポート)を第2の隣接ノードと接続する第4の通信線とを含み、第1のコネクタ部で、第1の隣接ノードの第2のコネクタ部と接続することにより、当該ノードの第1の通信線を当該第1の隣接ノードの第4の通信線と接続するとともに、当該ノードの第2の通信線を当該第1の隣接ノードの第3の通信線と接続するようにしてもよい。
【0017】
この際、当該ノードを通過して第1のコネクタ部と第2のコネクタ部とを直接接続するノードバイパス通信線をさらに備え、第1のコネクタ部は、第1の隣接ノードの第2のコネクタ部と接続することにより、当該ノードバイパス通信線を第1の隣接ノードのノードバイパス通信線と接続するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、通信ケーブルを用いることなく、隣接配置された各ノードをデイジーチェーン状に結ぶ全二重イーサネットシステムが構築される。このため、ノードごとに個別の通信ケーブルを必要とすることなく、さらにはハブやスイッチを必要とすることなく、極めて簡素なハードウェアで、複数のノードをデータ通信路で接続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるネットワークシステムおよびノードの構成を示すブロック図である。
【図2】ノードおよびアダプタのコネクタ配置例である。
【図3】ネットワークシステムにおけるノード間の接続形態を示す説明図である。
【図4】ネットワークシステムにおけるノードとアダプタとの接続形態を示す説明図である。
【図5】ネットワークシステムにおけるノードとアダプタとの他の接続形態を示す説明図である。
【図6】通信ケーブルを用いたノード列間の接続例である。
【図7】図6の接続例に基づくネットワークシステムの構成例である。
【図8】コネクタと通信線との接続形態を示す説明図である。
【図9】コネクタと通信線との他の接続形態を示す説明図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態にかかるネットワークシステムおよびノードの構成を示すブロック図である。
【図11】折り返しプラグの構成例である。
【図12】折り返しプラグと通信ケーブルを用いたノード列間の接続例である。
【図13】図12の接続例に基づくネットワークシステムの構成例である。
【図14】本発明の第3の実施の形態にかかるネットワークシステムおよびノードの構成を示すブロック図である。
【図15】従来のリング型イーサネットシステムの構成例である。
【図16】従来のリング型のイーサネットシステムの接続例である。
【図17】従来のノード間接続回路の要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるネットワークシステムについて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるネットワークシステムおよびノードの構成を示すブロック図である。
【0021】
このネットワークシステム1は、ビル設備やプラント設備を監視制御する監視制御システムなどのネットワークシステムとして用いられ、アプリケーションソフトウェアを実行して情報収集機能や制御機能などの各種機能を提供する制御機器などのノード10(10A,10B,10C,…)を、データ通信路Lを介してリング状に接続する全二重イーサネットシステムである。
【0022】
各ノード10は、RSTP(Rapid Spanning Tree Protocol)に基づいて、データ通信路に対する冗長化制御処理を行う機能を有している。データ通信路Lは、全二重イーサネットに基づくデータ通信を実現するリング状の通信経路であり、各ノード10間でデータ送受信を並行して実行するため、データ通信路Lには2つの独立した通信線Lx,Lyが設けられている。
【0023】
ノード10には、主な機能部として、物理レイヤ部(PHY:第1の物理レイヤ部)11、物理レイヤ部(PHY:第2の物理レイヤ部)12、リング接続制御部13、アプリケーション処理部14、コネクタ部(第1のコネクタ部)21、およびコネクタ部(第2のコネクタ部)22が設けられている。
【0024】
物理レイヤ部11は、データ通信路Lxの受信ポートP1rとデータ通信路Lyの送信ポートP1tとを含む専用の通信回路からなり、当該ノード10の一方に隣接する隣接ノード(第1の隣接ノード)とデータ通信路Lを介して物理レイヤにおけるデータ送受信を行う機能を有している。
物理レイヤ部12は、データ通信路Lyの受信ポートP2rとデータ通信路Lxの送信ポートP2tとを含む専用の通信回路からなり、当該ノード10の他方に隣接する隣接ノード(第2の隣接ノード)とデータ通信路Lを介して物理レイヤにおけるデータ送受信を行う機能を有している。
【0025】
リング接続制御部13は、物理レイヤ部11,12を介して他のノード10との間のデータ通信を行う機能と、RSTPに基づいて、データ通信路Lに対する冗長化制御処理を行う機能とを有している。
アプリケーション処理部14は、リング接続制御部13を介して他のノードNと上位レイヤにおけるデータ通信を行うことにより、例えばビル設備やプラント設備を監視制御するための各種アプリケーション処理を行う機能を有している。
【0026】
