説明

ノズル調整機構及び方法

【課題】磨耗、摩擦の問題の無いノズル調整機構を提供する。
【解決手段】ノズル調整機構50は、固定リング52と、ピボットピンによって固定リング52に連結されかつ該ピボットピンと共に回転するように構成された少なくとも1つのベーン56と、固定リング52に対して回転可能に連結されかつノズル調整機構50の縦方向軸線Zの周りで回転するように構成された調整リング54と、少なくとも1つのベーン56を調整リング54に連結しかつ該調整リング54が回転した時に該少なくとも1つのベーン56を動かすように構成された連結機構58、60とを含み、連結機構58、60は、互いに連結されたレバー構成要素58及びリンク構成要素60を含む。レバー構成要素58は、少なくとも1つのベーン56に連結され、またリンク構成要素60は、調整リング54に連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示した主題の実施形態は、総括的にはノズル調整機構の1つ又はそれ以上のベーンを作動させるための方法及び装置に関し、より具体的には、そのようにするためのメカニズム及び技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ何年かの間に、化石燃料の価格上昇により、高温又は高圧ガスからエネルギーを回収することへの関心が増大してきた。しかしながら、利用可能な装置は、それほど有効ではなく、また後述する一部の限界を有する。
【0003】
あらゆる高温又は高圧ガスは、エネルギー回収のための潜在的源であるので、発電機搭載エキスパンダ又はタービンつまりターボエキスパンダは、顧客に合せて設計製作してプロセスにおいて利用可能な大量の有用エネルギーを回収することができる。
【0004】
ターボエキスパンダが役割を果たす1つの分野は、廃熱回収である。廃熱は、ターボエキスパンダ−発電機だけにより又は一層複雑なシステムの構成要素としてのターボエキスパンダ−発電機により、有用なエネルギーに変換することができる。潜在的熱源には、産業炉又は燃焼エンジンからの排出ガス、産業炉又は燃焼エンジンからの廃棄蒸気、化学又は石油化学プロセスからの廃棄蒸気、及び平面又は放物面反射装置からの太陽熱が含まれる。排気ガスは、高温であり、かつ溶剤又は触媒を含む可能性がある。エキスパンダは、エネルギーを回収し、また大気に放出する排気ガスを冷却するだけでなく、溶剤又は触媒を分離することもできる。
【0005】
ターボエキスパンダが有用である別の分野は、減圧用途での有用な仕事の抽出である。ガス分配システムの異なる圧力における又は都市入口における2つの輸送パイプラインの合流のような減圧用途では、ターボエキスパンダ−発電機は、大量のガスストリームの圧力を低下させると同時に電力の形態でエネルギーを回収することができる。従って、エキスパンダは、制御弁及び調整器のようなその他の圧力調整装置の有益な交換装置とすることができる。
【0006】
ターボ−エキスパンダ又は膨張タービンとも呼ばれるターボエキスパンダは、それを通して高圧ガスが膨張して、多くの場合圧縮機を駆動するために使用される仕事を生成する遠心流又は軸流タービンである。膨張する高圧ガスから仕事が抽出されるので、ガス膨張は、等エントロピー過程(つまり、一定エントロピー過程)に近づくことができ、またタービンからの低圧排気ガスは、時には−90℃又はそれ以下もの低い温度になる。
【0007】
発生した低温度の故に、ターボエキスパンダは、天然ガスからのエタンの抽出及び液化天然ガス(NGL)の形成、ガス(酸素、窒素、ヘリウム、アルゴン及びクリプトンのような)の液化並びにその他の低温処理のような工業プロセスにおける冷却源として広く使用されている。
【0008】
そのようなターボエキスパンダの実施例を図1及び図2に示しており、これらの図は、その内容全体を参考文献として本明細書に組入れている米国特許第5,851,104号から転載したものである。図1は、半径流タービンにおける可変ノズル構成を示している。半径流タービンは、環状入口12を備えたハウジング10を有する。固定円形プレート16が、環状入口12の一側に配置される。ノズル調整システムは、環状入口12の他側に設けられる。調整リング32が、クランプリング22の半径方向外側に配置される。調整リング32は、クランプリング22の周りで回転することができ、クランプリング22は、固定円形プレート16内に据付けられたノズルピボットピン30によってその回転が阻止される。
【0009】
