ハイブリダイゼーション検出部とセンサーチップ及びハイブリダイゼーション方法
【課題】伸長状態の検出用ヌクレオチド鎖を整列固定させるように工夫することによって、ハイブリダイゼーション効率の向上を図ること。
【解決手段】検出用ヌクレオチド鎖Xと該検出用ヌクレオチド鎖Xと相補性のある塩基配列を備える標的ヌクレオチド鎖Yとの間のハイブリダイゼーションの場となる反応領域が、前記検出用ヌクレオチド鎖Xを電界によって伸長させながら、誘電泳動の作用によって走査電極Cの端部Eに固定できる構成とされたハイブリダイゼーション検出部1a等及びこの検出部1a等を備えるセンサーチップ及びこれらを用いるハイブリダイゼーション方法を提供する。
【解決手段】検出用ヌクレオチド鎖Xと該検出用ヌクレオチド鎖Xと相補性のある塩基配列を備える標的ヌクレオチド鎖Yとの間のハイブリダイゼーションの場となる反応領域が、前記検出用ヌクレオチド鎖Xを電界によって伸長させながら、誘電泳動の作用によって走査電極Cの端部Eに固定できる構成とされたハイブリダイゼーション検出部1a等及びこの検出部1a等を備えるセンサーチップ及びこれらを用いるハイブリダイゼーション方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DNAチップ等のセンサーチップに好適に利用できるハイブリダイゼーション検出部に係わる技術に関する。より詳細には、ハイブリダイゼーションの場を提供する反応領域において、伸長状態の検出用ヌクレオチド鎖を所定電極部位に整列固定させることによって、ハイブリダイゼーション効率の向上を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の主たる従来技術を以下説明する。現在、マイクロアレイ技術によって所定のDNAが微細配列された、いわゆるDNAチップ又はDNAマイクロアレイ(以下、「DNAチップ」と総称。)と呼ばれるバイオアッセイ用の集積基板が、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等に利用されており、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範囲に活用され始めている。
【0003】
このDNAチップは、ガラス基板やシリコン基板上に多種・多数のDNAオリゴ鎖やcDNA(complementary DNA)等が集積されていることから、ハイブリダイゼーション等の分子間相互反応の網羅的解析が可能となる点が特徴とされている。
【0004】
DNAチップによる解析手法の一例を簡潔に説明すれば、ガラス基板やシリコン基板上に固相化されたDNAプローブに対して、細胞、組織等から抽出したmRNAを逆転写PCR反応等によって蛍光プローブdNTPを組み込みながらPCR増幅し、前記基板上においてハイブリダイゼーションを行い、所定の検出器で蛍光測定を行うという手法である。
【0005】
ここで、DNAチップは二つのタイプに分類できる。第1のタイプは、半導体露光技術を応用したフォトリソグラフィーの技術を用いて、所定の基板上に直接オリゴヌクレオチドを合成していくものであり、アフィメトリクス社(Affymetrix社)によるものが代表的である(例えば、特許文献1参照)。この種のチップは、集積度は高いが、基板上でのDNA合成には限界があって、数十塩基程度の長さである。
【0006】
第2のタイプは、「スタンフォード方式」とも称されるもので、先割れピンを用いて、予め用意されたDNAを基板上に分注・固相化していくことによって作製されるものである(例えば、特許文献2参照)。この種のチップは、集積度は前者に比べて低いが、1kb程度のDNA断片を固相化できるという利点がある。
【特許文献1】特表平4−505763号公報
【特許文献2】特表平10−503841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した従来のDNAチップ技術では、検出表面部位(スポット部位)に固定化されたDNAプローブ等の検出用ヌクレオチド鎖は、ブラウン運動の作用でランダムコイル状に絡まったり、丸まったり等しており、また、検出表面においてその集積密度に偏りがあった。
【0008】
このため、標的ヌクレオチド鎖とのハイブリダイゼーションの際には立体障害が発生するので、ハイブリダイゼーションの効率が悪く、反応にも長時間を要し、更には、擬陽性又は偽陰性を示してしまう可能性もあるという技術的課題があった。
【0009】
そこで、本発明は、検出表面部位においてハイブリダイゼーションの場を提供する反応領域において、伸長状態の検出用ヌクレオチド鎖を整列固定させるように工夫することによって、ハイブリダイゼーション効率の向上を図ることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記技術的課題を解決するために、本発明においては、検出用ヌクレオチド鎖と該検出用ヌクレオチド鎖と相補性のある塩基配列を備える標的ヌクレオチド鎖との間のハイブリダイゼーションの場となる反応領域が、前記検出用ヌクレオチド鎖を電界によって伸長させ、誘電泳動の作用により前記反応領域に配列された走査電極部位に固定できる構成とされた「ハイブリダイゼーション検出部」及び該検出部を備える「センサーチップ」を提供するとともに、これらを用いて実施できる「ハイブリダイゼーション方法」を提供する。
【0011】
本発明では、前記反応領域に形成された電界によって検出用ヌクレオチド鎖を伸長させることができ、加えて、反応領域内に配列された走査電極の端部周辺領域に、局所的に不均一電界(電気力線が一部に集中する電界)を形成し、これにより、前記反応領域に存在する伸長状態の検出用ヌクレオチド鎖を走査電極の端部に向けて誘電泳動して、伸長状態とされた検出用ヌクレオチド鎖を、走査電極を構成する電極間に橋架けするように固定させていくことができるという作用・効果を得ることができる。
【0012】
ヌクレオチド鎖を伸長させるための電界を形成するための電極(対向電極、共通電極を含む。)並びに伸長状態とされた検出用ヌクレオチド鎖を固定するための走査電極の構成は、前記効果が得られる範囲内で適宜決定できる。電極が適当数設けられた走査電極においては、チップ所定箇所に設けられたスイッチを切り替えていくことで、電圧が印加される電極を順番に選択し、印加電極(印加状態にある電極)に近在する(伸長状態の)検出用ヌクレオチド鎖を、誘電泳動の作用によって電極側に引き付け、隣り合う走査電極の各端部間に橋架け状態となるように次々に固定させていくことが可能なる。
【0013】
この手段又は方法により、反応領域に滴下されて分散し、ブラウン運動によってランダムコイル状に絡み合った形態となっている(ハイブリダイゼーションには適さない形態の)検出用ヌクレオチド鎖を、伸長させてハイブリダイゼーションし易い直鎖状の形態に調整し、更に、検出用ヌクレオチド鎖を伸長状態のままで走査電極部位に整列固定させていくことによって、反応領域における検出用ヌクレオチド鎖の密度を平均化できる。
【0014】
反応領域内に整列固定された検出用ヌクレオチド鎖に対し、後添加されてくる標的ヌクレオチド鎖も同様の手段で伸長させて走査電極部位に引き付け、ハイブリダイゼーションさせることができる。伸長されたヌクレオチド鎖同士は、それぞれ塩基同士が重層することが無くなる結果、反応時の立体障害がなくなり、ハイブリダイゼーション反応が円滑に行われるようになる。
【0015】
なお、ヌクレオチド鎖の伸長は、1MV/m程度の高周波電界を印加すると、ヌクレオチド鎖(リン酸イオン等を備えるヌクレオチド鎖の陰電荷とイオン化した水素原子の陽電荷で構成される多数の分極ベクトルからなるヌクレオチド鎖)に誘電分極が生じ、その結果、ヌクレオチド分子が電界と平行に直線状に引き伸ばされるという原理に基づいている。
【0016】
本発明は、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等において必須となるハイブリダイゼーションの検出を、効率良く実施できるハイブリダイゼーション検出部及び該検出部を備えるDNAチップ等のセンサーチップを、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の関連産業界に提供するという技術的意義を有している。
【0017】
ここで、本発明における主な技術用語の定義付けを行う。本願において「ヌクレオチド鎖」とは、プリンまたはピリミジン塩基と糖がグリコシド結合したヌクレオシドのリン酸エステルの重合体を意味し、DNAプローブを含むオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチオドが重合したDNA(全長あるいはその断片)、逆転写により得られるcDNA(cDNAプローブ)、RNA、ポリアミドヌクレオチド誘導体(PNA)等を広く含む。
【0018】
「検出用ヌクレオチド鎖」は、前記検出表面に直接的に又は間接的に固定化されるヌクレオチド鎖であり、「標的ヌクレオチド鎖」は、前記検出用ヌクレオチド鎖と相補的な塩基配列を備えるヌクレオチド鎖であって、場合によっては、蛍光物質等により標識される。
【0019】
「ハイブリダイゼーション」は、相補的な塩基配列構造を備えるヌクレオチド鎖間の相補鎖(二重鎖)形成反応を意味する。
【0020】
「反応領域」は、液相中でのハイブリダイゼーション反応の場を提供できる試料溶液貯留領域である。この反応領域では、一本鎖ヌクレオチド間の相互反応、即ちハイブリダイゼーションに加え、検出用ヌクレオチド鎖から所望の二本鎖ヌクレオチドを形成し、該二本鎖ヌクレオチドとペプチド(又はタンパク質)の相互反応、酵素応答反応その他の分子間相互反応も行わせることができる。例えば、前記二本鎖ヌクレオチドを用いる場合は、転写因子であるホルモンレセプター等のレセプター分子と応答配列DNA部分の結合等を分析することができる。
【0021】
「立体障害(steric hindrance)」は、分子内の反応中心等の近傍に嵩高い置換基の存在や反応分子の姿勢や立体構造(高次構造)によって、反応相手の分子の接近が困難になることによって、所望の反応(本願では、ハイブリダイゼーション)が起こりにくくなる現象を意味する。
【0022】
「誘電泳動」は、電界が一様でない場において、分子が電界の強い方へ駆動する現象であり、交流電圧をかけた場合も、かけた電圧の極性の反転につれて分極の極性も反転するので、直流の場合と同様に駆動効果が得られる(監修・林 輝、「マイクロマシンと材料技術(シーエムシー発行)」、P37〜P46・第5章・細胞およびDNAのマニピュレーション参照)。
【0023】
「対向電極」は、電圧印加可能な一対の電極を意味する。「共通電極」は、複数の電極との間で電圧印加可能な電極を意味する。「走査電極」は、スイッチのオン/オフにより順次電圧印加可能な複数の電極が配列された電極群を意味する。
【0024】
「センサーチップ」は、石英ガラスや合成樹脂等で形成された基板に物質間の相互反応作用を検出できる検出表面及び反応領域が設けられたものを意味し、代表例としてDNAチップを挙げることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、DNAチップ等のセンサーチップ表面部位においてハイブリダイゼーションの場を提供する反応領域に、伸長状態に調整された検出用ヌクレオチド鎖を反応領域中(の走査電極間)に整列固定させることによって、ハイブリダイゼーション効率の向上、反応時間の短縮、偽陽性又は偽陰性の発生防止等を確実に達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0027】
