ハイドロフォビンを含む曝気食料品
【課題】当該技術分野で使用されている安定化剤は、しばしば全起泡体積を維持できるが、それらは気泡の微小構造の粗化を阻害する機能が少ない、即ち不均化と合着のような反応によって起泡のサイズを増加する。更に、曝気食料品において気体相を安定化するために使用される成分の多くは、かなり高濃度で添加される必要があり、それらはきめの悪化及び/またはカロリーの向上を有し得る。
【解決手段】ハイドロフォビンを含む曝気食料品が提供される。更に曝気食料品における粗泡形成を阻害する方法におけるハイドロフォビンの使用が提供される。
【解決手段】ハイドロフォビンを含む曝気食料品が提供される。更に曝気食料品における粗泡形成を阻害する方法におけるハイドロフォビンの使用が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイドロフォビンを含む曝気食料品に関する。
【背景技術】
【0002】
広範囲の食料品が、空気、窒素、及び/または二酸化炭素のような導入気体を含んでいる。そのような食品は、冷凍食料品及び冷蔵食料品、例えばアイスクリーム及びムースを含む。二つの鍵となる考慮が、曝気食料品の生産及び貯蔵において生じており、それらは主に製造の間で製品内へ気体を導入する能力(起泡能力)及びその後の貯蔵の間での起泡の安定性(起泡安定性)である。数多くの添加剤が曝気食料品に含まれており、起泡の形成及び維持を補助している。これらは、高度に起泡可能であるカゼイン酸ナトリウム及びホエーのようなタンパク質、良好な安定化剤であるカラギーナン、グアゴム、イナゴマメゴム、ペクチン、アルギネート、キサンタン、ゲラン、ゼラチン、及びそれらの混合物のようなバイオポリマーを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO 01/74864
【特許文献2】WO 96/41882
【特許文献3】WO 01/57076
【特許文献4】WO 00/58342
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Ice Cream, 第4版, Arbuckle (1986), Van Nostrand Reinhold Company, New York, NY
【非特許文献2】Sambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第3版 (2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.
【非特許文献3】Ausubel等, Short Protocols in Molecular Biology (1999), 第4版, John Wiley & Sons, Inc.
【非特許文献4】Current Protocols in Molecular Biology
【非特許文献5】Wessels, 1997, Adv. Microb. Physio. 38: 1-45
【非特許文献6】Wosten, 2001, Annu Rev. Microbiol. 55: 625-646
【非特許文献7】De Vocht等, 1998, Biophys. J. 74: 2059-68
【非特許文献8】Wosten等, 1994, Embo. J. 13: 5848-54
【非特許文献9】MacCabe及びVan Alfen, 1999, App. Environ. Microbiol 65: 5431-5435
【非特許文献10】Collen等, 2002, Biochem Biophys Acta. 1569: 139-50
【非特許文献11】Calonje等, 2002, Can. J. Microbiol. 48: 1030-4
【非特許文献12】Askolin等, 2001, Appl Microbiol Biotechnol. 57: 124-30
【非特許文献13】De Vries等, 1999, Eur J Biochem. 262: 377-85
【非特許文献14】Linder等, 2001, Biomacromolecules 2: 511-517
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、当該技術分野で使用されている安定化剤は、しばしば全起泡体積を維持できるが、それらは気泡の微小構造の粗化を阻害する機能が少ない、即ち不均化と合着のような反応によって起泡のサイズを増加する。更に、曝気食料品において気体相を安定化するために使用される成分の多くは、かなり高濃度で添加される必要があり、それらはきめの悪化及び/またはカロリーの向上を有し得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願人は、ハイドロフォビンと称される真菌で見出されるあるクラスのタンパク質が、高度な起泡能力特性と良好な起泡安定性特性を組み合わせることを見出した。特にハイドロフォビンは、優れた起泡体積の安定性と粗化の阻害の両者を提供することを見出した。更に、優れた製品安定性を達成するのに必要であるハイドロフォビンの濃度は比較的低い。それ故、曝気食料品を形成して安定化するために使用される従来の成分のあるものまたはすべてを、より少量のハイドロフォビンで置換することができるであろう。
【0007】
従って、本発明は、ハイドロフォビンを含む曝気食料品を提供する。関連する特徴点では、本発明は、空気相がハイドロフォビンで少なくとも部分的に安定化されている曝気食料品を提供する。別の関連する特徴点では、本発明は、ハイドロフォビンが空気相と会合しているハイドロフォビンを含む曝気食料品を提供する。
【0008】
好ましくは、ハイドロフォビンはクラスIIハイドロフォビンである。
【0009】
好ましい実施態様では、ハイドロフォビンは少なくとも0.001重量%、より好ましくは少なくとも0.01重量%の量で存在する。
【0010】
関連する特徴点では、本発明は、食料品の残余の成分の少なくとも一つとともに、ハイドロフォビン、好ましくは単離形態のハイドロフォビンを含む、本発明の曝気食料品を生産するための組成物を提供する。好ましくは前記組成物は、食料品の全ての残余の成分を含む。
【0011】
関連する実施態様では、本発明は、食料品の残余の非液体成分の少なくとも一つの共に、ハイドロフォビン、好ましくは単離形態のハイドロフォビンを含む、本発明の曝気食料品を生産するための乾燥組成物を提供する。好ましくは前記組成物は、食料品の全ての非液体成分を含む。
【0012】
本発明は更に、曝気食料品における気泡の粗化を阻害する方法におけるハイドロフォビンの使用を提供する。
【0013】
関連する特徴点では、本発明は、食料品の曝気の前及び/または最中に食料品にハイドロフォビンを添加する工程を含む、曝気食料品における気泡の粗化を阻害する方法を提供する。
【0014】
本発明はまた、曝気食料品における気泡の安定化の方法におけるハイドロフォビンの使用を提供する。
【0015】
関連する特徴点では、本発明はまた、食料品の曝気の前及び/または最中に食料品にハイドロフォビンを提供する工程を含む、曝気食料品における気泡の安定化の方法を提供する。
【0016】
本発明は更に、曝気食料品における形状の保持及び/または硬度を改良する方法におけるハイドロフォビンの使用を提供する。
【0017】
関連する特徴点では、本発明は、食料品の曝気の前及び/または最中に食料品にハイドロフォビンを添加する工程を含む、曝気食料品における形状の保持及び/または硬度の改良の方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、水中のハイドロフォビンのタンパク質濃縮物、カゼイン酸ナトリウム、スキムミルクパウダーの関数としてのオーバーランを示すグラフである。
【図2】図2は、オーバーランとして表される0.1重量%のハイドロフォビンの起泡安定性を示すグラフである。起泡安定性は、(1)水、(2)20重量%のスクロース溶液、及び(3)20重量%のスクロースと1重量%のグアゴムの溶液中のハイドロフォビンに対して示されている。
【図3A】図3Aは、水中に0.1重量%のハイドロフォビンと、2重量%のカゼイン酸ナトリウム、2.86重量%のスキムミルクパウダー(約1重量%のタンパク質に等しい)、及び6.67重量%のホエーパウダー(約2重量%のタンパク質に等しい)の各水溶液との起泡安定性を比較するグラフである。
【図3B】図3Bは、20重量%のスクロース溶液中の、0.1重量%のハイドロフォビンと2重量%のカゼイン酸ナトリウムとの起泡安定性を比較するグラフである。
【図3C】図3Cは、20重量%のスクロースと1重量%のグアゴムの溶液中の、0.1重量%のハイドロフォビンと2重量%のカゼイン酸ナトリウムとの起泡安定性を比較するグラフである。ハイドロフォビンを使用して生産された起泡は、2%のカゼイン酸ナトリウムのものよりかなり安定である。
【図4】図4は、冷蔵温度での(A)1日間後及び(B)2週間後の本発明の曝気食料品の走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】図5は、ハイドロフォビンの存在下での空気/水界面の界面流動学的特性(G’及びG”)を示すグラフである。装置の能力を超えて推移する度合いに値が増大することに注意すべきである。
【図6】図6は、0.0007重量%のカゼイン酸ナトリウム及びホエータンパク質と比較した、0.00035重量%のハイドロフォビンの空気/水界面での界面弾性(G’)を示すグラフである。ハイドロフォビンの読み取りがスケール外に飛び出ているが、ハイドロフォビンの界面弾性が、従来のタンパク質によって形成されるものよりかなり高いことをこの結果は示す。
【図7】図7は、曝気冷凍製品についての剪断態様を示す図表である。
【図8】図8は、新鮮な及び放置後の製品微小構造についての走査型電子顕微鏡写真である(倍率×100)。
【図9】図9は、新鮮な及び放置後の製品微小構造についての走査型電子顕微鏡写真である(倍率×300)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
他に規定がなければ、ここで使用される全ての技術用語及び学術用語は、当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する(例えば冷蔵菓子/冷凍菓子製造、化学、バイオテクノロジーにおける用語)。冷蔵菓子/冷凍菓子製造で使用される各種の用語及び技術の定義及び記載は、Ice Cream, 第4版, Arbuckle (1986), Van Nostrand Reinhold Company, New York, NYに見出される。分子的用法及び生化学的方法について使用される標準技術は、Sambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第3版 (2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.、及びAusubel等, Short Protocols in Molecular Biology (1999), 第4版, John Wiley & Sons, Inc.、及びCurrent Protocols in Molecular Biologyの表題の完全版に見出すことができる。
【0020】
ハイドロフォビン
ハイドロフォビンは、疎水性/親水性界面で自己アセンブリーでき、以下の保存配列:
Xn−C−X5−9−C−C−X11−39−C−X8−23−C−X5−9−C−C−X6−18−C−Xm(配列番号1)
[式中、Xはいずれかのアミノ酸を表し、n及びmは独立に整数を表す]
を有する周知のクラスのタンパク質である(Wessels, 1997, Adv. Microb. Physio. 38: 1-45; Wosten, 2001, Annu Rev. Microbiol. 55: 625-646)。典型的にハイドロフォビンは、125アミノ酸までの長さを有する。保存配列中のシステイン残基(C)は、ジスルフィド架橋の一部を形成する。本発明の内容では、用語「ハイドロフォビン」は、以下の配列:
Xn−C−X1−50−C−X0−5−C−X1−100−C−X1−100−C−X1−50−C−X0−5−C−X1−50−C−Xm(配列番号2)
を含むタンパク質のようなタンパク質フィルムを生ずる疎水性/親水性界面で自己アセンブリーの特徴を未だ示す機能的に同等なタンパク質、またはタンパク質フィルムを生ずる疎水性/親水性界面で自己アセンブリーの特徴を未だ示すその一部を含むように、より広い意味を有する。本発明の定義によれば、自己アセンブリーは、テフロン(登録商標)にタンパク質を吸着させ、二次構造(一般的にα−ヘリックス)の存在を確立するための円2色性を使用することによって検出できる(De Vocht等, 1998, Biophys. J. 74: 2059-68)。
