説明

ハウジング及びその製造方法

【課題】本発明は、表面に金属質感を有し、且つ摩損又は脱落し難いパターン又はトレード・マークが形成されているハウジング及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】基材10と、前記基材10の表面に形成されているプライマー塗料層11と、前記プライマー塗料層11の表面に形成されている真空コーティング層であるパターン層13と、前記パターン層13の表面に形成されている透明又は半透明な塗料層15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、パソコンなどのような携帯式電子装置では、そのハウジングに加飾ペイント層を形成してからパターン又は文字を印刷して製品のトレード・マークとしている。しかし、このような方法によって形成された製品のトレード・マークは、その形式が単一で、明るい金属質感を有しない。しかも、前記トレード・マークが前記加飾ペイント層の表面から突出しているので、電子装置の使用過程で、前記パターン又は文字が摩損又は脱落し易く、製品の外観に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、表面に金属質感を有し、且つ摩損又は脱落し難いパターン又はトレード・マークが形成されているハウジング及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記問題を解決するために、本発明に係るハウジングは、基材と、前記基材の表面に形成されているプライマー塗料層と、前記プライマー塗料層の表面に形成されている真空コーティング層であるパターン層と、前記パターン層の表面に形成されている透明又は半透明な塗料層と、を備える。
【0005】
本発明に係るハウジングの製造方法は、基材を提供するステップと、前記基材の表面にプライマー塗料層を形成するステップと、前記プライマー塗料層の表面に真空コーティング方式でパターン層を形成するステップと、前記パターン層の表面に透明又は半透明な塗料層を形成するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るハウジングは、基材の表面に順次、プライマー塗料層、製品のトレード・マークとする金属質感を有するパターン層、透明又は半透明な中間塗料層及び透明な表面塗料層を形成して製造される。本発明に係るハウジングのトレード・マークは、金属質感の外観を有するばかりでなく、且つ製品の使用過程で摩損し難い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係るハウジングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係るハウジングに対して詳細に説明する。
【0009】
図1に示したように、本発明の実施形態に係るハウジング100は、基材10と、プライマー塗料層11と、パターン層13と、中間塗料層15と、表面塗料層17と、を備える。
【0010】
前記基材10は、プラスチック基材であり、射出成型によって形成される。前記基材10の材料は、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)又はポリエチレンテレフタレート(PET)等の中のいずれか1種である。前記基材10は、金属基材とすることもできる。
【0011】
前記プライマー塗料層11は、紫外線硬化塗料層である。前記紫外線硬化塗料としては、ポリウレタンアクリレートのプレポリマー(Prepolymer)、紫外線開始剤及び他の添加剤を含むポリウレタンアクリレート塗料を用いるのが好ましい。
【0012】
前記パターン層13は、真空コーティング方式によって前記プライマー塗料層11の表面に形成される。前記真空コーティング用ターゲットの材料は、インジウム(In)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、ステンレス等のような金属材料又はケイ素(Si)又は酸化ケイ素(SiO)などのような金属質感を有する非金属材料とすることができる。前記パターン層13の厚さは30〜100nmである。前記パターン層13は前記プライマー塗料層11に強固に設けられ、前記プライマー塗料層11は前記パターン13の光沢度を向上させることができる。
【0013】
中間塗料層15は、透明又は半透明な塗料層である。前記中間塗料層15を形成する塗料は、紫外線硬化塗料、ポリウレタン塗料又は不飽和ポリエステル塗料とすることができる。本実施形態においては、紫外線硬化塗料を用いる。また、製品の色彩によって、前記塗料に相応する顔料を添加することができる。前記中間塗料層15と前記パターン層13とは、より強い結合力によって結合される。
【0014】
前記表面塗料層17は、透明な塗料層である。前記表面塗料層17を形成する塗料は、紫外線硬化塗料、ポリウレタン塗料又は不飽和ポリエステル塗料とすることができる。本実施例においては、紫外線硬化塗料を用いる。前記表面塗料層17は高い硬度を有するので、表面保護作用を奏する。
【0015】
本発明の実施例に係るハウジング100の製造方法は、以下のようなステップを含む。
【0016】
ステップ1では、基材10を提供する。前記基材10は、プラスチック基材であり、射出成型によって形成される。前記基材10の材料は、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)又はポリエチレンテレフタレート(PET)等の中のいずれか1種である。前記基材10は、金属基材とすることもできる。
【0017】
ステップ2では、前記基材10の表面にプライマー塗料を塗布し且つ固化させて、プライマー塗料層11を形成する。前記プライマー塗料層11は、紫外線硬化塗料層である。前記紫外線硬化塗料としては、ポリウレタンアクリレートのプレポリマー(Prepolymer)、紫外線開始剤及び他の添加剤を含むポリウレタンアクリレート塗料を用いるのが好ましい。
【0018】