コネクタ部21は、当該ノードの一方に隣接する隣接ノードと当該ノードとのデータ通信路を電気的に接続する機能を有している。
コネクタ部22は、当該ノードの他方に隣接する隣接ノードと当該ノードとのデータ通信路を電気的に接続する機能を有している。
これにより、例えばノード10A〜10CがDINレールなどの架台に隣接設置された際、ノード10Bのコネクタ部21が、一方の隣接ノード(第1の隣接ノード)10Aのコネクタ部22と接続するとともに、ノード10Bのコネクタ部22が、他方の隣接ノード(第2の隣接ノード)10Cのコネクタ部22と接続する。
【0027】
本実施の形態は、コネクタ部21に、当該ノードの物理レイヤ部11の受信ポートP1rを一方の隣接ノードと接続する通信線L1と、コンデンサ(容量素子)C1を介して物理レイヤ部11の送信ポートP1tを一方の隣接ノードと接続する通信線L2とを含み、コネクタ部22に、当該ノードの物理レイヤ部12の受信ポートP2rを他方の隣接ノードと接続する通信線L3と、コンデンサ(容量素子)C2を介して物理レイヤ部12の送信ポートP2tを他方の隣接ノードと接続する通信線L4とを含み、コネクタ部21で、一方の隣接ノードのコネクタ部22と接続することにより、当該ノードの通信線L1を一方の隣接ノードの通信線L4と接続するとともに、当該ノードの通信線L2を一方の隣接ノードの通信線L3と接続するようにしたものである。
【0028】
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかるネットワークシステム1およびノード10の構成および動作について詳細に説明する。なお、図1において、本実施の形態にかかる1対の通信線L1〜L10は、1本の線で省略して表示されている。
【0029】
コネクタ部21には、コネクタCN1、コンデンサC1、および通信線L1,L2,L3が設けられている。コネクタCN1は、当該ノード10の一方に隣接する隣接ノードと当該ノード10とのデータ通信路Lを電気的に接続するためのコネクタである。コンデンサC1は、当該ノード10と隣接ノードのデータ通信路Lの直流電位差を絶縁する絶縁用のコンデンサである。通信線L1は、コネクタCN1と物理レイヤ部11の受信ポートP1rとを接続するデータ通信路Lx用の通信線である。通信線L2は、コンデンサC1を介してコネクタCN1と物理レイヤ部11の送信ポートP1tとを接続するデータ通信路Ly用の通信線である。通信線L3は、コネクタCN1と物理レイヤ部11の送信ポートP1tとを接続するデータ通信路Ly用の通信線である。
【0030】
コネクタ部22には、コネクタCN2、コンデンサC2、および通信線L4,L5,L6が設けられている。コネクタCN2は、当該ノード10の他方に隣接する隣接ノードと当該ノード10とのデータ通信路Lを電気的に接続するためのコネクタである。コンデンサC2は、当該ノード10と隣接ノードのデータ通信路Lの直流電位差を絶縁する絶縁用のコンデンサである。通信線L4は、コネクタCN1と物理レイヤ部12の受信ポートP2rとを接続するデータ通信路Ly用の通信線である。通信線L5は、コンデンサC2を介してコネクタCN2と物理レイヤ部12の送信ポートP2tとを接続するデータ通信路Lx用の通信線である。通信線L6は、コネクタCN2と物理レイヤ部12の送信ポートP2tとを接続するデータ通信路Lx用の通信線である。
【0031】
また、本実施の形態にかかるネットワークシステム1では、隣接配置されたノード10の両端に、アダプタ31,32が接続される。
アダプタ31には、コネクタCN11,CN12、終端トランス(Transformer)T1x,T1y、および通信線L7,L8が設けられている。コネクタCN11は、当該アダプタ31が接続されるノード10とのデータ通信路Lを電気的に接続するためのコネクタである。コネクタCN(第1のケーブルコネクタ)12は、例えばRJ−45などのコネクタからなり、データ通信路Lを構成する通信ケーブル(第1の通信ケーブル)LU1を接続するためのケーブルコネクタである。終端トランスT1x,T1yは、当該ノード10と通信ケーブルLU1のデータ通信路Lx,Lyの直流電位差をそれぞれ絶縁するとともに、インピーダンスをそれぞれ整合して終端するための終端トランスである。通信線L7は、終端トランスT1xを介してコネクタCN11とケーブルコネクタCN12とを接続するデータ通信路Lx用の通信線である。通信線L8は、終端トランスT1yを介してコネクタCN11とケーブルコネクタCN12とを接続するデータ通信路Ly用の通信線である。
【0032】
アダプタ32には、コネクタCN21,CN22、終端トランス(Transformer)T2x,T2y、および通信線L9,L10が設けられている。コネクタCN21は、当該アダプタ32が接続されるノード10とのデータ通信路Lを電気的に接続するためのコネクタである。コネクタCN22(第2のケーブルコネクタ)は、例えばRJ−45などのコネクタからなり、データ通信路Lを構成する通信ケーブル(第2の通信ケーブル)LU2を接続するためのケーブルコネクタである。終端トランスT2x,T2yは、当該ノード10と通信ケーブルLU2のデータ通信路Lx,Lyの直流電位差をそれぞれ絶縁するとともに、インピーダンスをそれぞれ整合して終端するための終端トランスである。通信線L9は、終端トランスT2yを介してコネクタCN21とケーブルコネクタCN22とを接続するデータ通信路Ly用の通信線である。通信線L10は、終端トランスT2xを介してコネクタCN21とケーブルコネクタCN22とを接続するデータ通信路Lx用の通信線である。
