説明

ハニカム体を製造するプロセスおよび装置

本発明は、自動車燃焼機関の排ガスを処理する金属製ハニカム体を製造する方法および装置に関する。ハニカム体の構成要素には、はんだ付けプロセスに先立って接着促進促進剤が与えられ、接着促進剤は滴状で所定の部分に正確に塗布される。特に、接着促進剤は好ましくはインクジェット、バブルジェット(登録商標)またはドロップオンデマンド技術を用いて塗布される。従って本発明により、シートメタルよりなり、流れの方向および/または流れの方向に対して横方向にわたって不均一の可撓性をもつこのタイプのハニカム体を簡単に製造することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車産業において、触媒支持体、吸着体および/またはフィルタ体として使用されるハニカム体を複数層から製造するプロセスおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
層、特に金属層を巻き付けるかまたは積み重ねて絡み合わせたハニカム体は様々な形のものが知られている。特に、複数層から構成されるハニカム体の2つの典型的な形状の間には区別がなされている。DE2902779A1において典型的な例が示されている初期の設計は螺旋状の設計であり、実質的に1つの平坦なシートメタル層と1つの波形のシートメタル層とが重ね合わされて螺旋状に巻き付けられている。別の設計では、ハニカム体は多数の平坦なシートメタル層と波形のシートメタル層とを交互に、または異なる波形のシートメタル層を交互に配置したものから構成される。シートメタル層は先ず1つ以上の積層体を形成し、これらが絡み合わされる。この場合、すべてのシートメタル層の端部が外側に位置するようになり、ハウジングまたは管状ケーシングに結合させることができるため、多数の結合部が形成され、これがハニカム体の耐久性を高める。これらの設計の典型的な例はEP0245737B1又はWO90/03220に記載されている。
【0003】
ハニカム体を製造するには、これらの層を互いに結合しなければならない。これを実現するには様々な結合手法が可能である。層を少なくとも小領域内で鑞付けする鑞付けプロセスが商業上非常に重要視されてきている。これを行うためには、追加の材料である、層より融点の低い鑞付け材料をハニカム体に導入することが必要である。ハニカム体を鑞付け材料の融点より高い温度まで過熱することによって、鑞付け材料は溶解し、これが冷却するとき層は互いに結合される。
【0004】
鑞付け材料は、例えば鑞付け箔または鑞付け粉末などの様々な形態でハニカム体に導入され得る。鑞付け箔は、層が実質的に互いに結合されることになる領域内に挿入または接着接合される。一方、鑞付け粉末は、接合剤を用いずにハニカム体に導入されるか、またはハニカム体の画定された小領域内に接合剤によって塗布される。
【0005】
接合剤を用いずに鑞付け粉末をハニカム体に導入する場合は、層の確定された小領域、例えば、軸方向に間隔をあけた小領域のみを互いに結合させるのは実質的に不可能である。層間の局所的に不均一な結合、すなわち流れの方向および/または流れの方向に対してほぼ横方向に貫通することができない結合、もしくは層のハニカム体を囲む管状ケーシングへの結合が所望される場合は、鑞付け粉末を用いるときは接合剤を塗布することが必要である。
【0006】
接合剤の塗布に関しては様々な手法が知られている。例えば、EP0422000B2は圧延による接合剤の塗布を開示している。この場合の接合剤の塗布は、層の巻き付けまたは積み重ねに先立って行われる。さらに、例えばDE10151487C1は、毛管力を用いる液状の接合剤の塗布を開示している。この場合には、層の巻き付けまたは積み重ねおよび絡み合わせの後、ハニカム体を液状接合剤と接触させる。毛管力の結果として、液状接合剤は、平坦な層と波形の層との接触領域によって形成される毛細管内へ上昇していく。
【0007】
上述のプロセスは両方とも欠点を有する。例えば、圧延による接合剤の塗布は比較的複雑であり、その上特に、接合剤が与えられることになる層に対するローラの相対的な位置決めは不正確となりやすい。さらに、毛管力による接合剤の導入によっては、十分に順応
性のある程度に小領域のみで隣接層を選択的に結合することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記に基づいて、本発明の1つの目的は、層を層の小領域においても結合させることが容易である、ハニカム体を製造するプロセスおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、独立して規定されるプロセスクレームおよび独立して規定される装置クレームの特徴を有するプロセスによって実現される。有利な改良がなされこれらが各々の従属クレームの内容を形成する。ここで挙げられる特徴は、本発明の更なる構成を実現するように任意の技術的に適切な方法で互いに組み合わせることができる。
【0010】
本発明による、層、好ましくは少なくとも一部が金属である層からハニカム体を製造するプロセスは以下のステップ、すなわち、
a)少なくとも1つの少なくとも一部が構造化された層および適切であれば、少なくとも1つのほぼ平坦な層を提供するステップと、
b)接合剤を少なくとも、前記ほぼ平坦な層および/または前記少なくとも一部が構造化された層の少なくとも1つの小領域に塗布するステップと、
c)ハニカム体を製造するステップと、
e)熱処理ステップを実行するステップとを包含し、
前記層には、接合剤が与えられた前記層の前記小領域に実質的に付着し続ける鑞付け材料が与えられ、ここで前記接合剤は滴状で塗布される。
【0011】
特に、ステップc)は、少なくとも1つの積層体を形成するために、少なくとも1つの少なくとも一部が構造化された層と少なくとも1つのほぼ平坦な層とを積み重ねることを包含する。
【0012】
この状況において、ステップd)は、ハニカム体を形成するために、前記少なくとも1つの積層体を絡み合わせること、および/または少なくとも1つの少なくとも一部が構造化された層および適切であれば、少なくとも1つのほぼ平坦な層を巻き付けることを包含することが好適である。
【0013】
さらに、前記ハニカム体には、ステップb)の後且つステップe)の前に粉末状の鑞付け材料が与えられることもまた提案される。本発明によれば、鑞付け材料は液状、特に滴状で塗布することも可能である。この場合、鑞付け材料の滴が層上の接合剤の滴を少なくとも一部、好ましくは可能な最大領域にわたって覆うことが好ましい。さらに、ステップb)において、純粋な接合剤の代わりに、鑞付けペースト、特に粉末状の鑞付け材料と粘性の接合剤との混合物を滴状で塗布することも可能である。
