ネットワーク故障検出装置及び方法
【課題】通信ネットワークに対する負荷が小さく、中継装置に高い機能要求をすること無く、該通信ネットワーク内における通信障害の発生を検出すると共に、障害箇所を特定する。
【解決手段】ネットワーク故障検出装置(100)は、複数の端末の夫々について、対向する全ての端末のうち夫々の端末の接続状況に応じて選択される一部の端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行う疎通判定手段(111)と、疎通判定手段による判定が行われる際の各端末間の経路情報であって且つ2つの中継装置によって特定されるパスをつなぎ合わせて生成される経路情報を保持する経路情報保持手段(112)と、経路情報を構成するパス毎の疎通判定手段による判定の結果に基づいて、通信障害が発生しているパスを特定する故障個所特定手段(113)とを備える。
【解決手段】ネットワーク故障検出装置(100)は、複数の端末の夫々について、対向する全ての端末のうち夫々の端末の接続状況に応じて選択される一部の端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行う疎通判定手段(111)と、疎通判定手段による判定が行われる際の各端末間の経路情報であって且つ2つの中継装置によって特定されるパスをつなぎ合わせて生成される経路情報を保持する経路情報保持手段(112)と、経路情報を構成するパス毎の疎通判定手段による判定の結果に基づいて、通信障害が発生しているパスを特定する故障個所特定手段(113)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば通信ネットワーク内において通信障害が発生した場合に障害箇所を特定するネットワーク故障検出装置及び方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の端末で結ばれた通信ネットワークにおいて障害箇所を特定する方法として、隣接する(言い換えれば、対向する)端末間で疎通確認信号の受け渡しを行い、隣接する端末からの疎通確認信号を確認することにより障害箇所を特定する方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2等)。つまり、この方法によれば、隣接する端末から送信された疎通確認信号を正常に受信できない場合に、通信障害の発生を検出すると共に障害箇所を特定することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−244363号公報
【特許文献2】特開平10−242971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記技術において通信障害の発生を検出する場合、通信ネットワークを構成する全ての端末に関する疎通状態を確認する必要があるため、疎通確認信号による通信ネットワークに対する負荷が大きいという問題点がある。また、上記技術においては、各端末を中継する中継装置自体が疎通確認信号の送受信を行う必要があるため、各中継装置に要求されるスペックが高くなるという問題点がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、例えば通信ネットワークに対する負荷が小さく、中継装置に高い機能要求をすること無く、該通信ネットワーク内における通信障害の発生を検出すると共に、障害箇所を特定するネットワーク故障検出装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示のネットワーク故障検出装置は、複数の端末が接続されている通信ネットワーク内の故障個所を検出するネットワーク故障検出装置であって、前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末に対向する全ての端末のうち夫々の端末の接続状況に応じて選択される一部の端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行う疎通判定手段と、前記疎通判定手段による判定が行われる際の各端末間の経路情報であって且つ前記通信ネットワーク内で相隣接する2つの中継装置によって特定されるパスをつなぎ合わせて生成される経路情報を保持する経路情報保持手段と、前記経路情報を構成する前記パス毎の前記疎通判定手段による前記判定の結果に基づいて、通信障害が発生しているパスを特定する故障個所特定手段とを備える。
【0007】
開示のネットワーク故障検出方法は、複数の端末が接続されている通信ネットワーク内の故障個所を検出するネットワーク故障検出方法であって、前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末に対向する全ての端末のうち夫々の端末の接続状況に応じて選択される一部の端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行う疎通判定工程と、前記疎通判定工程において判定が行われる際の各端末間の経路情報であって且つ前記通信ネットワーク内で相隣接する2つの中継装置によって特定されるパスをつなぎ合わせて生成される経路情報を保持する経路情報保持工程と、前記経路情報を構成する前記パス毎の前記疎通判定手段による前記判定の結果に基づいて、通信障害が発生しているパスを特定する故障個所特定工程とを備える。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したネットワーク故障検出装置及び方法によれば、通信ネットワークに対する負荷が小さく、中継装置に高い機能要求をすること無く、該通信ネットワーク内における通信障害の発生を検出すると共に、障害箇所を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ネットワーク故障検出装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】ネットワーク故障検出装置の処理対象となる通信ネットワークの構成例を示すブロック図である。
【図3】疎通判定部が疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせの例を示すブロック図である。
【図4】疎通判定部が疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせの例を示すブロック図である。
【図5】疎通判定部が疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせの例を示すブロック図である。
【図6】疎通判定部がパケットの送受信を行う端末装置の組み合わせの例を示すブロック図である。
【図7】疎通判定部が疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせの例を示すブロック図である。
【図8】疎通情報を示すテーブルである。
【図9】疎通情報を経路情報に適用することで得られるテーブルである。
【図10】ネットワーク故障検出装置による処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明を実施するための形態を、図面に基づいて説明する。
【0011】
(1)ネットワーク故障検出装置
図1を参照して、本実施形態のネットワーク故障検出装置100の構成について説明する。図1は、ネットワーク故障検出装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、ネットワーク故障検出装置100は、CPU(Central Processing Unit)110と、ROM(Read-Only Memory)120と、RAM(Random Access Memory)130と、HDD(Hard Disc Drive)140と、通信I/F(Interface)150と、表示装置160とを備える。また、ネットワーク故障検出装置100は、通信ネットワーク200に接続されている。
【0013】
ここで、図2を用いて、ネットワーク故障検出装置100の処理対象となる通信ネットワーク200の構成例を説明する。
【0014】
図2で示すように、通信ネットワーク200においては、通信ネットワーク200の終端にある端末装置(1)から端末装置(4)がルータ(1)からルータ(6)を介して相互に接続される。より具体的には、図2に示す通信ネットワーク200では、端末装置(1)が接続されるルータ(1)は、パス(1)を介してルータ(2)と接続されている。ルータ(2)は、パス(2)を介してルータ(3)と接続されると共にパス(3)を介してルータ(5)と接続されている。ルータ(3)には端末装置(2)が接続されている。端末装置(3)が接続されるルータ(4)は、パス(4)を介してルータ(5)と接続されている。ルータ(5)は、パス(5)を介してルータ(6)と接続されると共にパス(3)を介してルータ(2)と接続されている。ルータ(6)には端末装置(4)が接続されている。
【0015】
尚、図2に示す端末装置及びルータの数及び接続態様はあくまで一例であり、図2に示す例とは異なる数の端末装置及びルータが、図2に示す態様とは異なる接続態様で接続されてもよい。
【0016】
再び図1において、CPU110は、ROM120に記憶されたプログラム(例えば、ファームウェア等)を実行する中央演算処理装置である。CPU110は、RAM130に展開(言い換えれば、ロード)されたデータを、プログラムの命令に従って演算処理し、ネットワーク故障検出装置100の全体を制御する。
【0017】
ROM120は、CPU110が実行するプログラムやデータを記憶している。RAM130は、ROM120に記憶されたプログラムがCPU110によって実行される際に、実行するプログラムやデータが展開(ロード)され、演算の間、演算データを一時的に保持する。HDD140は、基本ソフトウェアであるOSやアプリケーションプログラムなどを、関連するデータとともに記憶する装置である。
【0018】
