説明

ハロゲン化オレフィン発泡剤を含むフォーム及び発泡性組成物

本発明は、(a)少なくとも1種類のヒドロハロオレフィンを含む発泡性の系を製造し;そして(b)(i)ヒドロフルオロオレフィンとアミン含有触媒との間に長期間分解誘発接触が実質的に存在しないこと;又は(ii)有効量の界面活性剤が、界面活性剤の長期間分解反応雰囲気への長期間の曝露を阻止する条件下において系中で利用可能であること;又は(iii)(i)及び(ii)の組み合わせ;のいずれかを確保する;ことを含むフォーム形成方法を提供する。関連する方法、発泡性の系、及びフォームも開示する。好ましい態様は、独立気泡ポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム及びそれらの製造方法などの、ポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム及びその製造方法を提供する。好ましいフォームは、微細で均一な気泡構造を有し、フォームの崩壊が少ししかないか又はないことを特徴とする。フォームは、好ましくは、ヒドロハロオレフィン発泡剤、ポリオール、シリコーン界面活性剤、触媒の組合せを含み、添加水を実質的に含まないことを更に特徴とするポリオールプレミックス組成物を用いて製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年8月11日出願の米国仮特許出願61/232,836(参照として本明細書中に包含する)の利益を主張する。
本発明は、フォーム及びその製造方法、特にポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低密度で硬質乃至半硬質のポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームとして知られている種類のフォームは、屋根葺き系、建築用パネル、建物外面断熱材、噴霧適用フォーム、一成分及び二成分フロスフォーム、冷蔵庫及び冷凍機用の断熱材などの広範囲の断熱用途、並びにステアリングホイール及び他の自動車又は航空機操縦席用部品、靴底、及び遊園地用制止材のような緩衝及び安全用途用の所謂スキン層付きフォームにおける有用性を有している。多くの硬質乃至半硬質のポリウレタンフォームを大規模に商業的に成功させる際の重要なファクターは、良好なバランスの特性を与えるフォームの能力である。一般に、硬質のポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォームは、傑出した断熱性、優れた耐火性、及び適度に低い密度における優れた構造特性を与えることが知られている。スキン層付きフォームは、強靱で耐久性の外側スキン層及び気泡質の緩衝性コアを形成することが知られている。
【0003】
公知なように、発泡剤はかかるフォームに必要な気泡構造を形成するために用いられる。それらの使い易さ並びに優れた機械特性及び断熱性を有するフォームを製造する能力のために、液体のフルオロカーボン発泡剤を用いることが通常的である。フルオロカーボンは、それらの揮発性のために発泡剤として機能するだけでなく、硬質フォームの独立気泡構造中に封入又は取り込まれ、一般に硬質ウレタンフォームの低い熱伝導性の主要因である。断熱フォーム用途において好ましい商業的な膨張剤又は発泡剤としてフルオロカーボンを用いることは、部分的に、製造されるフォームに関係する得られるk因子に基づく。k因子は、フォーム材料を通る熱移動に抵抗するフォームの能力の指標を与える。k因子が低下すると、材料は熱移動に対してより抵抗性であり、したがって断熱目的のためにより良好なフォームであることが示される。而して、より低いk因子のフォームを形成する材料が望ましく、有利である。
【0004】
1種類以上の発泡剤、1種類以上の触媒、及び1種類以上の界面活性剤の存在下で1種類以上のポリイソシアネートを1種類以上のポリオールと反応させることによって硬質又は半硬質のポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォームを製造することが当該技術において公知である。かかる系においては発泡剤として水が通常的に用いられる。用いられている他の発泡剤としては、炭化水素、フルオロカーボン、クロロカーボン、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ハロゲン化炭化水素、エーテル、エステル、アルデヒド、アルコール、ケトン、有機酸、又は気体、殆どの場合にはCOを生成する物質が挙げられる。ポリイソシアネートがポリオールと反応する際に熱が生成し、この熱は液体混合物中に含まれる発泡剤を蒸発させる傾向を有しており、それにより発泡反応が進行するにつれてその中に気泡を形成する。気体生成物質の場合には、熱分解又はポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームを製造するのに用いられる1以上の成分との反応によって気体種が生成する。重合反応が進行するにつれて、液体混合物は気泡状の固体になり、それらが形成されるにつれて気泡内に発泡剤が封入される。
【0005】
発泡性組成物中の界面活性剤の目的は、良好な断熱性を導く気泡構造の形成を確保するのを助けることである。1種類又は複数の界面活性剤は、発泡剤を液体の発泡性混合物としてフォーム内に保持し、それによってより小さくより規則的な気泡を形成するのを促進する傾向がある。発泡性組成物中において界面活性剤を用いないと、フォームを形成することなく気泡が液体混合物を単純に通り抜ける傾向があるか、又は望ましくなく大きい不規則な気泡を有するフォームが形成される。
【0006】
上記で言及した重要な性能特性に加えて、発泡性組成物中において用いる1種類又は複数の発泡剤が低い地球温暖化係数を有することが益々重要になってきている。従来の適用は、望ましい発泡剤としてヒドロハロオレフィン(HFO)、特にトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze(E))及びトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd(E))を用いることを示す。トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法は、米国特許7,230,146及び7,189,884に開示されている。トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法は、米国特許6,844,475及び6,403,847に開示されている。
【0007】
