説明

ネットワーク通信診断装置、およびネットワーク通信診断プログラム

【課題】ネットワークへのアクセス診断を、より容易に行い、ユーザの利便性をより向上させる。
【解決手段】ネットワーク通信診断装置1であって、IP端末3がネットワーク2に送信する情報から当該IP端末3固有の端末情報を取得する端末情報取得手段15と、当該ネットワーク通信診断装置1固有の端末情報を、端末情報取得手段15で取得した端末情報に変更する端末情報変換手段11と、所定のアドレスを指定してネットワークへアクセス要求を送信するアクセス手段13と、アクセス要求に対するネットワーク2からのレスポンスを解析し、アクセス可否を判別する解析手段12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークへアクセスする端末のアクセスを解析するネットワーク通信診断装置、およびネットワーク通信診断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークにアクセスすることでサービス利用が可能となるIP端末がある。IP端末の具体例として、インターネットを利用するためのパソコンや、多チャンネル放送を視聴するためのIPTVなどが挙げられる。ネットワークにアクセスされたIP端末のIPパケット情報を解析する技術は、例えばネットワークにアクセスされたIP端末のIPパケットを解析し、DHCP、TCPなどのプロトコルの種類を判別するものがある。本技術を用いたソフトウェアとして、WiresharkやMicrosoft Network Monitor 3などがある。また、特許文献1には、通信プロトコルを選定するためにプロトコルを調査する通信プロトコル調査装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07-066846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のネットワーク解析方法は、IPパケットを解析するためには、多く知識や経験、技術などを要する。すなわち、ネットワーク上にアクセスするIP端末を操作することで、IP端末からネットワークへアクセスし、その間に送受信されるプロトコルのIPパケットの解析を行う。しかし、ネットワークサービスは多数存在し、そのサービスを利用するためのIP端末は更に多数存在する。その全てのIP端末の操作方法、および全てのIP端末のネットワークへのアクセス方法を、IPパケットを解析・診断するユーザが全て理解することは困難である。
【0005】
例えば、パソコンがインターネットへ正常にアクセスされているかを診断するために、パソコンを操作して確認する必要がある。また、IPTVのネットワークアクセスの確認をするためには、セットトップボックスを操作し、正常にネットワークへアクセスできるかを確認する必要がある。他にもネットワーク対応のゲーム機や家電機器についても同様のことを行わなければならない。しかし、IP端末毎に、ネットワークへアクセスする操作方法や確認方法はそれぞれ異なり、全ての操作方法や確認方法を理解し、診断することは困難である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ネットワークへのアクセス診断を、より容易に行い、ユーザの利便性をより向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、第1の本発明は、ネットワーク通信診断装置であって、IP端末がネットワークに送信する情報から、当該IP端末固有の端末情報を取得する端末情報取得手段と、当該ネットワーク通信診断装置固有の端末情報を、前記端末情報取得手段で取得した端末情報に変更する端末情報変換手段と、所定のアドレスを指定してネットワークへアクセス要求を送信するアクセス手段と、前記アクセス手段のアクセス要求に対するネットワークからのレスポンスを解析し、アクセス可否を判別する解析手段と、を備える。
【0008】
第2の本発明は、前記解析手段は、前記アクセス手段がアクセス要求をネットワークに送信してから、レスポンスを受信するまでのアクセス時間を計測する。
【0009】
第3の本発明は、一定の時間間隔または所定の時刻に、前記アクセス手段を起動するタイマー手段を、さらに有し、前記アクセス手段は、前記タイマー手段の指示にもとづいて、ネットワークにアクセス要求を送信し、前記解析手段は、ネットワークからのレスポンスを解析し、診断結果を蓄積手段に記憶し、所定のタイミングで前記蓄積手段に記憶された診断結果を出力装置に出力する。
【0010】
第4の本発明は、IP端末がネットワークに送信する情報からは取得できない、当該IP端末の設定情報の入力を受け付ける入力手段を、さらに有し、前記端末情報変換手段は、当該ネットワーク通信診断装置の設定情報を、前記入力手段が受け付けた設定情報に変更する。
【0011】
