説明

ハイブリッド直接製造のための方法及びシステム

【課題】
ハイブリッド直接製造のための方法を提供する。
【解決手段】
前記方法は、基材プラットフォーム上又は基板上に、材料の基盤を堆積させることを含む。基盤はそこに溶接される材料のブロック(モノリス)のための土台の役割を果たす。基盤が形成されると、材料のモノリス又はブロックが基盤に対して設置される。基盤は、基盤の境界と基盤上に溶接されるモノリスの境界とが一致するように形成される。次に、電子ビーム等の高エネルギービームを使用して、基盤にモノリスが溶接される。また、前記方法は、モノリス上又はモノリスの近傍に材料の層を堆積させることを含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦支援研究又は開発に関する記載)
本発明は、米国海軍省により認定された契約番号N00019−02−C−3002に基づき、政府の支援を受けて行われたものである。米国政府は本発明の権利の一部を有する。
【0002】
本発明は、概して直接製造プロセスに関し、特に、高エネルギービーム溶接技術を使用する積層造形として知られる直接製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
直接製造(DM)プロセスは、レーザーや電子ビーム等の高エネルギービームを使用して材料の層を付加的に堆積させることにより、複雑な部品を迅速に製造することができる積層造形プロセスである。DMプロセスは、金属部品の鍛造等の従来の製作技術に比べて多くの利点を有する。特に、DMプロセスは、実質的により少ない原材料を使用するとともに、準備時間及び加工時間を短縮することにより、製造期間を大幅に短縮することができる。これらの利点は、大幅なコスト削減をもたらす。これらの利点により、DMプロセスは、航空宇宙産業で、試作品や試験部品を迅速に作るために通常使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
DMは、現在の工業生産能力が不十分な製品に使用する過渡期にある。DMプロセスは積層造形プロセスであるため、大量の材料を使用する部品の製造には、堆積装置の大きな能力が必要とされる。そのため、新たなDM製造プロセスを使用した、大型部品の堆積時間をさらに短縮するための方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、大質量を迅速かつコスト効率よく製造するために、直接製造プロセスと溶接プロセスとを組み合わせた直接製造のための方法を提供する。一般に、このプロセスは、材料を堆積させる基板(base plate)、部品の一部、又はステージから始める。すなわち、直接製造プロセスを使用して材料の基盤層(foundation layer)(又は単に基盤(foundation))を堆積させる。基盤層が堆積すると、材料のモノリス(monolith)又はブロック(block)が基盤層に溶接される。こうして、完全な層ごとの堆積を行うことなく、大量の部品を製造することができる。最後に、基板や部品にモノリスが接合された後、さらなる構造を作るために、材料の追加の層を堆積させてもよい。材料の追加の層は、モノリスの近傍、モノリス上、又は必要なモノリス間に堆積させることができる。
【0006】
本開示は、(構造の一部を効率的に組み立てるために他のプロセスが適している)大型部品の組立時間を大幅に短縮することができる直接製造プロセスを提供する。本開示の一態様によれば、直接製造の方法が提供される。この方法は、第1の基盤の境界又は溶接面境界と第1のモノリスの境界とが実質的に一致するように、基材(substrate)上に材料の第1の基盤を堆積させることを含む。第1の基盤が堆積すると、前記方法は、第1の基盤に対して第1のモノリスを位置合わせし、エネルギービームを使用して第1の基盤と第1のモノリスとを溶接する。
【0007】
本開示の他の態様によれば、直接製造のためのプロセスが提供される。このプロセスは、基材プラットフォーム上に材料の第1の基盤及び第2の基盤を堆積させることを含む。第2の基盤は第1の基盤より厚く堆積される。次に、モノリスが上部に設置され、電子ビーム等の高エネルギービームを使用して第1の基盤及び第2の基盤に溶接される。
【0008】
本開示のさらに他の態様によれば、直接製造システムが提供される。このシステムは、第1の基盤の境界と第1のモノリスの境界とが実質的に一致するように、基材プラットフォーム上に材料の第1の基盤を堆積させる手段を含む。基材プラットフォーム上に第2の基盤を堆積させる手段もまた含まれる。さらにこのシステムは、第1の基盤及び第2の基盤に対して第1のモノリス及び第2のモノリスを設置する手段を含む。最後に、このシステムは、エネルギービームを使用して、第1のモノリスを第1の基盤に、第2のモノリスを第2の基盤に溶接する手段を含む。