多くの用途において、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームのための成分を予めブレンドした配合物で与えることが好都合である。最も通常的には、フォーム配合物は2つの成分に予めブレンドする。幾つかの1種類又は複数の発泡剤及び1種類又は複数の非反応性界面活性剤など(しかしながらこれらに限定されない)のポリイソシアネート及び場合によってはイソシアネートと相溶性の原材料は、通常は「A」成分又は「A側」と呼ばれる第1成分を構成する。ポリオール又は複数のポリオールの混合物、1種類以上の界面活性剤、1種類以上の触媒、1種類以上の発泡剤、並びに、難燃剤、着色剤、相溶化剤、及び可溶化剤など(しかしながらこれらに限定されない)の他の場合によって用いる1種類又は複数の成分は、通常は「B」成分又は「B側」と呼ばれる第2成分を構成する。したがって、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームは、少量の製造のためには手作業での混合、及び好ましくはブロック、スラブ、積層体、現場注入パネル及び他の部材、噴霧適用フォーム、泡などを形成する機械混合技術のいずれかによって、A側及びB側の成分を配合することによって容易に製造される。場合によっては、難燃剤、着色剤、補助発泡剤、及び他のポリオールのような他の成分を、混合ヘッド又は反応場に加えることができる。しかしながら、最も好都合には、これらは全て1つのB成分中に含ませる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許7,230,146
【特許文献2】米国特許7,189,884
【特許文献3】米国特許6,844,475
【特許文献4】米国特許6,403,847
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記で言及したヒドロハロオレフィンは、発泡剤として用いる際に多くの有利な特性及び特徴を有するが、本出願人らは、幾つかのかかるヒドロハロオレフィンを用いる場合には幾つかのフォーム系の潜在的に重大な欠点が存在することを認識するに至った。より詳しくは、本出願人らは、ヒドロフルオロオレフィン、特にHFO−1234ze(E)及びHFCO−1233zd(E)のような幾つかのヒドロフルオロオレフィンを発泡剤として用いる発泡性の系の長期間安定性、したがって貯蔵寿命の問題が生じる可能性があることを見出した。
【0010】
上述したように、従来は、1種類又は複数の発泡剤、1種類又は複数の触媒、及び1種類又は複数の界面活性剤を、発泡性の系のB側中に一緒に配置することが通常であった。本出願人らは、特にHFO−1234ze(E)及びHFCO−1233zd(E)などのヒドロフルオロオレフィンは、多くのB側の配合物中において通常的に用いられる特にアミン含有触媒などの幾つかの触媒の存在下においては、特定の条件下で時間と共に有害な程度にまで分解又は反応する可能性があることを見出した。本出願人らは、有害な分解が起こる可能性がある1つのかかる条件は、水がかかる発泡剤系において従来通常的に用いられる量で組成物中に存在する場合であることを見出した。
【0011】
したがって、本出願人らは、特定の状況及び/又は系において、特に水又は他の極性溶媒が系又は発泡剤組成物中に添加剤として存在する場合には、組成物の長期間安定性が著しく且つ非常に有害な程度にまで低下する可能性があることを認識するに至った。本出願人らは必ずしも動作理論に縛られることは意図しないが、分解反応の速度は、水が通常の共発泡剤の量で存在すると実質的に増加すると考えられる。したがって、例えばB側組成物の約1重量%より多い量の添加水を存在させると、ヒドロフルオロオレフィン及び触媒的に有効量のアミン含有触媒と共に存在することに起因する安定性の問題が大きく悪化する傾向がある。
【0012】
更に、本出願人らは、ヒドロハロオレフィンとアミンとの間の上述の相互作用によって、特にかかる組成物中に存在するシリコン含有界面活性剤などの界面活性剤の性能に対する悪影響が生じることも見出した。ここでも、本出願人はいかなる特定の動作理論にも縛られることは意図しないが、分解反応によってフッ素イオンが副生成物として生成し、界面活性剤化合物、特にシリコン界面活性剤化合物がかかるフッ素イオンに曝露されることによって、時間と共に界面活性剤の分子量が減少し、これによって界面活性剤の適当な気泡形成を促進する能力に悪影響が与えられると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって本発明の一形態によれば、本出願人らは、(a)少なくとも1種類のヒドロハロオレフィンを含む発泡性の系を製造し;(b)(i)ヒドロフルオロオレフィンとアミン含有触媒との間に長期間分解誘発接触が実質的に存在しないか;(ii)有効量の界面活性剤が、界面活性剤の長期間分解反応雰囲気への長期間の曝露を阻止する条件下において系中で利用可能であるか;又は(iii)(i)及び(ii)の組み合わせ;のいずれかを確保する;ことを含むフォーム形成方法を開発した。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで用いる「長期間分解誘発接触」という用語は、その間にヒドロハロオレフィン及びアミン含有触媒が、分解反応が大きな程度にまで進行することができる条件下で同じ組成物中にある少なくとも数日間、多くの好ましい態様においては数週間又は更には数ヶ月間の期間を意味する。
【0015】
ここで用いる「有効量の界面活性剤」という用語は、特定の界面活性剤及び特定の発泡性の系に関して、規則的で断熱的に有効な気泡の形成を実質的に促進するのに有効な量の界面活性剤を意味する。
【0016】
ここで用いる「長期間曝露」という用語は、貯蔵雰囲気中で通常起こるような曝露を意味する。例えば比較の目的のために、二成分系のA側とB側の混合中に通常起こるような界面活性剤のヒドロハロオレフィン及びアミン含有触媒への曝露は、「長期間曝露」を構成しない。他方において、少なくとも数日間、好ましくは少なくとも数週間、更により好ましくは少なくとも数ヶ月間の間の組成物の貯蔵は、「長期間曝露」を構成する。
【0017】
本出願人らは、本発明の確保工程を実施するための多くの特定の特性、特徴、及び手段は、ここに含まれる開示事項を考慮すれば過度の実験を行うことなく当業者に明らかで且つ利用可能であり、全てのかかる特定の特性、特徴、及び手段は本発明の広い範囲内であると意図する。一例として、本出願人らは本発明の確保工程のための幾つかの態様を開発し、それぞれの態様は単独か、或いはここに開示する1以上の他の態様及び/又はいつか開発されるものを含む他の態様と組み合わせて用いるように適合させることができる。本方法の1つのかかる好ましい態様は、B側が触媒的に有効量のアミン含有触媒、及びアミン含有触媒と概して分解反応性である少なくとも1種類のヒドロハロオレフィンを含む、A側及びB側のタイプの発泡性の系を含む発泡性の系を与え;そして、B側が、長期間曝露後、例えば雰囲気温度条件における貯蔵の好ましくは約2ヶ月後、より好ましくは約3ヶ月後、更により好ましくは約6ヶ月後にヒドロフルオロオレフィンとアミンとの間に分解反応を実質的に起こさないことを確保するのに十分な程度に極性溶媒を含まず、好ましくは十分な程度に水を含まないことを確保する;ことを含む。幾つかの態様においては、B側の組成物がヒドロハロオレフィン、特にトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze(E))及びトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd(E))のような分解反応性のヒドロフルオロオレフィン、及び触媒的に有効量のアミン含有触媒、並びに約1重量%以下の水、より好ましくは0.75重量%以下の水、更により好ましくは0.5重量%以下の水を含むことを確保することが好ましい。