【0033】
図2は、本実施の形態にかかるノードおよびアダプタのコネクタ配置例である。ここでは、各ノード10の背面部の左右両側端部10L,10Rに、接続端子がそれぞれの隣接ノード側を向くように横向きにコネクタCN1,CN2が配置されている。これにより、図1に示したように、ノード10A,10B,10Cを隣接配置した場合、ノード10BのコネクタCN1がノード10AのコネクタCN2と勘合するとともに、ノード10BのコネクタCN2がノード10CのコネクタCN1と勘合する。これにより、通信ケーブルを用いることなく隣接ノード10間が接続される。
【0034】
また、アダプタ31の背面部の右側端部31Rに、接続端子が隣接ノード側を向くように横向きにコネクタCN11が配置されており、アダプタ32の背面部の左側端部32Lに、接続端子が隣接ノード側を向くように横向きにコネクタCN21が配置されている。これにより、図1に示したように、隣接配置されたノード10A,10B,10Cの一端に位置するノード10Aにアダプタ31を隣接配置するとともに、他端に位置するノード10Cにアダプタ32を隣接配置した場合、アダプタ31のコネクタCN11がノード10AのコネクタCN1と勘合し、アダプタ32のコネクタCN21がノード10CのコネクタCN2と勘合する。これにより、ノード10Aが通信ケーブルLU1と接続され、ノード10Cが通信ケーブルLU2と接続されて、隣接配置されたノード10A,10B,10Cのデータ通信路Lが、離れた場所に配置されている他のノードと通信ケーブルLU1,LU2を介して接続される。
【0035】
図3は、本実施の形態にかかるネットワークシステムにおけるノード間の接続形態を示す説明図であり、図1のノード10A,10B間の接続形態が例として示されている。
図3に示すように、ノード10A,10Bが隣接配置された場合、ノード10AのコネクタCN2とノード10BのコネクタCN1とが接続されて、ノード10Aの通信線L4とノード10Bの通信線L1が接続されるとともに、ノード10Aの通信線L3とノード10Bの通信線L2が接続される。
【0036】
これにより、ノード10Aの物理レイヤ部12に設けられた送信回路TRの送信ポートP2tは、通信線L6の絶縁用コンデンサC2を介して、ノード10Bの物理レイヤ部11に設けられた受信回路RVの受信ポートP1rと接続され、データ通信路Lx用の1対の通信路が形成される。
また、ノード10Bの物理レイヤ部11に設けられた送信回路TRの送信ポートP1tは、通信線L3の絶縁用コンデンサC1を介して、ノード10Aの物理レイヤ部12に設けられた受信回路RVの受信ポートP2rと接続され、データ通信路Ly用の1対の通信路が形成される。
【0037】
このようにして、隣接するノード10間が、それぞれコネクタ部21,22により接続されて、2つの独立したデータ通信路Lx,Lyが形成される。これにより、通信ケーブルを用いることなく、隣接配置された各ノード10をデイジーチェーン状に結ぶ全二重イーサネットシステムが構築される。
【0038】
図4は、本実施の形態にかかるネットワークシステムにおけるノードとアダプタとの接続形態を示す説明図であり、図1のノード10Aとアダプタ31との間の接続形態が例として示されている。
図4に示すように、ノード10Aとアダプタ31とが隣接配置された場合、ノード10AのコネクタCN1とアダプタ31のコネクタCN11とが接続されて、ノード10Aの通信線L1とアダプタ31の通信線L7が接続されるとともに、ノード10Aの通信線L5とアダプタ31の通信線L8が接続される。
【0039】
これにより、ノード10Aの物理レイヤ部11に設けられた受信回路RVの受信ポートP1rは、通信線L1から通信線L7の終端トランスT1xを介して、アダプタ31のケーブルコネクタCN12と接続され、データ通信路Lx用の通信路が形成される。また、ノード10Aの物理レイヤ部11に設けられた送信回路TRの送信ポートP1tは、通信線L2から通信線L8の終端トランスT1yを介して、アダプタ31のケーブルコネクタCN12と接続され、データ通信路Ly用の通信路が形成される。
【0040】
図5は、本実施の形態にかかるネットワークシステムにおけるノードとアダプタとの他の接続形態を示す説明図であり、図1のノード10Cとアダプタ32との間の接続形態が例として示されている。
図5に示すように、ノード10Cとアダプタ32とが隣接配置された場合、ノード10CのコネクタCN2とアダプタ32のコネクタCN21とが接続されて、ノード10Cの通信線L3とアダプタ32の通信線L9が接続されるとともに、ノード10Cの通信線L6とアダプタ32の通信線L10が接続される。
【0041】
これにより、ノード10Cの物理レイヤ部12に設けられた送信回路TRの送信ポートP2tは、通信線L6から通信線L10の終端トランスT2xを介して、アダプタ32のケーブルコネクタCN22と接続され、データ通信路Lx用の通信路が形成される。また、ノード10Cの物理レイヤ部12に設けられた受信回路RVの受信ポートP2rは、通信線L3から通信線L9の終端トランスT2yを介して、アダプタ32のケーブルコネクタCN22と接続され、データ通信路Ly用の通信路が形成される。
