説明

ハイブリダイゼーションスライド処理のためのシステムおよび方法

複数のマイクロアレイスライドの実質的に自動化されたハイブリダイゼーションのためのシステム300が開示される。該システムは、容器310を備え、該容器310は、開放頂端を有する洗浄盤312、複数のマイクロアレイスライド基板362を受け取るための、支持軸318上で該洗浄盤内に配置された下部キャリアローター330、および複数のディスポーザブルチャンバアセンブリ240を受け取るための、支持軸上で該下部キャリアローターの上に配置された上部クランプローター340を備える。該システムはさらに、該上部クランプローターを下降させて該下部キャリアローターと噛み合わせることにより、該複数のチャンバアセンブリが該複数のスライド基板に取り付けられ、それによって複数の密閉された反応チャンバ244が形成されるように、また該上部クランプローターを上昇させて該下部キャリアリーターから取りはずすことにより、該複数のチャンバアセンブリを該複数のスライド基板から取りはずし、それによって該複数の反応チャンバを密閉状態から開放するように、設計される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の属する分野は、一般的には、固定化DNAサンプルの分析のためのハイブリダイゼーションスライドの処理に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景および関連技術
ハイブリダイゼーションスライド処理および分析、例えば蛍光In Situハイブリダイゼーション(FISH)は、所定のサンプル中に特定の核酸が存在するかどうかを検出するための周知の技術である。この技術は、概して、ガラススライド上に既知の核酸配列プローブを固定化し、その後、プローブにサンプル媒体を導入して、サンプルが任意の相補核酸配列を含むかどうかを判定することを含む。蛍光指示薬をサンプル媒体に結合させて、蛍光顕微鏡または類似のスライドリーダーを用いて、ハイブリダイズしたサンプルを後に調べるかまたは分析できるようにすることができる。適合配列が見出される場合、蛍光指示薬が適合を確認するように見える。
【0003】
ハイブリダイゼーションスライドはDNAサンプルの分析に使用されることが多いが、他のタイプのサンプルの診断検査に使用してもよい。マイクロアレイ中のプローブ位置は、種々の大きい生体分子、例えばDNA、RNA、およびタンパク質、小分子、例えば薬物、補因子、シグナル伝達分子、ペプチドまたはオリゴヌクレオチドから形成される。既知の反応物を基板上に固定し、未知の液体サンプルを固定化反応物に曝露し、反応産物を調べて、サンプルを特徴付けることが典型的であるが、1種以上の未知のサンプルを基板上に固定して、それらを1種以上の既知の反応物を含む液体に曝露することも可能である。
【0004】
後の分析のためのハイブリダイゼーションスライドの処理は、典型的に、かなりの数の処理ステップを必要とし、該ステップには、固定化反応物プローブのアレイを含むスライドの一部分の周囲に反応チャンバを形成するステップ、溶液中の可動性反応物試料で反応チャンバを満たすステップ、インキュベーションステップの間、試料をプローブとハイブリダイズさせるステップ、およびインキュベーション時間の終了時に、ハイブリダイズした反応物サンプルを損なうことなく、マイクロアレイスライドからハイブリダイズしていない液体サンプルを洗浄して除去するステップが含まれる。1以上の前記ステップを機械化する試みが行われているが、今日まで、ハイブリダーゼーション処理全体の自動化は、曝露されるマイクロアレイスライドの品質に関して入り混じった結果を生じさせているか、またはひどく高価である。多数の前記ステップは、依然として、高品質のハイブリダイズマイクロアレイが後の分析に利用可能になることを確実にするために多数の手動の操作を必要とする。
【0005】
各処理ステップはまた、複雑で特殊化した処理設備および方法を必要とする。例えば、限られた試料しか利用できないためにマイクロアレイ上で実施される反応は最小量のハイブリダイゼーションサンプル液しか消費しないのが望ましいことがよくある。しかし、マイクロアレイの領域にわたって少量のハイブリダイゼーション液しか拡散されない場合、液体層は非常に薄く、混合が施されないと、サンプル液は、特定の配列が、該配列を結合するスポット上で局所的に枯渇した状態になる可能性が生じる。標的試料が枯渇するので、反応速度論は遅くなり、小さなシグナルしか生じない。これは少量の配列に関する大きな問題である。ハイブリダイゼーションは小容量反応チャンバで混合しながら実施されることが特に望ましいと考えられる。小容量は、供給が限られている反応物を高濃度にすることを可能にし、混合は初期反応速度を維持し、ゆえに、より多量の反応産物を生じさせる。
【発明の概要】
【0006】
発明の要旨
本明細書中で具体化されかつ広く記載される発明では、本発明は、マイクロアレイスライド上にハイブリダイゼーション反応チャンバを設けるためのハイブリダイゼーションユニットを含む。該ハイブリダイゼーションユニットは、固定化反応物を担持する反応領域を有するマイクロアレイスライド基板を含む。スライド基板は、実質的に長方形であり、処理デバイスのキャリア取り付け具への連結のための露出した平行な2つの縁部を有してよい。ディスポーザブルチャンバアセンブリまたは「ミキサー」は、スライド基板に取りはずし可能に取り付けられて、反応領域を封入する密閉された小容量反応チャンバを形成する。チャンバアセンブリまたはミキサーは、プラスチックまたはポリマー材料でできていて、ディスポーザブルであってよい。ハイブリダイゼーションユニットは、ディスポーザブルチャンバアセンブリを処理デバイスのクランプ取り付け具に取り付けるための連結手段をさらに含み、クランプ取り付け具をキャリア取り付け具から離すことにより、ディスポーザブルチャンバアセンブリがスライド基板から取りはずされ、それにより密閉された反応チャンバが開放されるようになっている。
【0007】
ディスポーザブルチャンバアセンブリは、上面および底面を有するフレキシブルな基層をさらに含んでよく、該底面は反応チャンバの天面を形成し、弱接着性ガスケットシールは基層の底面から下向きに延在して、反応チャンバの側壁を形成し、連結手段は、処理デバイスのクランプ取り付け具への連結のための、基層の上面から延在する強接着性上部パッチを含む。
【0008】
ディスポーザブルチャンバアセンブリは、処理デバイスの上部クランプ取り付け具へのディスポーザブルチャンバアセンブリの取り付けを可能にするように、スライド基板の平行な2つの縁部を超えて延在する境界部を有して設計することもできる。スライド基板およびディスポーザブルチャンバアセンブリは、さらに、スライド基板を処理デバイスの下部キャリア取り付け具に取り付けるために、スライド基板の他の2つの平行な縁部を露出するように設計される。
【0009】
ディスポーザブルチャンバアセンブリまたはミキサーは、ディスポーザブルチャンバアセンブリの充填口(fill port)および通気口と位置を合わせた充填孔および通気孔を有する、ディスポーザブルチャンバアセンブリの露出面に結合したマニホールドをさらに含んでよい。
【0010】
本明細書中で具体化されかつ広く記載される発明では、本発明は、複数のマイクロアレイスライドの実質的に自動化されたハイブリダイゼーションのためのシステムをさらに含む。該システムは、開放頂端を有する水盤型容器、複数のマイクロアレイスライド基板を受けるための、水盤型容器内で支持軸上に配置された下部キャリアローター、および、複数のディスポーザブルチャンバアセンブリまたはミキサーを受けるための、支持軸上で下部キャリアローターの上に配置された上部クランプローターを含む。該システムは、クランプローターを下げてキャリアローターと噛み合わせることにより、複数のチャンバアセンブリが複数のスライド基板に取り付けられ、それによって複数の密閉された反応チャンバが形成されるように設計される。該システムは、さらに、上部クランプローターを上げて下部キャリアローターから取りはずすことにより、複数のチャンバアセンブリが複数のスライド基板から取りはずされ、それによって複数の反応チャンバが密閉状態から開放されるように設計される。
【0011】
本発明はまた、複数のマイクロアレイスライドを処理デバイスに挿入するステップであって、マイクロアレイスライドのそれぞれが小容量反応チャンバアセンブリまたはミキサーにより覆われた反応領域を有する、上記ステップを含む、複数のマイクロアレイスライドを処理する方法を含む。該方法は、マイクロアレイスライドのそれぞれの反応領域をハイブリダイズさせるための少量のハイブリダイゼーション液で反応チャンバを満たすステップで続く。該方法は、反応チャンバアセンブリをマイクロアレイスライドのそれぞれから取りはずすことによりハイブリダイズした反応領域を露出させるステップ、マイクロアレイスライドを洗浄液の共有バスで洗浄するステップ、マイクロアレイスライドから洗浄液を除去するステップ、およびマイクロアレイスライドを処理デバイスから取りはずすステップをさらに含む。
【0012】
本発明はまた、固定化サンプルの分析のためのマイクロアレイスライドのin situ処理方法を含む。該方法は、固定化サンプルを担持する反応領域を有するスライド基板を取得するステップおよびスライド基板を自動化in situ処理のための処理デバイスに設置するステップを含む。該in situ処理は、ディスポーザブルチャンバアセンブリまたはミキサーをスライド基板に取り付けることにより反応領域を封入する小容量反応チャンバを形成させるステップ、固定化サンプルと反応させるためのハイブリダイゼーション液で反応チャンバを満たすステップ、インキュベーションの間、汚染を防ぐために反応チャンバを密閉するステップ、ミキサーをスライド基板から取りはずすことにより小容量反応チャンバを開放して反応領域を露出させるステップ、反応領域に大容積の洗浄液を流すことによりハイブリダイゼーション液を除去するステップ、およびスライド基板から洗浄液を除去するステップをさらに含む。
【0013】
本発明の方法の他の態様は、反応チャンバ内でハイブリダイゼーション液を攪拌することによりマイクロアレイスライド上の固定化サンプルとの反応を増大させるステップ、およびミキサー/マニホールドアセンブリの充填孔および通気孔に複数のバルブピンを取りはずし可能に差し込むことにより反応チャンバを密閉するステップを含むことができる。
【0014】
本発明はまた、ハイブリダイゼーション液を除去するために洗浄液で洗い流された、ハイブリダイズしたスライドの後処理方法を含む。該方法は、ディスポーザブルチャンバアセンブリまたはミキサーをスライド基板に再連結して、ハイブリダイズした反応領域を封入する小容量反応チャンバを再形成させるステップ、およびハイブリダイズしかつ洗浄されたマイクロアレイスライド上で核酸変性および回復などの種々の流体工学ステップを実施するステップを含むことができる。
【0015】
本発明の別の態様では、ミキサーをスライド基板から取りはずして反応領域を大容積の洗浄液で洗い流す代わりに、溶出バッファーを反応チャンバ中へゆっくりポンプして反応領域を洗浄し、ハイブリダイゼーション液の元のサンプルを置き換え、それを押し出して、スライド基板の下に位置する適切な収集デバイスで収集する。そして反応チャンバを再密閉し、二次処理ステップのために再加熱して、その後、反応チャンバを通して追加の溶出バッファーをポンプし、追加の分析のための別の収集デバイス中へ反応液を流し込む。
【0016】
図面の簡単な説明
本発明の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。該詳細な説明は添付の図面と合わせて解釈され、ともに本発明の特徴を説明する。これらの図面は単に本発明の典型的な実施形態を描写するものであり、したがって、その範囲の限定と解釈されるべきではないことが理解される。さらに、本発明の構成要素は、本明細書中の図面で概して記載され説明されるように、多種多様な異なる構成で配置および設計できることが容易に理解される。しかしながら、添付の図面を用いて、追加の特異性および詳細を有する本発明を記載し、説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1Aは、本発明の典型的な実施形態にしたがって、固定化反応物を担持する反応領域についての密閉された反応チャンバを形成させるためのディスポーザブル反応チャンバアセンブリの上面図を示す。図1Bは、切断線A−Aに沿った図1Aのディスポーザブル反応チャンバアセンブリの側断面図を示す。図1Cは、ストリップ上に設置された図1Aの複数のディスポーザブル反応チャンバアセンブリを示す。
【図2】図2Aは、ディスポーザブル反応チャンバアセンブリの別の典型的な実施形態の側断面図を示す。図2Bは、ディスポーザブル反応チャンバアセンブリの別の典型的な実施形態の側断面図を示す。
【図3】図3Aは、ディスポーザブル反応チャンバアセンブリの別の典型的な実施形態の側断面図を示す。図3Bは、ディスポーザブル反応チャンバアセンブリの別の典型的な実施形態の側断面図を示す。