【0018】
他の形態においては、本方法は、B側が触媒的に有効量のアミン含有触媒、及びアミン含有触媒と概して分解反応性である少なくとも1種類のヒドロハロオレフィンを含むA側及びB側のタイプの発泡性の系を含む発泡性の系を与え;そして、A側が、有効量の界面活性剤、好ましくはシリコン含有界面活性剤を含むことを確保して、フォーム中に断熱的に有効な気泡が形成されることを確保する;ことを含む。かかる態様においては、必ずしも好ましくはないが、水を発泡性の系のB側中に存在させることができる。しかしながら、好ましい態様においては、有効量の界面活性剤がA側中に含まれ、B側の組成物中には相当量の水は存在せず、好ましくは約1重量%以下の水、より好ましくは0.75重量%以下の水、更により好ましくは0.5重量%以下の水が存在する。
【0019】
本発明の他の形態においては、本方法は、アミン含有触媒を含む流れとは別であり、好ましい態様においては発泡性の系のA側及びB側の両方と別の流れを用いて、ヒドロハロオレフィンを含む発泡剤の少なくとも一部を発泡反応中に導入することを含む。本発明の他の形態においては、本方法は、発泡性の系のA側及びB側とは別の流れを用いて、アミンを含む触媒の少なくとも一部を発泡反応中に導入することを含む。本発明の更に他の形態においては、本方法は、ヒドロフルオロオレフィン及びアミン含有触媒の両方を含む流れとは別であり、好ましくは幾つかの態様においては発泡性の系のA側及びB側の両方とは別の流れを用いて、少なくとも有効量のシリコン含有界面活性剤を発泡反応中に導入することを含む。
【0020】
当業者によって上記の態様のそれぞれを本発明の目的を達成するように容易に適合させることができるが、本出願人らは、共発泡剤として水をポリオールプレミックス又は「B」側の成分に加えることを回避する幾つかの態様は、HFO−1234ze(E)及びHFCO−1233zd(E)など(しかしながらこれらに限定されない)のヒドロハロオレフィンを含むかかるポリオールプレミックスの貯蔵寿命を直ちに伸ばすことができるが、同時に既存の発泡性の系に対して更なる変更を僅かしか加えないか又は全く加えずに実施することができると考える。この理由のために、特にかかる態様はポリオールブレンドを数週間又は数ヶ月間経時変化させた後でさえも良好な品質のフォームを形成することを可能にするので、かかる態様はしばしば好ましい。
【0021】
本発明はまた、少なくとも第1の組成物及び第2の組成物、及びかかる第1の組成物をかかる第2の組成物と離隔して貯蔵するための手段(かかる第1の組成物は少なくとも1種類のポリオールを含み、かかる第2の組成物はかかるポリオールと反応性の少なくとも1種類のイソシアネートを含む)を含み、分解反応性のヒドロハロカーボン及びアミン含有触媒(それぞれは、独立してかかる第1の組成物、かかる第2の組成物、又は両方の組成物中に含まれる)を更に含み、但し、かかる反応性ヒドロハロカーボン及びかかるアミン含有触媒のそれぞれの相当部分が同じ組成物中に含まれる場合には、その組成物は相当量の極性溶媒を含まず、更により好ましくは相当量の水を含まない発泡性の系も提供する。
【0022】
本発明の発泡性の系の他の態様においては、系は、少なくとも第1の組成物及び第2の組成物、並びにかかる第1の組成物をかかる第2の組成物と離隔して貯蔵するための手段(かかる第1の組成物は少なくとも1種類のポリオールを含み、かかる第2の組成物はかかるポリオールと反応性の少なくとも1種類のイソシアネートを含む)を含み、系は、分解反応性のヒドロハロカーボン、アミン含有触媒、及びシリコーン含有界面活性剤(それぞれは、独立してかかる第1の組成物中、かかる第2の組成物中、又は両方の組成物中に含まれる)を更に含み、但し、かかる反応性ヒドロハロカーボン及びかかるアミン含有触媒のそれぞれの相当部分が同じ組成物中に含まれる場合には、相当量のかかる成分の両方を含む組成物は、(i)約1重量%より多い極性溶媒を同時には含まず、更により好ましくは相当量の水を含まないか、及び/又は(ii)相当量のかかるシリコーン界面活性剤を同時には含まない。非常に好ましい態様においては、シリコーン含有界面活性剤は、相当量のヒドロハロカーボン及びかかるアミン含有触媒を含まない組成物中に含まれる。
【0023】
他の形態においては、本発明は、本発明方法から製造され、好ましくは微細で均一な気泡構造及びフォームの崩壊が僅かしかないか又は全くないことを特徴とする硬質乃至半硬質のポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォームに関する。好ましいフォームは、有機ポリイソシアネート、及び好ましくはヒドロハロオレフィンを含む発泡剤、ポリオール、シリコーン界面活性剤、及びアミン含有触媒の組合せを含み、約1重量%以下の水、好ましくは0.75重量%以下の水、より好ましくは0.5重量%以下の水を有し、最も好ましくはポリウレタン及び/又はポリイソシアヌレートフォーム配合物中において通常用いられる添加水を実質的に含まないポリオールプレミックス組成物を用いて製造される。
【0024】
本発明の複数の好ましい形態は、発泡剤、1種類以上のポリオール、1種類以上のシリコーン界面活性剤、及び触媒の組合せを含み、発泡剤がヒドロハロオレフィン、及び場合によっては炭化水素、フルオロカーボン、クロロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、ハロゲン化炭化水素、エーテル、エステル、アルコール、アルデヒド、ケトン、有機酸、気体生成物質、又はこれらの組合せを含み、ポリオールブレンドが約1重量%以下の水、好ましくは0.75重量%以下の水、より好ましくは0.5重量%以下の水を有し、最も好ましくは添加水を実質的に含まないポリオールプレミックス組成物を提供する。ここで用いる「水を実質的に含まない」という用語は、他の原材料の1つの中の不純物である可能性がある水以外の水を含まないことを意味する。
【0025】
本発明の他の好ましい態様は、有機ポリイソシアネートをポリオールプレミックス組成物と反応させ、場合によっては第3の化学成分として水を加えることを含む、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームを製造する方法を提供する。
【0026】
