ノズル装置および噴射装置
【課題】粉状ドライアイスを効率よく発生させて、優れた噴射効率を確保することのできる、ノズル装置および噴射装置を提供すること。
【解決手段】キャリアガス供給管10と、それに接続されるCO2供給管11とを備え、キャリアガス供給管10は、キャリアガスが導入されるキャリア側導入部23と、その第1流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、キャリア側導入部23の開口断面積より小さいキャリア側絞り部24と、その第1流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、キャリア側絞り部24から第1流れ方向下流側に向かって次第に大きくなる第1拡大部25と、その第1流れ方向下流側に接続される噴射部26であって、開口断面積が、第1流れ方向において略同一である第1ストレート部27を含む噴射部26とを備える噴射装置1において、CO2供給管11を、噴射部26に接続する。
【解決手段】キャリアガス供給管10と、それに接続されるCO2供給管11とを備え、キャリアガス供給管10は、キャリアガスが導入されるキャリア側導入部23と、その第1流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、キャリア側導入部23の開口断面積より小さいキャリア側絞り部24と、その第1流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、キャリア側絞り部24から第1流れ方向下流側に向かって次第に大きくなる第1拡大部25と、その第1流れ方向下流側に接続される噴射部26であって、開口断面積が、第1流れ方向において略同一である第1ストレート部27を含む噴射部26とを備える噴射装置1において、CO2供給管11を、噴射部26に接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル装置および噴射装置、詳しくは、粉状ドライアイスを噴射するノズル装置および噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉状(スノー状)ドライアイスを噴射して、対象物の表面を洗浄またはブラスト加工するための装置が知られている。
【0003】
例えば、スロート(中細部)を備えるラバルノズルからなる噴射ノズルと、噴射ノズルの噴流方向上流側に接続されるY字状のパイプとを備える装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の装置では、圧縮空気が、パイプの噴流方向上流側一端部(噴射路)から供給される一方、粉状ドライアイス(ドライアイス粒子)がパイプの噴流方向上流側他端部(膨張空間)から供給されている。そして、膨張空間において、噴射路との分岐(交差)点から、粉状ドライアイスが圧縮空気によって吸い出され、それらがともに、噴射ノズル内を通過した後、噴射ノズルの噴射口(噴流方向下流側端部)から噴射される。
【0005】
また、膨張空間の噴流方向上流側には、それより縮径された供給路が接続されており、液体CO2を、供給路から膨張空間に流入させて断熱膨張させ、粉状ドライアイスを生成させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−505772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、特許文献1に記載の装置では、膨張空間が、噴射ノズルの噴流方向上流側に設けられており、かかる膨張空間に連通する噴射路は圧縮空気によって高圧となっている。そのため、液体CO2の膨張効率が低下して、粉状ドライアイスの生成効率が低下する。その結果、粉状ドライアイスを効率よく噴射できないという不具合がある。
【0008】
本発明の目的は、粉状ドライアイスを効率よく発生させて、優れた噴射効率を確保することのできる、ノズル装置および噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、キャリアガスを供給するキャリアガス供給管と、粉状ドライアイスを供給するために前記キャリアガス供給管に接続されるCO2供給管とを備えるノズル装置であって、前記キャリアガス供給管は、前記キャリアガスが導入されるキャリア側導入部と、前記キャリア側導入部における前記キャリアガスの流れ方向である第1流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、前記キャリア側導入部の開口断面積より小さいキャリア側絞り部と、前記キャリア側絞り部の前記第1流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、前記キャリア側絞り部から前記第1流れ方向下流側に向かって次第に大きくなる拡大部と、前記拡大部の前記第1流れ方向下流側に接続される噴射部であって、開口断面積が、前記第1流れ方向において略同一である同一開口部を含む前記噴射部とを備え、前記CO2供給管は、前記噴射部に接続されていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、キャリアガス供給管では、キャリアガスが、キャリア側導入部に導入された後、キャリア側絞り部において、加速され、次いで、拡大部でさらに加速されながら、その後、同一開口部を含む噴射部を高速で通過する。
【0011】
そして、噴射部に、CO2供給管から粉状ドライアイスが供給されるので、高速のキャリアガスによって、ドライアイスを粉状に維持しながら、噴射部から効率よく噴射することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記CO2供給管は、液体CO2が導入されるCO2側導入部と、前記CO2側導入部におけるCO2の流れ方向である第2流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、前記CO2側導入部の開口断面積より小さいCO2側絞り部と、前記CO2側絞り部の前記第2流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、前記CO2側絞り部の断面積より大きく形成されており、前記CO2側絞り部から供給される前記液体CO2から前記粉状ドライアイスを生成して、前記粉状ドライアイスを前記噴射部に供給するCO2供給チャンバ部とを備えていることが好適である。
【0013】
この構成によれば、ノズル装置のCO2供給管では、液体CO2が、CO2側導入部に導入された後、CO2側絞り部において、減圧され、その後、CO2供給チャンバ部において、断熱膨張する。
【0014】
そのため、CO2供給チャンバ部において、液体CO2から粉状ドライアイスを効率よく生成し、そのまま噴射部に供給することができる。
【0015】
その結果、粉状ドライアイスを噴射部からより一層効率よく噴射することができる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記キャリアガス供給管は、互いに間隔を隔てて対向配置される2つの第1壁と、前記第1壁の対向方向と前記第1流れ方向との両方向に直交する直交方向において、前記第1壁の両端部を連結する2つの第2壁とを備え、前記第1壁間の対向方向長さが、一定であることが好適である。
【0017】
この構成によれば、第1流れ方向において、第1壁間の対向方向長さを一定にしながら、第1壁の直交方向長さのみ、つまり、第2壁間の対向方向長さのみを変化させることによって、キャリア側導入部、キャリア側絞り部、拡大部および噴射部を備えるキャリアガス供給管を構成することができる。
【0018】
そのため、キャリアガス供給管を簡易かつ低コストで形成しながら、粉状ドライアイスを効率よく噴射することができる。
【0019】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記CO2供給管が、前記噴射部の前記第1流れ方向上流側端部またはその近傍に接続されていることが好適である。
【0020】
この構成によれば、拡大部においてキャリアガスが加速され、続いて、噴射部の第1流れ方向上流側端部またはその近傍において、最も加速された高速のキャリアガスに、粉状ドライアイスを乗せて加速させることができる。
【0021】
さらに、粉状ドライアイスを、噴射部の第1流れ方向上流側端部またはその近傍から第1流れ方向下流側端部にわたって十分な距離を確保しながら、高速のキャリアガスに乗せて十分に加速させることができる。
【0022】
そのため、粉状ドライアイスを噴射部から高速で噴射することができる。
【0023】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記CO2側絞り部および前記CO2供給チャンバ部が、前記CO2供給管において、それぞれ、複数設けられていることが好適である。
【0024】
この構成によれば、各CO2供給管において、CO2側絞り部から供給され、CO2供給チャンバで断熱膨張させて発生させる粉状ドライアイスの供給量を、噴射部に供給されるキャリアガスの供給量に応じて、調整することができる。
【0025】
そのため、粉状ドライアイスをより一層効率よく噴射することができる。
【0026】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、さらに、前記噴射部における前記CO2供給管の接続部またはその近傍に加熱手段が設けられていることが好適である。
【0027】
キャリアガスが、液体CO2の断熱膨張に伴って低温となった粉状ドライアイスによって過度に冷却されると、収縮により速度が低下し、粉状ドライアイスを十分に加速することができない場合がある。
【0028】
しかし、この構成によれば、加熱手段によって、噴射部におけるCO2供給管の接続部またはその近傍を通過するキャリアガスを加熱できるので、上記したキャリアガスの収縮を防止しながら、粉状ドライアイスを噴射部から効率よく加速することができる。
【0029】
また、CO2供給管において、粉状ドライアイスによる目詰まりが発生する場合がある。
【0030】
しかし、このノズル装置では、加熱手段によって、上記した粉状ドライアイスによる目詰まりを解消でき、粉状ドライアイスを噴射部からより一層効率よく噴射することができる。
【0031】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載のノズル装置と、前記キャリアガスを発生させるキャリアガス発生手段と、前記キャリアガス発生手段と前記キャリアガス供給管とを接続するキャリアガスラインと、前記キャリアガスラインに設けられるキャリア側フィルタと、液体CO2を貯蔵する液体CO2貯蔵手段と、前記液体CO2貯蔵手段と前記CO2供給管とを接続するCO2ラインと、前記CO2ラインに設けられるCO2側フィルタとを備えることを特徴としている。
【0032】
この構成によれば、キャリアガスが、キャリアガス発生手段からキャリアガスラインを介してキャリアガス供給管に供給される。また、液体CO2が、液体CO2貯蔵手段からCO2ラインを介してCO2供給管に供給されて、CO2供給管において粉状ドライアイスが生成されてキャリアガス供給管の噴射部に供給される。そのため、ノズル装置において、キャリアガスによって、粉状ドライアイスを粉状に維持して、噴射部から効率よく噴射することができる。
【0033】
また、キャリア側フィルタによって、キャリアガス発生手段からキャリアガスラインを介してCO2供給管に供給されるキャリアガスに混入する異物を除去することができる。さらに、CO2側フィルタによって、液体CO2貯蔵手段からCO2ラインを介してCO2供給管に供給される液体CO2に混入する異物を除去することができる。
【0034】
そのため、クリーンな粉状ドライアイスを、クリーンなキャリアガスとともに噴射することができる。
【発明の効果】
【0035】
請求項1に記載の発明によれば、高速のキャリアガスによって、ドライアイスを粉状に維持しながら、噴射部から効率よく噴射することができる。
【0036】
また、請求項2に記載の発明によれば、粉状ドライアイスを噴射部からより一層効率よく噴射することができる。
【0037】
また、請求項3に記載の発明によれば、キャリアガス供給管を簡易かつ低コストで形成しながら、粉状ドライアイスを効率よく噴射することができる。
【0038】
また、請求項4に記載の発明によれば、粉状ドライアイスを噴射部から高速で噴射することができる。
【0039】
また、請求項5に記載の発明によれば、粉状ドライアイスをより一層効率よく噴射することができる。
【0040】
また、請求項6に記載の発明によれば、キャリアガスの収縮を防止しながら、粉状ドライアイスを噴射部から効率よく加速することができる。
【0041】
また、請求項7に記載の発明によれば、ノズル装置において、キャリアガスによって、粉状ドライアイスを粉状に維持して、噴射部から効率よく噴射することができる。また、クリーンな粉状ドライアイスを、クリーンなキャリアガスとともに噴射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明の噴射装置の一実施形態の概略図を示す。
【図2】図2は、図1に示す噴射装置の、本発明のノズル装置の一実施形態の側断面図を示す。
【図3】図3は、図2に示すノズル装置の平断面図を示す。
【図4】図4は、図3に示すノズル装置の正断面図であって、(a)は、A−A線に沿う断面図、(b)は、B−B線に沿う断面図、(c)は、C−C線に沿う断面図、(d)は、D−D線に沿う断面図、(e)は、E−E線に沿う断面図を示す。
【図5】図5は、図2に示すノズル装置のCO2供給管の拡大正面図を示す。
【図6】図6は、図5に示すCO2供給管の拡大平断面図を示す。
【図7】図7は、本発明のノズル装置の他の実施形態(キャリアガス供給管が略円筒である態様)の、図4に対応する正断面図であって、(a)は、図3のA−A線に沿う断面図、(b)は、図3のB−B線に沿う断面図、(c)は、図3のC−C線に沿う断面図、(d)は、図3のD−D線に沿う断面図、(e)は、図3のE−E線に沿う断面図を示す。
