ハニカム構造体の製造方法、及び製造装置
【課題】型基板の端部に塑性材料が付着せず、全面が均一に剥離出来るハニカム構造体の製造装置を提供する。
【解決手段】圧力を維持する密閉容器2と温度制御板9と型基板7と塑性材料3からなる。密閉容器2には、乾燥ガスの注入する乾燥ガス注入口1とガスを排出し圧力を調整する排出口5が配置されている(圧力を調整する真空ポンプは図示していない)。温度制御板9には、乾燥ガス注入口1側の温度制御板9に高温にする加熱部10を配置し、排出口5側に加熱部10の熱を吸収する冷却部8を配置した構成としている。
【解決手段】圧力を維持する密閉容器2と温度制御板9と型基板7と塑性材料3からなる。密閉容器2には、乾燥ガスの注入する乾燥ガス注入口1とガスを排出し圧力を調整する排出口5が配置されている(圧力を調整する真空ポンプは図示していない)。温度制御板9には、乾燥ガス注入口1側の温度制御板9に高温にする加熱部10を配置し、排出口5側に加熱部10の熱を吸収する冷却部8を配置した構成としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、固体走査型プリンタ等の光走査系に用いられるプラスチックレンズやレンズ付き光伝送の導波路等およびデジタルカメラ等の受光素子レンズの製造や、光ファイバープレートに用いられるハニカム構造体の製造方法に関し、特に、ハニカム構造体の隔壁を薄くしたり大面積化したりした場合でも、亀裂が起きないハニカム構造体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、ファクシミリ、固体走査型プリンタ等の光走査系に用いられるプラスチックレンズやレンズ付き光伝送の導波路等およびデジタルカメラ等の受光素子レンズの製造や、光ファイバープレート(プロジェクターのスクリーン、タッチパネル、電子写真プロセスを用いた感光体、ディスプレイ等に利用されるもの)には、高精度なプラスチック成形品が必要とされ、従来より、複数の微細な部材で構成される高精度なプラスチック成形品の成形技術が提案されている。
なお、従来技術としては、特許文献1として、隔壁の厚みが薄く微細で細長いハニカム構造を得るため、所定の条件で塑性変形機能を有する第1素材にて、所望の位置に所定の独立した凹部を複数配置した第1基板の上記凹部に空間が生じるように同第1基版の表面を覆う第1工程と、該空間のガス圧力にて複数同時に該第1素材を膨張延伸させることで薄く細長い中空体を多数個一定方向に形成する第2工程とからなる微細なハニカム構造体の製造方法が開示されている。
【特許文献1】特開2007−98930公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のハニカム構造体の製造方法においては、ハニカム構造体の隔壁を薄くしたり大面積化にするにつれて、ハニカム構造体に亀裂が入りやすくなる問題点があった。
特に、ハニカム材料にゼラチン水溶液等を用いた場合に、ハニカム構造体に亀裂が入りやすくなる問題点がより顕著となる。これは、ハニカム材料が乾燥固化するに連れて大きな収縮が発生するためであり、乾燥固化工程中に、基板とハニカム材料は密着しているが、ハニカム材料の収縮にて内部応力が発生し、その内部応力が大きくなったり、乾燥等により密着力が低下すると、その箇所で基板とハニカム材料間に剥離が生じるものである。
剥離前は内部応力が均等であるが、剥離が一部分のみ生じた時は、その剥離形状にて応力集中が発生するので、ハニカム材料の剛性に対してそれ以上の内部応力が発生した箇所で亀裂が生じるものである。
それら課題に対して、同一出願人は、塑性材料の乾燥固化工程において、応力集中が発生しないような手法を用いた。この手法は、塑性材料を端部から徐々に乾燥させ、基板Aの端部から剥離する手段である。即ち、1)端部から乾燥ガスを注入し、反対側からガスを排出する方法にて、湿度差を設け、乾燥速度を制御する方法を用いた。2)温度差を設けた温度制御装置にて、乾燥速度を制御する方法を用いた。以上の対策にて、ある程度の効果は得られたものの、型基板の端部側面に塑性材料が付着し、一部剥離出来ない新たな課題が出てきた。
本発明は、上記従来の問題点を鑑みてなされたものであり、型基板の端部に塑性材料が付着せず、全面が均一に剥離出来るハニカム構造体の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、所定の独立した凹部を複数配置した型基板の表面を所定の条件下で塑性変形する塑性材料にて前記凹部に空間が生じるように覆う第1工程と、前記空間のガス圧力にて複数同時に前記塑性材料を膨張延伸させることで中空体を複数個一定方向に形成する第2工程と、前記塑性材料を乾燥固化する第3工程と、前記塑性材料を前記型基板から剥離する第4工程と、を有するハニカム構造体の製造方法において、前記型基板端部に平坦部分を設けたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、前記平坦部分の少なくとも一部に、前記塑性材料を前記型基板から剥離させる剥離板を設置したことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