説明

ネットワーク制御型電源管理システム

【課題】ネットワークを通じた複数拠点のプラグ受の電源ON/OFF変更制御や見える化に対応できるようにすると共に、各拠点での新機能利用を容易にする。
【解決手段】複数のホストコントローラ2を集中制御装置4にネットワーク3を介して接続し、各ホストコントローラ2が自己に従うプラグ受1から取得したコンセント単位の電力使用量、電源ON/OFF状態を取得し、集中制御装置4へ送信し、これら送信された情報は、各識別情報を用いてデータ蓄積部5に記憶する。集中制御装置4に予め制御シナリオが入力され、シナリオ処理部6は、データ蓄積部5に記憶した情報から制御シナリオに示された制御条件の充足性を監視し、コンセント単位で制御内容を決定し、ホストコントローラ2に特定のコンセントの電源ON/OFF変更を命令することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、拠点に設置された機器の電源ON/OFFをネットワーク経由で遠隔制御することが可能なネットワーク制御型電源管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の家電機器やオフィス機器の電源管理を機器側にネットワーク通信機能を増設することなく実現するため、プラグ受側にネットワーク通信機能、電源ON/OFF変更機能等を設け、ネットワークを介してパーソナルコンピュータや携帯電話といった端末から、プラグ受に接続した各機器の電源ON/OFFを実行するようにしたシステムがある(特許文献1)。
【0003】
近年では、係るプラグ受に電力使用量の測定機能を付加し、ホームサーバを家庭、施設ごとに設置し、ホームサーバが各プラグ受からデータ収集を行い、ネットワークを介してホームサーバに接続したパーソナルコンピュータ等の端末から、電力使用状況をグラフ等で画面出力する視覚化(見える化)を行うことが実施されている。さらに、ホームサーバには、制御条件、制御内容を示す制御シナリオ、各種プラグ受に対応する制御命令等を実装し、データ収集で取得した電力使用状況等でプラグ受の電源ON/OFF変更をコンセント単位で行うことにより、各機器の電源ON/OFFを実行可能としたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−114997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のシステムでは、各家庭や施設に設置するプラグ受、ホームサーバで電源ON/OFFの制御や見える化の処理を行うので、複数拠点を統合した電源ON/OFF変更制御等を実施することができない。また、新機能(制御シナリオ)を追加するには、タップ等のプラグ受や、ホームサーバのアプリケーション改修を行う必要がある。この改修には、プラグ受を回収したり、ネットワーク経由でアプリケーションを配信したりする手間が生じる。
【0006】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、ネットワークを通じた複数拠点のプラグ受の電源ON/OFF変更制御や見える化に対応できるようにすると共に、各拠点での新機能利用を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、この発明に係るネットワーク制御型電源管理システムは、複数のプラグ受をリモートコントロール対象にもったホストコントローラと、ネットワークを介して接続された複数の前記ホストコントローラを遠隔制御する集中制御装置とを備え、前記プラグ受は、前記ホストコントローラからの要求に応じて、コンセント単位で測定した電力使用量の当該ホストコントローラへの出力、コンセント単位での電源ON/OFF状態の当該ホストコントローラへの出力、及びコンセント単位での電源ON/OFF変更をそれぞれ実行可能なものであり、前記集中制御装置は、前記ホストコントローラの識別情報、前記ホストコントローラに従う前記プラグ受の識別情報、前記プラグ受に備わるコンセントの識別情報及び前記ネットワークを介して受信した前記コンセントの電力使用状況を示す情報を記憶するデータ蓄積部と、予め入力された制御シナリオ及び前記データ蓄積部に記憶された情報に基いて決定した電源ON/OFF変更対象の前記コンセントの指定及び当該指定先への前記電源ON/OFF変更要求の発信を前記ホストコントローラへ命令するシナリオ処理部とを有し、前記ホストコントローラは、前記命令を受信する都度、前記電源ON/OFF変更要求を発信する電力制御部を有している構成を採用したものである。
【0008】
この発明によれば、複数のホストコントローラを集中制御装置にネットワークを介して接続し、各ホストコントローラが自己に従うプラグ受から取得したコンセント単位の電力使用量、電源ON/OFF状態を取得し、集中制御装置へ送信することができる。これら送信された情報は、各識別情報を用いてデータ蓄積部に記憶することができる。集中制御装置に予め制御シナリオが入力され、シナリオ処理部は、データ蓄積部に記憶した情報から制御シナリオに示された制御条件の充足性を監視し、コンセント単位で制御内容(特定のコンセントの電源ON/OFF変更)を決定し、当該コンセントの制御内容実施を当該ホストコントローラに命令することができる。ホストコントローラは、集中制御装置から命令されたら、その命令に対応する要求を当該プラグ受に発信するだけである。このように制御シナリオをホストコントローラに実装せず、集中制御装置側にのみ制御シナリオを設けるので、ネットワークを通じて複数拠点のプラグ受の電源ON/OFF変更制御をすることができ、また、集中制御装置側で柔軟に制御シナリオを追加入力したり、更新したりすることができ、これら新機能は、各拠点のホストコントローラやプラグ受の改装を一切行うことなく各拠点で利用することが可能になる。さらに、集中制御装置のデータ蓄積部には、各ホストコントローラ配下のプラグ受におけるコンセント単位で電力使用状況を示す情報が集まるので、各識別情報に基づき、コンセント単位、プラグ受単位、ホストコントローラ単位で情報演算を適宜に行うことが可能であり、ネットワークを通じた複数拠点の見える化に対応することもできる。
