説明

ノイズリダクション回路

【課題】より効果的なエッジ検出を行う。
【解決手段】ハイパスフィルタ12により高周波成分を抽出し、これを減算器16で減算することで高周波成分を減少する。また、エッジ検出部14は、映像信号の変化量を所定のしきい値と比較してエッジを検出する。ゲイン調整部18は、エッジ部において、前記ノイズ処理部における高周波成分の減少を抑制する。エッジ解析部20により検出されたエッジの分布状態に基づいて、映像中のノイズの量を推定し、ノイズ量に応じてエッジ検出部14におけるエッジ検出のしきい値を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像信号を解析し適応的にノイズリダクションを行うノイズリダクション回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、映像信号における高周波成分を除去することで、ノイズを減少するノイズリダクション回路が知られている。
【0003】
このノイズリダクション回路では、映像信号から高周波成分をノイズとして抽出し、これを原映像信号から減算することで、ノイズを除去する。また、エッジにおいては、高周波成分を除去すると、エッジが鈍ってしまうため、エッジを検出し、エッジ部分では減算する高周波成分を小さくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−153164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、映像からノイズ成分を除去する2次元ノイズリダクションを強くかけすぎると、ノイズ低減の弊害として、映像のエッジがぼけ、映像の鮮鋭感が失われる。
【0006】
これを極力避けるために、アナログ弱電界等では映像の無い同期信号部分でS/Nを検出し、S/Nに応じて適応的にノイズリダクションを行う方法がある。しかし、同期信号部分のS/Nは良いが、映像部分にのみノイズがのっている場合はこの方法は使えない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、映像信号のノイズリダクション回路であって、映像信号の高周波成分を減少するノイズ処理部と、映像信号の変化量を所定のしきい値と比較してエッジを検出するエッジ検出部と、検出されたエッジおいて、前記ノイズ処理部における高周波成分の減少を抑制する処理部と、前記エッジ検出部において検出した、映像信号の変化量の分布状態または検出されたエッジの分布状態に基づいて、映像中のノイズの量を推定するノイズ推定部と、を有し、前記エッジ検出部におけるエッジ検出のしきい値を前記ノイズ推定部により推定したノイズの量に応じて変更することを特徴とする。
【0008】
また、前記ノイズ推定部は、エッジが検出されない状態が所定数連続する画像の平坦部を検出し、平坦部が画面上に所定以上存在する場合には、ノイズが少ないと判定する、ことが好適である。
【0009】
また、前記ノイズ推定部は、エッジの検出数が第1所定値以下の水平ラインを検出し、該当する水平ラインの検出数が画面上で第1所定ライン数以下の場合には、ノイズが少ないと判定する、ことが好適である。
【0010】
また、前記ノイズ推定部は、エッジの検出数が第1所定値より大きな第2所定値以上の水平ラインを検出し、検出数が画面上で第1所定ライン数より大きな第2所定ライン数以上の場合には、ノイズが多いと判定する、ことが好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エッジ分布状態に応じてノイズ量を推定し、推定されたノイズ量に応じてエッジ検出のしきい値を変更するので、より効果的なエッジ検出、ノイズ除去が行える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ノイズリダクション回路の全体構成を示すブロック図である。
【図2】エッジ解析部(ノイズ推定部)の構成を示すブロック図である。
【図3】ノイズのない場合とある場合の映像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0014】
映像信号には、各種の種類があるが、基本的には画素毎の輝度を表す輝度信号が主たる信号である。そこで、本実施形態では、映像信号は輝度信号であるとする。図1において、輝度信号は、遅延回路10、2次元のハイパスフィルタ12およびエッジ検出部14に供給される。
【0015】
また、輝度信号は2次元のハイパスフィルタ(2DHPF)12に供給され、ここで縦横両方向における高周波成分がノイズとして抜き出される。
【0016】
ハイパスフィルタ12で抽出された高周波成分は、ゲイン調整部18において適当な大きさに調整された後、減算器16において遅延回路10で遅延された輝度信号から減算される。遅延回路10の遅延時間は、ハイパスフィルタ12およびゲイン調整部18の処理時間に対応しており、ハイパスフィルタ12において得られた高周波成分(ノイズ成分)が、それが抽出された輝度信号から減算される。
【0017】