本発明は、幾つかの態様においては、ヒドロハロオレフィンを含み、好ましくはHFO−1234ze(E)及びHFCO−1233zd(E)の少なくとも1つ、並びに場合によっては炭化水素、フルオロカーボン、クロロカーボン、フルオロクロロカーボン、ハロゲン化炭化水素、エーテル、フッ素化エーテル、エステル、アルコール、アルデヒド、ケトン、有機酸、気体生成物質(水を除く)、又はこれらの組合せを含む発泡剤を提供する。ヒドロハロオレフィンは、好ましくは、3〜4個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含むフルオロアルケン又はクロロフルオロアルケンのような少なくとも1種類のハロアルケンを含む。好ましいヒドロハロオレフィンとしては、非排他的に、トリフルオロプロペン、(HFO−1234)のようなテトラフルオロプロペン、(HFO−1225)のようなペンタフルオロプロペン、(HFO−1233)のようなクロロトリフルオロプロペン、クロロジフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン、クロロテトラフルオロプロペン、及びこれらの組合せが挙げられる。一般に、本発明の化合物は、不飽和末端炭素が1以下のF又はCl置換基を有するテトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、及びクロロトリフルオロプロペン化合物であることが好ましい。1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze);1,1,3,3−テトラフルオロプロペン;1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)、1,1,1−トリフルオロプロペン;1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225zc)、及び1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225yc);(Z)−1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225yez);1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFCO−1233zd)、又はこれらの組合せ、或いはこれらのそれぞれのいずれか又は全ての立体異性体が含まれる。
【0027】
好ましいヒドロハロオレフィンは、150以下、より好ましくは100以下、更により好ましくは75以下の地球温暖化係数(GWP)を有する。ここで用いる「GWP」は、"The Scientific Assessment of Ozone Depletion, 2002, a report of the World Meteorological Association's Global Ozone Research and Monitoring Project"(参照として本明細書中に包含する)において定義されているように、二酸化炭素のものに対して100年間の計画対象期間にわたって測定されるものである。好ましいヒドロハロオレフィンはまた好ましくは、0.05以下、より好ましくは0.02以下、更により好ましくは約0のオゾン層破壊係数(ODP)を有する。ここで用いる「ODP」は、"The Scientific Assessment of Ozone Depletion, 2002, A report of the World Meteorological Association's Global Ozone Research and Monitoring Project"(参照として本明細書中に包含する)において定義されているものである。
【0028】
好ましい場合によって用いる発泡剤としては、非排他的に、水、CO及び/又はCOを生成する有機酸、炭化水素;エーテル、ハロゲン化エーテル;エステル、アルコール、アルデヒド、ケトン、ペンタフルオロブタン;ペンタフルオロプロパン;ヘキサフルオロプロパン;ヘプタフルオロプロパン;トランス−1,2−ジクロロエチレン;メチラール、ギ酸メチル;1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン(HCFC−124);1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b);1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a);1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134);1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b);1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc);1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea);トリクロロフルオロメタン(CFC−11);ジクロロジフルオロメタン(CFC−12);ジクロロフルオロメタン(HCFC−22);1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa);1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236e);1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、ジフルオロメタン(HFC−32);1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a);1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa);ブタン;イソブタン;n−ペンタン;イソペンタン;シクロペンタン、又はこれらの組合せが挙げられる。発泡剤成分は、通常はポリオールプレミックス組成物の約1重量%〜約30重量%、好ましくは約3重量%〜約25重量%、より好ましくは約5重量%〜約25重量%の量でポリオールプレミックス組成物中に存在させる。ヒドロハロオレフィン及び場合によって用いる発泡剤の両方を存在させる場合には、ヒドロハロオレフィン成分は、好ましくは発泡剤成分の約5重量%〜約90重量%、好ましくは約7重量%〜約80重量%、より好ましくは約10重量%〜約70重量%の量で発泡剤成分中に存在させ;場合によって用いる発泡剤は、通常は、発泡剤成分の約95重量%〜約10重量%、好ましくは約93重量%〜約20重量%、より好ましくは約90重量%〜約30重量%の量で発泡剤成分中に存在させる。
【0029】