【0009】
主題となる技術のさらなる特徴及び利点は、以下の説明に記載されており、またその一部はこの説明から明らかであり、あるいは、主題技術の実施により明らかとなるだろう。主題技術の利点は、明細書、特許請求の範囲、及び図面において詳細に示された構成により、実現及び獲得されるだろう。
【0010】
上記の概要及び以下の詳細な説明はいずれも例示及び説明であり、本発明のさらなる説明を提供することを目的とすることは当然である。
【0011】
主題技術のさらなる理解を助ける、本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付図面は、主題技術の態様を図示し、詳細な説明とともに主題技術の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の一態様による直接製造システムを示す。
【図2】本開示の一態様による直接製造システムを示す。
【図3】本開示の一態様による直接製造プロセスのフローチャートを示す。
【図4】本開示の一態様による基盤とモノリスとの斜視図を示す。
【図5】本開示の一態様による基盤に溶接されたモノリスの側面図を示す。
【図6】本開示の一態様による直接製造プロセスのフローチャートを示す。
【図7】本開示の一態様による直接製造システムの配置の平面図を示す。
【図8】本開示の一態様による基盤の斜視図であり、(a)は様々な高さの基盤を示し、(b)は(a)の基盤のそれぞれにモノリスが溶接されたところを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明において、主題技術の十分な理解を助けるために、多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、これらの具体的な詳細のいくつかを備えなくても、主題技術を実施することができることは当業者には明らかである。他の例では、主題技術を曖昧にしないために、周知の構成及び技術は詳細には説明されていない。
【0014】
図1は、本開示の一態様による直接製造システム100を示す。システム100は、ベッド(基材プラットフォーム)105、高エネルギー源110、及び材料(又はワイヤー)の供給装置120を含む。供給装置120は、ワイヤー、粉末、又は融解液滴の形態の材料を供給することができる。ベッド105は、システム100のステージであり、x−y−z軸のいずれに沿っても移動可能かつ1つ以上の軸の周りを回転可能なように取付けられる。高エネルギー源110に対するベッド105の相対的な移動及び回転は、プラットフォーム制御装置により制御されてもよい。これにより、ベッド105の位置を高エネルギーのビーム125に対して変化させることができる。ベッド105を動かすというよりは、むしろベッド105は固定された状態で、高エネルギー源110及び供給装置120が、x−y−z軸に沿って移動し、そして軸の周りを回転可能に構成されてもよいという点に注目すべきである。ベッド105に対する高エネルギー源110及び供給装置120の相対的な移動及び回転は、制御装置130により制御されてもよい。制御装置130は、多数の制御プログラム及び運動制御コンピュータを含んでもよい。ビームのエネルギー強度及び焦点径(focus diameter)は、ビーム制御装置135により制御されてもよい。ワイヤーの供給装置120は、貯蔵されたワイヤー127をベッド105の暴露点に供給するように構成される。貯蔵されたワイヤー127の供給量は、材料供給制御装置140により制御されてもよい。貯蔵されたワイヤー127は、アルミニウム、チタン、金属合金、又は他の適切な金属とすることができる。
【0015】
作動中、システム100は、基板117上に材料の層115を一層ずつ堆積させる。基板117は、ベッド105にしっかりと付着した予め形成された材料のシートであってもよい。材料の層115は、高エネルギーのビーム125を使用して、基板117上の焦点で溶融した貯蔵されたワイヤー127により形成される。貯蔵されたワイヤー127は、集束された高エネルギーのビーム125により溶融する。溶融した材料がビーム125の焦点から外れると、溶融した材料は凝固し、冷めるにつれて下の層に固着する。この全プロセスは真空チャンバー内で行われてもよい点に注目すべきである。高エネルギー源110は、レーザー、電子ビームガン、又は他のエネルギービーム発生装置であってもよい。一実施形態において、高エネルギー源110は、電子ビームガンである。電子ビーム125は、電気的に集光可能であってもよい。さらに、ビーム125の出力は、数百ワットから数百キロワットまでの範囲とすることができる。これにより、システム100は、薄壁を形成するための極めて少量の材料や、あるいは(時間当たり40Lbより多い)極めて大量の材料の堆積が可能となる。