【図4】図4は、本発明の典型的な実施形態にしたがって、ハイブリダイゼーションスライド上で密閉された反応チャンバを形成させ、次いで少量のhybe溶液でチャンバを満たす方法を示す。
【図5】図5は、本発明の別の典型的な実施形態にしたがって、少量のhybe溶液をアプライし、次いでハイブリダイゼーションスライド上で密閉された反応チャンバを形成させる方法を示す。
【図6】図6は、本発明の典型的な実施形態にしたがう、複数のハイブリダイゼーションスライドの半自動化ハイブリダイゼーションのためのシステムを示す。
【図7】図7は、図6のハイブリダイゼーションシステムに複数のハイブリダイゼーションスライドを取り付ける方法を示す。
【図8】図8は、少量のhybe溶液をアプライし、図6のハイブリダイゼーションシステム中に取り付けられた複数のハイブリダイゼーションスライド上で密閉された反応チャンバを形成させる方法を示す。
【図9】図9は、ハイブリダイゼーションプロトコールを実施する前に図6のハイブリダイゼーションシステムを組み立てる方法を示す。
【図10】図10A〜10Dは、共に、図4のハイブリダイゼーションシステムで本発明の典型的な実施形態にしたがって複数のハイブリダイゼーションスライドを処理する方法を示す。
【図11】図11Aは、本発明の典型的な実施形態のハイブリダイゼーションユニットの上面図を示す。図11Bは、切断線B−Bに沿った、図1のハイブリダイゼーションユニットの側断面図を示す。
【図12】図12は、本発明の別の典型的な実施形態にしたがう、複数のハイブリダイゼーションスライドの自動化ハイブリダイゼーションのためのシステムの透視図を示す。
【図13】図13は、図12のハイブリダイゼーションシステムの上面図を示す。
【図14】図14は、図12のハイブリダイゼーションシステムの側断面図を示す。
【図15】図15は、図12のハイブリダイゼーションシステムの分解図を示す。
【図16】図16Aは、噛み合った位置のローターの側断面図を示す。図16Bは、噛み合った位置のローターの末端断面図(sectional end view)を示す。
【図17】図17Aは、上部ローターを持ち上げてミキサーとスライド基板を離した後のローターの側断面図を示す。図17Bは、上部ローターを持ち上げてミキサーとスライド基板を離した後のローターの末端断面図を示す。
【図18】図18Aは、洗浄位置のローターの側断面図を示す。図18Bは、洗浄位置のローターの末端断面図を示す。
【図19】図19は、本発明の別の典型的な実施形態の自動化ハイブリダイゼーションシステムの透視図を示す。
【図20】図20は、図19のハイブリダイゼーションシステムの分解図を示す。
【図21】図21は、本発明のさらに別の典型的な実施形態のハイブリダイゼーションシステムの分解透視図を示す。
【図22】図22は、図21のハイブリダイゼーションシステムの一側面の詳細図を示す。
【図23】図23は、本発明の別の典型的な実施形態にしたがって、複数のハイブリダイゼーションユニットを図6のハイブリダイゼーションシステムに取り付ける方法を示す。
【図24】図24は、ハイブリダイゼーションプロトコールを実施する前に図23のハイブリダイゼーションシステムを組み立てる方法を示す。
【図25】図25A〜25Dは、共に、図23〜24のハイブリダイゼーションシステムで複数のハイブリダイゼーションスライドを処理する方法を示す。
【図26】図26は、本発明の別の典型的な実施形態にしたがって、重力で誘発される気泡による混合を用いて、ハイブリダイゼーションシステムに取り付けられた複数のハイブリダイゼーションスライドを混合する方法のハイブリダイゼーションステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
典型的な実施形態の詳細な説明
以下、図面で示される典型的な実施形態に言及し、同実施形態を説明するために特定の用語をここに使用する。それでもなお、それにより本発明の範囲の限定はまったく意図されないことが理解される。本明細書中で示される本発明の特徴の変更およびさらなる改変、および本明細書中で示される本発明の原理の追加の適用であって、関連技術の当業者で本開示を受領する当業者に自明のものは、本発明の範囲内であるとみなされるものとする。
【0019】
ハイブリダイゼーション処理のハイブリダイゼーションステップの後に、液量がハイブリダイゼーションに使用される液量よりずっと多い洗浄ステップを続けることが有益であることが発明者らによって認識された。また、特定の状況では、ハイブリダイゼーション処理の前に大容量洗浄ステップを行い、ハイブリダイゼーション前にハイブリダイゼーションスライドを浄化して準備することが有益であることが発明者らによって認識された。したがって、図1〜10には、半自動化されたハイブリダイゼーションスライド処理システムおよび方法の種々の典型的な実施形態が示され、それは、大容量プレハイブリダイゼーション洗浄ステップ、小容量ハイブリダイゼーションステップおよび大容量ポストハイブリダイゼーション洗浄ステップを含んでよい。あるいは、図11〜22には、実質的に自動化されたハイブリダイゼーションスライド処理システムおよび方法の種々の典型的な実施形態が示され、それは、小容量ハイブリダイゼーションステップおよび大容量ポストハイブリダイゼーション洗浄ステップを含んでよい。図23には、重力で誘発される気泡による混合を用いて複数の小容量ハイブリダイゼーションスライドを混合するための典型的なハイブリダイゼーションシステムおよび方法が示され、該ハイブリダイゼーションステップは半自動化または実質的に自動化されたスライド処理システムに含ませることができる。
【0020】
本発明のハイブリダイゼーションシステムは、ディスポーザブル反応チャンバアセンブリ30を有するハイブリダイゼーションユニットの種々の典型的な実施形態を含んでよく、該アセンブリのいくつかが、図1〜3に、より詳細に示される。図4および図5を簡単に参照すると、ハイブリダイゼーションユニット10は、固定化DNAサンプルおよび組織切片などの固定化反応物24を担持するサンプルまたは反応領域22を有する実質的に長方形のガラススライド基板20を含んでよい。該反応領域は、ディスポーザブル反応チャンバアセンブリ30によって覆われていてよく、該ディスポーザブル反応チャンバアセンブリは、スライド基板20に取りはずし可能に取り付けられて、反応領域22を封入する小容量反応チャンバ26を形成させ、処理の間、ハイブリダイゼーション(「hybe」)溶液を担持することができる。チャンバアセンブリ30に取り付けられた長方形ガラススライド基板20は、一緒になって、ハイブリダイゼーションユニット10を形成することができる。
【0021】
図1A〜1Bの参照に戻って、一態様では、チャンバアセンブリ30は、基層の底面から下向きに延在するシールガスケット42を有するフレキシブルな基層40を含んでよく、該基層の底面は小容量反応チャンバ26の天面を形成し、シールガスケット自体の厚みは反応チャンバの側壁を形成する。図に示されるように、ガスケットシール42は環状またはリング状であってよい;しかし、楕円、多角形または他の不規則な形状を含む他の形状も想定され、本発明の範囲内に入るとみなされる。シールガスケット42は、取りはずし可能な接着性ガスケット、エラストマーシール(例えばO−リングまたはガスケット(シリコーンガスケットを含む))または、処理の充填段階およびインキュベーション段階の間、hybe溶液を保持および担持可能な密閉された反応チャンバを形成させるために十分な、当技術分野で利用可能な任意の他の密閉機構であってよい。基層40は丸い末端を有する長方形の形状を有してよく、該丸い末端のサイズおよび位置をシールガスケット42と合わせてスライド基板への連結を容易にしてよい。図に示されるように、代表的なチャンバアセンブリ30は、反応チャンバ26の一端へのハイブリダイゼーション液、またはhybe溶液の導入および、それがhybe溶液で満たされたときの、他端からの封入空気またはガスの通気を可能にするための充填口56および通気口58を含んでもよい。
【0022】
フレキシブルな基層40の四角い末端は、反応チャンバ26から離れて側方に延在してタブを形成してよく、該タブに、基層の上面から上向きに延在する上部接着性パッチ44を設置することができる。チャンバアセンブリ30は、同様に基層40の上面から上向きに延在する上部圧力ガスケット46をさらに含んでよく、該上部圧力ガスケットは、底面から延在するシールガスケット42と実質的に位置を合わせることができる。以下でさらに詳細に考察されるように、圧力ガスケット46は、ハイブリダイゼーションプロトコールの間、反応チャンバをさらに密閉するために、シールガスケット42とスライド基板との間の界面に下向きに、上部クランプ取り付け具またはローターによって提供される密閉圧力を均一に移すように作動することができる。
【0023】
上部リリースライナーストリップ52を接着性パッチ44および環状圧力リング46の上面上に置いてよく、それは下部リリースライナーストリップ50とともに、保存および輸送の間、チャンバアセンブリを外部汚染から保護して密閉するように機能することができる。保存、輸送および使用を容易にするために、製造後に、複数のディスポーザブル反応チャンバアセンブリ30に単一のリリースライナーストリップ50を設置することができる(図3を参照のこと)。
【0024】
基層40は、曲げてスライド基板からはがすために十分にフレキシブルなままでありながら、その形状を保持し、チャンバアセンブリの取り扱いを支持し、反応チャンバ26の不浸透性の天面を提供するために十分に固い半フレキシブル構造として形成させることができる。一態様では、基層40は、底面上に下塗りを有するフレキシブルなプラスチックラミネートであってよく、シールガスケット42は接着性ガスケットであってよい。下塗り面は反応チャンバの内面を形成する方向に向けてよく、接着性ガスケットが接着する面でもある。接着性ガスケットはスライドより下塗り面に強く接着して結合して、ディスポーザブルチャンバアセンブリをスライドからきれいに取りはずすことを可能にすることができる。これらの材料は、約37℃でのハイブリダイゼーションの実施に使用されるデバイスでの使用に好ましく、逸脱は約90℃までであり、他の条件下で実施される反応では、他の材料がより望ましいことが理解される。したがって、特定の反応条件のために選択される物理的および化学的性質を有する他のプラスチックまたはポリマー材料をデバイスの構築に使用してよい。すべての材料は、それらが接触する任意の化学物質または反応物と適合性であり、そのような接触によって劣化せず、デバイス内で実施される化学反応を妨害しない。
【0025】
本発明の接着性ガスケットは、基層40の底面上で形成させることができ、反応チャンバ26の周囲に気密密閉をつくり出すことが可能であり、所望のチャンバ容量をつくり出すために十分な圧縮率を有することができる。チャンバアセンブリがスライド基板から取りはずされたときに、シールガスケットがスライドではなく基層に接着したままであることは重要である。その理由は、ガスケット材料がスライド上に残ると、スライドリーダーを妨害する場合があるからである。ゆえに接着性ガスケットは、スライド基板よりも、基層の下塗りと優先的に接着しなければならない。種々の取りはずし可能で再配置可能な接着性物質を使用してよく、それには、非限定的に、アクリル、ウレタン、シリコーン、およびゴム接着性物質が含まれる。そのような材料は弾力性であり、塑性変形および/または弾性変形を受ける。接着性ガスケットは市販の接着性フィルムから形成させるか、あるいは、スプレーコーティング、シルクスクリーン、パッドプリントまたは、好適な仕上げおよび厚みを生じさせる他のプリント方法によって塗布してよい。
【0026】
ディスポーザブルチャンバアセンブリ32〜34の追加の実施形態は図2A〜2Bでさらに詳細に示される。例えば、シリコーンシート材料の追加のストリップ48を基層のタブ部分の下に置くことができ、基層をその全長にわたって概して水平な位置に維持するよう上部接着性パッチ44の厚みが低減されていることを除き、ディスポーザブルチャンバアセンブリ32はチャンバアセンブリ30に非常に類似してよい。チャンバアセンブリ34はまた、上部圧力ガスケット46が除去され、上部リリースライナー52が、反応チャンバ26の上に横たわる基層40の上面に対して洗い流しを広げる(lay flush)ことを可能にするように上部接着性パッチ44の厚みが低減されていることを除き、以前のチャンバアセンブリ実施形態と類似している。チャンバアセンブリ30、32および34は充填口および通気口を含んでも含まなくてもよい。
【0027】
上記のように、実施形態30、32および34で使用されるシールガスケット42は接着性パッチ44と異なる接着性を有してよい。シールガスケット42は、適切な時点で(例えばハイブリダイゼーション後に)基層が持ち上げられたときに、シールガスケット42がスライド基板から解放され、反応チャンバを開放してハイブリダイズした内容物が隣接する環境に露出されるように軽度の接着性または非接着性であってよい。対照的に、接着性パッチ44は、基層のタブ部分と上部クランプローターまたは取り付け具との間の連結を提供するために強接着性であってよい。以下に記載されるように、上部クランプローターを持ち上げると、基層のタブ部分が上向きに引っ張られ、次いでシールガスケット42を含むチャンバアセンブリがはがされ、スライド基板から離れる。
