説明

ハイブリッド積層、航空機の外板パネル、および胴体部分

【課題】超音速民間機に適したハイブリッド積層構造のハイブリッド積層および外板パネルを提供する。
【解決手段】ハイブリッド積層は、使用中に遭遇される力を打消すように最適に配向され、かつチタン合金ハニカムのような中心コア構造に接合されたチタン合金箔(10)および複合材プライ(12)の層のレイアップを含む。複合材プライ(12)の強化ファイバはカーボンおよびボロンから選択され、ファイバは連続的であり、各プライ内で平行に配向される。しかしながら、いくつかのプライは他のプライに対して角度を持って配向され得る。それにもかかわらず、この発明の好ましい実施例では、ハイブリッド積層のファイバの実質的に多数かまたはそのすべてが共通の方向に配向される。積層の外部表面はチタン箔の層を含んで、内にある複合材を含む構造を環境と、溶媒による攻撃とから守る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はハイブリッド積層構造の超音速航空機外板パネルに関する。特に、ハイブリッド積層は、箔層間にファイバ充填有機樹脂の複合材の層を有するチタン合金箔の層を含んだレイアップを側部の各々に接合された中心強化コア層を含む。
【背景技術】
【0002】
国際的かつ長距離の空の旅に対する要求がますます高まり、超音速民間機の必要性が認識される。しかしながら、このような航空機を製造するにはコストが嵩み、したがって、この高いコストが高速という利便性以外の要因によって埋め合わされることができなければ、航空会社およびその顧客はこの航空機を進んで使用しようとはしないであろうことが予期される。これらの要因のいくつかには、航空機の消費燃料を減らし、座席マイル当りの航空機のコストを減少させ、かつ航空機の航続距離および有料荷重を増加させるように、航空機の質量を最小にすることが含まれる。さらに、航空機は長い寿命を有し、それによって航空会社がその投資を長い期間にわたって取り戻すことができるようにするべきである。
【0003】
超音速民間機の高い燃料効率、長い航続距離、高い程度の有料荷重およびより長い寿命に対する必要性は構成材料に厳しくかつ新しい要求を与える。たとえば、航空機の外殻の胴体、ウィング、および他の構成要素は軽いだけではなく高い強度対重量比の特性を有し、低密度かつ高強度の材料を要求するべきである。さらに、材料は高い引張り応力、長い寿命に対する疲労抵抗、および、高い熱機械耐久性を有して、超音速飛行中に遭遇される高温の下での圧力に耐えるべきである。安全性の観点からは、材料は損傷抵抗性かつ損傷許容性であるべきであり、予備メンテナンスの観点からは、材料は実際に故障するかなり前に目に見える損傷の兆候を与えるべきである。
【0004】
航空機の胴体と、ウィングおよび操縦面のような外部パネルとをチタン合金のような金属から作製することは、進歩した超音速民間機に対する性能基準のすべてを満たさないかもしれない。チタン合金は進歩した超音速民間機の目標密度と比較して高い密度を有し、相対的に高価である。さらに、チタンパネルの大きさは物理特性上の制約のために制限され、したがって、大きな航空機は多くの接合されたパネルを必要とするであろう。接合部の数が増えると、望ましくない要因である重量の増加につながる。チタン合金はまた相対的に低い疲労強度と相対的に高い亀裂成長率とを有するので、航空機の寿命は超音速民間機における連続的なサービスのために設定された基準を満たすまでには延ばされ得ない。結果として、チタン合金は最適な材料ではないかもしれない。
【0005】
代替例として、航空機の胴体および外部パネルはポリマ複合材から作製できる。このような複合材は、カーボンファイバのような強化ファイバが埋込まれた熱硬化性または熱可塑性ポリマ(「樹脂」)のマトリックスを含む。しかしながら、これらのポリマ複合材の性能は、超音速飛行中に遭遇される高温に繰返し晒されると時間とともに変化し得る。このような温度は飛行速度に依存して変化し、たとえば、約350°F(約175℃)までの温度がマッハ2.4で予期される。ポリマ複合材はまた、構造上の完全性を低下させ得、未知のリスクを補うためのさらなる材料を必要として航空機の質量を増す、検出不可能な機械的損傷を受けやすい。さらに、ポリマ複合材はまた落雷から損傷を受けやすく、したがって保護のためのさらなる導電構造を必要とする。このためにも航空機の大きさが増す。
【0006】
ポリマ複合材の層と金属の層とを含むハイブリッド積層を開発しようとする先行技術の
試みは、超音速民間機の胴体または外部外板パネルにおいて用いるのに必要な低密度および物理特性の必須の組合せを備えた複合材を生んでいない。積層は、上述の強度、引張り応力、疲労抵抗、および熱機械耐久性の特性を満たさなくてはならない。これはまた向上した損傷許容性を有するべきであり、金属と同様の態様で所望に凹んで、それによって大きな物理特性の劣化が生じる前に損傷の検出をもたらすべきである。積層におけるポリマ複合材層は、熱によって引き起こされる酸化と、水の進入と、燃料および他の溶媒に晒されることによって起こり得る潜在的な損傷とから保護されるべきである。さらに、積層は、固定具を受けるように孔をあけられた点からでさえ、高強度と亀裂の抵抗伝搬とを示すべきである。ハイブリッド積層はまた、航空機パネルのような、積層構造の一部を形成し得るコア構造への融解と両立すべきである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、強化ファイバが埋込まれたポリママトリックスの層と交互するチタン合金箔の層を含み、超音速民間機の外板(たとえば、胴体、ウィング、垂直尾翼および水平尾翼、ならびにストレーク)を形成するハイブリッド積層を提供する。積層は高い強度対重量比、引張り応力、疲労抵抗を有し、際立った熱機械耐久性特性を有する。さらに、亀裂伝搬がモノリシックチタン合金と比較して非常に遅いので航空機の寿命が高められる。積層は、物理的特性の著しい劣化が起こる前に損傷の検出をもたらす、金属と同様の態様で凹む。さらに、ハイブリッド積層の外部表面がチタン合金箔であるので、積層は、他の方法ではポリマ複合材に悪影響をもたらし得る燃料および他の溶媒に抵抗する。加えて、ハイブリッド積層のポリマ複合材層は、チタン合金箔の外部被覆によって、酸化、水の進入、および紫外光の有害な影響から保護される。
【0008】