【0016】
図2は、ベッド105の主要な堆積表面に対して平行なビーム125を備えたシステム100を示す。この構成は、ベッド105を回転することにより可能となる。あるいは、高エネルギー源110がベッド105に対して回転可能に構成され、これによりビーム125がベッド105の表面に対して平行とされてもよい。この平行なビーム−プラットフォーム構造は、以下でさらに詳細に説明される溶接用途に有効である。
【0017】
図3及び図4について同時に説明する。図3は、本発明の一実施形態によるハイブリッド直接製造プロセス300のフローチャートを示す。図4は、プロセス300において使用される基盤及びモノリスの実施例を示す。それぞれのモノリスは、供給されるワイヤー127を形成する材料と同じ材料により形成されてもよい。あるいは、モノリスは、供給されるワイヤー127を形成する材料と異なる材料から構成されてもよい。プロセス300は、基板117上に基盤層410(又は単に基盤)を堆積させるステップ310から開始される。基盤410は、モノリス430の底面境界と略一致する境界を有するように形成される。図4に示すように、モノリス430の底面は、基盤410の境界と実質的に一致する長方形の境界を有する。同様に、基盤415は、モノリス435の底面の境界と一致する円形の境界を有するように形成される。基盤は、少なくともビーム125の直径の約半分の高さ420を有することができる。これにより、基盤410とモノリス430とが接触する合わせ領域又は界面領域にビーム125が照射された場合、例えば、ビーム直径の半分は基盤410上に照射され、残りの半分はモノリス430に照射される。高さ420はまた、任意に選択されてもよい。例えば、少なくとも1/4インチの高さを選択することができる。一態様によれば、基盤415の層堆積プロセスの前に、基板117の表面の酸化物又は他の不純物を除去するためのアブレーション処理が行われる。アブレーション処理は、真空環境下で高エネルギー源110を使用して行われてもよい。
【0018】
ステップ320において、モノリス430及びモノリス435は、それぞれ基盤410及び基盤415の表面に位置合わせされる。これは、ロボットアームを使用して、手動又は自動的で行うことができる。一実施形態において、基盤410及び基盤415の境界は、それぞれモノリス430及びモノリス435の底面境界の全体と一致するように機械加工されてもよい。このようにして、モノリスと基盤との境界は、それらが合わせられた際に、互いに平坦にされる。さらに、それぞれの基盤の上面が平らな合わせ面を形成するように表面切削(face mill)される。このように、それぞれの基盤の上面は、実質的に平面となるか、それぞれのモノリスの平坦な合わせ面と一致する。これは、必要な溶接エネルギーを最小化し、空気の混入を抑え、接合部に沿って一貫した溶接強度を提供するために行うことができる。
【0019】
モノリス430及びモノリス435は、それぞれの基盤に対して位置合わせされた後、ビーム125により所定の位置に溶接される。ある態様において、ビーム125は、真空チャンバー又はマイクロ真空チャンバー内で使用される。このチャンバーは、まず真空を形成するために減圧されなければならず、開放するために加圧されなければならない。したがって、ビームの使用中におけるチャンバーの開放は、場合によっては2時間以上かかるチャンバーの加圧とその後の減圧とを必要とするため、製造プロセスを中断させ遅延させる。ある態様において、システム100は、製造プロセスを中断することなく、モノリスがチャンバー内で移動され、それぞれの基盤に対して位置合わせされるように構成される。他の態様において、モノリスは、ロボットアーム、モータ、又はアクチュエータにより、それぞれの基盤に対して位置合わせされる。一態様において、ロボットアーム、モータ、又はアクチュエータの制御は、高エネルギー源110及び供給装置120を制御するのと同じプログラムにより行うことができる。ある態様において、適切な溶接接点を形成するために、ビーム125は、溶接領域の表面に対して垂直な溶接領域(すなわち、基盤410とモノリス430との界面領域)を照射するように構成される。これにより、ビーム125からの熱が基盤とモノリスとの間に均一に分散し、損失分散が減少するため、固相溶接継ぎ手の形成が促進される。ビーム125は、溶接点を他の角度から照射するよう配向されていてもよい。
