ネットワーク装置
【課題】 多機能機の省電力化を実現すること。
【解決手段】 多機能機は、PHYチップとMACチップとを備える。リンクアップ状態である間は、PHYチップ及びMACチップに対する継続的な電力供給が実行される第1期間100が実現される。第1期間100において、リンクダウン状態になり、かつ、Dスリープ状態になると、PHYチップ及びMACチップに対する継続的な電力供給が停止され、第2期間102に移行する。第2期間102は、PHYチップ及びMACチップに対する一時的な電力供給が実行される第3期間104,106,108を含む。第3期間108にリンクアップ状態が検出されると、PHYチップ及びMACチップに対する継続的な電力供給が開始され、再び第1期間110に移行する。
【解決手段】 多機能機は、PHYチップとMACチップとを備える。リンクアップ状態である間は、PHYチップ及びMACチップに対する継続的な電力供給が実行される第1期間100が実現される。第1期間100において、リンクダウン状態になり、かつ、Dスリープ状態になると、PHYチップ及びMACチップに対する継続的な電力供給が停止され、第2期間102に移行する。第2期間102は、PHYチップ及びMACチップに対する一時的な電力供給が実行される第3期間104,106,108を含む。第3期間108にリンクアップ状態が検出されると、PHYチップ及びMACチップに対する継続的な電力供給が開始され、再び第1期間110に移行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続されるネットワーク装置に関し、特に、ネットワーク装置の消費電力を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、PC等の外部装置と通信可能に接続される画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルのPHY層(Physical Layer)の処理を実行するPHY層処理実行部と、MAC層(Media Access Control Layer)の処理を実行するMAC層処理実行部と、を備える。画像形成装置は、通常状態において所定時間継続して処理を実行しない場合に、省電力状態に移行する。省電力状態では、PHY層処理実行部及びMAC層処理実行部に供給される電力量が、通常状態よりも少なくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−123128号公報
【特許文献2】特開2002−118563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1の技術では、ネットワーク装置(上記の例では画像形成装置)の電源がONされている間は、PHY層処理実行部及びMAC層処理実行部に常に電力が供給されている。本明細書では、より省電力なネットワーク装置を実現するための技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される一つの技術は、ネットワークに接続されるネットワーク装置である。なお、上記の「ネットワーク」は、例えば、「LAN」と言い換えてもよいし、「イーサネット(登録商標)の規格に準拠するネットワーク」と言い換えてもよい。このネットワーク装置は、PHY層処理実行部と判断部と第1制御部とを備える。PHY層処理実行部は、PHY層の処理を実行する。判断部は、PHY層処理実行部から与えられる情報を用いて、リンク状態がリンクアップ状態であるかリンクダウン状態であるかを判断する。リンクアップ状態は、ネットワーク装置がネットワークに通信可能に接続されている状態である。リンクダウン状態は、ネットワーク装置がネットワークに通信可能に接続されていない状態である。なお、リンクダウン状態の例として、ネットワーク装置に通信ケーブルが接続されていない状態、通信ケーブルは接続されているが相手側のデバイス(例えばHUB)が機能していない状態(例えば相手側のデバイスの電源がOFFされている状態)等を挙げることができる。第1制御部は、PHY層処理実行部に対する電力供給を制御する。
【0006】
第1制御部は、PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給が実行される第1期間に、リンク状態がリンクダウン状態であると判断部によって判断される場合に、PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給を停止する。また、第1制御部は、PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給が停止された後の第2期間内に、PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給を実行する。さらに、第1制御部は、第2期間にPHY層処理実行部に対する一時的な電力供給が実行されて、リンク状態がリンクアップ状態であると判断部によって判断される場合に、PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始(再開)する。なお、判断部は、PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給が実行されている間に、PHY層処理実行部からの情報を用いて上記の判断を実行してもよいし、その一時的な電力供給が終了した後にPHY層処理実行部からの情報を用いて上記の判断を実行してもよい。
【0007】
なお、第1制御部は、PHY層処理実行部に対する電力供給を上記のように制御することが可能であればよく、上記のように常に制御する必要は必ずしもない。例えば、ネットワーク装置は、第1モードと第2モードのどちらかのモードに設定されるように構成されていてもよい。第1制御部は、第1モードに設定される場合に、PHY層処理実行部に対する電力供給を上記のように制御してもよい。また、第1制御部は、第2モードに設定される場合に、リンク状態がリンクダウン状態であると判断部によって判断されても、PHY層処理実行部に対する電力供給を停止しなくてもよい。
【0008】
上記の構成によると、PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給が実行される第1期間にリンクアップ状態からリンクダウン状態になった場合に、PHY層処理実行部に対する電力供給が停止される。ネットワーク装置の電源がONされている間にPHY層処理実行部に対して常に電力が供給される構成と比べると、より省電力なネットワーク装置を実現することができる。しかも、上記の構成によると、PHY層処理実行部に対する電力供給が停止された後の第2期間内に、PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給が実行される。このために、第2期間であってもリンク状態を確認することができる。その結果としてリンクアップ状態であると判断された場合に、PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始することによって、ネットワーク装置を通信可能な状態に復帰させることができる。
【0009】
第1制御部は、第2期間内に、PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給を繰り返し実行してもよい。この構成によると、繰り返し実行される一時的な電力供給の各回において、リンク状態を確認することができる。なお、PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給は、定期的に実行されることが好ましい。
【0010】
なお、第1制御部は、リンク状態がリンクダウン状態であると判断部によって判断される場合に、他の条件に関わらず、PHY層処理実行部に対する電力供給を必ず停止してもよい。一方において、以下の構成を採用してもよい。即ち、ネットワーク装置は、スリープ状態と非スリープ状態との間で状態が移行する第2制御部をさらに備えていてもよい。上記の「スリープ状態」は、例えば、「非スリープ状態より消費電力が小さい状態」と言い換えてもよい。第1制御部は、第1期間に、リンク状態がリンクダウン状態であると判断部によって判断され、かつ、第2制御部がスリープ状態である場合に、PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給を停止してもよい。
【0011】
第1制御部は、第2期間において、第2制御部がスリープ状態から非スリープ状態に移行する際には、リンク状態に関わらず、PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始してもよい。
【0012】
ネットワーク装置は、MAC層の処理を実行するMAC層処理実行部をさらに備えていてもよい。第1制御部は、さらに、MAC層処理実行部に対する電力供給を制御してもよい。第1制御部は、第1期間にリンク状態がリンクダウン状態であると判断部によって判断される場合に、さらに、MAC層処理実行部に対する継続的な電力供給を停止してもよい。第1制御部は、第2期間にPHY層処理実行部に対する一時的な電力供給が実行されて、リンク状態がリンクアップ状態であると判断部によって判断される場合に、MAC層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始してもよい。上記の構成によると、第1期間にリンクアップ状態からリンクダウン状態になった場合に、MAC層処理実行部に対する電力供給が停止される。ネットワーク装置の電源がONされている間にMAC層処理実行部に対して常に電力が供給される構成と比べると、より省電力なネットワーク装置を実現することができる。しかも、第2期間にリンクアップ状態であると判断された場合に、MAC層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始することによって、ネットワーク装置を通信可能な状態に復帰させることができる。
【0013】
なお、リンク状態を確認するためには、PHY層処理実行部に対する電力供給が実行されれば足り、MAC層処理実行部に対する電力供給が実行される必要はない。従って、第1制御部は、第2期間内にPHY層処理実行部に対する一時的な電力供給を実行する際に、MAC層処理実行部に対する一時的な電力供給を実行しなくてもよい。この構成によると、第2期間内にMAC層処理実行部に対する一時的な電力供給が実行されないために、より省電力なネットワーク装置を実現することができる。
【0014】
本明細書では、次のネットワーク装置も開示する。このネットワーク装置は、上記のPHY層処理実行部とMAC層処理実行部と判断部に加えて、MAC層処理実行部に対する電力供給を制御する制御部を備える。制御部は、リンク状態がリンクダウン状態であると判断部によって判断される場合に、MAC層処理実行部に対する継続的な電力供給を停止する。また、制御部は、リンク状態がリンクアップ状態であると判断部によって判断される場合に、MAC層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始する。上記の構成によると、ネットワーク装置の電源がONされている間にMAC層処理実行部に対して常に電力が供給される構成と比べると、より省電力なネットワーク装置を実現することができる。
【0015】
なお、上記のネットワーク装置を実現するための制御方法、及び、コンピュータプログラムも、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ネットワークシステムの構成の一例を示す。
【図2】多機能機の状態が移行する様子を説明するための図を示す。
【図3】多機能機の状態と各部の状態との関係を示す。