【0021】
フィルムの形成は、タンパク質溶液中でテフロン(登録商標)シートをインキュベートし、引き続き水またはバッファーで少なくとも3回洗浄することによって確立できる(Wosten等, 1994, Embo. J. 13: 5848-54)。タンパク質フィルムは、蛍光マーカーでのラベリングのようないずれの適切な方法によって、または当該技術分野で十分に確立されている蛍光抗体の使用によって視覚化できる。m及びnは典型的に、0から2000の範囲の値を有するが、とりわけm及びnは全部で100または200未満である。本発明の内容におけるハイドロフォビンの定義は、ハイドロフォビンと別のポリペプチドとの融合タンパク質、並びにハイドロフォビンとポリサッカリドのような他の分子との接合物を含む。
【0022】
今日までに同定されたハイドロフォビンは一般的に、クラスIまたはクラスIIのいずれかとして分類されている。両者のタイプは、両親媒性フィルム内に疎水性界面で自己アセンブリーする分泌タンパク質として真菌で同定されている。クラスIハイドロフォビンの会合物は比較的疎水性である一方、クラスIIハイドロフォビンの会合物は各種の溶媒中に容易に溶解する。
【0023】
ハイドロフォビン様タンパク質は、Actinomycete種及びSteptomyces種のような繊維状細菌で同定されている(WO 01/74864)。これらの細菌タンパク質は、真菌ハイドロフォビンと比較して、二つのみのシステイン残基を有しているため一つのみのジスルフィド架橋を形成する。そのようなタンパク質は、配列番号1及び2に示されたコンセンサス配列を有するハイドロフォビンの機能的な同等物の例であり、本発明の範囲内に存在する。
【0024】
ハイドロフォビンは、いずれかの適切な方法により、繊維状真菌のような天然の供給源からの抽出によって得ることができる。例えばハイドロフォビンは、増殖培地内にハイドロフォビンを分泌する繊維状真菌の培養によって、または60%エタノールでの真菌菌糸体からの抽出によって得ることができる。ハイドロフォビンを天然に分泌する宿主生物からハイドロフォビンを単離することが特に好ましい。好ましい宿主は、線菌綱(例えばTrichoderma)、担子菌綱、及び子嚢菌綱である。特に好ましい宿主は、クリパリンと称されるハイドロフォビンを分泌するCryphonectria parasticaのような食品グレードの生物である(MacCabe及びVan Alfen, 1999, App. Environ. Microbiol 65: 5431-5435)。
【0025】
別法として、ハイドロフォビンは組換え法の使用によって得ることができる。例えば典型的に微生物である宿主細胞を、ハイドロフォビンを発現するように修飾してもよく、次いでハイドロフォビンを単離し、本発明に従って使用できる。宿主細胞内にハイドロフォビンをコードする核酸構築物を導入するための方法は、当該技術分野で周知である。ハイドロフォビンをコードする34を超える遺伝子が、16の真菌種についてクローン化されている(例えばAgaricus bisporusで同定されたハイドロフォビンの配列を与えるWO 96/41882;及びWosten, 2001, Annu Rev. Microbiol. 55: 625-646を参照)。組換え法はまた、ハイドロフォビン配列を修飾するために、または所望の特性/改良された特性を有する新規なハイドロフォビンを合成するためにも使用できる。
【0026】
典型的に、適切な宿主細胞または生物は、所望のハイドロフォビンをコードする核酸構築物によってトランスフォームされる。前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、転写及び翻訳のための必要なエレメントをコードする適切な発現ベクターに、適切な条件下(例えば正しい配向及び正しいフレームワークで、適切な標的化配列及び発現配列と共に)で発現するような態様で挿入できる。これらの発現ベクターを構築するのに必要な方法は当業者に周知である。
【0027】
数多くの発現系が、ポリペプチドコード配列を発現するために使用されて良い。これらは細菌、真菌(酵母を含む)、昆虫細胞系、植物培養細胞系、適切な発現ベクターでトランスフォームされた植物体全体を含むが、これらに制限されない。好ましい宿主は、食品グレードと考慮される−「一般的に安全と考慮される(GRAS)」−ものである。
【0028】
適切な真菌種は、Saccharomyces属、Kluyveromyces属、Pichia属、Hansenula属、Candida属、Schizosaccharomyces属等のような(これらに制限されない)酵母、Aspergillus属、Trichoderma属、Mucor属、Neurospora属、Fusarium属等のような(これらに制限されない)糸状菌種を含む。
【0029】
ハイドロフォビンをコードする配列は、天然で同定されるハイドロフォビンに対してアミノ酸レベルで好ましくは少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも95%または100%同一である。しかしながら当業者は、ハイドロフォビンの生物学的活性を減少しない保存的置換または他のアミノ酸変化を導入しても良い。本発明の目的のため、天然に存在するハイドロフォビンに対して高レベルの同一性を有するこれらのハイドロフォビンは、用語「ハイドロフォビン」の範囲内に存在する。
【0030】
ハイドロフォビンは、例えばWO 01/57076に記載された方法によって、培養培地または細胞抽出物から精製でき、当該文献は、ハイドロフォビン含有溶液に存在するハイドロフォビンを表面に吸着させ、Tween 20のような界面活性剤と表面を接触させ、表面からハイドロフォビンを溶出することを含む。Collen等, 2002, Biochem Biophys Acta. 1569: 139-50; Calonje等, 2002, Can. J. Microbiol. 48: 1030-4; Askolin等, 2001, Appl Microbiol Biotechnol. 57: 124-30;及びDe Vries等, 1999, Eur J Biochem. 262: 377-85参照。
【0031】
曝気食料品
本発明の曝気食料品は典型的に、加熱、常温、冷蔵、または冷凍の4つの群の一つに入る。用語「食品」は飲料を含む。加熱食料品は、カプチーノコーヒーのような飲料を含む。常温曝気食料品は、ホイップクリーム、マシュマロ、及び焼き製品、例えばパンを含む。冷蔵曝気食料品は、ホイップクリーム、ムーズ、並びにビール、ミルクセーキ、及びスムージーのような飲料を含む。冷凍曝気食料品は、アイスクリーム、ミルクアイス、フローズンヨーグルト、シャーベット、スラッシュ、フローズンカスタード、ウォーターアイス、ソルベ、アイス、及びフローズンプーリのような冷凍菓子を含む。
【0032】
好ましくは曝気食料品は、曝気菓子製品である。
【0033】
用語「曝気」は、例えば機械的手段によって、製品中に気体が意図的に取り込まれていることを意味する。気体は、空気、窒素、または二酸化炭素のようないずれかの食品グレードのものであることができる。曝気の度合いは典型的に、「オーバーラン」に関して定義される。本発明の内容では、オーバーラン%は、以下のような体積に関して定義される:
((最終曝気製品の体積−ミックスの体積)/ミックスの体積)×100
【0034】
製品中に存在するオーバーランの量は、所望の製品の特徴に依存して変化するであろう。例えば、アイスクリームにおけるオーバーランのレベルは典型的に約70から100%であり、ムースのような菓子においては、オーバーランは200から250重量%程度高くなることができ、ウォーターアイスにおけるオーバーランは25から30%である。ある種の冷蔵製品、常温製品、及び加熱製品におけるオーバーランのレベルはより低いが、一般的に10%を超えており、ミルクセーキにおけるオーバーランのレベルは、典型的に10から40重量%である。
【0035】
製品中に存在するハイドロフォビンの量は、一般的に製品の処方及び空気相の体積に依存して変化するであろう。典型的に製品は、少なくとも0.001重量%、より好ましくは少なくとも0.005または0.01重量%のハイドロフォビンを含むであろう。典型的に製品は、1重量%未満のハイドロフォビンを含むであろう。ハイドロフォビンは単一の供給源または複数の供給源から由来してよく、例えばハイドロフォビンは、二つ以上の異なるハイドロフォビンポリペプチドの混合物であることができる。
【0036】
好ましくはハイドロフォビンは、クラスIIハイドロフォビンである。
【0037】
本発明はまた、ハイドロフォビンを含む、本発明の曝気食料品の生産のための組成物を包含する。そのような組成物は、液体プレミックス、例えば冷凍菓子製品の生産で使用されるプレミックス、及びドライミックス、例えばパウダーを含み、曝気の前または最中に、後者に対してミルクまたは水のような水性液体を添加する。
【0038】
そのような組成物は、液体プレミックス、例えば冷凍菓子製品の生産で使用されるプレミックス、及びドライミックス、例えばパウダーを含み、曝気の前または最中に、後者に対してミルクまたは水のような水性液体を添加する。
【0039】
本発明の冷凍食料品の生産するための組成物は、ハイドロフォビンに加えて、食料品に通常含まれる他の成分、例えば糖、脂肪、乳化剤、香味剤等を含むであろう。前記組成物は、容易に加工、即ち曝気して、本発明の曝気食料品を形成するように、食料品作製に必要とされる残余の成分の全てを含んで良い。
【0040】
本発明の曝気食料品の生産のためのドライ組成物もまた、ハイドロフォビンに加えて、食料品に通常含まれる他の成分、例えば糖、脂肪、乳化剤、香味剤等を含むであろう。前記組成物は、ユーザーが必要とする全てが水またはミルクのような水性液体を添加して、組成物を容易に加工し、本発明の曝気食料品を形成するように、食料品作製に必要とされる残余の非液体成分の全てを含んで良い。例としてパウダーまたは顆粒を含むこれらのドライ組成物は、産業上の使用及び小売用の使用の両者のためにデザインでき、減少した嵩とより長い貯蔵期間の利益を有する。
【0041】
ハイドロフォビンは、空気相を安定化するのに利用可能な形態及び量で添加される。用語「添加」により、ハイドロフォビンは、その起泡安定化特性を利用する目的のために、食料品に故意に導入される。従って、ハイドロフォビンポリペプチドを含んで良い真菌混在物を含む食品成分が存在または添加される場合、これは本発明の内容の範囲内で、ハイドロフォビンを添加することを構成しない。
【0042】
典型的にハイドロフォビンは、空気−液体表面で自己アセンブリーが可能な形態で、食料品に添加される。
【0043】
典型的にハイドロフォビンは、単離された形態、典型的に少なくとも部分的に精製された形態、例えば固体重量に基づいて少なくとも10%の純度で、本発明の食料品または組成物に添加される。「単離された形態での添加」により、ハイドロフォビンが、天然でハイドロフォビンを発現するマッシュルームのような天然に存在する生物の一部として添加されないことを意味する。代わりにハイドロフォビンは典型的に、天然に存在する供給源から抽出されているか、宿主生物における組換え発現によって得られたものである。
【0044】
一つの実施態様では、ハイドロフォビンは、モノマー、ダイマー、及び/またはオリゴマー(即ち10以下のモノマー単位からなる)形態で、食料品に添加される。好ましくは添加されるハイドロフォビンの少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75、80、85、または90重量%は、これらの形態の少なくとも一つで存在する。一度添加されると、ハイドロフォビンは典型的に、空気/液体界面でアセンブリーを受け、それ故モノマー、ダイマー、及びオリゴマーの量は、減少すると予測されるであろう。
【0045】
一つの実施態様では、ハイドロフォビンは、単離された形態、典型的に少なくとも部分的に精製された形態で、本発明の曝気食料品または組成物に添加される。
【0046】
添加されるハイドロフォビンは、一般的に気泡の粗化を阻害することによって、曝気食料品中の空気相を安定化するために使用でき、即ちハイドロフォビンは、起泡体積を安定化するだけでなく、起泡中の気泡のサイズをも安定化することが見出されている。
【0047】
本発明は、以下の実施例を参考にして更に記載されるが、実施例は説明的且つ非制限的なものである。
【実施例】
【0048】
実施例1−起泡能力
(a)水中のカゼイン酸ナトリウム、スキムミルクタンパク質、またはハイドロフォビン