<第1実施形態>
まず、図1は、本発明に係るハイブリダイゼーション検出部(以下、「検出部」と略称する。)及びセンサーチップの第1実施形態(符号1a)の要部構成を表す図である。
【0028】
第1実施形態である検出部1aには、まず、反応領域Rが設けられている。この反応領域Rは、検出用ヌクレオチド鎖X又は標的ヌクレオチド鎖Yを含む試料溶液が添加される貯留領域であって、ハイブリダイゼーションの反応の場を提供する領域又は空間である。
【0029】
この反応領域Rには、対向電極A,Bが配置されている。この対向電極A,Bは、好適には平行に配置され、ともに電源V1に接続されている。図示されたスイッチsをオンにし、電源V1によって高周波電圧を印加すると、電極A,B間の反応領域Rに、均一電界(電気力線が一部に集中しない電界)が形成される(図1中の符号L1で示す線を参照)。
【0030】
前記対向電極A,Bの電界の条件は、約1×106V/m、約1MHzという条件が、好適である(Masao Washizu and Osamu Kurosawa:”Electrostatic Manipulation of DNA in Microfabricated Structures”,IEEE Transaction on Industrial Application Vol.26,No.26,p.1165-1172(1990)参照)。以下説明するすべての電界条件は、これと同様であるので説明を割愛する。
【0031】
前記均一電界L1の作用によって、前記反応領域R中にランダムコイル状等の形態で分散して存在している検出用ヌクレオチド鎖Xを、前記均一電界L1に沿った方向に伸長させ、直鎖状とすることができる(原理については既述)。
【0032】
続いて、対向電極A,Bの間には、対向電極A,Bと直交するように、第2の対向電極G,C(C1,C2,C3,・・・Cx,Cy,Cz)が配置されており、それぞれ図示された電源V2に接続又は接続可能に構成されている。
【0033】
検出部1aにおいては、電極Gに一つの矩形状電極が採用され、一方の電極C群には、所定距離を隔てて、前記電極Gに対向するように各電極が配置された走査電極が採用されている。即ち、走査電極C群は、スイッチS1,S2,S3・・・Sx,Sy,Szを順次オン/オフすることによって、隣り合う一対の走査電極D間に次々に電圧が印加されていく構成を備える。導通状態では、各走査電極間(例えば、GとCx,Cy間)の各領域に(特に走査電極Cの端部周辺に)、電気力線が集中する不均一電界L2が形成される(図3参照)。
【0034】
なお、走査電極C群の各電極C1,C2・・・Czの配置間隔は、伸長状態の検出用ヌクレオチド鎖X’を橋架けするように固定する目的から、前記検出用ヌクレオチド鎖X’の分子長以下とする(以下、すべての実施形態において同様)。
【0035】
次に、図2(A)は、図1中のI−I線矢視断面図であり、図2(B)は、図2(A)で示された検出部1aの変形形態(符号1'a)を表すI−I線矢視断面図である。
【0036】
図2(A)で示されているように、検出部1aとその変形形態1'aは、石英ガラスやシリコン、ポリカーボネート、ポリスチレン等の合成樹脂で形成された基板M1,M2の間の狭小な間隙に設けられている。検出部1aでは、電極A,B等の厚みと反応領域Rの深さ(又は幅)が一致している。
【0037】
場合によっては、図2(B)に示される検出部1'aのように、誘電体Uによって各電極A,B等を挟持させた構成とし、これにより基板M1,M2の間隔を広げ、反応領域Rの容積を増やすようにしてもよい。また、図示はしないが、反応領域Rには、走査電極C群を反応領域Rの深さ方向に複数列並べて配置してもよい。
【0038】
ここで、図3は、前記検出部1a(又は1'aでもよい。)において、対向電極A−B間に電圧が印加され、かつ第2対向電極G−Cx間及びG−Cy間に電圧が印加されて、走査電極Cx、Cy付近に不均一電界L2が形成された状態を表している。この図3では、反応領域Rに対して標的ヌクレオチド鎖Yが既に添加された状態が示されており、対向電極A−B間に形成された電界(L1)は、省略されて表されている。
【0039】
図3に示すように、対向電極A、Bによる均一電界の作用で伸長された検出用ヌクレオチド鎖Xは、近在する走査電極C1−C2,C2−C3・・・Cx−Cy・・・の間に向けて誘電泳動によって駆動され、各電極Dの端部d−d間に橋架けされた状態で固定される。
【0040】
図3中における符号X'は、隣り合う走査電極C間に固定された状態の検出用ヌクレオチド鎖を示している(他の図面でも同様)。なお、この図3は、スイッチSx、Syがオンされ、電極GとCx−Cy間に不均一電界L2が形成されている段階を示している。
【0041】
ここで、反応領域Rに後添加されてきた標的ヌクレオチド鎖Yは、対向電極A,Bによって形成された均一電界の作用を受けて、検出用ヌクレオチド鎖Xと同様に伸長される。この伸長された標的ヌクレオチド鎖Y(の相補配列部分)は、電極C間に固定化された状態の(伸長された)検出用ヌクレオチド鎖X'に引き寄せられると、立体障害の影響もなく、効率の良いハイブリダイゼーションが進行する。
【0042】
<第2実施形態>
次に、図4は、本発明に係る検出部及びセンサーチップの第2実施形態(符号1b)の要部構成を表している。
【0043】
この検出部1bは、上記した第1実施形態である検出部1a(1'a)と異なり、各走査電極群C1,C2,C3・・・Cx,Cy,Czに対向する電極(図1,図3中の符号Gに相当する電極)が設けられていない。隣り合う走査電極間C1−C2,C2−C3,・・・Cx−Cy,・・・に対しては、図示された所定のスイッチS群のオン/オフ手順に基づき、図示された電源V3から電圧が順次印加される構成となっている。
【0044】
この図4では、対向電極A−B、走査電極Cx−Cyに電圧が印加され、走査電極Cx−Cy間に不均一電界L2が形成され、走査電極Cx−Cy間に固定された検出用ヌクレオチド鎖X'に向けて標的ヌクレオチド鎖Yが引き付けられている状態(矢印部分参照)が例示されている。
【0045】
<第3実施形態>
図5は、本発明に係る検出部及びセンサーチップの第3実施形態(符号1c)の構成を表している。
【0046】
図5で表された検出部1cは、対向電極A,Bの間の領域に、電源V3によって印加される走査電極C群と電源V4によって印加される走査電極D群とを対向するように配置させている。具体的には、並んで配列された走査電極C1,C2,C3・・・Cx,Cy,Czに対して、それぞれ対向するように走査電極D1,D2,D3・・・Dx,Dy,Dzが配設されている。
【0047】
この図5では、対向電極A−B、走査電極Cx−Cy、Dx−Dyに印加され、標的ヌクレオチド鎖Yが、不均一電界L2の作用によって、走査電極Cx−Cy間、Dx−Dy間にそれぞれ固定された検出用ヌクレオチド鎖X'に引き付けられている状態(矢印部分参照)が例示されている。
【0048】
<第4実施形態>
続いて、図6は、本発明に係る検出部及びセンサーチップの第4実施形態(符号1d)の要部構成を表している。
【0049】
この検出部1dは、第3実施形態である検出部1cと同様に、並設された走査電極C1,C2,C3・・・Cx,Cy,Czに対して、それぞれ対向するように走査電極D1,D2,D3・・・Dx,Dy,Dzが配設されている。走査電極C群とD群は、共通の電源V5によって印加される構成を備えている。
【0050】
この図6では、対向電極A−B、走査電極Cx−Dx,Cy−とDyにそれぞれ印加され、不均一電界L2の作用によって、標的ヌクレオチド鎖Yが固定された検出用ヌクレオチド鎖X'に引き付けられている状態(矢印部分参照)が例示されている。
【0051】
続いて、電圧印加操作例を図7、図8について説明する。なお、図7は、検出部1aに対応する電圧印加操作例(3例)、図8は、検出部1bに対応する電圧印加操作例(3例)をそれぞれ表している。
【0052】
図1の検出部1aを例に説明すると、図7(A)に示すように、対向電極A−B間に印加している電圧は、走査電極を順番にオンしていくときに(G−C1・C2→G−C2・C3→・・・)、常時印加オンとしてもよい。
【0053】
また、図7(B)に示すように、対向電極A−B間に印加している電圧は、走査電極を順番にオンするたびにオフするようにしてもよい。
【0054】
更に、図7(C)に示すように、対向電極A−B間に印加している電圧は、走査電極に印加するときはオフするようにしてもよい。これらの電圧印加操作を繰り返すことによって、検出用ヌクレオチド鎖Xは走査電極に確実に固定できる。
【0055】
図4の検出部1bを例に説明すると、図8(A)に示すように、対向電極A−B間に印加している電圧は、走査電極を順番にオンしていくときに(C1−C2→C2−C3→・・・)、常時印加オンとしてもよい。
【0056】
また、図8(B)に示すように、対向電極A−B間に印加している電圧は、走査電極を順番にオンするたびにオフするようにしてもよい。
【0057】
更に、図8(C)に示すように、対向電極A−B間に印加している電圧は、走査電極に印加するときはオフ状態にしてもよい。これらの電圧印加操作を繰り返すことによって、検出用ヌクレオチド鎖Xは走査電極に確実に固定できる。なお、既述した検出部1c、検出部1dについても、上記同様の電圧印加操作を実施できる。
【0058】
なお、図7(B)、(C)、図8(B)、(C)の場合のように、対向電極A−B間に対する電圧をオン/オフして断続的に印加すると、固定された検出用ヌクレオチド鎖X'に対して、反応領域R中の標的ヌクレオチド鎖Yを段階的に接近させたり、あるいは標的ヌクレオチド鎖Yを前後に移動させたり、更には、反応のタイミングを調整したりすることができるという利点がある。
【0059】
また、対向電極A−B間に対する電圧の印加をオフにすることによって、直鎖状の標的ヌクレオチド鎖Yと直鎖状の検出用ヌクレオチド鎖X'との間の相補鎖形成反応、即ちハイブリダイゼーションを、専らブラウン運動に委ねて進行させることができる。
【0060】
以上の電圧印加操作により、直鎖状に伸長されて走査電極D群等に固定された状態の検出用ヌクレオチド鎖X'とこれと同様に直鎖状に伸長された標的ヌクレオチド鎖Yの相補性のある塩基間の水素結合の形成は、立体障害が少なくなり、効率良く進行することになる。
【0061】
即ち、検出用ヌクレオチド鎖X'と前記標的ヌクレオチド鎖Yとのハイブリダイゼーション反応が効率良く進行するという結果が得られる。この結果、ハイブリダイゼーションの反応時間が短縮されるとともに、擬陽性又は偽陰性を示す確率も減少するという好ましい結果が得られる。
【0062】
<第5実施形態>
図9は、本発明に係る検出部及びセンサーチップの第5実施形態(符号1e)の要部構成を表している。
【0063】
符号1eで示された検出部には、反応領域Rが設けられており、この反応領域Rには、符号Gで示される共通電極と、この共通電極Gとそれぞれ平行に配置された走査電極群C(C1〜Cz)と、が配設されている。
【0064】
共通電極Gは、電源V1に接続されており、一列に配置された走査電極群Cの各電極C1〜Czは、スイッチS1〜Szを順にオンにしていくことで電源V1に接続される構成となっている。図9は、スイッチSyがオンにされ、電極G−Cy間に電圧が印加され、走査電極Cyの端部周辺に不均一電界L2が形成されている状態(段階)を示している。