【図4】サブCPUが実行する処理のフローチャートを示す。
【図5】サブCPUが実行する処理のフローチャートを示す。
【図6】メインCPUが実行する処理のフローチャートを示す。
【図7】PHYチップとMACチップの状態が移行する様子の一例を示す。
【図8】PHYチップとMACチップの状態が移行する様子の一例を示す。
【図9】サブCPUが実行する処理のフローチャートを示す(第2実施例)。
【図10】PHYチップとMACチップの状態が移行する様子の一例を示す。
【図11】サブCPUが実行する処理のフローチャートを示す(第3実施例)。
【図12】PHYチップとMACチップの状態が移行する様子の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施例)
(システムの構成)
図面を参照して実施例を説明する。図1は、本実施例のネットワークシステム2の概略図を示す。ネットワークシステム2は、イーサネット(登録商標)規格に準拠する通信システムである。なお、イーサネット(登録商標)は、Fast Ethernetであってもよいし、Gigabit Ethernetであってもよい。ネットワークシステム2は、多機能機10とネットワーク52とPC60等を備える。多機能機10とPC60は、ネットワーク52を介して相互に通信可能に接続される。ネットワーク52は、HUB50を備える。
【0018】
(多機能機10の構成)
多機能機10は、操作部12と記憶部14と印刷部16とLCD(Liquid Crystal Display)18と電源ユニット20と入出力ポート24と制御部30等を備える。操作部12は、複数のキーを備える。記憶部14は、例えば、LCD18に表示されるべき画像データを記憶している。記憶部14は、さらに、制御部30によって実行されるべきプログラムを記憶している。印刷部16は、PC60から送信される印刷データを印刷する。LCD18は、様々な情報を表示する。電源ユニット20は、図示省略の電源に接続されている。電源ユニット20から多機能機10を構成する各部14,16,18,30等に電力が供給される。入出力ポート24には、LANケーブル26の一端が接続されている。LANケーブル26の他端は、HUB50に接続されている。
【0019】
制御部30は、第1クロック供給部32と第2クロック供給部34とメインCPU36とサブCPU38とPHYチップ40とMACチップ42等を備える。第1クロック供給部32は、メインCPU36にクロックを供給する。第2クロック供給部34は、サブCPU38にクロックを供給する。メインCPU36の動作周波数は、サブCPU38の動作周波数より大きい。
【0020】
メインCPU36は、記憶部14に記憶されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。メインCPU36が実行する処理の一例を以下に列挙する。
(1)メインCPU36は、LCD18の光源を点灯状態と消灯状態との間で切換える処理を実行する。さらに、メインCPU36は、記憶部14に記憶されている画像データをLCD18に供給し、LCD18に画像データを表示させる表示処理を実行する。
(2)メインCPU36は、PC60との間で通信されるデータの処理を実行する。例えば、メインCPU36は、PC60から送信される印刷指示パケットに基づいて、印刷部16を駆動する印刷処理を実行する。
(3)メインCPU36は、電源ユニット20に接続されている。メインCPU36は、電源ユニット20に指示を送信することによって、PHYチップ40及びMACチップ42をON状態とOFF状態との間で切換える処理を実行する。ON状態は電力供給が実行されている状態であり、OFF状態は電力供給が停止されている状態である。なお、以下では、PHYチップ40及びMACチップ42をON状態にするための指示のことを「供給指示」と呼び、OFF状態にするための指示のことを「停止指示」と呼ぶ。
(4)メインCPU36は、PHYチップ40及びMACチップ42に接続されている。メインCPU36は、PHYチップ40及びMACチップ42から情報を取得する。さらに、メインCPU36は、PHYチップ40及びMACチップ42に所定の指示を送信する。
【0021】
サブCPU38は、記憶部14に記憶されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。サブCPU38が実行する処理の一例を以下に列挙する。
(1)サブCPU38は、第1クロック供給部32をクロック供給実行状態とクロック供給停止状態との間で切換える処理を実行する。即ち、本実施例では、メインCPU36に対するクロック供給が停止されている状態(メインCPU36のスリープ状態)が存在する。なお、本実施例では、多機能機10の電源がON状態である間は、サブCPU38に対するクロック供給が常に実行される。
(2)サブCPU38は、メインCPU36がスリープ状態の間に、PC60から特定のパケットを受信した場合に、そのパケットの処理(例えば応答処理)を実行する。
(3)サブCPU38は、電源ユニット20に接続されている。サブCPU38は、メインCPU36がスリープ状態の間に、PHYチップ40及びMACチップ42をON状態とOFF状態との間で切換える処理を実行する。即ち、サブCPU38は、供給指示と停止指示を電源ユニット20に送信する。
(4)サブCPU38は、PHYチップ40及びMACチップ42に接続されている。サブCPU38は、PHYチップ40及びMACチップ42から情報を取得する。さらに、サブCPU38は、PHYチップ40及びMACチップ42に所定の指示を送信する。なお、サブCPU38は、PHYチップ40から得られる後述の特定の情報を用いて、リンク(Link)状態を検出する。なお、リンク状態は、多機能機10がネットワーク52に通信可能に接続されているのか否かを示す情報である。以下では、多機能機10がネットワーク52に通信可能に接続されている状態のことを「リンクアップ状態」と呼び、多機能機10がネットワーク52に通信可能に接続されていない状態のことを「リンクダウン状態」と呼ぶ。リンクダウン状態の例として、入出力ポート24にLANケーブル26が接続されていない状態、入出力ポート24にLANケーブル26が接続されているがHUB50が動作してない状態等を挙げることができる。
【0022】
PHYチップ40は、OSI参照モデルの物理層の処理を実行する。PHYチップ40は、入出力ポート24に接続されている。PHYチップ40は、MACチップ42に接続されている。また、PHYチップ40は、電源ユニット20に接続されている。PHYチップ40は、OFF状態である場合に、処理を実行することができない。PHYチップ40は、ON状態である場合に、入出力ポート24に入力された信号の波形を整形し、整形後のパルス信号をMACチップ42に送信する。また、PHYチップ40は、ON状態である場合に、特定の情報をサブCPU38に送信する。上記の特定の情報は、入出力ポート24にLANケーブル26が接続されているのか否かに関する第1の情報と、HUB50から送信されるパルス信号を受信しているのか否かに関する第2の情報と、を含む。
【0023】
MACチップ42は、OSI参照モデルのデータリンク層の副層であるMAC層の処理を実行する。MACチップ42は、電源ユニット20に接続されている。MACチップ42は、OFF状態である場合に、処理を実行することができない。MACチップ42は、ON状態である場合に、上記の整形後のパルス信号からMACフレーム(例えば送信元MACアドレス、送信先MACアドレス、データ長、データ本文等)を取り出し、そのMACフレームをメインCPU36やサブCPU38に送信する。
【0024】
(多機能機10の状態)
続いて、多機能機10の状態について説明する。図2は、多機能機10の状態が移行する様子を示す。また、図3は、多機能機10の状態と各部18,36,38,40,42の状態との関係を示す。図2に示されるように、多機能機10は、処理状態70と待機状態72とLスリープ(Lightスリープ)状態74とDスリープ(Deepスリープ)状態76との間で状態が移行する。処理状態70は、メインCPU36が特定の処理を実行している状態である。ここでの特定の処理の例としては、上記の印刷処理、表示処理等を挙げることができる。図3に示されるように、処理状態70では、メインCPU36及びサブCPU38に対するクロック供給が実行されている。処理状態70では、LCD18の光源が点灯状態であり、LCD18に画像データが供給されている。処理状態70では、さらに、PHYチップ40及びMACチップ42がON状態である。
【0025】
図2に示されるように、メインCPU36が上記の特定の処理(印刷処理、表示処理等)を終了すると、待機状態72に移行する。図3に示されるように、待機状態72では、メインCPU36及びサブCPU38に対するクロック供給が実行されている。また、待機状態72では、LCD18の光源が点灯状態であり、PHYチップ40及びMACチップ42がON状態である。
【0026】
図2に示されるように、待機状態72において上記の特定の処理を実行する指示(例えば印刷パケットの受信、ユーザによる操作部12(図1参照)の操作等)がなされると、処理状態70に移行する。また、待機状態72において上記の特定の処理を実行する指示がユーザによってなされない状態が所定時間継続すると、Lスリープ状態74に移行する。図3に示されるように、Lスリープ状態74では、メインCPU36及びサブCPU38に対するクロック供給が実行されている。また、Lスリープ状態74では、LCD18の光源が消灯状態であり、PHYチップ40及びMACチップ42がON状態である。
【0027】
図2に示されるように、Lスリープ状態74において上記の特定の処理を実行する指示がユーザによってなされると、処理状態70に移行する。また、Lスリープ状態74において所定の条件が成立すると、Dスリープ状態76に移行する。本実施例では、上記の所定の条件は、データの通信中でないこと、及び、メインCPU36が処理を実行すべきパケットが存在しないことである。図3に示されるように、Dスリープ状態76では、メインCPU36に対するクロック供給が停止されている。即ち、メインCPU36は、スリープ状態である。また、Dスリープ状態76では、LCD18の光源が消灯状態である。Dスリープ状態76では、リンクアップ状態である場合には、PHYチップ40及びMACチップ42がON状態にされる。一方において、Dスリープ状態76では、リンクダウン状態である場合には、PHYチップ40及びMACチップ42がOFF状態にされる。なお、後で詳しく説明するが、OFF状態であっても、条件(図5のS20の条件)が成立すると、PHYチップ40及びMACチップ42が一時的にON状態になる。
【0028】
図2に示されるように、Dスリープ状態76において上記の特定の処理を実行する指示がユーザによってなされると、Lスリープ状態74を経て(即ちメインCPU36に対するクロック供給が再開され)、処理状態70に移行する。
【0029】
(サブCPU38が実行する処理)
続いて、サブCPU38が実行する処理の内容について詳しく説明する。本実施例では、メインCPU36に対するクロック供給が実行されている状態(即ち処理状態70、待機状態72、及び、Lスリープ状態74)では、基本的にメインCPU36が処理を実行する。ただし、サブCPU38は、図4及び図5に示される処理を実行する。
【0030】
サブCPU38は、多機能機10がいずれの状態70〜76であっても、PHYチップ40及びMACチップ42がON状態である間は、図4に示される処理を定期的に実行する。サブCPU38は、PHYチップ40から得られる上記の特定の情報(第1の情報及び第2の情報)を用いて、リンク状態を検出(特定)する(S10)。例えば、入出力ポート24にLANケーブル26が接続されていないことを示す第1の情報を含む上記の特定の情報が得られた場合、サブCPU38は、リンクダウン状態であると判断し、S12でYESと判断する。また、例えば、HUB50から送信されるパルス信号を受信していないことを示す第2の情報を含む上記の特定の情報が得られた場合、サブCPU38は、リンクダウン状態であると判断し、S12でYESと判断する。S12でYESの場合、サブCPU38は、S14及びS16を実行する。
