説明

ハウジングの内部の通信のための無線レセプタ

【課題】フィルタハウジングの内部から外部の試験装置、又はモニタリング装置へデータを送信するフィルタシステムを提供する。
【解決手段】1実施例では、ハウジングの一部がアンテナとして機能するように、外部RF読取装置100のアンテナは、ハウジングのドームのようなハウジングの一部へ電気的に接続される。他の実施例では、ハウジングの内部の装置は、ハウジング部材へ電気的に接続される。他の実施例では、一般にハウジングドーム40とハウジングベース70の間に配置されるガスケット60が、ハウジングの内部から外部装置へ情報を通過させるために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信の使用は、資産の管理、特に在庫管理に関連する用途において普及している。例えば、RFIDタグの使用は、生産ライン、及びサプライ・チェーンを通した資産、又は部材の動きのモニタを可能にする。
【0003】
このコンセプトを更に例示するために、部材が生産設備に入るとき、製造企業はRFIDタグを部材に貼り付ける。次に、これらの部材は生産フローに挿入され、他の部材と結合して半組立部品を形成し、最終的に完成品になる。RFIDタグの使用は、製造企業の内部の従業員が製造プロセスの全体にわたって特定の部材の動きを追跡することを可能にする。RFIDタグの使用は、企業が任意の特定の組立部品、又は完成品から成る特定の部材を識別することも可能にする。
【0004】
加えて、RFIDタグの使用は製薬産業でも提唱されてきた。2004年02月に、米国食品医薬品局は、薬物をラベルしてモニタするためにRFIDタグの使用を提唱する報告書を発行した。これは由来を提供し、市場と消費者へ偽の処方薬が浸透することを制限する試みである。
【0005】
それらの導入から、RFIDタグは、フィルタ製品におけるプロセス制御のための情報の識別と提供のような多くの用途で使用されてきた。1997年に Den Dekker に対して発行された米国特許第5,674,381号は、フィルタ装置、及び交換可能なフィルタ組立部品と組み合わせた「電子ラベル」の使用を開示する。特に、米国特許第5,674,381号は、読み出し/書き込みメモリを有する電子ラベル、及びラベルに反応する読み出し手段を有する関連するフィルタ装置を有するフィルタを開示する。電子ラベルは、交換可能なフィルタの実際の動作時間を計数して記憶するように適合される。フィルタ装置は、この実時間数に基づくフィルタの使用又は拒絶を可能にするように適合される。また、米国特許第5,674,381号は、交換可能なフィルタについての識別情報を記憶するために電子ラベルが使用できることを開示する。
【0006】
Baker 他によって出願され、2005年に米国特許出願公開第2005/0205658号として公開された特許出願は、プロセス機器追跡システムを開示する。このシステムは、プロセス機器と組み合わせたRFIDタグの使用を含む。RFIDタグは、「少なくとも1つの追跡可能なイベント」を記憶できるものとして記載される。これらの追跡可能なイベントは、洗浄の日付、及びバッチ処理の日付として列挙される。また、米国特許出願公開第2005/0205658号は、プロセス機器データベースが存在するパソコン又はインターネットに接続可能なRFID読取装置を開示する。このデータベースは複数の追跡可能なイベントを含み、「蓄積されたデータに基づくプロセス機器の耐用年数」の決定に有用な情報を提供できる。米国特許出願公開第2005/0205658号は、弁、ポンプ、フィルタ、及び紫外線ランプのような種々のプロセス機器を有するタイプのシステムの使用を含む。
【0007】
Jornitz 他によって出願され、2004年に米国特許出願公開第2004/0256328号として公開された他の特許出願は、フィルタ装置の完全性をモニタするための装置と方法を開示する。米国特許出願公開第2004/0256328号は、フィルタハウジングと関連して、基板に実装されたメモリチップと通信装置を含むフィルタの使用を記載する。フィルタハウジングは、モニタリング、及び完全性試験装置として機能する。また、米国特許出願公開第2004/0256328号は、複数の丸いハウジングの中で使用されるフィルタ素子の完全性を保証するために使用される1組の手順を開示する。これらの手順は、使用中のフィルタの型、その限界データ、及びその製造開始データを検証するために、メモリ素子に照会することを含む。また、米国特許出願公開第2004/0256328号は、外部のモニタリング、及び試験ユニットに対する中継情報のための内部中継器を記載する。フィルタハウジング上の中継器に隣接してアンテナが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5674381号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0205658号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0256328号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
