説明

ネットワーク解析システム、印刷装置利用状況解析システム、ネットワーク解析プログラム、印刷装置利用状況解析プログラム、ネットワーク解析方法および印刷装置利用状況解析方法

【課題】ネットワーク障害の解析に際し、特別な前準備や後処理を必要とせず、容易な障害解析を可能とするネットワーク解析システムを提供する。
【解決手段】ネットワーク解析システムは、ネットワークからモニターするフレームを取得するフレームデータ取得手段と、前記フレームデータからデータリンク層フレームデータを分析するデータリンク層フレームデータ分析手段と、前記データリンク層フレームデータを元に、ネットワーク層フレームデータを分析するネットワーク層フレームデータ分析手段と、前記ネットワーク層フレームデータを元に、セッション層フレームデータを分析するセッション層フレームデータ分析手段と、前記各分析手段により分析されたエラー情報を含む分析結果を前記セッション層フレームデータ分析手段により分析されたセッション情報に対応づけて出力する分析結果出力手段を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク上の通信をモニターして解析するネットワーク解析システム、ネットワーク解析プログラム、ネットワーク解析方法およびネットワークに接続された印刷装置の稼動状況を解析する印刷装置利用状況解析システム、印刷装置利用状況解析プログラム、印刷装置利用状況解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークの発展によりコンピュータのみならず、OA機器、家電等あらゆるものがTCP/IPに代表されるネットワーク層のプロトコルを使ってネットワークに接続されるようになりつつある。
また、TCP/IP等のネットワークに利用される物理層のプロトコルにはイーサネット(登録商標)が利用されることが多く、関連した機器の高性能化、低価格化が進行しており、ネットワーク上のトラフィックも増大しつつある。
【0003】
これらを背景にネットワーク機器の相互接続性、品質問題、また、イーサネットで利用されているCSMA/CD制御方式の問題(ネットワーク使用率に反比例してエラーが増加する)などによってネットワークに障害を引き起こすことも少なくない。
【0004】
ネットワーク障害の解析は通常ネットワークモニターを使って行われる。
ネットワークモニターはネットワーク上に流れる通信パケットをモニタリングするための機器であり、ネットワークに当該装置を接続し、任意の時間ネットワークの通信パケットを記録することを可能にする。
記録されたパケットは時系列のリスト状に表示することが可能で、これによってネットワーク上の通信の異常を調査することが可能になる。
【0005】
しかしながら、ネットワークはそこに接続される複数の機器により共有されるため、時系列に表示されたパケットは複数の機器間の通信が入り乱れて表示されるため、障害の調査にあたっては、時系列に表示されたパケットから問題を発生したホストが送受信するパケットをパケットの持つアドレスによって特定し、そのパケットに着目して行う必要がある。
【0006】
さらに、TCP/IPではポート番号を用いて多重の論理セッションが可能で、同一アドレス宛てパケットでも異なるセッションのパケットであることが考えられる。そのためセッションを区別して障害解析を進めるにはポート番号も識別する必要がある。
【0007】
前述したように従来のネットワークモニターを利用した障害解析では多くの時間と労力を要する。
このような問題を解決する従来技術としては、以下に示す特許文献1では、通信内容と正常時の基準となる通信内容とを対比して表示する方法を示している。
この方法では、予めメモリなどによって格納された正常シーケンスと現在モニタ中の内容との比較を逐次行って不一致があれば当該不一致個所を中心にその前後のシーケンスを対比して表示させる機能を持たせることによって解析作業を容易に行う方法を提案している。
【0008】
このために、通信回線に接続され、通信内容を受信する受信部と、受信部が受信した通信内容からトレースの必要のあるものを選択するトレースレベル選択手段と、トレースレベル選択手段が選択して取込んだ通信内容のトレースフレームを格納するトレースフレーム格納手段と、正常時に通信回線に流れる通信内容のフレーム列を予め格納する比較フレーム格納手段と、トレースレベル選択手段が選択した受信中のトレースフレームと、比較フレーム格納手段に格納されるフレーム列中の該当するフレーム列とを比較して、不一致の場合には、前記両格納手段から不一致個所およびその前後の所定個所におけるトレースフレームとフレーム列とを読み出させる比較処理手段と、比較処理手段によって読み出される前記トレースフレームと前記フレーム列とを表示する表示手段とを含むことを特徴としている。
【0009】
例えば、特許文献2には、ネットワークのトラフィック及びデータ通信する装置に影響を与えることなく、ネットワークアプリケーションの動作状況をモニタリングすることのできるネットワーク監視装置を提供することを目的としており、パケット選択部はパケット受信部によって受信されたパケットのうち、所望のパケットを選択し、パケット蓄積部に蓄積し、プロトコル解析部は、パケット蓄積部に蓄積されているパケット内のデータフレームのヘッダを解析し、該解析結果と当該ヘッダ以降のアプリケーション層のデータとを出力し、データ選択部は、データ形式を推定しこの推定されたデータ形式に基づいて前記アプリケーション層のデータを選択し、これをデータ抽出部に渡し、データ抽出部は、受け取ったデータから、モニタリングに必要なデータを抽出してアクティビティ蓄積部に蓄積するものが記載されている。
【0010】
例えば、特許文献3には、ネットワークサーベイランスシステムは、ネットワークパケットを獲得し無効なパケットをフィルタするためのハンドラープロセスと、第1及び第2の連続分類されたレコードファイルと、ネットワーク上で発生する全セッションをスキャニングし一定のルールの存在を検査するためのスキャナプロセスとを含む。ルールが、セキュリティインシデントを示さないとき、電子メールあるいは他のメールを介してネットワークセキュリティオフィサーに通知すること、又はネットワークセッションを記録あるいは終結することを含むような、種々の適切なアクションがとられてもよい。サーベイランスシステムは、他のあらゆるネットワークトラフィック及びネットワークファイルサーバとは完全に独立に動作し、従ってネットワークの性能に影響はないものが記載されている。
【0011】