【0009】
より具体的には、前記ネットワークが、IPネットワークからなり、前記集中制御装置と前記ホストコントローラとの間で行う全ての情報通信が、当該ホストコントローラ側から定期的に問い合わせるポーリングで実行されることが好ましい。
【0010】
IPネットワークをネットワークに用いると、既存のインターネット、イントラネットを利用することができる。集中制御装置とホストコントローラ間の全ての情報通信がホストコントローラ側から定期的に問い合わせるポーリングで実行されるので、集中制御装置は問い合わせてきたホストコントローラに応答するだけでよく、ホストコントローラのIPアドレスの把握が集中制御装置側で一切不要である。したがって、多数のホストコントローラを接続しても、煩雑なIPアドレス管理を無くすことができる。
【0011】
前記ホストコントローラと前記プラグ受との間で行う全ての情報通信が、当該ホストコントローラ側から定期的に問い合わせるポーリングで実行されることも好ましい。
【0012】
プラグ受は、ホストコントローラ側からの定期的に問い合わせに応答するだけでよく、能動的な発信機能が不要である。したがって、プラグ受としては、電力使用量の測定、電源ON/OFFの把握、これらの情報をホストコントローラへの応答として出力する機能のみをもったものでよく、低級なプラグ受を採用することができる。
【0013】
制御シナリオは、制御条件、制御内容を示すプラグラムからなり、前記集中制御装置には、アプリケーションとして実装することになる。制御シナリオで規定する制御条件、制御内容は、集中制御装置で制御条件を判別し、制御すべきコンセントを決定することができる限り、特に限定されない。勿論のことながら、ホストコントローラを拠点に配置した利用者がどの制御シナリオの適用を希望するか、また、制御シナリオにユーザカスタマイズ項目が存在する場合の当該カスタマイズ設定は、ホストコントローラ単位、プラグ受単位、又はコンセント単位で識別情報、ユーザカスタマイズ情報として集中制御装置に入力すればよい。
【0014】
例えば、前記データ蓄積部は、前記コンセントごとの電源ON/OFF状態を示すエンドポイント状態情報、及び前記コンセントごとの電力使用量を示すエンドポイント測定値情報、及びコンセント単位で電源ONからOFFへ変更する優先度を示すプライオリティ情報を記憶しており、前記制御シナリオは、電力削減量の目標値が入力されると、前記エンドポイント状態情報及び前記プライオリティ情報の優先度を取り入れた抽出ルールに基いて電源ON中のコンセントを前記変更対象に決定する処理と、前記命令を送信後に前記目標値の充足又は未充足を判別する演算処理とを、前記目標値を充足するまで繰り返すプログラムからなるようにすればよい。
【0015】
集中制御装置側で、エンドポイント状態情報から電源ON中のコンセントを把握し、プライオリティ情報によりプラグ受の利用者の意向を予め反映させた抽出ルールで電源OFF対象のコンセント抽出を行い、エンドポイント測定値情報によりOFF制御後の削減量を確認し、自動的に目標の電力削減量を達成するまでコンセントのOFF制御を実施することができる。
【0016】
また、別の例として、前記データ蓄積部は、互いに異なる前記ホストコントローラに属した前記プラグ受間で、電源ON/OFF変更を連動させるコンセントと、連動条件に用いるコンセントとの対向関係を示す情報、当該連動制御条件及び連動制御内容を示す情報を記憶しており、前記制御シナリオは、前記連動制御条件を監視して前記連動制御内容の実行の是非を決定するプログラムからなるようにすればよい。
【0017】
上述のように、この発明によれば複数拠点のホストコントローラを集中制御装置によって遠隔制御することができるので、同一拠点内のプラグ受、コンセントの連動制御を行う制御シナリオだけでなく、互いに異なるホストコントローラに属したプラグ受間で、つまり、ある拠点に存在する任意のコンセント(連動条件に用いるコンセント)の電力使用状況と、任意の他の拠点に存在する任意のコンセントの電源ON/OFFとを連動させることができる。
【0018】
また、前記制御シナリオは、システム外の装置からの信号を利用したものにすることもできる。
【0019】
具体的には、前記データ蓄積部は、他の装置から前記集中制御装置へ送信された信号に電源ON/OFF変更を連動させるコンセント、当該連動制御条件及び連動制御内容を示す情報を記憶しており、前記制御シナリオは、前記連動制御条件を監視して前記連動制御内容の実行の是非を決定するプログラムからなるようにすればよい。
【0020】
外部システムに属した他の装置は、集中制御装置に対して一元的に要求を行うだけでよく、各ホストコントローラに対して個別に要求を行う必要がない。
【発明の効果】
【0021】
この発明は、上記構成の採用により、集中制御装置側に制御シナリオを実装し、集中制御装置側でコンセントを識別して制御条件、制御内容を判断して識別したホストコントローラにコンセントを指定した電源ON/OFFを命令するようにしたので、ネットワークを通じて複数拠点のプラグ受の電源ON/OFF変更制御をすることができる。また、集中制御装置側で柔軟に制御シナリオを追加入力したり、更新したりすることができ、これら新機能は、各拠点のホストコントローラやプラグ受の改装を一切行うことなく各拠点で利用することが可能なので、各拠点での新機能利用が容易になる。さらに、集中制御装置のデータ蓄積部には、各ホストコントローラ配下のプラグ受におけるコンセント単位で電力使用状況を示す情報が集まるので、各識別情報に基づき、コンセント単位、プラグ受単位、ホストコントローラ単位で情報演算を適宜に行うことが可能なので、ネットワークを通じた複数拠点の見える化に対応することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態に係るシステムの構成図