【0028】
次いで、図3Aおよび3Bに示されるディスポーザブルチャンバアセンブリの実施形態36および38を参照すると、シールガスケットは、ドーム型チャンバ60(または「コンタクトレンズ」)と取り替えることができ、該ドーム型チャンバは、ハイブリダイゼーションの間、スライド基板に対して反応チャンバ26を密閉するために圧力下で下部リップ62の適度のゆがみを可能にする成形用ケイ素または類似の材料から形成させることができる。ドーム型チャンバ60は、ドーム型チャンバ60の下部リップ62がチャンバとスライド基板との間の密閉面を提供すれば、強接着性の環状64および円形66の下部接着性パッチで基層40に取り付けることができる。さらに、ドーム型チャンバの実施形態では、強接着性パッチ上部68はやはり環状または円形であってよく、反応チャンバ26上に直接配置することができ、ドーム型チャンバ60を直接上向きに持ち上げて、下部リップとスライド基板との間で形成された圧力密閉を解除することができる。
【0029】
サンプルまたは反応領域22上の代表的なディスポーザブル反応チャンバ30の配置およびhybe溶液のアプライが図4および5に示される。図からわかるように、固定化反応物24を担持する反応領域22は、スライド基板20の小さい部分にしかおよばず、ディスポーザブルチャンバアセンブリ30はそれに応じたサイズにすることができる。各スライド基板上で1つの反応領域のみが形成されることがよくあると予想されるが、単一のスライド上で複数の反応領域および複数のディスポーザブルチャンバアセンブリ30を使用することが可能である。
【0030】
ディスポーザブルチャンバアセンブリ30はリリースライナーストリップ50上に供給することができる。図4に示される方法では、チャンバアセンブリ30をまずリリースライナーから取りはずし、反応領域22上に置いてよい。チャンバアセンブリを固い物で「こする(brayed)」か、またはスライド基板20中に押しつけてガスケットシール42をスライド基板の表面に良好に接着させ、上部リリースライナーストリップ52を取りはずして充填口56および通気口58および強接着性パッチ44を露出させてよい。次いで、ハイブリダイゼーション(「hybe」)またはプローブ溶液を、チャンバアセンブリの一端で基層40中に形成された充填口56に挿入されたピペットで小容量反応チャンバ26に導入し、一方、反対端で形成された通気口58を通して封入空気またはガスを放出させることができる。一態様では、反応チャンバ26の充填口および通気口は、上部取り付け具またはローターを基層の上面上に下げると、密閉することができる。あるいは、反応チャンバ26の充填口および通気口は、ハイブリダイゼーション前に基層の上部にテープの小さいパッチを配置して密閉される。
【0031】
図5で示される方法は、ディスポーザブルチャンバアセンブリ30をスライド基板22上に配置する前にhybe(またはプローブ)溶液を反応領域22にアプライする点で図4で示される方法と異なる。この実施形態では、充填口および通気口は、反応チャンバ26の密閉に関する懸念を伴うので、基層中に形成されない。その理由は、反応チャンバの形成がスライド基板20へのチャンバアセンブリ30の連結で完成するからである。しかし、hybe溶液のアプライ部分の周囲でかつ反応チャンバ26内に閉じ込められる空気またはガスの量を最小にする様式でのチャンバアセンブリの配置を確実にするために追加のケアが必要とされる。
【0032】
図6には、複数のハイブリダイゼーションスライドの半自動化されたハイブリダイゼーションのための処理デバイス104が示される。処理デバイス104は開放頂端を有する水盤型容器110を含んでよい。該水盤型容器は、ハイブリダイゼーション処理の完了後にハイブリダイゼーションスライドを洗浄するための多量の洗浄液を保持するように設計された内部水盤を含んでよい。該水盤型容器は図に示されるように円形であるか、または複数のハイブリダイゼーションスライドを浸すかまたは沈めるために十分な多量の洗浄液を一時的に保持または担持可能な任意の他の形状または構成を有してよく、該範囲は、非限定的に0.1〜3.0リットルの洗浄液を含むことができる。
【0033】
水盤型容器110は、制御可能なポンプ/バルブユニット120に流動的に取り付けることができ、該ポンプ/バルブユニットは、プレハイブリダイゼーション洗浄のためのエタノールまたは類似の液体の容器またはボトル、およびポストハイブリダイゼーション洗浄のための洗浄バッファー液の容器などの種々の液体供給源122からの選択が可能である。液体供給源122は室温で保存するか、または温水浴内などで所定の温度で維持することができる。水盤型容器110はまた、洗浄液を水盤に充填しかつ/または水盤から排出するためのバルブ(示されていない)およびパイプまたはチューブ126などの内部配管、ならびに蒸気またはガスの制御放出のための排気口128を含むことができる。
【0034】
図7で示されるように、処理デバイス104は、水盤型容器110内に配置されたスライドキャリアを含むことができ、該スライドキャリアは、1以上の反応領域22を有する複数のハイブリダイゼーションスライド基板20を受けるように設計される。スライドキャリアは、支持軸118上で支持されかつスピンモーター(示されていない)によって駆動されるように設計された下部キャリアローター130であってよく、該スピンモーターは、水盤112およびその中に保持された洗浄液に対する下部キャリアローター(受容されたスライド基板を含む)の回転運動を可能にする。下部キャリアローター130は、回転軸の上下の垂直運動のために設計することもできる。下部キャリアローター130および水盤型容器110は、一緒になって、水盤112内に収容された洗浄液のバス内に下部キャリアローターを浸漬し、次いで下部キャリアローターをバスから取り出し、遠心してすべての残留する洗浄液を除去するように設計することができる。
【0035】
スライド基板20を、下部キャリアローター130中に形成された等間隔のキャリアローター「ウインドウ」132に挿入することができる。キャリアローターウインドウ132は、スライド基板の側面および外縁を受けてつかむための、内面中に形成されたスロットまたはグルーブを有してよい。スロットはキャリアローターの中央部分に向かって開口し、外端で閉鎖し、スライド基板がローターの中央から設置されて、回転の間、特に残留する洗浄液を除去するための下部キャリアローター130の高速遠心の間、スライドがウインドウ132から滑り落ちるのを確実に防ぐようになっていてよい。
【0036】
処理デバイス104は、水盤112の床から上向きに延在しかつ、典型的にハイブリダイゼーション処理の反応またはインキュベーション時間の間、スライドキャリアを水盤型容器110の底に下げたときにスライドキャリアウインドウ132の底中に入るスライド加熱パッド124を含んでよい。加熱パッド124はスライド基板20の底面に接して並ぶか、またはスライド基板20に対して押しつけられ、hybe溶液に熱を提供し、該hybe溶液はさらに、懸濁された反応物を励起して運動させ、反応の効率を増大させることができる。本発明の一態様では、スライド加熱パッドは、ハイブリダイゼーションプロトコールの間、スライド基板20を約95℃の温度まで加熱してサンプルおよびプローブ溶液を変性させ、次いで低い温度での長期間の加熱およびインキュベーションにより、ハイブリダイゼーションを完了させることができる。
【0037】
図7のように設計された処理デバイス104を使用して、プレハイブリダイゼーション洗浄手順を行うことができる。例えば、固定化反応物24を担持するサンプルまたは反応領域22を有する1以上のスライド基板20を下部キャリアローター130中に設置し、そして該下部キャリアローターを水盤型容器110中の支持軸118上に置くことができる。水盤型容器の上開口部は洗浄カバー(示されていない)で閉じることができ、一定濃度のエタノールまたは類似のクレンザーなどのプレハイブリダイゼーション洗浄液で水盤112を満たして、スライド基板および反応領域22をともに浄化し、ハイブリダイゼーション用のサンプルを調製する。一態様では、下部ローターは、水盤112の床から上向きに延在するスライド加熱パッド124によってスライドキャリアウインドウが捕獲されるように容器の基部に対して底に置いてよい。あるいは、下部ローターを上げて、プレhybe洗浄溶液内で回転させてよい。いずれの位置付けでも、スライド加熱パッドを駆動させて、エタノール溶液を直接またはスライド基板を通して加熱することができる。プレハイブリダイゼーションプロトコールの間、水盤の排出および変動する組成の洗浄液での再充填を交互に行い、その後、下部キャリアローター130をバスから取りはずし、高速で遠心して、ローターまたはスライド基板からすべての残留する洗浄液を除去することができる。
【0038】
例えば、プレハイブリダイゼーション洗浄手順の代表的な実施形態は以下のプロトコール:
・ 2×SSC/0.5%lgepal、pH7.0中で37℃で15分間、スライドをインキュベートする;
・ 70%エタノール中で1分間、スライドをインキュベートする;
・ 85%エタノール中で1分間、スライドをインキュベートする;
・ 100%エタノール中で1分間、スライドをインキュベートする;および
・ 室温で遠心して乾燥する
を含んでよい。
【0039】
プレハイブリダイゼーション洗浄手順の完了後に反応チャンバ26をhybeまたはプローブ溶液で満たす1つの方法を図8に示す。該方法では、hybe溶液を反応領域22にアプライした後に、反応チャンバアセンブリ30をスライド基板20に連結して、組み立てられたハイブリダイゼーションユニット10を形成させる(図5も参照のこと)。しかし、上記のように、反応チャンバアセンブリ30をスライド基板20に連結してハイブリダイゼーションユニット10を形成させた後に、充填口を通して反応チャンバを満たすこともできる(図4を参照のこと)。反応チャンバをハイブリダイゼーション液で満たすために使用される手順にかかわらず、処理デバイス104は、ハイブリダイゼーションユニット10とともに、本発明の1つの典型的な実施形態である100を形成することができる。
【0040】
図9で示されるように、ハイブリダイゼーションユニット10が形成され、hybeまたはプローブ溶液で満たされたら、下部キャリアローターおよび設置されたスライド基板上に上部「クランプ」ローター140を配置して、基層の上面に押しつけ、反応チャンバをさらに密閉することができる。図1A〜2Bに記載のディスポーザブルチャンバアセンブリ30、32および34が使用される場合、クランプロータ140を、上部圧力ガスケットに押しつけ、または基層に直接押しつけて、ハイブリダイゼーション後にチャンバアセンブリをスライド基板から取りはずすために使用できる、チャンバアセンブリのエンドタブ上に形成された強接着性パッチに沿って、反応チャンバの天面を形成させる。あるいは、ディスポーザブルチャンバアセンブリ36または38が使用される場合(図3A〜3B)、クランプローターを強接着性パッチ上に直接押しつけてよい。
【0041】
図9に示される上部クランプロータ140は、下部キャリアローター130の上の支持軸118上で支持し、洗浄液のバス内に下部キャリアローターとともに浸漬し回転させるように設計することができる。チャンバアセンブリ30をスライド基板20に連結してハイブリダイゼーションユニット10を形成させ、次に該ハイブリダイゼーションユニットを下部キャリアローター中に設置したら、上部ローター140および下部ローター130をともに噛み合わせて反応チャンバをさらに密閉し、上部接着性パッチをクランプローターと接触させることができる。接着性パッチは、ハイブリダイゼーションおよびポストハイブリダイゼーションプロトコールの間に行われる種々の加熱および浸漬ステップ後でさえ、チャンバアセンブリの基層と上部クランプローターとの間の連結を提供するために強接着性であってよい。ゆえに、強接着性により、後に上部および下部ローターを取りはずすと、チャンバアセンブリ30がスライド基板20から取りはずされてはがれ、反応チャンバの密閉状態が解除されて開放され、ハイブリダイズした内容物が隣接する環境に露出されることを確実にすることができる。
【0042】
図10A〜10Dには、プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、およびポストハイブリダイゼーションサイクルの種々の段階の間の、水盤型容器110の床およびスライドヒーター124に対して種々の位置の上部クランプローターおよび下部キャリアローターの側断面図および末端断面図が示される。図10Aで示されるように、下部キャリアローター130は、プレハイブリダイゼーション洗浄プロトコール後のディスポーザブルチャンバアセンブリ30とスライド基板20との連結によってハイブリダイゼーションユニット10が形成された後に生じうる、開いた、底に置いた位置にまず配置してよい。ハイブリダイゼーションユニット10の形成後、上部クランプローターおよび下部キャリアローターをともに、ハイブリダイゼーションプロトコールの間に生じうる、閉じた、底に置いた位置(図10B)、ポストhybe洗浄プロトコールの開始時に生じうる、閉じて、持ち上げられて、回転している位置(図10C)、およびポストhybe洗浄プロトコールの後の段階の間に生じうる、開いて、持ち上げられて、回転している位置(図10D)に配置してよい。
