説明

ネットワーク管理システム,管理対象装置,管理装置,プログラム

【課題】 データサイズの大きなデータであっても、管理装置に変更を加えることなく扱うことができるようにする。
【解決手段】 イメージデータが格納されたテーブルオブジェクトを識別する値に接頭辞を設定すると共に接尾辞を0に設定する(S110)。これら接頭辞,接尾辞からなる名前で特定されるデータをGET_NEXTを用いて取得し、受信したGETREPLYに示された接尾辞が、送信したGET_NEXTにて指定した接尾辞と同じであれば、受信データをデータ合成部にて作成中のイメージデータに追加し、GETREPLYに示された接尾辞を、次に送信するGET_NEXTの接尾辞に設定して、同様の動作を繰り返し実行する。一方、両接尾辞が異なる場合には、受信したデータを破棄して本処理を終了する(S120〜S160)。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、管理対象装置が有する管理情報を管理装置が収集するネットワーク管理システム、そのネットワーク管理システムに用いる管理対象装置,管理装置,プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ネットワークに接続されたプリンタ,スキャナ,FAX,MFP(Multifunction Peripheral:複合機)などのネットワーク機器(管理対象装置)を、これら管理対象装置とは別途設けられた管理装置により、簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP:Simple Network Management Protocol)を用いてネットワーク経由で集中的に監視・制御するネットワーク管理システムが知られている。
【0003】ここで、図4は、TCP/IPを用いるネットワーク上に構成されたネットワーク管理システムのソフトウェア構成を表すブロック図である。図4に示すように、管理対象装置TNi(i=1〜4)は、その管理対象装置TNiについての管理情報(オブジェクト)の集合であるオブジェクト群111a、及び管理情報を特定するための情報であるMIBツリー辞書111bからなる管理情報ベース(MIB:Management Information Base )111と、TCP/IPプロトコルに従った通信制御を行う通信制御部113と、通信制御部113を介して管理装置TCから受信した要求メッセージ(GETコマンド,GET_NEXTコマンド,SETコマンド)に従ってMIB111の情報の読出や更新を行い、通信制御部113を介して管理装置TCに対して応答メッセージ(GETREPLY)等を送信する処理を行うためのプログラムであるSNMPエージェント112とが実装される。
【0004】一方、管理装置TCには、オペレータからの指示を入力する入力部121と、各種情報を表示するための表示部122と、表示部122に管理対象装置TNiの外観図を表示する際に使用するイメージデータの集合であるイメージデータ群123と、TCP/IPプロトコルに従った通信制御を行う通信制御部126と、通信制御部126を介して上述の要求メッセージや応答メッセージ(以下総称して「SNMPメッセージ」という)を送受信することにより、管理対象装置TNiに実装されたSNMPエージェント112を用いて、管理情報の取得や設定を行うためのプログラムであるSNMPマネージャ125と、入力部121を介して入力される指示に従い、SNMPマネージャ125を用いて管理対象装置TNiから獲得した情報や、イメージデータ群123から取得した管理対象装置TNiの概観図を表示部122に表示する等の処理を行うコントロール部124とが実装されている。
【0005】このように構成されたネットワーク管理システム100では、管理装置TCを立ち上げると、まず、ネットワークに接続された管理対象装置TNiの一覧が表示部122に表示され、入力部121からの指示によりその中の一つが選択されると、表示部122の表示が、その選択された管理対象装置TNiに関する管理画面に切り替わり、その管理画面上で動作状態や設定状態の確認や変更を行うことが可能となる。
【0006】ここで、図5は、管理画面への切替時に最初に表示される初期画面の一例を示すものであり、ここでは、管理対象装置TNiの性能W1や外観図W2の他、現在の動作状態W3や各種管理情報の設定値W4等を表示するように構成されている。
【0007】この場合、外観図W2については管理装置TCに用意されたイメージデータ群123から対応する管理対象装置TNiのイメージデータを選択して使用し、それ以外のデータW1,W3,W4については、SNMPメッセージを使用して、管理対象装置TNiから取得した値を使用して表示が行われる。
