ハニカム連続流動反応装置および方法
連続的に流れる流体等の反応流体のための反応装置が開示されており、この反応装置は、成形体の第1端から第2端に向かう方向に平行に延びるセル群を有する多セル押出し成形体を備え、この成形体は、成形体の両端において開口する第1の複数のセルと、成形体の一端または両端において閉塞された第2の複数のセルとを有し、第2の複数のセルは隣接するセル群であり、かつ成形体を少なくとも部分的に抜けて延びる流体通路の少なくとも一部を画成するために協働する。上記流体通路は、第2の複数のセルに沿って往復する蛇行通路を有することが望ましく、かつこの通路は、成形体の両端またはそれらの近傍において、上記第2の複数のセルの内部でセルからセルを横方向に接続している。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本発明は、「ハニカム連続流動反応装置および方法」と題して2008年1月31日付けで提出された米国仮特許出願第61/063,090号および本願と同じ題名により2007年12月31日付けで提出された米国仮特許出願第61/018,119号に関する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ハニカム連続流動反応装置に関し、より具体的には、ニカム連続流動反応装置とともに用いられる装置および方法に関し、特に、ハニカム連続流動反応装置におけるまたは関連する流体の経路設定、流体の出入、分岐、および封止のための装置および方法に関するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一つの実施の形態による、連続的に流れる、または間歇的に流れる流体等の流体を反応させるための反応装置は、成形体の第1端から第2端に向かう方向に平行に延びるセル群を有する多セル押出し成形体を備え、この成形体は、この成形体の両端において開口する第1の複数のセルと、成形体の一端または両端において閉塞された第2の複数のセルとを有し、第2の複数のセルは隣接するセル群であり、かつ成形体を少なくとも部分的に通って延びる流体通路の少なくとも一部を画成するために協働するものである。上記流体通路は、上記第2の複数のセルに沿って往復する蛇行通路を有し、この流体通路は、成形体の両端またはそれらの近傍において、上記第2の複数のセルの内部においてセルからセルを横方向に接続している。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】セル群と直交する平面内の流体通路を示す、本発明の一つの実施の形態による多セル押出し成形体を備えた反応装置の平面図である。
【図2】流体通路のさらなる詳細を示す、図1の多セル押出し成形体すなわちハニカムを備えた反応装置の斜視図である。
【図3】チャンネル間の相互接続のための本発明に関連して有用な一つの方法を示す、押出し成形体の一端または両端において閉塞されたチャンネル群の断面図である。
【図4】チャンネル間の相互接続のための本発明に関連して有用な別の方法を示す、押出し成形体の一端または両端において閉塞されたチャンネル群の断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態による、セル群と直交する平面内の別の流体通路を示す多セル押出し成形体すなわちハニカムを備えた反応装置の平面図である。
【図6】押出し成形体の一端において入出力ポートに結合された流体連結器を示す、図5の多セル押出し成形体すなわちハニカムを備えた反応装置の斜視図である。
【図7】本発明の一つの実施の形態による押出し成形体に対する流体の接続を示す、多セル押出し成形体すなわちハニカムを備えた本発明の反応装置の断面図である。
【図8】押出し成形体の側部における入出力ポートに結合される流体連結器を示す、多セル押出し成形体すなわちハニカムを備えた反応装置の分解斜視図である。
【図9】本発明の別の実施の形態による押出し成形体に対する流体の接続を示す、多セル押出し成形体すなわちハニカムを備えた本発明の反応装置の断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施の形態による、セル群と直交する平面内の別の流体通路を示す多セル押出し成形体すなわちハニカムを備えた反応装置の平面図である。
【図11】本発明のさらに他の実施の形態による、セル群と直交する平面内の別の流体通路を示す多セル押出し成形体すなわちハニカムを備えた反応装置の平面図である。