RFIDタグの使用を通して生じた改良にもかかわらず、充分に扱われていない追加領域が存在する。例えば、フィルタハウジングの内部から外部の試験装置、又はモニタリング装置へデータを送信する能力に関連する問題が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従来技術の短所が本発明によって克服され、ハウジングの内部の装置とハウジングの外側の試験ユニット、又はモニタリングユニットであることが好ましい第2装置の間のようなハウジングの内部とハウジングの外部の間で情報を送信するためのシステムと方法を本発明は記載する。封止されたハウジングの内部から外部装置へ情報を送信することに関連する多くの問題が存在する。ある場合には、ハウジングの内部でのリード線の使用は、流体の流れ、圧力、又は温度のような内部の条件のために実用的でない。1実施例では、ハウジングの一部がアンテナとして機能するように、外部RF読取装置のアンテナは、ハウジングのドームのようなハウジングの一部へ電気的に接続される。他の実施例では、ハウジングの内部の装置は、ハウジング部材へ電気的に接続される。他の実施例では、一般にハウジングドームとハウジングベースの間に配置されるガスケットが、ハウジングの内部から外部装置へ情報を通過させるために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施例を示す。
【図2】本発明の第2の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、 Millipore 社から入手可能で、 Filter Cartridge Housing Series 2000 の名称で販売されている、本発明による代表的なフィルタシステムを示す。フィルタ組立部品(図示されない)は、ハウジングドーム40で囲まれる。フィルタ組立部品は多孔質膜を有し、特定の材料が多孔質膜を通過することができ、対応する構造、又はフレームがこの膜を支持する必要がある。特定の実施例では、ハウジングドームは、限定されないが、ステンレス鋼、並びに他の金属、又は導電性材料、及び絶縁性材料の組立部品のような非腐食性で耐久性のある材料で構成される。一般に、適切なハウジングベース70へ接続できるように、ハウジングドーム40は開口部45を下端部に有する。通常、ハウジングベース70は、フィルタ組立部品との流体連絡を可能にする種々の注入口と排出口を含む。例えば、流体はろ過されるためにフィルタ組立部品の膜を通ってハウジングの内部に流れ込み、ハウジングベースを通ってフィルタ組立部品から排出されることができる。一般に、ハウジングドームと同様に、ハウジングベースはステンレス鋼のような非腐食性の材料で構成される。防水と気密を形成するために、ハウジングドーム40はハウジングベース70に取り付けられる。実施例の中には、ハウジングドーム40がハウジングベース70の内部にねじ込まれるものもある。他の実施例では、ハウジングドーム40は、底面クランプ50の使用を通してハウジングベース70に固定される。底面クランプは任意の適切な材料で構成することができ、これら2つの部材を一緒に保持することができる。一般に、これらの部材の間の封止の完全性を保証するために、底面ガスケット60はハウジングドーム40とハウジングベース70の間に配置される。底面ガスケット60は、限定されないが、ゴムのような可撓性材料を使用して構成されることが好ましい。
【0013】
1実施例では、ハウジングドーム40は開口部48を上端部にも有する。この実施例では、この開口部を封止するために上面コネクタ10が使用される。このコネクタは、適切な非腐食性の材料から構成される。底面開口部と同様に、上面コネクタはハウジングドームにねじ込まれるか、又は上面クランプ30を使用して所定の位置に保持される。上面クランプは任意の適切な材料で構成することができ、これら2つの部材を一緒に保持することができる。一般に、これらの部材の間の封止の完全性を保証するために、上面ガスケット20はハウジングドーム40と上面コネクタ10の間に配置される。上面ガスケット20は、限定されないが、ゴムのような可撓性材料を使用して構成されることが好ましい。
【0014】