【0008】なお、外観図W2についてのイメージデータが管理装置TC側で用意されているのは、SNMPでは、1回のメッセージで取得できるデータの最大長が制限(例えば255バイト)されているため、外観図W2についてのイメージデータ等、この最大長を越える大きなデータは、SNMPを用いて取得することができないためである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のネットワーク管理システム100の場合、管理装置TCは、管理すべき管理対象装置TNiの数だけ外観図を持たなければならず、その数が多くなるほどイメージデータ群123のために大きな記憶容量を確保しなければならない。しかも、新機種の管理対象装置TNiがネットワークに接続された場合、管理装置TCには、対応する外観図のイメージデータが用意されていないため、これを表示することができず、結局、新機種の管理対象装置TNiがネットワークに接続される毎に、イメージデータ群123の更新をしなければならないという問題があった。
【0010】本発明は、上記問題点を解決するために、データサイズの大きなデータであっても、管理装置側に変更を加えることなく扱うことができるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための発明である請求項1記載のネットワーク管理システムでは、管理情報として管理すべきデータが、管理装置が管理対象装置から単一のメッセージで取得可能な上限データサイズより大きなデータサイズを有する場合これを特定データとし、管理対象装置は、その特定データを上限データサイズ以下のデータサイズを有する一連の分割データに分割して、これら一連の分割データを管理情報として管理手段で管理する。
【0012】そして、管理装置は、特定データを必要とする場合、管理対象装置から一連の分割データに対応する管理情報を順次取得し、特定データ復元手段を介してその取得した管理情報を連結することで特定データを復元して用いる。なお、特定データとしては、例えば、請求項2記載のように、イメージデータが考えられ、より具体的には、請求項3記載のように、例えば、管理対象装置の外観図が考えられる。
【0013】つまり、本発明のネットワーク管理システムでは、単一のメッセージでは扱うことのできない大きな特定データ(外観図のイメージデータ等)を、一連の分割データに分割して管理対象装置側に持たせることができるため、例えば、新たな特定データを用いる新機種の管理対象装置がネットワークに接続されたとしても、管理装置側に変更(バージョンアップ)を強いることなく、その特定データに対応(新機種の管理対象装置の外観図を表示)することができる。
【0014】次に、請求項4の管理対象装置では、管理情報として管理すべきデータが、単一のメッセージで管理装置に提供可能な上限データサイズより大きなデータサイズを有する特定データである場合、その特定データを上限データサイズ以下のデータサイズを有する一連の分割データに分割して、これら一連の分割データを管理情報として管理手段で管理する。
【0015】つまり、本発明の管理対象装置は、請求項1乃至請求項3いずれか記載のネットワーク管理システムを構成する際に、好適に用いることができる。そして、この場合、請求項5記載のように、管理手段は、一連の分割データに対応する管理情報を、GET_NEXTコマンドを用いて連続的に提供可能となるように管理することが望ましい。
【0016】具体的には、例えば、請求項6記載のように、一連の分割データが、インスタンスインデックスで識別される複数の値を持った管理情報であるテーブルオブジェクトを構成するように設定すればよい。即ち、一連の分割データを、単一の値しか持たない管理情報であるスカラーオブジェクトにそれぞれ割り当てた場合、特定データの容量に変更があると、管理情報の数まで増減する可能性があり、その場合、MIBの定義まで変更しなければならないが、テーブルオブジェクトに割り当てた場合、特定データの容量に変更があっても、テーブルオブジェクトが持つ値の数が変化するだけで、MIBの定義には影響を与えないため、柔軟な運用が可能となるのである。
【0017】次に、請求項7記載の管理装置では、分割データ取得手段が、管理対象装置から一連の分割データに対応する管理情報を順次取得し、特定データ復元手段が、その取得した管理情報を連結して、特定データを復元する。即ち、本発明の管理装置は、請求項1乃至請求項3いずれか記載のネットワーク管理システムを構成する際に、好適に用いることができる。
【0018】特に、管理対象装置として請求項5又は請求項6に記載のものを用いる場合には、請求項8記載のように、分割データ取得手段は、GET_NEXTコマンドを繰り返し用いることにより、管理対象装置から前記一連の分割データに対応する管理情報を順次取得するように構成することが望ましい。
【0019】そして、このようにGET_NEXTコマンドを用いる場合、分割データ取得手段は、請求項9記載のように、管理情報と共に取得される該管理情報を識別するための名前に基づいて、コマンドの使用を継続するか否かを判断してもよい。このように、GET_NEXTコマンドを用いた場合、そのコマンドに示した管理情報を識別するための名前に対して、MIBの構造を示すMIBツリー上で次の位置に配置された管理情報が、その管理情報を識別するための名前と共に取得されるため、その名前を監視することにより、一連の分割データの取得を終了したか否かを簡単に判断することができる。つまり、管理装置は、特定データの大きさを予め知らなくても、その特定データを確実に取り込むことができる。