【0065】
共通電極Gと走査電極群Cを構成する各電極C1〜Czとの間に、スイッチS1〜Szを切り替えて、高周波電圧を順番に印加していくと、電極Gと各電極C1〜Czの間の反応領域Rには、不均一電界L2が形成される。
【0066】
前記電界の作用によって、前記反応領域R中にランダムコイル状等の形態で分散して存在している検出用ヌクレオチド鎖Xは、前記電界に沿った方向に伸長し、直鎖状とされる。このヌクレオチド鎖の伸長作用と同時に、電圧が印加された各電極C1〜Czの端部E周辺に形成された不均一電界L2により、前記反応領域Rにおいて伸長状態とされた検出用ヌクレオチド鎖Xは、各電極C1〜Czの各端部Eに向けて誘電泳動され、検出用ヌクレオチド鎖Xは、各電極間(C1−C2,C2−C3,・・・Cy−Cz)に橋架けされるように固定される。
【0067】
より具体的には、反応領域Rにおいて伸長状態とされた検出用ヌクレオチド鎖Xの一端部は、不均一電界L2による誘電泳動により電極C1の端部E1に引き寄せられて接着し、続いて、該ヌクレオチド鎖Xの残りの他端部は、次に電圧印加される隣の電極C2の端部E2に引き寄せられて接着固定される。このようにして、検出用ヌクレオチド鎖Xは、各電極間(C1−C2,C2−C3,・・・Cy−Cz)に橋架けされるように固定されることになる。なお、図9中の符号X'は、電極端部に固定された状態の検出用ヌクレオチド鎖を表している。
【0068】
<第6実施形態>
続いて、図10は、本発明に係る検出部及びセンサーチップの第6実施形態(符号1f)の要部構成を表す図である。
【0069】
検出部1fには、上記検出部1eと同様に、反応領域Rに共通電極Gが設けられている。この検出部1fには、2列の走査電極C群,Dが配設されており、走査電極C群を構成する各電極C1,C2,C3・・・Cx,Cy・・Czの各電極端部Eは、走査電極D群を構成する各電極D1,D2,D3・・・Dx,Dy・・Dzの各電極端部eとそれぞれ対向するように配置されている。
【0070】
ここで、走査電極C群の各電極C1〜Czは、スイッチS1〜Szを順にオンにしていくことで電源V1に導通され、走査電極D群の各電極D1〜Dzは、スイッチs1〜szを順にオンにしていくことで電源V1に導通される構成となっている。即ち、スイッチS1及びs1をオンすると、共通電極G−C1,D1間に電圧が印加され、スイッチS2及びs2をオンすると、共通電極G−C2,D2間に電圧が印加される。なお、図2は、スイッチSy、syがオンにされ、電極G−Cy,Dy間に電圧が印加された状態を示している。
【0071】
<第7実施形態>
続いて、図11は、本発明に係る検出部及びセンサーチップの第7実施形態(符号1g)の要部構成を表す図である。
【0072】
図3に示された検出部1gには、上記検出部1e,1fと同様に、反応領域Rに共通電極Gが設けられているとともに、2列の走査電極D群,F群が配設されている。走査電極D群を構成する各電極D1,D2,D3・・・Dx,Dy・・Dzの各電極端部Eは、走査電極F群を構成する各電極F1,F2,F3・・・Fx,Fy・・Fzの各電極端部eとそれぞれ対向するように配置されている。
【0073】
走査電極D群の各電極D1〜Dzは、スイッチS1〜Szを順にオンにしていくことで電源V1に導通され、走査電極F群の各電極F1〜Fzは、スイッチs1〜szを順にオンにしていくことで電源V1に導通される構成となっている。即ち、スイッチS1及びs1をオンすると、共通電極G−D1,F1間に電圧が印加され、スイッチs2及びS2をオンすると、共通電極G−D2,F2間に電圧が印加される。なお、図11は、スイッチSy、syがオンにされ、電極G−Dy,Fy間に電圧が印加された状態を示している。
【0074】
ここで、図11の第7実施形態においては、各電極D1とF1,D2とF2,D3とF3・・・DzとFzの間の距離Hが徐々に長くなるように構成されている。この走査電極D群、F群を構成する各対向電極間の距離Hを徐々に長くし、電極間の反応場が徐々に拡大する構成を採用したことによって、反応領域Rにおいて、電圧印加された電極(の端部)に向けて誘電泳動する検出用ヌクレオチド鎖Xは、隣接する電極(電圧が印加されていない電極)によって物理的に邪魔されることなく、自由に移動できるようになるという望ましい効果が得られる。なお、標的ヌクレオチド鎖Yの誘電泳動の際にも同様の効果が得られる。
【0075】
次に、図12(A)は、図9中のII−II線矢視断面図であり、図12(B)は、検出部1eの変形形態(符号1'e)を表すII−II線矢視断面図である。
【0076】
図12に示されているように、検出部1e、1'eは、石英ガラスやシリコン、ポリカーボネート、ポリスチレン等の合成樹脂で形成された基板M1,M2の間の狭小な間隙に配設されており、検出部1eでは、共通電極G,走査電極群Cの厚みと反応領域Rの深さ(又は幅)が一致した構成が採用されている。
【0077】
場合によっては、図12(B)の検出部1'eのように、誘電体Uによって共通電極G,走査電極群Cを挟持させる構成も採用できる。これにより基板M1,M2の間隔を広げ、反応領域Rの容積を増やすことができる。なお、図示はしないが、反応領域Rには、走査電極C群を反応領域Rの深さ方向に複数列並べて配置してもよい(検出部1f、1gにおいても同様)。
【0078】
上記構成の検出部1e〜1gでは、反応領域Rに添加された標的ヌクレオチド鎖Yは、電極G−C(C1〜Cz)、G−D(D1〜Dz)、G−F(F1〜Fz)のそれぞれの間に形成された不均一電界L2の作用を受けて、検出用ヌクレオチド鎖Xと同様に電界の作用で伸長されながら、走査電極C群、D群、F群に固定化された状態の(伸長された)検出用ヌクレオチド鎖X'に引き寄せられ、立体障害の影響もなく、効率の良いハイブリダイゼーションが進行する。
【0079】
なお、図9は、走査電極Cx−Cy間に固定された検出用ヌクレオチド鎖X'と伸長作用を受けた標的ヌクレオチド鎖Yとの間でハイブリダイゼーションが進行する様子、図10は、走査電極Cx−Cy間並びにDx−Dy間に固定された検出用ヌクレオチド鎖X'と伸長作用を受けた標的ヌクレオチド鎖Yとの間でハイブリダイゼーションが進行する様子、図11は、走査電極Dx−Dy間並びにFx−Fy間に固定された検出用ヌクレオチド鎖X'と伸長作用を受けた標的ヌクレオチド鎖Yとの間でハイブリダイゼーションが進行する様子を、それぞれ模式的に示していることに言及しておく。
【0080】
続いて、電圧印加操作例を図13に基づいて説明する。なお、図13(A)は、検出部1eに対応する電圧印加操作例、図13(B)は、検出部1fに対応する電圧印加操作例、図13(C)は、検出部1gに対応する電圧印加操作例をそれぞれ表している。
【0081】
図9の検出部1eでは、図13(A)に示すように、電極G−C1、電極G−C2・・・間に、順番に電圧を印加していき、図10の検出部1fでは、図13(B)に示すように、電極G−C1・D1、電極G−C2・D2・・・間に、順番に電圧を印加していき、図11の検出部1gでは、図13(C)に示すように、電極G−D1・F1、電極G−D2・F2・・・間に、順番に電圧を印加していく。なお、それぞれの電圧印加時間は適宜決定できる。
【0082】
また、上記順番の一連の電圧印加操作を必要に応じて複数回繰り返してもよい。一連の電圧印加操作を繰り返すことによって、検出用ヌクレオチド鎖Xは走査電極により確実に固定できるという効果が得られる。
【0083】
更に、図14に示すように、各検出部1e〜1gにおける各電極間の電圧印加の際に、電圧のオン/オフを所望の回数だけ繰り返して、断続的に電圧を印加することによって、検出用ヌクレオチド鎖Xの固定のタイミングを調整したり、あるいは既に固定された状態の検出用ヌクレオチド鎖X'に対して、反応領域R中の標的ヌクレオチド鎖Yを段階的に接近させたり、または標的ヌクレオチド鎖Yを前後に移動させたり、更には、反応のタイミングを調整したりすることが可能となる。
【0084】
また、各電極間における電圧印加の際に、電圧オフとなる時間T(図14参照)を確保することによって、直鎖状の標的ヌクレオチド鎖Yと直鎖状の検出用ヌクレオチド鎖X'との間の相補鎖形成反応、即ちハイブリダイゼーションを、専らブラウン運動に委ねて進行させることができる。
【0085】
以上の電圧印加操作により、直鎖状に伸長された状態で、検出部1e〜1gの走査電極C群、D群、F群に固定された状態の検出用ヌクレオチド鎖X'と該検出用ヌクレオチド鎖X'と同様に直鎖状に伸長された標的ヌクレオチド鎖Yとの相補性のある塩基間の水素結合の形成は、立体障害の問題もなく、効率良く進行する。即ち、検出用ヌクレオチド鎖X'と前記標的ヌクレオチド鎖Yとのハイブリダイゼーション反応が効率良く進行するという結果が得られる。この結果、ハイブリダイゼーションの反応時間が短縮されるとともに、擬陽性又は偽陰性を示す確率も減少するという好ましい結果が得られる。
【0086】
<第8実施形態>
図15は、本発明に係る検出部及びセンサーチップの第8実施形態(符号1h)の要部構成を表す図である。
【0087】
検出部1hは、検出用ヌクレオチド鎖Xと該検出用ヌクレオチド鎖Xと相補性のある塩基配列を備える標的ヌクレオチド鎖Yとの間のハイブリダイゼーションの場となる反応領域Rを備える。そして、この反応領域Rに配列された第1走査電極C群と、前記第1走査電極C群と各電極の端部同士が対向するように配列された第2走査電極D群と、を備える。
【0088】
前記第1走査通電極C群の隣り合う電極間並びに前記第2走査電極D群の隣り合う電極間に、それぞれ電圧を順次印加していくことによって電界を形成し、検出用ヌクレオチド鎖を前記電界によって伸長させながら印加走査電極へ向けて誘電泳動し、伸長状態の検出用ヌクレオチド鎖X’を走査電極間に橋架けするように固定することができる。
【0089】
なお、図15は、電源V4によって走査電極Cx−Cyに電圧が印加され、電源V5により走査電極Dx−Dyに電圧が印加されて、不均一電界L2が形成されている状態を表している。
【0090】
<第9実施形態>
図16、図17は、本発明に係る検出部及びセンサーチップの第9実施形態(符号1i)の要部構成を表す図である。
【0091】
検出部1iには、まず、反応領域Rが設けられ、この反応領域Rには、対向電極G、C(C1、C2、C3、・・・Cx、Cy、Cz)が配置されており、図示された電源V1及びV2に接続可能な状態に構成されている。
【0092】
この検出部1iにおいては、電極Gに1つの矩形状電極が採用されており、一方の電極C群は、所定間隔を隔てて電極Gに対向配置された走査電極とされている。スイッチSおよびS1、S2、S3、・・・Sx、Sy、SzおよびスイッチW1、W2、W3、・・・Wx、Wy、Wzを順次オン/オフすることによって、電極Gと電極C1、C2、C3・・・Cx、Cy、Cz間に次々に電圧が印加される構成となっている。
【0093】
更に、走査電極C群は、スイッチS1、S2、S3、・・・Sx、Sy、SzおよびスイッチW1、W2、W3、・・・Wx、Wy、Wzを順次オン/オフすることによって、隣り合う一対の走査電極C間に次々に電圧が印加されていく構成となっている。電極Gと走査電極C群間の導通状態においては、走査電極C群の端部に不均一電界L2が形成され(図16参照)、走査電極C群を構成する走査電極間(例えば、C1とC2の間)の導通状態においては、各走査電極端部に不均一電界L2が形成される(図17参照)。
【0094】