【図12】押出し成形体の内部で始まる1本の流体通路から始まって2本の流体通路に分岐させるための本発明に関連して有用な一つの方法を示す、押出し成形体の一端または両端において閉塞されたチャンネル群の断面図である。
【図13】押出し成形体の一端上の入力ポートにおいて押出し成形体の内部で始まる多数の通路を示す押出し成形体すなわちハニカムの一端の部分的平面図である。
【図14】押出し成形体の一側における壁上の入力ポートにおいて押出し成形体の内部で始まる多数の通路を示す押出し成形体すなわちハニカムの部分的側面図である。
【図15】深い位置にある栓を示す押出し成形体すなわちハニカムの断面図である。
【図16】押出し成形体の一側における入力ポートにおいて押出し成形体から始まる2本の通路を示す押出し成形体すなわちハニカムの断面図である。
【図17】押出し成形体の一側の入力ポートにおいて押出し成形体の内部で始まる4本の通路を有する押出し成形体すなわちハニカムの断面図である。
【図18】押出し成形体の一側の入力ポートにおいて押出し成形体の内部で始まる4本の通路を有する押出し成形体すなわちハニカムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下に本発明の好ましい実施の形態が添付図面を参照して詳細に説明されている。全図を通じて、同一または類似の要素には、可能な限り同一の符号が用いられている。
【0006】
本発明は、その一実施の形態が図1に平面図で示されている押出し成形された多セル体20を備えた反応装置12に関する。上記成形体20は、その一端から他端まで平行に延びる多数のセルを有し、これらのセルの一端が図1に示されている。これらのセルは、成形体の両端に開口する第1の複数のセル22と、一つまたは複数の栓26によって、または、上記成形体の一端にまたはその近傍に配置されかつ第2の複数のセルのチャンネルの内部に少なくとも部分的に配置された多少なりとも連続する施栓材料によって、上記成形体の一端または両端において閉塞された第2の複数のセル24とを備えている。これらの第2の複数のセル24(閉塞されたセル群)は隣接するセル群であり、成形体20を通って延びる流体通路を画成するのに一役買うために協働する。この通路は、概略的な方向が図1および図2に矢印28で示されているように、セル24に沿って上下に蛇行した通路を形成しており、成形体20の両端32,34およびそれらの近傍のみにおいてはセル24と直角に横方向に延びており、その場合、セル24間の壁が短縮され、または孔が開けられ、さもなければ切開されて、セル24間の流体の連通を可能にしている。
【0007】
本発明の別の実施の形態においては、通路が、図2に示されているようにセルに沿った方向のみでなく、図5の平面図に示されているように、セルと直交する平面内でも蛇行している。図5の平面図における複数の閉塞されたセル24は、セル24および22と直交する平面内において蛇行した通路として配置されている。したがって、流体通路28は、図5の平面を出入する方向には比較的高い周波数で蛇行し、図5の平面内においては比較的低い周波数で蛇行している。この二重の蛇行構造は、これらの通路と開放通路22との間に広い表面積を維持しながら、高い総通路容積および長い総通路長を持つことを可能にし、かつ反応装置12が小さい総梱包サイズを持つことを可能にしている。
【0008】
図5に見られる閉塞されたセルの蛇行構造は、本発明の一つの好ましい実施の形態であり、用途に応じて別の構造も可能であり、または望ましくもある。しかしながら、図1または図5の平面内の通路の形状に関係なく、通路の大部分がセル1個分の幅しか備えていないことが望ましい。このことは、極めて高い表面積対体積比を備えることが可能な流体通路を容易に製造することができる結果となる。
【0009】
図1および図5に示されているように、セル24の追加のセルが、必要に応じて、通路の入出力ポート30の周囲において閉塞されて、2個以上のセル幅を有するセル集団25が形成されている。これらの付加的な閉塞されたセルは、通路28に対する流体の接続部を提供するためのOリング・シールまたは焼成されたフリット・シールまたはその他の封止システムのための支持部を提供することができる。一つの変形が図6の実施の形態に示されており、ここでは接続チューブ36が二つの閉塞されたセル集団25に封着されている。
【0010】