【図2】実施形態に係るシステムのネットワーク接続構成図
【図3】実施形態に係るシステムのホストコントローラのブロック図
【図4】実施形態に係るシステムの集中制御装置のソフトウェアブロック図
【図5】(a)は実施形態に係るグループ名テーブルの構成を示す概念図、(b)は実施形態に係るコンセント名テーブルの構成を示す概念図
【図6】実施形態に係るノード管理データテーブルの構成を示す概念図
【図7】(a)は実施形態に係る測定データテーブルの構成を示す概念図、(b)は実施形態に係るセンサ制御データテーブルの構成を示す概念図
【図8】実施形態に係るシステムの基本動作のシーケンス図
【図9】実施形態に係るシステムの見える化画面の一例を示す出力図
【図10】実施形態に係るシステムの見える化画面の別例を示す出力図
【図11】実施例1のシステム構成図
【図12】実施例1の制御許容エンドポイントデータテーブルの構成を示す概念図
【図13】実施例1の制御シナリオのフローチャート
【図14】実施例2のシステム構成図
【図15】実施例2の連動テーブルの構成を示す概念図
【図16】実施例2のシーケンス図
【図17】実施例2の制御シナリオのフローチャート
【図18】実施例3のシステム構成図
【図19】実施例4のシステム構成図
【図20】実施例5のシステム構成図
【図21】実施例6のシステム構成図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明に係る実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、この実施形態に係るネットワーク制御型電源管理システムは、複数のプラグ受1をリモートコントロール対象にもったホストコントローラ2と、ネットワーク3を介して接続された複数のホストコントローラ2を遠隔制御する集中制御装置4とを備えている。
【0024】
プラグ受1は、家電製品などの電気器具のプラグを接続する1箇所以上のコンセントを具備している。プラグ受1は、造営材、機器などに固定できるもの、二口以上のコンセント、コードなどとの接続部、電源用差込刃などから構成されるもので、一つのコンセント又はコードから二つ以上の分岐接続ができるマルチタップのいずれでもよい。この発明において、コンセントは、プラグの刃先を受ける刃受を意味する(JISにおけるコンセントを意味するのではない)。
【0025】
実施形態のプラグ受1は、3口のコンセントを有するマルチタップを例示している。プラグ受1は、ホストコントローラ2からの要求に応じて、コンセント単位で測定した電力使用量の当該ホストコントローラ2への出力、コンセント単位での電源ON/OFF状態の当該ホストコントローラ2への出力、及びコンセント単位での電源ON/OFF変更をそれぞれ実行可能なものである。プラグ受1は、電力使用量、電源ON/OFF状態を取得した際のタイムスタンプを行う。
【0026】
ネットワーク3は、インターネットからなる。ホストコントローラ2は、USB接続で無線通信装置を実装し、この無線通信装置で配下のプラグ受1と交信するようになっている。無線通信には、Z−Wave規格のものを採用している。Z−Waveは、 デンマークの企業であるZensysとZ−Waveアライアンスとが開発した相互運用性を持つ無線通信プロトコルである。ホストコントローラ2は、インターネットに接続するゲートウェイとして機能する。
【0027】
具体的には、ホストコントローラ2には、プログラムを実装することによって、図3に示すように、見える化機能部、電力制御機能部が実現されている。見える化機能部は、配下の各プラグ受1に対して定期的なポーリング(polling)を実施する。このポーリングでは、プラグ受1のコンセントごとに、電力使用量及び電源ON/OFF状態を問い合わせる。つまり、1個のプラグ受1のコンセント数だけポーリングを繰り返し、その後、次のプラグ受1にも同様にポーリングを行う。ホストコントローラ2と各プラグ受1との間で行う全ての情報通信は、ホストコントローラ2側から定期的に問い合わせるポーリングで実行される。このため、プラグ受1は、能動的な情報通信機能をもたず、電力使用量の出力、電源ON/OFF状態の出力以外の情報処理機能をもたない。このようなプラグ受1は、特許文献1のものと比して安価に製造することができ、普及促進を図ることができる。
【0028】
ホストコントローラ2には、集中制御装置4に認証されるのに必要な情報、すなわちユーザID、パスワード、暗号化についての情報が予め記憶させられている。見える化機能部は、プラグ受1に対するポーリングと並行して、ネットワーク3を介して集中制御装置4に対して定期的なポーリングを行う。集中制御装置4に対するポーリングでは、プラグ受1から出力された電力使用量及び電源ON/OFF状態を、どのコンセントのものかを示す識別情報と共に送信し、また、集中制御装置4から配下のプラグ受1のコンセントに対する電源ON/OFF変更の命令を受信する。
【0029】
集中制御装置4と、これに接続された全てのホストコントローラ2との間で行う全ての情報通信は、ホストコントローラ2側からのポーリングで実行される。集中制御装置4は、問い合わせを発したホストコントローラ2に応答を返すだけであり、能動的にいずれかのホストコントローラ2と情報通信を行うことはない。このため、集中制御装置4では、各ホストコントローラ2のIPアドレスを管理していない。
