説明

ハニカム構造体

【課題】高温環境下において破損することを抑制可能なハニカム構造体を提供する。
【解決手段】ハニカム構造体100は、多孔質の隔壁120により仕切られた互いに平行な複数の流路105を有し、流路105の軸方向に垂直な流路105の断面が、弧状の角部を有する多角形状であり、複数の流路105が、ハニカム構造体100の中心部P11に配置された流路105aと、流路105aよりもハニカム構造体100の外周側に配置された流路105bと、を有し、流路105bの角部の曲率半径が、流路105aの角部の曲率半径よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ハニカム構造体は、被捕集物を含む流体から当該被捕集物を除去するセラミックスフィルタとして用いられており、例えば、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関から排気される排気ガスを浄化するための排ガスフィルタや、飲食物の濾過に用いる濾過フィルタとして用いられている。このようなハニカム構造体は、多孔質の隔壁により仕切られた互いに平行な複数の流路を有している(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−270755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ハニカム構造体が高温に曝されてハニカム構造体に熱応力が負荷されると、ハニカム構造体が破損してしまう場合がある。そのため、従来のハニカム構造体に対しては、ハニカム構造体が高温に曝される場合においてハニカム構造体に負荷される熱応力を低減し、ハニカム構造体が破損することを抑制することが求められている。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、高温環境下において破損することを抑制可能なハニカム構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、互いに平行な複数の流路を有するハニカム構造体について鋭意検討した結果、ハニカム構造体が高温に曝される場合に、ハニカム構造体の中心部に比して、当該中心部よりもハニカム構造体の外周側に位置する部分が破損し易い傾向があることを見出した。また、本発明者は、流路の軸方向に垂直な流路の断面が、弧状の角部を有する多角形状である場合において、上記中心部に配置された流路における上記角部の曲率半径と、上記外周側に位置する部分に配置された流路における上記角部の曲率半径とを調整することにより、上記課題を解決可能であることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明に係るハニカム構造体は、多孔質の隔壁により仕切られた互いに平行な複数の流路を有するハニカム構造体であって、流路の軸方向に垂直な流路の断面が、弧状の角部を有する多角形状であり、複数の流路が、ハニカム構造体の中心部に配置された第1の流路と、当該第1の流路よりもハニカム構造体の外周側に配置された第2の流路と、を有し、第2の流路の角部の曲率半径が、第1の流路の角部の曲率半径よりも大きい。
【0008】
本発明に係るハニカム構造体では、第1の流路よりもハニカム構造体の外周側に配置された第2の流路の角部の曲率半径が、第1の流路の角部の曲率半径よりも大きい。これにより、第2の流路では、第1の流路に比して、流路を構成する隔壁に均一に熱応力が負荷され易くなり、隔壁の特定の部分に局所的に熱応力が負荷されることが抑制される。そのため、本発明に係るハニカム構造体では、従来のハニカム構造体において中心部よりも破損し易い傾向にある外周側の領域に熱応力が負荷される場合であっても、当該領域が破損することが抑制される。したがって、本発明に係るハニカム構造体では、ハニカム構造体が破損することを抑制することができる。
【0009】
第1の流路の断面において、第1の流路の水力直径(水力相当径、hydraulic diameter)に対する第1の流路の角部の曲率半径の比率(第1の流路の角部の曲率半径/第1の流路の水力直径)は、0.01〜0.30であることが好ましい。この場合、ハニカム構造体が破損することを更に抑制することができる。なお、本明細書において「流路の水力直径」とは、対象となる流路の断面における断面積と同等の断面積を有する真円の直径をいう。
【0010】
第2の流路の断面において、第2の流路の水力直径に対する第2の流路の角部の曲率半径の比率(第2の流路の角部の曲率半径/第2の流路の水力直径)は、0.01〜0.80であることが好ましい。この場合、ハニカム構造体が破損することを更に抑制することができる。
【0011】
隔壁は、チタン酸アルミニウムを含んでいてもよい。この場合、ハニカム構造体が破損することを更に抑制することができる。
【0012】
本発明に係るハニカム構造体において、複数の流路のうちの一部の一端及び複数の流路のうちの残部の他端が封口されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るハニカム構造体によれば、高温環境下(例えば800℃以上の温度)において当該ハニカム構造体が破損することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るハニカム構造体を模式的に示す図である。
【図2】図2は、図1の領域A1,A2を拡大して示す図である。
【図3】図3は、図1のIII−III矢視図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態に係るハニカム構造体を模式的に示す図である。
【図5】図5は、図4の領域B1,B2を拡大して示す図である。
【図6】図6は、図4のVI−VI矢視図である。
【図7】図7は、ハニカム構造体の端面における要部の写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0016】
<ハニカム構造体>
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るハニカム構造体を模式的に示す図である。図2は、図1の領域A1,A2を拡大して示す図である。図3は、図1のIII−III矢視図である。ハニカム構造体100は、図1〜3に示すように、互いに略平行に配置された複数の流路105を有する円柱体である。複数の流路105は、ハニカム構造体100の中心軸に略平行に伸びる隔壁120により仕切られている。
【0017】
複数の流路105は、ハニカム構造体100の中心部P11に配置された流路105a(第1の流路、中心側流路)と、流路105aよりもハニカム構造体100の外周側の領域P12に配置された流路105b(第2の流路、外周側流路)と、を有している。なお、本明細書において「中心部に配置された流路」とは、ハニカム構造体の外径(流路の軸方向に垂直な方向のハニカム構造体の最大厚み)の中間点近傍に配置された流路を意味し、例えば、ハニカム構造体の中心からハニカム構造体の外径の30%の厚さの領域に配置された流路である。また、本明細書において「外周側の領域に配置された流路」は、上記中心部よりもハニカム構造体の外周側に配置された流路であればよく、例えば、ハニカム構造体の外周からハニカム構造体の外径の30%の深さまでの領域に配置された流路である。
【0018】
流路105a及び流路105bのそれぞれは、複数の流路110aと、流路110aに隣接する複数の流路110bとを有している。流路110a及び流路110bは、ハニカム構造体100の両端面に略垂直に伸びている。