ベーン40が、環状入口12の周りに設置される。これらのベーンは、一側の固定円形プレート16と他側のクランプリング22及び調整リング32との間に配置される。ベーン40は、それらの間に流線形流路を形成するように構成される。この流路は、ベーン40の回転位置に基づいてその断面積を増大又は減少させることができる。ベーン40は、ノズルピボットピン30の周りに枢動可能に取付けられる。クランプリング22に対するベーン40の相対位置は、図2において付加仮想線によって示している。
【0010】
米国特許第5,851,104号では、ノズル調整機構は、カム及びカムフォロア機構を含む。カムフォロア44は、ピン30の軸線から側方に偏位しており、かつ図2に示すように、それぞれベーン40内にシャフトによって固定される。カムフォロア44は、シャフトの周りで自由に回転する。カムフォロア44と協働するために、バイアススロット48の形態のカムが、調整リング32内に配置される。これらのスロットは、カムフォロア44を受けて、調整リング32が回転した時に自由転動運動を可能にするような寸法にされる。
【0011】
ベーン40、カムフォロア44、バイアススロット48及び調整リング32の上記の構成は、ベーン40の開放を調整リング32の回転に応じて線形にする。言い換えると、調整リング32の所定の回転により、ベーン40が開放位置付近にあるか、開放位置にあるか、閉鎖位置付近にあるか或いは閉鎖位置にあるかに関係なく、ベーン40の同一の事前設定回転が生じる。調整リング32の回転によるベーン40のこの一定の回転は、ベーン40の位置調整における如何なる感度の変動も可能にしない。
【0012】
幾つかの伝統的なターボエキスパンダでは、調整リングはベーン上を直接摺動し、それにより、摩擦が生じかつ調整リング及び/又はベーンの一部を損傷させるおそれがある。この同じ摺動運動は、調整リング及び/又はベーンを早期に摩耗させるおそれがある。また、幾つかの伝統的なターボエキスパンダでは、調整リングの異なる位置に2つの力が加わり、これが望ましくないトルクを発生させる。調整リングを作動させる機構により、第1の力が該調整リング上に作用すると同時に、調整リングとベーンとの間の連結部において該調整リング上に抵抗力が発生する。調整リング上でのこれら2つの力の発生により、トルクが生じ、これが、調整リングをベーンの一部上に押し付けて、ターボエキスパンダの構成要素に更なる摩擦及び摩耗を引き起こす傾向になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,851,104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、上記の問題点及び欠点を回避した装置並びに方法を提供することが望ましいと言える。
【課題を解決するための手段】
【0015】
1つの例示的な実施形態によると、ノズル調整機構を提供し、本ノズル調整機構は、固定リングと、ピボットピンによって固定リングに連結されかつ該ピボットピンと共に回転するように構成された少なくとも1つのベーンと、固定リングに対して回転可能に連結されかつノズル調整機構の縦方向軸線の周りで回転するように構成された調整リングと、少なくとも1つのベーンを調整リングに連結しかつ該調整リングが回転した時に該少なくとも1つのベーンを動かすように構成された連結機構とを含み、連結機構は、互いに連結されたレバー構成要素及びリンク構成要素を含む。レバー構成要素は、少なくとも1つのベーンに連結され、またリンク構成要素は、調整リングに連結される。
【0016】
別の例示的な実施形態によると、半径流タービンを提供し、本半径流タービンは、フレームと、フレームに連結されかつ流体の流入を調整するように構成されたノズル調整機構とを含む。ノズル調整機構は、固定リングと、ピボットピンによって固定リングに連結されかつ該ピボットピンと共に回転するように構成された少なくとも1つのベーンと、固定リングに対して回転可能に連結されかつノズル調整機構の縦方向軸線の周りで回転するように構成された調整リングと、少なくとも1つのベーンを調整リングに連結しかつ該調整リングが回転した時に該少なくとも1つのベーンを作動させるように構成された連結機構とを含み、連結機構は、互いに連結されたレバー構成要素及びリンク構成要素を含む。レバー構成要素は、少なくとも1つのベーンに連結され、またリンク構成要素は、調整リングに連結される。
【0017】
さらに別の例示的な実施形態によると、ノズル調整機構を介して流体の流入を調整する方法を提供する。本方法は、固定リングに対して回転可能に連結されかつノズル調整機構の縦方向軸線の周りで回転するように構成された調整リングを回転させるステップと、互いに連結されたレバー構成要素及びリンク構成要素を含みかつ少なくとも1つのベーンを調整リングに連結した連結機構を介して、該回転させた調整リングから該少なくとも1つのベーンに力を伝達するステップと、リンク構成要素に連結された調整リングの回転の結果として、レバー構成要素に連結されかつピボットピンによって固定リングに連結された少なくとも1つのベーンを作動させて、その作動により、該ピボットピンと共に該少なくとも1つのベーンを回転させるステップとを含む。