例えば、特許文献4には、デジタル通信回線から取り込んだデータや伝送制御情報などからプロトコル固有のシーケンシャルなエラーを検索することができるプロトコルエラー検索装置と方法を提供することを目的とし、記憶媒体に蓄積されている回線データおよび伝送制御情報をデータ取込手段により、時系列的に取り出して解析用メモリに一時的に格納し、データ解析手段で回線データおよび伝送制御情報を解析し、プロトコル固有の状態を、状態管理手段によって状態管理メモリに格納し、データ解析手段において異常と思われる回線データまたは伝送制御情報を検出した場合には、障害判定手段は、プロトコル固有の状態を状態管理メモリから参照し、プロトコル固有のシーケンシャルなエラーかどうかを判別するものが記載されている。
【0012】
例えば、特許文献5には、集中型ネットワークにおいて、汎用コンピュータの負荷をそれほど高めることなく、端末の状態変化をオペレータが確実に認識し得るようにすることを課題とし、汎用コンピュータに障害監視端末が接続され、汎用コンピュータ、障害監視端末上で障害監視プロセスが動作し、OSは、全端末を一括管理している通信管理を有し、通信管理は端末に障害が発生すると障害通知をOSに出し、OSはそれをメッセージ化してコンソール端末に出力し、障害監視プロセスは、コンソール端末に出力されるメッセージの中から端末関連のメッセージだけを選別し、障害監視端末へ送信し、障害監視プロセスは、受信したメッセージを解析、編集して詳細情報を作成し、履歴情報ファイルに蓄積すると共に、発生した端末の障害にかかる情報の概要を表示装置に表示するものが記載されている。
【0013】
例えば、特許文献6には、電子計算機を含む複数のネットワーク機器が接続されているネットワークを管理運用するネットワーク設備運用管理システムにおいて、各ネットワーク機器が設置されている場所の地図、配線状況の情報を含む現状のネットワーク構成におけるネットワーク機器の物理的配置および接続関係に関する情報を格納した第1のデータベースと、ネットワークトラフィックの履歴、ディスク使用量の推移の情報を含む現状のネットワーク構成におけるネットワークトポロジーを示す論理的な情報および接続関係に関する情報を格納した第2のデータベースと、敷設ケーブル長、電気容量、設置面積、電源位置、ネットワークポート形状の情報を含む物理的要件および接続可能マシン数、ネットワークトラフィックの上限値、ディスクの使用量、スワップサイズの使用量の情報を含むネットワークトポロジー解析に必要となる論理的要件を入力する入力手段と、前記物理的要件および論理的要件に対応するチェック内容を格納した第3のデータベースと、前記入力手段によって前記物理的要件が入力された時、その入力された物理的要件に対応するチェック内容を前記第3のデータベースから検索すると共に、入力された物理的要件に関する情報を前記第1のデータベースから検索し、現状のネットワーク構成におけるネットワーク機器の物理的配置および接続関係が前記チェック内容で示される条件を満たしているか否かをチェックする第1のチェック手段と、前記入力手段によって前記論理的要件が入力された時、その入力された論理的要件に対応するチェック内容を前記第3のデータベースから検索すると共に、入力された論理的要件に関する情報を前記第2のデータベースから検索し、現状のネットワーク構成におけるネットワーク機器の論理的な接続関係が前記チェック内容で示される条件を満たしているか否かをチェックする第2のチェック手段と、前記第1のデータベースの格納情報を参照し、現状のネットワーク物理構成図を生成する手段と、前記第2のデータベースの格納情報を参照し、現状のネットワーク論理構成図を生成する手段と、前記第1および第2のチェック手段のチェック結果の情報および前記ネットワーク物理構成図,ネットワーク論理構成図を表示する表示手段と、現状のネットワーク構成における各ネットワーク機器の製品名、機種名、インタフェース、処理速度の情報を含む属性を格納した第4のデータベースと、前記表示手段の表示画面に表示されたネットワーク物理構成図またはネットワーク論理構成図の中に表示されたネットワーク機器の選択指示操作に対し、選択指示されたネットワーク機器の属性を前記第4のデータベースから検索し、その検索した属性の情報を前記表示手段の表示画面内に表示させる手段と、を備えることを特徴とするネットワーク設備運用管理システムが記載されている。
【0014】
また、特に、オフィスに設置される印刷装置を最適配置し、TCO(Total Cost of Ownership)を削減することの重要性が認識されだしてきている。そのためには、印刷装置の利用状況を正確に把握する必要がある。
【0015】
従来、オフィスに設置された印刷装置の出力状況を把握するシステムとして例えば、特許文献7に記載されているものが提案されている。それでは複数の印刷装置を接続したサーバー(情報受信サーバー)により印刷装置の利用状況を把握するとともに、当該情報を情報提供サーバーをつかって外部からアクセスできるようにすることで、印刷装置の利用状況を把握するシステムを提案している(プリントサーバー通知方式)。
【0016】
各クライアントパソコンにユーザーの印刷操作を検出するソフトウェアをインストールし、印刷時には収集サーバーにログを送信、記録するものがある(クライアント通知方式)。
印刷装置または複合機が出力履歴を蓄積する機能を有し、収集サーバーが定期的にそのログを収集、記録する(印刷装置記録方式)。
【特許文献1】特開平5−207016号公報
【特許文献2】特開平7−321783号公報
【特許文献3】特表2002−515152号公報
【特許文献4】特開平8−237334号公報
【特許文献5】特開平10−133915号公報
【特許文献6】特許第2769260号公報
【特許文献7】特開2003−22175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、前述したようなTCP/IP通信では物理層での通信エラーや、通信経路によって適応的な制御がなされる。具体的には、送信パケットに対する応答が一定期間返らない場合のフレーム再送などである。このような場合、同じ通信内容であっても物理層レベルで観測されるフレームが異なるため、従来技術の予め登録したフレームシーケンスのパターン比較により障害を発見することは困難であり、また、どのセッションで障害が発生しているのかを確認することができない、という問題点がある。
【0018】
また、ネットワークに接続されているものとして、特に印刷装置の利用状況を正確に把握するためには、プリントサーバー通知方式、クライアント通知方式、印刷装置記録方式ではシステムを構築するために多大な費用を必要とする問題点がある。
例えば、プリントサーバー通知方式では、印刷装置は必ずプリントサーバーを経由して接続する必要があり、余分なネットワークトラフィックを発生してしまう、という問題点がある。
クライアント通知方式では、全てのクライアントパソコンに専用のソフトウェアをインストールする必要があり、ネットワークに負荷を与えることになる、という問題点がある。
印刷装置記録方式では、メーカ毎に実現方法が異なるため、同一メーカーの印刷装置のみ可能であり、他の印刷装置に対応することはできない、という問題点がある。