Trichoderma reeseiハイドロフォビンII(HFBII)の起泡能力を、広範に使用されている起泡可能な食用タンパク質カゼイン酸ナトリウム(DMV International, the Netherlands. 88−90%タンパク質、1.5%脂肪、及び6%水分)と、スキムミルク(United Milk, UK. 33−36%タンパク質、0.8%脂肪、3.7%水分)と比較した。HFBIIを、VTT Biotechnology, Finland(特にWO 00/58342及びLinder等, 2001, Biomacromolecules 2: 511-517に記載されたようにTrichoderma reeseiから精製した)。
【0049】
以下の表は、調製したタンパク質溶液の濃度を示す。
【0050】
表1−調製した溶液
【表1】
【0051】
食用タンパク質溶液を磁性スターラーを使用して調製し、タンパク質を室温で水中に分散した。次いで溶液を60℃に加熱し、5分間維持し、次いで5℃に冷却した。HFBII溶液をSonicor超音波バスモデルSC-42(Sonicor Instrument Corp)を使用することによって調製した。HFBIIを等量物またはドライパウダーとしてそれぞれ添加し、全てのHFBが分散し、透明な液体が得られるまで室温で30秒から1分間ソニケートした。溶液を曝気の前に5℃に更に冷却した。
【0052】
105mmの高さと72mmの直径の内部形状を有する、冷却(2℃)した円筒状の垂直に立直した被覆ステンレススチール容器で、最大10分間まで各溶液を剪断面することによって、起泡を生産した。容器の蓋は、46%(180ml)のサンプルを維持するように54%の内部体積を充填した。サンプルの剪断のために使用されるローターは、回転するにつれて容器の表面縁を擦るように、正確な割合の四角形の羽根車からなる(寸法72mm×41.5mm)。四角形の付属物に対して45°の角度で配置された二つの半円形(直径60mm)の高剪断ブレードも、ローターに結合されている。
【0053】
80mlの溶液を、ローターの半分を覆うのに十分なように容器に注ぎ、蓋を固定した。次いで溶液を、上述の期間1250rpmで剪断した(表1)。次いで曝気溶液を迅速に測定シリンダーに注ぎ、体積当たりのオーバーランの測定値を得た。起泡能力は、「オーバーラン」のパーセンテージに関して記載される起泡の体積を指し、Arbuckle(本書中)による定義に基づく。
オーバーラン%=100×(起泡の体積−曝気溶液の体積)/(曝気溶液の体積)
【0054】
図1は、カゼイン酸ナトリウム、SMP、及びHFBIIについて得られたオーバーランを示す。
【0055】
これらの結果は、ハイドロフォビンがカゼイン酸ナトリウム及びSMPと少なくとも同程度起泡可能であり、同様なオーバーランを生ずるのにより低い濃度を必要とすることを示す。
【0056】
(b)他の成分の存在下でのカゼイン酸ナトリウム及びHFB
カゼイン酸ナトリウム及びHFBIIを、20%スクロース(Tate and Lyle)及び20%スクロース+0.5%グアゴム(Willy Benecke, Germany. 78%グア、14%水分、7%タンパク質、4%酸不溶性残渣、1%脂肪、及び1%灰)の存在下でも曝気した。カゼイン酸ナトリウムとスクロースの場合では、ドライパウダーを組み合わせ、次いで磁性スターラーで混合しながらゆっくりと室温で水に添加した。次いで溶液を60℃に加熱し、5分間維持し、次いで5℃に冷却した。グアゴムが存在する場合、グアを最初に室温で半分のスクロースと溶液に添加した。次いでこの溶液を80℃に加熱し、5分間保持し、その後60℃に冷却した。この時点でカゼイン酸ナトリウムを残りのスクロースと共に添加した。室温で30分間攪拌を継続し、その後5℃に冷却した。HFBIIの場合では、等量物またはドライパウダーのそれぞれで、冷却したスクロースまたはスクロースグア溶液に別個に添加した。最初の混合を磁性スターラーで実施し、引き続き超音波バスで30秒まで実施した。表2は調製した溶液を示す。
【0057】
これらの溶液を、セクション(a)で記載したように10分間曝気し、測定シリンダーで体積当たりのオーバーランを得た。表2は各サンプルについて得られたオーバーランを示す。
【0058】
【表2】
【0059】
これらの結果は、ハイドロフォビンが、糖及び任意にグアを含むより複雑な系において、カゼイン酸ナトリウムと同様な起泡能力を有することを示す。
【0060】
実施例2−起泡安定性
HFBII起泡の安定性を、ホエー、スキムミルクパウダー、及びカゼイン酸ナトリウムといういくつかの一般的に使用される食用タンパク質と比較した。生産後、起泡を測定シリンダーに注ぎ、時間の関数としての起泡体積に関する安定性を評価した。起泡の体積は、「オーバーラン]のパーセンテージに関して記載され、Arbuckle(本書中)による定義に基づく。
オーバーラン%=100×(起泡の体積−曝気溶液の体積)/(曝気溶液の体積)
【0061】
これらの起泡の安定性は、250ml測定シリンダーに含まれるサンプルをモニターし、室温での経時的な漿液濃度と起泡の高さを記録することによって測定された。起泡中の液体は経時的に流出し、上部の起泡、及び下部に水溶液という二つの別個の区別可能な層を導く。これは、水性相が十分の量のまたはいずれの増粘剤を含まないためである。しかしながら、ここで興味あるものは起泡相の安定性である。オーバーランの計算のため、起泡の体積を、二つの区別可能な層に分離しているか否かに関わらず、空気(起泡)相と液体相の両者の系の全体の体積として考慮する。それ故オーバーランの値は、合着(それ自体で及び環境と)及び不均衡化のような典型的なブレークダウンのメカニズムに対する起泡の安定性の定量的な指標を与える。
【0062】
タンパク質を、単独の水、並びに20%スクロース、及び20%スクロース+1%グアゴムの存在下で分散した。表3は調製したサンプルを示す。ホエーパウダー(Avonol 600−30重量%のタンパク質、3.5重量%の水分、2.5重量%の脂肪、7重量%の灰、及び53重量%のラクトース)をGlanvia Irelandから得た。
【0063】
【表3】
【0064】
食用タンパク質溶液を磁性スターラーを使用して調製し、タンパク質を室温で水中に分散した。次いで溶液を60℃に加熱し、5分間維持し、次いで5℃に冷却した。HFBII溶液をSonicor超音波バスモデルSC-42(Sonicor Instrument Corp)を使用することによって調製した。HFBIIを等量物またはドライパウダーとしてそれぞれ添加し、全てのHFBが分散し、透明な液体が得られるまで室温で30秒から1分間ソニケートした。溶液を曝気の前に5℃に更に冷却した。
【0065】
20%スクロース、及び20%スクロース+0.5%グアが存在する場合、調製はわずかに異なった。カゼイン酸ナトリウムとスクロースの場合では、ドライパウダーを組み合わせ、次いで磁性スターラーで混合しながらゆっくりと室温で水中に分散した。次いで溶液を60℃に加熱し、5分間維持し、次いで5℃に冷却した。グアゴムが存在する場合、グアを最初に室温で半分のスクロースと溶液に添加した。次いでこの溶液を80℃に加熱し、5分間保持し、その後60℃に冷却した。この時点でカゼイン酸ナトリウムを残りのスクロースと共に添加した。室温で30分間攪拌を継続し、その後5℃に冷却した。HFBIIの場合では、等量物またはドライパウダーのそれぞれで、冷却したスクロースまたはスクロースグア溶液に別個に添加した。最初の混合を磁性スターラーで実施し、引き続き超音波バスで30秒まで実施した。各場合で約100%のオーバーランを生産するために、各種の剪断の値を使用することを除いて、起泡を実施例1に記載したように調製した。
【0066】
ハイドロフォビンの起泡の微小構造を、低温走査型電子顕微鏡(LTSEM)により視覚化した。起泡のサンプルを最初に5℃で切断し、液体窒素に沈めた。SEMサンプル調製の前に、サンプルをドライアイスで−80℃で放置した。非常にもろい構造のため、サンプルの切片を注意深く切断した。約6mm×6mm×10mmのサイズのこの切片を、冷凍の時点でOCT(登録商標)(Agar Scientificにより供給される)化合物を使用して、サンプルホルダーに搭載した。ホルダーを含むサンプルを液体窒素のスラッシュに沈め、低温調製チェンバー:Oxford Inst. CT1500HFに移す。チャンバーを約10−4−10−5mbarの真空下に配置する。サンプルをコールドステージに−110℃未満の温度で維持する。外科用メスを使用してチェンバーの内部にサンプルを割り、アルゴンプラズマを使用して金で被覆する。この工程も、10−1ミリバールの適用圧力で、30秒間5ミリアンペアの電流で真空下で実施する。次いで、−150℃の温度でOxford Instrumentsコールドステージを備えた従来の操作型電子顕微鏡(JSM 5600)にサンプルを移した。サンプルを調べ、興味ある領域をデジタルイメージ獲得ソフトウェアーで捕捉した。
【0067】
結果−ハイドロフォビンを使用して作製した起泡の起泡安定性
ハイドロフォビンを使用して生産した起泡は、試験した全ての3種の系(水、+スクロース、+スクロース及びグア)で長期間に亘り安定を維持した−図2参照。
【0068】
結果−水中のタンパク質の気泡安定性の比較
カゼイン酸ナトリウム、スキムミルクパウダー、及びホエータンパク質から生産された起泡は、ハイドロフォビンを使用して生産された起泡と比較して全て非常に不安定である(図3A参照)。更に、100%の初期オーバーランを得るために、ハイドロフォビンで必要とされる濃度より高濃度のスキムミルク及びホエータンパク質が必要であった。
【0069】
結果−スクロース/グアゴムの存在下でのハイドロフォビン及びカゼイン酸ナトリウムの起泡安定性の比較
ハイドロフォビンを使用して生産された起泡は、かなりの期間(2週間)非常に安定なままであるのに対して、カゼイン酸ナトリウムを使用して生産された起泡は、スクロースの存在下で20分間(図3B)、スクロースとグアゴムの存在下で約2時間(図3C)安定であった。
【0070】
それ故ハイドロフォビンは、他の従来使用されているタンパク質に対して、非常に安定なままであるかなりの量の起泡を作製するのに低濃度で使用できる。
【0071】
要約すると、0.1%HFBIIで作製される起泡は、試験された他のタンパク質によって生産されるものより安定であることをこのデータは示す。全ての起泡は経時的に排水するが(これは増粘剤の添加によって減少できる)、ハイドロフォビンの起泡についての気泡は安定なままである、即ち気泡系は空気を未だ維持する(オーバーラン)。更に、ハイドロフォビンで作製された起泡に存在する気泡は、少なくとも2週間冷蔵温度で合着する起泡に安定なままであることが見出された(気泡のサイズが2週間後で実質的に変化しないことを示すSEM顕微鏡写真を示す図4参照)。それ故ハイドロフォビンは、起泡の体積及び気泡のサイズの両者の観点で、起泡の安定性を改善する。気泡の表面で観察される割れ目は、SEM調製法のアーティファクトと解されることに注意すべきである。
【0072】
実施例3−表面流動計を使用する表面粘性と弾性の測定
Camtel CIR-100界面流動計(Camtel Instruments Limited, Royston, Herts, UK)を、表面粘性及び弾性を測定するために使用した。そのようなデータは、吸着した分子が如何に十分に起泡を安定化するかの指標を与える。
【0073】
46mmの直径のサンプル皿中の液体の表面で13mmの直径のdu Nouyリングを使用して、前記装置を標準化共鳴モードで使用した。リングをサンプルの表面に振動させ、高解像度置換センサーを使用して、±1°の範囲に亘るひずみの振幅をモニターする。
【0074】
同じ実験条件を使用して各稼動を実施した。3Hzの開始周波数、且つ10000μラジアンの開始振幅で稼動を時間掃引し、室温で測定を実施した。試験時間を36000秒にセットし、当該時間内で240点のデータを集積した。興味ある物理的パラメーターは、時間の関数としてのG’(貯蔵モジュラス)及びG”(損失モジュラス)であり、それらは吸収された表面層の粘弾性の指標を与える。
【0075】
タンパク質サンプルを、必要な濃度に水で希釈した。表面流動測定を純水に対して実施し、それをタンパク質溶液の測定の前に測定した。
【0076】
表面流動データが図5及び6に示されている。ハイドロフォビンタンパク質については、G’及びG”は経時的に次第に増加し、その後両者の迅速な増大が観察される。示された実施例では、セットアップされた実験の測定能力を超える程度に当該値は増大する。非常に低濃度(0.001重量%未満)でさえ、G’及びG”についての値は、ホエータンパク質及びカゼイン酸ナトリウムという比較品として使用された過剰なタンパク質よりも離れた値に到達する。
【0077】
これらのデータから、気泡の周りに非常に強力な粘弾性の表面層を形成することによって、ハイドロフォビンが起泡を有効に安定化することが結論付けられる。これらは、合着及び不均衡化のような典型的な起泡の不安定化メカニズムに対して良好な安定性を導く。匹敵する濃度で表面層がハイドロフォビンほど高いG’及びG”を示さないため、ホエータンパク質及びカゼイン酸ナトリウムの起泡は、両者ともハイドロフォビンの起泡より不安定である。
