説明

ノード、ネットワーク、ノード制御装置、リンク制御方法およびそのプログラム

【課題】複数のIPリンクが故障した場合、輻輳が発生する可能性の高いリンクを特定する。
【解決手段】ネットワークのトポロジ情報やリンクコストの値等を示したネットワーク設定情報132と、故障パターンを示した故障箇所情報133とを用いて、この故障パターンごとの迂回経路を示した経路情報134を作成する。そして、ネットワーク内の交流トラヒック量を示した交流トラヒック情報131と、この経路情報134とを用いて、故障パターンごとに、各リンクのトラヒック量を推測する。ここで、リンクのうち、当該リンクのトラヒック量が、そのリンクの最大利用可能帯域を超えているリンクがあったとき、そのリンクを輻輳発生リンクと判断する。そして、この故障パターンと、輻輳発生リンクと、その輻輳発生リンクにおける最大利用可能帯域を超えているトラヒック量(影響トラヒック量)とを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク内のリンクを可能な限りパワーオフする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワーク内のマルチパスを用いることで、ネットワーク内の負荷分散を図る技術や、マルチパスのQoS(Quality of Service)やスループットを向上させる技術がある(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−13439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記した技術のいずれもが、ノード間を接続するリンクのリンク使用率(そのリンクのトラヒック量÷そのリンクの最大利用帯域)を低下させたとしても、そのリンクによる通信を可能とするための電力が必要となる。例えば、リンクにイーサネット(登録商標)を用いた場合、10Gbpsのリンク1本あたり約40Wの電力を必要とする。これは、リンク使用率が比較的低い場合も同様である。また、光リンクを用いた場合も、PLL(Phase-Locked Light)の関係で、通信速度を落とすことができない。よって、リンク使用率を低下させたとしても、フルレートで通信する場合と消費電力はほとんど変わらない。
【0005】
そこで、本発明は、前記した問題を解決し、ネットワーク全体の消費電力を低減することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ネットワーク内の経路をショーテストパスルーチングにより決定するノードであって、ネットワークのトポロジおよびネットワーク内の各リンクのリンクコストの値を示したトポロジ情報と、ノードに接続されるリンクそれぞれの最大利用可能帯域およびリンク使用率を示したリンク使用率情報とを記憶する記憶部と、コネクションの確立要求および切断要求を受け付けるコネクション受付部と、トポロジ情報に示されるトポロジおよび各リンクのリンクコストを参照して、確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定する経路計算部と、決定されたリンク上におけるコネクションの確立および切断要求の対象のコネクションの切断を行うコネクション確立部と、確立されたコネクションのトラヒック量および切断されたコネクションのトラヒック量をもとに、リンク使用率情報におけるリンク使用率を更新するリンク使用率更新部と、更新されたリンク使用率情報にもとづき、当該リンクのリンクコストを、所定のリンク使用率を上限値として、そのリンクのリンク使用率が高いほど低い値として計算し、この計算した値を用いて、トポロジ情報における当該リンクのリンクコストを更新するコスト計算部と、ノードに接続されるリンクのパワーオフまたはパワーオンの制御を行うパワー制御部と、更新されたリンク使用率情報を参照して、自身のノードに接続されるリンクのリンク使用率が0であると判断したとき、パワー制御部に、当該リンクのパワーオフを指示するパワー制御判断部とを備え、コネクション受付部により、新たなコネクションの確立要求を受け付けたとき、経路計算部は、更新されたトポロジ情報に示される各リンクのリンクコストを参照して、確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを計算することを特徴とする。
【0007】
請求項7に記載の発明は、ネットワークのトポロジおよびネットワーク内の各リンクのリンクコストの値を示したトポロジ情報と、ノードに接続されるリンクそれぞれの最大利用可能帯域およびリンク使用率を示したリンク使用率情報とを記憶する記憶部を備えるノードが、コネクションの確立要求および切断要求を受け付けるステップと、トポロジ情報に示されるトポロジおよび各リンクのリンクコストを参照して、確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定するステップと、決定されたリンク上におけるコネクションの確立および切断要求の対象のコネクションの切断を行うステップと、確立されたコネクションのトラヒック量または切断されたコネクションのトラヒック量をもとに、リンク使用率情報におけるリンク使用率を更新するステップと、更新されたリンク使用率情報にもとづき、当該リンクのリンクコストを、所定のリンク使用率を上限値として、そのリンクのリンク使用率が高いほど低い値として計算し、この計算した値を用いて、トポロジ情報における当該リンクのリンクコストを更新するステップと、リンク使用率の更新の結果、自身のノードに接続されるリンクのリンク使用率が0になったとき、当該リンクを備えるノードに、当該リンクのパワーオフを指示するステップと、新たなコネクションの確立要求を受け付けたとき、更新されたトポロジ情報に示される各リンクのリンクコストを参照して、確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定するステップとを実行することを特徴とするリンク制御方法とした。
【0008】
このようにすることで、ノード(例えば、ルータ)は、リンクのリンクコストの値を、所定のリンク使用率(例えば、「0.8」)を上限値として、そのリンクのリンク使用率(そのリンクに確立されたコネクションのトラヒック量÷そのリンクの最大利用可能帯域)が高いほど低い値に更新する。ここで、ノードはコネクションの経路を計算するとき、ショーテストパスにより、できるだけリンクコストの値が小さいリンクを選ぶので、ノードは、新規コネクションの確立要求を受け付けたとき、より多くのトラヒック量が流れるリンクの方を選択することになる。つまり、ノードが、新規コネクションの確立要求を受け付けるたびに上記の処理を繰り返すことで、より多くのトラヒックの流れるリンクに新規コネクションが確立されていくことになる。ここで、ノードは、既存のコネクションについては、コネクションの切断要求を受け付けるたびに、切断していく。よって、トラヒック量の少ないリンクに確立されていたコネクションは徐々に消滅していくことになる。そして、ノードは、このようにしてコネクションが消滅したリンク(つまり、トラヒック量が「0」になったリンク)について、そのリンクをパワーオフにする。よって、ノードの消費電力を低減することができ、また、このようなノードにより構成されるネットワーク全体の消費電力も低減することができる。なお、ノードは、リンクコストを計算するとき、リンク使用率が高いほど、リンクコストの値を低い値として計算するのは、所定のリンク使用率(例えば、「0.8」)までとする。よって、ノードは、過度なリンク使用率(例えば、「0.9」)のリンクが発生しないようにすることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のノードが、パワーオフとなったリンクの識別情報を示したリンク情報を記憶部に記憶し、トポロジ情報における、パワーオフとなったリンクのリンクコストの値として、所定のリンク使用率に対応するリンクコストの値よりも小さい所定の値を設定するリンク管理部を備え、経路計算部により確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを計算した結果、そのショーテストパスで用いるリンクに、リンク使用率情報におけるリンク使用率が所定のリンク使用率以上のリンクがある場合、パワー制御判断部は、リンク情報およびトポロジ情報を参照して、リンク使用率が所定のリンク使用率以上のリンクと接続先が同じリンクで、かつ、パワーオフとなっているリンクがあると判断したとき、パワー制御部に、当該リンクのパワーオンを指示し、経路計算部は、パワーオンとなったリンクを含めて、再度、確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定し、コネクション確立部は、決定されたリンク上にコネクションを確立し、リンク使用率更新部は、確立されたコネクションのトラヒック量をもとに、リンク使用率情報を更新し、コスト計算部は、更新されたリンク使用率情報にもとづき、当該リンクのリンクコストを、そのリンクのリンク使用率が高いほど高い値として計算し、この計算した値を用いて、トポロジ情報における当該リンクのリンクコストを更新し、コネクション受付部により、新たなコネクションの確立要求を受け付けたとき、経路計算部は、更新されたトポロジ情報に示される各リンクのリンクコストを参照して、確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定することを特徴とする。