【0020】
図5は、本開示の一態様による溶接された部品の側面図を示す。図5に示すように、モノリス430及びモノリス435は、溶接界面510に沿って基盤410及び基盤415に溶接されている。この溶接プロセスにおいて供給されるワイヤーは不要である。溶接界面510周囲の材料がビーム125を照射されて融解し融合すると、モノリス430及び基盤410は融合する。ビーム125のエネルギー強度は、溶接される基盤及びモノリスの材料組成に応じて決まる。
【0021】
モノリス430及びモノリス435がそれぞれの基盤に溶接されると、DMプロセスを継続し、完成部品のさらなる構造(図示省略)や細部を形成するために、モノリス430及びモノリス435の上部に追加の層を堆積させてもよい。このプロセスは、モノリス430及びモノリス435が、大型で大量の材料を必要としてもよいため有利である。例えば、モノリス430は幅広でも高さが高くてもよいので、直接製造プロセスだけを用いてモノリスを製造するよりも、むしろ予め形成されたモノリスを提供して基材に溶接することにより、時間を大幅に短縮することができる。モノリス430及びモノリス435は、完成部品のある領域を埋めるために使用される単一の低価格な原料であってもよい。このハイブリッド製造プロセスは、DMプロセスをフルに使用してモノリスを形成するステップを取り除くことにより、プロセスの効率を向上させることができる。さらに、上記の溶接プロセスには、DMプロセスで使用されたのと同一の高エネルギービームが使用されてもよい。したがって、新しい装置か、又は追加の装置が不要である。さらに、DMプロセスに予め形成された原料を組み込むことにより、従来の全堆積DMプロセスやあるいは他のプロセスよりも、短い製造期間及び低コストで大型部品を製造することができる。また、(例えば整経、ボイドスペース等の)材料特性における欠点やばらつきは、全堆積DMプロセスを使用したブロックの形成を避けるために、予め形成されたブロックの使用により抑制される。
【0022】
図6は、本開示の一態様によるハイブリッド直接製造のためのプロセス600のフローチャートを示す。簡単にするために、図7、図8(a)及び図8(b)は、図6と同時に説明される。図7は、本開示の一態様によるDMシステム700の平面図を示す。図8(a)は、以下に詳細に説明されるプロセス600を使用して形成された基盤の斜視図を示す。図8(b)は、対応するモノリスに合わせられた基盤の斜視図を示す。
【0023】
プロセス600は、DMシステム700を使用して基材上に複数の基盤710,715及び720を堆積させるステップ610から開始される。それぞれの基盤710,715及び720は、互いに高さが異なる。本開示の一態様において、基盤720が最も高く、基盤710が最も低い。この配列により、溶接作業が行われる際に、ビーム735及びビーム740が遮るものなく基盤715及び基盤720のそれぞれの上部領域に到達するのが可能となる。ビーム735及びビーム740はいずれも高エネルギー源110から、ベッド高エネルギー源110に対してベッド105の異なる位置に照射される。図7に示すように、ベッド105の主要な作業面は、高エネルギー源110からのビーム735及びビーム740の経路に対して平行である。この構成は、ベッド105又は高エネルギー源110を移動させるか回転させることにより可能となる。
【0024】
図8(a)に関して、複数の基盤のそれぞれは、隣接する基盤に対して異なる高さを有してもよい。一態様において、(ベッド105の隅部やビームの原点等の)原点に最も近い基盤は最も低く、原点から最も遠い基盤は最も高い。図8(a)に関して、例えば、基盤805は基盤810よりも低く、基盤810は基盤815よりも低い。この基盤構造は、ベッド105の主要な作業面に対して平行なエネルギービームを使用して、単一の基材に複数のモノリスを溶接可能にする。一態様において、それぞれの基盤間での高さの違いは、少なくともビーム125の直径の1/2とすることができる。あるいは、ビームの断面パターンの1/2の高さとなるようにビームを構成してもよい。なぜなら、基盤805及び基盤810はいずれも基盤815よりも低いため、基盤815とモノリス820との溶接界面(基盤815とモノリス820とが互いに合わせられると界面が形成される)にビームを遮られることなく照射することができるためである。例えば、再度図7に関して、高エネルギー源110からのビーム740は、より低い基盤710及び基盤715により遮られないため、基盤720に到達することができる。この説明において、基盤720が最も高く、基盤715が次に高く、基盤710が最も低い。同様に、ビーム735は、基盤710が低いため、基盤715の溶接面に到達することができる。最後に、ビーム730は、基材上で高エネルギー源に最も近い基盤であるため、遮るものなく基盤710に到達することができる。ビーム730,735及び740のそれぞれは、高エネルギー源110から照射されるが、ベッド105又は高エネルギー源110と共に異なる位置に移動する。