さらに、輝度信号は、エッジ検出部14に供給され、輝度信号の変化量が所定値のしきい値以上の部分をエッジ部として検出する。そして、ゲイン調整部18のゲインをエッジ部分において小さくすることで、エッジ部分はノイズリダクションを行わないようにして、エッジが鈍るのを防止する。
【0018】
さらに、本実施形態のノイズリダクション回路では、エッジ検出部14におけるエッジ部分の検出結果は、ノイズ推定部として機能するエッジ解析部20に供給される。このエッジ解析部20は、エッジの存在、不存在からエッジの分布状態を検出する。
【0019】
そして、エッジ解析部20は、エッジの分布状態から、輝度信号がノイズが多い状態か、少ない状態かを判定し、ノイズが多い状態の場合には、エッジ検出部14におけるエッジと認識するためのしきい値を大きく変更し、ノイズが少ない状態の場合には、エッジ検出部14におけるエッジと認識するためのしきい値を小さく変更する。
【0020】
すなわち、本実施形態では映像信号からエッジ検出を行い、検出したエッジを解析することで映像のノイズ量を推定する。推定結果において、ノイズ量が小さいと判断できる場合はエッジ検出部14のエッジ検出閾値を下げ、映像のエッジを極力保存するようにする。映像信号からノイズ量を推定することで、同期信号部分のS/Nが良く、映像信号部分にのみノイズがのっている場合でも、適応的にノイズリダクションを行うことが出来、映像のエッジを極力保存しつつ適切な強度でノイズリダクションを行えるようになる。
【0021】
図2に、エッジ解析部20の構成を示す。エッジ検出部14におけるエッジ検出結果の信号は、1Hエッジカウンタ40に入力される。この1Hエッジカウンタ40は、1水平ラインのエッジ数をカウントする。
【0022】
この1Hエッジカウンタ40のカウント結果は、比較器42,44に入力される。この比較器42,44には、第1しきい値、第2しきい値がそれぞれ入力されており、比較器42,44は1Hエッジカウンタ40のカウント値と第1しきい値、第2しきい値の比較結果の信号を出力する。例えば、カウント値が第1しきい値より小さいときに、比較器42よりHレベルの信号を出力し、第2しきい値より大きくなったときに、比較器44よりHレベルの信号を出力する。従って、エッジの数が第1しきい値〜第2しきい値の範囲に入っている場合には、両比較器42,44からHレベルの信号が出力されず、エッジ数が第1しきい値より小さいときに比較器42から、第2しきい値より大きいときに比較器44からHレベルが出力される。なお、1Hエッジカウンタ40には、水平同期信号が入力されており、1水平ライン毎にカウント結果がクリアされる。また、第1、第2しきい値は異なる値であり、第1しきい値に比べ第2しきい値を大きくする。
【0023】
比較器42,44の出力は、それぞれ1Vラインカウンタ46,48に供給される。この1Vラインカウンタ46,48は、それぞれ1H比較器42,44の出力のHを1V(1垂直期間)カウントする。
【0024】
この1Vラインカウンタ46,48のカウント結果は、それぞれ比較器50,52に入力される。この比較器50,52には、第1ラインしきい値、第2ラインしきい値がそれぞれ入力されており、比較器50,52はそれぞれ1Vラインカウンタ46,48のカウント値と第1ラインしきい値、第2ラインしきい値の比較結果の信号を出力する。
【0025】
入力されるラインカウント値が第1ラインしきい値より小さくなったときに、比較器50よりHレベルの信号を出力し、第2ラインしきい値より大きくなったときに、比較器52よりHレベルの信号を出力する。ここで、第1しきい値に比べ第2しきい値を大きくする。これによって、第1しきい値以上、第2しきい値以下の範囲内の場合には、比較器50,52のいずれからもHレベルの信号は出力されず、第1しきい値より小さい場合に比較器50から、第2しきい値より大きい場合に比較器52からHレベルが出力される。なお、1Vラインカウンタ46,48には、垂直同期信号が入力されており、1垂直期間毎にカウント結果がクリアされる。
【0026】
このようにして、比較器50の出力には、1水平ライン中のエッジ数が第1しきい値より小さいライン数が第1ラインしきい値より大きい場合にHレベルとなる信号が得られ、比較器52の出力には、1水平ライン中のエッジ数が第2しきい値以上のライン数が第2ラインしきい値以上の場合にHレベルとなる信号が各フレームにおいて得られる。すなわち、1フレームの画像において、検出エッジの多いラインがどのくらいあるかを判定することができ、多い、普通、少ない、の三段階の判定ができる。この判定は垂直方向の判定といえる。検出エッジが多い場合にノイズが多いと判定し、検出エッジが少ない場合にノイズが少ないと判定できる。
【0027】
次に、エッジ検出部14におけるエッジ検出結果の信号は、フラットカウンタ54に入力される。このフラットカウンタ54に画素クロックが供給されており、フラットカウンタは画素クロックをカウントし、エッジ検出信号によりリセットされる。従って、エッジが連続して入力されない期間をカウントアップする。
【0028】
フラットカウンタ54の出力は、比較器56に入力され、ここでフラットしきい値と比較され、フラットカウンタ54のカウント値がフラットしきい値を超えた場合にHレベルが出力される。この比較器56のHレベルはフラットカウンタ54のリセット端に供給されており、フラットカウンタ54のカウント値がフラットしきい値に至るとフラットカウンタ54がリセットされる。すなわち、比較器56は、エッジの入力がフラットしきい値の画素数連続して無かった場合にHレベルを出力する。