通信I/F150は、無線又は有線の通信ネットワーク200を介して接続された他の通信制御機能を備えた周辺機器(ルータ、プローブ等)とデータを送受信するためのインタフェースである。表示装置160は、ハードキーによるキースイッチやLCD(Liquid Crystal Display)等で構成され、ネットワーク故障検出装置100が有する機能をユーザが利用する際や各種設定を行う際のユーザインタフェースとして機能する装置である。
【0019】
本実施形態では、CPU110は、その内部に実現される物理的な、論理的な又は機能的な処理ブロックとして、疎通判定部111と、経路情報保持部112と、故障箇所特定部113とを備える。尚、疎通判定部111と、経路情報保持部112と、故障箇所特定部113とは、CPU110がROM120に記憶された各部に対応するプログラムを実行することにより実現されてもよい。或いは、疎通判定部111と、経路情報保持部112と、故障箇所特定部113とは、当該各部に関する処理をハードウェアとして実現する形態としても良い。
【0020】
疎通判定部111は、通信ネットワーク200に接続される複数の端末装置間において、パケット(例えば、疎通確認パケット)の送受信が可能か否かの判定を行う。尚、端末装置は、例えば、通信ネットワーク200の終端に接続されるプローブである。
【0021】
疎通判定部111は、送信側の端末装置が送信した疎通確認パケットが、受信側の端末装置において受信できたか否かを判定することで、疎通確認パケットの送受信の可否状況を認識する。より具体的には、例えば、疎通判定部111は、送信側の端末装置から疎通確認パケットを送信した旨の通知及び受信側の端末装置から疎通確認パケットを受信した旨の通知の双方を受信することができた場合には、送信側の端末装置から受信側の端末装置に対する疎通確認パケットの送受信が可能であると判定する。他方で、例えば、疎通判定部111は、送信側の端末装置から疎通確認パケットを送信した旨の通知及び受信側の端末装置から疎通確認パケットを受信した旨の通知の少なくとも一方を受信することができなかった場合には、送信側の端末装置から受信側の端末装置に対する疎通確認パケットの送受信が不可能であると判定する。
【0022】
疎通判定部111は、一の端末装置と他の端末装置との間における疎通確認パケットの送受信の可否状況を判定する際、一の端末装置から他の端末装置に向かう方向及び他の端末装置から一の端末装置に向かう方向の双方について個別に、送受信の可否状況を判定することが好ましい。より具体的には、疎通判定部111は、一の端末装置から他の端末装置に向けて疎通確認パケットを送信させることで一の端末装置から他の端末装置に向かう方向の送受信の可否状況を判定すると共に、他の端末装置から一の端末装置に向けて疎通確認パケットを送信させることで他の端末装置から一の端末装置に向かう方向の送受信の可否状況を判定することが好ましい。
【0023】
疎通判定部111は、判定対象である端末装置間で疎通確認パケットの送受信を1回行い、当該1回の送受信結果に基づき可否判定を行ってもよい。或いは、疎通判定部111は、判定対象である端末装置間で疎通確認パケットの送受信を複数回行い、当該複数回の結果のうち送受信成功回数が所定の閾値以上である場合に、当該端末装置間で疎通確認パケットの送受信が可能であると判定してもよい。このとき、疎通判定部111は、各回の疎通確認パケットの送受信の可否判定について、疎通確認パケットの送受信に関する遅延時間が所定の閾値以下である場合に、疎通確認パケットの送受信が成功したと判定してもよい。
【0024】
本実施形態では、疎通判定部111は、全ての端末装置の間で疎通確認パケットの送受信を行うことに代えて、全ての端末装置の組み合わせのうちの一部の組み合わせを対象として疎通確認パケットの送受信を行う。つまり、本実施形態では、疎通判定部111は、全ての端末装置を対象としてフルメッシュでの疎通確認パケットの送受信を行わなくともよい。
【0025】
以下、図2で示す通信ネットワーク160に対して、疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせの例について、図3から図6を参照して説明する。
【0026】
図3に示すように、端末装置(1)が疎通確認パケットの送信元装置となる場合には、疎通判定部111は、当該端末装置(1)と対向する3つの端末装置(つまり、端末装置(2)、端末装置(3)及び端末装置(4))のうちの2つの端末装置(例えば、端末装置(2)及び端末装置(3))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択する。言い換えれば、疎通判定部111は、当該端末装置(1)と対向する3つの端末装置(つまり、端末装置(2)、端末装置(3)及び端末装置(4))のうちの1つの端末装置(例えば、端末装置(4))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択しなくともよい。
【0027】
より具体的には、疎通判定部111は、端末装置(1)を起点とする多分岐路(つまり、端末装置(1)から端末装置(2)、端末装置(3)及び端末装置(4)に向かう4分岐路)のうち両端の2つの経路を介して端末装置(1)と対向する2つの端末装置(例えば、端末装置(2)及び端末装置(3))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択する。
【0028】
従って、図3に示す例では、疎通判定部111は、端末装置(1)から端末装置(2)に向かう経路及び端末装置(1)から端末装置(3)に向かう経路の夫々において疎通確認パケットの送信を行うことで疎通を確認する。一方で、疎通判定部111は、端末装置(1)から端末装置(4)に向かう経路については疎通確認パケットの送信を行わないことで疎通を確認しない。従って、疎通確認パケットの送受信の回数は2回となる。このため、フルメッシュでの疎通確認パケットの送受信を行う場合には3回の疎通確認パケットの送受信が必要であることを考慮すれば、疎通確認パケットの送受信の回数を減らすことができる。
【0029】
同様に、図4に示すように、端末装置(2)が疎通確認パケットの送信元装置となる場合には、疎通判定部111は、当該端末装置(2)と対向する3つの端末装置(つまり、端末装置(1)、端末装置(3)及び端末装置(4))のうちの2つの端末装置(例えば、端末装置(1)及び端末装置(4))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択する。言い換えれば、疎通判定部111は、当該端末装置(2)と対向する3つの端末装置(つまり、端末装置(1)、端末装置(3)及び端末装置(4))のうちの1つの端末装置(例えば、端末装置(3))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択しなくともよい。
【0030】
より具体的には、疎通判定部111は、端末装置(2)を起点とする多分岐路(つまり、端末装置(2)から端末装置(1)、端末装置(3)及び端末装置(4)に向かう4分岐路)のうち両端の2つの経路を介して端末装置(2)と対向する2つの端末装置(例えば、端末装置(1)及び端末装置(4))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択する。
【0031】
従って、図4に示す例では、疎通判定部111は、端末装置(2)から端末装置(1)に向かう経路及び端末装置(2)から端末装置(4)に向かう経路の夫々において疎通確認パケットの送信を行うことで疎通を確認する。一方で、疎通判定部111は、端末装置(2)から端末装置(3)に向かう経路については疎通確認パケットの送信を行わないことで疎通を確認しない。従って、疎通確認パケットの送受信の回数は2回となる。このため、フルメッシュでの疎通確認パケットの送受信を行う場合には3回の疎通確認パケットの送受信が必要であることを考慮すれば、疎通確認パケットの送受信の回数を減らすことができる。
【0032】
同様に、図5に示すように、端末装置(3)が疎通確認パケットの送信元装置となる場合には、疎通判定部111は、当該端末装置(3)と対向する3つの端末装置(つまり、端末装置(1)、端末装置(2)及び端末装置(4))のうちの2つの端末装置(例えば、端末装置(1)及び端末装置(4))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択する。言い換えれば、疎通判定部111は、当該端末装置(3)と対向する3つの端末装置(つまり、端末装置(1)、端末装置(2)及び端末装置(4))のうちの1つの端末装置(例えば、端末装置(2))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択しなくともよい。
【0033】
より具体的には、疎通判定部111は、端末装置(3)を起点とする多分岐路(つまり、端末装置(3)から端末装置(1)、端末装置(2)及び端末装置(4)に向かう4分岐路)のうち両端の2つの経路を介して端末装置(3)と対向する2つの端末装置(例えば、端末装置(1)及び端末装置(4))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択する。
【0034】
従って、図5に示す例では、疎通判定部111は、端末装置(3)から端末装置(1)に向かう経路及び端末装置(3)から端末装置(4)に向かう経路の夫々において疎通確認パケットの送信を行うことで疎通を確認する。一方で、疎通判定部111は、端末装置(3)から端末装置(2)に向かう経路については疎通確認パケットの送信を行わないことで疎通を確認しない。従って、疎通確認パケットの送受信の回数は2回となる。このため、フルメッシュでの疎通確認パケットの送受信を行う場合には3回の疎通確認パケットの送受信が必要であることを考慮すれば、疎通確認パケットの送受信の回数を減らすことができる。
【0035】