押出し成形体、すなわちハニカム20は、耐久性および化学的不活性に関して、押出し成形されたガラス、ガラスセラミックまたはセラミック材料で形成されるのが望ましい。アルミナ・セラミックは、ガラスおよび他のセラミックよりも良好な強度、良好な不活性および高い熱伝導性を有するものとして一般的に好ましい。この多セル体は少なくとも1平方インチ(6.45cm2)当たり200セルのセル密度を有することが望ましい。セル密度が高い程、高い熱交換性能を有するデバイスを得ることができる。1平方インチ(6.45cm2)当たり300セル以上、または450セル以上のセル密度を有する成形体が高性能デバイスを形成するために関心を惹く可能性がある。
【0011】
通路28は、図3に示されているように、セル24に沿う方向に1本のセルに追随して上下するものでもよい。あるいは、通路28は、図4に示されているように、セル24に沿う方向に平行な2本以上のセルからなる群のそれぞれに順次追従するものであってもよい。
【0012】
図7は、押出し成形された多セル体すなわちハニカムを備えた接続された本発明の反応装置10の断面図であり、本発明の他の実施の形態による押出し成形体への流体の接続状態を示す。図7の実施の形態において、流体ハウジング40はシール42を介して押出し成形体を支持している。このハウジング40は、押出し成形体を囲む単一体からなり、または、部分40Cが随意的に取り除かれて、ハウジングが二部分40Aおよび40Bからなる。一般に熱制御用流体を流すための流体通路48は、ハウジング40と協働する、図1および図5に示されているような開放チャンネル22によって形成されている。成形体20内の通路28は、流体連結器46を通る流体導管60を介して接続される。流体導管60は、ハウジング40の開口部62を貫通し、これらの開口部62にはシール44が使用されている。
【0013】
図8は、押出し成形体20の両側において入出力ポート30に結合するように構成された流体連結器46を示す、押出し成形された多セル体すなわちハニカムを備えた反応装置12の分解斜視図である。流体連結器46は、流体通路54を取り囲む突出した接続リング52を有する流体連結器本体50を備えている。組み付けられると、成形体20の両側上に形成された平坦な表面上に、エラストマーからなるOリング56が突出した接続リング52によって圧着される。押出し成形体20内の多数の壁構造が、平坦な表面58に対する頑強な圧着シールのための十分な支持を提供する。
【0014】
図8の実施の形態に示されているような反応装置12は、本発明の接続された反応装置10の断面図である図9に示されているような、好ましい構造を有する接続された反応装置10を可能にし、この反応装置10は、押出し成形された多セル体すなわちハニカム20を備え、かつ本発明の他の好ましい実施の形態による、押出し成形体20への流体の接続状態を示す。図8の実施の形態を上回る利点は、シール44が存在しないことであり、かつ二つの通路28,48間にシール(シール44または液体連結器46等)が直接的に存在しないことである。したがって、シール材料は各通路の流体に対して最適のものが選ばれ、シールの不良が二つの通路の流体の相互混合を生じさせることはない。
【0015】
図10および図11は、本発明のさらなる実施の形態による、押出し成形された多セル体すなわちハニカムを備えた反応装置12の平面図であり、セルすなわちチャンネル22,24と直交する平面内のさらに他の流体通路28を示している。双方の図に見られるように、これらの実施の形態は、セルと直交する平面内で通路28が平行な複数の通路に分岐した態様の、通路28内におけるマニホールド構造を有する。図12は、押出し成形体20の一端または両端が閉塞されたチャンネル24の断面図であり、セルすなわちチャンネル22,24に平行でかつ押出し成形体20の内部で始まる1本の通路から2本の通路に分岐させる、本発明との関連で有用な流体通路の分岐方法を示している。
【0016】
図13は、押出し成形体の一端の入力ポート30において、押出し成形体の内部で始まる多数の平行通路への分岐方法または構造を示す押出し成形体すなわちハニカム構造の一端の部分的平面図である。
【0017】
図14は、押出し成形体の一側の入力ポート30において、押出し成形体の内部で始まる多数の平行通路28の別の実施の形態を示す押出し成形体すなわちハニカム構造の部分的側面図である。
【0018】