【0018】
本明細書に組入れられかつその一部を構成している添付図面は、1つ又はそれ以上の実施形態を示しかつ以下の記述と共にそれらの実施形態を説明している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来型のノズル調整機構の断面図。
【図2】図1の従来型のノズル調整機構の上面図。
【図3】例示的な実施形態によるノズル調整機構の概略図。
【図4】例示的な実施形態によるノズル調整機構の断面図。
【図5】例示的な実施形態によるノズル調整機構の選択部分の上面図。
【図6】例示的な実施形態による、開放ベーンを有するノズル調整機構の上面図。
【図7】例示的な実施形態による、閉鎖ベーンを有するノズル調整機構の上面図。
【図8】例示的な実施形態によるノズル調整機構の選択部分の概略図。
【図9】調整リングの回転角とベーンの回転角との間の関係を示すグラフ図。
【図10】例示的な実施形態によるノズル調整機構を操作するステップを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
例示的な実施形態に関する以下の説明では、添付図面を参照する。異なる図面における同じ参照符号は、同一の又は同様な要素を指している。以下の詳細な説明は、本発明を限定するものではない。代わりに、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって定まる。以下の実施形態は、説明を簡単にするために、ターボエキスパンダの用語及び構造に関連して説明する。しかしながら、以下に説明する実施形態は、このシステムに限定されるものではなく、高い温度及び/又は圧力を有する流体の流入を使用するその他のシステムにも適用することができる。
【0021】
本明細書の全体を通しての「1つの実施形態」又は「実施形態」という表現は、実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造又は特性が、開示した主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味している。従って、本明細書全体にわたる様々な箇所における「1つの実施形態では」又は「実施形態では」という語句の表現は、必ずしも同一の実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、1つ又はそれ以上の実施形態においてあらゆる適当な方法で組合せることができる。
【0022】
図3に示すように、ノズル調整機構50は、固定リング52と調整リング54とを含む。調整リング54は、後で説明するように固定リング52に対して摺動可能に連結される。ベーン56が、ピボットピン(図示せず)により固定リング52に連結される。従って、ベーン56は、ピボットピンの周りで回転することができる。ベーン56は、連結機構又は装置(58及び60)を介して調整リング54に連結される。例示的な実施形態によると、連結機構は、レバー構成要素58及びリンク構成要素60を含む。レバー構成要素58は、リンク構成要素60に対して物理的に連結される。
【0023】
例示的な実施形態によると、ベーン56は、固定リング52とノズルカバー62との間に挟まれる。レバー構成要素58及びリンク構成要素60は、固定リング52と調整リング54との間に挟まれる。調整リング54は、固定リング52がノズルカバー62に固定された状態で、ノズル調整機構50の縦方向軸線Zの周りで回転することができる。調整リング54は、ピン66を有するスロット64を含むことができる。ピン66は、作動装置(図示せず)に連結することができ、この作動装置は、調整リング54の回転を生じさせることができる。作動装置は、ユーザ及び/又はコンピュータ装置によって制御される電気装置、空気圧装置、手動装置等々とすることができる。
【0024】
図4には、ノズル調整機構50の断面を示している。ベーン56は、固定リング52とノズルカバー62との間に配置され、他方、レバー構成要素58及びリンク構成要素60は、固定リング52と調整リング54との間に配置された状態で示している。例示的な実施形態によると、1つよりも多いリンク構成要素60を使用することができる。ピボットピン70は、ノズルカバー62をベーン56にかつ固定リング52に連結する。ピン72は、レバー構成要素58をリンク構成要素60に連結する。リンク構成要素60は、該リンク構成要素60の一部がレバー構成要素58の背後に位置しているので、図4においては部分的に目視可能である。