【0042】
このようにして、隣接するノード10Aがコネクタ部21によりアダプタ31と接続されて、2つの独立したデータ通信路Lx,Lyが通信ケーブルLU1と接続される。また、隣接するノード10Cがコネクタ部22によりアダプタ32と接続されて、2つの独立したデータ通信路Lx,Lyが通信ケーブルLU2と接続される。
【0043】
図6は、通信ケーブルを用いたノード列間の接続例である。図7は、図6の接続例に基づくネットワークシステムの構成例である。ここでは、図1に示したように隣接配置されたノードN1,N2,N3からなるノード列と、同じく隣接配置されたノードN4,N5,N6からなるノード列のうち、ノードN1に接続されたアダプタA1とノードN6に接続されたアダプタA3とが通信ケーブルLU1を介して接続され、ノードN3に接続されたアダプタA2とノードN4に接続されたアダプタA4とが通信ケーブルLU2を介して接続されている。
これにより、図7に示すように、離れた場所に配置された複数のノード列が通信ケーブルLU1,LU2を介して接続され、これらノードN1〜N6をリング状に結ぶ全二重イーサネットシステムが構築される。
【0044】
図8は、コネクタと通信線との接続形態を示す説明図である。本実施の形態では、図8に示すように、ノード10のコネクタCN1,CN2とアダプタ31のコネクタCN11では、データ通信路Lx,Lyの通信線数より多い接続端子を用いている。図3〜図5で示したように、データ通信路Lx,Lyはそれぞれ1対の通信線から構成されているため、2組の通信線、すなわち合計4本の通信線が必要となる。これに対して本実施の形態では、コネクタCN1,CN2,CN11では、4組の通信線、すなわち合計8本の通信線を接続する4つの接続端子組J1〜J4が設けられている。なお、図8では、1対の通信線を1本の線で省略して表示している。
【0045】
具体的には、コネクタCN1には、いずれの通信線も接続されておらず電気的に開放状態の接続端子組J1、通信線L1が接続された接続端子組J2、コンデンサC1を含む通信線L3が接続され接続端子組J3、および通信線L5が接続された接続端子組J4が設けられている。
また、コネクタCN2には、通信線L6が接続された接続端子組J1、コンデンサC2を含む通信線L4が接続され接続端子組J2、通信線L3が接続された接続端子組J3、および開放状態の接続端子組J4が設けられている。
また、コネクタCN11には、開放状態の接続端子組J1,J3、終端トランスT1xを含む通信線L7が接続された接続端子組J2、終端トランスT1yを含む通信線L8が接続された接続端子組J4が設けられている。
【0046】
これにより、一方のノード10のコネクタCN1に対して他方のノード10のコネクタCN2が接続された場合、コネクタCN1の接続端子組J1とコネクタCN2の接続端子組J4とが開放状態であることから、コネクタCN1の接続端子組J2,J3がコネクタCN2の接続端子組J2,J3と接続される。したがって、一方のノード10の通信線L1,L3が他方のノード10の通信線L4,L3とそれぞれ接続されるため、図3に示したように、コンデンサC1,C2により直流電位差が絶縁された状態でノード10間が接続される。
【0047】
一方、ノード10のコネクタCN1に対してアダプタ31のコネクタCN11が接続された場合、コネクタCN11の接続端子組J1,J3が開放状態であることから、コネクタCN1の接続端子組J2,J4がコネクタCN11の接続端子組J2,J4と接続される。したがって、ノード10の通信線L1,L5がアダプタ31の通信線L7,L8とそれぞれ接続されるため、図4に示したように、終端トランスT1x,T1yにより直流電位差が絶縁された状態でノード10とアダプタ31とが接続される。
【0048】
これにより、ノード10に対して他のノード10を接続した場合にのみ、両者間を結ぶデータ通信路Lx,LyのそれぞれにコンデンサC1,C2が挿入される。また、ノード10に対してアダプタ31を接続した場合には、両者間を結ぶデータ通信路Lx,Lyから、通信ケーブルとの接続に不要なコンデンサC1,C2が排除され、通信ケーブルとの接続に必要となる終端トランスT1x,T1yのみがデータ通信路Lx,Lyのそれぞれに挿入される。
したがって、回路切替用のスイッチを必要とすることなく、ノード10のコネクタCN1に対して、他のノード10のコネクタCN2とアダプタ31のコネクタCN11とを共通に接続することができる。
【0049】
図9は、コネクタと通信線との他の接続形態を示す説明図である。本実施の形態では、図9に示すように、アダプタ31と同様にアダプタ32のコネクタCN11でも、データ通信路Lx,Lyの通信線数より多い接続端子を用いている。これにより、コネクタCN21においても、4組の通信線、すなわち合計8本の通信線を接続する4つの接続端子組J1〜J4が設けられている。なお、図9では、1対の通信線を1本の線で省略して表示している。
【0050】