【図8】図8は、本発明のノズル装置の他の実施形態(実線:CO2供給管が第2拡大部の第1流れ方向上流側端部に接続される態様、破線:CO2供給管が第1ストレート部の第1流れ方向中央に接続される態様、および、1点鎖線:CO2供給管が第1ストレート部の第1流れ方向下流側端部に接続される態様)の拡大平面図を示す。
【図9】図9は、本発明のノズル装置の他の実施形態のCO2供給管(複数のCO2側絞り部およびCO2供給チャンバ部がそれぞれ左右方向および上下方向に整列配置される態様)の拡大正面図を示す。
【図10】図10は、本発明のノズル装置の他の実施形態のCO2供給管(CO2側絞り部およびCO2供給チャンバ部がそれぞれ1つ設けられる態様)の拡大正面図を示す。
【図11】図11は、本発明のノズル装置の他の実施形態(噴射部が第1ストレート部からなる態様)の平断面図を示す。
【図12】図12は、本発明のノズル装置の他の実施形態(噴射部が湾曲する態様)の正断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、本発明の噴射装置の一実施形態の概略図、図2は、図1に示す噴射装置の、本発明のノズル装置の一実施形態の側断面図、図3は、図2に示すノズル装置の平断面図、図4は、図3に示すノズル装置の正断面図、図5は、図2に示すノズル装置のCO2供給管の拡大正面図、図6は、図5に示すCO2供給管の拡大平断面図を示す。
【0044】
なお、図2において、紙面右側を「前側」、紙面左側を「後側」、紙面手前側を「左側」、紙面奥側を「右側」、紙面上側を「上側」、紙面下側を「下側」とする。また、図2以外の各図面の方向について、上記した図2の方向に準じる。
【0045】
図1において、この噴射装置1は、粉状ドライアイスを、噴射対象物9の表面にキャリアガスとともに噴射する装置である。噴射装置1は、ノズル装置2と、キャリアガス発生手段としてのコンプレッサ3と、キャリアガスライン4と、キャリア側フィルタ5と、CO2貯蔵手段としての液体CO2ボンベ6と、CO2ライン7と、CO2側フィルタ8とを備えている。
【0046】
ノズル装置2は、後で詳述するが、キャリアガス供給管10と、CO2供給管11とを備えている。
【0047】
コンプレッサ3は、キャリアガスを圧縮可能に構成されており、所定圧力のキャリアガスを発生させている。キャリアガスとしては、例えば、空気、例えば、窒素などの不活性ガスが挙げられる。
【0048】
また、コンプレッサ3は、噴射装置1の使用時には、駆動され、噴射装置1の未使用時に、駆動が停止される。
【0049】
キャリアガスライン4は、キャリアガスの流れ方向(以下、第1流れ方向という。)の上流側端部がコンプレッサ3に接続され、第1流れ方向下流側端部がキャリアガス供給管10に接続されている。これにより、キャリアガスライン4は、コンプレッサ3とキャリアガス供給管10とを接続している。
【0050】
また、キャリアガスライン4の第1流れ方向途中には、第1キャリア開閉弁12と、キャリア減圧弁(レギュレータ)13と、キャリア逆止弁(チェック弁)14と、キャリア側フィルタ5(後述)と、キャリア圧力計16とが、第1流れ方向上流側から下流側に向かって、順次介装されている。
【0051】
このキャリアガスライン4では、第1キャリア開閉弁12およびキャリア減圧弁13が、噴射装置1の使用時に開状態とされ、噴射装置1の未使用時に閉状態とされる。
【0052】
キャリア側フィルタ5は、例えば、多孔質材料からなり、その孔径は、例えば、1μm以下、好ましくは、0.01〜1μmである。キャリア側フィルタ5は、キャリアガスライン4を通過するキャリアガス中に含まれる異物を除去する。
【0053】
液体CO2ボンベ6は、液体CO2を貯蔵している。
【0054】
CO2ライン7は、CO2(液体CO2および粉状ドライアイスを含むCO2)の流れ方向(以下、第2流れ方向という。)の上流側端部が液体CO2ボンベ6に接続され、第2流れ方向下流側端部がCO2供給管11に接続されている。これにより、CO2ライン7は、液体CO2ボンベ6とCO2供給管11とを接続している。
【0055】
また、CO2ライン7の第2流れ方向途中には、CO2減圧弁(レギュレータ)17と、第1CO2開閉弁18と、CO2逆止弁(チェック弁)19と、リリーフ弁20と、CO2側フィルタ8と、CO2圧力計22とが、第2流れ方向上流側から下流側に向かって、順次介装されている。
【0056】
なお、CO2ライン7は、CO2圧力計22の第2流れ方向下流側において、2本に分岐し、分岐後の各第2流れ方向下流側端部が、CO2供給管11に接続されている。
【0057】
CO2ライン7では、CO2減圧弁17および第1CO2開閉弁18が、噴射装置1の使用時に開状態とされ、噴射装置1の未使用時に閉状態とされる。
【0058】
CO2側フィルタ8は、例えば、多孔質材料からなり、その孔径は、例えば、1μm以下、好ましくは、0.01〜1μmである。CO2側フィルタ8は、CO2ライン7を通過するCO2中に含まれる異物を除去する。
【0059】
そして、図2に示すように、ノズル装置2は、ガン形状(側面視略L字状)をなし、例えば、鉄、ステンレスなどの金属、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)などの樹脂などの材料から形成されている。
【0060】
キャリアガス供給管10は、ノズル装置2内にキャリアガスを供給するために設けられており、図2および図3に示すように、キャリア側導入部23と、キャリア側絞り部24と、拡大部としての第2拡大部25と、噴射部26とを備えている。また、キャリアガス供給管10は、上下方向に互いに間隔を隔てて対向配置される2つの第1壁29と、第1壁29の左右方向両端部を連結する2つの第2壁30とを備えている。
【0061】
第1壁29および第2壁30は、上記したキャリア側導入部23(後述する屈曲部31の第1流れ方向上流側のキャリア側導入部23を除く)と、キャリア側絞り部24と、第2拡大部25と、噴射部26とに連続的に設けられている。第1壁29は、左右方向および前後方向に沿う平板状に形成されている。
【0062】
キャリア側導入部23は、キャリアガス供給管10の第1流れ方向上流側端部に設けられている。また、キャリア側導入部23の第1流れ方向上流側端部は、キャリアガスライン4に接続されている。
【0063】
また、キャリア側導入部23は、側面視略L字状に形成され、ノズル装置2の後端部において、第1流れ方向上流側端部から上方に向かって延び、その後、屈曲部31において、前側に屈曲している。
【0064】
また、屈曲部31より第1流れ方向上流側のキャリア側導入部23は、上下方向に延び、前後方向および左右方向における開口断面が、略円形状または略楕円形状に形成されている。
【0065】
一方、図4(a)に示すように、屈曲部31より第1流れ方向下流側のキャリア側導入部23は、前後方向に延びる略直管であり、略角管に形成されている。つまり、屈曲部31より第1流れ方向下流側のキャリア側導入部23は、開口断面(左右方向および上下方向に沿って切断された開口断面、つまり、正面開口断面、以下キャリアガス供給管10において単に開口断面という。)が、左右方向に長い略矩形状に形成されており、その開口断面積が、図2および図3に示すように、第1流れ方向において同一である。
【0066】
詳しくは、屈曲部31より第1流れ方向下流側のキャリア側導入部23では、第1壁29間の対向方向長さD、および、第2壁30間の対向方向長さW1(図4(a)参照)は、第1流れ方向においてともに一定である。
【0067】
なお、キャリア側導入部23の第1流れ方向上流側端部には、図示しない第2キャリアガス開閉弁が設けられている。図示しない第2キャリアガス開閉弁は、ノズル装置2に設けられるスイッチ39と電気的またはニューマチック的に接続されている。
【0068】
キャリア側絞り部24は、キャリア側導入部23の第1流れ方向下流側に接続されており、第1縮小部32と、第1縮小部32の第1流れ方向下流側に接続されるスロート部33とを備えている。
【0069】
第1縮小部32は、キャリア側導入部23の第1流れ方向下流側端縁に連続して接続されており、開口断面略矩形状に形成され、その開口断面積が、キャリア側導入部23の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に小さくなるように形成されている。具体的には、第1縮小部32において、第1壁29の対向方向(上下方向)の距離Dを一定に維持しつつ、第2壁30の内面は、第1流れ方向下流側に向かって、互いに次第に近接する平面視テーパ形状に形成されている。
【0070】
詳しくは、第1縮小部32における第1壁29間の対向方向長さDは、キャリア側導入部23の第1壁29間の対向方向長さD(図4(a)参照)と同一であり、かつ、第1流れ方向において一定である。一方、第1縮小部32における第2壁30間の対向方向長さW1’は、キャリア側導入部23の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に短くなる。
【0071】
スロート部33は、前後方向に延びる略直管であり、略角管に形成にされており、第1縮小部32の第1流れ方向下流側端縁に連続して接続されている。
【0072】
また、スロート部33は、図4(b)に示すように、開口断面略矩形状に形成されており、その開口断面積は、キャリア側導入部23の開口断面積より小さく形成されている。
【0073】
詳しくは、図2および図3に示すように、スロート部33における第1壁29間の対向方向長さD(図4(b)参照)は、第1縮小部32における第1壁29間の対向方向長さD(図4(a)参照)と同一であり、かつ、第1流れ方向において一定である。一方、スロート部33における第2壁30間の対向方向長さW2(図4(b)参照)は、キャリア側導入部23における第2壁30間の対向方向長さW1(図4(a)参照)より小さく、かつ、第1流れ方向において一定である。
【0074】
第1拡大部25は、キャリア側絞り部24の第1流れ方向下流側に接続されている。具体的には、第1拡大部25は、スロート部33の第1流れ方向下流側端縁に連続して接続されている。
【0075】
また、第1拡大部25の開口断面は、図4(c)に示すように、左右方向に長い略矩形状に形成されている。また、第1拡大部25の開口断面積は、図2および図3に示すように、スロート部33の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に大きくなるように形成されている。具体的には、第1拡大部25において、第1壁29の対向方向(上下方向)の距離Dを一定に維持しつつ、第2壁30の内面は、第1流れ方向下流側に向かって、互いに次第に離間する平面視テーパ形状に形成されている。
【0076】
詳しくは、第1拡大部25における第1壁29間の対向方向長さD(図4(c)参照)は、スロート部33における第1壁29間の対向方向長さD(図4(b)参照)と同一であり、かつ、第1流れ方向において一定である。一方、第1拡大部25における第2壁30間の対向方向長さW3(図4(c)参照)は、スロート部33の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に長くなる。
【0077】
噴射部26は、第1拡大部25の第1流れ方向下流側に接続されている。また、噴射部26は、同一開口部としての第1ストレート部27と、第1ストレート部27の第1流れ方向下流側に設けられる第2拡大部28とを備えている。
【0078】
第1ストレート部27は、前後方向に延びる略直管であり、略角管に形成にされており、第1拡大部25の第1流れ方向下流側端縁に連続して接続されている。また、第1ストレート部27の開口断面は、図4(d)に示すように、左右方向に長い略矩形状に形成されている。また、図2および図3に示すように、第1ストレート部27の開口断面積は、スロート部33の開口断面積より大きく、かつ、第1流れ方向において略同一に形成されている。
【0079】
詳しくは、第1ストレート部27における第1壁29間の対向方向長さD(図4(d)参照)は、第1拡大部25における第1壁29間の対向方向長さD(図4(c)参照)と同一であり、かつ、第1流れ方向において一定である。一方、第1ストレート部27における第2壁30間の対向方向長さW4(図4(d)参照)は、スロート部33における第2壁30間の対向方向長さW2(図4(b)参照)より長く、かつ、第1流れ方向において一定である。
【0080】
第2拡大部28は、第1ストレート部27の第1流れ方向上流側端縁に連続して接続されている。
【0081】
また、図4(e)に示すように、第2拡大部28の開口断面は、左右方向に長い略矩形状に形成されている。また、第2拡大部28は、図2および図3に示すように、第1ストレート部27の開口断面積が、第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に、左右方向に大きくなるように形成されている。具体的には、第2拡大部28において、第1壁29の対向方向(上下方向)の距離Dを一定に維持しつつ、第2壁30の内面は、第1流れ方向下流側に向かって、互いに次第に離間する平面視テーパ形状に形成されている。
【0082】
詳しくは、第2拡大部28における第1壁29間の対向方向長さD(図4(e)参照)は、第1ストレート部27における第1壁29間の対向方向長さD(図4(d)参照)と同一であり、かつ、第1流れ方向において一定である。一方、第2拡大部28における第2壁30間の対向方向長さW5(図4(e)参照)は、第1ストレート部27の下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に長くなる。
【0083】
また、キャリアガス供給管10では、第2キャリアガス開閉弁(図示せず)が、ノズル装置2の使用時(つまり、粉状ドライアイスの噴射時)には、スイッチ39のオンによって開状態とされ、ノズル装置2の未使用時には、スイッチ39のオフによって開状態とされる。
【0084】