この発明のハイブリッド積層は好ましくは、レイアップで両側を覆われたコア構造の中心層を含み、レイアップは、ポリママトリックス複合材の少なくとも1プライの層が各箔層の間に挟まれたチタン合金箔の層を含み、対称的な積層が作られる。金属箔の層は好ましくは約0.01インチから約0.003インチの厚さであり、約1%よりも大きい降伏歪みに熱処理されたベータチタンから作られる。ポリマ複合材の層は1つ以上のプライから作られ、各層は約0.005インチから約0.03インチの厚さである。
【0009】
好ましい有機ポリマ複合材は、樹脂でコーティングされた連続的かつ平行な強化ファイバのテープの形状のプレプレッグから形成されて連続的なストリップを形成する。このように、プレプレッグが複合材プライを形成するように置かれると、各複合材プライは平行なファイバで強化された(超音速飛行中に遭遇される高温に耐える)樹脂のマトリックスを含む。これらのファイバは、ファイバがカーボンである場合に樹脂およびファイバの約50重量%から約70重量%を構成し、ファイバがボロンである場合に約40重量%から約60重量%を構成する。カーボンファイバおよびボロンファイバの混合物が用いられる場合、全ファイバ重量は75重量%から80重量%の範囲である。この発明に従って、複合材プライは、積層の特定の用途に最も適した、複合材の各層における特定的なファイバ配向を与えるように配向され得る。
【0010】
有機ポリマ層を作るために用いられる樹脂は、物理特性を低下させることにつながる過度の軟化または弱化なしで、超音速飛行中に遭遇される温度に繰返し耐えることができる樹脂から選択される。同様に、強化ファイバは、樹脂と両立可能であり、高まった強度の複合材を与え、かつ、物理特性を著しく低下させずに、超音速飛行中に遭遇される温度に繰返し耐えることができるファイバから選択される。
【0011】
樹脂はまた、チタン合金箔と両立可能であり、好ましくはそれに粘り強く接合するように選択される。このような粘り強い接合を達成するために、チタン合金の表面は好ましく
は、樹脂と化学的かつ機械的により接合可能である表面を生じるように予め処理される。樹脂が接着剤の助けを借りずにチタン合金箔に接合することが好ましいが、シランのような接合剤を含むかまたは含まない接着剤が接合を容易にし、かつ高めるために用いられ得る。
【0012】
この発明の独特なハイブリッド積層構造の結果として、亀裂成長率はチタン合金構造に対してより劇的に低くなる。確かに、亀裂成長は、同じ熱処理を受けた、箔層と同じ合金のモノリシックチタンに対する率の0.2%にすぎない。
【0013】
この発明のハイブリッド積層はまた、固定具がそこを通って延び、かつ力が集中する通しボアの周囲からの故障のリスクを最小にしながら、積層の機械接合を容易にする高いオープンホールの引張り強度および圧縮強度を示す。
【0014】
この発明はまた、胴体部分、ウィング部分、ストレーク、垂直尾翼、水平尾翼等のような航空機の外部外板パネルの形状のハイブリッド積層構造を提供する。積層は好ましくは対称的であり、上述されたように、複合材プライおよび金属箔のレイアップの外部層間に挟まれた中心層としてコア構造を含む。コア構造はたとえばチタン合金ハニカムを含み得る。箔または複合材の隣接層はこの層とハニカム材料との間の中間面でハニカム層に密に接合される。この構造は、低密度(軽量)と、高強度と、高い引張り応力と、並外れた疲労抵抗および優れた熱機械耐久性特性を有する調整可能な構造とを与える。ハイブリッド積層は外部チタン箔によるゾーン1の落雷に耐え、したがって、たとえばウィング内に蓄積された燃料を保護することができる。この構造は超音速民間機の外板部分を形成するのに特に適している。
【0015】
この発明の上述の局面と多くの付随する利点とはこの発明の実施例を示す添付の図面と関連して以下の詳細な説明を参照することによってより容易に認識され、より良く理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明のハイブリッド積層は金属箔の間隔をあけられた層を含み、平行に配向された強化ファイバが埋込まれた熱硬化性または熱可塑性の樹脂マトリックスを含む有機ポリママトリックス複合材の単一または複数の層が金属箔層間に挟まれる。この発明はまた、金属箔の層と複合材層とを各々含んだ2つの外部レイアップを含み、コア材料の層が外部レイアップ層の間に挟まれ、かつそれに密に接合されてハイブリッド積層構造を形成する挟み込み構造から作られる、胴体、ウィング、ストレーク、垂直尾翼、水平尾翼などのような航空機外板パネルを提供する。好ましくは、ハイブリッド積層の最外部層は金属箔であって、内にある有機複合材料を環境と化学溶媒の接触とから守る。ある実施例では、コア材料は用いられず、ハイブリッド積層外板は別の態様で強化される。
【0017】
好ましい金属箔は約0.01インチから約0.003インチの厚さ(約250×10-6mから約70×10-6m)である。さらに、アルミニウム箔およびアルミニウム合金箔が用いられ得るが、チタンおよびその合金の箔が好ましい。特に、ベータチタン合金の箔が最も好まれ、それはとりわけこの合金が1%よりも大きい降伏歪みに熱処理されるときである。このために現行のファイバ特性を十分に利用できる。このような熱処理は、積層の荷重限度および極限荷重能力を向上させるという利点を与える。したがって、この発明は金属合金箔をその弾性降伏歪みまで使用することを可能にし、それによって、チタン合金だけを用いる場合と比較して動作荷重を高める。
【0018】
中間面有機複合材層への金属箔の接合を容易にするために、金属箔は表面処理プロセスを受け得る。特に、多孔性接着促進層を表面上に形成させるプロセスを好ましいチタン合
金箔が受けることが好ましく、これは、このような表面が以下に説明されるある高温有機樹脂に、より粘り強く接合するためである。有益な表面処理プロセスは、たとえば引用により援用される米国特許第3,959,091号、第4,473,446号、および第3,989,876号に説明される。
【0019】
好ましい予処理方法では、チタン合金はまず、約190°Fに保たれた水1ガロン当り4lbの濃度の(カリフォルニア州ウエストミンスター(Westminster,California )のアトキム社(Atochem, Inc. )によって与えられる)TURCO5578を有する溶液に約5分間浸される。その後、箔は取除かれ、湯で濯がれ、次に冷水で濯がれる。完全に濯いだ後、箔は硝酸フッ化水素酸エッチングを受ける。このエッチングは、22重量%の硝酸と3重量%のフッ化水素酸とを含んで120°Fに保たれた溶液において行なわれる。約4分から約6分の間エッチングされた後、箔は取除かれ、約5分間冷水で濯がれる。次に、箔はクロム酸陽極酸化プロセスを受ける。このプロセスでは、箔は約4±1ボルトで約20分間クロム酸において陽極酸化される。クロム酸溶液は水1ガロン当り約6oz.から約7.5oz.のクロム酸と、約9ボルトから約10ボルトの電位差で2amps/ft2の電流密度を保つのに十分な量のフッ化水素酸とを含む。陽極酸化の後、好ましくは陽極酸化の2分後、箔は約10分から約15分間冷水において濯がれる。その後、濯がれた箔は最大160°Fでオーブンで乾燥される。好ましい箔は次に、この発明のハイブリッド積層のレイアップの金属箔層を形成するために用いられる。