【0010】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のリンク制御方法において、ノードが、パワーオフとなったリンクの識別情報を示したリンク情報を記憶部に記憶するステップと、トポロジ情報における、パワーオフとなったリンクのリンクコストの値として、所定のリンク使用率に対応するリンクコストの値より小さい所定の値を設定するステップと、確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定した結果、そのショーテストパスで用いるリンクに、リンク使用率情報におけるリンク使用率が所定のリンク使用率以上のリンクがある場合、リンク情報およびトポロジ情報を参照して、リンク使用率が所定のリンク使用率以上のリンクと接続先が同じリンクで、かつ、パワーオフとなっているリンクがあると判断したとき、当該リンクを備えるノードに、当該リンクのパワーオンを指示するステップと、パワーオンとなったリンクを含めて、再度、確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定するステップと、決定されたリンク上にコネクションを確立するステップと、確立されたコネクションのトラヒック量をもとに、リンク使用率情報を更新するステップと、更新されたリンク使用率情報にもとづき、当該リンクのリンクコストを、そのリンクのリンク使用率が高いほど高い値として計算し、この計算した値を用いて、トポロジ情報における当該リンクのリンクコストを更新するステップと、新たなコネクションの確立要求を受け付けたとき、更新されたトポロジ情報に示される各リンクのリンクコストを参照して、確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定するステップとを実行することを特徴とする。
【0011】
このようなノードによれば、所定のリンク使用率(例えば、「0.9」)以上のリンク(過負荷リンク)があったとき、いままでパワーオフだったリンクの中から、この過負荷リンクの接続先と同じ接続先のリンクを選択し、パワーオンにする。なお、ノードは、パワーオフだったリンクをパワーオンにした後、更新したリンク使用率情報をもとに、リンク使用率が高いほどリンクコストの値を高い値として計算する。また、パワーオンになったリンクには、このリンクがパワーオフになったときに、この所定のリンク使用率(例えば、「0.9」)に対応するリンクコストの値(例えば、「99」)よりも小さい値が設定されているので、そのパワーオンにしたリンクを新規コネクションの経路として選択する。つまり、過度にトラヒックが集中しているリンクがあったとき、今までパワーオフだったリンクに新規コネクションを確立するようにする。したがって、ネットワーク内のリンクにおける過度のトラヒックの集中を解消し、安定した通信環境を確保できる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のノードを複数含んでなることを特徴とするネットワークである。
【0013】
このようなネットワークによれば、ネットワーク全体の消費電力を低減し、かつ、安定した通信環境を確保できる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、ネットワーク内のノードを制御するノード制御装置であって、ネットワークのトポロジおよびネットワーク内の各リンクのリンクコストの値を示したトポロジ情報と、ノードに接続されるリンクそれぞれの最大利用可能帯域およびリンク使用率を示したリンク使用率情報とを記憶する記憶部と、コネクションの確立要求および切断要求を受け付けるコネクション受付部と、トポロジ情報に示されるトポロジおよび各リンクのリンクコストを参照して、確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定する経路計算部と、決定されたリンク上におけるコネクションの確立および切断要求の対象のコネクションの切断の指示を、ノードに対し送信するコネクション確立制御部と、確立されたコネクションのトラヒック量および切断されたコネクションのトラヒック量をもとに、リンク使用率情報におけるリンク使用率を更新するリンク使用率更新部と、更新されたリンク使用率情報にもとづき、当該リンクのリンクコストを、所定のリンク使用率を上限値として、そのリンクのリンク使用率が高いほど低い値として計算し、この計算した値を用いて、トポロジ情報における当該リンクのリンクコストを更新するコスト計算部と、ノードに対し、当該ノードに接続されるリンクのパワーオフまたはパワーオンの指示を送信するパワー制御部と、リンク使用率更新部によるリンク使用率の計算の結果、そのリンク使用率が0になったとき、パワー制御部に、当該リンクのパワーオフを指示するパワー制御判断部とを備えることを特徴とする。
【0015】
このようにすることで、ノード制御装置は、ネットワーク内の各ノードを制御し、新規コネクションを所定のリンクに偏らせて確立させていく。その結果、トラヒック量が「0」が生じやすくなるので、そのトラヒック量が「0」となったリンクをパワーオフにすることができる。よって、ノードの消費電力を低減することができ、また、このようなノードにより構成されるネットワーク全体の消費電力も低減することができる。なお、このノード制御装置は、PCE(Path Computation Element)により実現される。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のノード制御装置が、ノードから、OSPF経路情報により、パワーオフとなったリンクの識別情報およびそのリンクのリンクコストの値を示した情報を受信するOSPF経路情報受信部と、受信したOSPF経路情報に示されるパワーオフとなったリンクの識別情報を示したリンク情報を記憶部に記憶し、トポロジ情報における、パワーオフとなったリンクのリンクコストの値として、所定のリンク使用率に対応するリンクコストの値よりも小さい値を設定するリンク管理部を備え、経路計算部により確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定した結果、そのショーテストパスで用いるリンクに、リンク使用率情報におけるリンク使用率が所定のリンク使用率以上のリンクがある場合、パワー制御判断部は、リンク情報およびトポロジ情報を参照して、リンク使用率が所定のリンク使用率以上のリンクと接続先が同じリンクで、かつ、パワーオフとなっているリンクがあると判断したとき、パワー制御部に、当該リンクのパワーオンを指示し、経路計算部は、パワーオンとなったリンクを含めて、再度、確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定し、コネクション確立制御部は、決定されたリンク上へのコネクションの確立の指示をノードに対し送信し、リンク使用率更新部は、確立されたコネクションのトラヒック量をもとに、リンク使用率情報を更新し、コスト計算部は、更新されたリンク使用率情報にもとづき、当該リンクのリンクコストを、そのリンクのリンク使用率が高いほど高い値として計算し、この計算した値を用いて、トポロジ情報における当該リンクのリンクコストを更新し、コネクション受付部により、新たなコネクションの確立要求を受け付けたとき、経路計算部は、更新されたトポロジ情報に示される各リンクのリンクコストを参照して、確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定することを特徴とする。
【0017】
このようにすることで、ノード制御装置は、リンク使用率が所定の値以上のリンク(過負荷リンク)があったとき、いままでパワーオフだったリンクの中から、この過負荷リンクの接続先と同じ接続先のリンクを選択し、パワーオンにする。そして、そのパワーオンにしたリンクを用いて新規コネクションを確立する。したがって、ネットワーク内の過度のトラヒックの集中を解消し、安定した通信環境を確保できる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5に記載のノード制御装置からの指示にもとづき、リンクのパワーオフおよびパワーオフを行うノードであって、リンクのパワーオフを行ったとき、このリンクの識別情報およびそのリンクのリンクコストの値を設定したOSPF経路情報をノード制御装置へ広告することを特徴とする。
【0019】
このようにすることで、ノードは、OSPF経路情報によりパワーオフしたリンクの識別情報と、そのリンクに設定したリンクコストをノード制御装置へ通知する。よって、このノード制御装置は、このノードにおいて確かに当該リンクがパワーオフされたことおよびそのパワーオフされたリンクのリンクコストを知ることができる。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項7または請求項8に記載のリンク制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとした。
【0021】