複数のポリオールの混合物を含んでいてよいポリオール成分は、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームの製造において公知の形態でイソシアネートと反応する任意のポリオールであってよい。有用なポリオールは、スクロースを含むポリオール;フェノール、フェノールホルムアルデヒドを含むポリオール;グルコースを含むポリオール;ソルビトールを含むポリオール;メチルグルコシドを含むポリオール;芳香族ポリエステルポリオール;グリセロール;エチレングリコール;ジエチレングリコール;プロピレングリコール;ポリエーテルポリオールとビニルポリマーとのグラフトコポリマー;ポリエーテルポリオールとポリ尿素とのコポリマー;(b)の1以上と縮合した(a)の1以上:(a)グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ペンタエリトリトール、大豆油、レシチン、トール油、パーム油、ヒマシ油;(b)エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物;或いはこれらの組合せ;の1以上を含む。ポリオール成分は、好ましくは、ポリオールプレミックス組成物の約60重量%〜約95重量%、好ましくは約65重量%〜約95重量%、より好ましくは約70重量%〜約90重量%の量でポリオールプレミックス組成物中に存在させる。
【0030】
上述したように、ポリオールプレミックス組成物は好ましくは、少なくとも1種類のシリコーン含有界面活性剤も含む。シリコーン含有界面活性剤は、混合物からのフォームの形成を促進し、並びに所望の気泡構造のフォームが得られるようにフォームのバブルの寸法を制御するために用いる。好ましくは、その中に均一な寸法の小さいバブル又は気泡を有するフォームは、圧縮強度及び熱伝導率のような最も望ましい物理特性を有するので望ましい。また、フォームの形成前又はフォームライズ中に崩壊しない安定な気泡を有するフォームを与えることが重要である。
【0031】
ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームの製造において用いるためのシリコーン界面活性剤は、当業者に公知の数多くの商品名で入手できる。かかる材料は、非常に低い密度のフォーム構造を達成する均一な気泡の形成及び最大の気体閉じ込めを可能にする広範囲の配合にわたって適用することができることが分かった。好ましいシリコーン界面活性剤は、ポリシロキサンポリオキシアルキレンブロックコポリマーを含む。本発明のために有用な幾つかの代表的なシリコーン界面活性剤は、MomentiveのL-5130、L-5180、L-5340、L-5440、L-6100、L-6900、L-6980、及びL-6988;Air ProductsのDC-193、DC-197、DC-5582、及びDC-5598;並びにEssen,ドイツのGoldschmidt AGからのB-8404、B-8407、B-8409、及びB-8462;である。米国特許2,834,748;2,917,480;2,846,458;及び4,147,847;に他のものが開示されている。シリコーン界面活性剤成分は、通常は、ポリオールプレミックス組成物の約0.5重量%〜約5.0重量%、好ましくは約1.0重量%〜約4.0重量%、より好ましくは約1.5重量%〜約3.0重量%の量でポリオールプレミックス組成物中に存在させる。
【0032】
ポリオールプレミックス組成物には、場合によっては非シリコーンの非イオン性界面活性剤のような非シリコーン界面活性剤を含ませることができる。かかるものとしては、オキシエチル化アルキルフェノール、オキシエチル化脂肪アルコール、パラフィン油、ヒマシ油エステル、リシノール酸エステル、ロート油、アメリカホドイモ油、パラフィン、及び脂肪アルコールを挙げることができる。好ましい非シリコーンの非イオン性界面活性剤は、Air Products Corporationから商業的に入手できるLK-443である。非シリコーンの非イオン性界面活性剤を用いる場合には、これは通常はポリオールプレミックス組成物の約0.25重量%〜約3.0重量%、好ましくは約0.5重量%〜約2.5重量%、より好ましくは約0.75重量%〜約2.0重量%の量でポリオールプレミックス組成物中に存在させる。
【0033】
本発明のポリオールプレミックス組成物は、好ましくは1種類又は複数の触媒を含む。第1級アミン、第2級アミン、又は第3級アミンが有用である。有用な第3級アミン触媒としては、非排他的に、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチルトリアミン、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン;N,N−エチルジイソプロピルアミン;N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン;N,N−ジメチルイソプロピルアミン;N−メチル−N−イソプロピルベンジルアミン;N−メチル−N−シクロペンチルベンジルアミン;N−イソプロピル−N−sec−ブチル−トリフルオロエチルアミン;N,N−ジエチル−(α−フェニルエチル)アミン、N,N,N−トリ−n−プロピルアミン、又はこれらの組合せが挙げられる。有用な第2級アミン触媒としては、非排他的に、ジシクロヘキシルアミン;t−ブチルイソプロピルアミン;ジ−t−ブチルアミン;シクロヘキシル−t−ブチルアミン;ジ−sec−ブチルアミン、ジシクロペンチルアミン;ジ−(α−トリフルオロメチルエチル)アミン;ジ−(α−フェニルエチル)アミン;又はこれらの組合せが挙げられる。有用な第1級アミン触媒としては、非排他的に、トリフェニルメチルアミン及び1,1−ジエチル−n−プロピルアミンが挙げられる。
【0034】
他の有用なアミンとしては、モルホリン、イミダゾール、エーテル含有化合物などが挙げられる。これらとしては、
ジモルホリノジエチルエーテル;
N−エチルモルホリン;
N−メチルモルホリン;
ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル;
イミダゾール;
n−メチルイミダゾール;
1,2−ジメチルイミダゾール;
ジモルホリノジメチルエーテル;
N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン;
N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタエチルジエチレントリアミン;
N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン;
ビス(ジエチルアミノエチル)エーテル;
ビス(ジメチルアミノプロピル)エーテル;
が挙げられる。
【0035】