【0020】
この発明に従って、任意の接着剤およびシラン接合剤が、金属−複合材接合、コア−金属接合、およびコア−複合材接合を容易にし、かつ高めるために用いられ得る。
【0021】
この発明のハイブリッド積層における有機複合材の各層は少なくとも1つのプライから作られる。プライの各層は好ましくは約0.005インチから約0.03インチの厚さ(125×10-6mから760×10-6m)である。各プライは、平行な強化ファイバが埋込まれた、熱硬化性または熱可塑性の有機ポリマ樹脂を含む。有機複合材の各プライ内のファイバが平行であるが、これらのファイバは直角であってもよく、または、ハイブリッド積層における有機複合材の別のプライのファイバに対して実際に他のどのような角であってもよい。後に説明されるように、ファイバの配向は、航空機の外殻の構成要素が受ける予期される力に基づいて選択される。
【0022】
超音速飛行中に航空機の外殻が受ける高温に耐えるために、樹脂は「高温に抵抗」しなくてはならない。すなわち、超音速飛行中に遭遇される温度、たとえば飛行速度に依存しておおよそマッハ2.4で少なくとも約350°F(約175℃)の温度に繰返して晒されるときに、樹脂は過度に軟化されるべきではなく、さもなければ、物理特性および機械特性が結果として実質的かつ容認不可能に低下して層間剥離が引き起こされる。これらの要件にかなう樹脂の例は、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアリールエーテルスルホン、オキシジフタリック、ジアンハイドライド3,4′オキシジアニリンおよび後者の機能派生物、たとえば、10%のP−フェニレンジアミドおよびフタリックアンハイドライドエンドキャップモノマでか、または4−(3−アミノフェノキシ)−4−フェニルエチニルベンゾフェノンエンドキャップモノマでの派生物である。好ましいポリマは、日本、東京のMitsu ToatsuによってPIXAとして販売されるポリイミド樹脂と、テキサス州グリーンビル(Greenville, Texas )のFiberite, Inc.によってPETI−5として販売される、フェニルエチニルを含むポリイミドとである。明らかに、超音速飛行中に遭遇される温度で必須の強度を維持する条件を満たす他の樹脂もまた有益である。
【0023】
好ましい実施例では、有機ポリママトリックス層において強化物として用いられる伸長平行ファイバはカーボンファイバおよびボロンファイバから選択される。ある実施例では
、以下に説明されるように、単一のプライにおいてカーボンファイバおよびボロンファイバの混合物を強化物として用いることが好ましい。好ましいカーボンファイバは、引張り応力が35−50Msiであり、引張り伸び損傷が1.5%以上である「中程度または高度の強さ」のカーボンとして販売されるものである。典型的に、これらのファイバはPAN(ポリアクリロニトリル)前駆物質の族のファイバから生成される。好ましいボロンファイバは、引張り伸びが最も高い最小のボロンファイバ(少なくとも約4−7mil)である。好ましいボロン/カーボンファイバ混合物のプレプレッグは、(マサチューセッツ州ローウェル(Lowel, Massachusetts)のテクストロン・スペシャルティ・マテリアルズ(Textron Specialty Materials )による)商標HYBORの下で販売される。このファイバの組合せはプライにおいてより高いファイバ重量パーセントを許し、カーボンの高い引張り特性でボロンの高い圧縮特性を利用する。各型のファイバは以下に検討される特定の応用に最も適している。
【0024】
この発明に従って作製される構造の主要な構成要素の各々、すなわち、チタン合金箔、ポリマ複合材料、およびコア構造は一般に予め作製され、この発明と関連して用いるために配列される。複合材料は一般に、配向された連続的なカーボンかまたは他の強化ファイバを含む高温ポリマ樹脂を含む。複合材料は通常スプールに巻かれる伸長リボンまたはテープの形状で与えられる。次に、材料はスプールからほどかれ、受取面に与えられる。同様に、コアがあるならば、それは予め製造され、この発明と関連して用いるために与えられる。
【0025】
ハイブリッド積層はどのような数の方法によって作られてもよい。しかしながら、熱可塑性複合材の場合、熱可塑性樹脂に予め含浸された繊維製テープ(「プレプレッグ」)の長い連続的なストリップを、熱可塑性応用ヘッドによって、箔の処理された外部表面へと直接継続的に置くことによって積層が準備されることが好ましい。熱および圧力を応用することによってテープのストリップを固めながら並んで置くことによって、平行に配向されたファイバを有する複合材の連続的なプライが生成される。その後、積層に必要とされる特性に依存して、複合材の別の単一または複数のプライが第1のプライの頂部上に置かれ得る。この単一または複数のプライは複合材の層を形成する。次に、箔の層が固められた複合材層上で回転され、たとえば熱定着で複合材に接合される。その後、有機複合材の次の層が上述のように単一または複数のプライを置くことによって金属箔の頂部上に形成される。最後に、金属箔および有機ポリママトリックスの層の予め定められた数を降ろした後、金属箔の外部層が与えられる。これはこの発明の重要な局面であり、なぜなら、箔の外部層がハイブリッド積層の、内にある有機複合材を環境と液体による攻撃とから守るためである。
【0026】
いくつかが以下により詳細に説明される代替的な作製方法も有益である。たとえば、ハイブリッド積層のあらゆる層が層の予めの融解なしで圧力釜において積み重ねられるかまたは圧力を与えられ得、次に、加えられた熱および圧力の下で単一の積層に融解される。
【0027】
この発明のハイブリッド積層は、積層の例示的実施例を示す概略図である図1を参照するとより良く理解される。明らかに、層にされた他の配列も企図され、いくつかが下に示される。レイアップHLはチタン合金箔10の交互の層を有し、複合材の少なくとも1つのプライが継続的な箔層の各々の間に挟まれる。有機複合材14の90°の交差プライが第1の2つのチタン合金層の間に挟まれる。0°のプライ12が第2のチタン箔層10と第3のチタン箔層10との間に挟まれる。最後に、別の交差プライが第3のチタン箔層と第4のチタン箔層との間に挟まれる。この特定的なレイアップでは、ファイバの3分の2が90°の交差プライの方向に配列され、ファイバの3分の1がゼロ度方向に配列される。以下に説明されるある好ましい実施例では、実質的にすべてのファイバがゼロ度方向に配列され、これもまた以下に説明される他の好ましい実施例では、いくつかのファイバが
