説明

ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂組成物および熱硬化性樹脂成形材料

【課題】硬化物として耐熱性および機械的強度が向上したノボラック型フェノール樹脂、並びに、ノボラック型フェノール樹脂組成物および熱硬化性樹脂成形材料を提供する。
【解決手段】式(1)の構造を有するノボラック型フェノール樹脂。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が1.0〜1.5である、第1のノボラック型フェノール樹脂と、第2のノボラック型フェノール樹脂とを含むフェノール樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノボラック型フェノール樹脂、それを用いた樹脂組成物及び熱硬化性成形材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フェノール樹脂は、耐熱性、機械的強度および電気特性などの優れた特性を有しており、フェノール樹脂組成物として、成形材料、積層板および接着剤等の用途に使用されている。
近年、自動車産業において、金属代替材料としてフェノール樹脂に注目が集まり、これまで以上の耐熱性や機械的強度の向上が求められるようになってきた。
これまで、フェノール樹脂成形材料の耐熱性や強度を向上させる手段としては、配合するフィラーやその分散性を変える(例えば、特許文献1参照。)、あるいは柔軟性を付与するために可塑成分を添加するといった手法が多く用いられ(例えば、特許文献2参照。)、フェノール樹脂そのものの特性を向上させるために、フェノール樹脂を改良するという手段はあまり取られていない。
【0003】
反面、従来のフェノール樹脂組成物は、硬化速度が遅いという問題がある。その為、成形品や積層板の生産に時間がかかることから、硬化速度が速く、生産時間が短縮できる熱硬化性樹脂組成物が強く望まれている。
【0004】
これまで、フェノール樹脂組成物の硬化速度を速くする方法として、高分子量のノボラック型フェノール樹脂を用いたり(例えば、特許文献3参照。)、ハイオルソノボラック型フェノール樹脂を用いたり(例えば、特許文献4参照。)しているが、いずれもその効果が不充分である。
【0005】
また、ノボラック型フェノール樹脂の硬化剤として用いられているヘキサメチレンテトラミンの分解促進剤として、有機酸を添加する方法も提案されているが、これもその効果が不充分である。
【0006】
【特許文献1】特開平9−176452号公報
【特許文献2】特開平9−95596号公報
【特許文献3】特開2001−40177号公報(第2−4頁)
【特許文献4】特開平8−302158号公報(第2−3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、硬化物として耐熱性および機械的強度が向上し、また硬化速度が極めて速いノボラック型フェノール樹脂組成物が得られるノボラック型フェノール樹脂、並びに、これを用いたノボラック型フェノール樹脂組成物および熱硬化性樹脂成形材料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記第(1)項から第(7)項により達成される。
【0009】
(1)式(1)で表される構造を有するノボラック型フェノール樹脂。
【化1】

【0010】
(2)前記ノボラック型フェノール樹脂が式(2)で表される構造を有するものである前記第(1)項に記載されたノボラック型フェノール樹脂。
【化2】

【0011】
(3)前記ノボラック型フェノール樹脂が式(3)で表される構造を有するものである第(1)項又は(2)項に記載されたノボラック型フェノール樹脂。
【化3】

【0012】
(4) 重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が1.0〜1.5である、第1のノボラック型フェノール樹脂と第2のノボラック型フェノール樹脂と、を含むフェノール樹脂組成物であって、前記第1のノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量が、前記第2のノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量より大きく、その差が400以上異なるものであり、第2のノボラック型フェノール樹脂が、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とするノボラック型フェノール樹脂組成物。
(5) 前記第1のノボラック型フェノール樹脂は、1,000〜10,000の数平均分子量を有するものである第(4)項に記載のノボラック型フェノール樹脂組成物、
(6) 前記第1のノボラック型フェノール樹脂(a)と前記第2のノボラック型フェノール樹脂(b)は、重量比(a)/(b)0.5〜2.0で含むものである第(4)項又は第(5)項に記載されたノボラック型フェノール樹脂組成物、