このようなプログラムによれば、一般的なコンピュータ(例えば、ルータ)に請求項7または請求項8に記載のリンク制御方法を実行させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ネットワーク全体の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施の形態のノードによるリンクのパワーオフまたはパワーオンの制御の概要を説明した図である。
【図2】第1の実施の形態のノードによるリンクのパワーオフまたはパワーオンの制御の概要を説明した図である。
【図3】第1の実施の形態のノードの構成を示したブロック図である。
【図4】図3のトポロジ情報を例示した図である。
【図5】図3のノードの処理手順を示したフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態のノード制御装置を含むシステムの構成図である。
【図7】第2の実施の形態のノード制御装置の構成を示したブロック図である。
【図8】第2の実施の形態のノードの構成を示したブロック図である。
【図9】図7のノード制御装置の処理手順を示したフローチャートである。
【図10】各実施の形態の効果を説明するために引用した図である。
【図11】各実施の形態のコスト計算部が計算するリンクコストの計算式と、そのグラフとを例示した図である。
【図12】(a)および(b)は、図8のノードの構成例を示した図である。(c)は、他の実施の形態を説明するために引用した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態を、第1の実施の形態および第2の実施の形態に分けて説明する。
【0025】
≪第1の実施の形態≫
まず、図1および図2を用いて、第1の実施の形態のノードによるリンクのパワーオフまたはパワーオンの制御の概要を説明する。ここでは、ノードは、コネクションを確立し、この確立したコネクションによりデータを送受信するノードである。このノードは、OSPF(Open Shortest Path First)等のショーテストパスルーチングにより、このコネクションで用いる経路(リンク)の選択を行う。つまり、コネクションの確立要求を受け付けたノードは、このノードに接続されるリンクのうち、よりリンクコストの小さいリンクにコネクションを確立するものとする。なお、以下の説明におけるリンク使用率とは、(そのリンクに確立されたコネクションのトラヒック量÷そのリンクの最大利用帯域)とする。また、このノード10は、図1の左下に示すように、他のノード10と複数のリンク、例えば、第1リンクおよび第2リンクにより接続されるものとする。
【0026】
ここで、ノードは、例えば、式(1)に基づき、自身のノードに接続されるリンクのリンクコストを計算する。
Max(10×1/(1−リンク使用率),10×1/(リンク使用率))…式(1)
つまり、ノードは、リンクの未使用率の逆数に10をかけた値と、リンク使用率の逆数に10をかけた値のうち、大きい方の値をリンクコストとして選択する。図1の右のグラフは、式(1)により計算されるリンクコストをグラフ化したものである。つまり、リンク使用率が「0.5」未満であれば、リンク使用率が高くなるほど、リンクコストの値は小さくなる。したがって、リンク使用率が「0.5」未満であれば、リンク使用率が高いリンクは、ショーテストパスルーチングで使われやすくなる。一方、リンク使用率が「0.5」以上になると、リンク使用率が高くなるほど、リンクコストの値は大きくなる。つまり、ショーテストパスルーチングで使われにくくなる。
【0027】
したがって、例えば、ノードに接続される第1リンクおよび第2リンクのリンク使用率がいずれも「0.5」以下で、図1の左上に示すように、第2リンクの使用率に対し第1リンクのリンク使用率が高かった場合、第1リンクのコストは低く計算される。よって、ノードは、新規コネクションの確立先として第1リンクを選択するので、この第1リンクのトラヒック量が増加する。つまり、リンク使用率が高くなる。このことでさらに、第1リンクのリンクコストが低くなり、新規コネクションは第1リンクに集中する。一方、第2リンクには、新規コネクションは確立されず、既存のコネクションが消滅すれば、そのままトラヒック量が減り、最終的にトラヒックは消滅する。そして、トラヒックが消滅したリンクをパワーオンしておく必要はないので、ノードはこのリンクをパワーオフする。
【0028】
このことを、図2(a)を用いて、詳細に説明する。例えば、最初、第1リンク、第2リンクともにリンク使用率が「0.2」のとき、リンクコストはともに「50」となる。この場合、ノードは新規コネクションの確立先として任意のリンクを選択する。ここで、ノードが新規コネクションの確立先として第1リンクを選択すると、第1リンクのトラヒック量が増加し、例えば、リンク使用率は「0.3」、リンクコストは「33」になる。また、第2リンクのリンク使用率は「0.1」、リンクコストは「70」になる。よって、ノードは新規コネクションの確立先として低コストリンク、つまり、第1リンクを選択し、第2リンクには新規コネクションは確立されなくなる。したがって、第2リンクのコネクションは徐々に減っていき、第2リンクのリンク使用率は低下する(これによりリンクコストは増加する)。そして、ノードは、第2リンクのコネクションがすべて消滅すると、第2リンクをパワーオフする。なお、ノードはこのパワーオフしたリンクのリンクコストを、例えば「99」に設定しておく。一方、第1リンクは新規コネクションが確立されていくので、リンク使用率は「0.4」、リンクコストは「25」になる。
【0029】
この後、第1リンクのトラヒック量がさらに増加したときの処理手順を、図2(b)を用いて説明する。ノードが第2リンクをパワーオフすると、ノードは第1リンクに新規コネクションを確立し続ける。この結果、例えば、第1リンクのリンク使用率が「0.7」となると、ノードは、前記した式(1)に基づき、リンクコストを約「33」と計算する。なお、このリンク使用率は「0.5」以上なので、ノードは、式(1)の10×1(1−リンク使用率))の値を用いてリンクコストを計算する(図1のグラフのリンク使用率「0.5」以上の部分参照)。
【0030】
この後、第1リンクに新規コネクションが確立され続けると、第1リンクが高負荷となり、さらにリンクコストは増加する。例えば、第1リンクのリンクコストは「120」になり、リンク使用率は約「0.83」になる。このまま第1リンクに新規コネクションが確立され続けると、第1リンクは過負荷の状態になるので、ノードは、第2リンクをパワーオンする。つまり、図1のグラフのリンク使用率が「0.9」以上の状態なので、現在パワーオフとなっている第2リンクをパワーオンする。ここで、パワーオンされた第2リンクのリンクコストは、前記したとおり、「99」である。つまり、このリンクコストの値は、第1リンクのリンクコスト(「120」)よりも低い値なので、ノードは、第2リンクを新規コネクションの確立先として選択する。その結果、第2リンクに、新規コネクションのトラヒックが流れ始め、例えば、第1リンクのリンク使用率は「0.85」、リンクコストは約「66」となり、第2リンクのリンク使用率は「0.15」、リンクコストも約「66」となる。つまり、片方のリンク(例えば、第1リンク)にトラヒックが集中しすぎるのを防止できる。
【0031】
このように、ノードは、リンク使用率が所定の値(例えば、「0.9」)を超えたときには、パワーオフしていたリンクをパワーオンして、このリンクへも新規コネクションを確立するようにする。ここで、ノードは、リンク使用率が所定の値(例えば、「0.5」)を超えると、リンク使用率が増加するほど、リンクコストを高い値として計算する(式(1)およびグラフ参照)。つまり、高負荷のリンクには、新規コネクションが確立されにくくなる。さらに、パワーオフしたリンクのリンクコストとして、この高負荷のリンクのリンクコストよりも低い値(例えば、「99」)を設定しておく。このようにすることで、このリンクをパワーオンしたときに、高負荷のリンクよりも、このパワーオンしたリンクの方が低リンクコストとなり、このパワーオンしたリンクに新規コネクションが確立されるので、高負荷のリンクの負荷が軽減される。
【0032】
以上説明したノードを用いてネットワークを構成することで、ノード間を流れるトラヒックを所定のリンクに寄せ、トラヒックが流れなくなったリンクを作ることができる。そして、このトラヒックが流れなくなったリンクをパワーオフするので、ネットワーク全体の消費電力を低減することができる。また、ノードは、高負荷のリンクがあるとき、パワーオフしていたリンクをパワーオンして復活させ、このリンクへもトラヒックを流すようにする。よって、ネットワーク全体の消費電力をできるだけ低減しつつ、安定した通信環境を確保できる。
【0033】
<構成>
このようなノードの構成を、図3を用いて説明する。図3に示すように、ノード10は、インタフェース部11(11A,11B,…,11N)、処理部12、記憶部13およびパワー制御部14を備える。このノード10は、他のノード10との間にコネクションを確立するルータにより実現される。処理部12は、このノード10が備えるCPU(Central Processing Unit)によるプログラム実行処理や、専用回路等により実現される。さらに、記憶部13は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記憶媒体から構成される。なお、ノード10をプログラム実行処理により実現する場合、記憶部13には、ノード10の機能を実現するためのプログラムが格納される。
【0034】