記剥離板の外側の寸法は、前記型基板の平坦部分より大きいことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、前記剥離板の所望の位置に独立した凹部を複数配置したことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、前記型基板の凹部表面位置より段差を設けた位置に平坦部分を有することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、前記型基板の周辺の平坦部分は、塑性材料と非親和性であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、前記第1工程において、前記型基板の凹部に加えて、該型基板の平坦部分領域内に、塑性材料を覆うことを特徴とする。
【0005】
請求項8に記載の発明は、ハニカム構造体の製造装置であって、所定の圧力を維持する密閉容器と、高温に加熱する加熱部と該加熱部の熱を吸収する冷却部を有する温度制御板と、所望の位置に所定の独立した凹部を複数配置した型基板と、所定の条件下で塑性変形する塑性材料と、を備え、前記密閉容器は、乾燥ガスを注入するための乾燥ガス注入口と、前記乾燥ガスを前記密閉容器から排出して該密閉容器内の圧力を調整する排出口と、を有し、前記乾燥ガス注入口は、前記塑性材料の端部から順次乾燥させるように配置されていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、前記塑性材料を前記型基板から剥離させる剥離板を押し上げる剥離装置を更に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、同型基板の周辺に平坦部分を設けているので、平坦部分を含む型基板の凹部全域に塑性材料を塗布することが出来、ハニカム構造体の形成することが出来る。また、剥離においても型基板の側面等に塑性材料が付着することが無いので、ハニカム構造体を損傷することなく剥離することが出来る。また、平坦部の乾燥形状は、ハニカム構造体より強度が大きいフィルム状となるので、ハニカム構造体を損傷することなく剥離することが出来る。
また、型基板の平坦部分の少なくとも一部に、剥離板を設置しているので、剥離板を介して、ハニカム構造体を損傷することなく剥離することが出来る。上記と比較すると、型基板や塑性材料の影響(型基板の撥水性の劣化、塑性材料の粘着性の変化)を受けずに確実に剥離することが出来る。
また、剥離板の外側の寸法は、型基板の平坦部分以上の領域であるので、剥離板からはみ出して塑性材料を塗布しても、型基板側面等に塑性材料が付着せず、ハニカム構造体を損傷することなく剥離することが出来る。
【0007】
また、所望の位置に所定の独立した凹部を複数配置した剥離板であるので、発泡時にハニカム構造を形成することにより、膜厚が薄くなるので、早く乾燥する。よって、型基板中のハニカム構造の形成と同等の乾燥時間となるため、加工タクトが他の実施例と比較して、長くならない。また、ハニカム構造体の亀裂発生も抑制することが出来る。
また、型基板の上記凹部の表面部より下方に平坦部分を設けているので、膜厚が厚い剥離板の使用が可能である。これは、塗布工程において、段差がある面の場合、ダイコートを使用した場合、そのヘッド形状が複雑となり、また、塗布の軌跡も複雑なものとなる。本発明では、凹部表面と平坦部に剥離板を乗せた高さがほぼ平面となることで、簡易な塗布装置の使用が可能となる。
また、型基板の周辺の平坦部分は、塑性材料と非親和性であるので、ハニカム構造体の剥離が容易となる。
また、第1工程において、型基板の凹部に加えて、型基板の平坦部分領域内に塑性材料を覆うので、型基板の側面へ塑性材料が付着するのを抑制することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、図2に示したハニカム構造体の製造装置によって製造されたハニカム構造体の斜視図である。ちなみに、ハニカム構造体とは、六角形状そのものを指しているわけではなく、複数の中空体を形成しているシート状のものを総じてハニカム構造体とここでは定義している。
図2は実施例1に係るハニカム構造体の製造装置の断面図であり、図3はその上面図である。塑性材料は20%に希釈したゼラチン水溶液を用いた。外側寸法は220×330mmである。本ハニカム構造体の製造装置50の大まかな装置構成と動作について説明する。まず、塑性材料3の塗布→発泡→乾燥→剥離の工程にてハニカム構造体を形成する方法である。塗布工程は、塗布装置にて凹部6がある型基板7に塑性材料3を塗布する。発泡工程は、密閉容器2中に負圧を発生させ、凹部6の気泡が膨張し、ハニカム形状に発泡させる。乾燥工程は、圧力を維持しつつ乾燥ガスを乾燥ガス注入口1から注入し塑性材料3を乾燥させハニカム形状を固化形成する。なお、高温ほど乾燥速度は速まる。剥離工程は、剥離装置にて塑性材料3(ハニカム構造体)を剥離する。