(7) 第(4)項〜第(6)項のいずれか1項に記載されたノボラック型フェノール樹脂組成物、硬化剤及び充填材を含む熱硬化性樹脂成形材料である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、硬化物として耐熱性および機械的強度が向上し、また硬化速度が極めて速いノボラック型フェノール樹脂組成物が得られるノボラック型フェノール樹脂、並びに、これを用いたノボラック型フェノール樹脂組成物および熱硬化性樹脂成形材料が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、式(1)で表される構造を有するノボラック型フェノール樹脂である。
前記式(1)における繰り返し数nについては、1〜50の整数であり、この範囲であると、硬化物として、良好な外観が得られ、樹脂組成物における反応性が良く十分な硬化速度を得ることができる。また、得られる樹脂硬化物の耐熱性や機械強度が向上させることができる。更に、後述するノボラック型フェノール樹脂組成物において、上記ノボラック型フェノール樹脂を第2のノボラック型フェノール樹脂として用いることにより、前記樹脂組成物及び硬化物の特性が、より一層向上するものとなる。
【0015】
前記式(1)で表される構造において、Xとしての芳香族基としては、ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環を有するものであれば良い。
なお、式中Xの芳香族基とは、芳香環を有する置換基を意味するものであり、前記芳香環を1つ又は2つ以上を有し、該芳香環がC、H、O及びNなどで構成される基により結合されていても良い。具体的には、下記式で表されるような構造をとることが好ましい。
【0016】
【化4】

【0017】
これらの中でも、Xとして、ビフェニレン基及びキシリレン基が好ましく、4,4’−ビフェニレン基及びパラキシリレン基がより好ましい。
【0018】
本発明の式(1)で表される構造を有するノボラック型フェノール樹脂の製造方法としては、例えば、まず、フェノール水酸基のパラ位が置換されたフェノール化合物と、反応性芳香族化合物とを、反応性芳香族化合物とパラ置換フェノール化合物の反応モル比を0.5〜1.0にて、それぞれ、適当なハロゲン系炭化水素溶媒に溶解させた後、混合して、酸触媒下にて、還流温度に加熱して、およそ4〜10時間反応させて縮重合を行い、樹脂前駆体を得る。次いで、得られた樹脂前駆体を用いて、トルエンなどの芳香族炭化水素を反応溶媒として、ルイス酸触媒下、室温にて、およそ6時間から10時間反応させて、パラ置換フェノール化合物由来のフェノール水酸基のパラ位の置換基を脱保護することにより、式(1)で表される構造を有するノボラック型フェノール樹脂が得られる。
【0019】
上記フェノール水酸基のパラ位が置換されたフェノール化合物としては、パラクレゾール、パラブチルフェノール、パラオクチルフェノール、パラノニルフェノール及びパラフェニルフェノールなどが挙げられる。
【0020】
上記反応性芳香族化合物としては、芳香族ジハライド及び芳香族ジアルキルエーテルなどが挙げられる。芳香族ジハライドとして、例えば、上記(化4)に表わされる構造において、2つの結合手にハロゲン化メチレン基を有する化合物などが挙げられる。これらの具体的名称としては、ビスクロロメチルビフェニル、ビスブロモメチルビフェニル、ビスブロモメチルターフェニル、ビスクロロメチルベンゼン及びビスブロモメチルベンゼンなどが挙げられる。また芳香族ジアルキルエーテルとしては、例えば、上記(化4)に表わされる構造において、2つの結合手にアルコキシメチレン基を有する化合物などが挙げられる。これらの具体的名称としては、ビスメトキシメチルビフェニル、ビスターシャリーブトキシメチルビフェニル、ビスメトキシメチルターフェニル、ビスメトキシメチルベンゼン及びビスターシャリーブトキシメチルベンゼンなどが挙げられる。
【0021】
上記ハロゲン系炭化水素溶媒としては、ジクロロエタンやジクロロメタンなどが挙げられる。
【0022】
上記縮重合における酸触媒としては、塩酸や硫酸などの無機酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸およびトリフルオロメタンスルホン酸などの有機スルホン酸などが挙げられる。
【0023】
また、脱保護反応時のルイス酸触媒としては、塩化アルミニウム及び臭化アルミニウムなどが挙げられる。
【0024】
このようにして得られた式(1)で表される構造を有するノボラック型フェノール樹脂は、従来より、フェノール樹脂組成物の用途として用いられてきた用途に、特に成形材料やエポキシ樹脂硬化剤として有用である。このような用途に用いられる場合、式(1)で表される構造を有するノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量は200から20,000、分散比は1.0〜20のものを用いると良い。
【0025】