【0014】
接合剤を滴状で塗布することは、この塗布が接触なしに、すなわち接合剤を塗布する手段と層との間の機械的な接触を必要とせず行うことができるという従来技術に勝る利点を有する。さらに、本発明によれば、接合剤は層の巻き付けまたは積み重ねに先立って塗布されるので、層の小領域のみに接合剤が与えられその後互いに結合させることができるという利点がある。従って、いくつかの小領域では鑞付けされるが他の小領域では鑞付けされないハニカム体を構築することができ、よって結合が不均一なハニカム体を簡単な方法で実現することが可能である。従って、弾性において不均一である、すなわちいくつかの小領域は他の小領域より弾性が大きいかまたは小さいハニカム体を製造することができるという利点がある。このハニカム体を自動車の排気システムに使用すると、ある特定の排気システムに特有の要件に適合するハニカム体を製造することが可能である。
【0015】
さらに、接合剤を滴状で塗布することにより、少なくとも滴直径の大きさ程度までの接合剤塗布の局所精度が可能となり、よって接合剤が塗布される層の小領域の範囲を局所的に非常に正確に定めることができる。
【0016】
熱処理ステップを実行するときは、このステップは鑞付け炉内での鑞付け作業でよいが、誘導鑞付けまたは放射鑞付けもしくは溶接作業の廃熱によって加熱を行うこともできる。
【0017】
用いられる接合剤は、好ましくは分極性溶媒、特に水または有機溶媒をベースとする、好ましくは低粘度の接合接着剤である。また、ハニカム体を作り上げるためには試験および検査済みの接合剤を使用することが好ましい。
【0018】
本プロセスの有利な構成によれば、接合剤は、少なくとも一部が構造化された層の、構造体の側面の、好ましくは構造体先端部近くの領域に塗布される。
【0019】
例えば、ハニカム体をほぼ平坦な層と少なくとも一部が構造化された層とを巻き付けることによって作り上げる場合は、巻き付け作業の後、少なくとも一部が構造化された層の構造体先端部、すなわち構造体最低部および構造体最高部は、ほぼ平坦な層の対応する領域を圧迫する。これら層間の接触領域であって、ここに後で鑞付け接合面が形成されることになる領域が停止面を形成する。この鑞付け接合面は、構造体先端部の近辺に鑞付け粉末を導入することによって実現され、これにより鑞付け中に、構造体先端部に隣接して、少なくとも1つ、好ましくは2つの鑞付けポケットが形成される。これら鑞付けポケットは、例えば、ほぼ三角形であり得る。接合剤を層の巻き付けまたは絡み合わせに先立ってハニカム体に導入し、鑞付け材料を層の巻き付けまたは絡み合わせの後にハニカム体に導入する場合は、鑞付けポケットは構造体先端部に直ぐ隣接して形成され、一方構造体先端部自体は層間の鑞付け結合には貢献しない。
【0020】
結合剤を構造体の側面の、構造体先端部の近くに塗布する場合は、鑞付け材料の塗布時、鑞付け粉末は後で結合されることになる領域内に正確に付着する一方で、構造体先端部自体には接合剤は塗布されない。ハニカム体が巻き付けられているとき、または1つ以上の積層体が絡み合わされているとき、ほぼ平坦な層と少なくとも一部が構造化された層との間に相対移動が起こる。この場合、2つの層は実質的に構造体先端部上で滑る。構造体先端部上に接着剤が存在すると、この相対移動は妨げられ、巻き付けまたは絡み合わせ動作がより難しくなる。従って、接合剤を構造体の側面に塗布することにより、巻き付けまたは絡み合わせ特性が向上し、しかもそれにも係わらず層の互いに対する結合は高い信頼度で実現される。
【0021】
本プロセスの別の有利な構成によれば、接合剤はプリントされる。この場合、接合剤がドロップオンデマンドプロセス、バブルジェット(登録商標)プロセスおよび/または連続インクジェットプロセスを用いて塗布されると特に好ましい。
【0022】
ドロップオンデマンドプロセスは、層の所定の点がプリントされることになるときのみ接合剤の滴が生成されるという事実によって特徴付けられるプリントプロセスである。接合剤の滴を放出することができるプリント装置と、この接合剤の滴が塗布され得る層の対応する領域とを考慮すると、接合剤の滴は、層の対応する領域に接合剤が与えられることになるときのみに生成される。接合剤が塗布されない場合は、接合剤の滴も生成されない。
【0023】
これに対して、接合剤滴の連続噴流が生成されて、この滴の噴流は、領域がプリントさ
れないことになる場合は、デフレクタを介して収集手段へと導かれ、プリントされるべき表面には到達しない、連続プリントプロセスもある。
【0024】
ドロップオンデマンドシステムにより、例えば、圧電アクチュエータによって接合剤の個々の滴を生成することが可能である。圧電アクチュエータは、圧電効果に基づく電気機械的変換器である。この場合、AC電圧を圧電素子に印加することにより機械的な振動が生じる。プリントされるべき物質が供給されたノズルを圧電変換器として動作させると、これら機械的な振動はプリント材料の滴を生成し、滴は比較的高い速度でノズルを離れる。これら滴はプリントされる先の材料に当たりこれに付着する。例えば上述の圧電アクチュエータを含むプリント装置を位置決めすることによって、層の特定の小領域はプリントし、特定の小領域はプリントしないようにすることができる。圧電変換器に基づく様々なドロップオンデマンドプロセスが知られている。純粋に例として挙げれば、圧電チューブ、圧電ディスクおよび圧電プレートがある。
【0025】
別のドロップオンデマンドプロセスとしてバブルジェット(登録商標)プロセスがある。この場合は、接合剤の滴は圧電変換器によって生成されるのではなく、熱アクチュエータを使用することによって生成される。熱アクチュエータは、ノズル内に形成されプリントによって塗布されるべき材料、すなわち接合剤が供給される加熱素子である。これら加熱素子は、ノズル内で短期間に局所的に、接合剤の沸点をかなり超える温度を生成する。接合剤は膜として局所的に沸騰を始め、短期間で連続的な蒸気バブルが形成される。この蒸気バブルによって、プリントによって塗布されるべき物質の滴がノズルから押し出され、10バール以上の圧力および10m/秒以上の出口速度に達することが可能となる。蒸気バブルはやがて崩壊し、その後毛管力により更なる接合剤が吸入される。これらバブルジェット(登録商標)プロセスの場合、一般にエッジシューターおよびサイドシューターと呼ばれる様々なプリント手法の間では区別がなされる。
【0026】