【0031】
一方において、入出力ポート24にLANケーブル26が接続されていることを示す第1の情報と、HUB50から送信されるパルス信号を受信していることを示す第2の情報と、を含む上記の特定の情報が得られた場合、サブCPU38は、リンクアップ状態であると判断し、S12でNOと判断する。この場合、サブCPU38は、S14及びS16をスキップして処理を終了する。
【0032】
S14では、サブCPU38は、メインCPU36に対するクロック供給が実行されているのか否かを判断する。即ち、サブCPU38は、Dスリープ状態76であるのか否かを判断する。メインCPU36に対するクロック供給が実行されている場合、サブCPU38は、S14でNOと判断し、S16をスキップして処理を終了する。一方において、メインCPU36に対するクロック供給が停止されている場合(Dスリープ状態76である場合)、サブCPU38は、S14でYESと判断し、S16に進む。S16では、サブCPU38は、電源ユニット20に停止指示を送信する。この結果、電源ユニット20は、PHYチップ40及びMACチップ42に対する電力供給を停止する。PHYチップ40及びMACチップ42がON状態からOFF状態に移行する。
【0033】
また、サブCPU38は、PHYチップ40及びMACチップ42がOFF状態である間は、図5に示される処理を定期的に実行する。サブCPU38は、PHYチップ40及びMACチップ42がOFF状態にされた最新の日時から所定時間が経過することを監視している(S20)。なお、上記の最新の日時は、図4のS16が実行された日時、及び、後述のS28が実行された日時、のうちの最も新しい日時を意味する。
【0034】
S20でYESの場合、サブCPU38は、電源ユニット20に供給指示を送信する(S22)。この結果、電源ユニット20は、PHYチップ40及びMACチップ42に対する電力供給を再開する。PHYチップ40及びMACチップ42がOFF状態からON状態に移行する。
【0035】
ON状態に移行したPHYチップ40は、上記の特定の情報(第1の情報と第2の情報)をサブCPU38に送信する。サブCPU38は、PHYチップ40から得られる上記の特定の情報を用いて、リンク状態を検出する(S24)。さらに、サブCPU38は、リンク状態がリンクダウン状態であるのか否かを判断する(S26)。S24及びS26の処理は、図4のS10及びS12の処理と同様である。S26でYESの場合、サブCPU38は、電源ユニット20に停止指示を送信する(S28)。この結果、PHYチップ40及びMACチップ42がON状態からOFF状態に再び移行する。
【0036】
なお、フローチャートに示していないが、サブCPU38は、Lスリープ状態74において、上記の所定の条件(データの通信中でないこと、及び、メインCPU36が処理を実行すべきパケットが存在しないこと)が成立することを監視している。ここでYESの場合、サブCPU38は、クロック供給を停止するための指示を第1クロック供給部32に送信する。この結果、第1クロック供給部32は、メインCPU36に対するクロック供給を停止する。これにより、Lスリープ状態74からDスリープ状態76に移行する。
【0037】
また、サブCPU38は、Dスリープ状態76において、上記の特定の処理(印刷処理、表示処理等)を実行する指示がユーザによってなされることを監視している。ここでYESの場合、サブCPU38は、クロック供給を再開するための指示を第1クロック供給部32に送信する。この結果、第1クロック供給部32は、メインCPU36に対するクロック供給を再開する。これにより、多機能機10は、Dスリープ状態76からLスリープ状態74に移行する。
【0038】
(メインCPU36が実行する処理)
続いて、メインCPU36が実行する処理の内容について詳しく説明する。メインCPU36が実行する印刷処理、表示処理等についての説明は省略する。上述したように、Dスリープ状態76において、上記の特定の処理(印刷処理、表示処理等)を実行する指示がユーザによってなされると、サブCPU38は、メインCPU36に対するクロック供給を再開させる。この結果、Dスリープ状態74からLスリープ状態76に移行する。図6に示されるように、クロック供給が再開されたメインCPU36は、電源ユニット20に供給指示を送信する(S30)。S30が実行される時点では、PHYチップ40及びMACチップ42は、ON状態であるかもしれないし、OFF状態であるかもしれない。OFF状態である場合、電源ユニット20は、PHYチップ40及びMACチップ42に対する電力供給を再開する。一方において、ON状態である場合、電源ユニット20は、処理を実行せず、ON状態を維持する。
【0039】
なお、クロック供給が再開されたメインCPU36は、指示に従って上記の特定の処理を実行する。メインCPU36は、さらに、LCD18の光源を点灯状態にするとともに、LCD18に対する画像データの供給を再開する。これにより、Lスリープ状態74から処理状態70に移行する。
【0040】
図7は、PHYチップ40及びMACチップ42の状態が変化する様子の一例を示す。リンクアップ状態である間は、PHYチップ40及びMACチップ42に対する継続的な電力供給が実行される第1期間100が実現される。第1期間100において、リンクダウン状態になり、かつ、Dスリープ状態になると、PHYチップ40及びMACチップ42に対する継続的な電力供給が停止され(図4のS16参照)、第2期間102に移行する。第2期間102は、PHYチップ40及びMACチップ42に対する一時的な電力供給が実行される3つの第3期間104,106,108を含む。図7の例の場合、1回目の第3期間104及び2回目の第3期間106にリンクアップ状態が検出されなかったために、第2期間102が維持される。また、3回目の第3期間108にリンクアップ状態が検出されたために、第3期間108のON状態が維持される(図5のS26でNOの場合にS28をスキップする)。即ち、PHYチップ40及びMACチップ42に対する継続的な電力供給が開始され、再び第1期間110に移行する。
【0041】
図8は、PHYチップ40及びMACチップ42の状態が変化する様子の別の例を示す。図8の例でも、図7の場合と同様に、第1期間120から第2期間122に移行する。第2期間122は、2つの第3期間124,126を含む。1回目及び2回目の第3期間124,126にリンクアップ状態が検出されない場合であっても、メインCPU36に対するクロック供給が再開された場合に、PHYチップ40及びMACチップ42に対する継続的な電力供給が実行され(図6のS30)、再び第1期間130に移行する。なお、この例の場合、仮に、メインCPU36に対するクロック供給が再開されなかったら、第1期間130に移行せずに第2期間122が維持され、3回目の第3期間128が実行されることになる。
【0042】
本実施例のネットワークシステム2について詳しく説明した。本実施例の多機能機10では、第1期間100,120において、リンクダウン状態になり、かつ、Dスリープ状態76になると、PHYチップ40及びMACチップ42に対する継続的な電力供給を停止することによって、省電力な第2期間102,122を実現している。また、本実施例の多機能機10では、第2期間102内に、PHYチップ40及びMACチップ42に対する一時的な電力供給が実行される第3期間104〜108,124,126を設けている。このために、第2期間102であってもリンク状態を確認することができる。その結果としてリンクアップ状態が検出された場合に、PHYチップ40及びMACチップ42に対する継続的な電力供給を開始することによって、多機能機10を通信可能な状態に復帰させることができる。
【0043】
なお、本実施例では、メインCPU36が非スリープ状態である処理状態70、待機状態72、及び、Lスリープ状態74では、リンクダウン状態であっても、PHYチップ40及びMACチップ42に対する電力供給が停止されない。処理状態70及び待機状態72では、処理実行中又は処理実行直後であるために、ユーザが多機能機10の近傍に存在する可能性が高いと考えられる。また、Lスリープ状態74も、待機状態72から移行する状態であり、ユーザが多機能機10の近傍に存在する可能性が高いと考えられる。これに対し、Dスリープ状態76では、他の状態70,72,74と比べると、ユーザが多機能機10の近傍に存在する可能性は低いと考えられる。ユーザが多機能機10の近傍に存在する可能性が高い状態70,72,74では、ユーザがリンクダウン状態からリンクアップ状態に移行させるための作業(例えばLANケーブル26を入出力ポート24に接続する作業等)を実行する可能性が高いと考えられる。このような観点から、本実施例では、状態70,72,74では、PHYチップ40及びMACチップ42に対する電力供給を停止しない。状態70,72,74では、PHYチップ40が上記の特定の情報をサブCPU38に送信可能な状態が維持されるために、上記の作業をユーザが実行した直後に、多機能機10を通信可能な状態に移行させることができる。これに対し、ユーザが多機能機10の近傍に存在する可能性が低いDスリープ状態76では、ユーザが上記の作業を実行する可能性が低いと考えられるために、PHYチップ40及びMACチップ42に対する電力供給を停止する。これにより、多機能機10の省電力化を実現している。
【0044】
(第2実施例)
第1実施例と異なる点について説明する。第1実施例では、図7及び図8に示されるように、第3期間104〜108,124,126に、PHYチップ40とMACチップ42の両方に対する一時的な電力供給が実行される。リンク状態を確認するためには、PHYチップ40がON状態であれば足り、MACチップ42がON状態である必要はない。このような観点から、本実施例では、第3期間にMACチップ42に対する電力供給を実行しない。
【0045】
図4及び図6に示される処理は、第1実施例と同様である。図5に示される処理の内容が、第1実施例と異なる。本実施例のサブCPU38は、PHYチップ40及びMACチップ42がOFF状態である間は、図9に示される処理を定期的に実行する。サブCPU38は、PHYチップ40がOFF状態にされた最新の日時から所定時間が経過することを監視している(S40)。上記の最新の日時は、図4のS16が実行された日時、及び、後述のS48が実行された日時、のうちの最も新しい日時を意味する。
【0046】
S40でYESの場合、サブCPU38は、PHYチップ40に対する電力供給を実行するように電源ユニット20に指示を送信する(S42)。この結果、電源ユニット20は、PHYチップ40のみに対する電力供給を再開する。MACチップ42は、OFF状態で維持される。
【0047】
サブCPU38は、ON状態に移行したPHYチップ40から得られる上記の特定の情報を用いて、リンク状態を検出する(S44)。サブCPU38は、リンク状態がリンクダウン状態であるのか否かを判断する(S46)。S46でYESの場合、サブCPU38は、PHYチップ40に対する電力供給を停止するように電源ユニット20に指示を送信する(S48)。この結果、PHYチップ40がON状態からOFF状態に再び移行する。また、S46でNOの場合、サブCPU38は、MACチップ42に対する電力供給を実行するように電源ユニット20に指示を送信する(S50)。この結果、MACチップ42がOFF状態からON状態に再び移行する。
【0048】