図16、図17で示された第9実施形態では、選択された一つの前記走査電極(例えば、図16に示すようにC1)に、伸長された状態の検出用ヌクレオチド鎖X’の一端を固定させる手順と、該手順に続いて、隣の走査電極(例えば、C2)に前記検出用ヌクレオチド鎖の他端を固定させることによって、隣り合う走査電極間(例えば、C1−C2)に前記検出用ヌクレオチド鎖X’を架橋するように固定する手順と、を行い、この架橋固定された検出用ヌクレオチド鎖X’に(伸長された)標的ヌクレオチド鎖をハイブリダイゼーションさせる方法を実施できる。この方法は、走査電極群とこれらに対向する共通電極Gを備える任意の構成によって実施できる。
【0095】
次に、図18(A)は、図16、図17中のIII−III線矢視断面図であり、図18(B)は、図18(A)で示された検出部1iの変形形態(符号1'i)を示すIII−III線矢視断面図である。
【0096】
図18(A)で示されているように、検出部1i、1'iは、石英ガラスやシリコン、ポリカーボネート、ポリスチレン等の合成樹脂で形成された基板M1、M2の間の狭小な間隙に設けられている。検出部1iでは、電極C等の厚みと反応領域Rの深さ(又は幅)が一致している。
【0097】
場合によっては、図18(B)に示される検出部1'iのように、誘電体Uによって各電極C群を挟持させた構成とし、これにより基板M1、M2の間隔を広げ、反応領域Rの容量を増やすようにしてもよい。また、図示はしないが、反応領域Rには、走査電極C群を複数列並べて配置しても良い。
【0098】
ここで、図16は、前記検出部1i(又は1'i)において、図示されたスイッチSおよびS1をオンにし、電源V1によって対向電極G−C1間に高周波電圧を印加した状態を表している。
【0099】
電極G−C1間に高周波電圧が印加されると前記反応領域Rには、不均一電界L2が形成される。その不均一電界L2の作用によって、前記反応領域R中にランダムに分散して存在している検出用ヌクレオチド鎖Xを、前記不均一電界L2に沿った方向に伸長させ、直鎖状とすることができる。さらに、不均一電界L2中で前記検出用ヌクレオチド鎖Xは、誘電泳動によって駆動され、電界強度の強い電極C1の端部に伸長した状態でその一端が固定される。
【0100】
次にスイッチSをオフにすることにより、電極G−C1間に印加した高周波電圧を切る。それと同時あるいはその後に、スイッチS2及びW2〜Wzをオンにすることにより、電源V2によって電極C1−C2間に高周波電圧を印加する。前記C1に一端が固定された検出用ヌクレオチド鎖X’の固定されていない他端が、電極C1−C2間に生じた不均一電界の電気力線に沿った方向に移動し、電界強度の大きい電極C2の端部に固定される。
【0101】
ついで、スイッチS2,W1をオン、S1,W2をオフにし、同様に検出用ヌクレオチド鎖Xの一端を走査電極C2端部に固定した後、スイッチS,W2をオフ、スイッチS3およびW1およびW3〜Wzをオンにし、走査電極C2−C3間に、伸長状態にある検出用ヌクレオチドX’を固定させる。
【0102】
以上のように、順次電極間に印加される電圧を走査していくことにより、走査電極B群の各電極端部間に検出用ヌクレオチド鎖X’を固定させることができる。図17には、走査電極Cx−Cy間に検出用ヌクレオチドX’が橋渡し固定されている状態が示されている。
【0103】
また、図示はしないが、電極G−C群に一度に高周波電圧を印加し、検出用ヌクレオチド鎖を走査電極C群の各端部に伸長配列させた後、走査電極C群の隣接する電極間への電界印加を走査することによって、前記検出用ヌクレオチドX’を走査電極C群の各電極間に橋渡し固定させても良い。
【0104】
ここで、反応領域Rに後に添加されてきた標的ヌクレオチド鎖は、共通電極G、C群により形成された不均一電界の作用を受けて、検出用ヌクレオチド鎖Xと同様に伸長され、走査電極B群の端部に誘電泳動により引き寄せられる。この走査電極B群に引き寄せられた標的ヌクレオチド鎖は、走査電極B群の各端部に固定された状態の検出用ヌクレオチド鎖X’と、立体障害の影響もなく、効率の良いハイブリダイゼーションが進行する。
【0105】
なお、前記標的ヌクレオチド鎖を電極B群へと誘電泳動させるために、共通電極G−C1間〜G−Cx間のように印加する電界を順次走査しても良いし、複数の電極C群を同電位にして一度に電極G−C間に電界を印加してもよい。
【0106】
図19は、以上説明した全ての走査電極の中で、走査電極Cx〜Cyを代表例として、走査電極の端部Eの代表的な実施例を表す(他の走査電極D、Fも同様)。図19(A)は、端部Eaが矩形状の走査電極、図19(B)は端部Ebが三角形状の走査電極、図19(C)は端部Ecが円弧状の走査電極をそれぞれ表している。電気力線を集中させて不均一電界L2を形成し易く、かつ検出用ヌクレオチド鎖Xを固定し易い形状でもあることから、端部Ecが円弧状の走査電極が特に好適と考えられる。
【0107】
なお、走査電極端部E(Ea,Eb,Ec)の表面は、検出用ヌクレオチド鎖Xの末端がカップリング反応等の反応によって固定されるように表面処理してもよい。一例を挙げれば、ストレプトアビジンによって表面処理された検出表面の場合には、ビオチン化されたヌクレオチド鎖末端の固定化に適している。
【0108】
なお、ハイブリダイゼーションの検出は、慣用の方法によって実施でき、例えば、標的ヌクレオチド鎖Yに標識された蛍光色素や二重鎖ヌクレオチドの塩基間に特異的に結合するPOPO−1やTOTO−3等の蛍光インターカレータに励起光を照射し、得られる蛍光を慣用のディテクタを用いて検出できる。
【0109】
より具体的には、レーザー光(例えば、青色レーザー光)を照射して反応領域Rを励起し、蛍光強度の大きさを検出器(図示せず。)によって検出し、検出用ヌクレオチド鎖X‘と標的ヌクレオチド鎖Yとの間のハイブリダイゼーションの状態を判断する。最後に、各反応領域Rに対する蛍光強度をA/D変換し、結合反応割合をコンピュータの画面に分布表示することによって、視覚化すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明に係るハイブリダイゼーション検出部(1a)及びセンサーチップの要部構成を表す図。
【図2】(A)図1に表された検出部(1a)のI−I線矢視断面図。 (B)(A)図で示された検出部(1a)の変形形態(1'a)を表すI−I線矢視断面図。
【図3】検出部1a(又は1'a)において、対向電極A−B間に電圧が印加され、かつ第2対向電極G−Cx間及びG−Cy間に電圧が印加されて、走査電極Cx、Cy付近に不均一電界L2が形成された状態を表す図。
【図4】本発明に係る検出部及びセンサーチップの第2実施形態(符号1b)の要部構成を表す図。
【図5】本発明に係る検出部及びセンサーチップの第3実施形態(符号1c)の要部構成を表す図。
【図6】本発明に係る検出部及びセンサーチップの第4実施形態(符号1d)の要部構成を表す図。
【図7】検出部(1a)の対する電圧印加操作(3例)を表す図。
【図8】検出部(1b)に対応する電圧印加操作例(3例)を表す図。
【図9】本発明に係る検出部及びセンサーチップの第5実施形態(符号1e)の要部構成を表す図。
【図10】本発明に係る検出部及びセンサーチップの第6実施形態(符号1f)の要部構成を表す図。
【図11】本発明に係る検出部及びセンサーチップの第7実施形態(符号1g)の要部構成を表す図。
【図12】(A)図9中のII−II線矢視断面図。 (B)検出部(1e)の変形形態(符号1'e)を表すII−II線矢視断面図。
【図13】(A)検出部(1e)に対応する電圧印加操作例を表す図。 (B)検出部(1f)に対応する電圧印加操作例を表す図。 (C)検出部(1g)に対応する電圧印加操作例を表す図。
【図14】他の電圧印加操作例を表す図。
【図15】本発明に係る検出部及びセンサーチップの第8実施形態(符号1h)の要部構成を表す図。
【図16】本発明に係る検出部及びセンサーチップの第9実施形態(符号1i)の要部構成を表す図。
【図17】同第9実施形態(符号1i)の要部構成を表す図。
【図18】(A)図16、図17中のIII−III線矢視断面図。 (B)前図(A)で示された検出部1iの変形形態(符号1'i)を示すIII−III線矢視断面図。
【図19】(A)走査電極の矩形状端部(Ea)を表す図。 (B)走査電極の三角形状端部(Eb)を表す図。 (C)走査電極の円弧状端部(Ec)を表す図。
【符号の説明】
【0111】
1(1a〜1i) ハイブリダイゼーション検出部
A,B 対向電極
C(C1,C2,C3,・・・Cx,Cy,Cz) 走査電極(群)
D(D1,D2,D3,・・・Dx,Dy,Dz) 走査電極(群)
F(F1,F2,F3,・・・Fx,Fy,Fz) 走査電極(群)
E,e 電極端部
G 共通電極
R 反応領域
S,s,W スイッチ
V 電源
X 検出用ヌクレオチド鎖
X'固定化された検出用ヌクレオチド鎖
Y 標的ヌクレオチド鎖
【技術分野】
【0001】
本発明は、DNAチップ等のセンサーチップに好適に利用できるハイブリダイゼーション検出部に係わる技術に関する。より詳細には、ハイブリダイゼーションの場を提供する反応領域において、伸長状態の検出用ヌクレオチド鎖を所定電極部位に整列固定させることによって、ハイブリダイゼーション効率の向上を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の主たる従来技術を以下説明する。現在、マイクロアレイ技術によって所定のDNAが微細配列された、いわゆるDNAチップ又はDNAマイクロアレイ(以下、「DNAチップ」と総称。)と呼ばれるバイオアッセイ用の集積基板が、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等に利用されており、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範囲に活用され始めている。
【0003】
このDNAチップは、ガラス基板やシリコン基板上に多種・多数のDNAオリゴ鎖やcDNA(complementary DNA)等が集積されていることから、ハイブリダイゼーション等の分子間相互反応の網羅的解析が可能となる点が特徴とされている。
【0004】
DNAチップによる解析手法の一例を簡潔に説明すれば、ガラス基板やシリコン基板上に固相化されたDNAプローブに対して、細胞、組織等から抽出したmRNAを逆転写PCR反応等によって蛍光プローブdNTPを組み込みながらPCR増幅し、前記基板上においてハイブリダイゼーションを行い、所定の検出器で蛍光測定を行うという手法である。
【0005】
ここで、DNAチップは二つのタイプに分類できる。第1のタイプは、半導体露光技術を応用したフォトリソグラフィーの技術を用いて、所定の基板上に直接オリゴヌクレオチドを合成していくものであり、アフィメトリクス社(Affymetrix社)によるものが代表的である(例えば、特許文献1参照)。この種のチップは、集積度は高いが、基板上でのDNA合成には限界があって、数十塩基程度の長さである。
【0006】
第2のタイプは、「スタンフォード方式」とも称されるもので、先割れピンを用いて、予め用意されたDNAを基板上に分注・固相化していくことによって作製されるものである(例えば、特許文献2参照)。この種のチップは、集積度は前者に比べて低いが、1kb程度のDNA断片を固相化できるという利点がある。
【特許文献1】特表平4−505763号公報