連続インクジェットプロセスは、インク滴の連続噴流が生成され、プリントヘッドの位置決めおよび/または静電気による方向転換によって所定の小領域にプリントを行う、既知のプリントプロセスである。
【0027】
このタイプの連続インクジェットプロセスを接合剤の塗布に用いると、接合剤滴の連続噴流が生成され、接合剤が与えられることになる層の小領域へと誘導される。次に接合剤滴は層に付着する。特に静電気による方向転換は、ポイントのプリントのみではなく重複ポイントのプリントもまた可能であり、これによりラインが理想的に形成されるという利点がある。
【0028】
本プロセスの有利な構成によれば、接合剤はパルス励振されるノズルを通して塗布される。この場合、パルス励振という用語は、ノズルは高周波振動を受けるのではなく、接合剤滴がノズルを通って放出されようとするとき単一のパルスによって励振されるということを意味する。このタイプのパルス励振は、例えば、ノズルに接続される圧電素子への電圧パルスによって、または対応する加熱素子での熱パルスによって生成することができる。従って、パルス励振の場合は、ノズルは、接合剤滴を層に塗布する必要があるときのみに励振される。
【0029】
本プロセスの有利な構成によれば、接合剤は、高周波振動へと励振されるノズルを通して塗布される。連続インクジェットプロセスでのノズルの振動励起は、この励振は進行ベースで行われこれにより接合剤滴の連続噴流が生成されるという事実によって、ドロップオンデマンドプロセスとは異なる。所定のいくつかの小領域はプリントされないことになるが、更なる手段を講じなければ接合剤滴噴流がそれらの小領域に当たることになる場合には、これらの接合剤滴が層に到達せず手前で捕捉されることを偏向手段によって確実に
する必要がある。高周波振動という用語は、特に、10kHzより高い、好ましくは50kHzより高い、特に好ましくは100kHzより高い周波数での振動を意味すると理解されたい。
【0030】
本プロセスのさらに有利な構成によれば、接合剤は、前記ノズル内で2バールより高い、好ましくは2.5バールより高い圧力である。
【0031】
本プロセスのさらに有利な構成によれば、ノズルの励振は圧電素子によって行われる。この場合、励振は圧電素子によって行われ、例えばドロップオンデマンドシステムの場合には圧電素子のパルス様励振によって、および連続インクジェットプロセスの場合には圧電素子の永久高周波励振によって行われる。
【0032】
本プロセスの有利な構成によれば、励振は少なくとも50kHz、好ましくは少なくとも60kHz、特に好ましくは少なくとも100kHzの周波数で行われる。連続インクジェットシステムでのこのタイプの高周波励振は、接合剤を結合されることになる層の領域に非常に高速および迅速に塗布するのを可能にする。従って、高い製造速度を実現することができ、このためハニカム体を非常に短いサイクル時間で製造することが可能となる。
【0033】
本プロセスのさらに有利な構成によれば、接合剤滴は静電により帯電されまた静電により偏向される。従って、プリントヘッドの機械的な方向転換に加えて、またはこれに代えて、やはり接合剤の特に正確に定められた塗布を実現するために噴流の正確な方向転換を行うことができる。
【0034】
本プロセスのさらに有利な構成によれば、前記層に塗布されないことになる接合剤滴は、静電により収集手段へと方向転換されてリサイクルされる。従って、層に塗布されないことになる滴を偏向させ、収集しそして接合剤レザバーへとリサイクルすることができるという利点がある。このようにして、接合剤の消費を減らすことができるという利点がある。
【0035】
本プロセスの有利な構成によれば、接合剤の前記層上での位置決めは、前記接合剤滴が前記層に当たる前に、目標を定めて静電により前記接合剤滴を偏向させることによって少なくとも一部は実現される。これにより接合剤滴を層上に非常に正確に位置決めすることが可能になるという利点がある。静電による偏向のみによって接合剤を層上に位置決めすることは可能であり本発明によるものである。これは非常に正確および迅速に行うことができ、このため高品質のハニカム体を短い製造時間で製造することができる。
【0036】
本プロセスのさらに有利な構成によれば、接合剤滴は、ノズル内で前記接合剤を短期間でその沸点を超えて加熱することによって生成される。この場合の接合剤は薄いノズルを連続して満たし、短期間で沸点を超えて加熱することにより蒸気バブルが形成され、これにより接合剤滴がノズルから加速されて出て行く。この接合剤滴を、接合剤を層に塗布するために使用することができる。
【0037】
本プロセスの別の有利な構成によれば、層の少なくともいくつかは金属層、好ましくはシートメタル層および/または金属ファイバー層として形成される。本発明によるハニカム体を金属層、特にシートメタル層および/または金属ファイバー層から構成することにより、非常に耐性および耐熱性があるハニカム体が形成されるという利点がある。これらは、自動車の排ガスの少なくとも一部を変換する触媒支持体として使用することができる。さらに、このタイプのハニカム体はまた吸着コーティングのための支持構造体としても使用することができる。すなわち、例えば炭化水素を自動車の排気システムに貯蔵するた
めに、または例えば排ガスの1つ以上の成分を貯蔵して後で再び放出するために使用することができる。例えば、このタイプの吸着体は窒素酸化物(NOx)の一時的な貯蔵用として知られている。このタイプのハニカム体の更なる適用領域としては、自動車産業における、例えば微粒子をフィルタリングするフィルタ体としてのものがある。このタイプの微粒子フィルタはオープン型またはクローズ型のいずれの設計でもよい。オープン型の微粒子フィルタの場合には、フィルタ材料の孔径より大きい微粒子がフィルタを通過することができるが、クローズ型フィルタシステムの場合は異なる。また金属ファイバー層をシートメタルストリップで補強することも可能であり本発明によるものである。
【0038】
本プロセスの別の有利な構成によれば、層の少なくともいくつかは複合材料、好ましくはセラミックファイバーと、金属材料、好ましくは金属ファイバーおよび/またはシートメタル層とを含む複合材料により形成される。従って、例えばフィルタ体の複合材料、すなわちセラミックファイバーおよび/または金属ファイバーを含み、適切であればファイバー材料に結合させてあてがったシートメタル層によって補強され得る複合材料を用いることができるという利点がある。層の1つの小領域をシートメタル層から形成し、層の別の小領域をセラミックファイバー層から形成することも等しく可能である。
【0039】