また、本発明は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が1.0〜1.5である、第1のノボラック型フェノール樹脂と第2のノボラック型フェノール樹脂と、を含むフェノール樹脂組成物であって、前記第1のノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量が、前記第2のノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量より大きく、その差が400以上異なるものであり、第2のノボラック型フェノール樹脂が、上記式(1)で表される構造を有するノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とするものである。
【0026】
本発明において、分子量分布がシャープで一定の異なる分子量を有する、高分子量のノボラック型フェノール樹脂と低分子量の特定のノボラック型フェノール樹脂とを、用いることにより、従来法として、硬化速度を速くするために高分子量のノボラック型フェノール樹脂用いていた方法に比べて、硬化速度が極めて速く、硬化性が向上したノボラック型フェノール樹脂組成物が得られるものである。
【0027】
本発明のノボラック型フェノール樹脂組成物に用いる第1のノボラック型フェノール樹脂(a)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が1.0〜1.5の特性を有するものであり、その数平均分子量が、前記第2のノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量より大きく、その差が400以上異なるものである。
そのような数平均分子量としては、好ましい下限値が1,000で、好ましい上限値が10,000であり、より好ましくは下限値が2,000、上限値が4,000である。前記下限値以上では、充分な硬化速度を得ることができ、前記上限値以下では、樹脂の流動性が良く硬化物の外観がより良好なものとなるので好ましい。
また、前記分散比(Mw/Mn)としては、より好ましくは下限値が1.0、上限値が1.2である。前記分散比はその値が低く、分子量分布がシャープなほど好ましく、前記上限値以下では、より充分な硬化速度を得ることができ、得られる硬化物の外観も良好なものとなるのでより好ましい。
【0028】
なお、本発明において、重量平均分子量、数平均分子量および分散比(Mw/Mn)は、例えば、テトラヒドロフランを有機溶剤とするゲルパミエーションクロマトグラフ(GPC)による液体クトマトグラフ法により測定し、ポリスチレン換算して得ることができる。
【0029】
このような第1のノボラック型フェノール樹脂の具体例としては、フェノール類とアルデヒド類とを、無触媒又は触媒存在下で反応させて得られる、フェノール樹脂、クレゾール樹脂、キシレノール樹脂及びナフトール樹脂などが挙げられ、ランダムノボラック型でもハイオルソノボラック型でも用いることができる。これらの樹脂は、一般に分散比が1.5を超えてしまうことが多いことから、分画、分取等の手段により、数平均分子量(Mn)を調整するとともに、上記分散比(Mw/Mn)の範囲になるように調整して用いることができる。
【0030】
前記第1のノボラック型フェノール樹脂の具体例におけるフェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール及びナフトールなどが挙げられ、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド及びポリアセタールなどが挙げられる。これらの中でも、最も硬化速度を速くするにはフェノールとホルムアルデヒドを用いて反応させて得られるノボラック型フェノール・ホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
【0031】
また、前記第1のノボラック型フェノール樹脂の製造に用いる触媒としては、特に限定されないが、例えば、蓚酸、酢酸及びトリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸;塩酸及び硫酸などの無機酸;パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸などの有機スルホン酸;有機ホスホン酸;タングストケイ酸、タングストリン酸、モリブドケイ酸及びモリブドリン酸などのヘテロポリ酸;などが挙げられる。
【0032】
本発明のノボラック型フェノール樹脂組成物に用いる第2のノボラック型フェノール樹脂(b)は、上記式(1)で表される構造を有するノボラック型フェノール樹脂である。その樹脂特性としては、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が1.0〜1.5の特性を有するものであり、その数平均分子量(Mn)として、前記第1のノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量よりも小さく、その差が400以上異なるものであり、好ましい数平均分子量の下限値が400、上限値が3000である。
【0033】