ステップ3では、前記プライマー塗料層11の表面に真空コーティング方式でパターン層13を形成する。前記真空コーティング用ターゲットは、インジウム(In)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、ステンレス等のような金属材料又はケイ素(Si)又は酸化ケイ素(SiO)などのような金属質感を有する非金属材料とすることができる。前記パターン層13を形成する過程においては、先ず、必要とする図案又は文字部分が抜き出された遮蔽テープで前記基材10の表面を被覆してから、真空コーティングを進行する。その後、前記遮蔽テープを除去すれば、前記基材10の表面に、必要とする図案又は文字による前記パターン層13が形成される。前記パターン層13の厚さは30〜100nmである。前記遮蔽テープは、不透光性テープであり、且つ前記プライマー塗料層11から除去し易い。
【0019】
ステップ4では、前記パターン層13の表面に透明又は半透明な塗料層を形成する。前記塗料層は、単一の透明な表面塗料層17とすることができ、又は透明又は半透明な中間塗料層15と透明な表面塗料層17との組合とすることもできる。本実施形態においては、先ず、前記パターン層13の表面に透明又は半透明な中間塗料層15を形成した後、前記中間塗料層15の表面に透明な表面塗料層17を形成する。
【0020】
前記中間塗料層15を形成する塗料は、紫外線硬化塗料、ポリウレタン塗料又は不飽和ポリエステル塗料とすることができる。本実施例においては、紫外線硬化塗料を用いる。また、製品の色彩によって、前記塗料に相応する顔料を添加することができる。前記中間塗料層15と前記パターン層13とは、より強い結合力によって結合される。
【0021】
前記表面塗料層17を形成する塗料は、紫外線硬化塗料、ポリウレタン塗料又は不飽和ポリエステル塗料とすることができる。本実施例においては、紫外線硬化塗料を用いる。前記表面塗料層17は高い硬度を有するので、表面保護作用を奏する。
【0022】
また、前記プライマー塗料層11、前記中間塗料層15及び前記表面塗料層17を形成する前、それぞれ除塵処理を進行することができる。
【0023】
本発明に係るハウジング100は、前記基材10の表面に順次、プライマー塗料層11、トレード・マークとする金属質感を有するパターン層13、透明又は半透明な中間塗料層15及び透明な表面塗料層17を形成して製造される。本発明に係るハウジング100のトレード・マークは、金属質感の外観を有するばかりでなく、且つ製品の使用過程で摩損し難い。
【0024】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形又は修正が可能であり、該変形又は修正も又、本発明の特許請求の範囲内に含まれるものであることは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0025】
100 ハウジング
10 基材
11 プライマー塗料層
13 パターン層
15 中間塗料層
17 表面塗料層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の表面に形成されているプライマー塗料層と、
前記プライマー塗料層の表面に形成されている真空コーティング層であるパターン層と、
前記パターン層の表面に形成されている透明又は半透明な塗料層と、
を備えることを特徴とするハウジング。
【請求項2】
前記パターン層は、真空コーティング方式によって形成される、インジウム、スズ、アルミニウム、クロム及びステンレスからなる群より選択された金属層、又は、ケイ素及び酸化ケイ素からなる群より選択された非金属層であることを特徴とする請求項1に記載のハウジング。
【請求項3】
前記塗料層は、透明又は半透明な中間塗料層及び透明な表面塗料層を備えることを特徴とする請求項1に記載のハウジング。
【請求項4】
前記中間塗料層は、紫外線硬化塗料による塗料層、ポリウレタン塗料による塗料層又は不飽和ポリエステル塗料による塗料層であることを特徴とする請求項3に記載のハウジング。
【請求項5】
前記表面塗料層は、紫外線硬化塗料による塗料層、ポリウレタン塗料による塗料層又は不飽和ポリエステル塗料による塗料層であることを特徴とする請求項3に記載のハウジング。
【請求項6】
前記プライマー塗料層は、紫外線硬化塗料による塗料層であることを特徴とする請求項1に記載のハウジング。
【請求項7】
基材を提供するステップと、
前記基材の表面にプライマー塗料層を形成するステップと、
前記プライマー塗料層の表面に真空コーティング方式でパターン層を形成するステップと、
前記パターン層の表面に透明又は半透明な塗料層を形成するステップと、
を含むことを特徴とするハウジングの製造方法。
【請求項8】
前記プライマー塗料層を紫外線硬化塗料で形成することを特徴とする請求項7に記載のハウジングの製造方法。
【請求項9】
前記パターン層を形成するステップは、
必要とする図案又は文字部分が抜き出された遮蔽テープで前記基材の表面を被覆するステップと、
真空コーティングを行うステップと、
前記遮蔽テープを除去するステップと、
を含むことを特徴とする請求項7に記載のハウジングの製造方法。
【請求項10】
前記パターン層の表面に透明又は半透明な塗料層を形成するステップは、
前記パターン層の表面に透明又は半透明な中間塗料層を形成するステップと、
前記中間塗料層の表面に透明な表面塗料層を形成するステップと、
を含むことを特徴とする請求項7に記載のハウジングの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−100052(P2010−100052A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229660(P2009−229660)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(508155310)富士康(香港)有限公司 (185)
【Fターム(参考)】