【0019】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、ネットワーク障害の解析に際し、特別な前準備や後処理を必要とせず、容易な障害解析を可能とするネットワーク解析システム、ネットワーク解析プログラム、ネットワーク解析方法を提供することを目的としている。
【0020】
また、印刷装置の利用状況を正確に把握するために、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、既存のシステムに大きな変更を加えることなく、印刷装置の利用状況を把握できるようにし、ネットワークに接続するのみで印刷装置の稼動状況を把握可能な印刷装置利用状況解析システム、印刷装置利用状況解析プログラム、印刷装置利用状況解析方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1] ネットワーク上の通信をモニターして解析するネットワーク解析システムであって、
前記ネットワークからモニターするフレームを取得するフレームデータ取得手段と、
前記フレームデータ取得手段により取得したフレームデータからデータリンク層フレームデータを分析するデータリンク層フレームデータ分析手段と、
前記データリンク層フレームデータ分析手段により分析されたフレームデータを元に、ネットワーク層フレームデータを分析するネットワーク層フレームデータ分析手段と、
前記ネットワーク層フレームデータ分析手段により分析されたフレームデータを元に、セッション層フレームデータを分析するセッション層フレームデータ分析手段と、
前記各分析手段により分析されたエラー情報を含む分析結果を前記セッション層フレームデータ分析手段により分析されたセッション情報に対応づけて出力する分析結果出力手段
を具備することを特徴とするネットワーク解析システム。
【0022】
[2] 予め任意のデータパターンを登録するデータ登録手段と、
前記セッション層フレームデータ分析手段は、分析するセッション中に前記データ登録手段に登録されたデータが出現したかを検出する検出手段を具備し、
前記分析結果出力手段による出力として検出結果を含むこと
を特徴とした[1]記載のネットワーク解析システム。
【0023】
[3] 前記分析結果出力手段による出力として、セッションの開始時間、セッションの終了時間、セッション中の通信データ量情報、セッション端のアドレス情報、セッション中に発生したエラー情報、のうちいずれか一つ以上を含むこと
を特徴とした[1]記載のネットワーク解析システム。
【0024】
[4] 前記エラー情報は他の分析結果より強調して表示されること
を特徴とした[3]記載のネットワーク解析システム。
【0025】
[5] 任意のネットワークアドレスを設定するアドレス設定手段を具備し、
前記セッション層フレームデータ分析手段は、前記アドレス設定手段により設定されたアドレスの機器のセッションのみを分析すること
を特徴とした[1],[2],[3]または[4]に記載のネットワーク解析システム。
【0026】
[6] ネットワークに接続された印刷装置の稼動状況を解析する印刷装置利用状況解析システムであって、
前記ネットワークに流れるパケットを取り込むネットワークインターフェース手段と、
前記ネットワークインターフェース手段により取り込まれたパケットから通信データを復元する通信データ復元手段と、
前記通信データ復元手段により復元されたデータからプリントジョブの各種属性に応じて前記印刷装置の稼動状況を解析する解析手段と、
前記解析手段により解析された各種属性情報を記録する解析情報記録手段
を具備したことを特徴とする印刷装置利用状況解析システム。
【0027】
[7] コンピュータに、ネットワーク上の通信をモニターして解析させるネットワーク解析プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記ネットワークからモニターするフレームを取得するフレームデータ取得機能と、
前記フレームデータ取得機能により取得したフレームデータからデータリンク層フレームデータを分析するデータリンク層フレームデータ分析機能と、
前記データリンク層フレームデータ分析機能により分析されたフレームデータを元に、ネットワーク層フレームデータを分析するネットワーク層フレームデータ分析機能と、
前記ネットワーク層フレームデータ分析機能により分析されたフレームデータを元に、セッション層フレームデータを分析するセッション層フレームデータ分析機能と、
前記各分析機能により分析されたエラー情報を含む分析結果を前記セッション層フレームデータ分析機能により分析されたセッション情報に対応づけて出力する分析結果出力機能
を実現させることを特徴とするネットワーク解析プログラム。
【0028】
[8] コンピュータに、ネットワークに接続された印刷装置の稼動状況を解析させる印刷装置利用状況解析プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記ネットワークに流れるパケットを取り込むネットワークインターフェース機能と、
前記ネットワークインターフェース機能により取り込まれたパケットから通信データを復元する通信データ復元機能と、
前記通信データ復元機能により復元されたデータからプリントジョブの各種属性に応じて前記印刷装置の稼動状況を解析する解析機能と、
前記解析機能により解析された各種属性情報を記録する解析情報記録機能
を実現させることを特徴とする印刷装置利用状況解析プログラム。
【0029】
[9] ネットワーク上の通信をモニターして解析するネットワーク解析システムで行われるネットワーク解析方法であって、
前記ネットワーク解析システムは、
前記ネットワークからモニターするフレームを取得し、
前記取得したフレームデータからデータリンク層フレームデータを分析し、
前記分析されたデータリンク層フレームデータを元に、ネットワーク層フレームデータを分析し、
前記分析されたネットワーク層フレームデータを元に、セッション層フレームデータを分析し、
前記各分析されたエラー情報を含む分析結果を前記セッション層フレームデータの分析により得られたセッション情報に対応づけて出力する
ことを特徴とするネットワーク解析方法。
【0030】
[10] ネットワークに接続された印刷装置の稼動状況を解析する印刷装置利用状況解析システムで行われる印刷装置利用状況解析方法であって、
前記印刷装置利用状況解析システムは、
前記ネットワークに流れるパケットを取り込み、
前記取り込まれたパケットから通信データを復元し、
前記復元されたデータからプリントジョブの各種属性に応じて前記印刷装置の稼動状況を解析し、
前記解析された各種属性情報を記録する
ことを特徴とする印刷装置利用状況解析方法。
【0031】
前記本発明は次のように作用する。
本発明におけるネットワーク解析システム、ネットワーク解析プログラムおよびネットワーク解析方法は、ネットワーク障害の解析に際し、特別な前準備や後処理を必要とせず、容易な障害解析を可能とする。