具体的には、コネクタCN21には、終端トランスT2xを含む通信線L10が接続された接続端子組J1、終端トランスT2yを含む通信線L9が接続された接続端子組J3、開放状態の接続端子組J2,J4が設けられている。なお、コネクタCN1,CN2の接続端子組J1〜J4については、図8と同様である。
【0051】
これにより、一方のノード10のコネクタCN2に対して他方のノード10のコネクタCN1が接続された場合、コネクタCN1の接続端子組J1とコネクタCN2の接続端子組J4とが開放状態であることから、コネクタCN1の接続端子組J2,J3がコネクタCN2の接続端子組J2,J3と接続される。したがって、一方のノード10の通信線L4,L3が他方のノード10の通信線L1,L2とそれぞれ接続されるため、図3に示したように、コンデンサC1,C2により直流電位差が絶縁された状態でノード10間が接続される。
【0052】
一方、ノード10のコネクタCN2に対してアダプタ32のコネクタCN21が接続された場合、コネクタCN21の接続端子組J2,J4が開放状態であることから、コネクタCN2の接続端子組J1,J3がコネクタCN21の接続端子組J1,J3と接続される。したがって、ノード10の通信線L6,L3がアダプタ32の通信線L10,L9とそれぞれ接続されるため、図5に示したように、終端トランスT2x,T2yにより直流電位差が絶縁された状態でノード10とアダプタ32とが接続される。
【0053】
これにより、ノード10に対して他のノード10を接続した場合にのみ、両者間を結ぶデータ通信路Lx,LyのそれぞれにコンデンサC1,C2が挿入される。また、ノード10に対してアダプタ32を接続した場合には、両者間を結ぶデータ通信路Lx,Lyから、通信ケーブルとの接続に不要なコンデンサC1,C2が排除され、通信ケーブルとの接続に必要となる終端トランスT2x,T2yのみがデータ通信路Lx,Lyのそれぞれに挿入される。
したがって、回路切替用のスイッチを必要とすることなく、ノード10のコネクタCN2に対して、他のノード10のコネクタCN1とアダプタ32のコネクタCN21とを共通に接続することができる。
【0054】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、コネクタ部21に、当該ノード10の物理レイヤ部11の受信ポートP1rを一方の隣接ノード10と接続する通信線L1と、コンデンサC1を介して物理レイヤ部11の送信ポートP1tを一方の隣接ノードと接続する通信線L2とを含み、コネクタ部22に、当該ノードの物理レイヤ部12の受信ポートP2rを他方の隣接ノードと接続する通信線L3と、コンデンサC2を介して物理レイヤ部12の送信ポートP2tを他方の隣接ノードと接続する通信線L4とを含み、コネクタ部21で、一方の隣接ノードのコネクタ部22と接続することにより、当該ノードの通信線L1を一方の隣接ノードの通信線L4と接続するとともに、当該ノードの通信線L2を一方の隣接ノードの通信線L3と接続するようにしたものである。
【0055】
したがって、隣接するノード10間が、それぞれコネクタ部21,22により接続されて、2つの独立したデータ通信路Lx,Lyが形成される。これにより、通信ケーブルを用いることなく、隣接配置された各ノード10をデイジーチェーン状に結ぶ全二重イーサネットシステムが構築される。このため、ノード10ごとに個別の通信ケーブルを必要とすることなく、さらにはハブやスイッチを必要とすることなく、極めて簡素なハードウェアで、各ノード10のデータ通信路Lを接続することが可能となる。
【0056】
また、本実施の形態では、コネクタ部21に、物理レイヤ部11の送信ポートP1tを一方の隣接ノードと接続する通信線をL5さらに含み、コネクタ部22に、物理レイヤ部12の送信ポートP2tを他方の隣接ノードと接続する通信線L6をさらに含み、アダプタ31で、ノード10のコネクタ部21と接続することにより、当該ノード10の通信路L1,L5とを、それぞれ別個の終端トランスT1x,T1yを介した通信線L7,L8でケーブルコネクタCN12と接続し、ノード10のコネクタ部22と接続することにより、当該ノード10の通信線L3,L6とを、それぞれ別個の終端トランスT2x,T2yを介した通信線L9,L10でケーブルコネクタCN22と接続するようにしている。
【0057】
これにより、ノード10がコネクタ部21によりアダプタ31と接続されて、2つの独立したデータ通信路Lx,LyがケーブルコネクタCN12を介して通信ケーブルLU1と接続される。また、ノード10Cがコネクタ部22によりアダプタ32と接続されて、2つの独立したデータ通信路Lx,LyがケーブルコネクタCN22を介して通信ケーブルLU2と接続される。したがって、複数のノード列が離れた場所に設置されている場合でも、これらノード10間をリング状に結ぶ全二重イーサネットシステムを構築することが可能となる。
【0058】
特に、隣接ノード間は、データ通信路の線路長が極めて短く、ノイズの影響をほとんど受けないため、コンデンサを介して直接接続することが可能となる。一方、通信ケーブルの場合には、データ通信路の線路長もある程度長く、ノイズの影響も考慮する必要があるため、終端トランスを設けてある。この際、終端トランスにノイズフィルタ等の回路部を追加してもよい。
【0059】