第5の本発明は、前記ネットワーク通信診断装置としてコンピュータを機能させるためのネットワーク通信診断プログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ネットワークへのアクセス診断を、より容易に行い、ユーザの利便性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るネットワーク通信診断装置の構成図である。
【図2】第1の実施形態に係るネットワーク通信診断装置の動作を示す図である。
【図3】第2の実施形態に係るネットワーク通信診断装置の動作を示す図である。
【図4】アクセス先アドレス記憶部の一例を示す図である。
【図5】第3の実施形態に係るネットワーク通信診断装置の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に、本発明の実施形態に係るネットワーク通信診断装置の構成図を示す。
【0015】
ネットワーク通信診断装置1は、アクセス診断部10と、入力装置30と、出力装置(ディスプレイ)40と、アクセス先アドレス記憶部50と、蓄積部60とを備える。
【0016】
IP端末3は、本来、ネットワーク2にアクセスし、ネットワーク2を介した先にあるサーバまたはIP端末(不図示)と、IPパケット(以下、「パケット」という)の送受信を行う。
【0017】
ネットワーク通信診断装置1は、ネットワーク2とIP端末3との間に接続され、ネットワークへのアクセス(パケットの送受信)の可否を診断・判別する。ネットワーク通信診断装置1が接続され、アクセス診断を行っている場合は、IP端末3はネットワーク2へアクセスができない状態となり、ネットワーク通信診断装置1がIP端末3に成り済まして、ネットワーク2へアクセスを行う。また、ネットワーク通信診断装置1が接続された状態で、アクセス診断を行っていない場合は、IP端末3は、ネットワーク通信診断装置1を介して、ネットワーク2に接続されたサーバやIP端末とパケットの送受信を行う。
【0018】
上記説明したネットワーク通信診断装置1は、例えば、CPUと、メモリと、HDD等の外部記憶装置と、入力装置と、出力装置とを備えた汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードされたネットワーク通信診断装置1用のプログラムを実行することにより、ネットワーク通信診断装置1の各機能が実現される。
【0019】
<第1の実施形態>
以下に、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0020】
図2は、本実施形態における動作を説明するために、図1に示すネットワーク通信診断装置1のアクセス診断部10の構成を示した図である。図示するネットワーク通信診断装置1のアクセス診断部10は、端末情報変換部11と、アクセス解析部12と、アクセス部13と、通信部14と、端末情報取得部15とを備える。
【0021】
通信部14は、アクセス診断を行っていない状態では、ネットワーク2とIP端末3との間で送受信されるパケットを、ネットワーク通信診断装置1を介していないかのようにそのままネットワーク2またはIP端末3に中継・転送する。
このアクセス診断を行っていない状態で、端末情報取得部15は、ネットワーク2とIP端末3で送受信されるパケットを解析し、当該パケットのヘッダ情報などからIP端末3固有の端末情報(例えば、MACアドレス、IPアドレスなど)を抽出し、端末情報変換部11に送出する(S11)。
【0022】
端末情報変換部11は、端末情報取得部15からIP端末3の端末情報を受け取り、当該ネットワーク通信診断装置1の図示しない記憶部に記憶された端末情報を、IP端末3の端末情報に変更する。
【0023】
具体的には、ネットワーク通信診断装置1に割り当てられたMACアドレス、IPアドレスなどを、IP端末3に割り当てられたIP端末3用のMACアドレス、IPアドレスなどに書き換える。これにより、ネットワーク通信診断装置1が送信するパケットの送信元アドレスには、IP端末3用のMACアドレス、IPアドレスなどが設定されるため、ネットワーク通信診断装置1がIP端末3と見なされる状態になる。
【0024】
端末情報変換部11は、端末情報を変更した後、アクセス診断の実施が可能である旨の通知情報を通信部14に送出するとともに(S12)、アクセス診断の実施が可能である旨の通知情報をディスプレイなどの出力装置40に送出し表示させる(S13)。
【0025】
出力装置40にアクセス診断の実施が可能である旨のメッセージが表示されることにより、ユーザは、入力装置30を用いて開始指示を入力する。入力装置30は、ユーザの開始指示を受け付け、当該開始指示を通信部14に送出する(S14)。
【0026】
通信部14は、S12の端末情報変換部11からの診断実施が可能である旨の情報と、S14の入力装置30からの開始指示の両方を受け付けると、アクセス部13に診断開始命令を送出する(S15)。この診断開始命令を送出後、通信部14は、IP端末3からネットワーク2に送信されるパケット、およびネットワーク2からIP端末3に送られるパケットの中継・転送を停止する。
【0027】
アクセス部13は、通信部14から診断開始命令を受けてネットワーク2にアクセスする。すなわち、アクセス部13は、所定の要求パケットを生成し、アクセス先アドレス記憶部50にあらかじめ登録されたアクセス先アドレスを宛先としてネットワーク2を介して送信する(S16)。