本実施例のハニカム構造体の製造装置50は、圧力を維持する密閉容器2と温度制御板9と型基板7と塑性材料3からなる。密閉容器2には、乾燥ガスの注入する乾燥ガス注入口1とガスを排出し圧力を調整する排出口5が配置されている(圧力を調整する真空ポンプは図示していない)。温度制御板9には、乾燥ガス注入口1側の温度制御板9に高温にする加熱部10を配置し、排出口5側に加熱部10の熱を吸収する冷却部8を配置した構成としている。加熱および冷却の媒体は水を使用している。また、その媒体は温度調節器に連結している。温度制御板9の材質は熱伝導率が良いアルミを使用している。型基板7は、ハニカム構造体を形成するための凹部6とその周辺部の平坦部からなる。凹部領域は220×330mmである。平坦部領域は凹部領域から縦、横それぞれ10mm足した領域である。
【0009】
次に、実施例1のハニカム構造体の製造装置50の動作について説明する。塗布工程は、図示していないが、スリットコート、ダイコート、カーテンコート等でゼラチン水溶液を塗布している(厚み10〜50μm、ここでは、40μm)。塑性材料3は、平坦部まで塗布している。発泡工程は、大気圧下(0.1Mpa)状態から0.04Mpaへ、排出口5を通して真空ポンプにて減圧することで、凹部6の気泡が約2倍に膨張し、図2の状態から図10のようなハニカム形状へと塑性変形していく。また、乾燥工程は、乾燥ガス注入口1から湿度5%以下の乾燥ガスを注入する(流量1L/min程度)。塑性材料3と密閉容器2の距離は10mmである。排出口5からは気圧を維持しつつ、ガスを排出する(ここで、乾燥ガス注入口1近傍のガスは、湿度5%以下の乾燥ガスであるが、塑性材料3の乾燥に伴う水分を吸収しつつ排出口5に流動していくので、排出口5近傍では湿度は高くなっていく。よって、密閉容器2内は湿度分布が発生する。湿度が高くなると、塑性材料3の乾燥は遅くなるので、結果的に塑性材料3の乾燥速度に分布が生じてくる。乾燥ガスの注入量が小さいほど、その乾燥速度差は顕著となる。)。
型基板7の下方に温度制御板9を配置している。加熱部10側を60℃とし、冷却部8側を30℃となるように制御している(この温度差が型基板7を通して塑性材料3の温度分布となる。温度にて乾燥時間は異なるため、乾燥時間差生じてくる。温度差があるほど、乾燥速度差は顕著となる。)。本実施例では、乾燥ガス注入口1側の乾燥時間は1分程度であった。排出口5側では2分程度であった。
剥離工程(図10参照)は、型基板7の凹部表面部及び平坦部は、撥水処理(例:フッ素系、商品名オプツールDSX)を施している。塑性材料3の乾燥と共に粘着性が低下し、乾燥ガス注入口1側から自然と型基板7から剥離していく。
【0010】
図4は実施例2に係るハニカム構造体の製造装置の断面図であり、図5はその上面図である。
本実施例のハニカム構造体の製造装置51は、早期乾燥箇所(左側)の型基板平坦部に剥離板(厚み:5〜100μm、ここでは、30μmを使用。材質はPETフィルムを使用)12を設置している。剥離板領域は内側が220×330mmで外側はそれぞれ20mm足した値である。その近傍に剥離装置11を設置している。他は、実施例1と同様である。
次に、実施例2のハニカム構造体の製造装置51の動作について説明する。塗布工程は、塑性材料3を平坦部及び剥離板12まで塗布している。他は、実施例1と同様である。
第2の実施例の効果は、剥離は実施例1と同様に乾燥と同時に自然に型基板7から剥離していく。但し、撥水処理の劣化とともに剥離性も低下していくので、確実に剥離するために剥離板12を通して剥離装置11にて剥離する。他の動作は実施例1と同じである。
【0011】
図6は実施例3に係るハニカム構造体の製造装置の断面図である。剥離工程は図11を参照。
本実施例のハニカム構造体の製造装置52は、型基板平坦部全周に剥離板12を設置している。他は、実施例1、2と同様である。
次に、実施例3のハニカム構造体の製造装置52の動作について説明する。塗布工程は、塑性材料3を剥離板12まで塗布している。他は、実施例1、2と同様である。
実施例3の効果(図11参照)は、全周に剥離板12を使用しているので、塗布時に塑性材料3が多少はみ出しても確実に剥離することが出来る。また、実施例2と同様に型基板の表面状態によらず、確実に剥離することが出来る。また、全周に剥離板12を使用しているので、剥離による、シワ等の発生が抑制できる。また、剥離板12が型基板7に乗っているだけなので、乾燥収縮による応力を、剥離板12の滑りにて緩和することが出来る。
【0012】
図7は実施例4に係るハニカム構造体の製造装置の断面図である。剥離工程は図12参照。本実施例のハニカム構造体の製造装置53は、凹部を有する剥離板13を型基板平坦部全周に設置している。凹部のピッチ:100μm、直径:80μm、深さ30μm。材質:PETフィルム厚み50μm。加工方法ホットエンボス加工。他は、実施例1、2と同様である。
次に、実施例4のハニカム構造体の製造装置53の動作について説明する。塗布工程は、塑性材料3を剥離板13まで塗布している。他は、実施例1、2と同様である。
実施例4の効果(図12参照)は、凹部を有する剥離板13を型基板平坦部全周に設置しているので、発泡時にハニカム構造を形成する。このことにて、膜厚が薄くなるので、早く乾燥する。よって、型基板中のハニカム構造の形成と同等の乾燥時間となるため、加工タクトが他の実施例と比較して長くならない。また、ハニカム構造体の亀裂発生も抑制することが出来る。他の効果は実施例3と同じである。