[第2の実施の形態]
次に、図10を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるネットワークシステムについて説明する。図10は、本発明の第2の実施の形態にかかるネットワークシステムおよびノードの構成を示すブロック図である。
【0060】
第1の実施の形態では、ノード10にコネクタ部21,22を設けて、通信ケーブルを用いることなく隣接ノード10間のデータ通信路Lを直接接続する場合を例として説明した。
本実施の形態では、図10に示すように、各ノード10に、当該ノード10を通過してコネクタ部21とコネクタ部22とを直接接続する2本のノードバイパス用の通信線L11,L12が設けられている。この通信線L11,L12は、それぞれ1対の通信線から構成されており、ノード10の物理レイヤ部11,12などの回路部とは接続されていない。なお、図10において、本実施の形態にかかる1対の通信線L1〜L16は、1本の線で省略して表示されている。なお、その他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0061】
これにより、例えばノード10Bのコネクタ部21に設けられたコネクタCN1とノード10Aのコネクタ部22に設けられたコネクタCN2とを接続した場合、ノード10Bの通信線L11,L12が、ノード10Aの通信線L11,L12のそれぞれと接続される。したがって、これら通信線L11,L12を、データ通信路Lx,Lyの冗長経路として利用できる。
【0062】
また、アダプタ31には、コネクタCN11とケーブルコネクタCN12を直接接続する通信線L13,L14が設けられているとともに、アダプタ32には、コネクタCN21とケーブルコネクタCN22を直接接続する通信線L15,L16が設けられている。
これにより、例えばノード10Aにアダプタ31が接続された場合、通信線L13,L14を介してノード10Aの通信線L11,L12が、アダプタ31のケーブルコネクタCN12と接続される。また、ノード10Cにアダプタ32が接続された場合、通信線L15,L16を介してノード10Aの通信線L11,L12が、アダプタ32のケーブルコネクタCN12と接続される。
【0063】
図11は、折り返しプラグの構成例である。折り返しプラグ40は、それぞれ1対の通信線からなる2本の折り返し通信路LBを有し、アダプタ31のケーブルコネクタCN12に接続された場合、当該ケーブルコネクタCN12のデータ通信路Lx,Ly用の通信線L7,L8とノードバイパス用の通信線L13,L14とを折り返し接続する。また、アダプタ31のケーブルコネクタCN12に接続された場合、当該ケーブルコネクタCN22のデータ通信路Lx,Ly用の通信線L9,L10とノードバイパス用の通信線L15,L16とを折り返し接続する。
【0064】
図12は、折り返しプラグと通信ケーブルを用いたノード列間の接続例である。図13は、図12の接続例に基づくネットワークシステムの構成例である。ここでは、図10に示したように隣接配置されたノードN1,N2,N3からなるノード列と、同じく隣接配置されたノードN4,N5,N6からなるノード列のうち、ノードN3に接続されたアダプタA2とノードN4に接続されたアダプタA4とが通信ケーブルLU3を介して接続されている。また、ノードN1に接続されたアダプタA1のケーブルコネクタCN12に折り返しプラグ40からなる折り返し通信路LB1が接続されており、ノードN6に接続されたアダプタA2のケーブルコネクタCN12に折り返しプラグ40からなる折り返し通信路LB2が接続されている。
【0065】
これにより、図13に示すように、離れた場所に配置された複数のノード列が通信ケーブルLU3、折り返し通信路LB1,LB2、および各ノードN1〜N6内のノードバイパス用の通信路LBPを介して接続され、これらノードN1〜N6をリング状に結ぶ全二重イーサネットシステムが構築される。
【0066】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、各ノード10に、当該ノード10を通過してコネクタ部21とコネクタ部22とを直接接続する2本のノードバイパス用の通信線L11,L12を設けたので、これら通信線L11,L12を、データ通信路Lx,Lyの冗長経路として利用できる。
【0067】
また、本実施の形態では、アダプタ31のケーブルコネクタCN12、またはアダプタ32のケーブルコネクタCN22に接続されて、当該ケーブルコネクタのデータ通信路Lx,Ly用の通信線とバイパス用通信線とを折り返し接続する折り返しプラグ40をさらに備えるようにしたので、折り返しプラグ40により、データ通信路Lx,Ly用の通信線をバイパス用通信線へループバック接続することが可能となる。したがって、2つのノード列が離れた場所に設置されている場合でも、1本の通信ケーブルのみで、これらノード10間をリング状に結ぶ全二重イーサネットシステムを構築することが可能となる。
【0068】
[第3の実施の形態]
次に、図14を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかるネットワークシステムについて説明する。図14は、本発明の第3の実施の形態にかかるネットワークシステムおよびノードの構成を示すブロック図である。