図15の断面図に示されているように、押出し成形体の側部に入力ポート30を有する実施の形態においては、通路28に沿ったデッドスペースを阻止または低減するために、必要に応じて、入力ポート30において通路28を仕切る深い位置にある栓27が有用であろう。
【0019】
図16の断面図に示されているように、セルすなわちチャンネル22,24の1本分以下の幅を有する単一の入力ポート30が、押出し成形体20の側部の入力ポート30において押出し成形体20の内部で始まる2本の通路28に接続されている。図16〜図18において、「X」の記号は、観察者から図の面内へ遠ざかる通路28を表す。
【0020】
図17および図18の断面図に示されているように、セルすなわちチャンネル22,24の1本分よりも広く、かつセルすなわちチャンネルの2本分のよりも狭い幅を有する単一の入力ポート30が、押出し成形体20の側部の入力ポート30において押出し成形体20の内部で始まる4本の通路28に接続されている。
【符号の説明】
【0021】
10,12 反応装置
20 押出し成形体(ハニカム)
22 第1の複数のセル(開放チャンネル)
24 第2の複数のセル(閉塞チャンネル)
26 栓
28,48,54 流体通路
30 入出力ポート
36 接続チューブ
40 流体ハウジング
42,44 シール
46 流体連結器
50 流体連結器本体
52 接続リング
56 Oリング
60 流体導管
62 開口部
【関連出願の説明】
【0001】
本発明は、「ハニカム連続流動反応装置および方法」と題して2008年1月31日付けで提出された米国仮特許出願第61/063,090号および本願と同じ題名により2007年12月31日付けで提出された米国仮特許出願第61/018,119号に関する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ハニカム連続流動反応装置に関し、より具体的には、ニカム連続流動反応装置とともに用いられる装置および方法に関し、特に、ハニカム連続流動反応装置におけるまたは関連する流体の経路設定、流体の出入、分岐、および封止のための装置および方法に関するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一つの実施の形態による、連続的に流れる、または間歇的に流れる流体等の流体を反応させるための反応装置は、成形体の第1端から第2端に向かう方向に平行に延びるセル群を有する多セル押出し成形体を備え、この成形体は、この成形体の両端において開口する第1の複数のセルと、成形体の一端または両端において閉塞された第2の複数のセルとを有し、第2の複数のセルは隣接するセル群であり、かつ成形体を少なくとも部分的に通って延びる流体通路の少なくとも一部を画成するために協働するものである。上記流体通路は、上記第2の複数のセルに沿って往復する蛇行通路を有し、この流体通路は、成形体の両端またはそれらの近傍において、上記第2の複数のセルの内部においてセルからセルを横方向に接続している。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】セル群と直交する平面内の流体通路を示す、本発明の一つの実施の形態による多セル押出し成形体を備えた反応装置の平面図である。
【図2】流体通路のさらなる詳細を示す、図1の多セル押出し成形体すなわちハニカムを備えた反応装置の斜視図である。
【図3】チャンネル間の相互接続のための本発明に関連して有用な一つの方法を示す、押出し成形体の一端または両端において閉塞されたチャンネル群の断面図である。
【図4】チャンネル間の相互接続のための本発明に関連して有用な別の方法を示す、押出し成形体の一端または両端において閉塞されたチャンネル群の断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態による、セル群と直交する平面内の別の流体通路を示す多セル押出し成形体すなわちハニカムを備えた反応装置の平面図である。
【図6】押出し成形体の一端において入出力ポートに結合された流体連結器を示す、図5の多セル押出し成形体すなわちハニカムを備えた反応装置の斜視図である。
【図7】本発明の一つの実施の形態による押出し成形体に対する流体の接続を示す、多セル押出し成形体すなわちハニカムを備えた本発明の反応装置の断面図である。
【図8】押出し成形体の側部における入出力ポートに結合される流体連結器を示す、多セル押出し成形体すなわちハニカムを備えた反応装置の分解斜視図である。