【0025】
調整リング54は、ピン76により支持リング74に連結することができ、該調整リング54及び支持リング74は、ピン80によって固定リング52に固定された延長要素つまりリング78上で摺動する状態で、縦方向軸線Zの周りで回転することができるようになる。ピボットピン70は、ベーン56に対して固定されて、該ピボットピン70の回転が、ベーン56の回転を決定するようになる。当業者には分かるように、調整リング54を支持するためのその他の構成も実施可能である。
【0026】
図3及び図4に示す構成は、調整リング54が少なくとも固定リング52によってベーン56から分離されているので、該調整リング54によってトルクがベーン56に加わるのを防止する利点がある。従って、ベーン56の回転は、調整リング54との接触によって影響を受けない。加えて、図3及び図4の構成は、調整リング54とベーン56との間の接触を防止する技術的効果を有する。さらに、レバー及びリンクシステムは、ベーンの開放を非線形的に調整することができることによって、流入流体の区域82(図4参照)内での乱流を減少させる利点がある。
【0027】
図5に示す例示的な実施形態によると、ベーン56は、開放位置56a及び閉鎖位置56bを有する。閉鎖位置56bでは、各ベーンは、隣接するベーンと直接接触状態になって、流体の流入が阻止されるようになる。開放位置56aでは、最大の流体流入が可能になる。ベーン56が開放位置56aにある場合には、レバー構成要素58の位置は、符号58aで示しており、またリンク構成要素60の位置は、符号60aで示している。ベーン56が閉鎖位置56bにある場合には、レバー構成要素58の位置は、符号58bで示しており、またリンク構成要素60の位置は、符号60bで示している。より明瞭にするために、図6は、開放位置にあるベーンを示しており、他方、図7は、閉鎖位置にあるベーンを示している。
【0028】
例示的な実施形態によると、ベーン56が閉鎖位置56bにある時には、リンク構成要素60は、該リンク構成要素60の半径方向軸線がノズル調整機構50の縦方向軸線Zを指すような位置60bを有する。リンク構成要素60のこの位置60bは、図6及び図7に関して説明した1つ又はそれ以上の利点を有する。しかしながら、他の例示的な実施形態によると、リンク構成要素60は、対応するベーン56が閉鎖されている時には、半径方向に整列している必要はない。
【0029】
図8は、簡単にするために、レバー構成要素58及びリンク構成要素60のみを示している。図8において、両構成要素は、単一線によって表している。例示的な実施形態によると、リンク構成要素60の長さに対するレバー構成要素58の長さの比率は、1〜10である。レバー構成要素58の両端部の位置は、ベーン56が閉鎖している時には符号A及びBで表しておりかつベーン22が開放している時には符号A’及びBで表しており、またリンク構成要素60の両端部は、ベーン56が閉鎖している時には符号A及びCで表しておりかつベーン22が開放している時には符号A’及びC’で表している。角度αほどの調整リング54(図8には図示せず)の回転は、角度βほどのベーン56の回転を生じさせる。調整リング54の回転は、ノズル調整機構の縦方向軸線Zに対して行なわれ、例えば軸線Zに対するリンク構成要素60の端部Cの回転を測定した、図8に示すような角度αとして測定される。さらに、ベーン56の回転βは、ピボットピン70に対する該ベーン56の軸方向軸線の角度変位によって定められる。例示的な実施形態では、ベーン56の回転βは、図8に示すように、ベーン56に連結されたレバー構成要素58の端部Bに対する該レバー構成要素58の回転と同じものとなる。ベーン56が閉鎖状態から開放状態に移動した時、角度αは、角度βよりも大きく、このことは、調整リング54の所定の回転がベーン56の小さな開放を達成することを示している。ベーン56が完全に開放されておりかつオペレータがベーンを閉鎖し始めた時、つまり調整リング54の同じ所定の回転を開始した場合には、ベーン56の大きな閉鎖が達成される。この実施例は、ベーン56の差動回転感度を調整リング54の関数として示している。
【0030】
上記した調整リング54の回転とベーン56の回転との間の関係は、図9に線90aで示している。このグラフのy軸は、ベーン56の回転角βに対応し、他方、このグラフのx軸は、調整リング54の回転角αに対応している。線90aでは、ベーン56の閉鎖位置において、調整リング54及びベーン56の回転角α及びβは両方共、ゼロである。しかしながら、別の例示的な実施形態によると、閉鎖位置は、線90bで示すように、角度ゼロで定められていない。図9は、調整リング54の回転とベーン56の回転との間の非線形関係の2つの実施例を示している。レバー構成要素及びリンク構成要素の長さに応じて、線90aは、異なる形状を有することができる。また、レバー構成要素とリンク構成要素との間にさらに別のリンクを挿入するか否かに応じて、線90a又は90bの形状は、変化させることができる。比較のために、伝統的なノズル調整機構についての線形角度関係92も示している。