【0069】
第1および第2の実施の形態では、各ノード10の内部にコネクタ部21,22が回路として一体に実装されている場合を例として説明した。本実施の形態では、コネクタ部21,22がノード10から分離して別個の装置としてノード10に取り付けられている場合について説明する。
図14において、ノード10には、コネクタCN5,CN6が設けられており、コネクタ部21のコネクタCN3とコネクタCN5とが接続され、コネクタ部22のコネクタCN4とコネクタCN6とが接続されている。その他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0070】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、ノード10とは別個の装置でコネクタ部21,22を構成するようにしたので、ノード10に回路構成を追加することなく、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能となる。
また、本実施の形態は、第1の実施の形態に適用した場合を例として説明したが、第2の実施の形態にも同様に適用することができる。
【0071】
また、本実施の形態では、コネクタ部21,22をそれぞれ別個の装置とする場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、1つのノード10と対応するこれら2つのコネクタ部21,22を1つの装置に実装してもよい。これにより、図14のコネクタCN5,CN6とコネクタCN3,CN4を、それぞれ1つのコネクタで実現できる。さらには、複数のノード10と対応するこれら2つのコネクタ部21,22を1つの装置に実装してもよい。これにより、ノード間を接続するためのコネクタCN1,CN2を省くことができるとともに、ノード間における通信線L5,L6や、ノード10とアダプタ31との間の通信線L2およびコンデンサC1、さらにはノード10とアダプタ32との間の通信線L4およびコンデンサC2を省くことができる。
【0072】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0073】
また、各実施の形態では、コネクタ部21,22のうち送信ポート側の通信線L2,L4にコンデンサC1,C2を設けた場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、受信ポート側の通信線L1,L3にコンデンサC1,C2を設けてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…ネットワークシステム、10,10A,10B,10C…ノード、10L…左側端部、10R…右側端部、11,12…物理レイヤ部、13…リング接続制御部、14…アプリケーション処理部、21,22…コネクタ部、31,32…アダプタ、31R…右側端部、32L…左側端部、P1t,P2t…送信ポート、P1r,P2r…受信ポート、CN1,CN2,CN3,CN4,CN5,CN6,CN11,CN21…コネクタ、CN12,CN22…ケーブルコネクタ、L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8,L9,L10,L11,L12,L13,L14…通信線、C1,C2…コンデンサ、T1x,T1y,T2x,T2y…終端トランス、N1,N2,N3,N4,N5,N6…ノード、A1,A2,A3,A4…アダプタ、L,Lx,Ly,LU1,LU2,LU3…データ通信路、LB1,LB2…折り返し通信路、LBP…通信路(ノードバイパス用)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ通信路を介して複数のノードを接続するネットワークシステムであって、
前記各ノードは、当該ノードの一方に隣接する第1の隣接ノードと当該ノードとを電気的に接続する第1のコネクタ部と、当該ノードの他方に隣接する第2の隣接ノードと当該ノードとを電気的に接続する第2のコネクタ部とを備え、
前記第1のコネクタ部は、
当該ノードの第1の物理レイヤ部の受信ポート(送信ポート)を前記第1の隣接ノードと接続する第1の通信線と、
容量素子を介して前記第1の物理レイヤ部の送信ポート(受信ポート)を前記第1の隣接ノードと接続する第2の通信線と
を含み、
前記第2のコネクタ部は、
当該ノードの第2の物理レイヤ部の受信ポート(送信ポート)を前記第2の隣接ノードと接続する第3の通信線と、
容量素子を介して前記第2の物理レイヤ部の送信ポート(受信ポート)を前記第2の隣接ノードと接続する第4の通信線と
を含み、
前記第1のコネクタ部は、前記第1の隣接ノードの前記第2のコネクタ部と接続することにより、当該ノードの前記第1の通信線を当該第1の隣接ノードの前記第4の通信線と接続するとともに、当該ノードの前記第2の通信線を当該第1の隣接ノードの前記第3の通信線と接続する
ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
前記第1のコネクタ部は、前記第1の物理レイヤ部の送信ポート(受信ポート)を前記第1の隣接ノードと接続する第5の通信線をさらに含み、