【0013】
図8は実施例5に係るハニカム構造体の製造装置の断面図であり、図9はその上面図である。剥離工程は図13参照。
本実施例のハニカム構造体の製造装置54は、型基板7の平坦部を凹部表面より低くなる位置に有している。この位置は、剥離板12を乗せ、塑性材料3を塗布する場合の塗布位置と比較して剥離板12が下になるような位置である。実施例では、凹部表面より100μm下方に平坦部を有している。また、厚み100μmのPETフィルムの剥離板を使用。
次に、実施例5のハニカム構造体の製造装置54の動作について説明する。塗布工程は塑性材料を剥離板12まで塗布している。他は、実施例1、2と同様である。
実施例5の効果(図13参照)は、型基板7の平坦部を凹部表面より低くなる位置に有しているので、膜厚が厚いPETフィルムの使用が可能である。これは、塗布工程において、段差がある面の場合、ダイコートを使用した場合、そのヘッド形状が複雑なり、また、塗布の軌跡も複雑なものとなる。本実施例では、凹部表面と平坦部に剥離板12を乗せた高さがほぼ平面となることで、簡易な塗布装置の使用が可能となる。他の効果は実施例3と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図2に示したハニカム構造体の製造装置によって製造されたハニカム構造体の斜視図である。
【図2】実施例1に係るハニカム構造体の製造装置の断面図である。
【図3】実施例1に係るハニカム構造体の製造装置の上面図である。
【図4】実施例2に係るハニカム構造体の製造装置の断面図である。
【図5】実施例2に係るハニカム構造体の製造装置の上面図である。
【図6】実施例3に係るハニカム構造体の製造装置の断面図である。
【図7】実施例4に係るハニカム構造体の製造装置の断面図である。
【図8】実施例5に係るハニカム構造体の製造装置の断面図である。
【図9】実施例5に係るハニカム構造体の製造装置の上面図である。
【図10】実施例1の剥離工程を説明する図である。
【図11】実施例3の剥離工程を説明する図である。
【図12】実施例4の剥離工程を説明する図である。
【図13】実施例5の剥離工程を説明する図である。
【符号の説明】
【0015】
1 乾燥ガス注入口、2 密閉容器、3 塑性材料、4、12 剥離板、5 排出口、6 型基板の凹部、7 型基板、8 冷却部、9 温度制御板、10 加熱部、11 剥離装置、13 剥離板(凹部あり)、50、51、52、53、54 ハニカム構造体の製造装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、固体走査型プリンタ等の光走査系に用いられるプラスチックレンズやレンズ付き光伝送の導波路等およびデジタルカメラ等の受光素子レンズの製造や、光ファイバープレートに用いられるハニカム構造体の製造方法に関し、特に、ハニカム構造体の隔壁を薄くしたり大面積化したりした場合でも、亀裂が起きないハニカム構造体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、ファクシミリ、固体走査型プリンタ等の光走査系に用いられるプラスチックレンズやレンズ付き光伝送の導波路等およびデジタルカメラ等の受光素子レンズの製造や、光ファイバープレート(プロジェクターのスクリーン、タッチパネル、電子写真プロセスを用いた感光体、ディスプレイ等に利用されるもの)には、高精度なプラスチック成形品が必要とされ、従来より、複数の微細な部材で構成される高精度なプラスチック成形品の成形技術が提案されている。
なお、従来技術としては、特許文献1として、隔壁の厚みが薄く微細で細長いハニカム構造を得るため、所定の条件で塑性変形機能を有する第1素材にて、所望の位置に所定の独立した凹部を複数配置した第1基板の上記凹部に空間が生じるように同第1基版の表面を覆う第1工程と、該空間のガス圧力にて複数同時に該第1素材を膨張延伸させることで薄く細長い中空体を多数個一定方向に形成する第2工程とからなる微細なハニカム構造体の製造方法が開示されている。
【特許文献1】特開2007−98930公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のハニカム構造体の製造方法においては、ハニカム構造体の隔壁を薄くしたり大面積化にするにつれて、ハニカム構造体に亀裂が入りやすくなる問題点があった。
特に、ハニカム材料にゼラチン水溶液等を用いた場合に、ハニカム構造体に亀裂が入りやすくなる問題点がより顕著となる。これは、ハニカム材料が乾燥固化するに連れて大きな収縮が発生するためであり、乾燥固化工程中に、基板とハニカム材料は密着しているが、ハニカム材料の収縮にて内部応力が発生し、その内部応力が大きくなったり、乾燥等により密着力が低下すると、その箇所で基板とハニカム材料間に剥離が生じるものである。
剥離前は内部応力が均等であるが、剥離が一部分のみ生じた時は、その剥離形状にて応力集中が発生するので、ハニカム材料の剛性に対してそれ以上の内部応力が発生した箇所で亀裂が生じるものである。