【特許文献2】特表平10−503841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した従来のDNAチップ技術では、検出表面部位(スポット部位)に固定化されたDNAプローブ等の検出用ヌクレオチド鎖は、ブラウン運動の作用でランダムコイル状に絡まったり、丸まったり等しており、また、検出表面においてその集積密度に偏りがあった。
【0008】
このため、標的ヌクレオチド鎖とのハイブリダイゼーションの際には立体障害が発生するので、ハイブリダイゼーションの効率が悪く、反応にも長時間を要し、更には、擬陽性又は偽陰性を示してしまう可能性もあるという技術的課題があった。
【0009】
そこで、本発明は、検出表面部位においてハイブリダイゼーションの場を提供する反応領域において、伸長状態の検出用ヌクレオチド鎖を整列固定させるように工夫することによって、ハイブリダイゼーション効率の向上を図ることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記技術的課題を解決するために、本発明においては、検出用ヌクレオチド鎖と該検出用ヌクレオチド鎖と相補性のある塩基配列を備える標的ヌクレオチド鎖との間のハイブリダイゼーションの場となる反応領域が、前記検出用ヌクレオチド鎖を電界によって伸長させ、誘電泳動の作用により前記反応領域に配列された走査電極部位に固定できる構成とされた「ハイブリダイゼーション検出部」及び該検出部を備える「センサーチップ」を提供するとともに、これらを用いて実施できる「ハイブリダイゼーション方法」を提供する。
【0011】
本発明では、前記反応領域に形成された電界によって検出用ヌクレオチド鎖を伸長させることができ、加えて、反応領域内に配列された走査電極の端部周辺領域に、局所的に不均一電界(電気力線が一部に集中する電界)を形成し、これにより、前記反応領域に存在する伸長状態の検出用ヌクレオチド鎖を走査電極の端部に向けて誘電泳動して、伸長状態とされた検出用ヌクレオチド鎖を、走査電極を構成する電極間に橋架けするように固定させていくことができるという作用・効果を得ることができる。
【0012】
ヌクレオチド鎖を伸長させるための電界を形成するための電極(対向電極、共通電極を含む。)並びに伸長状態とされた検出用ヌクレオチド鎖を固定するための走査電極の構成は、前記効果が得られる範囲内で適宜決定できる。電極が適当数設けられた走査電極においては、チップ所定箇所に設けられたスイッチを切り替えていくことで、電圧が印加される電極を順番に選択し、印加電極(印加状態にある電極)に近在する(伸長状態の)検出用ヌクレオチド鎖を、誘電泳動の作用によって電極側に引き付け、隣り合う走査電極の各端部間に橋架け状態となるように次々に固定させていくことが可能なる。
【0013】
この手段又は方法により、反応領域に滴下されて分散し、ブラウン運動によってランダムコイル状に絡み合った形態となっている(ハイブリダイゼーションには適さない形態の)検出用ヌクレオチド鎖を、伸長させてハイブリダイゼーションし易い直鎖状の形態に調整し、更に、検出用ヌクレオチド鎖を伸長状態のままで走査電極部位に整列固定させていくことによって、反応領域における検出用ヌクレオチド鎖の密度を平均化できる。
【0014】
反応領域内に整列固定された検出用ヌクレオチド鎖に対し、後添加されてくる標的ヌクレオチド鎖も同様の手段で伸長させて走査電極部位に引き付け、ハイブリダイゼーションさせることができる。伸長されたヌクレオチド鎖同士は、それぞれ塩基同士が重層することが無くなる結果、反応時の立体障害がなくなり、ハイブリダイゼーション反応が円滑に行われるようになる。
【0015】
なお、ヌクレオチド鎖の伸長は、1MV/m程度の高周波電界を印加すると、ヌクレオチド鎖(リン酸イオン等を備えるヌクレオチド鎖の陰電荷とイオン化した水素原子の陽電荷で構成される多数の分極ベクトルからなるヌクレオチド鎖)に誘電分極が生じ、その結果、ヌクレオチド分子が電界と平行に直線状に引き伸ばされるという原理に基づいている。
【0016】
本発明は、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等において必須となるハイブリダイゼーションの検出を、効率良く実施できるハイブリダイゼーション検出部及び該検出部を備えるDNAチップ等のセンサーチップを、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の関連産業界に提供するという技術的意義を有している。
【0017】
ここで、本発明における主な技術用語の定義付けを行う。本願において「ヌクレオチド鎖」とは、プリンまたはピリミジン塩基と糖がグリコシド結合したヌクレオシドのリン酸エステルの重合体を意味し、DNAプローブを含むオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチオドが重合したDNA(全長あるいはその断片)、逆転写により得られるcDNA(cDNAプローブ)、RNA、ポリアミドヌクレオチド誘導体(PNA)等を広く含む。
【0018】
「検出用ヌクレオチド鎖」は、前記検出表面に直接的に又は間接的に固定化されるヌクレオチド鎖であり、「標的ヌクレオチド鎖」は、前記検出用ヌクレオチド鎖と相補的な塩基配列を備えるヌクレオチド鎖であって、場合によっては、蛍光物質等により標識される。
【0019】
「ハイブリダイゼーション」は、相補的な塩基配列構造を備えるヌクレオチド鎖間の相補鎖(二重鎖)形成反応を意味する。
【0020】
「反応領域」は、液相中でのハイブリダイゼーション反応の場を提供できる試料溶液貯留領域である。この反応領域では、一本鎖ヌクレオチド間の相互反応、即ちハイブリダイゼーションに加え、検出用ヌクレオチド鎖から所望の二本鎖ヌクレオチドを形成し、該二本鎖ヌクレオチドとペプチド(又はタンパク質)の相互反応、酵素応答反応その他の分子間相互反応も行わせることができる。例えば、前記二本鎖ヌクレオチドを用いる場合は、転写因子であるホルモンレセプター等のレセプター分子と応答配列DNA部分の結合等を分析することができる。
【0021】
「立体障害(steric hindrance)」は、分子内の反応中心等の近傍に嵩高い置換基の存在や反応分子の姿勢や立体構造(高次構造)によって、反応相手の分子の接近が困難になることによって、所望の反応(本願では、ハイブリダイゼーション)が起こりにくくなる現象を意味する。
【0022】
「誘電泳動」は、電界が一様でない場において、分子が電界の強い方へ駆動する現象であり、交流電圧をかけた場合も、かけた電圧の極性の反転につれて分極の極性も反転するので、直流の場合と同様に駆動効果が得られる(監修・林 輝、「マイクロマシンと材料技術(シーエムシー発行)」、P37〜P46・第5章・細胞およびDNAのマニピュレーション参照)。
【0023】
「対向電極」は、電圧印加可能な一対の電極を意味する。「共通電極」は、複数の電極との間で電圧印加可能な電極を意味する。「走査電極」は、スイッチのオン/オフにより順次電圧印加可能な複数の電極が配列された電極群を意味する。
【0024】
「センサーチップ」は、石英ガラスや合成樹脂等で形成された基板に物質間の相互反応作用を検出できる検出表面及び反応領域が設けられたものを意味し、代表例としてDNAチップを挙げることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、DNAチップ等のセンサーチップ表面部位においてハイブリダイゼーションの場を提供する反応領域に、伸長状態に調整された検出用ヌクレオチド鎖を反応領域中(の走査電極間)に整列固定させることによって、ハイブリダイゼーション効率の向上、反応時間の短縮、偽陽性又は偽陰性の発生防止等を確実に達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0027】
<第1実施形態>
まず、図1は、本発明に係るハイブリダイゼーション検出部(以下、「検出部」と略称する。)及びセンサーチップの第1実施形態(符号1a)の要部構成を表す図である。
【0028】
第1実施形態である検出部1aには、まず、反応領域Rが設けられている。この反応領域Rは、検出用ヌクレオチド鎖X又は標的ヌクレオチド鎖Yを含む試料溶液が添加される貯留領域であって、ハイブリダイゼーションの反応の場を提供する領域又は空間である。
【0029】
この反応領域Rには、対向電極A,Bが配置されている。この対向電極A,Bは、好適には平行に配置され、ともに電源V1に接続されている。図示されたスイッチsをオンにし、電源V1によって高周波電圧を印加すると、電極A,B間の反応領域Rに、均一電界(電気力線が一部に集中しない電界)が形成される(図1中の符号L1で示す線を参照)。
【0030】
前記対向電極A,Bの電界の条件は、約1×106V/m、約1MHzという条件が、好適である(Masao Washizu and Osamu Kurosawa:”Electrostatic Manipulation of DNA in Microfabricated Structures”,IEEE Transaction on Industrial Application Vol.26,No.26,p.1165-1172(1990)参照)。以下説明するすべての電界条件は、これと同様であるので説明を割愛する。
【0031】
前記均一電界L1の作用によって、前記反応領域R中にランダムコイル状等の形態で分散して存在している検出用ヌクレオチド鎖Xを、前記均一電界L1に沿った方向に伸長させ、直鎖状とすることができる(原理については既述)。
【0032】
続いて、対向電極A,Bの間には、対向電極A,Bと直交するように、第2の対向電極G,C(C1,C2,C3,・・・Cx,Cy,Cz)が配置されており、それぞれ図示された電源V2に接続又は接続可能に構成されている。
【0033】
検出部1aにおいては、電極Gに一つの矩形状電極が採用され、一方の電極C群には、所定距離を隔てて、前記電極Gに対向するように各電極が配置された走査電極が採用されている。即ち、走査電極C群は、スイッチS1,S2,S3・・・Sx,Sy,Szを順次オン/オフすることによって、隣り合う一対の走査電極D間に次々に電圧が印加されていく構成を備える。導通状態では、各走査電極間(例えば、GとCx,Cy間)の各領域に(特に走査電極Cの端部周辺に)、電気力線が集中する不均一電界L2が形成される(図3参照)。
【0034】
なお、走査電極C群の各電極C1,C2・・・Czの配置間隔は、伸長状態の検出用ヌクレオチド鎖X’を橋架けするように固定する目的から、前記検出用ヌクレオチド鎖X’の分子長以下とする(以下、すべての実施形態において同様)。
【0035】
次に、図2(A)は、図1中のI−I線矢視断面図であり、図2(B)は、図2(A)で示された検出部1aの変形形態(符号1'a)を表すI−I線矢視断面図である。
【0036】
図2(A)で示されているように、検出部1aとその変形形態1'aは、石英ガラスやシリコン、ポリカーボネート、ポリスチレン等の合成樹脂で形成された基板M1,M2の間の狭小な間隙に設けられている。検出部1aでは、電極A,B等の厚みと反応領域Rの深さ(又は幅)が一致している。
【0037】
場合によっては、図2(B)に示される検出部1'aのように、誘電体Uによって各電極A,B等を挟持させた構成とし、これにより基板M1,M2の間隔を広げ、反応領域Rの容積を増やすようにしてもよい。また、図示はしないが、反応領域Rには、走査電極C群を反応領域Rの深さ方向に複数列並べて配置してもよい。
【0038】