本プロセスの有利な構成によれば、層上の前記接合剤滴は0.05〜0.7mm、好ましくは0.1〜0.4mm、特に好ましくは0.1〜0.3mmの平均直径を有する。上述のような直径または幅を有する層上の接合剤ドットまたはラインにより、鑞付け作業の後で隣接する層に結合される領域を非常に正確に画定することが可能である。
【0040】
本プロセスのさらに有利な構成によれば、接合剤の塗布は、好ましくは前記層の移動の方向にほぼ垂直である塗布方向に行われる。
【0041】
本プロセスのさらに有利な構成によれば、接合剤の塗布は、好ましくは接合剤が与えられる前記少なくとも1つの小領域の表面にほぼ垂直である塗布方向に行われる。特に接合剤を少なくとも一部が構造化された箔に塗布する場合、特定の接合剤滴を構造体先端部に隣接して形成することが可能となり、これにより幅広の接合剤層が横方向の側面に塗布されるのを避けることができる。
【0042】
本発明の概念の更なる局面は、ハニカム体を製造する装置を提案するものであって、装置は少なくとも以下の構成要素、
a)少なくとも1つの少なくとも一部が構造化された層および適切であれば、少なくとも1つのほぼ平坦な層を提供する手段と、
b)接合剤を少なくとも、前記ほぼ平坦な層および/または前記少なくとも一部が構造化された層の少なくとも1つの小領域に塗布する手段と、
c)ハニカム体を生成する手段と、
e)鑞付け材料塗布手段であって、これによって前記ハニカム体(29)に鑞付け材料を与えることができ、前記鑞付け材料は接合剤が与えられた前記領域に実質的に付着し続ける、鑞付け材料塗布手段と、
f)熱処理ステップを実行する処理手段と、を備え、
前記接合剤を塗布する手段は、前記接合剤を前記層の小領域にプリントする少なくとも1つのプリント装置と、接合剤レザバーと、接合剤を前記プリント装置に供給する供給手段とを備えている。
【0043】
特に、構成要素c)は、少なくとも1つの少なくとも一部が構造化された層と少なくとも1つのほぼ平坦な層とを積み重ねて、少なくとも1つの積層体を形成する積み重ね手段を含む。
【0044】
さらに、金属層の前記少なくとも1つの積層体を絡み合わせる絡み合わせ手段、および/または少なくとも1つの少なくとも一部が構造化された層および適切であれば、少なくとも1つのほぼ平坦な層を巻き付ける巻き付け手段とを備えてハニカム体を形成する構成要素d)を提供することが好ましい。
【0045】
本発明による装置は、プリント手法によってハニカム体を構築するために層に鑞付け材料を固着させるための接合剤の塗布を可能にするという利点がある。この場合、プリント装置は、ほぼ平坦な層および少なくとも一部が構造化された層の両方に接合剤を塗布するために使用することができる。
【0046】
本件においては、層という用語は、特に金属層および/または複合材料の層を意味するものと理解されたい。
【0047】
本装置の有利な構成によれば、プリント装置はドロップオンデマンドプリント装置である。
【0048】
本装置の別の有利な構成によれば、プリント装置はバブルジェット(登録商標)プリント装置である。
【0049】
本装置の別の有利な構成によれば、プリント装置は連続インクジェットプリント装置である。
【0050】
これら3つのプリント装置すべては基本的に接合剤の塗布を非常に容易にする。これらプリント装置が根拠とするプリントプロセスは従ってインクまたはインクジェットプロセスとして知られているものである。
【0051】
本装置の別の有利な構成によれば、プリント装置は、励振されて高周波またはパルス様の振動を行い得る、接合剤を塗布するノズルを有する。高周波でまたはパルス状に励振するノズルは、対応するプリント装置と共に、プリントされることになる金属層の小領域に塗布され得る個々の接合剤滴または接合剤滴噴流を生成することができるという利点を有する。
【0052】
本発明による装置の別の有利な構成によれば、ノズルは圧電素子を有する。圧電素子は圧電効果に従って動作する素子である。すなわち、この素子に存在するAC電圧が振動に変換される。この場合、電圧パルスによるパルス励振を用いることができる。もしくは、高周波AC電圧を圧電素子に印加することによって高周波振動を生成することができる。
【0053】
本発明による装置の別の有利な構成によれば、プリント装置は、前記接合剤を静電により帯電する帯電手段と、前記接合剤を偏向させる偏向手段とを有する。
【0054】
この場合、偏向手段を静電形態で設計すると、すなわち静電により帯電した接合剤滴の偏向を静電界によって生じさせると特に有利である。
【0055】
本装置の更なる有利な構成によれば、接合剤を塗布する手段は、塗布されなかった接合剤を収集する収集手段を備える。
【発明の効果】
【0056】
例えば連続インクジェットプロセスなどのインクジェットプロセスの場合、対応して設計されたプリント装置では、金属層の表面に到達しないことになる接合剤滴を収集することが必要とされる。例えば層の特定の小領域のみに接合剤を与えることがこの方法では可
能である。例えば、少なくとも一部が構造化された層の構造体の側面に接合剤がプリントされると有利となり得る。このためには、少なくとも一部が構造化された層の構造体の長さ対応する長さを有するプリント装置を用いると有利となる。構造体がその長さ全体にわたってプリントされず、小領域においてのみプリントされることとすると、接合剤の塗布が必要とされない領域に当たる滴のいくつかを収集することが必要となる。これは収集手段によって行われる。本装置の別の有利な構成によれば、収集された接合剤は、接合剤を塗布する手段に含まれるリサイクル手段によって接合剤レザバーに戻される。
【0057】
本発明によるプロセスに関連して開示した詳細および利点のすべては、本発明による装置にとっても等しく好都合であり、逆もまた成り立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
図1は、層であって、他の層と共に後にハニカム体を製造することになる層に接合剤を塗布するプロセスステップの概略図を模式的に示している。1つのこのような層、特に、象徴的に示された構造体先端部2、すなわち構造体最低部および構造体最高部を有する少なくとも一部が構造化された層1は、接合剤を塗布する手段4に対して移動の方向3に動かされる。接合剤を塗布する手段4は、圧電素子5、ノズル6、帯電手段7、偏向手段8および収集手段9を備えている。
【0059】