インタフェース部11は、他のノード10(図示省略)とのデータ伝送路であるリンクを収容する。インタフェース部11は、リンク経由で受信したデータを処理部12へ出力したり、処理部12から出力されたデータをリンク経由で他のノード10へ出力したりする。このインタフェース部11は、光リンクのインタフェースであってもよいし、イーサネット等のインタフェースであってもよい。このインタフェース部11は、パワー制御部14(詳細は後記)により、パワーオンされたり、パワーオフされたりする。パワーオンされると、このインタフェース部11に収容されるリンクによるデータ通信が可能となり、パワーオフされると、このインタフェース部11に収容されるリンクによるデータ通信はできなくなる。
【0035】
処理部12は、このノード10全体の制御を司り、ここでは主にコネクションで用いる経路(リンク)を決定したり、リンクのパワーオフやパワーオフの制御を行ったりする。このような処理部12は、コネクション受付部121と、経路計算部122と、コネクション確立部123と、リンク使用率更新部124と、コスト計算部125と、コスト設定部126と、パワー制御判断部127と、リンク管理部128とを備える。
【0036】
コネクション受付部121は、インタフェース部11経由で外部装置から、コネクションの確立要求を受け付ける。このコネクション確立要求は、コネクションの始点ノード、終点ノード、このコネクションに割り当てるトラヒック量等の情報を含む。
【0037】
経路計算部122は、トポロジ情報131(後記)に示されるネットワークのトポロジおよび各リンクのリンクコストを参照して、確立要求の対象のコネクションで用いる経路(リンク)を決定する。ここでの経路計算は、この経路計算部122が、OSPF等のショーテストパスルーチングを用いて、リンクコストが最小となるリンクを選択することにより行われる。なお、この経路計算部122で用いる、プロトコルは、リンクコスト値に基づくショーテストパス(最短経路)から経路を決定するプロトコルであればOSPFに限定されない。例えば、IS−IS(Intermediate System-to-Intermediate System)プロトコルを用いてもよい。
【0038】
コネクション確立部123は、経路計算部122により選択されたリンクを用いて、始点ノードから終点ノードまでのコネクションを確立する。
【0039】
リンク使用率更新部124は、リンク上に確立されたコネクションのトラヒック量および切断されたコネクションのトラヒック量をもとに、リンク使用率情報132(後記)における各リンクのリンク使用率を更新する。
【0040】
コスト計算部125は、更新されたリンク使用率情報132に基づき、トポロジ情報131における当該リンクのリンクコストを計算し、その計算した値を用いてトポロジ情報131におけるリンクコストの値を更新する。ここでのリンクコストの値は、例えば、前記した式(1)に基づき計算される。すなわち、コスト計算部125は、図1のグラフに例示したように、リンク使用率が所定の値(式(1)の場合、「0.5」)未満であれば、リンク使用率が高くなるほど、リンクコストの値を小さい値として計算する。つまり、トラヒック量が多いリンクほどリンクコストを小さい値として計算する。一方、リンク使用率が所定の値(式(1)の場合、「0.5」)以上であれば、リンク使用率が高くなるほど、リンクコストの値を大きな値として計算する。つまり、トラヒック量が多いリンクほどリンクコストを大きい値として計算する。ここで、経路計算部122は、前記したショーテストパスルーチングにより、よりリンクコストの小さいリンクを選ぶので、リンク使用率が所定の値(式(1)の場合、「0.5」)になるまでは、よりトラヒック量の多いリンクに新規コネクションが確立されるようになる。また、リンク使用率が所定の値(式(1)の場合、「0.5」)を超えると、リンク使用率が高くなるほど、リンクコストは高い値となる。よって、例えば、このリンクのリンク使用率が「0.9」を超えたあたりで、新規にリンクをパワーオンすると、この新規にパワーオンされたリンクの方が、リンクコストが低くなる可能性が高くなる。よって、この新規にパワーオンされたリンクの方に新規コネクションが確立されやすくなり、高負荷だったリンクの負荷分散を図ることができる。
【0041】
コスト設定部126は、このコスト計算部125により計算された各リンクのリンクコストを、このリンクを収容するインタフェース部11に対し設定する。
【0042】
パワー制御判断部127は、パワー制御部14(後記)に対し、リンクのパワーオフを指示するか、パワーオンを指示するかの判断を行う。具体的には、パワー制御判断部127は、リンク使用率情報132において、自身のノード10に接続されるリンクのリンク使用率が「0」になったとき、パワー制御部14に、このリンクのパワーオフを指示する。つまり、トラヒックを流す必要のないリンクをパワーオフする。また、リンク使用率情報132において、自身のノード10に接続されるリンクのリンク使用率が所定の値(例えば、「0.9」)を超えたとき、パワー制御判断部127は、パワー制御部14に対し、自身のノード10に接続されるパワーオフのリンクのパワーオンを指示する。ここでパワーオンを指示するリンクは、このリンク使用率が所定の値を超えたリンク(高負荷リンク)と、同じ接続先(ノード10)へ接続するリンクである。なお、このリンク使用率が所定の値を超えたリンク(高負荷リンク)と、同じ接続先(ノード10)へ接続するリンクがなかったときには、パワー制御判断部127は、この高負荷リンクをブロックする。つまり、この高負荷リンクを通信に用いないようにする。このようにすることで、高負荷リンクの負荷がさらに高くなることを避けることができる。
【0043】
リンク管理部128は、リンク情報133(後記)にリンクごとのパワーオン/パワーオンの情報を書き込む。例えば、パワー制御部14によりパワーオフされたリンクの識別情報をリンク情報133に書き込む。また、リンクがパワーオンされたときには、リンク管理部128は、このパワーオンされたリンクの識別情報をリンク情報133から削除する。また、リンク管理部128は、トポロジ情報131において、パワーオフとなったリンクのリンクコストとして、所定の値に設定する。ここでパワーオフとなったリンクに設定するリンクコストの値は、前記したパワー制御判断部127が、他のリンクをパワーオンすると判断するときに用いるリンク使用率の閾値(例えば、「0.9」)に対応するリンクコストの値よりも小さい値を設定するものとする。例えば、リンク使用率の閾値が「0.9」の場合、式(1)において、リンク使用率「0.9」に対応するリンクコストの値は「100」なので、このパワーオフしたリンクのリンクコストとして「100」よりも小さい値「99」を設定する。このようにすることで、パワーオンとなったリンクに新規コネクションが確立されやすくなる。
【0044】
パワー制御部14は、パワー制御判断部127からの指示に基づき、パワーオンまたはパワーオフするリンクを収容するインタフェース部11に対し、当該リンクのパワーオンまたはパワーオフを実行する。
【0045】
記憶部13は、トポロジ情報131と、リンク使用率情報132と、リンク情報133とを記憶する。
【0046】
トポロジ情報131は、ネットワークにおいてどのノード10とどのノード10とがリンク接続されるかを示した情報であり、このネットワーク内の各リンクのリンクコストの値を含む。このトポロジ情報131は、例えば、図4に示すように、ネットワーク内のノード10(10A,10B,10C,10D)と、そのノード10それぞれがどのようにリンク接続されるかを示した情報であり、そのリンクそれぞれのリンクコストの値を含む。例えば、図4のトポロジ情報131において、ノード10Aは、ノード10Bと2本のリンクにより接続され、そのリンクのリンクコストはそれぞれ「30」と「10」であることを示す。また、このノード10Aは、ノード10Cと1本のリンクにより接続され、そのリンクのリンクコストは「10」であることを示す。その他についても同様である。このトポロジ情報131は、経路計算部122が、コネクションの経路を計算するときに参照される。また、トポロジ情報131におけるリンクコストの値は、最初は初期値が設定され、その後、コスト計算部125により計算されたリンクコストの値に更新される。
【0047】
リンク使用率情報132は、自身のノードに接続されるリンクそれぞれのリンク使用率を示した情報である。このリンク使用率情報132は、以下の表1に例示するように、自身のノード10に接続されるリンクのリンクIDごとに、そのリンクの最大利用可能帯域と、そのリンクにおけるトラヒック量と、そのトラヒック量÷最大利用可能帯域の値であるリンク使用率とが示される。このリンク使用率情報132は、リンク使用率更新部124により更新される。例えば、リンク使用率更新部124は、新規コネクションが確立されると、その新規コネクションの経路であるリンクのトラヒック量を増加させ、リンク使用率の値もそれに応じて増加させる。また、リンク使用率更新部124は、コネクションが切断されると、そのコネクションの経路であったリンクのトラヒック量を減少させ、リンク使用率の値もそれに応じて減少させる。このリンク使用率情報132におけるリンク使用率の値は、経路計算部122がリンクコストを計算するときや、パワー制御判断部127が、リンクのパワーオン、パワーオフの判断をするときに参照される。
【0048】
【表1】