ここで、図3は、前記検出部1a(又は1'aでもよい。)において、対向電極A−B間に電圧が印加され、かつ第2対向電極G−Cx間及びG−Cy間に電圧が印加されて、走査電極Cx、Cy付近に不均一電界L2が形成された状態を表している。この図3では、反応領域Rに対して標的ヌクレオチド鎖Yが既に添加された状態が示されており、対向電極A−B間に形成された電界(L1)は、省略されて表されている。
【0039】
図3に示すように、対向電極A、Bによる均一電界の作用で伸長された検出用ヌクレオチド鎖Xは、近在する走査電極C1−C2,C2−C3・・・Cx−Cy・・・の間に向けて誘電泳動によって駆動され、各電極Dの端部d−d間に橋架けされた状態で固定される。
【0040】
図3中における符号X'は、隣り合う走査電極C間に固定された状態の検出用ヌクレオチド鎖を示している(他の図面でも同様)。なお、この図3は、スイッチSx、Syがオンされ、電極GとCx−Cy間に不均一電界L2が形成されている段階を示している。
【0041】
ここで、反応領域Rに後添加されてきた標的ヌクレオチド鎖Yは、対向電極A,Bによって形成された均一電界の作用を受けて、検出用ヌクレオチド鎖Xと同様に伸長される。この伸長された標的ヌクレオチド鎖Y(の相補配列部分)は、電極C間に固定化された状態の(伸長された)検出用ヌクレオチド鎖X'に引き寄せられると、立体障害の影響もなく、効率の良いハイブリダイゼーションが進行する。
【0042】
<第2実施形態>
次に、図4は、本発明に係る検出部及びセンサーチップの第2実施形態(符号1b)の要部構成を表している。
【0043】
この検出部1bは、上記した第1実施形態である検出部1a(1'a)と異なり、各走査電極群C1,C2,C3・・・Cx,Cy,Czに対向する電極(図1,図3中の符号Gに相当する電極)が設けられていない。隣り合う走査電極間C1−C2,C2−C3,・・・Cx−Cy,・・・に対しては、図示された所定のスイッチS群のオン/オフ手順に基づき、図示された電源V3から電圧が順次印加される構成となっている。
【0044】
この図4では、対向電極A−B、走査電極Cx−Cyに電圧が印加され、走査電極Cx−Cy間に不均一電界L2が形成され、走査電極Cx−Cy間に固定された検出用ヌクレオチド鎖X'に向けて標的ヌクレオチド鎖Yが引き付けられている状態(矢印部分参照)が例示されている。
【0045】
<第3実施形態>
図5は、本発明に係る検出部及びセンサーチップの第3実施形態(符号1c)の構成を表している。
【0046】
図5で表された検出部1cは、対向電極A,Bの間の領域に、電源V3によって印加される走査電極C群と電源V4によって印加される走査電極D群とを対向するように配置させている。具体的には、並んで配列された走査電極C1,C2,C3・・・Cx,Cy,Czに対して、それぞれ対向するように走査電極D1,D2,D3・・・Dx,Dy,Dzが配設されている。
【0047】
この図5では、対向電極A−B、走査電極Cx−Cy、Dx−Dyに印加され、標的ヌクレオチド鎖Yが、不均一電界L2の作用によって、走査電極Cx−Cy間、Dx−Dy間にそれぞれ固定された検出用ヌクレオチド鎖X'に引き付けられている状態(矢印部分参照)が例示されている。
【0048】
<第4実施形態>
続いて、図6は、本発明に係る検出部及びセンサーチップの第4実施形態(符号1d)の要部構成を表している。
【0049】
この検出部1dは、第3実施形態である検出部1cと同様に、並設された走査電極C1,C2,C3・・・Cx,Cy,Czに対して、それぞれ対向するように走査電極D1,D2,D3・・・Dx,Dy,Dzが配設されている。走査電極C群とD群は、共通の電源V5によって印加される構成を備えている。
【0050】
この図6では、対向電極A−B、走査電極Cx−Dx,Cy−とDyにそれぞれ印加され、不均一電界L2の作用によって、標的ヌクレオチド鎖Yが固定された検出用ヌクレオチド鎖X'に引き付けられている状態(矢印部分参照)が例示されている。
【0051】
続いて、電圧印加操作例を図7、図8について説明する。なお、図7は、検出部1aに対応する電圧印加操作例(3例)、図8は、検出部1bに対応する電圧印加操作例(3例)をそれぞれ表している。
【0052】
図1の検出部1aを例に説明すると、図7(A)に示すように、対向電極A−B間に印加している電圧は、走査電極を順番にオンしていくときに(G−C1・C2→G−C2・C3→・・・)、常時印加オンとしてもよい。
【0053】
また、図7(B)に示すように、対向電極A−B間に印加している電圧は、走査電極を順番にオンするたびにオフするようにしてもよい。
【0054】
更に、図7(C)に示すように、対向電極A−B間に印加している電圧は、走査電極に印加するときはオフするようにしてもよい。これらの電圧印加操作を繰り返すことによって、検出用ヌクレオチド鎖Xは走査電極に確実に固定できる。
【0055】
図4の検出部1bを例に説明すると、図8(A)に示すように、対向電極A−B間に印加している電圧は、走査電極を順番にオンしていくときに(C1−C2→C2−C3→・・・)、常時印加オンとしてもよい。
【0056】
また、図8(B)に示すように、対向電極A−B間に印加している電圧は、走査電極を順番にオンするたびにオフするようにしてもよい。
【0057】
更に、図8(C)に示すように、対向電極A−B間に印加している電圧は、走査電極に印加するときはオフ状態にしてもよい。これらの電圧印加操作を繰り返すことによって、検出用ヌクレオチド鎖Xは走査電極に確実に固定できる。なお、既述した検出部1c、検出部1dについても、上記同様の電圧印加操作を実施できる。
【0058】
なお、図7(B)、(C)、図8(B)、(C)の場合のように、対向電極A−B間に対する電圧をオン/オフして断続的に印加すると、固定された検出用ヌクレオチド鎖X'に対して、反応領域R中の標的ヌクレオチド鎖Yを段階的に接近させたり、あるいは標的ヌクレオチド鎖Yを前後に移動させたり、更には、反応のタイミングを調整したりすることができるという利点がある。
【0059】
また、対向電極A−B間に対する電圧の印加をオフにすることによって、直鎖状の標的ヌクレオチド鎖Yと直鎖状の検出用ヌクレオチド鎖X'との間の相補鎖形成反応、即ちハイブリダイゼーションを、専らブラウン運動に委ねて進行させることができる。
【0060】
以上の電圧印加操作により、直鎖状に伸長されて走査電極D群等に固定された状態の検出用ヌクレオチド鎖X'とこれと同様に直鎖状に伸長された標的ヌクレオチド鎖Yの相補性のある塩基間の水素結合の形成は、立体障害が少なくなり、効率良く進行することになる。
【0061】
即ち、検出用ヌクレオチド鎖X'と前記標的ヌクレオチド鎖Yとのハイブリダイゼーション反応が効率良く進行するという結果が得られる。この結果、ハイブリダイゼーションの反応時間が短縮されるとともに、擬陽性又は偽陰性を示す確率も減少するという好ましい結果が得られる。
【0062】
<第5実施形態>
図9は、本発明に係る検出部及びセンサーチップの第5実施形態(符号1e)の要部構成を表している。
【0063】
符号1eで示された検出部には、反応領域Rが設けられており、この反応領域Rには、符号Gで示される共通電極と、この共通電極Gとそれぞれ平行に配置された走査電極群C(C1〜Cz)と、が配設されている。
【0064】
共通電極Gは、電源V1に接続されており、一列に配置された走査電極群Cの各電極C1〜Czは、スイッチS1〜Szを順にオンにしていくことで電源V1に接続される構成となっている。図9は、スイッチSyがオンにされ、電極G−Cy間に電圧が印加され、走査電極Cyの端部周辺に不均一電界L2が形成されている状態(段階)を示している。
【0065】
共通電極Gと走査電極群Cを構成する各電極C1〜Czとの間に、スイッチS1〜Szを切り替えて、高周波電圧を順番に印加していくと、電極Gと各電極C1〜Czの間の反応領域Rには、不均一電界L2が形成される。
【0066】
前記電界の作用によって、前記反応領域R中にランダムコイル状等の形態で分散して存在している検出用ヌクレオチド鎖Xは、前記電界に沿った方向に伸長し、直鎖状とされる。このヌクレオチド鎖の伸長作用と同時に、電圧が印加された各電極C1〜Czの端部E周辺に形成された不均一電界L2により、前記反応領域Rにおいて伸長状態とされた検出用ヌクレオチド鎖Xは、各電極C1〜Czの各端部Eに向けて誘電泳動され、検出用ヌクレオチド鎖Xは、各電極間(C1−C2,C2−C3,・・・Cy−Cz)に橋架けされるように固定される。
【0067】
より具体的には、反応領域Rにおいて伸長状態とされた検出用ヌクレオチド鎖Xの一端部は、不均一電界L2による誘電泳動により電極C1の端部E1に引き寄せられて接着し、続いて、該ヌクレオチド鎖Xの残りの他端部は、次に電圧印加される隣の電極C2の端部E2に引き寄せられて接着固定される。このようにして、検出用ヌクレオチド鎖Xは、各電極間(C1−C2,C2−C3,・・・Cy−Cz)に橋架けされるように固定されることになる。なお、図9中の符号X'は、電極端部に固定された状態の検出用ヌクレオチド鎖を表している。
【0068】
<第6実施形態>
続いて、図10は、本発明に係る検出部及びセンサーチップの第6実施形態(符号1f)の要部構成を表す図である。
【0069】
検出部1fには、上記検出部1eと同様に、反応領域Rに共通電極Gが設けられている。この検出部1fには、2列の走査電極C群,Dが配設されており、走査電極C群を構成する各電極C1,C2,C3・・・Cx,Cy・・Czの各電極端部Eは、走査電極D群を構成する各電極D1,D2,D3・・・Dx,Dy・・Dzの各電極端部eとそれぞれ対向するように配置されている。
【0070】
ここで、走査電極C群の各電極C1〜Czは、スイッチS1〜Szを順にオンにしていくことで電源V1に導通され、走査電極D群の各電極D1〜Dzは、スイッチs1〜szを順にオンにしていくことで電源V1に導通される構成となっている。即ち、スイッチS1及びs1をオンすると、共通電極G−C1,D1間に電圧が印加され、スイッチS2及びs2をオンすると、共通電極G−C2,D2間に電圧が印加される。なお、図2は、スイッチSy、syがオンにされ、電極G−Cy,Dy間に電圧が印加された状態を示している。
【0071】
<第7実施形態>
続いて、図11は、本発明に係る検出部及びセンサーチップの第7実施形態(符号1g)の要部構成を表す図である。
【0072】
図3に示された検出部1gには、上記検出部1e,1fと同様に、反応領域Rに共通電極Gが設けられているとともに、2列の走査電極D群,F群が配設されている。走査電極D群を構成する各電極D1,D2,D3・・・Dx,Dy・・Dzの各電極端部Eは、走査電極F群を構成する各電極F1,F2,F3・・・Fx,Fy・・Fzの各電極端部eとそれぞれ対向するように配置されている。
【0073】
走査電極D群の各電極D1〜Dzは、スイッチS1〜Szを順にオンにしていくことで電源V1に導通され、走査電極F群の各電極F1〜Fzは、スイッチs1〜szを順にオンにしていくことで電源V1に導通される構成となっている。即ち、スイッチS1及びs1をオンすると、共通電極G−D1,F1間に電圧が印加され、スイッチs2及びS2をオンすると、共通電極G−D2,F2間に電圧が印加される。なお、図11は、スイッチSy、syがオンにされ、電極G−Dy,Fy間に電圧が印加された状態を示している。
【0074】