それら課題に対して、同一出願人は、塑性材料の乾燥固化工程において、応力集中が発生しないような手法を用いた。この手法は、塑性材料を端部から徐々に乾燥させ、基板Aの端部から剥離する手段である。即ち、1)端部から乾燥ガスを注入し、反対側からガスを排出する方法にて、湿度差を設け、乾燥速度を制御する方法を用いた。2)温度差を設けた温度制御装置にて、乾燥速度を制御する方法を用いた。以上の対策にて、ある程度の効果は得られたものの、型基板の端部側面に塑性材料が付着し、一部剥離出来ない新たな課題が出てきた。
本発明は、上記従来の問題点を鑑みてなされたものであり、型基板の端部に塑性材料が付着せず、全面が均一に剥離出来るハニカム構造体の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、所定の独立した凹部を複数配置した型基板の表面を所定の条件下で塑性変形する塑性材料にて前記凹部に空間が生じるように覆う第1工程と、前記空間のガス圧力にて複数同時に前記塑性材料を膨張延伸させることで中空体を複数個一定方向に形成する第2工程と、前記塑性材料を乾燥固化する第3工程と、前記塑性材料を前記型基板から剥離する第4工程と、を有するハニカム構造体の製造方法において、前記型基板端部に平坦部分を設けたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、前記平坦部分の少なくとも一部に、前記塑性材料を前記型基板から剥離させる剥離板を設置したことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記剥離板の外側の寸法は、前記型基板の平坦部分より大きいことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、前記剥離板の所望の位置に独立した凹部を複数配置したことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、前記型基板の凹部表面位置より段差を設けた位置に平坦部分を有することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、前記型基板の周辺の平坦部分は、塑性材料と非親和性であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、前記第1工程において、前記型基板の凹部に加えて、該型基板の平坦部分領域内に、塑性材料を覆うことを特徴とする。
【0005】
請求項8に記載の発明は、ハニカム構造体の製造装置であって、所定の圧力を維持する密閉容器と、高温に加熱する加熱部と該加熱部の熱を吸収する冷却部を有する温度制御板と、所望の位置に所定の独立した凹部を複数配置した型基板と、所定の条件下で塑性変形する塑性材料と、を備え、前記密閉容器は、乾燥ガスを注入するための乾燥ガス注入口と、前記乾燥ガスを前記密閉容器から排出して該密閉容器内の圧力を調整する排出口と、を有し、前記乾燥ガス注入口は、前記塑性材料の端部から順次乾燥させるように配置されていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、前記塑性材料を前記型基板から剥離させる剥離板を押し上げる剥離装置を更に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、同型基板の周辺に平坦部分を設けているので、平坦部分を含む型基板の凹部全域に塑性材料を塗布することが出来、ハニカム構造体の形成することが出来る。また、剥離においても型基板の側面等に塑性材料が付着することが無いので、ハニカム構造体を損傷することなく剥離することが出来る。また、平坦部の乾燥形状は、ハニカム構造体より強度が大きいフィルム状となるので、ハニカム構造体を損傷することなく剥離することが出来る。
また、型基板の平坦部分の少なくとも一部に、剥離板を設置しているので、剥離板を介して、ハニカム構造体を損傷することなく剥離することが出来る。上記と比較すると、型基板や塑性材料の影響(型基板の撥水性の劣化、塑性材料の粘着性の変化)を受けずに確実に剥離することが出来る。
また、剥離板の外側の寸法は、型基板の平坦部分以上の領域であるので、剥離板からはみ出して塑性材料を塗布しても、型基板側面等に塑性材料が付着せず、ハニカム構造体を損傷することなく剥離することが出来る。
【0007】
また、所望の位置に所定の独立した凹部を複数配置した剥離板であるので、発泡時にハニカム構造を形成することにより、膜厚が薄くなるので、早く乾燥する。よって、型基板中のハニカム構造の形成と同等の乾燥時間となるため、加工タクトが他の実施例と比較して、長くならない。また、ハニカム構造体の亀裂発生も抑制することが出来る。
また、型基板の上記凹部の表面部より下方に平坦部分を設けているので、膜厚が厚い剥離板の使用が可能である。これは、塗布工程において、段差がある面の場合、ダイコートを使用した場合、そのヘッド形状が複雑となり、また、塗布の軌跡も複雑なものとなる。本発明では、凹部表面と平坦部に剥離板を乗せた高さがほぼ平面となることで、簡易な塗布装置の使用が可能となる。