【0049】
リンク情報133(パワーオフ/オン情報)は、自身のノード10においてパワーオフとなったリンクの識別情報を示した情報である。このリンク情報133は、パワーオンとなったリンクの識別情報を含んでいてもよく、例えば、以下の表2に例示するように、リンクの識別情報ごとに、そのリンクがパワーオンかパワーオフかを記載するようにしてもよい。このようなリンク情報を参照することで、パワー制御判断部127は、各リンクがパワーオンかパワーオフかを知ることができる。
【0050】
【表2】

【0051】
<処理手順>
次に、適宜図3を参照しつつ、図5を用いて、ノード10の処理手順を説明する。まず、図3のノード10のコネクション受付部121は、新規コネクションの確立要求を受け付ける(S101)。次に、経路計算部122は、ショーテストパスの計算を行う(S102)。つまり、経路計算部122は、トポロジ情報131に示されるネットワークのトポロジおよび各リンクのリンクコストを参照して、自身のノード10に接続されるリンクのうち、この確立要求の対象のコネクションで用いるリンクの中から、リンクコストの低いものを選択する。
【0052】
ここで、パワー制御判断部127は、この選択したリンクのうち、リンク使用率が所定の値(例えば、「0.9」)以上のリンク(高負荷リンク)があるか否かを判断する(S103)。ここで、リンク使用率が所定の値(例えば、「0.9」)以上のリンクがなければ(S103のNo)、コネクション確立部123は、コネクション受付部121で受け付けた新規コネクションの確立処理を行う。これにより、S102で計算したショーテストパスのリンク(新規コネクション)にパケットが転送される(S107)。よって、このショーテストパスのリンクのトラヒック量が増加する。
【0053】
その後、ノード10は、リンクコストのアップデートを行う(S108)。すなわち、まず、ノード10のリンク使用率更新部124は、新規コネクションのトラヒック量を加算した当該リンクのトラヒック量をもとに、このリンクのリンク使用率を計算し、リンク使用率情報132を更新する。そして、コスト計算部125は、この更新されたリンク使用率情報132に示されるリンク使用率をもとに、前記した式(1)等を用いて、この新規コネクションを確立したリンクのリンクコストを計算する。次に、コスト計算部125は、トポロジ情報131における、新規コネクションを確立したリンクのリンクコストの値を、この計算したリンクコストの値に更新する。また、コスト設定部126は、コスト計算部125により計算されたリンクコストの値を、インタフェース部11へ設定する。
【0054】
このようなリンクコストのアップデートが行われた後、パワー制御判断部127は、リンク使用率情報132を参照して、自身のノード10に接続されるリンクに、リンク使用率が「0」のリンクがあるか否かを判断する(S109)。つまり、トラヒック量が「0」のリンクがあるか否かを判断する。ここで、リンク使用率が「0」のリンクがあれば(S109のYes)、パワー制御判断部127は、そのリンクのパワーオフをパワー制御部14に指示する(S110)。これを受けて、パワー制御部14は、当該リンクのパワーオフを実行する。そして、リンク管理部128は、当該リンクがパワーオフしたことを、リンク情報133に書き込む。また、リンク管理部128は、トポロジ情報131に、このパワーオフしたリンクのリンクコストの値として、所定の値(例えば、「99」)を設定する。一方、S109において、リンク使用率が「0」のリンクがなければ(S109のNo)、そのまま処理を終了する。
【0055】
なお、S103において、パワー制御判断部127が、この選択したリンクのうち、リンク使用率が所定の値(例えば、「0.9」)以上のリンク(高負荷リンク)があると判断したとき(S103のYes)、パワー制御判断部127は、トポロジ情報131およびリンク情報133を参照して、この高負荷リンクと同じ接続先(ノード10)へ接続するリンクで、パワーオフとなっているリンクがあるか否かを判断する(S104)。ここで、この高負荷リンクと同じ接続先(ノード10)へ接続するリンクで、パワーオフとなっているリンクがあれば(S104のYes)、パワー制御判断部127は、パワー制御部14に、このパワーオフとなっているリンクへのパワーオンを指示する。そして、パワー制御部14は、このパワーオフとなっているリンクをパワーオンする(S105)。そして、リンク管理部128は、このリンクがパワーオンになったことをリンク情報133に書き込み、S102へ戻る。つまり、このパワーオンしたリンクを含めて再度、ショーテストパスの計算を行う。一方、S104において、パワー制御判断部127は、トポロジ情報131およびリンク情報133を参照して、この高負荷リンクと同じ接続先(ノード10)へ接続するリンクで、パワーオフとなっているリンクがないとき(S104のNo)、その高負荷リンクをブロックする(S106)。そして、処理を終了する。このようにすることで、高負荷リンクの負荷がさらに高くなるのを避けることができる。
【0056】
なお、ここでは説明を省略したが、ノード10は、コネクション受付部121によりコネクションの切断要求を受け付けるたび、コネクション確立部123により当該コネクションの切断処理を行い、リンク使用率更新部124は、このコネクションが切断されたリンクのトラヒック量を削減し、リンク使用率情報132を更新する。そして、S109と同様に、パワー制御判断部127が、この更新されたリンク使用率情報132を参照して、リンク使用率が「0」のリンクがあった場合には、このリンクのパワーオフをパワー制御部14に指示する。したがって、ノード10が、以上説明した処理を新規コネクションの確立要求を受け付けるたびに実行することで、所定のリンク使用率を上限として、複数のリンクを流れるトラヒックを所定のリンクに集中させることができる。その結果、コネクションが徐々に消滅し、トラヒック量が「0」となるリンクができやすくなるので、このリンクをパワーオフすることで、ネットワーク全体の消費電力を低減することができる。また、このようにリンクをパワーオフした後、パワーオンのリンクが高負荷になった場合、パワーオフしたリンクを復活させ、このリンクに新規コネクションを確立するようにするので、所定のノードが過負荷になるのを防止できる。
【0057】
≪第2の実施の形態≫
次に、図6を用いて、本発明の第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態は、ノード30と、このノード30間のコネクションの確立や、このコネクションにおける経路計算を行うノード制御装置20を含むシステムである。このノード制御装置20が、各ノード30のリンクのパワーオフまたはパワーオンを制御する。つまり、ノード制御装置20は、ネットワークのリンクそれぞれのトラヒック量を取得し、この取得したトラック量をもとにリンクそれぞれのリンクコストを更新する。よって、ノード制御装置20は、ネットワーク全体のリンクのうち、どのリンクをパワーオフし、どのリンクをパワーオフすればよいかを判断できる。このノード制御装置20は、例えば、ノード30(30A,30B,30C,30D)を遠隔で制御するPCEにより実現される。
【0058】
<構成>
このようなノード制御装置20の構成を、図7を用いて説明する。図7に示すように、ノード制御装置20は、インタフェース部21、処理部22、記憶部23およびパワー制御部24を備える。処理部22は、このノード制御装置20が備えるCPUによるプログラム実行処理や、専用回路等により実現される。さらに、記憶部23は、RAM、ROM、HDD、フラッシュメモリ等の記憶媒体から構成される。なお、ノード制御装置20をプログラム実行処理により実現する場合、記憶部23には、このノード制御装置20の機能を実現するためのプログラムが格納される。
【0059】
インタフェース部21は、ノード30等の外部装置から新規コネクションの確立要求を受け付けたり、ノード30間にコネクションを確立させたりする。また、ノード30へリンクのパワーオフの指示や、パワーオンの指示を送信する。また、ノード30から広告されるOSPF経路情報を受信する。
【0060】
処理部22は、このノード制御装置20全体の制御を司り、ここでは主に、コネクションに用いる経路を決定したり、リンクのパワーオフやパワーオンを制御したりする。このような処理部22は、コネクション受付部221と、経路計算部222と、コネクション確立部223と、リンク使用率更新部224と、コスト計算部225と、パワー制御判断部227と、リンク管理部228と、OSPF経路情報受信部229とを備える。
【0061】
コネクション受付部221、経路計算部222、コスト計算部225、パワー制御判断部227の機能はそれぞれ、ノード10のコネクション受付部121、経路計算部122、コスト計算部125、パワー制御判断部127の機能と同様なので説明を省略する。
【0062】
コネクション確立部(コネクション確立制御部)223は、経路計算部222により選択されたリンクを用いて、始点ノードから終点ノードまでのコネクションを確立するよう指示する経路制御情報を、このコネクションの経路となるリンクを持つノード10へ送信する。
【0063】
リンク使用率更新部224は、ネットワークの各リンク上に確立されたコネクションのトラヒック量および切断されたコネクションのトラヒック量をもとに、リンク使用率情報232(後記)における、リンク使用率を更新する。