CO2供給管11は、キャリアガス供給管10に粉状ドライアイスを供給するために、キャリアガス供給管10の噴射部26の第1ストレート部27に接続されている。また、各CO2供給管11は、第1ストレート部27において、第1流れ方向で(つまり、左右方向に投影したときに)同一位置に設けられ、左右方向に互いに間隔を隔てて対向配置されている。
【0085】
また、CO2供給管11は、CO2供給管11における第2流れ方向と、第1ストレート部27における第1流れ方向とが直交(交差)するように、第1ストレート部27の2つの第2壁30に、連続して形成されている。より具体的には、各CO2供給管11は、左右方向に沿って延びるように設けられている。
【0086】
CO2供給管11は、図5および図6に示すように、CO2側導入部34と、CO2側絞り部35と、CO2供給チャンバ部36とを備えている。
【0087】
CO2側導入部34は、図3に示すように、CO2ライン7の第2流れ方向下流側端部にそれぞれ接続されており、各CO2側導入部34は、外側導入部37と、外側導入部37の第2流れ方向下流側に接続される内側導入部38とを備えている。
【0088】
外側導入部37は、平面視略L字パイプ状をなし、CO2ライン7の各第1流れ方向下流側端部に対応して、2つ設けられている。
【0089】
なお、外側導入部37の第2流れ方向上流側端部には、図示しない第2CO2開閉弁がそれぞれ設けられている。図示しない各第2CO2開閉弁は、スイッチ39(図2)と電気的またはニューマチック的に接続されている。
【0090】
内側導入部38は、左右方向に延びる略直管であり、開口断面(前後方向および上下方向に沿って切断された開口断面、つまり、側面開口断面、CO2供給管11において単に開口断面という。)が、略円形状に形成されており、各外側導入部37の第2流れ方向下流側端部から第2流れ方向下流側に、3本に分岐するように設けられている。各内側導入部38は、図5および図6に示すように、前後方向に間隔を隔てて整列配置されている。
【0091】
各内側導入部38の開口断面積は、第2流れ方向において一定である。また、内側導入部38の内径(最大長さ)D1は、例えば、1〜8mm、好ましくは、2〜5mmである。
【0092】
CO2側絞り部35は、各内側導入部38に対応して設けられ、具体的には、各CO2供給管11において複数(3つ)設けられている。また、CO2側絞り部35は、内側導入部38の第2流れ方向下流側に接続されている。また、各内側導入部38は、左右方向に延びており、第2縮小部42と、第2ストレート部43と、第3拡大部44とを一体的に備えている。
【0093】
第2縮小部42は、内側導入部38の第2流れ方向下流側端縁に連続して接続されており、開口断面略円形状に形成されている。また、第2縮小部42の開口断面積は、内側導入部38の第2流れ方向下流側端縁から第2流れ方向下流側に向かって次第に小さくなるように形成されている。つまり、第2縮小部42の内面は、第2流れ方向下流側に向かって、互いに近接するテーパ形状に形成されている。
【0094】
第2ストレート部43は、第2縮小部42の第2流れ方向下流側端縁に連続して接続されており、開口断面略円形状に形成されている。また、第2ストレート部43の開口断面積は、内側導入部38の開口断面積より小さく形成されており、第2流れ方向において一定である。
【0095】
具体的には、各第2ストレート部43の内径(最小長さ)D2は、例えば、0.3〜1.5mm、好ましくは、0.3〜0.8mmである。
【0096】
第3拡大部44は、第2ストレート部43の第2流れ方向下流側端縁に連続して接続されており、開口断面略円形状に形成されている。また、第3拡大部44の開口断面積は、第2ストレート部43の第2流れ方向下流側端縁から第2流れ方向下流側に向かって次第に大きくなるように形成されている。つまり、第3拡大部44の内面は、第2流れ方向下流側に向かって、互いに離間するテーパ形状に形成されている。
【0097】
CO2供給チャンバ部36は、各CO2側絞り部35に対応して設けられ、具体的には、各CO2供給管11において複数(3つ)設けられている。また、CO2供給チャンバ部36は、第3拡大部44の第2流れ方向下流側に接続されている。また、CO2供給チャンバ部36は、左右方向に延びる略直管であり、開口断面円形状に形成されている。
【0098】
また、CO2供給チャンバ部36の第2方向下流側端部は、第1ストレート部27内に臨んでいる。つまり、CO2供給チャンバ部36は、第1ストレート部27の第1流れ方向上流側端部に連続するように接続されている。
【0099】
また、CO2供給チャンバ部36の開口断面積は、第2流れ方向において一定であり、第2ストレート部43の開口断面積より大きく、例えば、内側導入部38の開口断面積と同一である。また、CO2供給チャンバ部36の内径(最大長さ)D3は、内側導入部38の内径D1と同一である。
【0100】
CO2供給管11では、第2CO2開閉弁(図示せず)が、ノズル装置2の使用時(つまり、粉状ドライアイスの噴射時)には、スイッチ39のオンによって開状態とされ、ノズル装置2の未使用時には、スイッチ39のオフによって閉状態とされる。
【0101】
次に、この噴射装置1を用いる粉状ドライアイスの噴射動作について、説明する。
【0102】
図1において、まず、この噴射装置1では、未使用時には、コンプレッサ3の駆動が停止され、キャリアガスライン4における第1キャリア開閉弁12およびキャリア減圧弁13と、CO2ライン7におけるCO2減圧弁17および第1CO2開閉弁18と、キャリアガス供給管10における第2キャリアガス開閉弁(図示せず)と、CO2供給管11における第2CO2開閉弁(図示せず)とが、閉状態とされている。
【0103】
そして、この噴射装置1を使用するには、まず、コンプレッサ3の駆動を開始するとともに、第1キャリア開閉弁12およびキャリア減圧弁13を順次開状態にするとともに、CO2減圧弁17および第1CO2開閉弁18を順次開状態にする。
【0104】
これにより、コンプレッサ3の駆動の開始によって発生されるキャリアガスが、キャリアガスライン4を通過する。具体的には、キャリアガスライン4において、第1キャリア開閉弁12を通過し、キャリア減圧弁13により所定の圧力に調整されたキャリアガスが、キャリアガスライン4内を流れる。また、キャリアガスは、キャリア逆止弁14において逆流が防止されながら、キャリア側フィルタ5によってキャリアガス中に含まれる異物が除去されて、キャリア圧力計16によってキャリアガスライン4内におけるキャリアガスの圧力が測定されつつ、図示しない第2キャリアガス開閉弁に到達する。
【0105】
また、液体CO2ボンベ6に貯蔵され、CO2減圧弁17により所定の圧力に調整された液体CO2は、第1CO2開閉弁18を通過し、CO2逆止弁19において逆流が防止される。さらに、液体CO2は、CO2側フィルタ8によって液体CO2中に含まれる異物が除去されて、CO2圧力計22によってCO2ライン7内の液体CO2の圧力が測定されつつ、図示しない第2CO2開閉弁に到達する。なお、CO2ライン7において、CO2の圧力が異常に上昇した場合には、CO2(液体CO2および気体CO2を含む)がリリーフ弁20から大気開放される。
【0106】
続いて、ノズル装置2を使用、つまり、粉状ドライアイスを噴射するには、図2に示すスイッチ39のオンによって、図示しない第2キャリアガス開閉弁および第2CO2開閉弁を開状態とする。
【0107】
これにより、キャリアガスがキャリアガス供給管10に供給されるとともに、液体CO2がCO2供給管11に供給される。
【0108】
キャリアガス供給管10におけるキャリアガスの供給量は、例えば、50〜5000L/分、好ましくは、500〜2000L/分である。
【0109】
また、CO2供給管11における液体CO2の供給量は、キャリアガスの供給量に対して、例えば、1〜500%、好ましくは、1〜20%であり、具体的には、0.001〜42L/分、好ましくは、0.01〜17L/分である。
【0110】
すなわち、図2および図3において、キャリアガスは、キャリアガス供給管10におけるキャリア側導入部23と、キャリア側絞り部24と、第2拡大部25と、噴射部26とを順次通過する。具体的には、キャリアガスは、キャリア側導入部23に導入され、その後、キャリア側絞り部24において、音速程度(具体的には、300〜340m/秒)まで加速され、次いで、第1拡大部25で超音速程度(具体的には、400〜850m/秒)までさらに加速されながら、減圧され、その後、噴射部26を、高速(超音速状態)で通過する。そして、キャリアガスは、第2拡大部28の第1流れ方向下流側端縁(噴射口)から、左右方向に拡散されながら、噴射される。
【0111】
なお、第1ストレート部27の第1流れ方向上流側端部におけるキャリアガスの速度は、キャリアガスが第1拡大部25の第1流れ方向上流側端部から第1流れ方向下流側端部にわたって継続して加速されるので、最高の速度(上記した超音速程度)となっている。
【0112】
また、第1ストレート部27の上流側端部におけるキャリアガスの圧力は、キャリアガスが第1拡大部25の第1流れ方向上流側端部から第1流れ方向下流側端部にわたって継続して減圧されるので、第1拡大部25におけるキャリアガスの圧力よりも低くなっている。具体的には、第1ストレート部27の上流側端部におけるキャリアガスの圧力は、例えば、0.1〜0.15MPaである。
【0113】
一方、液体CO2は、図6が参照されるように、CO2側導入部34の外側導入部37に導入され、内側導入部38で分岐された後、CO2側絞り部35において、加速されながら、減圧される。次いで、CO2側絞り部35から供給される液体CO2は、CO2供給チャンバ部36において、断熱膨張する。このCO2供給チャンバ部36において、液体CO2が断熱膨張することによって、粉状ドライアイスが生成される。
【0114】
粉状ドライアイスは、スノー状ドライアイスを含む概念のものであって、その平均粒子径は、例えば、0.1〜200μmである。
【0115】
そして、粉状ドライアイスは、CO2供給チャンバ部36から第1ストレート部27の上流側端部に供給されて、高速(超音速)のキャリアガスによって加速され、かつ、第1ストレート部27の第1流れ方向上流側端部から第1流れ方向下流側端部にわたって、十分に加速される。
【0116】
しかも、図3が参照されるように、第1ストレート部27の上流側端部を通過するキャリアガスは、第1拡大部25を通過するキャリアガスを通過するキャリアガスよりも、低圧である。そのため、第1ストレート部27の上流側端部に連通するCO2供給チャンバ部36において、粉状ドライアイスを効率よく発生させることができ、かかる粉状ドライアイスを、第1ストレート部27の第1流れ方向上流側端部に供給することができる。
【0117】
そして、粉状ドライアイスは、第2拡大部28の第1流れ方向下流側端縁(噴射口)から、左右方向に拡散されながら、キャリアガスとともに、噴射対象物9(図1)に向けて噴射される。
【0118】
その後、スイッチ39のオフによって、図示しない第2キャリアガス開閉弁および第2CO2開閉弁を閉状態として、粉状ドライアイスの噴射を停止させ、続いて、上記の逆の操作によって、噴射装置1の使用を停止させる。
【0119】
そして、上記したノズル装置2によれば、キャリアガス供給管10では、キャリアガスが、キャリア側導入部23に導入された後、キャリア側絞り部24において、加速され、次いで、第1拡大部25でさらに加速されながら、その後、第1ストレート部27を含む噴射部26を高速で通過する。
【0120】
そして、噴射部26の第1ストレート部27に、CO2供給管11から粉状ドライアイスが供給されるので、高速のキャリアガスによって、ドライアイスを粉状に維持しながら、噴射部26の噴射口から効率よく噴射することができる。
【0121】
また、上記したノズル装置2によれば、CO2供給管11では、液体CO2が、CO2側導入部34に導入された後、CO2側絞り部35において、減圧され、その後、CO2供給チャンバ部36において、断熱膨張する。
【0122】
そのため、CO2供給チャンバ部36において、液体CO2から粉状ドライアイスを効率よく生成し、そのまま噴射部26に供給することができる。
【0123】
その結果、粉状ドライアイスを噴射部26の噴射口からより一層効率よく噴射することができる。
【0124】
図7は、本発明のノズル装置の他の実施形態(キャリアガス供給管が略円筒である態様)の、図4に対応する正断面図、図8は、本発明のノズル装置の他の実施形態(実線:CO2供給管が第2拡大部の第1流れ方向上流側端部に接続される態様、破線:CO2供給管が第1ストレート部の第1流れ方向中央に接続される態様、および、1点鎖線:CO2供給管が第1ストレート部の第1流れ方向下流側端部に接続される態様)の拡大平面図、図9は、本発明のノズル装置の他の実施形態のCO2供給管(複数のCO2側絞り部およびCO2供給チャンバ部がそれぞれ左右方向および上下方向に整列配置される態様)の拡大正面図、図10は、本発明のノズル装置の他の実施形態のCO2供給管(CO2側絞り部およびCO2供給チャンバ部がそれぞれ1つ設けられる態様)の拡大正面図、図11は、本発明のノズル装置の他の実施形態(噴射部が第1ストレート部からなる態様)の平断面図、図12は、本発明のノズル装置の他の実施形態(噴射部が湾曲する態様)の正断面図を示す。
【0125】
なお、以降の各図面において、上記した各部に対応する部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0126】
上記した説明では、キャリアガス供給管10を、略角筒に形成しているが、例えば、図7に示すように、略円筒に形成することもできる。
【0127】
図7において、キャリアガス供給管10は、円管であり、正断面略円環の周壁40を備えている。
【0128】
屈曲部31より第1流れ方向下流側のキャリア側導入部23、キャリア側絞り部24、第1拡大部25および噴射部26は、開口断面略円形状に形成されている。
【0129】