【0031】
本実施形態によるノズル調整機構の非線形特性は、下記に説明するように、ベーン56が閉鎖している時には該ベーンの一層敏感な制御を可能にする。図9は、調整リング54の所定の回転αに対して、非線形関係90aではベーン56の回転βが達成されることを示している。従来型の装置の調整リングの同じ所定の回転αの場合には、ベーンのより大きな回転βが達成される。しかしながら、ほとんど閉鎖したベーンに対して所定の回転αを与えた時には、本ノズル機構のベーン56の場合には回転βが達成され、また従来型の装置の場合には同じ回転βが達成される。従って、図9は、従来型の装置の場合には、調整リングの所定の回転に対してベーンの同じ回転が達成されることを示している。反対に、新規の機構では、調整リングの同じ回転αに対して異なるベーン回転β及びβが達成され、これらの回転は、ベーンの開放/閉鎖状態に応じて決まる。従って、ベーンの差動開放/閉鎖機構が得られる。
【0032】
例示的な実施形態によると、ノズル機構は、半径流タービンと関連している。より具体的には、ノズル機構は、そのようなタービンのための可変一次ノズルとすることができる。ノズル機構は、ベーンの制御枢動運動による可変ジオメトリを有する。ベーンは、該ベーンを共に固定した2つの平坦壁間に取付けられるので、各ベーンを横切るガスブローを防止することができる。ベーンの回転は、ベーンに連結されたピボットピンによって行なわれ、このピボットピンは、連結機構を介して作動リングによって動かされる。連結機構は、ノズルが閉鎖している時にシステムの感度がより高くなるような非線形及び漸進的ベーン開放法則を生じるように構成することができる。この目標は、所望の漸進的開放法則を再現するように構成された2つ又はそれ以上のアームを含むリンク機構によって実施することができる。ベーンの動きを可能にするピボットピンは、作動リングを支持するフレーム上に取付けることができる。フレームは、互いにボルト固定されて、ベーンへの軸方向荷重を相殺するのを可能にすることになるシールリングを半径方向位置に据付けることを可能にする2つの部分を含むことができる。空気圧シリンダ、電気シリンダ又は油圧シリンダを回転可能な調整リングと関連させて、調整リングの位置を制御し、次いでベーンを制御することができる。
【0033】
例示的な実施形態によると、ベーン、フレーム及び/又はノズルカバーは、例えばThermal spray Praxair SR205(コネチカット州ダンバリ所在のPraxair,Inc.製の)又は同様の減磨皮膜で被覆することができる。
【0034】
さらに別の例示的な実施形態によると、伝統的なノズル調整機構では、ノズル調整のための別個のリングと一次ベーンの固定を補償するためのノズルのシールリングとを考えており、このことは、テフロン(登録商標)ピストンリングによって支持された大型の作動リング上にスロットを精密加工することを必要としていたが、1つ又はそれ以上の開示した実施形態による新規なノズル調整機構は、その運動の大部分が自己潤滑ブッシング内での回転であるので時にはベーン詰まりを引き起こす作動力を減少させ、従って構成要素への摩耗を最少にすることになる。
【0035】
次に、図10を参照して、ノズル調整機構を操作する方法について説明する。図10は、ノズル調整機構を介して流体の流入を調整するステップを示している。本方法は、固定リングに対して回転可能に連結されかつノズル調整機構の縦方向軸線の周りで回転するように構成された調整リングを回転させるステップ1000を含む。ステップ1010は、ベーンに連結されたレバー構成要素及び調整リングに連結されたリンク構成要素を互いに連結された状態で含みかつ該ベーンを該調整リングに連結した連結機構を介して、該回転させた調整リングから該ベーンに力を伝達するステップを含む。ステップ1020は、調整リングの回転の結果として、ピボットピンによって固定リングに連結されたベーンを作動させて、その作動により、該ピボットピンと共に該ベーンを回転させるステップを含む。
【0036】