【0019】
流路105のうちの一部を構成する流路110aの一端は、ハニカム構造体100の一端面100aにおいて封口部130により封口されており、流路110aの他端は、ハニカム構造体100の他端面100bにおいて開口している。一方、複数の流路105のうちの残部を構成する流路110bの一端は、一端面100aにおいて開口しており、流路110bの他端は、他端面100bにおいて封口部130により封口されている。ハニカム構造体100において、流路110bにおける一端面100a側の端部はガス流入口として開口しており、流路110aにおける他端面100b側の端部はガス流出口として開口している。
【0020】
流路110a及び流路110bの軸方向(長手方向)に略垂直な断面は、弧状の角部を有する多角形状であり、例えば六角形状である。流路110aの断面を構成する辺のそれぞれに接する仮想六角形H11(図2参照)は、被捕集物を含む流体がガス流入側の流路からガス流出側の流路へ均等に流れ易くなることにより被捕集物の堆積時の圧力損失を低減し易くなる観点から、辺140の長さが互いに略等しい正六角形であることが好ましいが、扁平六角形であってもよい。
【0021】
流路110bの断面を構成する辺のそれぞれに接する仮想六角形H12(図2参照)は、例えば扁平六角形であるが、正六角形であってもよい。仮想六角形H12において互いに対向する辺の長さは、互いに略等しい。仮想六角形H12は、互いに長さの略等しい二つ(一対)の長辺(第1の辺)150aと、互いに長さの略等しい四つ(二対)の短辺(第2の辺)150bと、を有している。短辺150bは、長辺150aの両側にそれぞれ配置されている。長辺150a同士は、互いに略平行に対向しており、短辺150b同士は、互いに略平行に対向している。長辺150aの長さは、短辺150bの長さよりも長く調整されている。
【0022】
流路105は、1つの流路110aと、当該流路110aを囲む6つの流路110bとを含む構成単位を複数有している。当該構成単位において、流路110aに接する仮想六角形H11の辺140のそれぞれは、流路110bに接する仮想六角形H12の長辺150aと略平行に対向している。仮想六角形H12の短辺150bのそれぞれは、隣接する流路110bに接する仮想六角形H12の短辺150bと略平行に対向している。上記構成単位を複数する流路105において、隣接する流路110aの間に一つの流路110bが配置されることにより、流路110aの配列方向において流路110aと流路110bとが交互に配置されている。
【0023】
流路110a,110bの軸方向におけるハニカム構造体100の長さは、例えば50〜300mmである。ハニカム構造体100の外径は、例えば50〜250mmである。流路110a,110bの密度(セル密度)は、例えば50〜400cpsi(cell per square inch)である。なお、「cpsi」は、1平方インチ当たりの流路(セル)の数を表す。流路110a,110bの軸方向に略垂直なハニカム構造体100の断面において、流路110bの合計面積は、流路110aの合計面積よりも大きいことが好ましい。
【0024】
仮想六角形H11における辺140の長さは、燃焼再生においてハニカム構造体に生じる熱応力を更に低減する観点から、0.2〜2.0mmが好ましく、0.4〜1.6mmがより好ましい。仮想六角形H12における長辺150aの長さは、燃焼再生においてハニカム構造体に生じる熱応力を更に低減する観点から、0.4〜2.0mmが好ましく、0.4〜1.6mmがより好ましい。仮想六角形H12における短辺150bの長さは、燃焼再生においてハニカム構造体に生じる熱応力を更に低減する観点から、0.3〜2.0mmが好ましく、0.5〜1.0mmがより好ましい。
【0025】
外周側の領域P12(図2(b))における流路105bの角部の曲率半径は、中心部P11(図2(a))における流路105aの角部の曲率半径よりも大きくなるように調整されている。例えば、ハニカム構造体100を流路105の軸方向に垂直に切断した断面において、領域P12における流路110bの角部C121の曲率半径R121や角部C122の曲率半径R122は、中心部P11における流路110bの角部C111の曲率半径R111や角部C112の曲率半径R112よりも大きく、中心部P11における流路110aの角部C113の曲率半径R113よりも大きい。同様に、ハニカム構造体100を流路105の軸方向に垂直に切断した断面において、領域P12における流路110aの角部C123の曲率半径R123は、中心部P11における流路110bの角部C111の曲率半径R111や角部C112の曲率半径R112よりも大きく、中心部P11における流路110aの角部C113の曲率半径R113よりも大きい。
【0026】
それぞれの流路105aの断面において、流路105aの水力直径に対する流路105aの角部の曲率半径の比率は、流路105aの水力直径を1として、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましい。流路105aの水力直径に対する流路105aの角部の曲率半径の比率は、0.30以下が好ましく、0.25以下がより好ましい。流路105aの水力直径は、例えば0.5〜3.0mmである。それぞれの流路105bの断面において、流路105bの水力直径に対する流路105bの角部の曲率半径の比率は、流路105bの水力直径を1として、0.01以上が好ましく、0.10以上がより好ましい。流路105bの水力直径に対する流路105bの角部の曲率半径の比率は、0.80以下が好ましく、0.50以下がより好ましい。流路105bの水力直径は、例えば0.5〜3.0mmである。
【0027】
隔壁120は、流路110a及び流路110bを仕切る部分として隔壁120aを有しており、互いに隣接する流路110b同士を仕切る部分として隔壁120bを有している。
【0028】
隔壁120aの厚み(辺140及び長辺150a間の距離)は、圧力損失を更に低減する観点から、1.0mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましい。隔壁120aの厚みは、被捕集物の捕集効率及びハニカム構造体100の強度を高く維持する観点から、0.01mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましい。隔壁120bの厚み(互いに対向する短辺150b間の距離)は、圧力損失を更に低減する観点から、2.0mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましい。隔壁120bの厚みは、被捕集物の捕集効率及びハニカム構造体100の強度を高く維持する観点から、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましい。
【0029】
隔壁120の気孔率は、圧力損失を更に低減する観点から、20体積%以上が好ましく、30体積%以上がより好ましい。隔壁120の気孔率は、燃焼再生においてハニカム構造体に生じる熱応力を更に低減する観点から、60体積%以下が好ましく、50体積%以下がより好ましい。隔壁120の気孔率は、原料の粒子径、孔形成剤の添加量、孔形成剤の種類、焼成条件により調整可能であり、水銀圧入法により測定することができる。
【0030】