また、型基板の周辺の平坦部分は、塑性材料と非親和性であるので、ハニカム構造体の剥離が容易となる。
また、第1工程において、型基板の凹部に加えて、型基板の平坦部分領域内に塑性材料を覆うので、型基板の側面へ塑性材料が付着するのを抑制することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、図2に示したハニカム構造体の製造装置によって製造されたハニカム構造体の斜視図である。ちなみに、ハニカム構造体とは、六角形状そのものを指しているわけではなく、複数の中空体を形成しているシート状のものを総じてハニカム構造体とここでは定義している。
図2は実施例1に係るハニカム構造体の製造装置の断面図であり、図3はその上面図である。塑性材料は20%に希釈したゼラチン水溶液を用いた。外側寸法は220×330mmである。本ハニカム構造体の製造装置50の大まかな装置構成と動作について説明する。まず、塑性材料3の塗布→発泡→乾燥→剥離の工程にてハニカム構造体を形成する方法である。塗布工程は、塗布装置にて凹部6がある型基板7に塑性材料3を塗布する。発泡工程は、密閉容器2中に負圧を発生させ、凹部6の気泡が膨張し、ハニカム形状に発泡させる。乾燥工程は、圧力を維持しつつ乾燥ガスを乾燥ガス注入口1から注入し塑性材料3を乾燥させハニカム形状を固化形成する。なお、高温ほど乾燥速度は速まる。剥離工程は、剥離装置にて塑性材料3(ハニカム構造体)を剥離する。
本実施例のハニカム構造体の製造装置50は、圧力を維持する密閉容器2と温度制御板9と型基板7と塑性材料3からなる。密閉容器2には、乾燥ガスの注入する乾燥ガス注入口1とガスを排出し圧力を調整する排出口5が配置されている(圧力を調整する真空ポンプは図示していない)。温度制御板9には、乾燥ガス注入口1側の温度制御板9に高温にする加熱部10を配置し、排出口5側に加熱部10の熱を吸収する冷却部8を配置した構成としている。加熱および冷却の媒体は水を使用している。また、その媒体は温度調節器に連結している。温度制御板9の材質は熱伝導率が良いアルミを使用している。型基板7は、ハニカム構造体を形成するための凹部6とその周辺部の平坦部からなる。凹部領域は220×330mmである。平坦部領域は凹部領域から縦、横それぞれ10mm足した領域である。
【0009】
次に、実施例1のハニカム構造体の製造装置50の動作について説明する。塗布工程は、図示していないが、スリットコート、ダイコート、カーテンコート等でゼラチン水溶液を塗布している(厚み10〜50μm、ここでは、40μm)。塑性材料3は、平坦部まで塗布している。発泡工程は、大気圧下(0.1Mpa)状態から0.04Mpaへ、排出口5を通して真空ポンプにて減圧することで、凹部6の気泡が約2倍に膨張し、図2の状態から図10のようなハニカム形状へと塑性変形していく。また、乾燥工程は、乾燥ガス注入口1から湿度5%以下の乾燥ガスを注入する(流量1L/min程度)。塑性材料3と密閉容器2の距離は10mmである。排出口5からは気圧を維持しつつ、ガスを排出する(ここで、乾燥ガス注入口1近傍のガスは、湿度5%以下の乾燥ガスであるが、塑性材料3の乾燥に伴う水分を吸収しつつ排出口5に流動していくので、排出口5近傍では湿度は高くなっていく。よって、密閉容器2内は湿度分布が発生する。湿度が高くなると、塑性材料3の乾燥は遅くなるので、結果的に塑性材料3の乾燥速度に分布が生じてくる。乾燥ガスの注入量が小さいほど、その乾燥速度差は顕著となる。)。
型基板7の下方に温度制御板9を配置している。加熱部10側を60℃とし、冷却部8側を30℃となるように制御している(この温度差が型基板7を通して塑性材料3の温度分布となる。温度にて乾燥時間は異なるため、乾燥時間差生じてくる。温度差があるほど、乾燥速度差は顕著となる。)。本実施例では、乾燥ガス注入口1側の乾燥時間は1分程度であった。排出口5側では2分程度であった。
剥離工程(図10参照)は、型基板7の凹部表面部及び平坦部は、撥水処理(例:フッ素系、商品名オプツールDSX)を施している。塑性材料3の乾燥と共に粘着性が低下し、乾燥ガス注入口1側から自然と型基板7から剥離していく。
【0010】
図4は実施例2に係るハニカム構造体の製造装置の断面図であり、図5はその上面図である。
本実施例のハニカム構造体の製造装置51は、早期乾燥箇所(左側)の型基板平坦部に剥離板(厚み:5〜100μm、ここでは、30μmを使用。材質はPETフィルムを使用)12を設置している。剥離板領域は内側が220×330mmで外側はそれぞれ20mm足した値である。その近傍に剥離装置11を設置している。他は、実施例1と同様である。
次に、実施例2のハニカム構造体の製造装置51の動作について説明する。塗布工程は、塑性材料3を平坦部及び剥離板12まで塗布している。他は、実施例1と同様である。
第2の実施例の効果は、剥離は実施例1と同様に乾燥と同時に自然に型基板7から剥離していく。但し、撥水処理の劣化とともに剥離性も低下していくので、確実に剥離するために剥離板12を通して剥離装置11にて剥離する。他の動作は実施例1と同じである。
【0011】