これらの開示した例示的な実施形態は、ノズル調整機構を通る流体の流れを調整するための装置及び方法を示している。この説明は、本発明を限定しようとするものではないことを理解されたい。逆に、これらの例示的な実施形態は、特許請求の範囲によって定まる本発明の技術思想及び技術的範囲内に含まれる変更形態、修正形態及び均等物を保護しようとするものである。さらに、これらの例示的な実施形態の詳細な説明では、本特許請求した発明の完全な理解を得るために、多数の具体的な詳細事項について記載している。しかしながら、様々な実施形態は、そのような具体的な詳細事項なしで実施することができることは、当業者には解るであろう。
【0037】
本例示的な実施形態では、本実施形態の特徴及び要素を特定の組合せとして説明しているが、各特徴又は要素は、本実施形態のその他の特徴及び要素がない状態で単独で、或いは本明細書に開示したその他の特徴及び要素との又はそれらその他の特徴及び要素がない状態での様々な組合せで使用することができる。
【0038】
本明細書は、実施例を使用して、最良の形態を含む本発明を開示し、またさらにあらゆる装置又はシステムを製作しかつ使用すること及びあらゆる組込み方法を実行することを含む本発明の実施を当業者が行うのを可能にする。本発明の特許性がある技術的範囲は、特許請求の範囲によって定まり、かつ当業者が想起するその他の実施例を含むことができる。そのようなその他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と相違しない構造的要素を有するか又はそれらが特許請求の範囲の文言に記載した構造的要素と均等な構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲の技術的範囲内に属することになることを意図している。
【符号の説明】
【0039】
10 ハウジング
12 環状入口
16 円形プレート
22 クランプリング
30 ピボットピン
32 調整リング
40 ベーン
44 カムフォロア
50 ノズル調整機構
52 固定リング
54 調整リング
56 ベーン
58 レバー構成要素
60 リンク構成要素
62 ノズルカバー
70 ピボットピン
72 ピン
74 支持リング
76 ピン
78 延長リング
80 ピン
82 区域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル調整機構(50)であって、
固定リング(52)と、
ピボットピン(70)によって前記固定リング(52)に連結されかつ該ピボットピン(70)と共に回転するように構成された少なくとも1つのベーン(56)と、
前記固定リング(52)に対して回転可能に連結されかつ該ノズル調整機構(50)の縦方向軸線(Z)の周りで回転するように構成された調整リング(54)と、
前記少なくとも1つのベーン(56)を前記調整リング(54)に連結しかつ該調整リング(54)が回転した時に該少なくとも1つのベーン(56)を動かすように構成された連結機構(58、60)と、を含み、
前記連結機構(58、60)が、互いに連結されたレバー構成要素(58)及びリンク構成要素(60)を含み、
前記レバー構成要素(58)が、前記少なくとも1つのベーン(56)に連結され、また前記リンク構成要素(60)が、前記調整リング(54)に連結される、
ノズル調整機構。
【請求項2】
前記固定リング(52)に連結されかつ前記調整リング(54)を回転可能に支持した延長リング(78)をさらに含み、
前記延長リング(78)が、前記調整リング(54)から前記固定リング(52)を分離して、前記連結機構(58、60)が該調整リングと該固定リング(52)との間に挟まれるようにする、
請求項1記載のノズル調整機構。
【請求項3】
前記少なくとも1つのベーン(56)が、前記固定リング(52)の第1の面上に配置され、
前記調整リング(54)及び連結機構(58、60)が、前記固定リング(52)の第2の面上に配置され、
前記第1の面が、前記第2の面とは反対側である、
請求項1または2記載のノズル調整機構。
【請求項4】
前記ピボットピン(70)を介して前記少なくとも1つのベーン(56)に連結されたノズルカバー(62)をさらに含み、
前記ノズルカバー(62)が、前記少なくとも1つのベーン(56)が該ノズルカバー(62)と前記固定リング(52)との間に挟まれるように配置される、
請求項1乃至3のいずれか1項記載のノズル調整機構。
【請求項5】
前記連結機構(58、60)が、前記レバー構成要素(58)と前記リンク構成要素(60)との間に連結された中間リンク構成要素を含む、請求項1乃至4のいずれか1項記載のノズル調整機構。
【請求項6】
前記リンク構成要素(60)の長手方向軸線(X)が、前記少なくとも1つのベーン(56)が閉鎖位置にある時に、該ノズル調整機構(50)の縦方向軸線(Z)を指している、請求項1乃至5のいずれか1項記載のノズル調整機構。
【請求項7】