【0030】
ホストコントローラ2からプラグ受1へのポーリングは、2秒間隔、ホストコントローラ2から集中制御装置4へのポーリングは、5秒間隔で行うようになっている。これら間隔は、適宜に変更することができる。ホストコントローラ2からプラグ受1へのポーリング間隔を集中制御装置4へのポーリング間隔よりも短くしたのは、毎回、新しいコンセント単位の電力使用量及び電源ON/OFF状態を送れるからである。両ポーリング間隔の合計時間がプラグ受1から集中制御装置4までの到達時間に大きく影響するので、なるべく小さい方がよい。集中制御装置4がWebアクセスする端末のブラウザに、最新の見える化情報を画面出力するまでの待ち時間が長くなるのは好ましくないので、利用者の使用感を考慮し、合計10秒以下にすることが好ましい。
【0031】
電力制御機能部は、集中制御装置4から、コンセントの指定及び当該指定先への電源ON/OFF変更要求の発信を示す命令を受信する都度、該当するプラグ受1に指定されたコンセントの電源ON/OFF変更要求を発信する電力制御部になっている。
【0032】
なお、ホストコントローラ2は、無線通信装置のほか、他のセンサや機器とも接続することができる。図示例では、電力量センサ(拠点単位の電力計)や水量センサ(拠点の水量計)と有線又は無線で接続することができ、これらセンサ等から取得した信号も集中制御装置4へ送信し、集中制御装置4での様々な処理(見える化、制御シナリオの制御条件等)に活用することができる。例えば、電力量センサや水量センサについては定期的にセンサ側からホストコントローラ2に通知し、ホストコントローラ2がその通知を受け取るとセンサに問い合わせるようにすることができる。このようにセンサ側からの能動的なアクセスを採用することにより、センサを情報送信時以外はスリープ状態にすることにより、センサの消費電力を抑えることができる。
【0033】
図1に示すように、集中制御装置4は、ネットワーク3に接続されたアプリケーションサーバシステムから構成されている。集中制御装置4は、各ホストコントローラ2の識別情報、各ホストコントローラ2に従うプラグ受1の識別情報、プラグ受1に備わるコンセントの識別情報及びネットワーク3を介して受信したコンセントの電力使用状況を示す情報を記憶するデータ蓄積部5と、予め入力された制御シナリオ及びデータ蓄積部5に記憶された情報に基いて決定した電源ON/OFF変更対象のコンセントの指定及び当該指定先への前記電源ON/OFF変更要求の発信を前記ホストコントローラへ命令するシナリオ処理部6とを有している。データ蓄積部5は、データベースマネジメントシステムからなり、配下のホストコントローラ2に適用する制御シナリオや見える化処理で用いるための各種テーブルを適宜に構築することができるようになっている。図4に集中制御装置4のソフトウェアブロック図を示す。
【0034】
集中制御装置4の管理者と利用者とがサービスを契約する際、集中制御装置4に利用者のアカウントデータが記憶させられる。このアカウントデータは、ホストコントローラ2に記憶される前記のユーザID、パスワード等に相当する。利用者は、端末7をネットワーク3に接続し、集中制御装置4にユーザID、パスワードを送信してログインし、Webブラウザの画面上から各種の設定画面に移行し、所定の設定項目に入力した情報が集中制御装置4に送信されると、データ蓄積部5が当該送信された設定情報に基いて更新するようになっている。
【0035】
データ蓄積部5のグループ名、コンセント名データの蓄積部は、図5(a)、(b)に示す2つのテーブル(「グループ名テーブル」、「コンセント名テーブル」)で管理されている。「ホームID」は、ホストコントローラ2の識別情報である。ここには、最初にホストコントローラ2がポーリングしてきた際、図4中のデータ挿入プログラムにより各ホストコントローラ2を一意に識別するように割り当てた情報が書き込まれる。図5(a)に示す「グループ名」は、利用者が任意にプラグ受1を分類するために定義するものである。ここには、利用者により、Web画面上等から、例えば、リビング、寝室等、拠点内におけるプラグ受1の配置場所が書き込まれる。「グループ名番号」は、「グループ名」の定義時に利用者又は集中制御装置4によって一意に割り当てられた値である。「グループ有効フラグ」は、利用者が任意に監視対象とするグループを設定するためのものである。Web画面上等から有効に設定されたグループは、集中制御装置4による監視対象になる。図5(b)に示す「コンセント名」は、利用者が任意にコンセントに接続する機器を分類するために定義するものである。ここには、利用者により、Web画面上等から、例えば、テレビ、ライト等、機器の名称が書き込まれる。「コンセント名番号」は、「コンセント名」の定義時に、利用者又は集中制御装置4によって一意に割り当てられた値である。
【0036】