この場合、ノズル6には接合剤が2.5バール以上の圧力で供給される。ノズル6は、高周波AC電圧が印加されている圧電素子5によって振動するようにされる。この場合には50kHzより高い、好ましくは60kHzより高い、特に好ましくは100kHzより高い振動周波数が好適である。この結果、接合剤滴の連続噴流がノズル6から出て行く。この滴噴流35は帯電手段7において静電により帯電する。このように静電により帯電した接合剤滴は静電界が印加されているため偏向手段8によって偏向される。図1は様々に偏向した滴噴流35を示す。この結果、層1上に接合剤ドット10だけではなく、接合剤ライン11もまた生成することができる。接合剤、すなわち接合剤ドット10または接合剤ライン11は、構造体先端部2に直ぐ隣接して塗布されるのが特に好ましい。この結果、接合剤の塗布は依然として構造体の頂点の領域内であり、また構造体の側面領域ではなく構造体先端部2の直ぐ隣りとなる。このため、次の少なくとも一部が構造化された層1およびほぼ平坦な層の巻き付けにおいて、少なくとも一部が構造化された層1がほぼ平坦な層の上を滑るときの経由部である構造体先端部2には接合剤が塗布されず、よって滑り摩擦は、接着剤を構造体先端部2に塗布する巻き付けに比べて低減される。
【0060】
図2は、接合剤を塗布する手段4の別の例示的な実施形態を示す。この場合には、ほぼ平坦な層12が移動の方向3にプリント装置13を通って移動する。プリント装置13は接合剤36を滴噴流35の形態で塗布方向41に塗布する。この場合には、塗布方向41は層12の移動の方向3にほぼ垂直である。プリント装置13は、圧電素子5、帯電手段7、偏向手段8および収集手段9を備えている。圧電素子5は高周波AC電圧で動作し、これが圧電素子5が振動方向14に振動するように導く。高圧ポンプ15によって、接合剤レザバー16からの接合剤は高圧で供給手段40を通ってノズル6へと送られる。圧電素子5の振動により、そこから高周波の連続または擬似連続滴噴流35が生成される。これらの滴35は帯電手段7で静電により帯電し、偏向手段8で静電により偏向される。図2は滴噴流35に対する様々な方向転換を示す。方向転換は、偏向手段8および帯電手段7に各々の電圧を印加することによって実現される。この結果、滴噴流35は層1、12に対して移動し得る。本例示的実施形態では、接合剤のライン11が、図では斜視で示すほぼ平坦なシートメタル層12上に生成される。この場合には接合剤のライン11を非常に異なる様々な長さで形成することが可能である。接合剤のライン11を、移動の方向3を横断する横方向17に対して様々な長さで、および横方向17に対して様々な異なる位置に生成することが可能である。これは、対応するAC電圧を偏向手段8に印加すること
によってなされる。接合剤の連続ライン11が生成されないことになる場合には、部分ライン間に当たるはずの滴を収集手段9へと偏向させなければならない。この結果、これら接合剤滴は層1、12に当たらない。収集手段9に収集された接合剤滴は、リサイクル手段18および適切であれば、フィルタ19を介して接合剤レザバー16に戻される。
【0061】
接合剤をほぼ平坦な層12に塗布するためのここで開示した可能な選択は、少なくとも一部が構造化された層1に対しても等しく有効である。
【0062】
図1および図2に示した実施例は、実質的には、連続インクジェットプロセスに従って動作する接合剤を塗布する手段4を含む。図3に示す第2の例示的実施形態では、ドロップオンデマンド方式に従って動作するプリント装置13が用いられる。このタイプのシステムは、ノズルの高周波振動を連続して生成し、従って擬似連続滴噴流を生成するではなく、個々のパルスによって個々の滴22が生成される。図3は様々な時間1〜4での同じプリント装置13を示す。プリント装置13は、コンタクト20を介して電圧パルスを受け取ることができる圧電素子5を備えている。滴の生成が4つの異なる時間1〜4で図式的に示されている。時間1では、圧電素子5は休息の姿勢にある。ノズル6および供給ライン21は接合剤36で満たされている。ステップ2では、電圧パルスがコンタクト20を介して圧電素子5に印加されており、これにより圧電素子5がたわむ。この結果、2つの矢印によって象徴的に示されるように接合剤36が移動する。ステップ3では、圧電素子5の電圧パルスは再び消え、よって圧電素子は既に少なくとも一部が変形してその元の形状に戻っている。これにより、接合剤36は矢印によって示されるように移動する。ステップ3では、滴22が射出されるが、ノズル6内の接合剤36からまだ離されていない。これはステップ4で生じる。このとき圧電素子5は再び時間1の場合のように休息の姿勢となる。放出された接合剤滴22はノズル6を離れる。多数のこれらプリントユニット13を用いることによって、ノズル6と層1、12との間の距離を適切な大きさにし、また個々のプリントユニット13間の適切な重複を考慮に入れるならば、層1、12上に接合剤35よりなるラインをプリントすることが可能である。個々のプリント装置13を特定の時間に作動させないでこのとき接合剤の滴22を放出しないようにする一方で、他のプリントユニット13は作動して接合剤の滴22を放出し続けるようにすることによって、これらのラインに隙間を作ることができる。
【0063】
別の方法として、ノズル6を短期間加熱することによって接合剤36の沸騰膜を生成するバブルジェット(登録商標)法がある。この膜は、接合剤36の滴22をノズル6から投げ出す蒸気バブルを生成する。このプロセスは従来技術で既知であり、またドロップオンデマンドプロセスを代表するものである。
【0064】
図4は、本発明によるプロセスの好適な実施形態による接合剤の塗布の詳細を示す。この場合には、接合剤は、少なくとも一部が構造化された層1の接合剤滴22の形態で塗布される。この少なくとも一部が構造化された層1は、本実施例では正弦波形状で構成されるが、三角形の波形または他の構造を用いることも等しく可能である。接合剤は、接合剤を塗布する手段4によって少なくとも一部が構造化された層1に塗布される。接合剤は構造体先端部2に隣接する領域に塗布される。具体的には、ハニカム体が少なくとも一部が構造的なシートメタル層1および適切であれば、ほぼ平坦な層12から構成される場合、層1、12は層1、12の巻き付けまたは絡み合わせの間互いに対して移動する。このため少なくとも一部が構造化された層1がほぼ平坦な層12上を滑ることになる。接合剤が構造体先端部2に直に塗布されるとすると、これは少なくとも一部が構造化された層1とほぼ平坦な層12との間の滑り摩擦を増大させ、これにより巻き付けまたは絡み合わせをより難しくすることになろう。しかし、少なくとも一部が構造化された層1とほぼ平坦な層12とは互いに結合されて本発明によるハニカム体を構築しなければならない。これは多くの場合、鑞付けまたははんだ付け動作(「Verloeten」)、特に、鑞付け動作(「Har