【図9】本発明の別の実施の形態による押出し成形体に対する流体の接続を示す、多セル押出し成形体すなわちハニカムを備えた本発明の反応装置の断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施の形態による、セル群と直交する平面内の別の流体通路を示す多セル押出し成形体すなわちハニカムを備えた反応装置の平面図である。
【図11】本発明のさらに他の実施の形態による、セル群と直交する平面内の別の流体通路を示す多セル押出し成形体すなわちハニカムを備えた反応装置の平面図である。
【図12】押出し成形体の内部で始まる1本の流体通路から始まって2本の流体通路に分岐させるための本発明に関連して有用な一つの方法を示す、押出し成形体の一端または両端において閉塞されたチャンネル群の断面図である。
【図13】押出し成形体の一端上の入力ポートにおいて押出し成形体の内部で始まる多数の通路を示す押出し成形体すなわちハニカムの一端の部分的平面図である。
【図14】押出し成形体の一側における壁上の入力ポートにおいて押出し成形体の内部で始まる多数の通路を示す押出し成形体すなわちハニカムの部分的側面図である。
【図15】深い位置にある栓を示す押出し成形体すなわちハニカムの断面図である。
【図16】押出し成形体の一側における入力ポートにおいて押出し成形体から始まる2本の通路を示す押出し成形体すなわちハニカムの断面図である。
【図17】押出し成形体の一側の入力ポートにおいて押出し成形体の内部で始まる4本の通路を有する押出し成形体すなわちハニカムの断面図である。
【図18】押出し成形体の一側の入力ポートにおいて押出し成形体の内部で始まる4本の通路を有する押出し成形体すなわちハニカムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下に本発明の好ましい実施の形態が添付図面を参照して詳細に説明されている。全図を通じて、同一または類似の要素には、可能な限り同一の符号が用いられている。
【0006】
本発明は、その一実施の形態が図1に平面図で示されている押出し成形された多セル体20を備えた反応装置12に関する。上記成形体20は、その一端から他端まで平行に延びる多数のセルを有し、これらのセルの一端が図1に示されている。これらのセルは、成形体の両端に開口する第1の複数のセル22と、一つまたは複数の栓26によって、または、上記成形体の一端にまたはその近傍に配置されかつ第2の複数のセルのチャンネルの内部に少なくとも部分的に配置された多少なりとも連続する施栓材料によって、上記成形体の一端または両端において閉塞された第2の複数のセル24とを備えている。これらの第2の複数のセル24(閉塞されたセル群)は隣接するセル群であり、成形体20を通って延びる流体通路を画成するのに一役買うために協働する。この通路は、概略的な方向が図1および図2に矢印28で示されているように、セル24に沿って上下に蛇行した通路を形成しており、成形体20の両端32,34およびそれらの近傍のみにおいてはセル24と直角に横方向に延びており、その場合、セル24間の壁が短縮され、または孔が開けられ、さもなければ切開されて、セル24間の流体の連通を可能にしている。
【0007】
本発明の別の実施の形態においては、通路が、図2に示されているようにセルに沿った方向のみでなく、図5の平面図に示されているように、セルと直交する平面内でも蛇行している。図5の平面図における複数の閉塞されたセル24は、セル24および22と直交する平面内において蛇行した通路として配置されている。したがって、流体通路28は、図5の平面を出入する方向には比較的高い周波数で蛇行し、図5の平面内においては比較的低い周波数で蛇行している。この二重の蛇行構造は、これらの通路と開放通路22との間に広い表面積を維持しながら、高い総通路容積および長い総通路長を持つことを可能にし、かつ反応装置12が小さい総梱包サイズを持つことを可能にしている。
【0008】
図5に見られる閉塞されたセルの蛇行構造は、本発明の一つの好ましい実施の形態であり、用途に応じて別の構造も可能であり、または望ましくもある。しかしながら、図1または図5の平面内の通路の形状に関係なく、通路の大部分がセル1個分の幅しか備えていないことが望ましい。このことは、極めて高い表面積対体積比を備えることが可能な流体通路を容易に製造することができる結果となる。
【0009】