具体的には、図3が参照されるように、屈曲部31より第1流れ方向下流側のキャリア側導入部23の周壁40の内径B1(図7(a))、スロート部33の周壁40の内径B2(図7(b))、および、第1ストレート部27の周壁40の内径B4(図7(d))は、それぞれ、第1流れ方向において一定である。
【0130】
一方、キャリア側絞り部24の第1縮小部32の周壁40の内径は、キャリア側導入部23の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に短くなる。
【0131】
また、第1拡大部25の周壁40の内径B3(図7(c))は、スロート部33の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に長くなる。
【0132】
また、第2拡大部28の周壁40の内径B5(図7(e))は、第1ストレート部27の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に長くなる。
【0133】
図4および図7に示すキャリアガス供給管10のうち、好ましくは、図4に示すキャリアガス供給管10が用いられる。
【0134】
図4に示すキャリアガス供給管10であれば、第1流れ方向において、第1壁29間の対向方向長さDを一定にしながら、第1壁29の左右方向長さ(直交方向長さ)のみ、つまり、第2壁30間の対向方向長さ(W1〜W5)のみを変化させることによって、キャリア側導入部23、キャリア側絞り部24、第1拡大部25および噴射部26を備えるキャリアガス供給管10を構成することができる。
【0135】
そのため、キャリアガス供給管10を簡易かつ低コストで形成しながら、粉状ドライアイスを効率よく噴射することができる。
【0136】
なお、上記した図4の説明では、キャリアガス供給管10を、上記した形状のキャリア側導入部23、キャリア側絞り部24、第1拡大部25および噴射部26を備えるように構成しているが、例えば、ラバルノズルとして構成することもできる。
【0137】
また、上記した図3の説明では、CO2供給管11を、噴射部26の第1ストレート部27の第1流れ方向上流側端部に接続しているが、例えば、図示しないが、第1ストレート部27の上流側端部の近傍に接続することができる。
【0138】
なお、第1ストレート部27の上流側端部の近傍は、第1ストレート部27の前後方向長さに対して、第1ストレート部27の上流側端縁から第1流れ方向下流側10%以内(さらには、5%以内)の位置として定義される。
【0139】
あるいは、図8に示すように、CO2供給管11を、第1ストレート部27の第1流れ方向中央(破線)または第1流れ方向下流側端部(1点鎖線)に接続することができ、さらに、第2拡大部28の第1流れ方向上流側端部(実線)(またはその近傍)、さらには、図示しないが、第2拡大部28の第1流れ方向中央または第1流れ方向下流側端部に接続することもできる。
【0140】
なお、第2拡大部28の第1流れ方向上流側端部の近傍は、第2拡大部28の前後方向長さに対して、第2拡大部28の上流側端縁から第1流れ方向下流側10%以内(さらには、5%以内)の位置として定義される。
【0141】
好ましくは、図3に示すように、CO2供給管11を、噴射部26の第1ストレート部27の第1流れ方向上流側端部またはその近傍に接続する。
【0142】
このように、第1拡大部25においてキャリアガスが加速され、続いて、噴射部26の第1ストレート部27の第1流れ方向上流側端部またはその近傍において、最も加速された高速のキャリアガスに、粉状ドライアイスを乗せて加速させることができる。
【0143】
さらに、粉状ドライアイスを、噴射部26の第1流れ方向上流側端部またはその近傍から、第1流れ方向下流側端部にわたって、より具体的には、第1ストレート部27の第1流れ方向上流側端部またはその近傍から、第1ストレート部27の第1流れ方向下流側端部、さらには、第2拡大部28の第1流れ方向下流側端部にわたって十分な距離(加速距離)を確保しながら、高速のキャリアガスに乗せて十分に加速させることができる。
【0144】
そのため、粉状ドライアイスを噴射部26の噴射口から高速で噴射することができる。
【0145】
また、上記した図5の説明では、CO2側絞り部35およびCO2供給チャンバ部36を、それぞれ、前後方向に整列配置しているが、その配置は特に限定されず、例えば、図9に示すように、前後方向および上下方向の両方向に整列配置することもできる。
【0146】
図9において、各CO2側絞り部35および各CO2供給チャンバ部36は、前後方向および上下方向において、それぞれ、間隔を隔てて対向配置されている。
【0147】
さらに、上記した図5および図9の説明では、CO2側絞り部35およびCO2供給チャンバ部36を、CO2供給管11において、それぞれ、複数設けているが、その数は特に限定されず、例えば、図10に示すように、CO2供給管11において、それぞれ、1つ設けることもできる。
【0148】
図5、図9および図10のうち、好ましくは、図5および図9に示すように、CO2側絞り部35およびCO2供給チャンバ部36を、CO2供給管11において、それぞれ、複数設ける。
【0149】
これにより、各CO2供給管11において、CO2絞り部35から供給され、CO2供給チャンバ部36で断熱膨張させて発生させる粉状ドライアイスの供給量を、CO2絞り部35およびCO2供給チャンバ部36の数を調整することにより、噴射部26に供給されるキャリアガスの供給量に応じて、調整することができる。
【0150】
そのため、粉状ドライアイスをより一層効率よく噴射することができる。
【0151】
また、図2の仮想線で示すように、さらに、加熱手段としてのヒータ41を、噴射部26におけるCO2供給管11の接続部に設けることもできる。
【0152】
キャリアガスが、液体CO2の断熱膨張に伴って低温となった粉状ドライアイスによって過度に冷却されると、収縮により速度が低下し、粉状ドライアイスを十分に加速することができない場合がある。
【0153】
しかし、このノズル装置2によれば、ヒータ41によって、上記したキャリアガスの収縮を防止しながら、粉状ドライアイスを噴射部26から効率よく加速することができる。
【0154】
また、このノズル装置2では、ヒータ41によって、CO2供給管11における粉状ドライアイスを加熱することができる。そのため、上記した粉状ドライアイスによる目詰まりを解消でき、粉状ドライアイスを噴射部26からより一層効率よく噴射することができる。
【0155】
なお、ヒータ41は、噴射部26におけるCO2供給管11の接続部の近傍、具体的には、接続部の第1流れ方向下流側部分に設けることもできる。
【0156】
また、上記した図3の説明では、噴射部26を第1ストレート部27および第2拡大部28から形成しているが、例えば、図11に示すように、第1ストレート部27のみから形成することもできる。
【0157】
なお、図示しないが、本発明の効果を阻害しない範囲で、噴射部26を第1ストレート部27および第3縮小部から形成することもできる。
【0158】
第3縮小部は、第1ストレート部27の第1流れ方向下流側端縁に連続して接続され、開口断面積が第1流れ方向下流側に向かって次第に小さくなる開口断面略矩形状に形成されている。具体的には、第3縮小部において、第1壁29の対向方向(上下方向)の距離Dを一定に維持しつつ、第2壁30の内面は、第1流れ方向下流側に向かって、互いに次第に近接する平面視テーパ形状に形成されている。
【0159】
好ましくは、図3に示すように、噴射部26を第1ストレート部27および第2拡大部28から形成するか、あるいは、図11に示すように、第1ストレート部27のみから形成する。
【0160】
さらに好ましくは、図3に示すように、噴射部26を第1ストレート部27および第2拡大部28から形成する。
【0161】
図3のノズル装置2では、粉状ドライアイスは、第2拡大部28の噴射口から噴射対象物9の表面に向かって、左右方向に拡散して噴射されるので、大きな噴射面積を確保することができる。そのため、効率のよい粉状ドライアイスの噴射作業を実施することができる。
【0162】
また、図2の説明では、側面視において、噴射部26を直線状に形成しているが、例えば、図12に示すように、上下方向一方(下側)に湾曲する湾曲状に形成することもできる。
【0163】
図12において、噴射部26は、前側に向かうに従って下方に湾曲するように形成されている。噴射部26を、例えば、可撓性材料から形成することもできる。
【0164】
このように噴射部26を湾曲状に形成すれば、噴射部26の前後方向長さが短くなるので、噴射対象物9が、狭いスペースに配置されている場合に、噴射部26を上記した狭いスペースに差し込んで、粉状ドライアイスの噴射作業を確実に実施することができる。
【0165】
そして、上記した図1に示す噴射装置1によれば、キャリアガスが、コンプレッサ3からキャリアガスライン4を介してキャリアガス供給管10に供給される。また、液体CO2が、液体CO2ボンベ6からCO2ライン7を介してCO2供給管11に供給されて、CO2供給管11において粉状ドライアイスが生成されてキャリアガス供給管10に供給される。そのため、ノズル装置2において、キャリアガスによって、粉状ドライアイスを粉状に維持して、噴射部26の噴射口から効率よく噴射することができる。
【0166】
また、キャリア側フィルタ5によって、コンプレッサ3からキャリアガスライン4を介してキャリアガス供給管10に供給されるキャリアガスに混入する異物を除去することができる。さらに、CO2側フィルタ8によって、液体CO2ボンベ6からCO2ライン7を介してCO2供給管11に供給される液体CO2に混入する異物を除去することができる。
【0167】
そのため、クリーンな粉状ドライアイスを、クリーンなキャリアガスとともに噴射することができる。
【0168】
このような噴射装置1およびノズル装置2は、例えば、粉状ドライアイスの噴射によって、噴射対象物9を洗浄する洗浄装置および洗浄ノズルとして用いることができる。噴射対象物9である洗浄対象物9としては、例えば、半導体デバイス、精密金型などが挙げられる。
【0169】
このような洗浄装置および洗浄ノズルでは、粉状ドライアイスを効率よく洗浄対象物9に噴射して、優れた洗浄力を確保しながら、洗浄後、洗浄対象物9の表面に、粉状ドライアイスが残存しても、粉状ドライアイスが揮発し易く、そのため、洗浄対象物9の表面をクリーンな状態に維持することができる。
【0170】
また、上記した噴射装置1およびノズル装置2は、例えば、粉状ドライアイスの噴射によって、噴射対象物9をブラスト加工するブラスト加工装置およびブラスト加工ノズルとして用いることもできる。噴射対象物9であるブラスト加工対象物9としては、例えば、ガラス板などが挙げられる。
【符号の説明】
【0171】
1 噴射装置
2 ノズル装置
3 コンプレッサ
4 キャリアガスライン
5 キャリア側フィルタ
6 液体CO2ボンベ
7 CO2ライン
8 CO2側フィルタ
10 キャリアガス供給管
11 CO2供給管
23 キャリア側導入部
24 キャリア側絞り部
25 第1拡大部
26 噴射部
27 第1ストレート部
29 第1壁
30 第2壁
34 CO2側導入部
35 CO2側絞り部
36 CO2供給チャンバ部
41 ヒータ
D 第1壁間の対向方向長さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル装置および噴射装置、詳しくは、粉状ドライアイスを噴射するノズル装置および噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉状(スノー状)ドライアイスを噴射して、対象物の表面を洗浄またはブラスト加工するための装置が知られている。
【0003】
例えば、スロート(中細部)を備えるラバルノズルからなる噴射ノズルと、噴射ノズルの噴流方向上流側に接続されるY字状のパイプとを備える装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の装置では、圧縮空気が、パイプの噴流方向上流側一端部(噴射路)から供給される一方、粉状ドライアイス(ドライアイス粒子)がパイプの噴流方向上流側他端部(膨張空間)から供給されている。そして、膨張空間において、噴射路との分岐(交差)点から、粉状ドライアイスが圧縮空気によって吸い出され、それらがともに、噴射ノズル内を通過した後、噴射ノズルの噴射口(噴流方向下流側端部)から噴射される。
【0005】
また、膨張空間の噴流方向上流側には、それより縮径された供給路が接続されており、液体CO2を、供給路から膨張空間に流入させて断熱膨張させ、粉状ドライアイスを生成させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−505772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるに、特許文献1に記載の装置では、膨張空間が、噴射ノズルの噴流方向上流側に設けられており、かかる膨張空間に連通する噴射路は圧縮空気によって高圧となっている。そのため、液体CO2の膨張効率が低下して、粉状ドライアイスの生成効率が低下する。その結果、粉状ドライアイスを効率よく噴射できないという不具合がある。
【0008】
本発明の目的は、粉状ドライアイスを効率よく発生させて、優れた噴射効率を確保することのできる、ノズル装置および噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、キャリアガスを供給するキャリアガス供給管と、粉状ドライアイスを供給するために前記キャリアガス供給管に接続されるCO2供給管とを備えるノズル装置であって、前記キャリアガス供給管は、前記キャリアガスが導入されるキャリア側導入部と、前記キャリア側導入部における前記キャリアガスの流れ方向である第1流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、前記キャリア側導入部の開口断面積より小さいキャリア側絞り部と、前記キャリア側絞り部の前記第1流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、前記キャリア側絞り部から前記第1流れ方向下流側に向かって次第に大きくなる拡大部と、前記拡大部の前記第1流れ方向下流側に接続される噴射部であって、開口断面積が、前記第1流れ方向において略同一である同一開口部を含む前記噴射部とを備え、前記CO2供給管は、前記噴射部に接続されていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、キャリアガス供給管では、キャリアガスが、キャリア側導入部に導入された後、キャリア側絞り部において、加速され、次いで、拡大部でさらに加速されながら、その後、同一開口部を含む噴射部を高速で通過する。