tloeten」)によって行われ、層が互いに結合される。鑞付けは構造体先端部2の領域で実行され、このため少なくとも一部が構造化された層1とほぼ平坦な層12との間の接触の際には、構造体先端部2の両側にほぼ三角形の鑞付けポケットが形成される。これは、少なくとも一部が構造化された層1とほぼ平坦な層12との間の結合を実現するためには、構造体先端部2の領域に鑞付け材料を塗布する必要があることを意味する。従って、本発明の主な利点の1つは、接合剤を構造体先端部2に直ぐ隣接して塗布することができることである。つまり、巻き付けまたは絡み合わせの間の層1、12間の滑り摩擦が低減する一方で、鑞付け材料を構造体先端部の領域内に塗布することができる。このように、巻き付けまたは絡み合わせをさらに難しくすることなく層1、12間に永久的且つ高品質の結合を作ることが可能である。このためには、本発明によれば、接合剤は構造体先端部2に直ぐ隣接して塗布される。
【0065】
図5は、一例として、2つの結合された層1、12を示す。この場合は、少なくとも一部が構造化された層1がほぼ平坦な層12に結合されている。少なくとも一部が構造化された層1は構造体先端部2を有し、ここで少なくとも一部が構造化された層1はほぼ平坦な層12を圧迫している。本発明によるプロセスにより鑞付けポケット23が形成され、これが少なくとも一部が構造化された層1をほぼ平坦な層12に結合する。
【0066】
図6は、ハニカム体を製造する装置の構成を模式的に示す。図6は、少なくとも1つの少なくとも一部が構造的な金属層および適切であれば、少なくとも1つのほぼ平坦な金属層を提供する手段23を示す。この手段は、例えば、巻き付けを解き切断すること、および適切であれば、平坦なシートメタル箔コイルからシートメタル層を構造化することを実行することができる。あるいはまた、少なくとも特定の長さで提供されるファイバー材料を適切に用意しこれを適宜構造化することもできる。この手段23により、必要とされる少なくとも一部が構造化された層または、適切であれば、ほぼ平坦な層が利用可能となる。この場合、この手段は、図示していないが、例えばコイルから解かれる平坦な層からほぼ構造化された層を作るために用いられる構造化手段を有し得る。さらにほぼ平坦な層に微細構造を形成する微細構造手段を含むことができる。
【0067】
層を提供する手段23の後には、接合剤を塗布する手段4が続く。接合剤を塗布する手段4の詳細については上記の記載を参照されたい。接合剤を塗布する手段4の後には、ほぼ平坦な層と少なくとも一部が構造的なシートメタル層との積層体が形成される、積み重ね手段24が続く。積み重ね手段24の後には、積み重ね手段24において形成された1つ以上の積層体が互いに絡み合わされる、絡み合わせ手段25が続く。このようにして、例えば、S形状または内巻き形状のハニカム体を製造することができる。また積み重ね手段24を提供しないで、代わりに1つの少なくとも一部が構造化された層もしくは複数の少なくとも一部が構造化された層とほぼ平坦な層とを巻き付けて、例えば螺旋状ハニカム体を形成することも等しく可能である。
【0068】
絡み合わせ手段25の次には、巻き付けられたハニカム体に粉末状の鑞付け材料を導入する、鑞付け材料塗布手段26が続く。鑞付け材料塗布手段の次には、熱処理を実行して、その間に導入した鑞付け材料を溶解させて層1、12を互いに結合させる処理手段27が続く。個々の手段23、4、24、25、26および27は、中間産生物が1つの手段から次の手段へと搬送されるのを可能にする接続手段28によって互いに接続される。提示した例では、鑞付け材料塗布手段26での鑞付け材料の塗布は、積み重ね手段24および絡み合わせ手段25での積み重ねおよび絡み合わせの後で行われる。しかし、積み重ねおよび/または絡み合わせの前に粉末状の鑞付け材料を塗布することも等しく可能であり本発明によるものである。
【0069】
図7は螺旋状に巻き付けられたハニカム体の実施例を用い、本発明によるプロセスによ
って可能となる接合剤36を塗布する様々なオプションを示している。螺旋状に巻き付けられたハニカム体29は、少なくとも一部が構造化された層1およびほぼ平坦な層12を螺旋状に巻き付けたものである。ハニカム体29は、ハニカム体29を貫通する通路30を有する。媒体がハニカム体29を通って第1端側部37から第2端側部38へと流れの方向39に流れることができる。図7は、接合剤が、本発明によるプロセスを用いて少なくとも一部が構造化された層1およびほぼ平坦な層12の両方にどのように塗布され得るかについて様々なオプションを示している。例としては、接合剤36は端側部接合剤ストリップ31として、または内部接合剤ストリップ32として塗布することができる。接合剤36が少なくとも一部が構造化された層1およびほぼ平坦な層12の両方に塗布されている場合は、連続接合剤ストリップ33を形成することができる。この場合は特に、これらのストリップは、少なくとも一部が構造化された層1の構造体先端部2に直ぐ隣接して形成されることが好ましい。この場合、構造体先端部2自体に対応する構造体の領域には接合剤36は与えられない。さらに、少なくとも一部が構造化された層1の小領域のみに接合剤を与えることが可能である。この場合は、接合剤36が塗布された小領域34を、流れの方向から見て両端側部および内部の両方に形成することが可能である。例えば、各構造体は接合剤36が塗布された領域を複数持つことができる。これらすべての実施例では、接合剤は、本発明により滴状で、好ましくは滴噴流の形態で、特に好ましくは、例えば連続インクジェットプリント装置などのプリント装置によって塗布される。
【0070】
次の鑞付け粉末の塗布の間、この粉末は、接合剤36が塗布された小領域31、32、33および34に付着し続け、これにより層1、12はこれら小領域31、32、33および34において互いに結合される。
【0071】
図8は、本発明によるプロセスの有利な構成の別の実施例を示す。この場合は、接合剤滴22形状の接合剤が少なくとも一部が構造化された層1に塗布される。この場合の接合剤の塗布は、接合剤36が与えられることになる小領域43の表面42に対してほぼ垂直に行われる。すなわち、接合剤が与えられることになる表面42に対してほぼ直角の面の方向に塗布される。これはプリント装置13の適切な調整によって行われる。接合剤36が与えられることになる小領域42は構造体先端部2に隣接する位置にある。
【0072】