【0064】
リンク管理部228は、OSPF経路情報受信部229で受信した、OSPF経路情報に示されるリンクのパワーオフ、パワーオンの状態をリンク情報233に書き込む。さらに、リンク管理部228は、OSPF経路情報に示されるリンクコストの値をトポロジ情報231(詳細は後記)に設定する。つまり、ノード30から送信されたOSPF経路情報に示されるリンクコストの値をトポロジ情報231に反映させる。
【0065】
OSPF経路情報受信部229は、ノード30から送信されたOSPF経路情報を受信する。このOSPF経路情報は、当該ノード30においてパワーオフまたはパワーオンとなったリンクの識別情報と、そのリンクのリンクコストとを含む。つまり、OSPF経路情報受信部229が、ノード30からOSPF経路情報を受信することで、このノード30において確かにリンクがパワーオフになったか、パワーオンになったかを知ることできる。このOSPF経路情報受信部229において受信したOSPF経路情報は、リンク管理部228へ出力する。
【0066】
パワー制御部24は、パワー制御判断部227からの指示に基づき、各ノード30へリンクのパワーオフまたはパワーオンを指示する。この指示は、当該ノードのどのリンクをパワーオフするか、または、パワーオンするかを示した指示情報である。
【0067】
記憶部23は、トポロジ情報231と、リンク使用率情報232と、リンク情報233とを記憶する。
【0068】
トポロジ情報231は、前記したノード10のトポロジ情報131と同様であるが、ここでのリンクコストの値は、ネットワーク全体の各リンクのリンクコストの値である。
【0069】
リンク使用率情報232も、前記したノード10のリンク使用率情報132と同様であるが、ネットワーク全体の各リンクのリンク使用率が記載される。
【0070】
リンク情報233(パワーオフ/オン情報)も、前記したノード10のリンク情報133と同様であるが、ネットワークにおいてパワーオフとなっているリンクすべての情報が記載される。
【0071】
次に、ノード30の構成を説明する。このノード30は、ノード制御装置20からの制御に基づき、他のノード10との間にコネクションを確立したり、リンクのパワーオフやパワーオンを行ったりするルータである。このノード30は、図8に示すように、インタフェース部31(31A,31B,…,31N)、処理部32、記憶部33およびパワー制御部34を備える。処理部32も、ノード30が備えるCPUによるプログラム実行処理や、専用回路等により実現される。さらに、記憶部33は、RAM、ROM、HDD、フラッシュメモリ等の記憶媒体から構成される。なお、ノード30をプログラム実行処理により実現する場合、記憶部33には、ノード30の機能を実現するためのプログラムが格納される。
【0072】
インタフェース部31は、ノード10のインタフェース部11と同様なので説明を省略する。
【0073】
処理部32は、ノード制御装置20から経路制御情報に基づきコネクションを確立したり、切断したりする。この処理部32は、コネクション確立部323と、OSPF経路情報広告部325と、コスト設定部326と、リンク管理部328とを備える。
【0074】
コネクション確立部323は、ノード制御装置20からの経路制御情報に基づき、他のノード30との間にコネクションを確立する。
【0075】
OSPF経路情報広告部325は、リンクをパワーオフしたとき、このパワーオフしたリンクの識別情報と、リンク管理部328により、このリンクに設定されたリンクコストとを示したOSPF経路情報をノード制御装置20へ送信する。また、リンクをパワーオンしたとき、このパワーオンしたリンクの識別情報と、このリンクのリンクコストとを示したOSPF経路情報をノード制御装置20へ送信する。
【0076】
コスト設定部326およびリンク管理部328は、ノード10のコスト設定部126およびリンク管理部128と同様なので説明を省略する。
【0077】
パワー制御部34は、ノード制御装置20からの制御情報にもとづき、リンクをパワーオフまたはパワーオフする。
【0078】
記憶部33は、トポロジ情報331と、リンク情報333とを記憶する。トポロジ情報331は、ノード制御装置20のトポロジ情報231と同じ情報である。リンク情報333は、自身のノード30においてパワーオフとなったリンクの識別情報を示した情報である。
【0079】
<処理手順>
次に、適宜図7,8を参照しつつ、図9を用いて、ノード制御装置20の処理手順を説明する。
【0080】
まず、図7のノード制御装置20のコネクション受付部221は、外部装置等から新規コネクションの確立要求を受け付ける(S201)。次に、経路計算部222は、この新規コネクションのショーテストパスの計算を行う(S202)。つまり、経路計算部222は、トポロジ情報231に示されるネットワークのトポロジおよび各リンクのリンクコストを参照して、この確立要求の対象のコネクションの始点ノードから終点ノードまでの経路(リンクのつながり)で、リンクコストの合計値が最小になる経路を計算する。
【0081】
次に、パワー制御判断部227は、前記した図5のS103と同様に、S202で計算した経路のリンクのうち、リンク使用率が所定の値(例えば、「0.9」)以上のリンク(高負荷リンク)があるか否かを判断する(S203)。ここで、リンク使用率が所定の値(例えば、「0.9」)以上のリンクがなければ(S203のNo)、コネクション確立部223は、ショーテストパスの経路となるノード30に対し、このショーテストパスの経路制御情報を送信する(S209)。つまり、コネクション確立部223は、ショーテストパスの経路上に新規コネクションを確立するよう、ノード30(図8参照)へ指示する。これにより、各ノード30はこのショーテストパスの経路上にコネクションを確立し、トラヒックが流れるようになる。
【0082】
この後、図5のS108と同様に、ノード制御装置20は、リンクコストのアップデートを行う(S210)。すなわち、ノード制御装置20のリンク使用率更新部224は、新規コネクションのトラヒック量を加算した当該リンクのトラヒック量をもとに、このリンクのリンク使用率を計算し、リンク使用率情報232を更新する。そして、コスト計算部225は、この更新されたリンク使用率情報232に示されるリンク使用率をもとに、前記した式(1)等を用いて、この新規コネクションを確立したリンクのリンクコストを計算する。次に、コスト計算部225は、この計算したリンクコストの値を、トポロジ情報231に書き込む。
【0083】
S210でリンクコストのアップデートが行われた後、パワー制御判断部227は、リンク使用率情報232を参照して、このショーテストパスの経路(リンク)に、リンク使用率が「0」のリンクがあるか否かを判断する(S211)。ここで、リンク使用率が「0」のリンクがあれば(S211のYes)、パワー制御判断部227は、パワー制御部24経由で、そのリンクを持つノード30へ、そのリンクのパワーオフを指示する(S212)。そして、この後、ノード30が当該リンクをパワーオフし、このノード30から当該リンクのパワーオフを示すOSPF経路情報を受信すると(S213)、リンク管理部228は、リンク情報233の更新と、リンクコストのアップデートとを行う(S214)。つまり、リンク管理部228は、当該リンクがパワーオフしたことを、リンク情報233に書き込む。また、リンク管理部228は、受信したOSPF経路情報に示されるパワーオフしたリンクコストの値を用いてトポロジ情報231を更新する。一方、このショーテストパスの経路(リンク)に、リンク使用率が「0」のリンクはないと判断したとき(S211のNo)、そのまま処理を終了する。
【0084】
また、S203において、パワー制御判断部227が、この選択したリンクのうち、リンク使用率が所定の値(例えば、「0.9」)以上のリンク(高負荷リンク)があると判断したとき(S203のYes)、パワー制御判断部227は、図5のS104と同様に、トポロジ情報231およびリンク情報233を参照して、この高負荷リンクと同じ接続先(ノード10)へ接続するリンクで、パワーオフとなっているリンクがあるか否かを判断する(S204)。ここで、この高負荷リンクと同じ接続先(ノード10)へ接続するリンクで、パワーオフとなっているリンクがあれば(S204のYes)、パワー制御部24経由で、そのリンクを持つノード30へ、そのリンクのパワーオンを指示する(S205)。この後、ノード30が当該リンクをパワーオンし、このノード30から、当該リンクのパワーオンを示すOSPF経路情報を受信すると(S206)、リンク管理部228は、リンク情報233の更新と、リンクコストのアップデートとを行う(S207)。つまり、リンク管理部228は、当該リンクがパワーオンしたことを、リンク情報233に書き込む。また、リンク管理部228は、受信したOSPF経路情報に示されるパワーオンしたリンクコストの値を用いてトポロジ情報231を更新する。
【0085】
ノード制御装置20は、以上説明した処理を新規コネクションの確立要求を受け付けるたびに実行する。なお、ここでも、ノード制御装置20は、コネクション受付部221によりコネクションの切断要求を受け付けるたび、コネクション確立部223により当該コネクションの切断処理を行い、リンク使用率更新部224は、このコネクションが切断されたリンクのトラヒック量を削減し、リンク使用率情報232を更新する。そして、S211と同様に、パワー制御判断部227が、この更新されたリンク使用率情報232を参照して、リンク使用率が「0」のリンクがあった場合には、このリンクのパワーオフをパワー制御部24経由で、このリンクを持つノード30へ指示する。