図10は、PHYチップ40及びMACチップ42の状態が変化する様子の一例を示す。図10の例でも、第1実施例の図7の場合と同様に、第1期間140から第2期間142に移行する。第2期間142は、3つの第3期間144,146,148を含む。各第3期間144,146,148では、PHYチップ40に対する電力供給が実行され、MACチップ42に対する電力供給が実行されない。3回目の第3期間148にリンクアップ状態が検出されると、PHYチップ40については、第3期間148のON状態が維持され(図9のS46でNOの場合にS48を実行せず)、MACチップ42については、電力供給が開始される(図9のS50参照)。これにより、PHYチップ40及びMACチップ42に対する継続的な電力供給が開始され、再び第1期間150に移行する。
【0049】
本実施例では、第3期間144,146,148において、MACチップ42に対する電力供給が実行されないために、より省電力な多機能機10を実現することができる。
【0050】
(第3実施例)
第1実施例と異なる点について説明する。第1実施例では、図7及び図8に示されるように、第2期間102,122において、PHYチップ40とMACチップ42の両方に対する電力供給が停止される。本実施例では、多機能機10の電源がONされている間は、PHYチップ40に対する電力供給が停止されない。即ち、本実施例では、MACチップ42のみに対する電力供給を停止することによって、省電力な第2期間を実現する。
【0051】
本実施例のサブCPU38は、図4のS16の処理において、MACチップ42に対する電力供給を停止するように電源ユニット20に指示を送信する。この結果、電源ユニット20は、MACチップ42のみに対する電力供給を停止する。PHYチップ40は、ON状態が維持される。また、本実施例のメインCPU36は、図6のS30の処理において、MACチップ42に対する電力供給を実行するように電源ユニット20に指示を送信する。この結果、電源ユニット20は、MACチップ42に対する電力供給を再開する。
【0052】
また、本実施例のサブCPU38は、MACチップ42がOFF状態である間は、図11に示される処理を定期的に実行する。サブCPU38は、PHYチップ40から得られる上記の特定の情報を用いて、リンク状態を検出する(S60)。サブCPU38は、リンク状態がリンクダウン状態であるのか否かを判断する(S62)。S62でYESの場合、サブCPU38は、S64をスキップして処理を終了する。一方において、S62でNOの場合、サブCPU38は、MACチップ42に対する電力供給を実行するように電源ユニット20に指示を送信する(S64)。この結果、MACチップ42がOFF状態からON状態に再び移行する。
【0053】
図12は、PHYチップ40及びMACチップ42の状態が変化する様子の一例を示す。リンクアップ状態である間は、PHYチップ40及びMACチップ42に対する継続的な電力供給が実行される第1期間160が実現される。第1期間160において、リンクダウン状態になり、かつ、Dスリープ状態になると、MACチップ42に対する継続的な電力供給が停止され、第2期間162に移行する。ただし、PHYチップ40は、ON状態が維持される。第2期間162にリンクアップ状態が検出された場合、又は、メインCPU36に対するクロック供給が再開された場合、MACチップ42に対する継続的な電力供給が開始され(図11のS64参照)、再び第1期間170に移行する。
【0054】
本実施例の多機能機10では、第1期間160において、リンクダウン状態になり、かつ、Dスリープ状態76になると、MACチップ42に対する継続的な電力供給を停止することによって、省電力な第2期間162を実現している。本実施例では、第2期間162であっても、PHYチップ40が上記の特定の情報をサブCPU38に送信可能な状態が維持されるために、リンクダウン状態からリンクアップ状態に移行させるための作業をユーザが実行した直後に、MACチップ42をON状態に復帰させることができる(即ち多機能機10を通信可能な状態に移行させることができる)。
【0055】
上記の説明から明らかなように、本発明のネットワーク装置は、多機能機10に対応する。本発明のPHY層処理実行部、MAC層処理実行部は、それぞれ、PHYチップ40、MACチップ42に対応する。また、本発明の判断部、第1制御部、制御部は、メインCPU36とサブCPU38の両方に対応し、第2制御部は、メインCPU36に対応する。
【0056】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0057】
(1)上記の各実施例では、リンクダウン状態であり、かつ、Dスリープ状態76である場合に、PHYチップ40及びMACチップ42(第3実施例の場合はMACチップ42のみ)に対する電力供給が停止される。しかしながら、Dスリープ状態76であるのか否かに関わらず(即ちメインCPU36に対するクロック供給の有無に関わらず)、リンクダウン状態である場合に、PHYチップ40及びMACチップ42(第3実施例の場合はMACチップ42のみ)に対する電力供給が停止されてもよい。
【0058】
(2)上記の各実施例において、第1モードと第2モードとの間でモードを切換えることをユーザに許容してもよい。第1モードでは、メインCPU36及びサブCPU38は、上記の各実施例の処理(図4〜6、9、及び、11)を実行してもよい。一方において、第2モードでは、メインCPU36及びサブCPU38は、上記の各実施例の処理(図4〜6、9、及び、11)を実行しなくてもよい。即ち、第2モードの場合、多機能機10の電源がONである間は、PHYチップ40及びMACチップ42をON状態に維持してもよい。
【0059】
(3)上記の実施例において、Lスリープ状態74がなくてもよい。即ち、待機状態72において上記の特定の処理を実行する指示がユーザによってなされない状態が所定時間継続した場合に、メインCPU36に対するクロック供給が停止され、LCD18の光源が消灯状態にされてもよい。
【0060】
(4)上記の実施例では、メインCPU36に対するクロック供給を停止することによって、メインCPU36をスリープ状態に移行させる。しかしながら、メインCPU36に対するクロック供給を停止せず、クロック周波数を低減させることによって、メインCPU36をスリープ状態に移行させてもよい。
【0061】
(5)上記の実施例の技術は、PC、サーバ、プリンタ、スキャナ、電話機、ファクシミリ等の他のネットワーク装置に適用することもできる。
【0062】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0063】
2:ネットワークシステム、10:多機能機、18:LCD、20:電源ユニット、30:制御部、36:メインCPU、38:サブCPU、40:PHYチップ、42:MACチップ、52:ネットワーク、60:PC、100,110:第1期間、102:第2期間、104,106,108:第3期間
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続されるネットワーク装置に関し、特に、ネットワーク装置の消費電力を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、PC等の外部装置と通信可能に接続される画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルのPHY層(Physical Layer)の処理を実行するPHY層処理実行部と、MAC層(Media Access Control Layer)の処理を実行するMAC層処理実行部と、を備える。画像形成装置は、通常状態において所定時間継続して処理を実行しない場合に、省電力状態に移行する。省電力状態では、PHY層処理実行部及びMAC層処理実行部に供給される電力量が、通常状態よりも少なくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−123128号公報
【特許文献2】特開2002−118563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1の技術では、ネットワーク装置(上記の例では画像形成装置)の電源がONされている間は、PHY層処理実行部及びMAC層処理実行部に常に電力が供給されている。本明細書では、より省電力なネットワーク装置を実現するための技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される一つの技術は、ネットワークに接続されるネットワーク装置である。なお、上記の「ネットワーク」は、例えば、「LAN」と言い換えてもよいし、「イーサネット(登録商標)の規格に準拠するネットワーク」と言い換えてもよい。このネットワーク装置は、PHY層処理実行部と判断部と第1制御部とを備える。PHY層処理実行部は、PHY層の処理を実行する。判断部は、PHY層処理実行部から与えられる情報を用いて、リンク状態がリンクアップ状態であるかリンクダウン状態であるかを判断する。リンクアップ状態は、ネットワーク装置がネットワークに通信可能に接続されている状態である。リンクダウン状態は、ネットワーク装置がネットワークに通信可能に接続されていない状態である。なお、リンクダウン状態の例として、ネットワーク装置に通信ケーブルが接続されていない状態、通信ケーブルは接続されているが相手側のデバイス(例えばHUB)が機能していない状態(例えば相手側のデバイスの電源がOFFされている状態)等を挙げることができる。第1制御部は、PHY層処理実行部に対する電力供給を制御する。
【0006】
第1制御部は、PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給が実行される第1期間に、リンク状態がリンクダウン状態であると判断部によって判断される場合に、PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給を停止する。また、第1制御部は、PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給が停止された後の第2期間内に、PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給を実行する。さらに、第1制御部は、第2期間にPHY層処理実行部に対する一時的な電力供給が実行されて、リンク状態がリンクアップ状態であると判断部によって判断される場合に、PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始(再開)する。なお、判断部は、PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給が実行されている間に、PHY層処理実行部からの情報を用いて上記の判断を実行してもよいし、その一時的な電力供給が終了した後にPHY層処理実行部からの情報を用いて上記の判断を実行してもよい。
【0007】
なお、第1制御部は、PHY層処理実行部に対する電力供給を上記のように制御することが可能であればよく、上記のように常に制御する必要は必ずしもない。例えば、ネットワーク装置は、第1モードと第2モードのどちらかのモードに設定されるように構成されていてもよい。第1制御部は、第1モードに設定される場合に、PHY層処理実行部に対する電力供給を上記のように制御してもよい。また、第1制御部は、第2モードに設定される場合に、リンク状態がリンクダウン状態であると判断部によって判断されても、PHY層処理実行部に対する電力供給を停止しなくてもよい。
【0008】