【0078】
従ってハイドロフォビンは、例えば不均衡化及び/または合着を阻害または減少することによって、曝気食料品における気泡の粗化を阻害するために使用できる。同様にハイドロフォビンは、曝気食料品において起泡を安定化するために使用できる。更にハイドロフォビンが気泡の粗化を阻害することを考慮すると、曝気製品の形状維持及び硬度を改善することも可能であろう。
【0079】
実施例4−曝気冷凍製品
3タイプのタンパク質を使用して、曝気冷凍製品を調製した:
A:カゼイン酸ナトリウム(NaCas)
B:スキムミルクパウダー(SMP)
C:Trichoderma Reesei由来のハイドロフォビン(HFBII)
【0080】
製品の微小構造及び物理的特性を、温度での放置の摂生の前後の両者で比較した。
【0081】
材料
使用された材料の詳細は表4に要約されており、曝気冷凍製品のそれぞれを調製した処方が表5に示されている。
【0082】
表4:使用された材料
【表4】
【0083】
表5:使用された処方
【表5】
【0084】
曝気冷凍製品の調製
ミックス(エマルション)調製
全てのミックスを100gのバッチで作製した。ミックスA及びB(それぞれをカゼイン酸ナトリウム及びスキムミルクを含む)については、タンパク質をスクロースと組み合わせ、磁性スターラーを使用して冷水中に分散した。次いでこの溶液を攪拌しながら60℃に加熱し、5分間維持した後に40℃に冷却した。次いでMoltenココナッツ脂肪を添加し、溶液中に十分に浸液した先端で70%の振動で3分間、水性ミックスを迅速にソニケートした(6.4mmの先細り先端を有するBranson Sonifer)。次いで、溶液の温度が5℃になるまで、エマルションを−10℃の水冷バスで迅速に冷却し、脂肪小滴を結晶化した。更なる使用までミックスを5℃で貯蔵した。
【0085】
ミックスC(HFBIIを含む)については、最初にスクロースを攪拌しながら冷水中に分散した。次いで、HFBIIの必要な濃度の半分を、等量物としてこれに添加した。次いで溶液を30秒間超音波バスで穏やかにソニケートし、HFBIIを十分に分散した。次いでこの溶液を磁性スターラーで攪拌し、40℃に加熱した。次いで溶融脂肪を添加し、ミックスを乳化し、ミックスA及びBについて記載されたように冷却した。次いでHFBIIの更なる等量物をこの冷却溶液に添加し、HFBII濃度を0.2%までもたらした。最初の0.1%のHFBIIは脂肪の乳化及び安定化のためのものであった。HFBIIの第二の添加は、十分に過剰なHFBIIを提供し、良好な曝気と気泡安定性を提供するであろう。
【0086】
冷蔵エマルションに対する粒径分析を、Malvern Mastersizer 2000を使用して実施した。
【0087】
エマルションの分析
この方法体系に引き続き、脂肪小滴を有するエマルションの作製が可能であった。測定された油性小滴のサイズの要約が表6に示されている。
【0088】
表6:Malvern Mastersizer 2000を使用して測定されたエマルション粒径
【表6】
【0089】
剪断冷凍方法
80mlのミックスを、実施例1に記載された溶液中で同時に剪断して冷凍した。要約すると、曝気して冷凍したプロトタイプを以下のように生産する:封入した容器の内部のミックスを、空気を取り込ませるために高剪断速度の羽根車で混合する。同時にクーラーを容器の覆いの周囲に流動させ、ミックスを冷却して冷凍する。羽根車は壁の内部をも薬、そこに形成する氷を除去して、ミックスの残りにこれを取り込ませる。高剪断を使用して最初にミックスを曝気し、次いで剪断速度を遅くしてより好適な冷却と冷凍を可能にする。各ミックスについて使用された剪断の態様は図7に模式的に提供されている。
【0090】
ミックスA及びB(それぞれカゼイン酸ナトリウム及びスキムミルクを含む)での冷凍と曝気の工程のため、クーラー(−18℃にセット)を時間=0分から循環するようにセットする。ミックスA及びBについて開始時の比較的遅い攪拌は、ミックスの冷却とある程度の粘性(氷の形成と取り込みを介して)の生産を可能にし、その後より高剪断を使用して曝気を実施する。高速での短時間で空気を取り込ませ、次いで速度を段階的に下げてサンプルを少なくとも−5℃に到達させる。
【0091】
ミックスC(HFBIIを含む)については、ポットを約5℃に冷蔵し、サンプルを添加し、曝気のための高剪定断面を開始した。クーラー(−18℃にセット)は、100%のオーバーランを生産するのに必要な増加時間のため、9分まで循環のスイッチを入れなかった。クーラーが循環するようにスイッチを入れたら(9分で)、上述(A及びBについて)のものと同じ剪断−冷却パターンを採用した。
【0092】
この工程の最後で、オーバーランを測定し、サンプル(約15g)を小さなポットに配置した。各製品を−80℃にセットした冷蔵庫で10分間更に冷却し、その後−20℃で貯蔵した。
【0093】
曝気冷凍製品の分析
全ての曝気冷凍製品を、二つの温度の態様下で貯蔵した:
(a)−20℃。生産の一週間以内でその後の分析を実施し、これを「フレッシュ」製品と称する。
(b)温度で貯蔵したサンプルは1または2週間−10℃で貯蔵し、その後分析前に−20℃で貯蔵した。
【0094】
表8:工程の詳細、及びミックスA、B、及びCから調製された製品の製品オーバーラン
【表7】
【0095】
最終製品を以下のように分析した:
フレッシュに生産された製品のオーバーラン;
フレッシュな製品と温度で貯蔵した製品に関するSEM分析;
フレッシュな製品と温度で貯蔵した製品に関する溶融の挙動。
【0096】
オーバーラン
製品のそれぞれについてのオーバーランは表8に要約されている。全てのミックスが曝気可能であり、有意な量の空気を取り込んだ。
【0097】
微小構造安定性:方法体系
走査型電子顕微鏡(SEM)
各製品の微小構造を、低温走査型電子顕微鏡(LTSEM)を使用して視覚化した。サンプルをドライアイスで−80℃に冷却し、サンプルの切片を切断した。約5mm×5mm×10mmのサイズのこの切片を、Tissue Tek: OCT(登録商標)化合物(PVA11%、カルボワックス5%、及び85%の非反応性成分)を使用してサンプルホルダーに搭載した。ホルダーを含むサンプルを液体窒素スラッシュ内に沈め、低温調製チェンバー:Oxford Instrument CT1500HFに移した。チェンバーを約10−4バールの真空下に配置し、サンプルを−90℃に温める。氷をゆっくりとエッチングし、氷自体では生じない表面の詳細を明らかにし、60から90秒間の一定の真空下でこの温度で水を除去する。エッチングしたら、サンプルを−110℃に冷却して昇華を実施し、アルゴンプラズマを使用して金を被覆する。この工程も、10−1ミリバールの適用圧力で45秒間6ミリアンペアの電流で真空下で実施する。次いでサンプルを、−160℃の温度でOxford Instrumentsコールドステージを備えた従来の走査型電子顕微鏡(JSM 5600)に移す。サンプルを調べて、興味ある領域をデジタルイメージ獲得ソフトウェアーにより捕捉する。
【0098】
微小構造分析:結果
フレッシュな製品と温度で貯蔵した冷凍製品の微小構造を調べるために、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用した。代表的なイメージが、異なる倍率で図8及び9に示されている。
【0099】
温度で貯蔵した後、SEMのイメージは、HFBII含有製品(ミックスC由来)は初期の微小構造を維持した、即ち見かけの空気の気泡の粗化はほとんど存在しないことが明確に示される。これは、−10℃での1及び2週間の貯蔵の後でも当てはまる。しかしながら、NaCas及びSMPを含むプロトタイプ(それぞれミックスA及びB由来)は、ほんの1週間の後に−10℃での温度貯蔵下で、期待の構造の非常にひどい合着を示す。
【0100】
全体として、HFBIIを含んで作製された冷凍製品は、カゼイン酸ナトリウムまたはスキムミルクパウダーを使用して作製された冷凍製品よりも、温度の貯蔵に対してずっと優れた安定性を示すことは明らかである。HFBIIは、空気気泡安定性に対して効果を有する。
【0101】
溶融の挙動:方法体系
冷凍製品のサンプルを室温(20℃)で金属グリッドに配置した。製品が溶融する態様の差異、特に形状の維持及び起泡安定性を、時間の関数として観察した。
【0102】
溶融の挙動:結果
これらの微小構造の差異(安定な気泡および安定な氷)は、冷凍製品の溶融の挙動にあるインパクトを有する。ミックスC(HFBIIを含む)から製造された曝気冷凍サンプルは、カゼイン酸ナトリウムまたはスキムミルクパウダーで製造された製品(即ちそれぞれミックスA及びB)と比較して、溶融の際により良好に形状を維持した。
【0103】
氷が溶けて水を形成するにつれて、それは溶融グリッドに流動した。しかしながら、HFBIIを有する製品については、多くの起泡がグリッドに維持され、いくらか安定な起泡の小滴が下に観察された−これらの特徴のいずれもが、従来のタンパク質(カゼイン酸ナトリウム及びスキムミルクパウダー)では観察されなかった。これは使用されたタンパク質のそれぞれの間の起泡安定性の差異を説明する。
【0104】
製品A、B、及びCの間のきめの差異
3種の製品の間のきめの明確な差異も、−10℃での1週間の貯蔵後(即ち温度で貯蔵したサンプル)で観察できた。カゼイン酸ナトリウム(A)及びスキムミルクパウダー(B)を使用して製造された製品を扱う際には、これらは非常に柔らかく非常にもろいきめを有することに注意すべきであったが、これはサンプルポットに貼り付けるために使用されたシリコンペーパーからきれいに除去するのが困難であった。他方で、HFBII(C)を使用して作製された製品は非常に堅く、サンプルポットに張り付いたシリコンペーパーから非常にきれいに放出された。言い換えると、HFBIIを使用して調製された製品は、カゼイン酸ナトリウムまたはスキムミルクパウダーを使用して調製された製品より、微視的且つ巨視的なスケールの両者で温度の貯蔵に対してずっと優れた安定性を示す。
【0105】
上述の個々のセクションにおいて参照される本発明の各種の特徴及び実施態様は、適切なように必要に応じて変更を加えて、他のセクションに適用される。従って、一つのセクションで特定される特徴は、適切なように他のセクションで特定される特徴と結び付けてよい。
【0106】
この明細書で言及される全ての文献は、参考として個々に取り込まれる、上述の方法及び本発明の製品の各種の変形例及び変更例は、本発明の範囲から離れることなく当業者に明らかであろう。本発明は特定の好ましい実施態様に関連して記載されているが、特許請求の範囲に記載された本発明は、そのような特定の実施態様に制限されるべきではないことが理解されるべきである。実際、当業者に明らかである本発明を実施するために記載された態様の各種の変形例は、以下の特許請求の範囲内にあることが企図される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイドロフォビンを含む曝気食料品に関する。
【背景技術】
【0002】
広範囲の食料品が、空気、窒素、及び/または二酸化炭素のような導入気体を含んでいる。そのような食品は、冷凍食料品及び冷蔵食料品、例えばアイスクリーム及びムースを含む。二つの鍵となる考慮が、曝気食料品の生産及び貯蔵において生じており、それらは主に製造の間で製品内へ気体を導入する能力(起泡能力)及びその後の貯蔵の間での起泡の安定性(起泡安定性)である。数多くの添加剤が曝気食料品に含まれており、起泡の形成及び維持を補助している。これらは、高度に起泡可能であるカゼイン酸ナトリウム及びホエーのようなタンパク質、良好な安定化剤であるカラギーナン、グアゴム、イナゴマメゴム、ペクチン、アルギネート、キサンタン、ゲラン、ゼラチン、及びそれらの混合物のようなバイオポリマーを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO 01/74864
【特許文献2】WO 96/41882
【特許文献3】WO 01/57076
【特許文献4】WO 00/58342
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Ice Cream, 第4版, Arbuckle (1986), Van Nostrand Reinhold Company, New York, NY
【非特許文献2】Sambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第3版 (2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.