【0086】
このようなノード制御装置20を用いてネットワーク内のノード30を制御することで、ネットワーク全体の消費電力をできるだけ低減しつつ、安定した通信環境を確保できる。なお、第2の実施の形態において、パワーオフしたリンク(パワーオンしたリンク)のリンクコストの値は、ノード30で決定した値でもよいしノード制御装置20側で決定した値でもよい。
【0087】
以上説明したノード10、ノード制御装置20によれば、例えば、図10に示すように、複数のリンクを用いる場合において、第1リンクおよび第2リンクの合計の負荷が比較的低いとき(低負荷時)には、片方のリンク(例えば、第1リンク)に新規コネクションを確立し、第2リンクには新規コネクションを確立しないようにする。よって、第2リンクのコネクションは自然消滅し、トラヒック量が「0」になれば、パワーオフできる。また、第1リンクおよび第2リンクの合計の負荷が比較的高いとき(高負荷時)には、パワーオフだったリンク(例えば、第2リンク)をパワーオンし、第2リンクにも新規コネクションを確立するようにする。すなわち、図10の右側のグラフに示すようにトラヒック量が多いときには、複数のリンクを用いてトラヒックを流すが、トラヒック量が少ないときには、できるだけリンクをパワーオフする。よって、ネットワーク内において常に複数のリンクを利用する場合に比べて、ネットワーク全体の消費電力を低減できる。
【0088】
なお、前記したノード10、ノード制御装置20において、コスト計算部125,225がリンクコスト計算に用いる式は、式(1)に限定されない。式(1)の場合、リンク使用率が「0.5」のときに、リンクコストの値が最小となるようにしたが、例えば、リンクコストの値が最小となるリンク使用率の値を約「0.7」とするためには、以下の式(2)を用いてもよい。
Max(5×1/(1−リンク使用率),10×1/(リンク使用率))…式(2)
【0089】
つまり、1/(1−リンク使用率)と、1/(リンク使用率)の係数をアレンジすることでリンクコストの値が最小となるリンク使用率の値を変更できる。
【0090】
また、このコスト計算部225が用いる計算式は、(1)リンク使用率が、所定のリンク使用率(例えば、「0.5」や「0.7」)以下のときは、リンク使用率が高くなるほど、リンクコストの値を小さな値として計算し、(2)リンク使用率が、この所定のリンク使用率を超えたとき、リンク使用率が高くなるほど、リンクコストの値を大きな値として計算する計算式であれば、式(1)や式(2)に限定されない。例えば、以下の式(3)に示すような式であってもよい。
y=a|x−A|+B…式(3)
y:リンクコストの値
x:リンク使用率
a:所定の係数
A:リンク使用率が高くなるほど、リンクコストの値が小さくするか否かの境目となるリンク使用率の値
B:リンクコストの最低値
この式(3)をグラフで示すと、図11の右のグラフとなる。
【0091】
なお、ノード30は、図12(a)に例示するようなマルチリンクにより接続されるノードでもよいし、図12(b)に例示するようにマルチルートをとるノードであってもよい。つまり、ある始点ノードから終点ノードまで複数の経路(ルート)上にコネクションを確立し、この両方のルートにトラヒックを流すようなノードであってもよい。また、前記したリンクコストの計算や、その計算したリンクコストに基づくショーテストパスルーチングを、IP(Internet Protocol)等のコネクションレスな通信を行うノードのルーチングに適用してもよい。例えば、図12(c)に示すように、ネットワークがコネクションレスな通信を行うノード40(40A,40B,40C,40D,40E)で構成される場合を考える。この場合において、ノード40Aから、ノード40Eへパケットを転送するため、複数ルートのなかで、コスト(リンクコストの合計値)の低いルートA,Bを選択したとする。そして、ルートAのコストは「100」であり、ルートBのコストは「50」である場合、ノード40Aは、転送するパケットを、それぞれのルートのコストの逆数で割り振るようにする。つまり、図12(a)に示す例の場合、「ルートAのトラヒック量:ルートBのトラヒック量」は、およそ「1:2」になる。このようなパケットの割り振りをするノード40(40A)において、前記したコスト計算部125,225と同様に、リンク使用率が高くなるほど(つまりトラヒック量が増加するほど)、リンクコストの値を小さくし、リンク使用率が低くなるほど(つまりトラヒック量が減少するほど)、リンクコストの値を大きくする。このようにすることで、ルートBへのトラヒックは増加し続け、ルートAのトラヒック量は減少し続ける。つまり、トラヒックはルートBに偏っていく。そして、最終的にはルートAのトラヒック量が所定の閾値を下回ったとき(例えば、トラヒック量が「0」になったとき)、このルートAのリンクをパワーオフするようにする。このようにすることで、コネクションレスな通信を行うネットワークにおいても、消費電力を低減することができる。
【0092】
本実施の形態に係るノード10,ノード制御装置20は、前記したような処理を実行させるプログラムによって実現することができ、そのプログラムをコンピュータによる読み取り可能な記録媒体(CD−ROM等)に記憶して提供することが可能である。
【符号の説明】
【0093】
10,30(30A,30B,…,30N),40(40A〜40E) ノード
11,21,31 インタフェース部
12,22,32 処理部
13,23,33 記憶部
14,24,34 パワー制御部
20 ノード制御装置
121,221 コネクション受付部
122,222 経路計算部
123,223,323 コネクション確立部
124,224 リンク使用率更新部
125,225,325 コスト計算部
126,326 コスト設定部
127,227 パワー制御判断部
128,228,328 リンク管理部
131,231,331 トポロジ情報
132,232 リンク使用率情報
133,233,333 リンク情報
229 OSPF経路情報受信部
325 OSPF経路情報広告部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク内の経路をショーテストパスルーチングにより決定するノードであって、
前記ネットワークのトポロジおよび前記ネットワーク内の各リンクのリンクコストの値を示したトポロジ情報と、前記ノードに接続されるリンクそれぞれの最大利用可能帯域およびリンク使用率を示したリンク使用率情報とを記憶する記憶部と、
前記コネクションの確立要求および切断要求を受け付けるコネクション受付部と、
前記トポロジ情報に示されるトポロジおよび各リンクのリンクコストを参照して、前記確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定する経路計算部と、
前記決定されたリンク上におけるコネクションの確立および前記切断要求の対象のコネクションの切断を行うコネクション確立処理部と、
前記確立されたコネクションのトラヒック量および前記切断されたコネクションのトラヒック量をもとに、前記リンク使用率情報におけるリンク使用率を更新するリンク使用率更新部と、
前記更新されたリンク使用率情報にもとづき、当該リンクのリンクコストを、所定のリンク使用率を上限値として、そのリンクのリンク使用率が高いほど低い値として計算し、この計算した値を用いて、前記トポロジ情報における当該リンクのリンクコストを更新するコスト計算部と、
前記ノードに接続されるリンクのパワーオフまたはパワーオンの制御を行うパワー制御部と、
前記更新されたリンク使用率情報を参照して、自身のノードに接続されるリンクのリンク使用率が0であると判断したとき、前記パワー制御部に、当該リンクのパワーオフを指示するパワー制御判断部とを備え、
前記コネクション受付部により、新たなコネクションの確立要求を受け付けたとき、前記経路計算部は、前記更新されたトポロジ情報に示される各リンクのリンクコストを参照して、前記確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを計算することを特徴とするノード。
【請求項2】
前記パワーオフとなったリンクの識別情報を示したリンク情報を前記記憶部に記憶し、前記トポロジ情報における、前記パワーオフとなったリンクのリンクコストの値として、所定のリンク使用率に対応するリンクコストの値よりも小さい所定の値を設定するリンク管理部を備え、
前記経路計算部により前記確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを計算した結果、そのショーテストパスで用いるリンクに、前記リンク使用率情報におけるリンク使用率が前記所定のリンク使用率以上のリンクがある場合、
前記パワー制御判断部は、前記リンク情報および前記トポロジ情報を参照して、前記リンク使用率が前記所定のリンク使用率以上のリンクと接続先が同じリンクで、かつ、パワーオフとなっているリンクがあると判断したとき、前記パワー制御部に、当該リンクのパワーオンを指示し、
前記経路計算部は、前記パワーオンとなったリンクを含めて、再度、前記確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定し、