ハニカム体29を製造する本発明によるプロセスおよび本発明による装置は、隣接する層への結合が実質的に行われることになる領域に接合剤36を非常に正確に塗布することができるという利点がある。この場合、接合剤36はプリント手法によって、特に構造体先端部2に直ぐ隣接する側面領域に塗布されることが好ましい。この結果、好ましくは、構造体先端部2自体には接合剤36を塗布しないでおくことが可能となり、これにより次の層1、12の巻き付けまたは絡み合わせの実行がより容易となる。本発明によるプロセスおよび本発明による装置により、流れの方向39、および/または流れの方向39に対してほぼ横方向にわたって不均一な可撓性を持つハニカム体29を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】接合剤を塗布するプロセスステップを示す図。
【図2】接合剤を塗布する手段の構造を模式的に示す図。
【図3】接合剤滴を生成する別の例示的な実施形態を模式的に示す図。
【図4】本発明によるプロセスの好適な実施形態による接合剤塗布の詳細を模式的に示す図。
【図5】2つの結合された層の例を示す図。
【図6】ハニカム体の製造のための本発明による装置を模式的に示す図。
【図7】螺旋状ハニカム体の例に基づく接合剤の可能な塗布の例を示す図。
【図8】本発明によるプロセスのさらに好適な実施形態による接合剤の塗布の詳細を模式的に示す図。
【符号の説明】
【0074】
1 少なくとも一部が構造化された層、2 構造体先端部、3 移動の方向、4 接合剤を塗布する手段、5 圧電素子、6 ノズル、7 帯電手段、8 偏向手段、9 収集手段、10 接合剤ドット、11 接合剤ライン、12 ほぼ平坦な層、13 プリント装置、14 振動装置、15 高圧ポンプ、16 接合剤レザバー、17 横方向、18
リサイクル手段、19 フィルタ、20 コンタクト、21 供給ライン、22 接合剤滴、23 層を提供する手段、24 積み重ね手段、25 絡み合わせ手段、26 鑞付け材料塗布手段、27 処理手段、28 絡み合わせ手段(接続手段)、29 ハニカム体、30 通路、31 端側部接合剤ストリップ、32 内部接合剤ストリップ、33
連続接合剤ストリップ、34 小領域、35 滴噴流、36 接合剤、37 第1端側部、38 第2端側部、39 流れの方向、40 供給手段、41 塗布方向、42 表面、43 小領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
層(1、12)、好ましくは少なくとも一部が金属である層からハニカム体(29)を製造するプロセスであって、
a)少なくとも1つの少なくとも一部が構造化された層(1)および適切であれば、少なくとも1つのほぼ平坦な層(12)を提供するステップと、
b)接合剤(36)を少なくとも、前記ほぼ平坦な層(12)および/または前記少なくとも一部が構造化された層(1)の少なくとも1つの小領域(10、11、31、32、33、34、43)に塗布するステップと、
c)ハニカム体を製造するステップと、
e)熱処理ステップを実行するステップとを包含し、
前記層には、接合剤(36)が与えられた前記層(1、12)の前記小領域(10、11、31、32、33、34、43)に実質的に付着し続ける鑞付け材料が与えられ、ここで前記接合剤(36)は滴状(22、35)で塗布される、プロセス。
【請求項2】
前記ステップc)は、少なくとも1つの積層体を形成するために、少なくとも1つの少なくとも一部が構造化された層(1)と少なくとも1つのほぼ平坦な層(12)とを積み重ねることを包含する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
ステップd)は、ハニカム体(29)を形成するために、前記層(1、12)の少なくとも1つの積層体を絡み合わせること、および/または少なくとも1つの少なくとも一部が構造化された層(1)および適切であれば、少なくとも1つのほぼ平坦な層(12)を巻き付けることを包含する、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記ハニカム体(29)には、前記ステップb)の後且つ前記ステップe)の前に粉末状の鑞付け材料が与えられる、上記請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項5】
前記接合剤(36)は、前記少なくとも一部が構造化された層(1)の、構造体の側面の、好ましくは構造体先端部(2)近くの領域に塗布される、上記請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項6】
前記接合剤(36)はプリントされる、上記請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項7】
前記接合剤(36)はドロップオンデマンドプロセスを用いて塗布される、上記請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項8】
前記接合剤(36)はバブルジェット(登録商標)プロセスを用いて塗布される、請求項1〜6のうちの1つに記載のプロセス。
【請求項9】
前記接合剤(36)は連続インクジェットプロセスを用いて塗布される、請求項1〜6のうちの1つに記載のプロセス。
【請求項10】
前記接合剤(36)はパルス励振されるノズル(6)を通して塗布される、上記請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項11】
前記接合剤(36)は高周波振動へと励振されるノズル(6)を通して塗布される、上記請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項12】
前記接合剤は、前記ノズル(6)内で2バールより高い、好ましくは2.5バールより高い圧力である、請求項10または11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ノズル(6)の励振は圧電素子(5)によって行われる、請求項10〜12のうちの1つに記載のプロセス。
【請求項14】
前記励振は少なくとも50kHz、好ましくは少なくとも60kHz、特に好ましくは少なくとも100kHzの周波数で行われる、請求項11〜13のうちの1つに記載のプロセス。
【請求項15】
前記接合剤滴(22、35)は静電により帯電されまた静電により偏向される、上記請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項16】