上記のように、1又は複数のフィルタ組立部品(図示されない)がハウジングドームの内部にある。これらのフィルタ組立部品は、単に、ひだ付き紙のような多孔性材料である。或いは、フィルタ組立部品は更に複雑であり得、例えば、プラスチック、及び多孔性材料のようなフレームを含む。部材についての種々の型の情報を記憶するために使用される、RFIDタグのような電子回路が、ハウジングの内部にある。例えば、電子回路は、ロット番号、製造日、試験パラメータ、使用された繰返し数、並びに他の特徴、特性、動作パラメータ、及び/又はメトリクスのような情報を含む。例えば、これらの電子回路はフィルタ組立部品に取り付けられるか、又は埋め込まれ、フィルタ組立部品に関連するデータを提供する。
【0015】
ハウジングドームの外側は、これらの電子回路、又はタグと通信することができる装置である。1実施例では、RFID読取装置のような装置100が利用される。この装置は、いくつかの企業から入手可能な任意のRFID読取装置でよい。或いは、それは固有の読取装置でもよい。装置100は有線接続を介して直接的に、又は無線接続を介して間接的に、コンピュータ110と通信する。或いは、装置100は、単に、コンピュータ110と断続的に接触してもよい。例えば、装置100は、種々のデータを収集し、その情報を内部に記憶する。その後に、装置100は、(有線接続、又は無線接続の何れかを介して)コンピュータ110と通信する。この時、装置100は、内部に記憶されたデータをコンピュータに転送する。装置100とコンピュータ110の間の実際のやり取りは重要ではなく、種々の方法が可能であって、当業者に既知である。従って、本発明は特定の実施例に限定されない。
【0016】
特に、もしハウジングドームがステンレス鋼で構成されているなら、ハウジングドームを通して信号を通過させる試みは、不可能ではないにせよ、困難であり得る。しかし、ハウジングドーム40の内部から外部読取装置100へ情報を送信する問題は、本発明によるいくつかの方法で解決される。
【実施例1】
【0017】
第1の実施例では、ゴムから構成されたガスケットのような電気的に非導電性のガスケットを利用することによって、ハウジングドーム40がハウジングベース70から電気的に絶縁されることが好ましい。加えて、ドームをハウジングベースに取り付けるための手段も、非導電性である。例えば、底面クランプ50は、熱可塑性プラスチック、又は他の適切な材料のような非導電性材料から構成される。この方法では、もし所望するなら、ハウジングベースは接地することができ、一方、ハウジングドームはハウジングベースから電気的に絶縁したままである。ドームは、銅、又はステンレス鋼のような電気的に導電性の材料で構成されることが好ましい。
【0018】
ハウジングドームは接地されていないか、又は他の任意の部材へ電気的に接続されるので、ドームの内部から外部装置へ信号を送信することを補助するために使用することができ、逆も同様である。1実施例では、装置100、又はRF読取装置100は、ハウジングドームが装置に対してアンテナとして機能するように、ハウジングドーム40と物理的に接触する。従って、ハウジングドームは、装置、又はRF読取装置からハウジングの内部へ信号を送信するために機能し、ハウジングの内部から送信される任意の信号を受信するためにも機能する。この実施例では、ドームは1/4波長アンテナ装置として形成される。この場合、アンテナはモノポールアンテナ、又はホイップアンテナとして形成され、従来のダイポールアンテナの1つの端部だけが使用される。性能を最適化するために、送信された信号の振幅の多少の調整が必要なことを、当業者は高く評価する。当業者が有効なアンテナを最適な性能に調整することを可能にするために、ドームの構造の形状、又は材料を実施例は限定しない。
【実施例2】
【0019】
第2の実施例では、上記のように、ハウジングドームとハウジングベースは互いに絶縁され、両方が大地からも絶縁される。第1の実施例のように、装置、又は読取装置アンテナの1つの極にハウジングドームが接続される。しかし、ハウジングベースも大地から絶縁されるので、ハウジングベースは他の極として機能できる。従って、ハウジングドームとハウジングベースは、ダイポールアンテナに対する極として各々が機能する。これは両開きの電気的にフローティングな装置、又は標準的なダイポールアンテナである。ハウジングドームとハウジングベースは読取装置によって各々がエネルギーを与えられ、ハウジングの内部からの信号を送受信する。
【実施例3】
【0020】
第3の実施例では、上記のように、ドームはベースから電気的に絶縁される。上記のように、ドームは、ステンレス鋼のような電気的に導電性の材料で構成されることが好ましい。従って、まるで装置の間にリード線が存在するように、埋め込まれた装置から外部読取装置へ情報を直接送信するために、ドームは電気的導管として使用される。ハウジングの内部の回路と外部読取装置の間でシリアル通信プロトコルが利用されることが好ましい。読取装置と回路の両方をハウジングドームと物理的に接触させることにより、内部回路と読取装置の間に電気的接続を形成できる。