隔壁120の気孔径(細孔直径)は、5〜30μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。隔壁120の気孔径は、原料の粒子径、孔形成剤の添加量、孔形成剤の種類、焼成条件により調整可能であり、水銀圧入法により測定することができる。
【0031】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係るハニカム構造体を模式的に示す図である。図5は、図4の領域B1,B2を拡大して示す図である。図6は、図4のVI−VI矢視図である。ハニカム構造体200は、図4〜6に示すように、互いに略平行に配置された複数の流路205を有する円柱体である。複数の流路205は、ハニカム構造体200の中心軸に略平行に伸びる隔壁220により仕切られている。
【0032】
複数の流路205は、ハニカム構造体200の中心部P21に配置された流路205a(第1の流路、中心側流路)と、流路205aよりもハニカム構造体200の外周側の領域P22に配置された流路205b(第2の流路、外周側流路)と、を有している。
【0033】
流路205a及び流路205bのそれぞれは、複数の流路210aと、流路210aに隣接する複数の流路210bとを有している。流路210a及び流路210bは、ハニカム構造体200の両端面に略垂直に伸びている。
【0034】
流路205のうちの一部を形成する流路210aの一端は、ハニカム構造体200の一端面200aにおいて封口部230により封口されており、流路210aの他端は、ハニカム構造体200の他端面200bにおいて開口している。一方、複数の流路205のうちの残部を形成する流路210bの一端は、一端面200aにおいて開口しており、流路210bの他端は、他端面200bにおいて封口部230により封口されている。ハニカム構造体200において、流路210bにおける一端面200a側の端部はガス流入口として開口しており、流路210aにおける他端面200b側の端部はガス流出口として開口している。
【0035】
流路210a及び流路210bの軸方向(長手方向)に略垂直な断面は、弧状の角部を有する多角形状であり、例えば六角形状である。流路210aの断面を構成する辺のそれぞれに接する仮想六角形H21(図5参照)は、被捕集物を含む流体がガス流入側の流路からガス流出側の流路へ均等に流れ易くなることにより被捕集物の堆積時の圧力損失を低減し易くなる観点から、辺240の長さが互いに略等しい正六角形であることが好ましいが、扁平六角形であってもよい。
【0036】
流路210bの断面を構成する辺のそれぞれに接する仮想六角形H22(図5参照)は、例えば扁平六角形であるが、正六角形であってもよい。仮想六角形H22において互いに対向する辺の長さは、互いに異なっている。仮想六角形H22は、互いに長さの略等しい三つの長辺(第1の辺)250aと、互いに長さの略等しい三つの短辺(第2の辺)250bと、を有している。長辺250a及び短辺250bは、互いに略平行に対向しており、短辺250bは、長辺250aの両側にそれぞれ配置されている。長辺250aの長さは、短辺250bの長さよりも長く調整されている。
【0037】
流路205は、1つの流路210aと、当該流路210aを囲む6つの流路210bとを含む構成単位を複数有している。当該構成単位において、流路210aに接する仮想六角形H21の辺240のそれぞれは、流路210bに接する仮想六角形H22の長辺250aと略平行に対向している。仮想六角形H22の短辺250bのそれぞれは、隣接する流路210bに接する仮想六角形H22の短辺250bと略平行に対向している。
【0038】
上記構成単位を複数する流路205において、隣接する流路210aの間には、当該流路210aの配列方向に略直交する方向に隣接する二つの流路210bが配置されており、当該隣接する二つの流路210bは、隣接する流路210aの断面の中心同士を結ぶ線を挟んで対称に配置されている。また、1つの流路210bは、3つの流路210aに囲まれている。
【0039】
流路210a,210bの軸方向におけるハニカム構造体200の長さは、例えば50〜300mmである。ハニカム構造体200の外径は、例えば50〜250mmである。流路210a,210bの密度(セル密度)は、例えば50〜400cpsiである。流路210a,210bの軸方向に略垂直なハニカム構造体200の断面において、流路210bの合計面積は、流路210aの合計面積よりも大きいことが好ましい。
【0040】
仮想六角形H21における辺240の長さは、燃焼再生においてハニカム構造体に生じる熱応力を更に低減する観点から、0.2〜2.0mmが好ましく、0.4〜1.6mmがより好ましい。仮想六角形H22における長辺250aの長さは、燃焼再生においてハニカム構造体に生じる熱応力を更に低減する観点から、0.4〜2.0mmが好ましく、0.4〜1.6mmがより好ましい。仮想六角形H22における短辺250bの長さは、燃焼再生においてハニカム構造体に生じる熱応力を更に低減する観点から、0.3〜2.0mmが好ましく、0.5〜1.0mmがより好ましい。
【0041】
外周側の領域P22(図5(b))における流路205bの角部の曲率半径は、中心部P21(図5(a))における流路205aの角部の曲率半径よりも大きくなるように調整されている。例えば、ハニカム構造体200を流路205の軸方向に垂直に切断した断面において、領域P22における流路210bの角部C221の曲率半径R221や角部C222の曲率半径R222は、中心部P21における流路210bの角部C211の曲率半径R211や角部C212の曲率半径R212よりも大きく、中心部P21における流路210aの角部C213の曲率半径R213よりも大きい。同様に、ハニカム構造体200を流路205の軸方向に垂直に切断した断面において、領域P22における流路210aの角部C223の曲率半径R223は、中心部P21における流路210bの角部C211の曲率半径R211や角部C212の曲率半径R212よりも大きく、中心部P21における流路210aの角部C213の曲率半径R213よりも大きい。
【0042】
それぞれの流路205aの断面において、流路205aの水力直径に対する流路205aの角部の曲率半径の比率は、流路205aの水力直径を1として、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましい。流路205aの水力直径に対する流路205aの角部の曲率半径の比率は、0.30以下が好ましく、0.25以下がより好ましい。流路205aの水力直径は、例えば0.5〜3.0mmである。それぞれの流路205bの断面において、流路205bの水力直径に対する流路205bの角部の曲率半径の比率は、流路205bの水力直径を1として、0.01以上が好ましく、0.10以上がより好ましい。流路205bの水力直径に対する流路205bの角部の曲率半径の比率は、0.80以下が好ましく、0.50以下がより好ましい。流路205bの水力直径は、例えば0.5〜3.0mmである。
【0043】
隔壁220は、流路210a及び流路210bを仕切る部分として隔壁220aを有しており、互いに隣接する流路210b同士を仕切る部分として隔壁220bを有している。
【0044】