図4に示すデータ蓄積部5のノードID管理データの蓄積部は、図6に示す「ノードIDデータ管理テーブル」で管理されている。「ノードID」は、プラグ受1の識別情報(水量センサ等の場合はセンサの識別情報)である。ここには、ホストコントローラ2がポーリングで新たなプラグ受1の接続を確認後、最初にホストコントローラ2が集中制御装置4にポーリングしてきた際、図4中のデータ挿入プログラムにより各プラグ受1を一意に識別するように割り当てた情報が書き込まれる。図6に示す「センサ種別」は、ホストコントローラ2に接続するノードがプラグ受、電力量センサ、水量センサのどの種別かを識別するための値である。ここには、ホストコントローラ2から受信した値がそのまま書き込まれる。「グループ名番号」は、当該ノード(プラグ受1又はセンサ)が属するグループを示す。ここには「グループ名テーブル」における該当値が書き込まれる。「タップ名」は、利用者が任意にプラグ受1を分類するために定義するものである。ここには、利用者により、Web画面上等から任意に入力されたプラグ受1の名称が書き込まれる。「コンセント名」は、利用者が任意にプラグ受1を分類するために定義するものである。ここには、利用者により、Web画面上等から、任意に入力されたプラグ受1の名称が書き込まれる。「コンセント名番号N」は、コンセントNに接続された機器を示す。ここで、「N」は、コンセントの識別情報ごとに集中制御装置4によって割り当てられた整数である(以下、同じ)。コンセントの識別情報は、図4中のデータ挿入プログラムにより、ポーリングでホストコントローラ2から受信する。本例ではプラグ受1がコンセントごとに付した値となっている。なお、集中制御装置4とホストコントローラ2間でプラグ受1、コンセントの識別情報の共通化、又はホストコントローラ2への対応付け情報の送信が前提なのは勿論である。「コンセント名番号N」には、「コンセント名テーブル」における該当値が書き込まれる。図6に示す「コンセントN監視フラグ」は、利用者が任意に監視対象とするコンセントを設定するためのものであり、有効にすると、監視対象になる。「ホームID」、「ノードID」が割り当てられた状態で、利用者は、Web画面上でホストコントローラ2配下のプラグ受1を選択し、プラグ受1に「グループ名N」、「コンセント名N」、「コンセントN監視フラグ」をテキスト入力やチェックマークで設定することができるようになっている。
【0037】
データ蓄積部5の測定データの蓄積部は、図7(a)に示す「測定データテーブル」で管理されている。「日付」、「時刻」には、図4中のデータ挿入プログラムにより同レコードの更新日時が書き込まれる。図7(a)に示す「センサ種別」は、当該ノードの種別を示す。ここには、「ノードIDデータ管理テーブル」における該当値が書き込まれる。「センサ状態」には、図4中のデータ挿入プログラムにより、ホストコントローラ2から受信したプラグ受1、電力量センサ等の状態、例えば、受信した正常動作信号の有無による動作中又は使用不可が書き込まれる。図7(a)に示す「エンドポイントN状態」には、図4中のデータ挿入プログラムにより、ポーリングでホストコントローラ2から受信したコンセントの識別情報、電源ON/OFF状態を示す信号に基づき、コンセントNごとの電源ON/OFF状態を示すエンドポイント状態情報が書き込まれる。図7(a)に示す「エンドポイントN測定値」には、図4中のデータ挿入プログラムにより、ポーリングでホストコントローラ2から受信したコンセントの識別情報、電力使用量の値(瞬時値)を記述した信号に基づき、コンセントNごとの電力使用量を示すエンドポイント測定値情報が書き込まれる。図7(a)に示す「エンドポイントNタイムスタンプ」には、図4中のデータ挿入プログラムにより、同レコードに書き込んだ「エンドポイントN情報」、「エンドポイントN測定値」にプラグ受1が付与したタイムスタンプ情報が書き込まれる。
【0038】
図4に示すデータ蓄積部5の制御データの蓄積部は、図7(b)に示す「センサ制御データテーブル」で管理されている。「エンドポイントN制御」は、図1に示すシナリオ処理部6(図4中のGUIプログラム部)により、当該ホームコントローラ2配下のプラグ受1のコンセントNごとに、ホストコントローラ2への前記の電源ON/OFF変更要求の発信を示す命令が書き込まれる。この項目に記述された命令は、図7(b)に示すように制御無し、ON要求、OFF要求にそれぞれ値を割り当てた信号からなる。例えば、制御無しとすべきコンセントには、「0」、ON要求すべきコンセントには、「1」、OFF要求すべきコンセントには「2」を書き込むようにする。ホストコンローラ2からポーリングで制御要求が問い合わされた際、図1に示すシナリオ処理部6は、「1」又は「2」が書き込まれた「エンドポイントN制御」をもったレコードがあれば、当該レコードの「ノードID」及び「ノードID」以降の全ての「エンドポントN制御」を記述した信号をホストコントローラ2に与える。ホストコントローラ2は、当該信号の「ノードID」から配下のプラグ受1を特定し、全ての「エンドポントN制御」を記述した部分を解釈して、当該プラグ受1のどのコンセントに対して電源ON又はOFFを要求するかを特定する。すなわち、シナリオ処理部6は、当該信号により、制御シナリオ等に基づいて決定した電源ON/OFF変更対象のコンセントの指定及び当該指定先への前記電源ON/OFF変更要求の発信をホストコントローラ2へ命令することができる。
【0039】
実施形態の基本シーケンスを図8に示す。この基本シーケンスは、集中制御装置4に実装されている制御シナリオであって、最も基本的なもの、すなわち、制御条件は、利用者が端末7から制御対象と電源ON/OFFを設定したことであり、設定後、即時に前記の「エンドポイントN制御」の項目に書き込むプログラムである。この基本制御シナリオは、利用者の最新の意思であることから、並行稼動する他の制御シナリオが重複した制御対象の「エンドポイントN制御」の項目に電源ON/OFF逆の命令を書き込むことができないようにしている。
【0040】