【0032】
ネットワーク上の通信をモニターして解析を行う。解析のために、ネットワークの機能階層を活用する。
まず、前記ネットワークからモニターするフレームを取得する。そして、取得したフレームデータからデータリンク層フレームデータを分析する。次に、分析されたデータリンク層フレームデータを元に、ネットワーク層フレームデータを分析する。次に、分析されたネットワーク層フレームデータを元に、セッション層フレームデータを分析する。
【0033】
そして、前記各分析されたエラー情報を含む分析結果をセッション情報に対応づけて出力する。
さらに、予め任意のデータパターンを登録しておき、分析するセッション中に前記登録されたデータが出現したかを検出し、その検出結果を含む出力を行うこともできる。
【0034】
また、出力として、セッションの開始時間、セッションの終了時間、セッション中の通信データ量情報、セッション端のアドレス情報、セッション中に発生したエラー情報、のうちいずれか一つ以上を含むこともできる。
また、前記エラー情報は他の分析結果より強調して表示することもできる。
【0035】
さらに、任意のネットワークアドレスを設定し、前記設定されたアドレスの機器のセッションのみを分析することもできる。
【0036】
本発明における印刷装置利用状況解析システム、印刷装置利用状況解析プログラムおよび印刷装置利用状況解析方法は、既存のネットワークシステムに大きな変更を加えることなく、印刷装置の利用状況を把握できるようにし、ネットワークに接続するのみで印刷装置の稼動状況を把握可能とする。
概要としては、ネットワーク上に流れるパケットデータを分析し、プリントデータを抽出分析することでプリントジョブの内容を把握しようとするものである。
【0037】
ネットワークに接続された印刷装置の稼動状況を解析する、印刷装置利用状況解析システム、印刷装置利用状況解析プログラムおよび印刷装置利用状況解析方法でも、解析のために、ネットワークの機能階層を活用する。
【0038】
まず、前記ネットワークに流れるパケットを取り込む。そして、前記取り込まれたパケットから通信データを復元する。次に、前記復元されたデータからプリントジョブの各種属性に応じて前記印刷装置の稼動状況を解析する。
そして、前記解析された各種属性情報を記録する。
【0039】
これによって、全てのクライアントパソコンに専用のソフトウェアをインストールする必要はなく、印刷装置はプリントサーバーを経由して接続する必要もなく、異なるメーカーの印刷装置にも対応でき、更に、余分なネットワークトラフィックを発生させることもない。
【発明の効果】
【0040】
本発明にかかるネットワーク解析システム、ネットワーク解析プログラムおよびネットワーク解析方法によれば、ネットワーク障害の解析に際し、特別な前準備や後処理を必要とせず、更に、余分なネットワークトラフィックを発生させることもなく、セッション毎のネットワーク解析を行うことができる。
【0041】
また、本発明にかかる印刷装置利用状況解析システム、印刷装置利用状況解析プログラムおよび印刷装置利用状況解析方法によれば、全てのクライアントパソコンに専用のソフトウェアをインストールする必要はなく、印刷装置はデータ収集用のプリントサーバーを経由して接続する必要もなく、異なるメーカーの印刷装置にも対応でき、更に、余分なネットワークトラフィックを発生させることもなく、既存のネットワークシステムに大きな変更を加えることなく、印刷装置の利用状況を把握できるようにし、ネットワークに接続するのみで印刷装置の稼動状況を把握可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、図面に基づき本発明の好適な各種の実施の形態を説明する。
図1〜5は本発明の第1の実施の形態を示している。図1は、本発明の第1の実施の形態であるネットワーク解析システムの内部構造を示す概念的なモジュール構成図を示している。
【0043】
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはプログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。したがって、本実施の形態は、システム、プログラムおよび方法の説明をも兼ねている。また、モジュールは機能にほぼ一対一に対応しているが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよい、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散または並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続を含む。「印刷装置」には、プリンタ、複合機、FAX等が含まれる。
【0044】
また、システムとは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク等で接続されて構成されるほか、1つの装置によって実現される場合も含まれる。
なお、ネットワークには、各装置がケーブルで接続されている有線のほか、無線で接続するものも含まれる。ネットワークの媒体はいくつもの規格が存在するが、本実施例ではLAN環境を想定し、一般的に普及しているイーサネットを例にして以下説明する。
【0045】
第1の実施の形態であるネットワーク解析システムは、ネットワーク101上の通信をモニターして解析するものであって、図1に示すように、フレームデータ取得部102とデータリンク層フレームデータ分析部103とネットワーク層フレームデータ分析部104とセッション層フレームデータ分析部105と分析結果出力部106を備えている。
ネットワーク101は、本発明に係るネットワーク解析システムが解析の対象とするネットワークを示す。
【0046】
フレームデータ取得部102は、IEEE802.3に準拠したネットワークに流れるイーサネットフレームデータを取得する。データリンク層フレームデータ分析部103は、データリンク層のフレームデータを分析する。ネットワーク層フレームデータ分析部104は、ネットワーク層のフレームデータを分析する。セッション層フレームデータ分析部105は、セッション層のフレームデータを分析する。分析結果出力部106は、フレームデータ取得部102、データリンク層フレームデータ分析部103、ネットワーク層フレームデータ分析部104、セッション層フレームデータ分析部105の分析結果を受け取り、その分析結果を出力する。
【0047】
また、図示しないが、予め任意のデータパターンを登録するデータ登録部と、前記セッション層フレームデータ分析部105は、分析するセッション中に前記データ登録部に登録されたデータが出現したかを検出する検出部を具備し、前記分析結果出力部106による出力として検出結果を含むようにしてもよい。