【非特許文献3】Ausubel等, Short Protocols in Molecular Biology (1999), 第4版, John Wiley & Sons, Inc.
【非特許文献4】Current Protocols in Molecular Biology
【非特許文献5】Wessels, 1997, Adv. Microb. Physio. 38: 1-45
【非特許文献6】Wosten, 2001, Annu Rev. Microbiol. 55: 625-646
【非特許文献7】De Vocht等, 1998, Biophys. J. 74: 2059-68
【非特許文献8】Wosten等, 1994, Embo. J. 13: 5848-54
【非特許文献9】MacCabe及びVan Alfen, 1999, App. Environ. Microbiol 65: 5431-5435
【非特許文献10】Collen等, 2002, Biochem Biophys Acta. 1569: 139-50
【非特許文献11】Calonje等, 2002, Can. J. Microbiol. 48: 1030-4
【非特許文献12】Askolin等, 2001, Appl Microbiol Biotechnol. 57: 124-30
【非特許文献13】De Vries等, 1999, Eur J Biochem. 262: 377-85
【非特許文献14】Linder等, 2001, Biomacromolecules 2: 511-517
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、当該技術分野で使用されている安定化剤は、しばしば全起泡体積を維持できるが、それらは気泡の微小構造の粗化を阻害する機能が少ない、即ち不均化と合着のような反応によって起泡のサイズを増加する。更に、曝気食料品において気体相を安定化するために使用される成分の多くは、かなり高濃度で添加される必要があり、それらはきめの悪化及び/またはカロリーの向上を有し得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願人は、ハイドロフォビンと称される真菌で見出されるあるクラスのタンパク質が、高度な起泡能力特性と良好な起泡安定性特性を組み合わせることを見出した。特にハイドロフォビンは、優れた起泡体積の安定性と粗化の阻害の両者を提供することを見出した。更に、優れた製品安定性を達成するのに必要であるハイドロフォビンの濃度は比較的低い。それ故、曝気食料品を形成して安定化するために使用される従来の成分のあるものまたはすべてを、より少量のハイドロフォビンで置換することができるであろう。
【0007】
従って、本発明は、ハイドロフォビンを含む曝気食料品を提供する。関連する特徴点では、本発明は、空気相がハイドロフォビンで少なくとも部分的に安定化されている曝気食料品を提供する。別の関連する特徴点では、本発明は、ハイドロフォビンが空気相と会合しているハイドロフォビンを含む曝気食料品を提供する。
【0008】
好ましくは、ハイドロフォビンはクラスIIハイドロフォビンである。
【0009】
好ましい実施態様では、ハイドロフォビンは少なくとも0.001重量%、より好ましくは少なくとも0.01重量%の量で存在する。
【0010】
関連する特徴点では、本発明は、食料品の残余の成分の少なくとも一つとともに、ハイドロフォビン、好ましくは単離形態のハイドロフォビンを含む、本発明の曝気食料品を生産するための組成物を提供する。好ましくは前記組成物は、食料品の全ての残余の成分を含む。
【0011】
関連する実施態様では、本発明は、食料品の残余の非液体成分の少なくとも一つの共に、ハイドロフォビン、好ましくは単離形態のハイドロフォビンを含む、本発明の曝気食料品を生産するための乾燥組成物を提供する。好ましくは前記組成物は、食料品の全ての非液体成分を含む。
【0012】
本発明は更に、曝気食料品における気泡の粗化を阻害する方法におけるハイドロフォビンの使用を提供する。
【0013】
関連する特徴点では、本発明は、食料品の曝気の前及び/または最中に食料品にハイドロフォビンを添加する工程を含む、曝気食料品における気泡の粗化を阻害する方法を提供する。
【0014】
本発明はまた、曝気食料品における気泡の安定化の方法におけるハイドロフォビンの使用を提供する。
【0015】
関連する特徴点では、本発明はまた、食料品の曝気の前及び/または最中に食料品にハイドロフォビンを提供する工程を含む、曝気食料品における気泡の安定化の方法を提供する。
【0016】
本発明は更に、曝気食料品における形状の保持及び/または硬度を改良する方法におけるハイドロフォビンの使用を提供する。
【0017】
関連する特徴点では、本発明は、食料品の曝気の前及び/または最中に食料品にハイドロフォビンを添加する工程を含む、曝気食料品における形状の保持及び/または硬度の改良の方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、水中のハイドロフォビンのタンパク質濃縮物、カゼイン酸ナトリウム、スキムミルクパウダーの関数としてのオーバーランを示すグラフである。
【図2】図2は、オーバーランとして表される0.1重量%のハイドロフォビンの起泡安定性を示すグラフである。起泡安定性は、(1)水、(2)20重量%のスクロース溶液、及び(3)20重量%のスクロースと1重量%のグアゴムの溶液中のハイドロフォビンに対して示されている。
【図3A】図3Aは、水中に0.1重量%のハイドロフォビンと、2重量%のカゼイン酸ナトリウム、2.86重量%のスキムミルクパウダー(約1重量%のタンパク質に等しい)、及び6.67重量%のホエーパウダー(約2重量%のタンパク質に等しい)の各水溶液との起泡安定性を比較するグラフである。
【図3B】図3Bは、20重量%のスクロース溶液中の、0.1重量%のハイドロフォビンと2重量%のカゼイン酸ナトリウムとの起泡安定性を比較するグラフである。
【図3C】図3Cは、20重量%のスクロースと1重量%のグアゴムの溶液中の、0.1重量%のハイドロフォビンと2重量%のカゼイン酸ナトリウムとの起泡安定性を比較するグラフである。ハイドロフォビンを使用して生産された起泡は、2%のカゼイン酸ナトリウムのものよりかなり安定である。
【図4】図4は、冷蔵温度での(A)1日間後及び(B)2週間後の本発明の曝気食料品の走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】図5は、ハイドロフォビンの存在下での空気/水界面の界面流動学的特性(G’及びG”)を示すグラフである。装置の能力を超えて推移する度合いに値が増大することに注意すべきである。
【図6】図6は、0.0007重量%のカゼイン酸ナトリウム及びホエータンパク質と比較した、0.00035重量%のハイドロフォビンの空気/水界面での界面弾性(G’)を示すグラフである。ハイドロフォビンの読み取りがスケール外に飛び出ているが、ハイドロフォビンの界面弾性が、従来のタンパク質によって形成されるものよりかなり高いことをこの結果は示す。
【図7】図7は、曝気冷凍製品についての剪断態様を示す図表である。
【図8】図8は、新鮮な及び放置後の製品微小構造についての走査型電子顕微鏡写真である(倍率×100)。
【図9】図9は、新鮮な及び放置後の製品微小構造についての走査型電子顕微鏡写真である(倍率×300)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
他に規定がなければ、ここで使用される全ての技術用語及び学術用語は、当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する(例えば冷蔵菓子/冷凍菓子製造、化学、バイオテクノロジーにおける用語)。冷蔵菓子/冷凍菓子製造で使用される各種の用語及び技術の定義及び記載は、Ice Cream, 第4版, Arbuckle (1986), Van Nostrand Reinhold Company, New York, NYに見出される。分子的用法及び生化学的方法について使用される標準技術は、Sambrook等, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第3版 (2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.、及びAusubel等, Short Protocols in Molecular Biology (1999), 第4版, John Wiley & Sons, Inc.、及びCurrent Protocols in Molecular Biologyの表題の完全版に見出すことができる。
【0020】
ハイドロフォビン
ハイドロフォビンは、疎水性/親水性界面で自己アセンブリーでき、以下の保存配列:
Xn−C−X5−9−C−C−X11−39−C−X8−23−C−X5−9−C−C−X6−18−C−Xm(配列番号1)
[式中、Xはいずれかのアミノ酸を表し、n及びmは独立に整数を表す]
を有する周知のクラスのタンパク質である(Wessels, 1997, Adv. Microb. Physio. 38: 1-45; Wosten, 2001, Annu Rev. Microbiol. 55: 625-646)。典型的にハイドロフォビンは、125アミノ酸までの長さを有する。保存配列中のシステイン残基(C)は、ジスルフィド架橋の一部を形成する。本発明の内容では、用語「ハイドロフォビン」は、以下の配列:
Xn−C−X1−50−C−X0−5−C−X1−100−C−X1−100−C−X1−50−C−X0−5−C−X1−50−C−Xm(配列番号2)
を含むタンパク質のようなタンパク質フィルムを生ずる疎水性/親水性界面で自己アセンブリーの特徴を未だ示す機能的に同等なタンパク質、またはタンパク質フィルムを生ずる疎水性/親水性界面で自己アセンブリーの特徴を未だ示すその一部を含むように、より広い意味を有する。本発明の定義によれば、自己アセンブリーは、テフロン(登録商標)にタンパク質を吸着させ、二次構造(一般的にα−ヘリックス)の存在を確立するための円2色性を使用することによって検出できる(De Vocht等, 1998, Biophys. J. 74: 2059-68)。
【0021】
フィルムの形成は、タンパク質溶液中でテフロン(登録商標)シートをインキュベートし、引き続き水またはバッファーで少なくとも3回洗浄することによって確立できる(Wosten等, 1994, Embo. J. 13: 5848-54)。タンパク質フィルムは、蛍光マーカーでのラベリングのようないずれの適切な方法によって、または当該技術分野で十分に確立されている蛍光抗体の使用によって視覚化できる。m及びnは典型的に、0から2000の範囲の値を有するが、とりわけm及びnは全部で100または200未満である。本発明の内容におけるハイドロフォビンの定義は、ハイドロフォビンと別のポリペプチドとの融合タンパク質、並びにハイドロフォビンとポリサッカリドのような他の分子との接合物を含む。
【0022】
今日までに同定されたハイドロフォビンは一般的に、クラスIまたはクラスIIのいずれかとして分類されている。両者のタイプは、両親媒性フィルム内に疎水性界面で自己アセンブリーする分泌タンパク質として真菌で同定されている。クラスIハイドロフォビンの会合物は比較的疎水性である一方、クラスIIハイドロフォビンの会合物は各種の溶媒中に容易に溶解する。
【0023】
ハイドロフォビン様タンパク質は、Actinomycete種及びSteptomyces種のような繊維状細菌で同定されている(WO 01/74864)。これらの細菌タンパク質は、真菌ハイドロフォビンと比較して、二つのみのシステイン残基を有しているため一つのみのジスルフィド架橋を形成する。そのようなタンパク質は、配列番号1及び2に示されたコンセンサス配列を有するハイドロフォビンの機能的な同等物の例であり、本発明の範囲内に存在する。
【0024】
ハイドロフォビンは、いずれかの適切な方法により、繊維状真菌のような天然の供給源からの抽出によって得ることができる。例えばハイドロフォビンは、増殖培地内にハイドロフォビンを分泌する繊維状真菌の培養によって、または60%エタノールでの真菌菌糸体からの抽出によって得ることができる。ハイドロフォビンを天然に分泌する宿主生物からハイドロフォビンを単離することが特に好ましい。好ましい宿主は、線菌綱(例えばTrichoderma)、担子菌綱、及び子嚢菌綱である。特に好ましい宿主は、クリパリンと称されるハイドロフォビンを分泌するCryphonectria parasticaのような食品グレードの生物である(MacCabe及びVan Alfen, 1999, App. Environ. Microbiol 65: 5431-5435)。