隔壁220aの厚み(辺240及び長辺250a間の距離)は、圧力損失を更に低減する観点から、1.0mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましい。隔壁220aの厚みは、被捕集物の捕集効率及びハニカム構造体200の強度を高く維持する観点から、0.01mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましい。隔壁220bの厚み(互いに対向する短辺250b間の距離)は、圧力損失を更に低減する観点から、2.0mm以下が好ましく、1.0mm以下がより好ましい。隔壁220bの厚みは、被捕集物の捕集効率及びハニカム構造体200の強度を高く維持する観点から、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましい。
【0045】
隔壁220の気孔率は、圧力損失を更に低減する観点から、20体積%以上が好ましく、30体積%以上がより好ましい。隔壁220の気孔率は、燃焼再生においてハニカム構造体に生じる熱応力を更に低減する観点から、60体積%以下が好ましく、50体積%以下がより好ましい。隔壁220の気孔率は、原料の粒子径、孔形成剤の添加量、孔形成剤の種類、焼成条件により調整可能であり、水銀圧入法により測定することができる。
【0046】
隔壁220の気孔径(細孔直径)は、5〜30μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。隔壁220の気孔径は、原料の粒子径、孔形成剤の添加量、孔形成剤の種類、焼成条件により調整可能であり、水銀圧入法により測定することができる。
【0047】
上記ハニカム構造体100,200において隔壁は、多孔質であり、例えば多孔質セラミックス(多孔質セラミックス焼結体)を含んでいる。隔壁は、流体(例えば、すす等の微粒子を含む排ガス)が透過できるような構造を有している。具体的には、流体が通過し得る多数の連通孔(流通経路)が隔壁内に形成されている。
【0048】
隔壁は、チタン酸アルミニウムを含んでいてもよく、マグネシウムやケイ素を更に含んでいてもよい。隔壁は、例えば、主にチタン酸アルミニウム系結晶からなる多孔性のセラミックスから形成されている。「主にチタン酸アルミニウム系結晶からなる」とは、チタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体を構成する主結晶相がチタン酸アルミニウム系結晶相であることを意味し、チタン酸アルミニウム系結晶相は、例えば、チタン酸アルミニウム結晶相、チタン酸アルミニウムマグネシウム結晶相等であってもよい。
【0049】
隔壁がマグネシウムを含有する場合、隔壁の組成式は、例えばAl2(1−x)MgTi(1+x)であり、xの値は、0.03以上が好ましく、0.03〜0.20がより好ましく、0.03〜0.18が更に好ましい。隔壁は、原料由来の微量成分又は製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
【0050】
隔壁がケイ素を含有する場合、隔壁は、ケイ素源粉末由来のガラス相を含んでいてもよい。ガラス相は、SiOが主要成分である非晶質相を指す。この場合、ガラス相の含有量は、4質量%以下であることが好ましい。ガラス相の含有量が4質量%以下であることにより、パティキュレートフィルタ等のセラミックスフィルタに要求される細孔特性を充足するチタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体が得られ易くなる。ガラス相の含有量は、2質量%以上であることが好ましい。
【0051】
隔壁は、チタン酸アルミニウム系結晶相やガラス相以外の相(結晶相)を含んでいてもよい。このようなチタン酸アルミニウム系結晶相以外の相としては、チタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体の作製に用いる原料由来の相等を挙げることができる。原料由来の相とは、より具体的には、ハニカム構造体の製造に際してチタン酸アルミニウム系結晶相を形成することなく残存したアルミニウム源粉末、チタン源粉末及び/又はマグネシウム源粉末由来の相である。原料由来の相としては、アルミナ、チタニア等の相が挙げられる。隔壁を形成する結晶相は、X線回折スペクトルにより確認することができる。
【0052】
上記ハニカム構造体は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関からの排ガス中に含まれるすす等の被捕集物を捕集するパティキュレートフィルタとして適する。例えば、ハニカム構造体100では、図3に示すように、一端面100aから流路110bに供給されたガスGが隔壁120内の連通孔を通過して隣の流路110aに到達し、他端面100bから排出される。このとき、ガスG中の被捕集物が隔壁120の表面や連通孔内に捕集されてガスGから除去されることにより、ハニカム構造体100はフィルタとして機能する。ハニカム構造体200についても、同様にフィルタとして機能する。
【0053】
上記ハニカム構造体は、上述のパティキュレートフィルタに用いられるだけでなく、ビール等の飲食物の濾過に用いる濾過フィルタ;石油精製時に生じるガス成分(例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、酸素)を選択的に透過させるための選択透過フィルタ;触媒担体などに用いられる。
【0054】
なお、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、隔壁は、チタン酸アルミニウムを含むことに限られず、コージェライト、炭化珪素、ムライト等のセラミックスや、金属物質を含んでいてもよい。
【0055】
また、ハニカム構造体100において流路110a及び流路110bの配置構成や断面構成は上記に限られるものではない。上記ハニカム構造体100では、辺140と長辺150aとが対向すると共に、隣接する流路110bにおいて短辺150b同士が互いに対向しているが、辺140と短辺150bとが対向すると共に、隣接する流路110bにおいて長辺150a同士が互いに対向していてもよい。
【0056】
さらに、互いに対向する辺140及び長辺150aの長さが互いに異なっていてもよく、互いに対向する短辺150bの長さが互いに異なっていてもよい。互いに対向する辺140及び長辺150aが略平行に対向しておらず、互いに交差する方向にそれぞれ伸びていてもよい。互いに対向する短辺150bが略平行に対向しておらず、互いに交差する方向にそれぞれ伸びていてもよい。仮想六角形H12が扁平六角形である場合、当該仮想六角形H12において、互いに対向する辺の長さが互いに異なっていてもよい。
【0057】
ハニカム構造体200において流路210a及び流路210bの配置構成や断面構成は上記に限られるものではない。例えば、上記ハニカム構造体200では、辺240と長辺250aとが対向すると共に、隣接する流路210bにおいて短辺250b同士が互いに対向しているが、辺240と短辺250bとが対向すると共に、隣接する流路210bにおいて長辺250a同士が互いに対向していてもよい。
【0058】
さらに、互いに対向する辺240及び長辺250aの長さが互いに異なっていてもよく、互いに対向する短辺250bの長さが互いに異なっていてもよい。互いに対向する辺240及び長辺250aが略平行に対向しておらず、互いに交差する方向にそれぞれ伸びていてもよい。互いに対向する短辺250bが略平行に対向しておらず、互いに交差する方向にそれぞれ伸びていてもよい。仮想六角形H22が扁平六角形である場合、仮想六角形H22において、互いに対向する辺の長さが互いに略等しくてもよい。
【0059】