上記の構成によると、PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給が実行される第1期間にリンクアップ状態からリンクダウン状態になった場合に、PHY層処理実行部に対する電力供給が停止される。ネットワーク装置の電源がONされている間にPHY層処理実行部に対して常に電力が供給される構成と比べると、より省電力なネットワーク装置を実現することができる。しかも、上記の構成によると、PHY層処理実行部に対する電力供給が停止された後の第2期間内に、PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給が実行される。このために、第2期間であってもリンク状態を確認することができる。その結果としてリンクアップ状態であると判断された場合に、PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始することによって、ネットワーク装置を通信可能な状態に復帰させることができる。
【0009】
第1制御部は、第2期間内に、PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給を繰り返し実行してもよい。この構成によると、繰り返し実行される一時的な電力供給の各回において、リンク状態を確認することができる。なお、PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給は、定期的に実行されることが好ましい。
【0010】
なお、第1制御部は、リンク状態がリンクダウン状態であると判断部によって判断される場合に、他の条件に関わらず、PHY層処理実行部に対する電力供給を必ず停止してもよい。一方において、以下の構成を採用してもよい。即ち、ネットワーク装置は、スリープ状態と非スリープ状態との間で状態が移行する第2制御部をさらに備えていてもよい。上記の「スリープ状態」は、例えば、「非スリープ状態より消費電力が小さい状態」と言い換えてもよい。第1制御部は、第1期間に、リンク状態がリンクダウン状態であると判断部によって判断され、かつ、第2制御部がスリープ状態である場合に、PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給を停止してもよい。
【0011】
第1制御部は、第2期間において、第2制御部がスリープ状態から非スリープ状態に移行する際には、リンク状態に関わらず、PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始してもよい。
【0012】
ネットワーク装置は、MAC層の処理を実行するMAC層処理実行部をさらに備えていてもよい。第1制御部は、さらに、MAC層処理実行部に対する電力供給を制御してもよい。第1制御部は、第1期間にリンク状態がリンクダウン状態であると判断部によって判断される場合に、さらに、MAC層処理実行部に対する継続的な電力供給を停止してもよい。第1制御部は、第2期間にPHY層処理実行部に対する一時的な電力供給が実行されて、リンク状態がリンクアップ状態であると判断部によって判断される場合に、MAC層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始してもよい。上記の構成によると、第1期間にリンクアップ状態からリンクダウン状態になった場合に、MAC層処理実行部に対する電力供給が停止される。ネットワーク装置の電源がONされている間にMAC層処理実行部に対して常に電力が供給される構成と比べると、より省電力なネットワーク装置を実現することができる。しかも、第2期間にリンクアップ状態であると判断された場合に、MAC層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始することによって、ネットワーク装置を通信可能な状態に復帰させることができる。
【0013】
なお、リンク状態を確認するためには、PHY層処理実行部に対する電力供給が実行されれば足り、MAC層処理実行部に対する電力供給が実行される必要はない。従って、第1制御部は、第2期間内にPHY層処理実行部に対する一時的な電力供給を実行する際に、MAC層処理実行部に対する一時的な電力供給を実行しなくてもよい。この構成によると、第2期間内にMAC層処理実行部に対する一時的な電力供給が実行されないために、より省電力なネットワーク装置を実現することができる。
【0014】
本明細書では、次のネットワーク装置も開示する。このネットワーク装置は、上記のPHY層処理実行部とMAC層処理実行部と判断部に加えて、MAC層処理実行部に対する電力供給を制御する制御部を備える。制御部は、リンク状態がリンクダウン状態であると判断部によって判断される場合に、MAC層処理実行部に対する継続的な電力供給を停止する。また、制御部は、リンク状態がリンクアップ状態であると判断部によって判断される場合に、MAC層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始する。上記の構成によると、ネットワーク装置の電源がONされている間にMAC層処理実行部に対して常に電力が供給される構成と比べると、より省電力なネットワーク装置を実現することができる。
【0015】
なお、上記のネットワーク装置を実現するための制御方法、及び、コンピュータプログラムも、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ネットワークシステムの構成の一例を示す。
【図2】多機能機の状態が移行する様子を説明するための図を示す。
【図3】多機能機の状態と各部の状態との関係を示す。
【図4】サブCPUが実行する処理のフローチャートを示す。
【図5】サブCPUが実行する処理のフローチャートを示す。
【図6】メインCPUが実行する処理のフローチャートを示す。
【図7】PHYチップとMACチップの状態が移行する様子の一例を示す。
【図8】PHYチップとMACチップの状態が移行する様子の一例を示す。
【図9】サブCPUが実行する処理のフローチャートを示す(第2実施例)。
【図10】PHYチップとMACチップの状態が移行する様子の一例を示す。
【図11】サブCPUが実行する処理のフローチャートを示す(第3実施例)。
【図12】PHYチップとMACチップの状態が移行する様子の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施例)
(システムの構成)
図面を参照して実施例を説明する。図1は、本実施例のネットワークシステム2の概略図を示す。ネットワークシステム2は、イーサネット(登録商標)規格に準拠する通信システムである。なお、イーサネット(登録商標)は、Fast Ethernetであってもよいし、Gigabit Ethernetであってもよい。ネットワークシステム2は、多機能機10とネットワーク52とPC60等を備える。多機能機10とPC60は、ネットワーク52を介して相互に通信可能に接続される。ネットワーク52は、HUB50を備える。
【0018】
(多機能機10の構成)
多機能機10は、操作部12と記憶部14と印刷部16とLCD(Liquid Crystal Display)18と電源ユニット20と入出力ポート24と制御部30等を備える。操作部12は、複数のキーを備える。記憶部14は、例えば、LCD18に表示されるべき画像データを記憶している。記憶部14は、さらに、制御部30によって実行されるべきプログラムを記憶している。印刷部16は、PC60から送信される印刷データを印刷する。LCD18は、様々な情報を表示する。電源ユニット20は、図示省略の電源に接続されている。電源ユニット20から多機能機10を構成する各部14,16,18,30等に電力が供給される。入出力ポート24には、LANケーブル26の一端が接続されている。LANケーブル26の他端は、HUB50に接続されている。
【0019】
制御部30は、第1クロック供給部32と第2クロック供給部34とメインCPU36とサブCPU38とPHYチップ40とMACチップ42等を備える。第1クロック供給部32は、メインCPU36にクロックを供給する。第2クロック供給部34は、サブCPU38にクロックを供給する。メインCPU36の動作周波数は、サブCPU38の動作周波数より大きい。
【0020】
メインCPU36は、記憶部14に記憶されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。メインCPU36が実行する処理の一例を以下に列挙する。
(1)メインCPU36は、LCD18の光源を点灯状態と消灯状態との間で切換える処理を実行する。さらに、メインCPU36は、記憶部14に記憶されている画像データをLCD18に供給し、LCD18に画像データを表示させる表示処理を実行する。
(2)メインCPU36は、PC60との間で通信されるデータの処理を実行する。例えば、メインCPU36は、PC60から送信される印刷指示パケットに基づいて、印刷部16を駆動する印刷処理を実行する。
(3)メインCPU36は、電源ユニット20に接続されている。メインCPU36は、電源ユニット20に指示を送信することによって、PHYチップ40及びMACチップ42をON状態とOFF状態との間で切換える処理を実行する。ON状態は電力供給が実行されている状態であり、OFF状態は電力供給が停止されている状態である。なお、以下では、PHYチップ40及びMACチップ42をON状態にするための指示のことを「供給指示」と呼び、OFF状態にするための指示のことを「停止指示」と呼ぶ。
(4)メインCPU36は、PHYチップ40及びMACチップ42に接続されている。メインCPU36は、PHYチップ40及びMACチップ42から情報を取得する。さらに、メインCPU36は、PHYチップ40及びMACチップ42に所定の指示を送信する。
【0021】
サブCPU38は、記憶部14に記憶されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。サブCPU38が実行する処理の一例を以下に列挙する。
(1)サブCPU38は、第1クロック供給部32をクロック供給実行状態とクロック供給停止状態との間で切換える処理を実行する。即ち、本実施例では、メインCPU36に対するクロック供給が停止されている状態(メインCPU36のスリープ状態)が存在する。なお、本実施例では、多機能機10の電源がON状態である間は、サブCPU38に対するクロック供給が常に実行される。
(2)サブCPU38は、メインCPU36がスリープ状態の間に、PC60から特定のパケットを受信した場合に、そのパケットの処理(例えば応答処理)を実行する。
(3)サブCPU38は、電源ユニット20に接続されている。サブCPU38は、メインCPU36がスリープ状態の間に、PHYチップ40及びMACチップ42をON状態とOFF状態との間で切換える処理を実行する。即ち、サブCPU38は、供給指示と停止指示を電源ユニット20に送信する。
(4)サブCPU38は、PHYチップ40及びMACチップ42に接続されている。サブCPU38は、PHYチップ40及びMACチップ42から情報を取得する。さらに、サブCPU38は、PHYチップ40及びMACチップ42に所定の指示を送信する。なお、サブCPU38は、PHYチップ40から得られる後述の特定の情報を用いて、リンク(Link)状態を検出する。なお、リンク状態は、多機能機10がネットワーク52に通信可能に接続されているのか否かを示す情報である。以下では、多機能機10がネットワーク52に通信可能に接続されている状態のことを「リンクアップ状態」と呼び、多機能機10がネットワーク52に通信可能に接続されていない状態のことを「リンクダウン状態」と呼ぶ。リンクダウン状態の例として、入出力ポート24にLANケーブル26が接続されていない状態、入出力ポート24にLANケーブル26が接続されているがHUB50が動作してない状態等を挙げることができる。
【0022】