、90°の交差プライ方向と、+45°または−45°方向とに配列される。この発明に従って、積層の、実質的に大多数(約3分の2よりも上)またはすべてのプライのファイバが共通の方向に配向される。箔10は同一の広がりを持つ箔間の間隔を最小にして突き合わせ接合される。さらに、突き合わせ接合部は概略的に示されるようにずらされ、したがって積層強度は低下されない。
【0028】
好ましくは、この発明のハイブリッド積層は、図2に示されるチタン合金ハニカム材料のような軽量コア構造40である中心層で対称的である。したがって、コア層40は、外部被覆を形成する同一の金属箔−ポリマ複合材レイアップHLによって両側を取囲まれるかまたは覆われる。
【0029】
以下に続く説明は時には金属箔−ポリマ複合材レイアップHLだけを示すが、ハイブリッド積層構造の各々は、接着された同一の金属箔−ポリマ複合材レイアップによって両側を覆われてこの発明の対称的なハイブリッド構造を形成する中心コア構造を含むことが理解されるべきである。
【0030】
図3は、超音速航空機のハイブリッド積層胴体および外部パネルを示す簡略化された概略部分展開図である。この例示される説明では、4つの実質的に円筒形の胴体部分が、端と端とを接して互いに接続して実質的に円筒形の胴体を形成するようにされる。他の設計では、より多くの部分が必要とされ得る。これらの部分は、先細になった前端がノーズコーンを受けるように設計された実質的に円筒形を有する胴体の前端部20と、直径が胴体前端部20の後部の直径と同じである第2の円筒胴体部分22と、実質的に円筒形であり、第2の胴体部分と同じ直径である第3の胴体部分24と、第3の胴体部分の直径と実質的に同じ最大直径を有する僅かに先細になった円筒形の後端部胴体部分26とを含む。図3に示される実施例のウィングはデルタ型であり、円筒胴体部分22および24のいずれかの側から外側に延びる、1対の水平に延びる三角形のストレーク28を含む。1対の実質的に長方形のウィングボックス30がトスレーク28の後端部に当接し、胴体部分24の付着点からストレークの外部先端の近傍に延びる。実質的に三角形の外部ウィング32はウィングボックス30の各々の外部端部から延びる。このように、航空機の両側のストレークおよびウィングは、ストレーク28の上部表面からその隣接するウィングボックス30の上部表面へと、そこから外部ウィング32の上部表面へと延びる同一平面上の上部表面を形成する。同一平面上の下部表面も同様に形成される。台形の垂直尾翼34および台形の水平尾翼36もまた、この発明に従ってハイブリッド積層から作製される。
【0031】
図4は、外部ウィング32を有する隣接するウィングボックス30を備えた1対のストレーク28の簡略図である。飛行中、これらの構造への荷重は異なっており、速度および他の要因で変化する。この発明に従って、ストレークのための好ましい金属箔−ポリマ複合材レイアップの実施例が簡略化された図5に示される。このように、示される実施例では、金属箔10はストレーク28の後端縁29と平行なその最長の側に配向される。ただし、後端縁に対して90°の配向もまた役立つ。箔のすぐ下には、プライが箔の長手側に対して90°に配向された90°の交差プライ14がある。このプライ14の下にはファイバがゼロ度に配向された第2のプライ16がある。プライ16の下には第2の交差プライ14があり、箔層10が続く。この発明に従って、90°の交差プライと0°の複合材プライとを含む複合材を用いることは超音速デルタウィング航空機のストレークのために好ましい。説明されたレイアップは中心コア層の両側に接合されて対称的なハイブリッド積層構造を形成する。
【0032】
一方、ウィングボックスはストレークとはかなり異なった力を受ける。図6を参照して、2つのウィングボックスのレイアップの各々は中心コア構造に接合されており、形成されるハイブリッド積層が対称的であるように同一である。図6の実施例に示されるレイア
ップは、第1の外部金属箔層10、4つの継続的な翼幅方向に配向されたプライ16、第2の箔層10、第2の一連の4つの翼幅方向に配向されたプライ16、第3の箔層10、4つの翼幅方向に配向されたプライ16の第3の複合材層、および外部箔層10を順次有する。この外部箔層10はコア構造の一方の側に接合され、同一のレイアップがコア構造層の他方の側に接合されてウィングボックスの対称的なハイブリッド積層を形成する。
【0033】
ウィングボックスレイアップの代替的な実施例では、プライ16のすべてが翼幅方向に配向されず、4つのプライのうちで内部の2つが翼幅方向のプライに対してある角度、たとえば+45°および−45°にそれぞれ配向される。このように、4つのプライの3つの層の各々において、第1のプライが翼幅方向であり、第2が+45°で配向され、第3が−45°で配向され、第4のプライが翼幅方向である。結果として、釣合いのとれた複合材層が形成される。
【0034】
超音速航空機の胴体はその長さに沿う異なった場所で異なった力を受ける。結果として、この発明に従って、ハイブリッド積層構造におけるプライ配向およびプライ「ビルディングアップ」(または「パダップ(padup )」)および「ドロップオフ」は、ハイブリッド積層が胴体上の特定の場所で経験する航空機の加圧によって生じる軸方向の荷重と円周方向の荷重とに基づいて決定される。これは図7に概略的に示され、図7は、4つの部分で例示される全体の胴体と、荷重に依存して胴体部分上の異なった場所で見られ得る6つの金属箔−複合材プライレイアップHL1−HL6とを示す。ノーズ部分20および第1の部分22は同様の荷重を経験し、この発明に従って同じレイアップHL1を有する。各場合において、レイアップの外部表面、したがってハイブリッド積層は金属であり、好ましくはチタン合金の箔層10である。金属層10の内側表面に粘り強く接着された次の層は、ファイバが円筒形の胴体の円周のまわりを連続して螺旋状に延びる円筒複合材プライ13(「フーププライ」)である。フープファイバプライの内側にあり、それに密に接着されるのは、ファイバが胴体部分の長さに沿って長手方向に配向されるプライ15である。この長手ファイバプライ15は対称的なレイアップの中心層を形成する。したがって、長手ファイバプライ層の内側には第2のフープファイバプライ13があり、それに第2のチタン箔層10が従う。第2のチタン箔層はコア構造(図示せず)の一方の側に接合され、同じレイアップがコアの他方の側に繰返されて対称的なハイブリッド積層を生じる。