第2のノボラック型フェノール樹脂(b)において、前記式(1)における繰り返し数nについて、1〜10の整数とすることがより好ましく、このような範囲とすることにより、より良好な外観が得られ、樹脂の反応性がより向上し十分な硬化速度を得ることができる。また、得られる樹脂硬化物の耐熱性や機械強度が向上する。
【0034】
また、前記分散比(Mw/Mn)としては、第1のノボラック型フェノール樹脂(a)と同様に、より好ましくは下限値が1.0、上限値が1.2である。前記分散比はその値が低く、分子量分布がシャープなほど好ましく、前記上限値以下では、より充分な硬化速度を得ることができ、得られる硬化物の外観も良好なものとなるのでより好ましい。
【0035】
第2のノボラック型フェノール樹脂(b)において、フェノール核間に芳香族基ではないメチレン結合やジシクロペンタジエン骨格を有するものでは、硬化速度が遅くなり、また得られた硬化物の物性も低下してしまい好ましくない。また、これらフェノール核間の構造が、フェノール核の水酸基のオルソ位だけではなく、パラ位に結合している構造を含んだ樹脂では、耐熱性の低下を引き起こしたり、硬化速度が遅くなってしまい好ましくない。
【0036】
これらの樹脂は、分散比が1.5を超えてしまう場合、第1のノボッラク型フェノール樹脂と同様に、分画、分種等の手段により、数重量平均分子量(Mn)を調整するとともに、上記分散比(Mw/Mn)の範囲になるように調整して用いることができる。
【0037】
本発明のノボラック型フェノール樹脂組成物において、前記第1のノボラック型フェノール樹脂(a)と前記第2のノボラック型フェノール樹脂(b)の重量比(a)/(b)としては、好ましい下限値が0.5で、好ましい上限値が2.0である。より好ましくは下限値が0.8、上限値が1.2である。前記下限値以上では、高分子量成分が必要量存在しており、多数ある高分子鎖間を低分子鎖で架橋することにより、架橋が発達した高分子量硬化物を得ることができ、充分な硬化物物性を得ることができる。また、前記上限値以下では、高分子成分に比べ拡散速度の速い低分子量成分が必要量存在しており、十分な硬化速度を得ることができる。
【0038】
本発明のノボラック型フェノール樹脂組成物は、上記成分を混合して得られるが、これらの成分以外に、必要に応じて、後述する硬化剤や、硬化促進剤、シランカップリング剤、着色剤、難燃剤および離型剤など、ノボラック型フェノール樹脂組成物に用いられる各種添加剤を配合することができる。
【0039】
本発明のノボラック型フェノール樹脂組成物において、製造方法は特に制限されることはないが、上記成分、必要に応じて、各種添加剤を、公知のミキサーで混合することにより得ることができ、また、これらを溶融混合しても良い。
【0040】
また、本発明は、前記ノボラック型フェノール樹脂組成物、硬化剤及び充填材を含む熱硬化性樹脂成形材料である。
【0041】
本発明の熱硬化性樹脂成形材料に用いる硬化剤としては、ヘキサメチレンテトラミン及びポリアセタール樹脂などのアルデヒド発生源などを挙げることができる。
前記ヘキサメチレンテトラミンとしては、通常のノボラック型フェノール樹脂の硬化剤として使用される粉末状のものが用いられ、その使用量としては、前記第1のノボラック型フェノール樹脂(a)と前記第2のノボラック型フェノール樹脂(b)との合計量100重量部に対して、好ましい下限値が7重量部で、好ましい上限値が30重量部である。より好ましくは下限値が12重量部、上限値が20重量部である。前記下限値以上では、充分な硬化速度を得ることができ、前記上限値以下では、硬化時のガス発生量が少なく硬化物の外観がより良好なものとなるので好ましい。
【0042】
本発明の熱硬化性樹脂成形材料に用いる充填材としては、有機充填材および無機充填材などの充填材を用いることができる。有機充填材としては、木粉、合板粉、熱硬化性樹脂硬化物粉末および粉砕布などが挙げられ、無機充填材としては、ガラスビーズ、ガラスパウダー、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、クレーおよびマイカなどの粉末状充填材や、ガラス繊維およびカーボン繊維などの繊維状充填材などが挙げられ、これらの1種以上が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
本発明の熱硬化性樹脂成形材料における充填材の含有量としては、前記ノボラック型 フェノール樹脂組成物100重量部に対して、好ましい下限値が30重量部で、好ましい上限値が400重量部である。前記下限値以上では、前記成形材料の硬化物である成形品の機械的強度が充分であり、前記上限値以下では、成形時の流動性が良好で、成形時に金型内の充填性がより良好なものとなる。
【0044】
本発明の熱硬化性樹脂成形材料において、上記成分以外に、必要に応じて、他の樹脂類、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、あるいはシランカップリング剤、着色剤、難燃剤および離型剤など、公知の熱硬化性樹脂および熱硬化性樹脂成形材料に用いられる各種添加剤を配合することができる。
【0045】