また、流路の軸方向(長手方向)に略垂直な当該流路の断面は、弧状の角部を有する多角形状であればよく、六角形状であることに限定されない。例えば、流路の断面は、矩形状、八角形状、三角形状等であってもよい。さらに、さらに、ハニカム構造体は円柱体であることに限られず、立方体、直方体等であってもよい。また、各流路の両端が封口されていなくてもよい。
【0060】
<ハニカム構造体の製造方法>
ハニカム構造体の製造方法は、例えば、(a)セラミックス粉末や添加剤を含む原料混合物を調製する原料調製工程と、(b)原料混合物を成形して、流路を有する成形体を得る成形工程と、(c)成形体を焼成する焼成工程と、を備える。また、ハニカム構造体の製造方法は、(d)成形工程と焼成工程の間、又は、焼成工程の後に、各流路の一端を封口する封口工程を更に備えていてもよい。以下、各工程について説明する。
【0061】
(工程(a):原料調製工程)
工程(a)では、セラミックス粉末と添加剤とを混合した後に混練して原料混合物を調製する。添加剤としては、例えば孔形成剤(造孔剤)、バインダ、可塑剤、分散剤、溶媒が挙げられる。
【0062】
以下、チタン酸アルミニウムを含む隔壁を備えるハニカム構造体の製造方法を例として説明する。セラミックス粉末は、アルミニウム源粉末及びチタン源粉末を少なくとも含み、マグネシウム源粉末及びケイ素源粉末等を更に含んでいてもよい。
【0063】
(アルミニウム源粉末)
アルミニウム源粉末は、隔壁を構成するアルミニウム成分となる化合物の粉末である。アルミニウム源粉末としては、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)の粉末が挙げられる。アルミナの結晶型としては、γ型、δ型、θ型、α型等が挙げられ、不定形(アモルファス)であってもよい。アルミナの結晶型は、α型が好ましい。
【0064】
アルミニウム源粉末は、単独で空気中で焼成することによりアルミナに導かれる化合物の粉末であってもよい。かかる化合物としては、例えばアルミニウム塩、アルミニウムアルコキシド、水酸化アルミニウム、金属アルミニウム等が挙げられる。
【0065】
アルミニウム塩は、無機酸とのアルミニウム無機塩であってもよく、有機酸とのアルミニウム有機塩であってもよい。アルミニウム無機塩の具体例としては、例えば、硝酸アルミニウム、硝酸アンモニウムアルミニウム等のアルミニウム硝酸塩;炭酸アンモニウムアルミニウム等のアルミニウム炭酸塩などが挙げられる。アルミニウム有機塩としては、例えば、蓚酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム等が挙げられる。
【0066】
アルミニウムアルコキシドの具体例としては、例えば、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムsec−ブトキシド、アルミニウムtert−ブトキシド等が挙げられる。
【0067】
水酸化アルミニウムの結晶型としては、例えば、ギブサイト型、バイヤライト型、ノロソトランダイト型、ベーマイト型、擬ベーマイト型等が挙げられ、不定形(アモルファス)であってもよい。アモルファスの水酸化アルミニウムとしては、例えば、アルミニウム塩、アルミニウムアルコキシド等のような水溶性アルミニウム化合物の水溶液を加水分解して得られるアルミニウム加水分解物が挙げられる。
【0068】
アルミニウム源粉末は、1種又は2種以上のいずれでもよい。アルミニウム源粉末は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
【0069】
アルミニウム源粉末は、好ましくはアルミナ粉末であり、より好ましくはα型のアルミナ粉末である。
【0070】
アルミニウム源粉末において、レーザ回折法により測定される体積基準の累積百分率50%相当粒径(中心粒径、D50)は、好ましくは20〜60μmである。アルミニウム源粉末のD50をこの範囲内に調整することにより、優れた多孔性を示すチタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体が得られると共に、焼成収縮率をより効果的に低減させることができる。アルミニウム源粉末のD50は、より好ましくは25〜60μmである。
【0071】
(チタン源粉末)
チタン源粉末は、隔壁を構成するチタン成分となる化合物の粉末であり、例えば酸化チタンの粉末である。酸化チタンは、例えば、酸化チタン(IV)、酸化チタン(III)、酸化チタン(II)であり、好ましくは酸化チタン(IV)である。酸化チタン(IV)の結晶型は、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型である。酸化チタンは不定形(アモルファス)であってもよい。酸化チタンは、より好ましくはアナターゼ型やルチル型の酸化チタン(IV)である。
【0072】
チタン源粉末は、単独で空気中で焼成することによりチタニア(酸化チタン)に導かれる化合物の粉末であってもよく、例えば、チタニウム塩、チタニウムアルコキシド、水酸化チタニウム、窒化チタン、硫化チタン、チタン金属である。
【0073】
チタニウム塩は、例えば三塩化チタン、四塩化チタン、硫化チタン(IV)、硫化チタン(VI)、硫酸チタン(IV)である。チタニウムアルコキシドは、例えばチタン(IV)エトキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)t−ブトキシド、チタン(IV)イソブトキシド、チタン(IV)n−プロポキシド、チタン(IV)テトライソプロポキシド、及び、これらのキレート化物である。
【0074】
チタン源粉末は、1種又は2種以上のいずれでもよい。チタン源粉末は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
【0075】
チタン源粉末は、好ましくは酸化チタン粉末であり、より好ましくは酸化チタン(IV)粉末である。
【0076】
チタン源粉末において、レーザ回折法により測定される体積基準の累積百分率50%相当粒径(D50)は、好ましくは0.1〜25μmである。チタン源粉末のD50は、充分に低い焼成収縮率を達成するため、より好ましくは1〜20μmである。
【0077】
チタン源粉末は、バイモーダルな粒径分布を示すことがある。このようなバイモーダルな粒径分布を示すチタニウム源粉末を用いる場合、レーザ回折法により測定される粒径が大きい方のピークを形成する粒子の粒径は、好ましくは20〜50μmである。
【0078】
レーザ回折法により測定されるチタン源粉末のモード径は、通常0.1〜60μmである。
【0079】
原料混合物中におけるAl23(アルミナ)換算でのアルミニウム源粉末とTiO2(チタニア)換算でのチタン源粉末のモル比(アルミニウム源粉末:チタン源粉末)は、好ましくは35:65〜45:55であり、より好ましくは40:60〜45:55である。このような範囲内で、チタン源粉末をアルミニウム源粉末に対して過剰に用いることにより、原料混合物の成形体の焼成収縮率をより効果的に低減させることが可能となる。
【0080】
(マグネシウム源粉末)
原料混合物は、マグネシウム源粉末を更に含有していてもよい。原料混合物がマグネシウム源粉末を含む場合、得られるチタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体は、チタン酸アルミニウムマグネシウム結晶を含む焼成体である。マグネシウム源粉末は、マグネシア(酸化マグネシウム)の粉末のほか、単独で空気中で焼成することによりマグネシアに導かれる化合物の粉末である。このような化合物は、例えば、マグネシウム塩、マグネシウムアルコキシド、水酸化マグネシウム、窒化マグネシウム、金属マグネシウムである。