前記層(1、12)に塗布されないことになる接合剤滴(22、35)は、静電により収集手段(9)へと方向転換されてリサイクルされる、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記接合剤(36)の前記層(1、12)上での位置決めは、前記接合剤滴(22、35)が前記層(1、12)に当たる前に前記接合剤滴を目標を定めて静電により偏向させることによって少なくとも一部は実現される、請求項15または16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記接合剤滴(22)は、ノズル(6)内で前記接合剤(35)をその沸点を超えて短期間で加熱することによって生成される、請求項1〜8の1つに記載のプロセス。
【請求項19】
前記層(1、12)の少なくともいくつかは金属層、好ましくはシートメタル層および/または金属ファイバー層として形成される、上記請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項20】
前記層(1、12)の少なくともいくつかは複合材料、好ましくはセラミックファイバーと金属材料、好ましくは金属ファイバーおよび/またはシートメタル層とを含む複合材料により形成される、上記請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項21】
前記層(1、12)上の前記接合剤滴(10、22)は0.05〜0.7mm、好ましくは0.1〜0.4mm、特に好ましくは0.1〜0.3mmの平均直径を有する、上記請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項22】
前記接合剤(36)の塗布は、好ましくは、前記層(1、12)の移動の方向(3)にほぼ垂直である塗布方向(41)に行われる、上記請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項23】
前記接合剤(36)の塗布は、好ましくは、接合剤(36)が与えられることになる前記少なくとも1つの小領域(10、11、31、32、33、34、43)の表面(42)にほぼ垂直である塗布方向(41)に行われる、上記請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項24】
ハニカム体(29)を製造する装置であって、少なくとも以下の構成要素、
a)少なくとも1つの少なくとも一部が構造化された層(1)および適切であれば、少なくとも1つのほぼ平坦な層(12)を提供する手段(23)と、
b)接合剤(36)を少なくとも、前記ほぼ平坦な層(12)および/または前記少なくとも一部が構造化された層(1)の少なくとも1つの小領域(10、11、31、32、33、34、43)に塗布する手段(4)と、
c)ハニカム体(29)を生成する手段と、
e)鑞付け材料塗布手段(26)であって、これによって前記ハニカム体(29)に鑞付け材料を与えることができ、前記鑞付け材料は接合剤(36)が与えられた前記領域(10、11、31、32、33、34、43)に実質的に付着し続ける、鑞付け材料塗布手段と、
f)熱処理ステップを実行する処理手段(27)と、を備え、
前記接合剤(36)を塗布する手段(4)は、前記接合剤(36)を前記層(1、12)の小領域(10、11、31、32、33、34、43)にプリントする少なくとも1つのプリント装置(13)と、接合剤レザバー(16)と、接合剤(36)を前記プリント装置(13)に供給する供給手段(40)とを備えている、装置。
【請求項25】
前記構成要素c)は、少なくとも1つの少なくとも一部が構造化された層(1)と少なくとも1つのほぼ平坦な層(12)とを積み重ねて、少なくとも1つの積層体を形成する積み重ね手段(24)を含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
構成要素d)は、ハニカム体(29)を形成するために、金属層(1、12)の前記少なくとも1つの積層体を絡み合わせる絡み合わせ手段、および/または少なくとも1つの少なくとも一部が構造化された層(1)および適切であれば、少なくとも1つのほぼ平坦な層(12)を巻き付ける巻き付け手段を備える、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記プリント装置(13)はドロップオンデマンドプリント装置である、請求項24〜26のうちの1つに記載の装置。
【請求項28】
前記プリント装置(13)はバブルジェット(登録商標)プリント装置である、請求項24〜27のうちの1つに記載の装置。
【請求項29】
前記プリント装置(13)は連続インクジェットプリント装置である、請求項24〜26のうちの1つに記載の装置。
【請求項30】
前記プリント装置(13)は、励振されて高周波またはパルス様の振動を行い得る、接合剤(36)を塗布するノズル(6)を有する、請求項24〜29のうちの1つに記載の装置。
【請求項31】
前記ノズル(6)は圧電素子(5)を有する、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記プリント装置(13)は、前記接合剤(36)を静電により帯電する帯電手段(7)と、前記接合剤(36)を偏向させる偏向手段(8)とを有する、請求項24〜31のうちの1つに記載の装置。
【請求項33】
前記接合剤(36)を塗布する手段(4)は、塗布されなかった接合剤(36)を収集する収集手段(9)を備える、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記接合剤(36)を塗布する手段(4)は、前記収集手段(9)に収集された前記接合剤(36)を前記接合剤レザバー(16)に戻すリサイクル手段(18)を備える、請求項33に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−502698(P2007−502698A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523563(P2006−523563)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008804
【国際公開番号】WO2005/021198
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(594174493)エミテク・ゲゼルシャフト・フュール・エミシオーンテクノロギー・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (27)
【Fターム(参考)】