前記第2のコネクタ部は、前記第2の物理レイヤ部の送信ポート(受信ポート)を前記第2の隣接ノードと接続する第6の通信線をさらに含み、
前記データ通信路を構成する第1の通信ケーブルを接続するための第1のケーブルコネクタを含み、前記ノードの前記第1のコネクタ部と接続することにより、当該ノードの第1および第5の通信線を、それぞれ別個の終端トランスを介した通信線で当該第1のケーブルコネクタと接続する第1のアダプタと、
前記データ通信路を構成する第2の通信ケーブルを接続するための第2のケーブルコネクタを含み、前記ノードの前記第2のコネクタ部と接続することにより、当該ノードの第3および第6の通信線とを、それぞれ別個の終端トランスを介した通信線で当該第2のケーブルコネクタと接続する第2のアダプタと
をさらに備える
ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のネットワークシステムにおいて、
前記ノードは、当該ノードを通過して前記第1のコネクタ部と前記第2のコネクタ部とを直接接続するノードバイパス通信線を含み、
前記第1のコネクタ部は、前記第1の隣接ノードの第2のコネクタ部と接続することにより、当該ノードバイパス通信線を前記第1の隣接ノードのノードバイパス通信線と接続する
ことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のネットワークシステムにおいて、
前記第1のコネクタ部は、前記第1の物理レイヤ部の送信ポート(受信ポート)を前記第1の隣接ノードと接続する第5の通信線をさらに含み、
前記第2のコネクタ部は、前記第2の物理レイヤ部の送信ポート(受信ポート)を前記第2の隣接ノードと接続する第6の通信線をさらに含み、
前記データ通信路を構成する第1の通信ケーブルを接続するための第1のケーブルコネクタを含み、前記ノードの前記第1のコネクタ部と接続することにより、当該ノードの第1および第5の通信線とを、それぞれ別個の終端トランスを介した通信線で当該第1のケーブルコネクタと接続するとともに、当該ノードのノードバイパス通信線と当該第1のケーブルコネクタとをバイパス用通信線で接続する第1のアダプタと、
前記データ通信路を構成する第2の通信ケーブルを接続するための第2のケーブルコネクタを含み、前記ノードの前記第2のコネクタ部と接続することにより、当該ノードの第3および第6の通信線とを、それぞれ別個の終端トランスを介した通信線で当該第2のケーブルコネクタと接続するとともに、当該ノードのノードバイパス通信線と当該第2のケーブルコネクタとをバイパス用通信線で接続する第2のアダプタと
をさらに備えることを特徴とするネットワークシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のネットワークシステムにおいて、
前記第1のアダプタの第1のケーブルコネクタ、または前記第2のアダプタの第2のケーブルコネクタに接続されて、当該ケーブルコネクタの絶縁用通信路とバイパス用通信線とを折り返し接続する折り返しプラグをさらに備えることを特徴とするネットワークシステム。
【請求項6】
データ通信路を介して複数のノードを接続するネットワークシステムで用いられるノードであって、
当該ノードの一方に隣接する第1の隣接ノードと当該ノードとを電気的に接続する第1のコネクタ部と、当該ノードの他方に隣接する第2の隣接ノードと当該ノードとを電気的に接続する第2のコネクタ部とを備え、
前記第1のコネクタ部は、
当該ノードの第1の物理レイヤ部の受信ポート(送信ポート)を前記第1の隣接ノードと接続する第1の通信線と、
容量素子を介して前記第1の物理レイヤ部の送信ポート(受信ポート)を前記第1の隣接ノードと接続する第2の通信線と
を含み、
前記第2のコネクタ部は、
当該ノードの第2の物理レイヤ部の受信ポート(送信ポート)を前記第2の隣接ノードと接続する第3の通信線と、
容量素子を介して前記第2の物理レイヤ部の送信ポート(受信ポート)を前記第2の隣接ノードと接続する第4の通信線と
を含み、
前記第1のコネクタ部は、前記第1の隣接ノードの前記第2のコネクタ部と接続することにより、当該ノードの前記第1の通信線を当該第1の隣接ノードの前記第4の通信線と接続するとともに、当該ノードの前記第2の通信線を当該第1の隣接ノードの前記第3の通信線と接続する
ことを特徴とするノード。
【請求項7】
請求項6に記載のノードにおいて、
当該ノードを通過して前記第1のコネクタ部と前記第2のコネクタ部とを直接接続するノードバイパス通信線をさらに備え、
前記第1のコネクタ部は、前記第1の隣接ノードの第2のコネクタ部と接続することにより、当該ノードバイパス通信線を前記第1の隣接ノードのノードバイパス通信線と接続する
ことを特徴とするノード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−273164(P2010−273164A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123933(P2009−123933)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】