【0081】
マグネシウム塩は、例えば塩化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、ピロりん酸マグネシウム、蓚酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、ジメタクリル酸マグネシウム、安息香酸マグネシウムである。
【0082】
マグネシウムアルコキシドは、例えばマグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド等である。
【0083】
マグネシウム源粉末として、マグネシウム源とアルミニウム源とを兼ねた化合物の粉末を用いることができる。このような化合物は、例えば、マグネシアスピネル(MgAl24)である。
【0084】
マグネシウム源粉末として、マグネシウム源とアルミニウム源とを兼ねた化合物の粉末を用いる場合、アルミニウム源粉末のAl23(アルミナ)換算量、及び、マグネシウム源とアルミニウム源とを兼ねた化合物粉末に含まれるAl成分のAl23(アルミナ)換算量の合計量と、チタニウム源粉末のTiO2(チタニア)換算量とのモル比が、原料混合物中において上記範囲内となるように調整される。
【0085】
マグネシウム源粉末は、1種又は2種以上のいずれでもよい。マグネシウム源粉末は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
【0086】
マグネシウム源粉末において、レーザ回折法により測定される体積基準の累積百分率50%相当粒径(D50)は、好ましくは0.5〜30μmである。マグネシウム源粉末のD50は、成形体の焼成収縮率を低減する観点から、より好ましくは3〜20μmである。
【0087】
原料混合物中におけるMgO(マグネシア)換算でのマグネシウム源粉末の含有量は、Al(アルミナ)換算でのアルミニウム源粉末とTiO(チタニア)換算でのチタニウム源粉末との合計量に対して、モル比で、好ましくは0.03〜0.15であり、より好ましくは0.03〜0.12である。マグネシウム源粉末の含有量をこの範囲内に調整することにより、耐熱性がより向上された、大きい気孔径及び気孔率を有するチタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体を比較的容易に得ることができる。
【0088】
(ケイ素源粉末)
原料混合物は、ケイ素源粉末を更に含有していてもよい。ケイ素源粉末は、シリコン成分となってチタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体に含まれる化合物の粉末であり、ケイ素源粉末の併用により、耐熱性がより向上されたチタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体を得ることが可能となる。ケイ素源粉末は、例えば、二酸化ケイ素、一酸化ケイ素等の酸化ケイ素(シリカ)の粉末である。
【0089】
ケイ素源粉末は、単独で空気中で焼成することによりシリカに導かれる化合物の粉末であってもよい。かかる化合物は、例えば、ケイ酸、炭化ケイ素、窒化ケイ素、硫化ケイ素、四塩化ケイ素、酢酸ケイ素、ケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム、長石、ガラスフリット、好ましくは長石、ガラスフリットであり、工業的に入手が容易であると共に組成が安定している点で、より好ましくはガラスフリットである。ガラスフリットは、ガラスを粉砕して得られるフレーク又は粉末状のガラスをいう。ケイ素源粉末として、長石とガラスフリットとの混合物からなる粉末を用いることも好ましい。
【0090】
ガラスフリットを用いる場合、得られるチタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体の耐熱分解性をより向上させるという観点から、ガラスフリットの屈伏点は、600℃以上であることが好ましい。本明細書において、ガラスフリットの屈伏点は、熱機械分析装置(TMA:Thermo Mechanical Analysis)を用いて、低温からガラスフリットの膨張を測定し、膨張が止まり、次に収縮が始まる温度(℃)と定義される。
【0091】
ガラスフリットを構成するガラスには、ケイ酸〔SiO2〕を主成分(全成分中50質量%以上)とする一般的なケイ酸ガラスを用いることができる。ガラスフリットを構成するガラスは、その他の含有成分として、一般的なケイ酸ガラスと同様、アルミナ〔Al23〕、酸化ナトリウム〔Na2O〕、酸化カリウム〔K2O〕、酸化カルシウム〔CaO〕、マグネシア〔MgO〕等を含んでいてもよい。また、ガラスフリットを構成するガラスは、ガラス自体の耐熱水性を向上させるために、ZrO2を含有していてもよい。
【0092】
ケイ素源粉末は、1種又は2種以上のいずれでもよい。ケイ素源粉末は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
【0093】
ケイ素源粉末において、レーザ回折法により測定される体積基準の累積百分率50%相当粒径(D50)は、好ましくは0.5〜30μmである。ケイ素源粉末のD50は、成形体の充填率をより向上させて機械的強度が更に高い焼成体を得るため、より好ましくは1〜20μmである。
【0094】
原料混合物がケイ素源粉末を含む場合、原料混合物中におけるケイ素源粉末の含有量は、Al(アルミナ)換算でのアルミニウム源粉末とTiO(チタニア)換算でのチタニウム源粉末との合計量100質量部に対して、SiO(シリカ)換算で、通常0.1〜10質量部であり、好ましくは0.1〜5質量部である。
【0095】
ハニカム構造体の製造では、上記マグネシアスピネル(MgAl24)等の複合酸化物のように、チタニウム、アルミニウム、ケイ素及びマグネシウムのうち、2つ以上の金属元素を成分とする化合物を原料粉末として用いることができる。この場合、化合物は、それぞれの金属源化合物を混合した原料と同じであると考えることができる。このような考えに基づき、原料混合物中におけるアルミニウム源、チタニウム源、マグネシウム源及びケイ素源の含有量が上記範囲内に調整される。
【0096】
原料混合物にはチタン酸アルミニウムやチタン酸アルミニウムマグネシウムが含まれていてもよく、例えば、原料混合物の構成成分としてチタン酸アルミニウムマグネシウムを使用する場合、チタン酸アルミニウムマグネシウムは、チタニウム源、アルミニウム源及びマグネシウム源を兼ね備えた原料混合物に相当する。
【0097】
チタン酸アルミニウムやチタン酸アルミニウムマグネシウムは、本製造方法により得られるハニカム構造体から調製してもよい。例えば、本製造方法により得られたハニカム構造体が破損した場合、破損したハニカム構造体やその破片等を粉砕して使用することができる。粉砕して得られる粉末をチタン酸アルミニウムマグネシウム粉末とすることができる。
【0098】
(添加剤)
孔形成剤としては、工程(c)において成形体を脱脂・焼成する温度以下で消失する素材によって形成されたものを使用することができる。脱脂や焼成において、孔形成剤を含有する成形体が加熱されると、孔形成剤は燃焼等によって消滅する。これにより、孔形成剤が存在していた箇所に空間ができると共に、この空間同士の間に位置するセラミックス粉末が焼成の際に収縮することにより、流体を流すことができる連通孔を隔壁内に形成することができる。