【0011】
そして、噴射部に、CO2供給管から粉状ドライアイスが供給されるので、高速のキャリアガスによって、ドライアイスを粉状に維持しながら、噴射部から効率よく噴射することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記CO2供給管は、液体CO2が導入されるCO2側導入部と、前記CO2側導入部におけるCO2の流れ方向である第2流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、前記CO2側導入部の開口断面積より小さいCO2側絞り部と、前記CO2側絞り部の前記第2流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、前記CO2側絞り部の断面積より大きく形成されており、前記CO2側絞り部から供給される前記液体CO2から前記粉状ドライアイスを生成して、前記粉状ドライアイスを前記噴射部に供給するCO2供給チャンバ部とを備えていることが好適である。
【0013】
この構成によれば、ノズル装置のCO2供給管では、液体CO2が、CO2側導入部に導入された後、CO2側絞り部において、減圧され、その後、CO2供給チャンバ部において、断熱膨張する。
【0014】
そのため、CO2供給チャンバ部において、液体CO2から粉状ドライアイスを効率よく生成し、そのまま噴射部に供給することができる。
【0015】
その結果、粉状ドライアイスを噴射部からより一層効率よく噴射することができる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記キャリアガス供給管は、互いに間隔を隔てて対向配置される2つの第1壁と、前記第1壁の対向方向と前記第1流れ方向との両方向に直交する直交方向において、前記第1壁の両端部を連結する2つの第2壁とを備え、前記第1壁間の対向方向長さが、一定であることが好適である。
【0017】
この構成によれば、第1流れ方向において、第1壁間の対向方向長さを一定にしながら、第1壁の直交方向長さのみ、つまり、第2壁間の対向方向長さのみを変化させることによって、キャリア側導入部、キャリア側絞り部、拡大部および噴射部を備えるキャリアガス供給管を構成することができる。
【0018】
そのため、キャリアガス供給管を簡易かつ低コストで形成しながら、粉状ドライアイスを効率よく噴射することができる。
【0019】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記CO2供給管が、前記噴射部の前記第1流れ方向上流側端部またはその近傍に接続されていることが好適である。
【0020】
この構成によれば、拡大部においてキャリアガスが加速され、続いて、噴射部の第1流れ方向上流側端部またはその近傍において、最も加速された高速のキャリアガスに、粉状ドライアイスを乗せて加速させることができる。
【0021】
さらに、粉状ドライアイスを、噴射部の第1流れ方向上流側端部またはその近傍から第1流れ方向下流側端部にわたって十分な距離を確保しながら、高速のキャリアガスに乗せて十分に加速させることができる。
【0022】
そのため、粉状ドライアイスを噴射部から高速で噴射することができる。
【0023】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記CO2側絞り部および前記CO2供給チャンバ部が、前記CO2供給管において、それぞれ、複数設けられていることが好適である。
【0024】
この構成によれば、各CO2供給管において、CO2側絞り部から供給され、CO2供給チャンバで断熱膨張させて発生させる粉状ドライアイスの供給量を、噴射部に供給されるキャリアガスの供給量に応じて、調整することができる。
【0025】
そのため、粉状ドライアイスをより一層効率よく噴射することができる。
【0026】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、さらに、前記噴射部における前記CO2供給管の接続部またはその近傍に加熱手段が設けられていることが好適である。
【0027】
キャリアガスが、液体CO2の断熱膨張に伴って低温となった粉状ドライアイスによって過度に冷却されると、収縮により速度が低下し、粉状ドライアイスを十分に加速することができない場合がある。
【0028】
しかし、この構成によれば、加熱手段によって、噴射部におけるCO2供給管の接続部またはその近傍を通過するキャリアガスを加熱できるので、上記したキャリアガスの収縮を防止しながら、粉状ドライアイスを噴射部から効率よく加速することができる。
【0029】
また、CO2供給管において、粉状ドライアイスによる目詰まりが発生する場合がある。
【0030】
しかし、このノズル装置では、加熱手段によって、上記した粉状ドライアイスによる目詰まりを解消でき、粉状ドライアイスを噴射部からより一層効率よく噴射することができる。
【0031】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載のノズル装置と、前記キャリアガスを発生させるキャリアガス発生手段と、前記キャリアガス発生手段と前記キャリアガス供給管とを接続するキャリアガスラインと、前記キャリアガスラインに設けられるキャリア側フィルタと、液体CO2を貯蔵する液体CO2貯蔵手段と、前記液体CO2貯蔵手段と前記CO2供給管とを接続するCO2ラインと、前記CO2ラインに設けられるCO2側フィルタとを備えることを特徴としている。
【0032】
この構成によれば、キャリアガスが、キャリアガス発生手段からキャリアガスラインを介してキャリアガス供給管に供給される。また、液体CO2が、液体CO2貯蔵手段からCO2ラインを介してCO2供給管に供給されて、CO2供給管において粉状ドライアイスが生成されてキャリアガス供給管の噴射部に供給される。そのため、ノズル装置において、キャリアガスによって、粉状ドライアイスを粉状に維持して、噴射部から効率よく噴射することができる。
【0033】
また、キャリア側フィルタによって、キャリアガス発生手段からキャリアガスラインを介してCO2供給管に供給されるキャリアガスに混入する異物を除去することができる。さらに、CO2側フィルタによって、液体CO2貯蔵手段からCO2ラインを介してCO2供給管に供給される液体CO2に混入する異物を除去することができる。
【0034】
そのため、クリーンな粉状ドライアイスを、クリーンなキャリアガスとともに噴射することができる。
【発明の効果】
【0035】
請求項1に記載の発明によれば、高速のキャリアガスによって、ドライアイスを粉状に維持しながら、噴射部から効率よく噴射することができる。
【0036】
また、請求項2に記載の発明によれば、粉状ドライアイスを噴射部からより一層効率よく噴射することができる。
【0037】
また、請求項3に記載の発明によれば、キャリアガス供給管を簡易かつ低コストで形成しながら、粉状ドライアイスを効率よく噴射することができる。
【0038】
また、請求項4に記載の発明によれば、粉状ドライアイスを噴射部から高速で噴射することができる。
【0039】
また、請求項5に記載の発明によれば、粉状ドライアイスをより一層効率よく噴射することができる。
【0040】
また、請求項6に記載の発明によれば、キャリアガスの収縮を防止しながら、粉状ドライアイスを噴射部から効率よく加速することができる。
【0041】
また、請求項7に記載の発明によれば、ノズル装置において、キャリアガスによって、粉状ドライアイスを粉状に維持して、噴射部から効率よく噴射することができる。また、クリーンな粉状ドライアイスを、クリーンなキャリアガスとともに噴射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明の噴射装置の一実施形態の概略図を示す。
【図2】図2は、図1に示す噴射装置の、本発明のノズル装置の一実施形態の側断面図を示す。
【図3】図3は、図2に示すノズル装置の平断面図を示す。
【図4】図4は、図3に示すノズル装置の正断面図であって、(a)は、A−A線に沿う断面図、(b)は、B−B線に沿う断面図、(c)は、C−C線に沿う断面図、(d)は、D−D線に沿う断面図、(e)は、E−E線に沿う断面図を示す。
【図5】図5は、図2に示すノズル装置のCO2供給管の拡大正面図を示す。
【図6】図6は、図5に示すCO2供給管の拡大平断面図を示す。
【図7】図7は、本発明のノズル装置の他の実施形態(キャリアガス供給管が略円筒である態様)の、図4に対応する正断面図であって、(a)は、図3のA−A線に沿う断面図、(b)は、図3のB−B線に沿う断面図、(c)は、図3のC−C線に沿う断面図、(d)は、図3のD−D線に沿う断面図、(e)は、図3のE−E線に沿う断面図を示す。
【図8】図8は、本発明のノズル装置の他の実施形態(実線:CO2供給管が第2拡大部の第1流れ方向上流側端部に接続される態様、破線:CO2供給管が第1ストレート部の第1流れ方向中央に接続される態様、および、1点鎖線:CO2供給管が第1ストレート部の第1流れ方向下流側端部に接続される態様)の拡大平面図を示す。
【図9】図9は、本発明のノズル装置の他の実施形態のCO2供給管(複数のCO2側絞り部およびCO2供給チャンバ部がそれぞれ左右方向および上下方向に整列配置される態様)の拡大正面図を示す。
【図10】図10は、本発明のノズル装置の他の実施形態のCO2供給管(CO2側絞り部およびCO2供給チャンバ部がそれぞれ1つ設けられる態様)の拡大正面図を示す。
【図11】図11は、本発明のノズル装置の他の実施形態(噴射部が第1ストレート部からなる態様)の平断面図を示す。
【図12】図12は、本発明のノズル装置の他の実施形態(噴射部が湾曲する態様)の正断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、本発明の噴射装置の一実施形態の概略図、図2は、図1に示す噴射装置の、本発明のノズル装置の一実施形態の側断面図、図3は、図2に示すノズル装置の平断面図、図4は、図3に示すノズル装置の正断面図、図5は、図2に示すノズル装置のCO2供給管の拡大正面図、図6は、図5に示すCO2供給管の拡大平断面図を示す。
【0044】
なお、図2において、紙面右側を「前側」、紙面左側を「後側」、紙面手前側を「左側」、紙面奥側を「右側」、紙面上側を「上側」、紙面下側を「下側」とする。また、図2以外の各図面の方向について、上記した図2の方向に準じる。
【0045】
図1において、この噴射装置1は、粉状ドライアイスを、噴射対象物9の表面にキャリアガスとともに噴射する装置である。噴射装置1は、ノズル装置2と、キャリアガス発生手段としてのコンプレッサ3と、キャリアガスライン4と、キャリア側フィルタ5と、CO2貯蔵手段としての液体CO2ボンベ6と、CO2ライン7と、CO2側フィルタ8とを備えている。
【0046】
ノズル装置2は、後で詳述するが、キャリアガス供給管10と、CO2供給管11とを備えている。
【0047】
コンプレッサ3は、キャリアガスを圧縮可能に構成されており、所定圧力のキャリアガスを発生させている。キャリアガスとしては、例えば、空気、例えば、窒素などの不活性ガスが挙げられる。
【0048】
また、コンプレッサ3は、噴射装置1の使用時には、駆動され、噴射装置1の未使用時に、駆動が停止される。
【0049】
キャリアガスライン4は、キャリアガスの流れ方向(以下、第1流れ方向という。)の上流側端部がコンプレッサ3に接続され、第1流れ方向下流側端部がキャリアガス供給管10に接続されている。これにより、キャリアガスライン4は、コンプレッサ3とキャリアガス供給管10とを接続している。
【0050】
また、キャリアガスライン4の第1流れ方向途中には、第1キャリア開閉弁12と、キャリア減圧弁(レギュレータ)13と、キャリア逆止弁(チェック弁)14と、キャリア側フィルタ5(後述)と、キャリア圧力計16とが、第1流れ方向上流側から下流側に向かって、順次介装されている。
【0051】
このキャリアガスライン4では、第1キャリア開閉弁12およびキャリア減圧弁13が、噴射装置1の使用時に開状態とされ、噴射装置1の未使用時に閉状態とされる。
【0052】
キャリア側フィルタ5は、例えば、多孔質材料からなり、その孔径は、例えば、1μm以下、好ましくは、0.01〜1μmである。キャリア側フィルタ5は、キャリアガスライン4を通過するキャリアガス中に含まれる異物を除去する。
【0053】
液体CO2ボンベ6は、液体CO2を貯蔵している。
【0054】
CO2ライン7は、CO2(液体CO2および粉状ドライアイスを含むCO2)の流れ方向(以下、第2流れ方向という。)の上流側端部が液体CO2ボンベ6に接続され、第2流れ方向下流側端部がCO2供給管11に接続されている。これにより、CO2ライン7は、液体CO2ボンベ6とCO2供給管11とを接続している。
【0055】
また、CO2ライン7の第2流れ方向途中には、CO2減圧弁(レギュレータ)17と、第1CO2開閉弁18と、CO2逆止弁(チェック弁)19と、リリーフ弁20と、CO2側フィルタ8と、CO2圧力計22とが、第2流れ方向上流側から下流側に向かって、順次介装されている。
【0056】
なお、CO2ライン7は、CO2圧力計22の第2流れ方向下流側において、2本に分岐し、分岐後の各第2流れ方向下流側端部が、CO2供給管11に接続されている。
【0057】