前記コネクション確立処理部は、前記決定されたリンク上にコネクションを確立し、
前記リンク使用率更新部は、前記確立されたコネクションのトラヒック量をもとに、前記リンク使用率情報を更新し、
前記コスト計算部は、前記更新されたリンク使用率情報にもとづき、当該リンクのリンクコストを、そのリンクのリンク使用率が高いほど高い値として計算し、この計算した値を用いて、前記トポロジ情報における当該リンクのリンクコストを更新し、
前記コネクション受付部により、新たなコネクションの確立要求を受け付けたとき、前記経路計算部は、前記更新されたトポロジ情報に示される各リンクのリンクコストを参照して、前記確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定することを特徴とする請求項1に記載のノード。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のノードを複数含んでなることを特徴とするネットワーク。
【請求項4】
ネットワーク内のノードを制御するノード制御装置であって、
前記ネットワークのトポロジおよび前記ネットワーク内の各リンクのリンクコストの値を示したトポロジ情報と、前記ノードに接続されるリンクそれぞれの最大利用可能帯域およびリンク使用率を示したリンク使用率情報とを記憶する記憶部と、
前記コネクションの確立要求および切断要求を受け付けるコネクション受付部と、
前記トポロジ情報に示されるトポロジおよび各リンクのリンクコストを参照して、前記確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定する経路計算部と、
前記決定されたリンク上におけるコネクションの確立および前記切断要求の対象のコネクションの切断の指示を、前記ノードに対し送信するコネクション確立制御部と、
前記確立されたコネクションのトラヒック量および前記切断されたコネクションのトラヒック量をもとに、前記リンク使用率情報におけるリンク使用率を更新するリンク使用率更新部と、
前記更新されたリンク使用率情報にもとづき、当該リンクのリンクコストを、所定のリンク使用率を上限値として、そのリンクのリンク使用率が高いほど低い値として計算し、この計算した値を用いて、前記トポロジ情報における当該リンクのリンクコストを更新するコスト計算部と、
前記ノードに対し、当該ノードに接続されるリンクのパワーオフまたはパワーオンの指示を送信するパワー制御部と、
前記リンク使用率更新部によるリンク使用率の計算の結果、そのリンク使用率が0になったとき、前記パワー制御部に、当該リンクのパワーオフを指示するパワー制御判断部とを備えることを特徴とするノード制御装置。
【請求項5】
前記ノードから、OSPF経路情報により、前記パワーオフとなったリンクの識別情報およびそのリンクのリンクコストの値を示した情報を受信するOSPF経路情報受信部と、
前記受信したOSPF経路情報に示されるパワーオフとなったリンクの識別情報を示したリンク情報を前記記憶部に記憶し、前記トポロジ情報における、前記パワーオフとなったリンクのリンクコストの値として、前記所定のリンク使用率に対応するリンクコストの値よりも小さい値を設定するリンク管理部を備え、
前記経路計算部により前記確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定した結果、そのショーテストパスで用いるリンクに、前記リンク使用率情報におけるリンク使用率が所定のリンク使用率以上のリンクがある場合、
前記パワー制御判断部は、前記リンク情報および前記トポロジ情報を参照して、前記リンク使用率が前記所定のリンク使用率以上のリンクと接続先が同じリンクで、かつ、パワーオフとなっているリンクがあると判断したとき、前記パワー制御部に、当該リンクのパワーオンを指示し、
前記経路計算部は、前記パワーオンとなったリンクを含めて、再度、前記確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定し、
前記コネクション確立制御部は、前記決定されたリンク上へのコネクションの確立の指示を前記ノードに対し送信し、
前記リンク使用率更新部は、前記確立されたコネクションのトラヒック量をもとに、前記リンク使用率情報を更新し、
前記コスト計算部は、前記更新されたリンク使用率情報にもとづき、当該リンクのリンクコストを、そのリンクのリンク使用率が高いほど高い値として計算し、この計算した値を用いて、前記トポロジ情報における当該リンクのリンクコストを更新し、
前記コネクション受付部により、新たなコネクションの確立要求を受け付けたとき、前記経路計算部は、前記更新されたトポロジ情報に示される各リンクのリンクコストを参照して、前記確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定することを特徴とする請求項4に記載のノード制御装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のノード制御装置からの指示にもとづき、リンクのパワーオフおよびパワーオフを行うノードであって、
前記リンクのパワーオフを行ったとき、このリンクの識別情報およびそのリンクのリンクコストの値を設定したOSPF経路情報を前記ノード制御装置へ広告することを特徴とするノード。
【請求項7】
ネットワークのトポロジおよび前記ネットワーク内の各リンクのリンクコストの値を示したトポロジ情報と、前記ノードに接続されるリンクそれぞれの最大利用可能帯域およびリンク使用率を示したリンク使用率情報とを記憶する記憶部を備えるノードが、
前記コネクションの確立要求および切断要求を受け付けるステップと、
前記トポロジ情報に示されるトポロジおよび各リンクのリンクコストを参照して、前記確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定するステップと、
前記決定されたリンク上におけるコネクションの確立および前記切断要求の対象のコネクションの切断を行うステップと、
前記確立されたコネクションのトラヒック量または前記切断されたコネクションのトラヒック量をもとに、前記リンク使用率情報におけるリンク使用率を更新するステップと、
前記更新されたリンク使用率情報にもとづき、当該リンクのリンクコストを、所定のリンク使用率を上限値として、そのリンクのリンク使用率が高いほど低い値として計算し、この計算した値を用いて、前記トポロジ情報における当該リンクのリンクコストを更新するステップと、
前記リンク使用率の更新の結果、自身のノードに接続されるリンクのリンク使用率が0になったとき、当該リンクを備えるノードに、当該リンクのパワーオフを指示するステップと、
前記コネクション受付部により、新たなコネクションの確立要求を受け付けたとき、前記更新されたトポロジ情報に示される各リンクのリンクコストを参照して、前記確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定するステップとを実行することを特徴とするリンク制御方法。
【請求項8】
前記ノードが、
前記パワーオフとなったリンクの識別情報を示したリンク情報を前記記憶部に記憶するステップと、
前記トポロジ情報における、前記パワーオフとなったリンクのリンクコストの値として、前記所定のリンク使用率に対応するリンクコストの値より小さい所定の値を設定するステップと、
前記確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定した結果、そのショーテストパスで用いるリンクに、前記リンク使用率情報におけるリンク使用率が所定のリンク使用率以上のリンクがある場合、
前記リンク情報および前記トポロジ情報を参照して、前記リンク使用率が前記所定のリンク使用率以上のリンクと接続先が同じリンクで、かつ、パワーオフとなっているリンクがあると判断したとき、当該リンクを備えるノードに、当該リンクのパワーオンを指示するステップと、
前記パワーオンとなったリンクを含めて、再度、前記確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定するステップと、
前記決定されたリンク上にコネクションを確立するステップと、
前記確立されたコネクションのトラヒック量をもとに、前記リンク使用率情報を更新するステップと、
前記更新されたリンク使用率情報にもとづき、当該リンクのリンクコストを、そのリンクのリンク使用率が高いほど高い値として計算し、この計算した値を用いて、前記トポロジ情報における当該リンクのリンクコストを更新するステップと、
新たなコネクションの確立要求を受け付けたとき、前記更新されたトポロジ情報に示される各リンクのリンクコストを参照して、前記確立要求の対象のコネクションのショーテストパスで用いるリンクを決定するステップとを実行することを特徴とする請求項7に記載のリンク制御方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載のリンク制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−187166(P2010−187166A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29428(P2009−29428)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】