【0028】
ここで、アクセス部13は、要求パケットのヘッダの宛先情報にはアクセス先アドレス記憶部50のアクセス先アドレスを設定する。また、アクセス部13は、要求パケットのヘッダの送信元情報には、端末情報変換部11が変更した、IP端末3の端末情報(MACアドレス、IPアドレスなど)を設定する。これにより、ネットワーク通信診断装置1が送信する要求パケットは、IP端末3が送信したパケットであるとみなされる。すなわち、ネットワーク通信診断装置1は、IP端末3であると通信相手の見せかけることができる。
【0029】
また、アクセス部13は、生成した要求パケット、または当該要求パケットに含まれるプロトコル情報(例えば、TCP(Transmission Control Protocol)ヘッダ情報など)を、アクセス解析部12にも送出する(S17)。
【0030】
アクセス解析部12は、S16で送信した要求パケットに対する応答パケットを、ネットワーク2から受信する(S18)。そして、アクセス解析部12は、S17でアクセス部13から受け付けた要求パケットのプロトコル情報と、S18でネットワーク2から受信した応答パケットのプロトコル情報(例えば、TCPヘッダ情報など)とを用いて、要求パケットが、アクセス先の装置で正常に処理されたか否か、すなわちアクセスの可否を解析・診断する。
【0031】
例えば、プロトコル情報のシーケンス番号、確認応答番号、ウィンドウを用いて、パケットの欠如の有無などを解析する。また、プロトコル情報のコードビット(URG、ACK、PSH、RST、SYN、FIN)を用いて、アクセス先装置とのコネクションが確立されたか否かを解析する。具体的には、要求パケットでは、コードビットのSYNに1(ON)を設定してアクセス先装置とのコネクションを要求する。アクセス先装置では、自装置の状況を判断し、コネクション接続を許可する場合はコードビットのACK に1(ON)を設定した応答パケットを、あるいは、コネクション接続を許否する場合はコードビットのRST に1(ON)を設定した応答パケットを、ネットワーク2を介してネットワーク通信診断装置1に送信する。アクセス解析部12は、ACK に1(ON)が設定された応答パケットを受信した場合は、アクセスが許可された判断し、一方、RST に1(ON)が設定された応答パケットを受信した場合には、アクセスが拒否されたと判断する。
【0032】
このように、アクセス解析部12は、要求パケットおよび応答パケットのプロトコル情報を解析し、アクセス先装置へのアクセスの可否、パケットの欠如の有無などを診断する。そして、アクセス解析部12は、診断結果(例えば、「正常にアクセスできる」、「アクセスに問題あり」、「パケットの欠如が発生」など)を、出力装置40に表示する(S19)。また、アクセス不可の場合には、原因となるプロトコル情報を診断結果として出力装置40に表示することとしてもよい。これにより、ユーザの問題解決時間の短縮に繋がる。
【0033】
なお、上記説明した端末情報取得部15は、IP端末3のMACアドレス、IPアドレスなどの端末情報を、IP端末3がネットワーク2との間で送受信するパケットから取得することとした。ここで、ネットワーク2との通信において、IP端末3がネットワーク2との間で送受信するパケットから取得することができない各種の設定情報が存在する場合がある。このような設定情報としては、例えば、DHCP有効可否、DNSサーバアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウエイ、ホスト名、パスワードなどのフィルタリング情報やセキュリティ・暗号化情報が考えられる。
【0034】
このような各種の設定情報がネットワーク通信診断装置1で設定されていないことにより、ネットワーク2へのアクセスができない場合は、前述したようにIP端末3が送受信するパケットから端末情報を取得するだけでなく、ユーザが設定情報を入力することとする。すなわち、ユーザは、入力装置30からIP端末3に設定されている設定情報と同様の設定情報を入力する。入力装置30は、入力された設定情報を端末情報取得部15に送出し、端末情報取得部15は、入力装置30から受け付けた設定情報を端末情報変換部11に送出する。端末情報変換部11は、端末情報取得部15から設定情報を受け取り、当該ネットワーク通信診断装置1の図示しない記憶部に当該設定情報を記憶する。あるいはネットワーク通信診断装置1の記憶部にあらかじめ設定されていた当該装置1の設定情報を、入力されたIP端末3の設定情報に書き換える。そして、アクセス部13は、要求パケットをネットワークに送信する際に、当該設定情報を用いて送信することとする。これにより、フィルタリングやセキュリティの設定の不具合でネットワーク通信診断装置1がネットワーク2にアクセスできない事態を回避することができる。
【0035】