【0025】
別法として、ハイドロフォビンは組換え法の使用によって得ることができる。例えば典型的に微生物である宿主細胞を、ハイドロフォビンを発現するように修飾してもよく、次いでハイドロフォビンを単離し、本発明に従って使用できる。宿主細胞内にハイドロフォビンをコードする核酸構築物を導入するための方法は、当該技術分野で周知である。ハイドロフォビンをコードする34を超える遺伝子が、16の真菌種についてクローン化されている(例えばAgaricus bisporusで同定されたハイドロフォビンの配列を与えるWO 96/41882;及びWosten, 2001, Annu Rev. Microbiol. 55: 625-646を参照)。組換え法はまた、ハイドロフォビン配列を修飾するために、または所望の特性/改良された特性を有する新規なハイドロフォビンを合成するためにも使用できる。
【0026】
典型的に、適切な宿主細胞または生物は、所望のハイドロフォビンをコードする核酸構築物によってトランスフォームされる。前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、転写及び翻訳のための必要なエレメントをコードする適切な発現ベクターに、適切な条件下(例えば正しい配向及び正しいフレームワークで、適切な標的化配列及び発現配列と共に)で発現するような態様で挿入できる。これらの発現ベクターを構築するのに必要な方法は当業者に周知である。
【0027】
数多くの発現系が、ポリペプチドコード配列を発現するために使用されて良い。これらは細菌、真菌(酵母を含む)、昆虫細胞系、植物培養細胞系、適切な発現ベクターでトランスフォームされた植物体全体を含むが、これらに制限されない。好ましい宿主は、食品グレードと考慮される−「一般的に安全と考慮される(GRAS)」−ものである。
【0028】
適切な真菌種は、Saccharomyces属、Kluyveromyces属、Pichia属、Hansenula属、Candida属、Schizosaccharomyces属等のような(これらに制限されない)酵母、Aspergillus属、Trichoderma属、Mucor属、Neurospora属、Fusarium属等のような(これらに制限されない)糸状菌種を含む。
【0029】
ハイドロフォビンをコードする配列は、天然で同定されるハイドロフォビンに対してアミノ酸レベルで好ましくは少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも95%または100%同一である。しかしながら当業者は、ハイドロフォビンの生物学的活性を減少しない保存的置換または他のアミノ酸変化を導入しても良い。本発明の目的のため、天然に存在するハイドロフォビンに対して高レベルの同一性を有するこれらのハイドロフォビンは、用語「ハイドロフォビン」の範囲内に存在する。
【0030】
ハイドロフォビンは、例えばWO 01/57076に記載された方法によって、培養培地または細胞抽出物から精製でき、当該文献は、ハイドロフォビン含有溶液に存在するハイドロフォビンを表面に吸着させ、Tween 20のような界面活性剤と表面を接触させ、表面からハイドロフォビンを溶出することを含む。Collen等, 2002, Biochem Biophys Acta. 1569: 139-50; Calonje等, 2002, Can. J. Microbiol. 48: 1030-4; Askolin等, 2001, Appl Microbiol Biotechnol. 57: 124-30;及びDe Vries等, 1999, Eur J Biochem. 262: 377-85参照。
【0031】
曝気食料品
本発明の曝気食料品は典型的に、加熱、常温、冷蔵、または冷凍の4つの群の一つに入る。用語「食品」は飲料を含む。加熱食料品は、カプチーノコーヒーのような飲料を含む。常温曝気食料品は、ホイップクリーム、マシュマロ、及び焼き製品、例えばパンを含む。冷蔵曝気食料品は、ホイップクリーム、ムーズ、並びにビール、ミルクセーキ、及びスムージーのような飲料を含む。冷凍曝気食料品は、アイスクリーム、ミルクアイス、フローズンヨーグルト、シャーベット、スラッシュ、フローズンカスタード、ウォーターアイス、ソルベ、アイス、及びフローズンプーリのような冷凍菓子を含む。
【0032】
好ましくは曝気食料品は、曝気菓子製品である。
【0033】
用語「曝気」は、例えば機械的手段によって、製品中に気体が意図的に取り込まれていることを意味する。気体は、空気、窒素、または二酸化炭素のようないずれかの食品グレードのものであることができる。曝気の度合いは典型的に、「オーバーラン」に関して定義される。本発明の内容では、オーバーラン%は、以下のような体積に関して定義される:
((最終曝気製品の体積−ミックスの体積)/ミックスの体積)×100
【0034】
製品中に存在するオーバーランの量は、所望の製品の特徴に依存して変化するであろう。例えば、アイスクリームにおけるオーバーランのレベルは典型的に約70から100%であり、ムースのような菓子においては、オーバーランは200から250重量%程度高くなることができ、ウォーターアイスにおけるオーバーランは25から30%である。ある種の冷蔵製品、常温製品、及び加熱製品におけるオーバーランのレベルはより低いが、一般的に10%を超えており、ミルクセーキにおけるオーバーランのレベルは、典型的に10から40重量%である。
【0035】
製品中に存在するハイドロフォビンの量は、一般的に製品の処方及び空気相の体積に依存して変化するであろう。典型的に製品は、少なくとも0.001重量%、より好ましくは少なくとも0.005または0.01重量%のハイドロフォビンを含むであろう。典型的に製品は、1重量%未満のハイドロフォビンを含むであろう。ハイドロフォビンは単一の供給源または複数の供給源から由来してよく、例えばハイドロフォビンは、二つ以上の異なるハイドロフォビンポリペプチドの混合物であることができる。
【0036】
好ましくはハイドロフォビンは、クラスIIハイドロフォビンである。
【0037】
本発明はまた、ハイドロフォビンを含む、本発明の曝気食料品の生産のための組成物を包含する。そのような組成物は、液体プレミックス、例えば冷凍菓子製品の生産で使用されるプレミックス、及びドライミックス、例えばパウダーを含み、曝気の前または最中に、後者に対してミルクまたは水のような水性液体を添加する。
【0038】
そのような組成物は、液体プレミックス、例えば冷凍菓子製品の生産で使用されるプレミックス、及びドライミックス、例えばパウダーを含み、曝気の前または最中に、後者に対してミルクまたは水のような水性液体を添加する。
【0039】
本発明の冷凍食料品の生産するための組成物は、ハイドロフォビンに加えて、食料品に通常含まれる他の成分、例えば糖、脂肪、乳化剤、香味剤等を含むであろう。前記組成物は、容易に加工、即ち曝気して、本発明の曝気食料品を形成するように、食料品作製に必要とされる残余の成分の全てを含んで良い。
【0040】
本発明の曝気食料品の生産のためのドライ組成物もまた、ハイドロフォビンに加えて、食料品に通常含まれる他の成分、例えば糖、脂肪、乳化剤、香味剤等を含むであろう。前記組成物は、ユーザーが必要とする全てが水またはミルクのような水性液体を添加して、組成物を容易に加工し、本発明の曝気食料品を形成するように、食料品作製に必要とされる残余の非液体成分の全てを含んで良い。例としてパウダーまたは顆粒を含むこれらのドライ組成物は、産業上の使用及び小売用の使用の両者のためにデザインでき、減少した嵩とより長い貯蔵期間の利益を有する。
【0041】
ハイドロフォビンは、空気相を安定化するのに利用可能な形態及び量で添加される。用語「添加」により、ハイドロフォビンは、その起泡安定化特性を利用する目的のために、食料品に故意に導入される。従って、ハイドロフォビンポリペプチドを含んで良い真菌混在物を含む食品成分が存在または添加される場合、これは本発明の内容の範囲内で、ハイドロフォビンを添加することを構成しない。
【0042】
典型的にハイドロフォビンは、空気−液体表面で自己アセンブリーが可能な形態で、食料品に添加される。
【0043】
典型的にハイドロフォビンは、単離された形態、典型的に少なくとも部分的に精製された形態、例えば固体重量に基づいて少なくとも10%の純度で、本発明の食料品または組成物に添加される。「単離された形態での添加」により、ハイドロフォビンが、天然でハイドロフォビンを発現するマッシュルームのような天然に存在する生物の一部として添加されないことを意味する。代わりにハイドロフォビンは典型的に、天然に存在する供給源から抽出されているか、宿主生物における組換え発現によって得られたものである。
【0044】
一つの実施態様では、ハイドロフォビンは、モノマー、ダイマー、及び/またはオリゴマー(即ち10以下のモノマー単位からなる)形態で、食料品に添加される。好ましくは添加されるハイドロフォビンの少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75、80、85、または90重量%は、これらの形態の少なくとも一つで存在する。一度添加されると、ハイドロフォビンは典型的に、空気/液体界面でアセンブリーを受け、それ故モノマー、ダイマー、及びオリゴマーの量は、減少すると予測されるであろう。
【0045】
一つの実施態様では、ハイドロフォビンは、単離された形態、典型的に少なくとも部分的に精製された形態で、本発明の曝気食料品または組成物に添加される。
【0046】
添加されるハイドロフォビンは、一般的に気泡の粗化を阻害することによって、曝気食料品中の空気相を安定化するために使用でき、即ちハイドロフォビンは、起泡体積を安定化するだけでなく、起泡中の気泡のサイズをも安定化することが見出されている。
【0047】
本発明は、以下の実施例を参考にして更に記載されるが、実施例は説明的且つ非制限的なものである。
【実施例】
【0048】
実施例1−起泡能力
(a)水中のカゼイン酸ナトリウム、スキムミルクタンパク質、またはハイドロフォビン
Trichoderma reeseiハイドロフォビンII(HFBII)の起泡能力を、広範に使用されている起泡可能な食用タンパク質カゼイン酸ナトリウム(DMV International, the Netherlands. 88−90%タンパク質、1.5%脂肪、及び6%水分)と、スキムミルク(United Milk, UK. 33−36%タンパク質、0.8%脂肪、3.7%水分)と比較した。HFBIIを、VTT Biotechnology, Finland(特にWO 00/58342及びLinder等, 2001, Biomacromolecules 2: 511-517に記載されたようにTrichoderma reeseiから精製した)。
【0049】
以下の表は、調製したタンパク質溶液の濃度を示す。
【0050】
表1−調製した溶液
【表1】
【0051】
食用タンパク質溶液を磁性スターラーを使用して調製し、タンパク質を室温で水中に分散した。次いで溶液を60℃に加熱し、5分間維持し、次いで5℃に冷却した。HFBII溶液をSonicor超音波バスモデルSC-42(Sonicor Instrument Corp)を使用することによって調製した。HFBIIを等量物またはドライパウダーとしてそれぞれ添加し、全てのHFBが分散し、透明な液体が得られるまで室温で30秒から1分間ソニケートした。溶液を曝気の前に5℃に更に冷却した。
【0052】
105mmの高さと72mmの直径の内部形状を有する、冷却(2℃)した円筒状の垂直に立直した被覆ステンレススチール容器で、最大10分間まで各溶液を剪断面することによって、起泡を生産した。容器の蓋は、46%(180ml)のサンプルを維持するように54%の内部体積を充填した。サンプルの剪断のために使用されるローターは、回転するにつれて容器の表面縁を擦るように、正確な割合の四角形の羽根車からなる(寸法72mm×41.5mm)。四角形の付属物に対して45°の角度で配置された二つの半円形(直径60mm)の高剪断ブレードも、ローターに結合されている。
【0053】
80mlの溶液を、ローターの半分を覆うのに十分なように容器に注ぎ、蓋を固定した。次いで溶液を、上述の期間1250rpmで剪断した(表1)。次いで曝気溶液を迅速に測定シリンダーに注ぎ、体積当たりのオーバーランの測定値を得た。起泡能力は、「オーバーラン」のパーセンテージに関して記載される起泡の体積を指し、Arbuckle(本書中)による定義に基づく。