図1および図5に示されているように、セル24の追加のセルが、必要に応じて、通路の入出力ポート30の周囲において閉塞されて、2個以上のセル幅を有するセル集団25が形成されている。これらの付加的な閉塞されたセルは、通路28に対する流体の接続部を提供するためのOリング・シールまたは焼成されたフリット・シールまたはその他の封止システムのための支持部を提供することができる。一つの変形が図6の実施の形態に示されており、ここでは接続チューブ36が二つの閉塞されたセル集団25に封着されている。
【0010】
押出し成形体、すなわちハニカム20は、耐久性および化学的不活性に関して、押出し成形されたガラス、ガラスセラミックまたはセラミック材料で形成されるのが望ましい。アルミナ・セラミックは、ガラスおよび他のセラミックよりも良好な強度、良好な不活性および高い熱伝導性を有するものとして一般的に好ましい。この多セル体は少なくとも1平方インチ(6.45cm2)当たり200セルのセル密度を有することが望ましい。セル密度が高い程、高い熱交換性能を有するデバイスを得ることができる。1平方インチ(6.45cm2)当たり300セル以上、または450セル以上のセル密度を有する成形体が高性能デバイスを形成するために関心を惹く可能性がある。
【0011】
通路28は、図3に示されているように、セル24に沿う方向に1本のセルに追随して上下するものでもよい。あるいは、通路28は、図4に示されているように、セル24に沿う方向に平行な2本以上のセルからなる群のそれぞれに順次追従するものであってもよい。
【0012】
図7は、押出し成形された多セル体すなわちハニカムを備えた接続された本発明の反応装置10の断面図であり、本発明の他の実施の形態による押出し成形体への流体の接続状態を示す。図7の実施の形態において、流体ハウジング40はシール42を介して押出し成形体を支持している。このハウジング40は、押出し成形体を囲む単一体からなり、または、部分40Cが随意的に取り除かれて、ハウジングが二部分40Aおよび40Bからなる。一般に熱制御用流体を流すための流体通路48は、ハウジング40と協働する、図1および図5に示されているような開放チャンネル22によって形成されている。成形体20内の通路28は、流体連結器46を通る流体導管60を介して接続される。流体導管60は、ハウジング40の開口部62を貫通し、これらの開口部62にはシール44が使用されている。
【0013】
図8は、押出し成形体20の両側において入出力ポート30に結合するように構成された流体連結器46を示す、押出し成形された多セル体すなわちハニカムを備えた反応装置12の分解斜視図である。流体連結器46は、流体通路54を取り囲む突出した接続リング52を有する流体連結器本体50を備えている。組み付けられると、成形体20の両側上に形成された平坦な表面上に、エラストマーからなるOリング56が突出した接続リング52によって圧着される。押出し成形体20内の多数の壁構造が、平坦な表面58に対する頑強な圧着シールのための十分な支持を提供する。
【0014】
図8の実施の形態に示されているような反応装置12は、本発明の接続された反応装置10の断面図である図9に示されているような、好ましい構造を有する接続された反応装置10を可能にし、この反応装置10は、押出し成形された多セル体すなわちハニカム20を備え、かつ本発明の他の好ましい実施の形態による、押出し成形体20への流体の接続状態を示す。図8の実施の形態を上回る利点は、シール44が存在しないことであり、かつ二つの通路28,48間にシール(シール44または液体連結器46等)が直接的に存在しないことである。したがって、シール材料は各通路の流体に対して最適のものが選ばれ、シールの不良が二つの通路の流体の相互混合を生じさせることはない。
【0015】
図10および図11は、本発明のさらなる実施の形態による、押出し成形された多セル体すなわちハニカムを備えた反応装置12の平面図であり、セルすなわちチャンネル22,24と直交する平面内のさらに他の流体通路28を示している。双方の図に見られるように、これらの実施の形態は、セルと直交する平面内で通路28が平行な複数の通路に分岐した態様の、通路28内におけるマニホールド構造を有する。図12は、押出し成形体20の一端または両端が閉塞されたチャンネル24の断面図であり、セルすなわちチャンネル22,24に平行でかつ押出し成形体20の内部で始まる1本の通路から2本の通路に分岐させる、本発明との関連で有用な流体通路の分岐方法を示している。
【0016】