【0099】
孔形成剤は、例えば、トウモロコシ澱粉、大麦澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、豆澱粉、米澱粉、エンドウ澱粉、サンゴヤシ澱粉、カンナ澱粉、ポテト澱粉(馬鈴薯デンプン)である。孔形成剤の平均粒径は、例えば5〜25μmである。原料混合物が孔形成剤を含有する場合、孔形成剤の含有量は、例えば、セラミックス粉末100質量部に対して1〜25質量部である。
【0100】
バインダは、例えば、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース等のセルロース類;ポリビニルアルコール等のアルコール類;リグニンスルホン酸塩等の塩;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等のワックスである。原料混合物におけるバインダの含有量は、例えば、セラミックス粉末100質量部に対して20質量部以下である。
【0101】
可塑剤は、例えばグリセリン等のアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラギン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸Al等のステアリン酸金属塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルである。原料混合物における可塑剤の含有量は、例えば、セラミックス粉末100質量部に対して0〜10質量部である。
【0102】
分散剤は、例えば、硝酸、塩酸、硫酸等の無機酸;シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸等の有機酸;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;ポリカルボン酸アンモニウムなどの界面活性剤である。原料混合物における分散剤の含有量は、例えば、セラミックス粉末100質量部に対して0〜20質量部である。
【0103】
溶媒は、例えば水であり、不純物が少ない点で、イオン交換水が好ましい。原料混合物が溶媒を含有する場合、溶媒の含有量は、例えば、セラミックス粉末100質量部に対して10〜100質量部である。
【0104】
(工程(b):成形工程)
工程(b)では、複数の流路が形成されたハニカム構造体をセラミックス成形体として得る。工程(b)では、例えば、一軸押出機により原料混合物を混練しながらダイから押し出す、いわゆる押出成形法を採用することができる。
【0105】
(工程(c):焼成工程)
工程(c)では、成形体の焼成前に、成形体中(原料混合物中)に含まれる孔形成剤等を除去するための脱脂(仮焼)が行われてもよい。脱脂は、酸素濃度0.1%以下の雰囲気下で行われる。
【0106】
本明細書において酸素濃度の単位として用いられる「%」は、「体積%」を意味する。脱脂工程(昇温時)の酸素濃度を0.1%以下の濃度に管理することにより、有機物の発熱が抑えられ、脱脂後の割れを抑制することができる。脱脂においては、脱脂が酸素濃度0.1%以下の雰囲気中で行われることにより、孔形成剤等の有機成分の一部が除去され、残部が炭化されてセラミック成形体中に残存することが好ましい。このように、セラミックス成形体中に微量のカーボンが残存することで、成形体の強度が向上し、セラミックス成形体の焼成工程への仕込みが容易になる。このような雰囲気としては、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気や、一酸化炭素ガス、水素ガス等のような還元性ガス雰囲気、真空中等が挙げられる。また、水蒸気分圧を低くした雰囲気中で焼成を行なってもよく、炭と一緒に蒸し込んで酸素濃度を低減させてもよい。
【0107】
脱脂の最高温度は、好ましくは700〜1100℃であり、より好ましくは800〜1000℃である。脱脂の最高温度を従来の600〜700℃程度から、700〜1100℃に上昇させることで、粒成長によって、脱脂後のセラミックス成形体の強度が向上するため、セラミックス成形体の焼成への仕込みが容易になる。また、脱脂は、セラミックス成形体の割れを防止するために、最高温度に到達するまでの昇温速度を極力抑えることが好ましい。
【0108】
脱脂は、管状電気炉、箱型電気炉、トンネル炉、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉、シャフト炉、反射炉、ロータリー炉、ローラーハース炉、ガス燃焼炉等の通常の焼成に用いられるものと同様の炉を用いて行なわれる。脱脂は回分式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。また、脱脂は静置式で行なってもよいし、流動式で行なってもよい。
【0109】
脱脂に要する時間は、セラミックス成形体中に含まれる有機成分の一部が消失するのに充分な時間であればよく、好ましくは、セラミックス成形体中に含まれる有機成分の90〜99質量%が消失する時間である。具体的には、原料混合物の量、脱脂に用いる炉の形式、温度条件、雰囲気等により異なるが、最高温度でキープする時間は、通常1分〜10時間であり、好ましくは1〜7時間である。
【0110】
セラミックス成形体は、上記の脱脂後、焼成される。焼成温度は、通常1300℃以上であり、好ましくは1400℃以上である。また、焼成温度は、通常1650℃以下であり、好ましくは1550℃以下である。焼成温度までの昇温速度は特に限定されるものではないが、通常1〜500℃/時間である。ケイ素源粉末を用いる場合には、焼成工程の前に、1100〜1300℃の温度範囲で3時間以上保持する工程を設けることが好ましい。これにより、ケイ素源粉末の融解、拡散を促進させることができる。
【0111】
焼成は、酸素濃度1〜6%の雰囲気下で行われることが好ましい。酸素濃度を6%以下とすることによって脱脂で発生した残存炭化物の燃焼を抑制することができるため、焼成におけるセラミックス成形体の割れが生じにくくなる。また、適度な酸素が存在するため、最終的に得られるチタン酸アルミニウム系セラミックス成形体の有機成分を完全に除去することができる。酸素濃度は、得られるチタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体中に有機成分に由来する炭化物(すす)が残存しないことから、1%以上が好ましい。原料混合物、すなわちアルミニウム源粉末、チタン源粉末、マグネシウム源粉末及びケイ素源粉末の種類や使用量比によっては、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス中で焼成してもよいし、一酸化炭素ガス、水素ガス等のような還元性ガス中で焼成してもよい。また、水蒸気分圧を低くした雰囲気中で焼成を行なってもよい。
【0112】
焼成は、通常、管状電気炉、箱型電気炉、トンネル炉、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉、シャフト炉、反射炉、ロータリー炉、ローラーハース炉、ガス燃焼炉等の従来の装置を用いて行なわれる。焼成は回分式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。また、焼成は静置式で行なってもよいし、流動式で行なってもよい。
【0113】