CO2ライン7では、CO2減圧弁17および第1CO2開閉弁18が、噴射装置1の使用時に開状態とされ、噴射装置1の未使用時に閉状態とされる。
【0058】
CO2側フィルタ8は、例えば、多孔質材料からなり、その孔径は、例えば、1μm以下、好ましくは、0.01〜1μmである。CO2側フィルタ8は、CO2ライン7を通過するCO2中に含まれる異物を除去する。
【0059】
そして、図2に示すように、ノズル装置2は、ガン形状(側面視略L字状)をなし、例えば、鉄、ステンレスなどの金属、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)などの樹脂などの材料から形成されている。
【0060】
キャリアガス供給管10は、ノズル装置2内にキャリアガスを供給するために設けられており、図2および図3に示すように、キャリア側導入部23と、キャリア側絞り部24と、拡大部としての第2拡大部25と、噴射部26とを備えている。また、キャリアガス供給管10は、上下方向に互いに間隔を隔てて対向配置される2つの第1壁29と、第1壁29の左右方向両端部を連結する2つの第2壁30とを備えている。
【0061】
第1壁29および第2壁30は、上記したキャリア側導入部23(後述する屈曲部31の第1流れ方向上流側のキャリア側導入部23を除く)と、キャリア側絞り部24と、第2拡大部25と、噴射部26とに連続的に設けられている。第1壁29は、左右方向および前後方向に沿う平板状に形成されている。
【0062】
キャリア側導入部23は、キャリアガス供給管10の第1流れ方向上流側端部に設けられている。また、キャリア側導入部23の第1流れ方向上流側端部は、キャリアガスライン4に接続されている。
【0063】
また、キャリア側導入部23は、側面視略L字状に形成され、ノズル装置2の後端部において、第1流れ方向上流側端部から上方に向かって延び、その後、屈曲部31において、前側に屈曲している。
【0064】
また、屈曲部31より第1流れ方向上流側のキャリア側導入部23は、上下方向に延び、前後方向および左右方向における開口断面が、略円形状または略楕円形状に形成されている。
【0065】
一方、図4(a)に示すように、屈曲部31より第1流れ方向下流側のキャリア側導入部23は、前後方向に延びる略直管であり、略角管に形成されている。つまり、屈曲部31より第1流れ方向下流側のキャリア側導入部23は、開口断面(左右方向および上下方向に沿って切断された開口断面、つまり、正面開口断面、以下キャリアガス供給管10において単に開口断面という。)が、左右方向に長い略矩形状に形成されており、その開口断面積が、図2および図3に示すように、第1流れ方向において同一である。
【0066】
詳しくは、屈曲部31より第1流れ方向下流側のキャリア側導入部23では、第1壁29間の対向方向長さD、および、第2壁30間の対向方向長さW1(図4(a)参照)は、第1流れ方向においてともに一定である。
【0067】
なお、キャリア側導入部23の第1流れ方向上流側端部には、図示しない第2キャリアガス開閉弁が設けられている。図示しない第2キャリアガス開閉弁は、ノズル装置2に設けられるスイッチ39と電気的またはニューマチック的に接続されている。
【0068】
キャリア側絞り部24は、キャリア側導入部23の第1流れ方向下流側に接続されており、第1縮小部32と、第1縮小部32の第1流れ方向下流側に接続されるスロート部33とを備えている。
【0069】
第1縮小部32は、キャリア側導入部23の第1流れ方向下流側端縁に連続して接続されており、開口断面略矩形状に形成され、その開口断面積が、キャリア側導入部23の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に小さくなるように形成されている。具体的には、第1縮小部32において、第1壁29の対向方向(上下方向)の距離Dを一定に維持しつつ、第2壁30の内面は、第1流れ方向下流側に向かって、互いに次第に近接する平面視テーパ形状に形成されている。
【0070】
詳しくは、第1縮小部32における第1壁29間の対向方向長さDは、キャリア側導入部23の第1壁29間の対向方向長さD(図4(a)参照)と同一であり、かつ、第1流れ方向において一定である。一方、第1縮小部32における第2壁30間の対向方向長さW1’は、キャリア側導入部23の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に短くなる。
【0071】
スロート部33は、前後方向に延びる略直管であり、略角管に形成にされており、第1縮小部32の第1流れ方向下流側端縁に連続して接続されている。
【0072】
また、スロート部33は、図4(b)に示すように、開口断面略矩形状に形成されており、その開口断面積は、キャリア側導入部23の開口断面積より小さく形成されている。
【0073】
詳しくは、図2および図3に示すように、スロート部33における第1壁29間の対向方向長さD(図4(b)参照)は、第1縮小部32における第1壁29間の対向方向長さD(図4(a)参照)と同一であり、かつ、第1流れ方向において一定である。一方、スロート部33における第2壁30間の対向方向長さW2(図4(b)参照)は、キャリア側導入部23における第2壁30間の対向方向長さW1(図4(a)参照)より小さく、かつ、第1流れ方向において一定である。
【0074】
第1拡大部25は、キャリア側絞り部24の第1流れ方向下流側に接続されている。具体的には、第1拡大部25は、スロート部33の第1流れ方向下流側端縁に連続して接続されている。
【0075】
また、第1拡大部25の開口断面は、図4(c)に示すように、左右方向に長い略矩形状に形成されている。また、第1拡大部25の開口断面積は、図2および図3に示すように、スロート部33の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に大きくなるように形成されている。具体的には、第1拡大部25において、第1壁29の対向方向(上下方向)の距離Dを一定に維持しつつ、第2壁30の内面は、第1流れ方向下流側に向かって、互いに次第に離間する平面視テーパ形状に形成されている。
【0076】
詳しくは、第1拡大部25における第1壁29間の対向方向長さD(図4(c)参照)は、スロート部33における第1壁29間の対向方向長さD(図4(b)参照)と同一であり、かつ、第1流れ方向において一定である。一方、第1拡大部25における第2壁30間の対向方向長さW3(図4(c)参照)は、スロート部33の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に長くなる。
【0077】
噴射部26は、第1拡大部25の第1流れ方向下流側に接続されている。また、噴射部26は、同一開口部としての第1ストレート部27と、第1ストレート部27の第1流れ方向下流側に設けられる第2拡大部28とを備えている。
【0078】
第1ストレート部27は、前後方向に延びる略直管であり、略角管に形成にされており、第1拡大部25の第1流れ方向下流側端縁に連続して接続されている。また、第1ストレート部27の開口断面は、図4(d)に示すように、左右方向に長い略矩形状に形成されている。また、図2および図3に示すように、第1ストレート部27の開口断面積は、スロート部33の開口断面積より大きく、かつ、第1流れ方向において略同一に形成されている。
【0079】
詳しくは、第1ストレート部27における第1壁29間の対向方向長さD(図4(d)参照)は、第1拡大部25における第1壁29間の対向方向長さD(図4(c)参照)と同一であり、かつ、第1流れ方向において一定である。一方、第1ストレート部27における第2壁30間の対向方向長さW4(図4(d)参照)は、スロート部33における第2壁30間の対向方向長さW2(図4(b)参照)より長く、かつ、第1流れ方向において一定である。
【0080】
第2拡大部28は、第1ストレート部27の第1流れ方向上流側端縁に連続して接続されている。
【0081】
また、図4(e)に示すように、第2拡大部28の開口断面は、左右方向に長い略矩形状に形成されている。また、第2拡大部28は、図2および図3に示すように、第1ストレート部27の開口断面積が、第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に、左右方向に大きくなるように形成されている。具体的には、第2拡大部28において、第1壁29の対向方向(上下方向)の距離Dを一定に維持しつつ、第2壁30の内面は、第1流れ方向下流側に向かって、互いに次第に離間する平面視テーパ形状に形成されている。
【0082】
詳しくは、第2拡大部28における第1壁29間の対向方向長さD(図4(e)参照)は、第1ストレート部27における第1壁29間の対向方向長さD(図4(d)参照)と同一であり、かつ、第1流れ方向において一定である。一方、第2拡大部28における第2壁30間の対向方向長さW5(図4(e)参照)は、第1ストレート部27の下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に長くなる。
【0083】
また、キャリアガス供給管10では、第2キャリアガス開閉弁(図示せず)が、ノズル装置2の使用時(つまり、粉状ドライアイスの噴射時)には、スイッチ39のオンによって開状態とされ、ノズル装置2の未使用時には、スイッチ39のオフによって開状態とされる。
【0084】
CO2供給管11は、キャリアガス供給管10に粉状ドライアイスを供給するために、キャリアガス供給管10の噴射部26の第1ストレート部27に接続されている。また、各CO2供給管11は、第1ストレート部27において、第1流れ方向で(つまり、左右方向に投影したときに)同一位置に設けられ、左右方向に互いに間隔を隔てて対向配置されている。
【0085】
また、CO2供給管11は、CO2供給管11における第2流れ方向と、第1ストレート部27における第1流れ方向とが直交(交差)するように、第1ストレート部27の2つの第2壁30に、連続して形成されている。より具体的には、各CO2供給管11は、左右方向に沿って延びるように設けられている。
【0086】
CO2供給管11は、図5および図6に示すように、CO2側導入部34と、CO2側絞り部35と、CO2供給チャンバ部36とを備えている。
【0087】
CO2側導入部34は、図3に示すように、CO2ライン7の第2流れ方向下流側端部にそれぞれ接続されており、各CO2側導入部34は、外側導入部37と、外側導入部37の第2流れ方向下流側に接続される内側導入部38とを備えている。
【0088】
外側導入部37は、平面視略L字パイプ状をなし、CO2ライン7の各第1流れ方向下流側端部に対応して、2つ設けられている。
【0089】
なお、外側導入部37の第2流れ方向上流側端部には、図示しない第2CO2開閉弁がそれぞれ設けられている。図示しない各第2CO2開閉弁は、スイッチ39(図2)と電気的またはニューマチック的に接続されている。
【0090】
内側導入部38は、左右方向に延びる略直管であり、開口断面(前後方向および上下方向に沿って切断された開口断面、つまり、側面開口断面、CO2供給管11において単に開口断面という。)が、略円形状に形成されており、各外側導入部37の第2流れ方向下流側端部から第2流れ方向下流側に、3本に分岐するように設けられている。各内側導入部38は、図5および図6に示すように、前後方向に間隔を隔てて整列配置されている。
【0091】
各内側導入部38の開口断面積は、第2流れ方向において一定である。また、内側導入部38の内径(最大長さ)D1は、例えば、1〜8mm、好ましくは、2〜5mmである。
【0092】
CO2側絞り部35は、各内側導入部38に対応して設けられ、具体的には、各CO2供給管11において複数(3つ)設けられている。また、CO2側絞り部35は、内側導入部38の第2流れ方向下流側に接続されている。また、各内側導入部38は、左右方向に延びており、第2縮小部42と、第2ストレート部43と、第3拡大部44とを一体的に備えている。
【0093】
第2縮小部42は、内側導入部38の第2流れ方向下流側端縁に連続して接続されており、開口断面略円形状に形成されている。また、第2縮小部42の開口断面積は、内側導入部38の第2流れ方向下流側端縁から第2流れ方向下流側に向かって次第に小さくなるように形成されている。つまり、第2縮小部42の内面は、第2流れ方向下流側に向かって、互いに近接するテーパ形状に形成されている。
【0094】
第2ストレート部43は、第2縮小部42の第2流れ方向下流側端縁に連続して接続されており、開口断面略円形状に形成されている。また、第2ストレート部43の開口断面積は、内側導入部38の開口断面積より小さく形成されており、第2流れ方向において一定である。
【0095】
具体的には、各第2ストレート部43の内径(最小長さ)D2は、例えば、0.3〜1.5mm、好ましくは、0.3〜0.8mmである。
【0096】
第3拡大部44は、第2ストレート部43の第2流れ方向下流側端縁に連続して接続されており、開口断面略円形状に形成されている。また、第3拡大部44の開口断面積は、第2ストレート部43の第2流れ方向下流側端縁から第2流れ方向下流側に向かって次第に大きくなるように形成されている。つまり、第3拡大部44の内面は、第2流れ方向下流側に向かって、互いに離間するテーパ形状に形成されている。
【0097】
CO2供給チャンバ部36は、各CO2側絞り部35に対応して設けられ、具体的には、各CO2供給管11において複数(3つ)設けられている。また、CO2供給チャンバ部36は、第3拡大部44の第2流れ方向下流側に接続されている。また、CO2供給チャンバ部36は、左右方向に延びる略直管であり、開口断面円形状に形成されている。
【0098】
また、CO2供給チャンバ部36の第2方向下流側端部は、第1ストレート部27内に臨んでいる。つまり、CO2供給チャンバ部36は、第1ストレート部27の第1流れ方向上流側端部に連続するように接続されている。
【0099】
また、CO2供給チャンバ部36の開口断面積は、第2流れ方向において一定であり、第2ストレート部43の開口断面積より大きく、例えば、内側導入部38の開口断面積と同一である。また、CO2供給チャンバ部36の内径(最大長さ)D3は、内側導入部38の内径D1と同一である。