PHYチップ40は、OSI参照モデルの物理層の処理を実行する。PHYチップ40は、入出力ポート24に接続されている。PHYチップ40は、MACチップ42に接続されている。また、PHYチップ40は、電源ユニット20に接続されている。PHYチップ40は、OFF状態である場合に、処理を実行することができない。PHYチップ40は、ON状態である場合に、入出力ポート24に入力された信号の波形を整形し、整形後のパルス信号をMACチップ42に送信する。また、PHYチップ40は、ON状態である場合に、特定の情報をサブCPU38に送信する。上記の特定の情報は、入出力ポート24にLANケーブル26が接続されているのか否かに関する第1の情報と、HUB50から送信されるパルス信号を受信しているのか否かに関する第2の情報と、を含む。
【0023】
MACチップ42は、OSI参照モデルのデータリンク層の副層であるMAC層の処理を実行する。MACチップ42は、電源ユニット20に接続されている。MACチップ42は、OFF状態である場合に、処理を実行することができない。MACチップ42は、ON状態である場合に、上記の整形後のパルス信号からMACフレーム(例えば送信元MACアドレス、送信先MACアドレス、データ長、データ本文等)を取り出し、そのMACフレームをメインCPU36やサブCPU38に送信する。
【0024】
(多機能機10の状態)
続いて、多機能機10の状態について説明する。図2は、多機能機10の状態が移行する様子を示す。また、図3は、多機能機10の状態と各部18,36,38,40,42の状態との関係を示す。図2に示されるように、多機能機10は、処理状態70と待機状態72とLスリープ(Lightスリープ)状態74とDスリープ(Deepスリープ)状態76との間で状態が移行する。処理状態70は、メインCPU36が特定の処理を実行している状態である。ここでの特定の処理の例としては、上記の印刷処理、表示処理等を挙げることができる。図3に示されるように、処理状態70では、メインCPU36及びサブCPU38に対するクロック供給が実行されている。処理状態70では、LCD18の光源が点灯状態であり、LCD18に画像データが供給されている。処理状態70では、さらに、PHYチップ40及びMACチップ42がON状態である。
【0025】
図2に示されるように、メインCPU36が上記の特定の処理(印刷処理、表示処理等)を終了すると、待機状態72に移行する。図3に示されるように、待機状態72では、メインCPU36及びサブCPU38に対するクロック供給が実行されている。また、待機状態72では、LCD18の光源が点灯状態であり、PHYチップ40及びMACチップ42がON状態である。
【0026】
図2に示されるように、待機状態72において上記の特定の処理を実行する指示(例えば印刷パケットの受信、ユーザによる操作部12(図1参照)の操作等)がなされると、処理状態70に移行する。また、待機状態72において上記の特定の処理を実行する指示がユーザによってなされない状態が所定時間継続すると、Lスリープ状態74に移行する。図3に示されるように、Lスリープ状態74では、メインCPU36及びサブCPU38に対するクロック供給が実行されている。また、Lスリープ状態74では、LCD18の光源が消灯状態であり、PHYチップ40及びMACチップ42がON状態である。
【0027】
図2に示されるように、Lスリープ状態74において上記の特定の処理を実行する指示がユーザによってなされると、処理状態70に移行する。また、Lスリープ状態74において所定の条件が成立すると、Dスリープ状態76に移行する。本実施例では、上記の所定の条件は、データの通信中でないこと、及び、メインCPU36が処理を実行すべきパケットが存在しないことである。図3に示されるように、Dスリープ状態76では、メインCPU36に対するクロック供給が停止されている。即ち、メインCPU36は、スリープ状態である。また、Dスリープ状態76では、LCD18の光源が消灯状態である。Dスリープ状態76では、リンクアップ状態である場合には、PHYチップ40及びMACチップ42がON状態にされる。一方において、Dスリープ状態76では、リンクダウン状態である場合には、PHYチップ40及びMACチップ42がOFF状態にされる。なお、後で詳しく説明するが、OFF状態であっても、条件(図5のS20の条件)が成立すると、PHYチップ40及びMACチップ42が一時的にON状態になる。
【0028】
図2に示されるように、Dスリープ状態76において上記の特定の処理を実行する指示がユーザによってなされると、Lスリープ状態74を経て(即ちメインCPU36に対するクロック供給が再開され)、処理状態70に移行する。
【0029】
(サブCPU38が実行する処理)
続いて、サブCPU38が実行する処理の内容について詳しく説明する。本実施例では、メインCPU36に対するクロック供給が実行されている状態(即ち処理状態70、待機状態72、及び、Lスリープ状態74)では、基本的にメインCPU36が処理を実行する。ただし、サブCPU38は、図4及び図5に示される処理を実行する。
【0030】
サブCPU38は、多機能機10がいずれの状態70〜76であっても、PHYチップ40及びMACチップ42がON状態である間は、図4に示される処理を定期的に実行する。サブCPU38は、PHYチップ40から得られる上記の特定の情報(第1の情報及び第2の情報)を用いて、リンク状態を検出(特定)する(S10)。例えば、入出力ポート24にLANケーブル26が接続されていないことを示す第1の情報を含む上記の特定の情報が得られた場合、サブCPU38は、リンクダウン状態であると判断し、S12でYESと判断する。また、例えば、HUB50から送信されるパルス信号を受信していないことを示す第2の情報を含む上記の特定の情報が得られた場合、サブCPU38は、リンクダウン状態であると判断し、S12でYESと判断する。S12でYESの場合、サブCPU38は、S14及びS16を実行する。
【0031】
一方において、入出力ポート24にLANケーブル26が接続されていることを示す第1の情報と、HUB50から送信されるパルス信号を受信していることを示す第2の情報と、を含む上記の特定の情報が得られた場合、サブCPU38は、リンクアップ状態であると判断し、S12でNOと判断する。この場合、サブCPU38は、S14及びS16をスキップして処理を終了する。
【0032】
S14では、サブCPU38は、メインCPU36に対するクロック供給が実行されているのか否かを判断する。即ち、サブCPU38は、Dスリープ状態76であるのか否かを判断する。メインCPU36に対するクロック供給が実行されている場合、サブCPU38は、S14でNOと判断し、S16をスキップして処理を終了する。一方において、メインCPU36に対するクロック供給が停止されている場合(Dスリープ状態76である場合)、サブCPU38は、S14でYESと判断し、S16に進む。S16では、サブCPU38は、電源ユニット20に停止指示を送信する。この結果、電源ユニット20は、PHYチップ40及びMACチップ42に対する電力供給を停止する。PHYチップ40及びMACチップ42がON状態からOFF状態に移行する。
【0033】
また、サブCPU38は、PHYチップ40及びMACチップ42がOFF状態である間は、図5に示される処理を定期的に実行する。サブCPU38は、PHYチップ40及びMACチップ42がOFF状態にされた最新の日時から所定時間が経過することを監視している(S20)。なお、上記の最新の日時は、図4のS16が実行された日時、及び、後述のS28が実行された日時、のうちの最も新しい日時を意味する。
【0034】
S20でYESの場合、サブCPU38は、電源ユニット20に供給指示を送信する(S22)。この結果、電源ユニット20は、PHYチップ40及びMACチップ42に対する電力供給を再開する。PHYチップ40及びMACチップ42がOFF状態からON状態に移行する。
【0035】
ON状態に移行したPHYチップ40は、上記の特定の情報(第1の情報と第2の情報)をサブCPU38に送信する。サブCPU38は、PHYチップ40から得られる上記の特定の情報を用いて、リンク状態を検出する(S24)。さらに、サブCPU38は、リンク状態がリンクダウン状態であるのか否かを判断する(S26)。S24及びS26の処理は、図4のS10及びS12の処理と同様である。S26でYESの場合、サブCPU38は、電源ユニット20に停止指示を送信する(S28)。この結果、PHYチップ40及びMACチップ42がON状態からOFF状態に再び移行する。
【0036】
なお、フローチャートに示していないが、サブCPU38は、Lスリープ状態74において、上記の所定の条件(データの通信中でないこと、及び、メインCPU36が処理を実行すべきパケットが存在しないこと)が成立することを監視している。ここでYESの場合、サブCPU38は、クロック供給を停止するための指示を第1クロック供給部32に送信する。この結果、第1クロック供給部32は、メインCPU36に対するクロック供給を停止する。これにより、Lスリープ状態74からDスリープ状態76に移行する。
【0037】
また、サブCPU38は、Dスリープ状態76において、上記の特定の処理(印刷処理、表示処理等)を実行する指示がユーザによってなされることを監視している。ここでYESの場合、サブCPU38は、クロック供給を再開するための指示を第1クロック供給部32に送信する。この結果、第1クロック供給部32は、メインCPU36に対するクロック供給を再開する。これにより、多機能機10は、Dスリープ状態76からLスリープ状態74に移行する。
【0038】
(メインCPU36が実行する処理)
続いて、メインCPU36が実行する処理の内容について詳しく説明する。メインCPU36が実行する印刷処理、表示処理等についての説明は省略する。上述したように、Dスリープ状態76において、上記の特定の処理(印刷処理、表示処理等)を実行する指示がユーザによってなされると、サブCPU38は、メインCPU36に対するクロック供給を再開させる。この結果、Dスリープ状態74からLスリープ状態76に移行する。図6に示されるように、クロック供給が再開されたメインCPU36は、電源ユニット20に供給指示を送信する(S30)。S30が実行される時点では、PHYチップ40及びMACチップ42は、ON状態であるかもしれないし、OFF状態であるかもしれない。OFF状態である場合、電源ユニット20は、PHYチップ40及びMACチップ42に対する電力供給を再開する。一方において、ON状態である場合、電源ユニット20は、処理を実行せず、ON状態を維持する。
【0039】
なお、クロック供給が再開されたメインCPU36は、指示に従って上記の特定の処理を実行する。メインCPU36は、さらに、LCD18の光源を点灯状態にするとともに、LCD18に対する画像データの供給を再開する。これにより、Lスリープ状態74から処理状態70に移行する。
【0040】
図7は、PHYチップ40及びMACチップ42の状態が変化する様子の一例を示す。リンクアップ状態である間は、PHYチップ40及びMACチップ42に対する継続的な電力供給が実行される第1期間100が実現される。第1期間100において、リンクダウン状態になり、かつ、Dスリープ状態になると、PHYチップ40及びMACチップ42に対する継続的な電力供給が停止され(図4のS16参照)、第2期間102に移行する。第2期間102は、PHYチップ40及びMACチップ42に対する一時的な電力供給が実行される3つの第3期間104,106,108を含む。図7の例の場合、1回目の第3期間104及び2回目の第3期間106にリンクアップ状態が検出されなかったために、第2期間102が維持される。また、3回目の第3期間108にリンクアップ状態が検出されたために、第3期間108のON状態が維持される(図5のS26でNOの場合にS28をスキップする)。即ち、PHYチップ40及びMACチップ42に対する継続的な電力供給が開始され、再び第1期間110に移行する。