前記調整リング(54)の所定の回転が、前記少なくとも1つのベーン(56)が閉鎖位置にある時に、該少なくとも1つのベーン(56)を開放させるような該ベーン(56)の第1の回転を生じさせ、また
前記調整リング(54)の同じ所定の回転が、前記少なくとも1つのベーン(56)が開放位置にある時に、該少なくとも1つのベーン(56)を閉鎖させるような該ベーン(56)の第2の回転を生じさせ、
前記第2の回転が、前記第1の回転よりも小さい、
請求項1乃至6のいずれか1項記載のノズル調整機構。
【請求項8】
前記リンク構成要素(60)の長さに対する前記レバー構成要素(58)の長さの比率が、1〜10の間である、請求項1乃至7のいずれか1項記載のノズル調整機構。
【請求項9】
前記調整リング(54)が作動した時に、前記レバー構成要素(58)が、1つの方向に回転しかつ前記リンク構成要素(60)が、反対の方向に回転する、請求項1乃至8のいずれか1項記載のノズル調整機構。
【請求項10】
前記少なくとも1つのベーン(56)が、対応するピボットピン(70)により前記固定リング(52)に対して回転可能に固定されかつ前記調整リング(54)によって作動した時に回転して、前記固定リング(52)とノズルカバー(62)との間の空間を完全に閉鎖するように構成された複数のベーン(56)を含む、請求項1乃至9のいずれか1項記載のノズル調整機構。
【請求項11】
半径流タービンであって、
フレームと、
前記フレームに連結されかつ流体の流入を調整するように構成されたノズル調整機構(50)と、
を含み、前記ノズル調整機構(50)が、
固定リング(52)と、
ピボットピン(70)によって前記固定リング(52)に連結されかつ該ピボットピン(70)と共に回転するように構成された少なくとも1つのベーン(56)と、
前記固定リング(52)に対して回転可能に連結されかつ該ノズル調整機構(50)の縦方向軸線(Z)の周りで回転するように構成された調整リング(54)と、
前記少なくとも1つのベーン(56)を前記調整リング(54)に連結しかつ該調整リング(54)が回転した時に該少なくとも1つのベーン(56)を動かすように構成された連結機構(58、60)と、を含み、
前記連結機構(58、60)が、互いに連結されたレバー構成要素(58)及びリンク構成要素(60)を含み、
前記レバー構成要素(58)が、前記少なくとも1つのベーン(56)に連結され、また前記リンク構成要素(60)が、前記調整リング(54)に連結される、
タービン。
【請求項12】
前記固定リング(52)に連結されかつ前記調整リング(54)を回転可能に支持した延長リング(78)をさらに含み、
前記延長リング(78)が、前記調整リング(54)から前記固定リング(52)を分離して、前記連結機構(58、60)が該調整リング(54)と該固定リング(52)との間に挟まれるようにする、
請求項11記載のタービン。
【請求項13】
前記少なくとも1つのベーン(56)が、前記固定リング(52)の第1の面上に配置され、
前記調整リング(54)及び連結機構(58、60)が、前記固定リング(52)の第2の面上に配置され、
前記第1の面が、前記第2の面とは反対側である、
請求項11または12記載のタービン。
【請求項14】
前記ピボットピン(70)を介して前記少なくとも1つのベーン(56)に連結されたノズルカバー(62)をさらに含み、
前記ノズルカバー(62)が、前記少なくとも1つのベーン(56)が該ノズルカバー(62)と前記固定リング(52)との間に挟まれるように配置される、
請求項11乃至13のいずれか1項記載のタービン。
【請求項15】
ノズル調整機構(50)を介して流体の流入を調整する方法であって、
固定リング(52)に対して回転可能に連結されかつ前記ノズル調整機構(50)の縦方向軸線(Z)の周りで回転するように構成された調整リング(54)を回転させるステップと、
互いに連結されたレバー構成要素(58)及びリンク構成要素(60)を含みかつ少なくとも1つのベーン(56)を前記調整リング(54)に連結した連結機構(58、60)を介して、前記回転させた調整リング(54)から該少なくとも1つのベーン(56)に力を伝達するステップと、
前記リンク構成要素(60)に連結された前記調整リング(54)の回転の結果として、前記レバー構成要素(58)に連結されかつピボットピン(70)によって前記固定リング(52)に連結された前記少なくとも1つのベーン(56)を作動させて、その作動により、該ピボットピン(70)と共に該少なくとも1つのベーン(56)を回転させるステップと、を含む、
方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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