【0035】
中央機尾部分24は4つの異なったプライ配向を有し得る。第1のレイアップHL2は胴体の頂上の前方端部で通常遭遇される張力を打消すように設計され、第2のレイアップHL3は頂上の機尾部分における引張力を打消すように設計され、第3のレイアップHL4はシヤーの下に通常ある側部のためのものであり、圧縮力を打消すための第4のレイアップHL5は胴体のキールに通常見られる。もちろん、4つのすべてのプライレイアップが中心コア構造(図示せず)とともに単一のハイブリッド積層構造を形成するが、プライの数とその配向とは積層が耐えることを期待される力に依存して変化する。このように、頂上の前方部分では、レイアップHL2が、胴体の全外部表面を覆って内にある複合材構造を保護するチタン箔層10を有する。箔10の内側に密に接合されるのは第1のフープファイバプライ13であり、このフーププライの内側には3つの長手ファイバプライ15がある。第3の長手ファイバプライの内側には第2のチタン合金箔層10があり、これはレイアップの対称の中心を形成する。したがって、この箔10の内側には順に3つの長手ファイバプライ15、フープファイバプライ13、および最後の内側チタン箔層10がある。最後のチタン層はコアの一方の側に接合され、レイアップはコアの他方の側に対称的に繰返される。プライおよびコアのこの配列は、航空機の中央機尾胴体部分の頂上の前方で通常遭遇される引張力、シヤー力、フープ力および圧縮力を打消すハイブリッド積層構造を与える。胴体のあらゆる部分において、フーププライは円周荷重を打消す。
【0036】
胴体部分24の頂上の機尾区分と胴体部分26の前方部分とにおける高まった引張応力
を打消すために、さらなる長手プライがHL3において示されるようにレイアップに加えられる。このように、頂上部分は外部チタン箔10、単一のフーププライ、4つの継続的な長手複合材プライ、中心チタン箔10、4つの継続的な長手複合材プライ15、フープ複合材プライ13、および内部チタン箔層10を順に含む。これまでどおり、このレイアップの内部チタン箔は中心コアに接合され、レイアップはコアの他の側で繰返されて対称的なハイブリッド積層を生じる。胴体部分26の頂上の機尾部分は幾分簡略化されたレイアップ構造HL6を有し、これは引張力が航空機の胴体部分のこの部分ではそんなに高くはないためである。結果として、所望の強度特性を有するがHL3またはHL2よりも軽い積層を生じるためにより少ないプライが用いられ得る。したがって、部分26のレイアップHL6の機尾頂上区分も外部および内部のチタン箔層10を有し、その間に挟まれて、3つの長手プライ15を含む中心を有した複合材層を有し、フープファイバプライが最も外側の長手プライの各々と外部チタン箔層10との間に挟まれる。コア構造は箔層をコアに接合することによって2つのこのようなレイアップの間に挟まれて、対称的なハイブリッド積層構造を生じる。
【0037】
航空機の側部はシヤーを受けるので、部分24および26の側部におけるハイブリッド積層構造はシヤー力を打消すように調整される。示されるように、図7では、部分24および26の両方の側部レイアップ構造HL4は順に外部チタン箔層10と、その内側の密に接着されたフープ複合材プライ13と、その内側の第2のチタン箔層10と、その内側の中心長手複合材ファイバプライ15とを含む。レイアップは対称的であるので、このパターンは長手ファイバプライ15の他方の側で繰返される。こうして、他のプライは順に中心長手ファイバプライ、第3のチタン箔10、フーププライ13、チタン箔層10である。1つのこのようなレイアップが中心コア構造の各側に接合されて対称的なハイブリッド積層構造を生じる。
【0038】
部分24および26の両方のキールは好ましくは、4つの長手複合材プライ15、好ましくはキールにおいて高まった圧縮応力を打消すための平行に配向されたボロンファイバを含むプライによって両側を取囲まれた中心チタン箔層10を含むレイアップHL5 から構成される。ボロンプライの四重の層は少なくとも単一の複合材フープファイバプライ13で各々が覆われる。したがって、この発明に従って好ましいように、複合材フープカーボンファイバプライはチタン箔10で覆われる。この箔は中心コア構造の一方の側に接合され、レイアップはコアの他方の側で繰返されて対照的なハイブリッド積層を生じる。
【0039】
金属ハニカム、たとえばチタン合金ハニカムのようなコア構造を含んだハイブリッド積層胴体部分が、好ましいハイブリッド積層胴体の区分の部分的な断面の展開された概略図を示す図8に示される。積層構造は、それが受けるであろう機械力を最適に打消すように構成されることが好ましい。示される実施例では、胴体部分は長手方向に延びるチタン箔10で作られた外部被覆を有し、箔の各々は互いに当接して封止を作り、それによって内にある複合材構造を覆い、保護する。チタン箔の内部には、第1のフープファイバ複合材プライ13と、次の長手方向に配列されたチタン箔10の第2の層と、次の第2の複合材フープファイバプライ13と、長手チタン箔10の第3の層とがある。示される実施例では、チタン箔は、樹脂接着剤、またはシラン接合剤を用いて、ハニカムコア40に直接接着される。第4の長手チタン箔10も同様にハニカム構造の内側表面に接着される。第4のチタン箔10の内側には、第4の複合材フーププライ13、第5の長手チタン箔層10、第4の複合材フーププライ13、および最後のチタン箔層10が順次接着される。こうして、積層は中心ハニカム層40について対称的である。重要なことに、積層構造は胴体に強度を加える少なくとも4つのフーププライを有し、同じことが以下に検討される図9の実施例にも当てはまる。68インチ×120インチの大きさであり、単位面積当りの質量1.3lb/ft2である同様のハイブリッド積層胴体部分は、14ksiフープ荷重と、0.1の「R」係数の0.20Hz周波数荷重サイクルでの12ksi軸方向荷重と
の99,000疲労サイクルに耐えることのできる安全圧力殻をもたらした。
【0040】