【0020】なお、一連の分割データに対応する管理情報に、その一連の分割データのうち末尾のものであるか否かを示すための末尾フラグが含まれている場合には、分割データ取得手段は、請求項10記載のように、取得した管理情報に含まれる末尾フラグに従って、コマンドの使用を継続するか否かを判断してもよい。
【0021】また、一連の分割データに対応する管理情報の先頭部分に、分割データを組み立ててなる特定データのデータ長に関する情報が含まれている場合には、このデータを用いて、コマンドの使用を継続するか否かを判断してもよい。これらの場合、請求項9記載の場合とは異なり、特定データの最後まで達したか否かを確認するためだけに行うGET_NEXTコマンドの送出を省略できる。
【0022】ところで、請求項7乃至請求項10いずれか記載の管理装置を構成する各手段は、請求項11記載のように、コンピュータを機能させるためのプログラムとして構成してもよい。この場合、そのプログラムを、例えば、FD,MO,DVD,CD−ROM,ハードディスク,メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶し、その記憶したプログラムを必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いることができる。この他、ROMやバックアップRAMをコンピュータ読み取り可能な記録媒体としてプログラムを記録しておき、このROM或いはバックアップRAMをコンピュータシステムに組み込んで用いてもよい。また、プログラムは、記録媒体に記憶されたものに限らず、ネットワークを介してロードして起動することにより用いてもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。図1は、本発明が適用されたネットワーク管理システムの構成を表すブロック図である。
【0024】図1に示すように、本実施形態のネットワーク管理システム1において、TCP/IPプロトコルを用いるネットワークには、プリンタ,スキャナ,FAX,MFP等からなる管理対象装置TNi(i=1〜4)と共に、パーソナルコンピュータからなり、これら管理対象装置を集中的に管理する管理装置TCが接続されている。
【0025】そして、管理対象装置TNiには、その管理対象装置TNiについての管理情報(オブジェクト)の集合であるオブジェクト群11a、及び管理情報を特定するための情報であるMIBツリー辞書11bからなる管理情報ベース(MIB)11(管理手段)と、TCP/IPプロトコルに従った通信制御を行う通信制御部13と、通信制御部13を介して管理装置TCから受信した要求メッセージ(GETコマンド,GET_NEXTコマンド,SETコマンド)に従ってMIB11の情報の読出や更新を行い、通信制御部13を介して管理装置TCに対して応答メッセージ(GETREPLY)等を送信する処理を行うためのプログラムであるSNMPエージェント12とが実装されている。
【0026】そして、オブジェクト群11aには、少なくとも、自装置の外観図を表示するためのイメージデータを格納したオブジェクトが含まれており、そのオブジェクトは、インスタンスインデックスで識別される複数の値を持ったテーブルオブジェクトからなる。
【0027】なお、本実施形態では、単一のSNMPメッセージで送受信可能なデータサイズの最大値が255バイトに制限されており、外観図のイメージデータは、図2(a)に示すように、5つのデータに分割されている。つまり、これら分割されたデータ(以下「分割データ」という)のそれぞれは、図2(b)に示すように、テーブルオブジェクトを特定する接頭辞「1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.99 」と、各分割データに対応するインスタンスインデックス(接尾辞ともいう)1〜5とを組み合わせた「1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.99.1 」〜「1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.99.5 」という名前で特定されるように構成されている。
【0028】一方、管理装置TCには、オペレータからの指示を入力する入力部21と、各種情報を表示するための表示部22と、表示部22に管理対象装置TNiの外観図を表示する際に使用されるイメージデータを合成するデータ合成部23と、TCP/IPプロトコルに従った通信制御を行う通信制御部26と、通信制御部26を介してSNMPメッセージを送受信することにより、管理対象装置TNiに実装されたSNMPエージェント12を用いて、管理情報の取得や設定を行うためのプログラムであるSNMPマネージャ25と、入力部21を介して入力される指示に従い、SNMPマネージャ25を用いて管理対象装置TNiから取得した各種情報を表示部22に表示する等の処理を行うコントロール部24とが実装されている。