オーバーラン%=100×(起泡の体積−曝気溶液の体積)/(曝気溶液の体積)
【0054】
図1は、カゼイン酸ナトリウム、SMP、及びHFBIIについて得られたオーバーランを示す。
【0055】
これらの結果は、ハイドロフォビンがカゼイン酸ナトリウム及びSMPと少なくとも同程度起泡可能であり、同様なオーバーランを生ずるのにより低い濃度を必要とすることを示す。
【0056】
(b)他の成分の存在下でのカゼイン酸ナトリウム及びHFB
カゼイン酸ナトリウム及びHFBIIを、20%スクロース(Tate and Lyle)及び20%スクロース+0.5%グアゴム(Willy Benecke, Germany. 78%グア、14%水分、7%タンパク質、4%酸不溶性残渣、1%脂肪、及び1%灰)の存在下でも曝気した。カゼイン酸ナトリウムとスクロースの場合では、ドライパウダーを組み合わせ、次いで磁性スターラーで混合しながらゆっくりと室温で水に添加した。次いで溶液を60℃に加熱し、5分間維持し、次いで5℃に冷却した。グアゴムが存在する場合、グアを最初に室温で半分のスクロースと溶液に添加した。次いでこの溶液を80℃に加熱し、5分間保持し、その後60℃に冷却した。この時点でカゼイン酸ナトリウムを残りのスクロースと共に添加した。室温で30分間攪拌を継続し、その後5℃に冷却した。HFBIIの場合では、等量物またはドライパウダーのそれぞれで、冷却したスクロースまたはスクロースグア溶液に別個に添加した。最初の混合を磁性スターラーで実施し、引き続き超音波バスで30秒まで実施した。表2は調製した溶液を示す。
【0057】
これらの溶液を、セクション(a)で記載したように10分間曝気し、測定シリンダーで体積当たりのオーバーランを得た。表2は各サンプルについて得られたオーバーランを示す。
【0058】
【表2】
【0059】
これらの結果は、ハイドロフォビンが、糖及び任意にグアを含むより複雑な系において、カゼイン酸ナトリウムと同様な起泡能力を有することを示す。
【0060】
実施例2−起泡安定性
HFBII起泡の安定性を、ホエー、スキムミルクパウダー、及びカゼイン酸ナトリウムといういくつかの一般的に使用される食用タンパク質と比較した。生産後、起泡を測定シリンダーに注ぎ、時間の関数としての起泡体積に関する安定性を評価した。起泡の体積は、「オーバーラン]のパーセンテージに関して記載され、Arbuckle(本書中)による定義に基づく。
オーバーラン%=100×(起泡の体積−曝気溶液の体積)/(曝気溶液の体積)
【0061】
これらの起泡の安定性は、250ml測定シリンダーに含まれるサンプルをモニターし、室温での経時的な漿液濃度と起泡の高さを記録することによって測定された。起泡中の液体は経時的に流出し、上部の起泡、及び下部に水溶液という二つの別個の区別可能な層を導く。これは、水性相が十分の量のまたはいずれの増粘剤を含まないためである。しかしながら、ここで興味あるものは起泡相の安定性である。オーバーランの計算のため、起泡の体積を、二つの区別可能な層に分離しているか否かに関わらず、空気(起泡)相と液体相の両者の系の全体の体積として考慮する。それ故オーバーランの値は、合着(それ自体で及び環境と)及び不均衡化のような典型的なブレークダウンのメカニズムに対する起泡の安定性の定量的な指標を与える。
【0062】
タンパク質を、単独の水、並びに20%スクロース、及び20%スクロース+1%グアゴムの存在下で分散した。表3は調製したサンプルを示す。ホエーパウダー(Avonol 600−30重量%のタンパク質、3.5重量%の水分、2.5重量%の脂肪、7重量%の灰、及び53重量%のラクトース)をGlanvia Irelandから得た。
【0063】
【表3】
【0064】
食用タンパク質溶液を磁性スターラーを使用して調製し、タンパク質を室温で水中に分散した。次いで溶液を60℃に加熱し、5分間維持し、次いで5℃に冷却した。HFBII溶液をSonicor超音波バスモデルSC-42(Sonicor Instrument Corp)を使用することによって調製した。HFBIIを等量物またはドライパウダーとしてそれぞれ添加し、全てのHFBが分散し、透明な液体が得られるまで室温で30秒から1分間ソニケートした。溶液を曝気の前に5℃に更に冷却した。
【0065】
20%スクロース、及び20%スクロース+0.5%グアが存在する場合、調製はわずかに異なった。カゼイン酸ナトリウムとスクロースの場合では、ドライパウダーを組み合わせ、次いで磁性スターラーで混合しながらゆっくりと室温で水中に分散した。次いで溶液を60℃に加熱し、5分間維持し、次いで5℃に冷却した。グアゴムが存在する場合、グアを最初に室温で半分のスクロースと溶液に添加した。次いでこの溶液を80℃に加熱し、5分間保持し、その後60℃に冷却した。この時点でカゼイン酸ナトリウムを残りのスクロースと共に添加した。室温で30分間攪拌を継続し、その後5℃に冷却した。HFBIIの場合では、等量物またはドライパウダーのそれぞれで、冷却したスクロースまたはスクロースグア溶液に別個に添加した。最初の混合を磁性スターラーで実施し、引き続き超音波バスで30秒まで実施した。各場合で約100%のオーバーランを生産するために、各種の剪断の値を使用することを除いて、起泡を実施例1に記載したように調製した。
【0066】
ハイドロフォビンの起泡の微小構造を、低温走査型電子顕微鏡(LTSEM)により視覚化した。起泡のサンプルを最初に5℃で切断し、液体窒素に沈めた。SEMサンプル調製の前に、サンプルをドライアイスで−80℃で放置した。非常にもろい構造のため、サンプルの切片を注意深く切断した。約6mm×6mm×10mmのサイズのこの切片を、冷凍の時点でOCT(登録商標)(Agar Scientificにより供給される)化合物を使用して、サンプルホルダーに搭載した。ホルダーを含むサンプルを液体窒素のスラッシュに沈め、低温調製チェンバー:Oxford Inst. CT1500HFに移す。チャンバーを約10−4−10−5mbarの真空下に配置する。サンプルをコールドステージに−110℃未満の温度で維持する。外科用メスを使用してチェンバーの内部にサンプルを割り、アルゴンプラズマを使用して金で被覆する。この工程も、10−1ミリバールの適用圧力で、30秒間5ミリアンペアの電流で真空下で実施する。次いで、−150℃の温度でOxford Instrumentsコールドステージを備えた従来の操作型電子顕微鏡(JSM 5600)にサンプルを移した。サンプルを調べ、興味ある領域をデジタルイメージ獲得ソフトウェアーで捕捉した。
【0067】
結果−ハイドロフォビンを使用して作製した起泡の起泡安定性
ハイドロフォビンを使用して生産した起泡は、試験した全ての3種の系(水、+スクロース、+スクロース及びグア)で長期間に亘り安定を維持した−図2参照。
【0068】
結果−水中のタンパク質の気泡安定性の比較
カゼイン酸ナトリウム、スキムミルクパウダー、及びホエータンパク質から生産された起泡は、ハイドロフォビンを使用して生産された起泡と比較して全て非常に不安定である(図3A参照)。更に、100%の初期オーバーランを得るために、ハイドロフォビンで必要とされる濃度より高濃度のスキムミルク及びホエータンパク質が必要であった。
【0069】
結果−スクロース/グアゴムの存在下でのハイドロフォビン及びカゼイン酸ナトリウムの起泡安定性の比較
ハイドロフォビンを使用して生産された起泡は、かなりの期間(2週間)非常に安定なままであるのに対して、カゼイン酸ナトリウムを使用して生産された起泡は、スクロースの存在下で20分間(図3B)、スクロースとグアゴムの存在下で約2時間(図3C)安定であった。
【0070】
それ故ハイドロフォビンは、他の従来使用されているタンパク質に対して、非常に安定なままであるかなりの量の起泡を作製するのに低濃度で使用できる。
【0071】
要約すると、0.1%HFBIIで作製される起泡は、試験された他のタンパク質によって生産されるものより安定であることをこのデータは示す。全ての起泡は経時的に排水するが(これは増粘剤の添加によって減少できる)、ハイドロフォビンの起泡についての気泡は安定なままである、即ち気泡系は空気を未だ維持する(オーバーラン)。更に、ハイドロフォビンで作製された起泡に存在する気泡は、少なくとも2週間冷蔵温度で合着する起泡に安定なままであることが見出された(気泡のサイズが2週間後で実質的に変化しないことを示すSEM顕微鏡写真を示す図4参照)。それ故ハイドロフォビンは、起泡の体積及び気泡のサイズの両者の観点で、起泡の安定性を改善する。気泡の表面で観察される割れ目は、SEM調製法のアーティファクトと解されることに注意すべきである。
【0072】
実施例3−表面流動計を使用する表面粘性と弾性の測定
Camtel CIR-100界面流動計(Camtel Instruments Limited, Royston, Herts, UK)を、表面粘性及び弾性を測定するために使用した。そのようなデータは、吸着した分子が如何に十分に起泡を安定化するかの指標を与える。
【0073】
46mmの直径のサンプル皿中の液体の表面で13mmの直径のdu Nouyリングを使用して、前記装置を標準化共鳴モードで使用した。リングをサンプルの表面に振動させ、高解像度置換センサーを使用して、±1°の範囲に亘るひずみの振幅をモニターする。
【0074】
同じ実験条件を使用して各稼動を実施した。3Hzの開始周波数、且つ10000μラジアンの開始振幅で稼動を時間掃引し、室温で測定を実施した。試験時間を36000秒にセットし、当該時間内で240点のデータを集積した。興味ある物理的パラメーターは、時間の関数としてのG’(貯蔵モジュラス)及びG”(損失モジュラス)であり、それらは吸収された表面層の粘弾性の指標を与える。
【0075】
タンパク質サンプルを、必要な濃度に水で希釈した。表面流動測定を純水に対して実施し、それをタンパク質溶液の測定の前に測定した。
【0076】
表面流動データが図5及び6に示されている。ハイドロフォビンタンパク質については、G’及びG”は経時的に次第に増加し、その後両者の迅速な増大が観察される。示された実施例では、セットアップされた実験の測定能力を超える程度に当該値は増大する。非常に低濃度(0.001重量%未満)でさえ、G’及びG”についての値は、ホエータンパク質及びカゼイン酸ナトリウムという比較品として使用された過剰なタンパク質よりも離れた値に到達する。
【0077】
これらのデータから、気泡の周りに非常に強力な粘弾性の表面層を形成することによって、ハイドロフォビンが起泡を有効に安定化することが結論付けられる。これらは、合着及び不均衡化のような典型的な起泡の不安定化メカニズムに対して良好な安定性を導く。匹敵する濃度で表面層がハイドロフォビンほど高いG’及びG”を示さないため、ホエータンパク質及びカゼイン酸ナトリウムの起泡は、両者ともハイドロフォビンの起泡より不安定である。
【0078】
従ってハイドロフォビンは、例えば不均衡化及び/または合着を阻害または減少することによって、曝気食料品における気泡の粗化を阻害するために使用できる。同様にハイドロフォビンは、曝気食料品において起泡を安定化するために使用できる。更にハイドロフォビンが気泡の粗化を阻害することを考慮すると、曝気製品の形状維持及び硬度を改善することも可能であろう。
【0079】
実施例4−曝気冷凍製品
3タイプのタンパク質を使用して、曝気冷凍製品を調製した:
A:カゼイン酸ナトリウム(NaCas)
B:スキムミルクパウダー(SMP)
C:Trichoderma Reesei由来のハイドロフォビン(HFBII)
【0080】
製品の微小構造及び物理的特性を、温度での放置の摂生の前後の両者で比較した。
【0081】
材料
使用された材料の詳細は表4に要約されており、曝気冷凍製品のそれぞれを調製した処方が表5に示されている。
【0082】
表4:使用された材料
【表4】
【0083】
表5:使用された処方
【表5】
【0084】
曝気冷凍製品の調製
ミックス(エマルション)調製
全てのミックスを100gのバッチで作製した。ミックスA及びB(それぞれをカゼイン酸ナトリウム及びスキムミルクを含む)については、タンパク質をスクロースと組み合わせ、磁性スターラーを使用して冷水中に分散した。次いでこの溶液を攪拌しながら60℃に加熱し、5分間維持した後に40℃に冷却した。次いでMoltenココナッツ脂肪を添加し、溶液中に十分に浸液した先端で70%の振動で3分間、水性ミックスを迅速にソニケートした(6.4mmの先細り先端を有するBranson Sonifer)。次いで、溶液の温度が5℃になるまで、エマルションを−10℃の水冷バスで迅速に冷却し、脂肪小滴を結晶化した。更なる使用までミックスを5℃で貯蔵した。