【0043】
例えば、上記のようにプレハイブリダイゼーションプロトコールが完了した後に、図10Aに記載されるように、下部キャリアローター130を下げてスライド加熱パッド124の周囲にはめ込み、ディスポーザブルチャンバアセンブリ30を、設置されたスライド20の反応領域の周囲に連結し、反応チャンバ26をhybe(またはプローブ)溶液で満たしてよい。次いで、上部クランプローター140を、図10Bに記載されるように、設置し、かつ/またはチャンバアセンブリ30の上に接するまで下げて、接着性パッチおよび/または圧力ガスケットを噛み合わせてハイブリダイゼーションチャンバ126の密閉を完了させてよい。この構成に達したら、ハイブリダイゼーションプロトコールにしたがってサンプルをハイブリダイズさせることができる。
【0044】
例えば、図4および10Bに記載のハイブリダイゼーションプロトコールの代表的な実施形態は以下のステップ:
・ ディスポーザブルチャンバアセンブリを反応領域上に連結するステップ;
・ プローブ溶液で反応チャンバを満たすステップ;
・ 75℃で5〜10分間、サンプルおよびプローブを変性させるステップ;および
・ 37℃で一晩インキュベートするステップ
を含んでよい。
【0045】
同様に、図5および10Bに記載のハイブリダイゼーションプロトコールの代表的な実施形態は以下のステップ:
・ プローブ溶液を反応領域上にアプライするステップ;
・ ディスポーザブルチャンバアセンブリを反応領域上に連結するステップ;
・ 75℃で5〜10分間、サンプルおよびプローブを変性させるステップ;および
・ 37℃で一晩インキュベートするステップ
を含んでよい。
【0046】
ハイブリダイゼーションプロトコールが完了した後、図10Cに記載されるように、洗浄盤112を洗浄バッファーで満たし、ローター130、140をともに持ち上げ、バッファー溶液106で浸しながらゆっくり回転させてよい。次いで、図10Dに記載されるように、上部クランプローター140を下部キャリアローター130から離し、チャンバアセンブリ30を上部ローターの底面に接着させ、スライド基板20から完全に取りはずし、スライド基板20の上面を洗浄のために露出させたままにしてよい。スライド基板を沈めてゆっくり回転させてガスケットシールを破ると、空気で運ばれる粒子の汚染から反応領域が確実に防御される。また、ある程度の液体回避(fluid sheer)が反応領域にすぐに適用されてhybe溶液をすばやく押し出し、隣接するスライド上で使用されるhybe溶液との交差汚染のリスクを減らすことが確実になる。
【0047】
図10Dのようにローターが分離されたら、典型的なポストhybeプロトコールなどのポストハイブリダイゼーション洗浄ステップにしたがって、分析用のハイブリダイズしたサンプルの浄化および調製を完了することができる。これは、水盤型容器の排出と種々の洗浄バッファー液106での充填を交互に行い、バッファー液内に沈められた下部キャリアを回転させてhybe溶液を完全に除去するステップを含んでよい。バッファー液からの下部キャリアローターの取り出しは、下部キャリアローターをバスから持ち上げて出すことによって、または水盤型容器から洗浄液を排出することによって達成することができる。
【0048】
ポストhybe段階の間、上部ローター140をバッファー液の表面より上に上げ、別々に高速で遠心して、後の乾燥または洗浄バッファー除去段階の間に、スライド基板にしたたり落ちて汚染する可能性があるすべての残留する洗浄液を振り落としてよい。一態様では、下部キャリアローターの洗浄が完了する前に、上部クランプローターを、連結されたチャンバアセンブリとともに、連結されたチャンバの浄化および取りはずしのために処理デバイスから完全に取りはずしてよい。
【0049】
例えば、ポストハイブリダイゼーション洗浄手順の代表的な実施形態は以下のプロトコール:
・ 1×ポスト洗浄バッファーII(2×SCC/0.1%lgepal)中で室温で2分間、スライドを洗浄する;
・ 1×ポスト洗浄バッファーI(0.4×SCC/0.3%lgepal)中で72℃(+/−1℃)で2分間、攪拌せずに、スライドを洗浄する;
・ 1×ポスト洗浄バッファーII(2×SCC/0.1%lgepal)中で室温で1分間、攪拌せずに、スライドを洗浄する;
・ 室温で遠心して乾燥する
を含んでよい。
【0050】
本発明のハイブリダイゼーションシステム100は、非常に小容量の反応チャンバを使用するが、事前および事後の両方で大容量の洗浄段階を行うことができる反応段階を提供することによって先行技術より有益である。上記で開示されるように、これは、スライドの表面上で密閉された小容量反応チャンバを一時的に形成させることによって達成することができ、該密閉を解除して反応チャンバを開放し、洗浄液の大容量の洗い流しまたはバスにスライドを露出させることができる。大容量の洗浄の利益は、インキュベーションサイクルの間に利用される小容量反応チャンバに洗浄液を押し通すことによっては実現できないことが認識されている。さらに、反応チャンバを取りはずして、洗浄液の大容量の洗い流しまたはバスにスライドを露出させると、使用されたhybe溶液をスライドから、より完全にかつ高速に除去できることが認識された。
【0051】
洗浄液の大容量の洗い流しまたはバスは複数のハイブリダイゼーションスライドのそれぞれに共通であってよいことが理解される。多数のスライド基板をプレhybeおよびポストhybeの両浄化液の同一バスに通して浸漬して動かすと、複数のスライドの同時浄化、および洗浄液の効率的かつ経済的な使用が提供される。さらに、大容量洗浄を使用すると交差汚染の機会を減らすこともできる。マイクロリットルサイズの容量のhybe溶液サンプルをずっと大きい数リットルサイズの量の洗浄液中で完全に押し流し、希釈することができるからである。
【0052】
上記説明では、半自動化されたハイブリダイゼーションスライド処理システムおよびその使用方法のいくつかの代表的な実施形態を教示するが、以下、図11〜22では、実質的に自動化されたハイブリダイゼーションスライド処理システムおよびその使用方法の種々の実施形態が示され、それはまた、小容量ハイブリダイゼーションステップおよび大容量ポストハイブリダイゼーション洗浄ステップを含む。
【0053】
実質的に自動化されたハイブリダイゼーションシステムの典型的な各実施形態は、図11A〜11Bに、より詳細に示されるハイブリダイゼーションユニット210を含んでよい。ハイブリダイゼーションユニット210は、固定化DNAサンプルなどの固定化反応物226を担持する反応領域224を有する実質的に長方形のガラススライド基板220を含んでよい。該反応領域を、ディスポーザブルチャンバアセンブリ、またはミキサー240によって覆い、該ディスポーザブルチャンバアセンブリまたはミキサーをスライド基板220に取りはずし可能に取り付けて、反応領域224を封入する小容量反応チャンバ244を形成させることができる。ミキサーをミキサーシール242でスライド基板に取り付けてよく、該ミキサーシールは、取りはずし可能な接着性物質、エラストマーシール(例えばOリングまたはガスケット(シリコーンガスケットを含む))または、処理の充填およびインキュベーション段階の間、ハイブリダイゼーション液を保持および担持するために十分な密閉された反応チャンバを形成させるために当技術分野で利用可能な任意の他の密閉機構であってよい。非接着性物質またはエラストマーシール242が使用される場合、少量のコーナー接着性物質258を、スライドのコーナーに配置して、以下でさらに詳細に考察されるように、ハイブリダイゼーションユニット210が処理デバイス中に配置されるまでミキサー240をスライド基板220に軽く取り付けることができる。反応チャンバ244に、充填口250および通気口252を備えて、ハイブリダイゼーション液の導入および封入空気またはガスの通気を可能にすることができる。
【0054】
典型的に、固定化反応物226を担持する反応領域224はスライド基板220の上面を実質的に覆い、反応チャンバ244の外周の輪郭を定めるためのマイクロアレイスライドの縁部の周囲にミキサーシール242のための余地を残すことができる。単一の反応チャンバはスライドの表面上の反応領域全体を覆ってよい。しかし、固定化反応物を、異なる区画に分け、反応チャンバ244を複数の個別に密閉されたサブチャンバ246に細分することが可能であり、各サブチャンバは、スライドの表面を横切って延在するシール部分によって、隣接するサブチャンバから分離されている。例えば、図11A〜11Bで示される典型的な反応チャンバは、8個のサブチャンバ246に細分され、各サブチャンバは自身の充填口250および通気口252を有する。本発明の他の態様では、サブチャンバの数は、必要が生じれば、非限定的に、2、4、6または12サブチャンバを含んでよい。
【0055】
スライド基板220の上部とディスポーザブルチャンバアセンブリまたはミキサー240の底との間の距離(またはミキサーシールの厚み)によって定められる反応チャンバ(群)244、246の高さは、約1/1000インチ(または25μm)に制御することができるが、より大きい高さが使用されることもよくある。反応チャンバの高さを約1/1000インチに制御すると、チャンバの容量、およびゆえに必要とされるハイブリダイゼーション液の容量を約25μL以下に制限することが可能になる。しかし、反応チャンバの容量は、小さいサブチャンバ246の場合の約5μLから大きい単一の反応チャンバ244の場合の約100μLまで変動させることができることが理解される。当業者は、この範囲が小容量のハイブリダイゼーションを提供するとみなすことができ、該小容量のハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション液に懸濁された高濃度の標本をスライド220上の固定化プローブに接触させることを可能にする。
【0056】
ディスポーザブルチャンバアセンブリまたはミキサー240は、多層の、フレキシブルなポリマー材料からなり、透明な積層構造を形成してよく、反応チャンバ244、246を満たし、現在の空気容量を通気孔252から押し出すときのハイブリダイゼーション液の前進を観察する能力をユーザーに提供する。該ミキサーは、空気袋(示されていない)などの組み込みの攪拌システムを備えてもよく、該攪拌システムはミキサーの天面部分中に形成させることができ、膨張すると反応チャンバ中に下向きに天面部分を広げるように作動することができる。空気袋は、空気圧で膨張および収縮して、インキュベーションの間、反応チャンバ内部のハイブリダイゼーション液を混合し続けることができる。空気袋とハイブリダイゼーションシステムを連絡する空気口254および空気ライン(pneumatic lines)256は、ミキサーの1つのエンドタブ248、好ましくは内部エンドタブ中に形成させることができる。ミキサーの空気圧撹拌システムは、2002年8月2日提出の米国特許第7,234,400号、「Laminated Microarray Interface Device」(該参考文献はその全体が本明細書中に組み入れられる)にさらに詳細に記載される。
【0057】
ミキサー240は、オプションのマニホールドデバイス270と組み合わせることができ、該マニホールドデバイスは、反応チャンバ244またはサブチャンバ246の充填および密閉を容易にし、サンプルの交差汚染のリスクを減らすことができる。該マニホールドは、ミキサーの注入口250および通気口252とそれぞれ位置を合わせた一連の注入孔および通気路272を含むことができる。ピペットの先端を捕獲して注入/通気孔へ導き、ハイブリダイゼーション液を反応チャンバまたはサブチャンバ中へガイドするためのろうと状の開口部274を有する注入/通気孔272を形成させることができる。充填および通気後、ミキサー220の注入口250および通気口252を、差し込み式の栓、マニホールド中に組み込まれたスライド式の密閉バー、またはミキサー自体に組み込まれた貫通式の隔壁層(a piercable septum layer)などを含む種々の手段で閉じて、反応チャンバ244、246が、ハイブリダイゼーション処理のインキュベーション段階の間、外部汚染から防御された液密容器になるようにすることができる。さらに、マニホールド270、ミキサー240およびミキサーシール242をミキサー/マニホールドサブアセンブリ280として設計することができる。ミキサー240およびミキサー/マニホールドサブアセンブリはともに、ディスポーザブルであってよく、スライド基板220の上面に容易に取り付け、取りはずすことができるように設計することができる。
【0058】