【0025】
再度図6に関して、プロセス600は、溶接のためのそれぞれの基盤を下処理するステップ620に進む。この下処理プロセスは、溶接されるモノリスの境界と合わせるために、それぞれの基盤の境界及び表面を機械加工することを含んでもよい。さらに、下処理プロセスは、モノリスが基盤の表面又は上部に設置されたときの表面同士の接触が向上するように、それぞれの基盤の上面を表面切削することを含んでもよい。またさらに、モノリスを適切に位置合わせするために、又は例えばNCプログラムによるクランプの取り外しによりモノリスの位置が低くなるように、インデックス機構(indexing features)又は機械設備を使用してもよい。あるいは、モノリスは、ロボット、アクチュエータ、又はサーボにより位置を低くしてもよい。次に、ステップ630において、モノリスは基盤の1つに対して位置合わせされる。一実施形態において、第1のモノリスが溶接される第1の基盤は最も高い。このようにして、水平エネルギービームは、遮られることなく溶接点に到達することができる。例えば、図8(b)に関して、基盤815をモノリスに最初に溶接することができる(ステップ640)。第1のモノリスが溶接されると、ステップ650及びステップ660にて溶接するために、第2のモノリスが次に高い基盤に対して位置合わせされる。このプロセスは、全てのモノリスがそれぞれの基盤に対して溶接されるまで続く。
【0026】
プロセス600にはいくつかのバリエーションを作ることができる点に注目されたい。例えば、基盤810を最も高く形成し、第1のモノリスが溶接される第1の層とすることができる。しかしながら、基盤810は基盤815よりも高いため、(基盤805の方向から照射される)平行エネルギービームは、基盤815の溶接点に到達することができない。これは、基盤815がビームの原点に最も近い基盤となるように、ベッド105を180度回転させることで解決することができる。
【0027】
図8(b)に関して、各基盤805,810及び815は、それぞれのモノリスに対して溶接されている。図示された通り、溶接界面825は、溶接界面835よりも高い。この構成により、平行エネルギービームは、遮るものなく基盤805及び基盤810を越えていくことができる。上記の通り、DMプロセスを継続して、モノリスのいずれかに追加の材料を積層するか、あるいは、モノリスを接合して完成部品の残り部分を形成してもよい。これにより、部品全体を製造するために、多くの時間を要する全DMプロセスを使用せずにすむ(DMプロセスを使用してモノリス820及びモノリス830を製造するのを避けることができる)ため、ハイブリッドDMプロセス600の効率が向上する。
【0028】
開示されたプロセスにおけるステップの特定の順番又は序列が、例示的な方法の説明であることは当然である。当然のことながら、設計嗜好に基づき、プロセスにおけるステップの特定の順番又は序列は再配列されてもよい。いくつかのステップは同時に行われてもよい。添付された方法の請求項は、様々なステップの要素をサンプルとなる順番で示しており、示された特定の順番又は序列に限定されることを意図していない。
【0029】
本開示で使用された「上」、「底」、「前」、「後」等の用語は、通常の重力の枠組みよりも、むしろ任意の枠組みにより理解されるべきである。したがって、上面、底面、前面及び後面は、重力の枠組みの中で上方、下方、対角線上、又は水平線上に拡大適用されてもよい。
【0030】
「態様」等の表現は、主題技術にとってそのような態様が不可欠である、あるいは主題技術の全ての構成にそのような態様が適用される、ということを示唆するものではない。ある態様に関する開示は、全ての構成又は1つ以上の構成に適用されてもよい。ある態様は、開示された1つ以上の例を提供してもよい。「態様」という表現は、1つ以上の態様を示してもよく、またその逆も同様である。「実施形態」等の表現は、主題技術にとってそのような実施形態が不可欠である、あるいは主題技術の全ての構成にそのような実施形態が適用される、ということを示唆するものではない。ある実施形態に関する開示は、全ての実施形態又は1つ以上の実施形態に適用されてもよい。「実施形態」という表現は、1つ以上の実施形態を示してもよく、またその逆も同様である。