同様に、図6に示すように、端末装置(4)が疎通確認パケットの送信元装置となる場合には、疎通判定部111は、当該端末装置(4)と対向する3つの端末装置(つまり、端末装置(1)、端末装置(2)及び端末装置(3))のうちの2つの端末装置(例えば、端末装置(2)及び端末装置(3))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択する。言い換えれば、疎通判定部111は、当該端末装置(4)と対向する3つの端末装置(つまり、端末装置(1)、端末装置(2)及び端末装置(3))のうちの1つの端末装置(例えば、端末装置(1))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択しなくともよい。
【0036】
より具体的には、疎通判定部111は、端末装置(4)を起点とする多分岐路(つまり、端末装置(4)から端末装置(1)、端末装置(2)及び端末装置(3)に向かう4分岐路)のうち両端の2つの経路を介して端末装置(4)と対向する2つの端末装置(例えば、端末装置(2)及び端末装置(3))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択する。
【0037】
従って、図6に示す例では、疎通判定部111は、端末装置(4)から端末装置(2)に向かう経路及び端末装置(4)から端末装置(3)に向かう経路の夫々において疎通確認パケットの送信を行うことで疎通を確認する。一方で、疎通判定部111は、端末装置(4)から端末装置(1)に向かう経路については疎通確認パケットの送信を行わないことで疎通を確認しない。従って、疎通確認パケットの送受信の回数は2回となる。このため、フルメッシュでの疎通確認パケットの送受信を行う場合には3回の疎通確認パケットの送受信が必要であることを考慮すれば、疎通確認パケットの送受信の回数を減らすことができる。
【0038】
尚、図3から図6に示す態様で疎通判定部111が疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせを選択することで、パス(1)からパス(5)の夫々において、少なくとも2回以上の疎通確認パケット送受信の可否判定が行われる。つまり、図3から図6に示す態様で疎通判定部111が疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせを選択することで、パス(1)からパス(5)の夫々を介して疎通確認パケットの送受信が少なくとも2回以上試みられる。言い換えれば、疎通判定部111は、全てのパス(1)からパス(5)の夫々において少なくとも2回以上の疎通確認パケットの送受信の可否判定が行われるように、疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせを選択することが好ましい。全てのパス(1)からパス(5)の夫々において少なくとも2回以上の疎通確認パケットの送受信の可否判定が行われるように疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせが選択されるのであれば、図3から図6に示す態様以外の態様で疎通判定部111が疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせを選択してもよい。
【0039】
尚、図7に示すように、端末装置(1)がパケットの送信元装置となる場合において、仮に端末装置(1)を起点とする多分岐路のうち両端の2つの経路のいずれかにおいて通信障害が発生していると検出された場合には、疎通判定部111は、端末装置(1)を起点とする多分岐路のうち両端の2つの経路以外の他の経路を介して端末装置(1)と対向する他の端末装置(例えば、端末装置(4))を、パケットの送信先装置として選択してもよい。つまり、仮に端末装置(1)を起点とする多分岐路のうち両端の2つの経路のいずれかにおいて通信障害が発生していると検出された場合には、疎通判定部111は、通信障害が発生している端末装置(1)と端末装置(3)との間の経路を多分岐路から除外することで仮想的に得られる新たな他分岐路を対象として、パケットの送信先装置となる端末装置を選択することが好ましい。このように構成することで、仮に通信ネットワーク200内の一部のパスに通信障害が発生している場合であっても、疎通確認パケットの送受信による疎通確認を適切に行うことができる。
【0040】
再び図1において、疎通判定部111は、通信ネットワーク200に接続される複数の端末装置間において、疎通確認パケットの送受信が可能か否かの判定を行った結果を示す疎通情報131をRAM130(或いは、HDD140)に格納する。例えば、図3から図6に示す態様で疎通確認パケットを送受信した結果得られる疎通情報131の一例は、図8に示される。図8に示す疎通情報131は、端末装置(1)と端末装置(3)との間及び端末装置(3)と端末装置(4)との間で疎通確認パケットの送受信が可能であったことを示す。他方で、図7に示す疎通情報131は、端末装置(1)と端末装置(2)との間及び端末装置(2)と端末装置(4)との間で疎通確認パケットの送受信が不可能であったことを示す。尚、上述したように、端末装置(1)と端末装置(4)との間及び端末装置(2)と端末装置(3)との間では、疎通確認パケットの送受信が行われない。従って、図7に示す疎通情報131は、端末装置(1)と端末装置(4)との間及び端末装置(2)と端末装置(3)との間で疎通確認パケットの送受信が不要であったことを示している。
【0041】
再び図1において、経路情報保持部112は、疎通判定部111による判定処理の際に疎通確認パケットが通過する経路(言い換えれば、各端末装置間の経路)に関する情報である経路情報132を取得して、当該経路情報132をRAM130(或いは、HDD140)に格納する。ここで、経路情報132は、通信ネットワーク200内で接続される2つの中継装置(例えば、ルータ)で特定されるパスを繋ぎ合わせて生成される情報である。
【0042】
例えば、図2で示す通信ネットワーク200において、端末装置(1)と端末装置(2)との間の経路情報132は、パス(1)とパス(2)とを繋いで生成される情報である。また、端末装置(1)から端末装置(2)の方向に関する経路情報132は、パス(1)とパス(2)とをこの順序で繋いで生成する情報であり、この逆方向に関する経路情報132は、パス(2)とパス(1)とをこの順序で繋いで生成される情報である。その他の端末装置間の経路情報132についても同様である。
【0043】
経路情報保持部112は、OSPF(Open Shortest Path First)においてネットワークのリンク状態に関する情報を格納するためのデータベースであるLSDB(Link State Data Base)から経路情報132を取得してもよい。
【0044】
故障箇所特定部113は、疎通確認パケットの送受信が行われた(言い換えれば、パケット送受信の可否判定が行われた)2つの端末装置の組合せの夫々に対応する経路情報132を構成する全てのパスに対し、各組合せに対応する疎通情報131を付与する。その後、故障箇所特定部113は、パス毎の疎通確認パケットの送受信の可否状況に基づいて、通信ネットワーク200において通信障害が発生していることを検出すると共に、通信障害が発生しているパスを検出する。つまり、故障箇所特定部113は、付与された疎通確認パケットの送受信の可否状況の全てが「否」となるパスにおいて通信障害が発生していると検出する。
【0045】
以下、図9を参照して、故障箇所特定部113の動作の一例を説明する。図9は、経路情報132を構成する全てのパスに対して図8に示す疎通情報131を付与することで生成されるテーブルを示す。テーブル内の「○」は「通信可」を示し、「×」は「通信不可」を示し、「−」は経路情報132の構成要素ではないことを示している。図9に示すように、端末装置(1)と端末装置(2)との間及び端末装置(2)と端末装置(4)と間において疎通確認パケットの送受信が不可であるため、故障箇所特定部113は、各装置間の経路情報132を構成する全てのパスに「×」を付与する。
【0046】
そして、図9で示すように、パス(2)に付与された疎通確認パケットの送受信の可否状況が全て否である(「×」となっている)ことに基づき、故障箇所特定部113は、パス(3)において通信障害が発生していることを検出する。
【0047】
続いて、図10を用いて、本実施形態のネットワーク故障検出装置100による処理例を説明する。図10は、ネットワーク故障検出装置100による処理例のフローチャートである。また、ここでは、図2で示す通信ネットワーク200を処理対象とし、図2のパス(2)において通信障害が発生する例に基づき説明を行う。
【0048】
図10に示すように、疎通判定部111は、各端末装置間で疎通確認パケットの送受信が可能か否かの判定を行う(ステップS11)。つまり、疎通判定部111は、図3から図6で示す合計8通りの端末装置の組合せについて、疎通確認パケットの送受信の可否判定を行う。尚、図2に示す通信ネットワーク200に対してフルメッシュで疎通確認パケットの送受信を行う場合には、合計12通りの端末装置の組合せについて、疎通確認パケットの送受信の可否判定を行うことになる。このため、本実施形態によれば、疎通確認パケットの送受信の可否判定における負荷を低減することができる。
【0049】
続けて、疎通判定部111は、疎通確認パケットの送受信の可否判定結果である疎通情報132をRAM130に格納する(ステップS12)。つまり、疎通判定部111は、図8に示すテーブルを疎通情報131として、RAM130に格納する。
【0050】
その後、経路情報保持部112は、経路情報132をLSDB等から取得して、当該経路情報132をRAM130に格納する(ステップS13)。つまり、図2に示すように、経路情報保持部112は、端末装置(1)と端末装置(2)との間にパス(1)及びパス(2)を対応させ、端末装置(1)と端末装置(3)との間にパス(1)、パス(3)及びパス(4)を対応させ、端末装置(1)と端末装置(4)との間にパス(1)、パス(3)及びパス(5)を対応させた情報を、経路情報132として保持する。同様に、経路情報保持部112は、他にも、端末装置(2)と端末装置(3)との間、端末装置(2)と端末装置(4)との間、及び端末装置(3)と端末装置(4)と間に対応するパスも保持する。