本発明の熱硬化性樹脂成形材料において、製造方法は特に制限されることはないが、前記ノボラック型フェノール樹脂組成物またはその成分と、前記硬化剤および前記充填剤、必要に応じて、各種添加剤を、公知のミキサーで混合することにより得ることができ、また、これらを溶融混合しても良い。
【0046】
このようにして得られる本発明の熱硬化性樹脂組成物は、例えば、成形材料として、圧縮成形、移送成形または射出成形などの方法により、加熱することにより成形して成形品とすることができる。
また、本発明の熱硬化性樹脂成形材料は、硬化速度が速いため、成形材料、積層板および接着剤などの種々の用途に好適に使用される。
【実施例】
【0047】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制約されるものではない。
【0048】
(実施例1)
[ノボラック型フェノール樹脂の製造]
温度計、攪拌装置、リービッヒ冷却管を備えたフラスコ中に、ジクロロエタン(関東化学(株)製)400gを入れ、その中に、パラターシャリーブチルフェノール(関東化学(株)製)150g(1モル)、2,2’−ビス(ブロモメチル)ビフェニル(シグマアルドリッチジャパン(株)製)136g(0.4モル)を添加し、室温にて攪拌しながら溶解させた。その後、硫酸(関東化学(株)製)2gを添加し、還流温度まで徐々に昇温し、3時間反応を続けた。室温まで放冷した後、反応液を、1%水酸化ナトリウム水溶液500mLへ徐々に滴下し、室温にて30分攪拌した。静置後、二層分離した油層側を取り出し、水で数回洗浄した後、減圧下にて、反応溶媒であるジクロロエタンを留去させ、フラスコ内を200℃まで昇温し、未反応のパラターシャリーブチルフェノールを系外へ昇華により除き、目的とするノボラック型フェノール樹脂前駆体(b)−1を得た。
得られたノボラック型フェノール樹脂前駆体(b)−1を、液体クロマトグラフ法(GPC)により、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分散比(Mw/Mn)について測定したところ、ノボラック型フェノール樹脂(b)−1の数平均分子量(Mn)は650、分散比は2.7であった。
測定において、液体クロマトグラフィーは、東ソー製GPCカラム(G1000HXL:1本、G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を用い、流量1.0ml/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で示差屈折計を検出器として用いて行い、分子量、分子量分布は、標準ポリスチレンにより換算した。
【0049】
さらに、温度計、攪拌装置及びコンデンサーを備えたフラスコ中に、上記で得られたノボラック型フェノール樹脂(b)−1を10重量部、トルエン(関東化学(株)製)100重量部、塩化アルミニウム(関東化学(株)製)1重量部を加えて、攪拌しながら、徐々に還流温度まで昇温し、その後3時間反応を続けて、フェノール水酸基のパラ位の置換基の脱保護を行った。室温まで放冷した後、反応液を、3%塩酸500mLへ徐々に滴下し、氷浴中で30分攪拌した。二層分離した油層側を取り出し、水で数回洗浄した後、減圧乾燥を行い、目的とするノボラック型フェノール樹脂(b)−2を得た。この樹脂のGPCによる数平均分子量(Mn)は630、分散比は2.8であった。また、1H−NMR測定からターシャリーブチル基のメチルプロトンに由来するピークの消失が見られ、目的とする樹脂構造物が得られたことを確認した。
【0050】
[樹脂組成物の製造]
このようにして得られたノボラック型フェノール樹脂(b)−2を100重量部、およびヘキサメチレンテトラミン(関東化学(株)製)15重量部を、常温で混合した後、90℃の加熱ロールにより、3分間加熱溶融混練し、冷却後パワーミルで粉砕し、樹脂組成物を得た。
上記で得られた樹脂組成物を用いて、圧縮成形機にて、金型温度170℃、圧力100kg/cm2、時間2分間で、曲げ強度測定用試験片を得ることができた。
上記で得た試験片を用いて、JIS K6911に基づき、常温での曲げ強度を測定した。ガラス転移温度は、セイコーインスツルメント社製DMS6100を用いて、昇温速度5℃/min、測定周波数10Hz、窒素雰囲気下にて測定した。
【0051】
(実施例2)
[ノボラック型フェノール樹脂の製造]
実施例1のノボラック型フェノール樹脂の製造において、2,2’−ビス(ブロモメチル)ビフェニルを、同モル量の4,4’−ビス(ブロモメチル)ビフェニル(東京化成工業(株))に変更した以外は、ノボラック型フェノール樹脂前駆体(b)−1の合成と同様にして行い、ノボラック型フェノール樹脂前駆体(b)−3を得た。この得られた樹脂(b)−3のGPCによる数平均分子量(Mn)は810、分散比は2.7であった。
【0052】
さらに、上記で得たノボラック型フェノール樹脂前駆体(b)−3を、実施例1と同様にして脱保護反応を行い、目的とするノボラック型フェノール樹脂(b)−4を得た。この樹脂のGPCによる数平均分子量(Mn)は830、分散比は2.9であった。また、1H−NMR測定からターシャリーブチル基のメチルプロトンに由来するピークの消失が見られ、目的とする樹脂構造物が得られたことを確認した。