図6は実施例3に係るハニカム構造体の製造装置の断面図である。剥離工程は図11を参照。
本実施例のハニカム構造体の製造装置52は、型基板平坦部全周に剥離板12を設置している。他は、実施例1、2と同様である。
次に、実施例3のハニカム構造体の製造装置52の動作について説明する。塗布工程は、塑性材料3を剥離板12まで塗布している。他は、実施例1、2と同様である。
実施例3の効果(図11参照)は、全周に剥離板12を使用しているので、塗布時に塑性材料3が多少はみ出しても確実に剥離することが出来る。また、実施例2と同様に型基板の表面状態によらず、確実に剥離することが出来る。また、全周に剥離板12を使用しているので、剥離による、シワ等の発生が抑制できる。また、剥離板12が型基板7に乗っているだけなので、乾燥収縮による応力を、剥離板12の滑りにて緩和することが出来る。
【0012】
図7は実施例4に係るハニカム構造体の製造装置の断面図である。剥離工程は図12参照。本実施例のハニカム構造体の製造装置53は、凹部を有する剥離板13を型基板平坦部全周に設置している。凹部のピッチ:100μm、直径:80μm、深さ30μm。材質:PETフィルム厚み50μm。加工方法ホットエンボス加工。他は、実施例1、2と同様である。
次に、実施例4のハニカム構造体の製造装置53の動作について説明する。塗布工程は、塑性材料3を剥離板13まで塗布している。他は、実施例1、2と同様である。
実施例4の効果(図12参照)は、凹部を有する剥離板13を型基板平坦部全周に設置しているので、発泡時にハニカム構造を形成する。このことにて、膜厚が薄くなるので、早く乾燥する。よって、型基板中のハニカム構造の形成と同等の乾燥時間となるため、加工タクトが他の実施例と比較して長くならない。また、ハニカム構造体の亀裂発生も抑制することが出来る。他の効果は実施例3と同じである。
【0013】
図8は実施例5に係るハニカム構造体の製造装置の断面図であり、図9はその上面図である。剥離工程は図13参照。
本実施例のハニカム構造体の製造装置54は、型基板7の平坦部を凹部表面より低くなる位置に有している。この位置は、剥離板12を乗せ、塑性材料3を塗布する場合の塗布位置と比較して剥離板12が下になるような位置である。実施例では、凹部表面より100μm下方に平坦部を有している。また、厚み100μmのPETフィルムの剥離板を使用。
次に、実施例5のハニカム構造体の製造装置54の動作について説明する。塗布工程は塑性材料を剥離板12まで塗布している。他は、実施例1、2と同様である。
実施例5の効果(図13参照)は、型基板7の平坦部を凹部表面より低くなる位置に有しているので、膜厚が厚いPETフィルムの使用が可能である。これは、塗布工程において、段差がある面の場合、ダイコートを使用した場合、そのヘッド形状が複雑なり、また、塗布の軌跡も複雑なものとなる。本実施例では、凹部表面と平坦部に剥離板12を乗せた高さがほぼ平面となることで、簡易な塗布装置の使用が可能となる。他の効果は実施例3と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図2に示したハニカム構造体の製造装置によって製造されたハニカム構造体の斜視図である。
【図2】実施例1に係るハニカム構造体の製造装置の断面図である。
【図3】実施例1に係るハニカム構造体の製造装置の上面図である。
【図4】実施例2に係るハニカム構造体の製造装置の断面図である。
【図5】実施例2に係るハニカム構造体の製造装置の上面図である。
【図6】実施例3に係るハニカム構造体の製造装置の断面図である。
【図7】実施例4に係るハニカム構造体の製造装置の断面図である。
【図8】実施例5に係るハニカム構造体の製造装置の断面図である。
【図9】実施例5に係るハニカム構造体の製造装置の上面図である。
【図10】実施例1の剥離工程を説明する図である。
【図11】実施例3の剥離工程を説明する図である。
【図12】実施例4の剥離工程を説明する図である。
【図13】実施例5の剥離工程を説明する図である。
【符号の説明】
【0015】
1 乾燥ガス注入口、2 密閉容器、3 塑性材料、4、12 剥離板、5 排出口、6 型基板の凹部、7 型基板、8 冷却部、9 温度制御板、10 加熱部、11 剥離装置、13 剥離板(凹部あり)、50、51、52、53、54 ハニカム構造体の製造装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の独立した凹部を複数配置した型基板の表面を所定の条件下で塑性変形する塑性材料にて前記凹部に空間が生じるように覆う第1工程と、前記空間のガス圧力にて複数同時に前記塑性材料を膨張延伸させることで中空体を複数個一定方向に形成する第2工程と、前記塑性材料を乾燥固化する第3工程と、前記塑性材料を前記型基板から剥離する第4工程と、を有するハニカム構造体の製造方法において、前記型基板端部に平坦部分を設けたことを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】
前記平坦部分の少なくとも一部に、前記塑性材料を前記型基板から剥離させる剥離板を設置したことを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項3】