【0029】
比較器56の出力は、フラット領域数カウンタ58に入力される。このフラット領域数カウンタ58は1垂直期間ごとにリセットされるので、1垂直期間(1フレーム)のフラット領域数をカウントする。このフラット領域数カウンタ58の出力は、比較器60に供給される。この比較器60には、フラット領域数についてのしきい値であるフラット領域しきい値が供給されており、1フレームにおけるフラット領域数がフラット領域しきい値を超えたかが判定される。このように、水平方向において、エッジ検出されない状態が所定以上連続されたことが検出される。この判定は水平方向の判定といえる。
【0030】
比較器50,52,60の結果は、セレクタ62を介し、出力制御器64に供給される。出力制御器64は、比較器60からの信号がHレベルの場合には、または比較器50からの信号がHレベルの場合にエッジ検出部14におけるしきい値を1段階下げる信号を出力する。一方、比較器52からの信号がHレベルの場合には、エッジ検出部14におけるしきい値を1段階上げる信号を出力する。なお、比較器60からの信号と比較器52からの信号の両方がHレベルであった場合には、エッジ検出部14におけるしきい値を変更しないことが好適であるが、いずれかを優先してもよい。また、出力制御器64には、エッジ検出部14における現在のしきい値のデータを保持しておき、しきい値が最大値または最小値を超えないように出力を制御することが好適である。
【0031】
このようにして、本実施形態によれば、エッジの検出状態に応じて、エッジ検出部14におけるしきい値を適応的に変更する。従って、エッジ検出部14のエッジ検出のしきい値を下げてもノイズ成分がエッジ検出に引っかからないと判断された場合、エッジ検出のしきい値を下げ、より映像のエッジを保存することができる。なお、上述のような比較器における判定において、しきい値より大きい、小さいの判定は、しきい値以上、しきい値以下の判定としてもよい。
【0032】
図3には、映像の例が示してある。図3(a)がノイズのない場合、図3(b)がノイズのある映像を示している。このように、一般に、ノイズのない場合、撮影した映像のエッジは映像内の分布に偏りがあることが多い。一方、ノイズは映像全体に均一に分布する。本実施形態では、連続してエッジが検出されないことによって、ノイズがないことを検出できる。そこで、全体としてエッジの多い画像であっても、しきい値があげられることを防止できる。また、全体的にエッジ数が多いことにより、ノイズを検出していることを判定して、ノイズをエッジとして検出することを防止することができる。
【0033】
なお、エッジ解析における各しきい値についても変更可能として、より適切な判定を可能としてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10 遅延回路、12 ハイパスフィルタ、14 エッジ検出部、16 減算器、18 ゲイン調整部、20 エッジ解析部、40 1Hエッジカウンタ、42,44,50,52,56,60 比較器、46,48 1Vラインカウンタ、54 フラットカウンタ、58 フラット領域数カウンタ、62 セレクタ、64 出力制御器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号のノイズリダクション回路であって、
映像信号の高周波成分を減少するノイズ処理部と、
映像信号の変化量を所定のしきい値と比較してエッジを検出するエッジ検出部と、
検出されたエッジにおいて、前記ノイズ処理部における高周波成分の減少を抑制する処理部と、
前記エッジ検出部において検出した、映像信号の変化量の分布状態または検出されたエッジの分布状態に基づいて、映像中のノイズの量を推定するノイズ推定部と、
を有し、
前記エッジ検出部におけるエッジ検出のしきい値を前記ノイズ推定部により推定したノイズの量に応じて変更するノイズリダクション回路。
【請求項2】
請求項1に記載のノイズリダクション回路であって、
前記ノイズ推定部は、エッジが検出されない状態が所定数連続する画像の平坦部を検出し、平坦部が画面上に所定以上存在する場合には、ノイズが少ないと判定する、ノイズリダクション回路。
【請求項3】
請求項1に記載のノイズリダクション回路であって、
前記ノイズ推定部は、エッジの検出数が第1所定値以下の水平ラインを検出し、該当する水平ラインの検出数が画面上で第1所定ライン数以下の場合には、ノイズが少ないと判定する、ノイズリダクション回路。
【請求項4】
請求項3に記載のノイズリダクション回路であって、
前記ノイズ推定部は、エッジの検出数が第1所定値より大きな第2所定値以上の水平ラインを検出し、検出数が画面上で第1所定ライン数より大きな第2所定ライン数以上の場合には、ノイズが多いと判定する、ノイズリダクション回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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