【0053】
[樹脂組成物の製造]
実施例1の樹脂組成物の製造において、ノボラック型フェノール樹脂(b)−2:100重量部を、上記で得られたノボラック型フェノール樹脂(b)−4:100重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を得、さらに試験片を作製し、評価を行った。
【0054】
(実施例3)
[ノボラック型フェノール樹脂の製造]
温度計、攪拌装置及びリービッヒ冷却管を備えたフラスコ中に、パラターシャリーブチルフェノール(関東化学(株)製)150g(1モル)、パラキシリレングリコールジメチルエーテル(イハラニッケイ化学工業(株)製)66.5g(0.4モル)、硫酸ジエチル(関東化学(株)製)0.15gを加え、攪拌しながら、徐々に還流温度まで昇温し、その後大気圧下で、縮合反応を進め、縮合時に発生するメタノールを系外へ留去した。メタノールの発生がなくなった後、減圧下にて、フラスコ内を200℃まで昇温し、未反応のパラターシャリーブチルフェノールを系外へ昇華により除き、ノボラック型フェノール樹脂前駆体(b)−5を得た。得られた樹脂のGPCによる数平均分子量(Mn)は790、分散比2.1であった。
【0055】
さらに、上記で得たノボラック型フェノール樹脂前駆体(b)−5を、実施例1と同様にして脱保護反応を行い、目的とするノボラック型フェノール樹脂(b)−6を得た。この樹脂のGPCによる数平均分子量(Mn)は740、分散比は2.3であった。また1H−NMR測定からターシャリーブチル基のメチルプロトンに由来するピークの消失が見られ、目的とする樹脂構造物が得られたことを確認した。
【0056】
[樹脂組成物の製造]
実施例1の樹脂組成物の製造において、ノボラック型フェノール樹脂(b)−2:100重量部を、上記で得られたノボラック型フェノール樹脂(b)−6:100重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を得、さらに試験片を作製し、評価を行った。
【0057】
(実施例4)
[ノボラック型フェノール樹脂の製造]
実施例1において、2,2’−ビス(ブロモメチル)ビフェニルを、4,4’’−ビス(ブロモメチル)−(1,1’,3’,1’’)ターフェニル167g(0.4モル、シグマアルドリッチジャパン(株)製)に変更した以外は、フェノール樹脂前駆体(b)−1の合成と同様にして行い、ノボラック型フェノール樹脂前駆体(b)−7を得た。この樹脂のGPCによる数平均分子量(Mn)は750、分散比は2.7であった。
【0058】
さらに、上記で得たノボラック型フェノール樹脂前駆体(b)−7を、実施例1と同様にして脱保護反応を行い、目的とするノボラック型フェノール樹脂(b)−8を得た。この樹脂のGPCによる数平均分子量(Mn)は740、分散比は2.9であった。また、1H−NMR測定からターシャリーブチル基のメチルプロトンに由来するピークの消失が見られ、目的とする樹脂構造物が得られたことを確認した。
【0059】
[樹脂組成物の製造]
実施例1の成形材料の製造において、ノボラック型フェノール樹脂(b)−2:100重量部を、上記で得られたノボラック型フェノール樹脂(b)−8:100重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を得、さらに試験片を作製し、評価を行った。
【0060】
[第1のフェノール樹脂合成]
(合成例1)
ホルムアルデヒド(以下Fと略す)、フェノール(以下Pと略す)のモル比、すなわちF/P比=0.75、フェノール100重量部に対し、シュウ酸1重量部を使用して合成したノボラック型フェノール樹脂−1(Mn=610)80重量部を、アセトン100重量部に溶解させた後、2000重量部のトルエンを加えて、攪拌した後に1日放置した。上澄み液を取り除いた後に残った析出物を、再びアセトンに溶解し、更に真空乾燥することにより、ノボラック型フェノール樹脂(a)−1を得た。得られたノボラック型フェノール樹脂を、GPCにより、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分散比(Mw/Mn)について測定したところ、ノボラック型フェノール樹脂(a)−1の数平均分子量(Mn)は1100、分散比は1.2であった。
【0061】
(合成例2)
F/P比=0.78、フェノール100重量部に対し、シュウ酸1重量部を使用して合成したノボラック型フェノール樹脂−2(Mn=810)80重量部を、アセトン100重量部に溶解させた後、2000重量部のトルエンを加えて、攪拌した後に1日放置した。上澄み液を取り除いた後に残った析出物を、再びアセトンに溶解し、更に真空乾燥することにより、ノボラック型フェノール樹脂(a)−2を得た。ノボラック型フェノール樹脂(a)−2のGPCによる数平均分子量(Mn)は2790、分散比は1.4であった。
【0062】
(合成例3)