また、前記分析結果出力部106による出力は、セッションの開始時間、セッションの終了時間、セッション中の通信データ量情報、セッション端のアドレス情報、セッション中に発生したエラー情報、のうちいずれか一つ以上を含む。その際、エラー情報は他の分析結果より強調してCRT203に表示される。強調する形態としては、文字属性をボールドにする、斜体にする、赤色にする等の色付けをする、そのエラー情報が表示されている行の先頭に「注意」や「○」等の文字や記号を付す、等がある。
また、任意のネットワークアドレスを設定するアドレス設定部を具備し、前記セッション層フレームデータ分析部105は、前記アドレス設定部により設定されたアドレスの機器のセッションのみを分析することもできる。
【0048】
各構成部は、それぞれ専用の論理回路によっても実現可能であるが、柔軟性を考慮し、一部をソフトウェアにより実現するほうが好ましい。
図2は本発明に係るネットワーク解析システムのハードウェア構成図を示す。
ハードウェアは、プログラムを格納するROM207、プログラムを処理するCPU201、プログラム動作時に必要なデータや、処理するフレームデータを格納するRAM208、ネットワーク101とインターフェースしイーサネットフレームデータを取り出すEthernet I/F209、各ハードウェアブロックがCPU201を介すことなくデータ転送を行うDMA転送において、通信の制御を行うDMAC202、ユーザーと対話するためのCRT203、Keyboard205、およびCRT203、Keyboard205とCPU201を接続するためのインターフェースであるVideo I/F204、Keyboard I/F206から構成される。
各ハードウェアブロックはシステムバス210により接続される。
【0049】
本発明の内部モジュール構成とハードウェア構成の対応を以下に示す。
フレームデータ取得部102は、Ethernet I/F209、DMAC202及び入力を制御するソフトウェアプログラムにより実現される。
データリンク層フレームデータ分析部103、ネットワーク層フレームデータ分析部104、セッション層フレームデータ分析部105の各分析部は、ソフトウェアプログラムにより実現される。各分析部間のデータのやり取りはRAM208を使って行われる。
分析結果出力部106もまた、ソフトウェアプログラムによって実現され、分析結果をCRT203に出力する。
各ソフトウェアプログラムはROM207に格納され、CPU201によって実行される。それぞれの分析部103〜105及び分析結果出力部106のソフトウェアプログラムは、好ましくはマルチタスクOS上のタスクとして並列に実行される。
【0050】
図3は、本発明の一実施の形態に係るネットワーク解析システムが接続されたひとつのネットワークシステムを示している。ネットワーク101に、解析ツール301、クライアントPC311、クライアントPC312、印刷装置321が接続されている。クライアントPC311、クライアントPC312から印刷装置321へプリント指示が出された場合の様子を示している。
【0051】
クライアントPC311、312は、操作者の指示により印刷装置321でプリントを行う。その場合、ネットワーク101を介して、プリント指示及びプリントデータが印刷装置321へ送出される。
解析ツール301は、ネットワーク101に接続されており、ネットワーク101を流れているプリント指示及びプリントデータ等を取り出すことができる。そして、解析ツール301によって、プリント指示及びプリントデータの解析が行われ、ログデータ302が出力される。
【0052】
次に作用・働き(動作)を説明する。
フレームデータ取得部102、及びそれぞれのフレームデータ分析部(データリンク層フレームデータ分析部103、ネットワーク層フレームデータ分析部104、セッション層フレームデータ分析部105)はさまざまなプロトコルに対応可能であるが、ここでは最も一般的に利用されているTCP/IPプロトコルを処理する例で説明する。他のプロトコルでも基本的な処理の流れは同様である。
【0053】
図4はTCP/IPプロトコルを扱う場合の各構成要素とプロトコル階層とプロトコルの対応を示す。
フレームデータ取得部102は、対象とするプロトコル階層としては物理層であり、プロトコルとしては例えばイーサネットである。データリンク層フレームデータ分析部103は、対象とするプロトコル階層としてはデータリンク層であり、プロトコルとしてはMACである。ネットワーク層フレームデータ分析部104は、対象とするプロトコル階層としてはネットワーク層であり、プロトコルとしてはIPである。セッション層フレームデータ分析部105は、対象とするプロトコル階層としてはセッション層であり、プロトコルとしてはTCPである。
フレームデータ取得部102はEthernet I/F209を制御し、ネットワーク101から、イーサネットフレームデータを取得する。
【0054】
フレームデータの概要を、図5に示す。図5の上の図に示すように、フレームは一定長のインターフレームギャップによって区切られている。
図5の下の図は、ひとつのフレーム内の構造を示している。フレームは8バイトのプリアンブル部、6バイトの宛先MACアドレス(DA)、6バイトの送付元MACアドレス(SA)、2バイトのTYPE、46バイト以上1500バイト以下のDATA、2バイトのフレームチェックシーケンス(FCS)よりなる。プリアンブル部は、イーサネットのフレームを受信するための同期用のパターンが記載されている。TYPEは、次に続くDATAのプロトコルの識別子が記載されている。FCSは、フレームに伝送エラーがあるか否かをチェックするものであり、具体的にはCRC32という計算方法に従うものである。ここで、フレーム間ギャップ異常等のエラーをチェックし、そのようなエラーがある場合は、そのエラー報告を分析結果出力部106に送出する。
【0055】
データリンク層フレームデータ分析部103は、フレームデータ取得部102から送出されたフレームデータを受け取り、イーサネットでパケットを正しく届けるための解析を行う。そして、ネットワーク層フレームデータ分析部104へフレームデータを渡す。
その解析の結果として、送信元IPアドレス、送信先IPアドレス、通信データ量、ポート番号、セッションの開始、終了日時を得ることができる。その結果を、またはエラーがある場合は、そのエラーも含めて分析結果出力部106に渡す。
【0056】
ネットワーク層フレームデータ分析部104は、データリンク層フレームデータ分析部103から送出されたフレームデータを受け取り、プロトコルIPが正しいか否かを検出する。検出の結果を、またはエラーがある場合は、そのエラーも含めて分析結果出力部106に渡す。そして、セッション層フレームデータ分析部105へフレームデータを渡す。
【0057】