【0051】
その後、故障箇所特定部113は、図8に示す各端末装置間の送受信可否状況(つまり、疎通情報131)を、各端末装置間の経路情報132を構成する全てのパスに付与する(ステップS14)。つまり、故障箇所特定部113は、図9に示すテーブルを生成する。図9で示すように、故障箇所特定部113は、通信が可能である端末装置(1)と端末装置(3)との間及び端末装置(3)と端末装置(4)との間に対応するパスには「○」を付す。他方で、故障箇所特定部113は、通信が不可能である端末装置(1)と端末装置(2)との間及び端末装置(2)と端末装置(4)との間に対応するパスに「×」を付す。
【0052】
その後、故障箇所特定部113は、S14において生成したテーブル内で「×」のみが付されたパスを検出し、「×」のみが付されたパスが検出された場合(S15:Yes)、S16の処理に移行する。この処理例で、故障箇所特定部113は、「×」のみが付されたパス(2)を検出し、S16の処理に移行する。一方、故障箇所特定部113によって「×」のみが付されたパスが検出されない場合(S15:No)、S16の処理に移行しない。この場合、通信ネットワーク200において通信障害が発生していないことを意味する。
【0053】
このように、故障箇所特定部113は、通信ネットワーク200において通信障害が発生していることを検知すると共に、通信障害が発生している箇所をパス(2)と特定することができる。特に、ネットワーク故障検出装置100は、全ての端末装置間で疎通確認パケットの送受信が可能か否かの判定を行うことなく、一部の端末間で疎通確認パケットの送受信が可能か否かの判定を行えばよい。従って、ネットワーク故障検出装置100は、通信ネットワーク200に過度の負荷を掛けることなく、かつ、中継装置であるルータに高い機能を要求せずとも、該通信ネットワーク200内の通信障害の発生を検知し、同時に障害発生箇所を特定することが出来る。
【0054】
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
【0055】
(付記1)
複数の端末が接続されている通信ネットワーク内の故障個所を検出するネットワーク故障検出装置であって、
前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末に対向する全ての端末のうち夫々の端末の接続状況に応じて選択される一部の端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行う疎通判定手段と、
前記疎通判定手段による判定が行われる際の各端末間の経路情報であって且つ前記通信ネットワーク内で相隣接する2つの中継装置によって特定されるパスをつなぎ合わせて生成される経路情報を保持する経路情報保持手段と、
前記経路情報を構成する前記パス毎の前記疎通判定手段による前記判定の結果に基づいて、通信障害が発生しているパスを特定する故障個所特定手段と
を備えることを特徴とするネットワーク故障検出装置。
【0056】
(付記2)
前記疎通判定手段は、前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末に対向する全ての端末のうち、前記通信ネットワーク中の各パスにおいて前記パケットの送受信が可能か否かの判定が少なくとも2回以上行われるという基準を満たすように選択される2つの端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行うことを特徴とする付記1に記載のネットワーク故障検出装置。
【0057】
(付記3)
前記疎通判定手段は、前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末から前記対向する全ての端末に向かう多分岐路のうちの両端の2つの経路を介して隣接する2つの端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行うことを特徴とする付記1又は2に記載のネットワーク故障検出装置。
【0058】
(付記4)
前記疎通判定手段は、前記多分岐路のうちの両端の2つの経路を介して隣接する2つの端末との間においてパケットの送受信が可能でないと判定される場合には、前記多分岐路のうちの両端の2つの経路以外の他の経路を介して隣接する他の端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を更に行うことを特徴とする付記3に記載のネットワーク故障検出装置。
【0059】
(付記5)
前記疎通判定手段は、通信障害が発生しているパスが特定された場合には、当該パスを含む経路を前記多分岐路から除外した新たな多分岐路のうちの両端の2つの経路を介して隣接する2つの端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行うことを特徴とする付記3又は4に記載のネットワーク故障検出装置。
【0060】
(付記6)
前記故障個所特定手段は、前記疎通判定手段による前記判定の結果の全てが否となるパスを、通信障害が発生しているパスとして特定することを特徴とする付記1から5のいずれか一項に記載のネットワーク故障検出装置。
【0061】
(付記7)
複数の端末が接続されている通信ネットワーク内の故障個所を検出するネットワーク故障検出方法であって、
前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末に対向する全ての端末のうち夫々の端末の接続状況に応じて選択される一部の端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行う疎通判定工程と、
前記疎通判定工程において判定が行われる際の各端末間の経路情報であって且つ前記通信ネットワーク内で相隣接する2つの中継装置によって特定されるパスをつなぎ合わせて生成される経路情報を保持する経路情報保持工程と、
前記経路情報を構成する前記パス毎の前記疎通判定手段による前記判定の結果に基づいて、通信障害が発生しているパスを特定する故障個所特定工程と
を備えることを特徴とするネットワーク故障検出方法。
【0062】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うネットワーク故障検出装置及び方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
100 ネットワーク故障検出装置
110 CPU
111 疎通判定部
112 経路情報保持部
113 故障個所特定部
130 RAM
131 疎通情報
132 経路情報
200 通信ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば通信ネットワーク内において通信障害が発生した場合に障害箇所を特定するネットワーク故障検出装置及び方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の端末で結ばれた通信ネットワークにおいて障害箇所を特定する方法として、隣接する(言い換えれば、対向する)端末間で疎通確認信号の受け渡しを行い、隣接する端末からの疎通確認信号を確認することにより障害箇所を特定する方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2等)。つまり、この方法によれば、隣接する端末から送信された疎通確認信号を正常に受信できない場合に、通信障害の発生を検出すると共に障害箇所を特定することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−244363号公報
【特許文献2】特開平10−242971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記技術において通信障害の発生を検出する場合、通信ネットワークを構成する全ての端末に関する疎通状態を確認する必要があるため、疎通確認信号による通信ネットワークに対する負荷が大きいという問題点がある。また、上記技術においては、各端末を中継する中継装置自体が疎通確認信号の送受信を行う必要があるため、各中継装置に要求されるスペックが高くなるという問題点がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、例えば通信ネットワークに対する負荷が小さく、中継装置に高い機能要求をすること無く、該通信ネットワーク内における通信障害の発生を検出すると共に、障害箇所を特定するネットワーク故障検出装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示のネットワーク故障検出装置は、複数の端末が接続されている通信ネットワーク内の故障個所を検出するネットワーク故障検出装置であって、前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末に対向する全ての端末のうち夫々の端末の接続状況に応じて選択される一部の端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行う疎通判定手段と、前記疎通判定手段による判定が行われる際の各端末間の経路情報であって且つ前記通信ネットワーク内で相隣接する2つの中継装置によって特定されるパスをつなぎ合わせて生成される経路情報を保持する経路情報保持手段と、前記経路情報を構成する前記パス毎の前記疎通判定手段による前記判定の結果に基づいて、通信障害が発生しているパスを特定する故障個所特定手段とを備える。
【0007】