ここに記載する組成物を用いるポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームの製造は、当該技術において周知の任意の方法にしたがって行うことができる。Saunders及びFrisch, vol. I及びII, Polyurethanes Chemistry and technology, 1962, John Wiley and Sons, New York, NY、又はGum, Reese, Ulrich, Reaction Polymers, 1992, Oxford University Press, New York, NY、又はKlempner及びSendijarevic, Polymeric Foams and Foam Technology, 2004, Hanser Gardner Publications, Cincinnati, OHを参照。一般に、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームは、イソシアネート、ポリオールプレミックス組成物、及び場合によって用いる難燃剤、着色剤、又は他の添加剤のような他の材料を配合することによって製造する。これらのフォームは硬質、可撓性、又は半硬質であってよく、独立気泡構造、連続気泡構造、又は連続気泡と独立気泡の混合構造を有していてよい。
【0036】
ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームのための成分を予めブレンドした配合物で与えることが、多くの用途において好都合である。最も通常的には、フォーム配合物は二成分に予めブレンドする。イソシアネート、並びに場合によっては発泡剤及び幾つかのシリコーン界面活性剤など(しかしながらこれらに限定されない)の他のイソシアネート相溶性の原材料は、通常は「A」成分と呼ばれる第1成分を構成する。界面活性剤、触媒、発泡剤、及び場合によって用いる他の成分を含むポリオール混合組成物は、通常は「B」成分と呼ばれる第2成分を構成する。任意の所定の用途においては、「B」成分は上記に列記した成分の全てを含まない可能性があり、例えば、難燃性が必要なフォーム特性ではない場合には、幾つかの配合物においては難燃剤は排除される。したがって、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームは、少量の製造のためには手作業での混合、及び好ましくはブロック、スラブ、積層体、現場注入パネル及び他の部材、噴霧適用フォーム、泡などを形成する機械混合技術のいずれかによって、A側及びB側の成分を配合することによって容易に製造される。場合によっては、難燃剤、着色剤、補助発泡剤、水、及び更に他のポリオールのような他の成分を、1つの流れとして混合ヘッド又は反応場に加えることができる。しかしながら、最も好都合には、これらは水を除いて全て、上記に記載した1つのB成分中に含ませる。
【0037】
ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームを形成するために好適な発泡性組成物は、有機ポリイソシアネート及び上記記載のポリオールプレミックス組成物を反応させることによって形成することができる。脂肪族及び芳香族ポリイソシアネートを含む任意の有機ポリイソシアネートを、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームの合成において用いることができる。好適な有機ポリイソシアネートとしては、ポリウレタン化学の分野において周知の脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族、及び複素環式イソシアネートが挙げられる。これらは、例えば米国特許4,868,224;3,401,190;3,454,606;3,277,138;3,492,330;3,001,973;3,394,164;3,124,605;及び3,201,372;に記載されている。1つの種類としては芳香族ポリイソシアネートが好ましい。
【0038】
代表的な有機ポリイソシアネートは、式:
R(NCO)
(式中、Rは、脂肪族、アラルキル、芳香族、又はこれらの混合物のいずれかである多価有機基であり、zは、Rの価数に対応する整数で、少なくとも2である)
に対応する。ここで考えられる有機ポリイソシアネートの代表例としては、例えば2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、粗トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、粗メチレンジフェニルジイソシアネートなどのような芳香族ジイソシアネート;4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、2,4,6−トルエントリイソシアネートのような芳香族トリイソシアネート;4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどのような芳香族テトライソシアネート;キシリレンジイソシアネートのようなアリールアルキルポリイソシアネート;ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、リシンジイソシアネートメチルエステルなどのような脂肪族ポリイソシアネート;並びにこれらの混合物;が挙げられる。他の有機ポリイソシアネートとしては、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、水素化メチレンジフェニルイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、1−メトキシフェニレン−2,4−ジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、及び3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート;が挙げられる。代表的な脂肪族ポリイソシアネートは、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネート、イソホレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)などのようなアルキレンジイソシアネートであり、代表的な芳香族ポリイソシアネートとしては、m−及びp−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ビトリレンイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)メテン、ビス(2−メチル−4−イソシアナトフェニル)メタンなどが挙げられる。好ましいポリイソシアネートは、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、特に、約30〜約85重量%のメチレンビス(フェニルイソシアネート)を含み、混合物の残りが2より大きい官能価のポリメチレンポリフェニルイソシアネートを含む混合物である。これらのポリイソシアネートは当該技術において公知の通常の方法によって製造される。本発明においては、ポリイソシアネート及びポリオールは、約0.9〜約5.0の範囲のNCO/OHの化学量論比を与える量で用いる。本発明においては、NCO/OHの当量比は、好ましくは約1.0以上約3.0以下であり、理想的な範囲は約1.1〜2.5である。特に好適な有機ポリイソシアネートとしては、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、メチレンビス(フェニルイソシアネート)、トルエンジイソシアネート、又はこれらの組合せが挙げられる。