【0031】
さらに、「含む」、「有する」等の用語が詳細な説明や請求項で使用される限りにおいては、このような用語は、「含んで構成される」という用語が請求項で暫定的な言葉として使用された場合に解釈されるのと同じように、包括的であることを意図している。
【0032】
本明細書で使用される「例示的な」という用語は、「例、事例、又は実例としての役割を果たす」ということを意味する。本明細書で「例示的な」として説明された実施形態はいずれも、必ずしも他の実施形態よりも好ましい、又は有利であると理解されるとは限らない。
【0033】
ある要素に関する単数形での言及は、特に記載がない限り、「1つ及びただ1つ」という意味ではなく、むしろ「1つ以上」を意味する。「いくつかの」という用語は、1つ以上を示す。当業者によって知られた、又は後に知られるようになる本開示に記載された様々な構成要素の全ての構造的及び機能的な均等物は、参照により本明細書に明確に組み込まれ、主題技術により包含される。さらに、その開示が上記の説明に明確に記載されているか否かに関わらず、本明細書に開示された全ての事項は発明の開放を目的としていない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド直接製造のための方法であって、
直接製造プロセスを使用して、基材プラットフォーム上に材料の第1の基盤を堆積させ、これにより前記第1の基盤の境界と第1のモノリスの境界とを一致させることと、
前記第1の基盤に対して前記第1のモノリスを位置合わせすることと、
エネルギービームを使用して、前記第1の基盤と前記第1のモノリスとを溶接することと、
を含んで構成される方法。
【請求項2】
前記第1の基盤の高さは、前記エネルギービームの直径の少なくとも半分である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のモノリスの位置合わせの前に、前記基材プラットフォーム上に第2の基盤を堆積させることをさらに含んで構成され、
前記第2の基盤は前記第1の基盤の高さと異なる高さを有し、
前記第2の基盤の境界は第2のモノリスの境界と一致する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の基盤は、前記第1の基盤よりも少なくとも前記エネルギービームの直径の半分高い請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の基盤に対して前記第2のモノリスを位置合わせすることと、
前記第2のモノリスを前記第2の基盤に溶接することと、
をさらに含んで構成される請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の基盤の表面を表面切削し、前記第1のモノリスの合わせ面と一致させることをさらに含んで構成される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の基盤の境界を機械加工し、前記第1のモノリスの境界の全体と細部にわたり一致させることをさらに含んで構成される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1又は第2のモノリス上に材料の層を堆積させ、前記第1又は第2のモノリスの上部に部品を形成することをさらに含んで構成される請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記第1又は第2のモノリスの近傍に材料の層を堆積させることをさらに含んで構成される請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記モノリスと前記基盤とをそれぞれ溶接するために使用される前記エネルギービームは、前記基材プラットフォームの作業面に対して平行である請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記エネルギービームは、電子ビームである請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ハイブリッド直接製造のための方法であって、
直接製造プロセスを使用して、基材プラットフォーム上に材料の第1の基盤を堆積させ、これにより前記第1の基盤の境界と第1のモノリスの境界とを一致させることと、