開示のネットワーク故障検出方法は、複数の端末が接続されている通信ネットワーク内の故障個所を検出するネットワーク故障検出方法であって、前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末に対向する全ての端末のうち夫々の端末の接続状況に応じて選択される一部の端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行う疎通判定工程と、前記疎通判定工程において判定が行われる際の各端末間の経路情報であって且つ前記通信ネットワーク内で相隣接する2つの中継装置によって特定されるパスをつなぎ合わせて生成される経路情報を保持する経路情報保持工程と、前記経路情報を構成する前記パス毎の前記疎通判定手段による前記判定の結果に基づいて、通信障害が発生しているパスを特定する故障個所特定工程とを備える。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したネットワーク故障検出装置及び方法によれば、通信ネットワークに対する負荷が小さく、中継装置に高い機能要求をすること無く、該通信ネットワーク内における通信障害の発生を検出すると共に、障害箇所を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ネットワーク故障検出装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】ネットワーク故障検出装置の処理対象となる通信ネットワークの構成例を示すブロック図である。
【図3】疎通判定部が疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせの例を示すブロック図である。
【図4】疎通判定部が疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせの例を示すブロック図である。
【図5】疎通判定部が疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせの例を示すブロック図である。
【図6】疎通判定部がパケットの送受信を行う端末装置の組み合わせの例を示すブロック図である。
【図7】疎通判定部が疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせの例を示すブロック図である。
【図8】疎通情報を示すテーブルである。
【図9】疎通情報を経路情報に適用することで得られるテーブルである。
【図10】ネットワーク故障検出装置による処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明を実施するための形態を、図面に基づいて説明する。
【0011】
(1)ネットワーク故障検出装置
図1を参照して、本実施形態のネットワーク故障検出装置100の構成について説明する。図1は、ネットワーク故障検出装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、ネットワーク故障検出装置100は、CPU(Central Processing Unit)110と、ROM(Read-Only Memory)120と、RAM(Random Access Memory)130と、HDD(Hard Disc Drive)140と、通信I/F(Interface)150と、表示装置160とを備える。また、ネットワーク故障検出装置100は、通信ネットワーク200に接続されている。
【0013】
ここで、図2を用いて、ネットワーク故障検出装置100の処理対象となる通信ネットワーク200の構成例を説明する。
【0014】
図2で示すように、通信ネットワーク200においては、通信ネットワーク200の終端にある端末装置(1)から端末装置(4)がルータ(1)からルータ(6)を介して相互に接続される。より具体的には、図2に示す通信ネットワーク200では、端末装置(1)が接続されるルータ(1)は、パス(1)を介してルータ(2)と接続されている。ルータ(2)は、パス(2)を介してルータ(3)と接続されると共にパス(3)を介してルータ(5)と接続されている。ルータ(3)には端末装置(2)が接続されている。端末装置(3)が接続されるルータ(4)は、パス(4)を介してルータ(5)と接続されている。ルータ(5)は、パス(5)を介してルータ(6)と接続されると共にパス(3)を介してルータ(2)と接続されている。ルータ(6)には端末装置(4)が接続されている。
【0015】
尚、図2に示す端末装置及びルータの数及び接続態様はあくまで一例であり、図2に示す例とは異なる数の端末装置及びルータが、図2に示す態様とは異なる接続態様で接続されてもよい。
【0016】
再び図1において、CPU110は、ROM120に記憶されたプログラム(例えば、ファームウェア等)を実行する中央演算処理装置である。CPU110は、RAM130に展開(言い換えれば、ロード)されたデータを、プログラムの命令に従って演算処理し、ネットワーク故障検出装置100の全体を制御する。
【0017】
ROM120は、CPU110が実行するプログラムやデータを記憶している。RAM130は、ROM120に記憶されたプログラムがCPU110によって実行される際に、実行するプログラムやデータが展開(ロード)され、演算の間、演算データを一時的に保持する。HDD140は、基本ソフトウェアであるOSやアプリケーションプログラムなどを、関連するデータとともに記憶する装置である。
【0018】
通信I/F150は、無線又は有線の通信ネットワーク200を介して接続された他の通信制御機能を備えた周辺機器(ルータ、プローブ等)とデータを送受信するためのインタフェースである。表示装置160は、ハードキーによるキースイッチやLCD(Liquid Crystal Display)等で構成され、ネットワーク故障検出装置100が有する機能をユーザが利用する際や各種設定を行う際のユーザインタフェースとして機能する装置である。
【0019】
本実施形態では、CPU110は、その内部に実現される物理的な、論理的な又は機能的な処理ブロックとして、疎通判定部111と、経路情報保持部112と、故障箇所特定部113とを備える。尚、疎通判定部111と、経路情報保持部112と、故障箇所特定部113とは、CPU110がROM120に記憶された各部に対応するプログラムを実行することにより実現されてもよい。或いは、疎通判定部111と、経路情報保持部112と、故障箇所特定部113とは、当該各部に関する処理をハードウェアとして実現する形態としても良い。
【0020】
疎通判定部111は、通信ネットワーク200に接続される複数の端末装置間において、パケット(例えば、疎通確認パケット)の送受信が可能か否かの判定を行う。尚、端末装置は、例えば、通信ネットワーク200の終端に接続されるプローブである。
【0021】
疎通判定部111は、送信側の端末装置が送信した疎通確認パケットが、受信側の端末装置において受信できたか否かを判定することで、疎通確認パケットの送受信の可否状況を認識する。より具体的には、例えば、疎通判定部111は、送信側の端末装置から疎通確認パケットを送信した旨の通知及び受信側の端末装置から疎通確認パケットを受信した旨の通知の双方を受信することができた場合には、送信側の端末装置から受信側の端末装置に対する疎通確認パケットの送受信が可能であると判定する。他方で、例えば、疎通判定部111は、送信側の端末装置から疎通確認パケットを送信した旨の通知及び受信側の端末装置から疎通確認パケットを受信した旨の通知の少なくとも一方を受信することができなかった場合には、送信側の端末装置から受信側の端末装置に対する疎通確認パケットの送受信が不可能であると判定する。
【0022】
疎通判定部111は、一の端末装置と他の端末装置との間における疎通確認パケットの送受信の可否状況を判定する際、一の端末装置から他の端末装置に向かう方向及び他の端末装置から一の端末装置に向かう方向の双方について個別に、送受信の可否状況を判定することが好ましい。より具体的には、疎通判定部111は、一の端末装置から他の端末装置に向けて疎通確認パケットを送信させることで一の端末装置から他の端末装置に向かう方向の送受信の可否状況を判定すると共に、他の端末装置から一の端末装置に向けて疎通確認パケットを送信させることで他の端末装置から一の端末装置に向かう方向の送受信の可否状況を判定することが好ましい。
【0023】
疎通判定部111は、判定対象である端末装置間で疎通確認パケットの送受信を1回行い、当該1回の送受信結果に基づき可否判定を行ってもよい。或いは、疎通判定部111は、判定対象である端末装置間で疎通確認パケットの送受信を複数回行い、当該複数回の結果のうち送受信成功回数が所定の閾値以上である場合に、当該端末装置間で疎通確認パケットの送受信が可能であると判定してもよい。このとき、疎通判定部111は、各回の疎通確認パケットの送受信の可否判定について、疎通確認パケットの送受信に関する遅延時間が所定の閾値以下である場合に、疎通確認パケットの送受信が成功したと判定してもよい。
【0024】
本実施形態では、疎通判定部111は、全ての端末装置の間で疎通確認パケットの送受信を行うことに代えて、全ての端末装置の組み合わせのうちの一部の組み合わせを対象として疎通確認パケットの送受信を行う。つまり、本実施形態では、疎通判定部111は、全ての端末装置を対象としてフルメッシュでの疎通確認パケットの送受信を行わなくともよい。
【0025】
以下、図2で示す通信ネットワーク160に対して、疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせの例について、図3から図6を参照して説明する。
【0026】
図3に示すように、端末装置(1)が疎通確認パケットの送信元装置となる場合には、疎通判定部111は、当該端末装置(1)と対向する3つの端末装置(つまり、端末装置(2)、端末装置(3)及び端末装置(4))のうちの2つの端末装置(例えば、端末装置(2)及び端末装置(3))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択する。言い換えれば、疎通判定部111は、当該端末装置(1)と対向する3つの端末装置(つまり、端末装置(2)、端末装置(3)及び端末装置(4))のうちの1つの端末装置(例えば、端末装置(4))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択しなくともよい。
【0027】