【0029】このように構成された本実施形態のネットワーク管理システム1では、従来システム100と同様に、管理装置TCを立ち上げると、まず、ネットワークに接続された管理対象装置TNiの一覧が表示部22に表示され、入力部21からの指示によりその中の一つが選択されると、表示部22の表示が、その選択された管理対象装置TNiに関する管理画面に切り替わり、その管理画面上で動作状態や設定状態の確認や変更を行うことが可能となる。
【0030】但し、本実施形態のネットワーク管理システム1では、従来システム100とは異なり、外観図を表示するためのイメージデータも、他の管理情報と同様に、管理対象装置TNiから取得して用いるようにされている。このイメージデータを取得する際に、コントロール部24が実行するイメージデータ取得処理を、図3に示すフローチャートに沿って説明する。
【0031】本処理が起動されると、まず、S110では、送信接頭辞として、イメージデータが格納されたテーブルオブジェクトを識別する値「1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.99 」を設定すると共に、送信接尾辞(インスタンスインデックス)として0を設定し、続くS120では、送信接頭辞の末尾に送信接尾辞を付加してなる名前を指定したGET_NEXTコマンドを送信する。
【0032】このGET_NEXコマンドを受信した管理対象装置TNiでは、MIBツリー辞書11bを参照し、GET_NEXTコマンドにて指定された名前について、MIBツリー上で次の順番に位置する名前を特定し、その特定した名前に対応する値を、その名前と共にGETREPLYにより返送する。
【0033】そして、S130にて、管理対象装置TNiから返送されてきたGETREPLYを受信すると、続くS140にて、そのGETREPLYに示された名前の接頭辞(「受信接頭辞」という)が、先のS120にて送信したGET_NEXTコマンドにて指定した送信接頭辞と同じであるか否かを判断し、同じであれば、S150に移行して、GETREPLYで受信したデータを、データ合成部23にて作成中のイメージデータに追加する処理を行い、続くS160にて、GETREPLYに示された名前の接尾辞(「受信接尾辞」という)を新たに送信接尾辞として設定して、S120に戻り、同様の動作を繰り返し実行する。
【0034】一方、先のS140にて、受信接頭辞が送信接頭辞と異なると判定された場合には、最初に指定した送信接頭辞で特定されるテーブルオブジェクトのデータは全て受信したものとして、GETREPLYで受信したデータを、データ合成部23にて作成中のイメージデータに追加することなく、そのまま本処理を終了する。
【0035】なお、本処理において、S110〜S140,S160が分割データ取得手段、S150が特定データ復元手段に相当する。即ち、本処理を実行することにより、例えば、接頭辞「1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.99 」で特定されるテーブルオブジェクトに格納された分割データは、以下に示すように、分割データの数より1つ多い6回だけ、GET_NEXTを送信することにより取得されることになる。
[1回目]
GET_NEXT 1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.99.0 GETREPLY <タイプ:ストリング型> <長さ:255バイト> 1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.99.1 <分割データ(1/5)>[2回目]
GET_NEXT 1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.99.1 GETREPLY <タイプ:ストリング型> <長さ:255バイト> 1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.99.2 <分割データ(2/5)>[3回目]
GET_NEXT 1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.99.2 GETREPLY <タイプ:ストリング型> <長さ:255バイト> 1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.99.3 <分割データ(3/5)>[4回目]