【0100】
CO2供給管11では、第2CO2開閉弁(図示せず)が、ノズル装置2の使用時(つまり、粉状ドライアイスの噴射時)には、スイッチ39のオンによって開状態とされ、ノズル装置2の未使用時には、スイッチ39のオフによって閉状態とされる。
【0101】
次に、この噴射装置1を用いる粉状ドライアイスの噴射動作について、説明する。
【0102】
図1において、まず、この噴射装置1では、未使用時には、コンプレッサ3の駆動が停止され、キャリアガスライン4における第1キャリア開閉弁12およびキャリア減圧弁13と、CO2ライン7におけるCO2減圧弁17および第1CO2開閉弁18と、キャリアガス供給管10における第2キャリアガス開閉弁(図示せず)と、CO2供給管11における第2CO2開閉弁(図示せず)とが、閉状態とされている。
【0103】
そして、この噴射装置1を使用するには、まず、コンプレッサ3の駆動を開始するとともに、第1キャリア開閉弁12およびキャリア減圧弁13を順次開状態にするとともに、CO2減圧弁17および第1CO2開閉弁18を順次開状態にする。
【0104】
これにより、コンプレッサ3の駆動の開始によって発生されるキャリアガスが、キャリアガスライン4を通過する。具体的には、キャリアガスライン4において、第1キャリア開閉弁12を通過し、キャリア減圧弁13により所定の圧力に調整されたキャリアガスが、キャリアガスライン4内を流れる。また、キャリアガスは、キャリア逆止弁14において逆流が防止されながら、キャリア側フィルタ5によってキャリアガス中に含まれる異物が除去されて、キャリア圧力計16によってキャリアガスライン4内におけるキャリアガスの圧力が測定されつつ、図示しない第2キャリアガス開閉弁に到達する。
【0105】
また、液体CO2ボンベ6に貯蔵され、CO2減圧弁17により所定の圧力に調整された液体CO2は、第1CO2開閉弁18を通過し、CO2逆止弁19において逆流が防止される。さらに、液体CO2は、CO2側フィルタ8によって液体CO2中に含まれる異物が除去されて、CO2圧力計22によってCO2ライン7内の液体CO2の圧力が測定されつつ、図示しない第2CO2開閉弁に到達する。なお、CO2ライン7において、CO2の圧力が異常に上昇した場合には、CO2(液体CO2および気体CO2を含む)がリリーフ弁20から大気開放される。
【0106】
続いて、ノズル装置2を使用、つまり、粉状ドライアイスを噴射するには、図2に示すスイッチ39のオンによって、図示しない第2キャリアガス開閉弁および第2CO2開閉弁を開状態とする。
【0107】
これにより、キャリアガスがキャリアガス供給管10に供給されるとともに、液体CO2がCO2供給管11に供給される。
【0108】
キャリアガス供給管10におけるキャリアガスの供給量は、例えば、50〜5000L/分、好ましくは、500〜2000L/分である。
【0109】
また、CO2供給管11における液体CO2の供給量は、キャリアガスの供給量に対して、例えば、1〜500%、好ましくは、1〜20%であり、具体的には、0.001〜42L/分、好ましくは、0.01〜17L/分である。
【0110】
すなわち、図2および図3において、キャリアガスは、キャリアガス供給管10におけるキャリア側導入部23と、キャリア側絞り部24と、第2拡大部25と、噴射部26とを順次通過する。具体的には、キャリアガスは、キャリア側導入部23に導入され、その後、キャリア側絞り部24において、音速程度(具体的には、300〜340m/秒)まで加速され、次いで、第1拡大部25で超音速程度(具体的には、400〜850m/秒)までさらに加速されながら、減圧され、その後、噴射部26を、高速(超音速状態)で通過する。そして、キャリアガスは、第2拡大部28の第1流れ方向下流側端縁(噴射口)から、左右方向に拡散されながら、噴射される。
【0111】
なお、第1ストレート部27の第1流れ方向上流側端部におけるキャリアガスの速度は、キャリアガスが第1拡大部25の第1流れ方向上流側端部から第1流れ方向下流側端部にわたって継続して加速されるので、最高の速度(上記した超音速程度)となっている。
【0112】
また、第1ストレート部27の上流側端部におけるキャリアガスの圧力は、キャリアガスが第1拡大部25の第1流れ方向上流側端部から第1流れ方向下流側端部にわたって継続して減圧されるので、第1拡大部25におけるキャリアガスの圧力よりも低くなっている。具体的には、第1ストレート部27の上流側端部におけるキャリアガスの圧力は、例えば、0.1〜0.15MPaである。
【0113】
一方、液体CO2は、図6が参照されるように、CO2側導入部34の外側導入部37に導入され、内側導入部38で分岐された後、CO2側絞り部35において、加速されながら、減圧される。次いで、CO2側絞り部35から供給される液体CO2は、CO2供給チャンバ部36において、断熱膨張する。このCO2供給チャンバ部36において、液体CO2が断熱膨張することによって、粉状ドライアイスが生成される。
【0114】
粉状ドライアイスは、スノー状ドライアイスを含む概念のものであって、その平均粒子径は、例えば、0.1〜200μmである。
【0115】
そして、粉状ドライアイスは、CO2供給チャンバ部36から第1ストレート部27の上流側端部に供給されて、高速(超音速)のキャリアガスによって加速され、かつ、第1ストレート部27の第1流れ方向上流側端部から第1流れ方向下流側端部にわたって、十分に加速される。
【0116】
しかも、図3が参照されるように、第1ストレート部27の上流側端部を通過するキャリアガスは、第1拡大部25を通過するキャリアガスを通過するキャリアガスよりも、低圧である。そのため、第1ストレート部27の上流側端部に連通するCO2供給チャンバ部36において、粉状ドライアイスを効率よく発生させることができ、かかる粉状ドライアイスを、第1ストレート部27の第1流れ方向上流側端部に供給することができる。
【0117】
そして、粉状ドライアイスは、第2拡大部28の第1流れ方向下流側端縁(噴射口)から、左右方向に拡散されながら、キャリアガスとともに、噴射対象物9(図1)に向けて噴射される。
【0118】
その後、スイッチ39のオフによって、図示しない第2キャリアガス開閉弁および第2CO2開閉弁を閉状態として、粉状ドライアイスの噴射を停止させ、続いて、上記の逆の操作によって、噴射装置1の使用を停止させる。
【0119】
そして、上記したノズル装置2によれば、キャリアガス供給管10では、キャリアガスが、キャリア側導入部23に導入された後、キャリア側絞り部24において、加速され、次いで、第1拡大部25でさらに加速されながら、その後、第1ストレート部27を含む噴射部26を高速で通過する。
【0120】
そして、噴射部26の第1ストレート部27に、CO2供給管11から粉状ドライアイスが供給されるので、高速のキャリアガスによって、ドライアイスを粉状に維持しながら、噴射部26の噴射口から効率よく噴射することができる。
【0121】
また、上記したノズル装置2によれば、CO2供給管11では、液体CO2が、CO2側導入部34に導入された後、CO2側絞り部35において、減圧され、その後、CO2供給チャンバ部36において、断熱膨張する。
【0122】
そのため、CO2供給チャンバ部36において、液体CO2から粉状ドライアイスを効率よく生成し、そのまま噴射部26に供給することができる。
【0123】
その結果、粉状ドライアイスを噴射部26の噴射口からより一層効率よく噴射することができる。
【0124】
図7は、本発明のノズル装置の他の実施形態(キャリアガス供給管が略円筒である態様)の、図4に対応する正断面図、図8は、本発明のノズル装置の他の実施形態(実線:CO2供給管が第2拡大部の第1流れ方向上流側端部に接続される態様、破線:CO2供給管が第1ストレート部の第1流れ方向中央に接続される態様、および、1点鎖線:CO2供給管が第1ストレート部の第1流れ方向下流側端部に接続される態様)の拡大平面図、図9は、本発明のノズル装置の他の実施形態のCO2供給管(複数のCO2側絞り部およびCO2供給チャンバ部がそれぞれ左右方向および上下方向に整列配置される態様)の拡大正面図、図10は、本発明のノズル装置の他の実施形態のCO2供給管(CO2側絞り部およびCO2供給チャンバ部がそれぞれ1つ設けられる態様)の拡大正面図、図11は、本発明のノズル装置の他の実施形態(噴射部が第1ストレート部からなる態様)の平断面図、図12は、本発明のノズル装置の他の実施形態(噴射部が湾曲する態様)の正断面図を示す。
【0125】
なお、以降の各図面において、上記した各部に対応する部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0126】
上記した説明では、キャリアガス供給管10を、略角筒に形成しているが、例えば、図7に示すように、略円筒に形成することもできる。
【0127】
図7において、キャリアガス供給管10は、円管であり、正断面略円環の周壁40を備えている。
【0128】
屈曲部31より第1流れ方向下流側のキャリア側導入部23、キャリア側絞り部24、第1拡大部25および噴射部26は、開口断面略円形状に形成されている。
【0129】
具体的には、図3が参照されるように、屈曲部31より第1流れ方向下流側のキャリア側導入部23の周壁40の内径B1(図7(a))、スロート部33の周壁40の内径B2(図7(b))、および、第1ストレート部27の周壁40の内径B4(図7(d))は、それぞれ、第1流れ方向において一定である。
【0130】
一方、キャリア側絞り部24の第1縮小部32の周壁40の内径は、キャリア側導入部23の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に短くなる。
【0131】
また、第1拡大部25の周壁40の内径B3(図7(c))は、スロート部33の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に長くなる。
【0132】
また、第2拡大部28の周壁40の内径B5(図7(e))は、第1ストレート部27の第1流れ方向下流側端縁から第1流れ方向下流側に向かって次第に長くなる。
【0133】
図4および図7に示すキャリアガス供給管10のうち、好ましくは、図4に示すキャリアガス供給管10が用いられる。
【0134】
図4に示すキャリアガス供給管10であれば、第1流れ方向において、第1壁29間の対向方向長さDを一定にしながら、第1壁29の左右方向長さ(直交方向長さ)のみ、つまり、第2壁30間の対向方向長さ(W1〜W5)のみを変化させることによって、キャリア側導入部23、キャリア側絞り部24、第1拡大部25および噴射部26を備えるキャリアガス供給管10を構成することができる。
【0135】
そのため、キャリアガス供給管10を簡易かつ低コストで形成しながら、粉状ドライアイスを効率よく噴射することができる。
【0136】
なお、上記した図4の説明では、キャリアガス供給管10を、上記した形状のキャリア側導入部23、キャリア側絞り部24、第1拡大部25および噴射部26を備えるように構成しているが、例えば、ラバルノズルとして構成することもできる。
【0137】
また、上記した図3の説明では、CO2供給管11を、噴射部26の第1ストレート部27の第1流れ方向上流側端部に接続しているが、例えば、図示しないが、第1ストレート部27の上流側端部の近傍に接続することができる。
【0138】
なお、第1ストレート部27の上流側端部の近傍は、第1ストレート部27の前後方向長さに対して、第1ストレート部27の上流側端縁から第1流れ方向下流側10%以内(さらには、5%以内)の位置として定義される。
【0139】
あるいは、図8に示すように、CO2供給管11を、第1ストレート部27の第1流れ方向中央(破線)または第1流れ方向下流側端部(1点鎖線)に接続することができ、さらに、第2拡大部28の第1流れ方向上流側端部(実線)(またはその近傍)、さらには、図示しないが、第2拡大部28の第1流れ方向中央または第1流れ方向下流側端部に接続することもできる。
【0140】
なお、第2拡大部28の第1流れ方向上流側端部の近傍は、第2拡大部28の前後方向長さに対して、第2拡大部28の上流側端縁から第1流れ方向下流側10%以内(さらには、5%以内)の位置として定義される。
【0141】
好ましくは、図3に示すように、CO2供給管11を、噴射部26の第1ストレート部27の第1流れ方向上流側端部またはその近傍に接続する。
【0142】
このように、第1拡大部25においてキャリアガスが加速され、続いて、噴射部26の第1ストレート部27の第1流れ方向上流側端部またはその近傍において、最も加速された高速のキャリアガスに、粉状ドライアイスを乗せて加速させることができる。
【0143】
さらに、粉状ドライアイスを、噴射部26の第1流れ方向上流側端部またはその近傍から、第1流れ方向下流側端部にわたって、より具体的には、第1ストレート部27の第1流れ方向上流側端部またはその近傍から、第1ストレート部27の第1流れ方向下流側端部、さらには、第2拡大部28の第1流れ方向下流側端部にわたって十分な距離(加速距離)を確保しながら、高速のキャリアガスに乗せて十分に加速させることができる。
【0144】
そのため、粉状ドライアイスを噴射部26の噴射口から高速で噴射することができる。
【0145】
また、上記した図5の説明では、CO2側絞り部35およびCO2供給チャンバ部36を、それぞれ、前後方向に整列配置しているが、その配置は特に限定されず、例えば、図9に示すように、前後方向および上下方向の両方向に整列配置することもできる。
【0146】
図9において、各CO2側絞り部35および各CO2供給チャンバ部36は、前後方向および上下方向において、それぞれ、間隔を隔てて対向配置されている。
【0147】
さらに、上記した図5および図9の説明では、CO2側絞り部35およびCO2供給チャンバ部36を、CO2供給管11において、それぞれ、複数設けているが、その数は特に限定されず、例えば、図10に示すように、CO2供給管11において、それぞれ、1つ設けることもできる。