ここで、図11の第7実施形態においては、各電極D1とF1,D2とF2,D3とF3・・・DzとFzの間の距離Hが徐々に長くなるように構成されている。この走査電極D群、F群を構成する各対向電極間の距離Hを徐々に長くし、電極間の反応場が徐々に拡大する構成を採用したことによって、反応領域Rにおいて、電圧印加された電極(の端部)に向けて誘電泳動する検出用ヌクレオチド鎖Xは、隣接する電極(電圧が印加されていない電極)によって物理的に邪魔されることなく、自由に移動できるようになるという望ましい効果が得られる。なお、標的ヌクレオチド鎖Yの誘電泳動の際にも同様の効果が得られる。
【0075】
次に、図12(A)は、図9中のII−II線矢視断面図であり、図12(B)は、検出部1eの変形形態(符号1'e)を表すII−II線矢視断面図である。
【0076】
図12に示されているように、検出部1e、1'eは、石英ガラスやシリコン、ポリカーボネート、ポリスチレン等の合成樹脂で形成された基板M1,M2の間の狭小な間隙に配設されており、検出部1eでは、共通電極G,走査電極群Cの厚みと反応領域Rの深さ(又は幅)が一致した構成が採用されている。
【0077】
場合によっては、図12(B)の検出部1'eのように、誘電体Uによって共通電極G,走査電極群Cを挟持させる構成も採用できる。これにより基板M1,M2の間隔を広げ、反応領域Rの容積を増やすことができる。なお、図示はしないが、反応領域Rには、走査電極C群を反応領域Rの深さ方向に複数列並べて配置してもよい(検出部1f、1gにおいても同様)。
【0078】
上記構成の検出部1e〜1gでは、反応領域Rに添加された標的ヌクレオチド鎖Yは、電極G−C(C1〜Cz)、G−D(D1〜Dz)、G−F(F1〜Fz)のそれぞれの間に形成された不均一電界L2の作用を受けて、検出用ヌクレオチド鎖Xと同様に電界の作用で伸長されながら、走査電極C群、D群、F群に固定化された状態の(伸長された)検出用ヌクレオチド鎖X'に引き寄せられ、立体障害の影響もなく、効率の良いハイブリダイゼーションが進行する。
【0079】
なお、図9は、走査電極Cx−Cy間に固定された検出用ヌクレオチド鎖X'と伸長作用を受けた標的ヌクレオチド鎖Yとの間でハイブリダイゼーションが進行する様子、図10は、走査電極Cx−Cy間並びにDx−Dy間に固定された検出用ヌクレオチド鎖X'と伸長作用を受けた標的ヌクレオチド鎖Yとの間でハイブリダイゼーションが進行する様子、図11は、走査電極Dx−Dy間並びにFx−Fy間に固定された検出用ヌクレオチド鎖X'と伸長作用を受けた標的ヌクレオチド鎖Yとの間でハイブリダイゼーションが進行する様子を、それぞれ模式的に示していることに言及しておく。
【0080】
続いて、電圧印加操作例を図13に基づいて説明する。なお、図13(A)は、検出部1eに対応する電圧印加操作例、図13(B)は、検出部1fに対応する電圧印加操作例、図13(C)は、検出部1gに対応する電圧印加操作例をそれぞれ表している。
【0081】
図9の検出部1eでは、図13(A)に示すように、電極G−C1、電極G−C2・・・間に、順番に電圧を印加していき、図10の検出部1fでは、図13(B)に示すように、電極G−C1・D1、電極G−C2・D2・・・間に、順番に電圧を印加していき、図11の検出部1gでは、図13(C)に示すように、電極G−D1・F1、電極G−D2・F2・・・間に、順番に電圧を印加していく。なお、それぞれの電圧印加時間は適宜決定できる。
【0082】
また、上記順番の一連の電圧印加操作を必要に応じて複数回繰り返してもよい。一連の電圧印加操作を繰り返すことによって、検出用ヌクレオチド鎖Xは走査電極により確実に固定できるという効果が得られる。
【0083】
更に、図14に示すように、各検出部1e〜1gにおける各電極間の電圧印加の際に、電圧のオン/オフを所望の回数だけ繰り返して、断続的に電圧を印加することによって、検出用ヌクレオチド鎖Xの固定のタイミングを調整したり、あるいは既に固定された状態の検出用ヌクレオチド鎖X'に対して、反応領域R中の標的ヌクレオチド鎖Yを段階的に接近させたり、または標的ヌクレオチド鎖Yを前後に移動させたり、更には、反応のタイミングを調整したりすることが可能となる。
【0084】
また、各電極間における電圧印加の際に、電圧オフとなる時間T(図14参照)を確保することによって、直鎖状の標的ヌクレオチド鎖Yと直鎖状の検出用ヌクレオチド鎖X'との間の相補鎖形成反応、即ちハイブリダイゼーションを、専らブラウン運動に委ねて進行させることができる。
【0085】
以上の電圧印加操作により、直鎖状に伸長された状態で、検出部1e〜1gの走査電極C群、D群、F群に固定された状態の検出用ヌクレオチド鎖X'と該検出用ヌクレオチド鎖X'と同様に直鎖状に伸長された標的ヌクレオチド鎖Yとの相補性のある塩基間の水素結合の形成は、立体障害の問題もなく、効率良く進行する。即ち、検出用ヌクレオチド鎖X'と前記標的ヌクレオチド鎖Yとのハイブリダイゼーション反応が効率良く進行するという結果が得られる。この結果、ハイブリダイゼーションの反応時間が短縮されるとともに、擬陽性又は偽陰性を示す確率も減少するという好ましい結果が得られる。
【0086】
<第8実施形態>
図15は、本発明に係る検出部及びセンサーチップの第8実施形態(符号1h)の要部構成を表す図である。
【0087】
検出部1hは、検出用ヌクレオチド鎖Xと該検出用ヌクレオチド鎖Xと相補性のある塩基配列を備える標的ヌクレオチド鎖Yとの間のハイブリダイゼーションの場となる反応領域Rを備える。そして、この反応領域Rに配列された第1走査電極C群と、前記第1走査電極C群と各電極の端部同士が対向するように配列された第2走査電極D群と、を備える。
【0088】
前記第1走査通電極C群の隣り合う電極間並びに前記第2走査電極D群の隣り合う電極間に、それぞれ電圧を順次印加していくことによって電界を形成し、検出用ヌクレオチド鎖を前記電界によって伸長させながら印加走査電極へ向けて誘電泳動し、伸長状態の検出用ヌクレオチド鎖X’を走査電極間に橋架けするように固定することができる。
【0089】
なお、図15は、電源V4によって走査電極Cx−Cyに電圧が印加され、電源V5により走査電極Dx−Dyに電圧が印加されて、不均一電界L2が形成されている状態を表している。
【0090】
<第9実施形態>
図16、図17は、本発明に係る検出部及びセンサーチップの第9実施形態(符号1i)の要部構成を表す図である。
【0091】
検出部1iには、まず、反応領域Rが設けられ、この反応領域Rには、対向電極G、C(C1、C2、C3、・・・Cx、Cy、Cz)が配置されており、図示された電源V1及びV2に接続可能な状態に構成されている。
【0092】
この検出部1iにおいては、電極Gに1つの矩形状電極が採用されており、一方の電極C群は、所定間隔を隔てて電極Gに対向配置された走査電極とされている。スイッチSおよびS1、S2、S3、・・・Sx、Sy、SzおよびスイッチW1、W2、W3、・・・Wx、Wy、Wzを順次オン/オフすることによって、電極Gと電極C1、C2、C3・・・Cx、Cy、Cz間に次々に電圧が印加される構成となっている。
【0093】
更に、走査電極C群は、スイッチS1、S2、S3、・・・Sx、Sy、SzおよびスイッチW1、W2、W3、・・・Wx、Wy、Wzを順次オン/オフすることによって、隣り合う一対の走査電極C間に次々に電圧が印加されていく構成となっている。電極Gと走査電極C群間の導通状態においては、走査電極C群の端部に不均一電界L2が形成され(図16参照)、走査電極C群を構成する走査電極間(例えば、C1とC2の間)の導通状態においては、各走査電極端部に不均一電界L2が形成される(図17参照)。
【0094】
図16、図17で示された第9実施形態では、選択された一つの前記走査電極(例えば、図16に示すようにC1)に、伸長された状態の検出用ヌクレオチド鎖X’の一端を固定させる手順と、該手順に続いて、隣の走査電極(例えば、C2)に前記検出用ヌクレオチド鎖の他端を固定させることによって、隣り合う走査電極間(例えば、C1−C2)に前記検出用ヌクレオチド鎖X’を架橋するように固定する手順と、を行い、この架橋固定された検出用ヌクレオチド鎖X’に(伸長された)標的ヌクレオチド鎖をハイブリダイゼーションさせる方法を実施できる。この方法は、走査電極群とこれらに対向する共通電極Gを備える任意の構成によって実施できる。
【0095】
次に、図18(A)は、図16、図17中のIII−III線矢視断面図であり、図18(B)は、図18(A)で示された検出部1iの変形形態(符号1'i)を示すIII−III線矢視断面図である。
【0096】
図18(A)で示されているように、検出部1i、1'iは、石英ガラスやシリコン、ポリカーボネート、ポリスチレン等の合成樹脂で形成された基板M1、M2の間の狭小な間隙に設けられている。検出部1iでは、電極C等の厚みと反応領域Rの深さ(又は幅)が一致している。
【0097】
場合によっては、図18(B)に示される検出部1'iのように、誘電体Uによって各電極C群を挟持させた構成とし、これにより基板M1、M2の間隔を広げ、反応領域Rの容量を増やすようにしてもよい。また、図示はしないが、反応領域Rには、走査電極C群を複数列並べて配置しても良い。
【0098】
ここで、図16は、前記検出部1i(又は1'i)において、図示されたスイッチSおよびS1をオンにし、電源V1によって対向電極G−C1間に高周波電圧を印加した状態を表している。
【0099】
電極G−C1間に高周波電圧が印加されると前記反応領域Rには、不均一電界L2が形成される。その不均一電界L2の作用によって、前記反応領域R中にランダムに分散して存在している検出用ヌクレオチド鎖Xを、前記不均一電界L2に沿った方向に伸長させ、直鎖状とすることができる。さらに、不均一電界L2中で前記検出用ヌクレオチド鎖Xは、誘電泳動によって駆動され、電界強度の強い電極C1の端部に伸長した状態でその一端が固定される。
【0100】
次にスイッチSをオフにすることにより、電極G−C1間に印加した高周波電圧を切る。それと同時あるいはその後に、スイッチS2及びW2〜Wzをオンにすることにより、電源V2によって電極C1−C2間に高周波電圧を印加する。前記C1に一端が固定された検出用ヌクレオチド鎖X’の固定されていない他端が、電極C1−C2間に生じた不均一電界の電気力線に沿った方向に移動し、電界強度の大きい電極C2の端部に固定される。
【0101】
ついで、スイッチS2,W1をオン、S1,W2をオフにし、同様に検出用ヌクレオチド鎖Xの一端を走査電極C2端部に固定した後、スイッチS,W2をオフ、スイッチS3およびW1およびW3〜Wzをオンにし、走査電極C2−C3間に、伸長状態にある検出用ヌクレオチドX’を固定させる。
【0102】
以上のように、順次電極間に印加される電圧を走査していくことにより、走査電極B群の各電極端部間に検出用ヌクレオチド鎖X’を固定させることができる。図17には、走査電極Cx−Cy間に検出用ヌクレオチドX’が橋渡し固定されている状態が示されている。
【0103】
また、図示はしないが、電極G−C群に一度に高周波電圧を印加し、検出用ヌクレオチド鎖を走査電極C群の各端部に伸長配列させた後、走査電極C群の隣接する電極間への電界印加を走査することによって、前記検出用ヌクレオチドX’を走査電極C群の各電極間に橋渡し固定させても良い。
【0104】
ここで、反応領域Rに後に添加されてきた標的ヌクレオチド鎖は、共通電極G、C群により形成された不均一電界の作用を受けて、検出用ヌクレオチド鎖Xと同様に伸長され、走査電極B群の端部に誘電泳動により引き寄せられる。この走査電極B群に引き寄せられた標的ヌクレオチド鎖は、走査電極B群の各端部に固定された状態の検出用ヌクレオチド鎖X’と、立体障害の影響もなく、効率の良いハイブリダイゼーションが進行する。