ハイブリダイゼーションユニット210は、ミキサー240の境界がスライド基板の2つの平行な縁部230を超えて延在し、他の2つの平行な縁部232を露出させるように設計することもできる。図11A〜11Bで示される典型的な実施形態では、ミキサーはスライド基板の長軸に沿ってさらに(短い縁部を超えて)延在し、ハイブリダイゼーションユニットの両端230の2つのエンドタブ248を提供する。同時に、ディスポーザブルチャンバアセンブリまたはミキサー240はスライド基板220の幅より狭く、スライド基板の長さに縁をつける2つの縁部232を露出させることができる。本発明の別の態様では、平行な縁部のセットを交換し、ミキサーのフラップがスライド基板の長い縁部にわたり、それを超えて延在し、およびスライド基板の片側の短い縁部は露出したままにすることができる。
【0059】
以下でさらに詳細に考察されるように、この設計は、ミキサー240を処理デバイスの上部クランプ取り付け具に取り付け、スライド基板220を処理デバイスの下部キャリア取り付け具に取り付けることを可能にする。ミキサーおよびスライド基板を受けた後、上部および下部取り付け具をともに噛み合わせ、ミキサーとスライド基板を結び付けて反応チャンバ244、246を形成させることができる。上部および下部取り付け具を取りはずすと、ミキサーがスライド基板から取りはずされ、反応チャンバ244、246の密閉状態が開放されて開く。
【0060】
ハイブリダイゼーションユニット360とともに、複数のマイクロアレイスライドの実質的に自動化されたハイブリダイゼーションのための本発明の典型的な実施形態300を形成する処理デバイス304は、概して、図12〜15に示される。処理デバイス304は開放頂端を有する水盤型容器310を含んでよい。該水盤型容器は、ハイブリダイゼーション処理の完了後にマイクロアレイスライドを洗浄するための多量の洗浄液を保持するように設計された水盤312を含んでよい。該水盤312は図に示されるように円形であるか、または複数のマイクロアレイスライドを浸すかまたは沈めるために十分な多量の洗浄液を一時的に保持または担持可能な任意の他の形状または構成を有してよく、該範囲は、非限定的に0.1〜3.0リットルの洗浄液を含むことができる。水盤型容器310は、洗浄液ボトルを保持するための凹部316を有する側面区画314、ならびに水盤から洗浄液を充填および排出するためのバルブおよびパイプなどの内部配管をさらに含んでよい。
【0061】
処理デバイス304は水盤型容器310内に配置されたスライドキャリアを含み、複数のマイクロアレイスライド基板362を受けるように設計することができる。該スライドキャリアは、実施形態の図に示されるように、支持軸318上で支持されかつスピンモーター320によって駆動される下部キャリアローター330であってよく、該スピンモーターは、水盤312およびその中に保持された洗浄液に対する下部キャリアローター(受容されたスライド基板を含む)の回転運動を可能にする。さらに、下部キャリアローター330および水盤型容器310はともに、水盤312内に収容された洗浄液のバス内に下部キャリアローターを浸漬し、次いで下部キャリアローターをバスから取り出し、すべての残留する洗浄液を除去するように設計することができる。バスからの下部キャリアローターの取り出しは、下部キャリアローターをバスから持ち上げて出すことによって、または水盤型容器から洗浄液を排出することによって達成することができる。本発明の一態様では、洗浄液を排出しながら、下部キャリアローター330を水盤312の床から離して上げ、かつ支持軸318の周囲を回転させることができる。
【0062】
処理デバイス304は、スライドキャリアの上に配置されたクランププレートをさらに含み、複数のミキサー/マニホールド364または個別のミキサー366を受けるように設計することができる。該クランププレートは、図12〜15で示されるように、同支持軸318上で支持されかつ下部キャリアローター330の上の上部クランプローター340であってよい。支持軸318は、水盤型容器310および下部キャリアローター330の両者と比べて区別される上部クランプローター340の回転運動を可能にするように分けることができる。上部クランプローターは、水盤312内に収容された洗浄液のバス内での浸漬および回転のために設計することもできる。
【0063】
図12〜15の回転する実施形態では、上部クランプローター340および下部キャリアローター330を、2つのディスク間の相対的垂直運動を備えることによって一方を他方と噛み合わせるために設計することができる。噛み合うと、上部クランプローター340によってあらかじめ収容された複数のミキサー/マニホールド364は、下部キャリアローター330上にあらかじめ収容された複数のスライド基板362と結び付いて、密閉されたハイブリダイゼーション反応チャンバを有する複数のハイブリダイゼーションユニット360を形成させることができる。そして、取りはずすと、上部クランプローターと下部キャリアローターとの間の分離した運動により、ミキサー/マニホールド364がスライド基板362から取りはずされ、ミキサーがスライド基板から引き抜かれ、複数の反応チャンバを形成する各ミキサーシールが開放されて開く。
【0064】
上部クランプローター340に取り付けられたミキサー/マニホールド364は、2つのローターを一緒にする前に、下部キャリアローター330に取り付けられたスライド基板362と角度位置を合わせることができる。これは、ミキサー/マニホールドおよびスライド基板の位置が合うまで両ローターの角度位置をモニターして制御することによって達成することができる。
【0065】
スライド基板362を、下部キャリアローター330中に形成された等間隔のキャリアローター「ウインドウ」332に挿入することができる。キャリアローターウインドウ332は、ミキサーによって覆われないスライド基板の露出縁部を受けてつかむために内部側面に形成されたスロットまたはグルーブ、および、設置の間には曲がって開き、その後、回転の間、特に下部キャリアローター330の高速遠心の間には、スライド基板362がウインドウ332から飛び出すのを防ぐためにパチンと閉じる、スロットの末端のフレキシブルなタブを有することができる。
【0066】
ミキサー/マニホールド364は、スライド基板の縁部を超えて縦方向に延在するミキサー366のエンドタブを介して上部クランプローター340に連結することができる(図15を参照のこと)。エンドタブは、下部キャリアローターに向かって下向きに延在するクランプローター「ウインドウ」342の両端に形成されたクリップまたはタブによってつかむことができる。該クリップは、エンドタブとの連絡点として機能するだけでなく、2つのローターを良好に整列させてともに固定する連結配置(interlocking alignment)および噛み合わせ機構としても働くことができる。クリップ642を用いる追加の実施形態は図24および25A〜25Dに示される。
【0067】
図15への参照に戻って、上部クランプローター340は、個別のミキサー366またはミキサー/マニホールドサブアセンブリ368の両者を受けるように設計することができ、該マニホールドを、クランプローターに積載する前にミキサーに取り付けて、反応チャンバまたはサブチャンバのその後の充填、通気および密閉を容易にすることができる。
【0068】
本発明の一態様では、クランプローターウインドウは、ウインドウの内縁とマニホールド368との間のギャップにまたがるクランプローターウインドウ344の内縁の周囲に固定されたフレキシブルな「浮き蓋(floating lid)」346を備えることができる。2つのローターが離れると、浮き蓋は、マニホールドの周囲にぴったり(snuggly)はまり、マニホールドをつかんで、クランププレートローターにミキサー/マニホールド364をさらに固定するように作動することができる。そして、マニホールドの有無にかかわらず上部クランプローター340が下部キャリアローター330と噛み合うと、浮き蓋346は、ミキサー366の上面に押しつけられてミキサーシールを完全に圧縮し液密反応チャンバをつくり出すためのプレーナースプリングとして機能することができる。スプリング様浮き蓋を使用してミキサーの上面に対して押しつけると、上部ローターと下部ローターを噛み合わせたときに大きい許容範囲が提供され、スライド基板362が割れるか壊れるかもしれないクランププレートローターによる過剰な力の適用が回避される。
【0069】
本発明の別の態様では、マニホールド368を上部クランプローター340に恒久的に連結し、ミキサー366のみが取りはずし可能でハイブリダイゼーション処理の各サイクルでディスポーザブルであってよい。さらに、利用可能な種々のサブチャンバ設計にミキサーシェルを適合させるために汎用パターンの充填ろうとおよび通気路を有するマニホールドを設計することができる。
【0070】
本発明のさらに別の態様では、スライドを下部キャリアローター330中に設置する前にミキサー/マニホールド364またはミキサー366をスライド基板362に取り付けることができる。組み立て前のハイブリダイゼーションユニット360を受けた後、クランプローター340を下げてキャリアローターを噛み合わせ、ミキサー366の上部に必要な圧力を適用して反応チャンバを適正に密閉することができる。上記のように、クランプローターはミキサーのエンドタブに自動的に連結されて、その後、クランプローターを持ち上げるとミキサーシールが解除され、ミキサー366またはミキサー/マニホールド364がスライド基板362から取りはずされるようにすることができる。
【0071】
ミキサーの空気ラインとの連絡のため送気管は、上部クランプローター中で形成させるか、上部クランプローターに連結することができる。送気管は、ミキサー中の空気口と位置を合わせたエラストマーシールを有する出口孔で終結することができる。上部クランプローターをミキサーの上面に対して押しつけてミキサーとスライド基板との間の液密反応チャンバをつくり出すと、送気管終結とミキサーのエンドタブ中の空気口との間の気密密閉が同時につくり出される。
【0072】
ハイブリダイゼーションシステムの追加の態様は、水盤312の床から上向きに延在し、典型的にハイブリダイゼーション処理の反応またはインキュベーション時間の間、スライドキャリアを水盤型容器310の底に下げたときにスライドキャリアウインドウ332の底に入るスライドヒーター324を含んでよい。スライドヒーター324はスライド基板362の底面に接して並ぶか、またはスライド基板362の底面に対して押しつけられ、ハイブリダイゼーション液に熱を供給し、該ハイブリダイゼーション液は、懸濁された反応物をさらに励起して運動させ、反応の効率を増大させることができる。本発明の一態様では、スライドヒーターは、スライド基板362を約95℃の温度まで加熱することができる。
【0073】
図16Aおよび16Bには、ハイブリダイゼーション処理の充填およびインキュベーション段階の間に生じうる閉じた位置の上部クランプローター340および下部キャリアローター330の側断面図および末端断面図が示される。この位置では、結合したローターが水盤型容器310の底に位置し、ヒーター324は、キャリアローターウインドウ中へ上向きに突出し、スライド基板362の底に接触する。上部クランプローターは、浮き蓋346でミキサー366の上面の外縁を押さえつけ、スライド基板362の上面に対してミキサーシールをしっかり押しつけて、液密密閉を有する反応チャンバを形成させることができる。マニホールド368をミキサーの上面の内部部分に取り付けて、注入口および通気口と位置を合わせることができる。さらに、上部クランプローター中の送気管348をミキサーの空気口との空気連絡中に配置し、インキュベーションの間、ハイブリダイゼーション液を攪拌および混合するためのミキサー空気袋の操作を可能にすることができる。
【0074】
図17Aおよび17Bには、上部クランプローター340および下部キャリアローター330の、インキュベーション段階の完了時に、上部クランプローターを下部キャリアローターから持ち上げて離し、ミキサー/マニホールド366とスライド基板362を離した後の側断面図および末端断面図が示される。上部クランプローターの持ち上げ移動は、反応チャンバを形成させるミキサーシールを開放して開き、スライド基板からミキサーを引き抜き、洗浄のためにスライド基板の上面を露出したままにすることができる。水盤312を洗浄液で満たし、2つのローターを完全に浸漬した後に、上部ローターを持ち上げて離し、ミキサーをスライド基板から取りはずすことができる。スライド基板を沈めてミキサーシールを解除すると、反応チャンバが開放されたときにスライド基板の上の反応領域を洗浄液ですぐに洗い流し、任意の反応チャンバの内容物の、隣接するアレイへの交差汚染の可能性を最小にすることが可能になる。
【0075】
洗浄処理の間、水盤型容器の排出および種々の洗浄液での充填を交互に行い、ハイブリダイゼーション液を完全に除去することができる。ハイブリダイゼーション処理のこの段階で、上部ローター340を持ち上げて水盤容器の上に出し、別々に高速で遠心して、その後の乾燥または洗浄水除去段階の間に、スライド基板にしたたり落ちて汚染する可能性があるすべての残留する洗浄液を振り落としてよい。本発明の一態様では、下部キャリアローターの洗浄が完了する前に、上部クランプローターを、連結されたミキサーおよびマニホールドとともに、ミキサー/マニホールド364の浄化および取りはずしのために処理デバイスから完全に取りはずしてよい。