以上説明した本実施形態では、IP端末毎にネットワークへアクセスするための操作方法や確認方法を理解する必要がなく、それぞれのIP端末は起動や最低限の操作を行うだけで、ネットワーク通信診断装置が統一した方法で容易にネットワークへアクセスし、ネットワークへのアクセス可否の診断を行うことができる。
【0036】
また、本実施形態では、診断対象のIP端末のIPアドレス、MACアドレスなどの端末情報を、当該IP端末が送受信するパケットから取得し、ネットワーク通信診断装置が当該端末情報を用いてアクセスすることにより、あたかもIP端末であるかのようにアクセス先の装置にみせかける。これにより、ネットワーク通信診断装置1の端末情報が異なることにより、ネットワークへのアクセスが拒否される事態を回避するこができる。
【0037】
また、本実施形態のネットワーク通信診断装置は、ソフトウェアを駆使して高度な設定を行うことなく、物理的な接続のみで、簡易にIP端末と接続することができる。
【0038】
また、本実施形態では、IP端末とは独立に、ネットワーク通信診断装置を設置し、ネットワークへのアクセス可否の診断を行うことができるため、決められた時間までアクセス可否の診断を待つことや、IP端末に特殊な動作を生じさせる必要がない。
【0039】
<第2の実施形態>
図3は、第2の実施形態におけるアクセス部13およびアクセス解析部12の動作を説明するための説明図である。
【0040】
図4は、本実施形態のアクセス先アドレス記憶部50の一例を示す図である。図示するアクセス先アドレス記憶部50は、データベースとして、ネットワーク2へアクセスする少なくとも1つのアクセス先アドレスがあらかじめ設定されたリストである。複数のアドレスが登録されている場合、アクセス部13は、登録されているアドレス全てに対して要求パケットを送信し、アクセスする。または、登録順(上から順番)に1つずつアクセス部13がアクセスし、正常に接続されるアドレスが確認できた時点で、以降のアドレスに対するアクセスを行わずに終了してもよい。
【0041】
図3に示す本実施形態の端末情報取得部15、端末情報変換部11および通信部14の動作および処理については、第1の実施形態と同様(図2:S11〜S15参照)であるため、ここでは説明を省略する。
【0042】
通信部14は、第1の実施形態のS15と同様に、端末情報変換部11からの診断実施が可能である旨の情報と、入力装置30からの開始指示の両方を受け付けると、アクセス部13に診断開始命令を送出する(S25)。
【0043】
アクセス部13は、通信部14から診断開始命令を受けてネットワーク2にアクセスする。すなわち、アクセス部13は、アクセス先アドレス記憶部50(図4参照)に登録されたアクセス先アドレスの各々について、それぞれ要求パケットを生成し、ネットワーク2を介して送信する(S26)。要求パケットの生成については、第1の実施形態と同様であるためここでは説明を省略する。
【0044】
また、アクセス部13は、生成した各要求パケット、または当該各要求パケットに含まれるプロトコル情報(例えば、TCPヘッダ情報など)を、アクセス解析部12にも送出する(S27)。ここで、本実施形態のアクセス部13は、アクセス先アドレス毎に生成した各要求パケットの送信時刻も、併せてアクセス解析部12に送出する。
【0045】
アクセス解析部12は、S26で送信した各要求パケットに対するそれぞれの応答パケットを、ネットワーク2から受信する(S28)。そして、アクセス解析部12は、第1の実施形態と同様に、S27でアクセス部13から受け付けた各要求パケットのプロトコル情報と、S28でネットワーク2から受信した各応答パケットのプロトコル情報とを用いて、各要求パケットが、アクセス先の各装置で正常に処理されたか否か、すなわちアクセスの可否を解析・診断する。
【0046】
さらに、本実施形態のアクセス解析部12は、各応答パケットについて、S28で応答パケットを受信した受信時刻から、S27でアクセス部から受け付けた対応する要求パケットの送信時刻を減算することにより、アクセス時間を算出する。また、アクセス解析部12は、各応答パケット毎のアクセス時間だけでなく、最初に要求パケットを送信した送信時刻から、一番に遅く応答パケットを受信した受信時刻を減算することにより、複数のアクセス先アドレスへのアクセスに要した総アクセス時間についても、算出することとしてもよい。なお、応答パケットが受信できない場合、すなわちタイムオーバーとなった場合は、タイムアウトまでの時間をアクセス時間とする。
【0047】
そして、アクセス解析部12は、アクセス先アドレスの装置毎のアクセスの可否、パケットの欠如の有無などの診断結果、アクセス時間、タイムアウトの発生、総アクセス時間などを出力装置40に表示する(S29)。
【0048】
このように本実施形態では、第1の実施形態で述べた効果の他に、アクセス時間を計測し、出力装置40に表示することにより、ユーザは、ネットワークの状況(例えば、ネットワークの帯域不足による遅延、タイムアウトの発生など)を判断することができる。
【0049】
<第3の実施形態>