図13は、押出し成形体の一端の入力ポート30において、押出し成形体の内部で始まる多数の平行通路への分岐方法または構造を示す押出し成形体すなわちハニカム構造の一端の部分的平面図である。
【0017】
図14は、押出し成形体の一側の入力ポート30において、押出し成形体の内部で始まる多数の平行通路28の別の実施の形態を示す押出し成形体すなわちハニカム構造の部分的側面図である。
【0018】
図15の断面図に示されているように、押出し成形体の側部に入力ポート30を有する実施の形態においては、通路28に沿ったデッドスペースを阻止または低減するために、必要に応じて、入力ポート30において通路28を仕切る深い位置にある栓27が有用であろう。
【0019】
図16の断面図に示されているように、セルすなわちチャンネル22,24の1本分以下の幅を有する単一の入力ポート30が、押出し成形体20の側部の入力ポート30において押出し成形体20の内部で始まる2本の通路28に接続されている。図16〜図18において、「X」の記号は、観察者から図の面内へ遠ざかる通路28を表す。
【0020】
図17および図18の断面図に示されているように、セルすなわちチャンネル22,24の1本分よりも広く、かつセルすなわちチャンネルの2本分のよりも狭い幅を有する単一の入力ポート30が、押出し成形体20の側部の入力ポート30において押出し成形体20の内部で始まる4本の通路28に接続されている。
【符号の説明】
【0021】
10,12 反応装置
20 押出し成形体(ハニカム)
22 第1の複数のセル(開放チャンネル)
24 第2の複数のセル(閉塞チャンネル)
26 栓
28,48,54 流体通路
30 入出力ポート
36 接続チューブ
40 流体ハウジング
42,44 シール
46 流体連結器
50 流体連結器本体
52 接続リング
56 Oリング
60 流体導管
62 開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に流れる流体等の流体を反応させるための反応装置であって、
成形体の第1端から第2端に向かう方向に平行に延びるセル群を有する多セル押出し成形体を備え、該成形体は、該成形体の両端において開口する第1の複数のセルと、前記成形体の一端または両端において閉塞された第2の複数のセルとを有し、該第2の複数のセルは隣接するセル群であり、かつ前記成形体を少なくとも部分的に通って延びる流体通路の少なくとも一部を画成するために協働するものであり、前記流体通路は、前記第2の複数のセルに沿って往復する蛇行通路を有し、該流体通路は、前記成形体の両端またはそれらの近傍において、前記第2の複数のセルの内部でセルからセルを横方向に接続していることを特徴とする反応装置。
【請求項2】
前記通路は、前記成形体のセル群と直交する一平面内のセル1本分の幅を有することを特徴とする請求項1記載の反応装置。
【請求項3】
前記通路は、前記第2の複数のセルのセル群に沿って少なくとも2回往復する蛇行通路を有することを特徴とする請求項1または2記載の反応装置。
【請求項4】
前記通路は、入力ポートおよび出力ポートを通じて前記成形体の外部から接続可能であり、前記入力ポートは前記成形体の前記第1端に配置されかつ該成形体の第1端において栓によって閉塞されたセル群によって取り囲まれていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の反応装置。
【請求項5】
前記入力ポートに結合された流体連結器をさらに備え、該流体連結器は圧着シールを備え、該圧着シールは、前記入力ポートを取り囲む前記栓に対し圧着され、または前記セル群内の栓によって支持された面に対し圧着されていることを特徴とする請求項4記載の反応装置。
【請求項6】
前記入力ポートに結合された流体連結器をさらに備え、該流体連結器は、前記入力ポートを取り囲む前記栓群に接着され、または前記セル群内の栓群によって支持された面に接着されていることを特徴とする請求項4記載の反応装置。
【請求項7】
前記流体連結器は、焼結されたフリットによって前記栓群に接着され、または前記栓群によって支持された面に接着されていることを特徴とする請求項6記載の反応装置。
【請求項8】
前記通路は、入力ポートおよび出力ポートを通じて前記成形体の外部から接続可能であり、前記入力ポートは前記成形体の一側における壁に配置されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の反応装置。
【請求項9】