【0148】
図5、図9および図10のうち、好ましくは、図5および図9に示すように、CO2側絞り部35およびCO2供給チャンバ部36を、CO2供給管11において、それぞれ、複数設ける。
【0149】
これにより、各CO2供給管11において、CO2絞り部35から供給され、CO2供給チャンバ部36で断熱膨張させて発生させる粉状ドライアイスの供給量を、CO2絞り部35およびCO2供給チャンバ部36の数を調整することにより、噴射部26に供給されるキャリアガスの供給量に応じて、調整することができる。
【0150】
そのため、粉状ドライアイスをより一層効率よく噴射することができる。
【0151】
また、図2の仮想線で示すように、さらに、加熱手段としてのヒータ41を、噴射部26におけるCO2供給管11の接続部に設けることもできる。
【0152】
キャリアガスが、液体CO2の断熱膨張に伴って低温となった粉状ドライアイスによって過度に冷却されると、収縮により速度が低下し、粉状ドライアイスを十分に加速することができない場合がある。
【0153】
しかし、このノズル装置2によれば、ヒータ41によって、上記したキャリアガスの収縮を防止しながら、粉状ドライアイスを噴射部26から効率よく加速することができる。
【0154】
また、このノズル装置2では、ヒータ41によって、CO2供給管11における粉状ドライアイスを加熱することができる。そのため、上記した粉状ドライアイスによる目詰まりを解消でき、粉状ドライアイスを噴射部26からより一層効率よく噴射することができる。
【0155】
なお、ヒータ41は、噴射部26におけるCO2供給管11の接続部の近傍、具体的には、接続部の第1流れ方向下流側部分に設けることもできる。
【0156】
また、上記した図3の説明では、噴射部26を第1ストレート部27および第2拡大部28から形成しているが、例えば、図11に示すように、第1ストレート部27のみから形成することもできる。
【0157】
なお、図示しないが、本発明の効果を阻害しない範囲で、噴射部26を第1ストレート部27および第3縮小部から形成することもできる。
【0158】
第3縮小部は、第1ストレート部27の第1流れ方向下流側端縁に連続して接続され、開口断面積が第1流れ方向下流側に向かって次第に小さくなる開口断面略矩形状に形成されている。具体的には、第3縮小部において、第1壁29の対向方向(上下方向)の距離Dを一定に維持しつつ、第2壁30の内面は、第1流れ方向下流側に向かって、互いに次第に近接する平面視テーパ形状に形成されている。
【0159】
好ましくは、図3に示すように、噴射部26を第1ストレート部27および第2拡大部28から形成するか、あるいは、図11に示すように、第1ストレート部27のみから形成する。
【0160】
さらに好ましくは、図3に示すように、噴射部26を第1ストレート部27および第2拡大部28から形成する。
【0161】
図3のノズル装置2では、粉状ドライアイスは、第2拡大部28の噴射口から噴射対象物9の表面に向かって、左右方向に拡散して噴射されるので、大きな噴射面積を確保することができる。そのため、効率のよい粉状ドライアイスの噴射作業を実施することができる。
【0162】
また、図2の説明では、側面視において、噴射部26を直線状に形成しているが、例えば、図12に示すように、上下方向一方(下側)に湾曲する湾曲状に形成することもできる。
【0163】
図12において、噴射部26は、前側に向かうに従って下方に湾曲するように形成されている。噴射部26を、例えば、可撓性材料から形成することもできる。
【0164】
このように噴射部26を湾曲状に形成すれば、噴射部26の前後方向長さが短くなるので、噴射対象物9が、狭いスペースに配置されている場合に、噴射部26を上記した狭いスペースに差し込んで、粉状ドライアイスの噴射作業を確実に実施することができる。
【0165】
そして、上記した図1に示す噴射装置1によれば、キャリアガスが、コンプレッサ3からキャリアガスライン4を介してキャリアガス供給管10に供給される。また、液体CO2が、液体CO2ボンベ6からCO2ライン7を介してCO2供給管11に供給されて、CO2供給管11において粉状ドライアイスが生成されてキャリアガス供給管10に供給される。そのため、ノズル装置2において、キャリアガスによって、粉状ドライアイスを粉状に維持して、噴射部26の噴射口から効率よく噴射することができる。
【0166】
また、キャリア側フィルタ5によって、コンプレッサ3からキャリアガスライン4を介してキャリアガス供給管10に供給されるキャリアガスに混入する異物を除去することができる。さらに、CO2側フィルタ8によって、液体CO2ボンベ6からCO2ライン7を介してCO2供給管11に供給される液体CO2に混入する異物を除去することができる。
【0167】
そのため、クリーンな粉状ドライアイスを、クリーンなキャリアガスとともに噴射することができる。
【0168】
このような噴射装置1およびノズル装置2は、例えば、粉状ドライアイスの噴射によって、噴射対象物9を洗浄する洗浄装置および洗浄ノズルとして用いることができる。噴射対象物9である洗浄対象物9としては、例えば、半導体デバイス、精密金型などが挙げられる。
【0169】
このような洗浄装置および洗浄ノズルでは、粉状ドライアイスを効率よく洗浄対象物9に噴射して、優れた洗浄力を確保しながら、洗浄後、洗浄対象物9の表面に、粉状ドライアイスが残存しても、粉状ドライアイスが揮発し易く、そのため、洗浄対象物9の表面をクリーンな状態に維持することができる。
【0170】
また、上記した噴射装置1およびノズル装置2は、例えば、粉状ドライアイスの噴射によって、噴射対象物9をブラスト加工するブラスト加工装置およびブラスト加工ノズルとして用いることもできる。噴射対象物9であるブラスト加工対象物9としては、例えば、ガラス板などが挙げられる。
【符号の説明】
【0171】
1 噴射装置
2 ノズル装置
3 コンプレッサ
4 キャリアガスライン
5 キャリア側フィルタ
6 液体CO2ボンベ
7 CO2ライン
8 CO2側フィルタ
10 キャリアガス供給管
11 CO2供給管
23 キャリア側導入部
24 キャリア側絞り部
25 第1拡大部
26 噴射部
27 第1ストレート部
29 第1壁
30 第2壁
34 CO2側導入部
35 CO2側絞り部
36 CO2供給チャンバ部
41 ヒータ
D 第1壁間の対向方向長さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアガスを供給するキャリアガス供給管と、粉状ドライアイスを供給するために前記キャリアガス供給管に接続されるCO2供給管とを備えるノズル装置であって、
前記キャリアガス供給管は、
前記キャリアガスが導入されるキャリア側導入部と、
前記キャリア側導入部における前記キャリアガスの流れ方向である第1流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、前記キャリア側導入部の開口断面積より小さいキャリア側絞り部と、
前記キャリア側絞り部の前記第1流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、前記キャリア側絞り部から前記第1流れ方向下流側に向かって次第に大きくなる拡大部と、
前記拡大部の前記第1流れ方向下流側に接続される噴射部であって、開口断面積が、前記第1流れ方向において略同一である同一開口部を含む前記噴射部とを備え、
前記CO2供給管は、前記噴射部に接続されていることを特徴とする、ノズル装置。
【請求項2】
前記CO2供給管は、
液体CO2が導入されるCO2側導入部と、
前記CO2側導入部におけるCO2の流れ方向である第2流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、前記CO2側導入部の開口断面積より小さいCO2側絞り部と、
前記CO2側絞り部の前記第2流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、前記CO2側絞り部の断面積より大きく形成されており、前記CO2側絞り部から供給される前記液体CO2から前記粉状ドライアイスを生成して、前記粉状ドライアイスを前記噴射部に供給するCO2供給チャンバ部と
を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のノズル装置。
【請求項3】
前記キャリアガス供給管は、互いに間隔を隔てて対向配置される2つの第1壁と、前記第1壁の対向方向と前記第1流れ方向との両方向に直交する直交方向において、前記第1壁の両端部を連結する2つの第2壁とを備え、
前記第1壁間の対向方向長さが、一定であることを特徴とする、請求項1または2に記載のノズル装置。
【請求項4】
前記CO2供給管が、前記噴射部の前記第1流れ方向上流側端部またはその近傍に接続されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のノズル装置。
【請求項5】
前記CO2側絞り部および前記CO2供給チャンバ部が、前記CO2供給管において、それぞれ、複数設けられていることを特徴とする、請求項2に記載のノズル装置。
【請求項6】
さらに、前記噴射部における前記CO2供給管の接続部またはその近傍に加熱手段が設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のノズル装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のノズル装置と、
前記キャリアガスを発生させるキャリアガス発生手段と、
前記キャリアガス発生手段と前記キャリアガス供給管とを接続するキャリアガスラインと、
前記キャリアガスラインに設けられるキャリア側フィルタと、
液体CO2を貯蔵する液体CO2貯蔵手段と、
前記液体CO2貯蔵手段と前記CO2供給管とを接続するCO2ラインと、
前記CO2ラインに設けられるCO2側フィルタと
を備えることを特徴とする、噴射装置。
【請求項1】
キャリアガスを供給するキャリアガス供給管と、粉状ドライアイスを供給するために前記キャリアガス供給管に接続されるCO2供給管とを備えるノズル装置であって、
前記キャリアガス供給管は、
前記キャリアガスが導入されるキャリア側導入部と、
前記キャリア側導入部における前記キャリアガスの流れ方向である第1流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、前記キャリア側導入部の開口断面積より小さいキャリア側絞り部と、
前記キャリア側絞り部の前記第1流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、前記キャリア側絞り部から前記第1流れ方向下流側に向かって次第に大きくなる拡大部と、
前記拡大部の前記第1流れ方向下流側に接続される噴射部であって、開口断面積が、前記第1流れ方向において略同一である同一開口部を含む前記噴射部とを備え、
前記CO2供給管は、前記噴射部に接続されていることを特徴とする、ノズル装置。
【請求項2】
前記CO2供給管は、
液体CO2が導入されるCO2側導入部と、
前記CO2側導入部におけるCO2の流れ方向である第2流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、前記CO2側導入部の開口断面積より小さいCO2側絞り部と、
前記CO2側絞り部の前記第2流れ方向下流側に接続され、開口断面積が、前記CO2側絞り部の断面積より大きく形成されており、前記CO2側絞り部から供給される前記液体CO2から前記粉状ドライアイスを生成して、前記粉状ドライアイスを前記噴射部に供給するCO2供給チャンバ部と
を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のノズル装置。
【請求項3】
前記キャリアガス供給管は、互いに間隔を隔てて対向配置される2つの第1壁と、前記第1壁の対向方向と前記第1流れ方向との両方向に直交する直交方向において、前記第1壁の両端部を連結する2つの第2壁とを備え、
前記第1壁間の対向方向長さが、一定であることを特徴とする、請求項1または2に記載のノズル装置。
【請求項4】
前記CO2供給管が、前記噴射部の前記第1流れ方向上流側端部またはその近傍に接続されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のノズル装置。
【請求項5】
前記CO2側絞り部および前記CO2供給チャンバ部が、前記CO2供給管において、それぞれ、複数設けられていることを特徴とする、請求項2に記載のノズル装置。
【請求項6】
さらに、前記噴射部における前記CO2供給管の接続部またはその近傍に加熱手段が設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のノズル装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のノズル装置と、
前記キャリアガスを発生させるキャリアガス発生手段と、
前記キャリアガス発生手段と前記キャリアガス供給管とを接続するキャリアガスラインと、
前記キャリアガスラインに設けられるキャリア側フィルタと、
液体CO2を貯蔵する液体CO2貯蔵手段と、
前記液体CO2貯蔵手段と前記CO2供給管とを接続するCO2ラインと、
前記CO2ラインに設けられるCO2側フィルタと
を備えることを特徴とする、噴射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−183538(P2011−183538A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54030(P2010−54030)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】
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