セッション層フレームデータ分析部105は、ネットワーク層フレームデータ分析部104から送出されたフレームデータを受け取り、論理的なセッションとして取り出せたものを分析する。具体的には、セッションを識別するためのフラグを取り出してエラーがあるか否かを検出する。検出の結果を、またはエラーがある場合は、そのエラーも含めて分析結果出力部106に渡す。
【0058】
分析結果出力部106は、フレームデータ取得部102、データリンク層フレームデータ分析部103、ネットワーク層フレームデータ分析部104、セッション層フレームデータ分析部105からの解析結果を受け取り、セッション毎にその解析結果を取りまとめ、操作者に示すために、Video I/F204を介してCRT203等に出力する。
具体的には、表形式で出力し、認識したセッションを開始時刻、終了時刻、プロトコル情報に対応させて表示すると共に、そのセッションで検出したエラー情報を付加したものを一行として時系列に表示を行う。
例えば、表1に示すように、表は、セッション、プロトコル、エラー情報の列からなる。行は、セッション毎にまとめて表示する。セッション列には、日付、セッションの開始時刻、セッションの終了時刻を表示する。プロトコル列には、例えば「TCP/IP LPR」等を表示する。エラー情報列には、例えば、「フレームサイズ異常」、「FCS異常」等を表示する。
【表1】

【0059】
ここで、ネットワーク解析システムが検出できる代表的なエラーは以下の通りである。
(1)フレーム間ギャップ異常 : 物理層のフレームとフレーム間の間隔(インターフレームギャップ)が規定より短い
(2)レイトコリジョン : フレームの衝突が遅れて検出された
(3)プリアンブル異常 : フレーム先頭のプリアンブルデータでエラーを検出
(4)MIIエラーコンディション : 物理層インターフェースでエラーを検出
(5)FCS異常 : フレームチェックシーケンスエラー
(6)アドレス異常 : 不正なMACアドレスを検出した
(7)フレームサイズ異常 : 規定外のサイズのフレームを検出した
(8)フレームタイプ異常 : 規定外のタイプのフレームを受信した
(9)IPヘッダーチェックサム異常 : IPパケットのチェックサムが計算値と異なる
(10)TCPチェックサム異常 : TCPパケットのチェックサム値が計算値と異なる
【0060】
本ネットワーク解析システムによれば、ネットワーク障害の解析に際し、特別な前準備や後処理を必要とせず、更に、余分なネットワークトラフィックを発生させることもなく、セッション毎のネットワーク解析を行うことができる。
【0061】
また、ネットワーク101上に流れるデータは必ずしも順番に流れているわけではなく、また、重複したデータがある場合もある。本ネットワーク解析システムでは、パケット内のシーケンシャル番号を解析することによって、逆転したパケットや、重複したパケットを補正して復元することができる。パケット内のシーケンシャル番号を解析するモジュールは、セッション層フレームデータ分析部105である。
【0062】
これによって、単にパケットを出力するアナライザーとは異なり、ネットワーク101上に流れるデータを操作者に分かりやすく、セッション情報に対応づけて提示することができ、よりエラーの分析等が行いやすくなる。
【0063】
本発明の第2の実施の形態について説明する。
図6は、本発明の第2の実施の形態である印刷装置利用状況解析システムの概念的なモジュール構成図を示している。印刷装置利用状況解析システムは、ネットワークに接続された印刷装置の稼動状況を解析するものであって、図6に示すように、TCP/IPセッション解析部602とLprヘッダー解析部603とPJL解析部604とPDL解析部605と解析結果保持部606を備えている。
【0064】
Ethernet I/F209では、ネットワーク101に流れるパケットを取り込む。第1の実施例におけるフレームデータ取得部102と同様のものである。TCP/IPセッション解析部602では、Ethernet I/F209によって取り込まれたパケットから通信データを復元する。Lprヘッダー解析部603、PJL解析部604、PDL解析部605では、TCP/IPセッション解析部602によって復元されたデータからプリントジョブの各種属性に応じて前記印刷装置の稼動状況を解析する。解析結果保持部606では、TCP/IPセッション解析部602、Lprヘッダー解析部603、PJL解析部604、PDL解析部605からの解析結果を受け取り、その結果を記憶している。
【0065】
印刷装置利用状況解析システムのハードウェア構成は、第1の実施の形態であるネットワーク解析システムと同様に図2で示されるハードウェア構成である。その説明は、第1の実施例と同じである。
また、印刷装置利用状況解析システムが接続されるネットワークシステムの一例は、第1の実施の形態であるネットワーク解析システムと同様に図3で示されるネットワークシステムである。その説明は、第1の実施例と同じである。
【0066】
次に作用・働き(動作)を説明する。
本実施の形態である印刷装置利用状況解析システムは、既存のネットワークシステムに大きな変更を加えることなく、印刷装置の利用状況を把握できるようにし、ネットワークに接続するのみで印刷装置の稼動状況を把握可能とする。
【0067】
概要としては、ネットワーク上に流れるパケットデータを分析し、プリントデータを抽出分析することでプリントジョブの内容を把握しようとするものである。
ネットワークに接続された印刷装置の稼動状況を解析する、印刷装置利用状況解析システムでも、解析のために、ネットワークの機能階層を活用する。
【0068】
まず、前記ネットワークに流れるパケットを取り込む。そして、前記取り込まれたパケットから通信データを復元する。次に、前記復元されたデータからプリントジョブの各種属性に応じて前記印刷装置の稼動状況を解析する。
そして、前記解析された各種属性情報を記録する。
【0069】
次に具体的に説明する。
Ethernet I/F209は、IEEE802.3に準拠してネットワーク101上に流れるパケットを取り込むためのインターフェースである。イーサネットインターフェースによって取り込まれたパケットは順次、TCP/IPセッション解析部602に渡される。
【0070】
TCP/IPセッション解析部602では、入力されたパケットからTCP/IPプロトコルに従ってセッションを認識するとともに、セッション中に通信されたデータの復元を行う。復元されたデータはTCPのポート番号によってその種別が判定される。データがLprプロトコルを使ったプリントジョブであった場合、TCP/IPセッション解析部602は、次のステップの解析を行うために、Lprヘッダー解析部603へジョブデータを渡すと共に、送信元IPアドレス、送信先IPアドレス、通信データ量、ポート番号、セッションの開始、終了日時を解析結果保持部606に記録する。TCP/IPセッション解析部602は、第1の実施例におけるデータリンク層フレームデータ分析部103とネットワーク層フレームデータ分析部104とセッション層フレームデータ分析部105の働きをする。