【0085】
ミックスC(HFBIIを含む)については、最初にスクロースを攪拌しながら冷水中に分散した。次いで、HFBIIの必要な濃度の半分を、等量物としてこれに添加した。次いで溶液を30秒間超音波バスで穏やかにソニケートし、HFBIIを十分に分散した。次いでこの溶液を磁性スターラーで攪拌し、40℃に加熱した。次いで溶融脂肪を添加し、ミックスを乳化し、ミックスA及びBについて記載されたように冷却した。次いでHFBIIの更なる等量物をこの冷却溶液に添加し、HFBII濃度を0.2%までもたらした。最初の0.1%のHFBIIは脂肪の乳化及び安定化のためのものであった。HFBIIの第二の添加は、十分に過剰なHFBIIを提供し、良好な曝気と気泡安定性を提供するであろう。
【0086】
冷蔵エマルションに対する粒径分析を、Malvern Mastersizer 2000を使用して実施した。
【0087】
エマルションの分析
この方法体系に引き続き、脂肪小滴を有するエマルションの作製が可能であった。測定された油性小滴のサイズの要約が表6に示されている。
【0088】
表6:Malvern Mastersizer 2000を使用して測定されたエマルション粒径
【表6】
【0089】
剪断冷凍方法
80mlのミックスを、実施例1に記載された溶液中で同時に剪断して冷凍した。要約すると、曝気して冷凍したプロトタイプを以下のように生産する:封入した容器の内部のミックスを、空気を取り込ませるために高剪断速度の羽根車で混合する。同時にクーラーを容器の覆いの周囲に流動させ、ミックスを冷却して冷凍する。羽根車は壁の内部をも薬、そこに形成する氷を除去して、ミックスの残りにこれを取り込ませる。高剪断を使用して最初にミックスを曝気し、次いで剪断速度を遅くしてより好適な冷却と冷凍を可能にする。各ミックスについて使用された剪断の態様は図7に模式的に提供されている。
【0090】
ミックスA及びB(それぞれカゼイン酸ナトリウム及びスキムミルクを含む)での冷凍と曝気の工程のため、クーラー(−18℃にセット)を時間=0分から循環するようにセットする。ミックスA及びBについて開始時の比較的遅い攪拌は、ミックスの冷却とある程度の粘性(氷の形成と取り込みを介して)の生産を可能にし、その後より高剪断を使用して曝気を実施する。高速での短時間で空気を取り込ませ、次いで速度を段階的に下げてサンプルを少なくとも−5℃に到達させる。
【0091】
ミックスC(HFBIIを含む)については、ポットを約5℃に冷蔵し、サンプルを添加し、曝気のための高剪定断面を開始した。クーラー(−18℃にセット)は、100%のオーバーランを生産するのに必要な増加時間のため、9分まで循環のスイッチを入れなかった。クーラーが循環するようにスイッチを入れたら(9分で)、上述(A及びBについて)のものと同じ剪断−冷却パターンを採用した。
【0092】
この工程の最後で、オーバーランを測定し、サンプル(約15g)を小さなポットに配置した。各製品を−80℃にセットした冷蔵庫で10分間更に冷却し、その後−20℃で貯蔵した。
【0093】
曝気冷凍製品の分析
全ての曝気冷凍製品を、二つの温度の態様下で貯蔵した:
(a)−20℃。生産の一週間以内でその後の分析を実施し、これを「フレッシュ」製品と称する。
(b)温度で貯蔵したサンプルは1または2週間−10℃で貯蔵し、その後分析前に−20℃で貯蔵した。
【0094】
表8:工程の詳細、及びミックスA、B、及びCから調製された製品の製品オーバーラン
【表7】
【0095】
最終製品を以下のように分析した:
フレッシュに生産された製品のオーバーラン;
フレッシュな製品と温度で貯蔵した製品に関するSEM分析;
フレッシュな製品と温度で貯蔵した製品に関する溶融の挙動。
【0096】
オーバーラン
製品のそれぞれについてのオーバーランは表8に要約されている。全てのミックスが曝気可能であり、有意な量の空気を取り込んだ。
【0097】
微小構造安定性:方法体系
走査型電子顕微鏡(SEM)
各製品の微小構造を、低温走査型電子顕微鏡(LTSEM)を使用して視覚化した。サンプルをドライアイスで−80℃に冷却し、サンプルの切片を切断した。約5mm×5mm×10mmのサイズのこの切片を、Tissue Tek: OCT(登録商標)化合物(PVA11%、カルボワックス5%、及び85%の非反応性成分)を使用してサンプルホルダーに搭載した。ホルダーを含むサンプルを液体窒素スラッシュ内に沈め、低温調製チェンバー:Oxford Instrument CT1500HFに移した。チェンバーを約10−4バールの真空下に配置し、サンプルを−90℃に温める。氷をゆっくりとエッチングし、氷自体では生じない表面の詳細を明らかにし、60から90秒間の一定の真空下でこの温度で水を除去する。エッチングしたら、サンプルを−110℃に冷却して昇華を実施し、アルゴンプラズマを使用して金を被覆する。この工程も、10−1ミリバールの適用圧力で45秒間6ミリアンペアの電流で真空下で実施する。次いでサンプルを、−160℃の温度でOxford Instrumentsコールドステージを備えた従来の走査型電子顕微鏡(JSM 5600)に移す。サンプルを調べて、興味ある領域をデジタルイメージ獲得ソフトウェアーにより捕捉する。
【0098】
微小構造分析:結果
フレッシュな製品と温度で貯蔵した冷凍製品の微小構造を調べるために、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用した。代表的なイメージが、異なる倍率で図8及び9に示されている。
【0099】
温度で貯蔵した後、SEMのイメージは、HFBII含有製品(ミックスC由来)は初期の微小構造を維持した、即ち見かけの空気の気泡の粗化はほとんど存在しないことが明確に示される。これは、−10℃での1及び2週間の貯蔵の後でも当てはまる。しかしながら、NaCas及びSMPを含むプロトタイプ(それぞれミックスA及びB由来)は、ほんの1週間の後に−10℃での温度貯蔵下で、期待の構造の非常にひどい合着を示す。
【0100】
全体として、HFBIIを含んで作製された冷凍製品は、カゼイン酸ナトリウムまたはスキムミルクパウダーを使用して作製された冷凍製品よりも、温度の貯蔵に対してずっと優れた安定性を示すことは明らかである。HFBIIは、空気気泡安定性に対して効果を有する。
【0101】
溶融の挙動:方法体系
冷凍製品のサンプルを室温(20℃)で金属グリッドに配置した。製品が溶融する態様の差異、特に形状の維持及び起泡安定性を、時間の関数として観察した。
【0102】
溶融の挙動:結果
これらの微小構造の差異(安定な気泡および安定な氷)は、冷凍製品の溶融の挙動にあるインパクトを有する。ミックスC(HFBIIを含む)から製造された曝気冷凍サンプルは、カゼイン酸ナトリウムまたはスキムミルクパウダーで製造された製品(即ちそれぞれミックスA及びB)と比較して、溶融の際により良好に形状を維持した。
【0103】
氷が溶けて水を形成するにつれて、それは溶融グリッドに流動した。しかしながら、HFBIIを有する製品については、多くの起泡がグリッドに維持され、いくらか安定な起泡の小滴が下に観察された−これらの特徴のいずれもが、従来のタンパク質(カゼイン酸ナトリウム及びスキムミルクパウダー)では観察されなかった。これは使用されたタンパク質のそれぞれの間の起泡安定性の差異を説明する。
【0104】
製品A、B、及びCの間のきめの差異
3種の製品の間のきめの明確な差異も、−10℃での1週間の貯蔵後(即ち温度で貯蔵したサンプル)で観察できた。カゼイン酸ナトリウム(A)及びスキムミルクパウダー(B)を使用して製造された製品を扱う際には、これらは非常に柔らかく非常にもろいきめを有することに注意すべきであったが、これはサンプルポットに貼り付けるために使用されたシリコンペーパーからきれいに除去するのが困難であった。他方で、HFBII(C)を使用して作製された製品は非常に堅く、サンプルポットに張り付いたシリコンペーパーから非常にきれいに放出された。言い換えると、HFBIIを使用して調製された製品は、カゼイン酸ナトリウムまたはスキムミルクパウダーを使用して調製された製品より、微視的且つ巨視的なスケールの両者で温度の貯蔵に対してずっと優れた安定性を示す。
【0105】
上述の個々のセクションにおいて参照される本発明の各種の特徴及び実施態様は、適切なように必要に応じて変更を加えて、他のセクションに適用される。従って、一つのセクションで特定される特徴は、適切なように他のセクションで特定される特徴と結び付けてよい。
【0106】
この明細書で言及される全ての文献は、参考として個々に取り込まれる、上述の方法及び本発明の製品の各種の変形例及び変更例は、本発明の範囲から離れることなく当業者に明らかであろう。本発明は特定の好ましい実施態様に関連して記載されているが、特許請求の範囲に記載された本発明は、そのような特定の実施態様に制限されるべきではないことが理解されるべきである。実際、当業者に明らかである本発明を実施するために記載された態様の各種の変形例は、以下の特許請求の範囲内にあることが企図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも0.001重量%且つ1重量%未満のハイドロフォビンを含む曝気食料品。
【請求項2】
少なくとも0.01重量%のハイドロフォビンを含む、請求項1に記載の曝気食料品。
【請求項3】
単離された形態のハイドロフォビンを含む、請求項1または2に記載の曝気食料品。
【請求項4】
ハイドロフォビンがクラスIIハイドロフォビンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の曝気食料品。
【請求項5】
冷凍食料品である、請求項1から4のいずれか一項に記載の曝気食料品。
【請求項6】
冷蔵食料品である、請求項1から4のいずれか一項に記載の曝気食料品。
【請求項7】
曝気菓子製品である、請求項1から6のいずれか一項に記載の曝気食料品。
【請求項8】
曝気食料品における気泡の合着を阻害する方法におけるハイドロフォビンの使用。
【請求項9】
曝気食料品における起泡の安定化の方法におけるハイドロフォビンの使用。
【請求項10】
曝気食料品における形状の維持及び/または硬度を改良する方法におけるハイドロフォビンの使用。
【請求項1】
少なくとも0.001重量%且つ1重量%未満のハイドロフォビンを含む曝気食料品。
【請求項2】
少なくとも0.01重量%のハイドロフォビンを含む、請求項1に記載の曝気食料品。
【請求項3】
単離された形態のハイドロフォビンを含む、請求項1または2に記載の曝気食料品。
【請求項4】
ハイドロフォビンがクラスIIハイドロフォビンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の曝気食料品。
【請求項5】
冷凍食料品である、請求項1から4のいずれか一項に記載の曝気食料品。
【請求項6】
冷蔵食料品である、請求項1から4のいずれか一項に記載の曝気食料品。
【請求項7】
曝気菓子製品である、請求項1から6のいずれか一項に記載の曝気食料品。
【請求項8】
曝気食料品における気泡の合着を阻害する方法におけるハイドロフォビンの使用。
【請求項9】
曝気食料品における起泡の安定化の方法におけるハイドロフォビンの使用。
【請求項10】
曝気食料品における形状の維持及び/または硬度を改良する方法におけるハイドロフォビンの使用。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図4】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図4】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−41583(P2011−41583A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270565(P2010−270565)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【分割の表示】特願2007−522938(P2007−522938)の分割
【原出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【分割の表示】特願2007−522938(P2007−522938)の分割
【原出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】
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