図9は、この発明に従った、概略的な展開断面に示される航空機の胴体レイアップのさらに別の実施例を示す。この実施例では、胴体の張力臨界頂上区域42が長手方向に延びる多数のカーボンプライを含み、シヤー臨界側部分44が長手方向に延びる単一のカーボンプライを含み、圧縮臨界キール部分46が単一の方向で長手方向に延びる多数のボロンカーボンプライを含む。しかしながら、重要なことに、この実施例は、ハイブリッド積層の各レイアップ中に延びて4つのこのようなプライの全体を作る少なくとも2つのカーボンファイバフーププライ13を有する。これらのプライは強度を胴体に加えて使用中に遭遇される力を打消す。レイアップの層を検討すると、外部から内側に継続的に、胴体の第1の層がチタン箔10の外部層である。これに、胴体の全円周に延びる第1のカーボン複合材フーププライ13が続く。頂上部分42では、これに、カーボンファイバの長手方向に延びる多数のプライの第1の層17と、長手方向に延びる第2のチタン箔10と、多数のカーボンプライの第2の長手方向に延びる層17とが続く。側部44では、第1のカーボンフーププライ13に、長手方向に延びる第2のチタン箔10と、長手方向に延びるカーボンプライ15と、長手方向に配向された第3のチタン箔10とが従う。キール46では、第1のカーボンフーププライ13に、長手方向に延びる多数のプライを含んだボロン−カーボンファイバの第1の層19と、長手方向に延びる第2のチタン箔10と、多数のボロン−カーボンプライの長手方向に延びる別の層19と、長手方向に延びる第3のチタン箔10と、多数のプライの長手方向に延びる第3のボロン−カーボン層19とが続く。上述された層の各々には、胴体の全円周を円周方向に延びる第2のカーボンフーププライ13が続く。この第2のカーボンフーププライ13の内側面は、長手方向に延びるチタン箔10を含んだ別の層によって覆われる。後者のチタン箔層はコア構造の一方の側に接合され、上述されたレイアップはコアの他方の側で繰返されて対称的なハイブリッド積層構造を生じる。
【0041】
図10は、図9に示されるように、この発明の箔で覆われた円筒形胴体部分を生じるためにどのように箔が外部表面上で順次配列されるかをさらに示す。示される実施例では、箔10は、端縁と端縁とを接して当接する交互の長手方向に延びるプライまたは「ゴアパネル」に適用されてギャップをなくす。箔はまた、必要とされるならばフープの態様で円周方向に適用され得る。
【0042】
説明され、かつ例示された外板パネルを準備するための方法はいくつかある。予備的な事柄として、チタン箔は大抵大きなロールの箔の形状で与えられ、従来の切断機械によって予め定められた長さのゴアパネルに分割される。胴体部分に関連して、ゴアパネルは、胴体部分の一方の端部から他方の端部に延びる長手パネルである。胴体部分が可変の円周を有し得るので、継続的なゴアパネルが好ましくは重複せずに端縁と端縁とを接する関係にもたらされ得るように、ゴアパネルは可変の幅で切断されなければならない。ゴアパネルは従来の陽極酸化プロセスかまたは上述されたプロセスによって陽極酸化され、これは、予め含浸されたカーボンテープのような複合材料に接合するのにより適したゴアパネルの各々の上に外部コーティングを形成する。この発明に従って、ゴアパネルはスプールまたはカセットに巻上げられる。これらのカセットは製造施設の近くの保管場所にもたらされ、それらが積層プロセスにおいて利用されるまで保管される。胴体の内周に従う適合した外周を有したレイアップマンドレルがハイブリッド積層を形成するために用いられてもよく、手動で持上げられてもよい。本出願人により同時に出願され、引用により十分に援用される明細書代理人書類番号第BOCO−1−8434はマンドレルについてのさらなる詳細を示す。ハイブリッド複合材構造は以下に説明される積層手順によってマンドレルに適用される。その後、ハイブリッド積層はマンドレルから取除かれ、切り揃えられ、ウィンドウオープニングがその構造において切断され、他の固定装置および構成要素が加えられて完成した構造を形成する。
【0043】
胴体部分がマンドレル上で作られるとき、マンドレルは好ましくは回転可能に装着され、円筒形に成形され、その長手軸は垂直方向に配向される。複数個のチタンゴアパネルが適切かつ解離可能な接着剤でマンドレルの外部表面に長手方向に適用されてチタン箔の第1の層を形成する。各ゴアパネルがレイアップマンドレル上に位置決めされ、ゴアパネルの長手軸は実質的にレイアップマンドレルの長手軸と平行である。いくつかの箔層では、ゴアパネルは、上述のようにマンドレルの円周に延びるフープの形状であってもよい。ゴアパネルは端縁と端縁とを接する関係(突合せ接合)でレイアップマンドレルの円周に継続的に適用されて、レイアップマンドレルを覆う平滑かつ連続的なチタン箔層を形成する。次に、カーボンプレプレッグテープ(または、必要とされるような別のプレプレッグ)が、複合材料の第1のフーププライが箔層の上に形成されるまで、マンドレルを横断する方向に、好ましくはマンドレルに対して螺旋方向に配向されて、回転するマンドレルのまわりに巻かれる。明らかに、他のプライ配向も適宜適用され得る。次に、チタン箔の第2の層が複合材層に適用され、次に複合材料の別の単一または複数のプライが適用され、その次にチタン箔の最後の層が適用され得る。ハイブリッド積層がコア構造を含む場合、マンドレル上に既に置かれた円筒形の積層部分の上に適合するように接着剤で適用される、適切に湾曲し、適切な大きさにされたパネル部分にコアが生成される。コアはこのように下にある積層構造に接合される。その後、複合材料およびチタン合金のさらなる層が上述されたようにコアの上に形成される。
【0044】
他のジオメトリを有するレイアップマンドレルで用いるために、ゴアパネルは好ましくは他の形状を有する。たとえば、円錐形のマンドレルでは、ゴアパネルは好ましくは台形の形状を有するであろう。すなわち、ゴアパネルの一方の端部が他方の端部よりも広いであろう。こうして、ゴアパネルが端縁と端縁とを接する関係で円錐形のマンドレル上に置かれるとき、広い方の端部が円錐形のベースに近いであろう。したがって、必然的ではないが慣習的に、各ゴアパネルは滑らかなチタン箔層を形成するためのマンドレルのほぼ等しい面積にわたるであろう。したがって、箔をゴアパネルに分割することには、各ゴアパネルがマンドレルのほぼ等しい面積に及ぶようにゴアパネルの形状を予め計算することが含まれる。したがって、ゴアパネルがマンドレル上に端縁と端縁とを接する関係に配置されるとき、ゴアパネルは滑らかなチタン箔層を形成する。
【0045】
代替例として、ハイブリッド積層が手で重ねられてもよく、または機械で重ねられてもよい。これらの条件下において、胴体のような平坦または湾曲した積層を準備するために、箔およびプレプレッグの層は手で一方を他方の上に中心コア構造か他の強化で積み重ねられる。その後、層が互いに接着していない積み重ねられた構造が真空バッグの中に閉じ込められ、真空化され、気圧が層を互いに圧縮させるようにする。このために層は適所に保持され、したがって、これらは樹脂を硬化させるための圧力釜、プレス、またはオーブンに運ばれ得る。樹脂を適切に加熱すると、積み重ねられた層およびコアは互いに接着され、この発明のハイブリッド積層へ固められる。