【0071】
Lprヘッダー解析部603では、Lprのプロトコルに従ってデータの解析を実施し、プリントジョブを送信したユーザー名、ホスト名、文書名が抽出され、解析結果保持部606に送られる。その後、ジョブデータはPJL解析部604に渡され解析処理が進行する。
【0072】
PJL解析部604のプリントジョブに付加されている情報を解析し、出力枚数、出力部数、ページサイズ情報、ページ記述言語の種類、出力先のトレイ等を得て、それらの情報を解析結果保持部606に保存する。
【0073】
PJL解析部604での解析によって必要とする全ての情報が収集できた場合、一つのセッションの分析が完了する。つまり、印刷装置解析装置が必要としている情報を、このPJL解析部604のみで取り出すことができた場合には、次のPDL解析部605での処理を行う必要はないので、このセッションの分析を完了する。
【0074】
PJL解析部604の解析によって、全ての情報の収集ができなかった場合、ジョブデータはPDL解析部605に送られ、ページ記述言語の解析が行われる。このようにPDL解析部605で処理が行われる場合と行われない場合がある。これは、印刷装置の機種によっては、PJLを解析するのみで、印刷装置解析装置が必要としている情報を全て取り出すことができる場合があるからであり、逆にPDLを解析する必要もある場合があるからである。
【0075】
PDL解析部605は、1つ具備され、ページ記述言語の種別に応じて適切な解析部で解析される。PDLはツリー状の構造をしており、解析にあたって、そのツリーを辿ることが必要であるが、印刷装置解析装置が必要としている情報をツリーの上部で取り出せる場合もあれば、ツリーの深い位置まで探索する必要がある場合がある。この探索の制御は、印刷装置解析装置が必要としている情報を全て取り出すことができたか否かによって行うことができ、全て取り出すことができた場合は、ツリーの探索が途中であってもその探索を中止する。これによって、解析を早く終了させることができるようになる。
【0076】
これらにより、ネットワーク上に流れるパケットから、プリントジョブに関する各種情報が取得できる。取得された情報は、プリントジョブ毎に順次ログファイルに記録される。
【0077】
これによって、全てのクライアントパソコンに専用のソフトウェアをインストールする必要はなく、印刷装置はプリントサーバーを経由して接続する必要もなく、異なるメーカーの印刷装置にも対応でき、更に、余分なネットワークトラフィックを発生させることもない。
【0078】
なお、ネットワーク解析システムおよび印刷装置利用状況解析システムを実現するプログラムについては、記録媒体に格納することも可能であり、その場合は、以下の発明としても把握することができる。
【0079】
コンピュータに、ネットワーク上の通信をモニターして解析させるネットワーク解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記コンピュータに、
前記ネットワークからモニターするフレームを取得するフレームデータ取得機能と、
前記フレームデータ取得機能により取得したフレームデータからデータリンク層フレームデータを分析するデータリンク層フレームデータ分析機能と、
前記データリンク層フレームデータ分析機能により分析されたフレームデータを元に、ネットワーク層フレームデータを分析するネットワーク層フレームデータ分析機能と、
前記ネットワーク層フレームデータ分析機能により分析されたフレームデータを元に、セッション層フレームデータを分析するセッション層フレームデータ分析機能と、
前記各分析機能により分析されたエラー情報を含む分析結果を前記セッション層フレームデータ分析機能により分析されたセッション情報に対応づけて出力する分析結果出力機能
を実現させることを特徴とするネットワーク解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0080】
コンピュータに、ネットワークに接続された印刷装置の稼動状況を解析させる印刷装置利用状況解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記コンピュータに、
前記ネットワークに流れるパケットを取り込むネットワークインターフェース機能と、
前記ネットワークインターフェース機能により取り込まれたパケットから通信データを復元する通信データ復元機能と、
前記通信データ復元機能により復元されたデータからプリントジョブの各種属性に応じて前記印刷装置の稼動状況を解析する解析機能と、
前記解析機能により解析された各種属性情報を記録する解析情報記録機能
を実現させることを特徴とする印刷装置利用状況解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0081】
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
【0082】
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去および書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等が含まれる。
【0083】
そして、上記のプログラムまたはその一部は、上記記録媒体に記録して保存や流通等させることが可能である。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにはこれらの組合せ等の伝送媒体を用いて伝送することが可能であり、また、搬送波に乗せて搬送することも可能である。
【0084】
さらに、上記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るネットワーク解析システムの概念的なモジュール構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態が実現されるハードウェア構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るネットワーク解析システムが接続されたひとつのネットワークシステムを示す図である。
【図4】各構成要素を処理対象とするプロトコル例を示す図である。
【図5】ネットワーク上のパケットおよびイーサネットフレーム構造を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置利用状況解析システムの概念的なモジュール構成図である。
【符号の説明】
【0086】
101…ネットワーク
102…フレームデータ取得部
103…データリンク層フレームデータ分析部
104…ネットワーク層フレームデータ分析部
105…セッション層フレームデータ分析部
106…分析結果出力部
201…CPU