前記入力ポートに結合された流体連結器をさらに備え、該流体連結器は圧着シールを備え、該圧着シールは、前記成形体の一側における壁に対し圧着されていることを特徴とする請求項8記載の反応装置。
【請求項10】
前記入力ポートに結合された流体連結器をさらに備え、該流体連結器は、前記成形体の一側における壁に接着されていることを特徴とする請求項8記載の反応装置。
【請求項1】
連続的に流れる流体等の流体を反応させるための反応装置であって、
成形体の第1端から第2端に向かう方向に平行に延びるセル群を有する多セル押出し成形体を備え、該成形体は、該成形体の両端において開口する第1の複数のセルと、前記成形体の一端または両端において閉塞された第2の複数のセルとを有し、該第2の複数のセルは隣接するセル群であり、かつ前記成形体を少なくとも部分的に通って延びる流体通路の少なくとも一部を画成するために協働するものであり、前記流体通路は、前記第2の複数のセルに沿って往復する蛇行通路を有し、該流体通路は、前記成形体の両端またはそれらの近傍において、前記第2の複数のセルの内部でセルからセルを横方向に接続していることを特徴とする反応装置。
【請求項2】
前記通路は、前記成形体のセル群と直交する一平面内のセル1本分の幅を有することを特徴とする請求項1記載の反応装置。
【請求項3】
前記通路は、前記第2の複数のセルのセル群に沿って少なくとも2回往復する蛇行通路を有することを特徴とする請求項1または2記載の反応装置。
【請求項4】
前記通路は、入力ポートおよび出力ポートを通じて前記成形体の外部から接続可能であり、前記入力ポートは前記成形体の前記第1端に配置されかつ該成形体の第1端において栓によって閉塞されたセル群によって取り囲まれていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の反応装置。
【請求項5】
前記入力ポートに結合された流体連結器をさらに備え、該流体連結器は圧着シールを備え、該圧着シールは、前記入力ポートを取り囲む前記栓に対し圧着され、または前記セル群内の栓によって支持された面に対し圧着されていることを特徴とする請求項4記載の反応装置。
【請求項6】
前記入力ポートに結合された流体連結器をさらに備え、該流体連結器は、前記入力ポートを取り囲む前記栓群に接着され、または前記セル群内の栓群によって支持された面に接着されていることを特徴とする請求項4記載の反応装置。
【請求項7】
前記流体連結器は、焼結されたフリットによって前記栓群に接着され、または前記栓群によって支持された面に接着されていることを特徴とする請求項6記載の反応装置。
【請求項8】
前記通路は、入力ポートおよび出力ポートを通じて前記成形体の外部から接続可能であり、前記入力ポートは前記成形体の一側における壁に配置されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の反応装置。
【請求項9】
前記入力ポートに結合された流体連結器をさらに備え、該流体連結器は圧着シールを備え、該圧着シールは、前記成形体の一側における壁に対し圧着されていることを特徴とする請求項8記載の反応装置。
【請求項10】
前記入力ポートに結合された流体連結器をさらに備え、該流体連結器は、前記成形体の一側における壁に接着されていることを特徴とする請求項8記載の反応装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2011−507699(P2011−507699A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541437(P2010−541437)
【出願日】平成20年12月30日(2008.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/014102
【国際公開番号】WO2009/088464
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月30日(2008.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/014102
【国際公開番号】WO2009/088464
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
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