【0021】
或いは、ハウジングドームをハウジングベースから分離する、「0」の形状をしたガスケットは、ハウジングの内部から外部環境へ信号を通過させるために使用できる。1実施例では、チャネル、又はフィードスルーがガスケットの中に存在し、ガスケットの中に電線を配置することができる。このチャネル、又はフィードスルーは、内周を形成するガスケットの部分から外周を形成するガスケットの部分へ伸長する。図2を参照すると、チャネル200はガスケット210の外縁において見ることができる。従って、ハウジングドームと物理的に接触する回路を有するよりも、上記のように、1本の、又は1組の電線を使用して内部回路を外部装置、又は読取装置に接続する。使用される通信の型、及び特定のプロトコルは実施決定事項であり、全て本発明の範囲内である。
【0022】
上記の実施例に対する変更として、ガスケット210の内部の電気的接続がハウジング部材に取り付けられる。一般に、使用しているときにガスケットは圧力下にあるので、ガスケットとハウジングドーム(及び、ハウジングベース)の間の接続を保証することは不可能である。図2に示される1実施例では、電気的接続がドームと物理的に接触することを保証するために、1又は複数の小さなスプリング220がガスケット210に付加される。他の実施例では、隆起した接触パッドがガスケットに配置され、クランプによって作用する圧縮力のために物理的接続が作り出される。好ましい実施例では、チャネル200はガスケットを通って完全に伸長するわけではない。むしろ、チャネル200はガスケットの内部へ部分的に伸長し、そこでドーム又はベースと接触させられる。この機構は、ドームに外部装置のアンテナを取り付ける更に単純な方法を提供する。例えば、外部装置のアンテナはガスケットだけに接続され、ガスケットはドームに対して接続を提供する。この方法では、電線、又は他の接続手段によってドームは束縛を解かれる。これは、ドームがハウジングベースから容易に動かされ、後で交換されることを可能にする。1実施例では、ガスケットは、アンテナ接続に適切なコネクタを外周に含む。従って、一般に、外部装置のアンテナは、ケーブル、又は他の適切な手段によってこのコネクタに接続される。ガスケットの内部では、1又は複数の電線を介してハウジングドームに接続することを保証される位置まで信号が通過することが好ましく、それによってハウジングドームと外部装置のアンテナの間を接続する。同様に、1つはハウジングドームに面するガスケットの上側にあり、1つのハウジングベースに面するガスケットの下側にある2組の別々の接触機構が利用できる。上記の実施例によると、この方法では、別々の(又は、同じ)信号を、ハウジングドームとハウジングベースに供給できる。
【符号の説明】
【0023】
10 上面コネクタ
20 上面ガスケット
30 上面クランプ
40 ハウジングドーム
45,48 開口部
50 底面クランプ
60 底面ガスケット
70 ハウジングベース
100 RF読取装置
110 コンピュータ
200 チャネル
210 ガスケット
220 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタシステムであって、
a.ハウジングドーム、
b.フィルタ素子、
c.ハウジングベース、及び
d.物理的絶縁と電気的絶縁を維持するために前記ハウジングドームと前記ハウジングベースの間に挿入され、1又は複数の電線を前記ハウジングドームの内部から前記ハウジングドームの外側へ通過させるように適合されたチャネルを含む、電気的に絶縁されたガスケットを含むことを特徴とするフィルタシステム。
【請求項2】
前記フィルタ素子が電子回路を含み、前記システムが前記電子回路と通信するように適合された外部装置を含み、前記チャネルを通過するように適合された少なくとも1本の電線を前記外部装置が含む、請求項1に記載のフィルタシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−200862(P2011−200862A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97161(P2011−97161)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【分割の表示】特願2007−267883(P2007−267883)の分割
【原出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】