前記剥離板の外側の寸法は、前記型基板の平坦部分より大きいことを特徴とする請求項2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項4】
前記剥離板の所望の位置に独立した凹部を複数配置したことを特徴とする請求項2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項5】
前記型基板の凹部表面位置より段差を設けた位置に平坦部分を有することを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項6】
前記型基板の周辺の平坦部分は、塑性材料と非親和性であることを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項7】
前記第1工程において、前記型基板の凹部に加えて、該型基板の平坦部分領域内に、塑性材料を覆うことを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項8】
ハニカム構造体の製造装置であって、
所定の圧力を維持する密閉容器と、高温に加熱する加熱部と該加熱部の熱を吸収する冷却部を有する温度制御板と、所望の位置に所定の独立した凹部を複数配置した型基板と、所定の条件下で塑性変形する塑性材料と、を備え、
前記密閉容器は、乾燥ガスを注入するための乾燥ガス注入口と、前記乾燥ガスを前記密閉容器から排出して該密閉容器内の圧力を調整する排出口と、を有し、前記乾燥ガス注入口は、前記塑性材料の端部から順次乾燥させるように配置されていることを特徴とするハニカム構造体の製造装置。
【請求項9】
前記塑性材料を前記型基板から剥離させる剥離板を押し上げる剥離装置を更に備えたことを特徴とする請求項8に記載のハニカム構造体の製造装置。
【請求項1】
所定の独立した凹部を複数配置した型基板の表面を所定の条件下で塑性変形する塑性材料にて前記凹部に空間が生じるように覆う第1工程と、前記空間のガス圧力にて複数同時に前記塑性材料を膨張延伸させることで中空体を複数個一定方向に形成する第2工程と、前記塑性材料を乾燥固化する第3工程と、前記塑性材料を前記型基板から剥離する第4工程と、を有するハニカム構造体の製造方法において、前記型基板端部に平坦部分を設けたことを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】
前記平坦部分の少なくとも一部に、前記塑性材料を前記型基板から剥離させる剥離板を設置したことを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項3】
前記剥離板の外側の寸法は、前記型基板の平坦部分より大きいことを特徴とする請求項2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項4】
前記剥離板の所望の位置に独立した凹部を複数配置したことを特徴とする請求項2に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項5】
前記型基板の凹部表面位置より段差を設けた位置に平坦部分を有することを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項6】
前記型基板の周辺の平坦部分は、塑性材料と非親和性であることを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項7】
前記第1工程において、前記型基板の凹部に加えて、該型基板の平坦部分領域内に、塑性材料を覆うことを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項8】
ハニカム構造体の製造装置であって、
所定の圧力を維持する密閉容器と、高温に加熱する加熱部と該加熱部の熱を吸収する冷却部を有する温度制御板と、所望の位置に所定の独立した凹部を複数配置した型基板と、所定の条件下で塑性変形する塑性材料と、を備え、
前記密閉容器は、乾燥ガスを注入するための乾燥ガス注入口と、前記乾燥ガスを前記密閉容器から排出して該密閉容器内の圧力を調整する排出口と、を有し、前記乾燥ガス注入口は、前記塑性材料の端部から順次乾燥させるように配置されていることを特徴とするハニカム構造体の製造装置。
【請求項9】
前記塑性材料を前記型基板から剥離させる剥離板を押し上げる剥離装置を更に備えたことを特徴とする請求項8に記載のハニカム構造体の製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−17961(P2010−17961A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181494(P2008−181494)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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