より具体的には、疎通判定部111は、端末装置(1)を起点とする多分岐路(つまり、端末装置(1)から端末装置(2)、端末装置(3)及び端末装置(4)に向かう4分岐路)のうち両端の2つの経路を介して端末装置(1)と対向する2つの端末装置(例えば、端末装置(2)及び端末装置(3))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択する。
【0028】
従って、図3に示す例では、疎通判定部111は、端末装置(1)から端末装置(2)に向かう経路及び端末装置(1)から端末装置(3)に向かう経路の夫々において疎通確認パケットの送信を行うことで疎通を確認する。一方で、疎通判定部111は、端末装置(1)から端末装置(4)に向かう経路については疎通確認パケットの送信を行わないことで疎通を確認しない。従って、疎通確認パケットの送受信の回数は2回となる。このため、フルメッシュでの疎通確認パケットの送受信を行う場合には3回の疎通確認パケットの送受信が必要であることを考慮すれば、疎通確認パケットの送受信の回数を減らすことができる。
【0029】
同様に、図4に示すように、端末装置(2)が疎通確認パケットの送信元装置となる場合には、疎通判定部111は、当該端末装置(2)と対向する3つの端末装置(つまり、端末装置(1)、端末装置(3)及び端末装置(4))のうちの2つの端末装置(例えば、端末装置(1)及び端末装置(4))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択する。言い換えれば、疎通判定部111は、当該端末装置(2)と対向する3つの端末装置(つまり、端末装置(1)、端末装置(3)及び端末装置(4))のうちの1つの端末装置(例えば、端末装置(3))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択しなくともよい。
【0030】
より具体的には、疎通判定部111は、端末装置(2)を起点とする多分岐路(つまり、端末装置(2)から端末装置(1)、端末装置(3)及び端末装置(4)に向かう4分岐路)のうち両端の2つの経路を介して端末装置(2)と対向する2つの端末装置(例えば、端末装置(1)及び端末装置(4))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択する。
【0031】
従って、図4に示す例では、疎通判定部111は、端末装置(2)から端末装置(1)に向かう経路及び端末装置(2)から端末装置(4)に向かう経路の夫々において疎通確認パケットの送信を行うことで疎通を確認する。一方で、疎通判定部111は、端末装置(2)から端末装置(3)に向かう経路については疎通確認パケットの送信を行わないことで疎通を確認しない。従って、疎通確認パケットの送受信の回数は2回となる。このため、フルメッシュでの疎通確認パケットの送受信を行う場合には3回の疎通確認パケットの送受信が必要であることを考慮すれば、疎通確認パケットの送受信の回数を減らすことができる。
【0032】
同様に、図5に示すように、端末装置(3)が疎通確認パケットの送信元装置となる場合には、疎通判定部111は、当該端末装置(3)と対向する3つの端末装置(つまり、端末装置(1)、端末装置(2)及び端末装置(4))のうちの2つの端末装置(例えば、端末装置(1)及び端末装置(4))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択する。言い換えれば、疎通判定部111は、当該端末装置(3)と対向する3つの端末装置(つまり、端末装置(1)、端末装置(2)及び端末装置(4))のうちの1つの端末装置(例えば、端末装置(2))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択しなくともよい。
【0033】
より具体的には、疎通判定部111は、端末装置(3)を起点とする多分岐路(つまり、端末装置(3)から端末装置(1)、端末装置(2)及び端末装置(4)に向かう4分岐路)のうち両端の2つの経路を介して端末装置(3)と対向する2つの端末装置(例えば、端末装置(1)及び端末装置(4))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択する。
【0034】
従って、図5に示す例では、疎通判定部111は、端末装置(3)から端末装置(1)に向かう経路及び端末装置(3)から端末装置(4)に向かう経路の夫々において疎通確認パケットの送信を行うことで疎通を確認する。一方で、疎通判定部111は、端末装置(3)から端末装置(2)に向かう経路については疎通確認パケットの送信を行わないことで疎通を確認しない。従って、疎通確認パケットの送受信の回数は2回となる。このため、フルメッシュでの疎通確認パケットの送受信を行う場合には3回の疎通確認パケットの送受信が必要であることを考慮すれば、疎通確認パケットの送受信の回数を減らすことができる。
【0035】
同様に、図6に示すように、端末装置(4)が疎通確認パケットの送信元装置となる場合には、疎通判定部111は、当該端末装置(4)と対向する3つの端末装置(つまり、端末装置(1)、端末装置(2)及び端末装置(3))のうちの2つの端末装置(例えば、端末装置(2)及び端末装置(3))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択する。言い換えれば、疎通判定部111は、当該端末装置(4)と対向する3つの端末装置(つまり、端末装置(1)、端末装置(2)及び端末装置(3))のうちの1つの端末装置(例えば、端末装置(1))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択しなくともよい。
【0036】
より具体的には、疎通判定部111は、端末装置(4)を起点とする多分岐路(つまり、端末装置(4)から端末装置(1)、端末装置(2)及び端末装置(3)に向かう4分岐路)のうち両端の2つの経路を介して端末装置(4)と対向する2つの端末装置(例えば、端末装置(2)及び端末装置(3))を、疎通確認パケットの送信先装置として選択する。
【0037】
従って、図6に示す例では、疎通判定部111は、端末装置(4)から端末装置(2)に向かう経路及び端末装置(4)から端末装置(3)に向かう経路の夫々において疎通確認パケットの送信を行うことで疎通を確認する。一方で、疎通判定部111は、端末装置(4)から端末装置(1)に向かう経路については疎通確認パケットの送信を行わないことで疎通を確認しない。従って、疎通確認パケットの送受信の回数は2回となる。このため、フルメッシュでの疎通確認パケットの送受信を行う場合には3回の疎通確認パケットの送受信が必要であることを考慮すれば、疎通確認パケットの送受信の回数を減らすことができる。
【0038】
尚、図3から図6に示す態様で疎通判定部111が疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせを選択することで、パス(1)からパス(5)の夫々において、少なくとも2回以上の疎通確認パケット送受信の可否判定が行われる。つまり、図3から図6に示す態様で疎通判定部111が疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせを選択することで、パス(1)からパス(5)の夫々を介して疎通確認パケットの送受信が少なくとも2回以上試みられる。言い換えれば、疎通判定部111は、全てのパス(1)からパス(5)の夫々において少なくとも2回以上の疎通確認パケットの送受信の可否判定が行われるように、疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせを選択することが好ましい。全てのパス(1)からパス(5)の夫々において少なくとも2回以上の疎通確認パケットの送受信の可否判定が行われるように疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせが選択されるのであれば、図3から図6に示す態様以外の態様で疎通判定部111が疎通確認パケットの送受信を行う端末装置の組み合わせを選択してもよい。
【0039】
尚、図7に示すように、端末装置(1)がパケットの送信元装置となる場合において、仮に端末装置(1)を起点とする多分岐路のうち両端の2つの経路のいずれかにおいて通信障害が発生していると検出された場合には、疎通判定部111は、端末装置(1)を起点とする多分岐路のうち両端の2つの経路以外の他の経路を介して端末装置(1)と対向する他の端末装置(例えば、端末装置(4))を、パケットの送信先装置として選択してもよい。つまり、仮に端末装置(1)を起点とする多分岐路のうち両端の2つの経路のいずれかにおいて通信障害が発生していると検出された場合には、疎通判定部111は、通信障害が発生している端末装置(1)と端末装置(3)との間の経路を多分岐路から除外することで仮想的に得られる新たな他分岐路を対象として、パケットの送信先装置となる端末装置を選択することが好ましい。このように構成することで、仮に通信ネットワーク200内の一部のパスに通信障害が発生している場合であっても、疎通確認パケットの送受信による疎通確認を適切に行うことができる。
【0040】
再び図1において、疎通判定部111は、通信ネットワーク200に接続される複数の端末装置間において、疎通確認パケットの送受信が可能か否かの判定を行った結果を示す疎通情報131をRAM130(或いは、HDD140)に格納する。例えば、図3から図6に示す態様で疎通確認パケットを送受信した結果得られる疎通情報131の一例は、図8に示される。図8に示す疎通情報131は、端末装置(1)と端末装置(3)との間及び端末装置(3)と端末装置(4)との間で疎通確認パケットの送受信が可能であったことを示す。他方で、図7に示す疎通情報131は、端末装置(1)と端末装置(2)との間及び端末装置(2)と端末装置(4)との間で疎通確認パケットの送受信が不可能であったことを示す。尚、上述したように、端末装置(1)と端末装置(4)との間及び端末装置(2)と端末装置(3)との間では、疎通確認パケットの送受信が行われない。従って、図7に示す疎通情報131は、端末装置(1)と端末装置(4)との間及び端末装置(2)と端末装置(3)との間で疎通確認パケットの送受信が不要であったことを示している。