202…DMAC
203…CRT
204…Video I/F
205…Keyboard
206…Keyboard I/F
207…ROM
208…RAM
209…Ethernet I/F
210…システムバス
301…解析ツール
302…ログデータ
311…クライアントPC
312…クライアントPC
321…印刷装置
602…TCP/IPセッション解析部
603…Lprヘッダー解析部
604…PJL解析部
605…PDL解析部
606…解析結果保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上の通信をモニターして解析するネットワーク解析システムであって、
前記ネットワークからモニターするフレームを取得するフレームデータ取得手段と、
前記フレームデータ取得手段により取得したフレームデータからデータリンク層フレームデータを分析するデータリンク層フレームデータ分析手段と、
前記データリンク層フレームデータ分析手段により分析されたフレームデータを元に、ネットワーク層フレームデータを分析するネットワーク層フレームデータ分析手段と、
前記ネットワーク層フレームデータ分析手段により分析されたフレームデータを元に、セッション層フレームデータを分析するセッション層フレームデータ分析手段と、
前記各分析手段により分析されたエラー情報を含む分析結果を前記セッション層フレームデータ分析手段により分析されたセッション情報に対応づけて出力する分析結果出力手段
を具備することを特徴とするネットワーク解析システム。
【請求項2】
予め任意のデータパターンを登録するデータ登録手段と、
前記セッション層フレームデータ分析手段は、分析するセッション中に前記データ登録手段に登録されたデータが出現したかを検出する検出手段を具備し、
前記分析結果出力手段による出力として検出結果を含むこと
を特徴とした請求項1記載のネットワーク解析システム。
【請求項3】
前記分析結果出力手段による出力として、セッションの開始時間、セッションの終了時間、セッション中の通信データ量情報、セッション端のアドレス情報、セッション中に発生したエラー情報、のうちいずれか一つ以上を含むこと
を特徴とした請求項1記載のネットワーク解析システム。
【請求項4】
前記エラー情報は他の分析結果より強調して表示されること
を特徴とした請求項3記載のネットワーク解析システム。
【請求項5】
任意のネットワークアドレスを設定するアドレス設定手段を具備し、
前記セッション層フレームデータ分析手段は、前記アドレス設定手段により設定されたアドレスの機器のセッションのみを分析すること
を特徴とした請求項1,2,3または4に記載のネットワーク解析システム。
【請求項6】
ネットワークに接続された印刷装置の稼動状況を解析する印刷装置利用状況解析システムであって、
前記ネットワークに流れるパケットを取り込むネットワークインターフェース手段と、
前記ネットワークインターフェース手段により取り込まれたパケットから通信データを復元する通信データ復元手段と、
前記通信データ復元手段により復元されたデータからプリントジョブの各種属性に応じて前記印刷装置の稼動状況を解析する解析手段と、
前記解析手段により解析された各種属性情報を記録する解析情報記録手段
を具備したことを特徴とする印刷装置利用状況解析システム。
【請求項7】
コンピュータに、ネットワーク上の通信をモニターして解析させるネットワーク解析プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記ネットワークからモニターするフレームを取得するフレームデータ取得機能と、
前記フレームデータ取得機能により取得したフレームデータからデータリンク層フレームデータを分析するデータリンク層フレームデータ分析機能と、
前記データリンク層フレームデータ分析機能により分析されたフレームデータを元に、ネットワーク層フレームデータを分析するネットワーク層フレームデータ分析機能と、
前記ネットワーク層フレームデータ分析機能により分析されたフレームデータを元に、セッション層フレームデータを分析するセッション層フレームデータ分析機能と、
前記各分析機能により分析されたエラー情報を含む分析結果を前記セッション層フレームデータ分析機能により分析されたセッション情報に対応づけて出力する分析結果出力機能
を実現させることを特徴とするネットワーク解析プログラム。
【請求項8】
コンピュータに、ネットワークに接続された印刷装置の稼動状況を解析させる印刷装置利用状況解析プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記ネットワークに流れるパケットを取り込むネットワークインターフェース機能と、
前記ネットワークインターフェース機能により取り込まれたパケットから通信データを復元する通信データ復元機能と、
前記通信データ復元機能により復元されたデータからプリントジョブの各種属性に応じて前記印刷装置の稼動状況を解析する解析機能と、
前記解析機能により解析された各種属性情報を記録する解析情報記録機能
を実現させることを特徴とする印刷装置利用状況解析プログラム。
【請求項9】
ネットワーク上の通信をモニターして解析するネットワーク解析システムで行われるネットワーク解析方法であって、
前記ネットワーク解析システムは、
前記ネットワークからモニターするフレームを取得し、
前記取得したフレームデータからデータリンク層フレームデータを分析し、
前記分析されたデータリンク層フレームデータを元に、ネットワーク層フレームデータを分析し、
前記分析されたネットワーク層フレームデータを元に、セッション層フレームデータを分析し、
前記各分析されたエラー情報を含む分析結果を前記セッション層フレームデータの分析により得られたセッション情報に対応づけて出力する
ことを特徴とするネットワーク解析方法。
【請求項10】
ネットワークに接続された印刷装置の稼動状況を解析する印刷装置利用状況解析システムで行われる印刷装置利用状況解析方法であって、
前記印刷装置利用状況解析システムは、
前記ネットワークに流れるパケットを取り込み、
前記取り込まれたパケットから通信データを復元し、
前記復元されたデータからプリントジョブの各種属性に応じて前記印刷装置の稼動状況を解析し、
前記解析された各種属性情報を記録する
ことを特徴とする印刷装置利用状況解析方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−124215(P2007−124215A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312832(P2005−312832)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(591227686)富士ゼロックスエンジニアリング株式会社 (41)
【Fターム(参考)】