F/P比=0.80、フェノール100重量部に対し、シュウ酸1重量部を使用して合成したノボラック型フェノール樹脂−3(Mn=950)80重量部を、アセトン100重量部に溶解させた後、2000重量部のトルエンを加えて、攪拌した後に1日放置した。上澄み液を取り除いた後に残った析出物を、再びアセトンに溶解し、更に真空乾燥することにより、ノボラック型フェノール樹脂−4を得た。このノボラック型フェノール樹脂−4 80重量部をアセトン100重量部に溶解させた後、2000重量部のトルエンを加えて、攪拌した後に1日放置した。上澄み液を取り除いた後に残った析出物を、再びアセトンに溶解し、更に真空乾燥することにより、ノボラック型フェノール樹脂(a)−3を得た。ノボラック型フェノール樹脂(a)−3のGPCによる数平均分子量(Mn)は8410、分散比は1.4であった。
【0063】
[第2のフェノール樹脂合成]
(合成例4)
実施例1において得られたノボラック型フェノール樹脂(b)−2(Mn=630、分散比2.8)80重量部を、アセトン100重量部に溶解させた後、2000重量部のトルエンを加えて、攪拌した後に1日放置した。上澄み液を真空乾燥することにより樹脂を得た後、再びアセトン50重量部に溶解させ、2000重量部のトルエンを加えて、攪拌した後に1日放置した。上澄み液を取り除いた後に残った析出物を、再びアセトンに溶解し、更に真空乾燥することにより、ノボラック型フェノール樹脂(b)−2Sを得た。この樹脂のGPCによる数平均分子量(Mn)は690、分散比は1.6であった。
【0064】
(合成例5〜7)
合成例4において、ノボラック型フェノール樹脂(b)−2を、実施例2〜4において得られたノボラック型フェノール樹脂(b)−4、6、8に変更した以外は、合成例4と同様にして、ノボラック型フェノール樹脂(b)−4S、6S、8Sをそれぞれ得た。
【0065】
(実施例5)
合成例4で得られたノボラック型フェノール樹脂(b)−2S 50重量部、合成例1で得られたノボラック型フェノール樹脂(a)−1 50重量部、およびヘキサメチレンテトラミン15重量部を、常温で混合した後、90℃の加熱ロールにより3分間加熱溶融混練し、冷却後パワーミルで粉砕し、フェノール樹脂組成物を得た。
上記で得られたフェノール樹脂組成物を用いて、圧縮成形機にて、金型温度170℃、圧力100kg/cm2、時間2分間で成形して、曲げ強度測定用試験片を得ることができた。
【0066】
上記で得た試験片を用いて、JIS K6911に基づき、常温での曲げ強度を測定した。ガラス転移温度は、セイコーインスツルメント社製DMS6100を用いて、昇温速度5℃/min、測定周波数10Hz、窒素雰囲気下にて測定した。
また、上記で得られたフェノール樹脂組成物を用いて、硬化速度の指標であるゲル化時間の評価を行った。ゲル化時間は、170℃(熱硬化性樹脂組成物の成形温度)に保った熱板上に、1gの試料をのせ、スパチュラで、常時、かき混ぜながら、スパチュラを持ち上げても、樹脂組成物が糸を引かなくなるまでの時間を測定した。この時間が短いほど、硬化速度が速いことを示す。
【0067】
(実施例6〜12)
表1に示す原料とその割合により混合して、フェノール樹脂組成物を作製し、評価を行った。
【0068】
[成形材料の製造]
(実施例13)
実施例1で得られたノボラック型フェノール樹脂組成物100重量部、木粉(大友化成(株)製)150重量部、ステアリン酸(花王(株)製)3重量部、およびカーボンブラック(三菱化学(株)製)2重量部を、常温で混合した後、90℃の加熱ロールにより3分間加熱溶融混練し、冷却後パワーミルで粉砕し、フェノール樹脂成形材料を得た。
上記で得られたフェノール樹脂材料を用いて、圧縮成形機にて、金型温度170℃、圧力100kg/cm2、時間2分間で成形して、曲げ強度測定用試験片を得ることができた。
【0069】
上記で得た試験片を用いて、JIS K6911に基づき、常温での曲げ強度を測定した。ガラス転移温度は、セイコーインスツルメント社製DMS6100を用いて、昇温速度5℃/min、測定周波数10Hz、窒素雰囲気下にて測定した。
また、上記で得られたフェノール樹脂成形材料を用いて、硬化速度の指標であるゲル化時間の評価を行った。ゲル化時間は、170℃に保った熱板上に、1gの試料をのせ、スパチュラで、常時、かき混ぜながら、スパチュラを持ち上げても、フェノール樹脂成形材料が糸を引かなくなるまでの時間を測定した。この時間が短いほど、硬化速度が速いことを示す。
【0070】
(実施例14〜16)
表1に示す原料とその割合により、それぞれ混合して、フェノール樹脂成形材料を作製し、評価を行った。
上記実施例1〜16で得られた結果を、表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
(比較例1)
実施例1において、パラターシャリーブチルフェノール150g(1モル)を、フェノール(関東化学(株)製)94g(1モル)に変更した以外は、フェノール樹脂(b)−1の合成と同様にして行い、フェノール樹脂(c)−1を得た。この得られた樹脂(c)−1の数平均分子量(Mn)は780、分散比は3.1であった。
表2に示す原料とその割合により混合して、フェノール樹脂組成物を得た。また、これを実施例1と同様にして、評価を行った。
【0073】
(比較例2)