【0076】
さらに図17Aおよび17Bには、クランプロータークリップまたはタブ344が示され、該クリップまたはタブはクランプローターから下向きに延在し、ミキサー366のエンドタブに連結し、上部クランプローター340を持ち上げて下部キャリアローター330から離すと、スライド基板362からミキサーが引き抜かれ、ハイブリダイゼーションユニット360が分解されるように作動することができる。また、浮き蓋346が示され、該浮き蓋は、2つのローターがともに結び付けられると、ミキサー366の上面に押しつけられてミキサーシールを完全に圧縮し、液密反応チャンバを有するハイブリダイゼーションユニットをつくり出すことができ、また、マニホールド368をつかみ、2つのディスクローターの分離の間、ミキサー/マニホールド364をクランププレートローター340にさらに固定することができる。
【0077】
図18Aおよび18Bで示されるように、下部キャリアローター330を持ち上げて突出したスライドヒーター324から離し、水盤312の底から部分的に離して、洗浄段階の間、ディスクがその支持軸の周囲を回転して、スライド基板362上およびその周囲での相対的運動または流動をつくり出すことを可能にするようにすることもできる。これは、反応領域およびスライド基板の底面の両方の、より高速かつより完全な浄化を提供することができる。さらに、回転速度を加減して、ハイブリダイズした固定化反応物プローブの損傷を回避することができる。
【0078】
本発明の別の態様では、結合したローター330、340をともに持ち上げて突出したスライドヒーター323から離し、ディスクを分離する前に、回転式ローターを沈めるために十分な洗浄液で水盤312を満たしながら、一緒に回転させることができる。これは、スライド基板362からミキサー366またはミキサー/マニホールド364を取りはずす時にある程度の液体回避が存在し、スライド上のハイブリダイゼーション液をすばやく押し流し、交差汚染のリスクを減らすことを確実にする。これは、開放されたときに、すべての液体がすばやく除去されなければ、種々のハイブリダイゼーションサンプルの望ましくない混合を許容する複数のサブチャンバを有するマイクロアレイスライドに特に有益である。ローターディスクの回転を通してスライドの表面にわたる洗浄液の流動を誘導すると、交差汚染のリスクを最小にすることができる。
【0079】
上記の半自動化されたハイブリダイゼーションスライド処理システムと同様に、実質的に自動化されたハイブリダイゼーションシステム300は、非常に小容量の反応チャンバを使用する反応段階およびその後の大容量洗浄段階を提供することによって先行技術より有益である。上記で開示されるように、これは、スライドの表面上で密閉された小容量反応チャンバを一時的に形成させることによって達成することができ、該密閉を解除して反応チャンバを開放し、洗浄液の大容量の洗い流しまたはバスにスライドを露出させることができる。大容量の洗浄の利益は、インキュベーションサイクルの間に利用される小容量反応チャンバに洗浄液を押し通すことによっては実現できないことが認識されている。さらに、反応チャンバを取りはずして、洗浄液の大容量の洗い流しまたはバスにスライドを露出させると、使用されたハイブリダイゼーション液をスライドから、より完全にかつ高速に除去できることが認識された。
【0080】
洗浄液の大容量の洗い流しまたはバスは複数のマイクロアレイスライドのそれぞれに共通であってよいことがさらに認識される。多数のスライド基板を浄化液の同一バスに通して浸漬して動かすと、複数のスライドの同時浄化、および洗浄液の効率的かつ経済的使用が提供される。さらに、大容量洗浄を使用すると交差汚染の機会を減らすこともできる。マイクロリットルサイズのハイブリダイゼーション液体サンプルをずっと大きいリットルサイズの量の洗浄液内で完全に押し流し、希釈することができるからである。
【0081】
さらに、図18Aおよび18Bには、スライド取り付けグルーブまたはスロット334が示され、該グルーブまたはスロットは、ミキサーによって覆われないスライド基板の露出した縁部を受けてつかむためにキャリアローターウインドウ332中で形成させることができる。
【0082】
図12〜15で示される回転式の実施形態の参照に戻って、洗浄段階は、複数の洗浄液の使用を含み、該処理の間、水盤型容器310中の水盤312の排出および充填を交互に行い、その間、下部キャリアローター330および連結されたスライド基板362を回転させ続けることができる。洗浄段階が完了した後、水盤型容器からすべての液体を排出し、下部キャリアローターをさらに高い回転速度で遠心して、すべての残留する洗浄液を求心力によって振り落とすことができる。本発明の別の態様では、下部キャリアローターの真上に位置する上部クランプローター140に、スライドの表面からすべての残留する洗浄液を、それらが乾燥してハイブリダイズした反応領域を汚す前に吹き飛ばすための窒素ガス、または加湿もしくはオゾンフリーの空気のジェットを供給する下向きのノズルを備えることができる。
【0083】
非回転式構成要素を使用する本発明の別の典型的な実施形態400を、概して、図19および20に示す。該実施形態は開放頂端を有する水盤型容器410を含んでよい。該水盤型容器は、ハイブリダイゼーション処理のインキュベーション状態の完了後に複数のマイクロアレイスライドを浸すかまたは沈めるために十分な量の洗浄液を保持するように設計することができる。該水盤型容器は長方形であってよく、洗浄液ボトルを保持するための凹部を有する側面区画(示されていない)、ならびに水盤型容器から洗浄液を充填および排出するためのバルブおよびパイプなどの内部配管をさらに含んでよい。内部配管は、スライドが浸漬されていない時間を減らすために高速に排出および充填するように設計することができる。
【0084】
該処理デバイスは、水盤型容器内に配置された下部キャリアプレートまたは取り付け具412を含み、複数のマイクロアレイスライド基板414を受けるように設計することができる。図に示される実施形態では、下部取り付け具412は、水盤型容器410の底面中に形成させることができる。該処理デバイスは、下部プレートの上に配置された上部クランププレートまたは取り付け具422を含み、複数のディスポーザブルミキサー426を受けるように設計してもよい。該上部クランプ取り付け具はすべてのミキサーに共通であるか、または、図に示されるように、各ミキサーに個別のクランプ取り付け具を有する処理デバイスを設計することができる。
【0085】
図19および20の非回転式の実施形態では、クランプ取り付け具422は処理デバイスの上部カバー420と結合していてよく、上部取り付け具422と下部取り付け具412との間の相対的運動および噛み合わせを提供するためにピストン様アクチュエーター424を有するように設計することができる。噛み合うと、クランププレートによってあらかじめ収容されたミキサーシール428を有する複数のミキサー426を、あらかじめキャリアプレート412上に収容された複数のスライド基板414に取り付けて、複数の密閉されたハイブリダイゼーション反応チャンバを形成させることができる。そして、取りはずすと、上部クランプ取り付け具と下部キャリア取り付け具との間の分離移動により、複数のミキサーが複数のスライド基板から取りはずされ、ミキサーシールがスライド基板から引き抜かれ、複数の反応チャンバのそれぞれが開放されて開く。
【0086】
上部カバー420を水盤型容器410に取り付けて、外側洗浄チャンバシール402で密閉して、複数のハイブリダイゼーションユニットを完全に囲み封入する外側チャンバ404を形成させることができる。該カバーが水盤上に固定されたら、ピストン様アクチュエーター424を作動してミキサー426とスライド基板412との間のギャップを閉じ、個別に密閉されたハイブリダイゼーション反応チャンバを形成させ、インキュベーションが完了した後に、引き抜いてスライド基板からミキサーを取りはずすことができる。
【0087】
インキュベーション段階の完了後のハイブリダイズしたスライド基板の洗い流しおよび洗浄は、処理デバイス中に設置されたすべてのマイクロアレイスライドに共通の封入された外側洗浄チャンバ404を通して洗浄液を流動させることによって達成することができる。該洗浄液は、液体ポンプまたは類似のデバイスで、収容されたスライド基板412に対して移動または流動させることができる。洗浄サイクルが完了した後の洗浄液の除去は、洗浄チャンバから洗浄液を排出し、スライド基板の上に窒素ガスまたは加湿もしくはオゾンフリーの空気の下向きのジェットを供給してすべての残留する洗浄液を除去することによって達成することができる。
【0088】
図21には、本発明のハイブリダイゼーションシステムのさらに別の実施形態500が示され、該実施形態では、3つのディスクプレートまたはローターを用いる。下部回転式ディスクは、下部キャリアローター510および上部クランプローター520を含み、両者は上下に移動し、支持軸502の周囲を回転することができる。図21に示される実施形態は、第3の上部バルブディスク550を含んでもよい。該バルブディスクは軸方向(上下)の移動のために設計することができ、下部ディスクローターとともに回転してもしなくてもよい。
【0089】
上部バルブディスク550は、下のクランプローター上に設置された複数のマニホールド/ミキサーとの相互連絡用に設計された複数のバルブステーション560を有するように設計することができる。各バルブステーション560の外向きまたは底から下向きの突出物はバルブピン566のセットであり、該バルブピンを、マニホールド中に形成された一連の注入/通気孔540(図11Bに示されるマニホールド中の孔272およびろうと274に類似している)に挿入することができる。バルブピンは固体であってよく、硬化材料またはステンレス金属材料から形成させることができる。バルブピンは、反応チャンバ(群)中への液体の流動および反応チャンバから外への液体の流動の両者を制御するために使用することができ、かつ、インキュベーション段階の間、反応チャンバを密閉するための栓として働くことができる。回転式処理デバイスを用いるハイブリダイゼーションシステムの実施形態300とともに記載されるが、バルブステーションは、非回転式処理デバイスとともに作動するように設計することもできる。
【0090】
バルブステーション560の一実施形態は図22にさらに詳細に示される。バルブステーションは、固定された、移動の基部を提供する上部プレート562、バルブピン作動プレート564、および適正な位置および方向でバルブピン566をガイドし維持するためのOリングを保持するプレート568を含む複数のプレートを含んでよい。作動プレート564は、スプリング574で下向きに片寄らせてよいが、空気ピストン(an air-powered (pneumatic) piston)572または類似のアクチュエーションデバイスによってその垂直位置を制御することができる。各バルブピン566と同心のOリング570は、バルブステーション560が下のミキサー/マニホールドに取り付けられたときにバルブピンと、マニホールド中のろうと状開口部542との間の密閉をつくり出す。
【0091】
バルブピン566はマニホールド中の注入/通気孔540と相互連絡し、ハイブリダイゼーションの間、孔を密閉することができる。マニホールド中の注入/通気孔は、バルブピン566を受けて注入/通気孔中へガイドするためのろうと状開口部542を備えることができる。本発明の一態様では、マニホールドを、上部マニホールド530および下部マニホールド532に分け、その中に内部液体路を形成させることができる。例えば、該マニホールドは、複数の移動液体ライン536に連絡するメイン液体ライン534を有してよく、該移動液体ラインは、上部マニホールド530と下部マニホールド532との間の割れ目で注入/通気孔540と交わることができる。本発明の一態様では、バルブピン566を部分的に引き出して、メインライン534からの液体544が注入口540を通って反応チャンバ中に流れ落ちることを可能にすることができる。同様に、該バルブピンを部分的に取りはずして、液体路を通って適切な収集デバイス(示されていない)に入る、通気路から追放された液体の可逆的な流動を可能にすることができる。
【0092】
バルブディスク550を利用する本発明の方法は、下部キャリアローター510中にスライド基板を設置し、上部クランプローター520中にミキサー/マニホールドを設置するステップ、およびクランプローターを下げてキャリアローターと噛み合わせ、ミキサー/マニホールドをスライド基板に取り付けて反応チャンバを形成させるステップを含んでよい。そして、マニホールド中のろうと状開口部542を通してハイブリダイゼーション液で該反応チャンバを満たすことができる。充填後、下向きに突出したバルブピン566を有するバルブディスク550を下げてマニホールドの注入/通気口540に入れ、反応チャンバを密閉することができる。そして、ミキサー中で形成された袋に送達された圧縮空気で制御されたインキュベーション段階の間、混合しながら、ハイブリダイゼーションを行うことができる。