利用者は、ログインした端末7のWebブラウザにより、任意のコンセントについて、最新の電源ON/OFF状態やON時間、使用電力量を確認することができる。電源ON/OFFを変更したいコンセントが存在する場合は、所定の操作画面からコンセントの選択し、ON/OFFを入力する。これが図8に示すように電力制御要求となって集中制御装置4に入力され、集中制御装置4は、該当するエンドポイントN制御の変更の要否を該当するエンドポイントN情報との一致性から判断し、変更を要する場合は該当するエンドポントN制御の変更を行い、その後に生じた最初のホストコンローラ2からのポーリング時に、当該電源ON/OFFの命令を与える。ホストコンローラ2は、その後に生じた当該プラグ受1との当該コンセントについてのポーリング時に、該当する電源ON/OFF変更と、電源ON/OFF状態を要求する。プラグ受1は、該当するコンセントの電源ON/OFFを変更した後、リレー情報として応答を返す。この応答を受信したホストコントローラ2は、その後に生じた集中制御装置4への最初のポーリング時、該当するコンセントの電力使用量、電源ON/OFF状態を送信し、集中制御装置4は、この送信された情報に基いて、該当するエンドポントN情報、エンドポイントN測定値情報を更新する。なお、利用者は、Webブラウザにより、更新後に電源ON/OFFが変更されたことを確認することができる。
【0041】
また、利用者は、集中制御装置4にホストコントローラ2の配下のプラグ受1で取得した電力使用状況を示す情報(エンドポイントN情報、エンドポイントN測定値情報)を取得日時と共に蓄積するので、ログインした端末7のWebブラウザにより、様々な見える化出力画面を見ることができる。例えば、図9に示すように、グループ単位で現在使用中の電力使用量を表示することができる。この電力使用量の表示は、グループに属した各プラグ受1の電源ON中のコンセントをエンドポイントN情報を参照して抽出し、それらに対応するエンドポイントN測定情報から各電源ON中のコンセントの電力使用量を加算した値として得ることができる。また、図10に示すように、利用者が、ログインした端末7のWebブラウザ上から、グループ、タップを利用して適宜のコンセントを選択し、グラフ化期間を指定し、選択したコンセントでグラフ化期間内に消費された電力使用量をグラフ表示することもできる。例えば、図10のグラフ表示は、選択した各コンセントの1日単位の合計電力使用量を、当該日付のエンドポイントN測定情報から算出し、これをグラフ化期間内の各日付で行うことで各プロットを得ることができる。
【0042】
このように、制御シナリオには、各ホストコントローラ2に接続された機器(プラグ受1、水量センサ等)を制御する制御条件、制御する対象(コンセント)および制御内容(コンセントの電源ON又はOFF)などが記述される。ホストコントローラ2が制御シナリオ、機器から取得したデータに基いて制御条件を判断することはなく、集中制御装置4に実装された制御シナリオを追加、更新するだけで、各拠点のホストコントローラ2によるプラグ受1の制御に利用することが可能なので、各拠点での新機能利用が容易になる。制御シナリオは、ファイルとして各種を集中制御装置4に実装することができるので、各拠点利用者は、自己に便利な制御機能を活用することができる。また、利用者が複数拠点のホストコントローラ2を管理する場合でも、集中制御装置4に、ホストコントローラ2ごとに配下のプラグ受1で取得した電力使用状況を示す情報(エンドポイントN情報、エンドポイントN測定値情報)を取得日時と共に蓄積するので、複数拠点を統合した制御、複数拠点間で連動させた制御を行ったり、複数拠点の情報を統合した、見える化のための演算処理をしたりすることが可能である。
【0043】
制御シナリオは、ユーザの要望、地域の環境、機器の特性等を考慮して集中制御装置4の管理者により作成される。データ蓄積部5は、シナリオ処理部6で処理する制御シナリオをカスタマイズする情報を示したユーザカスタマイズ情報を記憶するようにし、シナリオ処理部6は、データ蓄積部5から前記ユーザカスタマイズ情報を読み出し、当該ユーザカスタマイズ情報を参照して機器を制御するように設けることも勿論可能である。
【実施例】
【0044】
以下、実施形態における様々な制御シナリオの採用例を説明する。実施例1は、図11に示すように、他の装置から集中制御装置へ送信された電力制御要求(電力削減量)がシナリオ処理部に入力され、制御シナリオにより、この制御目標を実現する例である。
【0045】
この制御シナリオの適用を受ける利用者は、予め、コンセント単位で電源ONからOFFへ変更する優先度を示すプライオリティ情報をWebブラウザ上から入力することができるようになっている。前記データ蓄積部に記憶されたプライオリティ情報は、図12に示す「制御許容エンドポイントデータテーブル」で管理されている。「プライオリティ」には、ホストコントローラ2の配下の中での優先度を示す情報が書き込まれる。優先度は、数値で記述され、1から順に優先度が高いことを意味している。「ノードID」、「エンドポイント番号」は、「プライオリティ」に記述された優先度を与えるコンセントを特定するためのものである。「エンドポイント番号」は、その「ノードID」をもったプラグ受1に具備されたコンセントNを示す。別の優先度を与えるコンセントは、別のレコードに記述される。優先度として、この制御シナリオの適用拒否を示す数値も設定可能となっている。
【0046】
図13に示すように、他の装置から、電力削減量の値を示した電力制御要求が集中制御装置4へ送信され、この値が目標値として前記のシナリオ処理部に入力されると、シナリオ処理部により、ピークカット制御用の制御シナリオが開始される。
【0047】
次に、前記シナリオ処理部は、前記「プライオリティ」の項目を参照して、この制御シナリオの適用拒否をしていないコンセントを抽出する。
【0048】
次に、前記シナリオ処理部は、抽出したコンセントの前記エンドポントN状態情報を参照して、電源ON中のコンセントか電源OFF中のコンセントか否かを判別する。電源OFFのコンセントは、制御対象にならない。
【0049】
次に、前記シナリオ処理部は、電源ON中のコンセントを、さらに優先度を取り入れた抽出ルールに基いて並べ替えをする。この並べ替えは、拠点A〜C間で公平に電源OFF対象を与えるためにラウンドロビンで同一優先度のコンセントを並べている。並べ替えの仕方は、これに限られず、あるホストコントローラで考えて優先度の高い順になっておれば、その利用者の意向を反映させた電源OFFを実現することができる。