GET_NEXT 1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.99.3 GETREPLY <タイプ:ストリング型> <長さ:255バイト> 1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.99.4 <分割データ(4/5)>[5回目]
GET_NEXT 1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.99.4 GETREPLY <タイプ:ストリング型> <長さ:104バイト> 1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.99.5 <分割データ(5/5)>[6回目]
GET_NEXT 1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.99.5 GETREPLY <タイプ:ストリング型> <長さ:255バイト> 1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.100.1 <次のデータ>この場合、6回目のGET_NEXTコマンドの送信により取得されるデータは、GETREPLYに示された名前の接頭辞「1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.100」(≠「1.3.6.1.4.1.2435.2.4.3.99 」)から、次のオブジェクトのものであることが分かるため、この時点でGET_NEXTコマンドの送信は停止される。そして、1回目〜5回目のGET_NEXTコマンドの送信により得られた分割データを用いて、データ合成部23にてイメージデータが復元され、この復元されたイメージデータを用いて、管理画面における外観図W2が表示されることになる。
【0036】以上説明したように、本実施形態のネットワーク管理システム1では、単一のメッセージで送受信可能な上限データサイズを超えるデータサイズを有する外観図についてのイメージデータを、複数の分割データに分割して管理対象装置TNi側に持たせ、この分割データを管理装置TCが順次取得して合成することにより元のイメージデータを復元して使用するようにされている。
【0037】従って、本実施形態のネットワーク管理システム1によれば、各管理対象装置TNiの外観図を表示するためのイメージデータを管理装置TC側で持つ必要がないため、管理装置TCでの記憶容量を削減できる。そして、新機種の管理対象装置TNiがネットワークに接続された時には、管理装置TCでは、何等変更(管理用ソフトウェアのバージョンアップ等)をすることなく、新機種の管理対象装置TNiの外観図を、その管理対象装置TNiから取得して表示することができる。
【0038】しかも、本実施形態では、管理対象装置TNiにて、分割データをテーブルオブジェクトとして格納しているため、機種毎に分割データの数が異なっていたとしても、そのテーブルオブジェクトのインスタンスインデックスの数が変わるだけで、MIBの定義自体が変わってしまうことがなく、柔軟な運用が可能となる。
【0039】また、本実施形態では、テーブルオブジェクトの各値を、GET_NEXTコマンドを用いて取得し、その値と共に取得されるオブジェクトを識別するための名前に基づいて、GET_NEXTコマンドの使用回数を制御するようにされているため、管理装置TC側で、分割データの個数を予め把握していなくても、必要な分割データを全て確実に取得することができる。
【0040】なお、本実施形態では、単一のメッセージで送受信可能な上限データサイズを超えるデータサイズを有する特定データとして、外観図を表示するためのイメージデータを用いているが、これに限らず、そのようなデータサイズを有するものであればどのようなデータであってもよい。
【0041】また、上記実施形態では、オブジェクトを識別する名前の接頭辞を比較することで、分割データの取得を継続するか否かを判断しているが、例えば、各分割データに、末尾の分割データであるか否かを示す末尾フラグを含ませておき、この末尾フラグに従って、分割データの取得を継続するか否かを判断するように構成してもよい。また、予め先頭の分割データの中に、分割データから元の特定データを復元した時のデータ長に関する復元データ情報を含ませておき、その復元データ情報に基づいて、分割データの取得を継続するか否かを判断するように構成してもよい。
【0042】更に、上記実施形態では、全ての分割データをGET_NEXTコマンドを用いて取得しているが、例えば、接尾辞に使用される値が予め決められている場合には、先頭の分割データのみ、又は全ての分割データをGETコマンドを用いて取得するように構成してもよい。
【0043】また更に、上記実施形態ではTCP/IPを用いたネットワークに適用したが、他の通信プロトコルを用いるネットワークに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態のネットワーク管理システムのソフトウェア構成図である。