【0039】
ポリイソシアヌレートフォームの製造においては、過剰のA成分と組み合わせたブレンドをポリイソシアヌレート−ポリウレタンフォームに転化させる目的で三量体化触媒を用いる。用いる三量体化触媒は、グリシン塩、第3級アミン三量体化触媒、第4級アンモニウムカルボン酸塩、及びアルカリ金属カルボン酸塩、並びに種々のタイプの触媒の混合物など(しかしながらこれらに限定されない)の当業者に公知の任意の触媒であってよい。この種類内の好ましい種は、酢酸カリウム、オクタン酸カリウム、及びN−(2−ヒドロキシ−5−ノニルフェノール)メチル−N−メチルグリシネートである。
【0040】
また、好ましくは反応物質の約20重量%以下の量の通常の難燃剤を含ませることもできる。場合によって用いる難燃剤としては、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(1,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリ(2−クロロイソプロピル)ホスフェート、トリクレシルホスフェート、トリ(2,2−ジクロロイソプロピル)ホスフェート、ジエチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホネート、ジメチルメチルホスホネート、トリ(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリ(1,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、及びテトラキス(2−クロロエチル)エチレンジホスフェート、トリエチルホスフェート、ジアンモニウムホスフェート、種々のハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、三水和アルミニウム、ポリ塩化ビニル、メラミンなどが挙げられる。イソシアネートと化学反応して二酸化炭素を生成する他の場合によって用いる成分としては、0〜約7%の水を挙げることができる。この二酸化炭素は補助発泡剤として機能する。本発明の場合においては、水はポリオールブレンドに加えることはできないが、用いる場合には別の化学流として加えることができる。また、イソシアネートと反応させることによって二酸化炭素を生成させるためにギ酸も用いられ、これは場合によっては「B」成分に加えられる。
【0041】
上述した成分に加えて、染料、充填剤、顔料などのような他の成分をフォームの製造において含ませることができる。分散剤及び気泡安定剤を本ブレンド中に含ませることができる。ここで用いるための通常の充填剤としては、例えば、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ガラス繊維、カーボンブラック、及びシリカが挙げられる。充填剤は、用いる場合には、通常はポリオール100部あたり約5部〜100部の範囲の重量量で存在させる。ここで用いることができる顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、クロムグリーン、クロムイエロー、鉄青シエナ、モリブデートオレンジ、並びにパラレッド、ベンジジンイエロー、トルイジンレッドのような有機顔料、トナー、及びフタロシアニンのような任意の従来の顔料であってよい。
【0042】
製造されるポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームは、密度を約0.5ポンド/立方フィート〜約60ポンド/立方フィート、好ましくは約1.0〜20.0ポンド/立方フィート、最も好ましくは約1.5〜6.0ポンド/立方フィートの範囲にすることができる。得られる密度は、どの程度の本発明において開示する発泡剤又は発泡剤混合物、並びにどの程度の量の水のような補助発泡剤又は他の共発泡剤を、A及び/又はB成分中に存在させるか、或いはフォームが製造される時点において加えられているかの関数である。これらのフォームは、硬質、可撓性、又は半硬質のフォームであってよく、独立気泡構造、連続気泡構造、又は連続気泡と独立気泡の混合構造を有することができる。これらのフォームは、断熱、緩衝、浮体、包装、接着剤、空間充填、工芸装飾品、及び衝撃吸収など(しかしながらこれらに限定されない)の種々の周知の用途において用いられる。
【実施例】
【0043】
以下の非限定的な実施例は本発明を例示するように働く。
実施例1(比較例):
100重量部のポリオールブレンド、1.5重量部のNiax L6900シリコーン界面活性剤、1.5重量部の水、4.0重量部のN,N−ジシクロヘキシルメチルアミン(Air Products and ChemicalsによってPolycat 12として販売)、及び8重量部のトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン発泡剤によってポリオール(B成分)配合物を形成した。B成分組成物全体は、新しく調製し、120.0重量部のLupranate M20Sポリマーイソシアネートと混合すると、微細で規則的な気泡構造を有する良好な品質のフォームを与えた。フォームの反応性は現場注入型フォームに特有のものであった。次に、B側組成物全体(115.0部)を130°Fにおいて336時間経時変化させ、次に120.0部のM20Sポリマーイソシアネートと混合してフォームを形成した。フォームは外観が非常に劣っており、大きな気泡崩壊が起こっていた。経時変化中にポリオールプレミックスの大きな黄変が認められた。
【0044】
実施例2(フォーム試験):
100重量部のポリオールブレンド、1.5重量部のNiax L6900シリコーン界面活性剤、0.0重量部の水、2.0重量部のN,N−ジシクロヘキシルメチルアミン(Air Products and ChemicalsによってPolycat 12として販売)、及び8重量部のトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン発泡剤によってポリオール(B成分)配合物を形成した。B成分組成物全体は、新しく調製し、120.0重量部のLupranate M20Sポリマーイソシアネートと混合すると、微細で規則的な気泡構造を有する良好な品質のフォームを与えた。フォームの反応性は現場注入型フォームに特有のものであった。次に、B側組成物全体(114.75部)を130°Fにおいて336時間経時変化させ、次に120.0部のM20Sポリマーイソシアネートと混合してフォームを形成した。フォームは外観が優れており、気泡崩壊の徴候は無かった。経時変化中においては、ポリオールプレミックスの僅かな黄変しか認められなかった。フォームは許容できるk値を示した。ここで用いるk値とは、材料の2つの表面を縦方向に横切って1°Fの差が存在する場合に、1時間で1インチの厚さの1平方フィートの均一な材料を通る伝導による熱エネルギーの伝達速度として定義される。