実施例2において、パラターシャリーブチルフェノール150g(1モル)を、フェノール(関東化学(株)製)94g(1モル)に変更した以外は、フェノール樹脂(b)−3の合成と同様にして行い、フェノール樹脂(c)−2を得た。この得られた樹脂(c)−2の数平均分子量(Mn)は860、分散比は2.9であった。
表2に示す原料とその割合により混合して、フェノール樹脂組成物を得た。また、これを実施例1と同様にして、評価を行った。
【0074】
(比較例3)
実施例3において、パラターシャリーブチルフェノール150g(1モル)を、フェノール(関東化学(株)製)94g(1モル)に変更した以外は、フェノール樹脂(b)−5の合成と同様にして行い、フェノール樹脂(c)−3を得た。この得られた樹脂(c)−3の数平均分子量(Mn)は750、分散比は3.6であった。
表2に示す原料とその割合により混合して、フェノール樹脂組成物を得た。また、これを実施例1と同様にして、評価を行った。
【0075】
(比較例4)
実施例4において、パラターシャリーブチルフェノール150g(1モル)を、フェノール(関東化学(株)製)94g(1モル)に変更した以外は、フェノール樹脂(b)−7の合成と同様にして行い、フェノール樹脂(c)−4を得た。この得られた樹脂(c)−4の数平均分子量(Mn)は760、分散比は2.9であった。
表2に示す原料とその割合により混合して、フェノール樹脂組成物を得た。また、これを実施例1と同様にして、評価を行った。
【0076】
(比較例5〜11)
表2に示す原料とその割合により、それぞれ混合して、フェノール樹脂組成物を得た。また、これを実施例5と同様にして、評価を行った。
【0077】
(比較例12、13)
表2に示す原料とその割合により、それぞれ混合して、フェノール樹脂成形材料を得た。また、これを実施例13と同様にして、評価を行った。
【0078】
上記比較例1〜13で得られた結果を、表2に示す。
【表2】

【0079】
上記の表1及び表2の結果からも明らかなように、本発明のノボラック型フェノール樹脂は、硬化物として耐熱性および機械的強度が向上し、また本発明のノボラック型フェノール樹脂組成物および熱硬化性樹脂成形材料は、耐熱性、機械強度に優れ、成形温度で速やかに硬化しており、生産性と成型加工性がともに優れている結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明よれば、硬化物として耐熱性および機械的強度が向上するノボラック型フェノール樹脂が得られる。また硬化速度が極めて速いノボラック型フェノール樹脂組成物および熱硬化性樹脂成形材料が得られ、成形材料、積層板、接着剤等の従来よりフェノール樹脂組成物が用いられてきた用途に好適に用いられる。また、自動車用部品、機構部品、電機・電子部品等の用途にも好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される構造を有するノボラック型フェノール樹脂。
【化1】

【請求項2】
前記ノボラック型フェノール樹脂が式(2)で表される構造を有するものである請求項1に記載されたノボラック型フェノール樹脂。
【化2】

【請求項3】
前記ノボラック型フェノール樹脂が式(3)で表される構造を有するものである請求項1又は2に記載されたノボラック型フェノール樹脂。
【化3】

【請求項4】
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が1.0〜1.5である、第1のノボラック型フェノール樹脂と第2のノボラック型フェノール樹脂と、を含むフェノール樹脂組成物であって、前記第1のノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量が、前記第2のノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量より大きく、その差が400以上異なるものであり、第2のノボラック型フェノール樹脂が、請求項1〜3のいずれか1項に記載のノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とするノボラック型フェノール樹脂組成物。
【請求項5】
前記第1のノボラック型フェノール樹脂は、1,000〜10,000の数平均分子量を有するものである請求項4記載のノボラック型フェノール樹脂組成物。
【請求項6】
前記第1のノボラック型フェノール樹脂(a)と前記第2のノボラック型フェノール樹脂(b)は、重量比(a)/(b)0.5〜2.0で含むものである請求項4又は5に記載されたノボラック型フェノール樹脂組成物。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載されたノボラック型フェノール樹脂組成物、硬化剤及び充填材を含む熱硬化性樹脂成形材料。

【公開番号】特開2009−96982(P2009−96982A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88336(P2008−88336)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】