図5は、第3の実施形態におけるアクセス診断部10の動作を説明するための説明図である。本実施形態のアクセス診断部10は、さらにタイマー部16を備え、タイマー部16にあらかじめ設定された所定の時刻、または、所定の時間間隔でアクセス部13を起動する。タイマー部16は、あらかじめ設定された所定の時刻、または、所定の時間間隔で繰り返し、通信部14に診断開始命令を送出し、アクセス部13を起動する。また、本実施形態では、蓄積部60をさらに備える。
【0050】
図5に示す本実施形態の端末情報取得部15、端末情報変換部11の動作および処理については、第1の実施形態と同様(図2:S11〜S14参照)であるため、ここでは説明を省略する。
【0051】
ここで、通信部14には、第1の実施形態で説明した、端末情報変換部11からの診断実施が可能である旨の情報(図2:S12)と、入力装置30からの開始指示(S14)の両方を受け付けている状態にあるものとする。この状態で、通信部14は、タイマー部16から診断開始命令を受け付けると(S35A)、アクセス部13に診断開始命令を送出する(S35B)。
【0052】
これにより、アクセス部13は、第1の実施形態と同様に要求パケットを送信してアクセスし(S36)、要求パケットまたはプロトコル情報をアクセス解析部12に送出する(S37)。アクセス解析部12は、第1の実施形態と同様に、応答パケットを受信し、解析・診断する(S38)。
【0053】
そして、本実施形態のアクセス解析部12は、診断結果を蓄積部60に記憶しておき(S39A)、ユーザの指示、所定の時刻などの所定のタイミングで蓄積部60に記憶された診断結果を出力装置40にまとめて出力する(S39B)。
【0054】
このように本実施形態では、第1の実施形態で述べた効果の他に、タイマー部16が、一定の時間間隔で繰り返し、または指定した時間に診断開始命令を送出することで、ユーザの操作を低減し、また、特定の時間にのみ生じる帯域不足によるパケットの遅延の検出に役立つ。
【0055】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。例えば、第2の実施形態と、第3の実施形態とを組み合わせたネットワーク通信診断装置としてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 :ネットワーク通信診断装置
2 :ネットワーク
3 :IP端末
10:アクセス診断部
11:端末情報変換部
12:アクセス解析部
13:アクセス解析部
14:通信部
15:端末情報取得部
16:タイマー部
30:入力装置
40:出力装置
50:アクセス先アドレス記憶部
60:蓄積部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク通信診断装置であって、
IP端末がネットワークに送信する情報から、当該IP端末固有の端末情報を取得する端末情報取得手段と、
当該ネットワーク通信診断装置固有の端末情報を、前記端末情報取得手段で取得した端末情報に変更する端末情報変換手段と、
所定のアドレスを指定してネットワークへアクセス要求を送信するアクセス手段と、
前記アクセス手段のアクセス要求に対するネットワークからのレスポンスを解析し、アクセス可否を判別する解析手段と、を備えること
を特徴とするネットワーク通信診断装置。
【請求項2】
請求項1記載のネットワーク通信診断装置であって、
前記解析手段は、前記アクセス手段がアクセス要求をネットワークに送信してから、レスポンスを受信するまでのアクセス時間を計測すること
を特徴とするネットワーク通信診断装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のネットワーク通信診断装置であって、
一定の時間間隔または所定の時刻に、前記アクセス手段を起動するタイマー手段を、さらに有し、
前記アクセス手段は、前記タイマー手段の指示にもとづいて、ネットワークにアクセス要求を送信し、
前記解析手段は、ネットワークからのレスポンスを解析し、診断結果を蓄積手段に記憶し、所定のタイミングで前記蓄積手段に記憶された診断結果を出力装置に出力すること
を特徴とするネットワーク通信診断装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のネットワーク通信診断装置であって、
IP端末がネットワークに送信する情報からは取得できない、当該IP端末の設定情報の入力を受け付ける入力手段を、さらに有し、
前記端末情報変換手段は、当該ネットワーク通信診断装置の設定情報を、前記入力手段が受け付けた設定情報に変更すること
を特徴とするネットワーク通信診断装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のネットワーク通信診断装置としてコンピュータを機能させるためのネットワーク通信診断プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−223143(P2011−223143A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87547(P2010−87547)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】