【0046】
図11は、固定具を受けるためにハイブリッド積層を強化するように接合部で用いられる、この発明に従った典型的な外板パダップを概略的な断面および簡略化された形状で示す。先行技術の接合レイアップとは異なり、この発明に従ったレイアップは上述のような基本的な外板レイアップをもたらさない。示される実施例では、ハイブリッド積層の中心コアのいずれかの側で大抵繰返されるレイアップは、複合材の3つの層が挟まれ、2つの中間チタン箔層10によって分離される外部チタン箔10を含む。各複合材層は3つのプライからなる。ハイブリッド積層を接合部で強化するために、付加的なチタン箔が複合材プライの各々の間で挟まれる。こうして、示されるように、接合部を取囲むレイアップの構造は交互する複合材のプライとチタン箔の層とで作られる。これは、航空機の接合された構成要素間で荷重を移動させるための固定具を受けるための高強度構造をもたらす。
【0047】
接合するためにレイアップが穴をあけられるとき、レイアップのオープンホール圧縮強度は少なくとも約50ksiである。レイアップのある実施例では、強度は少なくとも約80ksiまでに及ぶことができ、他の実施例では、少なくとも約200ksiである。また、オープンホール引張強度はレイアップの切込みが入れられていない極限引張強度の約55%よりも大きい。
【0048】
この発明のハイブリッド積層のレイアップは高いオープンホール引張強度および圧縮強度を有し、それによって、力が集中される、積層の通しボアから広まる亀裂の成長の可能性を最小にしながら、ハイブリッド積層の機械接合を容易にする。レイアップの複合材容量部分が50%未満であるとき、レイアップのオープンホール引張強度は約150ksiから約220ksiの範囲にある。しかしながら、レイアップの複合材容量部分が約50%から約80%の範囲にあるとき、オープンホール引張強度は約200ksiから約350ksiの範囲内に増加する。
【0049】
レイアップのオープンホール圧縮強度は複合材において用いられる強化ファイバの型に依存する。したがって、たとえばカーボンファイバで強化されたこの発明のレイアップが約80ksiから約125ksiの範囲のオープンホール圧縮強度を有する。しかしながら、ボロン、HIBOR、またはシリコン炭化物ファイバが用いられるとき、レイアップのオープンホール圧縮強度は180ksiよりも高くなる。
【0050】
この発明のハイブリッド積層は高められた極限引張強度および極限圧縮強度を有する。確かに、この発明のレイアップが基本的なファイバ配向方向に装填されると、レイアップの極限引張強度は2×106psi/lb/in3を超え、極限圧縮強度は1.5×106psi/lb/in3を超える。したがって、この発明のハイブリッド積層構造は超音速民間機の構造において用いるのに極めて適している。
【0051】
上の説明がこの発明のハイブリッド積層を航空機、具体的には超音速航空機において用いることに焦点を当ててきたが、上述された何らかの他の向上された特性を有し得る、軽量、かつ、高い強度対重量比の材料を必要とする他の多様な応用において積層が有益であることが明らかである。
【0052】
この発明の好ましい実施例が例示され、かつ説明されたが、当業者は、さまざまな変化がこの発明の趣旨および範疇から逸脱せずに行なわれることができ、これらの変化もまた上述の特許請求の範囲に含まれることを認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明に従ったハイブリッド積層の一部を形成する、金属箔および複合材のレイアップの実施例の層を示す概略断面図である。
【図2】ハニカムコア構造を有する、この発明のハイブリッド複合材積層構造の実施例の概略断面図である。
【図3】この発明に従ったハイブリッド複合材積層から作製された航空機外殻の部分の実施例を示す概略図である。
【図4】この発明のハイブリッド積層の実施例から作製された航空機のストレークおよびウイングボックス部分の実施例の概略展開図である。
【図5】図4のストレーク部分のためのハイブリッド積層のレイアップの箔およびファイバの配向を断面で概略的に示す図である。
【図6】図4のウイングボックスにおける箔およびファイバのレイアップを概略的に示す断面図である。
【図7】ハイブリッド積層航空機胴体の実施例と、この発明に従った、航空機の胴体のさまざまな位置でのファイバプライおよび金属箔のレイアップの断面とを示す概略図である。
【図8】この発明の実施例に従って作られたハイブリッド積層航空機胴体の一部を示す概略展開断面図である。
【図9】この発明に従った航空機のハイブリッド積層胴体の一部を形成するレイアップの代替的な実施例の概略展開断面図である。
【図10】この発明のハイブリッド積層胴体構造の実施例の外部表面および内部表面における金属箔の配向を示す概略図である。
【図11】接合部で役立つ、この発明のハイブリッド積層のレイアップのパダップの実施例を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0054】
10 チタン合金箔、12 プライ、14 複合材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の外板パネルであって、前記パネルは対称的なハイブリッド積層を含み、前記積層は、
(a) 2つの側を有するコア構造と、
(b) 1対のレイアップとを含み、前記対の1つが前記コア構造の各側に接合され、前記レイアップの各々は積層化された層を含み、前記積層化された層は、
(i) 連続的な箔層を形成するように突き合わせ接合されたチタン合金ゴアパネルと、
(ii) 隣接した箔層間の有機ポリマ複合材層とを含み、前記複合材層は少なくとも1つのプライを含み、前記少なくとも1つのプライは、超音速飛行において遭遇される高温に繰返し晒されることに耐えるポリママトリックスを含み、前記ポリママトリックスはそこに埋込まれた共通に整列された強化ファイバを有する、航空機の外板パネル。
【請求項2】
前記レイアップの各々はさらにチタン合金箔の外部層を含み、前記外部層は隣接した複合材プライに接合される、請求項1に記載の航空機の外板パネル。
【請求項3】
前記金属箔はベータチタン合金を含む、請求項1に記載の航空機の外板パネル。
【請求項4】