【0045】
実施例3(比較例):
100重量部のポリオールブレンド、1.5重量部のNiax L6900シリコーン界面活性剤、1.5重量部の水、1.2重量部のN,N,N’,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチルトリアミン(Air Products and ChemicalsによってPolycat 5として販売)、及び8重量部のトランス−1−クロロ−3,3,3−テトラフルオロプロペン発泡剤によってポリオール(B成分)配合物を形成した。B成分組成物全体は、新しく調製し、120.0重量部のLupranate M20Sポリマーイソシアネートと混合すると、微細で規則的な気泡構造を有する良好な品質のフォームを与えた。フォームの反応性は現場注入型フォームに特有のものであった。次に、B側組成物全体(115.0部)を130°Fにおいて336時間経時変化させ、次に120.0部のM20Sポリマーイソシアネートと混合してフォームを形成した。フォームは外観が非常に劣っており、ほぼ100%の気泡が崩壊していた。経時変化中にポリオールプレミックスの大きな黄変が認められた。
【0046】
実施例4(フォーム試験):
100重量部のポリオールブレンド、1.5重量部のNiax L6900シリコーン界面活性剤、0.0重量部の水、1.2重量部のN,N,N’,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチルトリアミン(Air Products and ChemicalsによってPolycat 5として販売)、及び8重量部のトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン発泡剤によってポリオール(B成分)配合物を形成した。B成分組成物全体は、新しく調製し、120.0重量部のLupranate M20Sポリマーイソシアネートと混合すると、微細で規則的な気泡構造を有する良好な品質のフォームを与えた。フォームの反応性は現場注入型フォームに特有のものであった。次に、B側組成物全体(114.75部)を130°Fにおいて336時間経時変化させ、次に120.0部のM20Sポリマーイソシアネートと混合してフォームを形成した。フォームは外観が優れており、気泡崩壊の徴候は少ししか無かった。経時変化中においては、ポリオールプレミックスの僅かな黄変しか認められなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種類のヒドロハロオレフィンを含む発泡性の系を製造し;そして
(b)(i)ヒドロフルオロオレフィンとアミン含有触媒との間に長期間分解誘発接触が実質的に存在しないか;又は(ii)有効量の界面活性剤が、界面活性剤の長期間分解反応雰囲気への長期間の曝露を阻止する条件下において系中で利用可能であるか;又は(iii)(i)及び(ii)の組み合わせ;を確保する;
ことを含むフォーム形成方法。
【請求項2】
発泡性の系が、ポリイソシアネートを含むA側、並びに、ポリオール、触媒的に有効量のアミン含有触媒、及びアミン含有触媒と概して分解反応性である少なくとも1種類のヒドロハロオレフィンを含むB側を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
確保工程が、雰囲気温度条件下において約2〜約6ヶ月貯蔵した後にヒドロフルオロオレフィンとアミンとの間に実質的に分解反応が生じないことを確保するのに十分な程度にB側に極性溶媒が存在しないことを確保することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
極性溶媒が水である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
B側が約1重量%以下の水を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
分解反応性ヒドロフルオロオレフィンがトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze(E))又はトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd(E))を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(a)A側、並びに触媒的に有効量のアミン含有触媒、及びアミン含有触媒と概して分解反応性である少なくとも1種類のヒドロハロオレフィンを含むB側を含む発泡性の系を与え;そして(b)A側が、フォーム中に断熱的に有効な気泡を形成することを確保するのに有効な量の界面活性剤、場合によってはシリコン含有界面活性剤を含むことを確保する;ことを含むフォーム形成方法。
【請求項8】
B側が少なくとも約3〜6ヶ月の間貯蔵安定性である、請求項7に記載のフォーム形成性の系。
【請求項9】
B側が水を実質的に含まない、請求項7に記載のフォーム形成性の系。
【請求項10】
B側が約1重量%以下の水を含む、請求項7に記載のフォーム形成性の系。
【請求項11】
A側、B側、又は両方の中に水以外の気体生成共発泡剤が含まれている、請求項7に記載のフォーム形成性の系。
【請求項12】
気体生成共発泡剤がギ酸を含む、請求項11に記載のフォーム形成性の系。
【請求項13】
少なくとも第1の組成物及び第2の組成物、並びに第1の組成物を第2の組成物から離隔して貯蔵する手段を含み、第1の組成物は少なくとも1種類のポリオールを含み、第2の組成物はポリオールと反応性の少なくとも1種類のイソシアネートを含み、系は分解反応性ヒドロハロカーボン及びアミン含有触媒を更に含み、分解反応性ヒドロハロカーボン及びアミン含有触媒のそれぞれは独立して、第1の組成物中、第2の組成物中、又はかかる組成物の両方の中に含まれ、但し、反応性ヒドロハロカーボン及びアミン含有触媒のそれぞれの相当部分が同じ組成物中に含まれる場合には、組成物は約1重量%より多い極性溶媒を含まない、フォーム形成性の系。
【請求項14】
請求項1、7、又は13に記載の方法から形成されるフォーム。

【公表番号】特表2013−501844(P2013−501844A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524735(P2012−524735)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/044064
【国際公開番号】WO2011/019528
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】