焼成時間は、セラミックス成形体がチタン酸アルミニウム系結晶に遷移するのに充分な時間であればよく、原料の量、焼成炉の形式、焼成温度、焼成雰囲気等により異なるが、通常は10分〜24時間である。
【0114】
(工程(d):封口工程)
工程(d)は、工程(b)と工程(c)の間、又は、工程(c)の後に行われる。工程(b)と工程(c)の間に工程(d)を行う場合、工程(b)において得られた未焼成のセラミックス成形体の各流路の一方の端部を封口物で封口した後、工程(c)においてセラミックス成形体と共に封口物を焼成することにより、流路の一方の端部を封口する封口部が得られる。工程(c)の後に工程(d)を行う場合、工程(c)において得られたセラミックス成形体の各流路の一方の端部を封口物で封口した後、セラミックス成形体と共に封口物を焼成することにより、流路の一方の端部を封口する封口部が得られる。封口物としては、上記原料混合物と同様の混合物を用いることができる。
【0115】
以上の工程によって、ハニカム構造体を得ることができる。なお、ハニカム構造体は、工程(b)における成形直後の成形体の形状をほぼ維持した形状を有するが、工程(b)、工程(c)又は工程(d)の後に研削加工等を行って、所望の形状に加工することもできる。
【実施例】
【0116】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0117】
<原料混合物の調製>
チタン酸アルミニウムマグネシウムの原料粉末(Al粉末、TiO粉末、MgO粉末)、SiO粉末、チタン酸アルミニウムマグネシウムとアルミナとアルミノシリケートガラスとの複合相をもつセラミックス粉末(仕込み時の組成式:41.4Al−49.9TiO−5.4MgO−3.3SiO、式中の数値はモル比を表す)、孔形成剤、有機バインダ、潤滑剤、可塑剤、分散剤及び水(溶媒)を含む原料混合物を調製した。原料混合物中の主な成分の含有量は下記の値に調整した。
【0118】
[原料混合物の成分]
Al粉末:37.3質量部
TiO粉末:37.0質量部
MgO粉末:1.9質量部
SiO粉末:3.0質量部
セラミックス粉末:8.8質量部
孔形成剤:馬鈴薯から得た平均粒径25μmの澱粉、12.0質量部
有機バインダ1:メチルセルロース(三星精密化学社製:MC−40H)、5.5質量部
有機バインダ2:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(三星精密化学社製:PMB−40H)、2.4質量部
【0119】
上記の原料混合物を混練した後に押出成形することにより、図1〜3に示す構造を有する円柱状の柱状体(DPF)を作製した。押出成形に際しては、断面六角形状の複数の開口を有する金型を使用した。金型におけるそれぞれの開口の断面は、弧状の角部を有していた。
【0120】
実施例1の柱状体のチタン酸アルミニウム化率(AT化率)を測定したところ100%であった。なお、AT化率は、実施例1の柱状体を乳鉢にて解砕して得られる粉末の粉末X線回折スペクトルにおける2θ=27.4°の位置に現れるピーク(チタニア・ルチル相(110)面)の積分強度(I)と、2θ=33.7°の位置に現れるピーク〔チタン酸アルミニウムマグネシウム相(230)面〕の積分強度(IAT)とから、下記式(1)により算出した。
AT化率(%)=IAT/(I+IAT)×100 ・・・(1)
【0121】
流路の軸方向における柱状体の長さは153mmであった。柱状体の端面の外径は144mmであった。流路の密度(セル密度)は290cpsiであった。正六角形状の仮想六角形における一辺の長さは0.9mmであった。扁平六角形状の仮想六角形における長辺の長さは0.9mmであり、短辺の長さは0.6mmであった。流路間の隔壁の厚みは12mil(milli-inch、0.30mm)であった。隔壁の気孔率は45体積%であった。隔壁の気孔径は15μmであった。
【0122】
図7は、柱状体の端面における要部の写真であり、図7(a)は端面の中心部(柱状体の中心から柱状体の外径の10%の厚さの領域)の写真であり、図7(b)は端面の外周側の領域(柱状体の外周から柱状体の外径の10%の深さの領域)の写真である。中心部に配置された流路F11,F12(図1中の中心部P11における流路110b)における角部の曲率半径を測定したところ、図7(a)中の曲率半径R1,R2は236μmであった。流路F11の水力直径及び流路F12の水力直径は1.4mmであった。流路F11の水力直径に対する曲率半径R1の比率は0.17であり、流路F12の水力直径に対する曲率半径R2の比率は0.17であった。外周側の領域に配置された流路F21,F22(図1中の領域P12における流路110b)における角部の曲率半径を測定したところ、図7(b)中、曲率半径R3は257μmであり、曲率半径R4は268μmであった。流路F21の水力直径及び流路F22の水力直径は1.4mmであった。流路F21の水力直径に対する曲率半径R3の比率は0.18であり、流路F22の水力直径に対する曲率半径R4の比率は0.19であった。
【0123】
<熱処理後の外観評価>
柱状体内部に燃焼性物質を投入し、柱状体を800〜1000℃に熱処理した。このように熱処理した柱状体の破損の有無を評価した。熱処理後の柱状体を目視にて確認したところ、柱状体にクラックは確認されず、柱状体が破損していないことが確認された。
【符号の説明】
【0124】
100,200…ハニカム構造体、105,205…流路、105a,205a…流路(第1の流路)、105b,205b…流路(第2の流路)、120,220…隔壁、C111,C112,C113,C211,C212,C222…角部、P11,P12…中心部、R111,R112,R113,R121,R122,R123…曲率半径。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質の隔壁により仕切られた互いに平行な複数の流路を有するハニカム構造体であって、
前記流路の軸方向に垂直な前記流路の断面が、弧状の角部を有する多角形状であり、
前記複数の流路が、前記ハニカム構造体の中心部に配置された第1の流路と、当該第1の流路よりも前記ハニカム構造体の外周側に配置された第2の流路と、を有し、
前記第2の流路の前記角部の曲率半径が、前記第1の流路の前記角部の曲率半径よりも大きい、ハニカム構造体。
【請求項2】
前記第1の流路の前記断面において、前記第1の流路の水力直径に対する前記第1の流路の前記角部の曲率半径の比率が0.01〜0.30である、請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記第2の流路の前記断面において、前記第2の流路の水力直径に対する前記第2の流路の前記角部の曲率半径の比率が0.01〜0.80である、請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記隔壁がチタン酸アルミニウムを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記複数の流路のうちの一部の一端及び前記複数の流路のうちの残部の他端が封口されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−39514(P2013−39514A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177007(P2011−177007)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】