【0093】
ハイブリダイゼーションが完了した後、バルブディスク550を上げて、下部ローター510、520を浸漬するために十分な洗浄バッファーで水盤を満たしてよい。該下部ローターを洗浄バッファー内で回転させて、クランプローターをキャリアローターから離して、反応領域を覆う密閉されたチャンバを開放して開いたときにスライド基板上の即時の液体流動をつくり出すことができる。下部キャリアローター中に収容されたスライド基板の洗浄サイクルを以前に記載されたように継続することができる。
【0094】
図21〜22の実施形態500の別の態様では、該方法は、洗浄サイクルが完了した後にクランプローター520とキャリアローター510を再連結して反応チャンバを再び確立するステップをさらに含んでよい。バルブディスク550を下げて、バルブピン566をミキサー/マニホールド中に再挿入し、ハイブリダイズしかつ洗浄されたマイクロアレイスライド上で核酸変性および回復などの種々の流体ステップを実施することができる。
【0095】
バルブステーション560は、ハイブリダイゼーション後のスライド基板の処理および洗浄に追加のフレキシビリティーを提供することが理解される。インキュベーションが完了した後、例えば、注入/通気孔540に差し込まれたバルブピン566を空気ピストン572によって部分的に開放し、溶出バッファーを反応チャンバ中にゆっくりポンプして反応領域を洗浄し、ハイブリダイゼーション液を置換し、通気路を通してハイブリダイゼーション液を押し出し、通気排出口の下に位置する適切な収集デバイスで収集することができる。そして、バルブピンを再び下げて反応チャンバを密閉し、スライド基板およびミキサー(例えばハイブリダイゼーションユニット)を再加熱することができる。第2の処理ステップの完了時に、バルブピンを再び開放し、反応チャンバを通して、加熱された追加の溶出バッファーをポンプして、反応した液体を別の収集デバイスに押し込むことができる。
【0096】
さらに、非回転式処理デバイスの場合、ハイブリダイゼーションが完了した後に、注入孔540に差し込まれたバルブピン566を部分的に開放し、クランプ取り付け具を押し上げ、ミキサーシールを解除し、スライド基板からミキサーを離すために十分な圧力で洗浄液を反応チャンバ中にポンプすることができる。外側洗浄チャンバシールは、大容量洗浄チャンバを維持するように無傷のままであってよい。洗浄シーケンスが完了した後、洗浄液を窒素ガスまたは加湿もしくはオゾンフリーの空気によって置き換えて、すべての残留する洗浄液をスライドから除去することができる。
【0097】
処理デバイスの回転式および非回転式の両実施形態において、バルブピン566の使用(図21〜22を参照のこと)は先行技術より優れた大きな利点を提供することができる。例えば、バルブピンおよびバルブステーション560は可動部分が最小で組み立てが簡単であり、処理デバイスの製造コストを減らすことができる。インキュベーションのために充填された反応チャンバを密閉するためにバルブピンを使用すると、手でテープを貼るなどの現在の慣用の密閉方法より安価でもある。固体の金属性バルブピンは、繰り返し使用する場合に、より確実な密閉を提供することができる。注入孔540に対するディスポーザブルマニホールドのろうと状開口部542の柔らかい接触面は消耗点になり、継続して取り替えられる。しかし、もっとも重要なことに、バルブピンおよびマニホールドシステムは、反応チャンバの注入口および通気口とピンバルブの先端との間の「デッド」容量を1〜3μLの範囲の非常に小さい量に減らすことができ、それにより、試験を実施するために必要なハイブリダイゼーション液の量を節約することができる。
【0098】
図23および24は本発明の別の代表的な実施形態600を示す。上記の半自動化されたハイブリダイゼーションスライド処理システムおよび方法と同様に、ディスポーザブルチャンバアセンブリ624をスライド基板620に取りはずし可能に取り付けて、反応領域を囲む密閉された反応チャンバ626をつくり出し、ハイブリダイゼーションユニット610を形成させることができる。この場合、ハイブリダイゼーションユニット610は、反応チャンバ中へのhybe溶液の自動化された分配のためのマニホールドを必要としないが、キャリアローター630中への設置前に反応チャンバにピペットで手動で充填するための充填孔および通気孔を含むことができる。しかし、やはり上記の実質的に自動化されたハイブリダイゼーションシステムと同様に、ハイブリダイゼーションユニット610は、ディスポーザブルチャンバアセンブリ624中に形成された1以上の反応チャンバ626を含むことができ、スライド基板620の短い縁部を超えて延在する2つのエンドタブ628をさらに含むことができる。各エンドタブ628は、上部クランプローター640から下向きに延在するクリップ642をフレキシブルに収容するための連結孔622を含んでよい。
【0099】
下部キャリアローター630は、クリップ642を受けるように設計されたキャリアウインドウの両端の凹部632を含んでもよい。例えば、ハイブリダイゼーションユニット610が設置された下部キャリアローター630を水盤型容器604中に入れて、スライド基板620をスライドヒーター606に隣接させた後(図23)、上部クランプローター640を水盤型容器中に積載し、上部クランプローター640から下向きに延在するクリップ642をディスポーザブルチャンバアセンブリ624中の連結孔622に押し通し、下部キャリアローター中に形成された凹部632に入れることができる(図24)。一態様では、クリップ642を凹部632と連結して、2つのローターをより良好に整列させ、ともに固定することができる。そして、ローター630、640が設置された水盤型容器604をカバー608で封入することができる。
【0100】
さらに、ハイブリダイゼーションプロトコールの間の下向きに延在するクリップ642の操作を図25A〜25Dに示す。該図は、プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、およびポストハイブリダイゼーションサイクルの種々の段階の間の、水盤型容器604の床およびスライドヒーター606に対して種々の位置の上部クランプローターおよび下部キャリアローターの側断面および末端断面図を示す。図25Aに示されるように、下部キャリアローター630を、ハイブリダイゼーションユニット610の連結後にスライドヒーター606に隣接する、開いた、底に置いた位置にまず配置してよい。次いで、上部クランプローターおよび下部キャリアローターをともに、ハイブリダイゼーションプロトコールの間に生じうる、閉じた、底に置いた位置(図25B)、ポストhybe洗浄プロトコールの開始時に生じうる、閉じて、持ち上げられて、回転している位置(図25C)、およびポストhybe洗浄プロトコールのその後の段階の間に生じうる、開いて、持ち上げられて、回転している位置(図25D)に配置してよい。
【0101】
例えば、ディスポーザブルチャンバアセンブリ624をスライド基板620の反応領域の周囲に連結して、反応チャンバ626をhybe(またはプローブ)溶液で満たした後に、ハイブリダイゼーションユニット610を下部キャリアローター630中に設置してよい。ハイブリダイゼーションユニットの設置後、図25Aに示されるように、下部キャリアローターをスライド加熱パッド606の周囲にはまるように配置してよい。そして、図25Bに示されるように、上部クランプローター640をチャンバアセンブリ624の上に設置し、かつ/または下げて、ディスポーザブルチャンバアセンブリのタブ中に形成された孔622内およびスライドキャリアローター中に形成された凹部632内にクリップ642を噛みあわせ、ハイブリダイゼーションチャンバ(群)126の密閉を完成させてよい。この構成に達したら、ハイブリダイゼーションプロトコールにしたがってサンプルをハイブリダイズさせることができる。
【0102】
ハイブリダイゼーションプロトコールが完了した後、図25Cに記載されるように、洗浄盤を洗浄バッファー602で満たし、ローター630、640をともに持ち上げ、バッファー溶液で浸しながらゆっくり回転させてよい。次いで、図25Dに記載されるように、上部クランプローター640を下部キャリアローター630から離し、チャンバアセンブリ624をクリップ642によって上部ローターの底面に保持し、スライド基板620から完全に取りはずし、スライド基板620の上面を洗浄のために露出させたままにしてよい。上記のように、スライド基板を沈めてゆっくり回転させて反応チャンバシールを破ると、空気で運ばれる粒子の汚染から反応領域が確実に防御される。また、ある程度の液体回避が反応領域にすぐに適用されて、hybe溶液をすばやく押し出し、隣接するスライド上で使用されるhybe溶液との交差汚染のリスクを減らすことが確実になる。
【0103】
図26には、本発明のさらに別の代表的な実施形態700が示され、該実施形態では、水盤型容器710は回転アーム720を含み、該回転アームはハイブリダイゼーションステップの前に下向きに回転して、結び付いた上部クランプローター740と下部キャリアローター730の上に連結することができる。そして該回転アームは、結び付いたローター740、730を一緒にユニットとして持ち上げ、アセンブリを90度回転させて、支持軸718が実質的に水平面に並び、ハイブリダイゼーションユニット710が実質的に垂直面で軸の周囲を回転するようにすることができる。さらに、空気または不活性ガスの小さい気泡を各ハイブリダイゼーションユニットの反応チャンバ中に導入し、ハイブリダイゼーション/インキュベーションステップの間に、実質的に水平な支持軸718の周囲の、結び付いたローターの回転が重力で誘発された気泡による混合を反応チャンバの内部で生じさせるようにすることができる。ハイブリダイゼーションステップ後、回転アーム720は、結び付いたローター740、730を水平な位置に戻すことができ、上記のように洗浄ステップを進行させることができる。
【0104】
気泡混合式の実施形態700は、上に記載されかつ図1〜10に示される半自動化されたハイブリダイゼーションシステム100に特に有用であるが、本発明の気泡混合式の実施形態は、上に記載されかつ図11〜22に示される実質的に自動化されたハイブリダイゼーションシステム400にインキュベーションの間の空気攪拌システムの補完または代替混合システムとして適用可能でもある。
【0105】
前記の詳細な説明では、特定の典型的な実施形態を参照して本発明を説明している。しかし、特許請求の範囲で示される本発明の範囲から逸脱することなく、種々の改変および変更を施すことができることが理解される。詳細な説明および添付の図面は、限定的ではなく単に例示的であるとみなされるものとし、すべてのそのような改変または変更がもしあれば、それは、本明細書中に記載され示される本発明の範囲内に入るものとする。
【0106】
さらに具体的には、本発明の例示的で典型的な実施形態が本明細書中で記載されたが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、前記の詳細な説明に基づいて当業者によって理解される、改変、省略、組み合わせ(例えば種々の実施形態にわたる態様の組み合わせ)、改作および/または変更を有する任意のおよびすべての実施形態を含む。特許請求の範囲における限定は、特許請求の範囲で用いられる用語に基づいて広く解釈され、前記の詳細な説明または出願の遂行の間に記載される例に限定されないものとし、該例は非排他的であると解釈されるものとする。例えば、本開示では、用語「好ましくは」は非排他的であり、「好ましくは、非限定的に」を意味するものとする。任意の方法または処理の請求項で引用される任意のステップは任意の順序で実行してよく、該請求項に記載の順序に限定されない。手段プラス機能またはステッププラス機能の限定は、特定の請求項の限定に関してすべての以下の条件:(a)「のための手段」または「のためのステップ」が明示的に引用されている;および(b)対応する機能が明示的に引用されている、が該限定中に存在する場合にのみ採用される。手段プラス機能を支持する構造、材料または作用は、本明細書中の説明に明示的に引用される。したがって、本発明の範囲は、上記説明および例によってではなく、特許請求の範囲および法律で認められるその等価物によってのみ決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド上に反応チャンバを設けるためのユニットであって、以下の構成要素:
反応領域、および処理デバイスのキャリア取り付け具への連結のための露出した平行な2つの縁部を有するスライド基板;
該スライド基板に取り外し可能に取り付けられて該反応領域を封入する密閉された反応チャンバを形成するチャンバアセンブリ;および
該チャンバアセンブリを処理デバイスのクランプ取り付け具に取り付けるための連結手段
を備え、該クランプ取り付け具を該キャリア取り付け具から離すことにより該チャンバアセンブリが該スライド基板から取りはずされ、それにより該密閉された反応チャンバが開放される、上記ユニット。