【0041】
再び図1において、経路情報保持部112は、疎通判定部111による判定処理の際に疎通確認パケットが通過する経路(言い換えれば、各端末装置間の経路)に関する情報である経路情報132を取得して、当該経路情報132をRAM130(或いは、HDD140)に格納する。ここで、経路情報132は、通信ネットワーク200内で接続される2つの中継装置(例えば、ルータ)で特定されるパスを繋ぎ合わせて生成される情報である。
【0042】
例えば、図2で示す通信ネットワーク200において、端末装置(1)と端末装置(2)との間の経路情報132は、パス(1)とパス(2)とを繋いで生成される情報である。また、端末装置(1)から端末装置(2)の方向に関する経路情報132は、パス(1)とパス(2)とをこの順序で繋いで生成する情報であり、この逆方向に関する経路情報132は、パス(2)とパス(1)とをこの順序で繋いで生成される情報である。その他の端末装置間の経路情報132についても同様である。
【0043】
経路情報保持部112は、OSPF(Open Shortest Path First)においてネットワークのリンク状態に関する情報を格納するためのデータベースであるLSDB(Link State Data Base)から経路情報132を取得してもよい。
【0044】
故障箇所特定部113は、疎通確認パケットの送受信が行われた(言い換えれば、パケット送受信の可否判定が行われた)2つの端末装置の組合せの夫々に対応する経路情報132を構成する全てのパスに対し、各組合せに対応する疎通情報131を付与する。その後、故障箇所特定部113は、パス毎の疎通確認パケットの送受信の可否状況に基づいて、通信ネットワーク200において通信障害が発生していることを検出すると共に、通信障害が発生しているパスを検出する。つまり、故障箇所特定部113は、付与された疎通確認パケットの送受信の可否状況の全てが「否」となるパスにおいて通信障害が発生していると検出する。
【0045】
以下、図9を参照して、故障箇所特定部113の動作の一例を説明する。図9は、経路情報132を構成する全てのパスに対して図8に示す疎通情報131を付与することで生成されるテーブルを示す。テーブル内の「○」は「通信可」を示し、「×」は「通信不可」を示し、「−」は経路情報132の構成要素ではないことを示している。図9に示すように、端末装置(1)と端末装置(2)との間及び端末装置(2)と端末装置(4)と間において疎通確認パケットの送受信が不可であるため、故障箇所特定部113は、各装置間の経路情報132を構成する全てのパスに「×」を付与する。
【0046】
そして、図9で示すように、パス(2)に付与された疎通確認パケットの送受信の可否状況が全て否である(「×」となっている)ことに基づき、故障箇所特定部113は、パス(3)において通信障害が発生していることを検出する。
【0047】
続いて、図10を用いて、本実施形態のネットワーク故障検出装置100による処理例を説明する。図10は、ネットワーク故障検出装置100による処理例のフローチャートである。また、ここでは、図2で示す通信ネットワーク200を処理対象とし、図2のパス(2)において通信障害が発生する例に基づき説明を行う。
【0048】
図10に示すように、疎通判定部111は、各端末装置間で疎通確認パケットの送受信が可能か否かの判定を行う(ステップS11)。つまり、疎通判定部111は、図3から図6で示す合計8通りの端末装置の組合せについて、疎通確認パケットの送受信の可否判定を行う。尚、図2に示す通信ネットワーク200に対してフルメッシュで疎通確認パケットの送受信を行う場合には、合計12通りの端末装置の組合せについて、疎通確認パケットの送受信の可否判定を行うことになる。このため、本実施形態によれば、疎通確認パケットの送受信の可否判定における負荷を低減することができる。
【0049】
続けて、疎通判定部111は、疎通確認パケットの送受信の可否判定結果である疎通情報132をRAM130に格納する(ステップS12)。つまり、疎通判定部111は、図8に示すテーブルを疎通情報131として、RAM130に格納する。
【0050】
その後、経路情報保持部112は、経路情報132をLSDB等から取得して、当該経路情報132をRAM130に格納する(ステップS13)。つまり、図2に示すように、経路情報保持部112は、端末装置(1)と端末装置(2)との間にパス(1)及びパス(2)を対応させ、端末装置(1)と端末装置(3)との間にパス(1)、パス(3)及びパス(4)を対応させ、端末装置(1)と端末装置(4)との間にパス(1)、パス(3)及びパス(5)を対応させた情報を、経路情報132として保持する。同様に、経路情報保持部112は、他にも、端末装置(2)と端末装置(3)との間、端末装置(2)と端末装置(4)との間、及び端末装置(3)と端末装置(4)と間に対応するパスも保持する。
【0051】
その後、故障箇所特定部113は、図8に示す各端末装置間の送受信可否状況(つまり、疎通情報131)を、各端末装置間の経路情報132を構成する全てのパスに付与する(ステップS14)。つまり、故障箇所特定部113は、図9に示すテーブルを生成する。図9で示すように、故障箇所特定部113は、通信が可能である端末装置(1)と端末装置(3)との間及び端末装置(3)と端末装置(4)との間に対応するパスには「○」を付す。他方で、故障箇所特定部113は、通信が不可能である端末装置(1)と端末装置(2)との間及び端末装置(2)と端末装置(4)との間に対応するパスに「×」を付す。
【0052】
その後、故障箇所特定部113は、S14において生成したテーブル内で「×」のみが付されたパスを検出し、「×」のみが付されたパスが検出された場合(S15:Yes)、S16の処理に移行する。この処理例で、故障箇所特定部113は、「×」のみが付されたパス(2)を検出し、S16の処理に移行する。一方、故障箇所特定部113によって「×」のみが付されたパスが検出されない場合(S15:No)、S16の処理に移行しない。この場合、通信ネットワーク200において通信障害が発生していないことを意味する。
【0053】
このように、故障箇所特定部113は、通信ネットワーク200において通信障害が発生していることを検知すると共に、通信障害が発生している箇所をパス(2)と特定することができる。特に、ネットワーク故障検出装置100は、全ての端末装置間で疎通確認パケットの送受信が可能か否かの判定を行うことなく、一部の端末間で疎通確認パケットの送受信が可能か否かの判定を行えばよい。従って、ネットワーク故障検出装置100は、通信ネットワーク200に過度の負荷を掛けることなく、かつ、中継装置であるルータに高い機能を要求せずとも、該通信ネットワーク200内の通信障害の発生を検知し、同時に障害発生箇所を特定することが出来る。
【0054】
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
【0055】
(付記1)
複数の端末が接続されている通信ネットワーク内の故障個所を検出するネットワーク故障検出装置であって、
前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末に対向する全ての端末のうち夫々の端末の接続状況に応じて選択される一部の端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行う疎通判定手段と、
前記疎通判定手段による判定が行われる際の各端末間の経路情報であって且つ前記通信ネットワーク内で相隣接する2つの中継装置によって特定されるパスをつなぎ合わせて生成される経路情報を保持する経路情報保持手段と、
前記経路情報を構成する前記パス毎の前記疎通判定手段による前記判定の結果に基づいて、通信障害が発生しているパスを特定する故障個所特定手段と
を備えることを特徴とするネットワーク故障検出装置。
【0056】
(付記2)
前記疎通判定手段は、前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末に対向する全ての端末のうち、前記通信ネットワーク中の各パスにおいて前記パケットの送受信が可能か否かの判定が少なくとも2回以上行われるという基準を満たすように選択される2つの端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行うことを特徴とする付記1に記載のネットワーク故障検出装置。
【0057】
(付記3)
前記疎通判定手段は、前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末から前記対向する全ての端末に向かう多分岐路のうちの両端の2つの経路を介して隣接する2つの端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行うことを特徴とする付記1又は2に記載のネットワーク故障検出装置。
【0058】
(付記4)
前記疎通判定手段は、前記多分岐路のうちの両端の2つの経路を介して隣接する2つの端末との間においてパケットの送受信が可能でないと判定される場合には、前記多分岐路のうちの両端の2つの経路以外の他の経路を介して隣接する他の端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を更に行うことを特徴とする付記3に記載のネットワーク故障検出装置。
【0059】
(付記5)
前記疎通判定手段は、通信障害が発生しているパスが特定された場合には、当該パスを含む経路を前記多分岐路から除外した新たな多分岐路のうちの両端の2つの経路を介して隣接する2つの端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行うことを特徴とする付記3又は4に記載のネットワーク故障検出装置。
【0060】
(付記6)
前記故障個所特定手段は、前記疎通判定手段による前記判定の結果の全てが否となるパスを、通信障害が発生しているパスとして特定することを特徴とする付記1から5のいずれか一項に記載のネットワーク故障検出装置。