【0041】
図8は、PHYチップ40及びMACチップ42の状態が変化する様子の別の例を示す。図8の例でも、図7の場合と同様に、第1期間120から第2期間122に移行する。第2期間122は、2つの第3期間124,126を含む。1回目及び2回目の第3期間124,126にリンクアップ状態が検出されない場合であっても、メインCPU36に対するクロック供給が再開された場合に、PHYチップ40及びMACチップ42に対する継続的な電力供給が実行され(図6のS30)、再び第1期間130に移行する。なお、この例の場合、仮に、メインCPU36に対するクロック供給が再開されなかったら、第1期間130に移行せずに第2期間122が維持され、3回目の第3期間128が実行されることになる。
【0042】
本実施例のネットワークシステム2について詳しく説明した。本実施例の多機能機10では、第1期間100,120において、リンクダウン状態になり、かつ、Dスリープ状態76になると、PHYチップ40及びMACチップ42に対する継続的な電力供給を停止することによって、省電力な第2期間102,122を実現している。また、本実施例の多機能機10では、第2期間102内に、PHYチップ40及びMACチップ42に対する一時的な電力供給が実行される第3期間104〜108,124,126を設けている。このために、第2期間102であってもリンク状態を確認することができる。その結果としてリンクアップ状態が検出された場合に、PHYチップ40及びMACチップ42に対する継続的な電力供給を開始することによって、多機能機10を通信可能な状態に復帰させることができる。
【0043】
なお、本実施例では、メインCPU36が非スリープ状態である処理状態70、待機状態72、及び、Lスリープ状態74では、リンクダウン状態であっても、PHYチップ40及びMACチップ42に対する電力供給が停止されない。処理状態70及び待機状態72では、処理実行中又は処理実行直後であるために、ユーザが多機能機10の近傍に存在する可能性が高いと考えられる。また、Lスリープ状態74も、待機状態72から移行する状態であり、ユーザが多機能機10の近傍に存在する可能性が高いと考えられる。これに対し、Dスリープ状態76では、他の状態70,72,74と比べると、ユーザが多機能機10の近傍に存在する可能性は低いと考えられる。ユーザが多機能機10の近傍に存在する可能性が高い状態70,72,74では、ユーザがリンクダウン状態からリンクアップ状態に移行させるための作業(例えばLANケーブル26を入出力ポート24に接続する作業等)を実行する可能性が高いと考えられる。このような観点から、本実施例では、状態70,72,74では、PHYチップ40及びMACチップ42に対する電力供給を停止しない。状態70,72,74では、PHYチップ40が上記の特定の情報をサブCPU38に送信可能な状態が維持されるために、上記の作業をユーザが実行した直後に、多機能機10を通信可能な状態に移行させることができる。これに対し、ユーザが多機能機10の近傍に存在する可能性が低いDスリープ状態76では、ユーザが上記の作業を実行する可能性が低いと考えられるために、PHYチップ40及びMACチップ42に対する電力供給を停止する。これにより、多機能機10の省電力化を実現している。
【0044】
(第2実施例)
第1実施例と異なる点について説明する。第1実施例では、図7及び図8に示されるように、第3期間104〜108,124,126に、PHYチップ40とMACチップ42の両方に対する一時的な電力供給が実行される。リンク状態を確認するためには、PHYチップ40がON状態であれば足り、MACチップ42がON状態である必要はない。このような観点から、本実施例では、第3期間にMACチップ42に対する電力供給を実行しない。
【0045】
図4及び図6に示される処理は、第1実施例と同様である。図5に示される処理の内容が、第1実施例と異なる。本実施例のサブCPU38は、PHYチップ40及びMACチップ42がOFF状態である間は、図9に示される処理を定期的に実行する。サブCPU38は、PHYチップ40がOFF状態にされた最新の日時から所定時間が経過することを監視している(S40)。上記の最新の日時は、図4のS16が実行された日時、及び、後述のS48が実行された日時、のうちの最も新しい日時を意味する。
【0046】
S40でYESの場合、サブCPU38は、PHYチップ40に対する電力供給を実行するように電源ユニット20に指示を送信する(S42)。この結果、電源ユニット20は、PHYチップ40のみに対する電力供給を再開する。MACチップ42は、OFF状態で維持される。
【0047】
サブCPU38は、ON状態に移行したPHYチップ40から得られる上記の特定の情報を用いて、リンク状態を検出する(S44)。サブCPU38は、リンク状態がリンクダウン状態であるのか否かを判断する(S46)。S46でYESの場合、サブCPU38は、PHYチップ40に対する電力供給を停止するように電源ユニット20に指示を送信する(S48)。この結果、PHYチップ40がON状態からOFF状態に再び移行する。また、S46でNOの場合、サブCPU38は、MACチップ42に対する電力供給を実行するように電源ユニット20に指示を送信する(S50)。この結果、MACチップ42がOFF状態からON状態に再び移行する。
【0048】
図10は、PHYチップ40及びMACチップ42の状態が変化する様子の一例を示す。図10の例でも、第1実施例の図7の場合と同様に、第1期間140から第2期間142に移行する。第2期間142は、3つの第3期間144,146,148を含む。各第3期間144,146,148では、PHYチップ40に対する電力供給が実行され、MACチップ42に対する電力供給が実行されない。3回目の第3期間148にリンクアップ状態が検出されると、PHYチップ40については、第3期間148のON状態が維持され(図9のS46でNOの場合にS48を実行せず)、MACチップ42については、電力供給が開始される(図9のS50参照)。これにより、PHYチップ40及びMACチップ42に対する継続的な電力供給が開始され、再び第1期間150に移行する。
【0049】
本実施例では、第3期間144,146,148において、MACチップ42に対する電力供給が実行されないために、より省電力な多機能機10を実現することができる。
【0050】
(第3実施例)
第1実施例と異なる点について説明する。第1実施例では、図7及び図8に示されるように、第2期間102,122において、PHYチップ40とMACチップ42の両方に対する電力供給が停止される。本実施例では、多機能機10の電源がONされている間は、PHYチップ40に対する電力供給が停止されない。即ち、本実施例では、MACチップ42のみに対する電力供給を停止することによって、省電力な第2期間を実現する。
【0051】
本実施例のサブCPU38は、図4のS16の処理において、MACチップ42に対する電力供給を停止するように電源ユニット20に指示を送信する。この結果、電源ユニット20は、MACチップ42のみに対する電力供給を停止する。PHYチップ40は、ON状態が維持される。また、本実施例のメインCPU36は、図6のS30の処理において、MACチップ42に対する電力供給を実行するように電源ユニット20に指示を送信する。この結果、電源ユニット20は、MACチップ42に対する電力供給を再開する。
【0052】
また、本実施例のサブCPU38は、MACチップ42がOFF状態である間は、図11に示される処理を定期的に実行する。サブCPU38は、PHYチップ40から得られる上記の特定の情報を用いて、リンク状態を検出する(S60)。サブCPU38は、リンク状態がリンクダウン状態であるのか否かを判断する(S62)。S62でYESの場合、サブCPU38は、S64をスキップして処理を終了する。一方において、S62でNOの場合、サブCPU38は、MACチップ42に対する電力供給を実行するように電源ユニット20に指示を送信する(S64)。この結果、MACチップ42がOFF状態からON状態に再び移行する。
【0053】
図12は、PHYチップ40及びMACチップ42の状態が変化する様子の一例を示す。リンクアップ状態である間は、PHYチップ40及びMACチップ42に対する継続的な電力供給が実行される第1期間160が実現される。第1期間160において、リンクダウン状態になり、かつ、Dスリープ状態になると、MACチップ42に対する継続的な電力供給が停止され、第2期間162に移行する。ただし、PHYチップ40は、ON状態が維持される。第2期間162にリンクアップ状態が検出された場合、又は、メインCPU36に対するクロック供給が再開された場合、MACチップ42に対する継続的な電力供給が開始され(図11のS64参照)、再び第1期間170に移行する。
【0054】
本実施例の多機能機10では、第1期間160において、リンクダウン状態になり、かつ、Dスリープ状態76になると、MACチップ42に対する継続的な電力供給を停止することによって、省電力な第2期間162を実現している。本実施例では、第2期間162であっても、PHYチップ40が上記の特定の情報をサブCPU38に送信可能な状態が維持されるために、リンクダウン状態からリンクアップ状態に移行させるための作業をユーザが実行した直後に、MACチップ42をON状態に復帰させることができる(即ち多機能機10を通信可能な状態に移行させることができる)。
【0055】
上記の説明から明らかなように、本発明のネットワーク装置は、多機能機10に対応する。本発明のPHY層処理実行部、MAC層処理実行部は、それぞれ、PHYチップ40、MACチップ42に対応する。また、本発明の判断部、第1制御部、制御部は、メインCPU36とサブCPU38の両方に対応し、第2制御部は、メインCPU36に対応する。
【0056】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0057】
(1)上記の各実施例では、リンクダウン状態であり、かつ、Dスリープ状態76である場合に、PHYチップ40及びMACチップ42(第3実施例の場合はMACチップ42のみ)に対する電力供給が停止される。しかしながら、Dスリープ状態76であるのか否かに関わらず(即ちメインCPU36に対するクロック供給の有無に関わらず)、リンクダウン状態である場合に、PHYチップ40及びMACチップ42(第3実施例の場合はMACチップ42のみ)に対する電力供給が停止されてもよい。
【0058】
(2)上記の各実施例において、第1モードと第2モードとの間でモードを切換えることをユーザに許容してもよい。第1モードでは、メインCPU36及びサブCPU38は、上記の各実施例の処理(図4〜6、9、及び、11)を実行してもよい。一方において、第2モードでは、メインCPU36及びサブCPU38は、上記の各実施例の処理(図4〜6、9、及び、11)を実行しなくてもよい。即ち、第2モードの場合、多機能機10の電源がONである間は、PHYチップ40及びMACチップ42をON状態に維持してもよい。
【0059】
(3)上記の実施例において、Lスリープ状態74がなくてもよい。即ち、待機状態72において上記の特定の処理を実行する指示がユーザによってなされない状態が所定時間継続した場合に、メインCPU36に対するクロック供給が停止され、LCD18の光源が消灯状態にされてもよい。
【0060】
(4)上記の実施例では、メインCPU36に対するクロック供給を停止することによって、メインCPU36をスリープ状態に移行させる。しかしながら、メインCPU36に対するクロック供給を停止せず、クロック周波数を低減させることによって、メインCPU36をスリープ状態に移行させてもよい。
【0061】