【0105】
なお、前記標的ヌクレオチド鎖を電極B群へと誘電泳動させるために、共通電極G−C1間〜G−Cx間のように印加する電界を順次走査しても良いし、複数の電極C群を同電位にして一度に電極G−C間に電界を印加してもよい。
【0106】
図19は、以上説明した全ての走査電極の中で、走査電極Cx〜Cyを代表例として、走査電極の端部Eの代表的な実施例を表す(他の走査電極D、Fも同様)。図19(A)は、端部Eaが矩形状の走査電極、図19(B)は端部Ebが三角形状の走査電極、図19(C)は端部Ecが円弧状の走査電極をそれぞれ表している。電気力線を集中させて不均一電界L2を形成し易く、かつ検出用ヌクレオチド鎖Xを固定し易い形状でもあることから、端部Ecが円弧状の走査電極が特に好適と考えられる。
【0107】
なお、走査電極端部E(Ea,Eb,Ec)の表面は、検出用ヌクレオチド鎖Xの末端がカップリング反応等の反応によって固定されるように表面処理してもよい。一例を挙げれば、ストレプトアビジンによって表面処理された検出表面の場合には、ビオチン化されたヌクレオチド鎖末端の固定化に適している。
【0108】
なお、ハイブリダイゼーションの検出は、慣用の方法によって実施でき、例えば、標的ヌクレオチド鎖Yに標識された蛍光色素や二重鎖ヌクレオチドの塩基間に特異的に結合するPOPO−1やTOTO−3等の蛍光インターカレータに励起光を照射し、得られる蛍光を慣用のディテクタを用いて検出できる。
【0109】
より具体的には、レーザー光(例えば、青色レーザー光)を照射して反応領域Rを励起し、蛍光強度の大きさを検出器(図示せず。)によって検出し、検出用ヌクレオチド鎖X‘と標的ヌクレオチド鎖Yとの間のハイブリダイゼーションの状態を判断する。最後に、各反応領域Rに対する蛍光強度をA/D変換し、結合反応割合をコンピュータの画面に分布表示することによって、視覚化すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明に係るハイブリダイゼーション検出部(1a)及びセンサーチップの要部構成を表す図。
【図2】(A)図1に表された検出部(1a)のI−I線矢視断面図。 (B)(A)図で示された検出部(1a)の変形形態(1'a)を表すI−I線矢視断面図。
【図3】検出部1a(又は1'a)において、対向電極A−B間に電圧が印加され、かつ第2対向電極G−Cx間及びG−Cy間に電圧が印加されて、走査電極Cx、Cy付近に不均一電界L2が形成された状態を表す図。
【図4】本発明に係る検出部及びセンサーチップの第2実施形態(符号1b)の要部構成を表す図。
【図5】本発明に係る検出部及びセンサーチップの第3実施形態(符号1c)の要部構成を表す図。
【図6】本発明に係る検出部及びセンサーチップの第4実施形態(符号1d)の要部構成を表す図。
【図7】検出部(1a)の対する電圧印加操作(3例)を表す図。
【図8】検出部(1b)に対応する電圧印加操作例(3例)を表す図。
【図9】本発明に係る検出部及びセンサーチップの第5実施形態(符号1e)の要部構成を表す図。
【図10】本発明に係る検出部及びセンサーチップの第6実施形態(符号1f)の要部構成を表す図。
【図11】本発明に係る検出部及びセンサーチップの第7実施形態(符号1g)の要部構成を表す図。
【図12】(A)図9中のII−II線矢視断面図。 (B)検出部(1e)の変形形態(符号1'e)を表すII−II線矢視断面図。
【図13】(A)検出部(1e)に対応する電圧印加操作例を表す図。 (B)検出部(1f)に対応する電圧印加操作例を表す図。 (C)検出部(1g)に対応する電圧印加操作例を表す図。
【図14】他の電圧印加操作例を表す図。
【図15】本発明に係る検出部及びセンサーチップの第8実施形態(符号1h)の要部構成を表す図。
【図16】本発明に係る検出部及びセンサーチップの第9実施形態(符号1i)の要部構成を表す図。
【図17】同第9実施形態(符号1i)の要部構成を表す図。
【図18】(A)図16、図17中のIII−III線矢視断面図。 (B)前図(A)で示された検出部1iの変形形態(符号1'i)を示すIII−III線矢視断面図。
【図19】(A)走査電極の矩形状端部(Ea)を表す図。 (B)走査電極の三角形状端部(Eb)を表す図。 (C)走査電極の円弧状端部(Ec)を表す図。
【符号の説明】
【0111】
1(1a〜1i) ハイブリダイゼーション検出部
A,B 対向電極
C(C1,C2,C3,・・・Cx,Cy,Cz) 走査電極(群)
D(D1,D2,D3,・・・Dx,Dy,Dz) 走査電極(群)
F(F1,F2,F3,・・・Fx,Fy,Fz) 走査電極(群)
E,e 電極端部
G 共通電極
R 反応領域
S,s,W スイッチ
V 電源
X 検出用ヌクレオチド鎖
X'固定化された検出用ヌクレオチド鎖
Y 標的ヌクレオチド鎖
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出用ヌクレオチド鎖と該検出用ヌクレオチド鎖と相補性のある塩基配列を備える標的ヌクレオチド鎖との間のハイブリダイゼーションの場となる反応領域に配列された走査電極に、交流電界によって、前記検出用ヌクレオチド鎖を固定できる構成とされたハイブリダイゼーション検出部。
【請求項2】
請求項1記載のハイブリダイゼーション検出部を備えることを特徴とするセンサーチップ。
【請求項3】
前記交流電界が高周波電界であることを特徴とする請求項2記載のセンサーチップ。
【請求項4】
前記検出用ヌクレオチド鎖は、高周波電界の作用により、伸長された状態で前記走査電極に固定されることを特徴とする請求項3記載のセンサーチップ。
【請求項5】
前記走査電極の端部形状が円弧状又は多角形状であることを特徴とする請求項2記載のセンサーチップ。
【請求項6】
前記反応領域に配置された共通電極を備え、
前記共通電極と、前記走査電極を構成する各電極との間で不均一な電界を形成することを特徴とする請求項2記載のセンサーチップ。
【請求項7】
前記共通電極と、前記走査電極の中から選択した電極との間に電圧を印加することにより、前記反応領域に存在する前記検出用ヌクレオチド鎖を、所望の走査電極に固定することを特徴とする請求項6記載のセンサーチップ。
【請求項8】
前記標的ヌクレオチド鎖を、電圧を印加することにより前記走査電極へ向けて移動させ、前記走査電極に固定された状態の前記検出用ヌクレオチド鎖とハイブリダイズさせることを特徴とする請求項2記載のセンサーチップ。
【請求項9】
検出用ヌクレオチド鎖と該検出用ヌクレオチド鎖と相補性のある塩基配列を備える標的ヌクレオチド鎖との間のハイブリダイゼーションの場となる反応領域と、該反応領域に配列された走査電極と、を少なくとも備えるハイブリダイゼーション検出部を用いて、
前記反応領域中の前記検出用ヌクレオチド鎖を交流電界によって伸長させる手順と、
前記走査電極に電圧を印加することにより、伸長状態とされた前記検出用ヌクレオチド鎖を前記走査電極に固定する手順と、
前記検出用ヌクレオチド鎖の固定後に前記走査電極に電圧を印加することにより、固定された検出用ヌクレオチド鎖に標的ヌクレオチド鎖をハイブリダイゼーションさせる手順と、
を備えるハイブリダイゼーション方法。
【請求項10】
前記走査電極のうち、選択された一つの電極に前記検出用ヌクレオチド鎖の一端を固定する手順と、
該手順に続いて、前記走査電極のうち、前記電極の隣の電極に前記検出用ヌクレオチド鎖の他端を固定することによって、隣り合う走査電極間に検出用ヌクレオチド鎖を架橋するように固定する手順と、を備える請求項9記載のハイブリダイゼーション方法。
【請求項1】
検出用ヌクレオチド鎖と該検出用ヌクレオチド鎖と相補性のある塩基配列を備える標的ヌクレオチド鎖との間のハイブリダイゼーションの場となる反応領域に配列された走査電極に、交流電界によって、前記検出用ヌクレオチド鎖を固定できる構成とされたハイブリダイゼーション検出部。
【請求項2】
請求項1記載のハイブリダイゼーション検出部を備えることを特徴とするセンサーチップ。
【請求項3】
前記交流電界が高周波電界であることを特徴とする請求項2記載のセンサーチップ。
【請求項4】
前記検出用ヌクレオチド鎖は、高周波電界の作用により、伸長された状態で前記走査電極に固定されることを特徴とする請求項3記載のセンサーチップ。
【請求項5】
前記走査電極の端部形状が円弧状又は多角形状であることを特徴とする請求項2記載のセンサーチップ。
【請求項6】
前記反応領域に配置された共通電極を備え、
前記共通電極と、前記走査電極を構成する各電極との間で不均一な電界を形成することを特徴とする請求項2記載のセンサーチップ。
【請求項7】
前記共通電極と、前記走査電極の中から選択した電極との間に電圧を印加することにより、前記反応領域に存在する前記検出用ヌクレオチド鎖を、所望の走査電極に固定することを特徴とする請求項6記載のセンサーチップ。
【請求項8】
前記標的ヌクレオチド鎖を、電圧を印加することにより前記走査電極へ向けて移動させ、前記走査電極に固定された状態の前記検出用ヌクレオチド鎖とハイブリダイズさせることを特徴とする請求項2記載のセンサーチップ。
【請求項9】
検出用ヌクレオチド鎖と該検出用ヌクレオチド鎖と相補性のある塩基配列を備える標的ヌクレオチド鎖との間のハイブリダイゼーションの場となる反応領域と、該反応領域に配列された走査電極と、を少なくとも備えるハイブリダイゼーション検出部を用いて、
前記反応領域中の前記検出用ヌクレオチド鎖を交流電界によって伸長させる手順と、
前記走査電極に電圧を印加することにより、伸長状態とされた前記検出用ヌクレオチド鎖を前記走査電極に固定する手順と、
前記検出用ヌクレオチド鎖の固定後に前記走査電極に電圧を印加することにより、固定された検出用ヌクレオチド鎖に標的ヌクレオチド鎖をハイブリダイゼーションさせる手順と、
を備えるハイブリダイゼーション方法。
【請求項10】
前記走査電極のうち、選択された一つの電極に前記検出用ヌクレオチド鎖の一端を固定する手順と、
該手順に続いて、前記走査電極のうち、前記電極の隣の電極に前記検出用ヌクレオチド鎖の他端を固定することによって、隣り合う走査電極間に検出用ヌクレオチド鎖を架橋するように固定する手順と、を備える請求項9記載のハイブリダイゼーション方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−340719(P2006−340719A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−167404(P2006−167404)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【分割の表示】特願2002−300924(P2002−300924)の分割
【原出願日】平成14年10月15日(2002.10.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【分割の表示】特願2002−300924(P2002−300924)の分割
【原出願日】平成14年10月15日(2002.10.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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