高温に耐える前記マトリックスは、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアリールエーテルスルホン、オキシジフタリックジアンハイドライド3,4′オキシジアニリン、およびその機能派生物からなる群から選択される、請求項1に記載の航空機の外板パネル。
【請求項5】
前記箔層は約0.003インチから約0.01インチの厚さを有する、請求項1に記載の航空機の外板パネル。
【請求項6】
前記レイアップの各々のオープンホール引張り強度は前記レイアップの切込みが入れられていない極限強度の約55%よりも大きい、請求項1に記載の航空機の外板パネル。
【請求項7】
前記レイアップの各々のオープンホール圧縮強度は少なくとも約50ksiである、請求項1に記載の航空機の外板パネル。
【請求項8】
亀裂が始まった後の亀裂成長率はモノリシック形状の前記チタン合金の亀裂成長率の約0.2%未満である、請求項1に記載の航空機の外板パネル。
【請求項9】
前記強化ファイバはグラファイトファイバおよびボロンファイバを含む群から選択される、請求項1に記載の航空機の外板パネル。
【請求項10】
極限引張り強度は約2×106psi/lb/in3を超える、請求項1に記載の航空機の外板パネル。
【請求項11】
極限圧縮強度は約1.5×106psi/lb/in3を超える、請求項1に記載の航空機の外板パネル。
【請求項12】
対称的なハイブリッド積層であって、
(a) 1対のレイアップを含み、前記レイアップの各々は、
(i) 約0.003インチから約0.01インチの範囲の厚さのチタン合金箔と、
(ii)前記箔の一方の側に接合されたポリマ複合材の層とを含み、前記層はポリママトリックスを含んだ少なくとも1つのプライを含み、前記マトリックスは少なくとも約3
50°Fの温度に繰返し晒されることに耐え、前記複合材は前記マトリックスに埋込まれた共通に整列されたファイバを有し、ハイブリッド積層はさらに、
(b)中心コア構造層を含み、前記1対のレイアップの各々が前記コア構造層の1つの側に接合されて前記対称的なハイブリッド積層を形成し、
前記レイアップの対の各々はチタン合金箔の第1および第2の層を含み、前記チタン合金箔の層は、前記箔の層の各々の側部に接合されたポリマ複合材の介在層によって分離され、前記箔の層の各々は、第1の層の突き合わせ接合が第2の層の突き合わせ接合からずらされるように突き合わせ接合されたゴアパネルを含む、ハイブリッド積層。
【請求項13】
前記レイアップの各々のチタン合金箔の前記第1の層は前記ハイブリッド積層の外部層である、請求項12に記載のハイブリッド積層。
【請求項14】
各レイアップは金属箔の第1および第2の層を含み、前記金属箔の層は、前記箔の層の各々の側部に接合されたポリマ複合材の介在層によって分離され、前記箔の層の各々は、前記第1の層の突き合わせ接合が前記第2の層の突き合わせ接合からずらされるように突き合わせ接合されたゴアパネルを含む、請求項1に記載の航空機の外板パネル。
【請求項15】
前記レイアップの各々の金属箔の前記第1の層は前記ハイブリッド積層の外部層である、請求項14に記載の航空機の外板パネル。
【請求項16】
対称的なハイブリッド積層レイアップを含む複合材航空機胴体部分であって、前記レイアップは、
(a) 前記胴体部分の外部表面を含む金属箔の第1の層と、
(b) 前記積層レイアップの別の層を含む金属箔の第2の層と、
(c) 前記第1の層と前記第2の層との間に挟まれ、前記第1および第2の層の少なくとも1つに接合される少なくとも1つのフーププライとが、ともに積層化されたものを含み、前記フーププライは、ポリママトリックスに埋込まれた共通に整列されたファイバを含む、胴体部分。
【請求項17】
2つのフーププライを含み、前記2つのプライの第1のものは箔の前記第1の層の内側表面に接合され、前記2つのフーププライの第2のものは箔の前記第2の層の外側表面に接合される、請求項16に記載の胴体部分。
【請求項18】
長手方向に配向されたファイバを有する少なくとも1つの複合材層をさらに含み、前記少なくとも1つの複合材層は前記第1のフーププライと前記第2のフーププライとの間に挟まれる、請求項17に記載の胴体部分。
【請求項19】
前記少なくとも1つの複合材層は3つのプライを含む、請求項18に記載の胴体部分。
【請求項20】
内部金属箔層と外部金属箔層との間に挟まれた金属箔の中心層をさらに含む、請求項17に記載の胴体部分。
【請求項21】
金属箔の前記中心層と前記2つのフーププライの各々との間に挟まれた少なくとも3つの長手プライをさらに含む、請求項20に記載の胴体部分。
【請求項22】
前記第1のフーププライの内側表面に接合された金属箔の第3の層と、前記第2のフーププライの外側表面に接合された金属箔の第4の層と、前記第3の金属箔層と前記第4の金属箔層との間に挟まれ、その両方に接合された長手ファイバプライの層とをさらに含む、請求項17に記載の胴体部分。
【請求項23】
頂上部分は請求項22のレイアップを含み、キール部分は請求項22のレイアップを含む、航空機の胴体部分。
【請求項24】
一連の層を含むハイブリッド積層であって、前記一連の層は、
(a) 金属箔の第1の層を含み、前記第1の層は突き合わせ接合されたゴアパネルを含み、さらに、
(b) 金属箔の第2の層を含み、前記第2の層は、前記第2の層の突き合わせ接合が前記第1の層の突き合わせ接合からずらされるように突き合わせ接合されたゴアパネルを含み、さらに、
(c) 前記第1の層と前記第2の層との間に挟まれた複合材の層を含み、前記複合材はポリママトリックスに埋込まれたファイバを含む、積層。
【請求項25】
前記金属箔はチタン合金箔を含む、請求項24に記載の積層。
【請求項26】
前記第1および第2の層の箔は各々約0.003インチから約0.01インチの範囲の厚さを有する、請求項24に記載の積層。
【請求項27】
前記複合材の層は共通に整列されたファイバのプライを含む、請求項24に記載の積層。
【請求項28】
前記ファイバはカーボンファイバである、請求項27に記載の積層。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−191148(P2007−191148A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47706(P2007−47706)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【分割の表示】特願平9−3241の分割
【原出願日】平成9年1月10日(1997.1.10)
【出願人】(591009037)ザ・ボーイング・カンパニー (15)
【氏名又は名称原語表記】THE BOEING COMPANY
【Fターム(参考)】