(5)上記の実施例の技術は、PC、サーバ、プリンタ、スキャナ、電話機、ファクシミリ等の他のネットワーク装置に適用することもできる。
【0062】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0063】
2:ネットワークシステム、10:多機能機、18:LCD、20:電源ユニット、30:制御部、36:メインCPU、38:サブCPU、40:PHYチップ、42:MACチップ、52:ネットワーク、60:PC、100,110:第1期間、102:第2期間、104,106,108:第3期間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続されるネットワーク装置であって、
PHY層の処理を実行するPHY層処理実行部と、
前記PHY層処理実行部から与えられる情報を用いて、リンク状態がリンクアップ状態であるかリンクダウン状態であるかを判断する判断部であって、前記リンクアップ状態は、前記ネットワーク装置が前記ネットワークに通信可能に接続されている状態であり、前記リンクダウン状態は、前記ネットワーク装置が前記ネットワークに通信可能に接続されていない状態である、前記判断部と、
前記PHY層処理実行部に対する電力供給を制御する第1制御部と、
を備え、
前記第1制御部は、
前記PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給が実行される第1期間に、前記リンク状態が前記リンクダウン状態であると前記判断部によって判断される場合に、前記PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給を停止し、
前記PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給が停止された後の第2期間内に、前記PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給を実行し、
前記第2期間に前記PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給が実行されて、前記リンク状態が前記リンクアップ状態であると前記判断部によって判断される場合に、前記PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始する
ことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記第2期間内に、前記PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給を繰り返し実行する
ことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項3】
スリープ状態と非スリープ状態との間で状態が移行する第2制御部をさらに備え、
前記第1制御部は、前記第1期間に、前記リンク状態が前記リンクダウン状態であると前記判断部によって判断され、かつ、前記第2制御部が前記スリープ状態である場合に、前記PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給を停止する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワーク装置。
【請求項4】
前記第1制御部は、前記第2期間において、前記第2制御部が前記スリープ状態から前記非スリープ状態に移行する際には、前記リンク状態に関わらず、前記PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始する
ことを特徴とする請求項3に記載のネットワーク装置。
【請求項5】
MAC層の処理を実行するMAC層処理実行部をさらに備え、
前記第1制御部は、さらに、前記MAC層処理実行部に対する電力供給を制御し、
前記第1制御部は、
前記第1期間に、前記リンク状態が前記リンクダウン状態であると前記判断部によって判断される場合に、さらに、前記MAC層処理実行部に対する継続的な電力供給を停止し、
前記第2期間に前記PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給が実行されて、前記リンク状態が前記リンクアップ状態であると前記判断部によって判断される場合に、前記MAC層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のネットワーク装置。
【請求項6】
前記第1制御部は、前記第2期間内に、前記PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給を実行する際に、前記MAC層処理実行部に対する一時的な電力供給を実行しない
ことを特徴とする請求項5に記載のネットワーク装置。
【請求項7】
ネットワークに接続されるネットワーク装置であって、
PHY層の処理を実行するPHY層処理実行部と、
MAC層の処理を実行するMAC層処理実行部と、
前記PHY層処理実行部から与えられる情報を用いて、リンク状態がリンクアップ状態であるかリンクダウン状態であるかを判断する判断部であって、前記リンクアップ状態は、前記ネットワーク装置が前記ネットワークに通信可能に接続されている状態であり、前記リンクダウン状態は、前記ネットワーク装置が前記ネットワークに通信可能に接続されていない状態である、前記判断部と、
前記MAC層処理実行部に対する電力供給を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記リンク状態が前記リンクダウン状態であると前記判断部によって判断される場合に、前記MAC層処理実行部に対する継続的な電力供給を停止し、
前記リンク状態が前記リンクアップ状態であると前記判断部によって判断される場合に、前記MAC層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始する
ことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項1】
ネットワークに接続されるネットワーク装置であって、
PHY層の処理を実行するPHY層処理実行部と、
前記PHY層処理実行部から与えられる情報を用いて、リンク状態がリンクアップ状態であるかリンクダウン状態であるかを判断する判断部であって、前記リンクアップ状態は、前記ネットワーク装置が前記ネットワークに通信可能に接続されている状態であり、前記リンクダウン状態は、前記ネットワーク装置が前記ネットワークに通信可能に接続されていない状態である、前記判断部と、
前記PHY層処理実行部に対する電力供給を制御する第1制御部と、
を備え、
前記第1制御部は、
前記PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給が実行される第1期間に、前記リンク状態が前記リンクダウン状態であると前記判断部によって判断される場合に、前記PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給を停止し、
前記PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給が停止された後の第2期間内に、前記PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給を実行し、
前記第2期間に前記PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給が実行されて、前記リンク状態が前記リンクアップ状態であると前記判断部によって判断される場合に、前記PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始する
ことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記第2期間内に、前記PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給を繰り返し実行する
ことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項3】
スリープ状態と非スリープ状態との間で状態が移行する第2制御部をさらに備え、
前記第1制御部は、前記第1期間に、前記リンク状態が前記リンクダウン状態であると前記判断部によって判断され、かつ、前記第2制御部が前記スリープ状態である場合に、前記PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給を停止する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワーク装置。
【請求項4】
前記第1制御部は、前記第2期間において、前記第2制御部が前記スリープ状態から前記非スリープ状態に移行する際には、前記リンク状態に関わらず、前記PHY層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始する
ことを特徴とする請求項3に記載のネットワーク装置。
【請求項5】
MAC層の処理を実行するMAC層処理実行部をさらに備え、
前記第1制御部は、さらに、前記MAC層処理実行部に対する電力供給を制御し、
前記第1制御部は、
前記第1期間に、前記リンク状態が前記リンクダウン状態であると前記判断部によって判断される場合に、さらに、前記MAC層処理実行部に対する継続的な電力供給を停止し、
前記第2期間に前記PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給が実行されて、前記リンク状態が前記リンクアップ状態であると前記判断部によって判断される場合に、前記MAC層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のネットワーク装置。
【請求項6】
前記第1制御部は、前記第2期間内に、前記PHY層処理実行部に対する一時的な電力供給を実行する際に、前記MAC層処理実行部に対する一時的な電力供給を実行しない
ことを特徴とする請求項5に記載のネットワーク装置。
【請求項7】
ネットワークに接続されるネットワーク装置であって、
PHY層の処理を実行するPHY層処理実行部と、
MAC層の処理を実行するMAC層処理実行部と、
前記PHY層処理実行部から与えられる情報を用いて、リンク状態がリンクアップ状態であるかリンクダウン状態であるかを判断する判断部であって、前記リンクアップ状態は、前記ネットワーク装置が前記ネットワークに通信可能に接続されている状態であり、前記リンクダウン状態は、前記ネットワーク装置が前記ネットワークに通信可能に接続されていない状態である、前記判断部と、
前記MAC層処理実行部に対する電力供給を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記リンク状態が前記リンクダウン状態であると前記判断部によって判断される場合に、前記MAC層処理実行部に対する継続的な電力供給を停止し、
前記リンク状態が前記リンクアップ状態であると前記判断部によって判断される場合に、前記MAC層処理実行部に対する継続的な電力供給を開始する
ことを特徴とするネットワーク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−226613(P2010−226613A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73773(P2009−73773)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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