【請求項2】
以下の構成要素:
上面および底面を有するフレキシブルな基層であって、該底面が前記反応チャンバの天面を形成する、上記基層;および
該反応チャンバの側壁を形成する、該基層の底面から延在する弱接着性ガスケットシール
を備える前記チャンバアセンブリ;ならびに
前記処理デバイスのクランプ取り付け具への連結のための、前記基層の上面から延在する強接着性上部パッチを備える前記連結手段
をさらに備える、請求項1に記載のユニット。
【請求項3】
以下の構成要素:
前記反応領域を封入する密閉された反応チャンバを形成するためのフレキシブルな環状リップを有するドーム型シェルを備える前記チャンバアセンブリ;および
前記処理デバイスのクランプ取り付け具への連結のための、該ドームの上面から延在する強接着性上部パッチを備える前記連結手段
をさらに備える、請求項1に記載のユニット。
【請求項4】
前記連結手段が1組のチャンバアセンブリ境界部を備え、該境界部は、前記チャンバアセンブリを処理デバイスのクランプ取り付け具に取り付けるためのスライド基板のさらなる2つの平行な縁部を超えて延在する、請求項1に記載のユニット。
【請求項5】
前記1組のチャンバアセンブリ境界部が、前記スライド基板の短軸に平行な基板縁部を超えて延在する、請求項4に記載のユニット。
【請求項6】
前記1組のチャンバアセンブリ境界部が、前記スライド基板の長軸に平行な基板縁部を超えて延在する、請求項4に記載のユニット。
【請求項7】
複数のマイクロアレイスライドのためのシステムであって、以下の構成要素:
水盤型容器;
少なくとも1つのスライド基板をその中に受け取るための、該水盤型容器内で支持軸上に配置されたスライドキャリアローター;
少なくとも1つのチャンバアセンブリをその中に受け取るための、該支持軸上で該キャリアローターに近接して配置されたクランプローター
を備え、
該クランプローターを該キャリアローターと噛み合わせることにより該チャンバアセンブリを該スライド基板に取り付けられ、それによって少なくとも1つの密閉された反応チャンバが形成され、かつ
該クランプローターを該キャリアローターから取りはずすことにより該チャンバアセンブリが該スライド基板から取りはずされ、それによって該少なくとも1つの反応チャンバが密閉状態から開放される、
上記システム。
【請求項8】
ディスポーザブルな前記チャンバアセンブリが、以下の構成要素:
上面および底面を有するフレキシブルな基層であって、該底面が少なくとも1つの反応チャンバの天面を形成する、上記基層;
該少なくとも1つの反応チャンバの側壁を形成する、該基層の底面から延在する弱接着性ガスケットシール;および
前記処理デバイスのクランプ取り付け具への連結のための、該基層の上面から延在する強接着性上部パッチ
を備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記チャンバアセンブリが、以下の構成要素:
前記少なくとも1つの密閉された反応チャンバを形成するためのフレキシブルな環状リップを有するドーム型シェル;
上面および底面を有するフレキシブルな基層;
該ドーム型シェルを該基層に連結するための、該底面から延在する接着性下部パッチ;および
前記処理デバイスのクランプ取り付け具への連結のための、該基層の該上面から延在する接着性上部パッチ
を備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのディスポーザブルシェルの前記露出面に結合した少なくとも1つのマニホールドをさらに備え、該マニホールドは、該ディスポーザブルシェル中の充填口(fill port)および通気口と位置を合わせた少なくとも1つの充填孔および少なくとも1つの通気孔を有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記クランプローターに近接して前記支持軸上に配置され、かつ外側に向かって突出したバルブピンを備える少なくとも1つのバルブステーションを有するバルブローターをさらに備え、該バルブローターを前記クランプローターと噛み合わせることにより該バルブピンが前記少なくとも1つのマニホールドの前記少なくとも1つの充填孔および前記少なくとも1つの通気孔に取りはずし可能に差し込まれる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
複数のスライドを処理する方法であって、以下のステップ:
複数のスライドを処理デバイスに挿入するステップであって、該複数のスライドのそれぞれが小容量チャンバアセンブリにより封入されることにより小容量反応チャンバを形成する反応領域を有する、上記ステップ;
該反応領域と反応させるための少量の液体で該反応チャンバを満たすステップ;
該チャンバアセンブリを該複数のスライドから取りはずすことにより該反応領域を露出させるステップ;
該複数のスライドを洗浄液の共有バスで洗浄するステップ;
該複数のスライドを洗浄液の共有バスから取り出すステップ
を含む、上記方法。
【請求項13】
前記処理デバイスが、洗浄液の共有バスを収容するために設計された水盤型容器内に配置された少なくとも1つのローターディスクをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のスライドを洗浄するステップが、前記水盤型容器中に収容された前記洗浄液の共有バス中に前記少なくとも1つのローターディスクを浸漬し、そこで回転させるステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のスライドを洗浄液から取り出すステップが、前記少なくとも1つのローターディスクを前記洗浄液の共有バスから離すステップ、および該ローターディスクを遠心することにより前記洗浄液を振り落とすステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
固定化サンプル分析のためのスライドのin situ処理方法であって、以下のステップ:
固定化サンプルを担持する反応領域を有するスライド基板を取得するステップ;
該スライド基板を自動化処理のための処理デバイスに設置するステップであって、
該処理は、以下のステップ:
チャンバアセンブリを該スライド基板に取り付けることにより該反応領域を封入する小容量反応チャンバを形成させるステップ;
該固定化サンプルと反応させるための液体で該反応チャンバを満たすステップ;
インキュベーションの間、該反応チャンバを密閉するステップ;
該チャンバアセンブリを該スライド基板から取りはずすことにより該反応チャンバを密閉状態から開放するステップ;
該反応領域に大容積の洗浄液を流すことにより反応液を除去するステップ;および
該スライド基板から該洗浄液を除去するステップ
をさらに含む、上記ステップ;ならびに
該スライド基板を該処理デバイスから取りはずすステップ
を含む、上記方法。
【請求項17】
前記小容量反応チャンバが100μL未満の液体を保持する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記チャンバアセンブリが、該ディスポーザブルチャンバアセンブリ中の充填口および通気口と位置を合わせた少なくとも1つの充填孔および少なくとも1つの通気孔を有する取り付けられたマニホールドをさらに備え、それにより反応液での前記反応チャンバの充填を促進する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記反応チャンバを密閉するステップが、前記少なくとも1つの充填孔および前記少なくとも1つの通気孔に複数のバルブピンを取りはずし可能に差し込むステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記反応チャンバのチャンバアセンブリ部分に設けられた空気袋を交互に膨張・収縮させることにより前記反応液を撹拌するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記反応チャンバに気泡を導入し、かつ前記スライド基板を実質的に水平な軸の周りを回転させることにより前記反応液を撹拌するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記スライド基板を加熱することにより前記反応液と前記固定化サンプルとの反応を改善するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記大容積の洗浄液が少なくとも約0.1リットルの洗浄液を構成する、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記洗浄液を除去するステップが、前記スライド基板から該洗浄液を遠心して落とすために遠心力を利用する、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記洗浄液を除去するステップが、圧縮ガス流を用いて前記スライド基板から該洗浄液を吹き飛ばすステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記処理デバイス中で少なくとも2つのスライド基板を同時処理するステップをさらに含み、該少なくとも2つのスライド基板は、洗浄液の共有ボリューム中で洗い流される、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
固定化サンプル分析のための少なくとも2つのスライドのin situ処理方法であって、以下のステップ:
固定化サンプルを担持する反応領域を有する少なくとも2つのスライド基板を取得するステップ;
各スライド基板にチャンバアセンブリを取り付けて、該反応領域を封入した小容量反応チャンバを形成させるステップ;
該固定化サンプルと反応させるための反応液で該反応チャンバを満たすステップ;
該少なくとも2つのスライド基板を処理のために処理デバイスに設置するステップであって、
該処理は以下のステップ:
インキュベーションの間、該反応チャンバを密閉するステップ;
インキュベーションの間、ハイブリダイゼーション液を撹拌することにより該反応液の反応性を増大させるステップ;
該チャンバアセンブリを該スライド基板から取りはずすことにより該反応チャンバを密閉状態から開放するステップ;
該少なくとも2つのスライド基板を共有洗浄液で洗い流すことにより、該反応領域から該反応液を除去するステップ;および
該洗浄液を該スライド基板から除去するステップ
をさらに含む、上記ステップ;ならびに
該少なくとも2つのスライド基板を該処理デバイスから取りはずすステップ
を含む、上記方法。
【請求項28】
前記チャンバアセンブリが、該チャンバアセンブリ中の充填口および通気口と位置を合わせた少なくとも1つの充填孔および少なくとも1つの通気孔を有する取り付けられたマニホールドをさらに備え、それにより反応液での前記反応チャンバの充填を促進する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記反応チャンバを密閉するステップが、前記少なくとも1つの充填孔および前記少なくとも1つの通気孔に複数のバルブピンを取りはずし可能に差し込むステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
複数のスライドを処理する方法であって、以下のステップ:
複数のスライドを処理デバイスのキャリア取り付け具に挿入するステップであって、該複数のスライドのそれぞれが固定化反応物を担持する反応領域を有する、上記ステップ;
該複数のスライドをプロトコールに従って洗浄液の共有バス中で洗浄するステップ;
複数のディスポーザブルなチャンバアセンブリを該複数のスライドに取り外し可能に取り付けることにより該反応領域を封入した密閉された反応チャンバを形成させるステップ;
封入された反応領域と反応させるための少量の反応溶液で該反応チャンバを満たすステップ;
クランプ取り付け具を該チャンバアセンブリに取り付けることにより、反応プロトコールの間、該反応チャンバをさらに密閉するステップ;
該クランプ取り付け具を持ち上げて該チャンバアセンブリを該複数のスライドから除去し、該反応領域を露出させるステップ;
該複数のハイブリダイゼーションスライドをプロトコールに従い洗浄液の共有バス中で洗浄するステップ;および
該複数のスライドを該処理デバイスの該キャリア取り付け具から取りはずすステップ
を含む、上記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2011−524016(P2011−524016A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513643(P2011−513643)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/046795
【国際公開番号】WO2009/152183
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】