【0050】
次に、前記シナリオ処理部は、並べ替え後、最上位(n=1)のコンセントの「センサ制御データテーブル」に前記電源OFFのエンドポントN制御を書き込む。この書き込み後、制御対象のコンセントが電源OFFになったことを前記エンドポントN状態情報を参照して確認すると、直前のタイムスタンプをもった前記エンドポントN測定値情報の値を当該コンセントOFFによる電力削減量とする。前記シナリオ処理部は、このコンセントOFFによる電力削減量と、目標値とを用いた演算処理により、目標値の充足又は未充足を判別する。未充足の場合、前記シナリオ処理部は、n+1の並び順にあるコンセントの電源OFF制御を同様に行い、同様に充足性を判別し、以後、充足するまで、このループを繰り返す。充足の場合、シナリオ処理部は、制御終了を電力制御装置に通知する。
【0051】
この実施例1のようにすれば、制御するための機器にプラグ受を接続するだけであるので、需要家の機器を監視、制御するためのシステムの導入コストを抑えることができる。また、あらかじめ需要家(利用者)に制御してもよい機器(プラグ受)を需要家自身が設定するため、需要家に合った制御が可能になる。
【0052】
実施例1は、電力制御装置という他の装置から集中制御装置4へ送信された信号に電源ON/OFF変更を連動させるコンセント(適用拒否しないコンセント)、当該連動制御条件(電力削減量の入力、この目標値を充足したか否か)で及び連動制御内容(優先度に基いて抽出したコンセントの電源OFF)を示す情報をデータ蓄積部5に記憶し、制御シナリオは、前記連動制御条件を監視して(この目標値を充足したか否かの繰り返し判別)、前記連動制御内容の実行の是非(次の並び順位にしたコンセントの電源OFFの是非)を決定するプログラムからなる例といえる。
【0053】
実施例2を図14〜図17に基いて説明する。実施例2は、複数拠点のコンセント間で電源ON/OFFを連動させる制御シナリオの採用例である。前記データ蓄積部は、互いに異なるホストコントローラ2に属したプラグ受1間で、電源ON/OFF変更を連動させるコンセントと、連動条件に用いるコンセントとの対向関係を示す情報、当該連動制御条件及び連動制御内容を示す情報を記憶している。この情報は、図15に示す「連動テーブル」で管理されている。テーブル中、項目の上から順に、連動条件に用いるコンセントを配下にするホストコントローラを示す前記ホームIDと、同コンセントを具備したプラグ受を示す前記ノードIDと、同コンセントを示す前記エンドポイント番号と、連動条件に用いる同コンセントの電力使用状況を示す情報を示す項目としての「閾値」(図示例では、同コンセントにおける電力使用量)と、電力使用状況を示す情報を用いた連動条件を具体的に記述する項目としての「連動条件」(図示例では、閾値以上か以下か)と、同コンセントの電力使用状況に電源ON/OFF変更を連動させるコンセントを配下にするホストコントローラを示すホームIDと、同コンセントを具備したプラグ受を示すノードIDと、同コンセントを示すエンドポイント番号と、連動させる際の制御内容を示すエンドポイント制御への書き込み内容(電源ON/OFF)とからなる。
【0054】
図16、図17に示すように、この制御シナリオを実行するシナリオ処理部は、拠点Aに設置された、連動条件に用いる特定のコンセントについて、前記エンドポイントN測定値を監視し続ける。更新がある都度、拠点A側の特定コンセントの電力使用量が閾値以上か以下かという連動条件の合致性を判別する。
【0055】
この判別で連動条件に合致した場合(閾値以上)、電源ON/OFF変更を連動させる拠点Bの相手先コンセントの前記エンドポイントN情報を参照し、連動制御内容として規定されたのと同じ電源状態にあるか否かを判別する。同じ電源状態の場合、拠点Bの相手先コンセントを制御する必要はないので、監視状態に戻る。異なる電源状態にある場合、連動制御内容のエンドポント制御を「センサ制御データテーブル」に書き込む。これにより、相手先のコンセントを配下にもったホストコントローラに命令が与えられ、ホストコントローラから、当該プラグ受へ相手先のコンセントの電源OFFを命令する制御要求が送信される。
【0056】
実施例1のような他の装置から送信された信号を利用した連動制御例、実施例2のような複数拠点間のコンセント単位の連動制御以外にも、制御シナリオの追加実装により、様々な制御を利用者に提供することができる。
【0057】
例えば、オフィスでの利用シーンにて、拠点間でのデータ収集・制御機能を基本としたオフィス向けの制御シナリオを導入することで様々なメリットが見込める。具体的には、図18に示す実施例3のように、オフィスで退社時間になったら一斉電源OFF(パーソナルコンピュータ、コピー機、ポット等)を実現することができる。あらかじめ指定されたコンセント(同じビル、異なるビル間)は電源OFFしないなどの制御も可能である。オフィス内機器の電源をOFFさせるため、個人が意識して消し、最後に管理者が見回って消す管理に代えて、一元的に本社等で管理することが可能となる。タイマーでの制御が可能なため、複数のフロアが存在するオフィスであっても管理者の稼働がほぼ必要なくなる。また、一括制御が可能なため、全社統一した対応が可能となる。(厳密な管理が可能)。
【0058】