【0061】
(付記7)
複数の端末が接続されている通信ネットワーク内の故障個所を検出するネットワーク故障検出方法であって、
前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末に対向する全ての端末のうち夫々の端末の接続状況に応じて選択される一部の端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行う疎通判定工程と、
前記疎通判定工程において判定が行われる際の各端末間の経路情報であって且つ前記通信ネットワーク内で相隣接する2つの中継装置によって特定されるパスをつなぎ合わせて生成される経路情報を保持する経路情報保持工程と、
前記経路情報を構成する前記パス毎の前記疎通判定手段による前記判定の結果に基づいて、通信障害が発生しているパスを特定する故障個所特定工程と
を備えることを特徴とするネットワーク故障検出方法。
【0062】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うネットワーク故障検出装置及び方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
100 ネットワーク故障検出装置
110 CPU
111 疎通判定部
112 経路情報保持部
113 故障個所特定部
130 RAM
131 疎通情報
132 経路情報
200 通信ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末が接続されている通信ネットワーク内の故障個所を検出するネットワーク故障検出装置であって、
前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末に対向する全ての端末のうち夫々の端末の接続状況に応じて選択される一部の端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行う疎通判定手段と、
前記疎通判定手段による判定が行われる際の各端末間の経路情報であって且つ前記通信ネットワーク内で相隣接する2つの中継装置によって特定されるパスをつなぎ合わせて生成される経路情報を保持する経路情報保持手段と、
前記経路情報を構成する前記パス毎の前記疎通判定手段による前記判定の結果に基づいて、通信障害が発生しているパスを特定する故障個所特定手段と
を備えることを特徴とするネットワーク故障検出装置。
【請求項2】
前記疎通判定手段は、前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末に対向する全ての端末のうち、前記通信ネットワーク中の各パスにおいて前記パケットの送受信が可能か否かの判定が少なくとも2回以上行われるという基準を満たすように選択される2つの端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行うことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク故障検出装置。
【請求項3】
前記疎通判定手段は、前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末から前記対向する全ての端末に向かう多分岐路のうちの両端の2つの経路を介して隣接する2つの端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワーク故障検出装置。
【請求項4】
前記疎通判定手段は、前記多分岐路のうちの両端の2つの経路を介して隣接する2つの端末との間においてパケットの送受信が可能でないと判定される場合には、前記多分岐路のうちの両端の2つの経路以外の他の経路を介して隣接する他の端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を更に行うことを特徴とする請求項3に記載のネットワーク故障検出装置。
【請求項5】
前記疎通判定手段は、通信障害が発生しているパスが特定された場合には、当該パスを含む経路を前記多分岐路から除外した新たな多分岐路のうちの両端の2つの経路を介して隣接する2つの端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載のネットワーク故障検出装置。
【請求項6】
前記故障個所特定手段は、前記疎通判定手段による前記判定の結果の全てが否となるパスを、通信障害が発生しているパスとして特定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のネットワーク故障検出装置。
【請求項7】
複数の端末が接続されている通信ネットワーク内の故障個所を検出するネットワーク故障検出方法であって、
前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末に対向する全ての端末のうち夫々の端末の接続状況に応じて選択される一部の端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行う疎通判定工程と、
前記疎通判定工程において判定が行われる際の各端末間の経路情報であって且つ前記通信ネットワーク内で相隣接する2つの中継装置によって特定されるパスをつなぎ合わせて生成される経路情報を保持する経路情報保持工程と、
前記経路情報を構成する前記パス毎の前記疎通判定手段による前記判定の結果に基づいて、通信障害が発生しているパスを特定する故障個所特定工程と
を備えることを特徴とするネットワーク故障検出方法。
【請求項1】
複数の端末が接続されている通信ネットワーク内の故障個所を検出するネットワーク故障検出装置であって、
前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末に対向する全ての端末のうち夫々の端末の接続状況に応じて選択される一部の端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行う疎通判定手段と、
前記疎通判定手段による判定が行われる際の各端末間の経路情報であって且つ前記通信ネットワーク内で相隣接する2つの中継装置によって特定されるパスをつなぎ合わせて生成される経路情報を保持する経路情報保持手段と、
前記経路情報を構成する前記パス毎の前記疎通判定手段による前記判定の結果に基づいて、通信障害が発生しているパスを特定する故障個所特定手段と
を備えることを特徴とするネットワーク故障検出装置。
【請求項2】
前記疎通判定手段は、前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末に対向する全ての端末のうち、前記通信ネットワーク中の各パスにおいて前記パケットの送受信が可能か否かの判定が少なくとも2回以上行われるという基準を満たすように選択される2つの端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行うことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク故障検出装置。
【請求項3】
前記疎通判定手段は、前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末から前記対向する全ての端末に向かう多分岐路のうちの両端の2つの経路を介して隣接する2つの端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワーク故障検出装置。
【請求項4】
前記疎通判定手段は、前記多分岐路のうちの両端の2つの経路を介して隣接する2つの端末との間においてパケットの送受信が可能でないと判定される場合には、前記多分岐路のうちの両端の2つの経路以外の他の経路を介して隣接する他の端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を更に行うことを特徴とする請求項3に記載のネットワーク故障検出装置。
【請求項5】
前記疎通判定手段は、通信障害が発生しているパスが特定された場合には、当該パスを含む経路を前記多分岐路から除外した新たな多分岐路のうちの両端の2つの経路を介して隣接する2つの端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載のネットワーク故障検出装置。
【請求項6】
前記故障個所特定手段は、前記疎通判定手段による前記判定の結果の全てが否となるパスを、通信障害が発生しているパスとして特定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のネットワーク故障検出装置。
【請求項7】
複数の端末が接続されている通信ネットワーク内の故障個所を検出するネットワーク故障検出方法であって、
前記複数の端末の夫々について、当該夫々の端末に対向する全ての端末のうち夫々の端末の接続状況に応じて選択される一部の端末との間においてパケットの送受信が可能か否かの判定を行う疎通判定工程と、
前記疎通判定工程において判定が行われる際の各端末間の経路情報であって且つ前記通信ネットワーク内で相隣接する2つの中継装置によって特定されるパスをつなぎ合わせて生成される経路情報を保持する経路情報保持工程と、
前記経路情報を構成する前記パス毎の前記疎通判定手段による前記判定の結果に基づいて、通信障害が発生しているパスを特定する故障個所特定工程と
を備えることを特徴とするネットワーク故障検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−249010(P2012−249010A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118149(P2011−118149)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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