基材プラットフォーム上に前記第1の基盤よりも高さが高い材料の第2の基盤を堆積させ、これにより前記第2の基盤の境界を第2のモノリスの境界と一致させることと、
前記第1及び第2の基盤に対して前記第1及び第2のモノリスをそれぞれ設置することと、
エネルギービームを使用して、前記第1のモノリスを前記第1の基盤に溶接し、前記第2のモノリスを前記第2の基盤に溶接することと、
を含んで構成される方法。
【請求項13】
前記溶接は真空チャンバー内で真空を形成することを含み、
前記エネルギービーム並びに第1及び第2のモノリスは前記真空チャンバー内に配設され、
前記第1及び第2のモノリスは前記真空チャンバー内の真空状態を中断することなく前記第1及び第2の基盤に対して第1の位置から第2の位置に移動される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の基盤の高さは、少なくとも前記エネルギービームの直径の半分である請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の基盤は、前記第1の基盤よりも少なくとも前記エネルギービームの直径の半分高い請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第1及び第2の基盤のそれぞれの表面を表面切削することをさらに含んで構成される請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第1及び第2の基盤の境界を機械加工し、前記第1及び第2のモノリスの境界の全体と細部にわたり一致させることをさらに含んで構成される請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記第1又は第2のモノリス上に材料の層を堆積させ、前記第1又は第2のモノリスの上部に構造を形成すること又は近接するモノリスを接合することをさらに含んで構成される請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記第1又は第2のモノリスの近傍に材料の層を堆積させ、前記第1又は第2のモノリスを接合することをさらに含んで構成される請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記モノリスと前記基盤とをそれぞれ溶接するために使用される前記エネルギービームは、前記基材プラットフォームに対して平行である請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記エネルギービームは、電子ビームである請求項12に記載の方法。
【請求項22】
直接製造システムであって、
基材プラットフォーム上に材料の第1の基盤を堆積させ、これにより前記第1の基盤の境界を第1のモノリスの境界と一致させる手段と、
基材プラットフォーム上に前記第1の基盤よりも高さが高い材料の第2の基盤を堆積させ、前記第2の基盤の境界を第2のモノリスの境界と一致させる手段と、
前記第1及び第2の基盤に対して前記第1及び第2のモノリスをそれぞれ設置する手段と、
エネルギービームを使用して、前記第1のモノリスを前記第1の基盤に溶接し、前記第2のモノリスを前記第2の基盤に溶接する手段と、
を含んで構成されるシステム。
【請求項23】
前記第1の基盤の高さは、少なくとも前記エネルギービームの直径の半分である請求項22に記載の直接製造システム。
【請求項24】
前記第2の基盤は、前記第1の基盤よりも少なくとも前記エネルギービームの直径の半分高い請求項22に記載の直接製造システム。
【請求項25】
前記溶接する手段は真空チャンバー内で真空を形成することを含み、
前記エネルギービーム並びに第1及び第2のモノリスは前記真空チャンバー内に配設され、
前記第1及び第2のモノリスは前記真空チャンバー内の真空状態を中断することなく前記第1及び第2の基盤に対して第1の位置から第2の位置に移動される請求項22に記載の直接製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−18051(P2013−18051A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−98858(P2012−98858)
【出願日】平成24年4月24日(2012.4.24)
【出願人】(598028028)ロッキード マーティン コーポレイション (16)
【氏名又は名称原語表記】Lockheed Martin Corporation
【Fターム(参考)】