また、オフィス・家庭での利用シーンにて、ネットワーク上の他システムとの連携により、プラグ受に繋がっている機器を制御する別の応用例として、図19に示す実施例4のように、緊急地震速報システムとの連携により、特定のコンセントを電源OFFにすることで電気ストーブの転倒による火災発生等を防ぐことが可能である。また、同時に別拠点への通知(例えばテレビの電源をON)することで、事前の連絡も可能となる。緊急地震速報との連携により、電気ストーブ等を電源OFFにすることで、火災の発生を防ぐことが可能となる。また、コンセントを電源OFFにすることで通電火災の被害を防ぐことも可能となる。図示例のごとく、別拠点(祖父母宅)で地震が発生することを把握するため、自拠点(自宅)のテレビ等を電源ONにすることで、地震発生の詳細を把握することができる。また、事前に発生を検知することで、別拠点へ連絡することもできる。
【0059】
また、図20に実施例5を示すように、EV(電気自動車)の充電と連携することにより、労働時間外(例えば、17:30以降と設定)になり、EVがプラグ受から切り離されることで、プラグ受が電源OFFを検知し、あらかじめ設定した自宅までの帰宅時間になると自動的に自宅のエアコン等の電源がONになるような連動制御を制御シナリオで実現することもできる。
【0060】
また、図21に実施例6を示すように、入退室管理システムとの連携により、退館(退室)すれば、自席の特定のコンセントを電源OFFにすることが可能となり、消し忘れ防止が可能である。また、入室すれば自席の特定のコンセントを電源ONにすることも可能である(データセンタ等、入・退室の両方を管理しているところを想定)。
【0061】
この発明の技術的範囲は、上述の実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載に基く技術的思想の範囲内での全ての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0062】
1 プラグ受
2 ホストコントローラ
3 ネットワーク
4 集中制御装置
5 データ蓄積部
6 シナリオ処理部
7 端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプラグ受をリモートコントロール対象にもったホストコントローラと、ネットワークを介して接続された複数の前記ホストコントローラを遠隔制御する集中制御装置とを備え、
前記プラグ受は、前記ホストコントローラからの要求に応じて、コンセント単位で測定した電力使用量の当該ホストコントローラへの出力、コンセント単位での電源ON/OFF状態の当該ホストコントローラへの出力、及びコンセント単位での電源ON/OFF変更をそれぞれ実行可能なものであり、
前記集中制御装置は、前記ホストコントローラの識別情報、前記ホストコントローラに従う前記プラグ受の識別情報、前記プラグ受に備わるコンセントの識別情報及び前記ネットワークを介して受信した前記コンセントの電力使用状況を示す情報を記憶するデータ蓄積部と、予め入力された制御シナリオ及び前記データ蓄積部に記憶された情報に基いて決定した電源ON/OFF変更対象の前記コンセントの指定及び当該指定先への前記電源ON/OFF変更要求の発信を前記ホストコントローラへ命令するシナリオ処理部とを有し、
前記ホストコントローラは、前記命令を受信する都度、前記電源ON/OFF変更要求を発信する電力制御部を有しているネットワーク制御型電源管理システム。
【請求項2】
前記ネットワークが、IPネットワークからなり、
前記集中制御装置と前記ホストコントローラとの間で行う全ての情報通信が、当該ホストコントローラ側から定期的に問い合わせるポーリングで実行される請求項1に記載のネットワーク制御型電源管理システム。
【請求項3】
前記ホストコントローラと前記プラグ受との間で行う全ての情報通信が、当該ホストコントローラ側から定期的に問い合わせるポーリングで実行される前記請求項1又は2に記載のネットワーク制御型電源管理システム。
【請求項4】
前記データ蓄積部は、前記コンセントごとの電源ON/OFF状態を示すエンドポイント状態情報、及び前記コンセントごとの電力使用量を示すエンドポイント測定値情報、及びコンセント単位で電源ONからOFFへ変更する優先度を示すプライオリティ情報を記憶しており、
前記制御シナリオは、電力削減量の目標値が入力されると、前記エンドポイント状態情報及び前記プライオリティ情報の優先度を取り入れた抽出ルールに基いて電源ON中のコンセントを前記変更対象に決定する処理と、前記命令を送信後に前記目標値の充足又は未充足を判別する演算処理とを、前記目標値を充足するまで繰り返すプログラムからなる請求項1から3のいずれか1項に記載のネットワーク制御型電源管理システム。
【請求項5】
前記データ蓄積部は、互いに異なる前記ホストコントローラに属した前記プラグ受間で、電源ON/OFF変更を連動させるコンセントと、連動条件に用いるコンセントとの対向関係を示す情報、当該連動制御条件及び連動制御内容を示す情報を記憶しており、
前記制御シナリオは、前記連動制御条件を監視して前記連動制御内容の実行の是非を決定するプログラムからなる請求項1から3のいずれか1項に記載のネットワーク制御型電源管理システム。
【請求項6】
前記データ蓄積部は、他の装置から前記集中制御装置へ送信された信号に電源ON/OFF変更を連動させるコンセント、当該連動制御条件及び連動制御内容を示す情報を記憶しており、
前記制御シナリオは、前記連動制御条件を監視して前記連動制御内容の実行の是非を決定するプログラムからなる請求項1から4のいずれか1項に記載のネットワーク制御型電源管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−210019(P2012−210019A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72560(P2011−72560)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】