【図2】 外観図を表示するためのイメージデータを分割してなる分割データとテーブルオブジェクトとの対応を示す説明図である。
【図3】 イメージデータ取得処理の内容を示すフローチャートである。
【図4】 従来のネットワーク管理システムのソフトウェア構成図である。
【図5】 ネットワーク管理システムで使用される管理画面の一例である。
【符号の説明】
1…ネットワーク管理システム、11…管理情報ベース(MIB)、11a…オブジェクト群、11b…MIBツリー辞書、12…SNMPエージェント、13…通信制御部、21…入力部、22…表示部、23…データ合成部、24…コントロール部、25…SNMPマネージャ、26…通信制御部、TC…管理装置、TN1〜4…管理対象装置、W1…性能、W2…外観図、W3…動作状態、W4…設定値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 管理対象装置が有する管理情報を管理装置が収集するネットワーク管理システムにおいて、前記管理対象装置は、前記管理情報として管理すべきデータの内、前記管理装置が単一のメッセージで取得可能な上限データサイズより大きなデータサイズを有する特定のデータに対して、該特定データを前記上限データサイズ以下のデータサイズを有する一連の分割データに分割して、該一連の分割データを前記管理情報として管理する管理手段を備え、前記管理装置は、前記特定データを必要とする際、前記管理対象装置から前記一連の分割データに対応する管理情報を順次取得し、その取得した管理情報を連結して前記特定データを復元する特定データ復元手段を備えることを特徴とするネットワーク管理システム。
【請求項2】 前記特定データは、イメージデータであることを特徴とする請求項1記載のネットワーク管理システム。
【請求項3】 前記イメージデータは、前記管理対象装置の外観図であることを特徴とする請求項2記載のネットワーク管理システム。
【請求項4】 管理装置からの要求に応じて管理情報を提供する管理対象装置において、前記管理情報として管理すべきデータの内、単一のメッセージで前記管理装置に提供可能な上限データサイズより大きなデータサイズを有する特定のデータに対して、該特定データを前記上限データサイズ以下のデータサイズを有する一連の分割データに分割して、該一連の分割データを前記管理情報として管理する管理手段を備えることを特徴とする管理対象装置。
【請求項5】 前記管理対象装置は、簡易ネットワークプロトコル(SNMP)に従い、管理装置からの要求に応じて管理情報ベース(MIB)に係る管理情報を提供するものであり、前記管理手段は、前記一連の分割データに対応する管理情報を、GET_NEXTコマンドを用いて連続的に提供可能となるように管理することを特徴とする請求項4記載の管理対象装置。
【請求項6】 前記一連の分割データは、インスタンスインデックスで識別される複数の値を持った管理情報であるテーブルオブジェクトを構成していることを特徴とする請求項5記載の管理対象装置。
【請求項7】 請求項4乃至請求項6いずれか記載の管理対象装置から管理情報を取得する管理装置において、前記管理対象装置から前記一連の分割データに対応する管理情報を順次取得する分割データ取得手段と、該分割データ取得手段が取得した管理情報を連結して、前記特定データを復元する特定データ復元手段と、を備えることを特徴とする管理装置。
【請求項8】 請求項5又は請求項6記載の管理対象装置から管理情報を取得する管理装置において、GET_NEXTコマンドを繰り返し用いることにより、前記管理対象装置から前記一連の分割データに対応する管理情報を順次取得する分割データ取得手段と、該分割データ取得手段が取得した管理情報を連結して、前記特定データを復元する特定データ復元手段と、を備えることを特徴とする管理装置。
【請求項9】 前記分割データ取得手段は、前記管理情報と共に取得される該管理情報を識別するための名前に基づいて、前記コマンドの使用を継続するか否かを判断することを特徴とする請求項8記載の管理装置。
【請求項10】 前記一連の分割データに対応する管理情報には、該一連の分割データのうち末尾のものであるか否かを示すための末尾フラグが含まれており、前記分割データ取得手段は、取得した管理情報に含まれる前記末尾フラグに従って、前記コマンドの使用を継続するか否かを判断することを特徴とする請求項8記載の管理装置。
【請求項11】 コンピュータを、請求項7乃至請求項10いずれか記載の管理装置を構成する各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2003−281004(P2003−281004A)
【公開日】平成15年10月3日(2003.10.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−80857(P2002−80857)
【出願日】平成14年3月22日(2002.3.22)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】